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特許7585270積層造形装置、三次元造形物の製造方法、及びティーチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】積層造形装置、三次元造形物の製造方法、及びティーチング方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/82 20210101AFI20241111BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20241111BHJP
   B22F 10/73 20210101ALI20241111BHJP
   B22F 10/80 20210101ALI20241111BHJP
   B22F 12/88 20210101ALI20241111BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20241111BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20241111BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20241111BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241111BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241111BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241111BHJP
【FI】
B22F12/82
B22F10/28
B22F10/73
B22F10/80
B22F12/88
B22F12/90
B29C64/379
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022161100
(22)【出願日】2022-10-05
(65)【公開番号】P2024054693
(43)【公開日】2024-04-17
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 秀二
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100407(JP,A)
【文献】特表2017-509514(JP,A)
【文献】特開2018-199939(JP,A)
【文献】特開2022-067599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/105,3/16,10/28,10/73,10/80,
12/82,12/88,12/90
B28B 1/30
B29C 64/153,64/379,64/386,64/393
B33Y 10/00,30/00,50/00,50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形テーブルと、チャンバと、材料層形成装置と、チャック装置と、材料回収装置と、搬送ロボットと、移動ロボットと、制御装置とを備える積層造形装置であって、
前記造形テーブルは、テーブル駆動機構により上下運動可能に構成され、
前記チャンバは、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域を覆い、
前記材料層形成装置は、前記造形領域に載置されたベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成し、
前記チャック装置は、前記造形テーブル上に配置され、前記ベースプレートを前記造形領域内に着脱自在且つ固定可能に構成され、
前記材料回収装置は、前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を吸引可能な吸引ノズルを備え、
前記搬送ロボットは、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記造形物とを前記チャンバから取り出し可能に構成され、
前記移動ロボットは、前記吸引ノズルを移動可能に構成され、
前記制御装置は、前記テーブル駆動機構を制御して前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、ティーチングデータに従って前記移動ロボットを制御して前記吸引ノズルを移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返し、
前記ティーチングデータは前記吸引ノズルの移動経路と姿勢とに関する情報を含み、
前記情報は、前記造形物の形状及び前記造形テーブルの高さに対応した情報である、積層造形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の積層造形装置であって、
前記ベースプレート及び前記造形物を少なくとも含む領域の画像を取得可能に構成された撮像装置を備え、
前記制御装置は、前記撮像装置が取得した前記画像を用いて余剰の前記材料粉体の有無を判定する、積層造形装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記吸引ノズルによる被吸引物中の前記材料粉体の割合を検出可能な検出手段を備え、
前記制御装置は、前記材料粉体の前記割合に基づいて余剰の前記材料粉体の有無を判定する、積層造形装置。
【請求項4】
請求項3に記載の積層造形装置であって、
前記検出手段は、流量センサである、積層造形装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記造形テーブルを囲繞し、前記造形テーブル上に前記材料粉体を保持するように設けられた粉体保持壁と、
前記粉体保持壁の外側に排出される余剰の前記材料粉体を収容するように構成された材料回収バケットと、を備え、
前記材料回収装置は、運転モードとして回収モードと吸引モードとを備え、
前記制御装置は、前記運転モードの切り替えを行うように構成され、
前記材料回収装置は、前記回収モードにおいて、前記材料回収バケット内の前記材料粉体を回収し、且つ不純物を除去したうえで前記材料粉体を前記材料層形成装置へ供給し、前記吸引モードにおいて、前記移動ロボットにより前記吸引ノズルを移動させて前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を前記吸引ノズルにより吸引し、且つ前記材料粉体から不純物を除去するように構成される、積層造形装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記チャック装置の側面は、チャックカバーにより覆われており、
前記チャックカバーは、外側カバーと、内側カバーとを備え、
前記外側カバーは、前記内側カバーの側面の少なくとも一部を覆い、
前記内側カバーは、前記チャック装置の前記側面を覆う、積層造形装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記チャック装置は、取付プレートを介して前記ベースプレートを固定する、積層造形装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記吸引ノズルは、先端側に吸引部を備え、
前記吸引部は、先端側の端面を傾斜面で切断した筒形状を有し、
前記傾斜面に開口部が設けられる、積層造形装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記搬送ロボットは、前記ベースプレートを前記チャンバに搬入可能に構成される、積層造形装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記搬送ロボットは、前記造形物を前記チャンバから取り出した後、当該造形物を反転するように構成される、積層造形装置。
【請求項11】
三次元造形物の製造方法であって、
載置工程と、固化層形成工程と、吸引工程と、取り出し工程とを備え、
前記載置工程では、造形テーブル上に配置されたチャック装置によってベースプレートを着脱自在に固定することにより、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域に前記ベースプレートを載置し、
前記固化層形成工程では、前記ベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層の所定の照射領域にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成する固化工程とを繰り返すことにより、前記固化層を積層し、
前記吸引工程では、テーブル駆動機構により前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、ティーチングデータに従って移動ロボットにより吸引ノズルを移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返し、
前記取り出し工程では、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記造形物とを、前記造形領域を覆うチャンバから搬送ロボットにより取り出し、
前記ティーチングデータは前記吸引ノズルの移動経路と姿勢とに関する情報を含み、
前記情報は、前記造形物の形状及び前記造形テーブルの高さに対応した情報である、製造方法。
【請求項12】
三次元造形物の積層造形において発生する余剰の材料粉体を吸引ノズルで吸引する際に用いられるティーチングデータを取得するためのティーチング方法であって、
載置工程と、造形工程と、記録工程と、上昇工程とを備え、
前記載置工程では、造形テーブル上に配置されたチャック装置によってベースプレートを着脱自在に固定することにより、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域に前記ベースプレートを載置し、
