(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルの製造方法および樹脂製医療用バルーンの製造装置
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20241111BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61M25/10 502
B29C49/48
(21)【出願番号】P 2021566847
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2020039114
(87)【国際公開番号】W WO2021131262
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019237207
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】四丸 聖康
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】前田 竜幸
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0096134(US,A1)
【文献】特表2008-535635(JP,A)
【文献】特開2008-023270(JP,A)
【文献】特開平06-335530(JP,A)
【文献】特開2014-057793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
B29C 49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在しているシャフトと、前記シャフトの遠位端部に設けられている樹脂製医療用バルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、
パリソンを金型へ挿入する工程と、
前記金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、
前記熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、前記熱ジャケットの内側面が前記内包物から受ける圧力は、前記熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであ
り、
前記内包物は、一つまたは複数の前記金型の少なくとも一部を内包するハウジング部材であることを特徴とするバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項2】
前記熱ジャケットの内側面が前記内包物から受ける圧力は、前記金型の長手方向の位置によって異なるものである請求項1に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項3】
長手方向に延在しているシャフトと、前記シャフトの遠位端部に設けられている樹脂製医療用バルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、
パリソンを金型へ挿入する工程と、
前記金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、
前記熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、
前記内包物は、外側面に凹部を有し、
前記凹部の深さは、10μm以上であり、
前記熱ジャケットの内側面と前記内包物とが接触している面積は、前記熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであ
り、
前記内包物は、一つまたは複数の前記金型の少なくとも一部を内包するハウジング部材であることを特徴とするバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項4】
前記ハウジング部材は、外側面に凸部を有している請求項
1~3のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項5】
前記凸部は、前記ハウジング部材の外側面に配置されているスペーサー部材である請求項
4に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項6】
前記ハウジング部材は、前記金型の長手方向に並んで配置されている複数の部分ハウジング部材を有しており、前記スペーサー部材は前記部分ハウジング部材の少なくともいずれか一つに配置されている請求項
5に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項7】
前記凸部は、前記ハウジング部材の全周に延在している請求項
4~6のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項8】
前記金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、前記凸部は、前記柱状部に対応する部分の少なくとも一部に配されている請求項
4~7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項9】
前記金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、前記凸部は、前記錐状部に対応する部分の少なくとも一部に配されている請求項
4~7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項10】
前記熱ジャケットは、複数の部分熱ジャケットを有している請求項1~
9のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項11】
前記熱ジャケットは、前記金型の一方側面側にある第1部分熱ジャケットと、前記金型の他方側面側にある第2部分熱ジャケットと、を有しており、前記第1部分熱ジャケットと前記第2部分熱ジャケットとが互いに接近することにより前記内包物が押圧される請求項1~
10のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項12】
前記第1部分熱ジャケットと前記第2部分熱ジャケットは、互いに接続されている請求項
11に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項13】
前記熱ジャケットは、前記金型の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケットと近位側部分熱ジャケットとを有している請求項
10に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項14】
前記金型の外方であって、かつ前記熱ジャケットの内方に配置されている気孔含有金属体を有している請求項1~
13のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項15】
前記気孔含有金属体の単位厚みあたりの弾性変形量は、3μm/mm以上であり、
前記気孔含有金属体の熱伝導率は、0.325W/m・K以上である請求項
14に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項16】
樹脂製医療用バルーンの製造装置であって、
パリソンが内挿される金型と、
前記金型を内包する熱ジャケットと、を有しており、
前記熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、前記熱ジャケットの内側面が前記内包物から受ける圧力は、前記熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであ
り、
前記内包物は、一つまたは複数の前記金型の少なくとも一部を内包するハウジング部材であることを特徴とする樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項17】
前記熱ジャケットの内側面が前記内包物から受ける圧力は、前記金型の長手方向の位置によって異なるものである請求項
16に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項18】
樹脂製医療用バルーンの製造装置であって、
パリソンが内挿される金型と、
前記金型を内包する熱ジャケットと、を有しており、
前記熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、
前記内包物は、外側面に凹部を有し、
前記凹部の深さは、10μm以上であり、
前記熱ジャケットの内側面と前記内包物とが接触している面積は、前記熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであ
り、
前記内包物は、一つまたは複数の前記金型の少なくとも一部を内包するハウジング部材であることを特徴とする樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項19】
前記ハウジング部材は、外側面に凸部を有している請求項
16~18のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項20】
前記凸部は、前記ハウジング部材の外側面に配置されているスペーサー部材である請求項
19に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項21】
前記ハウジング部材は、前記金型の長手方向に並んで配置されている複数の部分ハウジング部材を有しており、前記スペーサー部材は前記部分ハウジング部材の少なくともいずれか一つに配置されている請求項
20に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項22】
前記凸部は、前記ハウジング部材の全周に延在している請求項
19~21のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項23】
前記金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、前記凸部は、前記柱状部に対応する部分の少なくとも一部に配されている請求項
