(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】出庫管理装置、出庫管理方法、及び出庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2022126449
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】515064009
【氏名又は名称】ソフトバンクロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】加納 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 将志
(72)【発明者】
【氏名】青木 健太郎
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157367(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/092537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理装置であって、
複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得する注文情報取得部と、
前記識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報、商品の数に関する情報、及び商品の大きさに関する情報の少なくともいずれかを含む商品情報を取得する商品情報取得部と、
前記商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量、1つ又は複数の商品の総重量、商品の数、及び、商品の大きさのうちの少なくともいずれかに基づいて、各注文に対応する前記所定位置を決定する仕分け位置決定部と、
前記所定位置に関する情報を出力する出力部と、
前記商品情報に基づいて、前記複数の注文に含まれる個々の注文ごとに、商品を自動倉庫から取り出す順序を決定する取出順序決定部と、
を有することを特徴とする出庫管理装置。
【請求項2】
前記取出順序決定部は、前記個々の注文に含まれる商品の重量に基づいて、前記取り出す順序を決定する、請求項
1に記載の出庫管理装置。
【請求項3】
前記商品情報には、商品を仕分ける際に考慮すべき商品の特徴に関する情報が含まれ、
前記取出順序決定部は、前記個々の注文に含まれる商品の特徴に基づいて、前記取り出す順序を決定する、請求項
1に記載の出庫管理装置。
【請求項4】
前記取出順序決定部は、前記個々の注文に含まれる同じ種類の商品の個数に基づいて、前記取り出す順序を決定する、請求項
1に記載の出庫管理装置。
【請求項5】
前記取出順序決定部は、前記個々の注文に含まれる商品の大きさに基づいて、前記取り出す順序を決定する、請求項
1に記載の出庫管理装置。
【請求項6】
前記商品の特徴に関する情報には、商品の品質に関する情報が含まれる、請求項
3に記載の出庫管理装置。
【請求項7】
複数の商品を保管する自動倉庫は、商品を取り出すためのステーションを複数有し、
取得した前記商品情報に基づいて、複数のステーションのうちの1つのステーションを決定するステーション決定部をさらに有し、
前記出力部は、自動倉庫に対して、商品を取り出すためのステーションに関する情報を出力する、
請求項
1に記載の出庫管理装置。
【請求項8】
複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理方法であって、
注文情報取得部が、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得し、
商品情報取得部が、前記識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報
、商品の数に関する情報、及び商品の大きさに関する情報の少なくともいずれかを含む商品情報を取得し、
仕分け位置決定部が、前記商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量
、1つ又は複数の商品の総重量、商品の数、及び、商品の大きさのうちの少なくともいずれかに基づいて、各注文に対応する前記所定位置を決定し
、
出力部が、前記所定位置に関する情報を出力
し、
取出順序決定部が、前記商品情報に基づいて、前記複数の注文に含まれる個々の注文ごとに、商品を自動倉庫から取り出す順序を決定する、
ことを特徴とする出庫管理方法。
【請求項9】
複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理プログラムであって、
プロセッサに、
複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得し、
前記識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報
、商品の数に関する情報、及び商品の大きさに関する情報の少なくともいずれかを含む商品情報を取得し、
前記商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量
、1つ又は複数の商品の総重量、商品の数、及び、商品の大きさのうちの少なくともいずれかに基づいて、各注文に対応する前記所定位置を決定し
、
前記所定位置に関する情報を出力
し、
前記商品情報に基づいて、前記複数の注文に含まれる個々の注文ごとに、商品を自動倉庫から取り出す順序を決定する、
各ステップを実行させることを特徴とする出庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出庫管理装置、出庫管理方法、及び出庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子商取引が盛んに行われている。電子商取引を行う事業者は、倉庫に多種多様な商品を保管し、注文に応じて商品をピックアップし、注文主に発送する。このように、保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫する装置としてピッキングシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、オーダーに基づいて物品を複数段の間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、オーダー毎の物品の集合である物品群が集まるまで、複数段の容器支持部に収容容器を支持可能な容器支持装置と、物品が収容された収容容器を容器支持部から搬出し、容器支持部に空の収容容器を搬入する搬送装置とを備えるピッキングシステムが開示されている。
【0004】
特許文献1に記載のピッキングシステムは、各オーダーの物品群が収容された収容容器の搬出及び空の収容容器の搬入が搬送装置によって自動で行われるので、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができるというものである。
【0005】
