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▶ マパル ファブリック フュール プラツィジョンズベルクゼウグ ドクトル.クレス カーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】リーマ
(51)【国際特許分類】
   B23D 77/02 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
B23D77/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021559751
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020060002
(87)【国際公開番号】W WO2020208067
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】102019205260.6
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597099025
【氏名又は名称】マパル ファブリック フュール プラツィジョンズベルクゼウグ ドクトル.クレス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレス,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】クラシェ,マティアス
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529800(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009028040(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/65197(US,A1)
【文献】特開2016-124091(JP,A)
【文献】実開平1-100704(JP,U)
【文献】国際公開第2013/91778(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014202066(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第102950314(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 77/00 - 77/14
B23B 27/00
B23B 27/06
B23B 29/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(5)と、
前記本体(5)上に配置されている少なくとも1つのカッタープレート(1)と、を備え、
前記カッタープレート(1)はリーマ部(7)を有し、
前記カッタープレート(1)は、前記リーマ部(7)から距離(A)を隔てて、複数の粗面化ブレード(11)を有する粗面化部(9)を有し、前記複数の粗面化ブレード(11)は、特定の突出(D)だけ前記リーマ部(7)よりも突出し、
前記粗面化部(9)は、複数の粗面化歯(23)を有し、前記複数の粗面化歯(23)の各々の上に粗面化ブレード(11)が配置され、
前記粗面化部(9)のすべての粗面化歯(23)は同じ形状を有し、
前記特定の突出(D)は、最小5μmから最大15μmである、リーマ(3)。
【請求項2】
前記特定の突出(D)は、小6μmから最大12μm、好適には8μmである、請求項1に記載のリーマ(3)。
【請求項3】
前記リーマ部(7)は、前記カッタープレート(1)の端面(13)上に直接的に配置され、
前記粗面化部(9)は、前記端面(13)から最小3mmから最大4mm、好適には3.5mmの距離(A)に配置されている、請求項1または2に記載のリーマ(3)。
【請求項4】
前記粗面化ブレード(11)、特に前記粗面化歯(23)は、互いから特定の粗面化距離(C)を隔てて配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のリーマ(3)。
【請求項5】
少なくとも1つの粗面化歯(23)は、最小0.08mmから最大0.2mm、好適には最小0.09mmから最大0.15mm、好適には0.1mmの歯幅(B)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のリーマ(3)。
