(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】気密封止ガラスパッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20241111BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L23/02 B
H01L23/08 B
(21)【出願番号】P 2022507465
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072228
(87)【国際公開番号】W WO2021023856
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】102019121298.7
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ツェッテラー
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ヘットラー
(72)【発明者】
【氏名】アンティ マーテネン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ウルリヒ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】小根澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】フランク ギンデレ
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/203795(WO,A1)
【文献】特表2017-518946(JP,A)
【文献】国際公開第03/032377(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第10235372(DE,A1)
【文献】国際公開第2016/136899(WO,A1)
【文献】欧州特許第3012059(EP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第4166497(EP,A1)
【文献】特開2018-135246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02―23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密封止パッケージ(1)から熱を放散するための放熱ベース基板(3)と、
キャップ(5)、好ましくはガラス状材料を含むキャップ(5)と、
前記パッケージ(1)で気密封止されている少なくとも1つの機能領域(12、13、13a)、殊に空洞部と
を含む気密封止パッケージ(1)であって、ここで、
前記キャップ(5)は前記ベース基板(3)上に配置されており、
前記キャップ(5)は前記ベース基板(3)と一緒に前記パッケージ(1)の少なくとも一部を形成しており、
前記気密封止パッケージ(1)はさらに、前記パッケージ(1)の気密接合のための少なくとも1つのレーザー結合線(8)を含み、ここで、
前記レーザー結合線は、その結合面に対して垂直な高さ(HL)を有
し、
前記放熱ベース基板(3)は金属窒化物からなり、且つ
前記放熱ベース基板(3)が、中間層なく直接的に、前記キャップ(5)または任意の中間基板(4)と接合されている、前記気密封止パッケージ(1)。
【請求項2】
前記放熱ベース基板(3)が熱伝導率の高い材料からなり、且つ/または
前記放熱ベース基板(3)の熱伝導率が100W/(m・K)以上、好ましくは150W/(m・K)以上、およびさらに好ましくは170W/(m・K)以上である、
請求項1に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項3】
前記キャップ(5)がガラス状材料、例えばガラス、ガラスセラミック、シリコン、サファイアまたは上記の材料の組み合わせを含み、且つ/または
前記ベース基板(3)
が窒化アルミニウムセラミック
または窒化ケイ素セラミックからなる、
請求項1または2に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレーザー結合線(8)が、距離(DF)で前記機能領域(12、13、13a)を周回して取り囲んでいる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項5】
前記キャップ(5)が前記ベース基板(3)とレーザー結合線(8)によって互いに接合されており、且
つ
前記キャップ(5)が前記ベース基板(3)と一緒に完全なパッケージ(1)を形成する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項6】
前記機能領域(12、13、13a)が、少なくとも1つの収納物体(2)、例えば電子回路、センサまたはMEMSを収容するために適合されており、且つ/または
前記ベース基板(3)上、且つパッケージ(1)の内部に、少なくとも1つの収納物体(2)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの収納物体(2)が、パワー半導体チップ、例えばGaNのLED、SiCのパワートランジスタ、GaAsのパワートランジスタまたはGaNのパワートランジスタを含み、殊に上記の1つが前記空洞部内に配置されている、請求項6に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項8】
前記キャップ(5)が前記ベース基板(3)と室温で接合され、且つ、その接合プロセスによって、無視できる熱量だけが前記機能領域(12、13、13a)に侵入し、且つ/または、接合プロセスによって生じる熱量を前記放熱ベース基板(3)によって前記機能領域(12、13、13a)から遠ざける、請求項1から7までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項9】
高さ(HL)を有するレーザー結合線(8)が前記キャップ(5)の材料内に達し、且つ反対側では前記ベース基板(3)の材料内に達し、且つ前記放熱ベース基板(3)がキャップ(5)と互いに溶融して接合されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項10】
前記放熱ベース基板(3)と前記キャップ(5)との間に中間基板(4)が配置されており、前記ベース基板(3)は前記中間基板と第1の結合面で接合されており、且つ前記キャップ(5)は前記中間基板と第2の結合面で接合されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項11】
前記基板(3、4、5)の少なくとも1つにマーカーがもたらされている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項12】
前記キャップ(5)が前記機能領域(12、13、13a)の上側(23)および側方の周縁部(21)を形成し、且つ前記放熱ベース基板(3)が前記機能領域の下側(22)を形成し、それらが一緒に収納空洞部を完全に取り囲み、且つ/または
前記キャップ(5)が前記機能領域(12、13、13a)の上側(23)を形成し、且つ前記放熱ベース基板(3)が前記機能領域の側方の周縁部(21)および下側(22)を形成し、それらが一緒に収納空洞部を完全に取り囲み、且つ/または
前記キャップ(5)が前記機能領域(12、13、13a)の上側(23)を形成し、前記中間基板(4)が前記機能領域の側方の周縁部(21)を形成し、且つ前記放熱ベース基板(3)が前記機能領域の下側(22)を形成し、それらが一緒に収納空洞部を完全に取り囲む、
請求項1から11までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項13】
少なくとも側方の周縁部、下側または上側から形成される前記パッケージ(1)が、少なくとも部分的に1つの波長領域に対して透明である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項14】
