(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241111BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241111BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241111BHJP
B41J 29/377 20060101ALI20241111BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/00 530
G03G15/00 680
B41J29/377 103
G03G15/04
(21)【出願番号】P 2022167078
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石館 毅洋
(72)【発明者】
【氏名】高野 広樹
(72)【発明者】
【氏名】河角 良一
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-057340(JP,A)
【文献】特開2013-120235(JP,A)
【文献】特開2006-337868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057324(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/01
G03G 13/04
G03G 13/045
G03G 13/056
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/01
G03G 15/04 -15/043
G03G 15/047
G03G 15/056
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/16 -21/18
G03G 21/20
B41J 29/00 -29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
装置の前面および背面を結ぶ第1方向に沿う回転軸を有する感光体と、
前記感光体を露光して前記感光体に潜像を形成する露光ユニットと、
前記露光ユニットを冷却する冷却ユニットと、を備え、
前記露光ユニットは、
前記感光体に向けて光を発する複数の発光素子の実装された第1面、および、前記第1面とは反対の第2面を持ち、かつ、前記第1方向を長手方向として配置された基板を有し、
前記冷却ユニットは、
前記第1方向において、前記基板の中央より前記背面の側に配置され、装置の外部の空気を吸う吸気口
と、
前記第1方向において、前記基板の中央より前記前面の側に配置され、装置の外部へ空気を排出する排気口と、を有し、
前記冷却ユニットは、前記吸気口から吸われた空気を前記基板の前記第2面に吹き付けることによって、前記基板を冷却する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光ユニットは、前記基板の前記第2面の露出する空間を規定する筐体を有し、
前記冷却ユニットは、前記吸気口に接続された第1のダクトを有し、
前記第1のダクトには、前記露光ユニットの前記空間に空気を導入するための第1の開口が設けられ、
前記第1の開口は、前記第1方向における前記基板の中央より前記背面の側であって、かつ、前記基板の前記第2面に対向する位置に配される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のダクトは、前記第1方向と交差する第2方向に延伸した長手形状に設けられ、
前記第1のダクトは、前記第1方向において、前記基板の中央よりも前記背面の側に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却ユニットは、前記吸気口に配置された吸気ファンを有し、
前記吸気ファンは、前記吸気口から前記第1のダクトの中に空気を吸い込み、かつ、前記第1のダクトの中の空気を前記第1の開口に導く気流を生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置の、前記第1方向と交差する第2方向の一方の側面に、前記吸気口が配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記露光ユニットは、前記基板の前記第2面の露出する空間を規定する筐体を有し、
前記冷却ユニットは、前記排気口に接続された第2のダクトを有し、
前記第2のダクトには、前記露光ユニットの前記空間からの空気を吸い込むための第2の開口が設けられ、
前記第2の開口は、前記第1方向における前記基板の中央より前記前面の側であって、かつ、前記基板の前記第2面に対向する位置に配される
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2のダクトは、前記第1方向と交差する第2方向に延伸した長手形状に設けられ、
前記第2のダクトは、前記第1方向において、前記基板の中央よりも前記前面の側に配置されている
ことを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却ユニットは、前記排気口に配置された排気ファンを有し、
前記排気ファンは、前記第2の開口から前記第2
のダクトの中に空気を吸い込み、かつ、前記第2のダクトの中の空気を前記排気口から排出する気流を生成する
ことを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置の、前記第1方向と交差する第2方向の一方の側面に、前記吸気口および前記排気口が配置されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記露光ユニットを昇降可能に支持する支持部材を、さらに備え、
前記露光ユニットは、前記基板の前記第2面の露出する空間を規定する筐体を有し、
前記冷却ユニットは、前記吸気口に接続された第1のダクトと、前記排気口に接続された第2のダクトと、を有し、
前記第1のダクトには、前記露光ユニットの前記空間に空気を導入するための第1の開口が設けられ、
前記第1の開口は、前記第1方向における前記基板の中央より前記背面の側であって、かつ、前記基板の前記第2面に対向する位置に配され、
前記第2のダクトには、前記露光ユニットの前記空間からの空気を吸い込むための第2の開口が設けられ、
前記第2の開口は、前記第1方向における前記基板の中央より前記前面の側であって、かつ、前記基板の前記第2面に対向する位置に配され、
前記支持部材は、前記冷却ユニットの前記第1の開口から前記第2の開口までを含む、前記感光体の軸線方向に延伸した長手形状をなし、前記露光ユニットと前記冷却ユニットとを連通して気流の流路を形成する第3のダクトを形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成装置であって、
装置の前面および背面を結ぶ第1方向に沿う回転軸を有する感光体と、
前記感光体を露光して前記感光体に潜像を形成する露光ユニットと、
前記露光ユニットを冷却する冷却ユニットと、を備え、
前記露光ユニットは、
前記感光体に向けて光を発する複数の発光素子の実装された第1面、および、前記第1面とは反対の第2面を有し、かつ、前記第1方向を長手方向として配置された基板と、を有し、
前記基板の前記第2面の露出する空間を規定する筐体と、を有し、
前記冷却ユニットは、
前記第1方向において、前記基板の中央より前記背面の側に配置された吸気口と、
前記第1方向において、前記基板の中央より前記前面の側に配置され、装置の外部へ空気を排出する排気口と、
前記吸気口に接続された第1のダクトと、を有し、
前記第1のダクトには、前記露光ユニットの前記空間に空気を導入するための第1の開口が設けられ、
前記第1の開口は、前記第1方向における前記基板の中央より前記背面の側であって、かつ、前記基板の前記第2面に対向する位置に配される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記冷却ユニットは、前記排気口に接続された第2のダクトを有し、
前記第2のダクトには、前記露光ユニットの前記空間からの空気を吸い込むための第2の開口が設けられ、
前記第2の開口は、前記第1方向における前記基板の中央より前記前面の側であって、かつ、前記基板の前記第2面に対向する位置に配される
ことを特徴とする請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記冷却ユニットは、前記吸気口に配置された吸気ファンと、前記排気口に配置された排気ファンと、を有し、
前記吸気ファンは、前記吸気口から前記第1のダクトの中に空気を吸い込み、かつ、前記第1のダクトの中の空気を前記第1の開口に導く気流を生成し、
前記排気ファンは、前記第2の開口から前記第2
のダクトの中に空気を吸い込み、かつ、前記第2のダクトの中の空気を前記排気口から排出する気流を生成する
ことを特徴とする請求項
12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を露光する露光ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる露光ヘッドに関する技術として、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、感光体に潜像を形成する露光ヘッドとして、感光体の軸線方向に沿って複数の発光素子が配置されたLEDアレイ方式による露光ヘッドが用いられている。
【0004】
特許文献1に記載された露光ヘッドは、感光体に形成された潜像をトナーにより現像する現像装置と共に、感光体に近接して配置される。したがって、露光ヘッドは、現像装置に近接して配置される。
【0005】
露光ヘッドは、発光素子として、LED(Light Emitting Diode)を備えている。あるいは、発光素子として、有機EL(Organic Electro Luminescence)を備えるものもある。有機ELはOLED(Organic Light Emitting Diode)と呼ばれることもある。
【0006】