【請求項6】
前記特定の粗面化距離(C)は、最小0.4mmから最大0.8mm、好適には0.6mmである、請求項4に記載のリーマ(3)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのカッタープレート(1)は、前記本体(5)に堅固に取り付けられ、特に前記本体(5)にはんだ付けされている、請求項1から6のいずれか一項に記載のリーマ(3)。
【請求項8】
複数のカッタープレート(1)が前記本体(5)上に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のリーマ(3)。
【請求項9】
異なる前記カッタープレート(1)は、前記粗面化部(9)が前記リーマ部(7)からオフセットされている前記距離(A)が異なる、請求項に記載のリーマ(3)。
【請求項10】
機械スピンドルに締結するためのインターフェース(39)が前記本体(5)上に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のリーマ(3)。
【請求項11】
前記カッタープレート(1)は、サーメットまたは硬質金属を含み、好適にはサーメットまたは硬質金属で構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のリーマ(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーマに関する。
【背景技術】
【0002】
リーマは、典型的には、非常に精密に画定された形状と高い表面品質で穴をあけるために使用される。多刃のリーマは特に生産的であることが証明されており、鋳造プロセスで形成された穴でも、ドリル等の他のツールにより作られた穴でも、既存の穴は非常に早く機械加工できる。しかしながら、リーマによって典型的に作られるような、高水準の平滑度が所望されない穴表面もある。特に、小さなアイとも呼ばれる、往復ピストンエンジン用のコネクティングロッドのピン穴の場合、その表面は、従来のリーマで通常実現される粗さよりも高い特定の表面粗さにされるべきである。平滑すぎる表面では適切なグリップを持たない滑り軸受要素は、典型的に後にこのような穴に圧入される。
【0003】
独国特許出願公開第102005035140号明細書は、本体に固定して配置されているリーマカッターに加えて、表面を粗面化するグレーバーも設けられているリーマを開示している。しかしながら、このようなツールの寿命は、特に1つのグレーバーしか設けられていない場合、不十分であることが示されている。さらに、固定されているリーマカッターから遠く離れて配置されているグレーバーの突起をリーマカッターに対して正確に調整して、定められた面粗度を実現させるためには、相当な調整労力が必要となる。そのため、既知のリーマは改善可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述のデメリットが発生しないリーマを作ることである。
【0005】
本目的は、本技術教示、特に独立請求項ならびに従属請求項および明細書中に開示される実施形態の教示を提供することにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、特に本体と、本体上に配置されている少なくとも1つのカッタープレートとを備えるリーマを創作することによって達成される。カッタープレートは、リーマ部と、前記リーマ部から距離を隔てて、少なくとも1つの粗面化ブレードを有する粗面化部とを有する。少なくとも1つの粗面化ブレードは、特定の突出だけリーマ部から突出する。このようにして、特に先行技術と比較すると、粗面化部およびリーマ部は、互いから短い距離に配置可能で、また、調整労力が最小限とし、または完全に省略可能となるように、本体に対して、特にリーマ部に対して粗面化部を固定的に配置することも可能である。多数のリーマ部が、特に多数のカッタープレート上に設けられる場合、とりわけ単純に多数の粗面化部を同時に設けて、個々の粗面化部上の摩耗が有利に低減させることも可能である。ツールはこのようにして提供され、これにより調整労力がほとんどなく、また、さらには調整労力が全くなく、長寿命の特定の面粗度を作ることができる。
【0007】
