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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241111BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20241111BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241111BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241111BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N1/00 519
G03G15/04 111
G03G21/16 152
G03G21/16 147
B41J29/00 C
G03B27/50 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022183875
(22)【出願日】2022-11-17
(65)【公開番号】P2024072959
(43)【公開日】2024-05-29
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 文吾
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-120854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03G 15/04
G03G 21/16
B41J 29/00
G03B 27/50-27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットに接続され、前記読取ユニットが読み取った原稿の画像信号を伝送するケーブルと、
前記読取ユニットを収容する収容部と、
前記読取ユニットに設けられ、前記ケーブルが接続されるコネクター部と、
前記収容部に設けられ、前記コネクター部を前記収容部の外部に露出させる開口部と、
前記ケーブルが前記開口部を介して前記コネクター部に接続された状態において、前記開口部を覆うカバー部材と、
を有する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取ユニットは、前記開口部の周縁に沿って設けられた弾性部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記収容部は、原稿からの光を透過する透明部と、前記透明部に対して垂直な側面と、前記透明部と平行な上面と、を有し、
前記開口部は、前記側面と前記上面とに連続して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記透明部及び前記側面を含む第1収容部材と、前記上面を含み前記第1収容部材と共に前記読取ユニットを収容する第2収容部材と、を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記開口部を覆う第1カバー面と、前記第1カバー面から垂直に延びた面であり、前記第1カバー面と共に前記開口部を覆う第2カバー面と、を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記収容部は、前記収容部の外側に突出した突起部を有し、
前記カバー部材は、前記突起部に係合する係合穴を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された原稿を前記読取ユニットに搬送する搬送部と、を有する原稿搬送装置を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像読取装置と、
前記読取ユニットにより読み取られた原稿の画像に基づいてシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ等の画像形成装置は、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取装置を備えたものが知られている。この種の画像読取装置は、原稿を1枚ずつ搬送する自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder、以下ADFとする)と、搬送される原稿の画像を読み取るためのスキャナ部を有している。
【0003】