19~22のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項24】
前記金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、前記凸部は、前記錐状部に対応する部分の少なくとも一部に配されている請求項
19~22のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項25】
前記熱ジャケットは、複数の部分熱ジャケットを有している請求項
16~24のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項26】
前記熱ジャケットは、前記金型の一方側面側にある第1部分熱ジャケットと、前記金型の他方側面側にある第2部分熱ジャケットと、を有しており、前記第1部分熱ジャケットと前記第2部分熱ジャケットとが互いに接近することにより前記内包物が押圧される請求項
16~25のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項27】
前記第1部分熱ジャケットと前記第2部分熱ジャケットは、互いに接続されている請求項
26に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項28】
前記熱ジャケットは、前記金型の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケットと近位側部分熱ジャケットとを有している請求項
25に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項29】
前記金型の外方であって、かつ前記熱ジャケットの内方に配置されている気孔含有金属体を有している請求項
16~28のいずれか一項に記載の樹脂製医療用バルーンの製造装置。
【請求項30】
前記気孔含有金属体の単位厚みあたりの弾性変形量は、3μm/mm以上であり、
前記気孔含有金属体の熱伝導率は、0.325W/m・K以上である請求項
29に記載の樹脂製医療用バルーン製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製である医療用バルーンを有するバルーンカテーテルの製造方法、および医療用バルーンの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体内で血液が循環するための流路である血管に狭窄が生じ、血液の循環が滞ることにより、様々な疾患が発生することが知られている。特に、心臓に血液を供給する冠状動脈に狭窄が生じると、狭心症、心筋梗塞等の重篤な疾病をもたらすおそれがある。このような血管の狭窄部を治療する方法として、PTA、PTCAといった血管形成術等の、バルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張させる手技がある。血管形成術は、バイパス手術のような開胸術を必要としない低侵襲療法であり、広く行われている。
【0003】
バルーンカテーテルに用いられる樹脂製の医療用バルーンの製造方法として、例えば、特許文献1には、複屈折性の高分子材料から構成される管状パリソンをブロー成形してバルーンの拡張自在の筒状部を成形する成形工程を有し、成形工程において筒状部の周方向配向分配数を筒状部の軸方向配向分配数によって除して算出される配向分配数の比率が2未満となるように筒状部が成形されるバルーンの製造方法が記載され、特許文献2には、チューブ状パリソンの両側を所定割合で延伸し、中央部に所定幅の未延伸部を残した状態の準備パリソンを形成して金型内に装着し、二次転移温度以上で一次転移温度以下の第一成形温度に加熱し、準備パリソン内に加圧流体を流入させると共に一次延伸して、金型内面形状に合致するバルーン部とテーパー部と小径接続部を有するバルーン形状に一次成形し、その後で金型を第一成形温度以上で一次転移温度以下の第二成形温度に加熱する工程と、前記パリソンの両側を再延伸する工程によりテーパー部および接続部を肉薄とする二次成形を行うことを特徴とするカテーテル用バルーンの製造方法が記載され、特許文献3には、長手方向に垂直な断面における円周部に、剛性の高い剛直部と剛性の低い柔軟部を有するバルーンであって、剛直部と柔軟部が同一材料で構成され、かつ、収縮させた際に柔軟部が翼部となって折畳まれることを特徴とするバルーンカテーテル用バルーンであって、成形した第1のバルーンに対して局所領域に加熱処理を行い、非加熱部と加熱部で剛直性の異なる部位を有する第2のバルーン12を作製することが記載され、特許文献4には、第1のバルーンを成形する第1の工程と第1のバルーンの長手方向に沿った局所領域に加熱処理を行い、非加熱部よりも剛直性を有する加熱部を形成させる第2の工程を含むバルーンの製造方法が記載され、特許文献5には、シャフトチューブと、該シャフトチューブに形成されたメインルーメンと、該シャフトチューブの壁厚内に設けられ、該シャフトチューブの先端側外周部に開口した少なくとも1つのサブルーメンと、該シャフトチューブの先端側外周部に、シャフトチューブの先端側外周部を囲むように融着され、該サブルーメンと連通するバルーンとを有するバルーンカテーテルの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/141382号
【文献】特開2008-023270号公報
【文献】特開2014-057793号公報
【文献】特開2014-057792号公報
【文献】特開平06-335530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂製医療用バルーンの製造において、樹脂製筒状体を加熱して樹脂製筒状体を拡張させるための流体を樹脂製筒状体の内部に送り込む、所謂ブロー成形を行う際、樹脂製筒状体の最も高温である部分から拡張されることが多い。樹脂製筒状体において初めに拡張された部分は、バルーンの厚みが他の部分よりも薄くなりやすい。バルーンの厚みが他の場所よりも薄い部分は、バルーンを拡張させた際にバルーンの拡張の起点となる傾向にある。そのため、樹脂製医療用バルーンの製造時に、樹脂製筒状体を加熱する部分とその部分への加熱温度を制御することができれば、バルーンの拡張の起点を制御することができ、バルーンの取り扱い性を向上させることができる。また、樹脂製筒状体を加熱した後の冷却工程においても、樹脂製筒状体の特定の部分を他の部分よりも低い温度にすることにより、この特定の部分を急冷して硬度を他の部分よりも高め、その結果、バルーンの特定の箇所の拡張応力を高めるということも可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献1~5のようなバルーンの製造方法では、樹脂製筒状体の加熱および冷却時に、樹脂製筒状体の特定の部分の温度を他の部分の温度よりも高温あるいは低温となるように制御することは困難である。
【0007】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂製筒状体の特定の部分を他の部分よりも高温および低温とすることができるバルーンカテーテルの製造方法、および樹脂製医療用バルーンの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決することができた第1のバルーンカテーテルの製造方法は、長手方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位端部に設けられている樹脂製医療用バルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とするものである。
【0009】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、金型の長手方向の位置によって異なるものであることが好ましい。
【0010】
前記課題を解決することができた第2のバルーンカテーテルの製造方法は、長手方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位端部に設けられている樹脂製医療用バルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、内包物は、外側面に凹部を有し、凹部の深さは、10μm以上であり、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とするものである。
【0011】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、内包物は、一つまたは複数の金型の少なくとも一部を内包するハウジング部材であることが好ましい。
【0012】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、ハウジング部材は、外側面に凸部を有していることが好ましい。
【0013】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、凸部は、ハウジング部材の外側面に配置されているスペーサー部材であることが好ましい。
【0014】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、ハウジング部材は、金型の長手方向に並んで配置されている複数の部分ハウジング部材を有しており、スペーサー部材は部分ハウジング部材の少なくともいずれか一つに配置されていることが好ましい。
【0015】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、凸部は、ハウジング部材の全周に延在していることが好ましい。
【0016】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、凸部は、柱状部に対応する部分の少なくとも一部に配されていることが好ましい。
【0017】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、凸部は、錐状部に対応する部分の少なくとも一部に配されていることが好ましい。
【0018】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、熱ジャケットは、複数の部分熱ジャケットを有していることが好ましい。