前記放熱ベース基板(3)および/または前記キャップ(5)が、厚さ500μm未満、好ましくは300μm未満、さらに好ましくは120μm未満、およびなおもさらに好ましくは80μm未満を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項15】
前記放熱ベース基板(3)が少なくとも、第1のコンタクト部(32、32a)および第2のコンタクト部(34、34a)を有し、且つ前記第1のコンタクト部は前記機能領域(13、13a)もしくは前記空洞部(12)の下側(22)に配置されている、請求項1から14までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項16】
前記第2のコンタクト部(34、34a)が前記機能領域(13、13a)もしくは前記空洞部(12)の下側(22)の外側に配置されており、前記第1のコンタクト部(32、32a)と電気的に接続されている、請求項15に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項17】
前記パッケージ(1)が10mm×10mm以下、好ましくは5mm×5mm以下、さらに好ましくは2mm×2mm以下、またはさらに0.2mm×0.2mm以下の大きさを有し、且つ/または
前記キャップ(5)が2mm以下の高さを有し、且つ/または
前記キャップの側面(5a)が2mm以下の高さを有する、
請求項1から16までのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ(1)。
【請求項18】
気密封止パッケージ(1)の製造方法であって、前記パッケージ(1)で機能領域(12、13、13a)、殊に空洞部が取り囲まれ、それは前記パッケージ(1)の側方の周縁部(21)、下側(21)および上側(23)で取り囲まれており、且つ、収納物体(2)を収容するための収納空洞部が形成されている、気密封止パッケージ(1)の製造方法において、以下の段階:
・ 放熱ベース基板(3)および少なくとも1つのキャップ(5)を準備する段階、
ここで前記キャップ(5)は少なくとも部分的に且つ1つの波長領域に対して少なくとも透明であり、従って透明なキャップ(5)である、
・ 少なくとも1つの収納物体(2)を前記収納空洞部の下側に配置する段階、
・ 前記キャップ(5)を、前記放熱ベース基板(3)上で前記収納物体(2)の上方に配置する段階、
ここで、前記放熱ベース基板(3)と前記キャップ(5)との間に少なくとも1つの接触面(25)が形成されることにより、各パッケージ(1)が少なくとも1つの接触面を有する、
・ 各パッケージ(1)の少なくとも1つの接触面上にレーザー結合線(8)を形成することにより、前記空洞部を気密封止する段階
を有
し、
前記放熱ベース基板(3)は金属窒化物からなり、且つ
前記放熱ベース基板(3)が、中間層なく直接的に、前記キャップ(5)または任意の中間基板(4)と接合される、前記方法。
【請求項19】
前記キャップ(5)が側面(5a)と上の部分(5b)とを含むことにより、前記キャップ(5)の上の部分によって前記収納空洞部の上側が形成され、且つ前記側面によって前記収納空洞部の周縁部の少なくとも一部が形成され、その際、前記側面の端面で接触面(25)が形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記機能領域(12、13、13a)の周りを周回してレーザー光線(9)を導き、レーザー結合線(8)を形成することにより、前記接触面(25)に沿って機能領域が周回して気密封止され、場合によりレーザー光線を複数回、周回して導いてもよく、且つ/または場合により複数のレーザー結合線(8)が形成される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記放熱ベース基板(3)上に、複数の形成されるべき収納空洞部(12)のための複数の下側(22)を形成し、且つ前記ベース基板(3)上に複数のキャップ(5)を施与して、前記ベース基板(3)上に複数のパッケージ(1)を形成する、請求項18から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項18から21までのいずれか1項に記載の方法によって製造された、取り囲まれた気密封止された収納空洞部(12)を有するパッケージ(1)。
【請求項23】
請求項18から21までのいずれか1項に記載の方法によって製造された、取り囲まれた気密封止された収納空洞部(12)を有するパッケージ(1)の、医療用移植材またはセンサとしての、殊にバロメータとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気密封止ガラスパッケージ、並びに気密性のガラスパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景および一般的な説明
気密封止パッケージは、敏感な電子機器、回路または例えばセンサを保護するために使用され得る。例えば、医療用の移植材は例えば心臓の領域において、網膜において、またはバイオプロセッサのために使用されることがある。チタン製のバイオプロセッサが公知であり、作成され且つ使用されている。
【0003】
本発明によるパッケージによって、センサを特に不利な環境条件に対して保護することができる。例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、バロメータ、血液ガスセンサ、グルコースセンサなどもこの領域に該当する。
【0004】
本発明によるパッケージを使用するためのさらなる分野は、スマートホン用のケースにおいて、仮想現実眼鏡および類似の機器の領域において見出すことができる。本発明によるパッケージは、例えばエレクトロモビリティに関連するフローセルの製造のためにも使用できる。しかし、本発明によるパッケージは、航空および宇宙において、高温用途において、および微細光学機器分野においても使用可能である。
【0005】
敏感な電子機器を電気接続で外部に接触させるべき場合、問題があることがある。または、保護すべき電子機器が大きな寸法を有する場合、例えば回路基板全体を含む場合である。回路基板などの比較的大きな面積の保護は可能であるが、コストが高く且つ煩雑である。
【0006】
上記の使用目的は、電子機器においてその堅牢性に関して高い要求を課されることが共通している。この外部の影響に耐えないと予想される電子機器の使用も可能にするために、パッケージはそのような不利な環境の影響に対して保護すべきである。さらに場合により、パッケージの内部領域、つまりパッケージで形成される空洞部と、つまり例えば殊に可視領域における、および/またはマイクロ波放射の領域における電磁線との交換が確実にされることが必要とされ、つまりパッケージは少なくとも一部では(即ち少なくとも部分的および/または1つの波長領域については)透明である。この透明性により、通信方法、データまたはエネルギーの伝送、空洞部内に配置された電子機器もしくはセンサの測定、およびそれらによる測定が可能になる。殊に、光通信方法もしくは光データまたはエネルギー伝送が可能にされ得る。
【0007】
複数の部分を組み合わせること、およびこれらの部分を、部品を収納できる収容領域が中空空間内に生じるように配置することは基本的に公知である。例えば、欧州特許第3012059号明細書(EP3012059 B1)は、光学部品を保護するための透明な部分の製造方法を示す。ここでは、新たなレーザー法が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、パッケージが改善され、殊に耐性があるように構成されるべきであることに関連して見られるべきである。これにより、環境の影響に対する、および機械的負荷にも対する堅牢性が高められる。
【0010】
つまり、換言すれば、本発明は不利な環境条件および影響にも耐えるため、もしくは完成したパッケージをより有利に製造するために、空洞部のための改善されたパッケージを提供するという課題に基づいている。場合により、本発明によるパッケージは、それがもたらす保護作用によって、より有利な部品の使用を可能にする。
