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7585280CAR T細胞療法のための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】CAR T細胞療法のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20241111BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241111BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241111BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20241111BHJP
   A61K 47/66 20170101ALI20241111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241111BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241111BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K31/519
A61K35/17
A61K47/54
A61K47/66
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P43/00 105
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181982
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2019547107の分割
【原出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2023015291
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】62/464,792
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/480,627
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/554,421
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/620,423
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/620,384
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/620,701
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/634,595
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508347801
【氏名又は名称】エンドサイト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOCYTE, INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】505194066
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ステュワート・ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン・チュー
(72)【発明者】
【氏名】ヨング・リー
(72)【発明者】
【氏名】インジュアン・ジェイ・ル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ポール・リーモン
(72)【発明者】
【氏名】リロイ・ダブリュー・ホイーラー・ザ・セカンド
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/100615(WO,A1)
【文献】特表2015-525765(JP,A)
【文献】国際公開第2017/025638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 35/00-35/768
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオレセインアミン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)またはフルオレセインナトリウムから選択される薬剤を含む、患者における改変CAR T細胞集団の活性化を阻害するための組成物であって、
該患者の血流はフルオレセインと特異的に結合する改変CAR T細胞集団を含み、
該患者は第1コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を既に投与されており
その中で、該第1コンジュゲートはリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、該小分子リガンドは葉酸であり、該標的化部分はフルオレセイン、FITC、およびNHS-フルオレセインから選択され、該第1コンジュゲートは癌細胞上の受容体に結合することができ、且つ該標的化部分に指向された改変CAR T細胞集団のCARに結合でき
該薬剤は癌に結合しないが、改変CAR T細胞集団の第1コンジュゲートへの結合を遮断することによって改変CAR T細胞集団の活性化を阻害する、組成物。
【請求項2】
前記標的化部分が、FITCである、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記癌が、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー細胞白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、および胃食道接合部腺癌からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記癌が葉酸受容体発現癌である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記CARが認識領域を有し、前記認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域を含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記CARが共刺激ドメインを有し、前記共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、前記活性化シグナル伝達ドメインがT細胞のCD3ε鎖またはFc受容体γである、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記CARが認識領域を有し、前記認識領域が抗FITC抗体のscFv領域であり、前記CARが共刺激ドメインを有し、前記共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、前記CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、前記活性化シグナル伝達ドメインがT細胞のCD3ζ鎖である、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記CARが、配列番号2の列を有するポリペプチドを含む、請求項1~8のいずれかの組成物。
【請求項10】
癌に対するCAR T細胞毒性が、該第1コンジュゲートが患者に投与されたときに生じ改変CAR T細胞集団の活性化の阻害がCAR T細胞毒性を減少させる、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
サイトカイン放出症候群および/または「オフターゲット」毒性が患者において生じない、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記癌が腫瘍を含む、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記第1コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩が、患者の体重あたり、約10nmol/kg~約100nmol/kg、約10nmol/kg~約50nmol/kg、約10nmol/kg~約20nmol/kg、約10nmol/kg~約600nmol/kg、約200nmol/kg~約600nmol/kg、または約400nmol/kg~約600nmol/kgの用量で患者に投与される、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記改変CAR T細胞集団が、配列番号1または配列番号3に対して少なくとも約90%、95%、98%、または100%の同一性を有する核酸を含む、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記改変CAR T細胞集団が、配列番号1または配列番号3に対して少なくとも約90%、95%、98%、または100%の同一性を有する核酸を含むベクターを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ベクターがレンチウイルスベクターである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記薬剤がフルオレセインナトリウムである、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)の下、2017年2月28日出願の米国仮出願番号62/464,792、2017年4月3日出願の米国仮出願番号62/480,627、2017年9月5日出願の米国仮出願番号62/554,421、2018年1月23日出願の米国仮出願番号62/620701、2018年1月22日出願の米国仮出願番号62/620,384、2018年1月22日出願の米国仮出願番号62/620,423および2018年2月23日出願の米国仮出願番号62/634,595に基づく優先権を主張し、これらの全てを引用により全体として本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、患者にCAR T細胞を含む組成物を投与し、かつ患者にリンカーにより標的化部分に連結された小分子を投与することによる、癌を有する患者を処置する方法に関する。本発明はまたこのような方法に使用するための組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
患者へのリンパ球(例えば、T細胞)の養子移入に基づく免疫療法は、癌および他の疾患の処置における価値ある治療である。リンパ球の養子移入に基づく免疫療法の開発において、重要な進歩がなされている。多くの異なるタイプの免疫療法剤のうち、開発中の免疫療法剤の最も有望な一つは、キメラ抗原受容体を発現するT細胞(CAR T細胞)である。キメラ抗原受容体(CAR)は、特異的抗原、例えば、腫瘍抗原を標的とするよう設計された、遺伝子改変受容体である。この標的指向化は、例えば、CARを発現するCAR T細胞が特異的腫瘍抗原を介して腫瘍を標的とし、殺すことができるように、腫瘍に対する細胞毒性をもたらし得る。
【0004】
第一世代CARは、腫瘍により発現される抗原を認識し、結合するための抗体由来の認識領域、例えば、一本鎖フラグメント可変(scFv)領域および活性化シグナル伝達ドメインからなり、例えば、T細胞のCD3ζ鎖は、CARにおけるT細胞活性化シグナルとして役立ち得る。CAR T細胞は、インビトロで肯定的な結果を示しているが、臨床治験における疾患(例えば、癌)排除の成功は限定的である。一つの問題は、インビボでのCAR T細胞集団の長期活性化および拡大ができないことである。
【0005】
この問題に対処し、インビボでのT細胞の長期活性化を達成するために第二世代CARでは共刺激ドメイン(例えば、CD137、CD28またはCD134)が含まれている。共刺激ドメインの付加は、CARを含むT細胞のインビボ増殖および生存を増強し、初期臨床データは、このような構築物が癌などの疾患の処置の有望な治療剤であることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CAR T細胞療法で改善はされているものの、いくつかの問題が残っている。第一に、‘オフターゲット’毒性が、CAR T細胞により標的にされる抗原(例えば、腫瘍関連抗原)を発現する正常細胞に対して生じ得る。第二に、無制御のCAR T細胞活性化が、CAR T細胞による迅速かつ制御不能な罹患細胞(例えば、癌細胞)の排除を起し、腫瘍崩壊症候群またはサイトカイン放出症候群(CRS)と称される一連の代謝異常を誘発し、これは患者に致死的であり得る。腫瘍崩壊症候群およびCRSは、容易に制御されず、制御不能に活性化される、投与されたCAR T細胞によるものであり得る。従って、CAR T細胞は、癌などの疾患の処置におけるツールとしてかなり有望であるが、低減したオフターゲット毒性およびより厳密に制御されたCAR T細胞活性化を提供するさらなるCAR T細胞療法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
本発明者らは、CAR T細胞治療に重要な進歩を提供する、オフターゲット毒性を減少させ、CAR T細胞活性化をより厳密に制御する方法を発見した。ここに記載する種々の実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを、癌の寛解のためにCAR T細胞を癌に指向(direct)させる、癌とCAR T細胞の間の架架橋として使用する。ある実施態様において、「小分子リガンド」は、例えば、葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドまたはCCK2Rリガンドであり得て、その各々は、癌細胞に特異的に結合する小分子リガンドである(すなわち、これらのリガンドの受容体は、正常組織に比して、癌で過発現されている)。
【0008】
ある実施態様において、「小分子リガンド」は、CAR T細胞により発現されるCARに結合する「標的化部分」に連結される。種々の実施態様において、「標的化部分」は、例えば、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル(PFP)、テトラフルオロフェニルエステル(TFP)、ノッチン、centyrinおよびDARPinから選択され得る。
【0009】
「標的化部分」は、CAR T細胞により発現される遺伝子改変CARの認識領域に結合する。従って、CARの認識領域(例えば、抗体の一本鎖フラグメント可変領域(scFv)、Fab、Fv、Fc、(Fab’)2フラグメントなど)は、「標的化部分」に向けられる。それ故に、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは、癌の寛解のためにCAR T細胞を癌に指向させる、癌とCAR T細胞の間の架架橋として働く。
【0010】
ある実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者に第一回目のCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ、そしてiii)患者に第二回目のCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。
【0011】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、組成物中の該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該CAR T細胞組成物が該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含むものであるステップを含む。
【0012】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ、そしてiii)患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップを含む。
【0013】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg患者体重~約2500nmole/kg患者体重の投与量であるものであるステップ、およびii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量であるものであるステップを含む。
【0014】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を連続的に投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むステップ、そしてiii)患者におけるサイトカイン放出症候群を低減するために、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与を終了するステップを含む。
【0015】
他の説明的態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目および第二回目が患者に投与され、該第一回目と該第二回目の投与量が異なり、化合物またはその薬学的に許容される塩の該第二回目が化合物またはその薬学的に許容される塩の該第一回目より約2倍~約15000倍量が多いものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。
【0016】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に週1回投与されるものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。
【0017】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一回目の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者に少なくとも第二回目の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、化合物またはその薬学的に許容される塩の該第二回目が化合物またはその薬学的に許容される塩の該第一回目より少なくとも約50%量が少ないものであるステップ、そしてiii)患者に一回のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。
【0018】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一回目の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩がCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約1時間前に患者に投与され、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ、ii)次いで患者に一投与量の該CAR T細胞組成物を投与するステップ、そしてiii)次いで患者に第二回目の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む。
【0019】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該小分子リガンドがPSMAリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップを含む。この実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは、式
【化1】
を有し得る。
【0020】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CARがCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該小分子リガンドがCAIXリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップを含む。この実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは、式
【化2】
を有し得る。
【0021】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第一化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたPSMAリガンドを含むものであるステップ、ii)患者に第二化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第二化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたCAIXリガンドを含むものであるステップ、そしてiii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。この実施態様において、第一化合物は式
【化3】
を有し得て、第二化合物は式
【化4】
を有し得る。
【0022】
さらなる実施態様を、次の列挙した項によっても説明する。発明の概要部分、例示的実施態様の詳細な記載部分、実施例部分または本特許出願の特許請求の範囲に記載した何れかの適用できる実施態様と組み合わせた次の実施態様の何れもがまた意図される。
【0023】
1. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者に第一回目のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ;および
iii)患者に第二回目のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0024】
2. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項1に記載の方法。
【0025】
3. 該リガンドが葉酸である、項1または2の何れかに記載の方法。
【0026】
4. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0027】
5. 該リガンドがDUPAである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0028】
6. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0029】
7. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0030】
8. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項1~7の何れかに記載の方法。
【0031】
9. 該標的化部分がFITCである、項1~8の何れかに記載の方法。
【0032】
10. 該標的化部分がDNPである、項1~8の何れかに記載の方法。
【0033】
11. 該標的化部分がTNPである、項1~8の何れかに記載の方法。
【0034】
12. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項1~11の何れかに記載の方法。
【0035】
13. 該リンカーがPEGを含む、項1~12の何れかに記載の方法。
【0036】
14. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化5】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化6】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項1~13の何れかに記載の方法。
【0037】
15. nが0~150の整数である、項14に記載の方法。
【0038】
16. nが0~110の整数である、項14に記載の方法。
【0039】
17. nが0~20の整数である、項14に記載の方法。
【0040】
18. nが15~20の整数である、項14に記載の方法。
【0041】
19. nが15~110の整数である、項14に記載の方法。
【0042】
20. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項1~9または12~19の何れかに記載の方法。
【0043】
21. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~20の何れかに記載の方法。
【0044】
22. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~21の何れかに記載の方法。
【0045】
23. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~22の何れかに記載の方法。
【0046】
24. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~23の何れかに記載の方法。
【0047】
25. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~24の何れかに記載の方法。
【0048】
26. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~25の何れかに記載の方法。
【0049】
27. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項1~26の何れかに記載の方法。
【0050】
28. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項1~3または8~27の何れかに記載の方法。
【0051】
29. 該癌が子宮内膜癌である、項28に記載の方法。
【0052】
30. 該癌が非小細胞肺癌である、項28に記載の方法。
【0053】
31. 該癌が卵巣癌である、項28に記載の方法。
【0054】
32. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項28に記載の方法。
【0055】
33. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~32の何れかに記載の方法。
【0056】
34. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~9または12~33の何れかに記載の方法。
【0057】
35. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項1~34の何れかに記載の方法。
【0058】
36. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項1~35の何れかに記載の方法。
【0059】
37. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項1~9または12~36の何れかに記載の方法。
【0060】
38. 複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩およびCAR T細胞組成物が投与される、項1~37の何れかに記載の方法。
【0061】
39. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項1~38の何れかに記載の方法。
【0062】
40. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項1~39の何れかに記載の方法。
【0063】
41. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項1~40の何れかに記載の方法。
【0064】
42. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項1~41の何れかに記載の方法。
【0065】
43. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項1~41の何れかに記載の方法。
【0066】
44. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項1~41の何れかに記載の方法。
【0067】
45. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項1~44の何れかに記載の方法。
【0068】
46. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項1~45の何れかに記載の方法。
【0069】
47. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項45に記載の方法。
【0070】
48. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項1~47の何れかに記載の方法。
【0071】
49. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項1~47の何れかに記載の方法。
【0072】
50. 該CAR T細胞組成物の第一回目が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~49の何れかに記載の方法。
【0073】
51. 該CAR T細胞組成物の第二回目が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~50の何れかに記載の方法。
【0074】
52. 該CAR T細胞組成物の第一回目が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~51の何れかに記載の方法。
【0075】
53. 該CAR T細胞組成物の第二回目が約1:1~1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~52の何れかに記載の方法。
【0076】
54. 該CAR T細胞組成物の第一回目が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~53の何れかに記載の方法。
【0077】
55. 該CAR T細胞組成物の第二回目が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~54の何れかに記載の方法。
【0078】
56. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該CAR T細胞組成物が該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含むものであるステップ
を含む、方法。
【0079】
57. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項56に記載の方法。
【0080】
58. 該リガンドが葉酸である、項56または57の何れかに記載の方法。
【0081】
59. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0082】
60. 該リガンドがDUPAである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0083】
61. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0084】
62. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0085】
63. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項56~62の何れかに記載の方法。
【0086】
64. 該標的化部分がFITCである、項56~63の何れかに記載の方法。
【0087】
65. 該標的化部分がDNPである、項56~63の何れかに記載の方法。
【0088】
66. 該標的化部分がTNPである、項56~63の何れかに記載の方法。
【0089】
67. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項56~66の何れかに記載の方法。
【0090】
68. 該リンカーがPEGを含む、項56~67の何れかに記載の方法。
【0091】
69. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化7】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化8】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項56~68の何れかに記載の方法。
【0092】
70. nが0~150の整数である、項69に記載の方法。
【0093】
71. nが0~110の整数である、項69に記載の方法。
【0094】
72. nが0~20の整数である、項69に記載の方法。
【0095】
73. nが15~20の整数である、項69に記載の方法。
【0096】
74. nが15~110の整数である、項69に記載の方法。
【0097】
75. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項56~64または67~74の何れかに記載の方法。
【0098】
76. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~75の何れかに記載の方法。
【0099】
77. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~76の何れかに記載の方法。
【0100】
78. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~77の何れかに記載の方法。
【0101】
79. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~78の何れかに記載の方法。
【0102】
80. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~79の何れかに記載の方法。
【0103】
81. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~80の何れかに記載の方法。
【0104】
82. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項56~81の何れかに記載の方法。
【0105】
83. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項56~58または63~82の何れかに記載の方法。
【0106】
84. 該癌が子宮内膜癌である、項83に記載の方法。
【0107】
85. 該癌が非小細胞肺癌である、項83に記載の方法。
【0108】
86. 該癌が卵巣癌である、項83に記載の方法。
【0109】
87. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項83に記載の方法。
【0110】
88. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項56~87の何れかに記載の方法。
【0111】
89. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項56~64または67~88の何れかに記載の方法。
【0112】
90. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項56~89の何れかに記載の方法。
【0113】
91. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項56~90の何れかに記載の方法。
【0114】
92. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項56~64または67~91の何れかに記載の方法。
【0115】
93. 複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩が投与される、項56~92の何れかに記載の方法。
【0116】
94. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項56~93の何れかに記載の方法。
【0117】
95. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項56~94の何れかに記載の方法。
【0118】
96. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項56~95の何れかに記載の方法。
【0119】
97. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項56~96の何れかに記載の方法。
【0120】
98. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項56~96の何れかに記載の方法。
【0121】
99. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項56~96の何れかに記載の方法。
【0122】
100. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項56~99の何れかに記載の方法。
【0123】
101. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項56~100の何れかに記載の方法。
【0124】
102. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項100に記載の方法。
【0125】
103. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項56~102の何れかに記載の方法。
【0126】
104. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項56~102の何れかに記載の方法。
【0127】
105. 該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比である、項56~104の何れかに記載の方法。
【0128】
106. 該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比である、項56~105の何れかに記載の方法。
【0129】
107. 該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞を含む、項56~106の何れかに記載の方法。
【0130】
108. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ;および
iii)患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップ
を含む、方法。
【0131】
109. ステップiiiが葉酸の投与を含む、項108に記載の方法。
【0132】
110. ステップiiiが葉酸またはロイコボリンの投与を含む、項108または109の何れかに記載の方法。
【0133】
111. ステップiiiが葉酸を含むコンジュゲートの投与を含む、項108に記載の方法。
【0134】
112. 該葉酸を含むコンジュゲートが1以上のアミノ酸に連結した葉酸を含む、項111に記載の方法。
【0135】
113. 該葉酸を含むコンジュゲートが式
【化9】
を有する、項111に記載の方法。
【0136】
114. 該葉酸が式
【化10】
〔式中、XおよびYは、各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から各々独立して選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここでZは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
は、任意の付加的化学部分が葉酸の一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合を表す。〕
を有する、項109~112の何れかに記載の方法。
【0137】
115. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項108~114の何れかに記載の方法。
【0138】
116. 該標的化部分がFITCである、項108~115の何れかに記載の方法。
【0139】
117. 該標的化部分がDNPである、項108~115の何れかに記載の方法。
【0140】
118. 該標的化部分がTNPである、項108~115の何れかに記載の方法。
【0141】
119. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項108~118の何れかに記載の方法。
【0142】
120. 該リンカーがPEGを含む、項108~119の何れかに記載の方法。
【0143】
121. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化11】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化12】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項108~120の何れかに記載の方法。
【0144】
122. nが0~12の整数である、項121に記載の方法。
【0145】
123. nが0~150の整数である、項121に記載の方法。
【0146】
124. nが0~110の整数である、項121に記載の方法。
【0147】
125. nが0~20の整数である、項121に記載の方法。
【0148】
126. nが15~20の整数である、項121に記載の方法。
【0149】
127. nが15~110の整数である、項121に記載の方法。
【0150】
128. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項108~116または119~127の何れかに記載の方法。
【0151】
129. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~128の何れかに記載の方法。
【0152】
130. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~129の何れかに記載の方法。
【0153】
131. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~130の何れかに記載の方法。
【0154】
132. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~131の何れかに記載の方法。
【0155】
133. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~132の何れかに記載の方法。
【0156】
134. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~133の何れかに記載の方法。
【0157】
135. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項108~134の何れかに記載の方法。
【0158】
136. 該リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドのリガンド部分が葉酸であり、癌が葉酸受容体発現癌である、項108~135の何れかに記載の方法。
【0159】
137. 該癌が子宮内膜癌である、項136に記載の方法。
【0160】
138. 該癌が非小細胞肺癌である、項136に記載の方法。
【0161】
139. 該癌が卵巣癌である、項136に記載の方法。
【0162】
140. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項136に記載の方法。
【0163】
141. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項108~140の何れかに記載の方法。
【0164】
142. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項108~116または119~141の何れかに記載の方法。
【0165】
143. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項108~142の何れかに記載の方法。
【0166】
144. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項108~143の何れかに記載の方法。
【0167】
145. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項108~116または119~144の何れかに記載の方法。
【0168】
146. 複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩および/またはCAR T細胞組成物が投与される、項108~145の何れかに記載の方法。
【0169】
147. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項108~146の何れかに記載の方法。
【0170】
148. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項108~147の何れかに記載の方法。
【0171】
149. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項108~148の何れかに記載の方法。
【0172】
150. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項108~149の何れかに記載の方法。
【0173】
151. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項108~149の何れかに記載の方法。
【0174】
152. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項108~149の何れかに記載の方法。
【0175】
153. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項108~152の何れかに記載の方法。
【0176】
154. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項108~153の何れかに記載の方法。
【0177】
155. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項153に記載の方法。
【0178】
156. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項108~155の何れかに記載の方法。
【0179】
157. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項108~155の何れかに記載の方法。
【0180】
158. 該CAR T細胞組成物が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項108~157の何れかに記載の方法。
【0181】
159. 該CAR T細胞組成物が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項108~158の何れかに記載の方法。
【0182】
160. 該CAR T細胞組成物が約1000万のCAR T細胞および約4000万の非形質転換T細胞を含む混合物を含む、項108~159の何れかに記載の方法。
【0183】
161. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、IL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、BTK阻害剤、EC2319およびCAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤からなる群から選択される、項108~160の何れかに記載の方法。
【0184】
162. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である、項161に記載の方法。
【0185】
163. リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤がダサチニブである、項162に記載の方法。
【0186】
164. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がPI3キナーゼ阻害剤である、項161に記載の方法。
【0187】
165. 該PI3キナーゼ阻害剤がGDC0980である、項164に記載の方法。
【0188】
166. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がIL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤である、項161に記載の方法。
【0189】
167. 該IL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤がBMS-509744である、項166に記載の方法。
【0190】
168. 該CAR T細胞組成物が患者の血流に注射により投与され、そして、患者の血流中の該CAR T細胞がCAR T細胞組成物注射後約4週間患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも10パーセントである、項1~160の何れかに記載の方法。
【0191】
169. 該CAR T細胞組成物が患者の血流に注射により投与され、そして、患者の血流中の該CAR T細胞がCAR T細胞組成物注射後約4週間患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも12パーセントである、項1~160の何れかに記載の方法。
【0192】
170. 該CAR T細胞組成物が患者の血流に注射により投与され、そして、患者の血流中の該CAR T細胞がCAR T細胞組成物注射後約4週間患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも15パーセントである、項1~160の何れかに記載の方法。
【0193】
171. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が約100万~約1500万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0194】
172. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞の投与量が約100万、約200万、約300万、約400万、約500万、約600万、約700万、約800万、約900万、約1000万、約1100万、約1200万、約1250万、約1300万、約1400万および約1500万のCAR T細胞からなる群から選択される、項1~160または168~171の何れかに記載の方法。
【0195】
173. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が少なくとも約200万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0196】
174. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が少なくとも約500万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0197】
175. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が少なくとも約1000万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0198】
176. 該CAR T細胞が配列番号3を含む核酸を含む、項1~175の何れかに記載の方法。
【0199】
177. 該CAR T細胞が配列番号1を含むベクターを含む、項1~176の何れかに記載の方法。
【0200】
178. 該CAR T細胞が配列番号3を含むベクターを含む、項1~177の何れかに記載の方法。
【0201】
179. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項176に記載の方法。
【0202】
180. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、CAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤である、項108~160の何れかに記載の方法。
【0203】
181. 該薬剤がフルオレセインアミン、FITCまたはフルオレセインナトリウムである、項180に記載の方法。
【0204】
182. 該薬剤がFITCである、項180に記載の方法。
【0205】
183. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg患者体重~約2500nmole/kg患者体重の投与量であるものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量であるものであるステップ
を含む、方法。
【0206】
184. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項183に記載の方法。
【0207】
185. 該リガンドが葉酸である、項183または184の何れかに記載の方法。
【0208】
186. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項183~185の何れかに記載の方法。
【0209】
187. 該標的化部分がFITCである、項183~186の何れかに記載の方法。
【0210】
188. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項183~187の何れかに記載の方法。
【0211】
189. 該リンカーがPEGを含む、項183~188の何れかに記載の方法。
【0212】
190. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化13】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化14】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項183~189の何れかに記載の方法。
【0213】
191. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項183~190の何れかに記載の方法。
【0214】
192. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約100nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0215】
193. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約50nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0216】
194. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約20nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0217】
195. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0218】
196. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0219】
197. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0220】
198. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1250万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0221】
199. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約700万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0222】
200. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0223】
201. 該CAR T細胞が約200万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0224】
202. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項183~201の何れかに記載の方法。
【0225】
203. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項183~202の何れかに記載の方法。
【0226】
204. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項183~203の何れかに記載の方法。
【0227】
205. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項183~204の何れかに記載の方法。
【0228】
206. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項183~205の何れかに記載の方法。
【0229】
207. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項183~206の何れかに記載の方法。
【0230】
208. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項183~206の何れかに記載の方法。
【0231】
209. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項183~206の何れかに記載の方法。
【0232】
210. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項183~209の何れかに記載の方法。
【0233】
211. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項183~209の何れかに記載の方法。
【0234】
212. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項183~211の何れかに記載の方法。
【0235】
213. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項183~212の何れかに記載の方法。
【0236】
214. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項183~213の何れかに記載の方法。
【0237】
215. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を連続的に投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ;および
iii)患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与を終了するステップ
を含む、方法。
【0238】
216. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項215に記載の方法。
【0239】
217. 該リガンドが葉酸である、項215または216の何れかに記載の方法。
【0240】
218. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項215~217の何れかに記載の方法。
【0241】
219. 該標的化部分がFITCである、項215~218の何れかに記載の方法。
【0242】
220. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項215~219の何れかに記載の方法。
【0243】
221. 該リンカーがPEGを含む、項215~220の何れかに記載の方法。
【0244】
222. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化15】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化16】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項215~221の何れかに記載の方法。
【0245】
223. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項215~222の何れかに記載の方法。
【0246】
224. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に少なくとも1時間連続的に投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0247】
225. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に少なくとも4時間連続的に投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0248】
226. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に少なくとも6時間連続的に投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0249】
227. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与が隔日投与のレジメンである、項215~223の何れかに記載の方法。
【0250】
228. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与が週3回投与のレジメンである、項215~223の何れかに記載の方法。
【0251】
229. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与が患者の許容されない体重減少、発熱、血圧低下または肺浮腫が生じるまで投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0252】
230. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項215~229の何れかに記載の方法。
【0253】
231. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項215~229の何れかに記載の方法。
【0254】
232. 約200万~約500万のCAR T細胞が投与される、項215~231の何れかに記載の方法。
【0255】
233. 該投与が静脈内投与による、項215~232の何れかに記載の方法。
【0256】
234. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項215~233の何れかに記載の方法。
【0257】
235. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項215~234の何れかに記載の方法。
【0258】
236. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項215~235の何れかに記載の方法。
【0259】
237. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項215~236の何れかに記載の方法。
【0260】
238. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項215~237の何れかに記載の方法。
