(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像生成装置及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20241111BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20241111BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2022517577
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2021014403
(87)【国際公開番号】W WO2021220722
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020078252
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020088277
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 幸平
(72)【発明者】
【氏名】中山 遥介
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-065907(JP,A)
【文献】特開2018-083593(JP,A)
【文献】特開2012-058690(JP,A)
【文献】特開2015-059966(JP,A)
【文献】特開2014-235268(JP,A)
【文献】国際公開第2017/131185(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0075665(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23 - 35/235
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイ用の画像を生成する画像生成装置であって、
少なくとも一つの光源と、
前記少なくとも一つの光源が搭載される基板と、
前記少なくとも一つの光源から出射された光を透過させるレンズと、
前記レンズを透過した光により前記画像を生成するための光を形成する表示デバイスと、を備え、
前記レンズは、前記少なくとも一つの光源からの前記光が入射する入射面と前記入射面に連続して設けられる鍔部とを有する入射部と、前記光が出射する出射面と、前記入射部と前記出射面とを接続する部分であって
、前記入射部の外周の少なくとも一部から前記出射面に向けて直線的に立ち上がっており、前記出射面から前記入射部に向かうにつれて前記レンズの中心から外側に広がる形状を有する立壁面と、を有し、
前記表示デバイスの周囲の少なくとも一部には、前記立壁面により内面反射された前記光を遮光する遮光部が設けられて
おり、
前記レンズと前記表示デバイスは、前記光源の光軸に沿って配置されている、画像生成装置。
【請求項2】
前記レンズの中心線に対する前記立壁面の傾斜角度は、5度以上である、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記傾斜角度は、15度以上である、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記表示デバイスを保持するハウジングをさらに備え、
前記ハウジングが前記遮光部を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記立壁面は、前記入射部の外周の一部のみから立ち上がっている、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記入射面及び前記出射面のいずれも凸面である、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の画像生成装置と、
前記画像生成装置により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる少なくとも一つの反射部と、を備えている、ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像生成装置及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の自動運転社会では、車両と人間との間の視覚的コミュニケーションが益々重要になっていくことが予想される。例えば、車両と当該車両の乗員との間の視覚的コミュニケーションが益々重要になっていくことが予想される。この点において、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いて車両と乗員との間の視覚的コミュニケーションを実現することができる。ヘッドアップディスプレイは、ウインドシールドやコンバイナに画像や映像を投影させ、その画像をウインドシールドやコンバイナを通して現実空間と重畳させて乗員に視認させることで、いわゆるAR(Augmented Reality)を実現することができる。
【0003】
特許文献1には、ヘッドアップディスプレイとしての液晶表示装置の透過照明に用いられる照明装置が開示されている。当該照明装置は、複数の光源と、偏光変換素子とを備えている。偏光変換素子は、光を透過する光透過部材と、この光透過部材に入射した光のうちのp偏光を透過するとともにs偏光を反射する偏光分離膜と、この偏光分離膜を透過したp偏光を反射する反射部とを含む。
【0004】
特許文献2には、液晶表示装置により光を透過あるいは遮光することにより、虚像を表示可能な領域内において所定の虚像が表示されるヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2018-4673号公報
【文献】日本国特開2019-207263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のような照明装置においてグレアの発生防止には改善の余地がある。
【0007】
また、液晶表示装置から漏れた光によって、虚像表示可能領域内における虚像以外の領域が薄く光るように視認される場合がある。特に車両周囲の外光が弱い場合、虚像表示可能領域の輝度が周囲の輝度よりも高くなり、虚像表示可能領域の輪郭が目立つことにより、車両の乗員に違和感を与え、乗員の注意が反れるおそれがあった。
【0008】
本開示は、グレアの発生を防止可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することを目的の一つとする。
【0009】
本開示は、虚像表示可能領域の輪郭を目立たなくさせることが可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面に係る画像生成装置は、
ヘッドアップディスプレイ用の画像を生成する画像生成装置であって、
少なくとも一つの光源と、
前記少なくとも一つの光源が搭載される基板と、
前記少なくとも一つの光源から出射された光を透過させるレンズと、
前記レンズを透過した光により前記画像を生成するための光を形成する表示デバイスと、を備え、
前記レンズは、前記少なくとも一つの光源からの前記光が入射する入射面と前記入射面に連続して設けられる鍔部とを有する入射部と、前記光が出射する出射面と、前記入射部と前記出射面とを接続する部分であって前記出射面から前記入射部に向かうにつれて前記レンズの中心から外側に広がる形状を有する立壁面と、を有し、
前記表示デバイスの周囲の少なくとも一部には、前記立壁面により内面反射された前記光を遮光する遮光部が設けられている。
【0011】
上記構成の画像生成装置によれば、光源から出射されて立壁面で内面反射された光は遮光部により遮光されるため表示デバイスに入射することがない。これにより、立壁面で反射した光が迷光となることに起因するグレアを抑制することができる。
【0012】
本開示の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
上記画像生成装置と、
前記画像生成装置により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる少なくとも一つの反射部と、
を備えている。
【0013】
上記構成のヘッドアップディスプレイによれば、グレアの発生を防止することができる。
【0014】