【0011】
従って、本発明のさらなる観点は、特にコスト的に有利ではあるが信頼性高く且つ長寿命なパッケージの改善を提供することであり、なぜなら、改善されたパッケージは市場の競争状況においても持ちこたえなければならないからである。
【0012】
本発明のさらなる観点は、気密封止容器策の場合において、場合によりパッケージ内で発生する熱、例えば殊にパワー半導体から発生する熱を排出するために、特定の状況下では特別な準備をすべきであることが判明したことに基づいている。その際、公知の熱伝導性の高い部品は、それらを接続して、それらもしくはパッケージをそれらで気密封止することに関して困難であると判明することがある。
【0013】
従って、前記の課題の1つの観点は、気密封止パッケージの内部空間から、殊にパッケージ内でパワー半導体によって生成される熱が発生する場合に、その熱を放散または導出し、それによって場合によりパッケージ内に配置される回路の一定の動作を可能にすることでもある。さらに、熱エージング過程を低減し、できるだけ回避すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明による気密封止パッケージは、気密封止パッケージから熱を放散するための放熱ベース基板を含む。ベース基板は殊に、パッケージからの熱の放散が殊にベース基板の材料および/またはその構造もしくは形態に基づいて促進されるように構成または組み立てられる。その際、ベース基板の材料について、課題に従う機能領域の気密性の封止が促進もしくは実現できることが考慮される。場合により、ベース基板のコーティングによって気密性の封止が達成され得る。放熱ベース基板の材料によって気密封止が実現されるようにベース基板が構成される場合が好ましい。
【0015】
前記気密封止パッケージは、好ましくはガラス状材料製のキャップ、並びにパッケージで気密封止されている少なくとも1つの機能領域、殊に空洞部をさらに含む。キャップは、それがベース基板の少なくとも一部または大部分の上にあるように、ベース基板上に配置または被せられている。キャップはベース基板と一緒に、パッケージの少なくとも一部を形成する。換言すれば、ベース基板もしくはキャップは、それらが一緒にパッケージを形成し且つ機能領域を取り囲むことができるように設計または適合されている。
【0016】
パッケージは、パッケージの気密性の接合のための少なくとも1つのレーザー結合線をさらに含む。レーザー結合線は、その結合面に対して垂直な高さHLを有する。換言すれば、レーザー結合線は、例えばレーザー結合線によって2つの部品が溶融により互いに接合されることによって、パッケージの気密封止における隙間を橋渡しできるように配置もしくは構成されている。機能領域を完全に取り囲むためにパッケージがベース基板とキャップだけを有する場合、ベース基板とキャップとの接触領域、つまりキャップとベース基板とが相接している位置もしくは領域はレーザー結合線によって橋渡しもしくは結合される。その結果、パッケージは一体であるかのように形成され、その際、部品間の分離位置もレーザー結合線によって気密封止されている。
【0017】
キャップは好ましくはガラス状材料を含む。そのことにより、キャップは少なくとも1つの波長領域について好ましくは透明もしくは透過性、例えば光学的に透明である。用途次第で、キャップが不透明、即ち光学的に不透明に構成されることが有利であることもある。低減された透明性もしくは部分的な透過性であっても、機能のために充分であることがある。例えば、キャップはガラス、ガラスセラミック、シリコン、サファイアまたは上記の材料の組み合わせを含み得る。好ましい実施態様において、キャップはガラスキャップ、例えば出願人のポートフォリオからの硬化ガラス、特殊ガラス、高温耐性ガラスである。
【0018】
ベース基板は殊に高い熱伝導性を有する材料を含むか、またはこれで構成されている。この場合、好ましくは、放熱ベース基板の熱伝導率は100W/(m・K)以上、好ましくは150W/(m・K)以上、およびさらに好ましくは170W/(m・K)以上の範囲である。放熱ベース基板の構造のために特に適している材料は、金属窒化物、例えば窒化アルミニウムセラミックまたは窒化ケイ素セラミックである。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つのレーザー結合線は機能領域を距離DFで周回して取り囲む。1つの例において、機能領域の周りを周回している距離DFは一定であるので、レーザー結合線は、機能領域の周りの全ての側でほぼ同じ距離にある。しかし、距離DFは用途次第で変動することもある。これは、複数のパッケージが1つの作業段階で同時に接合される場合、および例えば個々のパッケージのそれぞれの接触面でまっすぐな接合線もしくはレーザー結合線が導かれる場合、製造技術的に有利であることがある。これは、機能領域もしくはパッケージが例えば丸いか、または任意の形状を有し、且つ機能領域を気密封止するレーザー結合線が直線で引かれている場合にも該当し得る。特別な例において、機能領域は空洞部として設計されており、且つその空洞がやはり光学特性を有し、例えば集光レンズなどのレンズの形態に造られており、且つレーザー結合線はそれとは異なるパターンで前記空洞部の周りに引かれていることができる。
【0020】
好ましくは、キャップはレーザー結合線によってベース基板と互いに接合されている。換言すれば、キャップは中間層なくベース基板上またはベース基板内に設置され、ベース基板と直接的に、且つ1つまたは複数の共有のレーザー結合線で直に互いに接合されている。この場合、キャップはベース基板と一緒に完全なパッケージを形成する。換言すれば、パッケージを形成もしくは封止するために追加的またはさらなる部分が必要とされるのではなく、ベース基板、少なくとも1つのレーザー結合線およびキャップが一緒に機能領域もしくは空洞部を完全且つ気密性に封止する。
【0021】
機能領域は、好ましくは少なくとも1つの収納物体、例えば電子回路、センサまたはMEMSを収容するように適合されている。例えば、前記の収納物体は、ベース基板上で空洞部の下側の領域内に配置され、キャップはその収納物体の上方に配置され、空洞部の上側に被せられる。この場合、少なくとも1つの収納物体は、ベース基板上且つパッケージ内部に配置される。
【0022】
少なくとも1つの収納物体は、例えばパワー半導体チップ、例えばGaN-LED、SiC、GaAsまたはGaNのパワートランジスタを含む。そのようなパワー半導体チップは、動作中に無視できない量の熱を放出する。その際、特に、上記の収納物体の1つが空洞部内に配置されている場合、前記単数または複数の収容物体の長期的な動作を確保するために、パッケージからの充分な熱の放散を確実にすべきである。
【0023】
キャップが光学波長領域において透過性のキャップ、つまり例えば光学的に透明なキャップである場合、パッケージ内へのエネルギーの供給を、例えばパッケージ内に配置される光電池または電気エネルギーを提供するための他の種類の光レセプタを用いて、光学的に実現できる。その際、パッケージは自給自足のパッケージとして記載され得る。
【0024】
キャップがベース基板と室温で接合されることがさらに好ましい。例えば、使用される接合方法は室温で実施可能である。その際、接合プロセスによって、無視できる熱量のみが機能領域に侵入するか、もしくはその際、接合プロセスによって生じる熱量を、放熱ベース基板によって機能領域から遠ざけることができる。
【0025】
好ましくは、高さHLを有するレーザー結合線はキャップの材料内に達する。反対側では、レーザー結合線はベース基板の材料内に達し、その際、放熱ベース基板はキャップと互いに溶融して接合されている。換言すれば、接合段階では、もしくはレーザー結合線において、ベース基板の材料はキャップの材料と溶融して混ざり合って、ベース基板とキャップとの間で固く且つ解除されない気密性の結合を作る。
【0026】
他の例では放熱ベース基板とキャップとの間に中間基板が配置され、その際、この例においては、ベース基板は中間基板と、第1の結合面において少なくとも1つの第1のレーザー結合線によって接合され、且つキャップは中間基板と、第2の結合面において少なくとも1つの第2のレーザー結合線によって結合されている。
