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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】光安定性抗酸化化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20241111BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20241111BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241111BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/35
A61Q19/00
A61Q17/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021553153
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 US2020029272
(87)【国際公開番号】W WO2020223076
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】16/399,313
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ボドナー,ブライアン,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ドンク,サイモン,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェリー
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0207077(US,A1)
【文献】特表2019-510067(JP,A)
【文献】特開2013-241399(JP,A)
【文献】特開2013-216650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280286(US,A1)
【文献】特開2016-183142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/、A61Q
Mintel GNPD
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)組成物の重量に基づき0.05重量%~5.00重量%で存在するポリダチン(3,4’,5-トリヒドロキシスチベン-3-β-モノ-Dグルコシド);
ii)前記組成物の重量に基づき0.1~2.5重量%で存在する少なくとも1つの光異性化安定剤であって、マンギフェリン、ルテオリン、またはマンギフェリンおよびルテオリンの両方を含む、少なくとも1つの光異性化安定剤;および
iii)美容的に許容される担体;
を含む組成物であって、
前記少なくとも1つの光異性化安定剤は、前記少なくとも1つの光異性化安定剤のないそれ以外は同一の組成物と比べて、少なくとも5%だけ前記ポリダチンに光安定化を付与する、組成物。
【請求項2】
前記光異性化安定剤は、前記組成物の重量に基づき0.2重量%~0.4重量%で前記組成物中に存在する、少なくとも1つのポリフェノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光異性化安定剤は、各々が前記組成物の重量に基づき0.1重量%~2.5重量%で前記組成物中に存在する、少なくとも2つのポリフェノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記光異性化安定剤は、フラバノン、フラバノノール、フラボン、ヒドロキシシンナマート、およびキサントノイドの1つまたは組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記美容的に許容される担体は、各々が前記組成物の重量に基づき重量により示される、45%~55%で存在する水、35%~40%で存在する1つ以上のアルコール、および0.5%~3.0%で存在する1つ以上のグリコールの1つまたは組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの添加物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの添加物は、天然および合成ポリマーの1つまたは組み合わせを含む1つ以上の増粘剤を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記1つ以上の増粘剤は、前記組成物の重量に基づき0.05重量%~5重量%で存在する、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、単相でありかつ油を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光異性化安定剤は、前記少なくとも1つの光異性化安定剤のないそれ以外は同一の組成物と比べて、少なくとも5%~90%前記ポリダチンに光安定化を付与する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
i)組成物の重量に基づき0.05重量%~5.00重量%で存在するポリダチン;
ii)各々が前記組成物の重量に基づき0.1重量%~2.5重量%で前記組成物中に存在する、少なくとも2つのポリフェノールを含む光異性化安定剤であって、少なくとも1つの光異性化安定剤は、マンギフェリン、ルテオリン、またはマンギフェリンおよびルテオリンの両方を含む、光異性化安定剤;ならびに
iii)各々が前記組成物の重量に基づき重量により示される、45%~55%で存在する水、35%~40%で存在する1つ以上のアルコール、および0.5%~3.0%で存在する1つ以上のグリコール:の1つまたは組み合わせを含む美容的に許容される担体
を含む二相水性組成物であって、
前記少なくとも1つの光異性化安定剤は、前記少なくとも1つの光異性化安定剤のないそれ以外は同一の組成物と比べて、少なくとも5%だけ前記ポリダチンに光安定化を付与し、かつ前記組成物は、油を含まない、二相水性組成物。
【請求項12】
前記光異性化安定剤は、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、グリコシルヘスペリジン、ヘスペレチン、ヘスペリジン(Hesperidine)、シリマリン、タキシフォリン、アピゲニン、バイカレイン、バイカリン、ケルセチン、ヒドロキシシンナマート、フェルラ酸、オリザノール、およびp-クマル酸の1つまたは組み合わせをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
