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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】射出装置および樹脂体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/54 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
B29C45/54
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022087840
(22)【出願日】2022-05-30
(65)【公開番号】P2023175412
(43)【公開日】2023-12-12
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】松村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中島 健護
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104153(JP,A)
【文献】特開2022-023275(JP,A)
【文献】特開2014-100864(JP,A)
【文献】特開平03-178416(JP,A)
【文献】特開2002-018883(JP,A)
【文献】特開2006-142520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/24
B29C 45/46-45/63
B29C 45/70-45/72
B29C 45/74-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記射出プランジャは、第1方向および前記第1方向とは反対の第2方向に移動可能であり、前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を前記第1方向に押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を前記第1方向に押圧するように設けられている、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記固定ユニットは、前記第1部分を含む第1剛性部材と、前記第2部分を含む第2剛性部材と、前記第3部分を含む第3剛性部材と、を有する、請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記第2剛性部材が前記第3剛性部材に結合している、請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられており、
前記固定ユニットは、前記第1部分を含む第1剛性部材と、前記第2部分を含む第2剛性部材と、前記第3部分を含む第3剛性部材と、前記第1剛性部材および前記第2剛性部材に結合した第4剛性部材を有し、前記所定方向に直交する方向において、前記ねじ軸が前記射出プランジャと前記第4剛性部材との間に配置されている、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項5】
前記固定ユニットは、前記第4剛性部材に結合した第5剛性部材を有し、前記所定方向において、前記第1剛性部材および前記第2剛性部材が、前記第3剛性部材と前記第5剛性部材との間に配置されている、請求項4に記載の射出装置。
【請求項6】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられており、
前記固定ユニットは、前記第1部分を含む第1剛性部材と、前記第2部分を含む第2剛性部材と、前記第3部分を含む第3剛性部材と、を有し、前記所定方向において、前記第2剛性部材が前記第1剛性部材と前記第3剛性部材との間に配置されている、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項7】
前記第3剛性部材が前記第4剛性部材に結合している、請求項4に記載の射出装置。
【請求項8】
前記所定方向に直交する方向において、前記第2剛性部材が、前記射出シリンダと前記第4剛性部材との間に配置されている、請求項4に記載の射出装置。
【請求項9】
前記第1剛性部材が前記第5剛性部材に結合している、請求項5に記載の射出装置。
【請求項10】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
前記射出シリンダへ供給する樹脂を貯留する可塑化シリンダと、
前記可塑化シリンダに貯留された樹脂を前記可塑化シリンダから押し出す可塑化スクリュと、を備え、
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられており、
前記所定方向に直交する方向において、前記射出プランジャと前記可塑化スクリュとの間に、前記射出シリンダの一部と前記可塑化シリンダの一部とが位置しており、
前記固定ユニットは前記可塑化シリンダを保持する、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項11】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられており、
前記固定ユニットは、前記第1部分を含む第1剛性部材と、前記第2部分を含む第2剛性部材と、前記第3部分を含む第3剛性部材と、を有し、前記第2剛性部材が前記第3剛性部材に結合しており、
前記ねじ軸を回転させるモーターを備え、前記所定方向において、前記第1剛性部材がモーターと前記移動部材との間に配置されている、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項12】
前記ねじ軸を回転させるモーターを備え、前記モーターが前記第5剛性部材に結合している、請求項5に記載の射出装置。
【請求項13】
前記固定ユニットは、前記移動部材をガイドするガイド部材を有し、前記ガイド部材が前記第4剛性部材に結合している、請求項4に記載の射出装置。
【請求項14】