前記造形工程では、前記ベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層の所定の照射領域にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成する固化工程とを繰り返すことにより、前記固化層を積層して三次元造形物を造形し、
前記記録工程では、移動ロボットを手動で操作して前記吸引ノズルを移動させながら前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体の吸引を行い、前記吸引ノズルの位置座標及び姿勢を記録し、
前記上昇工程では、前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させ、
前記記録工程と前記上昇工程とを繰り返すことにより、前記ティーチングデータを取得
前記ティーチングデータは、前記吸引ノズルの移動経路と姿勢とに関する情報を含み、
前記情報は、前記造形物の形状及び前記造形テーブルの高さに対応した情報である、ティーチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形装置、三次元造形物の製造方法、及びティーチング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元造形物の積層造形では、種々の方式が知られている。例えば、粉末床溶融結合を実施する積層造形装置は、チャンバ内に配置された造形テーブル上の造形領域にベースプレートを配置し、造形領域に材料粉体を供給して材料層を形成し、レーザ光又は電子ビームを材料層の所定位置に照射することで材料粉体を焼結又は溶融させて固化層を形成する。材料層及び固化層の形成を繰り返すことによってベースプレート上に固化層が積層され、必要に応じて造形中又は造形後に切削手段による切削加工を行うことで、所望の三次元造形物が製造される。
【0003】
粉末床溶融結合のような材料粉体を使用する積層造形においては、造形領域に供給された材料粉体の全てが固化されるわけではない。造形後には、造形物、ベースプレート、造形テーブル上やその周辺に固化されていない材料粉体が残るため、造形物をチャンバから取り出す際に余剰材料の除去が必要となる。
【0004】
特許文献1に開示されるように、積層造形装置に、余剰材料を吸引除去するための吸引ノズルが設けることが公知である。造形物を取り出す前に、作業者が吸引ノズルを操作して余剰材料を吸引することで、余剰材料が除去される。このような積層造形装置において、造形後に自動で造形物をチャンバから取り出したいという需要がある。例えば、造形物に対して二次加工を行う場合、積層造形装置から造形物を取り出し、取り出した造形物を二次加工装置に送る一連の工程を自動で行なうようにすることが望まれている。自動で造形物をチャンバから取り出す際に、造形後の余剰材料を自動で除去することが必要となる。特許文献2は、造形後に残る余剰材料の除去を吸引ノズルで自動除去する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6132962号公報
【文献】特開2002-205339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示されるような余剰材料を自動で吸引除去する従来の積層造形装置においては、しばしば、造形物に形成された窪みや溝の中に入り込んだ余剰材料を含めてベースプレート、造形テーブル、及び造形プレートの周辺に残留する余剰材料を十分に除去しきれないことがある。造形テーブル上に余剰材料が残っている場合は、次回の造形において交換するベースプレートないしパレットを造形テーブル上に設置する際の高精度の位置決めと材料粉体の再利用に悪影響を与えるため、人の手で余剰材料を除去しない限り造形物を取り出すことができず、造形物の取出しと搬送における自動化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、造形テーブル上の余剰材料をより好適に除去することで、造形物の取り出しの無人化を可能とする積層造形装置、三次元造形物の製造方法、及びティーチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]造形テーブルと、チャンバと、材料層形成装置と、チャック装置と、材料回収装置と、搬送ロボットと、移動ロボットと、制御装置とを備える積層造形装置であって、前記造形テーブルは、テーブル駆動機構により上下運動可能に構成され、前記チャンバは、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域を覆い、前記材料層形成装置は、前記造形領域に載置されたベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成し、前記チャック装置は、前記造形テーブル上に配置され、前記ベースプレートを前記造形領域内に着脱自在且つ固定可能に構成され、前記材料回収装置は、前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を吸引可能な吸引ノズルを備え、前記搬送ロボットは、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記造形物とを前記チャンバから取り出し可能に構成され、前記移動ロボットは、前記吸引ノズルを移動可能に構成され、前記制御装置は、前記テーブル駆動機構を制御して前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、ティーチングデータに従って前記移動ロボットを制御して前記吸引ノズルを移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返し、前記ティーチングデータには、前記造形物の形状及び前記造形テーブルの高さに対応する、前記吸引ノズルの移動経路及び姿勢が含まれる、積層造形装置。
[2][1]に記載の積層造形装置であって、前記ベースプレート及び前記造形物を少なくとも含む領域の画像を取得可能に構成された撮像装置を備え、前記制御装置は、前記撮像装置が取得した前記画像を用いて余剰の前記材料粉体の有無を判定する、積層造形装置。
[3][1]又は[2]に記載の積層造形装置であって、前記吸引ノズルによる被吸引物中の前記材料粉体の割合を検出可能な検出手段を備え、前記制御装置は、前記材料粉体の前記割合に基づいて余剰の前記材料粉体の有無を判定する、積層造形装置。
[4][3]に記載の積層造形装置であって、前記検出手段は、流量センサである、積層造形装置。
[5][1]から[4]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記造形テーブルを囲繞し、前記造形テーブル上に前記材料粉体を保持するように設けられた粉体保持壁と、前記粉体保持壁の外側に排出される余剰の前記材料粉体を収容するように構成された材料回収バケットと、を備え、前記材料回収装置は、運転モードとして回収モードと吸引モードとを備え、前記制御装置は、前記運転モードの切り替えを行うように構成され、前記材料回収装置は、前記回収モードにおいて、前記材料回収バケット内の前記材料粉体を回収し、且つ不純物を除去したうえで前記材料粉体を前記材料層形成装置へ供給し、前記吸引モードにおいて、前記移動ロボットにより前記吸引ノズルを移動させて前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を前記吸引ノズルにより吸引し、且つ前記材料粉体から不純物を除去するように構成される、積層造形装置。
[6][1]から[5]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記チャック装置の側面は、チャックカバーにより覆われており、前記チャックカバーは、外側カバーと、内側カバーとを備え、前記外側カバーは、前記内側カバーの側面の少なくとも一部を覆い、前記内側カバーは、前記チャック装置の前記側面を覆う、積層造形装置。
[7][1]から[6]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記チャック装置は、取付プレートを介して前記ベースプレートを固定する、積層造形装置。
[8][1]から[7]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記吸引ノズルは、先端側に吸引部を備え、前記吸引部は、先端側の端面を傾斜面で切断した筒形状を有し、前記傾斜面に開口部が設けられる、積層造形装置。
[9][1]から[8]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記搬送ロボットは、前記ベースプレートを前記チャンバに搬入可能に構成される、積層造形装置。
[10][1]から[9]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記搬送ロボットは、前記造形物を前記チャンバから取り出した後、当該造形物を反転するように構成される、積層造形装置。
[11]三次元造形物の製造方法であって、載置工程と、固化層形成工程と、吸引工程と、取り出し工程とを備え、前記載置工程では、造形テーブル上に配置されたチャック装置によってベースプレートを着脱自在に固定することにより、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域に前記ベースプレートを載置し、前記固化層形成工程では、前記ベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層の所定の照射領域にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成する固化工程とを繰り返すことにより、前記固化層を積層し、前記吸引工程では、テーブル駆動機構により前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、ティーチングデータに従って移動ロボットにより吸引ノズルを移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返し、前記取り出し工程では、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記造形物とを、前記造形領域を覆うチャンバから搬送ロボットにより取り出し、前記ティーチングデータには、前記造形物の形状及び前記造形テーブルの高さに対応する、前記吸引ノズルの移動経路及び姿勢が含まれる、製造方法。