このような画像読取装置には、原稿の画像を読み取るための受光素子を有する読取ユニットが設けられている。この読取ユニットと原稿搬送路の間に異物が侵入した場合、読み取られた画像情報に線上の画像スジが生じることがある。そこで特許文献1には、内部に異物が侵入することを防止するために、密閉部材により読取ユニットを密閉する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-208745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、読取ユニットには、読み取った原稿の画像信号を制御基板へ伝送するためのケーブルが接続される。しかしながら、読取ユニットが収容部材に収容された場合、ケーブルが接続されるコネクター部は収容部材の内部に位置する。そのため、読取ユニットの組み立てやメンテナンスにおいてケーブルをコネクター部に着脱する際に、収容部材から読取ユニットを取出す必要があり、収容部の内部に異物が侵入する虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、収容部に収容された読取ユニットにケーブルを着脱する際に、収容部の内部に異物が侵入することを抑制することが可能な画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、原稿の画像を読み取る読取ユニットと、前記読取ユニットに接続され、前記読取ユニットが読み取った原稿の画像信号を伝送するケーブルと、前記読取ユニットを収容する収容部と、前記読取ユニットに設けられ、前記ケーブルが接続されるコネクター部と、前記収容部に設けられ、前記コネクター部を前記収容部の外部に露出させる開口部と、前記ケーブルが前記開口部を介して前記コネクター部に接続された状態において、前記開口部を覆うカバー部材と、を有する、ことを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容部に収容された読取ユニットにケーブルを着脱する際に、収容部の内部に異物が侵入することを抑制することが可能な画像読取装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置を示す概略断面図。
図2】画像読取装置を示す概略断面図。
図3】第2読取ユニット及びケースを示す断面図。
図4】フラットケーブルが第2読取ユニットに接続された状態におけるケースを示す斜視図。
図5】第2読取ユニットのコネクター部を示す斜視図。
図6】第2読取ユニットのコネクター部を示す斜視図。
図7】第2読取ユニット及び第1ケース部材、第2ケース部材を示す分解斜視図。
図8】カバー部材を示す斜視図。
図9】カバー部材がケースに取り付けられた状態を示す斜視図。
図10】カバー部材がケースに取り付けられた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
<画像形成装置の構成>
まず、図1を用いて、本実施形態の画像形成装置101の概略構成について説明する。図1は画像形成装置101の概略断面図である。図1に示すように、画像形成装置101は、画像形成装置本体102の上方に、画像読取装置103を備えた構成となっている。画像読取装置103は、スキャナ部30と自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder、以下ADFとする)1とを備え、原稿Dを光学的に走査して画像情報を読み取る。原稿Dは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、布などのシートある。画像読取装置103によって電気信号に変換された画像情報は、画像形成装置本体102に設けられた制御部132へと転送される。
【0012】
画像形成装置本体102は、記録媒体であるシートPに画像を形成する画像形成部としての画像形成ユニット133と、画像形成ユニット133にシートPを給送するシート給送部134と、を有している。シート給送部134は、互いに異なるサイズのシートPを収納可能なシート収納部137a、137b、137c、137dを備えている。各シート収納部に収納されたシートPは、ピックアップローラ112によって繰り出され、フィードローラ113a及びリタードローラ113bによって1枚ずつ分離されて、対応する搬送ローラ対131へと受け渡される。そして、シートPは、シート搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ対131に順に受け渡されることで、レジストレーションローラ対136へと搬送される。
【0013】
なお、ユーザによって手差しトレイ137eに載置されたシートPは、給送ローラ138によって画像形成装置本体102の内部に給送され、レジストレーションローラ対136へと搬送される。レジストレーションローラ対136は、シートPの先端を停止させて斜行を補正する。さらにレジストレーションローラ対136は、画像形成ユニット133によるトナー像の形成プロセスである作像動作の進行に合わせてシートPの搬送を再開する。
【0014】
