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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】シーニック区画乗り物システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/02 20060101AFI20241111BHJP
   E04H 3/10 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A63G31/02
E04H3/10 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021546732
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020017732
(87)【国際公開番号】W WO2020167818
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/805,191
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/421,609
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラム スティーヴン シー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィー リサ マリー
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-096474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0311587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
E04H 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地システムであって、
内部に配置された中心通路を有するタワーと、
前記中心通路内に配置された乗り物車両と、
前記乗り物車両に結合されて、該乗り物車両を前記タワーの前記中心通路内で垂直に変位させるように構成された駆動システムと、
を備え、前記タワーは、前記駆動システムの周囲を回転し、ゲストが前記乗り物車両内から前記タワーの異なる部分を見ることを可能にするように構成され、前記タワーは、複数のレベルを有し、前記複数のレベルは、複数の区画を有し、
前記駆動システムは、
前記乗り物車両を所定の期間にわたって、前記複数のレベルのうちの第1のレベルの前記複数の区画のうちの第1の区画に隣接して保持し、
前記所定の期間の後に前記乗り物車両を前記複数のレベルのうちの第2のレベルの前記複数の区画のうちの第2の区画に隣接して配置する
ように構成された、ことを特徴とする遊園地システム。
【請求項2】
記複数のレベルのうちのあるレベルは、前記中心通路の周囲に円周方向に配置された前記複数の区画を含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項3】
前記複数の区画のうちのある区画は、前記乗り物車両内のユーザに物語を伝えるように構成されたシーニック要素を含む、
請求項2に記載の遊園地システム。
【請求項4】
前記シーニック要素は、アニメーションフィギュア、特殊効果、音響システム、メディアディスプレイ、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項3に記載の遊園地システム。
【請求項5】
前記駆動システムは、前記タワーの中心軸に対して半径方向に配置された軌道を有するボギー台車システムを含み、該ボギー台車システムは、前記軌道及び前記乗り物車両に結合されたボギー台車を含み、該ボギー台車は、前記軌道に沿って移動して前記乗り物車両を前記中心通路内で前記タワーの前記中心軸に対して半径方向に変位させるように構成される、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項6】
前記駆動システムは、前記乗り物車両を前記タワーの前記中心通路内で垂直に変位させるように構成されたウィンチシステムを含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項7】
前記ウィンチシステムは、複数のウィンチ及び複数のケーブルを含み、該複数のケーブルの各ケーブルは、前記複数のウィンチのそれぞれのウィンチ及び前記乗り物車両に結合される、
請求項6に記載の遊園地システム。
【請求項8】
前記複数のケーブルは、前記乗り物車両の上面に結合される、
請求項7に記載の遊園地システム。
【請求項9】
前記タワーは、固定シェルと、該固定シェル内に配置された回転シェルとを含み、該回転シェルは、前記固定シェル内で前記駆動システムの周囲を回転するように構成される、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項10】
前記固定シェルに対する前記回転シェルの回転を促すように構成された駆動機構を備える、
請求項9に記載の遊園地システム。
【請求項11】
前記固定シェルは前記回転シェルを封入し、前記固定シェルは、回転シェルを通じて配置された前記中心通路に及ぶ、
請求項9に記載の遊園地システム。
【請求項12】
前記固定シェルは桟部を含み、前記回転シェルは、前記固定シェルの前記桟部によって垂直方向に支持される、
請求項9に記載の遊園地システム。
【請求項13】
前記タワーは、前記固定シェルの前記桟部の垂直方向下方に配置された乗車通路を含み、該乗車通路は、前記タワー内へのユーザの入場を容易にするように構成される、
請求項12に記載の遊園地システム。
【請求項14】
前記駆動システムは、前記タワーの前記中心通路内に配置された駆動円柱を含み、前記乗り物車両は、前記駆動円柱に結合されて、該駆動円柱に沿って垂直に変位するように構成される、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項15】
中心軸の周囲でタワーを回転させるステップと、
駆動システムを介して前記タワーの中心通路内で乗り物車両を垂直に変位させるステップであって、前記タワーは、複数のレベルを有し、前記複数のレベルは、複数の区画を有し、前記駆動システムを介して、前記乗り物車両を所定の期間にわたって、前記複数のレベルのうちの第1のレベルの前記複数の区画のうちの第1の区画に隣接して保持させ、前記駆動システムを介して、前記所定の期間の後に前記乗り物車両を前記複数のレベルのうちの第2のレベルの前記複数の区画のうちの第2の区画に隣接して配置させる、ステップと、