露光ヘッドは、このような発光素子の発光時間の長さや発光量の大きさに応じて熱を放散することが知られている。露光ヘッドは、トナーを感光体に付着させる現像装置に近接して配置されるので、露光ヘッドからの熱によるトナーへの影響を抑制するために、その冷却手段が必要となることが多い。特許文献1では、露光ヘッドの冷却手段として、露光ヘッドの下部に空気流を流す構成を採用しており、空気流を導入する導入口が露光ヘッドに通電するためのハーネスの挿通口を兼ねる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に画像形成装置は本体背面に電源やICを備えた基板、高圧基板などが密集するため、感光体や露光ヘッドを含む画像形成部は画像形成装置の背面側(後側)の方が正面側(前側)に比べて温度が高くなる。したがって、露光ヘッドは、画像形成時の発光と共に昇温するが、前述の理由により、複数の発光素子が長手方向(前後方向)に実装された基板の装置背面側の方が装置正面側よりも温度が高くなる。つまり露光ヘッドは基板の長手方向で温度勾配が生じる。
【0009】
特許文献1には画像形成装置の背面側の下部に配置された吸気ファンにより吸気し、画像形成装置の背面側の上部に配置された排気ファンにより排気する構成が開示されている。つまり特許文献1では吸気ファンが画像形成装置の背面側に配置されており、電源などが密集するため、結果的に露光ヘッドは基板の長手方向で、より温度勾配が生じてしまう可能性がある。
【0010】
そこで本発明の目的は、露光ヘッドの装置背面側の昇温を抑え、基板の長手方向の温度勾配を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、画像形成装置であって、装置の前面および背面を結ぶ第1方向に沿う回転軸を有する感光体と、前記感光体を露光して前記感光体に潜像を形成する露光ユニットと、前記露光ユニットを冷却する冷却ユニットと、を備え、前記露光ユニットは、前記感光体に向けて光を発する複数の発光素子の実装された第1面、および、前記第1面とは反対の第2面を持ち、かつ、前記第1方向を長手方向として配置された基板を有し、前記冷却ユニットは、前記第1方向において、前記基板の中央より前記背面の側に配置され、装置の外部の空気を吸う吸気口と、前記第1方向において、前記基板の中央より前記前面の側に配置され、装置の外部へ空気を排出する排気口と、を有し、前記冷却ユニットは、前記吸気口から吸われた空気を前記基板の前記第2面に吹き付けることによって、前記基板を冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、露光手段の装置背面側の昇温を抑え、基板の長手方向の温度勾配を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図13】(a)、(b)、(c)露光ヘッドにおける基板を示す図、(d)、(e)レンズアレイを示す図
【
図21】露光冷却エアフローの光軸と垂直方向の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下にて、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
(画像形成装置)
まず、
図1、
図2および
図3を用いて画像形成装置100の概略構成を説明する。
図1は画像形成装置100の斜視図である。
図2および
図3は
図1における画像形成装置の概略断面図である。
図1~
図3に示す画像形成装置100は読取装置を備える複写機であるが、実施の形態は読取装置を備えていないプリンタなど、他の画像形成装置であってもよい。また、実施の形態は、
図2および
図3に示すような複数の感光ドラム2を備えるカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラム2を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
【0016】
図2および
図3に示す画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4つの画像形成部1Y、1M、1C、1K(以下、総称して単に「画像形成部1」とも称する)を備える。
【0017】
また、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、それぞれ感光体の一例である感光ドラム2Y、2M、2C、2K(以下、総称して単に「感光ドラム2」とも称する)を備える。感光ドラム2は感光ベルトであっても構わない。
【0018】
また、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラム2Y、2M、2C、2Kをそれぞれ帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3Y、3M、3C、3K(以下、総称して単に「帯電ローラ3」とも称する)を備える。
【0019】
また、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラム2Y、2M、2C、2Kを露光する露光手段としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ヘッド4Y、4M、4C、4K(以下、総称して単に「露光ヘッド4」とも称する)を備える。
【0020】
さらに、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラム2上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム2上に各色のトナー像を現像する現像手段としての現像ユニット24Y、24M、24C、24K(以下、総称して単に「現像ユニット24」とも称する)を備える。なお、符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
【0021】
図2および
図3に示す画像形成装置100は、感光ドラム2を下方から露光する、いわゆる「下面露光方式」を採用する画像形成装置である。下面露光方式を採用する画像形成装置100は、感光ドラム2の下方に露光ヘッド4が配置される。以下、下面露光方式を採用する画像形成装置を前提として説明を進める。なお、図示していないが、実施の形態としては感光ドラムを上方から露光する「上面露光方式」を採用する画像形成装置でも構わない。
【0022】
画像形成装置100は、感光ドラム2に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト9と、感光ドラム2に形成されたトナー像を当該中間転写ベルト9に順次転写させる一次転写ローラ6(Y、M、C、K)を備える。中間転写ベルト9は、画像形成部1の上部に配置される。なお、中間転写ベルト9を用いた中間転写方式以外に、感光ドラム2から用紙に直接転写する直接転写方式を用いても構わない。
【0023】
また、画像形成装置100は、中間転写ベルト9上のトナー像を給送部11から搬送されてきた記録紙Pに転写させる転写手段としての二次転写ローラ16と、二次転写された画像を記録紙Pに定着させる定着手段としての定着器19を備える。二次転写ローラ16は、中間転写ベルト9のベルト駆動ローラ10に対し、中間転写ベルト9を介して所定の押圧力で当接し、中間転写ベルト9と二次転写部T2を形成している。
【0024】
また、各色の補充用トナーを収容するトナーボトル22Y、22M、22C、22K(以下、総称して単に「トナーボトル22」とも称する)は、画像形成装置100に対して着脱交換が可能なユニットである。トナーボトル22は、中間転写ベルト9の上部に配置される。トナーボトル22は、4つの画像形成部が備える各現像ユニットに対して、それぞれ対応するトナーボトルから不図示のトナー補給機構により適時適量のトナー補給がなされる。
【0025】
また、画像形成装置100は、記録紙Pを給送する給送部11を備える。給送部11は、シートカセット12a,12bと、給送ローラ13a,13bと、レジストローラ15と、を有する。シートカセット12a,12bは、画像形成部1の下部に配置される。シートカセット12a,12bに収容された記録紙Pは、給送ローラ13a,13bによって一枚ずつ給送され、レジストローラ15によって所定のタイミングにて二次転写部T2に搬送される。
【0026】
また、画像形成装置100は、ダクトユニット60を着脱自在に備える。ダクトユニット60は、画像形成部1の下部であって、給送部11の上部に配置される。ダクトユニット60は、後述する昇降ダクト69を通して露光ヘッド4に連通し、露光ヘッド4を気流により冷却するための露光冷却ユニットである。
【0027】
(画像形成プロセス)
次に上記画像形成装置100の画像形成プロセスについて簡単に説明する。帯電ローラ3Yは、感光ドラム2Yの表面を帯電する。露光ヘッド4Yは帯電ローラ3Yによって帯電された感光ドラム2Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム2Yには静電潜像が形成される。次に、現像ユニット24Yは感光ドラム2Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム2Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写ローラ6Yによって中間転写ベルト9上に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで形成され、中間転写ベルト9に重ね合わせるように転写される。
【0028】
中間転写ベルト9上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト9によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ16によって、給送部11から搬送されてきた記録紙Pに一括して転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器19に搬送される。定着器19は、熱と圧力によって記録紙Pにトナー像を定着させる。定着器19によって定着処理がなされた記録紙Pは、排出ローラ20によってトナーボトル22の上部に配置される排出トレイ21に排出される。
【0029】
(ドラムユニットおよび現像ユニット)
本実施例の画像形成装置100における交換可能なドラムユニット23および現像ユニット24について例示して説明する。
【0030】
前述した感光ドラム2と帯電ローラ3とは、不図示のクリーニング装置と共に、一体的にユニット化(ドラムユニット、ドラムカートリッジ)されている。その構成の一例を、
図4、
図5、
図6および
図7を用いて説明する。
図4および
図5は、画像形成装置100が備えるドラムユニット23(Y,M,C,K)周辺および現像ユニット24(Y,M,C,K)周辺の概略構造を示す斜視図である。また、
図6はドラムユニット23が装置本体の外側から画像形成装置100に挿抜される様子を示す図である。