前記固定ユニットは、前記移動部材をガイドするガイド部材を有し、前記所定方向に直交する方向において、前記ガイド部材と前記第4剛性部材との間に前記ねじ軸が配置されている、請求項4に記載の射出装置。
【請求項15】
前記固定ユニットは、前記移動部材をガイドするガイド部材を有し、前記ガイド部材が前記第3剛性部材および前記第5剛性部材に結合している、請求項5に記載の射出装置。
【請求項16】
前記固定ユニットは、第6剛性部材を有し、前記所定方向に直交する方向において、前記ねじ軸および前記射出プランジャが、前記第4剛性部材と前記第6剛性部材との間に配置されており、前記第1剛性部材が第6剛性部材に結合している、請求項4に記載の射出装置。
【請求項17】
前記第1剛性部材は、アンギュラ玉軸受けである第1ベアリングと、前記第1ベアリングが固定されたベアリングホルダと、を含み、前記第2剛性部材は、深溝玉軸受けである第2ベアリングと、前記第2ベアリングが固定されたベアリングホルダと、を含む、請求項2に記載の射出装置。
【請求項18】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられており、
前記移動部材は、ナットと、前記ナットが固定された射出ラムと、を含み、前記所定方向において前記射出ラムと前記射出プランジャとが並んで配置されており、
前記射出ラムは前記射出プランジャから分離可能である、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項19】
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられており、
前記固定ユニットは、前記第1部分を含む第1剛性部材と、前記第2部分を含む第2剛性部材と、前記第3部分を含む第3剛性部材と、を有し、前記第1剛性部材および前記第2剛性部材が前記第3剛性部材に結合している、
ことを特徴とする射出装置。
【請求項20】
前記射出シリンダへ供給する樹脂を貯留する可塑化シリンダと、
前記可塑化シリンダに貯留された樹脂を前記可塑化シリンダから押し出す可塑化スクリュと、を備え、
前記所定方向に直交する方向において、前記射出プランジャと前記可塑化スクリュとの間に、前記射出シリンダの一部と前記可塑化シリンダの一部とが位置しており、
前記固定ユニットは前記可塑化シリンダを保持する、請求項1乃至9のいずれか1項または請求項11乃至19のいずれか1項に記載の射出装置。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の射出装置から、キャビティを有する金型の前記キャビティへ樹脂を射出して、前記キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法。
【請求項22】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の射出装置から、第1キャビティおよび第2キャビティを有する金型の前記第1キャビティへ樹脂を射出して、前記第1キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形し、他の射出装置から、前記金型の前記第2キャビティへ樹脂を射出して、前記第2キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法。
【請求項23】
請求項20に記載の射出装置から、キャビティを有する金型の前記キャビティへ樹脂を射出して、前記キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法
【請求項24】
請求項20に記載の射出装置から、第1キャビティおよび第2キャビティを有する金型の前記第1キャビティへ樹脂を射出して、前記第1キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形し、他の射出装置から、前記金型の前記第2キャビティへ樹脂を射出して、前記第2キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法
【請求項25】
第1の射出装置から、第1キャビティおよび第2キャビティを有する金型の前記第1キャビティへ樹脂を射出して、前記第1キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形し、第2の射出装置から、前記金型の前記第2キャビティへ樹脂を射出して、前記第2キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法であって、
前記第1の射出装置は、
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられている、
ことを特徴とする、製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂の射出装置において、射出プランジャを用いることで、射出する樹脂の計量が可能となる。特許文献1に記載の射出装置は、基台上に立設され加熱バレルが配設される前方ブロックと、基台上に立設され射出用サーボモーターが配設される後方ブロックと、基台上で前方ブロックと後方ブロックの間で移動可能に設けられ射出プランジャが取付けられた可動ブロックを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-104153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、射出で生じる力に対する射出装置の剛性の検討に改善の余地があるが、単純な剛性の改善では射出装置が大型化する場合がある。そこで本発明は、射出装置の剛性の改善に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための1つの観点における射出装置は、
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、射出装置の剛性の改善に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】射出装置を説明する模式図。
図2】射出装置を説明する模式図。
図3】射出装置を説明する模式図。
図4】射出装置を説明する模式図。
