(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/15 20060101AFI20241111BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241111BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241111BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20241111BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20241111BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L23/14 C
H01L23/12 E
H01L23/12 J
H01L23/12 Z
H01L23/36 C
H01L23/08 B
H01L23/02 F
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2022511808
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010492
(87)【国際公開番号】W WO2021200094
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020065040
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】宝玉 晋
(72)【発明者】
【氏名】盛田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】高森 麗
(72)【発明者】
【氏名】岡 修一
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-22465(JP,A)
【文献】特開2016-208057(JP,A)
【文献】特開2015-151286(JP,A)
【文献】特開2006-24891(JP,A)
【文献】特開2008-235869(JP,A)
【文献】特開2015-131741(JP,A)
【文献】特開平05-48231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/15
H01L 23/12
H01L 23/36
H01L 23/08
H01L 23/02
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、該第1面の反対側にある第2面、および、前記第1面と前記第2面との間にある第1側面を含むガラス基板と、
前記第1および第2面上に設けられた配線と、
前記第1側面を被覆する金属膜と、
前記金属膜よりも外側に設けられ、前記第1側面において前記金属膜に接着されたフレームとを備えた、半導体装置。
【請求項2】
前記金属膜は、前記配線と同一材料で構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属膜は、前記第1および第2面側において、前記ガラス基板から前記フレームに亘って前記ガラス基板と前記フレームの両方に設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記フレームは、前記第1面側にある第3面、前記第2面側にある第4面、並びに、前記第3面と前記第4面との間にあり前記第1側面と対向する第2側面を含み、
前記金属膜は、前記ガラス基板と前記フレームとの境界部において、前記第1面から前記第3面に亘って設けられ、かつ、前記第2面から前記第4面に亘って設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1面と前記第3面との段差および前記第2面と前記第4面との段差は、それぞれ前記金属膜の厚みより小さい、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記フレームは、前記第3面と前記第4面との間を貫通する孔を有する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記孔の内壁に金属材料が被覆され、前記配線または前記金属膜と電気的に接続される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記孔内にはネジが設けられ、該ネジが前記フレームと筐体とを締結している、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属膜は、無線通信のためのアンテナとして用いられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記配線は、無線通信のためのアンテナとして用いられ、
前記金属膜は、グランドとして用いられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属膜は、前記フレームの外側面に設けられ、無線通信のためのアンテナとして用いられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記フレームの外側面に設けられた前記金属膜は、1本または複数本のスリットを有するスロットアンテナとして用いられる、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ガラス基板の前記第1面上には半導体チップが搭載されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ガラス基板は、前記第1面から前記第2面まで貫通する開口部を有し、
前記開口部内には金属板と前記金属板上に設けられた半導体チップとが設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記金属板は放熱板であり、
前記半導体チップは、イメージセンサチップである、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記フレームは、前記第1面側にある第3面、前記第2面側にある第4面を含み、前記第3面と前記第4面との間を貫通する孔を有し、
前記孔内に設けられたネジが前記フレームと筐体とを締結し、
前記筐体には光学レンズが設けられており、前記イメージセンサチップへ光を集光させる、請求項15に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板は半導体の加工技術を適用でき表面平坦度が高いので、光学部品や高周波部品等の半導体装置用基板として有望である。ガラス基板を半導体用基板として実用化するためには、ガラス基板の平坦性を維持し、かつ、端部の割れを抑制する必要がある。このため、ガラス基板の保護が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6331127号公報