図7は現像ユニット24が装置本体の外側から画像形成装置100に挿抜される様子を示す図である。
【0031】
画像形成装置100には、感光ドラム2を備えるドラムユニット23Y、23M、23C、23K(以下、総称して単に「ドラムユニット23」とも称する)が取り付けられる。ドラムユニット23は、ユーザやメンテナンス者等の作業者によって交換されるカートリッジである。ドラムユニット23は感光ドラム2を回転可能に支持している。具体的には、感光ドラム2は、ドラムユニット23の枠体によって回転可能に支持されている。なお、ドラムユニット23は帯電ローラ3やクリーニング装置を備えていない構成でも構わない。
【0032】
また、画像形成装置100には、感光体ユニットであるドラムユニット23とは別体の現像ユニット24Y、24M、24C、24K(以下、総称して単に「現像ユニット24」とも称する)が取り付けられている。現像ユニット24は、現像剤を担持する現像剤担持体としての現像スリーブ5Y、5M、5C、5K(以下、総称して単に「現像スリーブ5」とも称する)と、現像スリーブ5に現像剤を供給し現像剤を攪拌するスクリュー7Y、7M、7C、7K(以下、総称して単に「スクリュー7」とも称する)と、を備える。現像ユニット24は、現像スリーブ5とスクリュー7とが一体化されたカートリッジであり、
図5および
図7に示すように作業者によって画像形成装置100の装置本体から取り外して交換される。
【0033】
ここで現像ユニット24の内部においては、スクリュー7によりトナーが高速で循環搬送されている。スクリュー7の回転速度は現像スリーブ5や感光ドラム2の回転速度に対し、相対的に非常に高速であり、現像スリーブ5へのコートがむらなく均一に行えるようになっている。
【0034】
また、画像形成装置100は、各画像形成部ごとにカートリッジトレイ30(30Y、30M、30C、30K)を備える(
図8および
図9参照)。前記ドラムユニット23と現像ユニット24は、各画像形成部ごとのカートリッジトレイ30により支持され、感光ドラムの軸線方向に案内され、画像形成装置100の装置本体に対して挿抜される。
【0035】
なお、カートリッジトレイ30は、感光ドラムの軸線方向において、一方が後側板100B(
図18参照)に取り付けられ、他方が前側板100F(
図18参照)に取り付けられている。後側板100Bは、板金で形成され、画像形成装置100の装置本体の奥側において装置本体の筐体の一部を成す。前側板100Fは、板金で形成され、画像形成装置100の装置本体の手前側において装置本体の筐体の一部を成す。後側板100Bと前側板100Fは、感光ドラムの軸線方向において、一方側と他方側で対面して配置され、両者の間には梁としての不図示の板金が橋架されている。後側板100Bと前側板100Fと不図示の梁とはそれぞれ画像形成装置の枠体(筐体)の一部を構成する。ここで、本実施例の画像形成装置もしくはその構成部材に関して、正面側若しくは手前側とは、ドラムユニット23および現像ユニット24を画像形成装置100の装置本体に対して出し入れ(挿抜)する側である。
【0036】
ドラムユニット23および現像ユニット24は、画像形成プロセスの繰り返しにより劣化していくため、交換や着脱によるメンテナンスが可能なユニット(カートリッジ)の形態をとっている。
【0037】
図3には、交換や着脱を行う際のドラムユニット23、現像ユニット24、露光ヘッド4の配置を示している。
図3に示す画像形成装置では、
図2に示す画像形成装置とは異なり、現像ユニット24および露光ヘッド4が感光ドラム2から退避し、離間していることが分かる。
【0038】
これは感光ドラム2に対し、
図2に示すように現像ユニット24や露光ヘッド4が近接配置された状態が維持されていると、ユニット着脱時の動的干渉により各ユニットに傷が付いたり、更にはユニットが取り出せなくなるおそれがある為である。
【0039】
このため、ユニット着脱時には、後述する現像ステイ31、回動アーム65、昇降ダクト69などによる退避機構により、
図3に示すように現像ユニット24と露光ヘッド4を感光ドラム2から退避させ、離間させている。
【0040】
ドラムユニット23および現像ユニット24は、それぞれ画像形成装置100の手前側から挿抜され、画像形成装置100の装置本体の所定の位置(装着位置)に装着される。
【0041】
画像形成装置100は、装着位置に装着されたドラムユニット23と現像ユニット24の双方の手前側を覆う内扉102Y、102M、102C、102K(以下、総称して単に「内扉102」とも称する)を備える。
図8および
図9に示すように、内扉102は、回動軸102aがカートリッジトレイ30の前側に軸支されており、カートリッジトレイ30に対して所定の範囲で回動自在となっている。即ち、内扉102は、画像形成装置に対して開閉可能に設けられている。
【0042】
内扉102は、各ユニットの保護や、感光ドラム2を画像形成プロセス以外で感光し難くさせる為に必要な部材であり、各色のユニットの着脱方向の正面に対向する位置に配置される。
【0043】
さらに画像形成装置100の手前側には、装置の外装をなすフロントカバー101が設けられている。フロントカバー101は、一端がヒンジによって画像形成装置100の装置本体の前側に固定されており、ヒンジによって画像形成装置100の装置本体に対して回動可能となっている。フロントカバー101は、感光ドラムの軸線方向において、内扉102より前側に設けられている。フロントカバー101は、
図1に示す閉じた状態では、左右方向に並ぶ複数の内扉102全体を覆って、装置前側の外装を成している。
【0044】
したがって、ドラムユニット23および現像ユニット24の交換作業は、作業者によって以下の手順で行われる。作業者は、
図4に示すようにフロントカバー101を開き、次に
図5に示すように内扉102を開いて、装置本体内のドラムユニット23(
図6)あるいは現像ユニット24(
図7)を取り出す。そして、新しいドラムユニット23あるいは現像ユニット24を挿入して内扉102を閉じ、さらにフロントカバー101を閉じることによって交換作業が完了する。
【0045】
なお、現像ユニット24と露光ヘッド4の退避機構は、この内扉102を開く動作に連動し、感光ドラム2から現像ユニット24と露光ヘッド4を退避させる。この退避機構(現像ステイ31、回動アーム65、昇降ダクト69)については後述する。
【0046】
ここで、以下の説明では装置本体に対して前側板側を前側(手前側若しくは正面側)、後側板側を後側(奥側若しくは背面側)と定義する。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Kを基準としたとき、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Yが配置されている側を左側と定義する。イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Yを基準としたとき、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Kが配置されている側を右側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向および左右方向に垂直な方向であって鉛直方向上向きを上方向、また、ここで定義した前後方向および左右方向に垂直な方向であって鉛直方向下向きを下方向と定義する。定義した前方向F、後方向B、右方向R、左方向L、上方向U、下方向Dを
図1に示す。
【0047】
また、以下の説明で記載する感光ドラム2の軸線方向とは、
図1に示す前後方向(手前奥方向)と一致する方向である。また、露光ヘッド4の長手方向についても
図1に示す前後方向と一致する方向である。すなわち、感光ドラム2の軸線方向と露光ヘッド4の長手方向とは一致する方向である。また、感光ドラム2の軸線方向における一方側はここで定義する後側を意味し、他方側はここで定義する前側を意味する。前後方向における一方側および他方側に関してもここで定義する後側および前側に対応する。左右方向における一方側はここで定義する左側を意味し、他方側はここで定義する右側を意味する。
【0048】
(露光ヘッド)
次に
図10~
図12を用いて、露光ヘッド4について説明する。
図10は、本実施例の画像形成装置が備える露光ヘッド4の概略断面図である。
図11は露光ヘッド4を上面から見た斜視図である。
図12は露光ヘッド4を下面から見た斜視図である。
【0049】
露光ヘッド4は、感光ドラム2の軸線方向に延びる長尺の形状(長手形状)をなす。露光ヘッド4は、基板50と、基板50に実装された発光素子と、レンズアレイ52と、基板50とレンズアレイ52とを保持する保持部材と、を備える。保持部材は、後述する筐体54と、筐体54を支持する筐体支持部材55と、を有する。ここでは、露光ヘッド4は、光を出射する発光素子として、LED51(Light Emitting Diode)を備えている。
【0050】
(基板およびレンズアレイ)
ここで、
図13を用いて、露光ヘッド4の基板50とレンズアレイ52について説明する。まず、基板50について説明する。
図13(a)は基板50の概略斜視図である。
図13(b)は基板50に設けられた複数のLED51の配列を示し、
図13(c)は
図13(b)の拡大図を示している。
【0051】
基板50にはLEDチップ53が実装されている。
図13(a)に示すように、基板50の一方の面にはLEDチップ53が設けられ、他方の面には、長尺のコネクタ57が設けられている。ここで言う基板50の一方の面は、LEDチップ53が設けられている側の面(上面、表面)である。基板の他方の面は、LEDチップ53が設けられている側とは反対側の面(下面、裏面)である。
【0052】
コネクタ57は、その長手方向が基板50の長手方向に沿うように基板50の他方の面(下面、裏面)に取り付けられている。長尺のコネクタ57は、画像形成装置100の前側(基板50の長手方向の一方側)に設けられている。基板502には各LEDチップ53に信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ57には、ケーブルの一例としてのフレキシブルフラットケーブル(以下FFC58、
図21参照)の一端が接続される。
【0053】
なお、画像形成装置100の制御回路部には、制御部とコネクタとを備える基板(不図示)が設けられている。FFC58の他端は、当該コネクタに接続されている。すなわち、FFC58は装置本体の基板(制御回路部)と露光ヘッド4の基板50とを電気的に接続している。露光ヘッド4の基板50には、画像形成装置100の装置本体の制御回路部からFFC58およびコネクタ57を介して制御信号(駆動信号)が入力される。制御信号は、基板50に実装された各LEDチップ53に転送される。LEDチップ53は、基板50に入力された制御信号によって駆動(発光、消灯動作)される。