【0261】
239. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項215~238の何れかに記載の方法。
【0262】
240. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項215~238の何れかに記載の方法。
【0263】
241. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項215~238の何れかに記載の方法。
【0264】
242. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項215~241の何れかに記載の方法。
【0265】
243. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項215~242の何れかに記載の方法。
【0266】
244. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項215~243の何れかに記載の方法。
【0267】
245. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項215~243の何れかに記載の方法。
【0268】
246. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項215~245の何れかに記載の方法。
【0269】
247. 該CAR T細胞組成物が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞からなる群から選択される比でさらに非形質転換T細胞を含む、項215~246の何れかに記載の方法。
【0270】
248. 該CAR T細胞組成物が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比でさらに非形質転換T細胞を含む、項215~247の何れかに記載の方法。
【0271】
249. 該CAR T細胞組成物が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞の混合物でさらに非形質転換T細胞を含む、項215~248の何れかに記載の方法。
【0272】
250. 該癌が非小細胞肺癌である、項215~249の何れかに記載の方法。
【0273】
251. 該癌が卵巣癌である、項215~249の何れかに記載の方法。
【0274】
252. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に毎週投与されるものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0275】
253. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項252に記載の方法。
【0276】
254. 該リガンドが葉酸である、項252または253の何れかに記載の方法。
【0277】
255. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項252~254の何れかに記載の方法。
【0278】
256. 該標的化部分がFITCである、項252~255の何れかに記載の方法。
【0279】
257. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項252~256の何れかに記載の方法。
【0280】
258. 該リンカーがPEGを含む、項252~257の何れかに記載の方法。
【0281】
259. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化17】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化18】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項252~258の何れかに記載の方法。
【0282】
260. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項252~259の何れかに記載の方法。
【0283】
261. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約100nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~260の何れかに記載の方法。
【0284】
262. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約50nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~261の何れかに記載の方法。
【0285】
263. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約20nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~262の何れかに記載の方法。
【0286】
264. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~263の何れかに記載の方法。
【0287】
265. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~264の何れかに記載の方法。
【0288】
266. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~265の何れかに記載の方法。
【0289】
267. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量である、項252~266の何れかに記載の方法。
【0290】
268. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約700万のCAR T細胞の投与量である、項252~267の何れかに記載の方法。
【0291】
269. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項252~268の何れかに記載の方法。
【0292】
270. 該CAR T細胞が約200万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項252~269の何れかに記載の方法。
【0293】
271. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項252~270の何れかに記載の方法。
【0294】
272. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項252~271の何れかに記載の方法。
【0295】
273. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項252~272の何れかに記載の方法。
【0296】
274. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項252~273の何れかに記載の方法。
【0297】
275. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項252~274の何れかに記載の方法。
【0298】
276. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項252~275の何れかに記載の方法。
【0299】
277. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項252~275の何れかに記載の方法。
【0300】
278. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項252~275の何れかに記載の方法。
【0301】
279. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項252~278の何れかに記載の方法。
【0302】
280. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項252~278の何れかに記載の方法。
【0303】
281. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項252~280の何れかに記載の方法。
【0304】
282. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項252~280の何れかに記載の方法。
【0305】
283. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項252~282の何れかに記載の方法。
【0306】
284. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量および第二回目の投与量が患者に投与され、該第一回目の投与量と該第二回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約15000倍多いものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0307】
285. 該第一回目の投与量、第二回目の投与量および第三回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約750倍多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約800倍~約10000倍多く、化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量、第二回目の投与量および第三回目の投与量が患者に投与される、項284に記載の方法。
【0308】
286. 該第一回目の投与量、第二回目の投与量、第三回目の投与量および第四回目の投与量の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約750倍多く、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約800倍~約7500倍多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約8000~約15000倍多く、患者に化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量、第二回目の投与量、第三回目の投与量および第四回目の投与量が投与される、項285に記載の方法。
【0309】
287. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約100倍多く、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約1000倍多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約10000倍多い、項286に記載の方法。
【0310】
288. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項284~287の何れかに記載の方法。
【0311】
289. 該リガンドが葉酸である、項284~288の何れかに記載の方法。
【0312】
290. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項284~289の何れかに記載の方法。
【0313】
291. 該標的化部分がFITCである、項284~290の何れかに記載の方法。
【0314】
292. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項284~291の何れかに記載の方法。
【0315】
293. 該リンカーがPEGを含む、項284~292の何れかに記載の方法。
【0316】
294. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化19】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化20】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項284~293の何れかに記載の方法。
【0317】
295. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項284~294の何れかに記載の方法。
【0318】
296. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約100nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~295の何れかに記載の方法。
【0319】
297. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約50nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~296の何れかに記載の方法。
【0320】
298. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約20nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~297の何れかに記載の方法。
【0321】
299. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~298の何れかに記載の方法。
【0322】
300. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~299の何れかに記載の方法。
【0323】
301. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~300の何れかに記載の方法。
【0324】
302. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量である、項284~301の何れかに記載の方法。
【0325】
303. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約700万のCAR T細胞の投与量である、項284~302の何れかに記載の方法。
【0326】
304. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項284~303の何れかに記載の方法。
【0327】
305. 該CAR T細胞が約200万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項284~304の何れかに記載の方法。
【0328】
306. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項284~305の何れかに記載の方法。
【0329】
307. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項284~306の何れかに記載の方法。
【0330】
308. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項284~307の何れかに記載の方法。
【0331】
309. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項284~308の何れかに記載の方法。
【0332】
310. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項284~309の何れかに記載の方法。
【0333】
311. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項284~310の何れかに記載の方法。
【0334】
312. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項284~310の何れかに記載の方法。
【0335】
313. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項284~310の何れかに記載の方法。
【0336】
314. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項284~313の何れかに記載の方法。
【0337】
315. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項284~313の何れかに記載の方法。
【0338】
316. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項284~315の何れかに記載の方法。
【0339】
317. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項284~315の何れかに記載の方法。
【0340】
318. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項284~317の何れかに記載の方法。
【0341】
319. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に連続的に投与され、さらに患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与を終了するステップを含む、項1~214または252~318の何れかに記載の方法。
【0342】
320. 患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップをさらに含む、項1~107または183~318の何れかに記載の方法。
【0343】
321. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg患者体重~約2500nmole/kg患者体重の投与量であり、該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量である、項1~182または215~318の何れかに記載の方法。
【0344】
322. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に週1回投与される、項1~251または284~318の何れかに記載の方法。
【0345】
323. 患者に少なくとも第一回目の投与量および化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が投与され、該第一回目の投与量と該第二回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約15000倍多い、項1~283の何れかに記載の方法。
【0346】
324. 該CAR T細胞組成物が少なくとも二回投与される、項56~318の何れかに記載の方法。
【0347】
325. 癌を処置する方法であって、
i)患者に第一回目の投与量の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者に少なくとも第二回目の投与量の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約50パーセント少ないものであるステップ;および
iii)患者に一回のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0348】
326. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約60パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0349】
327. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約70パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0350】
328. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約80パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0351】
329. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約90パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0352】
330. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約95パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0353】
331. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約96パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0354】
332. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約97パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0355】
333. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約98パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0356】
334. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約99パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0357】
335. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約99.5パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0358】
336. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0359】
337. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約900nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0360】
338. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がの投与量約100nmole/kg~約800nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0361】
339. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約700nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0362】
340. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約600nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0363】
341. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0364】
342. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0365】
343. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約500nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0366】
344. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約500nmole/kg患者体重である、項336に記載の方法。
【0367】
345. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約450nmole/kg患者体重である、項337に記載の方法。
【0368】
346. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約400nmole/kg患者体重である、項338に記載の方法。
【0369】
347. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約350nmole/kg患者体重である、項339に記載の方法。
【0370】
348. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約300nmole/kg患者体重である、項340に記載の方法。
【0371】
349. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約1nmole/kg~約300nmole/kg患者体重である、項341に記載の方法。
【0372】
350. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約2nmole/kg~約300nmole/kg患者体重である、項342に記載の方法。
【0373】
351. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約2nmole/kg~約250nmole/kg患者体重である、項343に記載の方法。
【0374】
352. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約5nmole/kg~約40nmole/kg患者体重である、項336~343の何れかに記載の方法。
【0375】
353. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約40nmole/kg~約150nmole/kg患者体重である、項336~343の何れかに記載の方法。
【0376】
354. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目を投与するステップをさらに含み、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量と同じである、項325~353の何れかに記載の方法。
【0377】
355. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目を投与するステップをさらに含み、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量および該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量と同じである、項354に記載の方法。
【0378】
356. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目後に投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目と比較して癌の増殖阻害を維持する、項325~355の何れかに記載の方法。
【0379】
357. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約4000万のCAR T細胞の投与量で投与される、項325~356の何れかに記載の方法。
【0380】
358. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目後に投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量が週1回投与される、項325~357の何れかに記載の方法。
【0381】
359. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量が週2回投与される、項325~357の何れかに記載の方法。
【0382】
360. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項325~359の何れかに記載の方法。
【0383】
361. 該リガンドが葉酸である、項325~360の何れかに記載の方法。
【0384】
362. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0385】
363. 該リガンドがDUPAである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0386】
364. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0387】
365. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0388】
366. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項325~365の何れかに記載の方法。
【0389】
367. 該標的化部分がFITCである、項325~366の何れかに記載の方法。
【0390】
368. 該標的化部分がDNPである、項325~366の何れかに記載の方法。
【0391】
369. 該標的化部分がTNPである、項325~366の何れかに記載の方法。
【0392】
370. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項325~369の何れかに記載の方法。
【0393】
371. 該リンカーがPEGを含む、項325~370の何れかに記載の方法。
【0394】
372. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化21】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化22】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項325~371の何れかに記載の方法。
【0395】
373. nが0~150の整数である、項372に記載の方法。
【0396】
374. nが0~110の整数である、項372に記載の方法。
【0397】
375. nが0~20の整数である、項372に記載の方法。
【0398】
376. nが15~20の整数である、項372に記載の方法。
【0399】
377. nが15~110の整数である、項372に記載の方法。
【0400】
378. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項325~367または370~377の何れかに記載の方法。
【0401】
379. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項325~378の何れかに記載の方法。
【0402】
380. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項325~361または366~379の何れかに記載の方法。
【0403】
381. 該癌が子宮内膜癌である、項380に記載の方法。
【0404】
382. 該癌が非小細胞肺癌である、項380に記載の方法。
【0405】
383. 該癌が卵巣癌である、項380に記載の方法。
【0406】
384. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項380に記載の方法。
【0407】
385. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項325~384の何れかに記載の方法。
【0408】
386. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項325~367または370~385の何れかに記載の方法。
【0409】
387. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項325~386の何れかに記載の方法。
【0410】
388. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項325~387の何れかに記載の方法。
【0411】
389. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項325~367または370~388の何れかに記載の方法。
【0412】
390. 複数投与量のCAR T細胞組成物が投与される、項325~389の何れかに記載の方法。
【0413】
391. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項325~390の何れかに記載の方法。
【0414】
392. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項325~391の何れかに記載の方法。
【0415】
393. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項325~392の何れかに記載の方法。
【0416】
394. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項325~393の何れかに記載の方法。
【0417】
395. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項325~393の何れかに記載の方法。
【0418】
396. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項325~393の何れかに記載の方法。
【0419】
397. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項325~398の何れかに記載の方法。
【0420】
398. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項325~397の何れかに記載の方法。
【0421】
399. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項397に記載の方法。
【0422】
400. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項325~399の何れかに記載の方法。
【0423】
401. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項325~399の何れかに記載の方法。
【0424】
402. 患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップをさらに含む、項325~401の何れかに記載の方法。
【0425】
403. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が患者に投与され、該薬剤がCAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤である、項402に記載の方法。
【0426】
404. 該薬剤がフルオレセインアミン、フルオレセインナトリウムまたはフルオレセインである、項403に記載の方法。
【0427】
405. 該薬剤がフルオレセインナトリウムである、項404に記載の方法。
【0428】
406. 癌を処置する方法であって、
i)患者に第一回目の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩がCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約1時間前に患者に投与され、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ;
ii)次いで患者に一投与量の該CAR T細胞組成物を投与するステップ;および
iii)次いで患者に第二回目の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップ
を含む、方法。
【0429】
407. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約2時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0430】
408. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約4時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0431】
409. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約8時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0432】
410. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約12時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0433】
411. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約16時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0434】
412. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約20時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0435】
413. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約24時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【0436】
414. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約24時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【0437】
415. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約16時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【0438】
416. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約12時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【0439】
417. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約8時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【0440】
418. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約4時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【0441】
419. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項406~418の何れかに記載の方法。
【0442】
420. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項406~418の何れかに記載の方法。
【0443】
421. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項406~418の何れかに記載の方法。
【0444】
422. 該癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズの減少が、CAR T細胞組成物の投与前、該化合物またはその薬学的に許容される塩で前処置されていない患者より大きい、項406~418の何れかに記載の方法。
【0445】
423. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項406~422の何れかに記載の方法。
【0446】
424. 該リガンドが葉酸である、項406~423の何れかに記載の方法。
【0447】
425. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項406~423の何れかに記載の方法。
【0448】
426. 該リガンドがDUPAである、項406~423の何れかに記載の方法。
【0449】
427. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項406~423の何れかに記載の方法。
【0450】
428. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項406~423の何れかに記載の方法。
【0451】
429. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項406~428の何れかに記載の方法。
【0452】
430. 該標的化部分がFITCである、項406~429の何れかに記載の方法。
【0453】
431. 該標的化部分がDNPである、項406~429の何れかに記載の方法。
【0454】
432. 該標的化部分がTNPである、項406~429の何れかに記載の方法。
【0455】
433. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項406~432の何れかに記載の方法。
【0456】
434. 該リンカーがPEGを含む、項406~433の何れかに記載の方法。
【0457】
435. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化23】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化24】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項406~434の何れかに記載の方法。
【0458】
436. nが0~150の整数である、項435に記載の方法。
【0459】
437. nが0~110の整数である、項435に記載の方法。
【0460】
438. nが0~20の整数である、項435に記載の方法。
【0461】
439. nが15~20の整数である、項435に記載の方法。
【0462】
440. nが15~110の整数である、項435に記載の方法。
【0463】
441. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項406~430または433~440の何れかに記載の方法。
【0464】
442. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【0465】
443. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【0466】
444. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【0467】
445. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【0468】
446. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【0469】
447. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【0470】
448. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項406~447の何れかに記載の方法。
【0471】
449. 該癌がβ発現癌である、項406~424または429~448の何れかに記載の方法。
【0472】
450. 該癌が子宮内膜癌である、項448に記載の方法。
【0473】
451. 該癌が非小細胞肺癌である、項448に記載の方法。
【0474】
452. 該癌が卵巣癌である、項448に記載の方法。
【0475】
453. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項448に記載の方法。
【0476】
454. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項406~453の何れかに記載の方法。
【0477】
455. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項406~430または433~454の何れかに記載の方法。
【0478】
456. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項406~455の何れかに記載の方法。
【0479】
457. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項406~456の何れかに記載の方法。
【0480】
458. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項406~430または433~457の何れかに記載の方法。
【0481】
459. 複数投与量のCAR T細胞組成物が投与される、項406~458の何れかに記載の方法。
【0482】
460. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前に造影される、項406~459の何れかに記載の方法。
【0483】
461. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項406~460の何れかに記載の方法。
【0484】
462. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項406~461の何れかに記載の方法。
【0485】
463. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項406~462の何れかに記載の方法。
【0486】
464. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項406~463の何れかに記載の方法。
【0487】
465. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項463に記載の方法。
【0488】
466. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項406~465の何れかに記載の方法。
【0489】
467. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項406~465の何れかに記載の方法。
【0490】
468. 患者に1回以上の葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される、項108~182の何れかに記載の方法。
【0491】
469. 該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が該化合物またはその薬学的に許容される塩の前および/または後に患者に投与される、項108~182の何れかに記載の方法。
【0492】
470. 該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与が患者におけるサイトカインレベルを減少させる、項108~182の何れかに記載の方法。
【0493】
471. 該サイトカインレベル減少が、患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後約3時間で生じる、項470に記載の方法。
【0494】
472. 該サイトカインレベル減少が、患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与後約6時間で生じる、項470に記載の方法。
【0495】
473. 該サイトカインレベル減少が未処置患者のサイトカインレベルに対する減少である、項470に記載の方法。
【0496】
474. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与の前および後に投与される、項108~182の何れかに記載の方法。
【0497】
475. 該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後に、患者におけるサイトカインレベルが減少しても、患者血中のCAR T細胞数が増加する、項108~182の何れかに記載の方法。
【0498】
476. CAR T細胞活性化が、該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後、該処置患者におけるサイトカインレベルが減少しても、レスキュー剤で処置されていない患者に対して増強または維持される、項108~182の何れかに記載の方法。
【0499】
477. 該癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズが該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を患者に投与したとき増加しない、項108~182の何れかに記載の方法。
【0500】
478. 腫瘍に対する完全応答が得られる、項477に記載の方法。
【0501】
479. CRSグレードが1、2、3または4に達したとき、患者に該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与する、項108、115~160、168~182および468~478の何れかに記載の方法。
【0502】
480. CRSグレードが3または4に達したとき、患者に該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与する、項108、115~160、168~182および468~478の何れかに記載の方法。
【0503】
481. 肺浮腫が減少する、項108~182および468~480の何れかに記載の方法。
【0504】
482. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.01~約300μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0505】
483. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約100μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0506】
484. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約90μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0507】
485. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約80μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0508】
486. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約70μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0509】
487. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約60μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0510】
488. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約50μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0511】
489. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約40μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0512】
490. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約30μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0513】
491. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約20μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0514】
492. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約10μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0515】
493. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約8μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0516】
494. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.06~約6μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【0517】
495. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が患者に投与され、該薬剤がフルオレセインナトリウムである、項108、115~160、168~181および468~494の何れかに記載の方法。
【0518】
496. CRSが低減または予防され、該患者における腫瘍体積の減少をもたらす、項1~495の何れかに記載の方法。
【0519】
497. CRSによる体重減少が低減または予防される、項1~496の何れかに記載の方法。
【0520】
498. 該癌が急性骨髄球性白血病である、項1~3、8~28、33~58、63~83、88~136、141~249、252~361、366~380、385~424、429~449および454~497の何れかに記載の方法。
【0521】
499. 該癌が葉酸受容体-βを発現する、項498に記載の方法。
【0522】
500. 該CAR-T細胞が中枢記憶/エフェクター記憶表現型を有する、項498または499に記載の方法。
【0523】
501. 該CAR T細胞のCD8:CD4比が約1:1である、項1~500の何れかに記載の方法。
【0524】
502. 患者に該化合物またはその薬学的に許容される塩を再投与するステップiv)をさらに含む、項215~251の何れかに記載の方法。
【0525】
503. 該化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の投与が患者におけるCAR T細胞活性化およびサイトカインレベルをもたらす、項474に記載の方法。
【0526】
504. 該癌が腫瘍を含み、腫瘍に対する完全応答が得られる、項1~107、183~476または479~503の何れかに記載の方法。
【0527】
505. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであり;そして該小分子リガンドがPSMAリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップ
を含む、方法。
【0528】
506. 該リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドが式
【化25】
を有する、項505に記載の方法。
【0529】
507. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであり;そして、該小分子リガンドがCAIXリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップ
を含む、方法。
【0530】
508. 該リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドが式
【化26】
を有する、項507に記載の方法。
【0531】
509. 癌を処置する方法であって、
i)患者に第一化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第一化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたPSMAリガンドを含むものであるステップ;
ii)患者に第二化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第二化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたCAIXリガンドを含むものであるステップ;および
iii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0532】
510. 該第一化合物が式
【化27】
を有し、該第二化合物が式
【化28】
を有する、項509に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0533】
図1図1A~Bは、抗FITC CAR T細胞介在毒性を示す。図1Aは、種々の処置群のマウスについての体重変化を示す。図1Bは、種々の処置群についてのIFN-ガンマの検出濃度を示す。図1Cは、種々の処置群のマウスの第一週目生存(%)を示す。
【0534】
図2図2A~Bは、腫瘍応答に対する抗FITC CAR T細胞制御の効果を示す。図2Aは、CAR T細胞とPBSまたはCAR T細胞とFITC-葉酸で処置したマウスについての腫瘍増殖を示す。図2Bは、試験で使用したマウスについての腫瘍応答結果の概要を示す。
【0535】
図3図3A~Dは、腫瘍応答に対するFITC-葉酸濃度の効果を示す。図3Aは、種々のFITC-葉酸濃度でのIFN-ガンマの検出濃度を示す。図3Bは、種々のFITC-葉酸濃度存在下でのCAR T細胞注射後腫瘍増殖を示す。図3Cは、マウスの第一週目生存(%)を示す。図3Dは、試験で使用したマウスについての腫瘍応答結果の概要を示す。
【0536】
図4図4A~Bは、T細胞活性化シグナルのメディエーターを阻害する薬剤でのFITC CAR T細胞活性化抑制を示す。図4Aは、薬剤の関数としてのIFN-ガンマ濃度変化を示す。図4Bは、薬剤の関数としてのCD69発現変化を示す。
【0537】
図5図5は、CAR T形質導入に使用した構築物の概略図を示す。
【0538】
図6図6A~Dは、種々のEC17投与量およびCART細胞数での抗腫瘍有効性および毒性を示す。図6Aは経時的腫瘍体積を示す。図6Bは経時的体重変化を示す。図6CはEC17投与量での最大パーセンテージ体重減少を示す。図6DはEC17投与量でのsCRS(サイトカイン放出症候群)を示すマウスのパーセンテージを示す。(1)無CAR-T+EC17 500nmole/kg;(2)1250万 CAR-T+EC17 10000nmole/kg;(3)1250万 CAR-T+EC17 1500nmole/kg;(4)1250万 CAR-T+EC17 500nmole/kg;(5)1000万 CAR-T+EC17 100nmole/kg;(6)1000万 CAR-T+EC17 20nmole/kg。
【0539】
図7図7は、sCRSを有するマウスのEC0923でのレスキューおよびEC0923で処置したまたはしていないマウスの観察される応答およびEC0923で処置したまたはしていないマウスからの採取臓器を示す。
【0540】
図8図8A~Dは、種々のCAR T投与量の抗腫瘍有効性および毒性を示す。図8Aは経時的腫瘍体積を示す。図8Bは経時的体重変化を示す。図8Cは各CAR T投与量についての体重減少の最大パーセンテージを示す。図8Dは、各CAR T投与量についてのsCRSを示すマウスのパーセンテージを示す。
【0541】
図9図9A~Bは種々のEC 17投与量での抗腫瘍有効性および体重変化を示す。図9Aは経時的腫瘍体積を示す。図9Bは経時的体重変化を示す。
【0542】
図10図10A~Cは、種々のCAR T細胞および非形質転換T細胞混合物の抗腫瘍有効性を示す。図10Aは経時的腫瘍体積を示す;(●)無CAR-T、(○)0日目のCAR-T、(■)0日目のCAR-T、52日目の非修飾T、(▼)0日目、46日目および52日目のCAR-T。図10Bは経時的体重変化を示す;(●)無CAR-T、(○)0日目のCAR-T、(■)0日目のCAR-T、52日目の非修飾T、(▼)0日目、46日目および52日目のCAR-T。図10Cは種々のCAR T細胞および非形質転換T細胞混合物についての血中のCAR T細胞の量および腫瘍体積を示す。
【0543】
図11図11A~Bは、500万 CAR T細胞および種々のEC17投与スケジュールの抗腫瘍有効性および毒性を示す。図11Aは経時的腫瘍体積を示す。図11Bは経時的体重変化を示す。
【0544】
図12図12は、CAR T細胞活性化を阻害するための競合剤の使用および架架橋の投与終了によるCAR T細胞活性化制御を経るCAR T細胞介在毒性の制御を示す。
【0545】
図13図13A~CはFITC-葉酸投与量漸増試験の結果を示す。図13Aは、架架橋およびCAR T細胞の投与後経時的パーセント体重変化を示す。図13BはCAR T細胞および架架橋注射後経時的腫瘍体積変化を示す。図13Cは架架橋およびCAR T細胞での処置第一週目後の生存パーセントを示す。
【0546】
図14図14A~BはCAR T細胞増殖およびサイトカイン産生に対するFITC-リガンド架架橋分子の効果を示す。図14Aは、マウスへのCAR T細胞導入6日後のCAR T細胞数を示す。図14Bは、マウスへのCAR T細胞導入6日後の血清サイトカイン類IL-2、IFN-γおよびTNF-αの濃度を示す。
【0547】
図15図15は、インビトロアッセイにおけるFITC-葉酸の濃度の関数としてのIFN-γの濃度を示す。
【0548】
図16図16はEC0923またはフルオレセインでのレスキュー(サイトカイン産生の測定に基づく)またはサイトカイン放出症候群を有するマウスを示す。
【0549】
図17図17は、CAR-T細胞活性(サイトカイン産生の測定に基づく)が腫瘍の存在およびEC17投与量レベルに依存することを示す。
【0550】
図18図18A~Cは、CAR-T細胞が、腫瘍がないナイーブマウスで増殖しないことを示す。図18は、CAR-T細胞を注射したが、EC17はしていないまたは500nmole/kgのEC17を週3回したマウス(腫瘍がない)における体重変化を示す。図18BおよびCは、これらのマウス対HEK(葉酸-受容体陽性)腫瘍を有するマウスのCAR-T細胞数および脾臓サイズを示す。図18BおよびCについて、3つのバーの各群の左側バーは、EC17を注射されていないが、CAR-T細胞を注射された腫瘍がないマウス、真ん中のバーは、CAR-T細胞およびEC17を注射された腫瘍がないマウスおよび右側バーはCAR-T細胞およびEC17を注射された腫瘍を有するマウスである。図18Bにおいて、N.D.は決定されておらず、y軸は図18に対する対数である。
【0551】
図19図19A~Bは、MDA-MB-231モデル(高葉酸受容体発現レベル - 図19A)またはOV90腫瘍モデル(低葉酸受容体発現レベル - 図19B)を使用するマウスに注射したCAR-T細胞およびEC17の腫瘍サイズに対する効果を示す。
【0552】
図20図20A~Bは、MDA-MB-231モデルを使用するマウスに注射したCAR-T細胞および種々の投与量のEC17の腫瘍サイズ(図20A)および体重減少(図20B)に対する効果を示す。
【0553】
図21図21Aおよび21Bは、MDA-MB-231モデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を示す。
【0554】
図22図22Aおよび22BはOV-90モデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を示す。
【0555】
図23図23Aおよび23BはKBモデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を示す。EC17群について、2/3は23日目にsCRSを有し、1/3は37日目にsCRSを有した。