図5】射出装置を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0009】
図1(a)は、樹脂体の製造に用いられる射出成形システム1000の模式図であり、これを用いて射出装置100の使用方法を説明する。射出成形システム1000は、射出装置100と金型300とを含みうる。金型300はキャビティ321を有する。射出装置100から、金型300のキャビティ321へ樹脂を射出して、キャビティ321の形状に応じた形状を有する樹脂体401を成形することができる。金型300はランナー311を画成する固定型310と、キャビティ321を画成する可動型320と、を含みうる。
【0010】
射出装置100は、樹脂を射出する射出ノズル18と、少なくとも射出ノズル18を保持する固定ユニット60とを備える。射出ノズル18が金型300のスプルー301に接続され、スプルー301からランナー311を通ってキャビティ321へ樹脂が射出される。ランナー311とキャビティ321の境界がゲートである。ランナー311はホットランナーでもコールドランナーでもよい。
【0011】
射出成形システム1000は、射出装置100の他に射出装置200をさらに含みうる。また、金型300はキャビティ322を有しうる。射出装置200から、金型300のキャビティ322へ樹脂を射出して、キャビティ322の形状に応じた形状を有する樹脂体402を成形することができる。
【0012】
射出装置200は、樹脂を射出する射出ノズル218と、少なくとも射出ノズル218を保持する固定ユニット260とを備える。射出ノズル218が金型300のスプルー302に接続され、スプルー302からランナー312を通ってキャビティ322へ樹脂が射出される。ランナー312とキャビティ322の境界がゲートである。ランナー312はホットランナーでもコールドランナーでもよい。
【0013】
射出装置200やキャビティ322は省略可能であるが、射出装置200やキャビティ322を用いてファミリ成形を行うことで、樹脂体の機能や生産効率を向上できる。例えば、射出装置100から射出される樹脂の種類と、射出装置200から射出される樹脂の種類とを異ならせることができる。また、樹脂体401と樹脂体402は結合していてもよく、1つの樹脂成形品が、射出装置100から射出された樹脂からなる樹脂体401と、射出装置100から射出された樹脂からなる樹脂体402と、を含んでいてもよい。1つの樹脂成形品を複数の種類の樹脂で構成することで、樹脂成形品の機能を向上できる。金型300内にインサート部材を配置して、インサート成形を行うこともできる。さらに、インサート部材に、樹脂体401からなる部分と、樹脂体402からなる部分と、を結合させることもできる。
【0014】
ここでは金型300を用いた射出成形システム1000に射出装置100を適用した例を説明したが、射出装置100を動かして樹脂体を成形する、いわゆる3Dプリンタに射出装置100を適用することもできる。
【0015】
樹脂製品を製造する方法として射出成形法が知られている。射出成形法では、溶融した樹脂をスクリュやプランジャ等を用いて金型内部のキャビティ空間に射出し、金型内で冷却・固化させ、固化後に金型を型開きして成形品を取出す。溶融樹脂の射出から成形品の取り出しまでの一連の動作を繰り返すことにより、樹脂成形品が連続的に量産される。射出成形法を行う装置としては、例えばプリ・プランジャー式(以下、プリプラ式と記す)やインラインスクリュ式の成形機が知られている。
【0016】
近年、加飾や多色成形、接合成形等、成形品に付加価値を与えるために金型や既存射出成形機に、型締め機構の無い射出ユニットのみで構成される射出装置100を取り付け、付加成形加工を行う需要が増している。これらの用途では、既存スペースに射出装置100を配置する必要が有り、射出装置100の小型化が求められている。
【0017】
前述したインラインスクリュ式成形機は、1本の可塑化スクリュで樹脂溶融の計量および、射出を行う為、射出ユニットの全長が長くなる傾向がある。一方、プリプラ式射出成形機は、樹脂を溶融させるスクリュを備えた可塑化部と、可塑化、溶融された樹脂材料を貯蓄し、射出するための射出シリンダを備えた射出部が分離されている。可塑化部と射出部は並行配置可能である為、射出ユニットの全長を短縮できる傾向がある。
【0018】
このようにプリプラ式とインラインスクリュ式で構造上の差があるものの、どちらの装置においても小型化するには、射出装置100の剛性確保が重要である。特に射出時に、大きな射出圧が掛かる射出装置100の固定ユニット60は、剛性が足りないと固定ユニット60および内部の駆動機構に負荷や変形を生じさせ、射出装置100を破損させたり、射出装置100の寿命を短くしたりする要因となる。剛性を確保するには射出装置100を大きく頑丈にする必要があり、射出装置100の小型化を阻害していた。
【0019】
射出装置100の用途に限らず、射出装置100はより小型であることに越したことはない。ただし、射出成形システム1000が複数の射出装置100、200を含む場合、射出装置100、200の配置の自由度を高めるうえでは、射出装置100の小型化はとりわけ有効である。小型の射出装置100を提供するためには、射出装置100の構造に工夫が必要である。
【0020】
以下、本実施形態に係る射出装置100について、詳細に説明する。なお、上述した射出装置200については、射出装置100と同様の構成を有していても良しい、射出装置100とは異なる構成を有していてもよい。
【0021】
図1(b)は、第1例の射出装置100のX-Z断面模式図である。射出装置100は、図1(a)に示した射出ノズル18(図1(b)には不図示)と、射出シリンダ3と、射出プランジャ4と、可動ユニット50と、固定ユニット60と、を備える。射出シリンダ3は射出ノズル18へ供給される樹脂を貯留する。射出プランジャ4は射出シリンダ3に貯留された樹脂を押圧する。射出プランジャ4によって押圧された樹脂は射出ノズル18に供給さる。射出ノズル18は供給された樹脂を射出する。射出ノズル18と射出シリンダ3と射出プランジャ4とを合わせて射出ユニットと称することができる。
【0022】
