(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】車両用充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241111BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20241111BHJP
B60L 53/35 20190101ALI20241111BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L53/35
(21)【出願番号】P 2022116776
(22)【出願日】2022-07-21
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長西 幸成
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩二
(72)【発明者】
【氏名】白木 孝
(72)【発明者】
【氏名】尾城 創
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-026379(JP,A)
【文献】特開2005-255144(JP,A)
【文献】特表2017-512452(JP,A)
【文献】特開2019-209729(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105128686(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/16
B60L 53/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が停車される停車スペースの床部に固定された本体と、
前記本体に対して第一方向にスライド可能なスライド体と、
車両に接続される充電用のコネクタと、アームと、を有し、前記アームの基端部が前記スライド体によって揺動可能に支持されており、かつ前記アームの先端部が前記コネクタを支持しているコネクタユニットと、
前記スライド体が前記本体に収容されている状態で前記コネクタユニットを上方から覆い、かつ前記アームが起立するときに前記アームの揺動と連動して揺動しながら前記アームを前記本体の側から覆う第一カバーと、
前記スライド体に支持されており、かつ前記コネクタユニットに対して前記本体の側とは反対側に配置される第二カバーと、
前記スライド体に支持されており、かつ前記第一方向と直交する第二方向において前記コネクタユニットの両側に配置される第三カバーと、
を備え、
前記第二カバーおよび前記第三カバーは、前記アームが起立するときに前記アームの揺動と連動して上方に向けて伸び、前記アームを囲む枠を形成する
ことを特徴とする車両用充電システム。
【請求項2】
前記第二カバーおよび前記第三カバーは、重なり合う板状の複数の構成体を有し、前記アームの揺動と連動して複数の前記構成体を摺動させながら上方に向けて伸びる
請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項3】
前記スライド体を上方および側方から覆って前記スライド体を収容する筐体を備え、
前記筐体は、固定カバーと、スライドカバーと、補助カバーと、を含み、
前記固定カバーは、前記本体に固定され、
前記スライドカバーは、前記第一カバーに対して前記固定カバーの側に連結されており、かつ前記第一カバーと一体となって前記第一方向にスライド可能であり、
前記補助カバーは、前記スライドカバーと前記固定カバーとの間に配置されており、前記スライドカバーが前記固定カバーから遠ざかる方向にスライドしたときに前記スライドカバーと前記固定カバーとの間に形成される開口を覆うように構成されている
請求項1または2に記載の車両用充電システム。
【請求項4】
前記補助カバーは、前記スライドカバーおよび前記固定カバーのそれぞれに対して前記第一方向にスライド可能である
請求項3に記載の車両用充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用充電システムがある。特許文献1の車両用充電システムは、給電嵌合体を有し、車両の停車スペースに設けられた給電装置を備える。給電装置のリフトハウジングは、停車スペースに埋設され、給電嵌合体を収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