【文献】特許第5789889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラス基板の切断加工時に樹脂材料でガラス基板の側壁を覆う技術がある(特許文献1)。しかしながら、樹脂材料は、ガラス基板を保護するほどの高い剛性を有さず、ガラス基板の平坦性を維持した高精度な加工を困難にする。また、樹脂材料とガラス基板との間の接着のみでガラス基板を保持するため、外力によりガラス基板が歪んだり、あるいは、樹脂材料とガラス基板との間が剥離する懸念がある。
【0005】
このような場合、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサをガラス基板に実装すると、ガラス基板の歪みによって、CMOSイメージセンサと光学レンズとの光軸がずれることがある。また、ガラス基板の端部の割れによって半導体装置の信頼性を低下させることがある。
【0006】
そこで、本開示は、ガラス基板の平坦性を維持し、かつ、ガラス基板の端部を充分に保護することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の半導体装置は、第1面、該第1面の反対側にある第2面、および、第1面と第2面との間にある第1側面を含むガラス基板と、第1および第2面上に設けられた配線と、第1側面を被覆する金属膜と、金属膜よりも外側に設けられ、第1側面において金属膜に接着されたフレームとを備える。
【0008】
金属膜は、配線と同一材料で構成されていてもよい。
【0009】
金属膜は、第1および第2面側において、ガラス基板からフレームに亘ってガラス基板とフレームの両方に設けられていてもよい。
【0010】
フレームは、第1面側にある第3面、第2面側にある第4面、並びに、第3面と第4面との間にあり第1側面と対向する第2側面を含み、金属膜は、ガラス基板とフレームとの境界部において、第1面から第3面に亘って設けられ、かつ、第2面から第4面に亘って設けられていてもよい。
【0011】
第1面と第3面との段差および第2面と第4面との段差は、それぞれ金属膜の厚みより小さくてもよい。
【0012】
フレームは、第3面と第4面との間を貫通する孔を有してもよい。
【0013】
孔の内壁に金属材料が被覆され、配線または金属膜と電気的に接続されてもよい。
【0014】
孔内にはネジが設けられ、該ネジがフレームと筐体とを締結していてもよい。
【0015】
金属膜は、無線通信のためのアンテナとして用いられてもよい。配線は、無線通信のためのアンテナとして用いられ、金属膜は、グランドとして用いられてもよい。
【0016】
金属膜は、フレームの外側面に設けられ、無線通信のためのアンテナとして用いられてもよい。
【0017】
フレームの外側面に設けられた金属膜は、1本または複数本のスリットを有するスロットアンテナとして用いられてもよい。
【0018】
ガラス基板の第1面上には半導体チップが搭載されてもよい。
【0019】
ガラス基板は、第1面から第2面まで貫通する開口部を有し、開口部内には金属板と金属板上に設けられた半導体チップとが設けられてもよい。
【0020】
金属板は放熱板であり、半導体チップは、イメージセンサチップでもよい。
【0021】
フレームは、第1面側にある第3面、第2面側にある第4面を含み、第3面と第4面との間を貫通する孔を有し、孔内に設けられたネジがフレームと筐体とを締結し、筐体には光学レンズが設けられており、イメージセンサチップへ光を集光させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態による半導体装置の構成例を示す概略平面図。
【
図2】第1実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図3】第2実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図4】第3実施形態による半導体装置の構成例を示す概略平面図。
【
図5】第3実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図6】第4実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図7】第5実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図8】第6実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図9】第7実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図10】アンテナとして機能する配線の平面レイアウトを示す図。
【
図11A】アンテナとして機能する配線の平面レイアウトを示す図。
【
図12A】アンテナとして機能する配線の平面レイアウトを示す図。
【
図13】第8実施形態による半導体装置の構成例を示す概略平面図。
【
図14】第9実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図16】第10実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図17A】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図。
【
図17B】第11実施形態による半導体装置のフレームの外側面から見た側面図。
【
図18】第3実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図23】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図24】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図25】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図26】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図27】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図28】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図29】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図30】第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図。
【
図31】本技術に係る実施形態をCMOSイメージセンサとして使用した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体装置(以下、パッケージまたはモジュールとも呼ぶ)の構成例を示す概略平面図である。