しかしながら、従来のピッキング装置は、注文を受けた商品の特性に関わらず商品を集める位置を決定しているため、集められた商品を運搬する際に、作業者に負担が生じ、商品の出荷工程における生産性が必ずしも高くないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、商品の出荷工程における生産性を向上させることが可能な出庫管理装置、出庫管理方法、及び出庫管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置は、複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理装置であって、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得する注文情報取得部と、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報を含む商品情報を取得する商品情報取得部と、商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定し、または、各注文に含まれる1つ又は複数の商品の総重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定する仕分け位置決定部と、所定位置に関する情報を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置は、複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理装置であって、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得する注文情報取得部と、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報、商品の数に関する情報、及び商品の大きさに関する情報の少なくともいずれかを含む商品情報を取得する商品情報取得部と、商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量、1つ又は複数の商品の総重量、商品の数、及び、商品の大きさのうちの少なくともいずれかに基づいて、各注文に対応する所定位置を決定する仕分け位置決定部と、所定位置に関する情報を出力する出力部と、商品情報に基づいて、複数の注文に含まれる個々の注文ごとに、商品を自動倉庫から取り出す順序を決定する取出順序決定部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、取出順序決定部は、個々の注文に含まれる商品の重量に基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0011】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、商品情報には、商品を仕分ける際に考慮すべき商品の特徴に関する情報が含まれ、取出順序決定部は、個々の注文に含まれる商品の特徴に基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0012】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、取出順序決定部は、個々の注文に含まれる同じ種類の商品の個数に基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0013】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、取出順序決定部は、個々の注文に含まれる商品の大きさに基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0014】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、商品の特徴に関する情報には、商品の品質に関する情報が含まれてよい。
【0015】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、複数の商品を保管する自動倉庫は、商品を取り出すためのステーションを複数有し、取得した商品情報に基づいて、複数のステーションのうちの1つのステーションを決定するステーション決定部をさらに有し、出力部は、自動倉庫に対して、商品を取り出すためのステーションに関する情報を出力してよい。
【0016】
本開示の一実施形態に係る出庫管理方法は、複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理方法であって、注文情報取得部が、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得し、商品情報取得部が、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報を含む商品情報を取得し、仕分け位置決定部が、商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定し、または、各注文に含まれる1つ又は複数の商品の総重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定し、出力部が、所定位置に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0017】
本開示の一実施形態に係る出庫管理プログラムは、複数の商品を保管する自動倉庫から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置の所定位置に仕分けるための出庫管理プログラムであって、プロセッサに、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得し、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報を含む商品情報を取得し、商品情報を用いて、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定し、または、各注文に含まれる1つ又は複数の商品の総重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定し、所定位置に関する情報を出力する、各ステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置、出庫管理方法、及び出庫管理プログラムによれば、商品の出荷工程における生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態に係る出庫管理システムの構成ブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る出庫管理システムにおける自動装置のステーション及び仕分け装置の上面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置により、商品の総重量に基づいて、商品を仕分けるための仕分け装置における所定位置を決定する手順を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の総重量の順位と、仕分け装置における所定位置との関係の例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、商品の総重量が所定の閾値を超える注文が3つあった場合における、それらの注文に含まれる商品を格納する所定位置の例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