停車スペースの床部に車両用充電システムが配置される場合、車両に対する充電時には装置を収容する収容空間が開放される。充電時における収容空間への異物の侵入を抑制し、装置を保護できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、装置を収容する収容空間への異物の侵入を抑制できる車両用充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用充電システムは、車両が停車される停車スペースの床部に固定された本体と、前記本体に対して第一方向にスライド可能なスライド体と、車両に接続される充電用のコネクタと、アームと、を有し、前記アームの基端部が前記スライド体によって揺動可能に支持されており、かつ前記アームの先端部が前記コネクタを支持しているコネクタユニットと、前記スライド体が前記本体に収容されている状態で前記コネクタユニットを上方から覆い、かつ前記アームが起立するときに前記アームの揺動と連動して揺動しながら前記アームを前記本体の側から覆う第一カバーと、前記スライド体に支持されており、かつ前記コネクタユニットに対して前記本体の側とは反対側に配置される第二カバーと、前記スライド体に支持されており、かつ前記第一方向と直交する第二方向において前記コネクタユニットの両側に配置される第三カバーと、を備え、前記第二カバーおよび前記第三カバーは、前記アームが起立するときに前記アームの揺動と連動して上方に向けて伸び、前記アームを囲む枠を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用充電システムの第二カバーおよび第三カバーは、アームが起立するときにアームの揺動と連動して上方に向けて伸び、アームを囲む枠を形成する。本発明に係る車両用充電システムによれば、装置を収容する収容空間への異物の侵入を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両用充電システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両用充電システムの内部構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両用充電システムの側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る筐体の分解図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る筐体の側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る筐体の側面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る車両用充電システムの斜視図である。
【
図8】
図8は、比較例に係る車両用充電システムの斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る筐体の側面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る車両用充電システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用充電システムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図10を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用充電システムに関する。
図1は、実施形態に係る車両用充電システムの斜視図、
図2は、実施形態に係る車両用充電システムの内部構成を示す斜視図、
図3は、実施形態に係る車両用充電システムの側面図、
図4は、実施形態に係る筐体の分解図、
図5および
図6は、実施形態に係る筐体の側面図、
図7は、実施形態に係る車両用充電システムの斜視図、
図8は、比較例に係る車両用充電システムの斜視図、
図9は、実施形態に係る筐体の側面図、
図10は、実施形態に係る車両用充電システムの斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の車両用充電システム1は、車両が停車される停車スペースの床部100に配置される。
図1および
図2に示すように、車両用充電システム1は、本体2、筐体3、スライド体4、コネクタユニット5、第一カバー10、第二カバー20、および第三カバー30を有する。
【0012】
本体2は、車両用充電システム1の台座であり、床部100に固定される。例示された本体2の形状は、矩形の板状である。スライド体4は、本体2に対して第一方向Xにスライド可能である。第一方向Xは、例えば、充電対象である車両の前後方向である。第一方向Xは、本体2の長手方向である。
【0013】
以下に説明において、本体2の幅方向を「第二方向Y」と称する。第二方向Yは、第一方向Xと直交する。また、第一方向Xおよび第二方向Yの何れとも直交する方向を「第三方向Z」と称する。第三方向Zは、例えば、鉛直方向である。