i)組成物の重量に基づき0.05重量%~5.00重量%で存在するポリダチン;
ii)各々が前記組成物の重量に基づき重量により示され、かつ下記から選択される、ポリフェノールの1つまたは混合物を含む光異性化安定剤:
1.0.2%から存在するルテオリン;
2.0.25%から存在するマンギフェリン;ならびに
iii)水、少なくとも1つのアルコールおよび少なくとも1つのグリコールを含む美容的に許容される担体;
を含む光安定化組成物であって、
少なくとも1つの光異性化安定剤は、前記少なくとも1つの光異性化安定剤のないそれ以外は同一の組成物と比べて、少なくとも5%だけ前記ポリダチンに放射線安定化を付与する、光安定化組成物。
【請求項14】
前記光異性化安定剤は、コーヒー酸、ヘスペリジン(Hesperidine)、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、フェルラ酸の1つまたは組み合わせをさらに含むことができる、請求項13に記載の光安定化組成物。
【請求項15】
前記光異性化安定剤は、ポリフェノールの混合物を含み、前記混合物は、下記からなる群より選択される、請求項13に記載の光安定化組成物:
i)各々が前記組成物の重量に基づく、0.2重量%から存在するルテオリン、0.4重量%から存在するヘスペリジン(Hesperidine)、および0.4重量%から存在するナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン;
ii)各々が前記組成物の重量に基づく、0.2重量%から存在するルテオリン、0.25重量%から存在するマンギフェリン、および0.2重量%から存在するフェルラ酸;
iii)各々が前記組成物の重量に基づく、0.2重量%から存在するルテオリン、および0.25重量%から存在するマンギフェリン;
iv)各々が前記組成物の重量に基づく、0.2重量%から存在するルテオリン、および0.2重量%から存在するフェルラ酸;
v)各々が前記組成物の重量に基づく、0.2重量%から存在するコーヒー酸、0.2重量%から存在するルテオリン、および0.25重量%から存在するマンギフェリン。
【請求項16】
前記美容的に許容される担体は、各々が前記組成物の重量に基づき重量により示される、45%~55%で存在する水、35%~40%で存在するアルコール、および0.5%~3.0%で存在するグリコールの1つまたは組み合わせを含む、請求項15に記載の光安定化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、「PHOTOSTABLE ANTIOXIDANT COSMETIC COMPOSITION」と題する、2019年4月30日に出願された米国特許出願番号第16/399,313号についての優先権の恩典を主張し、その開示は、本明細書で完全に書き改めたかのように参照により組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は抗酸化剤を含むスキンケア組成物に関する。特に、組成物は、ポリダチンおよび、ポリダチンの角質組織、例えば皮膚への利益を保存するためにトランス-からシス-へのポリダチンの光異性化を防止する安定剤を含む。
【背景技術】
【0003】
フリーラジカルの形成は、皮膚老化のメカニズムにおいて重要な役割を果たすと、広く認められている。フリーラジカルは、不対電子を有する反応性の高い分子種であり、様々な細胞膜、脂質、タンパク質、RNAおよびDNAを直接損傷する可能性がある。活性酸素種の形態でしばしば存在する上記フリーラジカルの損傷効果は、正常代謝中に組織および細胞内で、および様々な酸化ストレスにより外側で誘導される。UV曝露および環境汚染は、皮膚でフリーラジカルを発生させることにより皮膚老化を加速させる可能性がある。抗酸化剤は、フリーラジカルを除去することおよび酸化反応を阻止することにより、酸化ストレスのダメージから細胞を保護する。抗酸化剤の局所適用は、皮膚老化を防止するためにスキンケア製品において広く使用されている。ポリフェノールは、ビタミンEおよびカロテノイドなどの他の抗酸化剤と相乗的に作用することが、化粧品関連分野において以前に示されている。
【0004】
保護効果を提供できる抗酸化剤のいくつかの例が存在するが、特に化粧品分野において、保護製剤を強化するためのより良好な選択を提供する組成物が依然として必要なままである。
【発明の概要】
【0005】
第1の実施形態では、本開示は、ポリダチン(ピセイドとしても知られている)、少なくとも1つの光異性化安定剤、および美容的に許容される担体を含む組成物を提供する。少なくとも1つの光異性化安定剤(光安定剤としても知られている)は、少なくとも1つの異性化安定剤のない、それ以外は同一な組成物と比べて、少なくとも約5%だけポリダチンに光安定化を付与する。いくつかの代表的な実施形態では、各々、全組成の重量に基づき、ポリダチンは、約0.05%~約5.00%で存在し、光異性化安定剤は、約0.1~約2.5重量%で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光異性化安定剤は、少なくとも1つの光異性化安定剤のない、それ以外は同一な組成物と比べて、約少なくとも5%~約90%、ポリダチンに光安定化を付与する。いくつかの実施形態では、光異性化安定剤は、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、グリコシルヘスペリジン、ヘスペレチン、ヘスペリジン(Hesperidine)、シリマリン、タキシフォリン、アピゲニン、バイカレイン、バイカリン、ルテオリン、ケルセチン、ヒドロキシシンナマート(Hydroxycinnamate)、フェルラ酸、オリザノール、p-クマル酸、およびマンギフェリンから選択される1つ以上の材料成分を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、光異性化安定剤は、組成物の重量に基づき約0.2重量%~約5重量%で組成物中に存在する少なくとも1つのポリフェノールを含む。いくつかの実施形態では、異性化安定剤は、少なくとも2つのポリフェノールを含み、各々が、組成物の重量に基づき約0.1重量%~約2.5重量%で組成物中に存在する。異性化安定剤は、フラバノン、フラバノノール、フラボン、ヒドロキシシンナマート、およびキサントノイドの1つまたは組み合わせを含む、ポリフェノールを含み得る。いくつかの実施形態では、光安定剤およびポリダチンはほぼ等しいモル量で組成物中に存在することが、認識されるであろう。よって、いくつかの実施形態は、組成物の重量に基づき重量でほぼ等しい量で存在する2つの成分を含むが、分子量の違いに基づき、成分が重量に基づき等しくない量で存在し得る、いくつかの実施形態が存在する。いくつかの実施形態では、ポリダチンは、光安定剤がポリダチンに対し1モル当量以下で存在する量で、光安定剤と共に組成物中に存在する。したがって、いくつかの実施形態では、光安定剤は、約0.1%未満~約2.5%超である範囲で存在してよく、ここで光安定剤は、ポリダチンに対し1モル当量以下で存在する。