【0054】
基板50に実装されたLEDチップ53についてさらに詳しく説明する。
図13(b)および
図13(c)に示すように、基板50の一方の面には複数のLED51(発光素子の一例)が配置されたLEDチップ53-1~53-29(29個)が配列されている。各LEDチップ53-1~53-29はそれぞれ、その長手方向に516個のLED51が配列されている。LEDチップ53の長手方向において、隣り合うLED51の中心間距離k2は画像形成装置100の記録解像度に対応している。本実施例の画像形成装置100の記録解像度は1200dpiであるので、LEDチップ53-1~53-29の長手方向において、LED51は隣接するLED51の中心間距離k2が21.16μmとなるように配列されている。そのため、本実施例の露光ヘッド4の露光範囲は約314mmとなる。感光ドラム2の軸線方向における感光層の長さは314mm以上で形成されている。A4サイズの記録紙の長辺の長さおよびA3サイズの記録紙の短辺の長さは297mmであるため、本実施例の露光ヘッド4は、A4サイズの記録紙およびA3サイズの記録紙に画像形成可能な露光範囲を有している。
【0055】
LEDチップ53-1から53-29は、感光ドラム2の軸線方向に千鳥状に複数配列されている。具体的にはLEDチップ53-1から53-29は、感光ドラム2の軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、
図13(b)に示すように、左側から数えて、奇数番目のLEDチップ53-1、53-3、・・・53-29が基板50の長手方向に一列に実装されている。また左側から数えて、偶数番目のLEDチップ53-2、53-4、・・・53-28が基板50の長手方向に一列に実装されている。LEDチップ53をこのように配置する。これにより、
図13(c)に示すように、LEDチップ53の長手方向において、隣り合う異なるLEDチップ53における一方のLEDチップ53の一端と他方のLEDチップ53の他端とに配置されたLED51の中心間距離k1を一つのLEDチップ53上における隣り合うLED51の中心間距離k2と等しくすることができる。
【0056】
なお、本実施例において発光素子は発光ダイオードである半導体LEDであるが、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)でも構わない。このOLEDは、有機EL(Organic Electro-Luminescence)とも呼ばれており、電流駆動型の発光素子である。OLEDは例えばTFT(Thin Film Transister)基板上で主走査方向(感光ドラム2の軸線方向)に沿ってライン上に配置され、同じく主走査方向に沿って設けられた電源配線によって電気的に並列に接続される。
【0057】
次に、レンズ集合体であるレンズアレイ52について説明する。
図13(d)はレンズアレイ52を感光ドラム2側から見た時の概略図である。また、
図13(e)はレンズアレイ52の概略斜視図である。
図13(d)に示すように、レンズアレイ52は、発光素子から出射された光を感光ドラム2に集光する。レンズアレイ52は、複数のレンズを有するレンズ集合体である。これら複数のレンズは複数のLED51の配列方向に沿って二列に並べられている。各レンズは、一方の列のレンズの配列方向において隣り合うレンズの両方に接するように他方の列のレンズの一つが配置されるよう交互に配置されている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズであって、LED51から出射された光が入射する光入射面52bと、光入射面から入射した光が出射する光出射面52aとを有する(
図10参照)。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
【0058】
図13(e)に示す点線Zはレンズの光軸を示す。露光ヘッド4は後述する移動機構(
図14に示す回動アーム65や昇降ダクト69)によって当該点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向(以下、光軸方向とも称する)に移動される。ここで言うレンズの光軸とは、レンズの光出射面の中心と当該レンズの焦点とを結ぶ線を意味する。レンズアレイ52は複数のレンズを有するレンズ集合体であり、前述した「光軸」はこれら複数のレンズのうちの任意のレンズの光軸である。ここで、厳密にはレンズアレイ52が有する複数のレンズはそれぞれ互いに若干傾いていることがある。これは組み立て時の公差によるものである。しかしながら、ここで言う公差程度のずれは光軸の方向を定義する場合には考慮しないこととする。よって、複数のレンズそれぞれの光軸はいずれも同じ方向であると考える。LED51から出射された放射光はレンズアレイ52が備えるレンズに入射する。レンズは入射した放射光を感光ドラム2の表面上に集光させる機能を有する。
【0059】
レンズアレイ52は、LED51の発光面とレンズの光入射面との距離と、レンズの光出射面と感光ドラム2の表面との距離とが、略等しくなるように露光ヘッド4の組み立て時において、筐体54に対する取付位置が調整されている。
【0060】
(筐体)
図10に示すように、筐体54は、レンズアレイ52と基板50とを保持する。本実施例において、筐体54は、亜鉛メッキ鋼板や冷間圧延鋼板にメッキ処理が施された板材を折り曲げて形成した金属製の部材である。例えば、筐体54は、鉄製の薄板などの板金を、プレス加工にてコの字形状に形成したものである。
【0061】
筐体54は、レンズアレイ52が挿入される第1開口54aが形成された平面部(対向面)54Uを有する。平面部54Uはレンズアレイ52のレンズの光軸方向において感光ドラム2に対向している。なお、この平面部54Uは平面に限らず、若干湾曲した曲面でも構わない。また筐体54は、平面部54Uの短手方向の一方側から感光ドラム2から離れる方向へ向けて延出した延出部54Rを有する。また筐体54は、平面部54Uの短手方向の他方側から感光ドラム2から離れる方向へ向けて延出した延出部54Lを有する。
【0062】
延出部54Rと延出部54Lは、筐体54において、第2開口54bから挿入された基板50を支持するための基板支持部をなす。平面部802と基板支持部(延出部54R、54L)とは一体物であり、レンズアレイ52と基板50とを保持する筐体54をなし、その断面はほぼコの字形状に形成されている。筐体54がほぼコの字形状に形成されることで、平面部54Uとは反対側には第2開口54bが形成される。第2開口54bは、平面部54Uから、感光ドラムから離れる側に延出している基板支持部(延出部54L、54R)の間に形成される。
【0063】
基板50は第2開口54bから、すなわちコの字形状の筐体54の下側から挿入され、各基板支持部の内側(延出部54Lの内側と延出部54Rの内側)に接着剤にて接着される。
【0064】
また、レンズアレイ52も平面部54Uに形成された第1開口54aに挿入された状態で平面部54Uに接着剤にて接着される。なお、レンズアレイ52は、基板50に実装された全てのLEDチップ53とレンズアレイ52のピント方向の距離が所定の値になるように治具によってピント方向の位置と傾き調整を行った後、平面部54U(筐体54)に固定される。またレンズアレイ52は、平面部54Uに対して、長手方向の複数個所で接着剤によって固定される。
【0065】
(筐体支持部材)
図11および
図12に示すように、筐体支持部材55は、基板50とレンズアレイ52を保持した筐体54を長手方向にわたって支持しており、筐体54に一体に設けられている。筐体支持部材55は、感光ドラム2の軸線方向に延びる長手形状の部材である。筐体支持部材55は、
図10に示すようにコの字形状に形成したものである。筐体支持部材55には、感光ドラム2の軸線方向である長手方向に、複数の開口55aが設けられている。
【0066】
筐体支持部材55の開口55aは、基板50のLED51が実装された実装面(基板50の表面)とは反対側の面(基板50の裏面)に対向する位置に設けられている。
【0067】
筐体支持部材55を筐体54に一体に設けたことにより、ダクトユニット60から送られた気流は、筐体支持部材55の開口55aを通して基板50の裏面に吹き付けられる。しかも、基板50の裏面に吹き付けられる気流は、基板50の裏面に直交する方向に吹き付けられる。
【0068】
このように筐体支持部材55の開口55aから、基板50の裏面に吹き付けられた気流は、露光ヘッド4に隣接する現像ユニット24およびドラムユニット23とは筐体支持部材55によって隔てられている。このため、基板50の裏面に導入される露光ヘッド4を冷却する気流が、露光ヘッド4に隣接する現像ユニット24の側に漏れることがなく、現像ユニット24のトナーが画像形成装置の内部で飛散することを抑制することができる。
【0069】
また筐体支持部材55は、前述したように、感光ドラム2の軸線方向である長手方向にわたって設けられており、基板50の裏面に対向する位置に開口55aを有する。これにより、露光ヘッド4の筐体支持部材55は、ダクトユニット60による気流を、開口55aを通して基板50の裏面に吹き付け、基板50の長手方向に流通させるダクト(閉空間)、すなわち露光ヘッド4を冷却するダクトの一部を形成している。
【0070】
以上のように、LEDを有する基板、複数のレンズからなるレンズアレイ、筐体54、および筐体支持部材55により、露光ヘッド4が一体のヘッドユニットとして構成されている。
【0071】
(昇降ダクト)
画像形成装置100は、昇降ダクト69を備える(
図9、
図17参照)。昇降ダクト69は、露光ヘッド4を着脱自在に支持する露光支持部材であり、後述するカートリッジトレイ30とともに、画像形成装置100の装置本体に設けられている。
【0072】
昇降ダクト69は、後述するカートリッジトレイ30の現像ユニット24を支持する現像支持部材301と、ドラムユニット23を支持するドラム支持部材302との間に設けられている。昇降ダクト69は、カートリッジトレイ30の現像支持部材301とドラム支持部材302との間にて、感光ドラム2を露光する露光位置(
図17参照)と、露光位置から退避した退避位置とに移動可能に設けられている。昇降ダクト69は、回動アーム65によって長手方向の両端部が下方から支持されている。昇降ダクト69は、回動アーム65によって、露光ヘッド4と一体となって感光ドラム2の軸線方向に直交する方向(移動方向)に移動される。昇降ダクト69は、回動アーム65の回動によって露光位置または退避位置に移動される。