【0556】
図24図24Aおよび24BはHEK-FRaモデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を示す。
【0557】
図25図25Aおよび25BはSKOV-3モデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を示す。
【0558】
図26図26、パネルCおよびEは、EC17プレペインティングしたマウスにおける毒性試験を示す。パネルAおよびBは処置プロトコールを示す。パネルDは腫瘍サイズに対するEC17プレペインティングの効果を示す。
【0559】
図27図27、パネルAは処置プロトコールを示す。パネルBは毒性試験を示す。パネルCは腫瘍毒性に対するEC17プレペインティングの効果を示す。ライン1:無EC17。ライン2:EC17 投与4時間前。ライン3:EC17を投与4時間前、次いでCART24時間後。ライン4:EC17をCAR-T48時間後。
【0560】
図28図28、パネルA~Dは血中CAR-T細胞数を示す。レスキューなしのマウスにおけるCAR-T数を1と見なした。
【0561】
図29図29、パネルA~Eは、3レスキュー剤(葉酸、フルオレセインナトリウム(NAFL)およびロイコボリン)の比較試験を示す。
【0562】
図30図30Aおよび30Bはレスキューアッセイを示す。フルオレセインレスキューしたマウスは最小体重減少であった。レスキューした全マウスは、フルオレセインレスキュー群における2/9以外完全応答に達した。ライン1:無EC17。ライン2:無EC17であるが、フルオレセイン有。ライン3:フルオレセインレスキュー。ライン4:ロイコボリンレスキュー。ライン5:葉酸レスキュー。ライン6:無レスキュー。
【0563】
図31図31はフルオレセインナトリウム(60μmol/kg)レスキュー試験スキーマを示す。
【0564】
図32図32Aおよび32Bは、NaFLレスキュー関連臓器重量変化を示す。(1)CAR-T;(2)CAR-T+EC17;(3)CAR-T+EC17+NaFLレスキュー。
【0565】
図33図33、パネルA~Gは、NaFLレスキュー7時間後のマウス血中のサイトカイン産生を示す。
【0566】
図34図34、パネルA~Gは、マウスにおけるサイトカイン産生を示す(NaFLレスキュー27時間後)。
【0567】
図35図35、パネルA~Eはマウス血中のサイトカイン産生減少を示す(NaFLレスキュー<7時間後)。
【0568】
図36図36Aおよび36Bは、FITC CAR-T抗腫瘍活性および体重変化に対するNaFLレスキュー効果を示す。(1)CAR-Tのみ;(2)CAR-T+EC17;(3)CAR-T+EC17+NaFL。
【0569】
図37図37Aおよび37Bは、サイトカインレベルに対するレスキューの効果を示す。
【0570】
図38図38Aは、CAR-T投与スケジュールを示す。図38Bは体重変化を示す。
【0571】
図39図39、パネルA~Dは、血中サイトカイン産生がCAR-T投与量依存的であることを示す。
【0572】
図40図40Aは投与スケジュールを示し、図40Bは血中CAR-T数がEC17投与量依存的であることを示す(3日目インビボ)。
【0573】
図41図41Aは投与スケジュールを示し、図41Bは、血中CAR-T数が、差は小さいものの、EC17投与量依存的であることを示す(6日目インビボ)。
【0574】
図42図42はCAR-TおよびEC17注射後のマウス体重変化を示す。
【0575】
図43図43Aおよび43Bは、CAR-T細胞およびEC17注射後のマウスにおけるCAR-T細胞数および脾臓サイズを示す。(1)腫瘍を有するマウス:CAR-T 500万+EC17 SIW;(2)ナイーブマウス:CAR-T 800万 無EC17;(3)ナイーブマウス:CAR-T 800万+EC17 TIW;(4)ナイーブマウス:CAR-T 500万 無EC17;(5)ナイーブマウス:CAR-T 500万+EC17 TIW。
【0576】
図44図44は腫瘍存在下および非存在下のEC17およびCAR-T細胞注射後のサイトカイン産生を示す。
【0577】
図45図45は抗FITC CAR T細胞治療の普遍性を示す:種々のアダプターのCAR T細胞への結合。(1)染色していないCAR T細胞;(2)FITC-Alexa 647+FITC-葉酸(競合)で標識したCAR T細胞;(3)FITC-Alexa 647で標識したCAR T細胞;(4)FITC-Alexa 647+FITC-DUPA(競合)で標識したCAR T細胞;(5)FITX-Alexa 647+FITC-CA9(競合)で標識したCAR T細胞。
【0578】
図46図46は普遍的Car T細胞が、インビトロで抗原適合架架橋添加後直交性抗原を発現する種々の癌細胞を排除できることを示す。
【0579】
図47図47はインビトロでの架橋の濃度と普遍的CAR T細胞の抗腫瘍活性の相関を示す。
【0580】
図48図48は普遍的CAR T細胞がインビボで抗原適合架橋の添加後直交性抗原を発現する種々の癌細胞を排除できることを示す。
【0581】
図49図49は普遍的CAR T細胞が、インビボで架橋のカクテルにより2つの腫瘍を排除できることを示す。
【0582】
図50図50は、フルオレセインナトリウム(0.06、0.6、6μmol/kg)レスキュー試験スキーマを示す。
【0583】
図51図51Aは抗腫瘍活性(6μmol/kg NaFLレスキュー)を示す。図51Bは対応する体重変化を示す。
【0584】
図52図52、パネルA~Eは、フルオレセインナトリウムレスキュー後のマウス血中サイトカインレベルを示す。
【0585】
図53図53、パネルAは、レスキュースキーマを示す。パネルBおよびCは、レスキュー後の血中FITC CAR T細胞の数え上げを示す。
【0586】
図54図54は、レスキュー後のマウス血中循環CAR T細胞の特徴づけを示す。
【0587】
図55図55Aはレスキュースキーマを示す。パネルBおよびCは、レスキュー後の血中CAR T細胞の数え上げを示す。(1)対照[無NaFL];(2)0.06μmol/kg NaFL;(3)0.6μmol/kg NAFL;(4)6μmol.kg NaFL。
【0588】
図56図56はEC17処置および非処置動物の腫瘍負荷を示す。
【0589】
図57図57は、試験した全群における推定腫瘍塊数および総腫瘍重量を要約する。
【0590】
図58図58Aおよび58Bは循環腫瘍細胞の特徴づけを示す。
【0591】
図59図59Aおよび59Bは循環腫瘍細胞の特徴づけを示す。
【0592】
図60図60Aおよび60BはEC17注射後のCAR T細胞である全血のパーセントを示す。
【0593】
図61図61Aおよび61Bはレスキューを伴うおよび伴わないEC17注入後の血液由来CAR T細胞の残留性およびEC17注入後の表現型を示す。
【0594】
図62図62Aおよび62Bは、EC17を注射したとき、CAR T細胞が転移腫瘍病変に局在化し、隣接健常組織にないことを示す。
【0595】
図63図63は、抗フルオレセインCAR T細胞およびフルオレセイン-葉酸架橋の設計および特徴づけを示す。(A)フルオレセイン-葉酸(FITC-葉酸)の構造。(B)抗フルオレセインCARの構成を示す図であり、ここで、SP=シグナルペプチド、scFv=KD=270fMでフルオレセインを認識する一本鎖可変フラグメント、TM=膜貫通ドメイン、4-1BB=CD137からの細胞質活性化ドメインおよびCD3ζ=CD3ゼータの細胞質活性化ドメイン。(C)フローサイトメトリーで評価したCAR T細胞の形質導入効率。白抜きヒストグラム:非形質導入T細胞;黒塗りヒストグラム:GFPを発現するレンチウイルスおよび(B)に示すCAR構築物を形質導入したT細胞。(D)FITC-葉酸が抗フルオレセインCAR T細胞に結合する証明。着色ヒストグラム(灰色):抗フルオレセイン染色していないCAR T細胞;白抜きヒストグラム:FITC-Alexa647(10nM)で標識した抗フルオレセインCAR T細胞;着色ヒストグラム(黒色):競合100倍過剰FITC-葉酸(1μM)存在下のFITC-Alexa647(10nM)で標識した抗フルオレセインCAR T細胞。
【0596】
図64図64は、FITC-葉酸架橋が葉酸受容体発現癌細胞(KB細胞)との抗フルオレセインCAR T細胞結合に介在する証明を示す。(A)FRがKB細胞で発現される証明。灰色ヒストグラム:染色していないKB細胞;黒色ヒストグラム:競合剤として過剰(10μM)遊離葉酸存在下の100nM FITC-葉酸で標識したKB細胞;白抜きヒストグラム:100nM FITC-葉酸で標識したKB細胞。(B)ミスマッチFITC-DUPA(100nM)または無(PBS)架橋ではなく、正しいFITC-葉酸(100nM)添加後、CAR T細胞の細胞毒性はKB細胞に向かう。(C)FITC-葉酸、FITC-DUPAまたは無架橋存在下のKB細胞のCAR T細胞溶解に対するエフェクター:標的細胞比の影響。(D)IFNγ産生はFITC-葉酸(100nM)添加により誘発されるが、FITC-DUPA(100nM)によりされない。(E)抗フルオレセインCAR T細胞の増殖はFITC-葉酸により誘発されるが、FITC-DUPAによりされない。(F)抗フルオレセインCAR T細胞上の活性化マーカー(CD69)の発現は正しい架橋の添加後のみ生じる。パネルB、D、EおよびFについて、抗フルオレセインCAR T細胞対KB細胞比は10:1であった。棒グラフは平均±s.d.を表す。n=3。一元配置ANOVAを全比較について実施した(****P<0.0001、**P<0.005、P<0.01、ns(有意差なし))。
【0597】
図65図65は、インビボでのCRSの抗フルオレセインCAR T細胞、葉酸受容体陽性癌細胞(MDA-MB-231細胞)およびFITC-葉酸の存在への依存を示す。(A)FITC-葉酸(1日目および2日目に500nmole/kg投与)存在下または非存在下、無腫瘍マウスまたは腫瘍担持マウスへの抗フルオレセインCAR T細胞(5×106)注入4日後に決定した体重変化(%)。**一元配置ANOVA検定によりP<0.01。(B)1日目および2日目PBSまたは500nmole/kg FITC-葉酸投与4日後の腫瘍担持マウスにおける体重変化(%)に対するCAR T細胞数の効果。一元配置ANOVA検定により**P<0.05、****P<0.0001。(C)4日目の血漿IFNγ濃度に対する腫瘍担持マウスにおけるCAR T細胞数の効果。一元配置ANOVA検定により***P<0.001、****P<0.0001、ns(有意差なし)。n=5マウス/群。棒グラフは平均±s.e.m.を表す。
【0598】
図66図66は、架橋投与中断によるCRS強度の制御を示す。(A)FITC-葉酸(1日目および2日目およびその後隔日に500nmole/kg投与)の非存在下(PBS)または存在下の高投与量の抗フルオレセインCAR T細胞(15×106)投与後のCRS強度の指標としての体重変化(%)の分析。中断投与レジメンにおいて、4日目および6日目にFITC-葉酸注射をしなかった以外、連続投与スケジュールに従った。(B)パートAに記載する投与レジメンを使用する6日目のマウス血漿におけるIFNγレベルの分析。(C)パートAに記載するマウス処置における腫瘍体積の測定。n=5マウス/群。データは平均±s.e.m.を表す。一元配置ANOVA検定により****P<0.0001。
【0599】
図67図67は、遊離葉酸または遊離フルオレセインとの競合による架橋の遮断のCAR T細胞介在細胞毒性に対する効果を示す。(A)FITC-葉酸(1日目および2日目およびその後隔日に500nmole/kg投与)の非存在下(PBS)または存在下の抗フルオレセインCAR T細胞(15×106)投与後の体重変化(%)の測定。競合試験について、100倍過剰葉酸を4日目および6日目に共注射した。****P<0.0001。(B)上記処置群の血漿におけるIFNγレベルの6日目の分析。**P<0.005。(C)同じ処置群における腫瘍体積の測定。n=5マウス/群。エラーバーは平均±s.e.m.を表す。(D)CRSを抑制するための12倍過剰遊離フルオレセイン投与後のCAR T細胞の血漿におけるサイトカインレベルの時間依存性の分析。CRSを、10×106抗フルオレセインCAR T細胞+FITC-葉酸(3日目に500nmole/kg)の注射により全マウスで誘発した。4日目に、強力なCRSを抑制するために、6μmole/kg遊離フルオレセインを注射し、示したサイトカイン類をフルオレセイン投与3時間および6時間後に血漿で測定した。n=3マウス/群。データは平均±s.e.m.を表す。2元配置ANOVA検定により**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001。
【0600】
図68図68は、インビトロおよびインビボでの抗フルオレセインCAR T細胞サイトカイン放出および抗腫瘍活性の抑制に対する架橋濃度の効果を示す。(A)種々の濃度のFITC-葉酸(0.001nM~100000nM)存在下の抗フルオレセインCAR T細胞(5:1=エフェクター:腫瘍細胞比)による培養中のMDA-MB-231細胞の溶解。(B)パートAに記載する細胞からのIFNγ放出。(C)15×106 CAR T細胞の注射による治療開始6日後のMDA-MB-231腫瘍担持マウスの血漿中のIFNγレベル。マウスを5nmole/kg、50nmole/kg、500nmole/kgまたは2500nmole/kg FITC-葉酸で1日目、2日目、8日目、10日目およびその後隔日で処置した(CRSを避けるため、4日目および6日目の処置は省いた)。(D)パネルCの処置群における腫瘍増殖の分析。n=5マウス/群。棒グラフは平均±s.e.m.を表す。一元配置ANOVA検定によりCAR-T細胞数***P<0.0001。
【0601】
図69図69は、架橋投与量の段階的な増大または架橋投与頻度の減少によるCRSの予防を示す。15×106 CAR T細胞+PBSまたはFITC-葉酸投与量の段階的な増大(1日目および2日目0.5nmole/kg、4日目および6日目5nmole/kg、8日目および10日目50nmole/kgおよび12日目以降500nmole/kg)または隔日で500nmole/kgの一定投与量で処置したMDA-MB-231腫瘍担持マウスにおける体重変化(A)および腫瘍体積(B)の測定。2元配置ANOVA検定による****P<0.0001。5×106 CAR T細胞+PBSまたは1)1投与量/週(1日目、8日目、15日目など)、2)、2投与量/週(1日目、4日目、8日目、11日目、15日目など)または3投与量/週(1日目、3日目、5日目、8日目、10日目、12日目、15日目など)の種々の投与頻度でのFITC-葉酸(500nmole/kg)で処置したMDA-MB-231腫瘍担持マウスにおける体重変化(C)および腫瘍体積(D)の測定。n=5マウス/群。全データは平均±s.e.m.を表す。
【0602】
図70図70、パネルAは投与量漸増スキーマを示す。パネルB~Cは、CAR-T治療の抗腫瘍活性および毒性(体重変化)に対するEC17投与量漸増の効果を示す。
【0603】
図71図71、パネルAは、腫瘍サイズがCAR-T/EC17治療中の体重変化およびIL-6放出と相関するか否かを試験するためのスキームを示す。パネルB~Cは、それぞれ体重変化およびIL-6レベルの結果を示す。
【0604】
図72図72、パネルAは、CAR-T/EC17治療が骨肉腫モデルで有効であるか否かを試験するためのスキームを示す。パネルBは腫瘍サイズ結果を示す。
【0605】
図73図73図72に記載した試験の体重変化を示す。
【0606】
図74図74、パネルA~Fは、HOS癌細胞がFR-αを発現することを示す。
【0607】
図75図75は、サイトカイン類がCAR-T/EC17治療に応答して産生されるか否かおよびNaFLがマウスをCRSからレスキューするか否かを試験するためのスキームを示す。
【0608】
図76図76、パネルA~Eは、NaFLレスキュー7時間後の60μmol/kg NaFLによるマウスサイトカイン産生の減少を示す。
【0609】
図77図77、パネルA~cは、NaFLレスキュー27時間後の60μmol/kg NaFLによるマウスサイトカイン産生の減少を示す。
【0610】
図78図78は、種々の濃度のNaFLによるCAR-T/EC17治療に応答したマウスサイトカイン産生の減少を試験するためのスキームを示す。
【0611】
図79図79は、NaFLレスキューによるCAR-T/EC17治療に応答したMCP-1の減少を示す。
【0612】
図80図80は、NaFLレスキューによるCAR-T/EC17治療に応答したIL-6の減少を示す。
【0613】
図81図81は、NaFLレスキューによるCAR-T/EC17治療に応答したIL-10の減少を示す。
【0614】
図82図82、パネルAは、CAR-T/EC17治療に応答したMCP-1産生がCAR-T細胞数と相関するか否かを試験するためのスキームを示す。パネルBは、CAR-T/EC17治療に応答したMCP-1産生がCAR-T細胞数と相関することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0615】
定義
ここで使用する単数表現は、1以上を意味し得る。例えば、整数、分数およびパーセンテージを含む数値に関してここで使用する「約」は、一般に、当業者が記載した数値に等しいとみなす(例えば、同じ機能または結果を有する)数値範囲(例えば、記載した数値の±5%~10%)をいう。
【0616】
ここで使用する用語「処置」または「処置する」は、治療的処置および予防的または阻止的処置の両者をいう。
【0617】
癌を関してここで使用する用語「改善」または「改善する」は、癌の症状の減少、腫瘍のサイズの減少、腫瘍の完全なまたは部分的除去(例えば、完全または部分応答)、疾患安定の誘発、癌進行予防(例えば、無進行生存)または医師により癌の治療的、予防的または阻止的処置として考えられる癌に対する何らかの他の効果を意味し得る。
【0618】
ここで使用する用語「投与する」または「投与」は、経口、静脈内、筋肉内、皮下および経皮を含むが、これらに限定されない、ここに記載する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物の患者への導入の全ての手段を意味する。
【0619】
ここで使用する用語「オフターゲット毒性」は、患者を処置する医師により許容されない臓器損傷または患者の体重減少または患者を処置する医師により許容されない患者に対する何らかの他の効果、例えば、B細胞無形成、発熱、血圧低下または肺浮腫を意味する。
【0620】
ここで使用する用語「形質導入」および「トランスフェクション」は同等に使用し、該用語は、ウイルス的方法および非ウイルス的方法を含むすべての人工的方法による核酸の細胞への導入を意味する。
【0621】
説明的実施態様の詳細な記載
ここに記載する種々の実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドが、癌とCAR T細胞(すなわち、キメラ抗原受容体を発現するT細胞)の間の架橋として使用される。架橋は、癌の寛解のためにCAR T細胞を癌に指向させる。ある実施態様において、「小分子リガンド」は葉酸、CAIXリガンド、DUPA、NK-1Rリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドまたはCCK2Rリガンドであり得て、その各々は、癌細胞型に特異的に結合する小分子リガンドである(すなわち、これらのリガンドの各々に対する受容体は、正常組織に比して、癌で過発現されている)。
【0622】
小分子リガンドに連結した「標的化部分」は、CAR T細胞により発現される遺伝子改変CARの認識領域に結合する。従って、CARの認識領域(例えば、抗体の一本鎖フラグメント可変領域(scFv)、Fab、Fv、Fcまたは(Fab’)2フラグメントなど)は「標的化部分」に向けられる。それ故に、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは、癌の寛解のためにCAR T細胞を癌に指向させる、癌とCAR T細胞の間の架橋として働く。種々の実施態様において、癌とCAR T細胞の間の架橋は、実施例に示すコンジュゲートの何れでもよい。
【0623】
架橋は小有機分子であり、故に血流からのクリアランスは迅速に達成され得る(例えば、約20分以内)。ある態様において、CAR T細胞応答は、‘架橋’の小分子リガンド部分に対する受容体を発現する癌細胞のみに向けられ、それにより正常組織に対するオフターゲット毒性を減少し得る。さらに、このシステムは、種々の‘架橋’を使用して、1タイプのCAR T細胞構築物を広範な癌を標的とするのに使用し得るため、‘普遍的’であり得る。実例として、CAR T細胞により認識される標的化部分は、1タイプのCAR T細胞構築物が使用できるように一定のままであってよく、一方癌に結合する小分子リガンドは、広範な癌の標的指向化を可能とするために改変され得る。
【0624】
下記項および特許請求の範囲ならびに本明細書を通して記載する種々の実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを「化合物」と称する。
【0625】
次の列挙した項によりいくつかの実施態様を記載する。本特許明細書の発明の概要部分、例示的実施態様の詳細な記載部分、実施例部分または本特許出願の特許請求の範囲に記載した何れかの適用できる実施態様と組み合わせた次の実施態様の何れかもまた意図される。
【0626】
1. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者に第一回目のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ;および
iii)患者に第二回目のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0627】
2. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項1に記載の方法。
【0628】
3. 該リガンドが葉酸である、項1または2の何れかに記載の方法。
【0629】
4. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0630】
5. 該リガンドがDUPAである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0631】
6. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0632】
7. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項1または2の何れかに記載の方法。
【0633】
8. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項1~7の何れかに記載の方法。
【0634】
9. 該標的化部分がFITCである、項1~8の何れかに記載の方法。
【0635】
10. 該標的化部分がDNPである、項1~8の何れかに記載の方法。
【0636】
11. 該標的化部分がTNPである、項1~8の何れかに記載の方法。
【0637】
12. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項1~11の何れかに記載の方法。
【0638】
13. 該リンカーがPEGを含む、項1~12の何れかに記載の方法。
【0639】
14. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化29】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化30】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項1~13の何れかに記載の方法。
【0640】
15. nが0~150の整数である、項14に記載の方法。
【0641】
16. nが0~110の整数である、項14に記載の方法。
【0642】
17. nが0~20の整数である、項14に記載の方法。
【0643】
18. nが15~20の整数である、項14に記載の方法。
【0644】
19. nが15~110の整数である、項14に記載の方法。
【0645】
20. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項1~9または12~19の何れかに記載の方法。
【0646】
21. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~20の何れかに記載の方法。
【0647】
22. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~21の何れかに記載の方法。
【0648】
23. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~22の何れかに記載の方法。
【0649】
24. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~23の何れかに記載の方法。
【0650】
25. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~24の何れかに記載の方法。
【0651】
26. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項1~25の何れかに記載の方法。
【0652】
27. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項1~26の何れかに記載の方法。
【0653】
28. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項1~3または8~27の何れかに記載の方法。
【0654】
29. 該癌が子宮内膜癌である、項28に記載の方法。
【0655】
30. 該癌が非小細胞肺癌である、項28に記載の方法。
【0656】
31. 該癌が卵巣癌である、項28に記載の方法。
【0657】
32. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項28に記載の方法。
【0658】
33. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~32の何れかに記載の方法。
【0659】
34. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~9または12~33の何れかに記載の方法。
【0660】
35. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項1~34の何れかに記載の方法。
【0661】
36. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項1~35の何れかに記載の方法。
【0662】
37. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項1~9または12~36の何れかに記載の方法。
【0663】
38. 複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩およびCAR T細胞組成物が投与される、項1~37の何れかに記載の方法。
【0664】
39. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項1~38の何れかに記載の方法。
【0665】
40. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項1~39の何れかに記載の方法。
【0666】
41. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項1~40の何れかに記載の方法。
【0667】
42. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項1~41の何れかに記載の方法。
【0668】
43. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項1~41の何れかに記載の方法。
【0669】
44. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項1~41の何れかに記載の方法。
【0670】
45. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項1~44の何れかに記載の方法。
【0671】
46. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項1~45の何れかに記載の方法。
【0672】
47. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項45に記載の方法。
【0673】
48. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項1~47の何れかに記載の方法。
【0674】
49. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項1~47の何れかに記載の方法。
【0675】
50. 該CAR T細胞組成物の第一回目が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~49の何れかに記載の方法。
【0676】
51. 該CAR T細胞組成物の第二回目が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~50の何れかに記載の方法。
【0677】
52. 該CAR T細胞組成物の第一回目が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~51の何れかに記載の方法。
【0678】
53. 該CAR T細胞組成物の第二回目が約1:1~1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~52の何れかに記載の方法。
【0679】
54. 該CAR T細胞組成物の第一回目が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~53の何れかに記載の方法。
【0680】
55. 該CAR T細胞組成物の第二回目が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞の混合物を含む、項1~54の何れかに記載の方法。
【0681】
56. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該CAR T細胞組成物が該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含むものであるステップ
を含む、方法。
【0682】
57. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項56に記載の方法。
【0683】
58. 該リガンドが葉酸である、項56または57の何れかに記載の方法。
【0684】
59. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0685】
60. 該リガンドがDUPAである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0686】
61. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0687】
62. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項56または57の何れかに記載の方法。
【0688】
63. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項56~62の何れかに記載の方法。
【0689】
64. 該標的化部分がFITCである、項56~63の何れかに記載の方法。
【0690】
65. 該標的化部分がDNPである、項56~63の何れかに記載の方法。
【0691】
66. 該標的化部分がTNPである、項56~63の何れかに記載の方法。
【0692】
67. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項56~66の何れかに記載の方法。
【0693】
68. 該リンカーがPEGを含む、項56~67の何れかに記載の方法。
【0694】
69. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化31】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化32】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項56~68の何れかに記載の方法。
【0695】
70. nが0~150の整数である、項69に記載の方法。
【0696】
71. nが0~110の整数である、項69に記載の方法。
【0697】
72. nが0~20の整数である、項69に記載の方法。
【0698】
73. nが15~20の整数である、項69に記載の方法。
【0699】
74. nが15~110の整数である、項69に記載の方法。
【0700】
75. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項56~64または67~74の何れかに記載の方法。
【0701】
76. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~75の何れかに記載の方法。
【0702】
77. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~76の何れかに記載の方法。
【0703】
78. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~77の何れかに記載の方法。
【0704】
79. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~78の何れかに記載の方法。
【0705】
80. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~79の何れかに記載の方法。
【0706】
81. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項56~80の何れかに記載の方法。
【0707】
82. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項56~81の何れかに記載の方法。
【0708】
83. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項56~58または63~82の何れかに記載の方法。
【0709】
84. 該癌が子宮内膜癌である、項83に記載の方法。
【0710】
85. 該癌が非小細胞肺癌である、項83に記載の方法。
【0711】
86. 該癌が卵巣癌である、項83に記載の方法。
【0712】
87. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項83に記載の方法。
【0713】
88. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項56~87の何れかに記載の方法。
【0714】
89. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項56~64または67~88の何れかに記載の方法。
【0715】
90. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項56~89の何れかに記載の方法。
【0716】
91. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項56~90の何れかに記載の方法。
【0717】
92. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項56~64または67~91の何れかに記載の方法。
【0718】
93. 複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩が投与される、項56~92の何れかに記載の方法。
【0719】
94. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項56~93の何れかに記載の方法。
【0720】
95. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項56~94の何れかに記載の方法。
【0721】
96. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項56~95の何れかに記載の方法。
【0722】
97. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項56~96の何れかに記載の方法。
【0723】
98. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項56~96の何れかに記載の方法。
【0724】
99. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項56~96の何れかに記載の方法。
【0725】
100. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項56~99の何れかに記載の方法。
【0726】
101. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項56~100の何れかに記載の方法。
【0727】
102. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項100に記載の方法。
【0728】
103. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項56~102の何れかに記載の方法。
【0729】
104. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項56~102の何れかに記載の方法。
【0730】
105. 該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比である、項56~104の何れかに記載の方法。
【0731】
106. 該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比である、項56~105の何れかに記載の方法。
【0732】
107. 該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞を含む、項56~106の何れかに記載の方法。
【0733】
108. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ;および
iii)患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップ
を含む、方法。
【0734】
109. ステップiiiが葉酸の投与を含む、項108に記載の方法。
【0735】
110. ステップiiiが葉酸またはロイコボリンの投与を含む、項108または109の何れかに記載の方法。
【0736】
111. ステップiiiが葉酸を含むコンジュゲートの投与を含む、項108に記載の方法。
【0737】
112. 該葉酸を含むコンジュゲートが1以上のアミノ酸に連結した葉酸を含む、項111に記載の方法。
【0738】
113. 該葉酸を含むコンジュゲートが式
【化33】
を有する、項111に記載の方法。
【0739】
114. 該葉酸が式
【化34】
〔式中、XおよびYは、各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から各々独立して選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここでZは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
は、任意の付加的化学部分が葉酸の一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合を表す。〕
を有する、項109~112の何れかに記載の方法。
【0740】
115. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項108~114の何れかに記載の方法。
【0741】
116. 該標的化部分がFITCである、項108~115の何れかに記載の方法。
【0742】
117. 該標的化部分がDNPである、項108~115の何れかに記載の方法。
【0743】
118. 該標的化部分がTNPである、項108~115の何れかに記載の方法。
【0744】
119. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項108~118の何れかに記載の方法。
【0745】
120. 該リンカーがPEGを含む、項108~119の何れかに記載の方法。
【0746】
121. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化35】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化36】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項108~120の何れかに記載の方法。
【0747】
122. nが0~12の整数である、項121に記載の方法。
【0748】
123. nが0~150の整数である、項121に記載の方法。
【0749】
124. nが0~110の整数である、項121に記載の方法。
【0750】
125. nが0~20の整数である、項121に記載の方法。
【0751】
126. nが15~20の整数である、項121に記載の方法。
【0752】
127. nが15~110の整数である、項121に記載の方法。
【0753】
128. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項108~116または119~127の何れかに記載の方法。
【0754】
129. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~128の何れかに記載の方法。
【0755】
130. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~129の何れかに記載の方法。
【0756】
131. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~130の何れかに記載の方法。
【0757】
132. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~131の何れかに記載の方法。
【0758】
133. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~132の何れかに記載の方法。
【0759】
134. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108~133の何れかに記載の方法。
【0760】
135. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項108~134の何れかに記載の方法。
【0761】
136. 該リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドのリガンド部分が葉酸であり、癌が葉酸受容体発現癌である、項108~135の何れかに記載の方法。
【0762】
137. 該癌が子宮内膜癌である、項136に記載の方法。
【0763】
138. 該癌が非小細胞肺癌である、項136に記載の方法。
【0764】
139. 該癌が卵巣癌である、項136に記載の方法。
【0765】
140. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項136に記載の方法。
【0766】
141. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項108~140の何れかに記載の方法。
【0767】
142. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項108~116または119~141の何れかに記載の方法。
【0768】
143. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項108~142の何れかに記載の方法。
【0769】
144. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項108~143の何れかに記載の方法。
【0770】
145. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項108~116または119~144の何れかに記載の方法。
【0771】
146. 複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩および/またはCAR T細胞組成物が投与される、項108~145の何れかに記載の方法。
【0772】
147. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項108~146の何れかに記載の方法。
【0773】
148. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項108~147の何れかに記載の方法。
【0774】
149. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項108~148の何れかに記載の方法。
【0775】
150. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項108~149の何れかに記載の方法。
【0776】
151. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項108~149の何れかに記載の方法。
【0777】
152. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項108~149の何れかに記載の方法。
【0778】
153. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項108~152の何れかに記載の方法。
【0779】
154. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項108~153の何れかに記載の方法。
【0780】
155. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項153に記載の方法。
【0781】
156. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項108~155の何れかに記載の方法。
【0782】
157. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項108~155の何れかに記載の方法。
【0783】
158. 該CAR T細胞組成物が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項108~157の何れかに記載の方法。
【0784】
159. 該CAR T細胞組成物が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比の該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含む、項108~158の何れかに記載の方法。
【0785】
160. 該CAR T細胞組成物が約1000万のCAR T細胞および約4000万の非形質転換T細胞を含む混合物を含む、項108~159の何れかに記載の方法。
【0786】
161. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、IL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、BTK阻害剤、EC2319およびCAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤からなる群から選択される、項108~160の何れかに記載の方法。
【0787】
162. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である、項161に記載の方法。
【0788】
163. リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤がダサチニブである、項162に記載の方法。
【0789】
164. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がPI3キナーゼ阻害剤である、項161に記載の方法。
【0790】
165. 該PI3キナーゼ阻害剤がGDC0980である、項164に記載の方法。
【0791】
166. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がIL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤である、項161に記載の方法。
【0792】
167. 該IL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤がBMS-509744である、項166に記載の方法。
【0793】
168. 該CAR T細胞組成物が患者の血流に注射により投与され、そして、患者の血流中の該CAR T細胞がCAR T細胞組成物注射後約4週間患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも10パーセントである、項1~160の何れかに記載の方法。
【0794】
169. 該CAR T細胞組成物が患者の血流に注射により投与され、そして、患者の血流中の該CAR T細胞がCAR T細胞組成物注射後約4週間患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも12パーセントである、項1~160の何れかに記載の方法。
【0795】
170. 該CAR T細胞組成物が患者の血流に注射により投与され、そして、患者の血流中の該CAR T細胞がCAR T細胞組成物注射後約4週間患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも15パーセントである、項1~160の何れかに記載の方法。
【0796】
171. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が約100万~約1500万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0797】
172. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞の投与量が約100万、約200万、約300万、約400万、約500万、約600万、約700万、約800万、約900万、約1000万、約1100万、約1200万、約1250万、約1300万、約1400万および約1500万のCAR T細胞からなる群から選択される、項1~160または168~171の何れかに記載の方法。
【0798】
173. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が少なくとも約200万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0799】
174. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が少なくとも約500万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0800】
175. 該CAR T細胞組成物中の患者に投与されるCAR T細胞が少なくとも約1000万のCAR T細胞を含む、項1~160または168~170の何れかに記載の方法。
【0801】
176. 該CAR T細胞が配列番号3を含む核酸を含む、項1~175の何れかに記載の方法。
【0802】
177. 該CAR T細胞が配列番号1を含むベクターを含む、項1~176の何れかに記載の方法。
【0803】
178. 該CAR T細胞が配列番号3を含むベクターを含む、項1~177の何れかに記載の方法。
【0804】
179. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項176に記載の方法。
【0805】
180. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、CAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤である、項108~160の何れかに記載の方法。
【0806】
181. 該薬剤がフルオレセインアミン、FITCまたはフルオレセインナトリウムである、項180に記載の方法。
【0807】
182. 該薬剤がFITCである、項180に記載の方法。
【0808】
183. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg患者体重~約2500nmole/kg患者体重の投与量であるものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量であるものであるステップ
を含む、方法。
【0809】
184. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項183に記載の方法。
【0810】
185. 該リガンドが葉酸である、項183または184の何れかに記載の方法。
【0811】
186. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項183~185の何れかに記載の方法。
【0812】
187. 該標的化部分がFITCである、項183~186の何れかに記載の方法。
【0813】
188. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項183~187の何れかに記載の方法。
【0814】
189. 該リンカーがPEGを含む、項183~188の何れかに記載の方法。
【0815】
190. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化37】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化38】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項183~189の何れかに記載の方法。
【0816】
191. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項183~190の何れかに記載の方法。
【0817】
192. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約100nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0818】
193. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約50nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0819】
194. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約20nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0820】
195. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0821】
196. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0822】
197. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項183~191の何れかに記載の方法。
【0823】
198. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1250万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0824】
199. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約700万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0825】
200. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0826】
201. 該CAR T細胞が約200万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項183~197の何れかに記載の方法。
【0827】
202. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項183~201の何れかに記載の方法。
【0828】
203. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項183~202の何れかに記載の方法。
【0829】
204. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項183~203の何れかに記載の方法。
【0830】
205. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項183~204の何れかに記載の方法。
【0831】
206. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項183~205の何れかに記載の方法。
【0832】
207. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項183~206の何れかに記載の方法。
【0833】
208. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項183~206の何れかに記載の方法。
【0834】
209. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項183~206の何れかに記載の方法。
【0835】
210. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項183~209の何れかに記載の方法。
【0836】
211. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項183~209の何れかに記載の方法。
【0837】
212. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項183~211の何れかに記載の方法。
【0838】
213. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項183~212の何れかに記載の方法。
【0839】
214. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項183~213の何れかに記載の方法。
【0840】
215. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を連続的に投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ;および
iii)患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与を終了するステップ
を含む、方法。
【0841】
216. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項215に記載の方法。
【0842】
217. 該リガンドが葉酸である、項215または216の何れかに記載の方法。
【0843】
218. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項215~217の何れかに記載の方法。
【0844】
219. 該標的化部分がFITCである、項215~218の何れかに記載の方法。
【0845】
220. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項215~219の何れかに記載の方法。
【0846】
221. 該リンカーがPEGを含む、項215~220の何れかに記載の方法。
【0847】
222. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化39】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化40】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項215~221の何れかに記載の方法。
【0848】
223. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項215~222の何れかに記載の方法。
【0849】
224. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に少なくとも1時間連続的に投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0850】
225. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に少なくとも4時間連続的に投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0851】
226. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に少なくとも6時間連続的に投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0852】
227. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与が隔日投与のレジメンである、項215~223の何れかに記載の方法。
【0853】
228. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与が週3回投与のレジメンである、項215~223の何れかに記載の方法。
【0854】
229. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与が患者の許容されない体重減少、発熱、血圧低下または肺浮腫が生じるまで投与される、項215~223の何れかに記載の方法。
【0855】
230. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項215~229の何れかに記載の方法。
【0856】
231. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項215~229の何れかに記載の方法。
【0857】
232. 約200万~約500万のCAR T細胞が投与される、項215~231の何れかに記載の方法。
【0858】
233. 該投与が静脈内投与による、項215~232の何れかに記載の方法。
【0859】
234. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項215~233の何れかに記載の方法。
【0860】
235. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項215~234の何れかに記載の方法。
【0861】
236. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項215~235の何れかに記載の方法。
【0862】
237. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項215~236の何れかに記載の方法。
【0863】
238. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項215~237の何れかに記載の方法。
【0864】
239. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項215~238の何れかに記載の方法。