【0007】
いくつかの実施形態では、組成物は、下記の1つまたは組み合わせを含む、美容的に許容される担体を含む:各々、組成物の重量に基づき重量により示される、約45%~約55%で存在する水、約35%~約40%で存在する1つ以上のアルコール、および約0.5%~約10%、または約1%~約20%で存在する1つ以上のグリコール。
【0008】
いくつかの実施形態では、組成物はまた、1つ以上の添加物を含み、これは、いくつかの実施形態では、天然および合成ポリマーの1つまたは組み合わせを含む少なくとも1つの増粘剤を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物は、単相であり、本質的に油を含まない。他の実施形態では、組成物は、二相であり、本質的に油を含まず、水、少なくとも1つのアルコールおよび少なくとも1つのグリコールを含む。
【0010】
さらなる実施形態では、本開示は、組成物の重量に基づき約0.05重量%~約5.00重量%で存在するポリダチン、およびポリフェノールの1つまたは混合物を含む異性化安定剤を含む、光安定化組成物を提供する。ポリフェノールは、約0.2%から存在するコーヒー酸、約0.2%から存在するルテオリン、約0.4%から存在するヘスペリジン(hesperidine)、約0.4%から存在するナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、約0.25%から存在するマンギフェリン、および約0.2%から存在するフェルラ酸から選択される。組成物はまた、美容的に許容される担体を含む。異性化安定剤は、少なくとも1つの異性化安定剤のない、それ以外は同一な組成物と比べて、ポリダチンに少なくとも5%だけ放射線安定化を付与する。
【0011】
いくつかの特定の実施形態では、異性化安定剤は、下記から選択される2つ以上のポリフェノールを組み合わせて含む:約0.2重量%から存在するルテオリン、約0.4重量%から存在するヘスペリジン(hesperidine)、および約0.4重量%から存在するナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン;約0.2重量%から存在するルテオリン、約0.25重量%から存在するマンギフェリン、および約0.2重量%から存在するフェルラ酸(各々、組成物の重量に基づく);約0.2重量%から存在するルテオリン、および約0.25重量%から存在するマンギフェリン(各々、組成物の重量に基づく);約0.4重量%から存在するナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、および、約0.2重量%から存在するフェルラ酸(各々、組成物の重量に基づく);約0.2重量%から存在するルテオリン、および、約0.2重量%から存在するフェルラ酸(各々、組成物の重量に基づく);約0.2重量%から存在するコーヒー酸、約0.2重量%から存在するルテオリン、および約0.25重量%から存在するマンギフェリン(各々、組成物の重量に基づく)、ならびに約0.2重量%から存在するコーヒー酸、および、約0.2重量%から存在するフェルラ酸(各々、組成物の重量に基づく)。いくつかのそのような実施形態によれば、組成物中の美容的に許容される担体は、各々、組成物の重量に基づき重量により示される、約45%~約55%で存在する水、約35%~約40%で存在するアルコール、および約0.5%~約3.0%、または最大約20%で存在するグリコールの1つまたは組み合わせを含む。
【0012】
発明のこれらのおよび他の態様は、添付の特許請求の範囲において設定され、発明の詳細な説明において記載される。
【0013】
この開示は、一般的発明概念にしたがう例示的な実施形態を記載し、いかなる形であっても本発明の範囲を制限することを意図しない。実際に、明細書で記載される発明は、本明細書で明記される例示的な実施形態より広く、これにより制限されず、本明細書で使用される用語は、それらの完全に普通の意味を有する。
【0014】
上記の概要および下記の詳細な説明はどちらも、本開示の例示であり、説明にすぎず、制限しようとするものではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願では、「角質基質」および「角質組織」という用語は各々、皮膚、髪、および爪を含むが、それらに限定されない。
【0016】
「美容的に許容される」は、いずれの角質基質とも適合する担体を意味する。
【0017】
本明細書では、「セラム」は、局所適用のために処方される親水性液体組成物を指す。セラムは、皮膚軟化薬、ワックスおよびシリコーン油を含む1つ以上の油を、任意で含まない、または、本質的に含まなくてよい。
【0018】
本開示は、ポリダチンを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリダチンを含有する光安定性セラムである。組成物は、記載される実施形態に従い、単相または二相であってよい。
【0019】
ポリダチン(3,4’,5-トリヒドロキシスチベン-3-β-モノ-Dグルコシド)およびその誘導体は、フリーラジカルクエンチングおよび酸化ストレスの制限の強い天然抗酸化特性が知られているスチルベノイドである。これらの特性は、本開示による組成物を含む、スキンケアまたはサンケア製品のために使用できる。太陽光に曝露されると、トランス-立体構造で活性であるポリダチンは、シス-ポリダチンへと異性化する。
【0020】
下記式は、トランス-からシス-への放射線誘発異性化での、ポリダチンの構造変化を示す。
【化1】
【0021】
ポリダチンの光不安定性は、化粧品におけるその使用を制限してきた。美容的に許容される担体との関連で発明の組成物が、本明細書で提供され、ポリダチンは、1つ以上の光異性化安定剤の含有により安定化されるように処方される。これらの光異性化安定剤は、いくつかの実施形態では、ポリフェノールを含む。さらに本明細書で記載されるように、かつ非限定的な例で例示されるように、光異性化安定剤は、少なくとも2つのポリフェノールの1つ以上から、いくつかの実施例では、その組み合わせから選択され得る。例えば、組成物は、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、コーヒー酸、ルテオリン、マンギフェリン、ヘスペリジン(hesperidine)、およびフェルラ酸から選択されるポリフェノールを含む、光異性化安定剤の非限定的例の2つ以上を含み得る。
【0022】