図2は、第1実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。尚、
図1では、ガラス基板10、フレーム20、金属膜30、半導体チップ40の位置関係を示し、貫通電極等の詳細な構成の図示については省略している。
【0025】
図1に示すように、ガラス基板10の中心部上に、半導体チップ40が搭載されている。ガラス基板10の周囲には、金属膜30およびフレーム20がガラス基板10の側面全体を連続的に被覆するように設けられている。半導体チップ40は、特に限定しないが、例えば、CMOSイメージセンサチップでよい。尚、金属膜30およびフレーム20は、ガラス基板10の側面の一部分を被覆するように設けられていてもよい。
【0026】
図2に示すように、ガラス基板10は、第1面10Aと、第1面の反対側にある第2面10Bと、第1面10Aと第2面10Bとの間にある側面(第1側面)10Cとを含む。第1面10A上には、積層配線部81が設けられている。積層配線部81は、第1面10A上に設けられた複数層の配線83を含む。配線83は、層間絶縁膜85で被覆されている。積層配線部82は、第2面10B上に設けられた複数層の配線84を含む。配線84は、層間絶縁膜86で被覆されている。配線83、84には、例えば、銅等の低抵抗金属材料が用いられる。
【0027】
配線83の一部は、第1面10A上において、電極パッド71と電気的に接続されている。配線84の一部は、第2面10B上において、電極パッド72と電気的に接続されている。電極パッド71、72は、電子部品110等と接続され、あるいは、図示しない他の基板や部品と接続される。
【0028】
また、配線83の他の一部は、ボンディングパッド51と電気的に接続されており、ボンディングパッド51およびボンディングワイヤ50を介して半導体チップ40と電気的に接続されている。
【0029】
ガラス基板10の側面10Cには、金属膜30が設けられている。金属膜30は、
図1に示すように、ガラス基板10の外縁全体に設けられている。また、金属膜30は、
図2に示すように、第1面10Aから第2面10Bまで側面10C全体を被覆するように設けられている。金属膜30には、例えば、銅等の低抵抗金属材料が用いられる。金属膜30は、例えば、配線83、84と同一の金属材料で構成されてよい。尚、金属膜30は、ガラス基板10の外縁の一部において設けられていなくてもよく、側面10Cの一部を被覆していなくてもよい。
【0030】
さらに、金属膜30は、第1および第2面10A、10B上において、ガラス基板10からフレーム20に亘ってガラス基板10とフレーム20の両方に亘って設けられている。例えば、第1面10A上にある金属膜30を金属膜(金属膜部分)30Aとし、第2面10B上にある金属膜30を金属膜(金属膜部分)30Bとする。この場合、金属膜30Aは、ガラス基板10とフレーム20との境界部において、ガラス基板10の第1面10Aからフレーム20の第3面20Aに亘って設けられている。第3面20Aは、第1面10A側にあるフレーム20の面である。金属膜30Bは、ガラス基板10とフレーム20との境界部において、ガラス基板10の第2面10Bからフレーム20の第4面20Bに亘って設けられている。第4面20Bは、第2面10B側にあるフレーム20の面である。
【0031】
金属膜30Aがガラス基板10の第1面10Aからフレーム20の第3面20Aに亘って境界部を被覆するために、第1面10Aと第3面20Aとの段差は、金属膜30Aの厚みよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、第1面10Aおよび第3面20Aは、ほぼ面一であることが好ましい。これにより、金属膜30Aは、ガラス基板10の第1面10Aからフレーム20の第3面20Aに亘って途切れずに被覆することができる。
【0032】
金属膜30Bがガラス基板10の第2面10Bからフレーム20の第4面20Bに亘って境界部を被覆するために、第2面10Bと第4面20Bとの段差は、金属膜30Bの厚みよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、第2面10Bおよび第4面20Bは、ほぼ面一であることが好ましい。これにより、金属膜30Bは、ガラス基板10の第2面10Bからフレーム20の第4面20Bに亘って途切れずに被覆することができる。
【0033】
このように、金属膜30は、ガラス基板10の側面10Cとフレーム20との間に設けられ、かつ、ガラス基板10とフレーム20との間の境界部を被覆する。これにより、金属膜30は、ガラス基板10の端部および側面10Cを保護する。金属膜30は、樹脂材料と異なり、ガラス基板10を保護可能な程度に充分な剛性を有することができる。従って、金属膜30は、ガラス基板10の端部を充分に保護することができる。また、金属膜30は、配線83、84の一部として用いてもよい。
【0034】
フレーム20は、金属膜30よりも外側に設けられ、ガラス基板10の側面10Cにおいて金属膜30に絶縁膜90によって接着されている。フレーム20は、第3面20Aと、第4面20Bと、第3面20Aと第4面20Bとの間にある側面(第2側面)20Cを有する。側面20Cは、フレーム20の内側面であり、側面10Cに対向する面である。フレーム20は、側面20Cにおいて金属膜30に接着されている。
図1に示すように、フレーム20は、ガラス基板10の外縁全体を囲むように設けられており、ガラス基板10の側面10Cを金属膜30とともに保護している。金属膜30は、フレーム20の第3および第4面20A、20B上にも設けられている。フレーム20には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂材料が用いられている。絶縁膜90には、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂材料が用いられる。
【0035】
ガラス基板10には、貫通電極(TGV(Through Glass Via))60が設けられている。貫通電極60は、ガラス基板10を貫通するビアホールの内壁を被覆する金属膜61と、該金属膜61の内側に充填される絶縁膜62とを有する。金属膜61には、例えば、銅等の低抵抗金属材料が用いられる。金属膜61は、配線83、84と同一材料であってもよい。絶縁膜62には、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁性材料が用いられる。金属膜61は、ビアホールを介して配線83の一部と配線84の一部とを電気的に接続するために設けられている。
【0036】
ガラス基板10上には、半導体チップ40および電子部品110が搭載されている。半導体チップ40のボンディングパッド41は、ボンディングワイヤ50を介してボンディングパッド51に接続される。電子部品110は、電極パッド71に接続されている。半導体チップ40は、接着剤100によって層間絶縁膜85上に接着されている。