【0865】
240. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項215~238の何れかに記載の方法。
【0866】
241. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項215~238の何れかに記載の方法。
【0867】
242. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項215~241の何れかに記載の方法。
【0868】
243. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項215~242の何れかに記載の方法。
【0869】
244. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項215~243の何れかに記載の方法。
【0870】
245. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項215~243の何れかに記載の方法。
【0871】
246. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項215~245の何れかに記載の方法。
【0872】
247. 該CAR T細胞組成物が約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞からなる群から選択される比でさらに非形質転換T細胞を含む、項215~246の何れかに記載の方法。
【0873】
248. 該CAR T細胞組成物が約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比でさらに非形質転換T細胞を含む、項215~247の何れかに記載の方法。
【0874】
249. 該CAR T細胞組成物が約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞の混合物でさらに非形質転換T細胞を含む、項215~248の何れかに記載の方法。
【0875】
250. 該癌が非小細胞肺癌である、項215~249の何れかに記載の方法。
【0876】
251. 該癌が卵巣癌である、項215~249の何れかに記載の方法。
【0877】
252. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に毎週投与されるものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0878】
253. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項252に記載の方法。
【0879】
254. 該リガンドが葉酸である、項252または253の何れかに記載の方法。
【0880】
255. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項252~254の何れかに記載の方法。
【0881】
256. 該標的化部分がFITCである、項252~255の何れかに記載の方法。
【0882】
257. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項252~256の何れかに記載の方法。
【0883】
258. 該リンカーがPEGを含む、項252~257の何れかに記載の方法。
【0884】
259. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化41】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化42】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項252~258の何れかに記載の方法。
【0885】
260. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項252~259の何れかに記載の方法。
【0886】
261. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約100nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~260の何れかに記載の方法。
【0887】
262. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約50nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~261の何れかに記載の方法。
【0888】
263. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約20nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~262の何れかに記載の方法。
【0889】
264. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~263の何れかに記載の方法。
【0890】
265. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~264の何れかに記載の方法。
【0891】
266. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項252~265の何れかに記載の方法。
【0892】
267. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量である、項252~266の何れかに記載の方法。
【0893】
268. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約700万のCAR T細胞の投与量である、項252~267の何れかに記載の方法。
【0894】
269. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項252~268の何れかに記載の方法。
【0895】
270. 該CAR T細胞が約200万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項252~269の何れかに記載の方法。
【0896】
271. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項252~270の何れかに記載の方法。
【0897】
272. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項252~271の何れかに記載の方法。
【0898】
273. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項252~272の何れかに記載の方法。
【0899】
274. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項252~273の何れかに記載の方法。
【0900】
275. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項252~274の何れかに記載の方法。
【0901】
276. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項252~275の何れかに記載の方法。
【0902】
277. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項252~275の何れかに記載の方法。
【0903】
278. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項252~275の何れかに記載の方法。
【0904】
279. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項252~278の何れかに記載の方法。
【0905】
280. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項252~278の何れかに記載の方法。
【0906】
281. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項252~280の何れかに記載の方法。
【0907】
282. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項252~280の何れかに記載の方法。
【0908】
283. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項252~282の何れかに記載の方法。
【0909】
284. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量および第二回目の投与量が患者に投与され、該第一回目の投与量と該第二回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約15000倍多いものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0910】
285. 該第一回目、第二回目および第三回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目より約2倍~約750倍量が多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目より約800倍~約10000倍量が多く、化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目、第二回目および第三回目が患者に投与される、項284に記載の方法。
【0911】
286. 該第一回目の投与量、第二回目の投与量、第三回目の投与量および第四回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約750倍多く、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約800倍~約7500倍多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約8000~約15000倍多く、患者に化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量、第二回目の投与量、第三回目の投与量および第四回目の投与量が投与される、項285に記載の方法。
【0912】
287. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約100倍多く、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約1000倍多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約10000倍多い、項286に記載の方法。
【0913】
288. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項284~287の何れかに記載の方法。
【0914】
289. 該リガンドが葉酸である、項284~288の何れかに記載の方法。
【0915】
290. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項284~289の何れかに記載の方法。
【0916】
291. 該標的化部分がFITCである、項284~290の何れかに記載の方法。
【0917】
292. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項284~291の何れかに記載の方法。
【0918】
293. 該リンカーがPEGを含む、項284~292の何れかに記載の方法。
【0919】
294. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化43】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化44】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項284~293の何れかに記載の方法。
【0920】
295. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項284~294の何れかに記載の方法。
【0921】
296. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約100nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~295の何れかに記載の方法。
【0922】
297. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約50nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~296の何れかに記載の方法。
【0923】
298. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約20nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~297の何れかに記載の方法。
【0924】
299. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~298の何れかに記載の方法。
【0925】
300. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~299の何れかに記載の方法。
【0926】
301. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項284~300の何れかに記載の方法。
【0927】
302. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量である、項284~301の何れかに記載の方法。
【0928】
303. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約700万のCAR T細胞の投与量である、項284~302の何れかに記載の方法。
【0929】
304. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項284~303の何れかに記載の方法。
【0930】
305. 該CAR T細胞が約200万のCAR T細胞~約500万のCAR T細胞の投与量である、項284~304の何れかに記載の方法。
【0931】
306. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項284~305の何れかに記載の方法。
【0932】
307. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項284~306の何れかに記載の方法。
【0933】
308. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項284~307の何れかに記載の方法。
【0934】
309. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項284~308の何れかに記載の方法。
【0935】
310. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項284~309の何れかに記載の方法。
【0936】
311. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項284~310の何れかに記載の方法。
【0937】
312. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項284~310の何れかに記載の方法。
【0938】
313. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項284~310の何れかに記載の方法。
【0939】
314. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項284~313の何れかに記載の方法。
【0940】
315. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項284~313の何れかに記載の方法。
【0941】
316. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項284~315の何れかに記載の方法。
【0942】
317. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項284~315の何れかに記載の方法。
【0943】
318. 該CAR T細胞組成物がさらに非形質転換T細胞を含む、項284~317の何れかに記載の方法。
【0944】
319. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に連続的に投与され、さらに患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与を終了するステップを含む、項1~214または252~318の何れかに記載の方法。
【0945】
320. 患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップをさらに含む、項1~107または183~318の何れかに記載の方法。
【0946】
321. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg患者体重~約2500nmole/kg患者体重の投与量であり、該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量である、項1~182または215~318の何れかに記載の方法。
【0947】
322. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に週1回投与される、項1~251または284~318の何れかに記載の方法。
【0948】
323. 患者に化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量および第二回目の投与量が投与され、該第一回目の投与量と該第二回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約15000倍多い、項1~283の何れかに記載の方法。
【0949】
324. 該CAR T細胞組成物が少なくとも二回投与される、項56~318の何れかに記載の方法。
【0950】
325. 癌を処置する方法であって、
i)患者に第一回目の投与量の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;
ii)患者に少なくとも第二回目の投与量の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約50パーセント少ないものであるステップ;および
iii)患者に一回のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【0951】
326. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約60パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0952】
327. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約70パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0953】
328. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約80パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0954】
329. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約90パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0955】
330. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約95パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0956】
331. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約96パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0957】
332. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約97パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0958】
333. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約98パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0959】
334. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約99パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0960】
335. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約99.5パーセント少ない、項325に記載の方法。
【0961】
336. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0962】
337. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約900nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0963】
338. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約800nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0964】
339. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約700nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0965】
340. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約100nmole/kg~約600nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0966】
341. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0967】
342. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0968】
343. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が約500nmole/kg患者体重である、項325~335の何れかに記載の方法。
【0969】
344. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目が約0.5nmole/kg~約500nmole/kg患者体重である、項336に記載の方法。
【0970】
345. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約450nmole/kg患者体重である、項337に記載の方法。
【0971】
346. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約400nmole/kg患者体重である、項338に記載の方法。
【0972】
347. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約350nmole/kg患者体重である、項339に記載の方法。
【0973】
348. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約0.5nmole/kg~約300nmole/kg患者体重である、項340に記載の方法。
【0974】
349. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約1nmole/kg~約300nmole/kg患者体重である、項341に記載の方法。
【0975】
350. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約2nmole/kg~約300nmole/kg患者体重である、項342に記載の方法。
【0976】
351. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約2nmole/kg~約250nmole/kg患者体重である、項343に記載の方法。
【0977】
352. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約5nmole/kg~約40nmole/kg患者体重である、項336~343の何れかに記載の方法。
【0978】
353. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が約40nmole/kg~約150nmole/kg患者体重である、項336~343の何れかに記載の方法。
【0979】
354. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量を投与するステップをさらに含み、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量と同じである、項325~353の何れかに記載の方法。
【0980】
355. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量を投与するステップをさらに含み、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量および該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量と同じである、項354に記載の方法。
【0981】
356. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与後に投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量と比較して癌の増殖阻害を維持する、項325~355の何れかに記載の方法。
【0982】
357. 該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約4000万のCAR T細胞の投与量で投与される、項325~356の何れかに記載の方法。
【0983】
358. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与後に投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量が毎週1回投与される、項325~357の何れかに記載の方法。
【0984】
359. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量が毎週2回投与される、項325~357の何れかに記載の方法。
【0985】
360. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項325~359の何れかに記載の方法。
【0986】
361. 該リガンドが葉酸である、項325~360の何れかに記載の方法。
【0987】
362. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0988】
363. 該リガンドがDUPAである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0989】
364. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0990】
365. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項325~360の何れかに記載の方法。
【0991】
366. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項325~365の何れかに記載の方法。
【0992】
367. 該標的化部分がFITCである、項325~366の何れかに記載の方法。
【0993】
368. 該標的化部分がDNPである、項325~366の何れかに記載の方法。
【0994】
369. 該標的化部分がTNPである、項325~366の何れかに記載の方法。
【0995】
370. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項325~369の何れかに記載の方法。
【0996】
371. 該リンカーがPEGを含む、項325~370の何れかに記載の方法。
【0997】
372. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化45】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化46】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項325~371の何れかに記載の方法。
【0998】
373. nが0~150の整数である、項372に記載の方法。
【0999】
374. nが0~110の整数である、項372に記載の方法。
【1000】
375. nが0~20の整数である、項372に記載の方法。
【1001】
376. nが15~20の整数である、項372に記載の方法。
【1002】
377. nが15~110の整数である、項372に記載の方法。
【1003】
378. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項325~367または370~377の何れかに記載の方法。
【1004】
379. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項325~378の何れかに記載の方法。
【1005】
380. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項325~361または366~379の何れかに記載の方法。
【1006】
381. 該癌が子宮内膜癌である、項380に記載の方法。
【1007】
382. 該癌が非小細胞肺癌である、項380に記載の方法。
【1008】
383. 該癌が卵巣癌である、項380に記載の方法。
【1009】
384. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項380に記載の方法。
【1010】
385. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項325~384の何れかに記載の方法。
【1011】
386. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項325~367または370~385の何れかに記載の方法。
【1012】
387. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項325~386の何れかに記載の方法。
【1013】
388. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項325~387の何れかに記載の方法。
【1014】
389. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項325~367または370~388の何れかに記載の方法。
【1015】
390. 複数投与量のCAR T細胞組成物が投与される、項325~389の何れかに記載の方法。
【1016】
391. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項325~390の何れかに記載の方法。
【1017】
392. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項325~391の何れかに記載の方法。
【1018】
393. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項325~392の何れかに記載の方法。
【1019】
394. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項325~393の何れかに記載の方法。
【1020】
395. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項325~393の何れかに記載の方法。
【1021】
396. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項325~393の何れかに記載の方法。
【1022】
397. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項325~398の何れかに記載の方法。
【1023】
398. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項325~397の何れかに記載の方法。
【1024】
399. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項397に記載の方法。
【1025】
400. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項325~399の何れかに記載の方法。
【1026】
401. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項325~399の何れかに記載の方法。
【1027】
402. 患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップをさらに含む、項325~401の何れかに記載の方法。
【1028】
403. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が患者に投与され、該薬剤がCAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤である、項402に記載の方法。
【1029】
404. 該薬剤がフルオレセインアミン、フルオレセインナトリウムまたはフルオレセインである、項403に記載の方法。
【1030】
405. 該薬剤がフルオレセインナトリウムである、項404に記載の方法。
【1031】
406. 癌を処置する方法であって、
i)患者に第一回目の投与量の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩がCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約1時間前に患者に投与され、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ;
ii)次いで患者に該CAR T細胞組成物の一定投与量を投与するステップ;および
iii)次いで患者に第二回目の投与量の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップ
を含む、方法。
【1032】
407. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約2時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1033】
408. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約4時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1034】
409. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約8時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1035】
410. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約12時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1036】
411. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約16時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1037】
412. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約20時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1038】
413. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約24時間前に患者に投与される、項406に記載の方法。
【1039】
414. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約24時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【1040】
415. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約16時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【1041】
416. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約12時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【1042】
417. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約8時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【1043】
418. 該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量がCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約4時間後までに患者に投与される、項406~413の何れかに記載の方法。
【1044】
419. 患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項406~418の何れかに記載の方法。
【1045】
420. オフターゲット組織毒性が患者で生じず、癌に対するCAR T細胞毒性が生じる、項406~418の何れかに記載の方法。
【1046】
421. 該癌が腫瘍を含み、患者において腫瘍サイズが減少し、そしてオフターゲット毒性が生じない、項406~418の何れかに記載の方法。
【1047】
422. 該癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズの減少が、CAR T細胞組成物の投与前、該化合物またはその薬学的に許容される塩で前処置されていない患者より大きい、項406~418の何れかに記載の方法。
【1048】
423. 該リガンドが葉酸、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項406~422の何れかに記載の方法。
【1049】
424. 該リガンドが葉酸である、項406~423の何れかに記載の方法。
【1050】
425. 該リガンドがNK-1Rリガンドである、項406~423の何れかに記載の方法。
【1051】
426. 該リガンドがDUPAである、項406~423の何れかに記載の方法。
【1052】
427. 該リガンドがCCK2Rリガンドである、項406~423の何れかに記載の方法。
【1053】
428. 該リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンドである、項406~423の何れかに記載の方法。
【1054】
429. 該標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrinおよびDARPinからなる群から選択される、項406~428の何れかに記載の方法。
【1055】
430. 該標的化部分がFITCである、項406~429の何れかに記載の方法。
【1056】
431. 該標的化部分がDNPである、項406~429の何れかに記載の方法。
【1057】
432. 該標的化部分がTNPである、項406~429の何れかに記載の方法。
【1058】
433. 該リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項406~432の何れかに記載の方法。
【1059】
434. 該リンカーがPEGを含む、項406~433の何れかに記載の方法。
【1060】
435. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化47】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化48】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
を有する、項406~434の何れかに記載の方法。
【1061】
436. nが0~150の整数である、項435に記載の方法。
【1062】
437. nが0~110の整数である、項435に記載の方法。
【1063】
438. nが0~20の整数である、項435に記載の方法。
【1064】
439. nが15~20の整数である、項435に記載の方法。
【1065】
440. nが15~110の整数である、項435に記載の方法。
【1066】
441. 該リンカーがPEGを含み、該標的化部分がFITCまたはその薬学的に許容される塩である、項406~430または433~440の何れかに記載の方法。
【1067】
442. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約10000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【1068】
443. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約5000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【1069】
444. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【1070】
445. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【1071】
446. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【1072】
447. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が約250nmole/kg~約600nmole/kg患者体重の投与量で投与される、項406~441の何れかに記載の方法。
【1073】
448. 該癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄球性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項406~447の何れかに記載の方法。
【1074】
449. 該癌が葉酸受容体発現癌である、項406~424または429~448の何れかに記載の方法。
【1075】
450. 該癌が子宮内膜癌である、項448に記載の方法。
【1076】
451. 該癌が非小細胞肺癌である、項448に記載の方法。
【1077】
452. 該癌が卵巣癌である、項448に記載の方法。
【1078】
453. 該癌がトリプルネガティブ乳癌である、項448に記載の方法。
【1079】
454. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項406~453の何れかに記載の方法。
【1080】
455. 該CARが認識領域を有し、該CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項406~430または433~454の何れかに記載の方法。
【1081】
456. 該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項406~455の何れかに記載の方法。
【1082】
457. 該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項406~456の何れかに記載の方法。
【1083】
458. 該CARが認識領域を有し、該認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、該共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして、該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、該活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項406~430または433~457の何れかに記載の方法。
【1084】
459. 複数投与量のCAR T細胞組成物が投与される、項406~458の何れかに記載の方法。
【1085】
460. 該患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前に造影される、項406~459の何れかに記載の方法。
【1086】
461. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、かつ抗体のフラグメントを含まない、項406~460の何れかに記載の方法。
【1087】
462. 該標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項406~461の何れかに記載の方法。
【1088】
463. 該CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項406~462の何れかに記載の方法。
【1089】
464. 該CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項406~463の何れかに記載の方法。
【1090】
465. 該核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項463に記載の方法。
【1091】
466. 該CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項406~465の何れかに記載の方法。
【1092】
467. 該CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項406~465の何れかに記載の方法。
【1093】
468. 患者に1回以上の葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される、項108~182の何れかに記載の方法。
【1094】
469. 該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が該化合物またはその薬学的に許容される塩の前および/または後に患者に投与される、項108~182の何れかに記載の方法。
【1095】
470. 該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与が患者におけるサイトカインレベルを減少させる、項108~182の何れかに記載の方法。
【1096】
471. 該サイトカインレベル減少が、患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後約3時間で生じる、項470に記載の方法。
【1097】
472. 該サイトカインレベル減少が、患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与後約6時間で生じる、項470に記載の方法。
【1098】
473. 該サイトカインレベル減少が未処置患者のサイトカインレベルに対する減少である、項470に記載の方法。
【1099】
474. 該化合物またはその薬学的に許容される塩が該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与の前および後に投与される、項108~182の何れかに記載の方法。
【1100】
475. 該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後に、患者におけるサイトカインレベルが減少しても、患者血中のCAR T細胞数が増加する、項108~182の何れかに記載の方法。
【1101】
476. CAR T細胞活性化が、該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後、該処置患者におけるサイトカインレベルが減少しても、レスキュー剤で処置されていない患者に対して増強または維持される、項108~182の何れかに記載の方法。
【1102】
477. 該癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズが該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を患者に投与したとき増加しない、項108~182の何れかに記載の方法。
【1103】
478. 腫瘍に対する完全応答が得られる、項477に記載の方法。
【1104】
479. CRSグレードが1、2、3または4に達したとき、患者に該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与する、項108、115~160、168~182および468~478の何れかに記載の方法。
【1105】
480. CRSグレードが3または4に達したとき、患者に該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与する、項108、115~160、168~182および468~478の何れかに記載の方法。
【1106】
481. 肺浮腫が減少する、項108~182および468~480の何れかに記載の方法。
【1107】
482. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.01~約300μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1108】
483. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約100μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1109】
484. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約90μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1110】
485. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約80μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1111】
486. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約70μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1112】
487. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約60μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1113】
488. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約50μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1114】
489. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約40μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1115】
490. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約30μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1116】
491. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約20μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1117】
492. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約10μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1118】
493. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約8μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1119】
494. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約0.06~約6μmole/kg患者体重の投与量で投与される、項108、115~160、168~182および468~481の何れかに記載の方法。
【1120】
495. 該CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が患者に投与され、該薬剤がフルオレセインナトリウムである、項108、115~160、168~181および468~494の何れかに記載の方法。
【1121】
496. CRSが低減または予防され、該患者における腫瘍体積の減少をもたらす、項1~495の何れかに記載の方法。
【1122】
497. CRSによる体重減少が低減または予防される、項1~496の何れかに記載の方法。
【1123】
498. 該癌が急性骨髄球性白血病である、項1~3、8~28、33~58、63~83、88~136、141~249、252~361、366~380、385~424、429~449および454~497の何れかに記載の方法。
【1124】
499. 該癌が葉酸受容体-βを発現する、項498に記載の方法。
【1125】
500. 該CAR-T細胞が中枢記憶/エフェクター記憶表現型を有する、項498または499に記載の方法。
【1126】
501. 該CAR T細胞のCD8:CD4比が約1:1である、項1~500の何れかに記載の方法。
【1127】
502. 患者に該化合物またはその薬学的に許容される塩を再投与するステップiv)をさらに含む、項215~251の何れかに記載の方法。
【1128】
503. 該化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の投与が患者におけるCAR T細胞活性化およびサイトカインレベルをもたらす、項474に記載の方法。
【1129】
504. 該癌が腫瘍を含み、腫瘍に対する完全応答が得られる、項1~107、183~476または479~503の何れかに記載の方法。
【1130】
505. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであり;そして該小分子リガンドがPSMAリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップ
を含む、方法。
【1131】
506. 該リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドが式
【化49】
を有する、項505に記載の方法。
【1132】
507. 癌を処置する方法であって、
i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ;および
ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであり;そして、該小分子リガンドがCAIXリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップ
を含む、方法。
【1133】
508. 該リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドが式
【化50】
を有する、項507に記載の方法。
【1134】
509. 癌を処置する方法であって、
i)患者に第一化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第一化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたPSMAリガンドを含むものであるステップ;
ii)患者に第二化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第二化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたCAIXリガンドを含むものであるステップ;および
iii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ
を含む、方法。
【1135】
510. 該第一化合物が式
【化51】
を有し、該第二化合物が式
【化52】
を有する、項509に記載の方法。
【1136】
それ故に、ある実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者に第一回目のCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ、そしてiii)患者に第二回目のCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップを含む。
【1137】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、組成物中の該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該CAR T細胞組成物が該CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含むものであるステップを含む。
【1138】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ、そしてiii)患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬物を投与するステップを含む。
【1139】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が約10nmole/kg患者体重~約2500nmole/kg患者体重の投与量であるものであるステップ、およびii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該CAR T細胞が約100万のCAR T細胞~約1500万のCAR T細胞の投与量であるものであるステップを含む。
【1140】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を連続的に投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むステップ、そしてiii)患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与を終了するステップを含む。
【1141】
他の説明的態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目および第二回目が患者に投与され、該第一回目と該第二回目の投与量が異なり、化合物またはその薬学的に許容される塩の該第二回目が化合物またはその薬学的に許容される塩の該第一回目より約2倍~約15000倍量が多いものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップを含む。
【1142】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に週1回投与されるものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップを含む。
【1143】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一回目の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者に少なくとも第二回目の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、化合物またはその薬学的に許容される塩の該第二回目が化合物またはその薬学的に許容される塩の該第一回目より少なくとも約50%量が少ないものであるステップ、そしてiii)患者に一回のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップを含む。
【1144】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一回目の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩がCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約1時間前に患者に投与され、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ、ii)次いで患者に一定量の該CAR T細胞組成物を投与するステップ、そしてiii)次いで患者に第二回目の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む。
【1145】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該小分子リガンドがPSMAリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップを含む。この実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは式
【化53】
を有し得る。
【1146】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CARがCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該小分子リガンドがCAIXリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップを含む。この実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは式
【化54】
を有し得る。
【1147】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第一化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたPSMAリガンドを含むものであるステップ、ii)患者に第二化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第二化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたCAIXリガンドを含むものであるステップ、そしてiii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。この実施態様において、第一化合物が式