リーマ部は、特に幾何学的に定義されたリーマ部である。特に、リーマ部は、リーマの端面上に配置されていることが好ましく、特に本体の端面に配置されていることが好ましい。リーマ部は、それ自体が既知の方法で、特にすくい面と逃げ面、特にすくい面と主逃げ面との間に切れ刃として作られる、幾何学的に定義された主切れ刃を有することが好ましい。また、リーマ部は、特にすくい面と副逃げ面との間の切れ刃として作られる、幾何学的に定義された副切れ刃をそれ自体が既知の方法で有することが好ましい。リーマ部は、特にワークの精密機械加工のため、特に精密機械加工穴のために設定される。副逃げ面は、いくつかの領域において丸く研削されていることが好ましい。この場合、副逃げ面に割り当てられる副切れ刃が第1の副逃げ面領域としての円形の研削面取り部に直ちに追従され、これは次に第2の副逃げ面領域としての機械加工方向と逆に傾斜して下がる領域によって追従される。使用される名称によっては、この第2の副逃げ面領域を実際の副逃げ面と呼ぶことも可能である。
【0008】
粗面化部は、リーマ部から有限の距離、つまり、0ではないところに特に配置されている。特に、粗面化部は、リーマ部から軸方向距離、つまり軸方向で測定される距離に配置されている。粗面化部はこのように、リーマの送り方向においてリーマ部に後退している。
【0009】
軸方向は、リーマにより機械加工されるワークに対するリーマの送り方向に特に延びる。軸方向は、リーマの対称軸に対応することが好ましい。軸方向は、リーマが回転してワークを機械加工する際にリーマの回転軸に対応することが好ましい。しかしながら、ワークの機械加工のためには、ワークが回転されて、リーマは動かないように固定され、すなわちワークに対して回転することも可能である。この場合、軸方向は、ワークの回転軸に一致することが好ましい。半径方向は軸方向に直交する。円周方向は軸方向を同心円状に包囲する。
【0010】
粗面化ブレードは、幾何学的に定義されたブレードとして設計されることが好ましい。特に、粗面化ブレードは、粗面化逃げ面との粗面化すくい面の交線として形成されることが好ましい。粗面化逃げ面もまた円形の研削面取り部を有し、これにより、主および副切れ刃に関連して上記で説明したように、第1の粗面化逃げ面領域と第2の粗面化逃げ面領域に分けることが可能である。上述のように、円形の研削面取り部は、好ましくはワークに対するリーマの回転方向に対応する、第2の粗面化逃げ面領域として機械加工方向とは逆に傾斜して下がる領域によって追従される。
【0011】
特に、粗面化ブレードはリーマ部よりも半径方向に突出する。そのため、粗面化ブレードは、リーマ部により加工された材料表面に特定の面粗度を導入するために配置および構成され、つまりリーマ部に加えてワーク表面から材料を取り除く。
【0012】
リーマ部と粗面化部とを有するカッタープレートは、一体で構成されることが好ましく、特に同じ材料製であることが好ましい。このようにして、粗面化部とリーマ部との間の幾何学的な相対位置は特に有利となるように固定的に規定されている。
【0013】
本発明のさらなる形態によれば、リーマ部からの粗面化部の特定の突出は、最小5μmから最大15μm、好適には最小6μmから最大12μm、好適には8μmであることが提供されている。特に、このようにすると、リーマ部により機械加工された材料表面に特定の面粗度が導入でき、好適な実施形態では、小さなコネクティングロッドアイの表面の面粗度として特に適している。特に、好適には最小5μmから最大20μm、好適には最小7μmから最大12μm、好適には最小8μmから最大10μm、好適には8μmの平均粗さ深度Rzがここで定められる突出領域に形成できる。
【0014】
本発明のさらなる形態によれば、リーマ部はカッタープレートの端面上に直接的に配置され、粗面化部はカッタープレートの端面から最小3mmから最大4mm、好適には3.5mmの距離に配置されていることが提供されている。これらの数値は、リーマ部と、また粗面化部との両方の最適な製造を可能にする一方、他方では最適化された表面処理を可能にする。距離は、特に粗面化部の端面から第1の粗面化ブレードまでである。これは粗面化部とリーマ部との間の距離でもある。
【0015】
本発明のさらなる形態によれば、粗面化部が、粗面化ブレードが配置、好適には形成されている少なくとも1つの粗面化歯を有することが提供されている。ワーク表面の粗面化は、粗面化歯によって特に効率的な方法で達成できる。粗面化歯は、すでに説明された表面で、すでに上記で説明した粗面化ブレード、すなわち粗面化すくい面、粗面化逃げ面および好適には円形の研削面取り部の形状を有することが好ましい。
【0016】