[12]三次元造形物の積層造形において発生する余剰の材料粉体を吸引ノズルで吸引する際に用いられるティーチングデータを取得するためのティーチング方法であって、載置工程と、造形工程と、記録工程と、上昇工程とを備え、前記載置工程では、造形テーブル上に配置されたチャック装置によってベースプレートを着脱自在に固定することにより、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域に前記ベースプレートを載置し、前記造形工程では、前記ベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層の所定の照射領域にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成する固化工程とを繰り返すことにより、前記固化層を積層して三次元造形物を造形し、前記記録工程では、移動ロボットを手動で操作して前記吸引ノズルを移動させながら前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体の吸引を行い、前記吸引ノズルの位置座標及び姿勢を記録し、前記上昇工程では、前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させ、前記記録工程と前記上昇工程とを繰り返すことにより、前記造形物の形状及び前記造形テーブルの高さに対応する、前記吸引ノズルの移動経路及び姿勢を含む前記ティーチングデータを取得する、ティーチング方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る積層造形装置には、移動ロボットにより移動可能な吸引ノズルが設けられ、造形テーブルを徐々に上昇させながら、ティーチングデータに従って吸引ノズルを移動して余剰材料を吸引除去する。ティーチングデータには、造形物の形状及び造形テーブルの高さに対応する吸引ノズルの好適な移動経路及び姿勢が含まれており、これにより造形テーブル上の余剰材料をより確実且つ効率的に除去することができる。このとき、吸引ノズルによる余剰材料の除去は自動で行われるので、造形物の取り出しの無人化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る積層造形装置100の概略構成図である。
図2】積層造形装置100の材料層形成装置2の斜視図である。
図3】材料層形成装置2のリコータヘッド22の上方からの斜視図である。
図4】材料層形成装置2のリコータヘッド22の下方からの斜視図である。
図5】チャック装置5にベースプレート83が固定された状態を示す斜視図である。
図6図5のA-A線における断面図である。
図7】パレット85、位置決めプレート86、及びシャフト87が分解された状態を示す斜視図である。
図8】チャック装置5からチャックカバー53を取り外した状態を示す斜視図である。
図9図9A及び図9Bは、吸引ノズル79の吸引部79aの先端を示す図である。図9Aは、正面図であり、図9Bは、右側面図である。
図10】吸引ノズル79による余剰材料層81aの余剰材料の吸引態様を説明するための図である。
図11】積層造形装置100の制御装置9の構成図である。
図12】積層造形装置100を用いた三次元造形物Wの製造方法のフロー図である。
図13】ティーチングデータを取得するためのティーチング方法のフロー図である。
図14】積層造形装置100を用いた三次元造形物Wの製造方法を説明するための図である。
図15】固化層形成工程を説明するための図である。
図16】吸引工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1.積層造形装置100
図1は、本実施形態に係る積層造形装置100の概略構成図である。積層造形装置100は、チャンバ1と、材料層形成装置2と、照射装置3と、造形テーブル4と、チャック装置5と、搬送ロボット6と、材料回収装置7と、移動ロボット8と、撮像装置18と、制御装置9とを備える。チャンバ1内に配置される造形テーブル4上に設けられた造形領域Rにおいて、材料層81及び固化層82の形成を繰り返すことで、所望の三次元造形物Wが形成される。
【0013】
1.1.チャンバ1
チャンバ1は、所望の三次元造形物Wが形成される領域である造形領域Rを覆う。チャンバ1の内部は不活性ガス供給装置(不図示)から供給される所定濃度の不活性ガスで充満されている。本明細書において不活性ガスとは、材料層81や固化層82と実質的に反応しないガスであり、材料の種類に応じて選択され、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスを使用可能である。固化層82の形成時に発生するヒュームを含んだ不活性ガスは、チャンバ1から排出され、ヒュームコレクタ(不図示)においてヒュームが除去された後にチャンバ1へ供給され再利用される。ヒュームコレクタは、例えば、電気集塵機又はフィルタである。
【0014】
チャンバ1の上面には、レーザ光Bの透過窓となるウィンドウ1aが設けられる。ウィンドウ1aは、レーザ光Bを透過可能な材料で形成される。具体的に、ウィンドウ1aの材料は、レーザ光Bの種類に応じて、石英ガラスもしくはホウケイ酸ガラス又はゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンもしくは臭化カリウムの結晶等から選択される。例えば、レーザ光Bがファイバレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ1aは石英ガラスで構成可能である。
【0015】
また、チャンバ1の上面には、ウィンドウ1aを覆うように汚染防止装置17が設けられる。汚染防止装置17は、円筒形状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒形状の拡散部材17bとを備える。筐体17aと拡散部材17bの間の空間に供給された清浄な不活性ガスは、拡散部材17bの壁面に形成された細孔を通じて拡散部材17bの内部に充満され、さらに筐体17aの底面に設けられた開口部を通じて下方に向かって噴出される。このような構成により、ヒュームのウィンドウ1aへの付着を防止し、レーザ光Bの照射経路からヒュームを排除することができる。
【0016】
また、チャンバ1には、制御装置9に制御されて開閉可能な作業扉(不図示)が設けられている。チャンバ1へのベースプレート83の搬入時や、チャンバ1からのベースプレート83及び造形物Wの取り出し時には、作業扉が開かれ、搬送ロボット6がチャンバ1を出入りして搬入出作業を行う。搬入出作業を行わないとき、特に造形中は、作業扉は閉じられる。
【0017】
1.2.材料層形成装置2
材料層形成装置2は、造形領域Rに載置されたベースプレート83上に材料粉体を供給して材料層81を形成する。図1から図4に示すように、材料層形成装置2は、チャンバ1の内部に設けられ、ベース21と、ベース21上に配置されるリコータヘッド22とを備える。リコータヘッド22は、リコータヘッド駆動装置23によって水平1軸方向に往復移動可能に構成される。
【0018】
図3及び図4に示すように、リコータヘッド22は、材料収容部22aと、材料供給口22bと、材料排出口22cとを備える。材料供給口22bは、材料収容部22aの上面に設けられ、材料収容部22aの長手方向に延びる矩形状であり、材料供給ユニット10から材料収容部22aに供給される材料粉体の受け口となる。材料排出口22cは、材料収容部22aの底面に設けられ、材料収容部22a内の材料粉体を排出する。材料排出口22cは、材料収容部22aの長手方向に延びるスリット形状を有する。リコータヘッド22の両側面には、平板状のブレード22fb,22rbが設けられる。ブレード22fb,22rbは、材料排出口22cから排出される材料粉体を平坦化して、材料層81を形成する。
【0019】
1.3.照射装置3
図1に示すように、照射装置3は、チャンバ1の上方に設けられる。照射装置3は、造形領域R内に形成される材料層81の照射領域にレーザ光Bを照射して、材料粉体を溶融又は焼結して固化させ、固化層82を形成する。レーザ光Bは、材料粉体を焼結又は溶融可能であればよく、例えば、ファイバレーザ、COレーザ、YAGレーザである。なお、照射装置3は、レーザ光Bの代わりに電子ビームを照射して材料層81を固化させるよう構成されてもよい。
【0020】
1.4.造形テーブル4
造形テーブル4は、チャンバ1内に設けられ、その上面に造形領域Rが設けられる。造形テーブル4は、テーブル駆動機構41により上下運動可能に構成される。本実施形態のテーブル駆動機構41は、駆動源としてモータを用いて構成される。なお、テーブル駆動機構41の構成は、本実施形態の例に限定されるものではなく、造形テーブル4を上下(鉛直)方向に移動可能であれば、他の形態でもよい。
【0021】
1.5.チャック装置5
チャック装置5は、造形テーブル4上に配置され、ベースプレート83を造形領域R内に着脱自在且つ固定可能に構成される。チャック装置5がベースプレート83を保持し固定することにより、ベースプレート83が造形領域R内に載置される。
【0022】