本開示の一側面に係る画像生成装置は、
ヘッドアップディスプレイ用の画像を生成する画像生成装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光を透過させるレンズと、
前記レンズを透過した光により前記画像を生成するための光を形成する液晶デバイスと、を備え、
前記レンズは、前記光源からの光が入射する入射面と、前記レンズを透過した光が出射する出射面とを有しており、前記入射面および前記出射面の少なくとも一方の外周部における少なくとも一部の領域に光拡散加工が施されている。
【0015】
上記の画像生成装置によれば、レンズに施された光拡散加工により、液晶デバイスにおける画像を形成可能な領域の外周部に到達する光を減少させることができる。これにより、ヘッドアップディスプレイにより表示されうる虚像表示可能領域内において虚像以外の領域が薄く光る場合でも、虚像表示可能領域の外周部の輝度が低いので、虚像表示可能領域の輪郭を目立たなくさせることができる。なお、虚像表示可能領域または画像形成可能領域の「外周部」とは、当該領域の外の部分ではなく、当該領域の一部であり領域の境界付近の部分を意味する。
【0016】
本開示の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
上記画像生成装置と、
前記画像生成装置により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる少なくとも一つの反射部と、を備えている。
【0017】
上記のヘッドアップディスプレイによれば、ヘッドアップディスプレイにより表示されうる虚像表示可能領域内において虚像以外の領域が薄く光る場合でも、虚像表示可能領域の外周部の輝度が低いので、虚像表示可能領域の輪郭を目立たなくさせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、グレアの発生を防止可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0019】
本開示によれば、虚像表示可能領域の輪郭を目立たなくさせることが可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)を備えた車両システムのブロック図である。
【
図3】第一実施形態に係る画像生成装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図3の画像生成装置のレンズホルダを示す斜視図である。
【
図7】遮光部が設けられていない状態での画像生成装置の断面図である。
【
図8】第二実施形態に係る画像生成装置の構成を示す断面図である。
【
図9】
図8に示す画像生成装置のレンズを示す斜視図である。
【
図10】第三実施形態に係る画像生成装置の構成を示す断面図である。
【
図11】
図10に示す画像生成装置のレンズを示す斜視図である。
【
図12】第四実施形態に係る画像生成装置の構成を示す断面図である。
【
図13】
図12に示す画像生成装置のレンズホルダを示す斜視図である。
【
図15】第五実施形態に係る画像生成装置の構成を示す左右方向断面模式図である。
【
図16】画像生成装置の構成を示す前後方向断面模式図である。
【
図17】車両の乗員の視野領域の一例を示す図である。
【
図18】画像生成装置のレンズを液晶デバイス側から見たレンズの平面図である。
【
図19】光源から出射された光の進行する方向を説明する図である。
【
図20】光源から出射された光の進行する方向を説明する図である。
【
図21】第六実施形態に係る画像生成装置の構成を示す左右方向断面模式図である。
【
図22】画像生成装置の構成を示す前後方向断面模式図である。
【
図23】画像生成装置のレンズを光源側から見たレンズの背面図である。
【
図24】第七実施形態に係る画像生成装置の構成を示す左右方向断面模式図である。
【
図25】第八実施形態に係る画像生成装置の構成を示す左右方向断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0022】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、
図2に示すHUD(Head-Up Display)20について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。左右方向は、
図2では示されていないが、上下方向および前後方向に直交する方向である。
【0023】
図1を参照して、本実施形態に係るHUD20を備える車両システム2について以下に説明する。
図1は、車両システム2のブロック図である。当該車両システム2が搭載された車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
【0024】
図1に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。また、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。さらに、車両システム2は、HUD20を備える。
【0025】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子および抵抗等のパッシブ素子から構成される電子回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、およびTPU(Tensor Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有りまたは教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両1の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
【0026】
センサ5は、加速度センサ、速度センサおよびジャイロセンサのうち少なくとも一つを含む。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサおよび車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。
【0027】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、一以上の外部カメラ6Aと、内部カメラ6Bとを含む。
外部カメラ6Aは、車両1の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を取得する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物(歩行者、他車両、標識等)に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。外部カメラ6Aは、単眼カメラとして構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。
【0028】
内部カメラ6Bは、車両1の内部に配置されると共に、乗員を示す画像データを取得するように構成されている。内部カメラ6Bは、例えば、乗員の視点E(
図2で後述する)をトラッキングするアイトラッキングカメラとして機能する。内部カメラ6Bは、例えば、ルームミラーの近傍、あるいはインストルメントパネルの内部等に設けられている。
【0029】
レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、およびレーザーレーダ(例えば、LiDARユニット)のうちの少なくとも一つを含む。例えば、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて、周辺環境情報を特定する。
【0030】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイ(HUDを除く)である。
【0031】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0032】