本開示は、発明の組成物が、ポリダチンの、変更されかつ増強された光安定性を提供することを示す。本明細書でさらに例示されるように、トランス-ポリダチン(非限定的例示組成物では、約0.50%で存在する)の試料を、1つ以上の光異性化安定剤と共にセラム中で処方した。365nmでの5J/cmエネルギーを用いた各試料の照射後に、残留トランス-ポリダチンの量を、HPLC-UVを用いて測定し、トランス-ポリダチンの残留量は、HPLC-UVにより測定したトランス-ポリダチンの最終(照射後)と最初(照射前)濃度の間の比により表される。本開示により処方された組成物は、1つ以上の光異性化安定剤を欠く組成物と比べてトランス-ポリダチン活性の高度の保持を提供する。
【0023】
様々な実施形態で、ポリダチン、少なくとも1つの光異性化安定剤、および美容的に許容される担体を含む組成物が提供される。少なくとも1つの光異性化安定剤は、ポリダチンに(光異性化からトランス-形態を保護するために)、少なくとも1つの光異性化安定剤のない、それ以外は同一な組成物と比べて、少なくとも約5%~約90%の光安定化を付与する。いくつかの実施形態では、トランス-ポリダチンの濃度で反映される、付与された光安定化は、約少なくとも5%~約90%であり、またはいくつかの実施形態では溶液中で、約10%~最大95%である。よって、光安定化は、少なくとも5%から、または、約10%から、約85%まで、または約90%まで、または約95%まであるいはそれより大きくてよく、5、6、7、8、9.10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95~95%超を含む。
【0024】
いくつかの特定の実施形態では、光異性化安定剤は、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、グリコシルヘスペリジン、ヘスペレチン、ヘスペリジン(hesperidine)、シリマリン、タキシフォリン、アピゲニン、バイカレイン、バイカリン、ルテオリン、ケルセチン、ヒドロキシシンナマート、フェルラ酸、オリザノール、p-クマル酸、およびマンギフェリンから選択される少なくとも2つの光異性化安定剤の組み合わせを含む。
【0025】
ポリダチン
様々な実施形態によれば、ポリダチンは、本開示による組成物中に存在する。前述したように、ポリダチンは、下記の、3,4’,5-トリヒドロキシスチベン-3-β-モノ-Dグルコシドにより記載され得、これはピセイドとしても知られており、その誘導体と共にスチルベノイドである。スチルベノイドは、フリーラジカルクエンチングおよび酸化ストレスの制限の強い天然抗酸化特性を有する。これらの特性は、本開示による組成物を含む、スキンケアまたはサンケア製品のために使用できる。太陽光または他の放射線に曝露されると、トランス-立体構造で活性であるポリダチンは、より低い生物活性を有するシス-ポリダチンへと光異性化する。
【0026】
ポリダチンは、50%未満から、最大99%のおよびそれより多い量を含有する原料試薬で入手され得る。純粋である、または本質的に純粋であるポリダチンを含むいくつかの単離物および抽出物を、入手できる。
【0027】
様々な実施形態によれば、活性ポリダチンは、組成物の重量に基づき、重量で、約0.05%~約5.0%、または約0.1%~約4.0%、または約0.2%~約3.0%、または約0.4%~約2.0%、または約0.5%~約1.0%またはそのいずれかの好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、または部分的範囲で、組成物中に存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が発明の範囲内にあることを認識するであろう。
【0028】
よって、組成物中のポリダチンは、組成物の総重量に基づき、重量で、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.5、4.0、4.5から約5.0パーセントまで(その中およびその間のインクリメントおよび範囲を含む)で存在する。
【0029】
光異性化安定剤
様々な実施形態によれば、1つ以上の光異性化安定剤が、本開示による組成物中に存在する。光異性化安定剤は、組成物の重量に基づき、約0.1重量%~約2.0重量%で存在する。光異性化安定剤の組み合わせは、組成物の重量に基づき、約0.1重量%~約4.0重量%の各異性化安定剤を含む総量で存在し得る。
【0030】
ポリフェノール
いくつかの実施形態によれば、光異性化安定剤は、もう1つのポリフェノールを含む。フェノール化合物は、1つ以上のフェノール構成要素を有するある構造クラスの天然の、合成の、および半合成の有機化合物である。複数のフェノール基を含むフェノール化合物は、ポリフェノールとして知られている。ポリフェノールは通常、植物中で入手可能であり、植物および動物を普通の健康障害およびまた、加齢の影響から保護するのに非常に役立つ。ポリフェノールは、それらのアルコール水素またはそれらの非局在化電子の1つを供与することにより、強力なフリーラジカルスカベンジャーとして機能する。ポリフェノールの2つのクラスは、フラボノイドおよび非フラボノイドである。
【0031】
フラボノイドは、ポリフェノールの特異的な群であり、かつポリフェノール化合物の最も豊富な群であり、消費される食料供給中の総フェノールの約3分の2を占める。フラボノイドは、化学構造によりさらに、カルコン、フラボン、フラバノン、フラバノール、ジヒドロフラボノール、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、カテキン、アントシアニジン、およびタンニンに分類される。4,000を超えるフラボノイドが同定されており、それらの多くが、果実、野菜および飲料(茶、コーヒー、ビール、ワインおよび果実飲料)中に存在する。フラボノイドは、抗ウイルス、抗アレルギー、抗血小板、抗炎症、抗腫瘍および抗酸化活性を有すると報告されている。フラボノイドは、フリーラジカルを効率的に除去することにより、ダメージを与える酸化ストレスから脂質および生活細胞成分を保護する。
【0032】
いくつかの特定の実施形態では、光異性化安定剤は、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、グリコシルヘスペリジン、ヘスペレチン、ヘスペリジン(hesperidine)、シリマリン、タキシフォリン、アピゲニン、バイカレイン、バイカリン、ルテオリン、ケルセチン、ヒドロキシシンナマート、フェルラ酸、オリザノール、p-クマル酸、およびマンギフェリンの1つまたは組み合わせを含む。光異性化安定剤の上記具体例は、天然に由来する抽出物または単離物を含む。ポリフェノールは、70%未満から、最大99%のおよびそれより多い量の同定されたポリフェノールを含む原料試薬で入手され得る。ポリフェノールを最大で100%の純度で含むいくつかの単離物および抽出物を、入手できる。よって、「最大で100%の純度の特定のポリフェノールを含む単離物または抽出物」として選択され得る原料は、1つ以上の特定的に同定されたポリフェノール(本明細書で例示された実施形態において使用されるポリフェノールを含む)を含む抽出物を意味し、かつこれを含むが、これに限定されないことが認識されるであろう。