【0019】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、熱ジャケットは、金型の一方側面側にある第1部分熱ジャケットと、金型の他方側面側にある第2部分熱ジャケットと、を有しており、第1部分熱ジャケットと第2部分熱ジャケットとが互いに接近することにより内包物が押圧されることが好ましい。
【0020】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、第1部分熱ジャケットと第2部分熱ジャケットは、互いに接続されていることが好ましい。
【0021】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、熱ジャケットは、金型の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケットと近位側部分熱ジャケットとを有していることが好ましい。
【0022】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、金型の外方であって、かつ熱ジャケットの内方に配置されている気孔含有金属体を有していることが好ましい。
【0023】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、気孔含有金属体の単位厚みあたりの弾性変形量は、3μm/mm以上であり、気孔含有金属体の熱伝導率は、0.325W/m・K以上であることが好ましい。
【0024】
前記課題を解決することができた第1の樹脂製医療用バルーンの製造装置は、樹脂製筒状体が内挿される金型と、金型を内包する熱ジャケットと、を有しており、熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、金型の長手方向の位置によって異なるものであることが好ましい。
【0026】
前記課題を解決することができた第2の樹脂製医療用バルーンの製造装置は、樹脂製筒状体が内挿される金型と、金型を内包する熱ジャケットと、を有しており、熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、内包物は、外側面に凹部を有し、凹部の深さは、10μm以上であり、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、内包物は、一つまたは複数の金型の少なくとも一部を内包するハウジング部材であることが好ましい。
【0028】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、ハウジング部材は、外側面に凸部を有していることが好ましい。
【0029】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、凸部は、ハウジング部材の外側面に配置されているスペーサー部材であることが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、ハウジング部材は、金型の長手方向に並んで配置されている複数の部分ハウジング部材を有しており、スペーサー部材は部分ハウジング部材の少なくともいずれか一つに配置されていることが好ましい。
【0031】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、凸部は、ハウジング部材の全周に延在していることが好ましい。
【0032】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、凸部は、柱状部に対応する部分の少なくとも一部に配されていることが好ましい。
【0033】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、金型の内腔は、柱状部と、該柱状部の一端側および他端側に存在している錐状部とを有しており、凸部は、錐状部に対応する部分の少なくとも一部に配されていることが好ましい。
【0034】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、熱ジャケットは、複数の部分熱ジャケットを有していることが好ましい。
【0035】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、熱ジャケットは、金型の一方側面側にある第1部分熱ジャケットと、金型の他方側面側にある第2部分熱ジャケットと、を有しており、第1部分熱ジャケットと第2部分熱ジャケットとが互いに接近することにより内包物が押圧されることが好ましい。
【0036】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、第1部分熱ジャケットと第2部分熱ジャケットは、互いに接続されていることが好ましい。
【0037】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、熱ジャケットは、金型の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケットと近位側部分熱ジャケットとを有していることが好ましい。
【0038】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、金型の外方であって、かつ熱ジャケットの内方に配置されている気孔含有金属体を有していることが好ましい。
【0039】
本発明の樹脂製医療用バルーンの製造装置において、気孔含有金属体の単位厚みあたりの弾性変形量は、3μm/mm以上であり、気孔含有金属体の熱伝導率は、0.325W/m・K以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0040】
本発明の第1のバルーンカテーテルの製造方法によれば、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることにより、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力の高い部分に位置している内包物は他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりやすく、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも高温に、また、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも低温にすることが可能となる。また、本発明の第2のバルーンカテーテルの製造方法によれば、熱ジャケットの内側面に接触している面積の小さい部分に位置している内包物は他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりにくく、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも低温に、また、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも高温にすることが可能となる。
【0041】
本発明の第1の樹脂製医療用バルーンの製造装置によれば、熱ジャケットは該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は熱ジャケットの内側面の位置によって異なることにより、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力の高い部分に位置している内包物は他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりやすい。そのため、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも高温とすることが可能であり、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも低温とすることが可能となる。また、本発明の第2の樹脂製医療用バルーンの製造装置によれば、熱ジャケットの内側に配置されている内包物が凹部を外側面に有しており、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積は熱ジャケットの内側面の位置によって異なることにより、熱ジャケットの内側面に接触している面積の小さい部分に位置している内包物は他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりにくい。そのため、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも低温にでき、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも高温にできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の実施の形態における樹脂製医療用バルーンの製造装置の正面図を表す。
【
図2】
図1に示した樹脂製医療用バルーンの製造装置のII-II断面図を表す。
【
図3】
図1に示した樹脂製医療用バルーンの製造装置のIII-III断面図を表す。
【
図4】本発明の実施の形態における樹脂製医療用バルーンの製造装置の内包物の上面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0044】
まず、本発明の第1の樹脂製医療用バルーンの製造装置について、
図1~
図5を参照して説明する。
【0045】
図1は本発明の実施の形態における樹脂製医療用バルーンの製造装置1の正面図であり、
図2は
図1に示した樹脂製医療用バルーンの製造装置1における樹脂製筒状体10の長手方向に垂直な断面であるII-II断面図であり、
図3は
図1に示した樹脂製医療用バルーンの製造装置1における樹脂製筒状体10の長手方向に垂直な断面であるIII-III断面図であり、
図4は樹脂製医療用バルーンの製造装置1における内包物100を上から見た上面図である。なお、樹脂製筒状体10の長手方向は、樹脂製筒状体10の遠近方向と言い換えることができる。
【0046】
本発明における樹脂製医療用バルーンは、樹脂製筒状体10の内部に圧力を加え、樹脂製筒状体10を加熱し、長手方向へ延伸することによって製造することができる。具体的には、樹脂製筒状体10にブロー成形をすることによって樹脂製医療用バルーンを製造できる。樹脂製医療用バルーンの製造において、樹脂製筒状体10の延伸前から内部を加圧してもよく、延伸と同時に内部を加圧してもよく、また、延伸中や延伸後に内部を加圧してもよい。中でも、樹脂製筒状体10の内部に圧力を加えた状態で樹脂製筒状体10を長手方向へ延伸することが好ましい。樹脂製筒状体10の内部に圧力を加えた状態で樹脂製筒状体10を長手方向へ延伸して樹脂製医療用バルーンを製造することにより、樹脂製医療用バルーンの製造効率を高めることができる。