【化55】
を有し得て、第二化合物が式
【化56】
を有し得る。
【1148】
従って、種々の実施態様が前の12段落および上に列記した項に提供され、この「説明的実施態様の詳細な記載」、発明の概要部分、実施例および特許請求の範囲に記載した全ての適用できる実施態様を、これらに実施態様に適用させる。
【1149】
ここで記載する「患者」は、ヒトであってよく、または、獣医適用の場合、患者は実験動物、農業用動物、家庭用動物または野生動物であり得る。種々の態様において、患者は、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスターなど)、ウサギ、サル、チンパンジーなどの実験動物、イヌ、ネコまたはウサギなどの家庭用動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどの農業用動物またはクマ、パンダ、ライオン、トラ、ヒョウ、ゾウ、シマウマ、キリン、ゴリラ、イルカまたはクジラなどの捕らわれた野生動物であり得る。
【1150】
種々の実施態様において、処置する癌は、癌腫、肉腫、骨肉腫、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、鼻咽頭癌、白血病、腺癌または骨髄腫から選択され得る。他の実施態様において、癌は肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性骨髄球性白血病を含む急性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌であり得る。
【1151】
これらの実施態様のある態様において、癌は葉酸受容体発現癌である。他の実施態様において、癌は葉酸受容体α発現癌である。さらに他の実施態様において、癌は葉酸受容体β発現癌である。これらの実施態様のある態様において、癌は子宮内膜癌、非小細胞肺癌、卵巣癌またはトリプルネガティブ乳癌である。他の実施態様において、処置される癌は腫瘍である。他の実施態様において、癌は悪性である。他の実施態様において、癌は急性骨髄球性白血病である。さらに他の実施態様において、癌は急性骨髄球性白血病であり、癌は葉酸受容体-βを発現する。さらに他の実施態様において、癌は急性骨髄球性白血病であり、CAR-T細胞は中枢記憶/エフェクター記憶表現型を有する。さらに他の実施態様において、CAR T細胞のCD8:CD4比は約1:1比である。他の実施態様において、CD8:CD4比は約1.2~1比、約1~1.2比、約1.3~1比、約1~1.3比、約1.4~1比、約1~1.4比、約1.5~1比または約1~1.5比である。癌が急性骨髄球性白血病であり、レスキュー剤が使用されるさらに他の実施態様において、CAR T細胞は、CRSを阻止または予防するためにレスキュー剤を使用した後でさえ、CAR T細胞投与後少なくとも約40日、少なくとも約45日、少なくとも約50日、少なくとも約55日、少なくとも約60日、少なくとも約70日、少なくとも約80日、少なくとも約90日または少なくとも約100日患者に存在し得る。癌が急性骨髄球性白血病または他の癌である他の実施態様において、腫瘍と関連するCAR T細胞は、腫瘍と関連しないCAR T細胞と比較して、CD25発現が増加し得る。
【1152】
ある実施態様において、「小分子リガンド」は、葉酸、DUPA(PSMA陽性ヒト前立腺癌細胞および他の癌細胞型により結合されるリガンド)、NK-1Rリガンド(NK-1Rリガンドに対する受容体は、例えば、結腸および膵臓の癌で見られる)、CAIXリガンド(CAIXリガンドに対する受容体は、例えば、腎臓、卵巣、外陰および乳房の癌で見られる)、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド(トランスペプチダーゼは、例えば、卵巣癌、結腸癌、肝臓癌、星細胞腫、黒色腫および白血病で過発現される)、NKG2Dリガンド(NKG2Dリガンドに対する受容体は、例えば、肺、結腸、腎臓、前立腺の癌およびTおよびB細胞リンパ腫で見られる)またはCCK2Rリガンド(CCK2Rリガンドに対する受容体は、とりわけ甲状腺、肺、膵臓、卵巣、脳、胃、消化器間質および結腸の癌で見られる)であり得て、その各々は、癌細胞型に特異的に結合する小分子リガンドである(すなわち、これらのリガンドの各々に対する受容体は、正常組織に比して、癌で過発現され得る)。
【1153】
ある実施態様において、小分子リガンドは、約10,000ダルトン未満、約9000ダルトン未満、約8,000ダルトン未満、約7000ダルトン未満、約6000ダルトン未満、約5000ダルトン未満、約4500ダルトン未満、約4000ダルトン未満、約3500ダルトン未満、約3000ダルトン未満、約2500ダルトン未満、約2000ダルトン未満、約1500ダルトン未満、約1000ダルトン未満または約500ダルトン未満の質量を有し得る。他の実施態様において、小分子リガンドは、約1~約10,000ダルトン、約1~約9000ダルトン、約1~約8,000ダルトン、約1~約7000ダルトン、約1~約6000ダルトン、約1~約5000ダルトン、約1~約4500ダルトン、約1~約4000ダルトン、約1~約3500ダルトン、約1~約3000ダルトン、約1~約2500ダルトン、約1~約2000ダルトン、約1~約1500ダルトン、約1~約1000ダルトンまたは約1~約500ダルトンの質量を有し得る。
【1154】
ある実施態様において、DUPA誘導体は標的化部分に連結した小分子リガンドのリガンドであり得て、DUPA誘導体は引用により本明細書に包含させるWO2015/057852に記載される。
【1155】
ある実施態様において、「リンカーに連結した小分子リガンド」の状況における小分子リガンドは葉酸である。種々の実施態様において、葉酸は葉酸、葉酸アナログまたは他の葉酸受容体結合分子であり得る。種々の実施態様において、使用し得る葉酸のアナログは、フォリン酸(例えば、ロイコボリン)、プテロポリグルタミン酸および葉酸受容体結合プテリジン、例えばテトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸およびそれらのデアザおよびジデアザアナログを含む。用語「デアザ」および「ジデアザ」アナログは、天然に存在する葉酸構造における1または2窒素原子が炭素原子に置換された当分野で認識されているアナログをいう。例えば、デアザアナログは、1-デアザ、3-デアザ、5-デアザ、8-デアザおよび10-デアザアナログを含む。ジデアザアナログは、例えば、1,5-ジデアザ、5,10-ジデアザ、8,10-ジデアザおよび5,8-ジデアザアナログを含む。前記葉酸アナログは、葉酸受容体への結合能を鑑みて、慣習的に「葉酸」と称される。他の葉酸受容体結合アナログは、アミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキサート)、N10-メチル葉酸、2-デアミノ-ヒドロキシ葉酸、デアザアナログ、例えば1-デアザメトプテリンまたは3-デアザメトプテリンおよび3’,5’-ジクロロ-4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイルグルタミン酸(ジクロロメトトレキサート)を含む。
【1156】
他の実施態様において、「リンカーに連結した小分子リガンド」なる文脈における小分子リガンドは、式
【化57】
〔式中、XおよびYは、各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から各々独立して選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここでZは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
は、任意の付加的化学部分が葉酸の一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合を表す。〕
を有し得る。
【1157】
ある態様において、CAR T細胞により発現されるCARに結合する「標的化部分」は、例えば、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、centyrin、DARPin、affibody、affilin、アンチカリン、アトリマー、avimer、二環式(bicicyclic)ペプチド、FN3スキャフォールド、cys-knot、fynomer、クニッツドメインまたはObodyから選択され得る。標的化部分の本質は、CARに、好ましくは特異性を有して、認識され、結合されなければならず、比較的低分子量であることによってのみ限定される。種々の態様において、典型的標的指向化部分は、小分子量有機分子を含むハプテンである。
【1158】
ある説明的実施態様において、標的化部分は、次の説明的構造を有し得る。
【化58】
〔式中、Xは酸素、窒素または硫黄であり、ここで、XはリンカーLに結合し;YはOR、NR またはNR であり;そしてY’はO、NRまたはNR であり;ここで、各Rは、各場合H、フルオロ、スルホン酸、スルホネートおよびそれらの塩などから独立して選択され;そしてRは水素またはアルキルである。〕
【1159】
ある説明的態様において、リンカーはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含み得る。
【1160】
他の説明的態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的に許容される塩におけるリンカーは、直接結合(例えば、FITCのイソチオシアネート基と小分子リガンドの遊離アミン基の間の反応)を含んでよく、または結合は中間リンカーを介してであってよい。ある実施態様において、存在するならば、中間リンカーは、二価リンカーなどの、当分野で知られる任意の生体適合性リンカーであり得る。ある説明的実施態様において、二価リンカーは、約1~約30炭素原子を含み得る。他の説明的実施態様おいて、二価リンカーは約2~約20炭素原子を含み得る。他の実施態様において、より低分子量の二価リンカー(すなわち、約30~約300ダルトンのおよその分子量を有するもの)が用いられる。他の実施態様において、適当なリンカー長は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以上の原子を有するリンカーであるが、これらに限定されない。
【1161】
種々の実施態様において、標的化部分に連結した小分子リガンドは、式
【化59】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、そしてTは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化60】
(式中、nは0~200である)の構造を含む。〕
のものであり得る。他の実施態様において、nは0~150、0~110、0~100、0~90、0~80、0~70、0~60、0~50、0~40、0~30、0~20、0~15、0~14、0~13、0~12、0~11、0~10、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、0~1、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、15~31、15~32、15~33、15~34、15~35、15~36、15~37、15~38、15~39、15~40、15~50、15~60、15~70、15~80、15~90、15~100、15~110、15~120、15~130、15~140、15~150の整数であってよく、またはnは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100、108、110、120、130、140または150であり得る。
【1162】
他の実施態様において、リンカーは、1以上のスペーサーを含み得る二価リンカーであり得る。説明的スペーサーを次表に示す。次の非限定的、説明的スペーサーの記載において、は小分子リガンドまたは標的化部分または他の二価リンカー部分への結合点を示す。
【表1】
【1163】
他の実施態様において、標的化部分に連結した小分子リガンド(架橋)は、次の構造のいずれかを有し得る。
【化61】
【化62】
【化63】
【1164】
他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない。さらに他の実施態様において、標的化部分がペプチドエピトープを含まない。
【1165】
ある説明的実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンド(架橋)は、小分子リガンドに連結したフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を含む。ある態様において、癌は、小分子リガンドに対する受容体を過発現し得る。他の態様において、例えば、細胞毒性T細胞または他のタイプのT細胞を形質転換して、抗FITC scFvを含むCARを発現させ得る。この態様において、CARはFITCを標的とし、小分子リガンドの癌への結合の結果として、癌をFITC分子で装飾し得る。それ故に、正常、非標的細胞に対する毒性が回避され得る。この実施態様において、抗FITC CAR発現T細胞がFITCを結合するとき、CAR T細胞は活性化され、癌が寛解される。
【1166】
リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドの「薬学的に許容される塩」が意図される。ここで使用する用語「薬学的に許容される塩」は、カウンターイオンが医薬において使用され得る塩をいう。種々の実施態様において、このような塩は、1)遊離塩基の親化合物と塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸または酢酸、シュウ酸、(D)または(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸の反応により得られ得る酸付加塩;または2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウムイオンにより置き換えられたときに形成される塩;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基との錯体を含むが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は当業者に周知であり、あらゆるこのような薬学的に許容される塩が、ここに記載する実施態様と組み合わせて意図される。
【1167】
種々の実施態様において、適当な酸付加塩が、非毒性塩を形成する酸と。説明的例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプチル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【1168】
種々の実施態様において、適当な塩基塩が、非毒性塩を形成する塩基から形成される。説明的例は、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を含む。酸および塩基のヘミ塩も形成され得て、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩である。
【1169】
ある説明的態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的塩は1以上のキラル中心を有し得るかまたは他に複数立体異性体として存在可能であり得る。従って、種々の実施態様は、純粋な立体異性体ならびに立体異性体混合物、例えばエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーまたはジアステレオマー富化混合物を含み得る。ある態様において、ここに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩は、幾何異性体として存在可能であり得る。従って、種々の実施態様は、純粋な幾何異性体または幾何異性体混合物を含み得る。
【1170】
ある態様において、ここに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩は溶媒和されていない形態および水和形態を含む溶媒和された形態で存在し得る。一般に、溶媒和された形態は溶媒和されていない形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。
【1171】
ここに記載する方法はまた架橋の標的化部分(例えば、FITC、DNPまたはTNP)を認識し、結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された、Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)も利用する。ある実施態様において、ここに記載するCARは、1)特異性を有して標的化部分を認識し、結合する認識領域(例えば、抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域、Fabフラグメントなど)、2)Tリンパ球の増殖および生存を増強する共刺激ドメインおよび3)Tリンパ球活性化シグナルを生じる活性化シグナル伝達ドメインを含む3ドメインを含む。
【1172】
種々の態様において、非限定的例として、葉酸、DUPA、CAIXリガンド、NK-1Rリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼリガンド、NKG2DリガンドまたはCCK2Rリガンドに結合する抗体のscFv領域が使用され得る。説明的非限定的実施態様において、scFv領域は、(i)標的化部分に結合する当分野で知られる抗体、(ii)ハプテンなどの選択標的化部分を使用して新規に調製された抗体および(iii)このような抗体のscFv領域由来の配列バリアント、例えば、由来するscFv領域のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するscFv領域から調製され得る。
【1173】
ある態様において、共刺激ドメインは、CARの標的化部分への結合により、細胞毒性Tリンパ球の増殖および生存を増強するように働く。適当な共刺激ドメインは、CD28、CD137(4-1BB)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーメンバー、CD134(OX40)、受容体のTNFR-スーパーファミリーメンバー、CD27、CD30、CD150、DAP10、NKG2DおよびCD278(ICOS)、活性化T細胞に発現されるCD28-スーパーファミリー共刺激分子またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。当業者は、これらの共刺激ドメインの配列バリアントが本発明に悪影響を及ぼすことなく使用でき、ここで、該バリアントは、それらがモデル化されたドメインと同一または類似活性を有することを理解する。種々の実施態様において、このようなバリアントは、それらが由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有する。
【1174】
説明的実施態様において、活性化シグナル伝達ドメインは、CARの標的化部分への結合により、Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)を活性化するように働く。種々の実施態様において、適当な活性化シグナル伝達ドメインは、T細胞CD3ζ鎖、CD3デルタ受容体タンパク質、mbl受容体タンパク質、B29受容体タンパク質およびFc受容体γを含む。当業者は、これらの活性化シグナル伝達ドメインの配列バリアントが使用でき、ここで、該バリアントは、それらがモデル化されたドメインと同一または類似活性を有することを理解する。種々の実施態様において、バリアントは、それらが由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有する。
【1175】
ある態様において、CARをコードする構築物が、遺伝子工学技術を使用して製造される。このような技術は、引用により本明細書に包含させるSambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001), incorporated herein by reference, and Green and Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)に詳述される。
【1176】
例として、インフレームで、5’から3’方向に連結された、認識領域、1以上の共刺激ドメインおよび活性化シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質をコードするプラスミドまたはウイルス発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、sleeping beautyおよびpiggyback(非ウイルス介在CAR遺伝子送達系を含むトランスポゾン/トランスポサーゼ系))が製造できる。他の実施態様において、他の配置が許容され、認識領域、活性化シグナル伝達ドメインおよび1以上の共刺激ドメインを含む。ある実施態様において、融合タンパク質における認識領域の配置は、一般に細胞外面領域の提示が達成されるようなものである。ある実施態様において、CARは、融合タンパク質の細胞表面への適正な輸出を確実にするためのシグナルペプチド(例えば、CD8αシグナルペプチド)、融合タンパク質が完全膜タンパク質として維持されることを確実にするための膜貫通ドメイン(例えば、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメインまたはCD3ζ膜貫通ドメイン)および認識領域に柔軟性を与え、標的化部分への強い結合を可能とするヒンジドメイン(例えば、CD8αヒンジ)などのさらなる要素を含み得る。
【1177】
典型的CARの図を図5に示し、ここで、融合タンパク質配列はレンチウイルス発現ベクターに取り込まれ、「SP」はシグナルペプチドであり、CARは抗FITC CARであり、CD8αヒンジおよびCD8α膜貫通ドメインが存在し、共刺激ドメインは4-1BBであり、活性化シグナル伝達ドメインはCD3ζである。CARインサートの典型的核酸配列は、配列番号1および3として提供され、コード化アミノ酸配列は配列番号2として提供される。さらに他の実施態様において、配列番号2はヒト化またはヒトアミノ酸配列を含むまたはそれからなることができる。
【1178】
ある実施態様において、CARは認識領域(認識領域は抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である)、共刺激ドメイン(共刺激ドメインはCD137(4-1BB)である)および活性化シグナル伝達ドメイン(活性化シグナル伝達ドメインはT細胞CD3ζ鎖である)を有する。抗FITC scFvと抗フルオレセインcFvが同義語であることは、当業者には周知である。
【1179】
ある実施態様において、Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)を、Tリンパ球の集団をCAR構築物をコードする発現ベクターでトランスフェクトすることにより、該CAR構築物を発現するよう遺伝子改変し得る。選択CAR構築物を発現するTリンパ球の形質導入集団を製造する適当な方法は当業者に周知であり、引用により本明細書に包含させるSambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001), incorporated herein by reference, and Green and Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)に記載される。
【1180】
ある実施態様において、配列番号1または3の核酸を含むCAR T細胞が提供される。他の実施態様において、配列番号2のポリペプチドを含むCAR T細胞が提供される。他の説明的態様において、配列番号1または3を含み、キメラ抗原受容体をコードする核酸(例えば、単離核酸)が提供される。さらに他の実施態様において、配列番号2を含むキメラ抗原受容体ポリペプチドが提供される。他の実施態様において、配列番号1または3を含むベクターが提供される。他の態様において、配列番号1または3を含むレンチウイルスベクターが提供される。さらに他の実施態様において、配列番号2はヒト化またはヒトアミノ酸配列を含むまたはそれからなることができる。
【1181】
これらの実施態様の各々において、配列番号1~3と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するバリアント核酸配列またはアミノ酸配列が意図される。他の実施態様において、核酸配列は、バリアント配列が配列番号2のポリペプチドをコードする限り、配列番号1または2と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するバリアント核酸配列であり得る。他の実施態様において、核酸配列またはアミノ酸配列は、200核酸のストレッチに沿って、または配列番号2について、200アミノ酸のストレッチに沿って、配列番号1または3と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するバリアント核酸またはアミノ酸配列であり得る。ある実施態様において、配列間のパーセント同一性または類似性の決定は、例えば、GAPプログラム(Genetics Computer Group、ソフトウェア;現在Accelrysからhttp://www.accelrys.comで入手可能)を使用して行うことができ、アライメントを、例えば、ClustalWアルゴリズム(VNTIソフトウェア、InforMax Inc.)を使用して実施できる。配列データベースを、目的の核酸またはアミノ酸配列を使用してサーチできる。データベースサーチ用アルゴリズムは、一般にBLASTソフトウェア(Altschul et al., 1990)に基づく。ある実施態様において、パーセント同一性を、核酸またはアミノ酸配列の完全長に沿って決定できる。
【1182】
また本発明の範囲内であるのは、配列番号1および3により表される配列と相補的であるおよび高度にストリンジェントな条件下配列番号1および3により表される配列とハイブリダイズするまたはそれらの相補体とハイブリダイズする核酸である。本発明によると、「高度にストリンジェントな条件」は、65℃で5×SSPEおよび50%ホルムアミドでのハイブリダイゼーションおよび65℃で0.5×SSPEでの洗浄を意味する。高ストリンジェンシー、低ストリンジェンシーおよび中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーションは、引用により本明細書に包含させるSambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001), incorporated herein by reference, and Green and Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)に記載される。ある説明的態様において、ハイブリダイゼーションは核酸の完全長に沿って起こる。
【1183】
ある実施態様において、ここに記載する方法で使用するTリンパ球(例えば、CAR T細胞または非形質転換T細胞製造に使用した細胞毒性Tリンパ球)は自己細胞であってよいが、処置される患者が、患者の免疫系を破壊するために、高量の化学療法または放射線処置を受けているときなど、異種細胞も使用し得る。ある実施態様において、同種異系間細胞が使用され得る。
【1184】
ある態様において、Tリンパ球を、当分野で周知の手段により患者から得ることができる。例えば、T細胞(例えば、細胞毒性T細胞または非形質転換T細胞)を、末梢血を患者から採り、血液をFicoll密度勾配遠心分離に付し、次いで陰性T細胞単離キット(例えばEasySepTM T Cell Isolation Kit)を使用して、末梢血からT細胞の集団を単離することにより得ることができる。ある説明的実施態様において、Tリンパ球の集団(例えば、細胞毒性T細胞または非形質転換T細胞)は純粋である必要はなく、他のタイプのT細胞(例えば、細胞毒性T細胞の場合)、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞およびB細胞などの他の細胞を含み得る。ある態様において、集められる集団は、選択細胞型が少なくとも約90%、選択細胞型が少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%占め得る。
【1185】
ある実施態様において、Tリンパ球(例えば、CAR T細胞調製に使用する細胞毒性T細胞)を得た後、細胞を、細胞の活性化を促進する条件下で培養する。この実施態様において、培養条件は、細胞が培養培地の成分に対する反応性の懸念なく、患者に投与され得るようなものである。例えば、培養条件は、ウシ血清アルブミンなどのウシ血清製品を含み得ない。ある説明的態様において、活性化は、細胞毒性T細胞の場合抗CD3抗体など、既知アクティベーターの培養培地への導入により達成され得る。他の適当なアクティベーターは、抗CD28抗体を含む。ある態様において、リンパ球の集団を、活性化を促進する条件下、約1~約4日間培養し得る。ある実施態様において、適切な活性化のレベルを、細胞サイズ、増殖速度またはフローサイトメトリーにより決定した活性化マーカーにより決定し得る。
【1186】
ある説明的実施態様において、Tリンパ球の集団(例えば、CAR T細胞の調製に使用する細胞毒性Tリンパ球)が活性化を促進する条件下で培養された後、細胞を、CARをコードする発現ベクターでトランスフェクトし得る。種々の実施態様において使用する適当なベクターおよびトランスフェクション方法は、上に記載されている。ある態様において、トランスフェクション後、細胞をすぐに患者に投与できまたは細胞を少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日またはそれ以上または約5~約12日、約6~約13日、約7~約14日または約8~約15日、例えば、細胞がトランスフェクションから回復する時間を与えるために培養し得る。ある態様において、適当な培養条件は、活性化促進に使用した薬剤を伴いまたは伴わず、細胞が活性化するために培養された条件に類似し得る。
【1187】
それ故に、上記のとおり、ある説明的態様において、ここに記載する処置方法は、さらに、1)自己または異種Tリンパ球(例えば、CAR T細胞の調製に使用する細胞毒性Tリンパ球)の集団を得て、2)Tリンパ球を細胞の活性化を促進する条件下で培養し、そして3)リンパ球をCARをコードする発現ベクターでトランスフェクトして、CAR T細胞を形成することを含み得る。
【1188】
ある説明的実施態様において、細胞がトランスフェクトおよび活性化されているとき、CAR T細胞を含む組成物を製造し、患者に非形質転換T細胞を伴いまたは伴わずに投与し得る。ある実施態様において、ウシ血清などのあらゆる動物製品を欠く培養培地を使用して、CAR T細胞および/または非形質転換T細胞を培養し得る。他の実施態様において、細菌、真菌およびマイコプラズマでの汚染を避けるために当業者により一般に使用される組織培養条件が使用され得る。典型的実施態様において、患者に投与される前に、細胞(例えば、CAR T細胞および/または非形質転換T細胞)をペレット化し、洗浄し、薬学的に許容される担体または希釈剤に再懸濁される。CAR発現Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)または非形質転換T細胞を含む典型的組成物は、無菌290mOsm食塩水、不溶解性クライオメディア(Plasma-Lyte A、デキストロース、塩化ナトリウム注射、ヒト血清アルブミンおよびDMSOを含む)、2%ヒト血清アルブミン含有0.9%NaClまたは何らかの他の無菌290mOsm不溶解性物質中に細胞を含む組成物を含む。あるいは、他の実施態様において、培養培地の本質によって、CAR T細胞または非形質転換T細胞を、組成物として培養培地で投与できまたは投与前に濃縮し、培養培地に再懸濁し得る。種々の実施態様において、非形質転換T細胞を伴うまたは伴わないCAR T細胞組成物を、非経腸投与、例えば、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内または髄腔内などの適当な手段で患者に投与し得る。
【1189】
ある態様において、CAR T細胞の総数および患者に投与する組成物中の細胞の濃度は、使用するTリンパ球のタイプ(例えば、細胞毒性Tリンパ球)、CARの結合特異性、標的化部分の本質および小分子リガンドの本質、癌の本質、患者における癌の位置、患者に組成物を投与するのに使用する手段ならびに処置される患者の健康状態、年齢および体重を含む、多数の因子により変わる。種々の実施態様において、形質導入CAR T細胞を含む適当な組成物は、約0.1ml~約200mlおよび約0.1ml~約125mlの体積のものを含む。
【1190】
種々の実施態様において、患者に投与される形質導入CAR T細胞は、約1×10~約1×1015または1×10~約1×1015の形質導入CAR T細胞からなり得る。種々の実施態様において、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約2×10、約1×10~約3×10、約1×10~約1.5×10、約1×10~約1×10、約1×10~約9×10、約1×10~約8×10、約1×10~約7×10、約1×10~約6×10、約1×10~約5×10、約1×10~約4×10、約1×10~約3×10、約1×10~約2×10、約2×10~約6×10、約2×10~約5×10、約3×10~約6×10、約4×10~約6×10、約4×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約1.5×10、約1×10~約2×10、約0.2×10~約1×10、約0.2×10~約1.5×10、約0.2×10~約2×10または約5×10のCAR T細胞が患者に投与され得る。ある態様において、ここに記載するあらゆる実施態様において、単回投与量または複数投与量のCAR T細胞が患者に投与され得る。この段落に記載する実施態様の何れにおいても、CAR T細胞投与量は、患者体重kgあたりのCAR T細胞数であり得る。ここに記載するあらゆる実施態様において、CAR T細胞を、化合物またはその薬学的に許容される塩の前に投与し得る。理解されるとおり、個々に記載するあらゆる方法の手順に関する指定i)、ii)およびiii)などは、特に断らない限り順序を指定しない。
【1191】
ここに記載する種々の実施態様において、非形質転換T細胞もCAR T細胞と共に投与でき、CAR T細胞および非形質転換T細胞についてここで記載する量で投与し得る。ある態様において、CAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を単回または複数回投与できまたは純粋なCAR T細胞およびCAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物の投与量の組み合わせを投与できる(例えば、1投与量のCAR T細胞、続いて1投与量以上のCAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物)。当業者には本開示から明らかであるとおり、ここで記載するCAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物は、CAR T細胞を、キメラ抗原受容体の発現に使用した構築物に曝していない非形質転換T細胞と混合することを意味する。
【1192】
他の実施態様において、CAR T細胞組成物において患者に投与するCAR T細胞の投与量は、約100万、約200万、約300万、約400万、約500万、約600万、約700万、約800万、約900万、約1000万、約1100万、約1200万、約1250万、約1300万、約1400万および約1500万のCAR T細胞からなる群から選択される。これらの実施態様において、CAR T細胞投与量は患者体重kgあたりのCAR T細胞数であり得る。
【1193】
さらに他の説明的実施態様において、CAR T細胞組成物は患者の血流に注射により投与され、患者の血流中のCAR T細胞は、CAR T細胞組成物の注射約4週間後に患者の血流中の患者の総T細胞の少なくとも5パーセント、少なくとも7パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも11パーセント、少なくとも12パーセント、少なくとも13パーセント、少なくとも14パーセントまたは少なくとも15パーセント、CAR T細胞組成物の注射約3週間に少なくとも20パーセント、25パーセント、30パーセント、35パーセント、40パーセントまたは50パーセント、CAR T細胞組成物の注射約2週間後に少なくとも60パーセント、65パーセント、70パーセント、75パーセントまたは80パーセントまたはCAR T細胞組成物の注射約1週間後に少なくとも85パーセント、90パーセントまたは95パーセントである。
【1194】
ここに記載する実施態様において、CAR T細胞組成物は、任意の他の細胞型を伴わずCAR T細胞を含んでよく、または非形質転換T細胞がCAR T細胞と組み合わせて患者に投与され得る。複数投与量のCAR T細胞組成物が投与される実施態様について、ある投与量は、CAR T細胞またはCAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物からなり得る。種々の実施態様において、非形質転換T細胞を、CAR T細胞についてここで記載した量で投与できる。
【1195】
他の実施態様において、CAR T細胞組成物のある投与量は、約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:4のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:3のCAR T細胞対非形質転換T細胞、約1:2のCAR T細胞対非形質転換T細胞および約1:1のCAR T細胞対非形質転換T細胞から選択される比のCAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含み得る。
【1196】
さらに他の実施態様において、CAR T細胞組成物のある投与量は、約1:1~約1:5のCAR T細胞対非形質転換T細胞の比でCAR T細胞と非形質転換T細胞の混合物を含んでよく、またはCAR T細胞組成物は約1000万のCAR T細胞と約4000万の非形質転換T細胞、約1500万のCAR T細胞と約3500万の非形質転換T細胞、約2000万のCAR T細胞と約3000万の非形質転換T細胞または約2500万のCAR T細胞と約2500万の非形質転換T細胞の混合物を含み得る。
【1197】
ここに記載する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物は、当分野で知られる任意の適当な方法を使用して患者に投与され得る。ここで記載する用語「投与する」または「投与」は、経口、静脈内、筋肉内、皮下、経皮などを含むが、これらに限定されない、化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物を患者に導入する全ての手段を含む。ある態様において、ここに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび媒体を含む単位投与形態および/または製剤で投与し得る。
【1198】
ある態様において、ここに記載する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物を、患者血流、筋肉または内臓に直接投与し得る。種々の実施態様において、このような非経腸投与のための適当な経路は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内および皮下送達を含む。ある実施態様において、非経腸投与手段は、有針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および点滴技法を含む。
【1199】
ある説明的態様において、非経腸製剤は、一般に塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3~9)などの担体または添加物を含み得る水溶液であるが、より好適には無菌非水溶液または無菌、発熱性物質除去水または無菌食塩水などの適当な媒体と組み合わせて使用する乾燥形態として製剤され得る。他の実施態様において、ここに記載する液体製剤の何れもここに記載する非経腸投与に適合させ得る。無菌条件下、非経腸製剤のための無菌凍結乾燥粉末を製造する凍結乾燥は、当業者に周知の標準製薬技法を使用して容易に達成され得る。ある実施態様において、非経腸製剤の製造に使用する化合物またはその薬学的に許容される塩の溶解度を、溶解促進剤の取り込みなどの適切な製剤技法により増大させ得る。
【1200】
患者に投与する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、処置される癌、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与経路および組織分布により顕著に変わり得る。患者に投与する量は、体表面積、腫瘤および医師の評価に基づき得る。種々の実施態様において、投与する量は、例えば、約0.05mg~約30mg、0.05mg~約25.0mg、約0.05mg~約20.0mg、約0.05mg~約15.0mg、約0.05mg~約10.0mg、約0.05mg~約9.0mg、約0.05mg~約8.0mg、約0.05mg~約7.0mg、約0.05mg~約6.0mg、約0.05mg~約5.0mg、約0.05mg~約4.0mg、約0.05mg~約3.0mg、約0.05mg~約2.0mg、約0.05mg~約1.0mg、約0.05mg~約0.5mg、約0.05mg~約0.4mg、約0.05mg~約0.3mg、約0.05mg~約0.2mg、約0.05mg~約0.1mg、約.01mg~約2mg、約0.3mg~約10mg、約0.1mg~約20mgまたは約0.8~約3mgの範囲であり得る。当業者は、投与量が、上記因子に基づき、上に提供した種々の範囲内で変わり得て、医師の裁量により得ることを容易に認識する。
【1201】
他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、例えば、約50nmole/kg~約3000nmole/kgの患者体重、約50nmole/kg~約2000nmole/kg、約50nmole/kg~約1000nmole/kg、約50nmole/kg~約900nmole/kg、約50nmole/kg~約800nmole/kg、約50nmole/kg~約700nmole/kg、約50nmole/kg~約600nmole/kg、約50nmole/kg~約500nmole/kg、約50nmole/kg~約400nmole/kg、約50nmole/kg~約300nmole/kg、約50nmole/kg~約200nmole/kg、約50nmole/kg~約100nmole/kg、約100nmole/kg~約300nmole/kg、約100nmole/kg~約500nmole/kg、約100nmole/kg~約1000nmole/kg、約100nmole/kg~約2000nmole/kgの患者体重の範囲であり得る。他の実施態様において、投与量は約1nmole/kg、約5nmole/kg、約10nmole/kg、約20nmole/kg、約25nmole/kg、約30nmole/kg、約40nmole/kg、約50nmole/kg、約60nmole/kg、約70nmole/kg、約80nmole/kg、約90nmole/kg、約100nmole/kg、約150nmole/kg、約200nmole/kg、約250nmole/kg、約300nmole/kg、約350nmole/kg、約400nmole/kg、約450nmole/kg、約500nmole/kg、約600nmole/kg、約700nmole/kg、約800nmole/kg、約900nmole/kg、約1000nmole/kg、約2000nmole/kg、約2500nmole/kgまたは約3000nmole/kg患者体重であり得る。さらに他の実施態様において、投与量は約0.1nmole/kg、約0.2nmole/kg、約0.3nmole/kg、約0.4nmole/kgまたは約0.5nmole/kg、約0.1nmole/kg~約1000nmole/kg、約0.1nmole/kg~約900nmole/kg、約0.1nmole/kg~約850nmole/kg、約0.1nmole/kg~約800nmole/kg、約0.1nmole/kg~約700nmole/kg、約0.1nmole/kg~約600nmole/kg、約0.1nmole/kg~約500nmole/kg、約0.1nmole/kg~約400nmole/kg、約0.1nmole/kg~約300nmole/kg、約0.1nmole/kg~約200nmole/kg、約0.1nmole/kg~約100nmole/kg、約0.1nmole/kg~約50nmole/kg、約0.1nmole/kg~約10nmole/kgまたは約0.1nmole/kg~約1nmole/kg患者体重であり得る。他の実施態様において、投与量は約0.3nmole/kg~約1000nmole/kg、約0.3nmole/kg~約900nmole/kg、約0.3nmole/kg~約850nmole/kg、約0.3nmole/kg~約800nmole/kg、約0.3nmole/kg~約700nmole/kg、約0.3nmole/kg~約600nmole/kg、約0.3nmole/kg~約500nmole/kg、約0.3nmole/kg~約400nmole/kg、約0.3nmole/kg~約300nmole/kg、約0.3nmole/kg~約200nmole/kg、約0.3nmole/kg~約100nmole/kg、約0.3nmole/kg~約50nmole/kg、約0.3nmole/kg~約10nmole/kgまたは約0.3nmole/kg~約1nmole/kg患者体重であり得る。これらの実施態様において、「kg」は、患者体重キログラムである。ある態様において、単回投与量または複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に投与され得る。
【1202】
種々の他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、例えば、約10nmole/kg~約10000nmole/kg、約10nmole/kg~約5000nmole/kg、約10nmole/kg~約3000nmole/kg、約10nmole/kg~約2500nmole/kg、約10nmole/kg~約2000nmole/kg、約10nmole/kg~約1000nmole/kg、約10nmole/kg~約900nmole/kg、約10nmole/kg~約800nmole/kg、約10nmole/kg~約700nmole/kg、約10nmole/kg~約600nmole/kg、約10nmole/kg~約500nmole/kg、約10nmole/kg~約400nmole/kg、約10nmole/kg~約300nmole/kg、約10nmole/kg~約200nmole/kg、約10nmole/kg~約150nmole/kg、約10nmole/kg~約100nmole/kg、約10nmole/kg~約90nmole/kg、約10nmole/kg~約80nmole/kg、約10nmole/kg~約70nmole/kg、約10nmole/kg~約60nmole/kg、約10nmole/kg~約50nmole/kg、約10nmole/kg~約40nmole/kg、約10nmole/kg~約30nmole/kg、約10nmole/kg~約20nmole/kg、約200nmole/kg~約900nmole/kg、約200nmole/kg~約800nmole/kg、約200nmole/kg~約700nmole/kg、約200nmole/kg~約600nmole/kg、約200nmole/kg~約500nmole/kg、約250nmole/kg~約600nmole/kg、約300nmole/kg~約600nmole/kg、約300nmole/kg~約500nmole/kgまたは約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重であり得る。種々の他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、例えば、約1nmole/kg~約10000nmole/kg、約1nmole/kg~約5000nmole/kg、約1nmole/kg~約3000nmole/kg、約1nmole/kg~約2500nmole/kg、約1nmole/kg~約2000nmole/kg、約1nmole/kg~約1000nmole/kg、約1nmole/kg~約900nmole/kg、約1nmole/kg~約800nmole/kg、約1nmole/kg~約700nmole/kg、約1nmole/kg~約600nmole/kg、約1nmole/kg~約500nmole/kg、約1nmole/kg~約400nmole/kg、約1nmole/kg~約300nmole/kg、約1nmole/kg~約200nmole/kg、約1nmole/kg~約150nmole/kg、約1nmole/kg~約100nmole/kg、約1nmole/kg~約90nmole/kg、約1nmole/kg~約80nmole/kg、約1nmole/kg~約70nmole/kg、約1nmole/kg~約60nmole/kg、約1nmole/kg~約50nmole/kg、約1nmole/kg~約40nmole/kg、約1nmole/kg~約30nmole/kgまたは約1nmole/kg~約20nmole/kgであってよく、これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。ある態様において、単回投与量または複数回投与量の化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に投与され得る。
【1203】
他の実施態様において、約20μg/kg患者体重~約3mg/kg患者体重の化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に投与され得る。他の態様において、量は約0.2mg/kg患者体重~約0.4mg/kg患者体重であってよくまたは約50μg/kg患者体重であってよい。ある態様において、単回投与量または複数回の化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に投与され得る。
【1204】
ある実施態様において、標的化部分に連結した小分子リガンドがCAR T細胞組成物の前に患者に投与され得る。他の実施態様において、標的化部分に連結した小分子リガンドがCAR T細胞組成物と同時に患者に投与され得るが、異なる製剤または同一製剤である。さらに他の実施態様において、標的化部分に連結した小分子リガンドがCAR T細胞組成物後に患者に投与され得る。
【1205】
ある説明的態様において、CAR T細胞と標的化部分に連結した小分子の投与の間の間隔は、使用するCAR T細胞のタイプ、CARの結合特異性、標的化部分の本質および小分子リガンドの本質、癌の本質、癌の患者における位置、CAR T細胞および標的化部分に連結した小分子リガンドを患者に投与するのに使用する手段ならびに患者の健康状態、年齢および体重を含む因子により、広範に変わり得る。ある態様において、標的化部分に連結した小分子リガンドを、約3時間、6時間、9時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、27時間、30時間、33時間、36時間、39時間、42時間、45時間、48時間または51時間以内または約0.5日、1日、1.5日、2日、2.5日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上の範囲内など、CAR T細胞の前または後に投与できる。
【1206】
ある実施態様において、当分野で知られる任意の適用できる投与スケジュールを、化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物の投与に使用できる。例えば、1日1回投与(qd)、1日2回投与(bid)、1日3回投与(tid)、週2回投与(BIW)、週3回投与(TIW)、週1回投与などが使用され得る。ある態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩およびCAR T細胞組成物について選択される投与スケジュールは、CAR T細胞組成物の細胞毒性制御およびCRS制御のために、投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の濃度およびCAR T細胞数を考慮に入れ得る。
【1207】
ある実施態様において、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を予防または阻止するために、癌を処置する方法が提供され、該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むステップ、そしてiii)患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬物を投与するステップを含む。
【1208】
この方法実施態様において、患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬物を投与するステップを、患者におけるCRSを予防または阻止するために使用し得る。この実施態様において、葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬物の何れも、ここで「レスキュー剤」と称し得る。ある実施態様において、葉酸(folate)、例えば葉酸(folic acid)を患者におけるCRSを予防または阻止するために投与できる。この実施態様において、葉酸は、架橋(すなわち、リンカーにより標的化部分に連結した小分子リガンド)と、腫瘍上の架橋のための受容体の相互作用を阻害し、腫瘍溶解を阻害し、患者におけるCRSを予防または阻止する。
【1209】
ある実施態様において、腫瘍への架橋の結合の阻害剤として投与される葉酸は、例えば、葉酸、葉酸アナログまたは他の葉酸受容体結合分子であり得る。種々の実施態様において、使用し得る葉酸のアナログは、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸および葉酸受容体結合プテリジン、例えばテトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸およびそれらのデアザおよびジデアザアナログを含む。用語「デアザ」および「ジデアザ」アナログは、天然に存在する葉酸構造における1または2窒素原子に置換された炭素原子を有する当分野で認識されているアナログをいう。例えば、デアザアナログは、1-デアザ、3-デアザ、5-デアザ、8-デアザおよび10-デアザアナログを含む。ジデアザアナログは、例えば、1,5-ジデアザ、5,10-ジデアザ、8,10-ジデアザおよび5,8-ジデアザアナログを含む。前記葉酸アナログは、葉酸受容体への結合能を鑑みて、慣習的に「葉酸」と称される。他の葉酸受容体結合アナログは、アミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキサート)、N10-メチル葉酸、2-デアミノ-ヒドロキシ葉酸、デアザアナログ、例えば1-デアザメトプテリンまたは3-デアザメトプテリンおよび3’,5’-ジクロロ-4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイルグルタミン酸(ジクロロメトトレキサート)を含む。
【1210】
他の実施態様において、腫瘍への架橋の結合の阻害剤として投与される葉酸は、式
【化64】
〔式中、XおよびYは、各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から各々独立して選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここでZは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
は、任意の付加的化学部分が葉酸の一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合を表す。〕
を有する。
【1211】
さらに他の実施態様において、葉酸を含むコンジュゲートを患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を予防または阻止するために投与できる。CRSは当分野で周知の用語であり、この症候群は、体重減少、高発熱、肺浮腫および危険な血圧低下を含む有害作用を患者に引き起こし得る。
【1212】
この実施態様において、葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まず、それ故に、コンジュゲートは、架橋と腫瘍の相互作用を阻害し、腫瘍溶解を阻止し、患者におけるCRSを減少させる。この実施態様において、葉酸を含むコンジュゲートにおける葉酸部分は、標的化部分を含まない化学部分に連結した、前段落に記載した葉酸のいずれかを含み得る。ある態様において、葉酸を含むコンジュゲートは、標的化部分を含まない1以上のアミノ酸に連結した葉酸を含み得る。実例として、葉酸を含むコンジュゲートは式
【化65】
を有し得る。この化合物は、「EC923」とも称され得る。これらの実施態様において、葉酸または葉酸を含むコンジュゲートは、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドに対して10倍過剰、100倍過剰、200倍過剰、300倍過剰、400倍過剰、500倍過剰、600倍過剰、700倍過剰、800倍過剰、900倍過剰、1000倍過剰または10,000倍過剰の葉酸または葉酸を含むコンジュゲートなど、架橋(すなわち、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンド)に対してモル過剰で患者に投与され得る。架橋と腫瘍の相互作用の阻害に必要なリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドの量に対する葉酸または葉酸を含むコンジュゲートの量は、当業者により決定され得る。
【1213】
他の実施態様において、CAR T細胞活性化を阻害し、患者におけるCRSを阻止または予防するために、CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が患者に投与され得る。ある態様において、薬剤はリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ)、PI3キナーゼ阻害剤(例えば、GDC0980)、トシリズマブ、IL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤(例えば、BMS-509744)、JAK阻害剤、BTK阻害剤、SIPアゴニスト(例えばシポニモドおよびオザニモド)および架橋へのCAR T細胞結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤(例えば、フルオレセインアミン、FITCまたはフルオレセインナトリウム)からなる群から選択され得る。FITC(すなわち、フルオレセイン)は、生理学的条件下、または、例えば、生理学的pHの緩衝液中、塩形態(例えば、フルオレセインナトリウム)またはその非塩形態であってよいことは当業者に理解される。従って、ある実施態様において、フルオレセインを患者に投与するとき、その塩形態(例えば、フルオレセインナトリウム)とその非塩形態で平衡であり得る。他の実施態様において、CAR T細胞の活性化を阻害するレスキュー剤は、式
【化66】
の化合物であり得る。
【1214】
種々の実施態様において、レスキュー剤を、約.001nM~約100mM、約.01nM~約100mM、約1nM~約100mM、約10nM~約100mM、約50nM~約100mMまたは約100nM~約100mMの濃度で、例えば、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、10ml、100mlまたは1000mlを含む任意の適切な体積で、投与できる。他の実施態様において、レスキュー剤を、約.01~約300μmole/kg患者体重、約0.06~約100μmole/kg患者体重、約.06~約90μmole/kg患者体重、約0.06~約80μmole/kg患者体重、約.06~約70μmole/kg患者体重、約0.06~約60μmole/kg患者体重、約0.06~約50μmole/kg患者体重、約0.06~約40μmole/kg患者体重、約0.06~約30μmole/kg患者体重、約0.06~約20μmole/kg患者体重、約0.06~約10μmole/kg患者体重、約0.06~約8μmole/kg患者体重または約0.06~約6μmole/kg患者体重の投与量で投与できる。
【1215】
これらの実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドに対して約10倍過剰、約20倍過剰、約30倍過剰、約40倍過剰、約50倍過剰、約60倍過剰、約70倍過剰、約80倍過剰、約90倍過剰、約100倍過剰、約200倍過剰、約300倍過剰、約400倍過剰、約500倍過剰、約600倍過剰、約700倍過剰、約800倍過剰、約900倍過剰、約1000倍過剰または約10,000倍過剰のレスキュー剤など、レスキュー剤は化合物またはその薬学的に許容される塩(すなわち、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンド)に対してモル過剰で患者に投与され得る。化合物またはその薬学的に許容される塩と腫瘍および/またはCAR T細胞の相互作用阻害に必要なリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドの量に対するレスキュー剤の量は、当業者により決定され得る。
【1216】
他の実施態様において、葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の1を超える投与量が患者に投与され得る。
【1217】
ここに記載する‘レスキュー剤’実施態様において、葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤は化合物またはその薬学的に許容される塩の前および/または後に患者に投与され得る。他の態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与の前および後に投与できる。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の後の投与は患者におけるCAR T細胞活性化およびサイトカインレベル上昇を引き起こし得る。
【1218】
他の実施態様において、該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与は、患者におけるサイトカインレベル減少を引き起こし得る。さらに他の実施態様において、サイトカインレベル減少は、葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の患者への投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間または約8時間で生じ得る。他の実施態様において、サイトカインレベル減少は、未処置患者のサイトカインレベルに対する減少である。他の説明的実施態様おいて、CAR T細胞数は、患者におけるサイトカインレベルが減少しても、該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後、患者の血中で増加し得る。他の説明的態様において、CAR T細胞活性化は、処置患者のサイトカインレベルが減少しても、該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与後、レスキュー剤で処置されていない患者と比較して増強または維持され得る。さらに他の実施態様において、癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズが該葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を患者に投与したとき増加しない。この実施態様において、腫瘍に対する完全応答が得られ得る。
【1219】
他の実施態様において、CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を、CRSグレードが1、2、3または4に達したときまたはCRSグレードが3または4に達したとき、患者に投与する。他の態様において、レスキュー剤を投与したとき、患者における肺浮腫が減少する。