【0073】
昇降ダクト69は、露光ヘッド4の全体を支持できるよう、露光ヘッド4と同様に前後方向(感光ドラムの軸線方向)に延伸した長手形状となっており、その中央部は上下に開口を備えた形状となっている。昇降ダクト69は、一方の開口69a(
図9参照)が露光ヘッド4の開口55aと連通し、他方の開口部64(
図14参照)がダクトユニット60の開口部61(
図19参照))と連通したダクトを形成している。昇降ダクト69は、露光ヘッド4を支持すると同時に、露光ヘッド4とダクトユニット60とを連通して露光ヘッド4を冷却する気流の流路を形成するダクトの一部を形成している。
【0074】
昇降ダクト69は、現像ユニット24およびドラムユニット23に対向する位置に開口がなく、上下に開口(開口69a、開口部64)を備えた中空の形状に形成されている。昇降ダクト69は、露光ヘッド4とダクトユニット60とを連通して露光ヘッド4を冷却する空気を流通させる空間を形成する露光ダクトをなす。
【0075】
従って、昇降ダクト69は、後述するダクトユニット60による気流を、前述の開口(開口69a、開口部64)を通して露光ヘッド4の基板50の裏面に対して流通させる。そのため、昇降ダクト69は、ダクトユニット60による気流を、隣接する現像ユニット24やドラムユニット23の側に漏らすことなく、露光ヘッド4の基板50の裏面に対して流通させることができ、装置内部のトナーの飛散を低減することができる。
【0076】
なお、昇降ダクト69は、
図14に示すように、長手方向の両端部に、回動アーム65と係合する第1の係合部69d、第2の係合部69eを有する。第1の係合部69dは、長手方向の一端側において昇降ダクト69の開口(開口部64、開口69a)の外側に設けられている。第2の係合部69eは、長手方向の他端側において昇降ダクト69の開口(開口部64、開口69a)の外側に設けられている。
【0077】
従って、第1の係合部69dを設けた領域(前側の範囲Lm)と、第2の係合部69eを設けた領域(後側の範囲Lm)は、昇降ダクト69の開口(開口部64、開口69a)をダクト壁69F,69Bで囲んだダクト領域(範囲La)の外側に設けられている。言い換えれば、昇降ダクト69の開口をダクト壁69F,69Bで囲んだダクト領域(範囲La)は、第1の係合部69dを設けた領域(前側の範囲Lm)と、第2の係合部69eを設けた領域(後側の範囲Lm)との間に設けられている。
【0078】
なお、
図14に示す範囲Lcは、露光ヘッド4のコネクタ57を設けた領域であり、範囲Laで示すダクト領域の外側であって、前記ダクト領域と前側の範囲Lmで示す第1の係合部69dを設けた領域との間に設けられている。
【0079】
また、ダクトをなす範囲Laは、LED51を実装した基板50の大部分を含んでおり、この範囲Laに気流を吹き付けることで、十分に露光ヘッド4の冷却が可能となっている。なお、範囲Lcは、LED51を実装した基板50に駆動信号を伝達する信号線のコネクタ57の実装部となっている。範囲Lcには、ダクトを形成する開口が設けられていないが、上述の通り、範囲Laで必要十分な冷却が可能なよう構成されている。
【0080】
これにより、後述するダクトユニット60によって装置外部から取り込まれた空気は、昇降ダクト69を通して、露光ヘッド4の開口55aから基板50の裏面に対して吹き付けられる(
図20参照)。また、露光ヘッド4の開口55aから基板50の裏面に吹き付けられた気流は、昇降ダクト69を通して、ダクトユニット60によって装置外部に排気される。
【0081】
(カートリッジトレイ)
また画像形成装置100は、カートリッジトレイ30を備える。
図8、
図9、および
図14を用いてカートリッジトレイ30について説明する。
図8、
図9、および
図14はカートリッジトレイ30の斜視図である。
【0082】
カートリッジトレイ30は、前述したドラムユニット23、および現像ユニット24を支持し、感光ドラム2の軸線方向に沿って着脱動作を案内し、支持する支持部材である。カートリッジトレイ30は、内扉102が所定の範囲で回動自在となるように、内扉102の回動軸102aを軸支している。
【0083】
カートリッジトレイ30は、画像形成部ごとに設けられている。各カートリッジトレイ30は、現像ユニット24を感光ドラム2の軸線方向に沿って着脱動作を案内し、支持する現像支持部材301と、ドラムユニット23を感光ドラム2の軸線方向に沿って着脱動作を案内し、支持するドラム支持部材302と、を有する。現像支持部材301およびドラム支持部材302は、感光ドラム2の軸線方向に延びる長手形状の部材である。カートリッジトレイ30は、現像支持部材301とドラム支持部材302とが一体に形成されている。なお、カートリッジトレイ30は、画像形成部ごとに設ける構成に限定されない。
【0084】
昇降ダクト69は、カートリッジトレイ30の現像支持部材301とドラム支持部材302との間に移動可能に配置されている。昇降ダクト69は、現像支持部材301とドラム支持部材302との間において、長手方向両端が下方から回動アーム65に支持されている。回動アーム65は、カートリッジトレイ30の現像支持部材301に回動可能に設けられている。露光ヘッド4は、カートリッジトレイ30に移動可能に配置された昇降ダクト69に対して取り外し可能に装着される。言い換えれば、カートリッジトレイ30は、露光ヘッド4を支持し、感光ドラム2の軸線方向に沿って着脱動作を案内し、支持する支持部材である。
【0085】
(現像ステイ)
画像形成装置100は、感光ドラム2の軸線方向に沿ってスライド可能な現像ステイ31を備える。
図15、
図16、および
図17を用いて現像ステイ31について説明する。
図15および
図16は右方向から見た現像ステイ31の側面図である。
図17は
図14におけるX-X矢視による断面図である。
【0086】
図15では内扉102が閉じた状態であり、現像ユニット24が感光ドラム2に近接した位置にあり、露光ヘッド4が感光ドラム2に近接した露光位置にある。
図16では内扉102が開いた状態であり、現像ユニット24が感光ドラム2から退避した位置にあり、露光ヘッド4が露光位置から退避した退避位置にある。
【0087】
スライド部材である現像ステイ31は、感光ドラム2の軸線方向に移動可能に設けられている。現像ステイ31は、内扉102の開動作に連動して前記軸線方向の一方向に移動し、内扉102の閉動作に連動して前記軸線方向の他方向に移動する。現像ステイ31は、カートリッジトレイ30の現像支持部材301に対して移動可能に設けられている。現像ステイ31は、感光ドラム2の軸線方向に延びる長尺の形状(長手形状)をなし、現像加圧コマ32と、現像加圧コマ33と、現像ステイリンク34と、アーム退避部材68Fと、アーム退避部材68Bと、を有する。
【0088】
現像ステイリンク34は、現像ステイ31の前側端部に固定され、カートリッジトレイ30に軸支された内扉102に係合している。現像加圧コマ32は現像ステイ31の長手方向の前側に固定され、現像加圧コマ33は現像ステイ31の長手方向の後側に固定されている。現像加圧コマ32と現像加圧コマ33は、現像ユニット24に対向する位置に設けられている。
【0089】
現像加圧コマ32,33は、現像ステイ31が移動されることで同方向に移動され、現像ユニット24に係合する現像係合部材である。現像加圧コマ32,33は、現像ユニット24に係合して、現像ユニット24を感光ドラム2に近接した現像位置(
図15参照)または感光ドラム2から離間した離間位置(
図16参照)に移動させる。
【0090】
内扉102は、現像ステイリンク34と係合するリンク係合部102bを有する。内扉102において、リンク係合部102bは、回動軸102aを介してユニットを覆う部分とは反対側に設けられている。
【0091】
図16に示すように、内扉102が開いている状態では、現像ステイリンク34と係合するリンク係合部102bが、回動軸102aよりも内扉102の後端に近い位置にある。一方、
図15に示すように、内扉102が閉じている状態では、リンク係合部102bが、回動軸102aよりも内扉102の下端に近い位置にある。そのため、内扉102の回転に応じて、回動軸102aとリンク係合部102bとの間の距離を半径とする円の軌跡で、内扉102のリンク係合部102bが回動方向に移動することになる。即ち、
図16に示すように内扉102を開くことで、リンク係合部102bもまた回転し、装置後方へと移動することになる。
【0092】
これにより、内扉102のリンク係合部102bに係合する現像ステイリンク34を装置後方である後方向Bへとスライド移動させ、現像ステイ31を通じて一体に構成された二つの現像加圧コマ32、33も後方向Bへとスライド移動する。これは
図16に示すように、二つの現像加圧コマ32、33が現像ユニット24を保持する保持位置から外れることを意味する。現像ユニット24は、現像加圧コマ32、33が保持位置から外れると、その自重により感光ドラム2から退避する方向である下方向Dへと移動する。
【0093】
以上の説明より、内扉102を開く動作に連動して、現像ユニット24が感光ドラム2から退避することが分かる。なお、内扉102を閉める際は、開く動作と逆の手順を経ることにより、現像ユニット24が感光ドラム2の方向に移動され、押圧される。
【0094】
このように、現像ステイ31は、
図15に示すように、内扉102を閉じる動作に連動して、前方向Fにスライド移動される。このとき、現像加圧コマ32および現像加圧コマ33が現像ユニット24に係合して、現像ユニット24が現像ステイ31の現像加圧コマ32および現像加圧コマ33の斜面に沿って上方(上方向U)に移動される。これにより、現像ユニット24の現像スリーブ5がドラムユニット23の感光ドラム2に近づく方向に移動され、現像スリーブ5が感光ドラム2に接近している現像位置(
図17参照)に移動される。
【0095】
また、現像ステイ31は、
図16に示すように、内扉102を開く動作に連動して、後方向Bにスライド移動される。このとき、現像加圧コマ32および現像加圧コマ33が現像ユニット24に係合して、現像ユニット24が現像ステイ31の現像加圧コマ32および現像加圧コマ33の斜面に沿って下方(下方向D)に移動される。これにより、現像ユニット24の現像スリーブ5がドラムユニット23の感光ドラム2から離れる方向に移動され、現像スリーブ5が感光ドラム2から離間している離間位置に移動される。
図16に示す非現像時には、
図15に示す現像時に比べて、現像スリーブ5が感光ドラム2から離間される。
【0096】