シートPに画像を形成する画像形成ユニット133は、感光体である感光ドラム121を備えた電子写真方式の画像形成ユニットである。感光ドラム121は、シートPの搬送方向に沿って回転可能であり、感光ドラム121の周囲には帯電器118、露光装置123、現像器124、転写帯電器125、分離帯電器126、及びクリーナ127が配置されている。帯電器118は感光ドラム121の表面を一様に帯電させる。露光装置123は画像読取装置103等から入力される画像情報に基づいて感光ドラム121を露光し、感光ドラム121上に静電潜像を形成する。現像器124は、トナーを含む現像剤を収容しており、感光ドラム121に帯電したトナーを供給することで静電潜像をトナー像に現像する。感光ドラム121に担持されたトナー像は、転写帯電器125が形成するバイアス電界により、レジストレーションローラ対136から搬送されるシートPに転写される。トナー像を転写されたシートPは、分離帯電器126が形成するバイアス電界によって感光ドラム121から離間し、定着前搬送部128によって定着部129へ向けて搬送される。なお、シートPに転写されずに感光ドラム121に残留した転写残トナー等の付着物はクリーナ127によって除去され、感光ドラム121は次の作像動作に備える。
【0015】
定着部129に搬送されたシートPは、ローラ対に挟持されて搬送されながら、トナー像の加圧及び加熱を含む定着処理を受ける。これによってトナーが溶融し、その後固着することにより、シートPに画像が定着する。画像出力が完了している場合、定着画像が得られたシートPは、排出ローラ対116を介して、画像形成装置本体102の外方に突出した排出トレイ130に排出される。両面印刷においてシートPの裏面に画像を形成する場合、定着部129を通過したシートPは、反転部139によって表面と裏面とを入れ替えられ、両面搬送部140によってレジストレーションローラ対136へと搬送される。そして、画像形成ユニット133によって再び画像を形成されたシートPは、排出トレイ130に排出される。
【0016】
なお、本実施形態において、画像形成装置101は電子写真方式の画像形成部を備えているが、画像形成部はこれに限らず、インクジェット方式等の他の画像形成部であってもよい。
【0017】
<画像読取装置の構成>
次に、図2を参照して、画像読取装置103の構成を説明する。図2に示すように、画像読取装置103は、スキャナ部30とADF1と、によって構成される。画像読取装置103は、スキャナ部30の内部に配置された第1読取ユニット151と、ADF1の内部に配置された第2読取ユニット201と、を備えている。以下、画像読取装置103を構成する各要素について説明する。
【0018】
第1読取ユニット151は、原稿Dの第1面から画像情報を読み取る。また、第2読取ユニット201は、原稿Dの第1面とは反対側の第2面の画像を読み取る。本実施形態における第1面とは、両面読取部DRにおける原稿Dの下側の面であり、第2面とは両面読取部DRにおける原稿Dの上側の面である。第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、ADF1によって搬送される原稿Dの両面を同時に読取可能な両面読取部DRを構成している。ただし、両面読取部DRは常に両面の同時読取りを実行するとは限らず、片面のみの読取りも可能である。
【0019】
第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、等倍光学系の走査装置である密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、以下、CISとする)を有している。第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、原稿Dの搬送方向に直交する主走査方向に配列されたLEDアレイからなる光源と、同じく主走査方向に配列された複数の受光素子と、を備えている。LEDアレイから放出され、原稿Dによって反射された反射光は、レンズを介して各受光素子に結像され、受光素子によって光電変換される。
【0020】
スキャナ部30は、画像形成装置本体102の上方に固定されている(図1参照)。スキャナ部30の上面には、図2に示すように、フラットベッド型の透明な原稿台31が配置されている。第1読取ユニット151は、不図示の駆動部により副走査方向(図中左右方向)に移動可能であり、両面読取部DRにおける所定位置(図示した位置)から、原稿台31に沿って原稿台31の全長に亘って移動する。また、スキャナ部30には、画像読取装置103を制御するための制御基板12が設けられている。制御基板12は、画像形成装置本体102の制御部132と接続されており、第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201により読み取られた画像情報の処理を行い、制御部132へ送信する。
【0021】
ADF1は、図中奥側に配置された不図示のヒンジ機構によって、スキャナ部30に対して上下方向に開閉可能に支持されている。ADF1は、第2読取ユニット201の他に、原稿トレイ2と、原稿搬送部11と、を備えている。原稿トレイ2は、ユーザによって載置された原稿Dを支持する。なお、原稿トレイ2には、第1面を上面とした状態で原稿が載置される。原稿搬送部11は、内部に原稿搬送路Tが形成されており、原稿トレイ2に載置された原稿Dを、原稿搬送路Tを介して両面読取部DRに給送する。
【0022】