【0037】
本実施形態によれば、金属膜30は、ガラス基板10の側面10Cとフレーム20との間に設けられ、かつ、ガラス基板10とフレーム20との間の境界部を被覆する。これにより、金属膜30は、ガラス基板10の端部および側面10Cを保護することができる。さらに、フレーム20がガラス基板10の外縁に沿って金属膜30に接着されている。これにより、ガラス側面をより高剛性の部材で保護することができる。
【0038】
本実施形態において、
図2に示すように、金属膜30Bは、複数の配線層で構成されていてもよい。例えば、積層配線部82と同一配線層において、ガラス基板10の第2面10Bおよびフレーム20の第4面20B上に亘って複数の配線層を残置させる。これにより、積層配線部82と同一配線層で金属膜30Bが形成され得る。金属膜30Aも同様に、積層配線部81と同一の複数の配線層で構成してもよい。このように、金属膜30A、30Bを複数の配線層とすることによって、ガラス基板10の端部をより確実に保護することができる。
【0039】
また、金属膜30A、30Bを積層配線部81、82と同一層で構成することによって、追加の製造工程が不要となり、半導体装置の製造が容易になる。
【0040】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第2実施形態は、半導体チップ40を半導体装置用基板にフリップチップ接続した形態である。半導体チップ40は、金属バンプ43を有し、金属バンプ43によって積層配線部81に接続されている。即ち、第2実施形態では、半導体チップ40は、ガラス基板10上方においてフリップチップ接続されている。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態による半導体装置の構成例を示す概略平面図である。
図5は、第3実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。
図5は、
図4の5-5線に沿った断面を示している。
【0042】
第3実施形態では、ガラス基板10は、その中心部に第1面10Aから第2面10Bまで貫通する開口部11を有する。開口部11は、半導体チップ40および金属板120を受容できる程度の大きさに形成されている。従って、開口部11は、
図4に示すように、ガラス基板10の第1面10Aの上方から見たときに、半導体チップ40または金属板120と略相似形を有し、半導体チップ40または金属板120よりも若干大きなサイズを有する。
図4では、半導体チップ40および金属板120は、ともに四角形であり、従って、開口部11も四角形に形成されている。
【0043】
図5に示すように、開口部11内の上部には、半導体チップ40が嵌め込まれている。開口部11内の下部には、金属板120が嵌め込まれている。このように、開口部11内には金属板120と金属板120上に設けられた半導体チップ40とが設けられる。金属板120は、半導体チップ40の裏面に接触しており、半導体チップ40において発生する熱を吸収し、かつ、その熱をガラス基板10の第2面10B側から放出する。即ち、金属板120は、半導体チップ40の放熱板として機能する。金属板120には、例えば、銅等の高熱伝導性材料が用いられる。半導体チップ40は、金属板120上に接着剤100によって接着されている。
【0044】
開口部11の内壁には、金属膜65が設けられている。金属膜65と半導体チップ40との間および金属膜65と金属板120との間には絶縁膜66が設けられている。絶縁膜66が半導体チップ40および金属板120を金属膜65に接着している。金属膜65には、例えば、銅等の高熱伝導性材料が用いられる。金属膜65は、例えば、銅メッキである。金属膜65は、開口部11の側面の少なくとも一部を被覆し、半導体チップ40の熱をその側面から伝達し放熱する機能を有する。
【0045】
図4および
図5に示すように、第1面10Aの上方から見たときに、金属板120の外形のサイズは、半導体チップ40の外形のサイズよりも大きく、半導体チップ40の底面全体が金属板120上に接触する。これにより、金属板120は、半導体チップ40の熱を効率良く放出することができる。
【0046】
また、例えば、半導体チップ40がDSP(Digital Signal Processor)等である場合、金属板120が、周囲からのノイズから半導体チップ40を保護することができる。これは、半導体チップ40のパッケージの設計を容易にする。
【0047】
また、フレーム20のヤング率または熱膨張係数は、ガラス基板10のそれらと異ならせることができる。これにより、金属板120を嵌め込んだときに、パッケージ全体の応力を調整することができる。
【0048】
保護樹脂42がボンディングワイヤ50およびボンディングパッド41、51を被覆し、ボンディングワイヤ50およびボンディングパッド41、51を保護している。保護樹脂42には、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂材料が用いられる。
【0049】
半導体チップ40の上方には、カバーガラス130が設けられている。カバーガラス130は、ガラス基板10の第1面10Aの上方から来る光を半導体チップ(例えば、CMOSイメージセンサチップ)40へ透過させる。また、カバーガラス130は、半導体チップ40のセンサ面を保護するために設けられている。カバーガラス130は、リブ140によって半導体チップ40の上方において支持されている。
【0050】
第3実施形態では、
図4に示すように、フレーム20の2つの角と辺の中間部とに3つの孔150~152が設けられている。孔150~152は、
図5に示すように、フレーム20の第3面20Aと第4面20Bとの間を貫通している。尚、
図5では、孔150のみが示されている。孔150~152は、フレーム20および層間絶縁膜85、86を貫通しており、フレーム20を他の部材にネジで締結するために設けられている。
【0051】
孔150~152は、フレーム20に設けられており、ガラス基板10には設けられていない。また、フレーム20とガラス基板10との間には、金属膜30および絶縁膜90が設けられている。従って、フレーム20を他の部材(例えば、
図6に示す筐体200)にネジで締結したときにフレーム20に印加される応力は、ガラス基板10までは伝わり難くなっている。これにより、ガラス基板10の平坦性を維持することができる。
【0052】
尚、第3実施形態では、放熱板としての金属板120が開口部11内に設けられている。しかし、金属板120に代えて、放熱機能のある能動部品(図示せず)が設けられていてもよい。能動部品は、例えば、マイクロ流路デバイス等でよい。能動部品は、能動的に放熱温度を設定することができ、内部温度分布に勾配を付けることができる。これにより、ガラス基板10内の応力を調整し、ガラス基板10の平坦性を向上させることができる。