ベースプレート83は、チャック装置5により直接固定されてもよく、取付プレート84等の別部材を介して固定されてもよい。本実施形態では、図1図5、及び図6に示すように、ベースプレート83が、取付プレート84及びパレット85を介してチャック装置5により着脱自在に固定されている。具体的には、パレット85の底面に下方に向かって突出するようにシャフト87が取り付けられ、シャフト87をチャック装置5により把持することによりパレット85が着脱自在に固定される。また、取付プレート84は、ボルト等の固定部材を用いてパレット85上に固定され、ベースプレート83は、ボルト等の固定部材を用いて取付プレート84上に固定されている。つまり、下側からチャック装置5、パレット85、取付プレート84、ベースプレート83がこの順に配置されており、ベースプレート83の上面に三次元造形物Wが造形される。
【0023】
本実施形態のチャック装置5は、図6から図8に示すように、造形テーブル4上に配置されたチャックベース51と、チャックベース51上に配置されたクランプユニット52とを備える。
【0024】
チャックベース51は、チャック装置5を造形テーブル4上に固定するために用いられる。本実施形態では、平面視で四角形状のチャックベース51の四隅が、ボルト等の固定部材により造形テーブル4に固定されている。
【0025】
クランプユニット52は、略有底円筒形状を有する。クランプユニット52の上面には、平面視における同円心状に第1凸部52a及び第2凸部52bがそれぞれ複数(一例では、4個)設けられ、さらに、平面視における中心から放射状に形成された当接凹部52cが複数(一例では、4個)設けられている。また、クランプユニット52の内部には、図6に示すように、シャフト87を係止する係止部材として複数のボール52dがシャフト87の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0026】
シャフト87は、図6及び図7に示すように、チャッキング栓87aと、チャッキング栓87aの外側に設けられた係止部87bとを備える。チャッキング栓87aの上端側にはネジ部が形成され、当該ネジ部がパレット85の底面に形成されたネジ穴に螺合されることで、チャッキング栓87aがパレット85に取り付けられる。また、チャッキング栓87aの下端がクランプユニット52の挿入孔52eに挿入され、係止部87bの凹部87cにクランプユニット52のボール52dが係合することで、シャフト87が係止される。これにより、パレット85がチャック装置5に固定される。
【0027】
さらに、本実施形態では、パレット85とクランプユニット52との間に、位置決めプレート86が介装されている。位置決めプレート86は、パレット85の底面に対してボルト等の固定部材を用いて固定されている。位置決めプレート86には、第1開口部86a及び第2開口部86bがそれぞれ複数(一例では、4個)設けられている。第1開口部86a及び第2開口部86bは、平面視においてクランプユニット52の第1凸部52a及び第2凸部52bにそれぞれ重なる位置に設けられており、第1凸部52aが第1開口部86aに挿通され、第2凸部52bが第2開口部86bに挿通されることにより、位置決めプレート86が水平方向に位置決めされる。
【0028】
また、位置決めプレート86の下面には、複数(一例では、4個)の支え足86cが取付軸86dを用いて取り付けられている。支え足86cは、平面視において当接凹部52cに重なる位置に取り付けられており、支え足86cの底面が当接凹部52cに当接することにより、位置決めプレート86が鉛直方向に位置決めされる。位置決めプレート86をパレット85に取り付けることにより、パレット85をチャック装置5により固定した際に、パレット85上に固定された取付プレート84及びベースプレート83を、水平方向及び鉛直方向における所定の位置に高精度で配置することができる。
【0029】
本実施形態では、ベースプレート83が、別部材(取付プレート84及びパレット85)を介してチャック装置5に固定されている。このような構成では、シャフト87や位置決めプレート86を取り付けるためのネジ穴等の取付部は、当該別部材に形成すればよく、また当該別部材は造形後に一部又は全部をベースプレート83から取り外して再利用することができる。従って、チャック装置5の形態に応じてベースプレート83に取付部を設ける必要がないため、ベースプレート83をより安価に製造することが可能となる。
【0030】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、チャック装置5の側面が、チャックカバー53により覆われている。チャックカバー53は、外側カバー54と、内側カバー55とを備える。外側カバー54は、内側カバー55の側面の少なくとも一部を覆い、内側カバー55は、チャック装置5の側面を覆う。チャックカバー53の素材としては、金属や樹脂等を用いることができる。
【0031】
具体的には、図6及び図8に示すように、内側カバー55は、円筒形状の内側被覆部55aと、内側被覆部55aの下端において径方向外側に張り出すフランジ部55bとを備える。内側被覆部55aは、チャック装置5のクランプユニット52の側面を覆う。内側カバー55は、フランジ部55bにおいてチャックベース51上に固定される。また、外側カバー54は、円筒形状の外側被覆部54aと、外側被覆部54aの上端において径方向内側に張り出す上面部54bとを備える。外側被覆部54aは、内側被覆部55aの側面のうち上側の一部を覆う。外側カバー54は、上面部54bにおいて、上面部54bの上面がパレット85の底面と接触した状態でパレット85に固定されている。また、外側カバー54及び内側カバー55は、外側被覆部54aと内側被覆部55aとが同軸となるように配置される。このような構成により、造形中、又は造形完了後にチャック装置5によるベースプレート83の固定を解除した際に、チャック装置5の内部、特にクランプユニット52への余剰材料の侵入を防止することができる。
【0032】
また、図6に示すように、外側カバー54と内側カバー55との間には、間隙Gが設けられる。具体的には、外側被覆部54aの内径D1及び内側被覆部55aの外径D2について、D1>D2の条件が満たされるように、外側カバー54と内側カバー55を設計することで、間隙Gが設けられる。なお、間隙Gは、好ましくは、外側被覆部54aの内面と内側被覆部55aの外面との間の距離(本実施形態では、(D1-D2)/2)が1~10mmとなるように設けられる。このような構成では、ベースプレート83上から落下した余剰材料等の粉体がチャックカバー53の内部に至る経路が屈曲しているため、粉体の侵入をより効果的に防止することができる。
【0033】
なお、チャックカバー53の構成は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、内側被覆部55a及び外側被覆部54aを、角筒形状としてもよい。図6ないし図8に示される実施形態のチャック装置5によると、搬送ロボット6がどのようなプロセスで余剰の材料粉体を吸引して除去するかに関わらず、余剰の材料粉体がクランプユニット52に侵入することによって継続して造形を行なうことができなくなる事態が生じるおそれが低減されるので、連続する造形の無人運転を支援する。
【0034】
1.6.搬送ロボット6
搬送ロボット6は、ベースプレート83と、ベースプレート83上に造形された造形物Wとをチャンバ1から取り出し可能に構成される。本実施形態では、造形完了後に凹部87cからクランプユニット52のボール52dを係脱させることでチャック装置5によるパレット85の固定を解除する。この状態で搬送ロボット6がパレット85の所定箇所を把持して、又はパレット85の側面に設けられた支持孔(不図示)に支持棒を挿入して持ち上げることにより、ベースプレート83及び造形物Wを取付プレート84、パレット85、シャフト87、及び外側カバー54と共に作業扉を経由してチャンバ1から取り出す。
【0035】
また、搬送ロボット6を、造形物Wをチャンバ1から取り出した後、所定位置へ移動させて造形物Wを上下方向に反転させるように構成してもよい。造形物Wを反転させることで、造形物Wやベースプレート83に付着した余剰材料を落下させて除去することができる。この際、反転した造形物Wをチャンバ1の外部に設けられた仕上げ装置(不図示)に載置し、自動又は手動で余剰材料の仕上げ除去を行ってもよい。仕上げ除去として、例えば、吸引ノズルによる材料粉体を吸引する、又は造形物Wを振動させて材料粉体を落下させる、チャンバ1外の吸引チャンバ(不図示)に造形物Wを搬送して粉末の吸引除去を行う等の方法が挙げられる。
【0036】
造形物Wに対して二次加工を行う場合、搬送ロボット6は、チャンバ1から取り出したベースプレート83及び造形物Wを、二次加工装置(不図示)に移動させる。
【0037】
なお、本実施形態の搬送ロボット6は、造形開始前にベースプレート83をチャンバ1内に搬入するためにも用いられる。具体的には、チャンバ1の外部に設けられたストッカー(不図示)に、ベースプレート83、取付プレート84、パレット85、シャフト87、及び外側カバー54が一体化されたベースプレートセットの状態で保管されており、搬送ロボット6は、パレット85の所定箇所を把持することにより、又はパレット85の側面に設けられた支持孔に支持棒を挿入して持ち上げることにより、作業扉からベースプレートセットをチャンバ1内に搬入し、クランプユニット52にシャフト87の下端を挿入する。挿入されたシャフト87の凹部87cにボール52dを係合させることで、パレット85をチャック装置5により固定する。
【0038】
1.7.材料粉体の供給・回収系統
次に、材料回収装置7を含む、材料粉体の供給・回収系統について説明する。図1に示すように、チャンバ1の壁面付近には、材料供給ユニット10が設けられる。材料供給ユニット10は、材料タンク11と、メインダクト12と、中間ダクト13とを備える。材料タンク11には新規の材料粉体が収容され、メインダクト12を通じて中間ダクト13に供給される。
【0039】