【0033】
本明細書で明示的に提供される場合を除き、任意の例示されたポリフェノールを含む原料形態は、100%活性未満から最大で100%の濃度で提供される。よって、抽出物は、100%未満の活性ポリフェノールを含んでよく;そうでなければ、例示組成物は、純粋であるか、または本質的に純粋である活性物質の元の濃度に基づき、組成物中に重量で含まれる原料を含む。
【0034】
様々な実施形態によれば、いくつかの実施形態では、ポリフェノールから選択された光異性化安定剤は、組成物の重量に基づき、重量で、約0.1%~約2.5%、または約0.15%~約1.5%、または約0.2%~約1.0%、または約0.25%~約0.5%、または約0.3%~約0.4%またはそのいずれかの好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、または部分的範囲で、組成物中に存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が発明の範囲内にあることを認識するであろう。
【0035】
上記本明細書で言及されるように、いくつかの特定の実施形態では、光安定剤は、少なくとも2つのポリフェノールを含み、各々は、組成物の重量に基づき、約0.1重量%~約2.5重量%で組成物中に存在する。よって、いくつかの実施形態では、光安定剤およびポリダチンはほぼ等しいモル量で組成物中に存在することが認識されるであろう。よって、いくつかの実施形態は、組成物の重量に基づき重量でほぼ等しい量で存在する2つの成分を含むが、分子量の違いに基づき、成分が等しくない量で重量に基づき存在し得る、いくつかの実施形態が存在する。特に、いくつかの実施形態では、ポリダチンは、光安定剤がポリダチンに対して1モル当量以下で存在する量で、光安定剤と共に組成物中に存在する。したがって、いくつかの実施形態では、光安定剤は、約0.1%未満~約2.5%超である範囲で存在してよく、ここで光安定剤は、ポリダチンに対し1モル当量以下で存在する。
【0036】
よって、組成物中の1つ以上の光異性化安定剤は、組成物の総重量に基づき、重量で、約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9から、約2.0パーセントまで(その中およびその間のインクリメントおよび範囲を含む)で存在する。
【0037】
さらに、いくつかの特定の実施形態では、特定の例示されたポリフェノール、例えばナトリウムテトラカルボキシメチルカルコン、グリコシルヘスペリジン、ヘスペレチン、ヘスペリジン(hesperidine)、シリマリン、タキシフォリン、アピゲニン、バイカレイン、バイカリン、ルテオリン、ケルセチン、ヒドロキシシンナマート、フェルラ酸、オリザノール、p-クマル酸、およびマンギフェリンのいずれか一つは、抽出物中の抗酸化剤のパーセンテージ純度と製剤中で使用される抽出物のパーセンテージの積として決定される重量パーセント量、例えば、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から、約20重量パーセントまで(その中およびその間のインクリメントおよび範囲を含む)で本開示による組成物中に存在し得る。
【0038】
ある実施形態では、1つ以上のコーヒー酸は、約0.2%から最大約2%で存在し、ルテオリンは、約0.2%から最大約2%で存在し、ヘスペリジン(hesperidine)は、約0.4%から最大約2%で存在し、ナトリウムテトラカルボキシメチルカルコンは、約0.4%から最大約2%で存在し、マンギフェリンは、約0.25%から最大約2%で存在し、ならびにフェルラ酸は、約0.2%で存在する。
【0039】
任意的な追加の抗酸化剤
様々な実施形態によれば、組成物は、組成物中で使用されるポリフェノールとは異なる1つ以上の追加の抗酸化剤を含み得る。追加の抗酸化剤は、化粧品製剤において使用するのに好適な任意の抗酸化剤であってよい。好適な抗酸化剤としては、アミノ酸およびその誘導体、イミダゾール、カルノシンなどのペプチドおよび誘導体、カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、およびリコピン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、またはリンゴ酸)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンE)、ビタミンA、コエンザイムQ10、バイオフラボノイド、グルタチオン、植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物、オリーブ葉抽出物)、および緑茶抽出物、リグナン、およびオーロンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
組成物中に存在する追加の抗酸化剤の量は、存在するならば、組成物の総重量に基づき、約0.01%~約20%、または約0.1%~約20%、または約0.01%~約2%の範囲であってよい。
【0041】
美容的に許容される担体
様々な実施形態によれば、組成物は、美容的に許容される担体を含む。組成物中の美容的に許容される担体の総量は、組成物の総重量に基づき、約40%~約99%であってよい。
【0042】
美容的に許容される担体は、例えば、水および有機溶媒、例えばグリセリン、C1-4モノアルコール、ポリオール、グリコール、およびそれらの組み合わせを含んでよい。有機溶媒の例として、非限定的に、モノアルコールおよびポリオール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびフェニルエチルアルコール、またはグリコールまたはグリコールエーテル、例えば、例として、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそのエーテルのモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル、例えば、例としてプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテルならびにジエチレングリコールのアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールのモノエチルエーテルもしくはモノブチルエーテルに言及できる。有機溶媒の他の好適な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロパンジオール、およびグリセリンである。有機溶媒は揮発性または不揮発性化合物であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、美容的に許容される担体は、水および1つ以上の水溶性成分、例えば、グリセリン、C1-4アルコール、ポリオール、グリコール、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、美容的に許容される担体としては水、または水と1つ以上の美容的に許容される有機溶媒の混合物、または1つ以上の美容的に許容される有機溶媒が挙げられる。代表的な実施形態では、本開示による美容的に許容される担体は、下記の1つまたは組み合わせを含む:約45%~約55%で存在する水、約35%~約40%で存在する1つ以上のアルコール、および約0.5%~約3.0%で存在する1つ以上のグリコール(各々、組成物の重量に基づき重量により示される)。