次に、原稿搬送部11について詳しく説明する。原稿搬送部11は、ピックアップローラ4と、フィードローラ5と、リタードローラ6と、レジストレーションローラ対7と、搬送ローラ対8,9と、排出ローラ対10とを、原稿の搬送方向(図中矢印で示す)に沿ってこの順に有している。ピックアップローラ4は、原稿トレイ2の上面に対して上下方向に移動可能であり、原稿トレイ2上の原稿Dに当接して給送を開始する。フィードローラ5は、ピックアップローラ4から受け取った原稿Dを搬送方向の下流へ向けて搬送する。リタードローラ6は、フィードローラ5に圧接され、トルクリミッタを介して搬送方向に逆らう方向の回転駆動が入力されており、フィードローラ5によって搬送される原稿Dを1枚ずつに分離する。
【0023】
レジストレーションローラ対7は、回転を停止した状態で、フィードローラ5によって搬送される原稿Dの搬送方向下流端(先端)を受け止め、原稿Dを撓ませて斜行を補正する。また、レジストレーションローラ対7は、斜行が補正された原稿Dを、原稿搬送路Tの屈曲部を介して搬送し、搬送ローラ対8に受け渡す。搬送ローラ対8は、原稿Dを両面読取部DRに送り込んで、下流側の搬送ローラ対9に受け渡す。このとき、第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201により、原稿Dの画像が読み取られる。搬送ローラ対9は、両面読取部DRを通過した原稿Dを排出ローラ対10に受け渡す。排出ローラ対10は、原稿Dを排出トレイ3に排出する。
【0024】
このように構成された画像読取装置103は、ADF1により原稿Dを給送しながら原稿を走査する流し読みモードと、原稿台31に載置された原稿を走査する固定読みモードと、により、原稿Dから画像情報を読み取る。流し読みモードは、原稿トレイ2に載置された原稿Dを装置が検出した場合、又は画像形成装置本体102の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。この場合、第1読取ユニット151が両面読取部DRの所定位置にある状態で、ADF1が原稿Dを両面読取部DRへ向けて1枚ずつ給送する。そして、両面同時読取の場合には第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201の両方が、片面読取の場合にはこれらの一方が、原稿Dに走査光を照射して走査する。受光素子によって電気信号に変換された画像情報は、制御基板12を介して画像形成装置本体102の制御部132へと転送される。
【0025】
一方、固定読みモードは、原稿台31に載置された原稿Dを装置が検出した場合又は画像形成装置本体102の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。この場合、第1読取ユニット151が、原稿台31に沿って移動しながら光を照射して原稿台31に載置された原稿Dを走査する。そして、第1読取ユニット151の受光素子によって電気信号に変換された画像情報は、制御基板12を介して画像形成装置本体102の制御部132へと転送される。
【0026】
<読取ユニットを収容するケースの構成>
次に、第2読取ユニット201を収容するケース200について説明する。図3は、両面読取部DRにおける、第2読取ユニット201及びその周辺部を示す断面図である。図3に示すように、第2読取ユニット201はケース200の内部に密閉された状態で収容されている。ケース200は、本実施形態における収容部の一例である。ケース200には、第2読取ユニット201から原稿に照射される光、及び原稿により反射されて第2読取ユニット201に向かう光を透過するために透明部209が設けられている。両面読取部DRにおいて、透明部209と、透明部209に対向する位置に配置された搬送ガイド210と、によって原稿搬送路Tの一部が形成されている。
【0027】
ところで、原稿Dを両面読取部DRに搬送するために、原稿Dを搬送する各ローラ対には、シート搬送方向に対して垂直な方向(シートの厚さ方向)に所定の圧力がかかっている。また、図2に示すように、原稿搬送路Tは屈曲した形状を有している。そのため、原稿Dが搬送される過程において、原稿Dの面がローラにより削られて紙粉が発生し、その発生した紙粉はADF1の内部を浮遊する。また、装置の使用環境によっては埃等がADF1の内部に入り込むことがある。これらのゴミを以下、「浮遊ゴミ」と呼ぶ。
【0028】
このような浮遊ゴミが第2読取ユニット201の読取面と透明部209との隙間に入り込むと、第2読取ユニット201から出射される光が遮光され、その結果、読み取られた画像情報に画像スジが発生することがある。更に、第2読取ユニット201は、ADF1の内部に存在するため、第2読取ユニット201の読取面と透明部209の隙間のゴミをユーザによって清掃することは困難であり、場合によってはサービスマンを呼ぶ必要がある。そのため、第2読取ユニット201と透明部209の隙間に浮遊ゴミが侵入しない構成が必要となる。そこで本実施形態においては、第2読取ユニット201は、ケース200と後述するカバー部材220とにより隙間のないように密閉されており、第2読取ユニット201と透明部209との間に浮遊ゴミが入り込むことを防止している。
【0029】