【0014】
スライド体4は、例えば、第一方向Xに沿って本体2に配置されたレールによって支持される。
図2に示すように、スライド体4は、基盤部41と、枠部42と、を有する。基盤部41は、平板形状の部材である。枠部42は、基盤部41の上面に固定されている。
【0015】
枠部42は、コネクタユニット5を三方から囲むように配置されている。より詳しくは、枠部42は、一対の対向壁43と、連結壁44と、を有する。一対の対向壁43は、第一方向Xに延在しており、かつ第二方向Yにおいて互いに対向している。連結壁44は、一対の対向壁43の端部同士をつないでおり、第二方向Yに延在している。連結壁44は、コネクタユニット5に対して本体2の側とは反対側に配置されている。基盤部41および枠部42は、車両用充電システム1の装置を収容する収容空間40を形成している。
【0016】
以下の説明では、スライド体4が第一方向Xに沿って本体2から離れる側に進むことを「前進する」と称し、本体2へ近づく側に進むことを「後退する」と称する。ただし、スライド体4の進退における前側X1および後側X2は、車両前後方向の前側および後側とは異なっていてもよい。
【0017】
コネクタユニット5は、コネクタ51と、アーム52と、を有する。コネクタ51は、車両に接続される充電用の嵌合体である。コネクタ51は、車両側の端子に対して接続される複数の端子を有している。例示されたコネクタユニット5は、コネクタ51に対して第二方向Yの両側に配置された二つのアーム52を有する。二つのアーム52は、第二方向Yにおいて互いに対向している。アーム52の基端部52aは、基盤部41によって揺動可能に支持されている。二つの基端部52aは、回転軸によって連結されている。アーム52の先端部52bは、コネクタ51に連結されており、コネクタ51を支持している。
【0018】
基盤部41には、駆動源としてのモータ53が配置されている。モータ53は、アーム52の回転軸に連結されており、アーム52を揺動させることができる。モータ53によって駆動されるアーム52は、コネクタ51を上下動させるように、基端部52aを回転中心として回動する。以下の説明では、コネクタ51を上方へ移動させるアーム52の運動を「起立する」と称する。アーム52は、起立する場合、先端部52bを基盤部41から遠ざける方向に回動する。
【0019】
図2には、アーム52が起立する途中のコネクタユニット5が示されている。
図2に示すアーム52の回転位置は、コネクタ51を最も下方に位置付ける傾倒位置と、コネクタ51を最も上方に位置付ける起立位置との間の位置である。コネクタユニット5は、アーム52が傾倒位置にある状態で収容空間40に収容される。
【0020】
第一カバー10は、アーム52が起立するときにアーム52の揺動と連動して揺動する。
図3には、アーム52が起立した状態が示されている。第一カバー10は、アーム52によって押し上げられてもよく、モータ53等の駆動源から伝達されるトルクによって開閉されてもよい。第一カバー10は、アーム52の揺動と連動して揺動しながら、アーム52を本体2の側から覆う。言い換えると、第一カバー10は、起立したアーム52を後側X2から覆う。
図1に示すように、第一カバー10は、スライド体4が本体2に収容されている状態でコネクタユニット5を上方から覆う。
【0021】
図3に示すように、コネクタ51は、車両200のインレット210に対して嵌合する。インレット210は、車両200の車体の下部に配置されている受電嵌合体である。コネクタ51は、インレット210と嵌合することにより、車両200のバッテリと接続される。車両用充電システム1は、インレット210を検知するセンサを有している。車両用充電システム1の制御部は、センサによる検出結果に基づいてスライド体4の位置、コネクタ51の高さ位置、およびコネクタ51の姿勢を制御する。
【0022】
本実施形態の車両用充電システム1は、
図3等に示すように、アーム52が起立している場合にアーム52を囲む枠6を形成する。枠6は、第二カバー20および第三カバー30を含む。枠6は、収容空間40への異物等の侵入を抑制し、コネクタユニット5を含む構成部品を保護することができる。第二カバー20および第三カバー30は、アーム52が起立するときにアーム52の揺動と連動して上方に向けて伸びるように構成されている。また、第二カバー20および第三カバー30は、アーム52が傾倒するときにアーム52の揺動と連動して下方に向けて縮むように構成されている。
【0023】
図2および