【1220】
ここに記載するある実施態様において、癌を処置する方法が提供され、該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を連続的に投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むステップ、そしてiii)患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために該化合物またはその薬学的に許容される塩の連続投与を終了するステップを含む。
【1221】
この実施態様によって、用語「連続的」は、化合物またはその薬学的に許容される塩を、患者、例えば、少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間または少なくとも24時間投与することを意味し得るかまたは日単位のまたは週単位の投与のレジメン、例えば1日1回、1日2回、1日3回、連日、隔日、週1回、週2回、週3回または当業者により連続投与と見なされる何らかの他の適当なレジメンを意味し得る。他の態様において、用語「連続的」は、本段落に記載した実施態様の任意の組み合わせを意味し得る。
【1222】
この方法実施態様において、患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために化合物またはその薬学的に許容される塩の「連続投与を終了する」ステップは、例えば、数時間または数日などの連続期間の投与後の投与中止または上記の日単位のまたは週単位のレジメンなどの処置レジメンの中止を意味し得る。他の実施態様において、「連続投与を終了する」ステップは、例えば、患者の許容されない体重減少が生じるまでまたは高発熱、血圧低下または肺浮腫などの何らかの他の許容されない副作用が生じるまでの投与を意味し得る。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の「連続投与を終了する」ステップは、化合物またはその薬学的に許容される塩でのその後の処置がない化合物またはその薬学的に許容される塩での単回処置は意味しない。この方法実施態様において、サイトカイン放出症候群(CRS)を「阻止または予防するため」は、CRSの排除またはCRSの症状の軽減または改善を意味する。
【1223】
化合物またはその薬学的に許容される塩の「連続投与を終了する」ステップを含む実施態様のある実施態様において、方法は、さらに、患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を再投与するステップiv)を含み得る。ある実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、例えば、週1回投与でき、1回省かれ得る。他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を交互の日(すなわち、隔日)に投与でき、1以上の(例えば、2、3、4などの)投与が省かれ得る。他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を週2回投与でき、1以上の(例えば、2、3、4などの)投与が省かれ得る。他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を月曜日、火曜日および次の月曜日に投与でき、次いで2週間休薬し、このサイクルを反復し得る。他の実施態様において、上記レジメン実施態様の何れも使用でき、1以上の(例えば、2、3、4などの)投与が省かれ得る。他の実施態様において、これらの実施態様の組み合わせが使用され得る。これらの実施態様において、投与を省くことにより、患者におけるCRSが予防または低減され得る。
【1224】
さらに他の説明的態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量および第二回目の投与量が患者に投与され、該第一回目の投与量と該第二回目の投与量が異なり、化合物またはその薬学的に許容される塩の該第二回目の投与量が化合物またはその薬学的に許容される塩の該第一回目の投与量より約2倍~約15000倍量が多いものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。
【1225】
この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量を、患者におけるサイトカイン放出症候群を阻止または予防するために、段階的に漸増させ得る。例えば、化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量および第二回目の投与量が患者に投与されてよく、該第一回目の投与量と該第二回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約20倍~約15000倍多い、約2倍~約15000倍多い。他の実施態様において、第二回目の投与量またはその後の投与量は、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量の約2倍~約5倍、約2倍~約10倍、約2倍~約20倍、約2倍~約30倍、約2倍~約40倍、約2倍~約50倍、約2倍~約60倍、約2倍~約70倍、約2倍~約80倍、約2倍~約90倍、約2倍~約100倍、約2倍~約15000倍、約2倍~約10000倍、約5倍~約9000倍、約5倍~約8000倍、約5倍~約7000倍、約5倍~約6000倍、約5倍~約5000倍、約5倍~約4000倍、約5倍~約3000倍、約5倍~約4000倍、約5倍~約3000倍、約5倍~約2000倍、約5倍~約1000倍、約5倍~約750倍、約2倍~約750倍、約5倍~約500倍、約5倍~約100倍、約800倍~約15000倍、約800倍~約10000倍、約800倍~約9000倍、約800倍~約8000倍、約800倍~約7000倍、約800倍~約6000倍、約800倍~約5000倍、約800倍~約4000倍、約800倍~約3000倍、約800倍~約2000倍、約800倍~約1000倍、約8000倍~約15000倍、約8000倍~約10000倍、約8000倍~約9000倍、約15000倍、約10000倍、約9000倍、約8000倍、約7000倍、約6000倍、約5000倍、約4000倍、約3000倍、約2000倍、約1000倍、約500倍、約400倍、約300倍、約200倍、約100倍、約90倍、約80倍、約70倍、約60倍、約50倍、約40倍、約30倍、約20倍、約10倍、約5倍または約2倍多い。
【1226】
投与量漸増方法の他の説明的実施態様おいて、化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目、第二回目および第三回目が患者に投与されてよく、該第一回目、第二回目および第三回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目より約2倍~約750倍量が多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目より約800倍~約10000倍量が多い。
【1227】
投与量漸増方法の他の態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の少なくとも第一回目の投与量、第二回目の投与量、第三回目の投与量および第四回目の投与量が患者に投与されてよく、該第一回目の投与量、第二回目の投与量、第三回目の投与量および第四回目の投与量が異なり、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約2倍~約750倍多く、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約800倍~約7500倍多く、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が該化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約8000~約15000倍多い。
【1228】
さらに他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約100倍多くてよく、化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量が化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約1000倍多くてよく、化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量が化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より約10000倍多くてよい。典型的実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量は0.05nmole/kgであり、第二回目の投与量は5nmole/kgであり、第三回目の投与量は50nmole/kgであり、第四回目の投与量は500nmole/kgである。ここに記載する投与量漸増実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を投与できるの第一、第二、第三、第四および任意のその後の投与量を複数回投与できる(例えば、0.05nmole/kgの第一回目の投与量を数回投与し、その後の漸増投与量を投与し得る)。
【1229】
ここに記載する他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一回目の投与量の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、ii)患者に少なくとも第二回目の投与量の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、化合物またはその薬学的に許容される塩の該第二回目の投与量が化合物またはその薬学的に許容される塩の該第一回目の投与量より少なくとも約50%少ないものであるステップ、そしてiii)患者に一回のCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。
【1230】
この投与量漸減実施態様の種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量は、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約60パーセント少ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約70パーセント少ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約80パーセント少ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約90パーセント少ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約95パーセント量ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約96パーセント量ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約97パーセント少ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約98パーセント少ない、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約99パーセント少ないまたは化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量より少なくとも約99.5パーセント少ないものであり得る。
【1231】
ここに記載する投与量漸減実施態様の種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量は約100nmole/kg~約1000nmole/kg患者体重、約100nmole/kg~約900nmole/kg患者体重、約100nmole/kg~約800nmole/kg患者体重、約100nmole/kg~約700nmole/kg患者体重、約100nmole/kg~約600nmole/kg患者体重、約200nmole/kg~約600nmole/kg患者体重、約400nmole/kg~約600nmole/kg患者体重または約500nmole/kg患者体重であり得る。
【1232】
ここに記載する投与量漸減実施態様の種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量は約0.5nmole/kg~約500nmole/kg患者体重、約0.5nmole/kg~約450nmole/kg患者体重、約0.5nmole/kg~約400nmole/kg患者体重、約0.5nmole/kg~約350nmole/kg患者体重、約0.5nmole/kg~約300nmole/kg患者体重、約1nmole/kg~約300nmole/kg患者体重、約2nmole/kg~約300nmole/kg患者体重、約2nmole/kg~約250nmole/kg患者体重、約5nmole/kg~約40nmole/kg患者体重または約40nmole/kg~約150nmole/kg患者体重であり得る。
【1233】
ここに記載する投与量漸減実施態様のさらなる実施態様において、方法は化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量を投与するステップをさらに含み得て、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回目の投与量は化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量と同じである。他の実施態様において、方法は化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量を投与するステップをさらに含み得て、該化合物またはその薬学的に許容される塩の第四回目の投与量は第二回目の投与量またはその薬学的に許容される塩および化合物またはその薬学的に許容される塩の第三回の投与量目と同じである。さらに他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目後に投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目に対して癌の増殖阻害を維持し得る。
【1234】
ここに記載する投与量漸減実施態様の他の実施態様において、CAR T細胞を約100万のCAR T細胞~約4000万のCAR T細胞の投与量で投与できる。さらに他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目後に投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量を週に1回または2回投与できる。
【1235】
さらにここに記載する投与量漸減実施態様の他の実施態様において、方法は患者に葉酸、葉酸を含むコンジュゲート(ここで、該葉酸を含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与するステップをさらに含み得る。他の実施態様において、CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が患者に投与され、該薬剤がCAR T細胞の該化合物またはその薬学的に許容される塩への結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤であるおよび薬剤がフルオレセインアミン、フルオレセインナトリウムまたはフルオレセインである。さらに他の実施態様において、薬剤がフルオレセインナトリウムである。
【1236】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一回目の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含み、そして、該化合物またはその薬学的に許容される塩がCAR T細胞を含むCAR T細胞組成物の投与の少なくとも約1時間前に患者に投与され、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含むものであるステップ、ii)次いで患者に一定投与量の該CAR T細胞組成物を投与するステップ、そしてiii)次いで患者に第二回目の投与量の該化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む。この前処置実施態様の種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第一回目の投与量が、CAR T細胞組成物の投与少なくとも約2時間前、CAR T細胞組成物の投与少なくとも約4時間前、CAR T細胞組成物の投与少なくとも約8時間前、CAR T細胞組成物の投与少なくとも約12時間前、CAR T細胞組成物の投与少なくとも約16時間前、CAR T細胞組成物の投与少なくとも約20時間前またはCAR T細胞組成物の投与少なくとも約24時間前に患者に投与され得る。
【1237】
この前処置実施態様の種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の第二回目の投与量が、CAR T細胞組成物投与少なくとも約24時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約20時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約18時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約16時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約14時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約12時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約10時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約8時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約6時間後までに、CAR T細胞組成物投与少なくとも約4時間後までにまたはCAR T細胞組成物投与少なくとも約2時間後までに患者に投与され得る。
【1238】
この前処置実施態様の種々のさらなる実施態様において、患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出は生じないが、癌に対するCAR T細胞毒性は生じるまたはオフターゲット組織毒性は患者において生じないが、癌に対するCAR T細胞毒性は生じるまたは癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズが減少するが、オフターゲット毒性は生じないまたは患者における腫瘍サイズ減少がCAR T細胞組成物の投与前に化合物またはその薬学的に許容される塩で前処置されていない患者より大きい。当業者に理解されるとおり、「標的」は癌(例えば腫瘍)であり得る。
【1239】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に向けられたCARを含み、そして、該小分子リガンドがPSMAリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップを含む。この実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは式
【化67】
を有し得る。
【1240】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該化合物がリンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドを含むものであるステップ、そしてii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CARがCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含み、そして、該小分子リガンドがCAIXリガンドであり、該標的化部分がFITCであるものであるステップを含む。この実施態様において、リンカーにより標的化部分に連結された小分子リガンドは式
【化68】
を有し得る。
【1241】
さらに他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に第一化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第一化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたPSMAリガンドを含むものであるステップ、ii)患者に第二化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップであって、該第二化合物またはその薬学的に許容される塩がリンカーによりFITCに連結されたCAIXリガンドを含むものであるステップ、そしてiii)患者にCAR T細胞組成物を投与するステップであって、該CAR T細胞組成物がCAR T細胞を含み、そして、該CAR T細胞が標的化部分に指向されたCARを含むものであるステップを含む。この実施態様において、第一化合物は式
【化69】
を有し得て、第二化合物は式
【化70】
を有し得る。
【1242】
ここに記載する方法のある実施態様において、癌は、患者への化合物もしくはその薬学的に許容される塩の投与前または患者へのCAR T細胞組成物の投与前に造影される。ある説明的実施態様において、造影をPET造影により行う。他の説明的実施態様おいて、造影をMRI造影またはSPECT/CT造影により行う。造影方法は、当分野で知られる任意の適当な造影方法であり得る。ある実施態様において、造影方法は、ここに記載するタイプの造影に適する造影剤に連結する以外、ここに記載される小分子リガンドの使用を含む。
【1243】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、患者におけるオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出は、癌に対するCAR T細胞毒性が生じても、生じない可能性がある。ここに記載するあらゆる実施態様において、オフターゲット組織毒性は、癌に対するCAR T細胞毒性が生じてさえも、患者において生じない可能性がある。ここに記載するあらゆる実施態様において、癌は腫瘍を含み得て、オフターゲット毒性が生じなくても、患者における腫瘍サイズは減少し得る。ここに記載する実施態様の何れにおいても、CRSは低減または予防され得て、該方法は、患者における腫瘍体積を減少させ得る。ここに記載するあらゆる実施態様において、CRSによる体重減少は低減または阻止され得る。ここに記載するあらゆる実施態様において、癌は腫瘍を含み得て、腫瘍に対する完全応答が得られ得る。
【1244】
ここに記載する方法の他の実施態様において、ここに記載する方法の何れも単独で使用でき、またはここに記載する方法の何れも、ここに記載する任意の他の1以上の方法と組み合わせて使用できる。
【実施例
【1245】
実施例1
FITC-葉酸の合成
【化71】
葉酸-γ-エチレンジアミンを、テトラメチルグアニジンおよびジイソプロピルアミンの存在下、無水ジメチルスルホキシド(DMF)中でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)異性体I(Sigma-Aldrich)とカップリングさせた。粗生成物をXterra RP18分取HPLCカラム(Waters)に負荷し、20mL/分の流速で、99%5mM リン酸ナトリウム(移動相A、pH7.4)および1%アセトニトリル(移動相B)から開始し、10分間かけて90%Aおよび10%Bに到達する勾配条件で溶出した。これらの条件下、FITC-葉酸主ピークは、一般に27~50分間かけて溶出した。FITC-葉酸フラクションの品質を、UV検出器を備えた分析的逆相HPLCでモニターした。98.0%純度(LCMS)を超えるフラクションを凍結乾燥して、最終FITC-葉酸生成物を得た。当分野で知られるとおり、この構造を有する化合物はEC17とも称される。
【1246】
実施例2
FITC-PEG12-葉酸の合成
【化72】
ユニバーサルポリエチレングリコール(PEG)Nova TagTM樹脂(0.2g)をペプチド合成容器に入れ、イソプロピルアルコール(i-PrOH)(3×10mL)およびジメチルホルムアミド(DMF、3×10mL)で洗浄した。9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)脱保護を20%ピペリジンのDMF溶液(3×10mL)を使用して実施した。反応進行評価のために、カイザーテストを実施した。次いで、容器にFmoc-L-グルタミン酸5-tert-ブチルエステル(Fmoc-Glu-(O-t-Bu)-OH)(23.5mg)のDMF溶液、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(i-PrNEt)(4当量)およびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(2当量)を入れた。Fmoc脱保護を20%ピペリジンのDMF溶液(3×10mL)を使用して実施した。次いで、容器にN10-TFA-Pte-OH(22.5mg)、DMF、i-PrNEt(4当量)およびPyBOP(2当量)の溶液を入れた。アルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。ジクロロメタン(DCM)で樹脂を膨潤させた後、DCM/トリフルオロエタン(TFE)中の1M ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の溶液(1:1)(2×3mL)を加えた。アルゴンで1時間バブリングし、溶媒を除去し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、Fmoc-NH-(PEG)12-COOH(46.3mg)のDMF溶液、i-PrNEt(4当量)およびPyBOP(2当量)を加えた。アルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。Fmoc脱保護を20%ピペリジンのDMF溶液(3×10mL)を使用して実施した。反応進行評価のために、カイザーテストを実施した。次いで、容器にFITC(Life Technologies 21.4mg)のDMF溶液およびi-PrNEt(4当量)を入れ、次いでアルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。次いで、容器に2%NHNHのDMF溶液(2×2mL)を加えた。最終化合物をTFA:HO:トリイソプロピルシラン(TIS)(95:2.5:2.5)(開裂溶液)を使用して樹脂から開裂させ、減圧下濃縮した。濃縮生成物をEtOで沈殿させ、減圧下乾燥させた。粗生成物を分取RP-HPLC(移動相:A=10mM 酢酸アンモニウムpH=7、B=ACN;方法:13mL/分で30分間かけて0%B~30%B)を使用して精製した。純粋なフラクションを集め、凍結乾燥し、FITC-PEG12-葉酸を得た。
【1247】
実施例3
FITC-PEG20-葉酸の合成
【化73】
エチレンジアミン、ポリマー結合(200~400メッシュ)樹脂(50mg)をペプチド合成容器に入れ、DCM(3mL)、続いてDMF(3mL)で膨潤させた。次いで、容器にDMF中Fmoc-PEG20-COOH溶液(131mg、1.0当量)、i-PrNEt(6.0当量)およびPyBOP(4.0当量)を入れた。アルゴンで6時間バブリングし、カップリング溶液を排液し、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄した。反応進行評価のために、カイザーテストを実施した。Fmoc脱保護を20%ピペリジンのDMF溶液(3×10mL)を使用して実施し、その後各アミノ酸カップリングをした。上記の一連を繰り返し、Fmoc-Glu-OtBu(72mg、2.0当量)とTfa.プテロイン酸(41mg、1.2当量)カップリング工程カップリング工程の反応を完了させた。樹脂を2%ヒドラジンのDMF溶液3×10mL(5分)で洗浄して、プテロイン酸のトリフルオロアセチル保護基を開裂し、i-PrOH(3×10mL)、続いてDMF(3×10mL)で洗浄した。樹脂を、アルゴン下30分間乾燥させた。葉酸-ペプチドを、開裂溶液を使用して樹脂から開裂させた。10mLの開裂混合物を入れ、アルゴンで1.5時間バブリングした。開裂混合物を、清潔なフラスコに排液した。樹脂をさらなる開裂混合物で3回洗浄した。合わせた混合物を、小体積(約5mL)まで減圧下濃縮し、エチルエーテルで沈殿させた。
沈殿を遠心分離により集積し、エチルエーテル(3回)で洗浄し、高減圧下乾燥させた。乾燥葉酸-PEG20-EDA(1.0当量)を、室温でFITC(50mg、1.5当量)のDMSO溶液およびDIPEAで処理した。LCMSで反応の進行をモニターした。8時間後、出発物質は消費されて、生成物を得た。粗反応混合物を分取HPLC(移動相A=10mM 酢酸アンモニウム、pH=7;有機相B=アセトニトリル;方法:13mL/分で35分間かけて0%B~30%B)で精製し、FITC-PEG20-葉酸を60%収率で得た。
【1248】
実施例4
FITC-PEG108-葉酸の合成
【化74】
エチレンジアミン、ポリマー結合(200~400メッシュ)樹脂(50mg)をペプチド合成容器に入れ、DCM(3mL)、続いてDMF(3mL)で膨潤させた。次いで、容器にDMF中Fmoc-PEG36-COOH溶液(161mg、1.0当量)、i-PrNEt(6.0当量)およびPyBOP(4.0当量)を入れた。アルゴンで6時間バブリングし、カップリング溶液を排液し、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄した。反応進行評価のために、カイザーテストを実施した。Fmoc脱保護を20%ピペリジンのDMF溶液(3×10mL)を使用して実施し、その後各アミノ酸カップリングをした。上記の一連を繰り返し、2×Fmoc-PEG36-COOH(161mg、1.0当量)、Fmoc-Glu-OtBu(72mg、2.0当量)およびTfa.プテロイン酸(41.0mg、1.2当量)カップリング工程の反応を完了させた。最後に、樹脂を2%ヒドラジンのDMF溶液3×10mL(5分)で洗浄して、プテロイン酸のトリフルオロアセチル保護基を開裂し、i-PrOH(3×10mL)、続いてDMF(3×10mL)で洗浄した。樹脂を、アルゴン下30分間乾燥させた。葉酸-ペプチドを、開裂溶液を使用して樹脂から開裂させた。10mLの開裂混合物を入れ、アルゴンで1.5時間バブリングした。開裂混合物を、清潔なフラスコに排液した。樹脂をさらなる開裂溶液で3回洗浄した。合わせた混合物を、小体積(約5mL)まで減圧下濃縮し、エチルエーテルで沈殿させた。
沈殿を遠心分離により回収し、エチルエーテル(3×)で洗浄し、高減圧下乾燥させた。乾燥葉酸-PEG108-EDA(1.0当量)を、室温でFITC(50mg、1.5当量)のDMSO溶液およびDIPEAで処理した。LCMSにより反応進行をモニターした。10時間後、出発物質は消費されて、生成物を得た。粗反応混合物を分取HPLC(移動相A=10mM 酢酸アンモニウム、pH=7;有機相B=アセトニトリル;方法:13mL/分で35分間かけて0%B~30%B)で精製し、FITC-PEG108-葉酸を64%収率で得た。
【1249】
実施例5
FITC-DUPAの合成
【化75】
DUPA-FITCを、次の固相法により合成した。普遍的Nova TagTM樹脂(50mg、0.53mM)をDCM(3mL)、続いてDM(3mL)で膨潤させた。20%ピペリジンのDMF溶液(3×3mL)を樹脂に加え、アルゴンで5分間バブリングした。樹脂をDMF(3×3mL)およびイソプロピルアルコール(i-PrOH、3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、DUPA-(OtBu)-OH(1.5当量)、HATU(2.5当量)およびi-PrNEt(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DCMで樹脂を膨潤させた後、DCM/TFE(1:1)中1M HOBt溶液(2×3mL)を加えた。アルゴンで1時間バブリングし、溶媒を除去し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、溶液of Fmoc-Phe-OH(2.5当量)、HATU(2.5当量)およびDIPEA(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。上記の一連を、8-アミノオクタン酸およびフルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンBイソチオシアネートの添加について、さらに2カップリング工程繰り返した。最終化合物を、開裂溶液を使用して樹脂から開裂させ、減圧下濃縮した。濃縮生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、減圧下乾燥させた。粗生成物を、分取逆相-HPLC[λ=488nm;溶媒勾配:25分間かけて1%B~80%B、80%Bを30分間流した;A=10mM NHOAc、pH=7;B=アセトニトリル(ACN)]を使用して精製した。ACNを減圧下除去し、精製フラクションを凍結乾燥して、FITC-DUPAを帯褐色~橙色固体として得た。逆相-HPLC:tR=8.0分(A=10mM NHOAc、pH=7.0;B=ACN、溶媒勾配:10分間かけて1%B~50%B、80%Bを15分間溶出した)。1H NMR (DMSO-d6/D2O): δ 0.98-1.27 (ms, 9H); 1.45 (b, 3H); 1.68-1.85 (ms, 11H); 2.03 (m, 8H); 2.6-3.44 (ms, 12H); 3.82 (b, 2H); 4.35 (m, 1H); 6.53 (d, J=8.1 Hz, 2H), 6.61 (dd, J=5.3, 3.5 Hz, 2H); 6.64 (s, 2H); 7.05 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.19 (m, 5H); 7.76 (d, J=8.0 Hz, 1H); 8.38 (s, 1H). HRMS (ESI)(m/z):C51H59N7O15Sの(M+H)+計算値, 1040.3712, 実測値, 1040.3702. UV/vis: λ max=491nm
【1250】
実施例6
FITC-PEG12-DUPAの合成
【化76】
1,2-ジアミノエタントリチル樹脂(0.025g)をペプチド合成容器に入れ、i-PrOH(3×10mL)、続いてDMF(3×10mL)で洗浄した。次いで、容器にFmoc-NH-(PEG)12-COOH(42.8mg)のDMF溶液、i-PrNEt(2.5当量)およびPyBOP(2.5当量)の溶液を入れた。得られた溶液をArで1時間バブリングし、カップリング溶液を排液し、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄した。反応進行評価のために、カイザーテストを実施した。Fmoc脱保護を20%ピペリジンのDMF溶液(3×10mL)を使用して実施した。この工程を、全カップリング工程を完了させるために繰り返した(2×1.5当量のFmoc-Phe-OHおよび1.5当量の8-アミノオクタン酸および1.2当量のDUPAを、各カップリング工程の各々で使用した)。DUPAカップリング後、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄し、減圧下乾燥させた。ペプチドを、開裂溶液を使用してペプチド合成容器で樹脂から開裂させた。15mLの開裂溶液をペプチド合成容器に加え、反応物をArで15分間バブリングした。樹脂を、2回のさらなる10mL量の開裂溶液で、各5分間処理した。開裂混合物を約5mLまで濃縮し、エチルエーテルで沈殿させた。沈殿を遠心分離により分離し、エチルエーテル(3×)で洗浄し、高真空下乾燥させ、粗物質を取得した。粗DUPA-(PEG)12-EDA(10mg)およびFITC(5.6mg)のジメチルスルホキシド(DMSO、1mL)中の撹拌溶液に、i-PrNEt(5当量)を室温で加え、アルゴン下6時間撹拌した。LCMSで反応をモニターし、分取HPLC(移動相:A=10mM 酢酸アンモニウムpH=7、B=ACN;方法:13mL/分で30分間かけて0%B~50%B)で精製した。精製フラクションを集め、凍結乾燥し、FITC-PEG12-DUPAを得た。
【1251】
実施例7
FITC-PEG11-NK1の合成
【化77】
撹拌中のNK-1(0.02g、0.0433mmol、1.0当量)、O-(2-アミノエチル)-O’-[2-(Boc-アミノ)エチル]デカエチレングリコール(BocNH-PEG11-NH)(Sigma、0.0336g、0.0521mmol、1.2当量)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(0.027g、0.0521mmol、1.2当量)の乾燥CHCl溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.076mL、0.4338mmol、10当量)をアルゴン下、室温で加えた。LCMSにより反応進行をモニターし、分取逆相-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、30分間かけて10~100%Bの勾配、13mL/分、λ=220nm、254nm)で精製した。純粋なフラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥して、NK1-PEG11-NHBocを得た。収量:40.13mg(97%)。NK1-PEG11-NHBoc(0.0165g、0.015mmol)の乾燥DCM溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、20当量)を加え、反応混合物を4時間、r.t.で撹拌した。過剰のTFAを除去し、残存溶液を水で希釈し、CHCl(3×5mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。得られた残留物を減圧下乾燥させ、さらに精製することなく次工程で使用した。撹拌中のNK1-PEG11-NH(0.008g、0.0081mmol、1.0当量)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Sigma、0.0037g、0.0097mmol、1.2当量)の乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO、0.3mL)中の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.0028mL、0.0162mmol、2.0当量)に室温で、アルゴン下加えた。LCMSにより反応進行をモニターし、生成物を、分取逆相-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、30分間かけて10~100%Bの勾配、13mL/分、λ=280nm)により精製した。純粋なフラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥して、FITC-PEG11-NK1を8.54mg(77%)の収量で得た。
注:NK-1化合物を、文献法を使用して製造した塩基リガンドから出発する2工程法で合成した。(参照:DESIGN AND DEVELOPMENT OF NEUROKININ-1 RECEPTOR-BINDING AGENT DELIVERY CONJUGATES、出願番号PCT/US2015/44229;引用により本明細書に包含させる)。
【1252】
実施例8
FITC-PEG2-CA9の合成
【化78】
CA9リガンド(53.6mg)を、Teflon磁気撹拌棒を使用して50mL丸底フラスコでDMF溶液(2~3mL)に溶解させた。外気を減圧と窒素ガスへの置換を使用して除き、これを3サイクル行った。丸底フラスコを、定速窒素ガス流下に維持した。このフラスコに、28.9mgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)、続いて21.6mg 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)および18.9μLのBoc-PEG-NH(Sigma Aldrich)を加えた。5.4μLのトリエチルアミン(TEA)を加え、反応物を一夜撹拌した。反応混合物をHPLCを使用して精製し、UHPLC-MS(目的m/z831)で確認した。アセトニトリルを、高減圧回転蒸発を使用して除去し、生成物を凍結乾燥した。化合物を、1:1 TFA:DCMと30分間混合した。TFA/DCMを、高減圧回転蒸発、続いて30分間高減圧を使用して除去した。次いで、化合物をDMFに溶解し、5モル当量のi-PrNEt、16mgのフルオレセインイソチオシアネート(Life Technologies)と合わせ、1時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、目的化合物をUHPLC-MS(目的m/z1120)で確認した。サンプルを凍結乾燥し、-20℃で保存した。
【1253】
実施例9
抗FITC CAR T細胞活性化はFITC-リガンド投与中断または過剰量の競合剤小分子の導入により制御され得る
MDA-MB-231細胞をNSGマウス(Jackson Laboratory)の肩に皮下注射し、固形腫瘍異種移植を確立させた。腫瘍体積が約50~100mmに達したら、抗FITC CAR T細胞(15×10細胞)を腫瘍担持マウスに静脈内的に導入した。20 NSGマウスを4試験群に分けた(各群5動物)。第一群は陰性対照として抗FITC CAR T細胞とリン酸緩衝化食塩水(PBS)で処置した。第二、第三および第四群は抗FITC CAR T細胞とFITC-葉酸(500nmole/kg)で、隔日で処置した。顕著な毒性(例えば重度の体重減少)が検出されたら、これらの群を、継続FITC-葉酸投与(第二群);マウスが回復するまでFITC-葉酸投与中断(第三群);またはマウスが回復するまで100倍過剰のEC0923(すなわち遊離葉酸)とFITC-葉酸の混合物(第四群)のいずれかで処置した。毒性をモニターするために、体重を定期的に測定した。さらに、抗FITC CAR T活性化の程度をモニターするために、各処置群でインターフェロン(IFN)-ガンマの血中濃度を測定した。最後に、各処置群で抗腫瘍有効性を同定するために腫瘍体積を測定した。
【1254】
図1Aは、各処置群の体重変化を示す。PBS処置群以外の各処置群は、2回目のFITC-葉酸(1日目および2日目)後、抗FITC CAR T細胞介在毒性による体重減少を示した。毒性が各群のマウスで検出されたため、各処置群への処置を、上記のとおり(1)FITC-葉酸の継続投与(継続群);(2)4日目および6日目FITC-葉酸注射中断(中断群);および(3)4日目および6日目100倍過剰の遊離葉酸とFITC-葉酸の混合物(競合剤群)に分けた。図1Aに示すとおり、FITC-葉酸注射中止または競合剤分子とFITC-葉酸の混合物の投与で処置された群は、重度抗FITC CAR T細胞介在毒性から回復した(すなわち体重増加)。しかしながら、4日目および6日目にFITC-葉酸で連続的処置であった群は、体重減少し続け、嗜眠状態に至った(すなわち元の体重の>20%減少)。図1Bに示すとおり、相当量のIFN-ガンマが連続投与群で検出された。連続投与群と異なり、IFN-ガンマ濃度は中断群および競合剤群両者で減少した。これらの結果は、抗FITC CAR T細胞活性化がこの方法で制御でき、CAR T細胞介在毒性の改善をもたらすことを示す。図1Cは処置第一週目での各処置群のマウスの生存を要約する(%)。抗FITC CAR T細胞による毒性が連続投与群で検出されたため、連続投与群におけるマウスのわずか40%(すなわち5マウス中2マウス)が処置で生存可能であった。しかしながら、図1Cに示すとおり、中断群および競合剤群両者の全マウスは、CAR T細胞活性化減少により、CAR T細胞介在毒性を生き延びた。
【1255】
抗FITC CAR T細胞介在毒性が抗FITC CAR T細胞活性化の制御により管理され得るが、抗FITC CAR T細胞活性化の制御が何らかの腫瘍応答減少をもたらすか否かを決定した。それ故に、腫瘍体積を隔日で測定した。図2Aおよび2Bに示すとおり、抗FITC CAR T細胞とPBSで処置した対照群は、予想どおり腫瘍応答を示さなかった。興味深いことに、中断群(100%完全応答)および競合剤群(75%完全応答)は、連続投与群(腫瘍増殖遅延)と比較して、より強力な腫瘍応答を示した。連続投与群における完全応答の欠如は、(1)FITC-葉酸の頻繁すぎる投与が、抗FITC CAR T細胞活性化の減少をもたらす両標的受容体(すなわち癌細胞におけるCAR T細胞および葉酸受容体)の飽和をもたらした;(2)抗FITC CAR T細胞は、連続注射されたFITC-葉酸による癌細胞の繰り返し可能な結合により、超活性化となり始め得ることによるものであり得る。この超活性化は、活性化を阻止するフィードバック応答として、阻害剤機序の顕著な誘導をもたらし得る。すなわち、毒性(実施例9)および腫瘍応答のモニタリングは、抗FITC CAR T細胞活性化の制御が、CAR T細胞の抗腫瘍有効性の喪失なく、CAR T細胞介在毒性(例えばサイトカインストーム)の管理により達成され得ることを示す。
【1256】
実施例10
腫瘍応答に対する抗FITC CAR T細胞制御の効果
5実験群:(1)抗FITC CAR T細胞とPBS;(2)抗FITC CAR T細胞とFITC-葉酸(5nmole/kg);(3)抗FITC CAR T細胞とFITC-葉酸(50nmole/kg);(4)抗FITC CAR T細胞とFITC-葉酸(500nmole/kg);(5)抗FITC CAR T細胞とFITC-葉酸(2500nmole/kg)を、抗FITC CAR T細胞応答とFITC-リガンドの投与量の相関を同定するように設計した。MDA-MB-231細胞をNSGマウス(Jackson Laboratory)の肩に皮下注射し、固形腫瘍異種移植を確立させた。腫瘍体積が約50~100mmに達したら、抗FITC CAR T細胞(15×10細胞)および種々の投与量のFITC-葉酸を、マウスに静脈内的に導入した。
種々の投与量のFITC-葉酸での抗FITC CAR T細胞活性化をモニターするために、IFN-ガンマ濃度を、ビーズベースのイムノアッセイ(BiolegendからのLegendplexキット)によりマウス血中で測定した。腫瘍体積も測定した。各処置群の全般的毒性を、体重減少測定によりモニターした。
図3A~Dは、抗FITC CAR T細胞活性化がFITC-葉酸の濃度に依存することを示す。各処置群におけるINF-ガンマ濃度は、ベル型投与量-応答曲線を示した(図3A)。抗FITC CAR T細胞活性化は、FITC-葉酸投与量増加と正に相関した。しかしながら、FITC-葉酸(2500nmole/kg)の投与量が500nmole/kgを超えたら、CAR T細胞活性化は減少し始めた。これは、おそらくCAR T細胞(例えば抗FITC)および癌細胞(例えば葉酸受容体)両方における標的受容体が、高投与量のFITC-リガンドで別々に飽和され得るという事実による。これは、CAR T細胞と癌細胞の間の架橋としてのFITC-リガンドの機能性を低減させ得る。図3Bに示すとおり、ベル型投与量-応答は、腫瘍応答でも確認された。CAR T細胞の抗腫瘍有効性を、FITC-葉酸喉を増加させることにより(5nmole/kg~500nmole/kg)誘発させた。炎症誘発性サイトカインレベルに類似して、CAR T細胞の抗腫瘍有効性も、高濃度のFITC-葉酸(2500nmole/kg)で減少し始めた。図3Cに示すとおり、最高毒性(すなわちマウスの最低生存率)は500nmole/kgで処置された群で観察され、これはまた最高抗腫瘍有効性も示した。さらに、FITC-葉酸投与量の減少または増加により、CAR T細胞介在毒性は徐々に軽減した。それ故に、抗FITC CAR T細胞活性化がFITC-リガンド投与量に依存的であるため、CAR T細胞介在毒性の管理は、FITC-リガンド投与量の変更により達成され得る。
【1257】
実施例11
抗FITC CAR T細胞活性化シグナルを止めることができる薬物の投与
抗FITC CAR T細胞活性化がT細胞活性化シグナルのメディエーターを阻害する薬剤で抑制され得るかを試験するために、次の薬剤を選択した:(1)成人CMLの処置における使用についてFDAで承認されているダサチニブ(ダサチニブはLCK活性化阻害により天然T細胞活性化を抑制することが知られる)、(2)フェーズ2臨床試験中であるPI3K阻害剤(GDC0980)(PI3KはT細胞活性化に重要な役割を有することが知られる)、(3)T細胞活性化シグナルにも関与する、前臨床段階である誘導性T細胞キナーゼ(ITK、BMS-509744)。CAR T細胞活性化抑制における各薬剤の有効性を試験するために、インビトロCAR T細胞機能的試験(例えば炎症誘発性サイトカイン産生アッセイおよび表面活性化マーカーによるCAR T細胞活性化の程度の評価)を、数濃度の各薬剤存在下で実施した。
【1258】
CAR T細胞機能的試験1:炎症誘発性サイトカイン(例えばIFN-ガンマ)産生アッセイ
ELISAアッセイを、BiolegendからのヒトIFN-ガンマ検出ELISAキットを使用して、各薬剤存在下抗FITC CAR T細胞によるIFN-ガンマ産生レベルをを定量するために実施した。ELISAアッセイを実施するために、各サンプルを、抗FITC CAR T細胞、MDA-MB-231細胞、FITC-リガンドおよび各薬剤の共インキュベーションから得た。MDA-MB-231細胞を、96ウェルプレートの各ウェルで培地中10細胞/100μl密度で前播種し、一夜増殖させた。翌日、CAR T細胞を、MDA-MB-231細胞を播種した各ウェルに導入した。100nM FITC-葉酸を導入して、抗FITC CAR T細胞を活性化させた。0.01nM~100μMの各薬剤を各ウェルに加え、細胞を24時間培養した。共インキュベーション後、上清を取得し、1000gおよび4℃で10分間で遠心分離して、細胞片を除去した。各サンプルからの浄化した上清を直接ELISAによるIFN-ガンマ検出に使用するかまたは-80℃で保存した。ELISAアッセイは、製造業者の指示に従い実施した。
【1259】
CAR T細胞機能的試験2:CAR T細胞活性化の程度の評価
各薬剤存在下、CAR T細胞活性化の程度を同定するために、CAR T細胞の表面を抗CD69抗体で染色した(CD69はT細胞活性化表面マーカーである)。具体的に、CAR T細胞を、FITC-葉酸(100nM)および各薬剤(0.01nM~100μM)存在下、前播種MDA-MB-231細胞と24時間共インキュベートした。共インキュベーション後、CAR T細胞を取得し、氷上で15分間抗CD69抗体で染色した。CAR T細胞を染色緩衝液(2%FBSのPBS溶液)で2回洗浄した。洗浄後、CAR T細胞をフローサイトメトリーで分析した。
図4A~Bは、抗FITC CAR T細胞の活性化が、T細胞活性化シグナルのキーメディエーターの標的指向化により制御され得ることを示す。図4Aおよび4Bに示すとおり、ダサチニブおよびGDC0980は、抗FITC CAR T細胞活性化抑制に有効性を示した。各薬剤存在下(>10nM)、IFN-ガンマ産生は有意に阻害され、抗FITC CAR T細胞はなおFITC-葉酸により癌細胞を標的とした(図4A)。各薬剤を使用するCAR T細胞活性化阻害も、標準T細胞活性化マーカー、CD69のチェックにより確認された。図4Bに示すとおり、活性化CAR T細胞(CD69陽性細胞)は、濃度>10nMの各薬剤存在下減少した。PI3K阻害剤とダサチニブがインビトロでのCAR T細胞活性化の抑制に類似する有効性を示したが、ダサチニブが好ましい可能性がある。
【1260】
実施例12
T細胞調製
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll密度勾配遠心分離(GE Healthcare Lifesciences)を使用して健常ドナーの全血から単離した。次いで、T細胞をEasySepTMヒトT細胞単離キット(STEM CELL technologies)を使用してPBMCから単離した。T細胞を、40~100IU/mL ヒトIL-2(Miltenyi Biotech)、2%ヒトAB型血清および1%ペニシリン/硫酸ストレプトマイシン添加TexMACS培地(Miltenyi Biotech Inc.)で培養した。ダイナビーズヒトT-アクティベーターCD3/CD28(ThermoFisher Scientific)を、T細胞活性化のためにT細胞に1:1比で加えた。活性化12~24時間後、T細胞を、8μg/mL ポリブレン(Santa Cruiz Biotech)存在下、1,200gで90分間、22~32℃でのスピンフェクションによりFITC-CARレンチウイルス粒子で形質導入した。CAR修飾されたもの(CAR-T)およびCAR修飾されていないもの(非形質転換Ts)を含むT細胞混合物を活性化ビーズ存在下6日間培養し、その後活性化ビーズを除去した。蛍光活性化セルソーティングを、GFP発現に基づきCAR-T細胞(GFP陽性)および非形質転換T細胞(GFP陰性)を分類するために使用した。分類されたT細胞を7~15日間培養して、その後マウスに注射した。T細胞混合物を使用したとき、CAR-T細胞および非形質転換T細胞を、マウス注射前に所望の比で混合した。図6~11に示すデータは、これらの方法で調製したT細胞で得た。
【1261】
実施例13
CAR遺伝子をコードするレンチウイルスベクターの産生
重複PCR方法を使用して、フルオレセインに対するscFvを含むCAR構築物を産生した。抗フルオレセイン(4-4-20)抗体由来のフルオレセインに対するscFv、4M5.3(Kd=270fM、762bp)を合成した。ヒトCD8αシグナルペプチド(SP、63bp)、ヒンジおよび膜貫通領域(249bp)、4-1BBの細胞質ドメイン(CD137、141bp)およびCD3ζ鎖(336bp)をコードする配列を、図5に示すとおり、抗フルオレセインcFVと重複PCRにより融合させた。得られたCAR構築物(1551bp)をEcoRI/NotI開裂レンチウイルス発現ベクターpCDH-EF1-MCS-(PGK-GFP)に挿入した(図5、System Biosciences)。レンチウイルスベクターにおけるCAR構築物の配列をDNAシークエンシングにより確認した。ここで特に断らない限り、本実施例のデータの作成に使用したCAR構築物は配列番号1の核酸配列および配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【1262】
典型的CAR核酸コード化は次のものを含み得る。
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGGATGTCGTGATGACCCAGACCCCCCTCAGCCTCCCAGTGTCCCTCGGTGACCAGGCTTCTATTAGTTGCAGATCCAGCCAGTCCCTCGTGCACTCTAACGGTAATACCTACCTGAGATGGTATCTCCAGAAGCCCGGACAGAGCCCTAAGGTGCTGATCTACAAAGTCTCCAACCGGGTGTCTGGAGTCCCTGACCGCTTCTCAGGGAGCGGTTCCGGCACCGACTTCACCCTGAAGATCAACCGGGTGGAGGCCGAAGACCTCGGCGTCTATTTCTGCTCTCAGAGTACACATGTGCCCTGGACCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGGAGATCAAAAGCTCCGCAGACGATGCCAAGAAAGATGCCGCTAAGAAAGACGATGCTAAGAAAGACGATGCAAAGAAAGACGGTGGCGTGAAGCTGGATGAAACCGGAGGAGGTCTCGTCCAGCCAGGAGGAGCCATGAAGCTGAGTTGCGTGACCAGCGGATTCACCTTTGGGCACTACTGGATGAACTGGGTGCGACAGTCCCCAGAGAAGGGGCTCGAATGGGTCGCTCAGTTCAGGAACAAACCCTACAATTATGAGACATACTATTCAGACAGCGTGAAGGGCAGGTTTACTATCAGTA
GAGACGATTCCAAATCTAGCGTGTACCTGCAGATGAACAATCTCAGGGTCGAAGATACAGGCATCTACTATTGCACAGGGGCATCCTATGGTATGGAGTATCTCGGTCAGGGGACAAGCGTCACAGTCAGTTTCGTGCCGGTCTTCCTGCCAGCGAAGCCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAACCACAGGAACCGTTTCTCTGTTGTTAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA(配列番号1)。
【1263】
上記典型的核酸配列(配列番号1)において、最初のATGは開始コドンである。典型的CARアミノ酸配列は次のものを含み得る。
MALPVTALLLPLALLLHAARPDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLRWYLQKPGQSPKVLIYKVSNRVSGVPDRFSGSGSGTDFTLKINRVEAEDLGVYFCSQSTHVPWTFGGGTKLEIKSSADDAKKDAAKKDDAKKDDAKKDGGVKLDETGGGLVQPGGAMKLSCVTSGFTFGHYWMNWVRQSPEKGLEWVAQFRNKPYNYETYYSDSVKGRFTISRDDSKSSVYLQMNNLRVEDTGIYYCTGASYGMEYLGQGTSVTVSFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号2)
【1264】
典型的インサートは次のものを含み得る。
GCCACCATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGGATGTCGTGATGACCCAGACCCCCCTCAGCCTCCCAGTGTCCCTCGGTGACCAGGCTTCTATTAGTTGCAGATCCAGCCAGTCCCTCGTGCACTCTAACGGTAATACCTACCTGAGATGGTATCTCCAGAAGCCCGGACAGAGCCCTAAGGTGCTGATCTACAAAGTCTCCAACCGGGTGTCTGGAGTCCCTGACCGCTTCTCAGGGAGCGGTTCCGGCACCGACTTCACCCTGAAGATCAACCGGGTGGAGGCCGAAGACCTCGGCGTCTATTTCTGCTCTCAGAGTACACATGTGCCCTGGACCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGGAGATCAAAAGCTCCGCAGACGATGCCAAGAAAGATGCCGCTAAGAAAGACGATGCTAAGAAAGACGATGCAAAGAAAGACGGTGGCGTGAAGCTGGATGAAACCGGAGGAGGTCTCGTCCAGCCAGGAGGAGCCATGAAGCTGAGTTGCGTGACCAGCGGATTCACCTTTGGGCACTACTGGATGAACTGGGTGCGACAGTCCCCAGAGAAGGGGCTCGAATGGGTCGCTCAGTTCAGGAACAAACCCTACAATTATGAGACATACTATTCAGACAGCGTGAAGGGCAGGTTTACTATCAGTA
GAGACGATTCCAAATCTAGCGTGTACCTGCAGATGAACAATCTCAGGGTCGAAGATACAGGCATCTACTATTGCACAGGGGCATCCTATGGTATGGAGTATCTCGGTCAGGGGACAAGCGTCACAGTCAGTTTCGTGCCGGTCTTCCTGCCAGCGAAGCCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAACCACAGGAACCGTTTCTCTGTTGTTAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA(配列番号3)
【1265】
上記典型的インサート(配列番号3)において、最初のGCCACC配列は制限酵素開裂部位、続いてATGコドンであり得る。コード化アミノ酸配列は次のものを含み得る。
MALPVTALLLPLALLLHAARPDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLRWYLQKPGQSPKVLIYKVSNRVSGVPDRFSGSGSGTDFTLKINRVEAEDLGVYFCSQSTHVPWTFGGGTKLEIKSSADDAKKDAAKKDDAKKDDAKKDGGVKLDETGGGLVQPGGAMKLSCVTSGFTFGHYWMNWVRQSPEKGLEWVAQFRNKPYNYETYYSDSVKGRFTISRDDSKSSVYLQMNNLRVEDTGIYYCTGASYGMEYLGQGTSVTVSFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号2)
【1266】
実施例14
ヒトT細胞形質導入のためのCAR遺伝子を含むレンチウイルスの産生
抗フルオレセイン(すなわち、抗FITC)一本鎖フラグメント可変(scFv)CARを含むレンチウイルスウイルスを産生するために、HEK-293TNパッケージング細胞株を、抗フルオレセインcFv CARをコードするレンチウイルスベクターおよび第二世代のレンチウイルスパッケージングプラスミドミックス(Cellecta)またはViraPowerレンチウイルスパッケージングミックス(ThermoFisher)で共トランスフェクトした。トランスフェクション24時間および48時間後、CAR遺伝子含有レンチウイルスを含む上清を取得し、ウイルス粒子を、ヒトT細胞での将来的形質導入のために標準ポリエチレングリコールウイルス濃度方法(Clontech)で濃縮した。
【1267】
実施例15
ヒトPBMCからのヒトT細胞の単離
T細胞を、Ficoll密度勾配遠心分離(GE Healthcare Lifesciences)によりヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離した。残存Ficoll溶液を洗い流した後、T細胞をEasySepTM ヒトT細胞単離キット(STEM CELL technologies)を使用して単離した。精製T細胞を、ヒトIL-2(100IU/mL、Miltenyi Biotech Inc.)存在下、1%ペニシリンおよび硫酸ストレプトマイシン添加TexMACSTM培地(Miltenyi Biotech Inc.)で培養した。T細胞を、多ウェルプレートで1×10細胞/mLの密度で培養した。T細胞を、2~3日毎に分け、再給餌した。
【1268】
実施例16
ヒトT細胞の形質導入
単離T細胞を、ヒトIL-2(100IU/mL)存在下、抗CD3/CD28抗体と結合したダイナビーズ(Life Technologies)で12~24時間活性化し、次いで抗フルオレセインCAR遺伝子をコードするレンチウイルスで形質導入した。細胞を72時間後に取得し、形質導入T細胞のCAR発現をフローサイトメトリーを使用するGFP蛍光細胞の測定により同定した。
【1269】
実施例17
CAR T細胞の抗腫瘍有効性のインビボ試験
免疫不全NSGマウス(Jackson Laboratory)を、インビボでのCAR T細胞抗腫瘍活性の有効性の同定に使用した。葉酸受容体発現MDA-MB-231癌細胞株を、NSGマウスの背面に皮下注射して、固形腫瘍異種移植を確立させた。腫瘍体積が約100~300mmに達したら、所望の濃度のEC17(図の説明文に記載するとおり)を4時間導入し、その後腫瘍担持マウスに所望の数のCAR T細胞(図の説明文に記載するとおり)を投与した。EC17およびCAR T細胞の初期投与後、所望の濃度のEC17(図の説明文に記載するとおり)を、週3回でまた導入した(i.v.)。対照マウスはCAR修飾がないT細胞を投与された。他の対照マウスは、CAR-Tを投与されたが、EC17の代わりにPBSを投与した。抗腫瘍有効性を腫瘍体積によりモニターした。治療の全般的毒性を体重減少、肉眼的動物形態学および行動によりモニターした。
【1270】