【0047】
図1~
図3に示すように、本発明の第1の樹脂製医療用バルーンの製造装置1は、樹脂製筒状体10が内挿される金型20と、金型20を内包する熱ジャケット30と、を有しており、熱ジャケット30は、該熱ジャケット30の内側に存在している内包物100を押圧するものであり、熱ジャケット30の内側面が内包物100から受ける圧力は、熱ジャケット30の内側面の位置によって異なるものであることを特徴とするものである。以下では、樹脂製医療用バルーンの製造装置を、単に「製造装置」ということがある。なお、本発明の製造装置を樹脂製医療用バルーンとは異なるものの製造に使用することも可能である。
【0048】
樹脂製筒状体10は、合成樹脂から構成されており、所謂、ブロー成形に用いるパリソンである。
【0049】
樹脂製筒状体10を構成する材料は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。樹脂製筒状体10を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ラテックスゴム等の天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、樹脂製筒状体10を構成する材料は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。特に、樹脂製医療用バルーンの薄膜化や柔軟性の点からエラストマー樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリアミド系樹脂の中で樹脂製筒状体10に好適な材料としては、ナイロン12、ナイロン11等が挙げられ、ブロー成形する際に比較的容易に成形可能である点から、ナイロン12が好適に用いられる。また、樹脂製医療用バルーンの薄膜化や柔軟性の点から、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリアミドエーテルエラストマー等のポリアミドエラストマーが好ましく用いられる。中でも、降伏強度が高く、樹脂製医療用バルーンの寸法安定性が良好な点から、ポリエーテルエステルアミドエラストマーが好ましく用いられる。
【0050】
樹脂製筒状体10の肉厚は、樹脂製医療用バルーンの肉厚に応じて設定することができるが、例えば、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.05mm以上、0.07mm以上、0.1mm以上とすることができる。
【0051】
樹脂製筒状体10は、例えば、押出成形、射出成形等によって製造することができる。中でも、樹脂製筒状体10は、押出成形によって製造されていることが好ましい。樹脂製筒状体10が押出成形によって製造されていることにより、樹脂製筒状体10を短時間で大量に製造することが可能となり、樹脂製医療用バルーンの生産効率を高めることができる。
【0052】
金型20は、内部に樹脂製筒状体10を内挿し、樹脂製筒状体10をブロー成形して樹脂製医療用バルーンを製造する。金型20は、内部に樹脂製医療用バルーンの外形と同じ形状の空間を有しており、この内部空間に樹脂製筒状体10を配置する。
【0053】
金型20は、複数の部分金型を有していることが好ましい。具体的には、例えば、樹脂製医療用バルーンの中央部の直管部を形成する中央部金型と、樹脂製医療用バルーンの直管部の両端に位置するテーパー部を形成する端部金型を中央部金型の両側に有する構成等が挙げられる。金型20が中央部金型、および中央部金型の両側に配置される端部金型を有する構成であることにより、中央部金型や端部金型を取り替えることによって様々な形状の樹脂製医療用バルーンを製造することができる。
【0054】
金型20を構成する材料は、金属であることが好ましく、鉄、銅、アルミニウム、またはこれらの合金であることがより好ましい。例えば、鉄の合金としてはステンレス等が挙げられ、銅の合金としては真鍮等が挙げられ、アルミニウムの合金としてはジュラルミン等が挙げられる。金型20を構成する材料が鉄、銅、アルミニウム、またはこれらの合金であることにより、金型20の熱容量が大きく、また、伝熱性が高いため、金型20全体の温度が一定となりやすい。その結果、金型20の内部に配置されている樹脂製筒状体10に温度ムラが発生しにくく、樹脂製医療用バルーンの製造が行いやすくなる。
【0055】
樹脂製筒状体10の長手方向の長さは、金型20の内部空間の長手方向の長さよりも長いことが好ましい。つまり、樹脂製筒状体10を金型20の内部に配置した状態において、樹脂製筒状体10の両端部が金型20から露出していることが好ましい。樹脂製筒状体10の長手方向の長さが金型20の内部空間の長手方向の長さよりも長いことにより、樹脂製筒状体10のブロー成形が行いやすく、樹脂製医療用バルーンの製造効率を高めることが可能となる。
【0056】
樹脂製筒状体10の長手方向の長さは、金型20の内部空間の長さの1.05倍以上であることが好ましく、1.10倍以上であることがより好ましく、1.15倍以上であることがさらに好ましい。樹脂製筒状体10の長手方向の長さと金型20の内部空間の長さとの比の下限値を上記の範囲に設定することにより、樹脂製筒状体10のブロー成形の際に、樹脂製筒状体10の両端部を十分に把持して、樹脂製筒状体10を長手方向両側へ伸張させることができ、伸張開始工程が行いやすくなる。また、樹脂製筒状体10の長手方向の長さと金型20の内部空間の長さとの比の上限値は、例えば、金型20の内部空間の長さの100倍以下、90倍以下、80倍以下、70倍以下とすることができる。
【0057】
熱ジャケット30は、金型20を内包し、金型20の温度の調節を行う。つまり、熱ジャケット30は、金型20の加熱と冷却のいずれか一方または両方を行うことができる。
【0058】
図2および
図3に示すように、熱ジャケット30は、温度調節物40を有していることが好ましい。熱ジャケット30を金型20の加熱に用いる場合の温度調節物40としてはカートリッジヒーター等が挙げられ、熱ジャケット30を金型20の冷却に用いる場合の温度調節物40としては冷却水流路等が挙げられる。熱ジャケット30が温度調節物40を有していることにより、熱ジャケット30の温度を変化させることが容易となる。
【0059】
熱ジャケット30は、該熱ジャケット30の内側に存在している内包物100を押圧するものであり、熱ジャケット30の内側面が内包物100から受ける圧力は、熱ジャケット30の内側面の位置によって異なる。内包物100から受ける圧力が高い熱ジャケット30の内側面の部分は、他の部分よりも内包物100と密着しているため、熱ジャケット30の温度が内包物100に伝わりやすい。そのため、熱ジャケット30の内側面が内包物100から、熱ジャケット30の内側面の位置によって異なる圧力を受けることにより、内包物100から受ける圧力が高い熱ジャケット30の内側面の部分に位置している内包物100を、加熱時には熱ジャケット30が他の部分よりも高温となるように加熱することができ、冷却時には熱ジャケット30が他の部分よりも低温となるように冷却することができる。
【0060】
金型20の加熱時における熱ジャケット30の温度は、金型20の加熱目標温度と同じか加熱目標温度よりも高く、金型20の冷却時における熱ジャケット30の温度は、金型20の冷却目標温度と同じか冷却目標温度よりも低いことが好ましい。
【0061】
金型20の加熱時における熱ジャケット30の温度の下限値は、金型20の加熱目標温度よりも1℃高い温度であることが好ましく、5℃高い温度であることがより好ましく、10℃高い温度であることがさらに好ましく、15℃高い温度であることがさらにより好ましく、20℃高い温度であることが特に好ましい。熱ジャケット30の温度の下限値を上記の範囲に設定することにより、金型20の温度を加熱目標温度まで短時間で上げることが可能となる。また、金型20の加熱時における熱ジャケット30の温度の上限値は、金型20の加熱目標温度よりも250℃高い温度であることが好ましく、225℃高い温度であることがより好ましく、200℃高い温度であることがさらに好ましい。熱ジャケット30の温度の上限値を上記の範囲に設定することにより、金型20の温度を調節しやすくなる。
【0062】
金型20の冷却時における熱ジャケット30の温度の上限値は、金型20の冷却目標温度よりも1℃低い温度であることが好ましく、3℃低い温度であることがより好ましく、5℃低い温度であることがさらに好ましく、7℃低い温度であることがさらにより好ましく、10℃低い温度であることが特に好ましい。熱ジャケット30の温度の上限値を上記の範囲に設定することにより、金型20の温度を素早く冷却目標温度まで低下させることができる。また、金型20の冷却時における熱ジャケット30の温度の下限値は、金型20の冷却目標温度よりも100℃低い温度であることが好ましく、90℃低い温度であることがより好ましく、80℃低い温度であることがさらに好ましい。熱ジャケット30の温度の下限値を上記の範囲に設定することにより、金型20の温度の調節が容易となる。
【0063】
熱ジャケット30は、金型20の加熱に用いる加熱ジャケットと、金型20の冷却に用いる冷却ジャケットを有していることが好ましい。熱ジャケット30が加熱ジャケットと冷却ジャケットの両方を有していることにより、熱ジャケット30の温度を、例えば、金型20の加熱に適した温度から金型20の冷却に適した温度に変えるように、樹脂製医療用バルーンの製造において熱ジャケット30の温度を大きく変化させる必要がなく、熱ジャケット30の温度調節にかかる時間を短縮することができる。その結果、樹脂製医療用バルーンの製造効率を向上させることが可能となる。
【0064】
熱ジャケット30の内側面が内包物100から受ける圧力は、熱ジャケット30の内側面の位置によって異なっていればよく、例えば、金型20の長手方向の位置によって異なるものであってもよく、金型20の周方向の位置によって異なるものであってもよい。中でも、熱ジャケット30の内側面が内包物100から受ける圧力は、金型20の長手方向の位置によって異なるものであることが好ましい。熱ジャケット30の内側面が内包物100から受ける圧力が金型20の長手方向の位置によって異なるものであることにより、金型20の長手方向において、熱ジャケット30の温度が伝わりやすい内包物100の部分を設けることができ、例えば、樹脂製筒状体10の長手方向の中央部を他の部分よりも高温にすること等が可能となる。