ボギー台車システムを介して前記乗り物車両を前記タワーの前記中心通路内で前記中心軸に対して半径方向に変位させ、ゲストが前記乗り物車両内から前記タワーの異なる部分を見ることを可能にするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記中心軸の周囲で前記タワーを回転させるステップは、前記タワーを実質的に一定の回転速度で連続回転させるステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記タワー内の区画から前記乗り物車両に向けて特殊効果を発射するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ボギー台車システム及び前記乗り物車両に結合されたケーブルウィンチシステムを介して前記乗り物車両をピッチング及び/又はローリングさせるステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記乗り物車両を該乗り物車両の垂直軸の周囲で回転させるステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記乗り物車両を回転させるステップは、前記乗り物車両の回転を前記タワーの回転と一致させるステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
遊園地システムであって、
中心軸の周囲を回転するように構成されたタワーであって、前記タワーは複数のレベルを有し、前記複数のレベルは複数の区画を含む、タワーと、
前記中心軸の周囲での前記タワーの回転を促すように構成された駆動機構と、
前記タワーの中心通路内に配置された乗り物車両と、
前記タワーの前記中心通路内での前記乗り物車両の動きを促すように構成された駆動システムと、
メモリデバイスと、該メモリデバイスに記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサとを含むコントローラと、
を備え、前記プロセッサは、前記命令に基づいて、
前記駆動機構が前記タワーの回転を促すようにする第1の信号を前記駆動機構に送信し、ゲストが前記乗り物車両内から前記タワーの異なる部分を見ることを可能にし、
前記駆動システムが前記乗り物車両を前記中心軸に沿って垂直に変位させるようにする第2の信号を前記駆動システムに送信し、
前記駆動システムが前記乗り物車両を所定の期間にわたって前記複数のレベルのうちの第1のレベルの前記複数の区画のうちの第1の区画に隣接して保持するようにする第3の信号を前記駆動システムに送信し、
前記駆動システムが前記所定の期間の後に前記乗り物車両を前記複数のレベルのうちの第2のレベルの前記複数の区画のうちの第2の区画に隣接して配置するようにする第4の信号を前記駆動システムに送信する、
ように構成される、
ことを特徴とする遊園地システム。
【請求項22】
前記乗り物車両を前記中心通路内で前記中心軸に対して半径方向に変位させるように構成されたボギー台車システムを備え、前記命令は、
前記ボギー台車システムが前記所定の期間の開始時に前記乗り物車両を前記第1の区画に向けて半径方向に変位させるようにする第5の信号を前記ボギー台車システムに送信し、
前記ボギー台車システムが前記所定の期間後に前記乗り物車両を前記第1の区画から離して半径方向に変位させるようにする第6の信号を前記ボギー台車システムに送信する、
ことを前記プロセッサに行わせるように構成される、請求項21に記載の遊園地システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年2月13日に出願された「シーニック区画乗り物システム及び方法(SCENIC COMPARTMENT RIDE SYSTEMS AND METHODS)」という名称の米国仮特許出願第62/805,191号の利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に遊園地の分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、遊園地乗り物と共に使用される方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、以下で説明する本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【0004】
遊園地(又はテーマパーク)の人気は、20世紀初頭から大きく高まってきた。いくつかの遊園地乗り物は、ユーザが上昇して遊園地を概観した後に下降する垂直ライドシステムを含むことができる。しかしながら、このような遊園地乗り物の単一の自由度及び限られた視野は、ユーザの体験を制限してしまうことがある。従って、現在では、複数の自由度で垂直に持ち上がる動き及び様々な視聴体験を有する改善された遊園地乗り物がゲスト体験を向上させるために望ましい場合があると認識されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろいくつかの開示する実施形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
ある実施形態では、遊園地システムが、内部に配置された中心通路を有するタワーと、中心通路内に配置された乗り物車両と、乗り物車両に結合された駆動システムとを含む。駆動システムは、乗り物車両をタワーの中心通路内で垂直に変位させるように構成され、タワーは、駆動システムの周囲を回転するように構成される。
【0007】
ある実施形態では、方法が、中心軸の周囲でタワーを回転させるステップと、駆動システムを介してタワーの中心通路内で乗り物車両を垂直に変位させるステップとを含む。方法は、ボギー台車システムを介して乗り物車両をタワーの中心通路内で中心軸に対して半径方向に変位させるステップをさらに含む。
【0008】
ある実施形態では、遊園地システムが、中心軸の周囲を回転するように構成されたタワーと、中心軸の周囲のタワーの回転を促すように構成された駆動機構と、タワーの中心通路内に配置された乗り物車両とを含む。遊園地システムは、タワーの中心通路内での乗り物車両の動きを促すように構成された駆動システムをさらに含む。遊園地システムは、メモリデバイスと、メモリデバイスに記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサとを有するコントローラをさらに含む。これらの命令は、駆動機構がタワーの回転を促すようにする信号を駆動機構に送信し、駆動システムが乗り物車両を中心軸に沿って垂直に変位させるようにする信号を駆動システムに送信することをプロセッサに行わせるように構成される。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による乗り物システムのタワーの実施形態の斜視図である。