図3に示すように、第二カバー20は、重なり合う複数の構成体21を有する。構成体21は、板状であり、かつ互いに摺動可能である。構成体21は、主壁21aおよび一対の側壁21bを有する。主壁21aは、矩形の板状であり、第二方向Yに延在している。構成体21は、主壁21aと側壁21bの間で直角に折れ曲がっている。側壁21bは、構成体21の両端に設けられている。一対の側壁21bは、第二方向Yにおいて互いに対向している。各構成体21の側壁21bは、スライド体4によって回転自在に支持されており、第二方向Yの軸線を回転中心として回動可能である。
【0024】
モータ53の回転は、スプロケットやチェーンを介して第二カバー20に伝達される。第二カバー20は、
図3に示すように、回転部材22を有している。回転部材22は、モータ53によって駆動されて回転する。回転部材22は、複数の構成体21を順番に駆動して回動させるように構成されている。アーム52が起立する場合、アーム52の揺動と連動して回転部材22が回転し、複数の構成体21を順番に上方に向けて回転させる。
【0025】
1枚目の構成体21は、2枚目の構成体21と摺動しながら上方に向けて回動する。1枚目の構成体21が所定の位置まで上昇すると、2枚目の構成体21が回動を開始する。2枚目の構成体21は、3枚目の構成体21と摺動しながら上方に向けて回動する。2枚目の構成体21が所定の位置まで上昇すると、3枚目の構成体21が回動を開始する。このように、第二カバー20は、複数の構成体21が摺動しながら順次回動することで円弧状に広がる伸縮式のカバーである。
【0026】
図2に示すように、第三カバー30は、コネクタユニット5に対して第二方向Yの両側に配置されている。一対の第三カバー30は、コネクタユニット5を間において第二方向Yにおいて互いに対向している。各第三カバー30は、重なり合う複数の構成体31を有する。構成体31は、板状であり、かつ互いに摺動可能である。例示された構成体31は、平板状であり、第一方向Xに延在している。
【0027】
本実施形態の第三カバー30は、平行リンクにより構成体31を上下させる。各構成体31における後側X2の端部31aはアーム52に対して連結されている。端部31aは、アーム52に対して間接的に連結されてもよい。端部31aは、例えば、アーム52と平行なリンク54に対して連結される。リンク54は、アーム52と接続されており、かつ第二方向Yにおいてアーム52と対向している。前側の端部31bは、リンク32に連結されている。リンク32は、スライド体4によって回転自在に支持されており、アーム52と平行を維持するように構成されている。リンク32は、アーム52と同期して回転するようにモータ53によって駆動されてもよい。
【0028】
複数の構成体31は、リンク54およびリンク32によって支持されながら上下に移動する。アーム52が起立する場合には、アーム52の揺動と連動して複数の構成体31が上方に移動する。これにより、第三カバー30は、複数の構成体31を摺動させながら上方に向けて伸びる。第三カバー30は、複数の構成体31が同時に上昇しながら上方に伸びる伸縮式のカバーである。アーム52が傾倒する場合には、アーム52の揺動と連動して複数の構成体31が下方に移動する。これにより、第三カバー30が下方に向けて縮む。
【0029】
図1に示すように、筐体3は、固定カバー7、スライドカバー8、および補助カバー9を有する。筐体3は、スライド体4を上方および側方から覆ってスライド体4を収容する。固定カバー7は、本体2に対して固定される。固定カバー7は、本体2における後側X2の部分に配置される。スライドカバー8は、第一カバー10に対して固定カバー7の側に連結されている。言い換えると、スライドカバー8は、第一カバー10における後側X2の端部に連結されている。スライドカバー8は、第一カバー10と一体となって第一方向Xにスライド可能である。第一カバー10は、スライドカバー8とヒンジを介して連結されており、スライドカバー8によって支持されながら揺動する。
【0030】
補助カバー9は、スライドカバー8と固定カバー7との間に配置されている。例えば、補助カバー9は、第一方向Xにおいてスライドカバー8と固定カバー7との間に配置される。また、補助カバー9は、第三方向Zにおいてスライドカバー8と固定カバー7との間に配置される。言い換えると、補助カバー9は、固定カバー7に対して外側に重なっている。スライドカバー8は、補助カバー9に対して外側に重なっている。
【0031】
図4に示すように、スライドカバー8および補助カバー9は、互いに独立した部材であり、第一方向Xに相対移動可能である。補助カバー9の側壁91には、突起91aが設けられている。突起91aは、側壁91の外側面に配置されており、第三方向Zに延在している。スライドカバー8の側壁81は、突起91aと当接可能な突起81aを有する。突起81aは、側壁81における補助カバー9と対向する内側面に配置されている。
【0032】