さらに、現像ステイ31は、回動部材である回動アーム65を回動させるためのアーム退避部材68Fと、アーム退避部材68Bと、を有する。アーム退避部材68Fおよびアーム退避部材68Bは、現像ステイ31に一体に構成されている。アーム退避部材68Fは現像ステイ31の長手方向の前側に固定され、現像加圧コマ32とは反対側の面に設けられている。アーム退避部材68Bは、現像ステイ31の長手方向の後側に固定され、現像加圧コマ33とは反対側の面に設けられている。係合部材としてのアーム退避部材68F、68Bは、内扉102の開閉動作に連動して現像ステイ31が前後方向にスライド移動されることで同方向に移動され、回動アーム65を回動させる。
【0097】
すなわち、現像ステイ31が内扉102の開動作に連動して軸線方向の一方向(後方向B)へ移動することで、アーム退避部材68Fおよびアーム退避部材68Bが同方向に移動され、回動アーム65に係合する。これにより、回動アーム65が一方向へ回動して昇降ダクト69と一体に露光ヘッド4を退避位置に移動させる。一方、現像ステイ31が内扉102の閉動作に連動して軸線方向の他方向(前方向F)へ移動することで、アーム退避部材68Fおよびアーム退避部材68Bが同方向に移動され、回動アーム65との係合を解除する。これにより、回動アーム65が他方向へ回動して昇降ダクト69と一体に露光ヘッド4を露光位置に移動させる。
【0098】
(回動アーム)
なお、
図14に示すように、回動アーム65は、露光ヘッド4を感光ドラム2に近接した露光位置(
図17参照)と前記露光位置から退避した退避位置と移動させる回動部材である。
【0099】
回動部材である回動アーム65は、カートリッジトレイ30の現像支持部材301に回動可能に設けられている。回動アーム65は、感光ドラム2の軸線方向と直交する左右方向における一方の端部が、前記軸線方向と平行な軸線を中心に回動可能に支持されている。また回動アーム65は、前記左右方向における他方の端部が前記軸線方向において昇降ダクト69の開口(開口69a、開口部64)より外側の領域(範囲Lm)の両端部を支持している。
【0100】
回動アーム65は、付勢部材であるアーム加圧バネ(不図示)の力によって、昇降ダクト69の長手方向両端の底面を上方に押圧している。
図17では露光ヘッド4が感光ドラム2に対し近接配置された状態であるが、これは回動アーム65が昇降ダクト69の両端の底面を上方に押圧することで維持される。この押圧は、アーム加圧バネによる所定のバネ圧で担保される。
【0101】
このように回動アーム65は、露光ヘッド4を直接は押圧せず、露光ヘッド4を支持する昇降ダクト69を押圧している。
【0102】
なお、露光ヘッド4を露光位置または退避位置に移動させる回動アーム65の動作は、現像ユニット24を退避させる現像ステイ31のスライド移動からその動力を得ているが、内扉102と連動した別の部材を介して動力を得ても良い。
【0103】
(現像ユニットの冷却構成)
次に
図18を用いて現像ユニット24の冷却構成について説明する。
図18は
図2におけるA-A矢視による画像形成装置の断面図である。なお、
図18において、現像ユニット24を冷却するための空気の流れを実線で示し、実線で示す空気の流れを現像冷却エアフローとも称する。
【0104】
現像ユニット24は、上述の通りに高速回転するスクリュー7および高速循環するトナーを内包しており、この動作に伴い、スクリュー7の軸受部やトナーに摩擦熱が生じ、その摩擦熱が現像ユニット24に蓄熱され、温度が上がっていく。現像ユニット24は、画像形成が終了すれば蓄熱が終了し、徐々に冷却されていくが、画像形成が継続する間は現像ユニット24の熱容量の許す限り蓄熱が行われ、温度が上がっていく。トナーは熱により溶けやすい性質がある為、ある一定温度以上に現像ユニット24が昇温した場合は、トナーが現像ユニット24の内部で融着し、現像スリーブ5のコート不良となってトナー像が乱され、画像不良に至る。
【0105】
従って、現像ユニット24が一定温度以上に昇温することがないよう冷却する現像ユニット24の冷却構成が必要である。
【0106】
画像形成装置100は、ファン40と、装置外部からの空気を各現像ユニット24へ送るための正面ダクト41と、を有する。画像形成装置100は、各現像ユニット24からの空気を装置外部に排気するための背面ダクト42と、トナーフィルター43と、を有する。画像形成装置100は、感光ドラム2の軸線方向に沿って現像ユニット24を冷却する空気を流通させる空間を形成する現像ダクトを有する。ここでは、現像ユニット24の底面とこれと対向するカートリッジトレイ30の上面とにより形成された空間で前記現像ダクトを構成している。
【0107】
現像ユニット24とカートリッジトレイ30とにより形成された現像ダクトは、装置前側が正面ダクト41に連通され、装置後側が背面ダクト42に連通されて、1つの閉空間が形成されている。
【0108】
ファン40は、画像形成装置100の装置本体の正面の右側に設けられており、フロントカバー101の画像形成装置100の右側面側に設けられた吸気口101aから、装置外部の空気を吸入する。正面ダクト41は、フロントカバー101の内側に配置され、現像ユニット24の並び方向である左右方向に延設されている。正面ダクト41は、各現像ユニット24に対応する位置に開口41aを有する。正面ダクト41が有する各開口41aは、感光ドラムの軸線方向において、各内扉102が有する開口102cに対向する位置に設けられ、フロントカバー101を閉じることで互いに連通する。各内扉102が有する開口102cは、各現像ユニット24ごとの現像ダクトの正面側の開口に対応する位置に設けられ、内扉102を閉じることで互いに連通する。
【0109】
背面ダクト42は、各現像ユニット24に対応する位置に開口42aを有する。背面ダクト42が有する開口42aは、感光ドラムの軸線方向において、各現像ユニット24ごとの現像ダクトの背面側の開口に対応する位置に設けられ、互いに連通している。
【0110】
このように、現像ユニット24とカートリッジトレイ30との間に形成された閉空間である現像ダクトは、正面ダクト41と背面ダクト42とに連通した1つの閉空間であるダクトの一部を形成している。現像ユニット24とカートリッジトレイ30との間に形成された現像ダクトと、これに連通する正面ダクト41および背面ダクト42とによって、現像冷却エアフローの流路となる前記1つの閉空間である第1の冷却ダクトを形成している。
【0111】
なお、第1の冷却ダクトは、現像ユニット24を冷却する現像冷却エアフロー(気流)の流路となる閉空間を形成するものである。すなわち、第1の冷却ダクトは、現像手段である現像ユニットを冷却する現像冷却手段である。しかし、現像冷却手段である第1の冷却ダクトは、現像ユニット24とカートリッジトレイ30との間に形成された閉空間であるダクトがその一部を形成すればよく、その他の構成は前述した構成に限定されるものではない。
【0112】
各現像ユニット24は、前述した1つの閉空間を流れる現像冷却エアフロー(
図18に示す実線)によって冷却される。
【0113】
図18に実線で示す現像冷却エアフローは、まず画像形成装置の右手前に配置されたファン40と前述した1つの閉空間である第1の冷却ダクトにより生成される。
【0114】
ファン40が回転すると、画像形成装置100の右側面に設けられたフロントカバー101の吸気口101aより装置外部の空気が吸気され、フロントカバー101の内側に配置された正面ダクト41の開口41aと、内扉102の開口102cを経由し、冷却対象である現像ユニット24に送られる。
【0115】
現像ユニット24に送られた空気は、現像ユニット24とカートリッジトレイ30との間に形成された現像ダクトの前後方向の前側の開口から取り込まれ、感光ドラムの軸線方向に沿って送られ、前後方向の後側の開口から排気される。
【0116】
現像ユニット24とカートリッジトレイ30との間に形成された現像ダクトの前後方向の後側から排気された空気は、背面ダクト42の開口42aを通り、まとめてトナーフィルター43を通過した後に、装置後方から装置外部に排気される。
【0117】
ここで、トナーフィルター43について説明する。トナーフィルター43は、背面ダクト42において、装置後方の排気口の直前に配置されている。現像冷却エアフローは、現像ユニット24の周囲を通るエアフローである以上、微量のトナーがエアフロー内に取り込まれることは避けられない。従って、僅かであってもトナーを装置外部に排出することのないよう、現像冷却エアフローの排気口の直前には、トナーフィルター43を配置することが望ましい。
【0118】
なお、エアフローによる冷却は、一般に安価なファンを用いてエアフローを形成させることが主流となっており、現像冷却以外のエアフローもまた同様である。
【0119】
(露光ヘッドの冷却構成)
次に
図18を用いて露光ヘッド4の冷却構成について説明する。
図18において、露光ヘッド4を冷却するための空気の流れを破線で示し、破線で示す空気の流れを露光冷却エアフローとも称する。
【0120】
露光ヘッド4は、LED(発光素子)51の発光量に応じて熱を放散し、また熱に弱いトナーを用いる現像ユニット24と近接配置されることから、冷却手段が必要となる。特に、画像形成プロセスを高頻度で繰り返す、即ち生産性の高い装置で用いられる場合や、濃度の濃い画像を連続出力する場合等では、発光時間が長く発光量も大きい。その為、LED51やこれを実装した基板50上の回路からの発熱量もまた大きくなる。
【0121】
これに対する対策として、例えば露光ヘッド4の筐体54を放熱板としても活用し、露光ヘッド4を放熱し易くかつ蓄熱し難くなる構成としている。しかし、このような場合においても、露光ヘッド4の冷却が間に合わず蓄熱が進み、周囲へ放散する熱も増大することが考えられる。その結果として、現像ユニット24が備える現像スリーブ5の周囲のトナーや、現像ユニット24内部の循環トナーの一部が融着し、現像スリーブ5の表面のトナーコート層に影響を与え、画像不良に至ることがあり得る。
【0122】
現像ユニット24を冷却する構成を備えている場合であっても、現像ユニット24の露光ヘッド4が近接した部位では、LED51の発光に起因する蓄熱が勝ることが容易に想定される。従って現像ユニット24の冷却構成(現像冷却エアフロー)とは別に、露光ヘッド4を冷却し装置外部へと排熱するための露光ヘッド4の冷却構成(露光冷却エアフロー)を設けて、露光ヘッド4の周囲に放散する熱量を抑えることが望ましい。
【0123】
また、