架橋投与量調節は、抗腫瘍効果を維持しながらサイトカイン放出および毒性を軽減し得る。図6A~Dの説明文に示すとおり、T細胞またはCAR T細胞を、マウスに0nmole/kg、20nmole/kg、100nmole/kg、500nmole/kg、1500nmole/kgまたは10000nmole/kgのEC17と共にとよした。腫瘍体積(図6A)および体重変化(図6B)を74日間にわたり測定した。各EC17投与量の最大体重減少パーセンテージを図6Cに示す。重度サイトカイン放出症候群を示すマウス数および各群のマウス総数を括弧内に示す。各EC17投与量でsCRSを示すマウスのパーセンテージを図6Dに示す。高EC17投与量(500nmole/kg)のコホートのマウスと比較して、20nmole/kgおよび100nmole/kg EC17投与量のコホートのマウスは、全マウスとも完治に到達しながら、sCRSが低パーセンテージであり、体重減少が少なかった。過飽和架橋EC17投与量(1500nmole/kgおよび10000nmole/kg)で、sCRSを示すマウスは少なかったが、治癒に到達したマウスも少なかった。
【1271】
CAR-T投与量減少またはCAR-T投与量の2回分への分割は、抗腫瘍有効性を維持しながら重度サイトカイン放出症候群を回避し得る。EC17投与量を500nmole/kgで固定した。図8A~Dの説明文に示すとおり、種々のCAR T投与量をマウスに導入した。腫瘍体積(図8A)および体重(図8B)を56日間にわたり測定した。重度サイトカイン放出症候群を示すマウス数および各群のマウス総数を括弧内に示す。各CAR T投与量での最大体重減少パーセンテージを図8Cに示す。各CAR T投与量でsCRSを示すマウスのパーセンテージを図8Dに示す。
【1272】
CAR T細胞投与量およびEC17投与量の調節は腫瘍サイズに影響を与え得る。T細胞またはCAR T細胞を、マウスに100nmole/kgまたは500nmole/kgのEC17と共に投与した。図9A~Bの説明文に示すとおり、対照またはCAR T細胞を種々の濃度のEC17と共に投与した。腫瘍体積(図9A)および体重(図9B)を75日間測定した。重度サイトカイン放出症候群を示すマウス数および各群のマウス総数を括弧内に示す。最適化EC17量およびCAR T数で、完治に到達しながら、マウスは2%しか体重減少しなかった。
【1273】
第二回目のT細胞におけるCAR T細胞の存在は腫瘍サイズに影響を与え得る。図10A~Cの説明文に示すとおり、第二回目のT細胞無し、2000万の非形質転換T細胞での第二回目または非形質転換T細胞とCAR T細胞の混合物での第二回目をマウスに投与した。腫瘍体積(図10A)および体重(図10B)を経時的に測定した。CAR T細胞混合物注射2週間後の患者血液50μlにおける測定されたCAR T細胞/正常T細胞の量を、第二回目のT細胞無しの処置について1マウスおよび2000万の非形質転換T細胞での第二回目または非形質転換T細胞とCAR T細胞の混合物での第二回目での処置群で各2マウスについて図10Cに示す。図10Cはまた正常T細胞およびCAR T細胞の測定量の対応するフローサイトメトリープロットおよびCAR T細胞混合物注射4週間後の対応する腫瘍体積も示す。
【1274】
EC17投与量スケジュールの調節は毒性を低減し、かつ腫瘍サイズに影響を与え得る。図11A~Bの説明文に示すとおり、CAR T細胞およびEC17を、種々の投与スケジュールを使用してマウスに投与した。腫瘍体積(図11A)および体重(図11B)を経時的に測定した。重度サイトカイン放出症候群を示すマウス数および各群のマウス総数を括弧内に示す。架橋投与頻度調節(週3回(TIW)から週1回(SIW))は毒性を軽減し、良好な抗腫瘍効力を達成し得る。
【1275】
実施例18
インビボでのCAR T細胞処置中のEC0923のレスキュー能試験
CAR T細胞を腫瘍担持マウスに導入し、EC17も週3回導入した(i.v.)。重度サイトカイン放出症候群が観察されたとき、10μmole/kgのEC0923の1投与量を、マウスのレスキューのために導入した。マウスをさらに4日間モニターし、一部を臓器評価のために屠殺した。処置6時間、1日および4日後のEC0923で処置したまたは処置していないマウスからの臓器を図7に示す。1投与量のEC0923を与えたマウスは、4時間後移動し、餌を探し始め、脾臓および肝臓は赤色であった。EC0923を与えなかった対照マウスは6時間後移動せず、脾臓および肝臓は蒼白色であった。EC0923処置したマウスは24時間で再び活動的であり、生き延びることが予測され、通常のEC17投与スケジュールに戻した。EC0923を与えなかった対照マウスは24時間後にわずかに動き始めたが、動物が苦しむことを阻止するために屠殺しなければならなかった。EC0923を与えたマウスは4日で正常に見えた。マウスの1匹を屠殺し、脾臓および肝臓の色が正常であることが判明した。レスキューしたマウスの脾臓は増大しており、これは、CAR-Tが、レスキューのためのEC0923の単回投与にも関わらずなお増殖し続けたことを示す。EC0923を与えた他の残存マウスは週3回の定期的EC17投与を与え、腫瘍は4週間で消失した。
【1276】
実施例19
インビボでのCAR T細胞活性化の制御
抗FITC CAR T細胞活性化は、FITC-リガンド投与中断、過剰量の競合剤小分子(例えば葉酸(FA))導入またはこれら2方法の組み合わせにより制御され得る。
CART T細胞活性化の制御を示すために、ヒト乳癌細胞株(例えばMDA-MB-231)をNSGマウス(Jackson Laboratory)の肩に皮下注射し、固形腫瘍異種移植を確立させた。腫瘍体積が約50~100mmに達したら、約15×10抗FITC CAR T細胞を、腫瘍を有するマウスに静脈内的に導入した。FITC-リガンドの一時的終了、競合剤小分子投与またはFITC-リガンド中止および/またはFA競合剤投与の両者の方法の組み合わせにより抗FITC CAR T細胞活性化が制御され得るか否かを試験するために、5試験群が指定された。第一群は陰性対照として抗FITC CAR T細胞とリン酸緩衝化食塩水(PBS)の投与により処置された。試験の間隔日で、第二群、第三群、第四群および第五群はFITC-葉酸(500nmole/kg)と混合した抗FITC CAR T細胞で処置した。顕著な毒性事象が検出されたら(例えば重度の体重減少)、処置レジメンを次の4群に変えた:(1)FITC-葉酸注射を継続した群2(継続);(2)FITC-葉酸終了および過剰量の遊離葉酸投与を含む組み合わせ処置を受けた群3(中断+FA競合剤);(3)マウスが回復するまでFITC-葉酸を中断した群4(中断);および(4)マウスが回復するまでFITC-葉酸に対して100倍過剰の遊離葉酸(すなわちEC0923)を含む混合物を受けた群5(FITC-葉酸+FA競合剤)。マウス体重を、毒性について試験するため定期的に測定した。
【1277】
結果。図12(ほぼ0ラインの棒=PBS対照;0ラインより低い各群における最初の棒=連続;0ラインより低い各群における二番目の棒=中断+FA競合剤;0ラインより低い各群における三番目の棒=中断;0ラインより低い各群における四番目の棒=FA競合剤)は、抗FITC CAR T細胞介在毒性が、FITC-葉酸注射中断、過剰量の競合剤分子投与または両者の組み合わせにより抗FITC CAR T細胞活性化を管理することにより制御できることを示す。図12のグラフおよび表は、CAR T細胞介在毒性(例えばサイトカインストーム)が、FITC-リガンドの中断(中断);FITC-葉酸と共に競合剤としての過剰量の遊離葉酸の投与(500nmole/kg)(FITC-葉酸+FA競合剤);またはこれら2方法の組み合わせ(中断+FA競合剤)によるCAR T細胞活性化の制御により管理され得ることを示す。図12は、さらに、CAR T細胞+FITC-葉酸で処置した群は、CAR T細胞の超活性化による体重減少を示したことを示す。重度CAR T細胞介在毒性(すなわち>10%体重減少)が検出されたら、3つの異なる方法(上記)を試験して、CAR T細胞活性化の程度が低減できるかおよびCAR T細胞介在毒性が管理できるかを調べた。本データに基づき、3方法は、CAR T細胞介在毒性を軽減するようにCAR T細胞活性化の程度を制御できる。さらに、FITC-葉酸中断および過剰量の遊離葉酸投与の組み合わせは、各方法単独と比較して、CAR T細胞介在毒性軽減に良好な有効性を示した。予想どおり、FITC-葉酸量を制限したとき、CAR T細胞活性化の程度は減少した。同時に、過剰量の遊離葉酸の投与は、FITC-葉酸と葉酸受容体の相互作用の妨害により、FITC-葉酸と競合し得る。それ故に、FITC-葉酸終了および葉酸競合剤投与を含む組み合わせ処置は、CAR T細胞介在毒性の迅速な低減を促進し得る。
【1278】
実施例20
インビボでのFITC-葉酸投与量漸増試験
FITC-葉酸投与量の段階的な増大が、CAR T細胞の抗腫瘍有効性を損なうことなくCAR T細胞介在毒性を最小化できるかを試験するために、実験を設計した。1投与量のFITC-葉酸(0.05nmole/kg)を、まずMDA-MB-231(腫瘍体積約50~100mm)担持NSGマウスに抗FITC CAR T細胞注射(約15×10細胞使用)と共に導入した。さらに2投与量の約0.05nmole/kg FITC-葉酸をマウスに投与した。次いで、FITC-葉酸の投与量を5nmole/kg(単回投与量)から50nmole/kg(2回投与量)に徐々に増加させた。FITC-葉酸投与量を徐々に増加させた後、マウスを500nmole/kg投与量のFITC-葉酸で処置した。この濃度は、良好な腫瘍有効性を示したが、マウスを最初に500nmole/kg投与量で処置しならば、毒性も引き起こした。各処置群の全般的毒性を、体重減少測定によりモニターした。腫瘍体積を、抗FITC CAR T細胞の抗腫瘍有効性をモニターするために測定した。
図13は、FITC-葉酸投与量の漸増が、CAR T細胞の抗腫瘍有効性を損なうことなく、抗FITC CAR T細胞介在毒性を最小化できることを示す。具体的に、図13Aおよび13Cは、重度毒性(すなわち>10%体重減少)が、500nmole/kgのFITC-葉酸で連続的処置された群と比較して、徐々の処置プロトコールを使用して検出されなかったことを示す。図13Bは、FITC-葉酸投与量漸増によるCAR T細胞の徐々の活性化が、CAR T細胞の抗腫瘍有効性に負に影響しなかったことを示す。それ故に、FITC-葉酸の投与量漸増は、相当な重度毒性副作用を回避しながら、FITC-葉酸架橋を使用する腫瘍の処置に使用できた。
【1279】
実施例21
CAR-T細胞数および血清サイトカインに対する葉酸-FITCの効果
トリプルネガティブヒト乳癌細胞株(すなわちMDA-MB-231)を、免疫不全(例えばNSG)マウスの肩に皮下インプラントした。腫瘍体積が約50~100mmに達したら、抗FITC CAR T細胞(10細胞)を、FITC-葉酸(500nmole/kg)またはPBSと共に静脈内的に導入した。CAR T細胞増殖および炎症誘発性サイトカイン産生をモニターするために、6日目にマウスから採血した。CAR T細胞増殖を、全血サンプルを抗ヒトCD3抗体(Biolegned)で染色し、CD3陽性T細胞集団におけるGFP発現を検出することにより評価した。炎症誘発性サイトカイン産生をビーズベースのイムノアッセイ(BiolegendからのLegendplexキット)により測定した。
図14Aは、架橋分子が腫瘍担持マウスに導入されたときのみ、抗FITC CAR T細胞が顕著に増殖したことを示す。しかしながら、抗原適合架橋分子の非存在下、抗FITC CAR T細胞は顕著に増殖しなかった。さらに、炎症誘発性サイトカイン(例えばIL-2、TNF-αおよびIFN-γ)は、腫瘍担持マウスを抗FITC CAR T細胞および抗原適合架橋分子両者で処置したとき、顕著に産生された。図14Aおよび14Bは、合わせて、抗FITC CAR T細胞が、抗原適合架橋分子葉酸-FITCによる癌細胞標的指向化により、特異的に増殖し、炎症誘発性サイトカイン類を産生するように活性化され得る。
【1280】
実施例22
インビトロでのインターフェロン-γアッセイ
架橋投与量と抗FITC CAR T細胞活性化の相関を試験するために、葉酸受容体陽性癌細胞株(MDA-MB-231)を、96ウェルプレートの各ウェルに、10細胞/100μlの培地の密度で播種し、細胞を一夜増殖させた。次いで、抗FITC CAR T細胞(5×10細胞)を細胞と種々の濃度の葉酸-FITC(0.001nM~100μM)を含む各ウェルに6~24時間加えた。共インキュベーション後、抗FITC CAR T細胞および癌細胞を含むプレートを10分間、350×gで遠心分離して、細胞および細胞の残骸を除去し、50μlの上清をELISA(BiolegendからのヒトIFN-γ ELISAキット)でアッセイして、抗FITC CAR T細胞によるIFN-γ産生を検出した。
架橋投与量と抗FITC CAR T細胞活性化の相関を評価するために、抗FITC CAR T細胞により産生されたIFN-γレベルを、CAR T細胞を、上記のとおりインビトロで種々の濃度のFITC-葉酸で癌細胞と共培養した後、測定した。図15に示すとおり、IFN-γ産生レベルは、架橋投与量増加に従って増加した。しかしながら、架橋の投与量が最適投与量(すなわち最高IFN-γレベル[10nM])より高ければ、IFN-γ産生は減少し、最終的に極めて高投与量(例えば10μMおよび100μM)の架橋が導入されたとき、検出されなかった(すなわちベル型架橋投与量-応答)。このインビトロ結果は、高投与量の架橋が、インビトロで癌細胞およびCAR T細胞両者の標的受容体全てを飽和できるためであり得る。これらの結果は、CAR T細胞介在毒性は、架橋の投与量の操作により制御され得ることを示す。図15において、X軸の「アダプター投与量」は葉酸-FITC投与量である。
【1281】
実施例23
インビボでのCAR T細胞処置中の競合剤のレスキュー能
過剰のCAR T細胞(各試験800万~1000万)をMDA-MB-231腫瘍担持マウスに導入し、500nmol/kgのEC17も週3回導入した(i.v.)。重度サイトカイン放出症候群が観察されたとき、1投与量のEC0923(葉酸)または非拘束フルオレセイン(両者10μmole/kg)を、マウスのレスキューのため、静脈内的に導入した(図16)。1投与量のEC0923を与えたマウスまたはフルオレセインは、4時間後移動し、餌を探し始め、24時間で再び活動的であり、4日で正常に見えた。EC17投与をその後継続した。EC0923を与えなかった対照マウスまたはフルオレセインは4時間後動かず、病的状態のため屠殺しなければならなかった。競合剤投与6時間後に血液サンプルを採取し、サイトカインレベルを測定した(図16参照)。4週間後、レスキュー処置したマウスから腫瘍は排除された。サイトカイン産生について試験した全マウスは、800万 CAR-T細胞を注射された。
【1282】
実施例24
CAR-T活性は架橋投与量レベルおよび腫瘍の存在の両者に依存する
CAR-T細胞をナイーブマウス(800万/マウス)およびMDA-MB-231腫瘍担持マウス(500万/マウス)に注射した。種々のレベルのEC17を、週3回投与した。血中IFN-γを、CAR-T細胞注射10日後測定した。図17に示すとおり、サイトカイン産生(CAR-T活性)は、架橋(EC17)投与量レベルおよび腫瘍の存在の両者に依存する。
【1283】
実施例25
CAR-T細胞は腫瘍がないナイーブマウスで増殖しない
500万 CAR-T細胞を腫瘍がないナイーブマウスに注射した(i.v.)。500nmole/kg EC17を週3回投与した。マウスを5週間モニターし、臓器を評価するため、一部を毎週屠殺した。EC17が投与されたかされないかにかかわらず、明らかな体重減少(毒性)はいずれのマウスでも観察されなかった(図18A)。CAR-T細胞は、血中CAR-T細胞数(図18B)および脾臓サイズ(図18C)により示されるとおり、EC17投与をしたまたはしていないナイーブマウスで増殖しなかった。
【1284】
実施例26
種々の葉酸受容体陽性腫瘍異種移植モデルにおけるFITC-CAR-TのEC17依存的抗腫瘍活性
免疫不全NSGマウス(Jackson Laboratory)を、週あたり1回投与量のEC17を伴うCAR T細胞抗腫瘍活性の有効性を示すために使用した。2種の葉酸受容体発現癌細胞株を使用して、皮下固形腫瘍異種移植を確立させた:MDA-MB-231は高葉酸受容体発現であり、一方OV90は低葉酸受容体発現であった。約100~250mmの腫瘍体積に達したら、マウスを2群に分けた。「EC17 500nmol/kg」群(架橋について本明細書で使用するnmol/kgはnmole/kgと等しい)のマウスに500nmole/kg体重のEC17を注射し、一方「無EC17」群のマウスにはEC17を注射しなかった。4時間後、両群のマウスに500万抗FITC CAR-T細胞を投与した。EC17およびCAR-T細胞の初期投与後、「EC17 500nmol/kg」群のマウスにのみ500nmole/kgのEC17を週1回注射した(i.v.)。抗腫瘍有効性を腫瘍体積によりモニターした。
図19Aは、抗FITC CAR-T細胞がそれ自体では、高葉酸受容体発現のMDA-MB-231腫瘍モデルで抗腫瘍活性を有しないことを示す。EC17投与(週1回投与)と共にのみ、抗FITC CAR-T細胞はMDA-MB-231腫瘍を排除する。それ故に、EC17の週1回投与は、腫瘍を排除するための抗FITC CAR-T細胞の活性化と腫瘍細胞へのp架橋に十分である。図19Bは、抗FITC CAR-T細胞がまた、腫瘍細胞上の葉酸受容体の低発現レベルを有するOV90異種移植モデルにおいてEC17依存的抗腫瘍活性を示すことを示す。
【1285】
実施例27
架橋投与量レベル調節によるCAR-T抗腫瘍活性の維持
免疫不全NSGマウス(Jackson Laboratory)を、種々のEC17投与量レベル存在下でのCAR T細胞抗腫瘍活性およびその毒性を試験するために使用した。MDA-MB-231腫瘍細胞を使用して、皮下固形腫瘍異種移植を確立した。腫瘍体積が約100~150mmに達したら、種々の濃度のEC17を1000万 CAR-T細胞のi.v.注射4時間前に前注射した。種々の濃度のEC17を、初期EC17およびCAR-T細胞注射後週3回投与した。陰性対照群は、500nmol/kg EC17(4時間前もって)および5000万 非修飾T細胞を注射した。次いで、500nmol/kg EC17を、初期注射後週3回投与した。腫瘍サイズおよび体重を測定して、抗腫瘍活性および毒性をモニターした。図20Aに示すとおり、1000万 CAR-T細胞およびEC17 500nmol/kg、100nmol/kgまたは20nmol/kgで処置したマウスの腫瘍は排除されたが、陰性対照群の腫瘍は排除されなかった。1000万 CAR-T細胞を投与されたが、種々のEC17投与量レベルであったマウスにおける処置による体重減少を比較して、500nmol/kg EC17 TIW投与群は、最強毒性(体重減少(図20B))を示すことが判明した。20nmol/kg EC17 TIWは、3EC17投与量群の中で最小毒性(体重減少により示される)であったが、なお十分な抗腫瘍活性を維持した。EC17投与量レベルの調節により、結果的な体重減少(毒性)を減少できながら、CAR-T抗腫瘍活性を維持できる。図20Aおよび20Bにおいて、EC17を「アダプター」または「二特異的アダプター」とも称する。
【1286】
実施例28
FITC-CAR-T/EC17治療は、種々のFR+腫瘍モデルで抗腫瘍活性を示す
FITC-CAR-T/EC17治療が種々のFR+腫瘍モデルで抗腫瘍活性を示すか否かを試験するために、NSGマウスに、MDA-MB-231(トリプルネガティブ乳癌細胞株)、OV90(ヒト卵巣癌細胞株)、KB(ヒト子宮頸腺癌細胞株)、SKOV-3(ヒト卵巣癌細胞株)またはHEK293-FRa(ヒトFRaで安定にトランスフェクトしたHEK293)を皮下インプラントした。腫瘍サイズが100~300nmに達したとき、500nmol/kg体重の1投与量のEC17を尾静脈に投与し、続いて4時間後500万 FITC-CAR-T細胞を投与した。500nmol/kg EC17を、初期EC17/CAR-T投与(約7日目)後週1回投与し、マウスの腫瘍サイズおよび体重を週3回モニターした。EC17投与日を、グラフで緑色の垂直点線として示す。図21~25に示すとおり、FITC-CAR-T処置は、EC17非存在下では何ら抗腫瘍活性を示さなかったが、FITC-CAR-T/EC17治療は種々のFR+腫瘍異種移植モデルでEC17依存的抗腫瘍活性を示した。治療は、MDA-MB-231異種移植マウスで100%治癒、OV90マウスで50%治癒および50%疾患安定、全KB異種移植マウスおよびSKOV3異種移植マウスで疾患安定ならびにHEK293-FRaモデルで疾患進行を達成した。EC17投与量依存的の一過性体重減少も全腫瘍担持マウスで観察されており、CAR-Tの活性化がこれらのマウスでEC17依存的であることを示す。
MDA-MB-231モデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を図21Aおよび21Bに示す。OV-90モデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を図22Aおよび22Bに示す。KBモデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を図23Aおよび23Bに示す。HEK-FRaモデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を図24Aおよび24Bに示す。SKOV-3モデルにおけるFITC-CAR-T抗腫瘍活性を図25Aおよび25Bに示す。
【1287】
実施例29
FITC-CAR-T関連毒性(例えばSCRS)は、EC17での腫瘍のプレペインティングにより減少され得る
EC17での腫瘍のプレペインティングが治療関連毒性(例えばsCRS)を減少できるか否かを評価するために、NSGマウスにMDA-MB-231をインプラントした。より大きな腫瘍負荷が、より重度のCRSと相関するため、腫瘍サイズが400~500nmに達したとき、処置を開始した。マウスを2群に分け、CAR-T投与前の種々の時点で500nmol/kg EC17を前投与した(図26Aおよび26B)。群#1は800万 CAR-T細胞投与4時間前に前投与し、一方群#2は800万 CAR-T細胞投与24時間前に前投与した。次いで500nmol/kg EC17を、CAR-T投与後週1回i.v.投与した(1日目、8日目、15日目など)(図26Dおよび26E)。2群のマウスは類似のEC17依存的体重減少を示したが、EC17の4時間プレペインティングをした群におけるマウスは、CAR-T投与24時間前EC17でペイントした群におけるマウスより重度のsCRSを示した。図26Cに示すとおり、4時間プレペインティング群において、2週目にマウスの33%が死亡し(またはsCRSにより屠殺され)、3週目に33%が死亡し、4週目に17%が死亡し、わずか17%が5週間生存した;24時間プレペインティング群において、2週目にマウスのわずか17%が死亡し(またはsCRSにより屠殺され)、83%が5週間生存した。これら2群で抗腫瘍活性の差は見られず、最終的に全生存マウスは無腫瘍となった。それ故に、EC17で4時間プレペインティングしたマウスより、24時間プレペインティングしたマウスにおいて毒性が少なかった。
【1288】
実施例30
EC17での腫瘍のプレペインティングは毒性(SCRS)を減少させる
FITC-CAR-T関連毒性(例えばsCRS)は、EC17プレペインティングとCAR-T投与後EC17投与の遅延の組み合わせにより低減され得る。治療関連毒性を制御する戦略を探索するために、EC17プレペインティングとEC17投与スケジュール最適化の組み合わせを評価した。MDA-MB-231腫瘍担持マウス(100~200mm)を3群に分けた。群#1のマウス(無EC17プレペインティング)に尾静脈から800万 FITC-CAR-T細胞を投与し、次いでCAR-T投与後週1回投与(2日目、9日目、16日目など)として500nmol/kg EC17を投与した。群#2のマウス(EC17 4時間プレペインティング)は、800万 CAR-T細胞投与4時間前に500nmol/kg EC17でプレペイントし、次いでCAR-T投与後週1回投与として500nmol/kg EC17を投与した。群#3のマウス(EC17 4時間プレペインティング+二回目EC17投与遅延)も、800万 CAR-T細胞投与4時間前に500nmol/kg EC17でプレペイントしたが、CAR-T投与後7日まで500nmol/kg EC17の2回目の投与を遅らせ、その後EC17投与の週1回投与スケジュールが続いた。CAR-T投与3日後、3群のマウスを、目視により評価した。図27Aに示すとおり、群#1のマウス(無プレペインティング)は最悪のsCRSを示し、群#2のマウス((EC17 4時間プレペインティング)はsCRSを示したが、群#1より重症度は低かった。より重要なことに、群#3のマウス(EC17 4時間プレペインティング+二回目EC17投与遅延)はsCRSを示さなかった。図27Bに示すとおり、EC17 4時間プレペインティングと二回目EC17投与遅延の組み合わせ処置の群#3のマウスは最小体重減少を示した。EC17投与スケジュールの変動はCAR-T抗腫瘍活性に影響せず、全3群のマウスは完全応答に達した(図27C)。
【1289】
実施例31
血中CAR-T数はレスキュー後増加する
EC17/CAR-T治療戦略は、遊離葉酸または遊離フルオレセインによる架橋置換により制御可能である。FITC-CAR-T治療戦略が架橋(例えばEC17)投与量/置換により制御可能であるか否かを評価するため、MDA-MB-231腫瘍(100~250mm)担持NSGマウスに過剰FITC-CAR-T細胞(800万)を投与し、500nmol/kg EC17を週3回投与した(CAR-T投与後1日目、3日目、5日目など)。これらのマウスは1週間後sCRSを示し、3群に分けた。第一群のマウスは10μmol/kgの非コンジュゲート葉酸(EC0923)をi.v.注射し、第二群は「レスキュー」のために10μmol/kgのフルオレセインアミンをi.v.注射し、一方第三群は対照群として処置しなかった。次いで、3群のマウスを、EC0923またはフルオレセインアミン注射8時間、12時間、24時間および48時間後屠殺し、血液サンプルをCAR-T細胞数およびサイトカインレベルについて分析した。血中CAR-T細胞をAPCeF780で標識された抗ヒトCD45抗体(Biolegend)で染色し、FACSでカウントした。CountBrightTM Absolute Counting Beads(ThermoFisher Scientific)をサンプルと混合し、細胞計数の対照として使用した。図28A~Dに示すとおり、10μmol/kg EC0923(非コンジュゲート葉酸)および10μmol/kg フルオレセインアミン(非コンジュゲートフルオレセイン)両方での処置は血液循環中のCAR-T数の増加をもたらし、架橋(EC17)が過剰非コンジュゲート葉酸またはフルオレセインにより置換されたとき、一部CAR-T細胞が標的腫瘍細胞から解離し、血液循環に戻る。レスキューされたマウスの血液循環中のCAR-T細胞数増加は、EC0923/フルオレセイン注射後わずか6時間で見られ、マウスが置換「レスキュー」に迅速に応答することを示す。さらに、フルオレセインは、葉酸(EC0923)より多くCAR-T置換置換するように見え、これは、フルオレセインアミンでのレスキューが葉酸より有意に多く血中サイトカイン産生を減少させた先に記載した発見と相関する。
【1290】
実施例32
3レスキュー剤(葉酸、フルオレセインナトリウム(NAFL)およびロイコボリン)の比較
1投与量の葉酸、フルオレセインナトリウムまたはロイコボリンは、CARTと腫瘍細胞の間の架橋EC17の置換により、sCRSにあるマウスを「レスキュー」できる。FITC-CAR-T治療関連sCRSを有するマウスが、FITC-CAR-TまたはFR+腫瘍細胞からEC17を置き換え得る競合剤を使用してレスキューされるか否かを評価するために、49匹のMDA-MB-231腫瘍(150~250mm)担持NSGマウスに過剰FITC-CAR-T細胞(800万)を投与し、そのうち36匹にはCAR-T投与48時間後500nmol/kg EC17を投与し、6匹にはEC17を投与せず、「無EC17」対照として使用し、7匹には260μmol/kg フルオレセインナトリウム(無EC17であるが、フルオレセイン)をその毒性を試験するために投与した。1日後、「無EC17」対照群および「無EC17であるが、フルオレセイン」のマウスが健康である間、EC17を投与したマウスはsCRSを示し始め、4群に分けた。各群に、10μmol/kgのロイコボリンまたは10μmol/kg 葉酸または260μmol/kg フルオレセインナトリウムをi.v.注射し、または非レスキュー対照として何もしなかった。これらのマウスをレスキュー注射10時間後に評価し、種々の重症度レベルのsCRSを有することが判明した。全3レスキュー群は、非レスキュー対照群と比較してsCRSから良好な回復を示したが、これらレスキュー群の回復レベルは異なった。sCRS重症度の順番は(最悪から最小で):無レスキュー群>ロイコボリンレスキュー群>葉酸レスキュー群>フルオレセインナトリウムレスキュー群>無EC17群であった。マウス体重変化も毒性の指標としてモニターした。図29A~Eに示すとおり、フルオレセインでレスキューしたマウスは、他の2レスキュー群と比較して、最小体重減少であった。レスキュー注射がFITC-CAR-T細胞の抗腫瘍活性に影響するか否かを評価するために、これらのマウスに500nmol/kg EC17を週2回(9日目、11日目、15日目、18日目、22日目、25日目など)投与し、腫瘍サイズをモニターした。図30Aおよび図30Bに示すとおり、ほとんど全てのマウスが治癒したが、フルオレセインレスキュー群の9匹のマウス中2匹はCART注射後36日目になお小さな腫瘍を有しており、レスキュー剤の単回投与は、FITC-CAR-Tの抗腫瘍活性にわずかに影響したことを示す。
【1291】
実施例33
フルオレセインナトリウムレスキュー
EC17/CAR-T抗腫瘍治療におけるサイトカイン放出症候群緩和のためのレスキュー剤としてのフルオレセインナトリウムが示される。
【1292】
材料:
EC17(葉酸-FITC、分子量873)を社内合成した。フルオレセインナトリウム(AK-FLUOR(登録商標)、フルオレセイン注射、USP)を、Purdue Pharmacyから購入した。
【1293】
インビボ方法:
細胞株
MDA-MB-231は、高レベルのヒトFRαを発現するヒトトリプルネガティブ乳癌(TNBC)細胞株である。THP1-FRβは、ヒトFRβを安定に発現するCD33+CD123+ヒト急性骨髄性白血病細胞株である。細胞を各々5~10%熱不活性化ウシ胎児血清(HIFCS)含有無葉酸RPMI1640培地(Gibco BRL)(FFRPMI)で増殖させ、5%CO雰囲気下、標準細胞培養技法を使用して維持した。
【1294】
マウス
雌NSGTM(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ, stock #005557)マウスをJackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入し、約4週齢に達したとき使用した。マウスは、到着した日から葉酸欠乏餌(TestDiet, St. Louis, MO)で飼育した。
【1295】
腫瘍移植
MDA-MB-231腫瘍を、培養細胞をNSGマウスに2×10で皮下移植することにより産生した。
【1296】
CAR-T細胞調製
FITC-CAR-T細胞を先に記載のとおり調製した。12~20日間インビトロで培養後、凍結し、-80℃で50%熱不活性化AB+ヒト血清、40%T細胞培養培地および10%DMSO含有凍結剤中保存した。凍結CAR-T細胞を37℃で急速に解凍し、PBSで2回洗浄し、動物注射に使用した。
【1297】
腫瘍担持マウスのEC17/CAR-T治療
一般に、EC17/CAR-T治療を、マウス腫瘍が約200~250mmに達したときに開始し、CAR-T投与2日後500nmol/kgでの毎週EC17投与を開始した。全てのEC17投与量は、一日の終わり近くに与え(およそ午後3~4時)、一夜でサイトカイン放出症候群(CRS)を発症させた。種々の投与量のフルオレセインナトリウムレスキュー(0.06~60μmol/kg)を、動物が、0~5評価尺度でグレード3~4の重度CRSを経験するときであるEC17の最初の投与後に投与した(図31)。フルオレセインナトリウムレスキュー後種々の時点での血漿サンプル(3~27時間)複数サイトカイン分析分析のために集めた。
【1298】
フローサイトメトリーによる全血細胞分析
予定量の全EDTA処置血液から、10分間、4℃で 3000gの回転により血漿を除去し、得られた細胞ペレットを、10倍体積の室温1×RBC溶解溶液[10×原液から調製;Biolegend, catalog #420301]と5分間インキュベートし、400gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを10倍体積の氷冷リン酸緩衝化食塩水pH=7.4で洗浄し、40μmナイロンフィルターで濾過し、次いで再びペレット化した。次いで、白血球ペレットを、両者の抗マウスFcγIII/II受容体(CD16/CD32)ブロック[クローン2.4G2;BD Bioscience, catalog# 553142、1:100(v/v)希釈]および抗ヒトFcブロック[BD Biosciences, catalog #564220、1:50(v/v)希釈]添加フローサイトメトリー染色溶液[1%ウシ血清アルブミン、50mg/mL ヒトIgG(Equitech Bio, cat#SLH56-0001)、リン酸緩衝化食塩水中0.9%ナトリウムアジド、pH=7.4]に再懸濁した。白血球表面マーカー染色を、各サンプルに暗所で20分間添加された次の蛍光色素コンジュゲートモノクローナル抗体の添加により実施した:抗ヒトCD45-APCeF780[クローンHI30、eBioscience #47-0459-42、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD137-BV650[クローン4B4-1、BD Bioscience #564092、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD8α-PECy7[クローンRPA-T8、BD Bioscience, catalog #557746、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD4-Percpe710[クローンSK3、eBioscience catalog #46-0047-42、1:20(v/v)希釈]。白血球染色後、細胞をPBSで洗浄し、53,000 CountBrightTMビーズ[Invitrogen catalog #C36950]含有冷PBSに再懸濁し、フローサイトメトリーコレクションチューブに移した。フローサイトメトリーデータをGalliosフローサイトメーター(Beckman Coulter, Brea, CA)で集め、各マウス血液サンプルの注入CAR T細胞の正確な計数のために十分な白血球事象を集める試みで、最小15,000 CountBrightTMビーズ事象を取得した。各血液サンプルにおけるCAR T細胞濃度の決定は、Invitrogenの指示に従った。簡潔には、CAR T細胞をヒトCD45+GFP+事象として同定し、KaluzaTMフローサイトメトリーソフトウェアを使用して、容易に区別および計数できた。CountBrightTMビーズを、CAR T細胞同定に使用した抗体パネルで利用していない蛍光色素で均一に標識し、白血球から容易に区別され、ビーズ事象を計数した。53,000 CountBrightTMビーズを各サンプルチューブに添加したため、我々は、53,000総ビーズ対サンプル毎に回収されたビーズ事象の比を計算し、ビーズ比を集めた既知数のCAR T細胞事象で除した各サンプル中の未知数のCAR T細胞と等価に設定した。未知の解は、既知体積の各血液サンプルから単離されたCAR T細胞数をもたらした。各注入マウスの循環中のCAR T細胞数を、次いで、分析した50μLの全血あたりのCAR T細胞の総数としてグラフに示した。統計的有意を対応のない、両側、スチューデントのt検定を利用して決定し、3群のマウスの各々の比較のために、有意差をp<0.05で設定した。
【1299】
腫瘍および正常組織の単細胞懸濁液の調製
固形腫瘍(100~1000mm)を集め、秤量し、小片に刻み、次いで20mLの腫瘍消化カクテルを含む50mLチューブに移した。酵素腫瘍消化カクテルは、抗生物質添加無血清および葉酸欠乏RPMI1640培地中0.5mg/mL コラゲナーゼIV(Sigma-Aldrich、Catalog# C5138)、0.5mg/mLヒアルロニダーゼ(Sigma-Aldrich、Catalog# H3506)および0.1mg/mL DNase I(Sigma-Aldrich、Catalog# DN25)からなった。腫瘍フラグメントを、水平シェーカーで1時間、37℃で300rpmで消化させた。その後、腫瘍消化物を400×gで5分間遠心分離し、赤血球溶解工程に付した腫瘍細胞ペレットを、次いで冷リン酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄し、最後に40μmナイロン細胞ストレイナーで濾過した。
【1300】
データおよび結果:
図31に示すとおり、インビボでのサイトカイン産生およびCAR-T抗腫瘍活性両者に対する60μmol/kgでの一回フルオレセインナトリウムレスキューの効果を評価した。0日目、約1040万 FITC-CAR-T細胞をMDA-MB-231腫瘍担持NSGマウスに静脈内投与した。CAR-T細胞注入約48時間後、マウスを3群に分けた。第一群(#1)はEC17を投与せず、CAR-T細胞対照として働き、第二群(#2)および第三群(#3)はEC17(500nmol/kg)の単回投与量を静脈内注射した。EC17投与量17時間後、EC17(500nmol/kg)を受けた群#2および#3のマウスはsCRSを示したが、CAR-T細胞対照群#1のマウスは、何ら関連毒性を示さなかった。次いで、群#2は単静脈内フルオレセインナトリウム(60μmol/kg)を受け、一方群#3はレスキューしないままとした。フルオレセインナトリウムレスキュー7時間後、60μmol/kgフルオレセインナトリウムでレスキューした群#2のマウスは回復し、低グレード3 sCRSと採点されたが、群#3におけるレスキューしていないマウスはなおグレード3 sCRSを有した。各群からの3サテライト動物を、サイトカイン分析および臓器毒性評価のための血液および臓器採取のために屠殺した。全血を心臓穿刺により得て、EDTA含有チューブに集めた。フルオレセインナトリウムレスキュー27時間後、群#2の60μmol/kgフルオレセインナトリウムでレスキューされたマウスは回復し、sCRSスケールはグレード2に下がったが、群#3におけるレスキューしていないマウスは重度sCRSを有した(グレード3~4)。この時点で、採血および臓器評価のために、各群から6サテライトマウスを屠殺した。残ったマウスに、所望であれば500nmol/kg EC17を週1回投与し、EC17投与日を、「EC17」の記載後にある垂直点線として、図36に標識した。腫瘍体積および体重変化を週2~3回モニターした。
【1301】
図36に示すとおり、CAR-T単独群の腫瘍は急速に成長したが、500nmol/kg EC17 SIWを投与されたマウスの腫瘍は約1週間ゆっくり成長し続け、その後退縮し、最終的に消失した。レスキュー群では腫瘍退縮開始まで数日余計にかかるが、レスキュー群と非レスキュー群の間に腫瘍増殖の有意差は見られなかった。この発見は、60μmol/kgフルオレセインナトリウムの1投与量が、インビボでCAR-T抗腫瘍活性を妨害しなかったことを示す。図36Bに示すとおり、レスキュー群のマウスは、非レスキュー群と比較して体重減少が少ないように見え、60μmol/kgフルオレセインナトリウムレスキューは、CAR-T治療関連毒性(少ない体重減少として示される)を低減できることを示す。
【1302】
全3群からの臓器もフルオレセインナトリウムレスキュー7時間および27時間後に評価し、その重量を図32に示すとおり比較した。図32Aに示すとおり、レスキュー7時間後、CAR-TおよびEC17で処置したマウスからの肺は腫脹しており、CAR-T細胞単独群のマウスから取得した肺より重かった。図32Bに示すとおり、レスキュー27時間後、レスキュー群からの肺重量は、非レスキュー群より減少した。レスキュー群と非レスキュー群間で肝臓または腎臓の明白な重量差は見られなかったが、レスキュー群の臓器は、目視でより健康であるように見えた(肝臓および腎臓の少ない退色および少ない肺浮腫)。図32について、肺浮腫はNaFLレスキュー27時間後改善した。
【1303】
CRS関連サイトカインレベルも測定して、レスキューがCAR-T細胞を不活性化し、サイトカイン産生を減少させるか否かを決定した。マウス血漿サンプルにおけるヒトサイトカインレベルを、製造業者の指示に従い、FACSベースのMulti-Analyte Flow Assay Kits(BioLegend)およびELISAベースのサイトカイン検出キット(ThermoFisher Scientific)を使用して測定した。図33A~Gは、レスキュー7時間後のサイトカインレベルを示した。図33について、マウス血液におけるサイトカイン産生は、NaFLレスキュー<7時間後減少した。図34A~Gは、レスキュー27時間後のサイトカインレベルを示す。図34について、マウス血液におけるサイトカイン産生は、NaFLレスキュー<7時間後減少した。図35A~Eは、サイトカインレベルの時間依存的変化を示す。図35について、血中サイトカインレベルとマウスの全体的状態(CRSスコア)の間に遅延がある。要約すると、CAR-T細胞を投与されたが、EC17はないマウスは、血中サイトカインが極めて低レベルであり、一方EC17を投与されたマウスは、IL-2、IFN-γ、TNF-α、IL-6、IL-10、GM-CSFおよびIL-3を含む血中サイトカインレベルが増加した。より重要なことに、60μmol/kgフルオレセインナトリウムでレスキューされたマウスのサイトカインレベルは、非レスキューマウスより顕著に低かった(レスキュー7時間および27時間後両者)。あるサイトカイン(例えばIL-2、TNF-α、IL-3、GM-CSFおよびIL-6)のレベルは、レスキュー7時間後に正常範囲まで下がり、他のサイトカイン(例えばIFN-γ)は、レスキュー27時間後ほぼ正常範囲まで下がった。
【1304】
低レベルのフルオレセインナトリウムも、sCRSのマウスをレスキューできるか否かを評価するために、フルオレセインナトリウムを0.06μmol/kg、0.6μmol/kgおよび6μmol/kgで投与した以外、同じレスキュー試験を実施した。図50に示すとおり、約830万 凍結CAR-T細胞を投与し、sCRSを500nmol/kg EC17投与量で誘発した。レスキューしていないマウスはsCRSの重症度が増加したが、フルオレセインナトリウムでレスキューしたマウスはsCRS重症度の投与量依存的減少を示した(図50)。要約すると、6μmol/kgフルオレセインナトリウムでレスキューしたマウスは最速で回復し、一方0.06μmol/kgフルオレセインナトリウムでレスキューしたマウスの回復はゆっくりであった。
【1305】
図51に示すとおり、1投与量の6μmol/kgフルオレセインナトリウムでのレスキューは、EC17/CAR-T細胞治療の抗腫瘍活性に影響しなかったが(図51A、腫瘍増殖曲線)、レスキューはEC17依存的CAR-T毒性を減少させた(少ない初期体重減少)(図51B)。図52に示すとおり、マウス血中サイトカインレベルも使用したフルオレセインナトリウム濃度に依存的であり、中央有効投与量は、レスキュー後わずか3時間で応答し始める重要なサイトカイン(例えばIL-2、TNF-α、IFN-γなど)で約0.6μmol/kgであった。
【1306】
血中FITC CAR T細胞の数え上げ
実験的なタイムラインを図53Aに表す。0日目、GFP+FITC-CAR T細胞[クローン4M5.3]を凍結保存から回収し、解凍し、次いでマウス[腫瘍約250mm]あたり1000万でMDA-MB-231腫瘍担持NSGマウスに静脈内点滴した。点滴約48時間後、マウスを3群に分けて、インビボでの、特に循環での、CAR T細胞挙動に対するフルオレセインナトリウムの効果を試験した。第一群は無EC17/無フルオレセイン対照(図53B~C)として役立った。第二群は、EC17[500nmol/kg]の単回投与量を静脈内注射して、重度サイトカイン放出症候群(sCRS)を起こした(図53B~C、赤色)。第三群(図53B~C)はEC17[500nmol/kg]を投与して、sCRSを起こしたが、また約18時間後静脈内フルオレセインナトリウム[60μmol/kg]を受けて、葉酸受容体陽性腫瘍細胞とのCAR T細胞相互作用を阻止した。フルオレセインナトリウムレスキュー27時間後、マウスを屠殺し、全血を心臓穿刺により得て、EDTA含有チューブに集め、次いで血液白血球を、方法セクションに詳述したプロトコールにより分析物を調製した。マウスマーカーと交差反応しないヒト表面マーカー特異的モノクローナル抗体を、フローサイトメトリー分析に使用した。抗ヒトCD45についての染色は、CAR T細胞注入マウスの血液におけるヒトT細胞循環の明確な同定を可能とする(図53B、y軸、ドットプロット)。さらに、CARレンチウイルス構築物での形質導入が成功した注入ヒトT細胞を、緑色蛍光タンパク質をコードするCARレンチウイルス構築物に同様に存在するcDNAの共発現により可能となった緑色蛍光により可視化した(図53B、x軸、ドットプロット)。それ故に、ヒトCD45+GFP+二重陽性事象でのゲーティングにより、我々は、非形質導入ヒトT細胞またはマウス白血球からFITC-CAR発現ヒトT細胞を確実に区別し、数を数えることを可能とした(図53B)。
【1307】
ヒトCAR T細胞は、CAR架橋分子、EC17を受けていなかった対照群のマウスに注入した4日後、マウス循環に高レベルで存在する(図53B、左側ドットプロット)。興味深いことに、おそらくEC17が腫瘍細胞の表面上の抗体部位に局在化するようCAR T細胞を指向させているため、1投与量のEC17を受けたマウス群において、循環で検出されるCAR T細胞はほとんどない(図53B、中央ドットプロット)。この処置条件下で我々が常に観察しているCAR T細胞による腫瘍の退縮は、TNFαおよびIFNγを含むヒト炎症性サイトカインのレベルをもたらし、これらの動物で重度CRSを引き起こす。重要なことに、我々がこれらの罹患動物に60μmol/kgフルオレセインナトリウムを投与したとき、我々は、sCRSの症状軽減だけでなく、CAR T細胞の循環への再出現も観察した(図53B、右側ドットプロット)。それ故に、過剰のフルオレセインは、葉酸受容体陽性腫瘍細胞を標識するEC17 CAR架橋分子からのCAR T細胞の放出に介在し得る。腫瘍細胞からのCAR T細胞の放出により、sCRSを誘発する炎症性サイトカイン類の産生は止み、そうして、腫瘍担持マウスを死からレスキューする。
【1308】
T細胞受容体またはキメラ抗原受容体によるT細胞の活性化は、4-1BB(CD137)を含む共刺激表面受容体の発現増加により可視化される。この4-1BBの発現増加は、T細胞受容体またはキメラ抗原受容体の初期抗原活性化後数日間続く。当然のことながら、CAR T細胞のみを注入したマウスの血液からの循環CAR T細胞の特徴づけにより、我々は、EC17を受けなかった動物から単離した注入CAR T細胞の2%未満の表面に、表面活性化マーカー、4-1BBの極めて少ない発現を観察した(図54)。興味深いことに、我々が、CAR T細胞注入に加えて両EC17およびフルオレセインナトリウム処置を受けた動物からの循環CAR T細胞の活性化状態を測定したとき、循環CAR T細胞は、採取2日前の、腫瘍内のEC17による最近の活性化に一致して、相当量の4-1BBを発現する(図54)。CAR T注入に加えてEC17処置を受けた腫瘍担持マウスの第二群からの循環CAR T細胞は、4-1BB発現を、循環におけるその極めて低い数から、確実に分析することはできなかった(図53A~C)。
【1309】
60μmol/kgでのフルオレセインナトリウムは、ヒト患者における確立された許容投与量より十分低いが、FITC CAR T細胞およびEC17を注入された患者をsCRSからレスキューするフルオレセインナトリウムの最小有効投与量を知ることは有用である。図50および図55Aに示すとおり、CAR-T注入動物に、sCRSを誘発するためにEC17を投与し、次いで、1日後4種の群に分けた。3群は、低投与量のフルオレセインナトリウムレスキューを0.06μmol/kg、0.6μmol/kgおよび6μmol/kgで受けた。顕著には、この試験で使用した最高フルオレセインナトリウム投与量は、図31におけるマウスに与えた投与量より10倍少なかった。上記投与量群からの動物を、血中を循環しているCAR-T細胞が計数できるように、フルオレセインナトリウムレスキュー後3時間および24時間で屠殺した(図55B~C)。興味深いことに、0.06~6μmol/kgフルオレセインナトリウム処置を受けた動物における循環CAR T細胞数は、レスキュー後わずか3時間で増加した(図55B)。これは、フルオレセインナトリウムの注射が、FR+腫瘍細胞の標的からCAR T細胞を置き換える可能性を示唆する。重要なことに、レスキュー24時間後、血液へのCAR T細胞漏出は、フルオレセインナトリウム投与量依存的様式で増加した(図55C)。図53~55に示すこれらの観察は、FITC CAR-T細胞の行動および局在化が、低投与量のフルオレセインナトリウムを与えることにより、重度CRSを経験している動物で種々の程度に修飾できることを示唆する。
【1310】
実施例34
先のレスキューは、EC17誘発FITC-CAR-T再活性化に影響しなかった
レスキューがFITC-CAR-T機能に影響するか否かを評価するために、12匹のMDA-MB-231腫瘍(150~250mm)担持NSGマウスに、過剰FITC-CAR-T細胞(800万)を投与した。次いで、9匹のマウスに、CAR-T投与48時間後500nmol/kg EC17を投与し、3匹のマウスはEC17を投与せず、「CAR-Tのみ」対照として使用した。「CAR-Tのみ」対照群のマウスは健常であったが、EC17を投与されたマウスは1日後sCRSを示し、3群に分けた。マウスの第一群(CAR-T+EC17+FA)に、10μmol/kgの葉酸をi.v.注射し、マウスの第二群(CAR-T+EC17+NaFL)に260μmol/kgのフルオレセインナトリウムをi.v.注射し、一方第三群(CAR-T+EC17)はレスキューしなかった。全マウスは、FITC-CAR-T再活性化のために6日後500nmol/kg EC17でリブーストし、血液サンプルを、血液サイトカイン分析のためにEC17リブースト18時間後採取した。ヒトサイトカイン産生はCAR-T活性化の指標である。図37A~Bに示すとおり、レスキューされたマウス(「CAR-T+EC17+FA」群および「CAR-T+EC17+NaFL」群)のヒトサイトカイン(例えばIFNガンマ、IL-2)レベルは、レスキューされていないマウス(「CAR-T+EC17」群)と同等であった。データは、レスキューがEC17誘発CAR-T再活性化に影響しなかったことを示す。
【1311】
実施例35
血中サイトカイン産生および体重減少はCAR-T投与量依存的である
マウス血液におけるサイトカイン産生がマウスにおけるCAR-T数と相関するか否かを評価するために、15匹のMDA-MB-231腫瘍(250~500mm)担持NSGマウスに500nmol/kg体重のEC17を投与し、次いで3群に分けた。4時間後、各群に200万、500万または1250万 FITC-CAR-T細胞を各々与えた。次いで、3群のマウスに第二回目の500nmol/kg EC17をCAR-T投与24時間後に投与し、血液サンプルを48時間後採った(投与スケジュールは図38Aに示す)。図38Bに示すとおり、1250万 CAR-T細胞を投与したマウスは最も体重減少を示し、一方250万 CAR-Tを投与したマウスは最小体重減少を示した。サイトカイン(例えばヒトIL-2、ヒトIFNガンマ、ヒトTNFアルファおよびヒトIL-10)産生は、投与したCAR-T細胞数と相関する(図39A~D)。マウスにおけるCAR-T細胞が増加すると、サイトカイン類の産生は増加し、体重減少も増加する。
【1312】
実施例36
インビボでのFITC-CAR-T細胞増殖はEC17投与量依存的である
架橋投与量がインビボでCAR-T増殖を制御できるか否かを評価するために、MDA-MB-231腫瘍(250~500mm)担持NSGマウスを4群に分け、0nmol/kg、5nmol/kg、50nmol/kgまたは500nmol/kg体重のEC17をそれぞれ投与した(図40Aに示すとおり)。4時間後、4群に11日間インビトロで培養した500万 FITC-CAR-T細胞を投与し、一方、500nmol/kg EC17を前投与したマウスの1群はCAR-T細胞を投与せず、「無CAR-T対照」として使用した。2日後、全5群のマウスに、図40Bに示す種々のレベルのEC17を投与した。「無CAR-T投与量」群のマウスはほとんどCRS関連症候群を示さなかったが、500万 CAR-T細胞を投与したマウスは、CAR-T投与3日後EC17投与量依存的CRSを示した。次いで、血液サンプルを2回目のEC17投与16時間後に採り、血液循環中のCAR-T数について分析した(図40B)。図40Bに示すとおり、0nmol/kg EC17を投与されたマウスと比較して、5nmol/kg EC17を投与されたマウスは、おそらく、血液循環からCAR-T細胞を除去した腫瘍組織へのEC17依存的CAR-T細胞輸送により、血液循環にCAR-T細胞が少なかった。重要なことに、同量のCAR-T細胞を投与されたが、50nmol/kgまたは500nmol/kg EC17を投与されたマウスは、血液循環中により多くのCAR-T細胞を有した。この所見の解釈は、CAR-T細胞が、50nmol/kgまたは500nmol/kg EC17を投与されたマウスで5nmol/kg EC17を投与されたマウスよりも増殖し、従って、血液循環中のCAR-T数が高かったということである。
FITC-CAR-T増殖がEC17投与量依存的であることをさらに確認するために、我々はまたCAR-Tに、さらに定着および増殖するための時間を与えたときのインビボでのCAR-T増殖も評価した。この目的で、我々は、6日早くCAR-T細胞を投与し、インビボでのCAR-T増殖をブーストするために4投与量のEC17が与えられている、マウスにおけるCAR-T細胞数を試験した。MDA-MB-231腫瘍(250~500mm)担持NSGマウスを4群に分け、0nmol/kg、5nmol/kg、50nmol/kgまたは500nmol/kg体重のEC17をそれぞれ投与した(図41Aに示すとおり)。4時間後、全マウスに、18日間インビトロで培養した500万 FITC-CAR-T細胞を投与した。種々のレベルのEC17を、CAR-T増殖をブーストするために、CAR-T後1日目、3日目、5日目に投与した。マウス血液サンプルを最後のEC17投与24時間後に採取し、血中CAR-T細胞を抗ヒトCD45抗体で染色し、FACSでカウントした。図41Bに示すとおり、CAR-TカウントはEC17投与しなかったマウスで最低であり、5nmol/kg EC17投与マウスで増加し、50nmol/kg EC17投与マウスで最高に達し、おそらく、EC17の過飽和と結果的な腫瘍細胞からのCAR-T細胞の解離により、EC17投与量が500nmol/kgのとき減少し始めた。すなわち、MDA-MB-231腫瘍担持マウスにおけるEC17投与量依存的FITC-CAR-T増殖は、2つの異なる時点で観察されており、EC17投与量レベル制御が、インビボで照FITC-CAR-T増殖を制御できることを示す。
【1313】
実施例37
FITC-CAR-Tはナイーブマウスで増殖せず、毒性を引き起こさない
ナイーブマウスおよびFR+腫瘍異種移植片担持マウス両者でのFITC-CAR-T増殖および関連毒性の評価を試験した。インビボでのFITC-CAR-T増殖が架橋(例えばEC17)および腫瘍抗原(例えば葉酸受容体)の共存に依存的であるか否かを評価するために、インビボでFITC-CAR-T増殖をナイーブマウスおよびFR+腫瘍異種移植片担持マウスで、EC17を用いてまたは用いずに比較した。5~800万 CAR-T細胞(図42および43に示すとおり)を、腫瘍がないナイーブマウスおよびFR+腫瘍異種移植片(80~200mm)担持マウスに投与(i.v.)した。500nmol/kg EC17を、所望により、CAR-T投与4時間前および投与後週3回投与した。マウスを、体重変化および血液循環におけるCAR-T細胞数についてモニターした;一部マウスを毎週屠殺して、また臓器を評価した。図42に示すとおり、腫瘍負荷がないナイーブマウスは、EC17投与の有無にかかわらず、明らかな体重減少(毒性)を示さなかった。他方で、FR+MDA-MB-231腫瘍担持マウスは、EC17依存的体重減少を示した:EC17を週3回投与されたマウスは、最初の10日間体重減少を示したが、EC17投与しなかったマウスは、体重減少しなかった(図42)。血液サンプル中のCAR-T細胞数も、CAR-T増殖を評価するために比較した。図43Aに示すとおり、FITC-CAR-Tは、EC17を投与したかしなかったかにかかわらず、500万または800万 FITC-CAR-T細胞を投与したナイーブマウスで増殖しなかった。対照的に、FR+HEK-FRa異種移植片をインプラントしたマウスにおけるFITC-CAR-T細胞は、500nmol/kg EC17を週3回投与したとき、迅速に増殖した。脾臓サイズ増大はインビボでのCAR-T増殖の別のインディケーターであるため、脾臓サイズも図43Bに示すとおり測定した。腫瘍負荷がないナイーブマウスは、EC17を投与したかしなかったかにかかわらず、大きな脾臓増大を示さなかった(無CAR-T増殖を示す)。他方で、FR+MDA-MB-231腫瘍担持マウスは、週3回500nmol/kg EC17を投与したとき、脾臓が増大した。結論として、FITC-CAR-T細胞は、EC17存在下でさえ、ナイーブマウスで増殖せずまたは毒性を誘発しないが、FR+腫瘍担持マウスでEC17も投与したとき迅速に増殖する。
図42に関して、MDA-MB-231 s.c.モデルを使用した。図43Aに関して、HEK-FRa s.c.異種移植モデルを使用した。図43Bに関して、MDA-MB-231 s.c.モデルを使用した。
【1314】
結果は、FITC-CAR-Tが腫瘍負荷がないナイーブマウスで活性ではないことを示す。CAR-T細胞をナイーブマウス(800万/マウス)およびMDA-MB-231腫瘍担持マウス(500万/マウス)にi.v.注射した。500nmol/kg EC17を、所望の場合週3回投与した(図の標識に示す)。1週間後、マウス血液サンプルをEDTA被覆チューブに集め、3000gで15分間、4℃で遠心分離し、血漿を単離し、分析するまで-20℃で保存した。
IFNを含むサイトカインレベルを、製造業者の指示に従い、LEGENDplexヒトサイトカインパネルキット(BioLegend, San Diego, CA)を使用して測定した。血漿サンプルをアッセイ緩衝液で希釈し、次いで分析サイトカインに対する抗体で固定した捕獲ビーズと混合した。室温で振盪しながら2時間インキュベーション後、分析サイトカインに対するビオチニル化検出抗体を加え、さらに1時間、室温で振盪しながらインキュベートした。次いでフィコエリトリン(PE)標識ストレプトアビジンを加えて、検出抗体上のビオチンと結合させ、FACSを結合複合体(捕獲抗体-サイトカイン-検出抗体)のPEのシグナルを読むのに使用した。PEの強度は、分析サイトカインのレベルと比例する。既知濃度の一連のサイトカイン溶液を同時に測定し、分析サンプルのサイトカインレベルを定量するための標準として使用した。
図44に示すとおり、サイトカイン産生(CAR-T活性)は、腫瘍の存在に依存する。CAR-T細胞は、マウスに500nmol/kg EC17を週3回投与しても、ナイーブマウスでは活性ではない。
【1315】
実施例38
架橋分子の特徴づけ
架橋分子がCAR T細胞の抗フルオレセインcFvに結合する能力を試験するために、競合的結合アッセイを開発した。CAR T細胞結合架橋からのフルオレセインシグナルの測定は、GFP発現CAR T細胞との蛍光の重複のため、使用しなかった。この目的で、FITC-Alexa647(10nM)を、過剰(1μM)競合リガンド(すなわちFITC-葉酸、FITC-DUPA、FITC-CA9)非存在下または存在下、1時間、室温で抗フルオレセインCAR T細胞と結合させた。インキュベーション後、抗フルオレセインCAR T細胞を非結合FITC-Alexa647を除去するためにPBSで3×洗浄し、洗浄細胞をフローサイトメトリーによりAlexa647蛍光について分析した。
試験した架橋分子全て(すなわちFITC-葉酸、FITC-DUPA、FITC-CA9)は、架橋が操作T細胞へのFITC-Alexa 647結合を競合的にブロックする能力により確立されるとおり、CAR発現T細胞に結合できた(図45)。
【1316】
実施例39
普遍的CAR T細胞が、インビトロで抗原適合架橋添加後直交性抗原を発現する種々の癌細胞を排除できる
各ヒト癌細胞株を、96ウェルプレートに10細胞/100μl培地の密度で播種し、一夜増殖させた。抗フルオレセインCAR T細胞を、架橋分子の非存在下または存在下、各ウェルに加えた。6~24時間共インキュベーション後、プレートを350×gで10分間遠心分離して、デブリを除去し、上清をPierceTM LDH細胞毒性アッセイキット(Thermo Fisher Scientific, MA)を使用して乳酸デヒドロゲナーゼ放出(細胞死分析)およびヒトIFNγ ELISAキット(Biolegend, CA)を使用してインターフェロンγ(IFNγ)レベルについて分析した。
抗フルオレセインCAR T細胞の特異性および普遍性を評価するために、抗フルオレセインCAR T細胞を、FR、PSMA、CA9またはNK1Rを発現するHEK細胞と、各架橋分子の非存在下または存在下、共インキュベートした。図46、パネルAに示すとおり、抗フルオレセインCAR T細胞は、抗原適合架橋分子が存在するとき標的HEK細胞を排除できる。複数架橋分子を有する抗フルオレセインCAR T細胞の普遍性を、葉酸受容体(KB、MDA-MB-231およびOVCAR3)、PSMA(LNCaPおよび22RV1)またはCA9(HT29、SK-RC-52、A549およびSKOV3)を発現する種々のヒト癌細胞株でさらに評価した(図46B)。溶解は試験した架橋および対応する架橋腫瘍リガンドに対する受容体を発現する腫瘍に特異的であった。
【1317】
実施例40
架橋分子濃度と普遍的CAR T細胞の抗腫瘍活性の相関
各ヒト癌細胞株を、96ウェルプレートに10細胞/100μl培地の密度で播種し、一夜増殖させた。抗フルオレセインCAR T細胞を、架橋分子の非存在下または存在下、各ウェルに加えた。6~24時間共インキュベーション後、プレートを350×gで10分間遠心分離して、デブリを除去し、上清をPierceTM LDH細胞毒性アッセイキット(Thermo Fisher Scientific, MA)を使用して乳酸デヒドロゲナーゼ放出(細胞死分析)およびヒトIFNγ ELISAキット(Biolegend, CA)を使用してインターフェロンγ(IFNγ)レベルについて分析した。
図47に示すとおり、架橋分子全て類似に挙動した。架橋の濃度が増加するにつれて、CAR T細胞抗腫瘍活性も増加した。しかしながら、さらに高濃度の架橋分子を添加したら、CAR T細胞抗腫瘍活性はその後減少した(すなわちベル型投与量応答)。この結果は、高濃度の架橋分子がCAR T細胞および癌細胞それぞれの両受容体を飽和し得るため、高濃度の架橋分子を加えたとき、架橋分子がCAR T細胞と癌細胞の間の架橋を形成できないためである。
【1318】
実施例41
普遍的CAR T細胞は、インビボで抗原適合架橋分子の付加により、直交性抗原を発現する種々の癌細胞を排除できる
直交性抗原を発現するMDA-MB-231の複数クローンを、レンチウイルス遺伝子送達系を使用して産生した。免疫不全NSGマウス(Jackson Laboratory, ME)に、葉酸受容体、PSMAまたはCA9を発現するMDA-MB-231細胞の各々を皮下移植し、腫瘍が約100mmサイズに達したとき、CAR T細胞、次いで架橋分子(すなわちFITC-葉酸、FITC-DUPAまたはFITC-CA9)を静脈内注射した。腫瘍をノギスで隔日に測定し、腫瘍体積を、式:腫瘍体積=1/2(L×W2)(式中、Lは腫瘍の最長軸であり、WはLに垂直の軸である)に従い計算した。
各架橋が抗フルオレセインCAR T細胞の抗腫瘍活性を誘発できるか否かを評価するために、葉酸受容体、PSMAまたはCA9を発現するMDA-MB-231の複数クローンを産生した。図48に示すとおり、抗フルオレセインCAR T細胞は、抗原適合架橋が注射されたとき、直交性抗原発現腫瘍細胞を排除できた。纏めると、これらのデータは、単一抗フルオレセインCAR T細胞が標的抗原に対する抗原適合架橋の注射により、複数腫瘍を排除できたことを示す。
【1319】
実施例42
普遍的CAR T細胞は、インビボで架橋分子のカクテルにより2つの腫瘍を排除できる(2つの別々の腫瘍モデル)
架橋分子のカクテルが直交性抗原を発現する2つの腫瘍を排除できるか否かを評価するために、我々は、2つの別々の腫瘍モデルを確立した。第一腫瘍モデルとして、PSMA+MDA-MB-231およびCA9+MDA-MB-231の各々を、NSGマウスの2つの別々の位置にインプラントした(すなわち右側腹部:CA9+MDA-MB-231、左側腹部:PSMA+MDA-MB-231)。第二腫瘍モデルについて、PSMA+MDA-MB-231およびCA9+MDA-MB-231を1:1比で前混合し、一か所にインプラントした。図49のパネルAおよびBに示すとおり、PSMAまたはCA9を発現する両腫瘍細胞の完全排除が、両架橋(すなわちFITC-PSMAとFITC-CA9のカクテル)を注射したとき、達成され得る。しかしながら、非適合抗原(すなわちPSMAまたはCA9)を発現する腫瘍は、架橋の一方のみ(すなわちFITC-DUPA単独またはFITC-CA9単独)が注入されたならば、成長し続けた。纏めると、これらのデータは、抗フルオレセインCAR T細胞は、架橋分子のカクテルの使用により、腫瘍不均一性を克服し得る。