の総重量が所定の閾値を超える注文が3つあった場合において、残りの注文を商品個数に基づいて決定した仕分け装置における所定位置の例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の個数が所定の閾値を超える注文が10件あった場合における、それらの注文に含まれる商品を格納する所定位置の例を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の個数が所定の閾値を超える注文が8個あり、仕分け装置の間口の数が16個である場合における、それらの注文に含まれる商品を格納する所定位置の例を示す図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置により、商品の重量、大きさ、特徴に基づいて、自動倉庫から商品を取り出す順序を決定する手順を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置により、1つの注文における複数の商品の重量、大きさ、特徴に基づいて、自動倉庫から商品を取り出す順序の例を示す表である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る出庫管理装置による、商品をピックアップしてから出庫するまでの一連の作業手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る出庫管理装置、出庫管理方法、及び出庫管理プログラムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0021】
[出庫管理システムの概要]
まず、本開示の一実施形態に係る出庫管理システムについて説明する。
図1に本開示の一実施形態に係る出庫管理システムの構成ブロック図を示す。出庫管理システム1000は、出庫管理装置100と、自動倉庫管理システム200と、自動倉庫300と、仕分け装置400と、倉庫管理システム500と、基幹システム600とを含む。
【0022】
本開示の一実施形態において、一例として、出庫管理システム1000が、顧客から商品の注文を受け付け、自動倉庫300に保管されている商品をピックアップし、梱包して顧客に発送するシステムである場合を例にとって説明する。
【0023】
基幹システム600は、ネットワークシステムであり、ユーザ等から商品の注文を受注する。商品の注文に関する情報には、注文した商品の識別情報、商品の個数、注文主であるユーザの識別情報、商品の配達先所在地に関する情報が含まれてよい。また、受注した商品の発注が完了した場合は、基幹システム600は、発注者に対して発送が完了した旨の情報を送信してよい。
【0024】
倉庫管理システム500は、商品の在庫及び商品の入出庫を管理する。具体的には、基幹システム600から注文した商品に関する情報を受信し、出庫管理装置100に対して、商品入出庫指示を与える。倉庫管理システム500は、自動倉庫300に保管されている商品の在庫量を管理してよい。従って、倉庫管理システム500は、出庫管理装置100に対して、自動倉庫300から受注した商品の出庫を指示するだけでなく、商品の在庫を監視し、不足している商品がある場合は、自動倉庫300への商品の入庫を指示してよい。また、倉庫管理システム500は、出庫管理装置100から商品入出庫実績に関する情報を受信し、受信した商品入出庫実績に基づいて自動倉庫300に保管されている商品の管理を行ってよい。
【0025】
出庫管理装置100は、自動倉庫管理システム200に対して、複数の商品を保管する自動倉庫300から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出すように指示する。さらに、出庫管理装置100は、自動倉庫300から出庫された商品10を注文ごとに仕分けるために仕分け装置400を制御する。
【0026】
図2に本開示の一実施形態に係る出庫管理システムにおける自動倉庫300の作業ステーション(以下、単に「ステーション」という。)30及び仕分け装置400の上面図を示す。自動倉庫300の内部には複数のコンテナ11が配置され、所定のコンテナ11の内部に1つまたは複数の商品(10、10a、10b、…)が保管されている。1つのコンテナ11の内部には1種類の商品10が保管されていてよい。また、1つのコンテナ11の内部に複数個の商品10が保管されていてよい。
【0027】
自動倉庫管理システム200は、出庫管理装置100から出庫の指示を受けた商品10が保管されているコンテナ11を、
図2の矢印Aで示すように、ステーション30に取り出すように制御する。1つの自動倉庫300には、1つまたは複数のステーション30が設けられていてよい。
【0028】
出庫管理装置100は、仕分け作業を行う作業者20に対する指示を表示部7に表示させてよい。作業者20は、表示部7に表示された指示に従って、ステーション30に取り出された商品10を、
図2の矢印Bで示すように、仕分け装置400の所定の間口401に移動させてよい。
【0029】
また、出庫管理装置100は、表示部7に仕分け装置400の所定の間口401の位置を表示する代わりに、仕分け装置400において、仕分け装置400の所定の間口401の位置を作業者20に認識させるようにしてよい。例えば、仕分け装置400の複数の間口のそれぞれにシャッターを設けておき、商品を格納する間口401のシャッターのみを開くようにしてよい。また、仕分け装置400の複数の間口のそれぞれにLED等の光源を設けておき、商品を格納する間口401の光源のみを点灯させるようにしてよい。あるいは、仕分け装置400の複数の間口に対して光を照射するための発光装置を設けておき、商品を格納する間口401のみに対して光を照射させるようにしてよい。
【0030】
仕分け装置400は、水平面に対して平行に配置された複数の横板と、当該横板に対して略垂直に延びる複数の縦板を含む、一面が開口された直方体状の箱体を複数備えた構造を有する。仕分け装置400は、複数の開口部(間口)を備えており、受注した商品を各間口に注文ごとにまとめて格納することができる。例えば、仕分け装置400が20個の間口を備えている場合には、最大で20件の注文のそれぞれについて、それぞれの注文ごとに受注した商品を各間口に仕分けることができる。従って、仕分け装置400のそれぞれの間口に格納された商品をまとめて発送することができるため、仕分け装置400に格納された商品を再度、発送先ごとに分ける作業を行う必要はない。全ての商品の仕分け作業が完了した後に、仕分け装置400を、
図2の矢印Cで示すように、所定の位置に移動させて発注者に対する発送作業を行ってよい。
【0031】
ステーション30にはプリンタ8が配置されていてよい。プリンタ8は注文に従って、注文の明細書及び発送先のラベルを印刷してよい。注文の明細書は、発送する商品に同梱してよく、発送先のラベルは発送する商品を梱包した箱等に貼付してよい。
【0032】
作業者は、表示部7に表示されたボタンを押下することにより、仕分け作業が完了した旨を出庫管理装置100に送信してよい。ただし、このような例には限定されず、作業者は、表示部7とは別に設置された物理ボタン等を押下することにより、仕分け作業が完了した旨を出庫管理装置100に送信してよい。出庫管理装置100は、倉庫管理システム500に対して、商品入出庫実績に関する情報を送信してよい。倉庫管理システム500は、受信した商品入出庫実績に関する情報に基づいて、自動倉庫300に保管されている商品の在庫管理を行ってよい。