図8に示すように、現像ユニット24とその現像ユニット24が有する現像スリーブ5は、露光ヘッド4に隣接して配置されている。現像スリーブ5はその表面にトナーがコートされ、その構造上、スリーブ両端の軸受部近傍にトナーが付着し、現像ユニット24の周囲にもトナーが付着する。これは、現像スリーブ5やスクリュー7が高速回転され、攪拌されたトナーが舞い上がる共に、現像スリーブ5やスクリュー7の表面から剥離するからである。また現像スリーブ5やスクリュー7の高速回転に起因する現像ユニット24の内圧の増大により、現像ユニット24の隙間から外部へトナーが噴出されることがあるからである。
【0124】
そのため、露光ヘッド4の冷却構成は、現像ユニット24の周囲のトナーを巻き込まず、混入させない構成であることが望ましい。言い換えれば、現像冷却エアフローとは別に、露光冷却エアフローを構成するにあたっては、露光ヘッド4に隣接する現像ユニット24の周囲のトナーを巻き込まず、混入させない構成であることが望ましい。
【0125】
以上のことから、露光ヘッド4は、現像ユニット24とは異なる冷却経路で冷却することが好ましい。本実施例では以下のように構成している。
【0126】
画像形成装置100は、前述した露光ヘッド4と、昇降ダクト69と、カートリッジトレイ30と、後述するダクトユニット60と、を有する。露光ヘッド4は、画像形成装置100に配置された昇降ダクト69に装着され、昇降ダクト69と一体になる。露光ヘッド4は、昇降ダクト69に装着されることで、露光ヘッド4の筐体支持部材55の開口55aが昇降ダクト69の開口69aと連通する。昇降ダクト69は、カートリッジトレイ30が有する現像支持部材301とドラム支持部材302との間に配置され、カートリッジトレイ30とともに、露光ヘッド4とダクトユニット60とを連通するダクトを形成する。ダクトユニット60は、画像形成装置100に対してカートリッジトレイ30の直下に装着される。ダクトユニット60は、画像形成装置100に装着されることで、ダクトユニット60の開口部61が昇降ダクト69の開口部64と連通する。
【0127】
このように、露光ヘッド4の筐体支持部材55、昇降ダクト69、カートリッジトレイ30、およびダクトユニット60が連続した1つの閉空間である第2の冷却ダクトを形成している。各露光ヘッド4は、筐体支持部材55、昇降ダクト69、カートリッジトレイ30、およびダクトユニット60によって形成された前記1つの閉空間を流れる露光冷却エアフロー(
図18に示す破線)によって冷却される。
【0128】
図18に破線で示す露光冷却エアフローの流路となる1つの閉空間である第2の冷却ダクトは、
図18に実線で示す現像冷却エアフローの流路となる1つの閉空間である第1の冷却ダクトとは別に、構成されている。
【0129】
ここで
図18及び
図19を用いて、本実施例の露光冷却エアフローの一部を構成するダクトユニット60について説明する。
【0130】
(ダクトユニット)
画像形成装置100は、ダクトユニット60を着脱自在に備える。
図18、
図19、
図20、
図21を用いて、ダクトユニット60について説明する。
図18は
図2におけるA-A矢視による画像形成装置の断面図である。
図19はダクトユニットを上側から見た斜視図である。
図20は露光冷却エアフローの吸気側の断面図であり、
図18に示すY3-Y3における断面図である。
図21は露光冷却エアフローの光軸と垂直方向の断面図である。
【0131】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69を通して露光ヘッド4に連通し、昇降ダクト69を通して露光ヘッド4を気流により冷却するための露光冷却ユニットである。
【0132】
なお、昇降ダクト69は、前述したように、上下に開口(開口69a、開口部64)を備えた中空の形状に形成されている。昇降ダクト69は、一方の開口69aが露光ヘッド4の開口55aと連通し、他方の開口部64がダクトユニット60の開口部61と連通したダクト(露光ダクト)を形成している。昇降ダクト69は、露光ヘッド4とダクトユニット60とを連通して露光ヘッド4を冷却する空気を流通させる空間を形成する露光ダクトをなす。
【0133】
ダクトユニット60は、露光ヘッド4を挟んで感光ドラム2とは反対側に設けられており、画像形成装置100の装置本体に対してカートリッジトレイ30の直下に着脱自在に装着される。
【0134】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69に導入する空気を流通させる空間を形成する第一のダクトとしての吸気ダクト205を有する。吸気ダクト205は、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置100の後方寄り(奥側、背面側)に配置されている。吸気ダクト205は、画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)から、他方側(右側)の露光ヘッドにわたって、左右方向に延伸した長手形状に設けられ、左右方向に気流を流通させるための空間を形成している。
【0135】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69に空気を導入する第一の露光導入口としての露光吸気口201(Y、M、C,K)を、各露光ヘッドごとに有する。露光吸気口201は、画像形成装置100の後方寄りに配置された吸気ダクト205の上面に設けられている。露光吸気口201は、
図21に示すように、基板50の一方の面とは反対側の他方の面に対向して配置され、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置の後方(背面側)に配置されている。
【0136】
ダクトユニット60は、吸気ダクト205に画像形成装置の外部から空気を吸気する吸気口203を有する。吸気口203は、画像形成装置の外面(ここでは左側面)をなす外装カバーに面して吸気ダクト205に設けられている。吸気口203は、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置の後方(背面側)に配置されている。吸気口203は、前記長手方向と直交する画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)に隣接して配置されている。
【0137】
ダクトユニット60は、吸気口203から導入した画像形成装置の外部の空気を、吸気ダクト205を通して露光吸気口201から排出する気流を生成する吸気ファン62を有する。吸気ファン62は、吸気ダクト205の吸気口203に配置されている。
【0138】
吸気口203と各露光ヘッドごとの露光吸気口201(Y、M、C、K)は、吸気ダクト205によって接続されている。ダクトユニット60は、吸気ファン62によって吸気口203から導入した画像形成装置外部の空気(フレッシュエア)を吸気ダクト205を通して各露光吸気口201から吸気するよう構成されている。
【0139】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69から導入した空気を流通させる空間を形成する第二のダクトとしての排気ダクト206を有する。排気ダクト206は、基板50の長手方向中央よりも他方側である画像形成装置100の前方寄り(手前側、正面側)に配置されている。排気ダクト206は、画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)から、他方側(右側)の露光ヘッドにわたって、左右方向に延伸した長手形状に設けられ、左右方向に気流を流通させるための空間を形成している。
【0140】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69から空気を導入する第二の露光導入口としての露光排気口202(Y、M、C、K)を、各露光ヘッドごとに有する。露光排気口202は、画像形成装置100の前方寄りに配置された排気ダクト206の上面に設けられている。露光排気口202は、
図21に示すように、基板50の他方の面に対向して配置され、基板50の長手方向中央よりも他方側である画像形成装置の前方(正面側)に配置されている。
【0141】
ダクトユニット60は、排気ダクト206から画像形成装置の外部に空気を排気する排気口204を有する。排気口204は、画像形成装置の外面(ここでは左側面)をなす外装カバーに面して排気ダクト206に設けられている。排気口204は、基板50の長手方向中央よりも他方側である画像形成装置の前方(正面側)に配置されている。排気口204は、前記吸気口203と同様に、前記長手方向と直交する画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)に隣接して配置されている。
【0142】
ダクトユニット60は、露光排気口202から導入した空気を、排気ダクト206を通して排気口204から排気する気流を生成する排気ファン63を有する。排気ファン63は、排気ダクト206の排気口204に配置されている。
【0143】
排気口204と各露光ヘッドごとの露光排気口202(Y、M、C、K)は、排気ダクト206によって接続されている。ダクトユニット60は、排気ファン63によって各露光排気口202から導入した空気を排気ダクト206を通して排気口204から画像形成装置外部に排気するよう構成されている。
【0144】
ダクトユニット60は、吸気ファン62と、排気ファン63と、吸気ダクト205と、排気ダクト206とを一体に設け、画像形成装置100の装置本体に対してカートリッジトレイ30の直下に着脱自在に装着される。
【0145】
またダクトユニット60は、画像形成装置100の左右方向の同じ面側(左側面側)に吸気口203と排気口204を備え、吸気口203には吸気ファン62、排気口204には排気ファン63がそれぞれ配置されている。本実施例では、
図18に示すように、画像形成装置100の後方寄りに配置された吸気ファン62は装置外部の空気を取り込む吸気ファンとして機能し、前方寄りに配置された排気ファン63は装置外部へ空気を排気する排気ファンとして機能する。
【0146】
画像形成装置の外面(ここでは左側面)の外装をなす外装カバーには、それぞれのファン62,63と対向する位置に、開口としてのルーバー(不図示)が形成されている。外装カバーに形成されたルーバーは、ファン62,63がそれぞれ配置された吸気口203、排気口204に連通している。吸気ファン62による吸気口203からの吸気と、排気ファン63による排気口204からの排気は、画像形成装置の左側面の外装をなす外装カバーに形成されたルーバーを通して、装置外部に対して直接行われる。
【0147】
前述したように、ダクトユニット60において、画像形成装置100の後方寄りに配置された吸気ファン62は、装置外部から空気を取り込む吸気ファンとして機能する。そのため、吸気ファン62が回転すると、吸気口203を通して吸気ダクト205内に装置外部から空気が取り込まれる。装置外部から取り込まれた空気は、