PSMA+MDA-MB-231およびCA9+MDA-MB-231を、NSGマウス(Jackson Laboratory, ME)に2つの別々の位置(すなわち右側腹部:PSMA+MDA-MB-231、左側腹部:CA9+MDA-MB-231)または2つの腫瘍細胞を前混合(すなわち50%のPSMA+MDA-MB-231および50%のCA9+MDA-MB-231)後一か所にインプラントした。腫瘍が約100mmサイズに達したとき、抗フルオレセインCAR T細胞(8×10)とITC-DUPA、FITC-CA9または両者を注射した。腫瘍をノギスで隔日に測定し、腫瘍体積を、式:腫瘍体積=1/2(L×W2)(式中、Lは腫瘍の最長軸であり、WはLに垂直の軸である)に従い計算した。結果を図49Aおよび49Bに示す。
【1320】
架橋分子の合成
FITC-葉酸
葉酸-γ-エチレンジアミンを、テトラメチルグアニジンおよびジイソプロピルアミン存在下、無水ジメチルスルホキシド(DMF)中でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)異性体I(Sigma-Aldrich)とカップリングした。粗生成物をXterra RP18分取HPLCカラム(Waters)に充填し、20mL/分の流速で、99%5mM リン酸ナトリウム(移動相A、pH7.4)および1%アセトニトリル(移動相B)から開始し、10分間かけて90%Aおよび10%Bに到達する勾配条件で溶出した。これらの条件下、FITC-葉酸主ピークは、一般に27~50分で溶出した。FITC-葉酸フラクションの品質を、UV検出器を備えた分析的逆相HPLCでモニターした。98.0%純度(LCMS)を超えるフラクションを凍結乾燥して、最終FITC-葉酸生成物を得た。
【化79】
【1321】
FITC-DUPA
DUPA-FITCを、次の固相法により合成した。普遍的NovaTag樹脂(50mg、0.53mM)をジクロロメタン(DCM)(3mL)、続いてジメチルホルムアミド(DMF、3mL)で膨潤させた。20%ピペリジンのDMF溶液(3×3mL)を樹脂に加え、アルゴンで5分間バブリングした。樹脂をDMF(3×3mL)およびイソプロピルアルコール(i-PrOH、3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、DUPA-(OtBu)-OH(1.5当量)、HATU(2.5当量)およびDIPEA(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DCMで樹脂を膨潤させた後、DCM/トリフルオロエタン(TFE)中1M HOBt溶液(1:1)(2×3mL)を加えた。アルゴンで1時間バブリングし、溶媒を除去し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、Fmoc-Phe-OH(2.5当量)、HATU(2.5当量)およびDIPEA(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンで2時間バブリングし、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。上記の一連を、8-アミノオクタン酸およびフルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンBイソチオシアネートの添加について、さらに2カップリング工程繰り返した。最終化合物を、トリフルオロ酢酸(TFA):HO:トリイソプロピルシランカクテル(95:2.5:2.5)を使用して樹脂から開裂させ、減圧下濃縮した。濃縮生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、減圧下乾燥させた。粗生成物を、分取RP-HPLC[λ=488nm;溶媒勾配:25分間かけて1%B~80%B、80%Bを30分間流した;A=10mM NHOAc、pH=7;B=アセトニトリル(ACN)]を使用して精製した。ACNを減圧下除去し、純粋なフラクションを凍結乾燥しして、DUPA-FITCを帯褐色~橙色固体として得た。RP-HPLC:tR=8.0分(A=10mM NHOAc、pH=7.0;B=ACN、溶媒勾配:10分間かけて1%B~50%B、80%Bを15分間流した)。1H NMR (DMSO-d6/D2O): δ 0.98-1.27 (ms, 9H); 1.45 (b, 3H); 1.68-1.85 (ms, 11H); 2.03 (m, 8H); 2.6-3.44 (ms, 12H); 3.82 (b, 2H); 4.35 (m, 1H); 6.53 (d, J=8.1 Hz, 2H), 6.61 (dd, J=5.3, 3.5 Hz, 2H); 6.64 (s, 2H); 7.05 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.19 (m, 5H); 7.76 (d, J=8.0 Hz, 1H); 8.38 (s, 1H). HRMS (ESI)(m/z): C51H59N7O15Sの(M+H)+計算値, 1040.3712, 実測値, 1040.3702. UV/vis: λ max=491nm。
【化80】
【1322】
FITC-CA9
50mL丸底フラスコ中、CA9リガンド(53.6mg、研究所で合成)を、Teflon磁気撹拌棒を使用して、所望量のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(2~3mL)に溶解した。外気を減圧と窒素ガスへの置換を使用して除き、これを3サイクル行った。次いで、丸底フラスコを、定常窒素ガス流下に維持した。このフラスコに、28.9mgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)、続いて21.6mg 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)および18.9μLのBoc-PEG2-NH(Sigma Aldrichから購入)を加えた。5.4μLのトリエチルアミン(TEA)を最後に加え、反応物を一夜撹拌した。反応混合物をHPLCを使用して精製し、UHPLC-MS(標的m/z831)で確認した。アセトニトリルを、高減圧回転蒸発を使用して除去し、48時間凍結乾燥機に入れた。Bocの脱保護を1:1 TFA:DCMで30分間実施した。TFA/DCMを、高減圧回転蒸発、続いて30分間高減圧を使用して除去した。次いで、化合物をDMFに溶解し、5モル当量のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と合わせた。16mgのフルオレセインイソチオシアネート(Life Technologiesから購入)を溶液に加え、1時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、標的化合物をUHPLC-MS(標的m/z1120)で確認した。サンプルを48時間凍結乾燥機に入れ、化合物を-20℃で保存した。
【化81】
【1323】
FITC-NK1R
撹拌中のNK-1(0.02g、0.0433mmol、1.0当量)、O-(2-アミノエチル)-O’-[2-(Boc-アミノ)エチル]デカエチレングリコール(BocNH-PEG11-NH2)(Sigma、0.0336g、0.0521mmol、1.2当量)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP)(0.027g、0.0521mmol、1.2当量)の乾燥CHCl溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.076mL、0.4338mmol、10当量)を、アルゴン下、室温で加えた。LCMSにより反応進行をモニターし、分取RP-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、30分間かけて10~100%Bの勾配、13mL/分、λ=220nm、254nm)で精製した。純粋なフラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥して、NK1-PEG11-NHBocを得た。収量:40.13mg(97%)。NK1-PEG11-NHBoc(0.0165g、0.015mmol)の乾燥CHCl溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、20当量)を加え、反応混合物を4時間、r.t.で撹拌した。過剰のTFAを除去し、水で希釈し、CHCl(3×5mLを使用して抽出した)。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。得られた残留物を減圧下乾燥させ、さらに精製することなく次工程で使用した。撹拌中のNK1-PEG11-NH(0.008g、0.0081mmol、1.0当量)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Sigma、0.0037g、0.0097mmol、1.2当量)の乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO、0.3mL)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.0028mL、0.0162mmol、2.0当量)を、室温で、アルゴン下加えた。LCMSにより反応進行をモニターし、分取逆相-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、30分間かけて10~100%Bの勾配、13mL/分、λ=280nm)により精製した。純粋なフラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥して、NK1-PEG11-FITC(5)を得た。収量:8.54mg(77%)。
NK-1化合物を、文献法を使用して製造した塩基リガンドから開始する2段階法により合成した。(参照:引用によりその全体を本明細書に包含させる、DESIGN AND DEVELOPMENT OF NEUROKININ-1 RECEPTOR-BINDING AGENT DELIVERY CONJUGATES、出願番号PCT/US2015/44229)。
【1324】
実施例43
架橋分子でのサイトカインストームの制御
低分子量架橋分子の使用によるCAR T細胞介在サイトカイン放出症候群の強度の制御を示す。有毒で、致死性の場合もあるサイトカイン放出症候群を排除しながら、同時にCAR T細胞治療有効性を改善する4つの新規戦略を記載する。
【1325】
細胞株およびT細胞
葉酸受容体陽性細胞株(例えばKBおよびMDA-MB-231)を、10%熱不活性化ウシ胎児血清および1%ペニシリン-ストレプトマイシン含有無葉酸RPMI 1640(Gibco, Ireland)中、5%COで37℃で維持した。末梢血単核細胞(PBMC)を、健常ボランティアからの新鮮ヒト血液(IRB#: 1702018875)のFicoll密度勾配遠心分離(GE Healthcare Lifesciences, USA)により単離した。純粋なCD3T細胞をEasySepTMヒトT細胞単離キット(STEM CELL technologies, Canada)を使用してPBMCから単離し、次いで、ヒトIL-2(100IU/ml、Miltenyi Biotech Inc, CA)存在下、1%ペニシリンおよび硫酸ストレプトマイシン含有TexMACSTM培地(Miltenyi Biotech Inc, CA)で培養した。2~3日毎にT細胞を分け、上記培地を変えた。
【1326】
抗フルオレセインCAR遺伝子をコードするレンチウイルスベクターの産生
重複PCR方法を使用して、フルオレセインに対する一本鎖フラグメント可変(scFv)を含むCAR構築物を産生した。scFvのコード配列を、ヒト抗フルオレセイン抗体、4M5.3(Kd=270fM、762bp)[21]の親和性最適化配列から合成した(GeneScript, NJ)。ヒトCD8αシグナルペプチド(SP、63bp)、ヒンジおよびCD8αの膜貫通領域(249bp)、4-1BBの細胞質ドメイン(CD137、141bp)およびCD3ζ鎖の細胞質ドメイン(336bp)(GeneScriptから購入)をコードする配列を、重複PCRにより抗フルオレセインcFvと融合した。得られたCAR構築物(1551bp)をEcoRI/NotI開裂レンチウイルス発現ベクターpCDH-EF1-MCS-(PGK-GFP)(System Biosciences、CA)に挿入し、PureLink Hipure plasmid midiprep kit(Invitrogen, CA)を使用して拡大/精製した。レンチウイルスベクターにおけるCAR構築物の配列をDNAシークエンシングにより確認した(Purdue Genomic Core Facility, IN)。
【1327】
レンチウイルスの産生およびヒトT細胞形質導入
抗フルオレセイン(scFv)CARを含むレンチウイルスを調製するために、293TNパッケージング細胞株を、抗フルオレセインcFv CARをコードするレンチウイルスベクターおよびパッケージングプラスミドの第二世代混合物(Cellecta, CA)で共トランスフェクトした。トランスフェクション24時間および48時間後、CAR遺伝子をコードするレンチウイルスを含む上清を取得し、ウイルス粒子を標準ポリエチレングリコールウイルス濃度方法(Clontech, CA)を使用して濃縮した。
【1328】
ヒトT細胞の形質導入とCAR発現レンチウイルス
単離T細胞(上記参照)を、抗CD3/CD28抗体に結合したダイナビーズ(Life Technologies, CA)を、ヒトIL-2(100IU/ml)存在下12~24時間使用して活性化させ、次いで、GFPおよび抗フルオレセインCAR両者をコードする上記レンチウイルス[50]で形質導入した。形質導入72時間後、T細胞を形質導入効率を決定するためにフローサイトメトリーによりGFP蛍光について分析した。
【1329】
架橋のCAR Tおよび癌細胞受容体への結合
フルオレセイン-葉酸(FITC-葉酸)およびフルオレセイン-PSMA(FITC-DUPA)を、先に記載のとおり合成した。これらの架橋分子がCAR T細胞の抗フルオレセインcFvと結合する能力を試験するために、CAR T細胞結合架橋からのフルオレセインシグナルの測定が、GFP発現CAR T細胞との蛍光の重複のために使用できなかったため、競合的結合アッセイが開発されている。この目的で、FITC-Alexa647(10nM)を、過剰(1μM)競合リガンド(すなわちFITC-葉酸)非存在下または存在下、抗フルオレセインCAR T細胞と、1時間、室温で結合させた。インキュベーション後、抗フルオレセインCAR T細胞を非結合FITC-Alexa647を除去するためにPBSで3×洗浄し、洗浄細胞をフローサイトメトリーによりAlexa647蛍光について分析した。葉酸受容体に結合するFITC-葉酸の分析のため、FR陽性KB細胞を、過剰(10μM)遊離葉酸(すなわち競合的リガンドとして)の非存在下または存在下、FITC-葉酸(100nM)とインキュベートした。サンプルをPBS(3回)で洗浄後、サンプルを、フルオレセイン-葉酸結合についてフローサイトメトリーにより分析した。
【1330】
インビトロでの抗フルオレセインCAR T細胞の抗腫瘍活性の分析
FR陽性癌細胞株(例えばKBまたはMDA-MB-231細胞)を、96ウェルプレートに10細胞/100μl培地の密度で播種し、一夜増殖させた。抗フルオレセインCAR T細胞を、架橋分子の非存在下または存在下、各ウェルに加えた。6~24時間共インキュベーション後、プレートを350×gで10分間遠心分離して、デブリを除去し、上清をPierceTM LDH細胞毒性アッセイキット(Thermo Fisher Scientific, MA)を使用して乳酸デヒドロゲナーゼ放出(細胞死分析)およびヒトIFNγ ELISAキット(Biolegend, CA)を使用してインターフェロンγ(IFNγ)レベルについて分析し、一方ペレットを抗ヒトCD69 APC(クローン:FN50、Biolegend, CA)での染色によるCAR T細胞活性化を評価しまたは1%ペニシリンおよび硫酸ストレプトマイシン含有TexMACSTM培地(Miltenyi Biotech Inc, CA)で5日間培養し、内因性GFP蛍光および抗ヒトCD3 APC抗体(クローン:HIT3a、Biolegend, CA)での染色を使用するフローサイトメトリーによる定量により、CAR T細胞増殖を試験した。
【1331】
インビボでの抗フルオレセインCAR T細胞の抗腫瘍活性の分析
免疫不全NSGマウス(Jackson Laboratory)にMDA-MB-231細胞を皮下インプラントし、腫瘍が約100mmサイズに達したとき、CAR T細胞、次いでフルオレセイン-葉酸(示すとおり)を静脈内注射した。マウスの葉酸レベルを、ヒトで見られる生理学的レベルに減少させるために、マウスを葉酸欠乏餌(TD.95247、Envigo)で維持した。腫瘍をノギスで隔日に測定し、腫瘍体積を、式:腫瘍体積=1/2(L×W)(式中、Lは腫瘍の最長軸であり、WはLに垂直の軸である)に従い計算した。マウス血液もLEGENDplexビーズベースのイムノアッセイ(Biolegend, CA)を使用するサイトカインレベル(例えばIL-2、IL-6、IFNγおよびTNFα)測定のために集め、全身毒性を、体重減少測定によりモニターした。全動物を、国立衛生研究所(NIH)ガイドラインに従い世話および使用し、全実験プロトコールはPurdue Animal Care and Use Committeeにより承認された。
【1332】
統計分析
GraphPad Prism version 7ソフトウェア(Graphpad, CA)を、全グラフ作成および統計分析に使用した。特に断らない限り、全ての図は平均±s.e.m.値を記載した。ANOVAを複数比較のために使用した。
【1333】
抗フルオレセインCARの構築および特徴づけならびにそのフルオレセイン-葉酸架橋分子との相互作用
図63Aはフルオレセイン-葉酸架橋(FITC-葉酸)の構造を示す。構造の左側はビタミン、葉酸があり、これは、その受容体(葉酸受容体アルファ、FRα)がヒト上皮性腫瘍の約40%で過発現されているが、正常組織で大きく欠けているまたは検出不可能であるため、代表的腫瘍標的指向化リガンドとして選択した。右側にはフルオレセインがあり、これは、フルオレセインに対するフェムトモル濃度親和性を有するヒト抗フルオレセイン抗体が既に文献に記載されているため、CAR結合のためのリガンドとして選択した。図63Bは、細胞毒性CAR T細胞を癌細胞死滅を指向させるために使用したCAR(配列番号1および2)の構築を概説する。上記抗体からの抗フルオレセインcFvを、CD137(4-1BB)の細胞内ドメインを含むように予め操作されている、T細胞受容体のCD3ゼータ鎖と融合させた。このCAR構築物のレンチウイルスベクター[pCDH-EF1-MCS-(PGK-GFP)]への導入は、GFP(CARと共形質導入された蛍光マーカー)に対するT細胞染色陽性のフラクションにより示されるとおり、50~60%効率での前活性化ヒトT細胞の形質導入を可能とした(図63C)。図63Dは、さらに、フルオレセイン-葉酸が操作T細胞へのFITC-Alexa 647結合を競合的にブロックする能力により確立されるとおり、CAR発現T細胞がフルオレセイン-葉酸と結合することを示す。
確立された抗フルオレセインCAR T細胞を産生する能力を有して、操作T細胞の致死効力を、フルオレセイン-葉酸架橋分子が培養中の腫瘍細胞のCAR T細胞排除に介在する能力の評価により試験した。図64Aに示すとおり、フルオレセイン-葉酸は、i)フルオレセイン-葉酸添加によるKB細胞蛍光のシフトおよびii)過剰遊離酢酸との競合によるこのシフトのブロックにより示されるとおり、FR陽性KB細胞(子宮頸癌細胞株)に結合することが判明した。次いで、CAR T細胞介在KB細胞死が、架橋の非存在下ではなく、存在下でのKB細胞の溶解を示すことにより示された。それ故に、図64Bに示すとおり、癌細胞の溶解は、CAR T細胞およびフルオレセイン-葉酸両者が存在するとき観察されたが、フルオレセイン-葉酸がないとき(PBS)またはフルオレセイン-DUPA(KB細胞ではなく、前立腺癌細胞に架架橋する架橋分子)が存在するとき観察されなかった。さらに、抗フルオレセインCAR T細胞は、複数のエフェクター対標的細胞比でKB細胞を根絶できたが、同様にフルオレセイン-葉酸が存在するときのみであった(図64C)。IFNγの同時の産生の分析は、抗フルオレセインCAR T細胞の殺腫瘍性活性が、正しいフルオレセイン-葉酸架橋の付加によってのみ誘発されるさらなる証拠を提供し(図64D)、関連実験は、両抗フルオレセインCAR T細胞増殖およびCAR T細胞活性化も、正しい架橋の付加に依存的であることを確立した(図64、パネルEおよびF)。纏めると、これらのデータは、抗フルオレセインCAR T細胞機能性は、正しい腫瘍特異的架橋がCAR T細胞と所望の癌細胞の結合に介在する能力に密接に依存的であることを示す。
【1334】
サイトカイン放出症候群(CRS)を促進する条件の同定
架橋投与の期間、濃度または頻度の操作がCRS制御に利用できるはずであるか否かを調査するために、まず、容易に測定可能なCRSが再現可能に生じる条件を同定する必要があった。多数のヒト腫瘍異種移植モデルの探索後、FR陽性MDA-MB-231細胞(ヒトトリプルネガティブ乳癌細胞株)をインプラントしたNSGマウスが、抗フルオレセインCAR T細胞とフルオレセイン-葉酸投与により強力なCRSを確実に示すことが判明した。それ故に、図65Aに示すとおり、約8%の体重減少が、5×10 CAR T細胞と500nmole/kgフルオレセイン-葉酸注射4日以内に腫瘍担持マウスで観察された;すなわちCRSの発生を示す。対照的に、フルオレセイン-葉酸非存在下でのCAR T細胞注射により、類似腫瘍担持マウスで体重減少は観察されなかった;すなわち架橋がCAR T細胞活性化に必要であることを示す上記データに一致した。顕著なことに、架橋の存在下でも非存在下でも、同じ抗フルオレセインCAR T細胞で処置した無腫瘍マウスで、体重減少は観察されなかった。これら後者のデータは、CAR T細胞およびフルオレセイン-葉酸架橋が存在しても、フルオレセイン含有細胞(すなわちフルオレセイン装飾MDA-MB-231細胞)がCAR T細胞に結合できない限り、CAR T細胞活性化および結果としての体重減少は生じ得ないことを確認する。健常組織におけるFR発現が主に腎臓近位尿細管細胞の頂端膜側(FRが免疫細胞に到達しがたいところ)に限定されているため、CAR T細胞活性化は無腫瘍マウスでほとんどまたは全く予測されない。
CRSの強度が、癌細胞との細胞毒性シナプスの形成が成功したCAR T細胞数に依存することをさらに確立するため、体重減少およびIFNγ放出の依存性を、CAR T細胞数の関数として決定した。図65Bに示すとおり、架橋単独の投与は体重減少を促進しない。同様に、架橋非存在下の10×10 CAR T細胞注射は、体重減少を促進しない;すなわち全身細胞毒性のために癌細胞の結合が必要であることを確認する。2×10 CAR T細胞と500nmole/kg架橋の注射も明らかな体重減少を誘発しないが、5×10または10×10 CAR T細胞と同じ架橋投与量は、徐々に増加する体重減少を促進した。これらの体重の減少は、CAR T細胞数および架橋の存在への鋭敏依存性も示した、IFNγ放出の同時の分析により、CRSが原因である可能性があった。纏めると、これらのデータは、CAR T細胞および架橋両者が、CAR T細胞活性化および付随CRSの誘発のために存在しなければならないことを示唆する。
【1335】
既存のサイトカイン放出症候群を迅速に終結させる戦略
全CAR T細胞処置ALL患者の92%がCRSを経験するため、CAR T細胞とその癌細胞標的の結合を制御する能力は、CRSを、その完全活性化後でも終結させることを調査すべきであるか否かとの疑問が生じた。この可能性を調査するために、我々は、まず、フルオレセイン-葉酸投与の中断が、CRSの中止を促進するか否かを試験した。図66Aに示すとおり、MDA-MB-231腫瘍担持マウスの15×10抗フルオレセインCAR T細胞での単回処置、続いて500nmole/kgのフルオレセイン-葉酸の隔日投与は、迅速かつ連続的体重減少を促進し、治療8日目に3匹のマウスの屠殺を要することとなった。対照的に、4日目および6日目のフルオレセイン-葉酸投与を省いた(しかし、その後の連続的な隔日の投与は受けた)同様に処置したマウスは、穏やかな体重減少しか示さず、迅速に回復した。この体重減少が、同マウスにおけるサイトカイン産生レベルと関連したとの可能性が、各マウスの血漿で測定されたIFNγレベルの関連する変化により示される(図66B)。より重要なことに、隔日投与の一過性中断は、抗腫瘍活性を損なうことができないだけでなく、むしろ、CAR T細胞効力を実際増強する。それ故に、図66Cに示すとおり、未処置または連続的処置マウスが腫瘍増殖の迅速な増加を示しているが、断続的架橋投与に曝されたマウスは、腫瘍の完全寛解を示した。これらのデータは、予め確立されたCRSが、CAR T細胞細胞毒性を損なうことなく、架橋投与の一時的中断により制御できることを示す。
【1336】
架橋投与の一過性中断がCRSの減少をもたらし得るとの理解により、次に、我々は、CRSのより強力な減少が、CAR T細胞の癌細胞への架架橋をフルオレセイン-葉酸と競合するリガンドの付加により促進されるか否かを疑った。この目的で、我々はCRSを上記のとおり開始させ、通常の架橋の隔日投与継続中に、我々は、単に100倍過剰の遊離葉酸を4日目および6日目に投与して、CRSの停止を試みた。図67Aに示すとおり、過剰葉酸の注射は、非断続的架橋投与で観察された連続的体重減少を迅速に阻止した。さらに、図66にみられるとおり、アダプター投与でのこの競合は、処置マウスのIFNγレベルを減少させるだけでなく(図67B)、CAR T細胞治療の治療効力も増強した(図67C)。これらのデータは、良性競合リガンド(すなわちビタミン葉酸)の一過性投与が、腫瘍治療を顕著に損なうことなく、CRSを停止できることを示唆する。
【1337】
CAR T細胞療法がフルオレセイン-葉酸をCAR Tと癌細胞の架架橋の介在に利用するときは、いつでも葉酸をCRSの制御に使用できるが、何らかのフルオレセイン結合腫瘍特異的架橋に付随するCRSの制御に有用であると証明すべきであるため、CRSをブロックするフルオレセインの能力を試験することも賢明であると考えた。それ故に、上記のとおり、CRSをMDA-MB-231腫瘍担持マウスで誘発し、CRS3日目の遊離フルオレセインの投与により、その中止を試みた。競合フルオレセインの注射は、治療有効性増加と共にCRSを誘発したが、遊離葉酸で見られたよりはるかに迅速であった。それ故に、図67Dに示すとおり、全CRS関連サイトカイン類は、フルオレセイン投与3時間稲井に減少し、IL-2、TNF-αおよびIL-6は、この短い期間で>50%を超えて減少した。IFNγは、3時間で血漿濃度の減少を示さなかったが、フルオレセイン注射6時間後の減少が証明され、その産生もフルオレセイン付加により減少されることが示された。重要なことに、IL-2、TNF-αおよびIL-6の血漿濃度は、全て6時間の時点までにほぼ背景レベルまで減少した。
【1338】
抗腫瘍活性を損なわずにCRSの発症を予防する戦略
高度に上昇し、長期間のCRSが患者をしばしば死亡させ得るが、CRSの証拠を示さない患者は一般にCAR T細胞療法への応答が観察されないため、一定レベルのCRSは望ましいと見なされている。それ故に、架橋またはCAR T細胞投与条件の最適化が、抗腫瘍活性の喪失なく、CRSの最小化をもたらし得るか否かとの疑問が生じた。この可能性を調査するために、我々はまずインビトロで腫瘍細胞溶解およびIFNγ放出に対する架橋投与量の効果を試験した。この目的で、抗フルオレセインCAR T細胞をMDA-MB-231細胞培養に加え、続いて0.001~100,000nM範囲のフルオレセイン-葉酸濃度で処置した。図68AおよびBに示すとおり、0.01nM未満の架橋投与量は、腫瘍細胞溶解にほとんど効果を発揮せず、IFNγ産生に最小の効果のみであった。対照的に、幾分高濃度のフルオレセイン-葉酸は、両パラメータに強力な影響を与え、一方さらに高投与量の架橋は、サイトカイン放出およびMDA-MB-231細胞死両者の減少を促進した。架橋の機構に基づき、過剰架橋濃度が、一価性にCAR T細胞および癌細胞両者の全部位を飽和し、それにより架橋の二価細胞間架架橋機能をブロックすると推測された。
【1339】
インビボでの同じ架橋濃度依存を評価するために、MDA-MB-231細胞をNSGマウスの皮下にインプラントし、フルオレセイン-葉酸投与量の効果を、同様に腫瘍増殖およびサイトカイン放出のモニタリングにより試験した。残念ながら、図66に先に示すとおり、連続的な隔日投与が、架橋投与量と無関係に、予測毒性CRSをもたらすため、我々は、4日目および6日目の架橋投与を省かざるを得なかった。しかしながら、この修飾をしても、架橋濃度の効果の分析は可能であり、インビトロで観察されたのに類似するベル型依存を確認した;すなわち血漿IFNγの初期増加と、続いて架橋投与量を増加させるにつれてその血漿濃度減少が観察された(図66C)。重要なことに、腫瘍細胞退縮も類似ベル型投与量応答で示され、500nmole/kgが完全腫瘍根絶を示し、それより低いおよび高い濃度両方が低い効力を示した(図66D)。これらの観察は、CAR T細胞と癌細胞の最大架架橋が、架橋形成の最大化に十分な架橋が存在するが、架架橋機能の自己競合を促進する過剰架橋は投与されていない中間架橋濃度でのみ生じることを確認する。
【1340】
CAR T細胞活性化を制御する架橋投与量を探索する能力がここで確立されたため、我々は、抗腫瘍効力を損なうことなく毒性CRSを予防する、治療活性架橋投与レジメンが同定されるか否かを調査することを決定した。CAR T細胞の活性化が急激すぎるときにCRSが最も重度になるとの仮説に基づき、我々は、CAR T細胞活性化をよりゆっくり誘発するであろうあまり積極的でない2つの架橋投与レジメンを試験することを選択した。第一レジメンについて、フルオレセイン-葉酸濃度を、アダプターの各連続的投与の間、0.5~500nmole/kgに一定に増加させた。図69Aに示すとおり、架橋濃度のこのゆっくりした漸増は、何ら介入なく4日以内に解消する一過性体重減少しか起こさなかった。対照的に、15×10 CAR T細胞で前処置した同じマウスへの500nmole/kgの連続投与は、マウスを最終的に屠殺せざるを得なくなった劇的かつ連続的体重減少をもたらした。より重要なことに、徐々の投与量漸増レジメンは、腫瘍担持マウスの完治をもたらし、一方連続毒性投与スケジュールは、わずかな治療効果であった(図69B)。これらのデータは、抗腫瘍活性がCRSと話すことができ、ゆっくりしたCAR T細胞活性化が実際CRSを減少させながら、殺腫瘍性活性を増強し得ることを強く主張する。
【1341】
架橋投与の頻度の減少を、CAR T細胞活性化間の長い間隔が、ある程度CAR T細胞弛緩を可能とし、それにより慢性抗原暴露により通常生ずるあらゆる疲弊を減少できるとの期待を持って、試験した。図69Cに示すとおり、週3回の架橋が顕著な動物体重減少をもたらし、一方週2投与量の架橋は低毒性であり、週1回フルオレセイン-葉酸注射は体重減少をもたらさなかった。先の試験の多くで見られるとおり、抗腫瘍活性が増加すると、CRSは減少した;すなわち1投与量の架橋を投与したときのみ、完治となった。
【1342】
実施例44
AMLモデルを使用する試験
葉酸受容体-β陽性急性骨髄性白血病モデルにおけるEC17/CAR-T治療を示す。
【1343】
材料:
EC17(葉酸-FITC、分子量873)を社内合成した。フルオレセインナトリウム(AK-FLUOR(登録商標)、フルオレセイン注射、USP)を、Purdue Pharmacyから購入した。
【1344】
インビボ方法:
細胞株
THP-1は、急性骨髄性白血病(AML)の1タイプである急性単球白血病を有する患者からのヒト単球細胞株である。THP-1-FRβは、ヒトFRβで安定にトランスフェクトしたTHP-1のGFP陽性サブクローンである。細胞を、10%熱不活性化ウシ胎児血清(HIFCS)および抗生物質含有無葉酸RPMI1640培地(Gibco BRL)(FFRPMI)で増殖させ、5%CO雰囲気下、標準細胞培養技法を使用して維持した。
【1345】
マウス
雌NSGTM(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ, stock #005557)マウスをJackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入し、約4週齢に達したとき使用した。マウスは、到着した日から葉酸欠乏餌(TestDiet, St. Louis, MO)で飼育した。
【1346】
腫瘍移植
THP-1-FRβ腫瘍を、9匹のNSGマウスの1動物あたり培養細胞5×10の静脈内移植により産生した。
【1347】
腫瘍担持マウスのEC17/CAR-T治療
腫瘍移植11日後から開始して、約830万のGFP+4M5.3 CAR-T細胞を各マウスに静脈内注入した。マウスを3群(n=3)に分けた:(1)CAR-T細胞単独、(2)CAR-T細胞と毎週500nmol/kgのEC17投与および(3)CAR-T細胞と毎週500nmol/kgのEC17投与に加えて、要事フルオレセインナトリウムレスキュー。最初のEC17投与量を、CAR-T細胞投与2日後に与えた。全てのEC17投与量は、一日の終わり近くに与え(およそ午後3~4時)、一夜でサイトカイン放出症候群(CRS)を発症させた。最初のEC17投与後翌朝、群2および3の全6匹のマウスは約3のCRSグレードのCRSの発症を示し、次いでフルオレセインナトリウムを、群3のみ6μmol/kgで投与した。フルオレセインナトリウムレスキューをしたおよびしていない全EC17投与マウスは、その後数日で完全に回復した。群3において、さらなるEC17投与に関して、さらなるフルオレセインナトリウムレスキューは与えなかった。マウスを秤量し、健康および疾患発症の徴候をモニターした。動物を、重度の苦痛/瀕死行動を示したときまたは比較目的で屠殺した。屠殺により、全マウスを、腫瘍塊の存在に関する肉眼的試験に付した。全ての可視腫瘍塊を摘出し、計数し、秤量した。血液、腫瘍転移(mets)および正常隣接組織を同日フローサイトメトリー分析のために取得した。
【1348】
フローサイトメトリーによる全血細胞分析
予定した体積の全EDTA処置血液から、3000×gで10分間、4℃での回転により血漿を除去し、得られた細胞ペレットを10倍体積の室温1×RBC溶解溶液(10×原液から調製;Biolegend, Catalog #420301)と5分間インキュベートし、400×gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを10倍体積の氷冷リン酸緩衝化食塩水(PBS、pH=7.4)で洗浄し、40μmナイロンフィルターで濾過し、次いで再びペレット化した。次いで白血球細胞ペレットを、抗マウスFcγIII/II受容体(CD16/CD32)ブロック(クローン2.4G2;BD Bioscience, catalog# 553142、1:100(v/v)希釈)および抗ヒトFcブロック(BD Biosciences, catalog #564220、1:50(v/v)希釈)両者を添加したフローサイトメトリー染色溶液(1%ウシ血清アルブミン、50mg/mLヒトIgG(Equitech Bio, cat#SLH56-0001)、0.9%ナトリウムアジドのPBS溶液、pH=7.4)に再懸濁した。表面マーカー染色を、各サンプルに暗所で20分間添加された次の蛍光色素コンジュゲートモノクローナル抗体の添加により実施した:抗ヒトCD45-APCeF780(クローンHI30、eBioscience #47-0459-42、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD3-BV650(クローンSK7、BD Bioscience, catalog #563999、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD137-BV650(クローン4B4-1、BD Bioscience #564092、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD8α-PECy7(クローンRPA-T8、BD Bioscience, catalog #557746、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD4-Percpe710(クローンSK3、eBioscience catalog #46-0047-42、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD25-PE(クローンM-A251、BD Bioscience, catalog #555432、1:10(v/v)希釈)、抗ヒトCD33-PE(クローンWM53、BD Bioscience, catalog #555450、1:5(v/v)希釈)、抗ヒトCD123-AF647(クローン9F5、BD Bioscience, catalog #563599、1:20(v/v)希釈)。ビオチニル化抗ヒト葉酸受容体-β(クローンm909)は、Purdue UniversityのLow lab(Arthritis Res Ther. 2011;13(2):R59)から恵与され、ストレプトアビジン-eFluor660(eBioscience, catalog #50-4317、1:1000(v/v)希釈)を使用して検出した。葉酸結合を機能的葉酸受容体の指標として解釈し、社内合成したAlexa Fluorコンジュゲート葉酸とのインキュベートにより決定した。白血球染色後、細胞をPBSで洗浄し、3μM ヨウ化プロピジウム含有冷PBSに再懸濁した。フローサイトメトリーデータをGalliosフローサイトメーター(Beckman Coulter, Brea, CA)で集め、各マウス血液サンプルの注入CAR T細胞の正確な計数のために十分な白血球事象を集める試みで、最小15,000 CountBrightTMビーズ事象を取得した。各血液サンプルにおけるCAR T細胞濃度の決定は、Invitrogenの指示に従った。簡潔には、CAR T細胞をヒトCD45+GFP+事象として同定し、KaluzaTM flow cytometry software version 1.5を使用して容易に区別され、計数された。CountBrightTMビーズを、CAR T細胞同定に使用した抗体パネルで利用していない蛍光色素で均一に標識し、白血球から容易に区別され、ビーズ事象を計数した。53,000 CountBrightTMビーズを各サンプルチューブに添加したため、我々は、53,000総ビーズ対サンプル毎に回収されたビーズ事象の比を計算し、ビーズ比を集めた既知数のCAR T細胞事象で除した各サンプル中の未知数のCAR T細胞と等価に設定した。未知の解は、既知体積の各血液サンプルから単離されたCAR T細胞数をもたらした。次いで、各注入マウスの循環中のCAR T細胞数を、分析した全血の50μLあたりのCAR T細胞の総数としてグラフに表した。ヒト末梢血単核細胞を購入し、白血球表面マーカーの染色対照として使用した(ヒトPBMC、Stem Cell Technologies, catalog # 70025.22)。統計的有意を対応のない、両側、スチューデントのt検定を使用して決定し、3群のマウスの各々の比較のために、有意差をp<0.05で設定した。
【1349】
腫瘍および隣接健常組織の単細胞懸濁液の調製
固形腫瘍および無腫瘍隣接組織を集め、秤量し、小片に刻み、次いで20mLの腫瘍消化カクテルを含む50mLチューブに移した。酵素腫瘍消化カクテルは、抗生物質添加無血清および葉酸欠乏RPMI1640培地中0.5mg/mL コラゲナーゼIV(Sigma-Aldrich、Catalog# C5138)、0.5mg/mLヒアルロニダーゼ(Sigma-Aldrich、Catalog# H3506)および0.1mg/mL DNase I(Sigma-Aldrich、Catalog# DN25)からなった。腫瘍フラグメントを、水平シェーカーで1時間、37℃で300rpmで消化させた。その後、腫瘍消化物を400×gで5分間遠心分離し、腫瘍細胞ペレットを10倍体積の室温1×RBC溶解溶液[10×原液から調製;Biolegend, Catalog #420301]と5分間インキュベートし、400gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを10倍体積の氷冷リン酸緩衝化食塩水pH=7.4で洗浄し、40μmナイロンフィルターで濾過し、次いで再びペレット化した。腫瘍細胞を先に上に記載したとおり、フローサイトメトリーにより分析した。
【1350】
総腫瘍負荷の肉眼的試験
群1の全3匹のCAR-T細胞対照動物(#1、#2、#3)は、腫瘍移植後45日後(PTI 45)(すなわちCAR-T細胞投与後34日)に肥大化したことが判明した。2匹の対照動物を屠殺し、3匹目は屠殺直前に死亡した。群2の1匹の動物(#5)を屠殺し、群1の同日比較として役立てた。腫瘍移植58日後(PTI 58)(すなわちCAR-T投与46日後)、群2の残った2匹の動物(#4および#6)を屠殺した(#4には、前日EC17を前投与した)。群3の全3匹の動物(#7、#9および#10)も集めた(#7および#10には、前日EC17を前投与した)。図56に示すとおり、種々のサイズ(卵巣で大きい)および位置(肺以外)の転移腫瘍塊がCAR-T細胞のみ対照群で見られた。同日の採取で、群2のEC17処置動物(#5)で微小な腫瘍小結節が同定された。図57は、試験した全群における推定腫瘍塊数および総腫瘍重量を要約する。一般に、CAR-T細胞対照群1のマウスが、フルオレセインナトリウムレスキューと無関係に両EC17処置群の動物より、最も目に見える腫瘍塊および高い総腫瘍負荷を有した。群3の1匹の動物(#10)以外、6匹のEC17処置マウス(±一回フルオレセインナトリウムレスキュー)中5匹が、採取時最小腫瘍負荷を有した。これらの予備的結果は、EC17制御CAR-T治療が、このAML腫瘍モデルに極めて有効であったことを示した。
【1351】
循環腫瘍細胞の特徴づけ
循環AMLを分析し、全患者の約90~95%で、特徴的表面マーカー発現、CD33およびCD123が示された。この侵襲性AMLモデルにおける我々のFITC特異的4M5.3 CAR T細胞の抗白血病活性を試験するために、我々は、FRβで安定にトランスフェクトされ、THP-1-FRβと称するTHP-1細胞を使用した。我々は、それ故に、我々のインビトロTHP-1-FRβ細胞株を試験し、これらの細胞も、AML表現型を示唆するCD33およびCD123表面発現(図58A、左側ドットプロット)を維持することを示した。未染色THP-1-FRβ細胞および新鮮ヒトPBMCは、ゲーティングおよび陽性対照として役立ち、これらのマーカーに対する我々のアッセイに確信をもたらした(図58A、中央および右側ドットプロット)。THP-1-FRβ細胞をNSGマウスに静脈内注射したとき、ヒト白血病細胞はGFP蛍光により血液中のマウス白血球と容易に区別され、AMLマーカー、CD33およびCD123の表面発現を維持することが観察された(図58B)。さらに、我々は、Alexa Fluor 647標識葉酸での陽性表面染色により、インビボで循環腫瘍細胞の安定なFRβ発現を確認した(図59A)。THP-1-FRβ腫瘍細胞は、抗ヒトFRβ抗体を使用するフローサイトメトリー染色で見られるとおり、肝臓および卵巣から単離した固形腫瘍転移においてもFRβを発現し続けた(図59B)。
【1352】
EC17指向性CAR T細胞の抗白血病活性
CAR T細胞が、THP-1-FRβ細胞担持NSGマウスの白血病負荷を減少するよう指向され得るか否かを決定するために、CAR-T注入34日後、我々は、屠殺基準に合った群1のCAR T細胞単独を受けた動物の血液から単離されたGFP+腫瘍細胞を、群2のCAR T細胞と4週間EC17(500nmol/kg;SIW)を受けた動物のものを比較した(図60)。明らかに、総白血球の約23%がGFP+白血病細胞である、EC17処置なしの対照動物が高白血病負荷であった(図60Aおよび図60B、棒グラフ)。しかしながら、CAR T細胞を注入され、EC17を投与された動物において、GFP+白血病細胞が血中でほぼ検出不可能となった、顕著なCAR T細胞活性が観察された(図60B)。さらに、観察されたCAR T細胞の抗白血病活性は、THP1-FRβ細胞が血中でなお検出不可能であった、CAR T細胞注入後47日もの間、動物中で持続した(図60B)。
【1353】
注入後血液由来CAR T細胞の残留性
循環中のFITC-CAR T細胞数をフローサイトメトリー分析により測定し、CAR T細胞注入34日および47日後(試験の最後)にマウスから採取した全血サンプルのGFP+CD3+CAR T事象を数え上げた(図61A)。我々の4M5.3構築物で形質導入したヒトCAR T細胞は、何らEC17を受けなかった対照マウスで注入後34日もの間持続し、THP-1-FRβ腫瘍担持NSGマウスが、ヒトT細胞の生存能の維持が可能であることを示唆した。EC17を毎週受けているCAR-T細胞注入THP1-FRβ担持マウスにおいて、CAR T細胞は、注入後47日もの間血液中で顕著に残留し、数は100μLの血液中3800~300,000 CAR T細胞の範囲であり(図61A)、対照動物と明白な差はなかった。興味深いことに、EC17の毎週の注射を受けているマウスから単離したCAR T細胞表現型は、主に中枢記憶/エフェクター記憶表現型であり(図61B)、一方EC17を受けなかったマウスからのCAR T細胞はなおエフェクターT細胞表現型を有した(図61B)。記憶表現型のCAR T細胞は、記憶T細胞が癌細胞殺滅に利用可能なエフェクターT細胞を将来発生するさらなる細胞分裂が可能であるため、T細胞治療に望ましい性質である。
【1354】
CAR T細胞は転移腫瘍病変に局在化し、隣接健常組織にない
AML腫瘍細胞は通常患者の血液および骨髄にみられるが、時折AML細胞は体内のどこかに固形腫瘍を形成し得る。NSGマウスにおけるTHP-1-FRβ腫瘍モデルは、血液ならびに卵巣、肝臓、小腸、脳および胃などの正常組織の転移固形腫瘍病変に腫瘍細胞を有するAMLを模倣する。EC17/CAR-T処置が顕著なことに総腫瘍負荷を減少させるため(図56および図57)、我々は、EC17処置動物にみられる残留腫瘍内のCAR T細胞の存在を評価し、かつ同動物における隣接正常組織に対して腫瘍におけるCAR T細胞の優先性を試験することを望んだ(図62)。CAR-T細胞注入と5回EC17(500nmol/kg)毎週投与を受けた2匹の動物を、T細胞注入47日後に屠殺した。残留腫瘍がいくつかの正常臓器で見られた(例えば胃裏層、心臓、肝臓および十二指腸)。消化サンプルでフローサイトメトリーを使用して、我々は、可視の固形腫瘍転移におけるCAR T細胞の存在を分析し、腫瘍が見られた同動物の隣接健常組織とCAR-T細胞浸潤を比較した。1匹の動物(マウス#4)で、CAR T細胞は、胃および心臓にみられる腫瘍に高数で存在したが(図62A)、健常隣接組織にはなかった(図62A)。類似のデータが、腫瘍が十二指腸内で見られた他の動物(マウス#10)でも見られたが、肝臓腫瘍転移と健常肝臓組織間のCAR T細胞数の差は大きくなかった。
腫瘍内のCAR T細胞のあらゆる活性を測定する努力の中で、我々は、CAR T細胞の表面を活性マーカー、CD25でも染色した。興味深いことに、我々は、腫瘍のCAR T細胞で高レベルのCD25を見たが、隣接健常組織から単離したCAR T細胞ではなかった(図62B)。纏めると(図62Aおよび62B)、これらのデータは、CAR T細胞は白血病細胞を健常組織まで追跡し、腫瘍形成のための転移部位でそれらを攻撃し、注入47日後でもなお活性であることを示唆する。重要なことに、マウス#10は、EC17単回投与後、sCRSのフルオレセインナトリウムレスキューを受けた群3であった。フルオレセインナトリウムをこの動物に与えたが、CAR T細胞は、血液および腫瘍両者でなお持続し、CAR T細胞機能性が保持され、これらのCAR-T細胞がFR陽性腫瘍標的に対するEC17により再活性化され得ることを示唆する。
【1355】
実施例45
EC17投与量漸減サイクルは毒性を軽減できる
EC17投与量漸減の効果を、CAR-T治療の抗腫瘍活性および毒性(体重変化)に対して試験した。850万 凍結抗FITC CAR-T細胞を解凍し、皮下MDA-MB-231腫瘍(100~200mm)担持マウスにi.v.注射した。500nmol/kg EC17をCAR-T注射2日後投与し、マウスでsCRSを生じさせた。これらのマウスは6μmol/kg NaFLで十分レスキューされ、次いで2群に分けた。第一群は500nmol/kg EC17を毎週投与し(SIW)、一方第二群は、2回のEC17漸増サイクルで投与した。各サイクルは2週間(14日間)続いた。各サイクルの投与スケジュールは、1日目5nmol/kg EC17、3日目50nmol/kg EC17、5日目500nmol/kg EC17を含んだ。9日間中断後、第二漸増サイクルを開始した。漸増群およびSIW群両者の投与スケジュールを図70Aに示す。腫瘍サイズおよび体重を週2~3回モニターした。両群は、CAR-T治療に対する類似した応答を示し(図70B)、一方漸増群の体重減少は、EC17 SIW群よりはるかに少なかった(図70C)。本データは、EC17投与量漸減が、CAR-T細胞治療の抗腫瘍活性を維持しながら、毒性を低減できることを示唆する。
【1356】
実施例46
CAR-TおよびEC17治療関連毒性は腫瘍サイズと相関する
CAR-T治療関連毒性が腫瘍負荷に依存的であるか否かを調べるために、NSGマウスにMDA-MB-231をs.c.インプラントした。150~900mm範囲の種々の腫瘍サイズを有する10匹のマウスをこの試験のために選択した。CAR-T細胞について、1050万 GFP+FITC-CAR-T細胞をi.v.注射し、続いて500nmol/kg EC17を48時間後投与した(図71A)。マウスの体重をCAR-T注射前とEC17投与18時間後で比較した。図71Bに示すとおり、体重変化は、腫瘍サイズ依存的であることが示された。腫瘍負荷が高いほど、CAR-TおよびEC17処置後マウスの体重減少は大きかった。EC17投与18時間後、マウスはグレード2サイトカイン放出症候群を示し、血液サンプルを心臓穿刺により集めた。血漿サンプルをすぐに分け、ヒトサイトカイン検出キット(Biolegend)を使用するサイトカインレベルの分析まで-20℃で保存した。図71Cに示すとおり、IL-6の産生は腫瘍サイズ依存的であることが示された。腫瘍負荷が高いほど、CAR-TおよびEC17処置後、より多くのIL-6が産生された。IL-6は、慣用のCAR-T治療で処置したとき、液性腫瘍を有するヒト患者における重度サイトカイン放出症候群の予測的バイオマーカーであることが広く報告されている。これらのデータは、CAR-TおよびEC17治療において、固形腫瘍担持マウスにおけるCRSの重症度が腫瘍負荷とも相関することを示す。
【1357】
実施例47
侵襲性骨肉腫モデルにおけるEC17制御抗FITC CAR T細胞治療の評価
材料
EC17(葉酸-FITC、分子量873)を社内合成した。フルオレセインナトリウム(AK-FLUOR(登録商標)、フルオレセイン注射、USP)を、Purdue Pharmacyから購入した。
【1358】
インビボ方法
細胞株
HOS-143bは、骨肉腫を有する13歳白人少女起源の、ATCC(CRL-8303)から購入した細胞株である。HOS-FRαは、ヒトFRαで安定にトランスフェクトしたHOS-143bのサブクローンである。細胞を5~10%熱不活性化ウシ胎児血清(HIFCS)含有無葉酸RPMI1640培地(Gibco BRL)(FFRPMI)で増殖させ、5%CO雰囲気下、標準細胞培養技法を使用して維持した。
【1359】
マウス
雌NSGTM(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ, stock #005557)マウスをJackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入し、約4週齢に達したとき使用した。マウスは、到着した日から葉酸欠乏餌(TestDiet, St. Louis, MO)で飼育した。
【1360】
腫瘍移植
HOS-FRα細胞を、6匹の動物に動物あたり5×10で皮下インプラントした。
【1361】
CAR-T細胞調製
GFP+抗FITC 4M5.3 scFv-CAR T細胞を先に記載のとおり調製した。インビトロで12~20日間培養後、それらを凍結し、50%熱不活性化AB+ヒト血清、40%T細胞培養培地および10%DMSO含有凍結剤中-80℃で保存した。凍結CAR-T細胞を37℃で急速に解凍し、PBSで2回洗浄し、動物注射に使用した。
【1362】
腫瘍担持マウスのEC17/CAR-T治療
図72Aに示すとおり、腫瘍移植6日後、全動物は、1050万 CAR T細胞を静脈内に受けた(0日目)。2日後、動物を2群に分け(この試験についてn=3)、EC17処置を受けなかったかまたはEC17を、週1回(SIW)、4~5回、500nmol/kgで静脈内投与した。EC17処置群の1匹の動物は、40日目および42日目に50nmol/kgおよび100nmol/kgのさらに2回のEC17を受けた。全EC17投与量は、一日の終わり近くに与え(およそ午後3~4時)、一夜でサイトカイン放出症候群(CRS)を発症させた。フルオレセインナトリウムレスキューを必要に応じて0.6μmol/kgで行った。最後のEC17投与動物のみ、フルオレセインナトリウムを47日目に受けた。
【1363】
フローサイトメトリーによる全血細胞分析
予定量の全EDTA処置血液から、10分間、4℃で3000gの回転により血漿を除去し、得られた細胞ペレットを10倍体積の室温1×RBC溶解溶液[10×原液から調製;Biolegend, Catalog #420301]と5分間インキュベートし、400gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを10倍体積の氷冷リン酸緩衝化食塩水pH=7.4で洗浄し、40μmナイロンフィルターで濾過し、次いで再びペレット化した。次いで、白血球ペレットを、両抗マウスFcγIII/II受容体(CD16/CD32)ブロック[クローン2.4G2;BD Bioscience, catalog# 553142、1:100(v/v)希釈]および抗ヒトFcブロック[BD Biosciences, catalog #564220、1:50(v/v)希釈]を添加したフローサイトメトリー染色溶液[1%ウシ血清アルブミン、50mg/mLヒトIgG(Equitech Bio, cat#SLH56-0001)、リン酸緩衝化食塩水中0.9%ナトリウムアジド、pH=7.4]に再懸濁した。白血球表面マーカー染色を、各サンプルに暗所で20分間添加された次の蛍光色素コンジュゲートモノクローナル抗体の添加により実施した:抗ヒトCD45-APCeF780[クローンHI30、eBioscience #47-0459-42、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD137-BV650[クローン4B4-1、BD Bioscience #564092、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD8α-PECy7[クローンRPA-T8、BD Bioscience, catalog #557746、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD4-Percpe710[クローンSK3、eBioscience catalog #46-0047-42、1:20(v/v)希釈]。白血球染色後、細胞をPBSで洗浄し、53,000 CountBrightTMビーズ[Invitrogen catalog #C36950]含有冷PBSに再懸濁し、フローサイトメトリーコレクションチューブに移した。フローサイトメトリーデータをGalliosフローサイトメーター(Beckman Coulter, Brea, CA)で集め、各マウス血液サンプルの注入CAR T細胞の正確な計数のために十分な白血球事象を集める試みで、最小15,000 CountBrightTMビーズ事象を取得した。各血液サンプルにおけるCAR T細胞濃度の決定は、Invitrogenの指示に従った。簡潔には、CAR T細胞をヒトCD45+GFP+事象として同定し、KaluzaTMフローサイトメトリーソフトウェアを使用して容易に区別および計数できた。CountBrightTMビーズを、CAR T細胞同定に使用した抗体パネルで利用していない蛍光色素で均一に標識し、白血球から容易に区別され、ビーズ事象を計数した。53,000 CountBrightTMビーズを各サンプルチューブに添加したため、比は、53,000総ビーズ対サンプル毎に回収されたビーズ事象を占め、ビーズ比を集めた既知数のCAR T細胞事象で除した各サンプル中の未知数のCAR T細胞と等価に設定した。未知の解は、既知体積の各血液サンプルから単離されたCAR T細胞数をもたらした。各注入マウスの循環中のCAR T細胞数を、次いで、分析した50μLの全血あたりのCAR T細胞の総数としてグラフに示した。
【1364】
腫瘍および健常組織の単細胞懸濁液の調製
47日目に屠殺した動物について、血液、正常組織(肝臓、脾臓および骨髄)および皮下腫瘍を取得し、小片に刻み、次いで20mLの腫瘍消化カクテルを含む50mLチューブに移した。酵素腫瘍消化カクテルは、抗生物質添加無血清および葉酸欠乏RPMI1640培地中0.5mg/mL コラゲナーゼIV(Sigma-Aldrich、Catalog# C5138)、0.5mg/mLヒアルロニダーゼ(Sigma-Aldrich、Catalog# H3506)および0.1mg/mL DNase I(Sigma-Aldrich、Catalog# DN25)からなった。腫瘍フラグメントを、水平シェーカーで1時間、37℃で300rpmで消化させた。その後、腫瘍消化物を400×gで5分間遠心分離し、腫瘍細胞ペレットを10倍体積の室温1×RBC溶解溶液[10×原液から調製;Biolegend, Catalog #420301]と5分間インキュベートし、400gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを10倍体積の氷冷リン酸緩衝化食塩水pH=7.4で洗浄し、40μmナイロンフィルターで濾過し、次いで再びペレット化した。腫瘍細胞によるFRαの発現を、抗ヒトFRα[クローンLK26、Biolegend catalog #908304、1:20(v/v)希釈]で染色した。腫瘍細胞を先に上に記載したとおり、フローサイトメトリーにより分析した。
【1365】
データおよび結果
試験スキーマを図72Aに示す。EC17処置群の第一HOS-FRα腫瘍担持動物は、4回毎週500nmol/kgのEC17投与を受けたが、神経学的問題により28日目に屠殺した。同群の第二動物は、5回毎週500nmol/kgのEC17投与を受けたが、34日目に死亡が判明した。同群の最後の動物は、5回毎週500nmol/kgのEC17投与と、さらに40日目および42日目に50nmol/kgおよび100nmol/kgのEC17投与を受けた。この動物は47日目にフルオレセインナトリウムを受け、53日目に屠殺した。全動物は、CAR-T細胞投与約5週間後にGVHDを発症した。
腫瘍体積(図72B)および体重変化(図73)を、各個々の動物についてプロットした。黒線は、CAR-T細胞のみを受けたHOS-FRα腫瘍担持マウスを示す。点線は、上記のとおりCAR-T細胞およびEC17処置を受けたHOS-FRα腫瘍担持マウスを示す。EC17投与日を、垂直点線として標識した。腫瘍体積および体重変化を週2~3回モニターした。CAR-Tのみ群の1匹の動物が45日目に明白な理由なく死亡していることが判明したが、全3匹のCAR-T細胞対照動物は、腫瘍が確立された迅速に増殖した(図72B、黒線)。対照的に、EC17をSIWで500nmol/kg投与された全3匹のマウスの腫瘍は28日目および33日目に退縮し始めた(図72B、点線)。EC17処置群の2匹の動物を28日目および34日目に失ったが、同処置群の最後の動物は、腫瘍増殖が長く遅れ、さらに低投与量EC17処置に応答した。これらの動物における体重変化(図73)は、EC17処置動物で腫瘍が>200mmに達したら、CRSが重度であったことを示唆する。重度GVHDを併発したCRSは、これらの動物における観察された毒性および死亡率の理由である可能性があった。
フローサイトメトリー分析を、47日目に集めた最後の動物で実施した。図74A~Fに示すとおり、HOS癌細胞は抗ヒトFRα[クローンLK26]染色で陽性として同定された。HOS-FRα癌細胞は試験した正常組織で検出不可能であり、皮下固形腫瘍でのみ検出可能であった。さらに、これらのデータは、インビボでEC17/CAR-T処置後のHOS-FRα腫瘍細胞のFRα継続表面発現を確認した。
【1366】
実施例48
フルオレセインナトリウム(NAFL)レスキューは、重度サイトカイン放出症候群の発症と関連する宿主MCP-1、IL-6およびIL-10の産生を減少できる
高レベルのMCP-1、IL-6およびIL-10が、種々の液性腫瘍に対するCAR-T細胞治療後のサイトカイン放出症候群(CRS)の予測因子として報告されている。これらのサイトカイン類の産生は、ヒトCAR-T細胞だけでなく、単球、マクロファージおよび樹状細胞を含む宿主免疫細胞でも生じる。これらのサイトカイン類は、CAR-T細胞で処置した患者の、異常マクロファージ活性化に参加し、CRSの発症を駆動することも報告されている。これらのサイトカイン(例えばIL-6およびMCP-1)の減少は、CAR-T治療におけるCRS管理に有効であることが証明されている。NSGマウスは免疫不全であるが、マウス樹状細胞およびマクロファージはなお一部機能的である。CAR-T/EC17治療がNSGマウスでこれら宿主サイトカイン類の産生を誘発できるか否かを試験し、またNaFLレスキューがこれら宿主マウスサイトカイン類の産生を減少できるか否かを試験するために、MDA-MB-231腫瘍担持NSGマウスを使用した。
試験の第一パートで(図75)、マウスをEC17およびFITC-CAR-T細胞で処置した。マウスがsCRSを示し始めたら、単回の60μmol/kg NaFLをレスキューのために注射した。次いでマウス血液サンプルをNaFLレスキュー後7時間および27時間両者で集めた。血液中のマウスサイトカインレベルを、製造業者の指示に従い、BioLegendのマウス炎症パネルキット(Cat. No. 740446)を使用して分析した。図76A~Eは、レスキュー7時間後のサイトカインレベルを示す。図77A~Cは、レスキュー27時間後のサイトカインレベルを示す。要約すると、CAR-Tを投与したが、EC17はしなかったマウスの血中マウスサイトカイン類は極めて低く、一方EC17を投与されたマウスの、MCP-1、IL-6、IL-10、IFN-βおよびTNF-αを含む血中マウスサイトカインレベルは増加した。より重要なことに、60μmol/kgフルオレセインナトリウムでレスキューされたマウスのマウスサイトカインレベルは、レスキューされていないマウスよりはるかに低かった(レスキュー後7時間および27時間両者)。
試験の第二パートで、一連の濃度のNaFLを、そのレスキュー効率(図78)について試験した。図79~81に示すとおり、血液中のマウスサイトカインレベルも使用したフルオレセインナトリウム濃度に依存的であり、中央有効投与量は、試験したサイトカイン類(例えばMCP-1、IL-6およびIL-10)で約0.6μmol/kgであり、マウスはレスキュー後わずか3時間で応答し始めた。
結論として、CAR-T/EC17治療は、マウスサイトカイン産生を上昇でき、単回NaFLレスキューはこれらのCRS関連マウスサイトカイン類の産生を減少し、マウスの全体的状態を改善することができる。
【1367】
実施例49
マウスにおけるマウスMCP-1産生はCAR-T細胞数と相関する
単球化学誘引物質タンパク質1(MCP-1)は、単球/マクロファージ走化性であるケモカイン分子である。高レベルのMCP-1が、急性リンパ芽球性白血病を含む種々の液性腫瘍に対するCAR-T細胞治療後のサイトカイン放出症候群に対する予測的バイオマーカーであることが報告されている。NSGマウスは免疫不全であるが、樹状細胞およびマクロファージの機能は、欠損しているものの、完全には消滅していない。CAR-T/EC17治療がNSGマウスにおけるマウスMCP-1の産生を誘発できるかを評価し、マウスMCP-1の産生がマウスにおけるCAR-T数と相関するか否かを試験するために、MDA-MB-231腫瘍担持NSGマウス(250~500mm)を3群に分け、図82Aに示すとおり、500nmol/kg体重のEC17および種々の量のCAR-T細胞(それぞれ200万、500万または1250万)を投与した。2回目のEC17投与2日後、マウス血液サンプルを集め、血液中のマウスMCP-1の産生を、BioLegendからのマウス炎症パネルキット(Cat. No. 740446)を使用して分析した。図82Bに示すとおり、マウスMCP-1は投与したCAR-T細胞数と相関することが判明した。結論として、主に、活性ヒトCAR-T細胞により放出される高レベルのヒトサイトカイン類のため、CAR-T細胞が増加すると、マウスMCP-1の産生も増加する。
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