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備または携帯型電子機器との間をアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。さらに、車両1は、図示しない通信ネットワークを介して他車両、インフラ設備または携帯型電子機器と通信してもよい。通信ネットワークは、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)および無線アクセスネットワーク(RAN)のうちの少なくとも一つを含む。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LPWA、DSRC(登録商標)又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備または携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
【0033】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2次元または3次元の地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3次元の地図情報は、3Dマッピングデータ(点群データ)によって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10と通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0034】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、車両1の走行を自動的に制御する。つまり、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0035】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダルおよびステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0036】
上述の通り、運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、例えば、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0037】
HUD20は、所定の情報(以下、HUD情報という。)が車両1の外部の現実空間(特に、車両1の前方の周辺環境)と重畳されるように、当該HUD情報を車両1の乗員に向けて画像として表示するように構成されている。HUD20によって表示されるHUD情報は、例えば、車両1の走行に関連した車両走行情報及び/又は車両1の周辺環境に関連した周辺環境情報(特に、車両1の外部に存在する対象物に関連した情報)等である。HUD20は、車両1と乗員との間の視覚的インターフェースとして機能するARディスプレイである。
【0038】
HUD20は、画像生成装置(PGU)24と、制御部25とを備える。
画像生成装置24は、車両1の乗員に向けて表示される所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。画像生成装置24は、例えば、車両1の状況に応じて変化する変化画像を生成するための光を出射可能である。
【0039】
制御部25は、HUD20の各部の動作を制御する。制御部25は、車両制御部3に接続されており、例えば、車両制御部3から送信される車両走行情報や周辺環境情報等に基づいて、画像生成装置24の動作を制御するための制御信号を生成し、生成された制御信号を画像生成装置24に送信する。制御部25は、CPU等のプロセッサとメモリが搭載され、メモリから読みだしたコンピュータプログラムをプロセッサが実行して、画像生成装置24等の動作を制御する。なお、本実施形態では、車両制御部3と制御部25とは別個の構成として設けられているが、車両制御部3と制御部25は一体的に構成されてもよい。例えば、車両制御部3と制御部25は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
【0040】
図2は、HUD20を車両1の側面側から見た模式図である。HUD20は、少なくともHUD20の一部が車両1の内部に位置する。具体的には、HUD20は、車両1の室内の所定箇所に設置されている。例えば、HUD20は、車両1のダッシュボード内に配置されてもよい。
【0041】
図2に示すように、HUD20は、HUD本体部21を備える。HUD本体部21は、本体ハウジング22と、出射窓23とを有する。出射窓23は可視光を透過させる透明板で構成されている。HUD本体部21は、本体ハウジング22の内部に、画像生成装置24と、凹面鏡26(反射部の一例)と、平面鏡28と、を有する。なお、
図2においては、HUD20の制御部25は画像生成装置24内に収容されているが、
図14に示すように、制御部25は、画像生成装置24の外に配置されてもよい。
【0042】
画像生成装置24は、本体ハウジング22内において、光を上方に出射するように設置されている。平面鏡28は、画像生成装置24から出射される光の光路上に配置されている。具体的には、平面鏡28は、画像生成装置24の上方に配置され、画像生成装置24から出射された光を凹面鏡26に向けて反射するように構成されている。
【0043】
凹面鏡26は、画像生成装置24から出射されて平面鏡28により反射された光の光路上に配置されている。具体的には、凹面鏡26は、本体ハウジング22内において、画像生成装置24及び平面鏡28の前側に配置されている。凹面鏡26は、画像生成装置24から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射するように構成されている。凹面鏡26は、所定の画像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成装置24から出射され結像された光の像を所定の倍率で反射させる。凹面鏡26は、例えば駆動機構27を有し、制御部25から送信される制御信号に基づいて凹面鏡26の位置及び向きを変化させることができるように構成されていてもよい。
【0044】
画像生成装置24から出射された光は、平面鏡28及び凹面鏡26で反射されてHUD本体部21の出射窓23から出射される。HUD本体部21の出射窓23から出射された光は、ウインドシールド18に照射される。出射窓23からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成される虚像(所定の画像)として認識する。このように、HUD20によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、所定の画像により形成される虚像オブジェクトIが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0045】
ここで、乗員の視点Eは、乗員の左目の視点又は右目の視点のいずれかであってもよい。または、視点Eは、左目の視点と右目の視点を結んだ線分の中点として規定されてもよい。乗員の視点Eの位置は、例えば、内部カメラ6Bによって取得された画像データに基づいて特定される。乗員の視点Eの位置は、所定の周期で更新されてもよいし、車両1の起動時に一回だけ決定されてもよい。
【0046】
なお、虚像オブジェクトIとして2D画像(平面画像)を形成する場合には、所定の画像を任意に定めた単一距離の虚像となるように投影する。虚像オブジェクトIとして3D画像(立体画像)を形成する場合には、互いに同一または互いに異なる複数の所定の画像をそれぞれ異なる距離の虚像となるように投影する。また、虚像オブジェクトIの距離(乗員の視点Eから虚像までの距離)は、画像生成装置24から乗員の視点Eまでの距離を調整する(例えば画像生成装置24と凹面鏡26との間の距離を調整する)ことによって適宜調整可能である。
【0047】
(第一実施形態)
図3から
図7を参照して、第一実施形態に係る画像生成装置24Aについて説明する。
図3は、画像生成装置24Aの斜視図である。
図4は、
図3のIV-IV線断面図である。
【0048】
図3及び
図4に示すように、画像生成装置24Aは、光源111(第一光源111A,第二光源111B)が搭載された光源基板110と、光源111の上側に配置されるレンズ120と、レンズ120の上側に配置される表示デバイス130とを備える。画像生成装置24Aは、さらに、光源基板110の上側に配置されるレンズホルダ140と、光源基板110の下側に配置されるヒートシンク150と、画像生成装置24Aが備える各部を収容するPGUハウジング160と、を備える。光源基板110、レンズ120、レンズホルダ140、及びヒートシンク150は、例えばネジ161によってPGUハウジング160にネジ止めされている。また、表示デバイス130は、PGUハウジング160の上面部に取り付けられている。