中間ダクト13は、上下方向に移動可能であり、中間ダクト出口13aから材料粉体を排出するように構成されている。本実施形態の中間ダクト出口13aは、リコータヘッド22の材料供給口22bと略同一方向に延びる矩形状である。また、中間ダクト出口13aは、シャッタ14によって開閉可能に構成される。中間ダクト出口13aは、通常時はシャッタ14によって閉じられている。材料粉体の補充時には、リコータヘッド22が中間ダクト13の直下に移動し、中間ダクト出口13aが材料収容部22aの上端よりも低い位置になるように中間ダクト13が移動する。この状態でシャッタ14が開き、材料粉体が補充される。
【0040】
本実施形態では、造形テーブル4を囲繞するように、粉体保持壁42が設けられる。粉体保持壁42により、材料粉体が造形テーブル4上に保持される。また、粉体保持壁42の外側に排出される余剰材料を収容するように構成された材料回収バケット70が設けられる。
【0041】
材料層形成装置2のベース21には、材料回収バケット70に連通する少なくとも1つの粉体排出部70bが設けられる。移動するリコータヘッド22によって押し出された余剰材料や不純物は、粉体排出部70bから排出されて、シューターガイド70dによってシューター70eに案内され、材料回収バケット70に収容される。なお、粉体排出部70bは、シャッタ(不図示)によって開閉可能に構成されても良い。さらに、粉体保持壁42の下側に粉体保持壁42の内側の材料粉体を排出可能な粉体排出部70aを設け、積層造形の完了後に造形テーブル4を下降させることによって、未固化の材料粉体や切削屑等の不純物の一部を粉体排出部70aから排出してもよい。この場合、粉体排出部70aから排出された材料粉体は、シューターガイド70cによってシューター70eに案内され、材料回収バケット70に収容される。
【0042】
本実施形態の材料回収装置7は、図1に示すように、材料回収用搬送装置71と、不純物除去装置73と、吸引装置74と、材料供給バケット76と、材料乾燥装置77と、材料供給用搬送装置78と、吸引ノズル79とを備える。材料回収用搬送装置71の吸引口71bは切換弁72を介して配管等により材料回収バケット70に接続されており、材料回収バケット70内の不純物を含んだ材料粉体は、材料回収用搬送装置71により不純物除去装置73へと搬送される。不純物として、例えば、照射時に発生するスパッタや、切削加工等で生じる加工屑が挙げられる。不純物除去装置73は、材料回収用搬送装置71から搬送される材料粉体から不純物を除去する。不純物が取り除かれた材料粉体は、材料供給バケット76内に収容される。材料乾燥装置77は、材料供給バケット76内の材料粉体を乾燥させる。材料乾燥装置77によって乾燥された材料粉体は、メインダクト12の上部に接続された材料供給用搬送装置78によりメインダクト12内に供給され、再利用される。
【0043】
材料回収用搬送装置71及び材料供給用搬送装置78はサイクロン方式のフィルタを内部に有し、フィルタの排気口71a及び排気口78aは切換弁75を介して吸引装置74に配管等により接続されている。吸引装置74は、気体と固体を一緒に吸引可能な吸引力を有し、例えば、クリーナー等を用いて構成される。吸引装置74により材料粉体や不純物等の固体が気体と共に吸引されると、フィルタは比重差を利用して固体のみを気流から分離し落下させる。これにより、固体が搬送され、気体が排気口71a,78aから吸引装置74に吸引される。なお、1台の吸引装置74を材料回収用搬送装置71及び材料供給用搬送装置78に切換弁75を介して切り替え可能に接続しても、材料回収用搬送装置71及び材料供給用搬送装置78の各々に吸引装置74を1台ずつ独立して接続してもよい。
【0044】
吸引ノズル79は、造形テーブル4上の余剰の材料粉体を吸引可能に構成される。吸引ノズル79は、チャンバ1外の収納部(不図示)に収納されており、吸引を行う際には、移動ロボット8に把持されてチャンバ1内に移動される。
【0045】
なお、チャンバ1内の清掃を目的として、吸引ノズル79を用いて、チャンバ1内の造形テーブル4上以外の領域(換言すれば、造形領域Rの外側)に飛散した余剰材料や切削屑を吸引してもよい。造形領域Rの外側の領域に余剰材料等が残ったまま造形を行うと、積層造形装置100の自動運転における動作異常や故障を引き起こすおそれがある。吸引ノズル79により造形領域Rの外側の領域の余剰材料等も吸引除去することで、このような事態を回避できる。
【0046】
本実施形態の吸引ノズル79は、切換弁72を介して配管等により材料回収用搬送装置71の吸引口71bに接続されている。例えば、可撓性を有するホースの一端に吸引ノズル79を取り付け、切換弁72を介してホースの他端を吸引口71bに接続することができる。吸引ノズル79から吸引された材料粉体は、上述と同様の方法で、不純物の除去処理、及び乾燥処理が行われた後にメインダクト12内に供給される。
【0047】
本実施形態の積層造形装置100は、吸引ノズル79による被吸引物中の材料粉体の割合を検出可能な検出手段(不図示)を備える。被吸引物中の材料粉体の割合としては、例えば、被吸引物中の材料粉体の体積流量割合又は質量流量割合、又は所定の検出領域における面積割合を用いることができる。本実施形態では、吸引ノズル79又は吸引ノズル79が取り付けられたホースの内部に検出手段として流量センサを設置する。一例として、流量センサは、被吸引物中の粉体の体積流量を検出可能に構成される。具体的には、流量センサは、吸引ノズル79又はホースの内部の所定位置において、マイクロ波を発信しその反射波を受信する。当該所定位置を通過する被吸引物中の粉体量に応じて反射波の周波数及び振幅が変化するため、当該変化に基づき被吸引物中の材料粉体の体積流量を検出し、材料粉体の体積流量割合を取得することができる。検出手段による検出結果は、制御装置9へ出力される。なお、検出手段は、被吸引物中の材料粉体の割合を直接検出するように構成してもよく、材料粉体の割合を間接的に検出するように構成してもよい。間接的に検出する場合、例えば、被吸引物中の気体の割合を検出し、検出結果から材料粉体の割合を取得してもよい。
【0048】
図9A及び図9Bは、吸引ノズル79の吸引部79aの先端を示す図である。図9Aは、正面図であり、図9Bは、右側面図である。本実施形態の吸引ノズル79は、先端側に吸引部79aを備える。また、図9A及び図9Bでは図示省略されているが、吸引ノズル79の基端側には、移動ロボット8が把持可能な把持部が設けられている。吸引部79aは、先端側の端面を傾斜面で切断した筒形状を有し、傾斜面に開口部79bが設けられている。余剰材料は、開口部79bから吸引される。
【0049】
このような構成では、図10に示すように、余剰材料からなる層(余剰材料層81a)に吸引ノズル79を近づけて開口部79bの一部を余剰材料層81a内に埋入させると、材料粉体が開口部79bから吸引される。この際、開口部79bのうち余剰材料層81a内に埋入していない部分からは、気体が吸引される。材料粉体を気体と共に吸引することにより、被吸引物中の固体の割合が過剰となり吸引力が低下したり、吸引ノズル79及びホースの内部に詰まりが発生する事態を回避できる。
【0050】
本実施形態の材料回収装置7は、運転モードとして回収モードと吸引モードとを備え、後述する制御装置9の材料供給・回収制御部98により、運転モードの切り替えが行われる。回収モードにおいて、材料回収装置7は、材料回収バケット70内の材料粉体を回収し、且つ不純物を除去したうえで材料粉体を材料層形成装置2へ供給する。一方、吸引モードにおいて、材料回収装置7は、移動ロボット8により吸引ノズル79を移動させ、造形テーブル4上の余剰の材料粉体を吸引ノズル79により吸引する。本実施形態では、材料供給・回収制御部98が切換弁72を切り替えることにより、材料回収用搬送装置71による材料粉体の搬送元が材料回収バケット70である回収モードと、当該搬送元が吸引ノズル79である吸引モードとが、切り替えられる。
【0051】
1.8.移動ロボット8
移動ロボット8は、吸引ノズル79を移動可能に構成される。本実施形態の移動ロボット8は、チャンバ1外の収納部に収納されている吸引ノズル79を把持して作業扉からチャンバ1内に移動し、チャンバ1内の任意の位置に吸引ノズル79を配置することができる。また、移動ロボット8は、吸引ノズル79を傾ける等の操作により、造形物Wに対する吸引ノズル79の姿勢(向き及び角度)を変化させることもできる。なお、移動ロボット8は、図1に示すように搬送ロボット6とは別体としてもよく、搬送ロボット6に搭載されてもよい。
【0052】
移動ロボット8は、後述する制御装置9の移動ロボット制御部99により制御されて、吸引ノズル79を移動させる。当該制御は、予め取得されたティーチングデータに従って行われる。ティーチングデータには、造形物Wの形状及び造形テーブル4の高さに対応する、吸引ノズル79の移動経路及び姿勢が含まれる。
【0053】
図1に示すように、本実施形態の移動ロボット8は、ロボットアーム8aと、ロボットアーム8aの先端に設けられ吸引ノズル79を把持するロボットハンド8bを備え、駆動装置(不図示)により駆動される。また、移動ロボット8は、ロボットアーム8aの関節部に作用するトルクを検出可能なトルクセンサ8cを備える。トルクセンサ8cによるトルクの検出結果は、制御装置9へ出力される。
【0054】
1.9.撮像装置18
撮像装置18は、ベースプレート83及び造形物Wを少なくとも含む領域(撮像領域)の画像を取得可能に構成される。撮像装置18は、例えば、CCDカメラ又はCMOSカメラである。取得された画像は、後述する画像処理装置90cに出力される。
【0055】
図1に示すように、撮像装置18は、チャンバ1内に設置される。チャンバ1内における設置位置は、上述の撮像領域が撮像可能であり、造形時にリコータヘッド22の移動やレーザ光Bの照射を妨げない位置であれば、特に限定されない。例えば、撮像装置18をチャンバ1の天井付近に設置し上述の撮像領域を上方から撮像してもよく、チャンバ1の側壁付近に設置し撮像領域を横から撮像してもよい。また、撮像装置18をチャンバ1内で移動可能に設置して撮像領域及び撮像方向を変更可能としてもよく、撮像装置18を複数台設置して複数の撮像領域及び撮像方向において撮像を行ってもよい。また、上述のように吸引ノズル79を用いて造形領域Rの外側の領域の余剰材料も吸引する場合には、当該領域を撮像領域に含めてもよい。