【0027】
好ましくは、キャップ、ベース基板および/または中間基板にマーカーがもたらされ得る。
【0028】
1つの実施態様によれば、パッケージにおいて、キャップは機能領域の上側および側方の周縁部を形成し、且つ放熱基板は機能領域の下側を形成し、それらが一緒に収納空洞部を完全に取り囲む。この例においては、キャップは側方で機能領域の隣まで、つまり例えば側方で少なくとも1つの収納物体の隣まで達するように設計されている。例えば、キャップはこの場合、側方に側面を有し、その上でキャップの上の部が支えられており、その際、その側面がベース基板と接合されている。この態様は、より大きな割合のパッケージ表面が、キャップの好ましい透明材料を有し、ひいてはより大きな割合のパッケージが周囲との任意の種類の通信または交換のために提供されるという利点を有する。
【0029】
他方で、さらなる例において、キャップが機能領域の上側を形成し、且つ放熱ベース基板が機能領域の側方の周縁部と下側とを形成して、一緒に機能領域もしくは収容空洞部を完全に取り囲んでもよい。この例においては、ベース基板は機能領域の隣まで、もしくは少なくとも1つの収納物体の隣まで達する。これは例えば、ベース基板内に機能領域がもたらされる場合、つまり例えばベース基板から例えば研削によって凹部がくり抜かれ、機能領域および/または少なくとも1つの収容物体がベース基板の材料の下方および側方で取り囲まれることによって実現できる。この態様は、ベース基板の放熱材料が比較的大きな割合の表面を有し、放熱が改善されるという利点を有する。
【0030】
さらなる例において、キャップが機能領域もしくは空洞部の上側を形成し、中間基板が側方の周縁部を形成し、且つ放熱ベース基板が機能領域もしくは空洞部の上側を形成し、それらが一緒に収納空洞部を完全に取り囲むことができる。
【0031】
少なくとも側方の周縁部、下側または上側から形成されたパッケージは、好ましくは少なくとも部分的に1つの波長領域に対して透明である。
【0032】
放熱ベース基板および/またはキャップは、好ましくは厚さ500μm未満、好ましくは300μm未満、さらに好ましくは120μm未満、およびなおもさらに好ましくは80μm未満を有する。
【0033】
放熱ベース基板はさらに少なくとも1つの第1のコンタクト部および第2のコンタクト部を有することができ、その際、前記第1のコンタクト部は例えば機能領域もしくは空洞部の下側に配置されている。前記第2のコンタクト部は機能領域もしくは空洞部の下側の外側に配置されることができ、前記第1のコンタクト部と電気的に接続されている。
【0034】
パッケージは好ましくは10mm×10mm以下、好ましくは5mm×5mm以下、さらに好ましくは3mm×3mm以下、なおもさらに好ましくは2mm×2mm、さらに好ましくは1mm×1mmまたはさらに0.2mm×0.2mm以下以下の大きさを有する。その際、パッケージは正方形の輪郭に限定されるのではなく、むしろパッケージは10mm×3mmまたは任意の他の形状、例えば丸形または楕円形を有することもできる。キャップは好ましくは2mm以下の高さを有する。キャップの側面は好ましくは2mm以下の高さを有する。しかし他方で、使用分野次第では透明なパッケージをより大きく製造してもよく、数センチメートル以上の長さが可能である。好ましい製造方法によって条件付けられる実際の大きさの制限は(それ自体、大きさの限定として理解されるべきではないが)、単純には切断されるべきウェハの大きさで構成される。しかしながら、製造のためにウェハを使用することは、単なる例として理解されるべきである。例えばガラス板を透明なパッケージの製造のために使用することが充分に可能であり、これは典型的なウェハの大きさよりも大きな寸法を有し得る。
【0035】
本発明に関連して、機能領域、殊に空洞部がパッケージで取り囲まれる気密性パッケージを提供するための方法も示される。機能領域もしくは空洞部は、パッケージの側方の周縁部、下側および上側で取り囲まれている。収納物体を収容するための収納空洞部が機能領域内に形成されている。前記方法は、以下の段階:
放熱ベース基板および少なくとも1つのキャップを準備する段階、ここで、前記キャップは少なくとも部分的に且つ1つの波長領域については少なくとも透明であり、従って透明キャップである、
少なくとも1つの収納物体を収納空洞部の下側に配置する段階、
前記キャップを前記放熱ベース基板上で、前記収納物体の上方に配置する段階、ここで、放熱ベース基板とキャップとの間に少なくとも1つの接触面が形成されることにより、各パッケージが少なくとも1つの接触面を有する、
各パッケージの少なくとも1つの接触面上にレーザー結合線を形成することにより、前記空洞部を気密封止する段階
を有する。
【0036】
複数のパッケージが一緒に1つの作業段階で一緒に効率的に製造される場合、それぞれのパッケージは切断または分離段階によって個別化される。
【0037】
キャップが好ましくは側面と上の部分とを有することにより、キャップの上の部分で収納空洞部の上側が形成され、且つ前記側面によって収納空洞部の周縁部の少なくとも一部が形成され、且つ端面で側面または接触面が形成されている。
【0038】
好ましくは、機能領域の周りを周回してレーザー光線を導いて、レーザー結合線を形成することにより、機能領域を接触面に沿って周回して気密封止するさらなる段階が実施される。その際、場合により、レーザー光線を複数回、周回して導き、且つ/または場合により、複数のレーザー結合線が形成され得る。
【0039】
放熱ベース基板上に、複数の形成されるべき収納空洞部のための複数の下側を形成し、且つベース基板上に複数のキャップを施与して、ベース基板上に複数のパッケージを形成できる。換言すれば、この場合、ベース基板は少なくともその横方向の広がりにおいてパッケージの寸法よりも大きいので、複数の別個のパッケージが1つの共通のベース基板を分け合う。この場合、(大きな)ベース基板を切断もしくは分割するのだが、各パッケージがベース基板の一部を保持する追加的な段階を実施することによって、個々のパッケージが得られる。このために、各パッケージがベース基板上で下側を形成し、且つベース基板はそれぞれのパッケージに対してそれぞれの下側が残るように切断される。
【0040】
ベース基板上に、複数の形成されるべき収納空洞部のための複数の下側を形成することができ、且つ前記基板上に複数のキャップを施与して、ベース基板上に複数のパッケージを形成することもできる。換言すれば、個々の基板、例えば殊に回路基板が種々の位置で、(例えば形状、高さおよび大きさに関して異なる種類で構成されてもよい)複数のキャップが同一の基板上に施与され、敏感な電子機器が保護されるが、その際、基板の過剰に多い領域は覆われないように、敏感な電子機器を有することができる。これによって、有利に材料が節約され、且つ敏感な電子機器を外部環境から保護できるパッケージを製造するための安価な方法が提供される。この場合、個々のパッケージが後で個別化されるのではなく、むしろ共通のベース基板上に残るように設計することも可能である。
【0041】
先に挙げられた少なくとも1つの特徴によって、内部に取り囲まれる気密封止された収納空洞部を有するパッケージを製造できる。そのように製造された、内部に取り囲まれる気密封止された収納空洞部を有するパッケージは、殊に医療用の移植材として、またはセンサとして、例えばバロメータとして使用され得る。
【0042】
本発明に関連して、とりわけ、複数の気密性パッケージを提供するための方法が提供される。前記方法を、その方法で1つだけの個別のパッケージを製造するように変更できるが、経済面を考慮すれば、同じプロセスフローで複数のパッケージを製造することが合理的である。これによって、時間、労力および/または原材料を節約できる。
【0043】