【0049】
光源111(第一光源111A,第二光源111B)は、例えば、レーザ光源またはLED光源である。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑光レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。第一光源111Aと第二光源111Bとは、光源基板110上において、左右方向に一定の距離だけ離隔して配置されている。光源基板110は、例えば、電気回路の配線が板の表面や内部にプリントされた絶縁体からなるプリント基板である。
【0050】
レンズ120は、例えば、光源111からの光が入射される入射面122及び当該入射した光が出射される出射面123のいずれも凸面状に形成された非球面凸レンズである。レンズ120は、光源111から出射された光を透過または反射して表示デバイス130に向けて出射するように構成されている。
【0051】
第一実施形態におけるレンズ120は、第一光源111Aから出射された第一光を透過する第一領域121Aと、第二光源111Bから出射された第二光を透過する第二領域121Bとを有する。第一光源111Aと第二光源111Bとは左右方向に並列配置されている。第一領域121Aは、第一光源111Aに対応した非球面凸レンズである。第二領域121Bは、第二光源111Bに対応した非球面凸レンズである。第一領域121Aの入射面122A及び第二領域121Bの入射面122Bは、下方にやや膨らんだ凸状の入射面である。第一領域121Aの出射面123A及び第二領域121Bの出射面123Bは、上方に膨らんだ凸状の出射面である。左側に配置される第一領域121Aにおける右側の一部分と、右側に配置される第二領域121Bにおける左側の一部分とが結合されている。レンズ120は、第一光源111Aの発光面中心が第一領域121Aの焦点位置となるとともに第二光源111Bの発光面中心が第二領域121Bの焦点位置となるように、レンズホルダ140に取り付けられている。
【0052】
表示デバイス130は、液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)等である。表示デバイス130は、レンズ120を透過した光源111の光により所定の画像を生成するための光を形成する。表示デバイス130は、画像を生成する光を出射するための光出射面を画像生成装置24Aの上方へ向けた状態でPGUハウジング160の上面部に取り付けられている。表示デバイス130は、例えば、PGUハウジング160の上面側からPGUハウジング160に取り付けられる。画像生成装置24Aの描画方式は、ラスタースキャン方式、DLP方式またはLCOS方式であってもよい。DLP方式またはLCOS方式が採用される場合、画像生成装置24Aの光源111はLED光源であってもよい。なお、液晶ディスプレイ方式が採用される場合、画像生成装置24Aの光源111は白色LED光源であってもよい。
【0053】
レンズホルダ140は、光源111から出射された光がレンズ120の入射面122に対して正しく入射されるようにレンズ120をPGUハウジング160内に保持する。レンズホルダ140の詳しい構成については
図5を参照して後述する。
【0054】
ヒートシンク150は、熱伝導性の高いアルミや銅などで形成されている。ヒートシンク150は、光源基板110から発生する熱を放熱するために、光源基板110の裏面に接触するように設けられている。
【0055】
図5は、レンズホルダ140をレンズ120側から見た斜視図である。
図5に示すように、レンズホルダ140は、ネジ161の取付孔142が形成された一対の取付部141と、一対の取付部141同士の間に設けられた枠部143とを有する。枠部143には、光源111から出射された光を遮光可能な遮光部144が設けられている。遮光部144は、レンズホルダ140の左右方向における中央部に、レンズホルダ140の前後方向に沿って前枠部143Aと後枠部143Bとの間をつなぐように設けられている。遮光部144は、レンズホルダ140と一体的に形成されている。
【0056】
遮光部144は、断面視において矩形状を有している(
図4参照)。遮光部144は、第一光源111A及び第二光源111Bとレンズ120との間に形成される空間170内において、第一光源111Aと第二光源111Bとの間に配置されるように設けられている。遮光部144は、第一光源111Aから出射された第一光がレンズ120の第二領域121Bを透過することを防ぐことが可能であるとともに、第二光源111Bから出射された第二光がレンズ120の第一領域121Aを透過することを防ぐことが可能である。遮光部144は、各光源111A,111Bから照射された光を反射させずに吸収可能とすべく、例えば、表面が黒く塗装されていることが好ましい。
【0057】
図6は、
図3のVI-VI線断面図である。
図6は、レンズ120における第一領域121Aの前後方向および上下方向に沿った断面図を示している。なお、レンズ120の第二領域121Bの断面図も
図6に示す第一領域121Aの断面図と同様の構成を有するため、詳細な説明や図示は省略する。
図6に示すように、レンズ120の第一領域121Aは、入射面122Aと、入射面122Aの外周において入射面122Aと連続するように設けられる鍔部126Aとから構成される入射部127Aを備えている。鍔部126Aの外側面126A1は、レンズホルダ140の内側面145と接している。
【0058】
第一領域121Aは、入射部127Aと出射面123Aとを接続する立壁面124Aをさらに備えている。第一実施形態のレンズ120の例では、レンズ120の上側外周と下側外周とに立壁面124Aがそれぞれ形成されている。立壁面124Aは、出射面123Aから入射部127Aに向かうにつれてレンズ120の中心から外側に広がる形状となるよう形成されている。換言すると、立壁面124Aは、第一光源111Aが搭載されている光源基板110の面に直交する方向VD(レンズの中心線に沿った方向)に対して傾斜して形成されている。立壁面124Aの傾斜角度θは、5度以上となるように、好ましくは15度以上となるように設定されている。傾斜角度θが5度よりも小さい場合にはレンズ120を金型成形した場合にレンズ120を金型から抜きにくくなってしまう。
【0059】
表示デバイス130の周囲の少なくとも一部には、第一光源111Aから出射されて立壁面124Aにより内面反射された光を遮光する遮光部165が設けられている。第一実施形態では、表示デバイス130を保持するPGUハウジング160の一部が遮光部165として機能する。PGUハウジング160は、第一光源111Aから出射された光を遮光可能なように、例えば、黒色の樹脂で形成されている。第一光源111Aから出射された光は、例えば、光路112に示すように、レンズ120の入射面122Aからレンズ120内に入射した後に立壁面124Aで反射する。立壁面124Aで反射した光は、出射面123Aから出射した後に、表示デバイス130に入射することなくPGUハウジング160の遮光部165に向かって照射される。
【0060】
図7は、レンズホルダ140に遮光部144が設けられていない画像生成装置24Zにおいて、第一光源111A及び第二光源111Bから出射された光の光路を示す図である。
第一光源111A及び第二光源111Bから出射された光は、レンズ120の入射面122A,122Bに入射する。レンズ120の形状は、上述した画像生成装置24Aと同様に2個の非球面凸レンズを並列結合させた形状であるため、第一光源111Aから出射された光の多くは、例えば第一光路112Aに示すように、レンズ120の第一領域121Aに入射し、光軸115Aに平行な光となって表示デバイス130に入射する。同様に第二光源111Bから出射された光の多くは、例えば第二光路112Bに示すように、第二領域121Bに入射し、光軸115Bに平行な光となって表示デバイス130に入射する。
【0061】