可動ユニット50は射出プランジャ4を移動させる。可動ユニット50が射出プランジャ4を+X方向移動させることで、射出プランジャ4は射出シリンダ3に貯留された樹脂を押圧する。可動ユニット50が射出プランジャ4を-X方向の適当な位置まで移動させることで、射出シリンダ3に貯留できる樹脂の体積を設定することができ、樹脂を計量できる。以下、射出シリンダ3の移動方向をX方向とする。Y方向はX方向に直交する方向であり、Z方向はX方向およびY方向に直交する方向である。+X方向を前方、-X方向を後方とする。
【0023】
可動ユニット50はボールねじ51を有する。ボールねじ51は、移動部材である移動ブロック19と、ねじ軸13と、を含む。移動ブロック19は、X方向に移動し、射出プランジャ4に結合している。ねじ軸13は、移動ブロック19を移動させるために回転する。
【0024】
ねじ軸13と射出プランジャ4とが、X方向に直交する方向(例えばY方向)において並んで配置されている。これにより、ねじ軸13と射出プランジャ4をX方向に並べる場合に比べて、X方向における射出装置100の大型化を抑制できる。典型的に、ねじ軸13および射出プランジャ4は、X方向における寸法が、X方向に直交する方向(例えばY方向)における寸法よりも大きい。そのため、ねじ軸13と射出プランジャ4とが、X方向に直交する方向(例えばY方向)において並んで配置されても、X方向に直交する方向(例えばY方向)における射出装置100の大型化を抑制できる。
【0025】
固定ユニット60は射出シリンダ3および可動ユニット50を保持する。固定ユニット60は、ねじ軸13の後方端部56を保持する保持部分61と、ねじ軸13の前方端部57を保持する保持部分62と、射出シリンダ3を保持する保持部分63と、を含む。移動ブロック19が、保持部分61と保持部分62との間に設けられている。ねじ軸13の後方端部56と前方端部57との間の中央部の上を、移動ブロック19が移動する。したがって、保持部分61,62が支持する部分である後方端部56や前方端部57の範囲は、移動ブロック19の移動範囲の外側であればよい。保持部分63は、射出プランジャ4が樹脂を押圧することで、射出シリンダ3が保持部分63を押圧するように設けられている。移動ブロック19は、X方向に移動する移動部材であるが、剛性を有する剛性部材でもある。
【0026】
固定ユニット60の保持部分61と保持部分62と保持部分63は、一体の剛性部材の一部であるか、複数の剛性部材が相互に結合して一体化された剛性部材の一部である。従って、保持部分61と保持部分62でねじ軸13に固定された固定ユニット60は、射出プランジャ4が樹脂を押圧する際に、射出プランジャ4から樹脂を介して射出シリンダ3へ伝わる力を、保持部分63で十分に受け止めることができる。その結果、安定して樹脂を押圧、射出することができる。
【0027】
固定ユニット60における剛性部材は、鉄や鉄合金などの金属材料を用いることができる。一体の剛性部材は、金属素材の切削加工や鋳造によって作製できる。複数の剛性部材が相互に結合して一体化された剛性部材は、複数の剛性部材を、締結、溶接、接着、嵌合などにより、機械的に結合すればよい。固定ユニット60において結合される剛性部材の数は2個以上であればよい。例えば、保持部分61と保持部分62と保持部分63が同一の剛性部材の一部でもよいし、保持部分61と保持部分62と保持部分63のうちの2つが同一の剛性部材の一部で、残りの1つが別の剛性部材の一部でもよい。保持部分61と保持部分62と保持部分63のうちの2つが別々の剛性部材の一部で、その別々の剛性部材が、さらに別の剛性部材によって結合されていてもよい。
【0028】
以下、固定ユニット60が、少なくとも、保持部分61を含む剛性部材と、保持部分62を含む剛性部材と、保持部分63を含む剛性部材と、を有する形態を説明する。
【0029】
図2(a)は、射出装置100のX-Z断面模式図である。後方ブロック66が、保持部分61を含む剛性部材の一例である。前方ブロック67が、保持部分62を含む剛性部材の一例である。フロントプレート1が、保持部分63を含む剛性部材の一例である。
【0030】
後方ブロック66は、ベアリング14と、ベアリング14が固定されたベアリングホルダ15と、を含む。ベアリング14がねじ軸13の後方端部56を保持する。ベアリング14は、例えばアンギュラ玉軸受けである。
【0031】
前方ブロック67は、ベアリング16と、ベアリング16が固定されたベアリングホルダ17と、を含む。ベアリング16がねじ軸13の前方端部57を保持する。ベアリング16は、例えば深溝玉軸受けである。
【0032】
X方向において、前方ブロック67が後方ブロック66とフロントプレート1との間に配置されている。
【0033】
フロントプレート1には貫通穴が設けられており、その貫通穴を通って、射出ノズル18が射出装置100の外部に露出している。射出シリンダ3の外径は、射出ノズル18が設けられた貫通穴よりも大きく設定されている。射出シリンダ3のうち、Y方向において貫通穴よりも外側に位置する部分が、X方向において、フロントプレート1の貫通穴の周囲の部分に当接している。従って、フロントプレート1の貫通穴の周囲の部分が、保持部分63である。保持部分63は、射出プランジャ4が樹脂を押圧することで、射出シリンダ3がX方向において保持部分63を押圧するように設けられている。
【0034】
固定ユニット60は、後方ブロック66および前方ブロック67に結合したベースプレート2を有する。X方向に直交する方向において、ねじ軸13が射出プランジャ4とベースプレート2との間に配置されている。ベースプレート2も、固定ユニット60が有する剛性部材の一例である。X方向に直交する方向において、前方ブロック67が、射出シリンダ3とベースプレート2との間に配置されている。
【0035】
固定ユニット60は、ベースプレート2に結合したリアプレート30を有する。X方向において、後方ブロック66および前方ブロック67が、フロントプレート1とリアプレート30との間に配置されている。リアプレート30も、固定ユニット60が有する剛性部材の一例である。
【0036】