【0053】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第4実施形態は、例えば、第3実施形態による半導体装置をCMOSセンサモジュールとして構成した実施形態である。第4実施形態では、第3実施形態によるパッケージに筐体200をネジ220で締結している。筐体200は、光学レンズ210を備えている。筐体200には、例えば、絶縁性樹脂材料が用いられる。筐体200は、フレーム20およびガラス基板10の外形とほぼ同じ形状を有し、例えば、四角形を有する。
図4の孔150~152には、それぞれネジ220が挿入されており、フレーム20は、筐体200にネジ220で締結され、固定される。これにより、半導体チップ40と光学レンズ210との相対位置関係が決まる。光学レンズ210は、半導体チップ40の受光面に対応して設けられ、入射光を半導体チップ40へ集光させる。半導体チップ40は、この入射光に従った電気信号を生成し(光電変換し)、電気信号として他の部品へ送信する。
【0054】
ネジ220は、金属板250および放熱層260を介して孔150~152に挿入され、金属板250と筐体200との間でフレーム20を挟むようにこれらを締結してもよい。金属板250には、例えば、銅、グラファイト等の高熱伝導性材料が用いられる。放熱層260には、例えば、グリース、エポキシ接着剤等が用いられる。
【0055】
金属膜30は、アンテナとして機能してもよい。例えば、
図6に示すように、マザーボード230にアンテナ240を設け、金属膜30とアンテナ240とで信号を無線通信してもよい。この場合、無線通信を行う金属膜30の部分には、金属板250を設けない。また、金属膜30は、配線83、84を介して半導体チップ40に電気的に接続され、半導体チップ40から電気信号を受けることができる。
【0056】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第5実施形態は、第3実施形態によるパッケージの孔150~152は、その内壁に金属材料を有し、貫通電極として用いられる。ガラス基板10の第2面10B側には、配線基板300が設けられている。配線基板300は、複数の配線層310と、配線層310間に設けられた層間絶縁膜320とを備える。配線基板300は、ガラス基板10の第2面10Bおよびフレーム20の第4面20Bの全体に対向するように設けられている。即ち、配線基板300は、パッケージの裏面全体に接着されている。
【0057】
孔150~152は、フレーム20および配線基板300の両方を貫通して設けられている。さらに、孔150~152の内壁には、金属材料としての金属膜155が被覆されており、金属膜30および配線層310の一部に電気的に接続されている。金属膜155により、孔150~152は、貫通電極として機能し、金属膜30を配線またはアンテナとして機能させることができる。金属膜155には、例えば、銅等の低抵抗金属材料が用いられる。孔150~152の金属膜155の内側には、絶縁膜(図示せず)が埋め込まれてもよく、あるいは、ネジ220が挿入されてもよい。
【0058】
(第6実施形態)
図8は、第6実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第6実施形態は、ガラス基板10の開口部11内に、複数の半導体チップ40、45および金属板120が内蔵されている。開口部11の内壁は、第1または第2面10A、10Bに対して略垂直方向に延伸している。開口部11の内壁には、金属膜65および絶縁膜66が設けられている。
【0059】
開口部11内において、金属板120の一方の面120Aには、半導体チップ40が接着剤100Aを介して接着されている。金属板120の他方の面120Bには、半導体チップ45が接着剤100Bを介して接着されている。半導体チップ40は、例えば、CMOSイメージセンサチップであり、半導体チップ45は、例えば、半導体チップ40からの信号を処理するCMOS回路でよい。このように、本実施形態によるパッケージは、マルチチップモジュールとして構成してもよい。
【0060】
ガラスは加工精度が高いため、絶縁膜66の厚みを薄くして、ガラス基板10の開口部11内の半導体チップ40、45と金属膜65とを接近させることができる。これにより、半導体チップ40、45の側面から金属膜65への伝熱効果が向上し、放熱を効率的に行うことができる。また、本実施形態によるパッケージは、マルチチップモジュール化されており、薄くかつコンパクトに構成することができる。
【0061】
(第7実施形態)
図9は、第7実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。尚、
図9以降では、適宜、半導体装置の端部のみ図示している。以下の図においては、適宜、端部のみ図示する。第7実施形態では、配線83がアンテナとして機能しており、金属膜30がグランドとして機能する。配線83は、金属膜30に対して層間絶縁膜85によって絶縁されている。金属膜30は、アンテナとして機能する配線83の直下に配置され、接地されている。これにより、配線83のアンテナ利得を向上させることができる。第7実施形態のその他の構成は、第1~第6実施形態のいずれかと同じでよい。尚、金属膜30Aは、ガラス基板10の第1面10Aには設けられているが、フレーム20の第3面20Aには設けられていない。
【0062】
【0063】
配線83は、
図10に示すように、2本の線状の導体からなるダイポールアンテナであってもよい。ダイポールアンテナの放射素子を構成する配線83Aは、フレーム20の第3面20A上に設けられている。金属膜30は、接地され反射素子として機能する。
【0064】
また、配線83は、
図11Aおよび
図11Bに示すように、八木宇田アンテナであってもよい。放射素子の配線83Aは、フレーム20の第3面20A上に設けられている。金属膜30は、接地され反射素子として機能する。
図12Aおよび
図12Bに示すように、金属膜30が、八木宇田アンテナを構成していてもよい。
【0065】
(第8実施形態)
図13は、第8実施形態による半導体装置の構成例を示す概略平面図である。第8実施形態では、金属膜30および放射素子160がアンテナを構成している。放射素子160は、フレーム20の第3面20A上に設けられた導体であり、図示しない配線83から給電される。金属膜30が被覆されているガラス基板10の側面10Cは、放射素子160を中心に曲面を有する。側面10Cを被覆する金属膜30は反射素子として機能する。側面10Cの曲面によって、アンテナの指向性および利得を調整することができる。尚、
図13では、金属膜30とフレーム20との間の絶縁膜90の図示を省略している。
【0066】
(第9実施形態)