ところが、画像生成装置24Zにおいては遮光部144が設けられていないため、第一光源111Aから出射された光の一部は、例えば第三光路112Cに示すように入射面122Bから第二領域121Bに入射する。第一光源111Aから入射面122Bに入射した光は、第三光路112Cで示されるように、光軸115Aの方向とは異なる方向へ進行して表示デバイス130に入射する。図示は省略するが、同様に、第二光源111Bから出射された光のうち第一領域121Aの入射面122Aに入射した光は、光軸115Bの方向とは異なる方向へ進行して表示デバイス130に入射する。このように第一光源111Aから第二領域121Bの入射面122Bに、あるいは、第二光源111Bから第一領域121Aの入射面122Aに入射した光は、光軸115A,115Bに平行ではない光として表示デバイス130に入射するため、車両1の運転者にとってグレアとなるおそれがある。
【0062】
これに対して、第一実施形態に係る画像生成装置24Aは、第一光源111Aと、第一光源111Aとは一定距離だけ離隔して配置された第二光源111Bと、第一光源111A及び第二光源111Bから出射された光を透過するレンズ120と、レンズ120を透過した光により画像を生成するための光を形成する表示デバイス130と、レンズ120を保持するレンズホルダ140とを備える。そして、レンズ120は、第一光源111Aから出射された光(第一光の一例)を透過する第一領域121Aと、当該第一領域121Aと並列結合されて第二光源111Bから出射された光(第二光の一例)を透過する第二領域121Bとから構成されている。レンズホルダ140には、第一光源111A及び第二光源111Bとレンズ120との間の空間170内において第一光源111Aと第二光源111Bとの間に配置され、第一光源111Aから出射された光が第二領域121Bを透過することを防ぐとともに第二光源111Bから出射された光が第一領域121Aを透過することを防ぐための遮光部144が設けられている。この構成によれば、第一光源111Aからの光がレンズ120の入射面122Bから入射して第二領域121Bを透過することで、あるいは第二光源111Bからの光がレンズ120の入射面122Aから入射して第一領域121Aを透過することで発生し得るグレアを抑制することができる。また、遮光部144がレンズホルダ140に設けられているため、遮光部144をレンズホルダ140とは別体で設ける場合よりも部品点数を削減することができる。これにより、画像生成装置24Aを低コストで作製することができる。
【0063】
また、画像生成装置24Aによれば、レンズ120の第一領域121A及び第二領域121Bは、入射面122A,122B及び出射面123A,123Bのいずれも凸面に形成された非球面レンズである。このため、第一光源111Aから出射された光及び第二光源111Bから出射された光をレンズ120により収差補正して平行光として表示デバイス130に入射させることができる。これにより、虚像オブジェクトIの生成精度を高めることができる。
【0064】
また、画像生成装置24Aにおいて、レンズ120は、光源111Aからの光が入射する入射面122Aと入射面122Aに連続して設けられる鍔部126Aとを有する入射部127Aと、当該光が出射する出射面123Aと、入射部127Aと出射面123Aとを接続する部分であって出射面123Aから入射部127Aに向かうにつれてレンズ120の中心から外側に広がる形状を有する立壁面124Aと、を有する。表示デバイス130の周囲の少なくとも一部には、立壁面124Aにより内面反射された光を遮光する遮光部165が設けられている。例えば、
図6においてレンズ120に立壁面124Aが設けられていない場合には、光源111Aから出射されてレンズ120で内面反射された光は迷光となって表示デバイス130に入射し得る。これに対して、本実施形態のように、レンズ120に出射面123Aから入射部127Aに向かって外側に傾斜した立壁面124Aが設けられている場合には、光源111Aから出射されて立壁面124Aで内面反射された光は遮光部165に照射されて、その遮光部165によって遮光される。そのため、立壁面124Aで内面反射された光が表示デバイス130に入射することがない。これにより、立壁面124Aで反射した光が迷光となって表示デバイス130に入射することに起因するグレアを抑制することができる。
【0065】
また、立壁面124Aは入射部127Aの外周の一部のみから立ち上がっている。すなわち、立壁面124Aは、レンズ120の前後方向の外周に設けられているが、
図4に示すように、レンズ120の左右方向の外周には設けられていない。そのため、レンズ120の有効面の大きさを維持しつつ、グレアの発生を抑制することができる。
【0066】
また、立壁面124Aの傾斜角度θを5度以上とすることで、レンズ成形のための金型の抜き勾配を確保しつつ、グレアの発生を抑制することができる。さらに、立壁面124Aの傾斜角度θを15度以上にすることで、グレアの発生をさらに確実に抑制できる。
【0067】
また、画像生成装置24Aによれば、PGUハウジング160の少なくとも一部が遮光部165として機能するように構成されている。これにより、簡便な構成で遮光部165を設けることができるとともに、グレアの発生を抑制することができる。
【0068】
(第二実施形態)
次に、
図8及び
図9を参照して、第二実施形態に係る画像生成装置24Bについて説明する。第一実施形態に係る画像生成装置24Aと同一の符号を付した部材については画像生成装置24Aと同様の構成であるため説明を省略する。
図8は、画像生成装置24Bの断面図である。
図9は、画像生成装置24Bが備えるレンズ220を光源111A,111B側から見た斜視図である。
【0069】
図8及び
図9に示すように、画像生成装置24Bのレンズ220の入射面222には、光源111A,111Bから出射された光を遮光可能な遮光部225が設けられている。レンズ220の左右両側部には、ネジ161の取付孔227を有する取付部226が設けられている。
【0070】
遮光部225は、入射面222にシボ加工を施すことによって形成されている。シボ加工面である遮光部225は、レンズ220の左右方向における中央部、すなわち、第一領域221Aの入射面222Aと第二領域221Bの入射面222Bとの間の所定の領域に帯状に設けられている。遮光部225は、入射面222Aの一部と入射面222Bの一部とにまたがるように設けられている。遮光部225は、レンズホルダ140に設けられている遮光部144の上面に対向する。遮光部225は、例えば、遮光部144の左右方向の幅よりも左右両方向へ僅かずつ広くなるように設けられている。遮光部225は、第一光源111Aから出射された光が第二領域121Bを透過することを防ぐことが可能であるとともに、第二光源111Bから出射された光が第一領域121Aを透過することを防ぐことが可能である。
【0071】
このように、第二実施形態に係る画像生成装置24Bは、レンズホルダ140の遮光部144に加えてさらにレンズ220の遮光部225を備える。この構成によれば、遮光部144によって遮光しきれない光、例えば
図8に示す第四光路112Dのような光をレンズ220の遮光部225によって遮光することができる。これにより、第一光源111Aからの光が入射面122Bから第二領域121Bへ入射する、あるいは、第二光源111Bからの光が入射面122Aから第一領域121Aへ入射するのをより確実に防ぐことが可能であり、グレアの発生をさらに抑制することができる。
【0072】
なお、第二実施形態の画像生成装置24Bでは、遮光部としてレンズホルダ140の遮光部144とレンズ220の遮光部225とを設けているが、これに限られない。例えば、レンズホルダ140の遮光部144は設けずに、レンズ220の遮光部225のみを設ける構成としてもよい。
【0073】
(第三実施形態)
次に、
図10及び
図11を参照して、第三実施形態に係る画像生成装置24Cについて説明する。第一実施形態に係る画像生成装置24Aと同一の符号を付した部材については画像生成装置24Aと同様の構成であるため説明を省略する。
図10は、画像生成装置24Cの断面図である。
図11は、レンズ320を光源111A,111B側から見た斜視図である。
画像生成装置24Cは、光源基板110の上側に配置されるレンズ320の形状が第一実施形態に係る画像生成装置24Aのレンズ120と異なっている。また、画像生成装置24Cが備えるレンズホルダ340は、遮光部を備えていない点で第一実施形態に係る画像生成装置24Aのレンズホルダ140と異なっている。
【0074】
図10及び
図11に示すように、レンズ320の入射面322には、光源111A,111Bから出射されてレンズ320に入射する光を屈折可能な遮光部325が設けられている。レンズ320の左右両側部には、ネジ161の取付孔327を有する取付部326が設けられている。