【0033】
基幹システム600は、顧客に対して、注文された商品の発送が完了した旨を通知し、一連の作業が完了する。
【0034】
[出庫管理装置の構成]
次に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置について説明する。
図1に示すように、出庫管理装置100は、注文情報取得部1と、商品情報取得部2と、仕分け位置決定部3と、ステーション決定部4と、出力部5と、記憶部6と、取出順序決定部9とを有する。注文情報取得部1、商品情報取得部2、仕分け位置決定部3、ステーション決定部4、及び取出順序決定部9は、出庫管理装置100に設けられたプロセッサ(CPU)により、記憶部6に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0035】
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100は、複数の商品を保管する自動倉庫300から、複数の注文に含まれた1つ又は複数の商品を取り出し、注文毎に1つ又は複数の商品を仕分け装置400の所定位置に仕分ける。
【0036】
注文情報取得部1は、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得する。識別情報には、商品名、商品番号等、個々の商品を他の商品と識別するための情報が含まれてよい。注文情報取得部1は、基幹システム600が受信した注文に関する情報を、倉庫管理システム500を介して取得してよい。本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100は、複数の注文に含まれる複数の商品を1台の仕分け装置400の複数の間口に仕分けるものであるため、1度に仕分ける注文の件数は仕分け措置400に設けられた間口の数以下であってよい。例えば、仕分け装置400に間口が20個設けられている場合には、最大で20件の注文に係る商品を仕分けるようにしてよい。
【0037】
商品情報取得部2は、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報を含む商品情報を取得する。この商品情報は、商品の単品の重量であってよく、商品が複数含まれている場合には、単品の重量に個数を乗じた重量であってよい。
【0038】
仕分け位置決定部3は、商品情報を用いて、各注文に含まれる1つ又は複数の商品の総重量を算出する。商品の総重量に着目するのは、
図2に示すように、商品10をステーション30から仕分け装置400へ運搬する作業者20の負担を軽減するためである。例えば、総重量が大きい商品は作業者が腰を曲げなくても仕分け作業を行うことができるように仕分け装置の所定位置を決定することが好ましい。このようにすることで作業者の安全性を確保することができる。
【0039】
仕分け位置決定部3は、1つの注文に含まれる1つまたは複数の商品の総重量に基づいて、各注文に対応する仕分け装置400における所定位置を決定する。ここで商品の総重量に基づいて商品が所定値以上の重量を有する商品である「重量物」に該当するか否かを以下の方法で決定してよい。
【0040】
仕分け位置決定部3が算出した、ある注文に含まれる商品の総重量が、仕分け対象の全ての注文のそれぞれの総重量のうちの上位Y%であるとした場合に、そのような注文に関して、優先して所定位置を決定する方法である。これは、単品では重量が大きくない場合であっても、1つの注文に含まれる商品の数量が大きく総重量が所定値より大きい場合は作業者に負担が生じうる点を考慮したものである。例えば、1つの注文に含まれる商品の総重量が、全ての注文のうちのそれぞれの総重量のうちの上位10%以内である場合に、当該注文は重量物を含む注文であるとしてよい。ただし、10%という値は単なる例示であって、このような例には限定されない。
【0041】
なお、上記のように各注文に含まれる1つ又は複数の商品の総重量に基づいて、仕分け装置400の間口の所定位置を決定する場合には限られず、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量に基づいて、各注文に対応する仕分け装置400の間口の所定位置を決定してよい。即ち、商品の単品の重量に基づいて、重量が大きい商品の優先度を上げるようにして仕分け装置400の間口の所定位置を決定してもよい。このようにすることにより、単品の商品の重量が大きい場合であっても、商品をステーション30から仕分け装置400に移動する際における作業者の負担を軽減し、作業者の安全性を高めることができる。ここで商品の単品の重量に基づいて商品が所定値以上の重量を有する商品である「重量物」に該当するか否かを以下の方法で決定してよい。
【0042】
ある商品の単品の重量が、仕分け対象の全ての注文に含まれる全商品の重量のうちの上位X%以内であるとした場合に、そのような商品を含む注文に関して、優先して仕分け装置400の間口の所定位置を決定する方法である。これは、1つの注文に含まれる商品の合計の重量である総重量に基づいて比較すると他の注文よりも軽量である場合であっても、単品で重量が所定値以上である場合は、作業者に負担がかかる場合がある点を考慮したものである。例えば、ある注文に、単品の商品の重量が全商品のうちの上位5%以内の商品が含まれている場合に、当該注文は重量物を含んでいるとしてよい。ただし、5%という値は単なる例示であって、このような例には限定されない。
【0043】
注文に係る商品が重量物であるか否かの判断は、上記の商品の総重量に基づく方法及び商品の単品の重量に基づく方法の少なくともいずれか一方の方法で判断してよい。ただし、このような例には限られず、ある注文に含まれる商品の総重量が重量物に該当するか否か、及び、ある注文に含まれる商品が重量物に該当するか否かについて、作業員が設定するようにしてよい。例えば、ある注文に含まれる商品の総重量が10kg以上である注文について、当該注文は重量物を含む注文であるとして当該注文は重量物を含むことを表す重量フラグを付してよい。あるいは、ある注文に単品の商品の重量が5kg以上であるような商品が含まれている場合に、当該注文は重量物を含む注文であるとして当該注文に重量フラグを注文情報に付してよい。ただし、10kg以上や5kg以上という値は単なる例示であって、このような例には限定されない。
【0044】
出力部5は、仕分け装置400における上記の所定位置に関する情報を出力する。例えば、出力部5は、所定位置に関する情報を表示部7に出力してよい。作業者20は、表示部7に表示された仕分け装置400における所定位置を視認することにより、仕分け装置400における所定位置の間口401に商品10を格納することができる。
【0045】
なお、出力部5は、表示部7に仕分け装置400の所定の間口401の位置を表示する代わりに、仕分け装置400に対して、所定位置の間口401に関する情報を出力してよい。例えば、仕分け装置400の複数の間口のそれぞれにシャッターを設けておき、所定位置の間口401のシャッターのみを開くように信号を送信してよい。また、仕分け装置400の複数の間口のそれぞれにLED等の光源を設けておき、所定位置の間口401の周辺の光源のみを点灯させるように信号を送信してよい。あるいは、仕分け装置400の複数の間口に対して光を照射するための発光装置を設けておき、所定位置の間口401のみに対して光を照射させるように発光装置に信号を送信してよい。