本発明のさらなる形態によれば、粗面化部が複数の粗面化ブレードを有し、粗面化エッジは、互いから特定の粗面化距離を隔てて配置またはオフセットされていることが提供されている。特に、粗面化距離は有限、つまり0より大きく、特に、軸方向で測定される粗面化距離である。粗面化ブレードは、特に、対で互いに離間し、または特定の粗面化距離によって相互にオフセットしている。このように、粗面化ブレードは、軸方向から見た場合、粗面化距離において順次前後に追従する。特に、粗面化部は、複数の粗面化歯を有し、粗面化歯は、特定の粗面化距離で相互に配置またはオフセットされている。粗面化部は、粗面化歯毎に1つの粗面化ブレードを有することが好ましい。そのため、ちょうど1つの粗面化ブレードが各粗面化歯上に配置または形成される。逆に言うと、各粗面化ブレードにはちょうど1つの粗面化歯が割り当てられる。
【0017】
本発明のさらなる形態によれば、少なくとも1つの粗面化歯が、最小0.08mmから最大0.2mm、好適には最小0.09mmから最大0.15mm、好適には0.1mmの歯幅を有することが提供されている。歯幅は、粗面化歯の放射状に最も突出した点で軸方向に測定される幅、すなわち、特に軸方向で測定される粗面化ブレードの長さであることが好ましい。特に、ここで決定された歯幅の数値によれば、ワーク表面を粗面化する際に特に良好な結果が実現できる。
【0018】
本発明のさらなる形態によれば、前記特定の粗面化距離が、最小0.4mmから最大0.8mm、好適には0.6mmであることが提供されている。粗面化距離のこの領域で特に良好な機械加工の結果が実現できることがわかっている。粗面化距離は、特にワークに対する1回転当たりのリーマの所定の前進量の粗面化部の粗面化歯の数に対する比率として定義されることが好ましい。これにより、先頭の粗面化歯によって作られる表面構造が後続の粗面化歯によって破壊されないことが確かになる。特に、粗面化はその後、好適には1回転当たり0.4から0.8mm、好適には1回転当たり0.6mmのピッチ(mm/rev)で、ツールに導入されるらせん状線または粗面化らせんの形態で行われる。
【0019】
本発明のさらなる形態によれば、粗面化部の粗面化歯、特に粗面化部のすべての粗面化歯は、同様の、特に同一の形状を有することが提供されている。このことは、ワーク表面の機械加工に特に有利であることが証明されている。
【0020】
本発明のさらなる形態によれば、少なくとも1つのカッタープレートが堅固に、好適には分離不能に本体に締結されていることが提供されている。この文脈において、分離不能な締結とは、力を不適切に使用しなければ、特に非破壊的な方法でなければ、外すことができない本体への締結を意味すると理解される。このようにして、カッタープレートは特に高い精度で本体上に配置できる。カッタープレートは、本体に、好ましくは、はんだ付け、特に、ろう付けされることが好ましい。特に、カッタープレートは、この目的で本体に設けられた溝部に、はんだ付けされることが好ましい。
【0021】
本発明のさらなる形態によれば、複数のカッタープレートが本体上に配置されていることが提供されている。そのため、リーマは、穴を非常に効率的および迅速にも機械加工できるように、特に多刃のリーマとして設計される。リーマはまた、特に長寿命である。カッタープレートは特に、好適には本体上に不均等な角度で、円周方向に相互にオフセットされている。カッタープレートはすべて、本体上に同じ軸方向高さで配置されていることが好ましく、特にそれらの端面が互いに整列していることが好ましい。特に、複数のカッタープレートの各カッタープレートは、いずれの場合も、リーマ部と、リーマ部から距離を隔てて配置されている関連する粗面化部とを有する。
【0022】
本発明のさらなる形態によれば、異なる前記カッタープレートが、特に対となって、関連する粗面化部と関連するリーマ部との間の距離、特に関連する粗面化部とカッタープレートの端面との間の距離が異なることが提供されている。特に、すべてのカッタープレートはこの距離に関して異なって設計されていることが好ましい。そうでない場合は、それらは同様の、とりわけ同一のリーマ部と粗面化部の形状を有することが好ましい。特に、粗面化部とリーマ部との間の最小距離を有する第1のカッタープレートがあることが好ましく、第1のカッタープレートを起点として、円周方向、特に機械加工方向とは逆にカッタープレートからカッタープレートへの距離が、好適には直線的に長くなる。特に、これによって、好適には0.4から0.8mm/rev、好適には0.6mm/revのピッチの、特にらせん状粗面化の形態である表面の定められた粗面化が確実に得られる。
【0023】