図2】本開示の態様による図1の乗り物システムの側面断面図である。
図3】本開示の態様による図1の乗り物システムの俯瞰断面図である。
図4】本開示の態様による図1の乗り物システムの俯瞰図である。
図5】本開示の態様による図1の乗り物システムの俯瞰図である。
図6】本開示の態様による図1の乗り物システムの概略的側面断面図である。
図7】本開示の態様による図1の乗り物システムの概略的側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、数ある中でも特に、回転可能なタワーと、タワーの中心通路又は中心領域内を複数の自由度で動くように構成された1又は2以上の乗り物車両とを有する乗り物システムの実施形態を提供する。この乗り物システムは、乗り物車両が垂直に移動している時、及びタワーが乗り物車両の周囲で回転している時に、乗り物車両の乗客(例えば、ユーザ)を一連のシーンに曝す。一般に、遊園地は、中心構造の外面に結合された乗り物シートを介して乗客を持ち上げるように構成された乗り物アトラクションを含むことができる。このような事例では、乗客は、地面に下ろされて乗り物が終了する前に一瞬だけ周囲環境を眺めることができる。一般に、この種の単一自由度及び限られた視野を有するアトラクションは乗客の体験を制限してしまう。従って、本明細書では、回転タワーの中心通路又は領域内で複数の自由度を有する乗り物車両を介して乗客を移動させながら、乗客に様々なシーンへの暴露を通じて多感覚的物語体験(multi-sensory narrative experience)を提供する乗り物システムを提供する。乗り物車両の多様な動き及び様々な物語のシーンへの暴露が、乗客のスリル要因を高める働きをする。
【0012】
具体的には、本開示の実施形態は、数ある方向の中でも特に回転タワー内で垂直に動くように構成された乗り物車両を含む。タワーは複数のレベルを含み、少なくとも1つのレベルは、中心通路又は領域内の視点から区画が見えるようにする(例えば、乗り物車両に向かって開放された)開口部を有する複数の区画を有する。各区画は、区画内に配置されたシーン要素(例えば、特殊効果、メディアディスプレイ、アニマトロニックス、俳優/女優、音響システム)を介して乗り物車両内の乗客に物語の一部を届けるように構成される。具体的に言えば、これらの区画は、タワーの回転が乗り物車両内の乗客の視野を通じて様々な区画を動かし、これによって乗客に物語の一部を伝えるように配置される。同時に、通路内で乗り物車両を垂直に吊り上げて、タワーの様々なレベルの区画に対する特定の位置に(例えば、隣接して)乗り物車両を配置することができる。例えば、区画が乗り物車両を過ぎて回転しようとしている時に、乗り物車両をタワー内で垂直に変位させてタワー内の別のレベル又は高さの近づいてくる区画に隣接して配置することができる。このようにして、乗り物車両がタワー内で垂直に移動してタワーが回転するにつれて、それぞれが物語の一部を伝える一連の区画に乗り物車両内の乗客を曝すことができる。
【0013】
さらに、いくつかの実施形態では、乗り物車両を、タワー内を複数の自由度で動くように構成することができる。例えば、乗り物車両に駆動システムを結合し、駆動システムが乗り物車両を複数の方向に沿って動かすようにすることができる。非限定的な例として、駆動システムは、少なくとも1つのウィンチを有するウィンチシステムを含むことができ、少なくとも1つのウィンチの各々は、これらのウィンチと乗り物車両とに結合されたケーブルを有することができる。ウィンチシステムは、各ウィンチから延びるケーブルの量を選択的に短縮又は延長してタワー内で乗り物車両のピッチ、ロール及び垂直変位を引き起こすように構成することができる。駆動システムは、ボギー台車システムを含むこともできる。ボギー台車システムは、ウィンチシステムに結合されて、例えばタワーの中心軸に対して半径方向に延びる軌道に沿って動くように構成することができる。しかしながら、軌道は、例えばタワーの内部通路又は領域を定める環帯に対する割線などとして別の形で延びることもできる。このように、ボギー台車システムは、乗り物車両をタワー内で半径方向に変位させることもできる。
【0014】
これらを踏まえて、図1に遊園地12の乗り物システム10(例えば、遊園地アトラクション)の斜視図を示す。乗り物システム10は、タワー14の(例えば、長手方向)中心軸16の周囲で回転してユーザ18にシーン主導型物語(scene-driven narrative)又はその他の体験を提供するように構成されたタワー14を含む。説明すると、タワー14は、(中心軸16の周囲に配置された)タワー14の中心領域における実質的に開放された領域(例えば、環帯)によって定められる中心通路20の周囲で回転するように構成される。中心通路20内に又は中心通路20に近接して配置された駆動システム22は、中心通路20内の中心軸16に対して実質的に平行な方向に沿って1又は2以上の乗り物車両24を駆動するように構成される。例えば、図示のように、乗り物車両24は垂直経路25内を中心軸16に沿って動くことができる。さらに、乗り物車両24は、1~10人のユーザ18などのいずれかの好適な数のユーザ18(例えば、乗客)を保持するように構成することができる。
【0015】
乗り物車両24は、タワー14の内周26(例えば、内側)に面するように配向されて、乗り物車両24内のユーザ18がタワー14内の異なるシーンなどのタワー14の異なる領域を眺めることを可能にする。タワー14は、例えばタワー14の内周26から中心軸16に向かって配向され露出された様々なシーンを有する区画28をさらに含む。シーンは、乗り物システム10の物語の一部の表現として定めることができる。シーンは、俳優/女優、特殊効果、動画、オーディオ及びアニメーションフィギュアなどを通じたあらゆる数の方法で物語の一部を伝えることができる。このように、タワー14が回転して中心通路20内で乗り物車両24が垂直に駆動されると、乗り物車両24内のユーザ18は、本明細書で説明するような区画28を介して表示される一連の様々なシーンへの暴露を通じて物語を体験することができる。この目的のために、タワー14は複数のレベル30(例えば、階)を含み、これらのレベルの各々は区画28に分割することができる。各区画28は、タワー14の(例えば、内周26に対して奥まった)凹部によって定めることができる。一例として、いくつかの区画28は、2つの側壁29、床面31、天井33及び後壁34によって定めることができる。後壁34は、タワー14の外面36と同じものとすることも、又は外面36から分離することもできる。実際には、各区画28は露出することができ、又は中心軸16の方に面した開口部を有することができる。この図は、本開示の特定の態様を強調するためにレベル30当たりに1つの区画28しか示さないように単純化しているが、各レベル30は、各それぞれのレベル30の円周空間に分散したいずれかの好適な数の区画28に分割することができると理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、各レベル30が4つ又は5つの区画28を含むことができる。