【0075】
遮光部325は、レンズ320の左右方向における中央部に設けられている。遮光部325は、第一領域321Aと第二領域321Bとの間に形成される第三領域321Cに設けられている。遮光部325は、第三領域321Cから第一光源111A及び第二光源111B側に向けて、第一領域321Aの入射面322A及び第二領域321Bの入射面322Bよりも下方に突出する突出部として設けられている。遮光部325は、レンズ320の一部としてレンズ320と一体的に形成されている。
【0076】
遮光部325は、
図10の断面視において例えば矩形状を有している。遮光部325は、レンズ320の前後方向に沿って延在している。遮光部325は、第一光源111A及び第二光源111Bとレンズ120との間に形成される空間170内において、第一光源111Aと第二光源111Bとの間に配置されるように設けられている。遮光部325は、第一光源111Aから出射された光を透過するとともに、第二光源111Bから出射された光を透過する。
【0077】
このように、第三実施形態に係る画像生成装置24Cは、レンズ320の入射面322において、第一領域321Aと第二領域321Bとの間に形成される第三領域321Cから第一光源111A及び第二光源111B側に向けて突出する突出部としての遮光部325を備える。この構成によれば、遮光部325がレンズ320から突出した突出部として設けられているため、第一光源111Aから出射されて第二領域321Bへ向かって進行する光を、例えば
図10に示す第五光路112Eのように、表示デバイス130に入射させないように遮光部325によって屈折させることができる。図示は省略するが、同様にして第二光源111Bから出射されて第一領域321Aへ向かって進行する光を、表示デバイス130に入射させないように遮光部325によって屈折させることができる。これにより、第一光源111Aからの光が第二領域321Bを透過することによって、あるいは、第二光源111Bからの光が第一領域321Aを透過することによって発生し得るグレアを抑制することができる。また、遮光部325がレンズ320と一体的に設けられているため、遮光部325をレンズ320とは別体で設ける場合よりも部品点数を削減することができる。これにより、画像生成装置24Cを低コストで作製できる。
【0078】
(第四実施形態)
次に、
図12及び
図13を参照して、第四実施形態に係る画像生成装置24Dについて説明する。第一実施形態に係る画像生成装置24Aと同一の符号を付した部材については画像生成装置24Aと同様の構成であるため説明を省略する。
図12は、画像生成装置24Dの断面図である。
図13は、画像生成装置24Dが備えるレンズホルダ440をレンズ120側から見た斜視図である。
画像生成装置24Dは、光源基板110の上側に配置されるレンズホルダ440の構成が第一実施形態に係る画像生成装置24Aのレンズホルダ140と異なっている。
【0079】
図13に示すように、レンズホルダ440は、ネジ161の取付孔442が形成された一対の取付部441と、一対の取付部441同士の間に設けられた枠部443とを有する。枠部443には、反射部444(遮光部の一例)が設けられている。反射部444は、レンズホルダ440の左右方向における中央部において、レンズホルダ440の前後方向に沿って前枠部443Aと後枠部443Bとの間をつなぐように設けられている。反射部444は、レンズホルダ440と一体的に形成されている。
【0080】
図12に示すように、反射部444は、断面視において下側に向かうにつれて左右方向の幅が広がる裾広がり状を有している。すなわち、反射部444の下面444Dの幅は、反射部444の上面444Cの幅よりも大きい。反射部444の左右の側面は、第一光源111A及び第二光源111Bから出射された光を反射することが可能な第一反射面444A及び第二反射面444Bを構成している。第一反射面444A及び第二反射面444Bは、凹状に湾曲した反射面として形成されている。第一反射面444A及び第二反射面444Bには、例えば、アルミニウム等の金属が蒸着されている。反射部444は、第一光源111A及び第二光源111Bとレンズ120との間に形成される空間170内において、第一光源111Aと第二光源111Bとの間に配置されるように設けられている。第一反射面444Aは、第一光源111Aから出射され第二領域121Bに向かう光を第一領域121Aへ向けて反射する。第二反射面444Bは、第二光源111Bから出射され第一領域121Aに向かう光を第二領域121Bへ向けて反射する。
【0081】
このように、第四実施形態に係る画像生成装置24Dによれば、レンズホルダ440は、凹状に湾曲する第一反射面444A及び第二反射面444Bを有した反射部444を備える。第一反射面444Aは、第一光源111A及び第二光源111Bとレンズ120との間に形成される空間170において、第一光源111Aから第二領域121B側に向かう光を第一領域121Aへ向けて反射する位置に配置される。第二反射面444Bは、空間170において、第二光源111Bから第一領域121A側に向かう光を第二領域121Bに向けて反射する位置に配置される。このため、例えば
図12に示す第六光路112Fのように、第一光源111Aから出射されて第二領域121Bへ向かって進行する光を第一反射面444Aで反射させて、光軸115Aに略平行な光として表示デバイス130に入射させることができる。同様に、第二光源111Bから出射されて第一領域121Aへ向かって進行する光を、例えば第七光路112Gに示すように、第二反射面444Bで反射させて、光軸115Bに略平行な光として表示デバイス130に入射させることができる。これにより、第一光源111A及び第二光源111Bから出射される光の有効利用率を低下させることなく、グレアの発生を抑制することができる。
【0082】
(第五実施形態)
図15から
図20を参照して、第五実施形態に係る画像生成装置24Eについて説明する。
図15は、画像生成装置24Eの構成を示す左右方向断面模式図である。
図16は、画像生成装置24Eの構成を示す前後方向断面模式図である。第一実施形態に係る画像生成装置24Aと同一の符号を付した部材については画像生成装置24Aと同様の構成であるため説明を省略する。
【0083】
図15及び
図16に示すように、画像生成装置24Eは、光源111と、レンズ420と、液晶デバイス230を備えている。レンズ420は、光源111の上側に配置される。液晶デバイス230は、レンズ420の上側に配置される。
【0084】
光源111は、例えば、レーザ光源またはLED光源である。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑光レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光源111は、光源基板110に搭載されている。本例においては、光源111は、第一光源111Aと第二光源111Bを備えている。第一光源111Aと第二光源111Bは、光源基板110上において、左右方向に一定の距離だけ離隔して配置されている。光源基板110は、例えば、絶縁体からなるベース基板の表面や内部に電気回路の配線がプリントされたプリント基板である。
【0085】
レンズ420は、例えば、光源111からの光が入射される入射面422及び当該入射した光が出射される出射面423のいずれも凸面状に形成された非球面凸レンズである。レンズ420は、光源111から出射された光を透過させて液晶デバイス230に向けて出射するように構成されている。
【0086】
本例においては、レンズ420は、第一光源111Aから出射された第一光を透過する第一領域421Aと、第二光源111Bから出射された第二光を透過する第二領域421Bとを有している。第一領域421Aは、第一光源111Aに対応した非球面凸レンズである。第二領域421Bは、第二光源111Bに対応した非球面凸レンズである。第一領域421Aの入射面422A及び第二領域421Bの入射面422Bは、下方にやや膨らんだ凸状の入射面である。第一領域421Aの出射面423A及び第二領域421Bの出射面423Bは、上方に膨らんだ凸状の出射面である。左側に配置される第一領域421Aにおける右側の一部分と、右側に配置される第二領域421Bにおける左側の一部分とが結合されている。レンズ420は、例えば、第一光源111Aの発光面中心が第一領域421Aの焦点位置となるとともに第二光源111Bの発光面中心が第二領域421Bの焦点位置となるように、レンズホルダ(図示せず)に取り付けられている。