図14は、第9実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第9実施形態では、金属膜30がフレーム20の外側面20Dにも設けられている。外側面20D上の金属膜30を金属膜30Cとする。外側面20D上の金属膜30Cには、スリットSLTが設けられており、金属膜30Cは、スロットアンテナとして機能する。
【0067】
図15Aおよび
図15Bは、金属膜30CのスリットSLTの一例を示す側面図である。金属膜30CのスリットSLTは、
図15Aに示すように、1本の細長スリットであってもよい。また、金属膜30CのスリットSLTは、
図15Bに示すように、複数本の細長スリットを略平行に配置したものであってもよい。
【0068】
このようなスリットSLTは、金属膜30Cを外側面20Dの全面にメッキした後、レーザ光照射またはエッチング技術を用いてスリットSLT部分の金属膜30Cをパターニングすればよい。あるいは、MID(Molded Interconnect Device)等を用いて、スリットSLT以外の外側面20Dの表面領域をレーザ光で活性化させて、その表面領域に金属膜30Cを形成してもよい。
このように、アンテナとして機能する金属膜30Cをフレーム20の外側面20Dに設けてもよい。これにより、半導体装置の近傍にある電子機器(図示せず)と無線通信が容易になる。
【0069】
(第10実施形態)
図16は、第10実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第10実施形態では、金属膜170、171がフレーム20の外側面20Dおよびフレーム20内に設けられている。金属膜170、171は、配線83、84または金属膜30に電気的に接続され、アンテナとして機能する。あるいは、金属膜170、171は、
図11Aまたは
図12Aに示す八木宇田アンテナの導波素子83Cまたは30Cとして用いてもよい。さらに、金属膜170にスリットSLTを設けて、スロットアンテナとして用いてもよい。
【0070】
(第11実施形態)
図17Aは、第11実施形態による半導体装置の構成例を示す概略断面図である。第11実施形態では、金属膜180がフレーム20内に内蔵され、フレーム20の外側面20Dから露出されている。金属膜180は、外側面20Dと面一でよい。金属膜180は、金属膜30と接続されている。金属膜180は、金属膜30と同一材料でよい。
【0071】
図17Bは、第11実施形態による半導体装置のフレーム20の外側面20Dから見た側面図である。金属膜180は、
図17Bに示すように、ダイポールアンテナの放射素子を構成する。金属膜180の平面レイアウトは、
図10Aに示す配線83Aの平面レイアウトと同じでよい。
【0072】
以上のアンテナの構成は、給電型アンテナでもよく、無給電型アンテナでもよい。また、以上のアンテナは、第1~第6実施形態のいずれかの実施形態に組み合わせてもよい。これにより、第1~第6実施形態は、上記アンテナの効果も得ることができる。
【0073】
(第3実施形態の製造方法)
次に、第3実施形態による半導体装置の製造方法について説明する。
【0074】
図18~
図22は、第3実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。まず、
図18に示すように、支持基板400上にフレーム20、ガラス基板10および金属板120を載置する。ガラス基板10には、必要に応じて、開口部11が形成されており、かつ、金属膜30、61、65がメッキ処理等で形成されている。次に、金属板120上の半導体チップ40が設けられる位置に、ダミー部材410が一旦、配置される。
【0075】
次に、
図19に示すように、絶縁膜62、66、90が、ガラス基板10の金属膜61の内側、ガラス基板10と金属板120との間の隙間、ガラス基板10とフレーム20との隙間等に埋め込まれる。絶縁膜62、66、90は、例えば、エポキシ樹脂等であり、ガラス基板10、金属板120、フレーム20を互いに接着する。
【0076】
次に、金属膜30A、30Bをガラス基板10およびフレーム20にメッキ処理等で形成する。次に、
図20に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて金属膜30、61、65のパターニングを行う。あるいは、金属膜30A、30Bのメッキ処理は、マスク等を用いた部分メッキ処理でもよい。尚、支持基板400は、金属膜30、61、65のパターニングの前または後で、ガラス基板10から取り外す。
【0077】
次に、
図21に示すように、ガラス基板10の第1面10A側と第2面10B側とに積層配線部81、82を形成する。配線83、84は、層間絶縁膜85、86によって絶縁された多層配線として構成してもよい。
【0078】
次に、
図22に示すように、孔150を形成し、ダミー部材410を取り除き、半導体チップ40を金属板120上に接着する。これにより、ダミー部材410を半導体チップ40に置換する。半導体チップ40には、カバーガラス130がリブ140によって予め取り付けられている。その後、ボンディングワイヤ50が半導体チップ40のボンディングパッド41と積層配線部81のボンディングパッド51との間に接続される。さらに、保護樹脂42がボンディングワイヤ50を被覆するように形成される。これにより、
図5に示す構造が得られる。
【0079】
その後、組み立て工程を経ることによって、
図6に示すようなCMOSイメージセンサモジュールを形成することができる。
【0080】
(CMOSイメージセンサモジュールの変形例)
図23~
図30は、第4実施形態による半導体装置の変形例を示す該略断面図である。
図23~
図30は、それぞれCMOSイメージセンサモジュールでよい。破線枠で示す半導体装置1は、上記実施形態のいずれかの半導体装置でよい。
【0081】
(変形例1)
図23に示すモジュールでは、マザーボード231が金属板120および半導体チップ40に対応する領域に開口部270を有する。マザーボード231の裏面および開口部270の内部には、金属板121が設けられている。金属板121は、開口部270を介して半導体装置1に接着層122で接着されている。金属板121には、金属板120と同様に、例えば、銅等の高熱伝導性材料が用いられる。接着層122には、例えば、放熱グリース、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0082】
マザーボード231は、ランドグリッドアレイ123によって半導体装置1の電極パッド72と接続されている。図示しないが、マザーボード231は、半導体装置1のアンテナによって無線通信してもよい。
【0083】
ネジ220は、金属板121、マザーボード231、半導体装置1のフレーム20を貫通して筐体200に達している。これにより、金属板121、マザーボード231、半導体装置1および筐体200が一体のCMOSイメージセンサモジュールとして相対的に固定される。
【0084】