【0016】
タワー14は、例えば様々な速度、一定の速度などの、目的とするユーザ18の体験に適したいずれかの形で、或いはタワー14が定期的に回転の停止及び開始を行う形で回転することができる。さらに、タワー14の回転は、1又は2以上の駆動装置(例えば、モータ)及び軌道などの好適な設備を使用して、1又は2以上の駆動制御の指示下で制御することができる。具体例として、タワー14の回転は、タワー14の回転とタワー14内で提示される様々なショーの効果とを協調させる乗り物制御システム(RCS)によって制御することができる。このような特徴については、以下で図2に関してさらに詳細に説明する。
【0017】
いくつかの実施形態では、中心通路20内で乗り物車両24が垂直に(例えば、上向き及び/又は下向きに)吊り上げられている間に、タワー14が一定の速度で連続回転することができる。タワー14の回転及び乗り物車両24の垂直動作は、ユーザ18が曝されるシーンを調整するように協調的に働く。例えば、駆動システム22は、乗り物車両24を一定のレベル30の高さと実質的に等しい高さに配置することができる。その際、乗り物車両24は、一定のレベル30の区画28のうちの特定の1つに関連するシーンの正面に位置することができる。実際には、乗り物車両24がシーンの正面に配置されている間、タワー14の回転によってシーンが乗り物車両24に対して動いていることができる。駆動システム22は、乗り物車両24を一定期間(例えば、所定の期間)にわたって一定のレベル30に関連する高さに保持することができる。具体的に言えば、駆動システム22は、タワー14の回転によって特定の区画28が乗り物車両14を過ぎて回転してしまうまで、或いは(例えば、区画28が乗り物車両24を過ぎて動くことによって)乗り物車両14のユーザ18が区画28を見るのを妨げられるまで、乗り物車両24を一定のレベル30に関連する高さに保持することができる。いくつかの実施形態では、駆動システム22が、タワー14の回転によって区画が乗り物車両24を過ぎて回転する直前まで乗り物車両24を一定のレベル30に関連する高さに保持することができる。駆動システム22は、物語の一部の結論に関連し得る期間の最後に、乗り物車両24を新たなレベル30に吊り上げて新たなシーンへの暴露を通じて物語を継続することができる。
【0018】
説明すると、タワー14は、中心軸16の周囲を反時計回り方向27に回転することができ、乗り物車両24は、最初にタワー14の第1のレベル30aに関連する第1の高さに保持することができる。乗り物車両24は、第1の区画28aが乗り物車両24に隣接している間、第1の高さに保持することができる。なお、本明細書で使用する、区画28が乗り物車両24に隣接しているとの表現、又はこの逆の表現は、乗り物車両24内のユーザ18が実質的に遮られずに区画28の内部を眺めていることとして定義することができる。これに加えて又はこれに代えて、区画28が乗り物車両24に隣接しているとの表現、又はこの逆の表現は、区画28に関連する円形セクタとして定義することもでき、或いは区画28に関連する中心軸16に対する内周26の一部がタワー14の半径方向において乗り物車両24と重なり合っていることによって定義することもできる。ユーザ18は、第1の区画28aに隣接して保持されている間、第1の区画28aに関連するシーンを体験することができる。駆動システム22は、第1の区画28aが乗り物車両24を過ぎて移動した時、又は乗り物車両24を過ぎて回転しようとしている時に、乗り物車両24が第2の区画28bに隣接して保持されるように乗り物車両14を第2のレベル30bに吊り上げることができる。具体的に言えば、いくつかの実施形態では、駆動システム22が、第1の区画28aと第2の区画28bとの間の重複部分32の(例えば、中心軸16に対する)円形セクタが乗り物車両24と一致した時に、車両24を第2のレベル30bに吊り上げることができる。実際には、この図に示すように、乗り物車両24は第2の区画28bに隣接して保持される。上述したように、駆動システム22は、第2の区画28bが乗り物車両24を過ぎて回転した時、又は乗り物車両24を過ぎて回転しようとしている時に、乗り物車両24を第3のレベル30cに吊り上げることができる。一例として、乗り物車両24は、第2のレベル30bと第3のレベル30cとの間の重複部分32も乗り物車両24に重なり合った時に吊り上げることができる。
【0019】
上述したプロセスは、乗り物車両24がタワー14の最上位レベル38に到達するまで同様に継続することができる。しかしながら、乗り物車両24の動きはこのように限定されるものではなく、乗り物車両24は、いずれかの好適な方法で垂直経路と共に移動することができる。例えば、乗り物車両24は、駆動システム22によって異なるレベル30間を複数回移動することもできる。乗り物車両24が上向きに移動する例に関しては、駆動システム22が、乗り物車両24をタワー14の最上位レベル38の区画28に隣接して配置し、最上位レベル38の区画28が乗り物車両24を過ぎて回転した時点、又は乗り物車両24を過ぎて回転しようとしている時点で、乗り物車両24を下位レベル30に下降させて下位レベル30の区画28に隣接させることができる。このプロセスは、駆動システム22が乗り物車両24を床面レベル30(例えば、レベル30a)に配置し、以下でさらに詳細に説明するようにこの地点でユーザ18が乗り物車両24から降り、新規ユーザ18が乗り物車両24に乗車できるまでこのように継続することができる。
【0020】