図2(a)において、剛性部材同士を結合する結合手段65を、ねじを模して示している。図2(a)において1つの結合手段65に隣接する2つの剛性部材は、当該1つの結合手段65によって互いに結合されていることを意味する。結合手段65の具体例は、上述のように、締結、溶接、接着、嵌合などいずれでもよい。また、複数の結合手段65には、複数種類の結合手段が含まれていてもよい。例えば、或る2つの剛性部材は互いに締結されていて、別の2つの剛性部材は互いに溶接されていてもよい。
【0037】
前方ブロック67がフロントプレート1に結合している。詳細には、前方ブロック67のベアリングホルダ17がフロントプレート1に結合している。フロントプレート1がベースプレート2に結合している。前方ブロック67がベースプレート2に結合している。詳細には、前方ブロック67のベアリングホルダ17がベースプレート2に結合している。リアプレート30がベースプレート2に結合している。
【0038】
移動部材である移動ブロック19は、ナット10と、ナット10が固定された射出ラム9と、を含み、X方向において射出ラム9と射出プランジャ4とが並んで配置されている。射出ラム9は、射出プランジャ4を+X方向に押圧する押圧部材である。移動ブロック19を+X方向に移動させ、射出ラム9で射出プランジャ4を+X方向に押すと、射出プランジャ4が+X方向に移動する。移動ブロック19を-X方向に移動させ、射出ラム9で射出プランジャ4を-X方向に引くと、射出プランジャ4が-X方向に移動する。移動ブロック19(射出ラム9)は射出プランジャ4に固定されていてもよいが、移動ブロック19(射出ラム9)は射出プランジャ4から分離可能であってもよい。移動ブロック19(射出ラム9)と射出プランジャ4とがX方向に分離可能であれば、射出プランジャ4から移動ブロック19(射出ラム9)に加わるX方向に交差する方向の力を低減できる。射出ラム9は射出プランジャ4から分離可能である場合は、射出ラム9を-X方向に移動させても、射出プランジャ4は-X方向に移動しない。しかし、射出プランジャ4と射出ラム9とをX方向に離間させた状態で、射出シリンダ3内の樹脂で射出プランジャ4を-X方向に押圧することで、射出プランジャ4を-X方向に移動させることができる。
【0039】
射出装置100は、ねじ軸13を回転させる射出モーター23を備える。X方向において、後方ブロック66が射出モーター23と移動ブロック19との間に配置されている。射出モーター23がリアプレート30に結合している。射出モーター23を前方端部57側(フロントプレート1側)に設けることもできるが、そうすると、前方端部57側の射出モーター23が金型300に接触したり、接触をさけるために射出ノズル18を長くする必要があったりする。よって、射出モーター23を後方端部26側(リアプレート30側)に設けると、射出装置100の信頼性向上や小型化に有利である。
【0040】
固定ユニット60は、移動ブロック19をガイドするガイドレール12を有する。ガイドレール12がベースプレート2に結合している。ガイドレール12は、ガイド部材の一例であり、例えばリニアガイドレールでありうる。移動ブロック19は、ガイドレール12に係合するガイドスライダー11を含む。ガイドスライダー11は射出ラム9に固定されている。ガイドレール12とガイドスライダー11によって、移動ブロック19がX方向に垂直な方向(例えばY方向)に移動することが規制される。
【0041】
図2(b)は、第1例の射出装置100のX-Y断面模式図である。射出装置100は、可塑化シリンダ7と、可塑化スクリュ6と、を備えうる。可塑化シリンダ7は射出シリンダ3へ供給する樹脂を貯留する。可塑化スクリュ6は射出シリンダ3に貯留された樹脂を押圧する。可塑化スクリュ6によって可塑化シリンダ7から押し出された樹脂は、流路を連結する連結部材5に設けられた流路を介して、射出シリンダ3に供給される。
【0042】
射出装置100は、射出シリンダ3へ供給する樹脂を貯留する可塑化シリンダ7と、射出シリンダ3に貯留された樹脂を押圧する可塑化スクリュ6と、を備える。固定ユニット60は可塑化シリンダ7を保持する。
【0043】
可塑化シリンダ7の位置は、設計可能であれば任意の位置に配置して構わない。例えば、特開2019-104153号公報のように、可塑化シリンダ7と可塑化スクリュ6とを、射出シリンダ3内に配置して、可塑化シリンダ7を射出プランジャ4として用いることもできる。しかし、本例では、射出プランジャ4と可塑化スクリュ6が、X方向に直交する方向において射出プランジャ4と可塑化スクリュ6との間に、射出シリンダ3の一部と可塑化シリンダ7の一部とが位置するように配置されている。これにより、射出シリンダ3と可塑化スクリュ6をX方向に並べる場合に比べて、X方向における射出装置100の大型化を抑制できる。典型的に、可塑化シリンダ7および可塑化スクリュ6は、X方向における寸法が、X方向に直交する方向(例えばY方向)における寸法よりも大きい。そのため、射出シリンダ3および射出プランジャ4と可塑化シリンダ7および可塑化スクリュ6とが、X方向に直交する方向(例えばY方向)において並んで配置されても、X方向に直交する方向(例えばY方向)における射出装置100の大型化を抑制できる。
【0044】
射出装置100の剛性を確保するには、射出装置100の筐体となるプレート、カバーを厚肉化することが有効である。しかしながら、そのような構成は射出装置100の大型化、重量増加を招くものである。そこで第1例に係る射出装置100では、フロントプレート1とベースプレート2で高剛性化を図る構成とした。具体的には、射出装置100の固定ユニット60は、少なくとも、肉厚35mmのフロントプレート1と、肉厚40mmのベースプレート2と、フロントプレート1と対向して平行配置される肉厚25mmのリアプレート30で構成されている。また、固定ユニット60に搭載された可動ユニット50や射出シリンダ3および射出プランジャ4は、肉厚5mmのカバー31、32、33で覆われている。剛性部材としてのカバー31、32、33は固定ユニット60の一部である。X方向に直交する方向(例えばZ方向)において、ねじ軸13および射出プランジャ4が、ベースプレート2とカバー31との間に配置されている。剛性部材としてのカバー32、33は固定ユニット60の一部である。X方向に直交する方向(例えばY方向)において、ねじ軸13および射出プランジャ4が、カバー32とカバー33との間に配置されている。
【0045】