換言すれば、パッケージを提供するために、第1の段階において1つの第1の(ベース基板)および少なくとも1つの第2の基板(キャップ)が準備され、その際、前記少なくとも1つの第2の基板(キャップ)は透明な材料を含み、つまり少なくとも部分的または一部では1つの波長領域に対して少なくとも透明である。キャップは好ましくはベース基板上に直に配置され、つまり例えば、封止されるべき空洞部はそのキャップで覆われ、それぞれのパッケージのそれぞれの下側はベース基板で形成される。少なくとも2つの基板の間で、少なくとも1つの接触面が形成されるので、各パッケージは少なくとも1つの接触面を有する。さらに、空洞部は、各パッケージの(単数または複数の)接触領域に沿って、殊に各パッケージ周縁の線に沿った接触面で、少なくとも2つの基板を接合することによって気密封止される。有利には、パッケージは一緒に、例えばウェハ積層体のウェハの形態での、例えば1つの共通の出発基板から製造されることができるか、またはベース基板のみがウェハとして準備される。次いで、該方法においてさらに、それぞれのパッケージの個別化を、切断または分離段階によって行うことができる。
【0044】
本願の意味において、下側もしくは上側は幾何学的な構造であり、それはパッケージの最終的な位置に関し、他の側であってもよい。パッケージの大きさ、および可能性のあるその使用分野を考えると、動作の際にパッケージが空間内でどの位置をとってもよいことは明らかである。これらの用語は、本発明に容易に到達することを可能にするために使用され、且つ典型的には部品の装備は現在、機械的に「上から」、例えば掴み具を用いて実施される。これは、パッケージの側面の位置の説明につながり、それは製造のために好ましくは収納物体が装備される下側および収納物体が覆われる上側を相応して形成するように配置される。
【0045】
代替的に、上側を第1の側として、下側を前記第1の側と対向する第2の側として、縁部を第1の側と第2の側との中間領域として記載することができ、その際、縁部は典型的には第1の側および/または第2の側上で本質的に垂直に立っている。本発明の理解を容易にし、且つ本発明を典型的な記載に近くするために、説明されたとおり、上側、下側および周縁部との用語を以下で使用する。さらに、縁部が高さ0を有することができ、その際、例えば機能領域が単に薄い機能層のみを有する場合、上側は下側の直上に載っている。
【0046】
その際、空洞部の上側は、上部層で、例えば基板、ディスクまたは小板で形成され得る。空洞部の周縁部はさらに、例えば上部層が下向きに突出するか、または下部層が上にめくれていることによって、例えば下部層が研削によってくり抜かれることによって形成され得る。最終的に、空洞部の下側は、下部層、基板、ディスクまたは小板で形成され、上部層の下方に配置されることができる。
【0047】
空洞部は殊に、収納空洞部として形成される。これは、それぞれの空洞部内で例えば電子回路、センサ、MEMSまたはMOEMSを使用できることを意味する。従って、上記のデバイス、例えば殊に電子回路、センサまたはMEMSは収納空洞部内に配置されているので、全ての側でパッケージによって取り囲まれている。
【0048】
少なくとも2つの基板、もしくはベース基板およびキャップは、それらが平面状に相接して横たわり、少なくとも2つの基板の間、もしくはベース基板とキャップとの間に他の層、積層物、包含物が存在しないように相接して配置もしくは施与される。技術的な理由から、接触面の領域において層の間でわずかなガス包含物が回避できないかもしれず、これは可能性のある不均一性からも生じる。例えば圧力を高めることによって、例えば殊にプレスによって、または基板層、殊に接触面の表面処理、例えば研磨工程によって、平面状に横たわる接触面の領域に閉じ込められたガスの量をさらに減らすことができる。予めの排気が有利である。工程のパラメータおよび使用される材料次第で、ある種のガスまたは液体で充填することも有利であることがある。
【0049】
換言すれば、基板層もしくはベース基板とキャップとが直接的に、且つ互いに直に接触して積み重ねられ、つまり相接して配置されている。基板層間で異物は好ましくは可能な限り排除されるので、1つの基板層から隣の基板層への、可能な限り一貫し且つ平面状の接触が生じる。2つの基板の場合、つまり例えばベース基板はカバー基板と直接接触して互いに配置され、殊にベース基板とカバー基板との間に他の材料または間隔は存在しない。2つより多い基板の例においては、ベース基板は1つまたは複数の第1の中間基板層に直接的に隣接して配置され、カバー層はここでもまた、1つまたは最後の中間基板層に直接的に隣接して配置される。ベース基板とキャップとの例においては、これらはキャップの端面に接触面が配置され、そこでキャップの端面とベース基板との間に直接的な、できるだけ平面状の直の接触が生じるように相接して配置される。
【0050】
次いで、新たなレーザー接合法によって基板を互いに接合する。その際、平面状の基板層は、直接的に隣接して配置される平面状の基板層もしくは平面状の端面と互いに直に接合され、このために異物または平面状ではない材料、もしくは中間層は備えられないか、または必要とされない。つまり、基板はそれぞれ直に互いに接合される。平面状の接触領域において2つの基板層の間にもたらされる生じるレーザー結合線は、それらが直に相接して、即ち直接的に隣接して配置される基板層を、互いに解除されないように結合する。従って、レーザー結合線の溶融領域は両方の基板内にあり、第1の基板から直接的に隣接して配置される第2の基板へと、つまり例えばベース基板からキャップへと、継ぎ目なく移行する。
【0051】
従って、基板層から最も近い基板層への直接的な、平面状またはさらには完全に平面状の移行部、例えば基板と基板との移行部、またはガラスとガラスとの移行部が形成される。接合ゾーンもしくはレーザー結合線として、局所的に限定された体積が形成され、そこでは殊に平面状に形成されている隣接する基板層間での材料の移動もしくは材料の混合が存在する。換言すれば、第1の基板、例えばカバー基板の材料が隣接して配置される基板、例えば中間基板またはベース基板中に侵入し、逆もまた然りであり、つまり、隣接して配置される基板の材料が第1の基板中に侵入するので、接合ゾーンでは隣接して配置される基板同士の完全な材料混合が存在する。従って、接合ゾーンを対流ゾーンと称することもできる。
【0052】
その際、特に有利には、解除されないガラスとガラスとの移行部、もしくは基板と基板との移行部を生成するための新たなレーザー接合技術は、以前から公知の方法において基板間に導入されなければならない中間層、ガラスフリット、フィルムまたは接着剤を含まない。むしろ、前記の解除されない結合は、煩わしい相応の中間層もしくは追加材料を用いずに生成できる。これは、追加的な材料の使用を節約し、最終製品の達成可能な硬度を高め、且つ機能領域もしくは(単数または複数の)空洞の信頼性の高い気密封止を可能にする。その際、レーザー接合ゾーンは、完成した最終製品において、例えば小さな溶融領域における材料の屈折率の特定の局所的な変化によって検出され得る。
【0053】
基板間、もしくはベース基板とキャップとの間に生じる可能性のある隙間が、5μm以下、さらに好ましくは1μm以下の厚さである場合が特に好ましい。そのような隙間は、例えば基板の製造に際する許容差によって、熱の影響によって、または粒子、例えば埃の包含によって生じる。本発明に関連して直接的に隣接しているとみなされる許容可能な間隔の場合でも、レーザーを用いて、接合ゾーンが10~50μmの厚さを有し、ひいては気密封止が確実になるように接合することが可能である。この場合も、接合ゾーンは第1の基板から、第1の基板に隣接して配置される第2の基板まで達する。つまり、接合ゾーンは第1の基板と第2の基板との接触領域にもたらされ、且つそれらの基板を互いに直に融合して、分離できない結合にする。換言すれば、接合ゾーンにおいて隣接して配置される基板の接合によって、溶融ゾーンにある両方の基板の材料が直に溶融され、第1の基板の材料が第2の基板の材料と混ざり、分離できない一体の結合になる。従って、そのように製造されたパッケージは、少なくとも接合ゾーンにおいて基板間で一体の、即ちモノリシックな結合を有する。
【0054】