実際には、乗り物車両24に隣接して配置された各区画28は、乗り物車両24のユーザ18に物語の一部を届けるシーンを提供することができる。従って、乗り物車両24が様々なレベル30に吊り上げられて区画28がユーザ18に様々なシーンを提供するにつれ、物語全体をユーザ18に提供することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ18が、タワー14内を上向きに移動している間に物語の前半又は第1の部分を体験することができ、タワー14内を下向きに移動している間に物語の後半又は第2の部分を体験することができる。さらに、上述したように、いくつかの実施形態では、乗り物車両24を第1の区画28に隣接した状態から第2の区画28に隣接した状態に遷移させることは、第1の区画28と第2の区画28との間に配置された1又は2以上のレベル30を横切ることを含むことができる。換言すれば、これらの間に配置された1又は2以上のレベル30を有する区画28のシーンによって物語の連続部分を届けることができる。このように、駆動システム22は、物語の次の区画28に到着する前に、より速い速度で及び/又はより長い期間にわたって車両24を吊り上げることができる。さらに、いくつかの実施形態では、駆動システム22が、物語の連続区画28への間接ルートを取ることができる。例えば、駆動システム22は、乗り物車両24を物語の連続区画28に隣接して配置する前に、中心通路20内で乗り物車両24を上向き及び/又は下向きに複数回吊り上げることができる。このようにして、乗り物車両24の垂直動作のバリエーションを増やし、又は速度を高めることで、ユーザ18の体験を向上させることができる。いくつかの実施形態では、乗り物システム10が、約5~10個の区画28又はいずれかの好適な数の区画28を利用してユーザ18に物語を届けることができる。
【0021】
さらに、いくつかの実施形態では、(例えば、タワー14の回転及び乗り物車両24の垂直動作に起因する)区画28間の遷移が、区画28によって提供される遷移効果と一致することができる。具体的には、この遷移効果は、区画28のシーン間の遷移中にユーザ18の体験を向上させる働きをすることができる。例えば、遷移効果は、煙効果、光フラッシュ効果、水効果、又はその他の感覚刺激とすることができる。いくつかの実施形態では、これらの遷移効果が物語に関連することができる。すなわち、ユーザ18は、シーンのキャラクタ又はその他の要素が遷移効果を引き起こしたと解釈することができる。
【0022】
図2は、乗り物システム10の実施形態の側面断面図である。図示のように、乗り物システム10のタワー14は、外側シェル40(例えば、固定シェル)及び内側シェル42(例えば、動的又は回転シェル)を含むことができる。外側シェル40は固定状態で保持され、図1でタワー14の回転を参照しながら上述したように、内側シェル42が回転する際に内側シェル42を支持するように構成される。具体的に言えば、いくつかの実施形態では、外側シェル40が内側シェル42を封入し、内側シェル42を垂直方向に支持する桟部(ledge)44を提供することができる。外側シェル40は、タワー14を適切に支持するいずれかの好適な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、外側シェル40が、タワー14の外部位置から内側シェル42の動きを観察できるように、及び/又はユーザ18が内側及び外側シェル40、42を通じて乗り物システム10の外部の環境を見ることができるように、格子状の又は概ね開放された構造を含むことができる。
【0023】
内側シェル42を少なくとも部分的に支持する桟部44は、乗車通路45又は乗車ゾーンを提供することができる。具体的には、ユーザ18は、乗車通路45を通ってタワー14に入って乗り物車両24に乗車することができる。図示のように、乗車通路45は、タワー14の第1のレベル30の直下に配置することができる。換言すれば、乗車通路45は、タワー14の地表面(ground level)47上に存在することができる。実際には、区画28は、桟部44の反対側の乗車通路45上に配置することができる。さらに、いくつかの実施形態では、乗車通路45が、タワー14の中心通路40の周囲を円周方向に延びることができる。他の実施形態では、以下で図5を参照しながらさらに詳細に説明するように、乗車通路45が複数の独立したチャネルを含むことができる。このような実施形態では、乗車通路45が、少なくとも乗り物システム10内の乗り物車両24の数と同数のチャネルを含むことができる。
【0024】
乗り物システム10は、外側シェル40に対する内側シェル42の回転を促すように構成された1又は2以上の回転(例えば、駆動)機構46をさらに含むことができる。駆動機構46は、1又は2以上のドライバ48の回転を促すように構成されたモータ(例えば、電気モータ)及び/又はエンジンを含むことができ、或いは内側シェル42の回転を促す車輪を含むことができる。いくつかの実施形態では、駆動機構46及びドライバ48を外側シェル40の桟部44に結合することができる。このようにすると、ドライバ48は、内側シェル42のベース50に回転力を伝えることによって内側シェル42を回転させる。これに加えて又はこれに代えて、駆動機構46及びドライバ48を内側シェル42のベース50に結合することもできる。このようにすると、ドライバ48は、外側シェル40の桟部44に回転力を伝えることによって内側シェル42を回転させる。さらに、駆動機構46は、いずれかの好適な位置に配置されたいずれかの好適なドライバ48を利用して、外側シェル40に対する内側シェル42の回転を促すことができると理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、駆動機構46が、内側シェル42と外側シェル40とを結合して回転を促す軌道システム及びボギー台車を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、駆動機構46が、外側シェル40の内壁52に沿って及び/又は内側シェル42の外壁54に沿って配置されて内側シェル42の回転を促すドライバ48を含むことができる。
【0025】
駆動機構46、駆動システム22、及び本明細書で説明するその他のアセンブリ/システムの機能は、1又は2以上のコントローラ60(例えば、乗り物制御システム又はショー制御システムのプログラマブルロジックコントローラ)から送信された信号に応答して制御することができる。(単複の)コントローラ60は、特定用途向けプロセッサなどの1又は2以上のプロセッサを表すことができるプロセッサ62を採用することができる。コントローラ60は、本明細書で説明する乗り物システム10のための方法及び制御動作を実行するためにプロセッサ62によって実行可能な命令を記憶したメモリデバイス64を含むこともできる。プロセッサ62は、1又は2以上の処理装置を含むことができ、メモリ64は、1又は2以上の有形の非一時的な機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又はその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶装置、或いは所望のプログラムコードを機械実行可能命令又はデータ構造の形で保持又は記憶するために使用でき、プロセッサ62、又はプロセッサを含むいずれかの汎用又は専用コンピュータ又はその他の機械がアクセスできる他のいずれかの媒体を含むことができる。