【0056】
取得された画像は、撮像領域における余剰材料の有無に基づき吸引ノズル79による余剰材料の吸引が完了したかどうかを判定するために用いられる。このような目的のもと、撮像装置18は、ベースプレート83及び完成された造形物Wがチャック装置5により造形領域R内に固定された状態で配置され、且つ余剰材料が存在しない状態の撮像領域の画像(清浄画像)と、吸引完了の判定時の撮像領域の画像(判定画像)との少なくとも2種類の画像を取得する。清浄画像と判定画像との差を画像処理装置90cにより解析することで、吸引ノズル79による余剰材料の吸引が完了したかどうかの判定が可能となる。なお、清浄画像は、造形物Wの製造のための事前調査として行われる試験造形において、造形物Wの造形完了後にチャンバ1内の余剰材料を除去した状態で撮像を行うことで取得可能である。
【0057】
1.10.制御装置9
積層造形装置100の制御系統は、図11に示すように、CAD(Computer Aided Design)装置90a、CAM(Computer Aided Manufacturing)装置90b、画像処理装置90c、及び制御装置9を含む。これら装置は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置、出入力インターフェース等のハードウェアと、ソフトウェアとを任意に組み合わせて構成される。以下、制御系統による制御動作のうち、本発明との関連が強い制御に限定して説明を行う。
【0058】
CAD装置90aは、造形対称の三次元造形物Wの形状及び寸法を特定する三次元形状データ(CADデータ)を作成する。CAM装置90bは、CADデータに基づき、積層造形装置100に対する指令が規定されたプロジェクトファイルを作成する。CAM装置90bは、通信線や記憶媒体を介してプロジェクトファイルを制御装置9に送る。
【0059】
画像処理装置90cは、撮像装置18が取得した清浄画像及び判定画像を解析する。一例において、画像処理装置90cは、画像に適宜前処理を行った後に、画像中で材料粉体が存在する箇所とそれ以外の箇所とを識別するための2値化処理を行う。2値化処理により各箇所がラベリングされた解析データは、制御装置9に送られる。2値化処理は、画像データのピクセル単位、又は複数のピクセルからなるセル単位で行われることが好ましい。
【0060】
制御装置9は、プロジェクトファイルに従って、材料層形成装置2、照射装置3、造形テーブル4、チャック装置5、搬送ロボット6、材料回収装置7、及び移動ロボット8等の積層造形装置100の構成要素を制御し、積層造形を行う。制御装置9は、数値制御部91と積層造形装置100の構成要素の制御部92,93,94,95,96,97,98,99とを備える。
【0061】
数値制御部91は、CAM装置90bが作成したプロジェクトファイルに従って、積層造形装置100の構成要素の動作指令を各制御部92,93,94,95,96,97,98に出力するものであり、記憶部91aと、演算部91bと、メモリ91cとを備える。記憶部91aは、CAM装置90bから取得したプロジェクトファイル、及び移動ロボット8を制御するためのティーチングデータを記憶する。演算部91bは、プロジェクトファイルに従って積層造形装置100の構成要素を数値制御するための演算処理を実行する。また、演算部91bは、ティーチングデータに基づく動作指令を移動ロボット制御部99に出力する。
。メモリ91cは、演算部91bによる演算処理の過程で数値やデータを一時的に記憶する。
【0062】
積層造形装置100の構成要素の制御部92,93,94,95,96,97,98,99は、数値制御部91からの動作指令に基づき各構成要素の動作を制御する。具体的には、作業扉制御部92は、作業扉を制御して適時に開閉させる。材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を水平1軸方向に往復移動させる。照射制御部94は、レーザ光Bが、照射領域内の所定の位置に、所定の条件で照射されるように、照射装置3を制御する。
【0063】
テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4を上下方向に移動させ所定の位置に配置する。チャック制御部96は、チャック装置5のクランプユニット52を制御して、ベースプレート83の固定と固定解除とを切り替える。
【0064】
搬送ロボット制御部97は、搬送ロボット6を制御して、チャンバ1内へのベースプレート83の搬入と、チャンバ1からのベースプレート83及び造形物Wの取り出しを行う他、必要に応じて、チャンバ1からの取り出し後の造形物Wの反転、及び二次加工装置への移動を行う。
【0065】
材料供給・回収制御部98は、材料回収装置7及び材料供給ユニット10を制御する。また、材料回収装置7の運転モードの切り替えを行う。
【0066】
移動ロボット制御部99は、移動ロボット8を制御して、吸引ノズル79を把持させてチャンバ1内に移動させる。さらに、移動ロボット制御部99は、移動ロボット8を制御して、チャンバ1内で吸引ノズル79を移動させながら余剰材料の吸引を行う。なお、移動ロボット8が搬送ロボット6に搭載される場合には、搬送ロボット制御部97に上述の移動ロボット制御部99の機能を持たせてもよい。
【0067】
なお、上述の構成に加え、積層造形装置100は、固化層82及び造形物Wに対し必要に応じて切削加工等の機械加工を行うための機械加工装置(不図示)をチャンバ1内に備えてもよい。機械加工装置は、例えば、切削等の機械加工を行うための工具(例えば、エンドミル)を加工ヘッドに取り付けて構成され、加工ヘッドを水平方向及び鉛直方向に適宜移動させて固化層82又は造形物Wに対して機械加工を行う。また、工具は、加工ヘッドのスピンドルに対して取り付けることで回転可能に構成してもよい。
【0068】
2.三次元造形物Wの製造方法
次に、図12を参照して、本実施形態に係る積層造形装置100を用いた、三次元造形物Wの製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、載置工程S1-1と、材料供給工程S1-2と、固化層形成工程S1-3と、材料回収工程S1-4と、吸引工程S1-5と、取り出し工程S1-6とを備える。
【0069】
2.1.載置工程S1-1
載置工程S1-1では、ベースプレート83を造形テーブル4上の造形領域Rに載置する。具体的には、まず、作業扉制御部92が、作業扉を制御して開く。また、搬送ロボット制御部97は、搬送ロボット6を制御して、チャンバ1外部のストッカーからベースプレートセットをチャンバ1内に搬入させる。搬送ロボット6は、開放された作業扉からベースプレートセットをチャンバ1内に搬入し、クランプユニット52の挿入孔52eにシャフト87の下端を挿入する。この状態で、チャック制御部96は、チャック装置5のクランプユニット52を制御して、ボール52dをシャフト87の係止部87bに係合させる。これにより、図14に示すように、ベースプレート83が、チャック装置5に着脱自在に固定された状態で、造形領域Rに載置される。また、チャック装置5の側面が外側カバー54及び内側カバー55からなるチャックカバー53により覆われる。
【0070】
ベースプレート83の載置後、搬送ロボット制御部97は搬送ロボット6を制御してチャンバ1外へと退避させ、作業扉制御部92は作業扉を閉じる。その後、不活性ガス供給装置からチャンバ1内に不活性ガスが供給・充満される。これにより、造形開始可能な状態となる。
【0071】
2.2.材料供給工程S1-2
材料供給工程S1-2では、材料層形成装置2の材料収容部22aに材料粉体を供給して収容する。具体的には、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を中間ダクト13の直下まで移動させる。この状態で、材料供給・回収制御部98は、材料供給ユニット10を制御して、シャッタ14を開いて材料粉体を材料収容部22a内に供給する。十分な量の材料粉体が供給された時点で、材料供給・回収制御部98はシャッタ14を閉じて供給を停止する。その後、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を造形領域Rまで移動させる。なお、材料供給工程S1-2は、造形の開始から完了までの間、材料粉体を材料収容部22aに補充するために適時に複数回行われる。
【0072】
2.3.固化層形成工程S1-3
次に、固化層形成工程S1-3が行われる。固化層形成工程S1-3では、ベースプレート83上に材料粉体を供給して材料層81を形成する材料層形成工程S1-3-1と、材料層81の所定の照射領域にレーザ光Bを照射することにより固化層82を形成する固化工程S1-3-2とを繰り返すことにより、固化層82が積層される。
【0073】
具体的には、まず、テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4を所定の高さに配置する。この状態で、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を図14の左側から右側に移動させる。これにより、ベースプレート83上に1層目の材料層81が形成される。次に、照射制御部94は、照射装置3を制御して1層目の材料層81の所定の照射領域にレーザ光B又は電子ビームを照射する。これにより、図15に示すように、1層目の材料層81を固化させて、1層目の固化層82を得る。
【0074】
続いて、2回目の材料層形成工程S1-3-1が行われる。1層目の固化層82を形成後、テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4の高さを材料層81の1層分下げる。この状態で、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を造形領域Rの図15の右側から左側に移動させる。これにより、1層目の固化層82を覆うように2層目の材料層81が形成される。そして2回目の固化工程S1-3-2が行われる。上述と同様の方法で、2層目の材料層81の所定の照射領域にレーザ光Bを照射することによって2層目の材料層81を固化させて、2層目の固化層82を得る。