フロントプレート1とベースプレート2およびリアプレート30とベースプレート2はL字状にねじ締結で結合、一体化されている。フロントプレート1には溶融樹脂を貯蓄し、射出するための射出シリンダ3が接合されており、挿入されたφ20の射出プランジャ4をボールねじ51を用いた直動機構で前進させることで溶融樹脂を射出することができる。射出シリンダ3は連結部材5を介してφ32の可塑化スクリュ6を有する可塑化シリンダ7と連結されている。可塑化スクリュ6を減速機20が取り付いた可塑化モーター21で回転させることで、図示しないホッパーから可塑化シリンダ7内に供給された樹脂ペレットが溶融(可塑化)される。ここで減速機20は、リアプレート30に固定されている。可塑化された樹脂は、連結部材5内の流路を通じて射出シリンダ3内に貯蓄される。連結部材5の溶融樹脂の流路には、射出時に溶融樹脂が可塑化スクリュ6側へ逆流することを防ぐ、逆止バルブ8が設けられている。
【0046】
ベースプレート2には、射出プランジャ4を前後退させるための可動ユニット50が係合されている。ここで、可動ユニット50は、移動ブロック19と、移動ブロック19を直動駆動させるφ50のねじ軸13とを含む。移動ブロック19は、射出プランジャ4を直接押圧する射出ラム9と、射出ラム9に固定されるナット10と、2個のガイドスライダー11と、を含む。図1に示した固定ユニット60は、ガイドスライダー11が摺動するベースプレート2に締結された2本のガイドレール12と、後方ブロック66と、前方ブロック67と、を含む。少なくともナット10およびねじ軸13が、ボールねじを構成するが、ボールねじは不図示のボールを含む。後方ブロック66は、ねじ軸13の後方端部56を支持するベアリング14と、ベアリング14が固定されたブロック部材であるベアリングホルダ15とで構成される。ベアリング14は、例えばアンギュラ玉軸受けである。ベアリングホルダ15は、ベースプレート2とねじ締結で、結合、一体化される。ねじ軸13の後方端部56はカップリング22を介して射出モーター23に取り付けた減速機24の出力軸と連結されている。そして、射出モーター23でねじ軸13を回転させることで、ガイドスライダー11に固定された射出ラム9をガイドレール12に沿って前後退することができる。ここで減速機24は、リアプレート30に固定されている。射出モーター23の可動子が可動ユニット50に直接的もしくは間接的に結合し、射出モーター23の固定子が固定ユニット60に直接的もしくは間接的に結合する。
【0047】
フロントプレート1とベースプレート2が結合するL字結合部の内角側には、前方ブロック67が設置されている。前方ブロック67は、ねじ軸13の前方端部57を支持するベアリング16と、ベアリング16が固定されたブロック部材であるベアリングホルダ17とで構成される。ベアリング16は、例えば深溝玉軸受けである。このベアリングホルダ17は、フロントプレート1とベースプレート2とねじ締結で、接合、結合される。
【0048】
本実施例では、フロントプレート1とベースプレート2、リアプレート30とベースプレート2、とがねじ締結で、結合、一体化されている。また、ベアリングホルダ17とフロントプレート1、ベアリングホルダ17とベースプレート2、ベアリングホルダ15とベースプレート2、が、ねじ締結で、結合、一体化されている。しかしながら、各部材間の結合方法は、これに限定されるものではなく例えば、溶接等での結合や当該部材一式を一部材からの削り出しや鋳造等で一体的に製作しても構わない。
【0049】
図3に、射出装置100で樹脂を射出する時に固定ユニット60にかかる力の様子を示す。射出時には、5kWの定格出力を有する射出モーター23の回転によりねじ軸13が回転し、ナット10とガイドスライダー11が取り付いた射出ラム9がガイドレール12上を前進する。これにより射出プランジャ4が前進し、射出シリンダ3内に貯蓄された樹脂がノズル18を通じ図示しない金型キャビティ内に射出される。ここで、フロントプレート1は図示しない装置、或いは部材により金型に固定されている。
【0050】
射出時の射出シリンダ3内の圧力(射出圧力)は100~200MPa程度に昇りうる。射出プランジャ4が樹脂を押圧する際に、射出プランジャ4から樹脂を介して射出シリンダ3へ伝わる力Fsを、保持部分63(図2(a)参照)で十分に受け止めることができ、安定して樹脂を押圧、射出することができる。
【0051】
また、射出プランジャ4の後端に接する射出ラム9には大きな射出反力Fpが印加される。例えば、射出プランジャ4の外径φ20で射出圧力200MPaが掛かると、射出反力Fpは62kN以上になりうる。
【0052】
射出反力の一部は射出ラム9のガイドスライダー11を支点として、ガイドレール12が締結されたベースプレート2にモーメント荷重Mを印加する。
【0053】
また、射出反力の他の一部は、ねじ軸13を通じ、ねじ軸13の後方端部56を支持するベアリング14(アンギュラ玉軸受け)が保持されるベアリングホルダ15にスラスト荷重Fsを印加する。
【0054】
ちなみに、熱膨張等によるねじ軸13の破損を防止する為、ねじ軸13の前方端部57は、ベアリング16によりスラスト方向フリーに支持され、後方端部56は、ベアリング14によりスラスト方向が固定されている。
【0055】
スラスト荷重Fsは、ベアリングホルダ15の下部を支点としてベースプレート2にモーメント荷重Mを印加する。これらのモーメント荷重により、ベースプレート2にはフロントプレート1とのL字結合部を支点に変形力が発生する。この変形力はベースプレート2とフロントプレート1が、ねじ締結で、接合、結合されている場合は、ねじを伸ばし、L字結合部を開口させるように作用するとともにベースプレート2を曲げ変形させる。溶接等で結合されている場合もL字結合部の内角を広げるように作用するとともにベースプレート2を曲げ変形させる。
【0056】
第1例の射出装置100によれば、フロントプレート1とベースプレート2とのL字結合部の内角側にねじ軸13の前方端部57を支持する前方ブロック67が配置されている。そして、そのベアリングホルダ17がフロントプレート1およびベースプレート2と結合されている。従って、大きな射出反力が発生してもL字結合部の開口とベースプレート2の曲げ変形を抑制できる。
【0057】