【0026】
コントローラ62は、通信回路66を利用して、駆動機構46、駆動システム22及び説明する他のアセンブリ/システムと通信することができる。いくつかの実施形態では、通信回路66が、無線ローカルエリアネットワーク[WLAN]、無線ワイドエリアネットワーク[WWAN]、近距離通信[NFC]、Wi-Fi及び/又はBluetoothなどの無線ネットワークを通じて通信することができる。いくつかの実施形態では、通信回路66が、ローカルエリアネットワーク[LAN]、又はワイドエリアネットワーク[WAN]などの有線ネットワークを通じて通信することができる。
【0027】
非限定的な例として、コントローラ60は、内側シェル42の回転と駆動システム22とを同期させ、又はこれらの間のタイミング制御を行うことができる。このようにして、乗り物車両24は、乗り物サイクル内のそれぞれの所定の時点に所定の区画28に隣接して正確に配置されて、乗り物システム10の物語を流動的にユーザ18に伝えることができる。同様に、上述したように、各区画28は、特殊効果、アニメフィギュア、メディアディスプレイシステム及びオーディオシステムなどを含んで状況によっては俳優/女優が伴うこともあるシーニック要素(scenic elements)70を含むことができる。コントローラ60は、乗り物車両24が区画28に隣接して配置されている間に、乗り物車両24内のユーザ18に物語の一部を提供するように区画28のシーニック要素70を同期させ、又はこれらのタイミング制御を行うことができる。同様に、コントローラ60は、物語の一部の最後に、又は区画28が乗り物車両24を過ぎて回転しようとしている時に、シーニック要素70の1又は2以上の特殊効果を作動させることもできる。いくつかの実施形態では、シーニック要素70の特殊効果が、区画28が乗り物車両24を過ぎて回転する際にユーザ18の注意が区画28の側壁29(図1)を眺めることから離れるように、ユーザ18の気を紛らす役割を果たすことができる。実際に、いくつかの事例では、側壁29を眺めることが、区画28のシーニック要素70によって提供される感覚的体験からユーザ18を引き離すように作用することがある。換言すれば、ユーザ18は、側壁29を眺めることによって隣接又は近接する区画28に気付いてしまい、これによってユーザ18の乗り物体験が損なわれる恐れがある。いくつかの実施形態では、シーニック要素70の特殊効果が、水、煙、蒸気及び風などの、乗り物車両24に向けて発射される発射体効果(projectile effects)を含むことができる。従って、いくつかの実施形態では、乗り物車両24が、発射される特殊効果から完全に又は部分的にユーザ18を保護するように構成された窓71を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、乗り物車両24は、発射された特殊効果にユーザ18が没入できるように、或いはより直接的に特殊効果を体験できるように、窓71を含まないこともできる。実際に、いくつかの実施形態では、窓71を格納式とすることができる。このようにして、ユーザ18は、発射された特殊効果の一部に没入できるとともに、発射された特殊効果の一部から保護されることができる。
【0028】
上述したように、駆動システム22は、スリル目的でタワー14の中心通路20内で乗り物車両24を垂直に持ち上げ、及び/又は乗り物車両24を区画28に隣接して配置して乗り物システム10の物語を継続するように構成される。また、駆動システム22は、乗り物システム10の物語又はテーマに従って乗り物車両24のピッチ、ロール及びヨーを引き起こすように構成することもできる。この目的のために、いくつかの実施形態では、駆動システム22が、乗り物車両24の最上部74に結合されたケーブル72を含むことができる。駆動システム22は、ケーブル72を後退及び延長させて乗り物車両24の持ち上げ(例えば、垂直動作)、ピッチ及びロールを引き起こすように構成されたウィンチシステム76をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、駆動システム22が、乗り物車両24をタワー14の中心軸16に対して横方向又は半径方向に駆動するように構成された、図3に示すボギー台車システム79(例えば、軌道及びボギー台車)を含むこともできる。このようにして、以下でさらに詳細に説明するように、ユーザ18をシーニック要素70のさらに近くに配置してユーザ18の体験を向上させることができる。ボギー台車システム79は、乗り物車両14の水平面内でのヨー又は回転を引き起こすように構成することもできる。このようにして、以下でさらに詳細に説明するように、乗り物車両24が区画28に隣接して配置されている間に乗り物車両24を区画28の中心に面するように配向することにより、乗り物車両14に隣接する区画28の中心の方にユーザ18の視野を向けさせてこれに集中させることができる。
【0029】
図示のように、いくつかの実施形態では、駆動システム22をタワー14の最上位レベル38の高さにほぼ等しいタワー14内の高さに配置することができる。他の実施形態では、駆動システム22をタワー14の最上位レベル38よりも垂直上方に配置することができる。一般に、図示のように、内側シェル42はドーナツ型とすることができ、又は中心通路20を定める実質的に開放された領域を有することができる。具体的には、駆動システム22は、外側シェル40の内側上面77に結合することができる。このようにして、内側シェル42が駆動システム22の周囲で回転している間に、駆動システム22を外側シェル40に固定して保持することができる。さらに、いくつかの実施形態では、駆動システム22を、外側シェル40に対して回転するように構成することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、駆動システム22を、外側シェル40に対する駆動システム22の回転を促すように構成された回転システム78を介して外側シェル40の内側上面77に結合することができる。
【0030】