図20に点線(ダクト内気流310)で示すように、吸気ダクト205に沿って画像形成装置100の左方から右方に向かって流れる。吸気ダクト205内を装置左側から右側に向かって流れる空気は、
図20に示すように、吸気ダクト205の上面に設けた各色ごとの露光吸気口201を、装置左側から、露光吸気口201Y、201M、201C、201Kの順に分岐しながら流れる。
【0148】
ダクトユニット60の露光吸気口201から送られた空気は、露光吸気口201に連通している第1の開口部73から、カートリッジトレイ30と昇降ダクト69との間を通して上方に送られる。カートリッジトレイ30と昇降ダクト69との間を通して上方に送られた空気は、上下に連通している昇降ダクト69の開口69aと露光ヘッド4の開口55aを通して、露光ヘッド4の基板50の裏面に吹き付けられる。
【0149】
ここで、第1の開口部73は、カートリッジトレイ30と昇降ダクト69とによって形成された開口部64のうち装置後方寄りにて、ダクトユニット60の露光吸気口201と連通している開口部である。
【0150】
すなわち、前記第1の開口部73は、基板50の長手方向の中央よりも一方側である画像形成装置の後方に配置され、ダクトユニット60を装着したときに露光吸気口201と対向する。
【0151】
露光ヘッド4とダクトユニット60との間は、カートリッジトレイ30と昇降ダクト69とによって形成されたダクト(冷却ダクト75)によって連通されている。そのため、基板50の裏面に吹き付けられた気流は、このダクト内を(例えば基板の長手方向後側から前側に)案内され、その過程で基板50の冷却が行われる。
【0152】
また前述の吸気と同時に、ダクトユニット60において、画像形成装置100の前方寄りに配置された排気ファン63は、ダクトユニット60の内部から装置外部へ空気を排気する排気ファンとして機能する。そのため、排気ファン63が回転すると、排気ダクト206の上面に設けた各色ごとの露光排気口202(Y,M,C,K)から空気が取り込まれる。露光排気口202は、第2の開口部74と連通している。そのため、排気ダクト206の上面に設けた各色ごとの露光排気口202からは、上下に連通している第2の開口部74を通して、カートリッジトレイ30と昇降ダクト69とによって形成されたダクト(冷却ダクト75)内の空気が取り込まれる。
【0153】
ここで、第2の開口部74は、カートリッジトレイ30と昇降ダクト69とによって形成された開口部64のうち装置前方寄りにて、ダクトユニット60の露光排気口202と連通している開口部である。
【0154】
すなわち、前記第2の開口部74は、基板50の長手方向の中央よりも他方端側に配置され、ダクトユニット60を装着したときに露光排気口202と対向する。
【0155】
ダクトユニット60の露光排気口202から第2の開口部74を通して空気が取り込まれる。これにより、カートリッジトレイ30と昇降ダクト69とにより形成されたダクト、および昇降ダクト69に一体に支持された露光ヘッド4では、
図18に点線(ダクト内気流311)で示す空気の流れである露光冷却エアフローが生じ、LED51を実装した基板50が冷却される。
【0156】
ダクトユニット60において、排気ダクト206の露光排気口202から取り込まれた空気は、
図21にダクト内気流312で示すように、排気ダクト206内部で、装置右側から、露光排気口202K、202C、202M、202Yの順に順次合流し、装置右側から左側に向かって流れる。最終的に排気ダクト206に取り込まれた装置内部の空気は、排気口204を通して装置外部へ排気される。
【0157】
なお、ダクトユニット60は、
図19に示すように、その上面に各露光ヘッドごとに開口部61(Y,M,C,K)を有する。ダクトユニット60の開口部61は、装置後方寄りに設けた露光吸気口201と、装置前方寄りに設けた露光排気口202と、を含む。ダクトユニット60の開口部61(Y,M,C,K)は、各色の露光ヘッド4のそれぞれに対応するように設けられている。
【0158】
すなわち、ダクトユニット60の開口部60Yは、装置後方寄りに設けた露光吸気口201Yと、装置前方寄りに設けた露光排気口202Yと、を含む。ダクトユニット60の開口部60Mは、装置後方寄りに設けた露光吸気口201Mと、装置前方寄りに設けた露光排気口202Mと、を含む。ダクトユニット60の開口部60Cは、装置後方寄りに設けた露光吸気口201Cと、装置前方寄りに設けた露光排気口202Cと、を含む。ダクトユニット60の開口部60Kは、装置後方寄りに設けた露光吸気口201Kと、装置前方寄りに設けた露光排気口202Kと、を含む。
【0159】
ダクトユニット60の開口部61は、各露光ヘッドごとの昇降ダクト69の開口部64に対向する位置に設けられ、当該開口部64に連結されることで露光ヘッド4に連通され、閉空間を形成する。
【0160】
ここで、露光ヘッド4の筐体54の長手方向における前方、中央、後方の飽和温度について説明する。
図22は、露光ヘッド4の筐体54の前方、中央、後方の飽和温度の一例を示した図である。
図22に示す露光ヘッド4の温度は、
図2に示す画像形成装置にて、本実施例のダクトユニット60と、比較例のダクトユニットをそれぞれ用いて、露光ヘッド4の冷却を行った結果の一例を示すものである。本実施例のダクトユニット60は、前述したように、装置後方寄りのファン62が吸気ファンとして機能し、前方寄りにファン63が排気ファンとして機能するものである。一方、比較例のダクトユニットは、装置前方寄りのファンが吸気ファンとして機能し、後方寄りのファンが排気ファンとして機能するものである。
図2に示す画像形成装置にて各ダクトユニットを用いて、35℃環境において、ブラックとシアン色の2色の露光ヘッド4を発光させるパターンで画像形成を連続して実施した。
図22は、その結果の一例を示すものである。
【0161】
図20に示す結果をみると、吸排気を逆にした比較例の構成では、露光ヘッドの長手方向において装置前方から後方にかけて約4℃の温度勾配が発生している。これに対し、装置後方に吸気ファンを具備した本実施例の構成では、露光ヘッドの長手方向において中央の温度が一番高い傾向となっており、中央に対する両側(前方、後方)の温度差も約2℃程度と比較例に比べて半減している事が分かる。
【0162】
このように本実施例によれば、ダクトユニット60の吸気口203が、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置の後方であって、前記長手方向と直交する画像形成装置の左右方向の一方の側面に配置されている。これにより、画像形成装置100の後方寄りに配置された吸気口203を通して装置外部から空気が取り込まれる。またダクトユニット60の露光吸気口201が、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置の後方に配置されている。これにより、吸気口203を通して装置外部から取り込まれた空気は、画像形成装置の後方寄りに配置された各露光吸気口201Y、201M、201C、201Kから露光ヘッド4に吹き付けられる。これにより、露光ヘッド4の装置背面側の昇温を抑え、基板50の長手方向の温度勾配を抑制することができる。
【0163】
また上述したように、ダクトユニット60、カートリッジトレイ30、昇降ダクト69、及び筐体支持部材55が連続した閉空間を形成することで、露光冷却エアフローを構成している。
図18に示すように、ダクトユニット60の吸気ファン62および排気ファン63は、装置の外装カバーのみを介して装置外部に面している。露光冷却エアフローの流路は、外装カバーのルーバーからダクトユニット60内へ直接吸気し、ダクトユニット60から直接排気することで形成される、最小経路で完結している。従って、その吸排気の流れが、装置内部の雰囲気エアーに対し影響を与え難い構成である。
【0164】
なお、画像形成装置100の排紙側のオプションとしてフィニッシャがあり、その装着時は、前記吸気ファン62および排気ファン63が面している、画像形成装置100の左側面の略全域が、フィニッシャで塞がれることになる。その場合、吸気ファン62、排気ファン63による吸排気は、フィニッシャの内部へと行うことになるが、フィニッシャ内部は空洞が多く。そこで、前記外装カバーのルーバー(不図示)を、フィニッシャ内部の主要構造物の正面を避けた配置とする。これにより、露光冷却エアフローの性能低下を実使用上問題ない程度に抑えることが可能である。
【0165】
また前述した実施例では、タンデム方式-中間転写方式の4色フルカラープリンタを例示して説明したが、例えば中間転写ベルト9を用いず、感光ドラム2から記録紙Pにトナー像を転写させる直接転写方式を用いても良い。さらには、1色モノカラー、または特色トナーを用いた5色以上のフルカラープリンタであっても良い。その場合には色数に応じた露光ヘッド4をそれぞれ具備した構成を用いても良い。
【0166】
また、ユニットや部品の上下方向は、
図2で示す画像形成装置100の断面図の各ユニットの配置に準じた説明を行った。しかし、感光ドラム2に対して略上方から露光する上面露光方式のように、中間転写ベルト9の上部に感光ドラム2が配置され、更にその上部に露光ヘッド4が配置されるユニット配置であっても良い。その場合は、実施例の説明における上下は全て逆となり、ダクトユニット60は組付け位置の直前において下降する構成となる。
【符号の説明】
【0167】
1 …画像形成部
2 …感光ドラム(感光体)
4 …露光ヘッド(露光手段)
23 …ドラムユニット(感光体ユニット)
24 …現像ユニット(現像手段、現像ユニット)
30 …カートリッジトレイ(支持部材)
31 …現像ステイ
40 …ファン
50 …基板
51 …LED(発光素子)
52 …レンズアレイ
54 …筐体(保持部材)
55 …筐体支持部材(保持部材)
55a …開口
57 …コネクタ
58 …FFC
60 …ダクトユニット(露光冷却ユニット)
61 …開口部
62 …吸気ファン
63 …排気ファン
64 …開口部
65 …回動アーム(回動部材)
68B,68F …アーム退避部材
69 …昇降ダクト(露光支持部材)
69B,69F …ダクト壁
69a …開口
69d …第1の係合部
69e …第2の係合部
100 …画像形成装置
100B …後側板
100F …前側板
101 …フロントカバー
102 …内扉
201 …露光吸気口(第一の露光導入口)
202 …露光排気口(第二の露光導入口)
203 …吸気口
204 …排気口
205 …吸気ダクト(第一のダクト)
206 …排気ダクト(第二のダクト)