接触面は光学的に透明でなければならないわけではない。さらに、透明基板もしくは透明なキャップが、可視波長領域において不透明に形成されている場合が有利である。接触面に達するためにレーザーが透過する基板のみが少なくとも1つのスペクトルの「窓」を有することにより、少なくとも使用されるレーザーの波長は前記基板を少なくとも一部では、または少なくとも部分的に通り抜けることができる。接触面は、その上でレーザーのエネルギー堆積が生じ得る状態にされている。例えば、相接して存在する2つの基板の表面が圧着されていることができ、さらに有利にはnm範囲の粗さを有する。これらの面でレーザーが少なくとも一部は吸収されることにより、そこでエネルギーがもたらされることができる。一般に本願の意味において接触面は、入射するレーザー光線のエネルギーを堆積できる面として理解されるべきであり、従ってその接触面に沿って接合プロセスを実施できる。そのような界面の単純なケースは、キャップとベース基板との間の接触面である。基板は相接して貼り合わせられるかまたは接合されて、共通のパッケージを形成し、且つ空洞部が気密性に封止される。
【0055】
パッケージを気密封止する段階は、レーザー接合法を用いて各パッケージの少なくとも1つの接触面に沿って接合することによって行われる。換言すれば、この場合、レーザーを用いて接触面の領域に、冷間接合法と称されるように局所的にエネルギーを堆積できる。つまり、接合のために提供される熱エネルギーはレーザー結合線の経路上に集中して向けられ、パッケージの他の材料には比較的ゆっくりとしか拡散しないので、空洞部内で殊に著しい温度上昇は生じない。このことにより、空洞部内に配置された電子部品が過熱から保護される。
【0056】
その際、レーザーを用いて、それぞれのパッケージの領域において局所的にレーザー結合線に沿って、接合されるべき基板もしくはキャップの両方の材料が溶融されることにより、少なくとも2つの基板が局所的に結合される。これについて当業者は例えば本出願人の欧州特許第3012059号明細書(EP3012059 B1)を参考にでき、これは参照をもって本願内に組み込まれるものとする。
【0057】
ガラス製、または大部分がガラス製、殊にホウケイ酸ガラス製の透明なパッケージの場合、それが化学的に不活性であることが特に有利である。
【0058】
単数または複数の基板がコーティングを有してもよい。用いられるレーザー波長に対する透明性もしくは少なくとも一部での透明性がレーザーの入射領域において存在することが確実である限り、例えば、ARコーティング、保護コーティング、生体活性フィルム、光学フィルタ、例えばITOまたは金製の伝導層を使用できる。
【0059】
少なくとも1つの透明基板は、好ましくはガラス、ガラスセラミック、シリコンまたはサファイア、または上記の材料の組み合わせ、つまり例えばガラス・シリコン、ガラス/シリコン/サファイアの組み合わせ、またはシリコン/サファイアの組み合わせからなる。また、単数または複数のさらなる基板はAl2O3、サファイア、Si3N4またはAlNを含むか、もしくはそれらからなることができる。透明基板と異なる種類の基板とを組み合わせることにより、例えば半導体特性を実現できる。コーティング、例えば、殊に圧力センサ用の圧電抵抗Si層、またはMEMSによるパルス測定などの微細機械用途のためのより厚い層も使用できる。
【0060】
この場合、側方の周縁部、下側または上側の少なくとも1つは、少なくとも部分的には1つの波長領域に対して透明である。換言すれば、パッケージの少なくとも1つの部分要素が前記部分要素の1つの部分領域では少なくとも好ましい波長領域に対して透明であり、その際、その波長領域が既知であり、且つ必要に応じて材料を使用されるレーザーの波長に相応して調整できれば充分である。
【0061】
パッケージは、レーザー接合法を用いて接合されて気密封止されたパッケージになる。換言すれば、パッケージの縁部、下側および上側は、少なくとも1つより多い部分から、例えば2つまたは3つ以上の部分からなり、それらの部分が一緒にレーザー接合されてパッケージが完成する。
【0062】
さらなる実施態様において、パッケージを少なくとも一部でおよび/または部分的に化学的に硬化させることができる。例えば、パッケージの上面、即ち例えば上側が化学的に硬化されている。上側と縁部とが化学的に硬化されてもよい。上側も縁部も下側も化学的に硬化されて、上側もしくは下側のそれぞれの表面も、それぞれのへり部、つまり縁部も化学的に硬化されていることが特に好ましい。
【0063】
基板は、各パッケージの接触面に沿って接合するためにレーザー結合線を製造する段階の前に、圧着(Ansprengen)によって少なくとも一時的に互いに結合されることができる。
【0064】
以下で実施例を用いて且つ図面を参照しながら本発明をより詳細に説明し、ここで、同じおよび類似の要素は一部では同じ記号で示され、且つ異なる実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1a: 開いた収納空洞部の上面図、
図1b: 閉じたパッケージの立体図、
図1c: 代替的な開いたパッケージ、
図1d: 接合ゾーンの断面
【
図3】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図4】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図5】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図6】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図7】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図8】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図9】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図10】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図11】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図12】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【
図13】
図2に示されるパッケージの実施態様のA→Bの線もしくはC→Dの線に沿った断面
【発明を実施するための形態】
【0066】
発明の詳細な説明
図1aは、ベース基板3、例えばウェハまたは回路基板、殊に窒化アルミニウム製の基板内に入れられた保護されるべき収納物体2を示す。機能領域13はくぼみとして、ベース基板3内に例えば研削方法、例えばサンドブラスト法を用いて形成される。換言すれば、ベース基板3は凹部13を有し、その中に収納物体2が入れられている。つまりベース基板3は、パッケージ1の下側22を形成する部分領域3aを有する。換言すれば、パッケージ1は基板3の一部を下側22(
図6参照)として形成され、ここで、パッケージ1は基板3と固く結合、殊に接合されている。収納物体2を覆うキャップ5が示されている。キャップ5は例えばガラス板であることができ、それはベース基板3における凹部13上に被せられる。従って、パッケージ1が閉じられると、要素3と5が一緒に、機能領域13、ここでは空洞部12(
図1c参照)内に配置されている収納物体2の周りでパッケージ1を形成する。換言すれば、
図1aの例においてベース基板3上にキャップ5が載せられると、閉じられた収納空洞部12が形成され、それが後続の段階で気密封止される。
【0067】
図1bは、レーザー接合法を用いて接合された、形成された気密封止パッケージ1を示す。前記パッケージは、ベース基板3上に重なり合って積層されたキャップ5を有し、キャップ5と基板3との間に接触面25が形成されており、それに沿ってレーザー結合線8がもたらされている。
【0068】
図1cはパッケージ1のさらなる実施態様を示し、ここでキャップ5は上の部分5bおよび周回する側面5aを有する。パッケージ1が組み立てられる際、キャップ5は、周回する側面5aの端面で接触面を有するように基板3の上に、且つパッケージ1の下側3aの領域(後に空洞部12の下側22(
図6参照)を形成する)に配置される。
【0069】
図1dは接合領域の詳細な切り抜きを示し、ここで、界面ゾーン、即ち接触面25およびレーザー接合ゾーン8が明らかに出現している。レーザー接合ゾーン8は接触面25の領域に配置されている。