好適な実施形態では、リーマは6つのカッタープレートを有する。
【0024】
本発明のさらなる形態によれば、インターフェースが本体に配置または形成され、リーマ、特に本体を機械スピンドルに締結するために構成されることが提供されている。インターフェースは、特にリーマを機械スピンドルに締め付けるように構成可能であり、特に、円錐インターフェースとして、好適には精密インターフェースとしてまたはクランプシリンダーとして構成できる。
【0025】
本発明のさらなる形態によれば、少なくとも1つのカッタープレートが、サーメットまたは硬質金属を含み、好適にはサーメットまたは硬質金属で構成されることが提供されている。リーマのすべてのカッタープレートは、サーメットおよび硬質金属を含むまたはサーメットもしくは硬質金属で構成されることが好ましい。
【0026】
カッタープレートが、特にリーマ部の領域および/または粗面化部の領域においてコーティングされることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、図面を参照して、以下により詳細に説明されている。
図1】リーマ用カッタープレートの実施形態を上面図で表わしたものである。
図2図1によるカッタープレートを断面で表わしたものである。
図3図1によるカッタープレートを有するリーマの実施形態を表わしたものである。
図4図3によるリーマ用の複数のカッタープレートを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、a)において、図3に示されるリーマ3の実施形態のためのカッタープレート1の実施形態を上面図で表したものを示す。図3を参照すると、リーマ3は、カッタープレート1が配置されている本体5を有する。図1を参照すると、カッタープレート1は、リーマ部7と、リーマ部7から距離Aにおいて、少なくとも1つの粗面化ブレード11を有する粗面化部9を有する。b)においては、寸法通りではない誇張した表示において、粗面化部9、特に粗面化ブレード11が、特定の突出Dだけリーマ部7から突出することがわかる。
【0029】
リーマ部7は、特に幾何学的に定義されたリーマ部であり、特に、逃げ面19を有するすくい面17の切れ刃として、それ自体が従来の方法で形成される幾何学的に定義された主切れ刃15を一端面13に有する。リーマ部7はまた、幾何学的に定義されたブレードと類似した方法で構成され、端面13を起点として主切れ刃15に隣接する副切れ刃21を有する。
【0030】
粗面化部9は、図1の水平方向において測定してリーマ部7から軸方向距離Aに配置され、特にリーマ3の送り方向から見た場合には、リーマ部7に対して後退している。
【0031】
粗面化ブレード11も幾何学的に定義されたブレードとして設計され、特にここでは具体的に指定されない粗面化逃げ面を有して、すくい面17の切れ刃と同様に形成される。
【0032】
特に、粗面化ブレード11は、副切れ刃21からの特定の突出Dによって、半径方向、つまり図1中では上下方向に突出する。
【0033】
ここでの粗面化部9およびリーマ部7は、カッタープレート1上で一体的に形成される。
【0034】
特定の突出Dは、好適には最小5μmから最大15μm、好適には最小6μmから最大12μm、好適には8μmである。
【0035】
リーマ部7は、特に端面13上に直接的に配置、つまり端面13に直接的に隣接し、a)に示されるように、粗面化部9は、端面13から距離Aに配置され、軸方向、すなわち図1の水平方向で測定される距離Aは、好適には最小3mmから最大4mm、好適には3.5mmである。特に、距離Aは、端面13からリーマ部9の第1の完全に形成された粗面化ブレード11の先頭まである。
【0036】
粗面化部9は、少なくとも1つの粗面化歯23、この場合は複数の粗面化歯23を有し、より明確にするために、そのうちの1つのみに符号23が付けられている。粗面化ブレード11は粗面化歯23上に形成されている。特に、粗面化ブレード11は、各粗面化歯23上に形成されている。特に、粗面化部9は、このようにして複数の粗面化ブレード11を有し、粗面化ブレード11、そして粗面化歯23もまた、相互に特定の粗面化距離Cで配置され、特に、粗面化距離Cによって軸方向において対となって互いからオフセットされている。粗面化距離Cも軸方向、すなわち図1中の水平方向に、いずれの場合も第1の粗面化歯23の一点から第2の直接的に追従する粗面化歯23の近似点まである。
【0037】
粗面化距離Cは、好適には最小0.4mmから最大0.8mm、好適には0.6mmである。