次に、図3乃至図7を用いて、第2読取ユニット201を収容するケース200の構成について説明する。図7は、第2読取ユニット201及び第1ケース部材202、第2ケース部材203の分解斜視図である。図3及び図7に示すように、ケース200は、第2読取ユニット201を原稿搬送路T側から覆う第1ケース部材202と、第1ケース部材202と共に第2読取ユニット201を収容する第2ケース部材203とにより構成される。第1ケース部材202及び第2ケース部材203は、ポリアセタールやポリアミド等の樹脂材料によって構成されている。第1ケース部材202は、ADF1の原稿搬送部11(筐体)に支持されている。第1収容部材としての第1ケース部材202は、搬送される原稿Dに対向して第2読取ユニット201の光源から出射される光を透過する透明部209を有している。また、第1ケース部材202は、透明部209及び搬送ガイド210と共に原稿搬送路Tを構成する案内部202aと、透明部209に対して垂直な面であり、第2読取ユニット201を主走査方向及び副走査方向から囲む側面202bと、を含む。なお、本実施の形態では、第1ケース部材202が透明部209を保持しているが、第1ケース部材202の全体が透明な材料、例えば透明な樹脂等で形成されてもよい。
【0030】
第2収容部材としての第2ケース部材203は、弾性部材204を介して、第1ケース部材202と共に第2読取ユニット201を収容している。第2ケース部材203は、透明部209と平行な面であり、第2読取ユニット201を原稿搬送路Tとは反対側から覆う上面203aを含む。第2ケース部材203は、第1ケース部材202に上方から重なるように配置され、第1ケース部材202の固定部202c,202dに対して、第2ケース部材203の固定部203b,203cがネジ留め等によって固定される。
【0031】
第2読取ユニット201の主走査方向における両端部には突起部214が設けられている。一方で、第1ケース部材202の主走査方向における両端部には溝部215が形成されている。第2読取ユニット201の突起部214が第1ケース部材202の溝部215に嵌合することによって、ケース200の収容空間内において第2読取ユニット201は主走査方向及び副走査方向について位置決めされる。
【0032】
第2ケース部材203の上面203aと第2読取ユニット201との間には、第2読取ユニット201を透明部209に向けて付勢するバネ等の付勢部材208が設けられている(図3参照)。第2読取ユニット201は、付勢部材208の付勢力によって重力方向に位置決めされ、第2読取ユニット201の焦点深度範囲が、原稿搬送路Tの高さに対応するように構成されている。これにより、第2読取ユニット201のピントが搬送されてくる原稿Dに対して確実に合い、画像読取精度を向上することができる。
【0033】
図4は、フラットケーブル211が接続された第2読取ユニット201及びケース200の斜視図である。図4に示すように、第2読取ユニット201には、第2読取ユニット201が読み取った原稿の画像信号を制御基板12に伝送するためのフラットケーブル211が接続される。また、第2読取ユニット201は、フラットケーブル211の一端が接続されるコネクター部213が設けられている。つまり、フラットケーブル211は一端が第2読取ユニット201のコネクター部213に接続され、他端がスキャナ部30に配置された制御基板12に接続されている。
【0034】
図5は、フラットケーブル211が取り外された状態における第2読取ユニット201のコネクター部213の斜視図である。図5に示すように、ケース200は、第2読取ユニット201のコネクター部213をケース200の外部に露出させる開口部200aを有している。開口部200aは、第1ケース部材202の側面202bに設けられた切欠き部分217と第2ケース部材203の上面203aに設けられた切欠き部分216がつながって形成された開口(穴部)である。言い換えると、開口部200aは、ケース200における側面202bと上面203aに連続して形成されている。フラットケーブル211は、コネクター部213に対して、開口部200aが形成された側面202bに垂直な方向(副走査方向)から挿入される。つまり、開口部200aは、コネクター部213について、フラットケーブル211の挿抜方向及び挿抜方向に垂直な方向が開放されるように形成されている。このように、開口部200aが側面202bを含む領域まで連続して形成されていることによって、作業者がフラットケーブル211をコネクター部213に接続すること及びコネクター部213から取り外すことが容易となる。
【0035】
図6は、第2ケース部材203が取り外された状態における第2読取ユニット201のコネクター部213の斜視図である。図5及び図6に示すように、ケース200に形成された開口部200aの周縁に沿って弾性部材218が配置されている。弾性部材218は、側面202bの切欠き部分217と上面203aの切欠き部分216の形状に沿った形であり、第2読取ユニット201がケース200に収容された状態であっても、弾性部材218がコネクター部213を覆わないように構成されている。
【0036】