【0046】
[総重量に基づく仕分け装置における所定位置の決定方法]
次に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100を用いて、受注した商品を仕分け装置400に仕分ける際における所定位置の決定方法について説明する。
図3に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置により、商品の総重量に基づいて、商品を仕分けるための仕分け装置における所定位置を決定する手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0047】
まず、ステップS101において、注文情報取得部1が、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得する。商品の識別情報は、出庫管理装置100が倉庫管理システム500から受信した商品入出庫指示情報に含まれてよい。
【0048】
次に、ステップS102において、商品情報取得部2が、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報を含む商品情報を取得する。商品情報は、記憶部6に予め記録されていてよい。記憶部6は、商品の識別情報と商品情報とを関連付けて記憶したデータベースを記憶してよい。
【0049】
次に、ステップS103において、仕分け位置決定部3が、商品情報に基づいて、各注文に含まれる1つ又は複数の商品の総重量を算出する。各注文についての総重量の計算結果を記憶部6に記憶してよい。
【0050】
次に、ステップS104において、仕分け位置決定部3が、総重量に基づいて、各注文に対応する所定位置を決定する。総重量と、各注文に係る商品を格納するための所定位置との関係については後述する。
【0051】
次に、ステップS105において、出力部5が、所定位置に関する情報を出力する。例えば、出力部5は表示部7に所定位置に関する情報を出力してよい。作業者は、表示部7を参照することにより、仕分け装置400における所定位置に商品を格納することができる。
【0052】
図4に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の総重量の順位と、仕分け装置における所定位置との関係の例を示す。
図4は、仕分け装置400を間口側から見た図であり、一例として、垂直方向に5段(段A~E)、水平方向に4列(列I~IV)の合計20個の間口が設けられた例を示している。ここで、Aの段が床面700に最も近く、一番低い位置に配置されている。一方、Eの段は床面700から最も遠く、一番高い位置に配置されている。また、ステーション30は列I側に配置された例を示している。AからEの段の全ての間口に作業者が商品を格納するようにするために、仕分け装置400の高さは2m程度としてよい。ただし、このような例には限られない。また、例えば、
図4に示すように、仕分け装置400の間口が20個ある場合には、20件の注文の商品を注文ごとに仕分けることができる。
【0053】
また、一例として、20件の注文のそれぞれの注文に含まれる商品の総重量を算出した結果、総重量が所定の閾値を超えた注文が10件あった場合、即ち、仕分け装置400における配置位置を考慮すべき重量物を含むと判断された注文が10件あった場合について説明する。この場合、
図4に示すように、作業者が腰を曲げずに商品を間口に運べるように、重量物を含む注文に関して、仕分け装置400の中央付近のハッチングを施した10か所の領域に所定位置を設定してよい。このように、重量物を含む注文に係る商品を格納する間口の位置を所定位置に設定することにより、作業者が腰を曲げずに重量物を格納することができ、作業者の安全を確保することができる。ただし、
図4に示した作業者の安全を考慮して決定した間口の位置は一例であって、このような例には限られない。
【0054】
重量物を含むと判断された10件の注文のうち、最も重量が大きいと判断された注文に係る商品は、
図4において「1」と表記されている、I列、C行、即ち、座標(I,C)の間口400aに格納してよい。これは、作業者はステーション30から商品を仕分け装置400に移動させるが、間口400aがステーション30に最も近く、作業者の負担が最も小さくなると考えられるためである。
【0055】
また、2番目に総重量が大きい注文に係る商品は、
図4において「2」と表記されている、II列、C行、即ち、座標(II,C)の間口400bに格納してよい。以下、同様にして、10番目に総重量が大きい注文に係る商品は、
図4において「10」と表記されている、II列、B行、即ち、座標(II,B)の間口400cに格納してよい。
【0056】
このように、総重量が所定の値より大きい注文に係る商品を仕分け装置の中段を中心に格納するようにしてよい。ただし、このような例には限定されない。例えば、仕分け装置400の間口の大きさや配置、あるいは作業者の身長等に応じて、作業者の負担を軽減できるように配置を調整してよい。
【0057】
また、
図4に示した例において、20件の注文のうち、総重量が11~20番目の注文については、総重量以外の事項に基づいて格納する間口の位置を決定してよい。総重量以外の事項としては、商品の個数、サイズ、商品の特徴であってよい。ここで、商品の特徴に関する情報には、商品の品質に関する情報が含まれてよい。例えば、商品の品質に関する情報には、商品が壊れ易く、取り扱いに注意が必要であるとの情報が含まれてよい。なお、全ての商品の各重量が所定の値(例えば、Xkg)以下の場合には、最初から重量については考慮せず、その他の特徴だけに基づいて仕分け装置400における間口の位置を決定してもよい。この場合は、各注文に含まれる商品が重量物に該当するか否かの判定を省略することができるため、所定位置の決定を迅速に行うことができる。
【0058】
[商品の個数に基づく仕分け装置における所定位置の決定方法]
次に、注文に含まれる商品の個数に基づいて、仕分け装置における所定位置の決定方法について説明する。
図5は、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置において、商品の総重量が所定の閾値を超える注文が3つあった場合における、それらの注文に含まれる商品を格納する所定位置の例を示す図である。
図6は、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の総重量が所定の閾値を超える注文が3つあった場合において、残りの注文を商品個数に基づいて決定した仕分け装置における所定位置の例を示す図である。
【0059】
注文の件数を20件とし、注文に含まれる商品の総重量が所定の重量を超える注文が3件あったものとする。この場合、総重量が大きい3件の注文について、「C」で示した中段のI~IIIの間口に商品を格納する。ここで、
図5に示した仕分け装置400内の番号4~20は、総重量に基づいて、まず、Cの段に配置し(番号「4」)、次に、Dの段(番号「5」~「8」)、Bの段(番号「9」~「12」)、Aの段(番号「13」~「16」)、Eの段(番号「17」~「20」)の順に配置するように割り振られているとする。しかしながら、重量物と判断された注文が3件のみである場合は、残りの注文については総重量に基づいて格納位置を決定する必要はない。そこで、本実施形態においては、注文に含まれる商品の個数に基づいて仕分け位置を決定する方法について説明する。