【0070】
図2は本発明によるパッケージ1の上面図を示し、ここで、周回するレーザー接合ゾーン8が機能領域13を取り囲んでいる。機能領域13は種々に構成され得る。機能領域13の構造についての例、例えばパッケージの他の選択肢についての例が
図3~12に示される。機能領域13の種々の構造は
図3において図面的にまとめられ、なぜなら、全ての上面図は模式的に同様に表されるからである。断面はA→Bの線もしくはC→Dの線で描かれており、相応して
図3~12に再現されている。
【0071】
機能領域は種々の課題を実現でき、例えば、機能領域13内に配置される光レセプタ、または工学的部品、電気機械的部品および/または電子部品であることができる。これらの複数の課題を機能領域13で実現することもできる。パッケージ1は上部の基板5またはキャップ5で上側が覆われている。レーザー接合ゾーン8はこの上部の基板5内に達する。
【0072】
図3を参照して、ベース基板3と、カバー基板5の形態での平面のキャップ5とを有する、パッケージ1の第1の実施態様の第1の断面図が示される。換言すれば、パッケージ1は2つの層から、つまりベース基板3とカバー層5とから構成または組み立てられている。
図3はさらに、ベース基板3の材料およびカバー基板5の材料が互いに隙間なく融合して機能領域13もしくは空洞部12が気密封止されるように密に相接して設置される複数のレーザーパルスのターゲット領域16の連結物からのレーザー接合線8の構成を示す。
【0073】
図4は、
図2に示される線C→Dに沿ったパッケージ1の実施態様の断面図を示す。
図4はさらに、例えばパッケージ1内の連続する中空部または空洞部として延在する、機能領域13、13aを通る断面を示す。換言すれば、前記空洞部はベース基板3からカバー基板5まで延在し、例えばベース基板3および/またはキャップ5からの凹みの形態で存在する。例えば、機能領域13aは活性層、例えば電気伝導層も含むことができ、且つ機能領域13は空洞部を含む。レーザー接合ゾーン8は機能領域13、13aの周りを周回して配置され、それを用いて機能領域13、13aは側方で、周囲全体で封止されている。レーザー接合ゾーン8において開いた領域を残すことにより、機能領域13、13aを周囲全体で封止せず、例えば接続チャネルまたは電気的結合のための場所を開けておき、それによって例えば環境との流体接続も構成できることが考えられる。換言すれば、集束されるレーザー光線9で封止されない予め計画された位置もしくは場所が存在することがあり、そこでは他の手段、例えば接着剤を用いて気密封止が施される。機能領域13、13aが全ての側で且つ隙間なく封止されていることが好ましい。
【0074】
図5を参照して、接触面25に沿ってレーザーパルスのターゲット16によってレーザー接合ゾーン8が生成され、そこでカバー基板5がベース基板3と溶接もしくは接合される、さらなる実施態様が示される。この実施態様は、第1の基板3の表面および第2の基板5の表面が全体的に硬化されており、つまり硬化された層27、28および29を有するという、さらなる特徴を有する。例えば、キャップ5を、ベース基板3との結合前、またはベース基板3との結合後にも、その上側で硬化浴に浸漬することにより、完成したパッケージ1が化学的に硬化され、つまり、少なくとも1つの硬化表面27を有し、且つ/または少なくとも1つの硬化層を有することができる。換言すれば、完成したパッケージ1は少なくとも部分的に、もしくは少なくとも一部では硬化、殊に化学的に硬化されている。化学硬化に際し、カバー基板5の上に圧縮応力が生じる。
【0075】
図5に示される実施態様において、パッケージ1は全ての外面で硬化されており、即ち、対向して存在する2つの長い側面が硬化層27および29を有し、パッケージの周辺のへり部14も硬化層28を有し、ここで、周辺のへり部14はパッケージ1の周りに延在している。換言すれば、直方体のパッケージの場合、直方体が有する4つ全ての短い側面がへり部14にまとめられる。へり部14は、パッケージの縁部21として理解もしくは称されることもでき、それは空洞部12の周りに延在している。
図5に示されるようなパッケージ1は例えば、キャップ5とベース基板3とを含む、完成した接合されたパッケージを硬化溶液に浸漬し、そこで殊に化学的に硬化させることによって得られる。従って、硬化層27、28、29はパッケージ1の外側に直接的に配置される。従って、硬化層27、28、29の内側に接合線8のための領域が残っており、これは場合により硬化層27、28、29に対して間隔をあけて導入される。
【0076】
図6はベース基板3上に被せられた、側面5aを有するキャップ5を有するパッケージ1の実施態様を示す。
図6の図は、
図2に示された線C→Dに沿った層に相応し得る。この実施態様においては、機能領域12、13、13aは、それがベース基板3上に配置され、且つキャップ5内に延在するように配置されている。接合線8は、空洞部12が全ての側で気密封止されるように空洞部12の周りに配置されている。キャップ5は丸形または角形に形成されることができ、基本的に自由な形態を有し得る。
【0077】
収納物体2、例えばセンサまたはアクチュエータは、空洞部12の下側22に配置され、例えばそこに付着される。収納物体の両側に、前記収納物体2の電気的コンタクトのための金属パッド32、32aが配置されている。コンタクト導線36、36a、例えばボンディングワイヤを用いて、収納物体2がコンタクト点32、32aと電気的コンタクトが取られている。コンタクト点32、32aは、金属コンタクト面であることができる。コネクタ35、35aを介して、空洞部12の外側に配置された第2のコンタクト部34、34aへの電気的コンタクトが作られることにより、ベース基板3上の収納物体、例えば回路基板3は外側からコンタクトを取ることができる。この例において、第2のコンタクト部34、34aはベース基板3の下側に配置されており、それによって個々のパッケージ1の大きさを小さく保つことができる。例えば第2のコンタクト部34、34aがコネクタ35、35a上に直接的に施与されることによって、コンタクト導線36、36aが気密封止されていることに注意すべきである。キャップ5は、レーザー結合線8を用いてベース基板3と直接的に接合されている。この場合、レーザー9が接触面25に沿って、もしくはキャップ5の外側のへり部に沿って、空洞部の周りを2回、しかし、正確に同一ではない経路上で導かれたことによって、2つの周回する閉じたレーザー接合ゾーン8が形成された。むしろ、レーザー9は、空洞部12の周りを周回する毎に、側方にずらした経路上を導かれて、2つの隣り合うレーザー接合ゾーン8が生じる。この例における微細結合ゾーン8は、例えば5μm×10μm、または10μm×50μmの寸法を有する。
【0078】
キャップ5の場合、例えば材料としてAF45を使用できる。ベース基板3は、単層の態様でAlNセラミックを有し得る。これは例えばパワー半導体(HL)のため、もしくはLEDのために有利な製造が望まれる場合に有利である。その際、キャップ5とベース基板3の2つの殊に異なる材料の熱膨張係数(CTE)の特性値は、これらが層の間で互いに調整されるように選択できる。例えば、それらのCTEは類似であるか、または同一であることができるので、パッケージ1内に熱応力はほとんど存在しないか、または全く存在しない。その際、AF45とAlNとのCTEは所望の用途にとって意外なまでに良好に合致し、パッケージ1の熱負荷はほとんど確認され得なかった。ベース基板のために、材料としてSi
3N
4も考慮され得る。本発明によるパッケージ1の特徴は、基板3が、
図6~9および13の実施態様の場合は単層のセラミックとして、
図10~12の実施態様の場合は多層のセラミックとして、熱伝導性の高い材料であることである。
【0079】
図7は、切断線C→Dに沿ったパッケージ1のさらなる実施態様を示し、この例においても、機能領域13もしくは空洞部12はキャップ5内に配置されている。この例において、収納物体2、例えば高出力LEDは、上側および下側のコンタクト領域を有する。従って、収納物体2は、コンタクト部32a上に配置されており、そこで直に電気的にコンタクトを取り、コンタクト部32への第2の電気的コンタクトはコンタクト導線36を介して収納物体2の上側に作られる。キャップ5は結合線8によってベース基板3と融合され、気密封止される。図面において、全ての実施態様で同じ符号は同じ特徴を示す。