スライドカバー8と第一カバー10とは連結部11を介して連結されている。連結部11は、ヒンジ等を有しており、スライドカバー8に対して第一カバー10が揺動可能なように両者を連結している。連結部11は、スライドカバー8の頂壁82に固定されている。連結部11は、頂壁82における前側X1の端部に配置されており、補助カバー9に対して当接可能である。
【0033】
図5に示すように、スライドカバー8は、補助カバー9を外側から覆うように配置される。
図5には、補助カバー9の可動範囲RXが示されている。可動範囲RXは、第一方向Xに沿った範囲であり、スライドカバー8に対して補助カバー9が相対移動できる範囲である。補助カバー9は、
図5に示す位置から、
図6に示す位置までの間でスライドカバー8に対して相対移動可能である。
図5に示す補助カバー9の位置は、突起81a,91aが当接する位置である。
図6に示す補助カバー9の位置は、補助カバー9の前側X1の端面が連結部11に当接する位置である。
【0034】
スライドカバー8が前側X1にスライドする場合、
図5に示すように補助カバー9の一部がスライドカバー8から突出する。補助カバー9の一部は、スライドカバー8から後側X2に向けて突出する。これにより、以下に説明するように、スライド時に発生する開口が補助カバー9によって覆われる。
【0035】
まず、本実施形態の車両用充電システム1の動作について説明する。車両用充電システム1は、充電動作の開始時に、
図7に示すようにスライド体4を前側X1にスライドさせる。このときに、第一カバー10はロックされて停止している。車両用充電システム1は、スライド体4を所定の位置まで前進させると、第一カバー10のロックを解除する。これにより、第一カバー10およびスライドカバー8はスライド体4と共にスライド可能となる。
図7に示すアーム52の姿勢は傾倒姿勢であり、コネクタユニット5は枠部42で囲まれた収容空間40に収容されている。第二カバー20および第三カバー30は、縮んだ状態であり、枠部42の内側に格納されている。
【0036】
車両用充電システム1は、センサによってインレット210の位置を検出し、スライド体4の目標位置を決定する。車両用充電システム1は、スライド体4を目標位置まで進退させてコネクタユニット5をインレット210に対して位置付ける。スライド体4が進退する際には、第一カバー10およびスライドカバー8がスライド体4と共に進退する。
【0037】
図8には、比較例の車両用充電システム1Rが示されている。比較例の車両用充電システム1Rは、補助カバー9を有していない。この場合、第一カバー10およびスライドカバー8が最も前側X1まで移動したときに、固定カバー7とスライドカバー8との間に開口3aが形成される。
【0038】
本実施形態の車両用充電システム1では、
図9に示すように、固定カバー7とスライドカバー8との間に形成される開口3aを補助カバー9が覆い、開口3aを遮蔽する。本実施形態の補助カバー9は、筐体3の内部へ異物等が侵入してしまうことを抑制できる。
【0039】
車両用充電システム1は、スライド体4を目標位置で停止させると、アーム52を起立させてコネクタ51をインレット210と対向させる。
図3に示すように、第二カバー20および第三カバー30は、上方に伸びており、起立したアーム52を囲む枠6を形成する。第二カバー20は、アーム52に対して前側X1に位置しており、前側X1からの異物の侵入を抑制する。第三カバー30は、アーム52に対して第二方向Yの両側に位置しており、側方からの異物の侵入を抑制する。第一カバー10は、アーム52に対して後側X2に位置しており、後側X2からの異物の侵入を抑制する。このように、本実施形態の車両用充電システム1は、起立したアーム52を四方から囲むカバー10,20,30を有する。
【0040】
車両用充電システム1は、コネクタ51をインレット210に嵌合させて車両200のバッテリを充電する。車両用充電システム1は、充電が完了すると、インレット210からコネクタ51を離脱させ、アーム52を傾倒させる。第二カバー20および第三カバー30は、傾倒するアーム52の揺動と連動して下方に縮み、収容空間40に格納される。第一カバー10は、アーム52の揺動と連動して傾倒する。車両用充電システム1は、コネクタユニット5、第二カバー20、および第三カバー30が収容空間40に収容されると、第一カバー10をロックしてスライド体4を後退させ、スライド体4を本体2に収容する。スライド体4が
図1に示す初期位置まで後退すると、充電動作が完了する。
【0041】
なお、第一カバー10は、
図10に示すように側板部12を有していてもよい。側板部12は、アーム52を第二方向Yの外側から覆う。側板部12は、複数の板部材13で構成されている。複数の板部材13は、アーム52の揺動と連動して互いに摺動しながら上方に移動する。