このようなCMOSイメージセンサモジュールは、例えば、カメラに組み込むことができる。この場合、金属板121は、カメラの筐体(図示せず)に物理的に接続され、放熱性能を向上させることができる。
【0085】
(変形例2)
図24に示すモジュールでは、ネジ220が、半導体装置1を貫通することなく、金属板121、マザーボード231を貫通して筐体200に達している。これにより、金属板121、マザーボード231および筐体200が相対的に固定される。半導体装置1は、ネジ220によっては固定されていないが、接着層122あるいはランドグリッドアレイ123によって、金属板121およびマザーボード231に固定されている。これにより、金属板121、マザーボード231、半導体装置1および筐体200が一体のCMOSイメージセンサモジュールとして相対的に固定される。変形例2のその他の構成は、変形例1の対応する構成と同様でよい。従って、変形例2は、変形例1と同様の効果を得ることができる。
【0086】
(変形例3)
図25に示すモジュールでは、ネジ220が、金属板121、マザーボード231を貫通することなく、半導体装置1を貫通して筐体200に達している。これにより、半導体装置1および筐体200が相対的に固定される。金属板121およびマザーボード231は、ネジ220によっては固定されていないが、接着層122あるいはランドグリッドアレイ123によって、半導体装置1に固定されている。これにより、金属板121、マザーボード231、半導体装置1および筐体200が一体のCMOSイメージセンサモジュールとして相対的に固定される。変形例3のその他の構成は、変形例1の対応する構成と同様でよい。従って、変形例3は、変形例1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(変形例4)
図26に示すモジュールでは、金属板121が半導体装置1に接着層122で接着されるとともに、ネジ220で直接締結されている。これにより、金属板121、半導体装置1および筐体200が相対的に固定される。
【0088】
また、マザーボード231は、金属板121の下に設けられており、ピンソケット232を備えている。半導体装置1は、積層配線部82と電気的に接続されたピングリッドアレイ124を備える。半導体装置1のピングリッドアレイ124をマザーボード231のピンソケット232に差し込むことによって、半導体装置1は、マザーボード231と電気的に接続されるとともに、マザーボード231に固定される。
【0089】
これにより、金属板121、マザーボード231、半導体装置1および筐体200が一体のCMOSイメージセンサモジュールとして相対的に固定される。変形例4のその他の構成は、変形例1の対応する構成と同様でよい。従って、変形例4は、変形例1と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(変形例5)
図27に示すモジュールでは、金属板121が半導体装置1に接着層122で接着されるとともに、ネジ220で直接締結されている。これにより、金属板121、半導体装置1および筐体200が相対的に固定される。
【0091】
また、マザーボード231は、金属板121の下に設けられており、フレキシブルコネクタ234を備えている。半導体装置1は、積層配線部82と一体に構成されたフレキシブル構造125を備える。フレキシブルコネクタ234およびフレキシブル構造125には、例えば、銅等の低抵抗金属材料が用いられる。これにより、フレキシブルコネクタ234およびフレキシブル構造125は、マザーボード231と半導体装置1との間の配線として用いることができる。
【0092】
また、半導体装置1は、フレキシブルコネクタ234およびフレキシブル構造125によって、マザーボード231に弾力的に接続される。これにより、金属板121、マザーボード231、半導体装置1および筐体200は一体のCMOSイメージセンサモジュールとして構成されるが、半導体装置1は、マザーボード231に対して相対的に或る程度移動することができる。変形例5のその他の構成は、変形例1の対応する構成と同様でよい。従って、変形例5は、変形例1と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(変形例6)
図28に示す半導体装置1は、金属板121と配線84との間に設けられた金属層88を備えている。金属層88は、配線84に接続されている。金属層88は、所定の電位(例えば、接地電位)に固定されている。金属層88には、例えば、ニッケル、銅等の高熱伝導性の導電性材料が用いられる。金属層88は、金属板120と金属板121との間の熱伝導性を向上させることができる。金属層88は、配線84を介して金属板120と電気的に接続され、金属板120を所定の電位(例えば、接地電位)に固定させることができる。また、金属層88は、積層配線部82の機械的強度を向上させ、かつ、外部からのノイズから半導体装置1を保護する電磁シールド効果も有する。
【0094】
金属層88は、変形例1~変形例5のいずれに適用してもよい。従って、変形例6は、変形例1~変形例5のいずれかと同様の効果を得ることができる。
【0095】
(変形例7)
図29は、同一の金属板120上に複数の半導体チップ40、44を搭載したマルチチップモジュールの構成例を示す概略断面図である。変形例6では、金属板120は、複数の半導体チップ40、44の共通の放熱板として機能する。従って、複数の半導体チップ40、44は、同一の開口部11内に設けられている。半導体チップ40、44は特に限定しないが、半導体チップ40は、例えば、Time-of-Flight受発光デバイス(即ち、フォトダイオードセンサ)である。半導体チップ44は、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)でよい。半導体チップ40と半導体チップ44との間には、ダミー部材410が残置されていてもよい。変形例6のその他の構成は、
図5に示す第3実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0096】
(変形例8)
図30は、別々の金属板120、126上に半導体チップ40および半導体チップ44をそれぞれ搭載したマルチチップモジュールの構成例を示す概略断面図である。変形例7では、金属板120は、半導体チップ40の放熱板として機能し、金属板126は、半導体チップ44の放熱板として機能する。従って、複数の半導体チップ40、44は、別々の開口部11、12内にそれぞれ設けられている。変形例6のその他の構成は、
図5に示す第3実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0097】
<15.本技術を適用した撮像装置の使用例>
図31は、本技術に係る実施形態をCMOSイメージセンサとして使用した例を示す図である。
【0098】
上記実施形態の撮像装置は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングするさまざまなケースに使用することができる。すなわち、