弾性部材204,218は、ウレタン系からなる発泡材料、若しくはエチレンプロプレンゴムからなる発泡材料によって構成されており、第1ケース部材202と第2ケース部材203の隙間を埋めるように配置されている。そして、弾性部材204,218は、ケース200が第2読取ユニット201を収容している状態において、第1ケース部材202及び第2ケース部材203によって加圧されている。このように構成された弾性部材204,218は、第1ケース部材202と第2ケース部材203の隙間や開口部200aからケース200の内部へのごみの侵入を防止できる。なお、弾性部材204,218は、第1ケース部材202と第2ケース部材203のいずれか一方に配置しても、両方に配置してもよい。また、本実施形態では、弾性部材204,218は、複数の弾性部材に分割して構成されているが、一つの弾性部材から構成してもよい。
【0037】
次に、図8乃至図10を用いて、ケース200に形成された開口部200aを覆うカバー部材220について説明する。図8はカバー部材220の斜視図である。図9はカバー部材220が取り付けられた状態のケース200の斜視図であり、図10はカバー部材220が取り付けられた状態のケース200及び第2読取ユニット201の断面図である。
【0038】
本実施形態におけるケース200には、開口部200aを覆うカバー部材220が取り付けられる。カバー部材220は、フラットケーブル211が開口部200aを介してコネクター部213に接続された状態で、ケース200に対して着脱可能に構成される。カバー部材220は、第1カバー面220aと、第1カバー面220aから垂直に延びる第2カバー面220bと、第2カバー面220bとは反対側において第1カバー面220aから垂直に延びる2つの係合爪222と、を有している。カバー部材220がケース200取り付けられた状態において、第1カバー面220aは上面203aの切欠き部分216を覆い、第2カバー面220bは側面202bの切欠き部分217を覆う。
【0039】
第2カバー面220bには、貫通穴である2つの係合穴221が主走査方向に間隔をあけて形成されている。また、2つの係合爪222は主走査方向に間隔をあけて配置されており、それぞれの係合爪222の第1カバー面220aとは反対側には、第2カバー面220bに向かって突出した爪部が形成されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、第1ケース部材202の側面202bには、ケース200の外側に突出した2つの突起219が形成されている。カバー部材220がケース200に取り付けられた状態において、突起219が係合穴221にそれぞれ嵌合する。さらに、図10に示すように、カバー部材220がケース200に取り付けられた状態において、2つの係合爪222が第2ケース部材203の縁部に係合される。これにより、カバー部材220は、開口部200aを覆うようにケース200に装着される。
【0041】
ここで、2つの係合爪222は主走査方向に間隔をあけて配置されているため、コネクター部213に接続されたフラットケーブル211を2つの係合爪222の間からケース200の外に這いまわすことが可能である。具体的には、図10に示すように、コネクター部213に接続されたフラットケーブル211は、ケース200の内部で屈曲され、カバー部材220の第1カバー面220aに沿うように配置される。そして、第1カバー面220aに沿って副走査方向にケース200から導出される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態における第2読取ユニット201を収容するケース200は、コネクター部213をケース200の外部に露出する開口部200aを有している。また、ケース200には、開口部200aを覆うようにカバー部材220が取り付けられる。これにより、カバー部材220を着脱するだけで、作業者がフラットケーブル211をコネクター部213に取り付けることが可能である。そのため、組み立てやメンテナンスの際にケース200を開放する必要がなく、ケース200の内部に異物が侵入することを抑制できる。
【0043】
さらに、本実施形態におけるケース200には、開口部200aの周縁に沿って弾性部材218が配置されている。これにより、ケース200からカバー部材220が取り外された際に、開口部200aから異物が侵入することを抑制することが可能である。
【0044】
なお、上記の実施形態においては第2読取ユニット201を収容するケース200について説明したが、第1読取ユニット151を収容するために同様のケース200を用いてもよい。また、画像読取装置103は、第1読取ユニット151と第2読取ユニット201の片方の読取ユニットのみを有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 自動原稿搬送装置(ADF)
30 スキャナ部
101 画像形成装置
103 画像読取装置
151 第1読取ユニット
200 収容部
201 第2読取ユニット
213 コネクター部
220 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10