このことを踏まえて、図3はタワー14の俯瞰図である。上述したように、駆動システム22は、タワー14の中心通路20内での乗り物車両24の動きを促すように構成される。駆動システム22はボギー台車システム79を含み、ボギー台車システムは、軌道80と、各乗り物車両24に結合されたボギー台車82とをさらに含む。ボギー台車82は、軌道80に沿って移動して乗り物車両24を中心軸16に対して半径方向に変位させるように構成される。駆動システム22は、乗り物車両24に結合されたケーブル72(図2)を後退及び延長させるようにそれぞれ構成された3又は4以上のウィンチドライブ84を含むことができるウィンチシステム74をさらに含む。ウィンチドライブ84は、フレーム85(例えば、V字型フレーム)を介してボギー台車82に取り付けることができる。実際には、図示のように、ウィンチドライブ84は、フレーム85に支持された状態でボギー台車82の周辺部に配置することができる。換言すれば、フレーム85は、ウィンチドライブ84をボギー台車82に結合することができる。
【0031】
ウィンチドライブ84は、乗り物車両24の持ち上げ、ピッチ及びロールを引き起こすように構成される。具体的には、各ウィンチドライブ84は、コントローラ60から送信された信号に応答して、ケーブル72を選択的に延長/伸長、後退/短縮させて乗り物車両24の持ち上げ、ピッチ及びロールを引き起こすように構成される。実際に、いくつかの実施形態では、各ウィンチドライブ84が、ケーブル72を保持するように構成されたスプールと、スプールを回転させるように構成されたモータとを含むことができる。モータは、スプールの回転方向に応じてスプールを回転させてスプールからケーブル72を延長させ、又はケーブル72をスプール上に後退させることができる。
【0032】
例えば、乗り物車両24を前方にピッチングさせるには、乗り物車両24の正面に配置された1又は2以上のウィンチドライブ84がそれぞれのケーブル72を延長させる一方で、乗り物車両24の背後に配置された1又は2以上のウィンチドライブ84がそれぞれのケーブル72を後退させることができ、これによって乗り物車両24を前方にピッチングさせることができる。ウィンチドライブ84は、乗り物車両24を後方にピッチングさせるには逆の形で機能することができる。さらなる例として、乗り物車両24を右にローリングさせるには、乗り物車両24の右側に配置された1又は2以上のウィンチドライブ84がそれぞれのケーブル72を排出する一方で、乗り物車両24の左側に配置された1又は2以上のウィンチドライブ84がそれぞれのケーブル72を後退させることができ、これによって乗り物車両24を右にローリングさせることができる。ウィンチドライブ84は、乗り物車両24を左にローリングさせるには逆の形で機能することができる。さらに、タワー14内の乗り物車両24の高さを上昇させるには、全てのウィンチドライブ84がそれぞれのケーブル72を後退させることができる。同様に、タワー14内の乗り物車両24の高さを低下させるには、全てのウィンチドライブ84がそれぞれのケーブル72を延長させることができる。この図に示す実施形態では、ウィンチシステム74が、乗り物車両24当たり3つのウィンチドライブ84を含む。しかしながら、ウィンチシステム74は、乗り物車両24当たり4つ又は6つのウィンチドライブ84などの、乗り物車両24当たりにいずれかの好適な数のウィンチドライブ84を含むことができると理解されたい。
【0033】
さらに、上述したように、ボギー台車82は、コントローラ60から送信された信号に応答して軌道80に沿って移動して、乗り物車両24をタワー14の中心軸16に対して半径方向に変位させるように構成される。具体的に言えば、乗り物車両24を軌道80に沿って半径方向に移動させると、乗り物車両24が区画28に向かって移動することができる。このようにして、ユーザ18は、区画28に直接隣接して配置された状態で区画28の物語の一部を体験することができる。実際に、区画28のシーニック要素70に対するユーザ18の近接性は、ユーザ18の体験を向上させる働きをする。ボギー台車システム79は、区画28の物語部分の最後に、又は区画28が乗り物車両24を過ぎて回転しようとしている時に、駆動システム22が乗り物車両24を別のレベル30に隣接して配置して物語を継続する前に乗り物車両24を軌道80に沿って区画28から離して後退させることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、軌道80に沿った乗り物車両24の半径方向の動きの変位距離を制限することができる。例えば、乗り物車両24は、軸16に対して概ね半径方向に配向された長さ86に関連することができる。従って、ボギー台車システム79は、約2つ~4つ分の乗り物車両24の長さに等しい最大距離だけ乗り物車両24を半径方向に変位させることができる。軌道80に沿ったボギー台車82の半径方向変位距離を制限すると、半径方向の動きの結果として引き起こされる乗り物車両24が体験する揺動又は振動の量を最小化することができる。さらに、いくつかの実施形態では、図1で観察できるように、区画28の床面31及び/又は天井33が半径方向変位距離を制限する働きをすることもできる。具体的には、軌道80に沿ったボギー台車82の制限された半径方向変位距離を制限して、ケーブル72が区画28の床面31及び/又は天井33に接触するのを防ぐことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ケーブル72を介して乗り物車両24を支持するウィンチシステム74をボギー台車82に対して回転させて乗り物車両24を回転又はヨーイングさせることができる。例えば、いくつかの実施形態では、駆動システム74が、コントローラ60からの信号に応答してボギー台車82に対するフレーム85の回転を引き起こすように構成された回転式アクチュエータ88を含むことができる。具体的には、乗り物車両24に隣接する区画28に概ね面するように乗り物車両24を回転させることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両24の回転をタワー14の回転と同期又は一致させることができる。このようにして、乗り物車両24内のユーザ18が乗り物車両24に対するタワー14の回転に気付かないようにすることができる。実際には、タワー14と乗り物車両24との相対的な動きを乗り物車両24内から観察することは困難と考えられるので、ユーザ18には、乗り物車両24とタワー14とが固定して保持されているかのように見えることができる。
【0036】