【0087】
液晶デバイス230は、光源111から出射されてレンズ420を透過した光により所定の画像を生成するための光を形成する。液晶デバイス230は、例えば、画像を生成する光を出射するための光出射面を画像生成装置24Eの上方へ向けた状態でPGUハウジング(図示せず)の上面部に取り付けられている。
【0088】
液晶デバイス230は、例えば、液晶パネル231と駆動回路(図示せず)を有している。液晶パネル231を構成する画素の各々は、駆動回路により、レンズ420を透過した光を透過させる状態と光を透過させない状態に制御される。画素ごとに光の透過と遮断が制御されることにより、所定の画像を生成するための光が形成される。
【0089】
図17は、HUD20により、虚像オブジェクトI1が車両1の外部の現実空間と重畳されるように表示された状態での乗員の視野領域Vの一例を示す図である。なお、
図17に示す視野領域V内には、車両1の一部(ボンネットなど)が含まれている。
【0090】
乗員の視野領域Vには、車速情報を示す虚像オブジェクトI1が表示されている。液晶デバイス230は、虚像表示可能領域R内の所定の位置に虚像オブジェクトI1が表示されるように、液晶パネル231を構成する画素ごとに光の透過と遮断を制御して、車速情報を示す画像を生成するための光を形成する。なお、破線で示す四角枠は、便宜上、虚像表示可能領域Rの位置を表示したものであって、実際には枠は存在しない。虚像表示可能領域Rは、液晶デバイス230において
図15および
図16に示す画像形成可能領域Aに対応している。本例においては、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aは液晶パネル231を構成する画素が形成されている領域であり、虚像表示可能領域Rは液晶パネル231の形状に対応している。
【0091】
第五実施形態におけるレンズ420は、
図15および
図16に示すように、出射面423の外周部P1にウェーブ加工424が施されている。ウェーブ加工424は、出射面423の外周部P1に対応する部分が波形状に形成された金型によりレンズ420が成形されると同時に形成されうる。ウェーブ加工424は、光拡散加工の一例である。本例においては、
図18に示されるように、出射面423の外周部P1の全周に渡ってウェーブ加工424が施されている。すなわち、第一領域421Aの出射面423Aの外周部P1A及び第二領域421Bの出射面423Bの外周部P1Bに渡ってウェーブ加工424が施されている。レンズ420の出射面423の外周部P1から出射される光は、ウェーブ加工424により拡散されて、液晶デバイス230の画像形成可能領域Aの外周部P10およびその周辺に到達する。
【0092】
図19は、レンズ120の出射面123の外周部にウェーブ加工が施されていない画像生成装置24Zにおいて、第一光源111A及び第二光源111Bから出射された光の光路を示す図である。
【0093】
図19に示すように、第一光源111Aから出射された光は、レンズ120の入射面122Aに入射する。レンズ120は、上述した画像生成装置24Eと同様に非球面凸レンズであるため、第一光源111Aから出射された光の多くは、レンズ120の第一領域121Aに入射し、光軸115Aに平行な光となって液晶デバイス230に入射する。例えば、第一光路112Aに示すように、出射面123Aの外周部から出射された光は、光軸115Aに平行な光となって液晶デバイス230の画像形成可能領域の外周部に到達する。
【0094】
同様に、第二光源111Bから出射された光の多くは、第二領域121Bに入射し、光軸115Bに平行な光となって液晶デバイス230に入射する。例えば、第二光路112Bに示すように、出射面123Bの外周部から出射された光は、光軸115Bに平行な光となって液晶デバイス230の画像形成可能領域の外周部に到達する。
【0095】
液晶デバイス230は、液晶パネル231を構成する画素ごとにレンズ120を透過した光の透過と遮断を制御することにより、所定の画像を生成するための光を形成する。しかしながら、例えば、液晶デバイス230の液晶パネル231において光が遮断されるべき画素から光が漏れると、
図17に示される虚像表示可能領域R内において虚像オブジェクトI1以外の領域が薄く光るように視認されるおそれがある。画像生成装置24Zでは、液晶デバイス230の画像形成可能領域において外周部にも他の部分と同様に光が照射されているので、虚像表示可能領域Rの輪郭が目立つおそれがある。
【0096】
図20は、画像生成装置24Eにおいて、第一光源111A及び第二光源111Bから出射された光の光路を示す図である。画像生成装置24Eによれば、出射面423の外周部P1にウェーブ加工424が施されているので、
図20に示すように、出射面423の外周部P1から出射される光はウェーブ加工424により拡散されて液晶デバイス230に入射される。これにより、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができる。したがって、
図17に示される虚像表示可能領域R内において虚像オブジェクトI1以外の領域が薄く光る場合でも、虚像表示可能領域Rの外周部の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0097】
また、画像生成装置24Eでは、光拡散加工としてウェーブ加工424がレンズ420に施されている。したがって、簡単な構成により光を拡散することができる。
【0098】
なお、上記の実施形態において、光拡散加工としてウェーブ加工424がレンズ420に施されている。しかしながら、光拡散加工としてシボ加工がレンズ420に施されうる。シボ加工は、金型によりレンズ420が成形された後に、レンズ420を加工することにより形成されうる。この場合も、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができる。また、レンズ420のシボ加工が施された部分では一部の光は遮光されて出射されない。したがって、ウェーブ加工と比較して、画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光をさらに減少させることができる。
【0099】
また、上記の実施形態において、出射面423の外周部P1の全周に渡ってウェーブ加工424が施されている。しかしながら、出射面423の外周部P1の一部の領域にウェーブ加工が施されうる。例えば、
図17に示される虚像表示可能領域Rにおいて虚像オブジェクトI1以外の領域が薄く光る場合、虚像表示可能領域Rの四角形の外周部において上側部分が特に乗員に認識されやすい。虚像表示可能領域Rの外周部における上側部分に対応する液晶デバイス230の画像形成可能領域Aの外周部P10の一部の領域に到達する光を出射する出射面423の外周部P1の一部の領域にウェーブ加工が施されうる。この場合、虚像表示可能領域Rの上側部分の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0100】
(第六実施形態)
次に、
図21~
図23を参照して、第六実施形態に係る画像生成装置24Fについて説明する。
図21は、画像生成装置24Fの左右方向断面模式図である。
図22は、画像生成装置24Fの前後方向断面模式図である。
図23は、レンズ520を光源111側から見た図である。
図21および
図22において、液晶デバイス230の画像形成可能領域Aおよび外周部P10の図示は省略している。尚、第六実施形態において、第五実施形態の画像生成装置24Eを構成する部材と同一の部材については、同一の参照番号を付与し、便宜上、その説明は省略する。
【0101】
図21及び
図22に示すように、画像生成装置24Fは、光源111と、レンズ520と、液晶デバイス230を備えている。レンズ520は、光源111の上側に配置される。液晶デバイス230は、レンズ520の上側に配置される。光源111は、光源基板110に搭載されている。光源111は、第一光源111Aと第二光源111Bを備えている。
【0102】
レンズ520は、例えば、光源111からの光が入射される入射面522及び当該入射した光が出射される出射面523のいずれも凸面状に形成された非球面凸レンズである。レンズ520は、光源111から出射された光を透過または反射して液晶デバイス230に向けて出射するように構成されている。