【0065】
次に、本発明の第2の樹脂製医療用バルーンの製造装置について説明する。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0066】
図4および
図5に示すように、本発明の第2の樹脂製医療用バルーンの製造装置1は、樹脂製筒状体10が内挿される金型20と、金型20を内包する熱ジャケット30と、を有しており、熱ジャケット30の内側に内包物100が配置されており、内包物100は、外側面に凹部110を有し、凹部110の深さは、10μm以上であり、熱ジャケット30の内側面と内包物100とが接触している面積は、熱ジャケット30の内側面の位置によって異なるものであることを特徴とするものである。
【0067】
熱ジャケット30の内側に配置されている内包物100が、外側面に凹部110を有しており、熱ジャケット30の内側面と内包物100とが接触している面積が熱ジャケット30の内側面の位置によって異なることにより、凹部110に位置している内包物100の部分は、内包物100の他の部分よりも熱ジャケット30との距離が離れており、熱ジャケット30と接触しにくくなって、熱ジャケット30の内側面と接触している面積が小さくなる。そのため、凹部110に位置している内包物100の部分は、内包物100の他の部分よりも熱ジャケット30の温度が伝わりにくく、熱ジャケット30が内包物100を加熱している際には他の部分よりも低温に、熱ジャケット30が内包物100を冷却している際には他の部分よりも高温にすることができる。
【0068】
凹部110の深さは、10μm以上であればよいが、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。凹部110の深さの下限値を上記の範囲に設定することにより、凹部110に位置している内包物100の部分へ熱ジャケット30の温度が伝わりにくくなり、凹部110に位置している内包物100の部分の温度を内包物100の他の部分の温度よりも、内包物100の加熱時には低く、内包物100の冷却時には高くすることができる。また、凹部110の深さは、内包物100の肉厚の90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。凹部110の深さの上限値を上記の範囲に設定することにより、熱ジャケット30の温度を凹部110に位置している内包物100の部分へも伝わり、樹脂製筒状体10の全体を十分に加熱および冷却することができる。その結果、樹脂製医療用バルーンの製造を効率的に行うことが可能となる。
【0069】
凹部110は、ハウジング部材70の外側面に設けられていることが好ましい。凹部110がハウジング部材70の外側面に設けられていることにより、内包物100において、ハウジング部材70の凹部110に位置する部分の温度を、ハウジング部材70の他の部分よりも内包物100の加熱時には低温に、内包物100の冷却時には高温としやすくなる。そのため、樹脂製医療用バルーンの製造時において内包物100に温度差をつけやすくなる。
【0070】
凹部110は、ハウジング部材70と一体構造であってもよく、ハウジング部材70とは別部材であって、ハウジング部材70に取り付けられているものであってもよい。中でも、凹部110は、ハウジング部材70に配置されているスペーサー部材121であることが好ましい。凹部110がハウジング部材70に配置されているスペーサー部材121であることにより、スペーサー部材121の位置を変えることによって内包物100の他の部分よりも高温および低温となる位置を変化させることができる。
【0071】
内包物100は、一つまたは複数の金型20の少なくとも一部を内包するハウジング部材70であることが好ましい。つまり、樹脂製筒状体10が内挿される一つまたは複数の金型20の少なくとも一部を内包するハウジング部材70が内包物100であることが好ましい。内包物100がハウジング部材70であることにより、金型20が小型である場合や金型20が複数の部分金型を有している場合等に、金型20を取り扱いやすくすることができ、樹脂製医療用バルーンの製造効率を向上させることができる。
【0072】
図4に示すように、ハウジング部材70は、外側面に凸部120を有していることが好ましい。ハウジング部材70が外側面に凸部120を有していることにより、凸部120の部分が熱ジャケット30に密着しやすくなる。その結果、凸部120が存在している部分に配置されている内包物100の部分へ熱ジャケット30の温度が伝わりやすくなるため、内包物100において他の部分よりも高温となる部分や低温となる部分が認識しやすく、樹脂製医療用バルーンの製造時における温度の制御が容易となる。
【0073】
凸部120の高さは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。凸部120の高さの下限値を上記の範囲に設定することにより、凸部120が熱ジャケット30の内側面へ十分に押し付けられ、凸部120の部分に位置している内包物100に熱ジャケット30の温度が伝わりやすくなる。また、凸部120の高さは、ハウジング部材70の肉厚の90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。凸部120の高さの上限値を上記の範囲に設定することにより、ハウジング部材70の凸部120以外の部分にも熱ジャケット30の温度が十分に伝わることができる。そのため、樹脂製筒状体10への加熱および冷却にかかる時間を短縮することが可能となって、樹脂製医療用バルーンの製造効率を高めることができる。なお、ハウジング部材70が凸部120と凹部110の両方を有しており、凸部120と凹部110が隣接している場合、凸部120の高さに凹部110の深さは含まないこととする。つまり、凸部120の高さを測定する際に、ハウジング部材70の凸となっている部分の高さから凹部110の深さを引いたものを凸部120の高さとする。
【0074】
凸部120は、ハウジング部材70と一体構造であってもよく、ハウジング部材70とは別部材であって、ハウジング部材70に取り付けられているものであってもよい。中でも、凸部120は、ハウジング部材70の外側面に配置されているスペーサー部材121であることが好ましい。凸部120がハウジング部材70の外側面に配置されているスペーサー部材121であることにより、スペーサー部材121の位置を変えることによって内包物100の他の部分よりも高温および低温となる位置を変えることが可能となる。
【0075】
図4に示すように、ハウジング部材70は、金型20の長手方向に並んで配置されている複数の部分ハウジング部材71、72、73を有しており、スペーサー部材121は部分ハウジング部材71、72、73の少なくともいずれか一つに配置されていることが好ましい。スペーサー部材121が部分ハウジング部材71、72、73の少なくともいずれか一つに配置されていることにより、ハウジング部材70における凸部120の位置を変更することが容易となり、熱ジャケット30による内包物100の加熱時に他の部分よりも高温にしたい場所、および熱ジャケット30による内包物100の冷却時に他の部分よりも低温にしたい場所を制御しやすくなる。
【0076】
図2および
図3に示すように、凸部120は、ハウジング部材70の全周に延在していることが好ましい。凸部120がハウジング部材70の全周に延在していることにより、凸部120が配置されている部分において、ハウジング部材70の全周が熱ジャケット30の内周に密着しやすくなる。そのため、凸部120が配置されている部分に位置する内包物100の全周に熱ジャケット30の温度が伝わりやすくなり、内包物100を効率的に加熱および冷却することが可能となる。
【0077】
ハウジング部材70が複数の部分ハウジング部材71、72、73を有している場合、凸部120は、部分ハウジング部材71、72、73の少なくとも1つの全周に延在していることが好ましい。凸部120が部分ハウジング部材71、72、73の少なくとも1つの金型20の全周に延在していることにより、部分ハウジング部材71、72、73のうち凸部120を有しているものを他の部分よりも加熱時には高温、冷却時には低温としやすくなる。
【0078】
図5は
図4に示した内包物100のV-V断面図である。
図5に示すように、金型20の内腔は、柱状部21と、該柱状部21の一端側および他端側に存在している錐状部22とを有しており、凸部120は、柱状部21に対応する部分の少なくとも一部に配されていることが好ましい。金型20の柱状部21は樹脂製医療用バルーンの直管部の形成に寄与し、金型20の錐状部22は樹脂製医療用バルーンの直管部よりも遠位側および近位側に配されている樹脂製医療用バルーンのテーパー部の形成に寄与する。凸部120が柱状部21に対応する部分の少なくとも一部に配されていることにより、成形後に樹脂製医療用バルーンの直管部となる部分を、内包物100の加熱時には他の部分よりも高温にすることができ、また、内包物100の冷却時には他の部分よりも低温にすることができる。そのため、例えば、直管部の厚みを薄くして直管部が拡張されやすい樹脂製医療用バルーンや、直管部の硬度が高くて血管の狭窄部の拡張応力が高い樹脂製医療用バルーンを製造することができる。
【0079】
また、図示していないが、金型20の内腔は、柱状部21と、該柱状部21の一端側および他端側に存在している錐状部22とを有しており、凸部120は、錐状部22に対応する部分の少なくとも一部に配されていることも好ましい。凸部120が錐状部22に対応する部分の少なくとも一部に配されていることにより、成形後に樹脂製医療用バルーンのテーパー部となる部分を、内包物100の加熱時には他の部分よりも高温に、また、冷却時には他の部分よりも低温にすることができる。
【0080】
熱ジャケット30は、複数の部分熱ジャケットを有していることが好ましい。つまり、熱ジャケット30は、複数の部分熱ジャケットから構成されていることが好ましい。熱ジャケット30が複数の部分熱ジャケットを有していることにより、熱ジャケット30を分割することができ、熱ジャケット30の内方に金型20を配置することが容易となる。
【0081】
部分熱ジャケットは、金型20の周方向に複数配置されていてもよく、金型20の軸方向に複数配置されていてもよい。部分熱ジャケットが金型20の周方向に複数配置されている場合は、例えば、熱ジャケット30を半割れ状の構造とすることができ、金型20を熱ジャケット30の内方に配置しやすくなる。部分熱ジャケットが金型20の軸方向に複数配置されている場合は、各部分熱ジャケットの温度をそれぞれ設定することができ、金型20の軸方向において金型20の加熱温度または冷却温度を異なるようにすることが可能となる。