【0038】
各粗面化歯23は、好適には同一の、歯幅Bを有し、これは、好適には最小0.08mmから最大0.2mm、好適には最小0.09から最大0.15mm、好適には0.1mmである。
【0039】
図2は、図1によるカッタープレート1の断面図を示し、断面は副切れ刃21の軸方向高さに配置されている。副切れ刃21は、副逃げ面25を有してすくい面17の切れ刃として形成されていることが、ここで明確となる。副逃げ面25は、2つの副逃げ面領域、すなわち第1の副逃げ面領域29として副切れ刃21に直接的に隣接する円形の研削面取り部27と、円形の研削面取り部27に隣接する第2の副逃げ面領域33として機械加工方向とは逆に傾斜して下がる領域31とを有する。機械加工方向は、図2において矢印Pで示される。円形の研削面取り部27は、本質的に周知である方法で使用されて、リーマ3を支持して機械加工穴に導く。副切れ刃21に関連してここで説明されている形状もまた、少なくとも1つの粗面化ブレード11、好適には複数の粗面化ブレード11の各粗面化ブレード11上に類似した方法で設けられていることが好ましい。これらのブレードも2つの逃げ面領域に分けられている逃げ面をそれぞれ有し、それらの一方は、円形の研削面取り部として設計され、もう一方は、傾斜領域として設計されている。
【0040】
粗面化部9の粗面化歯23はすべて同様の、特に同一の形状を有することが好ましい。
【0041】
図3は、上記ですでに説明されているように、本体5に締結されたカッタープレート1とともリーマ3を表したものを示す。特に、カッタープレート1は、堅固に、特に分離不能に、本体5に取り付けられており、好適には本体5に、はんだ付けされている。このために、その中にカッタープレート1がはんだ付けされている溝部35が本体5に導入されることが好ましい。カッタープレート1は、特に本体5に、ろう付け、または本体5内に、ろう付けされていることが好ましい。
【0042】
リーマ3は、複数のカッタープレート1、この場合では6つのカッタープレート1を有し、リーマ1の円周方向から見た場合、本体5上で同じ軸方向高さで互いからオフセットして配置されている。特に、カッタープレート1の端面13は、互いに整列している。カッタープレート1は、本体5の円周に沿って不均等な角度で配置されていることが好ましい。カッタープレート1は、特定の距離Aで、特に対で異なっていることが好ましく、距離Aよって粗面化部9が関連するカッタープレート1の関連する端面13から間隔を保っている。さらに、カッタープレート1は同様、特に同一に構成されていることが好ましい。特に、カッタープレート1は、粗面化部9およびリーマ部7とも同じ形状を有することも好ましい。
【0043】
リーマ3の軸方向は中央縦軸Lに沿って延びる。同時にこれはカッタープレート1の軸方向に対応する。半径方向は軸方向と直交するため、つまり中央縦軸Lと直交し、円周方向は中央縦軸Lを同心円状に包囲する。
【0044】
各カッタープレート1は、カッタープレート1が配置されている本体5に溝部35が割り当てられていることが好ましい。溝部35はまた、カッタープレート1用のすくい空間を形成することが好ましい。
【0045】
図3では、冷却剤/潤滑剤開口部37も示され、冷却剤/潤滑剤開口部37が、溝部35へと開口し、冷却剤/潤滑剤は冷却剤/潤滑剤開口部37を介して溝部35に導入されることができる。
【0046】
機械スピンドルに締結するためのインターフェース39もまた本体5上に配置または形成されている。インターフェース39は、ここでは円錐形インターフェース、特に精密インターフェースとして設計されている。
【0047】
図4は、図3によるリーマ3の6つのカッタープレート1を表したものを示す。様々な計測プレートがS1、S2、S3、S4、S5およびS6の順で示され、ここでは、これらは好適にはリーマ3の回転方向である、図3の矢印Pによって示される機械加工方向と反対に本体5上に配置されている。この順番では、これらはリーマ3の機械加工方向または回転方向とは逆に互いに追従する。最初のカッタープレートS1を起点として、機械加工方向Pとは逆にカッタープレートからカッタープレートへと距離Aが好適には直線的に長くなる。
【0048】
カッタープレート1は、サーメットまたは硬質金属製であることが好ましい。カッタープレート1は、少なくとも主切れ刃15、副切れ刃21および少なくとも1つの粗面化ブレード11から選択された1つのブレードの領域においてコーティングされることが可能である。
図1
図2
図3
図4