射出反力による装置筐体であるベースプレート2の変形と、フロントプレート1とベースプレート2のL字結合部の開口変形を、フロントプレート1とベースプレート2とに一体化されたブロック部材(ベアリングホルダ17)によって抑制できる。その為、装置筐体や駆動機構の破損を防止できる。また、ブロック部材(ベアリングホルダ17)に、射出駆動機構であるねじ軸13の前方端部57を支持するベアリング16が固定される為、射出装置100の全長が短く、小型化できる。
【0058】
図4(a)は、第2例の射出装置100のX-Z断面模式図である。本例では、後方ブロック66が、ベースプレート2およびリアプレート30とねじで締結、結合される。詳細には、後方ブロック66のベアリングホルダ15がリアプレート30に結合している。また、カップリング22がリアプレート30の後方に配置される。射出モーター23が取り付いた減速機24は、減速機24を取り付ける取付部材25を介してリアプレート30に連結されている。本例では、ベアリングホルダ15とベースプレート2、リアプレート30が、ねじで締結、結合されているが、部材間の結合方法は、これに限定されるものではなく例えば、溶接等での結合や当該部材一式を一部材からの削り出し等で、結合製作しても構わない。また、ベアリングホルダ15はリアプレート30と結合されていれば、必ずしもベースプレート2と結合されている必要はない。
【0059】
図4(b)は、第3例の射出装置100のX-Z断面模式図である。本例では、後方ブロック66が剛性部材としてのカバー31に結合している、詳細には、後方ブロック66のベアリングホルダ15がカバー31とねじで締結、結合されている。本例では、ベアリングホルダ15とカバー31が、ねじで締結、結合されているが、部材間の結合方法は、これに限定されるものではなく例えば、溶接等での結合や当該部材一式を一部材からの削り出し等で、結合製作しても構わない。
【0060】
第2例や第3例によれば、第1例に比べベアリングホルダ15は、ベースプレート2以外の他の部材とも結合される為、剛性が高くなる。よって、射出時に、ベアリングホルダ15に作用するスラスト荷重Fsが、ベースプレート2に及ぼすモーメント荷重Mを低減できる為、ベースプレート2の曲げ変形をさらに抑制できる。
【0061】
図4(c)に第4例に係る射出装置100の側面断面図を示す。第1例との違いは第4例では、ねじ軸13の直動ガイド機構がガイドスライダー11およびガイドレール12の構成からガイドブッシュ40およびガイドシャフト41の構成に変更されることである。ガイドシャフト41もガイド部材の一例である。X方向に直交する方向(例えばY方向)において、ガイドシャフト41とベースプレート2との間にねじ軸13が配置されている。ガイドシャフト41がフロントプレート1およびリアプレート30に結合している。ガイドブッシュ40は、移動ブロック19に設置され、ガイドシャフト41は、ねじ軸13と平行な状態で、フロントプレート1とリアプレート30の間で支持される。ベアリングホルダ15に関しては、第2例に示すようにカバー31と結合したり、第3例に示すようにリアプレート30と結合したりしても構わない。
【0062】
図5(a)は、第5例の射出装置100のX-Z断面模式図であり、図5(b)は、第5例の射出装置100のX-Y断面模式図である。第1例との違いは、射出ノズル18の位置と射出の向きである。射出ノズル18の流路方向は、射出プランジャ4の移動方向と交差(例えば直交)している。そのような場合でも、保持部分63は、射出プランジャ4が樹脂を押圧することで、射出シリンダ3が保持部分63を押圧するように設けられている。
【0063】
ここまでは、固定ユニット60が、フロントプレート1と、フロントプレート1とは別のベースプレート2と、で構成され、フロントプレート1とベースプレート2とが結合した例を説明した。しかし、固定ユニット60が、フロントプレート1に相当する部分と、ベースプレート2に相当する部分と、を含む一体の剛性部材を含んでいてもよい。このような一体の剛性部材は、断面がL字の部分を含むことからL字型プレートと称することができる。その場合には、L字型プレートが、保持部分63を有する剛性部材になる。このL字型プレートに、後方ブロック66および前方ブロック67が結合していてもよい。また、固定ユニット60は、フロントプレート1に相当する部分と、ベースプレート2に相当する部分と、リアプレート30に相当する部分と、を含む一体の剛性部材を含んでいてもよい。また、ベースプレート2に相当する部分と、カバー32およびカバー32の少なくともいずれかに相当する部分と、を含む一体の剛性部材を含んでいてもよい。また、カバー31に相当する部分と、フロントプレート1およびリアプレート30の少なくともいずれかに相当する部分と、を含む一体の剛性部材を含んでいてもよい。このように、固定ユニット60は、フロントプレート1、ベースプレート2、リアプレート30、カバー31、カバー32、カバー33のうちの少なくとも2つに相当する部分を含む、一体の剛性部材を含んでいてもよい。
【0064】
本明細書の開示内容は以下の構成一乃至二十一を含んでいる。
【0065】
[構成一]
樹脂を射出する射出ノズルと、
前記射出ノズルへ供給される樹脂を貯留する射出シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する射出プランジャと、
前記射出プランジャを移動させるための可動ユニットと、
前記射出シリンダおよび前記可動ユニットを保持する固定ユニットと、
を備え
前記可動ユニットは、所定方向に移動し前記射出プランジャに結合した移動部材と、前記移動部材を移動させるために回転するねじ軸と、を含むボールねじを有し、
前記ねじ軸と前記射出プランジャとが、前記所定方向に直交する方向において並んで配置されており、
前記固定ユニットは、前記ねじ軸の第1端部を保持する第1部分と、前記ねじ軸の第2端部を保持する第2部分と、前記射出シリンダを保持する第3部分と、を含み、
前記移動部材が、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられており、
前記第3部分は、前記射出プランジャが前記樹脂を押圧することで、前記射出シリンダが前記第3部分を押圧するように設けられている、
ことを特徴とする射出装置。
【0066】