【0044】
いくつかの実施形態では、美容的に許容される担体は、1つ以上のグリコールを含み得る。例えば、1つ以上のグリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、カプリリルグリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、およびジエチレングリコールを含んでよい。1つのグリコール(存在すれば)の総量は、組成物の総重量に基づき、約0.1%~約5%、または約0.5%~約3%であってよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、美容的に許容される担体は、1つ以上のアルコールを含み得る。例えば、1つ以上のアルコールはモノアルコールおよびポリオール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびフェニルエチルアルコールを含んでよい。アルコール(存在すれば)の総量は、組成物の総重量に基づき、約25%~50%、約35%~40%であってよい。
【0046】
いくつかの特定の実施形態では、美容的に許容される担体は、1つ以上のアルコールおよび1つ以上のグリコールを含み得る。1つの代表的な実施形態では、1つ以上のアルコールは、約35%~約45%で存在するモノアルコールを含んでよく、1つ以上のグリコールは、ペンチレングリコールおよびジプロピレングリコールを含み、各々、約0.5%~約3.0%で存在する。いくつかのそのような実施形態では、美容的に許容される担体はまた、約45%~約55%で存在する水を含む。
【0047】
さらに、様々な実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づき、約0.5重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約5重量%~約15重量%、または約3重量%~約10重量%、または約3%~約8重量%の範囲で組成物中に存在する、1つ以上のグリコール、例えば、グリセリンを含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物中の水の総量は、組成物の総重量に基づき、約20%~約99%、または約30%~約80%、または約40%~約75%、または約45%~約60%である。
【0049】
よって、美容的に許容される担体は、いくつかの実施形態では、水、アルコールを含む有機溶媒から選択される1つ以上の成分を含み、かつ組成物中のグリコールは、組成物の総重量に基づき、重量で、上で記載される特定の範囲内、約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95から約99パーセントまで(その中およびその間のインクリメントおよび範囲を含む)で存在する。
【0050】
組成物のpHは、制限されないが、一般に2~12、または3~9である。pHは、組成物に、塩基(有機または無機)、例えばアンモニアまたは一級、二級もしくは三級(ポリ)アミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンまたは1,3-プロパンジアミンを添加することにより、あるいは、無機または有機酸、便宜的にカルボン酸、例えば、例としてクエン酸を添加することにより、所望の値に調整できる。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物は、測定可能であるpHを有しなくてよい。
【0052】
任意的な増粘剤
いくつかの実施形態によれば、組成物は、増粘剤を含み得る。組成物中に存在し得る増粘剤の総量は、組成物の総重量に基づき約0.1重量%~約5重量%である。
【0053】
いくつかの実施形態では、組成物は、天然および合成ポリマーの1つまたは組み合わせを含む、少なくとも1つの増粘剤を含む。いくつかの特定の実施形態では、増粘剤は、関連アクリレート系増粘剤、タウレート系増粘剤、ワックス、ガム、セルロース誘導体、および他の多糖の中から選択される1つ以上の増粘剤を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物中の増粘剤の総量は、組成物の総重量に基づき約0.1%~約5%、または約0.2%~約4%、または約0.3%~約3%、または約0.4%~約3%、または約0.5%~約2%、または約0.6%~約1%である。
【0055】
よって、増粘剤は、組成物中に存在するならば、組成物の総重量に基づき、重量で、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.5、4.0、4.5から約5.0パーセント(その中およびその間のインクリメントおよび範囲を含む)で存在する。
【0056】
いくつかの特定の実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づき約0.5重量%で存在する、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む1つ以上の増粘剤を含む。
【0057】
任意的な添加物