【0060】
注文に含まれる商品の個数が多い場合は、商品個数に応じて、ステーション30と仕分け装置400との間の移動回数が増加し、作業者の負担が増加すると考えられる。そこで、商品個数が多い注文ほど、ステーション30からの距離が近い間口に商品を格納することが好ましいと考えられる。
【0061】
図6に示すように、総重量が大きい3件の注文について間口を決めた後、商品個数が最も多い注文は、ステーション30から最も近い、番号「4」が記載された座標(I,D)の間口に商品を格納する。その次に、商品個数が2番目に多い注文は、ステーション30から2番目に近い、番号「5」が記載された座標(I,B)の間口に商品を格納する。
【0062】
以下、同様にして、商品個数が最も少ない注文は、ステーション30から最も遠い、番号「20」が記載された座標(IV,A)の間口に商品を格納する。以上のようにして、注文に含まれる商品個数に応じて商品を格納する間口の位置を決定することにより、ステーション30と仕分け装置400との間で作業者20が移動する距離を短縮することができ、作業者の負担を軽減することができる。なお、重量物を含む注文を除いた注文について、商品の個数が同じ注文については、重量が大きい順にステーション30に近い間口に格納するようにしてよい。
【0063】
上記の例では、まず重量物を含む注文について仕分け装置における間口の位置を決定し、その次に商品の個数に基づいて間口の位置を決定する例について説明したが、このような例には限られない。即ち、注文の中に重量物が含まれていない場合には、最初に商品個数または商品の大きさに基づいて間口の位置を決定するようにしてよい。
【0064】
図7に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の個数が所定の閾値を超える注文が10個あった場合における、それらの注文に含まれる商品を格納する所定位置の例を示す。まず、商品の個数が所定の閾値を超える10件の注文については、ステーション30から近い、中段、且つ、左側の間口に配置することが好ましい。
図7において、このような10箇所の間口をハッチングして示している。
【0065】
商品個数が最も多い注文は、ステーション30から最も近い、番号「1」が記載された座標(I,C)の間口に商品を格納する。その次に、商品個数が2番目に多い注文は、ステーション30から2番目に近い、番号「2」が記載された座標(II,C)の間口に商品を格納する。
【0066】
以下、同様にして、商品の個数が所定の閾値を超える10件の注文のうち、商品個数が最も少ない注文は、ハッチングされた領域のうち、ステーション30から最も遠い数字「10」が記載された座標(III,B)の間口に商品を格納する。
【0067】
以上のようにして、注文に含まれる商品個数に応じて商品を格納する間口の位置を決定することにより、ステーション30と仕分け装置400との間で作業者20が移動する距離を短縮することができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0068】
なお、商品個数が所定の閾値未満である残りの10件の注文については、重量や商品個数を除く、商品の大きさ、または、特徴に基づいて格納する間口の位置を決定してよい。
【0069】
上記の例においては、仕分け装置400の間口の数が20個の場合について説明したが、このような例には限定されない。
図8に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置によって決定された、商品の個数が所定の閾値を超える注文が8個あり、仕分け装置の間口の数が16個である場合における、それらの注文に含まれる商品を格納する所定位置の例を示す。
【0070】
まず、商品の個数が所定の閾値を超える8件の注文については、ステーション30から近い、中段の間口に配置することが好ましい。
図8において、このような8箇所の間口をハッチングして示している。
【0071】
商品個数が最も多い注文は、ステーション30から最も近い、番号「1」が記載された座標(I,C)の間口に商品を格納する。その次に、商品個数が2番目に多い注文は、ステーション30から2番目に近い、番号「2」が記載された座標(I,B)の間口に商品を格納する。
【0072】
以下、同様にして、商品の個数が所定の閾値を超える8件の注文のうち、商品個数が最も少ない注文は、ハッチングされた領域のうち、ステーション30から最も遠い数字「8」が記載された座標(IV,B)の間口に商品を格納する。
【0073】
以上のようにして、注文に含まれる商品個数に応じて商品を格納する間口の位置を決定することにより、ステーション30と仕分け装置400との間で作業者20が移動する距離を短縮することができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0074】
なお、商品個数が所定の閾値未満である残りの8件の注文については、重量や商品個数を除く、商品の大きさ、または、特徴に基づいて格納する間口の位置を決定してよい。
【0075】
[出庫順序決定方法]
上記の説明においては、注文ごとに商品を仕分けるための仕分け装置における間口の位置について説明した。このように注文ごとに間口の位置を決定した後、間口に商品を格納する順序について説明する。
【0076】
従来は商品を仕分ける際に、自動倉庫から商品を取り出す順序について考慮していなかった。そのため、例えば、つぶれやすい箱に入ったお菓子を間口に格納した後に、百科事典のような重い商品をそのまま格納してしまうと先に格納したお菓子の箱がつぶれてしまう。そこで、先に格納したお菓子を一旦移動させてから百科事典を格納する必要が生じ、作業者の工数が増加してしまうという問題あった。
【0077】
そこで、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置においては、商品情報に基づいて、複数の注文に含まれる個々の注文ごとに、商品を自動倉庫から取り出す順序を決定する取出順序決定部9をさらに有する点を特徴としている。注文情報取得部1は、複数の注文のそれぞれに含まれる1つ又は複数の商品のそれぞれに関する識別情報を取得する。商品情報取得部2は、識別情報に基づいて、各商品の重量に関する情報、商品の数に関する情報、及び商品の大きさに関する情報の少なくともいずれかを含む商品情報を取得する。仕分け位置決定部3は、複数の注文のそれぞれに含まれる商品の単品の重量、1つ又は複数の商品の総重量、商品の数、及び、商品の大きさのうちの少なくともいずれかに基づいて、各注文に対応する所定位置を決定してよい。即ち、仕分け位置決定部3は、商品の単品の重量、または、注文に含まれる商品の総重量に限定されず、注文に含まれる商品の数、または商品の大きさに関する商品情報に基づいて、商品を格納するための間口の所定位置を決定してよい。
【0078】
ここで、取出順序決定部9が自動倉庫から商品を取り出す順序は、商品の種々の特性に基づいて決定してよい。例えば、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる商品の重量に基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0079】