【0082】
図1~
図3に示すように、熱ジャケット30は、金型20の一方面側にある第1部分熱ジャケット31と、金型20の他方面側にある第2部分熱ジャケット32と、を有しており、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とが互いに接近することにより内包物100が押圧されることが好ましい。第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とが互いに接近することによって内包物100が押圧されることにより、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32との距離を調節することによって熱ジャケット30の内側面が内包物100から受ける圧力を調節することが可能となる。そのため、熱ジャケット30が内包物100を押圧することが容易となる。
【0083】
図1および
図2に示すように、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32は、互いに接続されていることが好ましい。第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とが互いに接続されていることにより、熱ジャケット30が金型20の一方面側と他方面側とで開閉可能な構造となる。その結果、熱ジャケット30の内方に金型20を配置することや取り去ることが容易となり、樹脂製医療用バルーンの製造の効率を高めることができる。
【0084】
第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とを互いに接続する方法としては、例えば、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とをシリンダーを介して接続する、ヒンジを介して接続する等の方法が挙げられる。中でも、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32は、シリンダーを介して互いに接続されていることが好ましい。第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とがシリンダーを介して互いに接続されていることにより、熱ジャケット30の開閉をシリンダーによって行うことができ、熱ジャケット30の開閉操作が容易かつ確実となる。さらに、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とがシリンダーを介して互いに接続されていることによって、第1部分熱ジャケット31と第2部分熱ジャケット32とを金型20等の内包物に押し付ける力を制御することが可能となる。なお、シリンダーの種類としては、例えば、エアシリンダー、油圧シリンダー、電動シリンダー等が挙げられる。
【0085】
図1に示すように、熱ジャケット30は、金型20の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34とを有していることが好ましい。熱ジャケット30が金型20の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34とを有していることにより、遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34とで異なる温度に設定することが容易となる。そのため、樹脂製筒状体10の加熱温度または冷却温度を各部位によって異なる温度とすることが可能となる。
【0086】
熱ジャケット30が金型20の長手方向に互いに離間して配置されている遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34とを有している場合、遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34との距離は、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましい。遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34との距離の下限値を上記の範囲に設定することにより、遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34との間に適度な距離をとることができ、遠位側部分熱ジャケット33および近位側部分熱ジャケット34が互いに温度の影響を与えにくくすることができる。また、遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34との距離は、20mm以下であることが好ましく、18mm以下であることがより好ましく、15mm以下であることがさらに好ましい。遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34との距離の上限値を上記の範囲に設定することにより、遠位側部分熱ジャケット33と近位側部分熱ジャケット34との間の隙間が大きくなりすぎることによって金型20と熱ジャケット30との間に外部の空気が大量に入り込むことを防ぎ、熱ジャケット30による金型20の加熱および冷却の効率を高めることが可能となる。なお、熱ジャケット30は、遠位側部分熱ジャケット33よりも遠位側に部分熱ジャケットをさらに有していてもよく、近位側部分熱ジャケット34よりも近位側に部分熱ジャケットをさらに有していてもよい。また、金型20の一方面側にある部分熱ジャケットの数と、金型20の他方面側にある部分熱ジャケットの数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0087】
図1および
図2に示すように、製造装置1は、金型20の外方であって、かつ熱ジャケット30の内方に配置されている気孔含有金属体50を有していることが好ましい。つまり、金型20と熱ジャケット30の間に気孔含有金属体50が設けられていることが好ましい。
【0088】
気孔含有金属体50は、複数の気孔を有している金属体である。気孔含有金属体50を金型20の外方かつ熱ジャケット30の内方に配置することにより、金型20と熱ジャケット30に挟まれた気孔含有金属体50の気孔部分が潰れて気孔含有金属体50が変形し、気孔含有金属体50が金型20と熱ジャケット30との間に存在している隙間を埋めることができる。その結果、熱ジャケット30の温度を金型20へ均一に伝えやすくなるために熱ジャケット30が金型20を均一に加熱または冷却することが可能となり、肉厚のムラや曲がりの少ない樹脂製医療用バルーンを製造することができる。
【0089】
気孔含有金属体50の単位厚みあたりの弾性変形量は3μm/mm以上であり、気孔含有金属体50の熱伝導率は0.325W/m・K以上であることが好ましい。気孔含有金属体50の単位厚みあたりの弾性変形量が3μm/mm以上であって、気孔含有金属体50の熱伝導率が0.325W/m・K以上であることにより、気孔含有金属体50が弾性変形性と熱伝導性の両方を備えたものとなる。そのため、金型20と熱ジャケット30との間の隙間を気孔含有金属体50が十分に埋めることができ、かつ、熱ジャケット30の温度を金型20に十分伝えることができるため、金型20を均一に加熱または冷却しやすくなる。
【0090】
なお、気孔含有金属体50の単位厚みあたりの弾性変形量および熱伝導率は、気孔含有金属体50に100N/cm2の圧力を5回印加して、気孔含有金属体50を5回圧縮した後に測定する。
【0091】
気孔含有金属体50の単位厚みあたりの弾性変形量は、3μm/mm以上であることが好ましく、3.5μm/mm以上であることがより好ましく、4μm/mm以上であることがさらに好ましい。気孔含有金属体50の単位厚みあたりの弾性変形量の下限値を上記の範囲に設定することにより、気孔含有金属体50が弾性変形しやすくなり、金型20と熱ジャケット30との間にある隙間の形状に気孔含有金属体50が沿いやすくなる。また、気孔含有金属体50の単位厚みあたりの弾性変形量の上限値は、例えば、30μm/mm以下、25μm/mm以下、20μm/mm以下とすることができる。
【0092】
気孔含有金属体50の熱伝導率は、0.325W/m・K以上であることが好ましく、0.412W/m・K以上であることがより好ましく、0.5W/m・K以上であることがさらに好ましい。気孔含有金属体50の熱伝導率の下限値を上記の範囲に設定することにより、気孔含有金属体50が気孔を有する構成でありながら十分な熱伝導率を有するものとなり、熱ジャケット30の温度を金型20に伝えやすく、熱ジャケット30によって効率的に金型20を加熱または冷却することが可能となる。また、気孔含有金属体50の熱伝導率の上限値は、例えば、400W/m・K以下、300W/m・K以下、200W/m・K以下とすることができる。
【0093】
気孔含有金属体50の初期の単位厚みあたりの塑性変形量は、100μm/mm以下であることが好ましい。気孔含有金属体50の初期の単位厚みあたりの塑性変形量が100μm/mm以下であることにより、金型20と熱ジャケット30の間に気孔含有金属体50を配置した際に、気孔含有金属体50に大きな塑性変形が生じにくく、金型20と熱ジャケット30との間の隙間を気孔含有金属体50が十分に埋めることが可能となる。
【0094】
気孔含有金属体50の初期の単位厚みあたりの塑性変形量は、100μm/mm以下であることが好ましく、90μm/mm以下であることがより好ましく、85μm/mm以下であることがさらに好ましい。気孔含有金属体50の初期の単位厚みあたりの塑性変形量の上限値を上記の範囲に設定することにより、気孔含有金属体50が塑性変形しにくいものとなり、金型20の外方かつ熱ジャケット30の内方に気孔含有金属体50を配置した際に、気孔含有金属体50が金型20と熱ジャケット30との間にある隙間を埋めやすくなる。また、気孔含有金属体50の初期の単位厚みあたりの塑性変形量の下限値は、例えば、1μm/mm以上、3μm/mm以上、5μm/mm以上とすることができる。
【0095】