組成物はまた、本発明による組成物の特性に影響しない、化粧品分野において使用される少なくとも1つの添加物、例えば、増粘剤、芳香剤、真珠光沢剤、保存剤、日焼け止め、アニオン性もしくは非イオン性もしくはカチオン性もしくは両性ポリマー、タンパク質、タンパク質加水分解物、ビタミン、パンテノール、シリコーン、ゲル化剤、臭気吸収体、および着色剤、を含んでよい。本開示により使用される添加物は、下記を含むが、それらに限定されない活性物質から選択され得る:抗菌成分、例えば、限定はされないが、カプリロイルグリシンおよびサリチル酸ナトリウム;ひまわり油、ゴマ油、ペパーミント油、マカデミアナッツ油、ティーツリー油、月見草油、セージ油、ローズマリー油、コリアンダー油、タイム油、ピメントベリー油、バラ油、アニス油、バルサム油、ベルガモット油、ローズウッド油、シダー油、カモミール油、セージ油、クラリー・セージ油、チョウジ油、サイプレスオイル、ユーカリ油、ウイキョウ油、アツケシソウ油、乳香油、ゼラニウム油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ジャスミン油、杜松油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、マンダリン油、マジョラム油、ミルラ油、ネロリ油、オレンジ油、パチョリ油、コショウ油、黒コショウ油、プチグレン油、パイン油、ローズオットー油、ローズマリー油、白檀油、スペアミント油、スパイクナード、ベチバー油、ウインターグリーン油、およびイランイランからなる群より選択される精油;果実抽出物、例えばピルスマルス(Pyrus Malus)(リンゴ)果実抽出物、およびアロエベラ葉汁粉末;クエン酸、塩化ナトリウム;アセチルトリフルオロメチルフェニルバリルグリシンおよびそれらの組み合わせ。任意的な活性添加物が例として提供されているが、当技術分野で知られている化粧品用途と適合する他の任意的な成分も使用され得ることが認識されるであろう。
【0058】
また、本開示によれば、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の美容的に許容される添加物が、化粧品組成物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、本開示により使用される美容的に許容される添加物は、着色剤、保存剤、芳香剤、染料、中和またはpH調整剤(例えば、トリエチルアミン(TEA)、水酸化ナトリウム、クエン酸、および塩酸)から選択され得る。任意的な添加物が例として提供されているが、当技術分野で知られている化粧品用途と適合する他の任意的な成分も使用され得ることが認識されるであろう。
【0059】
いくつかの特定の実施形態では、組成物は、塩化ナトリウムおよびパンテノールから選択される、活性物質および添加物の1つまたは組み合わせを含む。
【0060】
様々な実施形態によれば、組成物中に単独で、または組み合わせで存在する1つ以上の活性物質および添加物の量は、組成物の総重量に基づき、約0.001重量%~約20重量%、または約0.005重量%~約0.01重量%、または約0.01重量%~約0.1重量%、または約0.15重量%~約5重量%、または約0.40重量%~約4重量%、または約0.5重量%~約2重量%、または約1重量%~約2%重量の範囲、または、重量で、そのいずれかの好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、または部分的範囲で、本開示による組成物中に存在してよい。
【0061】
よって、活性物質および添加物のいずれか1つまたは組み合わせは、組成物の総重量に基づき、重量で存在してよく、各1つまたは組み合わせは、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から約20重量パーセントまで(その中およびその間のインクリメントおよび範囲を含む)で存在する。
【0062】
組成物を含む製剤
一般に、発明の任意の組成物は、角質基質または組織に適用できる。皮膚への局所適用では、組成物は、特に、水性一相または二相水系製剤の形態を有してよい。
【0063】
実施例
実施例1:
【表1】
上記表1を参照して、発明の組成物の各々は、本開示による美容的に許容される担体中で提供され、数値は、重量パーセントによる材料成分の割合を示す。下記のさらなる実施例で提示される他の発明例は、説明において上で列挙されるか言及されている可能性のある他の任意的な添加物を含む、示される一般量で上で列挙されるものと同じか、または、これに匹敵するアルコール、グリコール、および水溶媒を含む美容的に許容される担体中で処方された。
【0064】
実施例2:様々なポリフェノール異性化安定剤を用いたポリダチン安定化/光防護の評価
ポリダチンの安定化を、放射線への曝露後に残留トランス-ポリダチンパーセンテージを決定した、溶液系アッセイにおいて評価した。実験方法により、トランス-ポリダチンを、適切な溶媒に0.5重量%で溶解した。この溶液に、1モル当量の異性化安定剤を添加した。得られた溶液の1アリコートを、メタノールで希釈し、トランス-ポリダチンの量を、HPLC-UVにより定量した。トランス-ポリダチンおよび添加物を含む溶液を、5Jの総エネルギーを使用して365nmにて制御条件下で照射した。1アリコートの照射溶液を、メタノールで希釈し、トランス-ポリダチンの量を、HPLC-UVにより定量した。残留トランス-ポリダチンを、照射溶液から得られたトランス-ポリダチンの定量した量を非照射溶液から得られたトランス-ポリダチンの量で割ることにより計算し、パーセンテージとして表す。相対残留を、各光異性化安定剤について示し、示したところで、光異性化安定剤のクラスについての平均相対残留として、計算する。例えば、例えば、「フラボノイド」を、フラボノイドである全ての分子について平均残留として計算し、一方、「ヒドロキシシンナマート」を、ヒドロキシシンナマートである全ての分子について平均残留として計算する、など。
【0065】
【表2】
上記の表2に示されるように、フラボノイド、ヒドロキシシンナマート、およびキサントノイドは、溶液中でトランス-ポリダチンの著しい、予想外の光安定化を示す。フラボノイドの中では、全てがトランス-ポリダチンの光安定性を改善する能力を示し、フラバノールは明らかな例外である。フラバノールは、芳香族系に隣接するカルボニル部分を欠く。理論またはメカニズムに縛られないが、この構造的差異が、トランス-ポリダチンの安定化を付与するこれらのフラバノールの機能性に影響すると推測される。試験した他の一般的な抗酸化剤および光安定剤の中では、特にナイアシンアミドが、フラバノールの光安定性を改善するのに無効であると見出された。同様に無効なものは、ビタミンCG(アスコルビン酸誘導体)、ビタミンE、マンデル酸、没食子酸、およびBHT(tert-ブチルヒドロキシトルエン)を含んだ。
【0066】
実施例3:光異性化安定剤ありおよびなしでのトランス-ポリダチン光安定化の評価
ポリダチンの光安定化を、残留トランス-ポリダチンを放射線への曝露後に決定した、固体基材(アクリル板)アッセイで評価した。実験方法により、0.5重量%のトランス-ポリダチンを、光異性化安定剤と共にセラム中で処方し、各製剤を、プラスチック基材に適用した。各製剤を、5J/cmエネルギーを用いて365nmで照射し、次いで、残留トランス-ポリダチンを、HPLCを用いて測定した。結果を、下記表において提示する。トランス-ポリダチンの残留量は、トランス-ポリダチンの最終(照射後)と最初(照射前)濃度の間の比に対応する。(注:以下に示される相対残留トランス-ポリダチン値は、実施例2の方法とは異なる方法により決定され;よって、トランス-ポリダチンの報告された量は、各実験に特異的であり、2つの実験方法間で同等でない)。