また、商品情報には、商品を仕分ける際に考慮すべき商品の特徴に関する情報が含まれてよく、取出順序決定部は、個々の注文に含まれる商品の特徴に基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0080】
また、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる同じ種類の商品の個数に基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0081】
また、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる商品の大きさに基づいて、取り出す順序を決定してよい。
【0082】
図9に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置により、商品の重量、大きさ、特徴に基づいて、自動倉庫から商品を取り出す順序を決定する手順を説明するためのフローチャートを示す。
図10に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置により、1つの注文における複数の商品の重量、大きさ、特徴に基づいて、自動倉庫から商品を取り出す順序の例を示す。
【0083】
ここでは、1つの注文に9種類の商品が含まれている場合を例にとって説明する。
図10に示すように、商品は1001~1009までの9個であり、商品情報取得部2は、各商品の大きさ(長さ、幅、高さ)、重量、特徴に関する情報を商品情報として取得している。商品の体積は、長さ、幅、高さを乗じて算出することができる。
【0084】
まず、ステップS201において、商品体積に関わらず重量物は注文内の最初に出庫するように順序を決定する。例えば、重量が5[kg]以上の商品を重量物と設定した場合、商品1002(重量5.10kg)及び1006(重量5.60kg)が重量物に相当する。このうち、商品1006の重量が5.60[kg]で最も重いため、出庫順を1番目に設定する。また、商品1002の重量が5.10[kg]で2番目に重いため、出庫順を2番目とする。
【0085】
次に、ステップS202において、商品体積に関わらず壊れやすい商品は注文内の最後に出庫するように順序を決定する。例えば、
図10に示した例では、商品1003及び1005の特徴として「壊れ物」であるとの情報が登録されている場合、商品1003を最後である9番目に出庫し、商品1005を最後から2番目である8番目に出庫するように設定してよい。
【0086】
次に、ステップS203において、注文内の残りの商品について商品体積が大きい順に出庫するように順序を決定する。例えば、ステップS201及びS202において既に出庫順を決定した商品以外の残りの5商品である商品1001、1004、1007~1009について、体積が大きい順に出庫順を決定する。例えば、商品1007は、残りの5商品の中で最も体積が大きいため、出庫順を3番目に設定する。同様に、商品体積に基づいて、商品1009、1008、1004、1001の出庫順をそれぞれ、4、5、6、7番目に設定する。
【0087】
次に、ステップS204において、注文における複数の商品の出庫の順序を決定する。即ち、上記のステップS201~S203の手順に従って、商品1001~1009の出庫順を決定する。
【0088】
次に、ステップS205において、決定した出庫順に従って自動倉庫300から商品1001~1009を出庫する。出庫された商品は、作業員が所定の間口に格納することができる。
【0089】
以上のようにして、商品情報に基づいて、複数の注文に含まれる個々の注文ごとに、商品を自動倉庫から取り出す順序を決定することにより、作業者の負担を軽減し、生産性を向上させることができる。
【0090】
[商品の重量に基づく取り出し順序の決定]
図9に示したフローチャートを用いて説明した例では、商品の重量、大きさ、特徴に基づいて、自動倉庫300から商品を取り出す順序を決定する例について説明したが、このような例には限られない。即ち、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100において、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる商品の重量に基づいて、自動倉庫300から商品を取り出す順序を決定してよい。
【0091】
例えば、
図10に示した商品1001~1009のうち、個々の商品の重量が重い順に自動倉庫300から取り出すようにしてよい。また、個々の商品に同じものが複数含まれている場合には、複数個の合計の重量に基づいて取り出し順序を決定してよい。
【0092】
このようにすることで、間口のケースに先に格納された軽い商品が、後から格納される重い商品によって潰されるといった状況を回避することができる。
【0093】
[商品の特徴に基づく取り出し順序の決定]
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100において、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる商品の特徴に基づいて、自動倉庫300から商品を取り出す順序を決定してよい。
【0094】
例えば、
図10に示した商品1001~1009のうち、個々の商品の特徴として壊れやすさに関する情報が含まれている場合、壊れ易い商品ほど、順番が後になるように自動倉庫300から取り出すようにしてよい。ここで、壊れやすさに関する情報には、例えば「商品ごとに登録されている材質や形状、硬さなどの情報(例えば、商品はビニール製であること、あるいは、商品の形状が袋状であること等)」が含まれてよい。ただし、壊れやすさに関する情報は、このような例には限定されず、他の情報を含んでよい。
【0095】
このようにすることで、間口のケースに先に格納された壊れ易い商品が、後から格納される商品によって壊されるといった状況を回避することができる。
【0096】
[同じ種類の商品の個数に基づく取り出し順序の決定]
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100において、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる同じ種類の商品の個数に基づいて、自動倉庫300から商品を取り出す順序を決定してよい。
【0097】
例えば、
図10に示した商品1001~1009のうち、個々の商品に同じ種類の物が複数含まれている場合には、同じ種類の商品の個数が多い順に自動倉庫300から取り出すようにしてよい。
【0098】
このようにすることで、間口のケースにおいて先に格納された個数が少ない商品が、後から格納される個数が多い商品によって埋没してしまうといった状況を回避することができる。
【0099】
[商品の大きさに基づく取り出し順序の決定]
本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100において、取出順序決定部9は、個々の注文に含まれる商品の大きさに基づいて、自動倉庫300から商品を取り出す順序を決定してよい。ここで、商品の大きさとして、商品の長さ、幅、高さのうちのいずれかの最大値に基づいて取り出し順を決定してよい。あるいは、商品の長さ、幅、高さを乗じた体積に基づいて取り出し順を決定してよい。
【0100】
例えば、
図10に示した商品1001~1009のうち、個々の商品の体積が大きい順に自動倉庫300から取り出すようにしてよい。