気孔含有金属体50を構成する材料の金属含有率は、90%以上であることが好ましい。気孔含有金属体50を構成する材料の金属含有率が90%以上であることにより、気孔含有金属体50の強度が高く、気孔含有金属体50を金型20の外方であって熱ジャケット30の内方へ繰り返し配置することが可能となる。また、気孔含有金属体50の熱伝導率も高めることができるため、熱ジャケット30の温度を金型20に効率的に伝えることができ、樹脂製医療用バルーンの製造効率を高められる。
【0096】
気孔含有金属体50を構成する材料の金属含有率は、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。気孔含有金属体50を構成する材料の金属含有率の下限値を上記の範囲に設定することにより、気孔含有金属体50の強度および熱伝導率を高めることができる。また、気孔含有金属体50を構成する材料の金属含有率は高いことが好ましく、金属含有率の上限値は、例えば、100%以下、99.5%以下、99%以下とすることができる。
【0097】
気孔含有金属体50が1インチあたりに有している気孔の数は、8ppi以上8500ppi以下であることが好ましい。気孔含有金属体50が1インチあたりに有している気孔の数が8ppi以上8500ppi以下であることにより、気孔含有金属体50が弾性変形しやすいものとなって、金型20と熱ジャケット30との間に存在している隙間を埋めやすくなる。
【0098】
気孔含有金属体50が1インチあたりに有している気孔の数は、8ppi以上であることが好ましく、50ppi以上であることがより好ましく、100ppi以上であることがさらに好ましい。気孔含有金属体50が1インチあたりに有している気孔の数の下限値を上記の範囲に設定することにより、気孔含有金属体50の弾性を高めることができる。また、気孔含有金属体50が1インチあたりに有している気孔の数は、8500ppi以下であることが好ましく、8000ppi以下であることがより好ましく、7500ppiであることがさらに好ましい。気孔含有金属体50が1インチあたりに有している気孔の数の上限値を上記の範囲に設定することにより、気孔含有金属体50が十分な弾性を有しながら、熱ジャケット30の温度が気孔含有金属体50を通して金型20に伝わりやすくなり、樹脂製医療用バルーンの製造の効率を高めることが可能となる。
【0099】
気孔含有金属体50は、金、白金、銀、銅、アルミ、ステンレス、チタン、モリブデン、タンタル、ニッケルおよびコバルトの少なくとも1つを含んでいることが好ましい。気孔含有金属体50が金、白金、銀、銅、アルミ、ステンレス、チタン、モリブデン、タンタル、ニッケルおよびコバルトの少なくとも1つを含んでいることにより、気孔含有金属体50が弾性および熱伝導率を十分に有するものとすることができる。
【0100】
気孔含有金属体50は、中でも、銀、銅およびニッケルの少なくとも1つを含んでいることがより好ましく、銀を含んでいることがさらに好ましい。気孔含有金属体50が銀、銅およびニッケルの少なくとも1つを含んでいることにより、気孔含有金属体50の製造および取り扱いが容易であり、かつ、弾性と熱伝導率とのバランスがとれた気孔含有金属体50となる。
【0101】
気孔含有金属体50は、金型20の軸方向の全体に配置されていてもよいが、金型20の軸方向の一部に配置されていることが好ましい。金型20の軸方向の一部に気孔含有金属体50が配置されていることにより、金型20と熱ジャケット30との間に隙間のない、金型20と熱ジャケット30とが気孔含有金属体50を介して接触している部分を金型20の軸方向において設けることができる。金型20と熱ジャケット30とが気孔含有金属体50を介して接触している部分より、熱ジャケット30の温度を金型20へ伝え、均一に加熱または冷却することができる。
【0102】
図示していないが、気孔含有金属体50は、熱ジャケット30と温度調節物40との間にも配置されていることが好ましい。熱ジャケット30と温度調節物40との間に気孔含有金属体50が配置されていることにより、熱ジャケット30と温度調節物40との間にある隙間を気孔含有金属体50が埋めることができる。そのため、温度調節物40の温度が熱ジャケット30に伝わりやすく、また、気孔含有金属体50の表面方向への熱拡散能力が高いため、熱ジャケット30の温度を素早く一定にすることができる。
【0103】
熱ジャケット30がハウジング部材70を内包している場合、気孔含有金属体50は、熱ジャケット30の内方であって、かつハウジング部材70の外方に配置されていることが好ましい。つまり、気孔含有金属体50は、熱ジャケット30とハウジング部材70との間に配置されていることが好ましい。気孔含有金属体50が熱ジャケット30の内方かつハウジング部材70の外方に配置されていることにより、熱ジャケット30とハウジング部材70との間にある隙間を気孔含有金属体50が埋め、熱ジャケット30の温度をハウジング部材70に均一に伝えることが可能となる。その結果、ハウジング部材70を介して金型20も均一に加熱または冷却することができる。
【0104】
ハウジング部材70を構成する材料は、例えば、鉄、銅、アルミニウムまたはこれらの合金等の金属、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、ハウジング部材70を構成する材料は、金属であることが好ましく、金型20を構成する金属と同じ金属であることがより好ましい。ハウジング部材70を構成する材料が金属であることにより、熱ジャケット30の温度がハウジング部材70に伝わりやすく、熱ジャケット30の温度を、ハウジング部材70を介して金型20へ均一に伝えやすくなる。
【0105】
本発明の第1および第2のバルーンカテーテルの製造方法について説明する。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0106】
本発明の第1のバルーンカテーテルの製造方法は、長手方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位端部に設けられている樹脂製医療用バルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とする。
【0107】
本発明の第2のバルーンカテーテルの製造方法は、長手方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位端部に設けられている樹脂製医療用バルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、内包物は、外側面に凹部を有し、凹部の深さは、10μm以上であり、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とする。
【0108】
以下では、樹脂製医療用バルーンを、単に「バルーン」ということがある。本発明において、遠位側とはバルーンの延在方向に対して処置対象物(患部)側の方向を指し、近位側とは遠位側の反対側、すなわちバルーンの延在方向に対して使用者、つまり術者の手元側の方向を指す。また、バルーンの近位側から遠位側への方向を長手方向と称する。
【0109】
バルーンカテーテルは、シャフトを通じてバルーンの内部に流体が供給されるように構成され、インデフレーター(バルーン用加圧器)を用いてバルーンの拡張および収縮を制御することができる。流体は、ポンプ等によって加圧した圧力流体であってもよい。
【0110】
シャフトは、遠近方向に延在しており、内部に流体の流路が設けられている。また、シャフトは、内部にガイドワイヤの挿通路を有していることが好ましい。シャフトが内部に流体の流路およびガイドワイヤの挿通路を有する構成とするには、例えば、シャフトが外側チューブと内側チューブとを有する構成が挙げられる。シャフトがこのような構成であることにより、内側チューブがガイドワイヤの挿通路として機能し、内側チューブと外側チューブの間の空間が流体の流路として機能することができる。シャフトが外側チューブと内側チューブとを有している場合、内側チューブが外側チューブの遠位端から延出してバルーンを遠近方向に貫通し、バルーンの遠位側が内側チューブに接合され、バルーンの近位側が外側チューブと接合されることが好ましい。
【0111】
本発明は、シャフトの遠位側から近位側にわたってワイヤを挿通する、所謂オーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルと、シャフトの遠位側から近位側に至る途中までワイヤを挿通する、所謂ラピッドエクスチェンジ型のバルーンカテーテルのいずれにも適用することができる。図示していないが、バルーンカテーテルがオーバーザワイヤ型である場合、シャフトに流体を送り込むために、シャフトの近位側にハブを有していてもよい。ハブは、バルーンの内部に供給される流体の流路と連通した流体注入部を有することが好ましい。バルーンカテーテルが流体注入部を有するハブを有していることにより、バルーンの内部に流体を供給してバルーンを拡張および収縮させる操作が容易となる。また、バルーンカテーテルがオーバーザワイヤ型である場合には、ガイドワイヤの挿通路と連通したガイドワイヤ挿入部を有することが好ましい。オーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルがガイドワイヤ挿入部を備えるハブを有していることにより、ガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを処置対象部位へ送り込む操作が行いやすくなる。
【0112】
シャフトとハブとの接合は、例えば、接着剤による接着、溶着等が挙げられる。中でも、シャフトとハブは、接着によって接合されていることが好ましい。シャフトとハブとが接着されていることにより、例えば、シャフトは柔軟性の高い材料から構成され、ハブは剛性の高い材料から構成されている等、シャフトを構成する材料とハブを構成する材料とが異なっている場合であっても、シャフトとハブとの接合強度を高めてバルーンカテーテルの耐久性を高めることが可能となる。
【0113】
シャフトを構成する材料は、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、シャフトを構成する材料は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびフッ素系樹脂の少なくとも1つであることが好ましい。シャフトを構成する材料がポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびフッ素系樹脂の少なくとも1つであることにより、シャフトの表面の滑り性を高め、バルーンカテーテルの血管への挿通性を向上させることができる。
【0114】