図10に示すように、第二カバー20および側板部12は、第三カバー30に対して第二方向Yの外側に配置されてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の車両用充電システム1は、本体2と、スライド体4と、コネクタユニット5と、第一カバー10と、第二カバー20と、第三カバー30と、を有する。本体2は、車両が停車される停車スペースの床部100に固定される。スライド体4は、本体2に対して第一方向Xにスライド可能である。コネクタユニット5は、車両に接続されるコネクタ51と、アーム52と、を有する。アーム52の基端部52aはスライド体4によって揺動可能に支持されている。アーム52の先端部52bはコネクタ51を支持している。
【0043】
第一カバー10は、スライド体4が本体2に収容されている状態でコネクタユニット5を上方から覆う。第一カバー10は、アーム52が起立するときにアーム52の揺動と連動して揺動しながらアーム52を本体2の側から覆う。第二カバー20は、スライド体4に支持されており、かつコネクタユニット5に対して本体2の側とは反対側に配置される。第三カバー30は、スライド体4に支持されており、かつ第一方向Xと直交する第二方向Yにおいてコネクタユニット5の両側に配置される。
【0044】
第二カバー20および第三カバー30は、アーム52が起立するときにアーム52の揺動と連動して上方に向けて伸び、アーム52を囲む枠6を形成する。車両200に対する充電時には、コネクタユニット5や駆動機構を収容する収容空間40が外部空間に向けて露出する。本実施形態の車両用充電システム1は、コネクタユニット5を枠6によって囲むことで、収容空間40への異物の侵入を抑制することができる。
【0045】
例示された枠6は、コネクタユニット5を駆動する駆動機構も囲んでいる。よって、枠6は、モータ53、スプロケット、チェーン、リンク機構等の駆動機構を保護することができる。枠6は、スライド体4をスライドさせるためのモータを囲んでいてもよい。枠6は、駆動機構を制御する制御基板を囲んでいてもよい。枠6は、インレット210を検出するセンサを囲んでいてもよい。
【0046】
本実施形態の第二カバー20および第三カバー30は、重なり合う板状の複数の構成体21,31を有する。第二カバー20および第三カバー30は、アーム52が起立するときにアーム52の揺動と連動して複数の構成体21,31を摺動させながら上方に向けて伸びる。複数の構成体21,31で構成された第二カバー20および第三カバー30は、格納時の体格が小さくなる。
【0047】
本実施形態の車両用充電システム1は、スライド体4を上方および側方から覆ってスライド体4を収容する筐体3を有する。筐体3は、固定カバー7と、スライドカバー8と、補助カバー9と、を含む。固定カバー7は、本体2に固定される。スライドカバー8は、第一カバー10に対して固定カバー7の側に連結されている。スライドカバー8は、第一カバー10と一体となって第一方向Xにスライド可能である。補助カバー9は、スライドカバー8と固定カバー7との間に配置されている。補助カバー9は、スライドカバー8が固定カバー7から遠ざかる方向にスライドしたときにスライドカバー8と固定カバー7との間に形成される開口3aを覆うように構成されている。よって、本実施形態の車両用充電システム1は、開口3aからの異物の侵入を抑制することができる。
【0048】
本実施形態の補助カバー9は、スライドカバー8および固定カバー7のそれぞれに対して第一方向Xにスライド可能である。補助カバー9は、スライドカバー8が本体2の側に向けて後退したときに、
図6に示すようにスライドカバー8に収容可能である。これにより、第一方向Xにおける補助カバー9の可動範囲を大きくすることができる。例えば、スライドカバー8を固定カバー7の後端まで後退させることが可能となる。
【0049】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:車両用充電システム
2:本体、 3:筐体、 3a:開口
4:スライド体、 5:コネクタユニット、 6:枠
7:固定カバー、 8:スライドカバー、 9:補助カバー
10:第一カバー、 11:連結部、 12:側板部、 13:板部材
20:第二カバー、 21:構成体、 21a:主壁、 21b:側壁
30:第三カバー、 31:構成体、 31a,31b:端部
41:基盤部、 42:枠部、 43:対向壁、 44:連結壁
51:コネクタ、 52:アーム、 52a:基端部、 52b:先端部
81:側壁、 81a:突起、 82:頂壁
91:側壁、 91a:突起
100:床部
200:車両、 210:インレット
X:第一方向、 X1:前側、 X2:後側、 Y:第二方向、 Z:第三方向