【0101】
このようにすることで、間口に配置されたケースにおいて、先に格納された体積が小さい商品が、後から格納される体積が大きい商品によって隠れてしまうといった状況を回避することができ、さらに、間口に配置されたケースの奥の位置に先に体積が大きい商品を格納し、間口の手前側に体積が小さい商品を格納することができ、効率よく商品を格納することができる。
【0102】
[一連の作業手順の例]
次に、商品をピックアップしてから出庫するまでの一連の作業の例について説明する。
図11に、本開示の一実施形態に係る出庫管理装置による、商品をピックアップしてから出庫するまでの一連の作業手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0103】
まず、ステップS301において、仕分け装置に設置するカートの識別番号であるIDをスキャンする。ここで、カートは商品を格納する箱状の容器であって、2次元または3次元のバーコードであるIDが付されていてよい。カートは仕分け装置の複数の間口にそれぞれ配置されてよい。
【0104】
次に、ステップS302において、明細書と宛名ラベルを間口No.の昇順で印刷する。明細書には、注文番号、発注者、商品番号、商品名、個数、発送元に関する情報が含まれてよい。例えば、仕分け装置400に間口が20個設けられており、20件の注文を処理する場合には、各間口に対応した注文について明細書及び宛名ラベルを印刷してよい。
【0105】
ここで、上記のように、明細書及び宛名ラベルをあらかじめ順番に印刷しておいて間口に順番に配布する例は一例であって、このような例には限定されない。即ち、明細書及び宛名ラベルは昇順、ないしはランダムで印刷しておいて、後述するように、間口への配布時に間口の番号(No.)に紐づく、間口に貼り付けられた固有の間口ID(例えば、バーコード)と、明細書及び宛名ラベルに印字された固有のID(例えば、バーコード)とをスキャンにより照合して配布していくようにしてもよい。
【0106】
次に、ステップS303において、自動倉庫のコンテナがステーションに到着する。コンテナには、仕分け装置の間口に格納すべき商品が格納されている。
【0107】
次に、ステップS304において、作業者は表示部7でコンテナから取る場所と商品と個数を確認する。なお、表示部7にはコンテナの内の商品を取り出す場所が示されていない場合は、任意の場所から商品を取り出してよい。
【0108】
次に、ステップS305において、作業者は、指定された個数を取り出し、仕分け装置でゲートが空いた間口に商品を配置する。ここで、商品を間口に配置する際に、商品を全数スキャンしてよく、複数個ある場合は代表する1つの商品についてスキャンしてよく、あるいは、商品にバーコード等が付されていない場合はスキャンしなくてよい。さらに、商品を配置した間口のスキャンを実行してよい。なお、間口にゲートが設けられていない場合は、間口周辺の発光装置の点灯等により、配置すべき間口の位置を確認してよい。
【0109】
次に、ステップS306において、作業者は商品を間口に置いたら仕分け装置の釦を押下する。これにより、仕分け装置は間口のゲートを閉状態に戻すことができる。
【0110】
次に、ステップS307において、表示部7に表示された自動倉庫のコンテナ発進釦を押下する。これにより、コンテナを自動倉庫の所定の位置に戻すことができる。
【0111】
次に、ステップS308において、仕分け装置のピッキングが完了する。
【0112】
次に、ステップS309において、仕分け装置は商品を格納した間口のゲートを解放する。間口のゲートを開放することにより、間口の正面側から明細書及び宛名ラベルをカートに入れたり、商品を格納したカートを取り出したりすることができる。
【0113】
次に、ステップS310において、作業者は、明細書及び宛名ラベルを各間口に配布する。なお、明細書に記載の内容をメール等で発注者に知らせる場合には、明細書の代わりに注文を識別するためのバーコード等を用いてよい。
【0114】
次に、ステップS311において、作業者は、仕分け装置400内のカートを梱包エリアに搬送する。梱包エリアでは、明細書等をスキャンしてから、カート内の商品を明細書と共に箱詰めし、箱の外表面の所定の箇所に宛名ラベルを貼付してよい。以上のようにして、自動倉庫からの商品の取り出しから梱包までの一連の作業が完了する。
【0115】
[ステーションの設定方法]
上記の説明においては、自動倉庫には1つのステーションが配置されている場合を例にとって説明したが、自動倉庫には複数のステーションが配置されていてよい。即ち、複数の商品を保管する自動倉庫300は、商品を取り出すためのステーションを複数有し、出庫管理装置100は、取得した商品情報に基づいて、複数のステーションのうちの1つのステーションを決定するステーション決定部4(
図1参照)をさらに有してよい。この場合、出力部5は、自動倉庫300に対して、商品を取り出すためのステーションに関する情報を出力してよい。
【0116】
例えば、複数の注文に含まれる商品の大きさに大きなばらつきがあり、注文ごとの商品の体積が大きい注文群と、商品の体積が小さい注文群に分け、それぞれの注文群に応じて異なるステーションから出庫するように設定してよい。また、商品の体積が大きい注文群の商品を取り出すステーションには、間口の容積が大きい仕分け装置を配置し、商品の体積が小さい注文群の商品を取り出すステーションには、間口の容積が小さい仕分け装置を配置してよい。このようにすることで、商品の体積が間口の容積を超える状態を回避しやすくなると共に、間口の容積に空いた領域が生じるのを回避することができる。
【0117】
[注文品が間口に収まる個所の判定方法]
上記の説明においては、注文に含まれる商品が全て仕分け装置の間口の容積内に収まることを前提としているが、商品の仕分け作業に先立って、注文品が仕分け装置の間口の容積に収まるか否かを判定してよい。
【0118】
そこで、まず、
図10に示したように、個々の商品の長さ、幅、高さに関する情報に基づいて、各辺が間口の長さ、幅、高さに収まるか否かを判定してよい。
【0119】
個々の商品が間口に収まる場合は、次に、複数の注文のそれぞれについて、1つの注文に含まれる全ての商品の合計の体積が間口の容積に収まるか否かを判定してよい。
【0120】
複数の注文の全てについて、個々の注文に含まれる商品の合計の体積が間口の容積に収まる場合は仕分け作業を開始してよい。一方、個々の注文に含まれる商品の合計の体積が間口の容積に収まらない場合は、間口の容積が大きい他の仕分け装置を用意してよい。
【0121】
上述した本開示の一実施形態に係る出庫管理装置100のプロセッサ(図示せず)が有する各部の機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムは、コンピュータによって読取り可能な記録媒体に記憶された形で提供されてよい。コンピュータによって読取り可能な記録媒体は、例えば、磁気記録媒体、光記録媒体、又は半導体メモリであってよい。
【符号の説明】
【0122】
1 注文情報取得部
2 商品情報取得部
3 仕分け位置決定部
4 ステーション決定部
5 出力部
6 記憶部
7 表示部
8 プリンタ
9 取出順序決定部
10 商品
11 コンテナ
30 ステーション
100 出庫管理装置
200 自動倉庫管理システム
300 自動倉庫
400 仕分け装置
401 間口
500 倉庫管理システム
600 基幹システム