バルーンは、シャフトの遠位端部に設けられている。バルーンとシャフトとの接合は、例えば、接着剤による接着、溶着、バルーンとシャフトとが重なっている箇所にリング状部材を取り付けてかしめること等が挙げられる。中でも、バルーンとシャフトは、溶着によって接合されていることが好ましい。バルーンとシャフトとが溶着されていることにより、バルーンとシャフトの接合強度を高めることができ、バルーンを繰り返し拡張および収縮させてもバルーンとシャフトとの接合が外れにくくなる。
【0115】
バルーンは、直管部、直管部の近位側に接続される近位側テーパー部、および直管部の遠位側に接続される遠位側テーパー部を有することが好ましい。近位側テーパー部および遠位側テーパー部は、直管部から離れるにつれて縮径するように形成されていることが好ましい。バルーンが直管部を有していることにより、直管部が狭窄部と十分に接触して狭窄部の拡張が行いやすくなる。さらに、バルーンが直管部から離れるにつれて外径が小さくなる近位側テーパー部および遠位側テーパー部を有していることにより、バルーンを収縮させてシャフトに巻き付けた際に、バルーンの遠位端部および近位端部の外径を小さくして、シャフトとバルーンとの段差を小さくすることができるため、バルーンを長手方向に挿通させやすくなる。なお、本発明においては、膨張可能な部分をバルーンと見なす。
【0116】
バルーンの外径は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。バルーンの外径の下限値を上記の範囲に設定することにより、血管内の狭窄部を十分に拡張することができる。また、バルーンの外径は、35mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、25mm以下であることがさらに好ましい。バルーンの外径の上限値を上記の範囲に設定することにより、バルーンの外径が大きくなることを防止することができる。
【0117】
バルーンの長手方向の長さは、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましく、15mm以上であることがさらに好ましい。バルーンの長手方向の長さの下限値を上記の範囲に設定することにより、一度に拡張できる狭窄部の面積を大きくして手技にかかる時間を短縮することが可能となる。また、バルーンの長手方向の長さは、300mm以下であることが好ましく、200mm以下であることがより好ましく、100mm以下であることがさらに好ましい。バルーンの長手方向の長さの上限値を上記の範囲に設定することにより、狭窄部の拡張のためにバルーンの内部に送り込む流体の量を減らし、バルーンを十分に拡張させるために必要な時間を短くすることができる。
【0118】
バルーンの厚みは、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。バルーンの厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、バルーンの強度を高めることができ、狭窄部を十分に拡張することができる。また、バルーンの厚みの上限値は、バルーンカテーテルの用途に応じて設定することができ、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下とすることができる。
【0119】
本発明の第1および第2のバルーンカテーテルの製造方法は、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有している。
【0120】
金型は、内部に樹脂製医療用バルーンの外形と同じ形状の空間を有している。樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程において、金型の内部空間に樹脂製筒状体を配置する。樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程の後に、樹脂製筒状体をブロー成形し、バルーンを製造する。
【0121】
熱ジャケットは、内部に金型を配置することができる構成であって、内包している金型の温度の調節を行う。金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程において、熱ジャケットによって金型の加熱と冷却の少なくとも一方を行う。
【0122】
具体例として、熱ジャケットが金型の加熱を行う場合、熱ジャケットによって金型の加熱を行った後に樹脂製筒状体のブロー成形を行うことが挙げられる。また、熱ジャケットが金型の冷却を行う場合、樹脂製筒状体をブロー成形した後に熱ジャケットによって金型の冷却を行って成形後のバルーンを冷却することが挙げられる。
【0123】
本発明の第1のバルーンカテーテルの製造方法において、熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なる。内包物から受ける圧力が他の部分よりも高くなっている熱ジャケットの内側面の部分は、他の部分よりも内包物と密着しており、熱ジャケットの温度が内包物に伝わりやすくなっている。そのため、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力が、熱ジャケットの内側面の位置によって異なることにより、内包物から高い圧力を受けている熱ジャケットの内側面の部分に位置している内包物を、加熱時には他の部分よりも高温となるように加熱することができ、冷却時には他の部分よりも低温となるように冷却することが可能である。
【0124】
本発明の第2のバルーンカテーテルの製造方法において、外側面に深さ10μm以上の凹部を有する内包物が配置されており、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積が、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることにより、凹部に位置している内包物の部分は、他の部分よりも熱ジャケットとの距離が離れており、熱ジャケットと接触しにくくなって、熱ジャケットの内側面と接触している面積が小さくなる。そのため、凹部に位置している内包物の部分は、他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりにくくなる。その結果、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも低温に、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも高温にすることができる。
【0125】
以上のように、本発明の第1の樹脂製医療用バルーンの製造装置は、樹脂製筒状体が内挿される金型と、金型を内包する熱ジャケットと、を有しており、熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とする。また、本発明の第1のバルーンカテーテルの製造方法は、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、熱ジャケットは、該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とする。本発明の第1の樹脂製医療用バルーンの製造装置および第1のバルーンカテーテルの製造方法によれば、熱ジャケットは該熱ジャケットの内側に存在している内包物を押圧するものであり、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力は熱ジャケットの内側面の位置によって異なることにより、熱ジャケットの内側面が内包物から受ける圧力の高い部分に位置している内包物は他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりやすいため、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも高温とすることが可能であり、また、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも低温とすることが可能となる。
【0126】
本発明の第2の樹脂製医療用バルーンの製造装置は、樹脂製筒状体が内挿される金型と、金型を内包する熱ジャケットと、を有しており、熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、内包物は、外側面に内包物の周方向に延在している凹部を有していることを特徴とする。また、本発明の第2のバルーンカテーテルの製造方法は、樹脂製筒状体を金型へ挿入する工程と、金型を熱ジャケットの内側へ配置する工程と、を有しており、熱ジャケットの内側に内包物が配置されており、内包物は、外側面に凹部を有し、凹部の深さは、10μm以上であり、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積は、熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることを特徴とする。本発明の第2の樹脂製医療用バルーンの製造装置および第2のバルーンカテーテルの製造方法によれば、熱ジャケットの内側に配置されている内包物が凹部を外側面に有しており、熱ジャケットの内側面と内包物とが接触している面積は熱ジャケットの内側面の位置によって異なるものであることにより、凹部に位置している内包物の部分は他の部分よりも熱ジャケットの温度が伝わりにくいため、熱ジャケットが内包物を加熱している際には他の部分よりも低温にでき、熱ジャケットが内包物を冷却している際には他の部分よりも高温にできる。
【0127】
本願は、2019年12月26日に出願された日本国特許出願第2019-237207号に基づく優先権の利益を主張するものである。2019年12月26日に出願された日本国特許出願第2019-237207号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【符号の説明】
【0128】
1:樹脂製医療用バルーンの製造装置
10:樹脂製筒状体
20:金型
21:柱状部
22:錐状部
30:熱ジャケット
31:第1部分熱ジャケット
32:第2部分熱ジャケット
33:遠位側部分熱ジャケット
34:近位側部分熱ジャケット
40:温度調節物
50:気孔含有金属体
70:ハウジング部材
71:部分ハウジング部材
72:部分ハウジング部材
73:部分ハウジング部材
100:内包物
110:凹部
120:凸部
121:スペーサー部材