【0067】
【表3】
上記の表3を参照して、データは、美容的に許容される担体中の光異性化安定剤の1つまたは混合物が、トランス-ポリダチンのための光安定剤として作用できることを示す。示されるように、これらの光異性化安定剤の少なくとも2つの混合物がトランス-ポリダチンを含む組成物に添加される場合、照射後のトランス-ポリダチンの残留量は、光異性化安定剤がない場合のトランス-ポリダチンの残留量よりもずっと高い。
【0068】
本開示について、好ましい実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱せずに、様々な変更が可能であり、等価物がその要素の代わりに置換され得ることが理解されるであろう。加えて、特定の状況または材料を、その必須範囲から逸脱せずに本開示の教示に適合させるために、多くの改変が可能であり得る。よって、本開示は、この開示を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、本開示は添付の特許請求の範囲の範囲内に包含される全ての実施形態を含むことが意図される。
【0069】
「澄んだ」という用語は本明細書では、組成物のフィルムをガラス板上に適用した後、次いでガラス板を印刷文書の上面上に配置した後、人間が、彼らの裸眼で、フィルム+板を通して12ポイントフォントを読むことができることを意味する。
【0070】
「1つの(a、an)」という冠詞は本明細書では、明細書および特許請求の範囲において記載される本開示の実施形態における任意の特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「1つの(a、an)」の使用は、そのような制限が特定的に述べられない限り、意味を単一の特徴に制限しない。単数または複数名詞または名詞句に先行する「その(the)」という冠詞は、特別に特定された1つまたは複数の特徴を示し、それが使用される文脈によって、単数または複数の意味合いを有し得る。「任意の(any)」という形容詞は、どんな量であっても無差別に1つ、いくつか、または全てを意味する。
【0071】
「少なくとも1つの」は本明細書では、1つ以上を意味し、よって個々の成分ならびに混合物/組み合わせを含む。
【0072】
「含む」、「から本質的に構成される」および「から構成される」という移行用語は、添付の特許請求の範囲において、原形態および補正形態で使用される場合、どの列挙されていない追加の請求要素または工程(存在すれば)が請求の範囲(複数可)から排除されるかに関し特許請求の範囲を規定する。「含む」という用語は、包括的、または制限なしであることが意図され、いずれの追加の、列挙されていない要素、方法、工程または材料も排除しない。「から構成される」という用語は、特許請求の範囲において特定されたもの以外の全ての要素、工程または材料を排除し、後者の場合、不純物は通常、特定材料(複数可)と関連する。「から本質的に構成される」という用語は、特許請求の範囲を、特定された要素、工程または材料(複数可)、ならびに、特許請求される開示の基本特性および新規特性(複数可)に実質的に影響しないものに制限する。本開示を具体化する、本明細書で記載される全ての材料および方法は、別の実施形態では、「含む」、「から本質的に構成される」および「から構成される」という移行用語のいずれかにより、より特定的に規定できる。
【0073】
「含まない」および「欠く」という用語は、確実に測定可能な排除される材料が組成物中に存在しない、典型的には組成物の総重量に基づき0重量%であることを示す。「本質的に含まない」という用語は、排除される材料が組成物中に存在しないことが好ましいが、非常に少量の排除される材料が発明の組成物中に存在することは可能であり、ただし、これらの量は組成物の有利な特性に実質的に影響しないことを条件とすることを意味する。特に、「本質的に含まない」は、排除される材料は組成物中に組成物の総重量に基づき、約0.1重量%未満の量で存在してよいことを意味する。
【0074】
動作例における場合、または、別段の指示がある場合以外では、材料成分の量および/または反応条件を表す全ての数値は、全ての場合において「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきであり、示された数値の10%以内を意味する(例えば「約10%」は、9%-11%を意味し、「約2%」は、1.8%-2.2%を意味する)。
【0075】
全てのパーセンテージおよび比は、別記されない限り重量で計算される。全てのパーセンテージは、別記されない限り総組成物に基づき計算される。一般に、本明細書で明示的に別記されない限り、材料成分のパーセント量に関して本明細書で使用される「重量」または「量」は、材料成分を含む原料の量を示し、原料は、材料成分の100%活性未満、および最大それまでを含むと、本明細書で記載され得る。よって、組成物中の活性物質の重量パーセントは、使用される活性物質を含む原料の量として表され、活性物質の最終パーセンテージを反映しても、しなくてもよく、活性物質の最終パーセンテージは、原料中の活性物質の重量パーセントに依存する。
【0076】
本明細書で与えられる全ての範囲および量は、任意の開示された点を終点として使用する部分的範囲および量を含むことが意図される。よって、「1%~10%、例えば2%~8%、例えば3%~5%」の範囲は、「1%~8%」、「1%~5%」、「2%~10%」などの範囲を包含することが意図される。全ての数値、量、範囲、などは、そのように明示的に述べられているかどうかに関係なく、「約」という用語により修飾されることが意図される。同様に、「約1%~10%」の与えられた範囲は、1%および10%の終点両方を修飾する「約」という用語を有することが意図される。さらに、成分の量が与えられた場合、別に特定的に記載されない限り、活性材料の量を特定することが意図されることが理解される。
【0077】
本開示の広い範囲を明記する数値範囲およびパラメータは、別記されない限り、近似値であるにもかかわらず、具体例で明記された数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、本質的に、それらの個々の試験測定において見出される標準偏差に必然的に起因するある誤差を含む。後に続く例は、本開示の実施形態を説明するように機能するが、しかしながら、本質的には制限しない。
【0078】
この明細書において引用される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、参照により組み込まれると特定的にかつ個々に示されたかのように、参照により、いずれかのおよび全ての目的のために、本明細書に組み込まれる。本開示と参照により本明細書に組み込まれるいずれかの刊行物または特許出願との間に矛盾がある場合には、本開示が規制する。