[構成二]
前記固定ユニットは、前記第1部分を含む第1剛性部材と、前記第2部分を含む第2剛性部材と、前記第3部分を含む第3剛性部材と、を有する、構成一に記載の射出装置。
【0067】
[構成三]
前記第2剛性部材が前記第3剛性部材に結合している、構成二に記載の射出装置。
【0068】
[構成四]
前記固定ユニットは、前記第1剛性部材および前記第2剛性部材に結合した第4剛性部材を有し、前記所定方向に直交する方向において、前記ねじ軸が前記射出プランジャと前記第4剛性部材との間に配置されている、構成二または三に記載の射出装置。
【0069】
[構成五]
前記固定ユニットは、前記第4剛性部材に結合した第5剛性部材を有し、前記所定方向において、前記第1剛性部材および前記第2剛性部材が、前記第3剛性部材と前記第5剛性部材との間に配置されている、構成四に記載の射出装置。
【0070】
[構成六]
前記所定方向において、前記第2剛性部材が前記第1剛性部材と前記第3剛性部材との間に配置されている、構成二乃至五のいずれかに記載の射出装置。
【0071】
[構成七]
前記第3剛性部材が前記第4剛性部材に結合している、構成四または五に記載の射出装置。
【0072】
[構成八]
前記所定方向に直交する方向において、前記第2剛性部材が、前記射出シリンダと前記第4剛性部材との間に配置されている、構成四、五または六に記載の射出装置。
【0073】
[構成九]
前記第1剛性部材が前記第5剛性部材に結合している、構成五に記載の射出装置。
【0074】
[構成十]
前記射出シリンダへ供給する樹脂を貯留する可塑化シリンダと、
前記射出シリンダに貯留された樹脂を押圧する可塑化スクリュと、を備え、
前記所定方向に直交する方向において、前記射出プランジャと前記可塑化スクリュとの間に、前記射出シリンダの一部と前記可塑化シリンダの一部とが位置しており、
前記固定ユニットは前記可塑化シリンダを保持する、構成一乃至九のいずれかに記載の射出装置。
【0075】
[構成十一]
前記ねじ軸を回転させるモーターを備え、前記所定方向において、前記第1剛性部材がモーターと前記移動部材との間に配置されている、構成二乃至十のいずれかに記載の射出装置。
【0076】
[構成十二]
前記ねじ軸を回転させるモーターを備え、前記モーターが前記第5剛性部材に結合している、構成五または九に記載の射出装置。
【0077】
[構成十三]
前記固定ユニットは、前記移動部材をガイドするガイド部材を有し、前記ガイド部材が前記第4剛性部材に結合している、構成四、五、七、八、九または十二に記載の射出装置。
【0078】
[構成十四]
前記固定ユニットは、前記移動部材をガイドするガイド部材を有し、前記所定方向に直交する方向において、前記ガイド部材と前記第4剛性部材との間に前記ねじ軸が配置されている、構成四、五、七、八、九、十二または十三に記載の射出装置。
【0079】
[構成十五]
前記固定ユニットは、前記移動部材をガイドするガイド部材を有し、前記ガイド部材が前記第3剛性部材および前記第5剛性部材に結合している、構成五、九または十二に記載の射出装置。
【0080】
[構成十六]
前記固定ユニットは、第6剛性部材を有し、前記所定方向に直交する方向において、前記ねじ軸および前記射出プランジャが、前記第4剛性部材と前記第6剛性部材との間に配置されており、前記第1剛性部材が第6剛性部材に結合している、構成四、五、七、八、九、十二または十三に記載の射出装置。
【0081】
[構成十七]
前記第1剛性部材は、アンギュラ玉軸受けである第1ベアリングと、前記第1ベアリングが固定されたベアリングホルダと、を含み、前記第2剛性部材は、深溝玉軸受けである第2ベアリングと、前記第2ベアリングが固定されたベアリングホルダと、を含む、構成二乃至十六のいずれかに記載の射出装置。
【0082】
[構成十八]
前記移動部材は、ナットと、前記ナットが固定された射出ラムと、を含み、前記所定方向において前記射出ラムと前記射出プランジャとが並んで配置されており、
前記射出ラムは前記射出プランジャから分離可能である、構成一乃至十七のいずれかに記載の射出装置。
【0083】
[構成十九]
前記第1剛性部材および前記第2剛性部材が前記第3剛性部材に結合している、構成二に記載の射出装置。
【0084】
[構成二十]
構成一乃至十九のいずれかに記載の射出装置から、キャビティを有する金型の前記キャビティへ樹脂を射出して、前記キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法。
【0085】
[構成二十一]
構成一乃至十九のいずれかに記載の射出装置から、第1キャビティおよび第2キャビティを有する金型の前記第1キャビティへ樹脂を射出して、前記第1キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形し、他の射出装置から、前記金型の前記第2キャビティへ樹脂を射出して、前記第2キャビティの形状に応じた形状を有する樹脂体を成形する、樹脂体の製造方法。
【0086】
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。たとえば複数の実施形態を組み合わせることができる。また、少なくとも1つの実施形態の一部の事項の削除あるいは置換を行うことができる。また、少なくとも1つの実施形態に新たな事項の追加を行うことができる。
【0087】
なお、本明細書の開示内容は、本明細書に明示的に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した個別の概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、たとえ「AはBではない」場合の記載を省略していたとしても、本明細書は「AはBではない」場合を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBではない」場合を考慮していることが前提だからである。
【符号の説明】
【0088】
18 射出ノズル
3 射出シリンダ
4 射出プランジャ
50 可動ユニット
19 移動ブロック
13 ねじ軸
51 ボールネジ
56 後方端部
61 保持部分
57 前方端部
62 保持部分
63 保持部分
図1
図2
図3
図4
図5