【0080】
接合線8に沿った接合は、好ましくはキャップ5およびベース基板3の緩和された材料にもたらされた。ベース基板3は、直に且つ直接的にキャップ5と接合されるので、ベース基板3とキャップ5との間にさらなる層もしくはさらなる基板は配置されていない。機能領域13は空洞部12として仕上げられている。キャップ5について、材料として例えばAF45または8337bを考慮することができ、ベース基板3は単層または多層のAlNセラミックであってよい。コンタクト用フィードスルー35、35aは充填され、つまり殊に気密封止されている。
【0081】
図8を参照して、パッケージ1のさらなる実施態様が示され、ここで、複数のコンタクト部32、32a、32b、32cが空洞部内に備えられており、フィードスルー35、35a、35b、35cを用いてパッケージ1の外側の第2のコンタクト部34、34a、34b、34cへと導かれる。第2のコンタクト部34、34a、34b、34cは、この例においてはベース基板3の下側に配置されている。収納物体、例えばマイクロプロセッサまたはパワートランジスタは、下側および上側にコンタクト部を有し得る。この例においては、マイクロプロセッサは3つの下側のコンタクトを有し、ここで、マイクロプロセッサ2は3つのコンタクト部32a、32b、32c上に直接的に配置されており、且つ上側のコンタクト部はコンタクト導線36を用いてコンタクト部32と結合されている。キャップ5とベース基板3とは2つのレーザー結合線8によって互いに気密接合されている。
【0082】
図9は、収納物体2が下側のみにコンタクト部を有するパッケージ1の実施態様を示す。その際、収納物体2は容易にコンタクト部32、32aの直上に配置されることができ、結合導線36、36aは省略される。
【0083】
図10は第2のコンタクト部34、34aがベース基板3の上側且つパッケージ1の側方に配置されているパッケージ1の実施態様を示す。この実施態様においては、パッケージ1ごとに使用されるべきベース基板3の面積は大きいが、一方で上側から第2のコンタクト部34、34aのコンタクトを取ることができ、それは場合によってはより容易であるという利点をもたらす。さらに、ベース基板3は貫通されていないので、ベース基板自体が気密封止を確実にすべき場合、気密性のシーリングが場合によってはより容易に実現される。この実施態様は例えば、複数のパッケージ1が1つの共通のベース基板3上に配置される場合(
図12参照)またはコンタクト部が後に上側からさらにコンタクトを取るべき場合に有利であることがある。4つより多いコンタクト部も、およびこれが収納物体2の下側だけに分布、または下側および上側に配置され得ることも、これらがベース基板3の下側および/または上側に配置され得ることも明らかである。ベース基板の材料としてAlNを単層または多層で使用でき、Si
3N
4を使用することができる。
図11は、上側に配置された第2のコンタクト部34、34aを有し、ここで、収納物体2はコンタクト部32a上に配置されており、結合導線36を用いてコンタクト部32とのコンタクトが取られているさらなる実施態様を示す。
【0084】
図12を参照して、上に2つのパッケージ1の2つの下側22が形成されている1つの共通のベース基板3が示される。ベース基板3の上で各パッケージ1内に1つの収納物体2が配置されており、それぞれ第2のコンタクト部34および34aを用いて、外部へ通じてコンタクトが取られている。
図12の実施態様の方式において、1つの共通のベース基板3が複数のパッケージ1を有してもよく、それらは場合により共通の課題も担い、つまり互いにコンタクトを取ることもできることが理解される。
【0085】
図13は、空洞部12がベース基板3内にもたらされているパッケージ1の実施態様を示す。例えば、空洞部12はサンドブラスト法を用いてベース基板3にもたらされることができ、つまり、一般的に研削法を用いてベース基板3からくり抜かれる。空洞部12をベース基板3内にもたらすために化学エッチングも可能である。この態様は、キャップ5を例えば単純なガラス板として仕上げることができ、それがマイクロボンディングおよびレーザー結合線8を用いてベース基板3と結合されることが有利である。ベース基板3の材料として、ここでもまたAlN、またはHTCCも使用できる。多層セラミックの場合、空洞部12が例えばスタンプ工程によってグリーンの状態で既に生成されている場合に、空洞部12の作製が特に容易に実現可能であることが判明している。
【0086】
図14を参照して、複数のパッケージ1を基板3の上に製造するための方法の実施態様が示される。プロセスの要件に応じて、1つの個別のパッケージもしくは1つの個別のキャップ5のみを基板上にもたらすこともできることは、当業者には明らかである。1つの個別のキャップ5を基板3上に施与するためのこの方法は、結局のところ、プロセスフローに関してここで
図14を用いて示される方法を単純化したものである。
【0087】
段階Aにおいて、ベース基板3上に複数の収納物体2が配置され、例えば備えられるコンタクト部32、32a(
図3参照)にはんだ付けされる。各収納物体2の上にキャップ5が装着され、即ち、各収納物体2に1つの固有の空洞部12が生成されることが予定されている。しかし、複数の収納物体2が1つの共通のキャップ5で共通の空洞部12内に収納されることもできる。
【0088】
段階Bにおいて、ガラスキャップ5がベース基板3上に被せられ、それによって空洞部12が完全に形成される。
【0089】
段階Cは、それぞれの収納空洞部12のレーザー接合、つまり接触面25に沿って全ての側で空洞部12を封止し、1つのパッケージ1あたり少なくとも1つのレーザー結合線8をもたらすことを示す。このために、レーザーユニット15がキャップ5の上方から基板3の表面上に導かれ、その際、逐一、集束されたレーザー光線9が接合されるべきゾーンに、つまり接触面25に向けられる。製造方法の段階Cが終了した後、全ての空洞部12が気密封止されている。段階Cの後に個々のパッケージ1を、切断方法を用いて個別化することにより、個々に分離されたパッケージを得ることが可能である。
【0090】
段階Dにおいて、部品を分離線もしくは切断線10に沿って互いに分離する。このために、場合によっては、段階Cにおけるレーザー接合のためのレーザーと同じレーザーを使用できる。しかし、有利であれば、従来の切断方法を使用してもよい。
【0091】
上記の実施態様が例示的なものとして理解され、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の保護範囲を逸脱することなく多様に変更され得ることは、当業者には明らかである。さらに、前記の特徴は、明細書、特許請求の範囲、図面または他に開示されているかどうかには関わらず、それらが他の特徴と一緒に記載されている場合であっても、本発明の本質的な要素を個別に定義していることも明らかである。全ての図面において同じ符号は同じ特徴を示しているので、場合により1つの図面のみ、または少なくとも全ての図面に関しては言及されていない特徴の記載を、明細書において明示的に記載されていない特徴に関して、これらの図に転用することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 気密封止された化学硬化パッケージ
2 収納物体
3 下部基板、層またはウェハ、ベース基板もしくは下部のカバー(良好な熱伝導性)
5 上部基板、層、またはウェハ、カバー基板もしくは上部のカバー(レーザー結合のために光学的に透明)
8 レーザー接合ゾーン
9 集束レーザー光線
10 分離線もしくは切断線
12 収納空洞部
13 機能領域
13a 第2の機能領域
14 へり部
15 接合および/または切断用のレーザーユニット
16 レーザーパルスのターゲット領域
21 空洞部の縁部
22 空洞部の下側
23 空洞部の上側
25 接触面
27 硬化ゾーン、もしくは第1の硬化層
28 硬化ゾーン、もしくは第2の硬化層
29 硬化ゾーン、もしくは第3の硬化層