図31に示すように、例えば、鑑賞の用に供される画像を撮影する鑑賞の分野、交通の分野、家電の分野、医療・ヘルスケアの分野、セキュリティの分野、美容の分野、スポーツの分野、農業の分野等において用いられる装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0099】
具体的には、鑑賞の分野においては、例えば、デジタルカメラやスマートフォン、カメラ機能付きの携帯電話機等の、鑑賞の用に供される画像を撮影するための装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0100】
交通の分野においては、例えば、自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0101】
家電の分野においては、例えば、ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、テレビ受像機や冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置で、上記実施形態を使用することができる。
【0102】
医療・ヘルスケアの分野においては、例えば、内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0103】
セキュリティの分野においては、例えば、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0104】
美容の分野においては、例えば、肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0105】
スポーツの分野において、例えば、スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラプルカメラ等の、スポーツの用に供される装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0106】
農業の分野においては、例えば、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置に、上記実施形態を使用することができる。
【0107】
本技術は、その他の様々な製品へ応用することができる。
【0108】
本技術に係る実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0109】
また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0110】
また、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
(1)
第1面、該第1面の反対側にある第2面、および、前記第1面と前記第2面との間にある第1側面を含むガラス基板と、
前記第1および第2面上に設けられた配線と、
前記第1側面を被覆する金属膜と、
前記金属膜よりも外側に設けられ、前記第1側面において前記金属膜に接着されたフレームとを備えた、半導体装置。
(2)
前記金属膜は、前記配線と同一材料で構成されている、(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記金属膜は、前記第1および第2面側において、前記ガラス基板から前記フレームに亘って前記ガラス基板と前記フレームの両方に設けられている、(1)または(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記フレームは、前記第1面側にある第3面、前記第2面側にある第4面、並びに、前記第3面と前記第4面との間にあり前記第1側面と対向する第2側面を含み、
前記金属膜は、前記ガラス基板と前記フレームとの境界部において、前記第1面から前記第3面に亘って設けられ、かつ、前記第2面から前記第4面に亘って設けられている、(1)から(3)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(5)
前記第1面と前記第3面との段差および前記第2面と前記第4面との段差は、それぞれ前記金属膜の厚みより小さい、(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記フレームは、前記第3面と前記第4面との間を貫通する孔を有する、(4)または(5)に記載の半導体装置。
(7)
前記孔の内壁に金属材料が被覆され、前記配線または前記金属膜と電気的に接続される、(6)に記載の半導体装置。
(8)
前記孔内にはネジが設けられ、該ネジが前記フレームと筐体とを締結している、(6)に記載の半導体装置。
(9)
前記金属膜は、無線通信のためのアンテナとして用いられる、(1)から(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(10)
前記配線は、無線通信のためのアンテナとして用いられ、
前記金属膜は、グランドとして用いられる、(1)から(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(11)
前記金属膜は、前記フレームの外側面に設けられ、無線通信のためのアンテナとして用いられる、(1)から(10)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(12)
前記フレームの外側面に設けられた前記金属膜は、1本または複数本のスリットを有するスロットアンテナとして用いられる、(1)1に記載の半導体装置。
(13)
前記ガラス基板の前記第1面上には半導体チップが搭載されている、(1)から(12)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(14)
前記ガラス基板は、前記第1面から前記第2面まで貫通する開口部を有し、
前記開口部内には金属板と前記金属板上に設けられた半導体チップとが設けられる、(1)から(13)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(15)
前記金属板は放熱板であり、
前記半導体チップは、イメージセンサチップである、(14)に記載の半導体装置。
(16)
前記フレームは、前記第1面側にある第3面、前記第2面側にある第4面を含み、前記第3面と前記第4面との間を貫通する孔を有し、
前記孔内に設けられたネジが前記フレームと筐体とを締結し、
前記筐体には光学レンズが設けられており、前記イメージセンサチップへ光を集光させる、(15)に記載の半導体装置。
尚、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 ガラス基板、11 開口部、20 フレーム、30 金属膜、40 半導体チップ、50 ボンディングワイヤ、81,82 積層配線部、90 絶縁膜