【0075】
所望の三次元造形物Wが得られるまで、材料層形成工程S1-3-1及び固化工程S1-3-2が繰り返され、複数の固化層82が積層される。隣接する固化層82は、互いに強く固着される。また、造形中又は造形後に、必要に応じて機械加工装置による切削加工等が行われる。
【0076】
2.4.材料回収工程S1-4
固化層形成工程S1-3と並行して、材料回収工程S1-4が行われる。材料回収工程S1-4において、材料回収装置7は回収モードで稼働する。具体的には、材料供給・回収制御部98は、材料回収用搬送装置71による材料粉体の搬送元が材料回収バケット70となるように切換弁72を切り替える。また、材料回収用搬送装置71、不純物除去装置73、吸引装置74、材料供給バケット76、材料乾燥装置77、及び材料供給用搬送装置78を稼働させ、材料回収バケット70内の不純物を含んだ材料粉体に対して不純物の除去処理、及び乾燥処理を行ったうえで、メインダクト12内へ供給する。
【0077】
2.5.吸引工程S1-5
造形完了後、吸引工程S1-5が行われる。吸引工程S1-5では、造形テーブル4上の余剰材料を吸引ノズル79により吸引する。具体的には、まず、作業扉制御部92が、作業扉を制御して開く。次に、移動ロボット制御部99は、移動ロボット8を制御して、吸引ノズル79を把持して作業扉からチャンバ1内に移動させる。また、吸引工程S1-5において、材料回収装置7は吸引モードで稼働する。材料供給・回収制御部98は、材料回収用搬送装置71による材料粉体の搬送元が吸引ノズル79となるように切換弁72を切り替える。
【0078】
図16に示すように、造形の開始から完了までの間に、造形テーブル4はベースプレート83上に形成された材料層81の厚みの合計に相当する高さHwだけ下降している。以下の説明では、造形テーブル4の上下方向における位置(高さ)を、図14及び図16に示すように、造形の開始時における造形テーブルの上面の位置を原点とする上下方向に沿った1軸座標系で示す。図14に示す造形の開始時点における造形テーブル4の位置はH=0であり、図16に示す造形の完了時点における造形テーブル4の位置はH=-Hwである。
【0079】
図16に示すように、造形テーブル4の位置がH=-Hwの状態で、移動ロボット制御部99は、移動ロボット8を制御して吸引ノズル79を移動させ、吸引ノズル79による余剰材料の吸引を開始する。余剰材料を吸引する際、制御装置9は、テーブル制御部95によりテーブル駆動機構41を制御して造形テーブル4を所定の上昇量Δhだけ上昇させること(上昇工程S1-5-1)と、ティーチングデータに従って移動ロボット制御部99により移動ロボット8を制御して吸引ノズル79を移動させながら余剰の材料粉体の吸引を行うこと(余剰材料吸引工程S1-5-2)と、を交互に繰り返す。
【0080】
このような繰り返し動作の一例を説明する。造形物Wの製造に先駆けて、ティーチングデータとして、造形物Wに対応する吸引ノズル79の移動経路及び姿勢が造形テーブル4の上昇量Δh毎に取得されている。例えば、Δh=50mmの場合、造形テーブル4が位置H=-Hwにある状態での移動経路及び姿勢(動作パターンP1)、造形テーブル4が位置H=-Hw+50mmにある状態での移動経路及び姿勢(動作パターンP2)、造形テーブル4が位置H=-Hw+100mmにある状態での移動経路及び姿勢(動作パターンP3)、造形テーブル4が位置H=-Hw+150mmにある状態での移動経路及び姿勢(動作パターンP4)......といったように、位置H=-Hwから位置H=0までの造形テーブル4の各位置に対応する吸引ノズル79の移動経路及び姿勢が、動作パターンP1,P2,P3,P4、......Pnとして取得されている。
【0081】
移動ロボット制御部99は、まず、造形テーブル4が位置H=-Hwにある状態で、1回目の余剰材料吸引工程S1-5-2が行われる。具体的には、移動ロボット8を制御して動作パターンP1に従い吸引ノズル79を移動させ、余剰材料層81aの上面側から余剰材料を吸引する。動作パターンP1での移動が完了した時点で、移動ロボット制御部99は完了信号を数値制御部91に対して出力する。
【0082】
数値制御部91は、完了信号を受け取ると、テーブル制御部95に対して造形テーブル4を上昇させるための動作指令を出力する。テーブル制御部95は、1回目の上昇工程S1-5-1においてテーブル駆動機構41を制御して造形テーブル4を位置H=-Hw+50mmへ上昇量Δhだけ上昇させる。これにより、余剰材料層81aの上面が上昇する。この状態で、2回目の余剰材料吸引工程S1-5-2が行われる。移動ロボット制御部99は、移動ロボット8を制御して動作パターンP2に従い吸引ノズル79を移動させ、余剰材料層81aの上面側から余剰材料を吸引する。
【0083】
造形テーブル4が位置H=0に至るまで、制御装置9は、上昇工程S1-5-1と余剰材料吸引工程S1-5-2とを交互に繰り返す。
【0084】
ティーチングデータは、移動ロボット8を手動で操作して吸引ノズル79を移動させながら余剰材料の吸引を行った際の吸引ノズル79の位置及び姿勢を記録して取得されるものであり、造形物Wの形状及び造形テーブル4の高さに対応する吸引ノズル79の好適な移動経路及び姿勢を示すものである。ティーチングデータに従って吸引ノズル79を移動させながら余剰材料の吸引を行うことで、余剰材料をより確実且つ効率的に除去することができる。
【0085】
吸引工程S1-5における1回の上昇動作における造形テーブル4の上昇量Δhは、好ましくは20~80mmであり、より好ましくは35~65mmであり、例えば50mmである。1回の上昇動作における上昇量が小さすぎると、上昇動作が頻回となり吸引工程S1-5の効率が低下する場合がある。一方、上昇量が大きすぎると、余剰材料層81aの上面の高さが粉体保持壁42の上端を超え、造形テーブル4上に保持できなくなる場合がある。
【0086】
本実施形態において、制御装置9は、撮像装置18が取得した画像を用いて余剰の材料粉体の有無を判定する。具体的には、上述のように試験造形において清浄画像を事前に取得しておき、吸引工程S1-5において、吸引ノズル79による各動作パターンP1,P2,P3,P4、......Pnでの吸引が完了し造形テーブル4が位置H=0まで上昇した状態において、撮像装置18により判定画像を取得する。画像処理装置90cは、清浄画像及び判定画像を解析する。制御装置9の数値制御部91は、これらの解析データを比較して撮像領域における余剰材料の有無を判定する。
【0087】
一例として、2値化処理により材料粉体が存在する箇所としてラベリングされたピクセル又はセルの数を清浄画像及び判定画像の解析データにおいてそれぞれカウントする。そして、清浄画像の解析データにおけるカウント数Ncと判定画像の解析データにおけるカウント数Njとの差(Nj-Nc)が所定値以下である場合には、余剰材料が全て吸引されたと判定する。一方、差(Nj-Nc)が所定値より大きい場合には、撮像領域に余剰材料が残留していると判定し、吸引ノズル79による吸引を再度行う。再吸引の際、吸引ノズル79は、造形テーブル4の上昇に伴う最終動作パターンPnで移動させてもよく、ティーチングデータとして取得された再吸引用動作パターンで移動させてもよい。
【0088】
このように、撮像装置18による取得画像に基づき余剰材料の有無を判定することで、ベースプレート83及び造形物Wを含む撮像領域における余剰材料を確実に除去することができる。特に、ベースプレート83及び造形物Wのサイズが比較的大きいことにより、又は造形領域Rの外側の領域の余剰材料の吸引を行うことにより吸引ノズル79による吸引が広範囲となる場合であっても、余剰材料の有無を判定して確実に除去することができる。
【0089】
さらに、本実施形態の制御装置9は、検出手段の検出結果に基づき、余剰の材料粉体の有無を判定する。具体的には、吸引ノズル79による被吸引物中の材料粉体の割合が凡そ0となった時点で、撮像領域の余剰材料が全て吸引されたと判定する。
【0090】
撮像装置18の取得画像に基づく判定では、造形物Wの細かい溝部等の細部における余剰材料の有無の判定が困難となる場合がある他、材料粉体の種類やチャンバ1内の照明の具合によっては、判定精度が低下する場合がある。このような場合に、検出手段の検出結果を用いることで判定が可能となる。
【0091】
撮像装置18の取得画像に基づく余剰材料の有無の判定と、検出手段の検出結果に基づく余剰材料の有無の判定とは、いずれか一方のみを行ってもよいが、併用することが好ましい。広範囲における判定が可能な前者と、溝部等の細部における判定が可能であり、材料粉体の種類や照明の影響を受けにくい後者とを併用することで、判定を高精度で行い余剰材料をより確実に除去することが可能となる。
【0092】
なお、吸引ノズル79の移動中に、トルクセンサ8cの検出結果に基づき吸引動作の停止や移動経路の補正等の対応を行ってもよい。吸引ノズル79が造形物Wやベースプレート83に接触すると、ロボットアーム8aの関節部に作用するトルクが大きくなる。トルクの検出値が大きい場合に、例えば、吸引動作を一時停止したり、吸引ノズル79が造形物Wやベースプレート83から遠ざかるように移動経路を補正することで、造形物Wの損傷を回避することが可能となる。
【0093】
吸引完了後、移動ロボット制御部99は、移動ロボット8を制御して吸引ノズル79を作業扉からチャンバ1外へ移動して収納部に収納する。これにより、吸引工程S1-5が終了する。
【0094】
2.6.取り出し工程S1-6
吸引工程S1-5の完了後、取り出し工程S1-6が実施され、ベースプレート83と、ベースプレート83上に造形された造形物Wとがチャンバ1から取り出される。具体的には、まず、チャック制御部96は、チャック装置5のクランプユニット52を制御して、ボール52dを係止部87bから係脱させ、チャック装置5によるベースプレート83の固定を解除する。次に、搬送ロボット制御部97は、搬送ロボット6を制御して、ベースプレート83及び造形物Wを、取付プレート84、パレット85、シャフト87、及び外側カバー54と共にチャンバ1から取り出す。