さらに説明すると、図4はタワー14のレベル30の概略的俯瞰図である。図示のように、乗り物車両24は、レベル30の区画28のうちの1つに隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両24が視野90を伴うことができる。視野90は、乗り物車両24内に配置されたユーザ18が目に見えて制限される領域に関連する。例えば、乗り物車両24の側面92は、ユーザ18が視野90の外側の乗り物システム10の特徴を見るのを妨げる働きをすることができる。上述したように、いくつかの状況では、乗り物車両14をタワー14の回転と実質的に一致するように回転させることができる。このようにして、ユーザ18がタワー14と乗り物車両24との間の相対的な動きに気付くのを困難にすることができる。具体的には、図示のように、いくつかの実施形態では、乗り物車両24の視野90の中心93が区画28の中心点94と実質的に同一線上に留まるように乗り物車両24を回転させることができる。しかしながら、乗り物車両24は、区画28のシーン要素70に関連する焦点などの区画28内のいずれかの好適な点に中心93が連続して面するように回転させることもできると理解されたい。実際には、シーン要素70の焦点が区画28の中心点94から外れることもできる。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、乗り物車両24の視野90が区画28の側壁29に重なり合わないように乗り物車両24を回転させることができる。この目的のために、いくつかの実施形態では、乗り物車両24が、視野90が側壁29に重なり合うのを防ぐことが必要な時にのみ回転することができる。実際に、上述したように、ユーザ18が側壁29を眺めることは、ユーザ18の体験を損なう働きをする恐れがある。
【0038】
上述したように、ウィンチシステム74は、タワー14内で乗り物車両24を垂直に持ち上げることができる。具体的には、ウィンチシステム74は、ユーザ18が乗り物車両24に乗り降りできるように乗り物車両24を地表面47まで下降させることができるが、乗り降りは地表面47以外のレベルで行うこともでき、必ずしも同じレベルでなくてもよい。これを踏まえて、図5は地表面47の部分的俯瞰図である。図示のように、地表面47は乗車通路45を含む。ユーザ18は、矢印98で示すように乗車通路45を通ってタワー14に入って乗り物車両24に乗車することができる。実際には、乗車通路45は、タワー14の周辺領域100を乗り物車両24が配置された中心通路20に接続することができる。この図に示す実施形態では、タワー14が4つの独立した乗車通路45を含む。しかしながら、タワー14は、いずれかの好適な数の乗車通路45を含むことができると理解されたい。いくつかの実施形態では、乗車通路45が複数の独立した乗車通路45を含まないように、乗車通路45がタワー14の中心通路20の周囲に連続リングを形成することができる。
【0039】
図6は、本明細書で説明したように中心通路20内で乗り物車両24を垂直に駆動するように構成された駆動円柱(drive column)99(例えば、中心円柱)を有する乗り物システム10の実施形態の断面図である。例えば、駆動円柱99は、タワー14の中心軸16に沿って地表面47から最上位レベル38に延びることができる。なお、図6の図は、駆動円柱99の態様に焦点を合わせるために意図的に単純化している。実際には、図6の乗り物システム10の実施形態は、駆動システム22(図1図5)とは対照的に、駆動円柱99からの入力に応答して乗り物車両14の動きを引き起こすことができる点を除き、図1図5を参照しながら上述したように機能することができる。この実施形態では、乗り物車両24を、1又は2以上の支持梁102を介して駆動円柱99から片持ち状にすることができる。いくつかの実施形態では、支持梁102を伸縮自在とすることにより、延長又は後退するように作動するよう構成することができる。実際には、支持梁102の後退及び/又は延長は、乗り物車両24を駆動円柱99に対してピッチング、ローリング及びヨーイングさせる働きをすることができる。さらに、駆動円柱99は軌道104を含むことができ、乗り物車両24はこれに沿って移動するように構成される。例えば、支持梁102は、軌道104に沿って移動するように構成されたボギー台車106(例えば、ボギー台車82)に結合することにより、本明細書で説明したような垂直動作を乗り物車両24に伝えることができる。いくつかの実施形態では、駆動円柱99を、中心軸16の周囲で回転することによって乗り物車両24に中心軸16を中心とした回転を伝えるように構成することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、タワー14を回転させる駆動機構46に加えて又はこれに代えて、駆動円柱99が回転することもできる。
【0040】
図7は、タワー14のレベル30を選択的に回転させるように構成された複数の駆動機構46を有する乗り物システム10の実施形態の断面図である。図6と同様に、図7の図も複数の駆動機構46の態様に焦点を合わせるために意図的に単純化している。実際には、図7の乗り物システム10の実施形態は、図1図5を参照しながら上述した実施形態と同様に機能することができる。しかしながら、乗り物システム10は、各レベル30を互いに無関係に回転させるように構成された複数の駆動機構46及び関連するドライバ48を含むことができる。具体的には、乗り物システム10は、タワーの各レベル30間に配置された少なくとも1つの駆動機構46と少なくとも1つの関連するドライバ48とを含むことができる。このようにして、コントローラ60は、駆動機構46を選択的に作動させて、内側シェル42のレベル30のそれぞれの速度での回転を促すことができる。
【0041】
本明細書で説明したいずれかの実施形態の特徴は、本明細書で説明した他のいずれかの実施形態又は特徴と組み合わせることができると理解されたい。非限定的な例として、本明細書で説明した様々な駆動機構及び駆動システムは、単独で又は組み合わせて使用することができ、また協調的に制御することができる。さらなる非限定的な例として、乗り物車両は、本明細書で乗り物車両の動きを引き起こすことに関して説明した特徴のうちのいずれか1つ又は組み合わせを使用して、本明細書で説明したいずれかの好適な方法で制御して動かすことができる。
【0042】
本明細書では、いくつかの実施形態のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨に該当するような全ての修正及び変更を含むように意図されていると理解されたい。
【0043】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0044】
10 乗り物システム
12 遊園地
14 タワー
16 中心軸
18 ユーザ
20 中心通路
22 駆動システム
24 乗り物車両
25 垂直経路
26 タワーの内周
27 反時計回り方向
28 区画
28A 第1の区画
28B 第2の区画
29 側壁
30 レベル
30A 第1のレベル
30B 第2のレベル
30C 第3のレベル
31 床面
32 重複部分
33 天井
34 後壁
36 タワーの外面
38 最上位レベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7