【0095】
チャンバ1から造形物Wを取り出した後、搬送ロボット制御部97は、搬送ロボット6を制御して、造形物Wを上下方向に反転させて余剰材料を落下させたり、反転した造形物Wを仕上げ装置に載置して余剰材料の仕上げ除去を行ってもよい。また、二次加工を行う場合、搬送ロボット制御部97が搬送ロボット6を制御して造形物Wを二次加工装置に移動させた後、二次加工工程S1-7が行われる。その場合、チャック装置5と同様の構成を有する固定装置を二次加工装置に導入することで、搬送ロボット6を制御して、載置工程S1-1におけるチャック装置5への固定と同様に、ベースプレート83及び造形物Wを取付プレート84及びパレット85を介して当該固定装置に固定して配置することができる。二次加工装置における造形物Wの載置の自動化が可能となるとともに、造形領域Rへの載置時と同等の配置精度が確保され、高精度の二次加工が可能となる。
【0096】
取り出し工程S1-6の完了後、上述の工程を繰り返すことにより、三次元造形物Wが順次製造される。このような構成では、造形完了後に吸引ノズル79による余剰材料の除去が自動で行われるため、チャンバ1からの造形物Wの取り出しの無人化が可能となる。
【0097】
3.ティーチングデータの取得方法
次に、ティーチングデータを取得するためのティーチング方法について説明する。本実施形態のティーチング方法は、載置工程S2-1と、材料供給工程S2-2と、造形工程S2-3と、記録工程S2-4と、上昇工程S2-5とを備える。ティーチング方法によるティーチングデータの取得は、造形物Wの製造に先駆けて(例えば、試験造形において)実行される。以下、積層造形装置100を用いてティーチングデータを取得する場合を例として説明を行うが、別の積層造形装置を用いることも可能である。
【0098】
載置工程S2-1では、造形テーブル4上に配置されたチャック装置5によってベースプレート83を着脱自在に固定することにより、造形テーブル4上に設けられた、造形物Wが形成される領域である造形領域Rにベースプレート83を載置する。載置工程S2-1は、造形物Wの製造方法における載置工程S1-1と同様に行われる。
【0099】
材料供給工程S2-2では、材料層形成装置2の材料収容部22aに材料粉体を供給して収容する。材料供給工程S2-2は、造形物Wの製造方法における材料供給工程S1-2と同様に行われる。
【0100】
造形工程S2-3では、ベースプレート83上に材料粉体を供給して材料層81を形成する材料層形成工程S2-3-1と、材料層81の所定の照射領域にレーザ光B又は電子ビームを照射することにより固化層82を形成する固化工程S2-3-2とを繰り返すことにより、固化層82を積層して三次元造形物を造形する。材料層形成工程S2-3-1及び固化工程S2-3-2は、造形物Wの製造方法における固化層形成工程S1-3における材料層形成工程S1-3-1及び固化工程S1-3-2と、それぞれ同様に行われる。
【0101】
造形工程S2-3における造形完了後、記録工程S2-4及び上昇工程S2-5が行われる。記録工程S2-4では、移動ロボット8を作業者が手動で操作して吸引ノズル79を移動させながら造形テーブル4上の余剰の材料粉体の吸引を行い、この際の吸引ノズル79の位置座標及び姿勢を制御装置9に転送して記録する。
【0102】
具体的には、造形完了後、造形テーブル4の位置がH=-Hwの状態で、移動ロボット8を手動で操作して吸引ノズル79を移動させて余剰材料層81aの上面側から余剰材料を吸引する。この際、吸引ノズル79が造形物Wやベースプレート83に接触しないように、且つ造形物Wの窪み等に存在する余剰材料を効率的に吸引できるように吸引ノズル79の位置及び姿勢を調整しながら、余剰材料層81aの上面側から所定の深さΔdの余剰材料を除去するまで吸引ノズル79を移動させる。深さΔdは、造形テーブル4の上昇量Δhと等しく設定される。このような移動中の吸引ノズル79の位置座標及び姿勢を複数のポイントにおいて記録し、動作パターンP1とする。なお、ポイント間における吸引ノズル79の移動経路は、例えば、2つのポイントを結ぶ直線としてもよく(直線補間)、所望の三次元造形物Wの形状データに基づき作成してもよい。
【0103】
1回目の記録工程S2-4で深さΔdの余剰材料を除去した後、上昇工程S2-5では、造形テーブル4を所定の上昇量Δhだけ上昇させる。これにより、余剰材料層81aの上面が上昇する。この状態で、2回目の記録工程S2-4を実行する。1回目と同様に、移動ロボット8を手動で操作して吸引ノズル79を移動させて上面側から深さΔdの余剰材料を吸引し、移動中の吸引ノズル79の位置座標及び姿勢を複数のポイントにおいて記録し、動作パターンP2とする。
【0104】
造形テーブル4が位置H=0に至り余剰材料の吸引が完了するまで、記録工程S2-4と上昇工程S2-5とを繰り返すことにより、造形物W及び造形テーブル4の高さに対応する、吸引ノズル79の移動経路及び姿勢を含むティーチングデータが、動作パターンP1,P2,P3,P4、......Pnとして取得される。これにより、造形物Wの形状及び造形テーブル4の高さに対応する吸引ノズル79の好適な移動経路及び姿勢を含むティーチングデータを取得することができる。
【0105】
このように、移動ロボット8の手動操作により取得された動作パターンに基づく吸引ノズル79の移動は、特に、造形テーブル4が最上位(位置H=0)にある状態での余剰材料等の吸引除去において意義が大きい。造形テーブル4が最上位に至った状態で吸引ノズル79を好適な移動経路及び姿勢で移動させることで、造形テーブル4上に余剰材料等が残留して次回の造形に悪影響を及ぼす事態を回避できる他、造形領域Rの外側に飛散した余剰材料等も効率的に除去することが可能となるため、メンテナンスを目的としたチャンバ1内の清掃作業の自動化が可能となる。
【0106】
1つの動作パターンに含まれるポイントの数は、造形物W及び造形テーブル4のサイズや形状によって適宜設定され得るが、例えば、5~40個であり、好ましくは10~20個である。ポイントの数が少なすぎると、ティーチングデータに基づき吸引ノズル79を移動させた際に、余剰材料の除去効率が低下したり、造形物Wやベースプレート83との接触が増加する場合がある。ポイントの数が多すぎると、移動ロボット8の制御が複雑となる場合がある。
【0107】
また、記録工程S2-4において、吸引ノズル79の位置座標及び姿勢に加えてトルクセンサ8cの検出結果を記録してもよい。記録した位置座標及び姿勢からトルクの値が大きいポイントのデータを除くことで、造形物Wやベースプレート83との接触がより少ない動作パターンを作成することが可能となる。
【0108】
4.他の実施形態
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0109】
上述の実施形態では、試験造形において造形物Wを造形して清浄画像を取得し、ティーチング方法の造形工程S2-3において造形物Wを造形したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、サイズの異なる複数の造形物についてそれぞれ清浄画像及びティーチングデータを取得し、造形物Wの製造時には、それら複数の造形物のうち最もサイズが近いものの清浄画像及びティーチングデータを用いてもよい。このような構成においては、代表的なサイズを有するいくつかの造形物について清浄画像及びティーチングデータを取得すればよく、造形物W毎に清浄画像及びティーチングデータを取得する必要がない。
【0110】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1:チャンバ、1a:ウィンドウ、2:材料層形成装置、3:照射装置、4:造形テーブル、5:チャック装置、6:搬送ロボット、7:材料回収装置、8:移動ロボット、8a:ロボットアーム、8b:ロボットハンド、8c:トルクセンサ、9:制御装置、10:材料供給ユニット、11:材料タンク、12:メインダクト、13:中間ダクト、13a:中間ダクト出口、14:シャッタ、17:汚染防止装置、17a:筐体、17b:拡散部材、18:撮像装置、21:ベース、22:リコータヘッド、22a:材料収容部、22b:材料供給口、22c:材料排出口、22fb:ブレード、22rb:ブレード、23:リコータヘッド駆動装置、41:テーブル駆動機構、42:粉体保持壁、51:チャックベース、52:クランプユニット、52a:第1凸部、52b:第2凸部、52c:当接凹部、52d:ボール、52e:挿入孔、53:チャックカバー、54:外側カバー、54a:外側被覆部、54b:上面部、55:内側カバー、55a:内側被覆部、55b:フランジ部、70:材料回収バケット、70a:粉体排出部、70b:粉体排出部、70c:シューターガイド、70d:シューターガイド、70e:シューター、71:材料回収用搬送装置、71a:排気口、71b:吸引口、72:切換弁、73:不純物除去装置、74:吸引装置、75:切換弁、76:材料供給バケット、77:材料乾燥装置、78:材料供給用搬送装置、78a:排気口、79:吸引ノズル、79a:吸引部、79b:開口部、81:材料層、81a:余剰材料層、82:固化層、83:ベースプレート、84:取付プレート、85:パレット、86:位置決めプレート、86a:第1開口部、86b:第2開口部、86c:支え足、86d:取付軸、87:シャフト、87a:チャッキング栓、87b:係止部、87c:凹部、90:画像処理装置、90a:CAD装置、90b:CAM装置、91:数値制御部、91a:記憶部、91b:演算部、91c:メモリ、92:作業扉制御部、93:材料層形成制御部、94:照射制御部、95:テーブル制御部、96:チャック制御部、97:搬送ロボット制御部、98:材料供給・回収制御部、99:移動ロボット制御部、100:積層造形装置、B:レーザ光、R:造形領域、W:三次元造形物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16