【0103】
本例においては、レンズ520は、第一光源111Aから出射された第一光を透過する第一領域521Aと、第二光源111Bから出射された第二光を透過する第二領域521Bとを有している。第一領域521Aは、第一光源111Aに対応した非球面凸レンズである。第二領域521Bは、第二光源111Bに対応した非球面凸レンズである。第一領域521Aの入射面522A及び第二領域521Bの入射面522Bは、後方にやや膨らんだ凸状の入射面である。第一領域521Aの出射面523A及び第二領域521Bの出射面523Bは、前方に膨らんだ凸状の出射面である。左側に配置される第一領域521Aにおける右側の一部分と、右側に配置される第二領域521Bにおける左側の一部分とが結合されている。レンズ520は、第一光源111Aの発光面中心が第一領域521Aの焦点位置となるとともに第二光源111Bの発光面中心が第二領域521Bの焦点位置となるように、レンズホルダ(図示せず)に取り付けられている。
【0104】
第六実施形態におけるレンズ520は、
図21および
図22に示すように、入射面522の外周部P2に渡ってウェーブ加工524が施されている。ウェーブ加工524は、光拡散加工の一例である。本例においては、
図23に示されるように、入射面522の外周部P2の全周に渡ってウェーブ加工524が施されている。すなわち、第一領域521Aの入射面522Aの外周部P2A及び第二領域521Bの入射面522Bの外周部P2Bに渡ってウェーブ加工524が施されている。
【0105】
レンズ520の入射面522の外周部P2にウェーブ加工が施されていない場合は、光源111から出射されて入射面522の外周部P2に照射された光は、レンズ520に入射されてレンズ520を透過して出射面523の外周部P3から出射される。
【0106】
これに対して、画像生成装置24Fにおいては、入射面522の外周部P2にはウェーブ加工524が施されている。光源111から出射されて入射面522の外周部P2に照射された光は、ウェーブ加工524により拡散されてレンズ520に入射されるので、出射面523の外周部P3から出射される光を減少させることができる。これにより、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができる。したがって、
図17に示される虚像表示可能領域R内において虚像オブジェクトI1以外の領域が薄く光る場合でも、虚像表示可能領域Rの外周部の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0107】
なお、上記の実施形態において、光拡散加工としてウェーブ加工524がレンズ520に施されている。しかしながら、光拡散加工としてシボ加工がレンズ520に施されうる。この場合も、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができる。また、レンズ520のシボ加工が施された部分では一部の光は遮光されて出射されない。したがって、ウェーブ加工と比較して、画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光をさらに減少させることができる。
【0108】
また、上記の実施形態において、入射面522の外周部P2の全周に渡ってウェーブ加工524が施されている。しかしながら、入射面522の外周部P2の一部の領域にウェーブ加工が施されうる。例えば、
図17に示される虚像表示可能領域Rの外周部における上側部分に対応する液晶デバイス230の画像形成可能領域Aの外周部の一部の領域に到達する光が減少するように、入射面522の外周部P2の一部の領域にウェーブ加工が施されうる。この場合、虚像表示可能領域Rの上側部分の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0109】
(第七実施形態)
次に、
図24を参照して、第七実施形態に係る画像生成装置24Gについて説明する。
図24は、画像生成装置24Gの左右方向断面模式図である。
図24において、液晶デバイス230の画像形成可能領域Aおよび外周部P10の図示は省略している。尚、第七実施形態において、第五実施形態の画像生成装置24Eを構成する部材と同一の部材については、同一の参照番号を付与し、便宜上、その説明は省略する。
【0110】
図24に示すように、画像生成装置24Gは、光源111と、レンズ620と、液晶デバイス230を備えている。レンズ620は、光源111の上側に配置される。液晶デバイス230は、レンズ620の上側に配置される。光源111は、光源基板110に搭載されている。光源111は、第一光源111Aと第二光源111Bを備えている。
【0111】
レンズ620は、例えば、光源111からの光が入射される入射面622及び当該入射した光が出射される出射面623のいずれも凸面状に形成された非球面凸レンズである。レンズ620は、光源111から出射された光を透過または反射して液晶デバイス230に向けて出射するように構成されている。
【0112】
本例においては、レンズ620は、第一光源111Aから出射された第一光を透過する第一領域621Aと、第二光源111Bから出射された第二光を透過する第二領域621Bとを有している。第一領域621Aは、第一光源111Aに対応した非球面凸レンズである。第二領域621Bは、第二光源111Bに対応した非球面凸レンズである。第一領域621Aの入射面622A及び第二領域621Bの入射面622Bは、後方にやや膨らんだ凸状の入射面である。第一領域221Aの出射面623A及び第二領域621Bの出射面623Bは、前方に膨らんだ凸状の出射面である。左側に配置される第一領域621Aにおける右側の一部分と、右側に配置される第二領域621Bにおける左側の一部分とが結合されている。レンズ620は、第一光源111Aの発光面中心が第一領域621Aの焦点位置となるとともに第二光源111Bの発光面中心が第二領域621Bの焦点位置となるように、レンズホルダ(図示せず)に取り付けられている。
【0113】
第七実施形態におけるレンズ620は、入射面622の外周部P4および出射面623の外周部P5に渡ってシボ加工624が施されている。シボ加工624は、光拡散加工の一例である。本例においては、第一領域621Aの入射面622Aの外周部P4A及び第二領域621Bの入射面622Bの外周部P4Bに渡ってシボ加工624が施されている。第一領域621Aの出射面623Aの外周部P5A及び第二領域621Bの出射面623Bの外周部P5Bに渡ってシボ加工624が施されている。
【0114】
画像生成装置24Gによれば、入射面622の外周部P4にはシボ加工624が施されているので、光源111から出射されて入射面622の外周部P4に照射された光は、シボ加工624により拡散されてレンズ620に入射される。また、入射面622の外周部P4に照射された光の一部は、シボ加工624により遮光される。これにより、出射面623の外周部P5から出射される光を減少させることができる。また、出射面623の外周部P5にはシボ加工624が施されているので、出射面623の外周部P5から出射される光は、シボ加工624により拡散されて液晶デバイス230に入射される。また、出射面623の外周部P5から出射される光の一部は、シボ加工624により遮光される。これにより、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができる。したがって、
図17に示される虚像表示可能領域R内において虚像オブジェクトI1以外の領域が薄く光る場合でも、虚像表示可能領域Rの外周部の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0115】
なお、上記の実施形態において、入射面622の外周部P4および出射面623の外周部P5の全周に渡ってシボ加工624が施されている。しかしながら、入射面622の外周部P4の一部の領域にシボ加工が施されうる。また、出射面623の外周部P5の一部の領域にシボ加工が施されうる。例えば、入射面622の外周部P4のシボ加工が施された領域よりも出射面623の外周部P5のシボ加工が施された領域が大きくなるように、レンズ620が形成されてもよい。この場合、入射面622の外周部P4における光拡散を最小限に抑えてレンズ620からの光を液晶デバイス230に導きつつ、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができる。
【0116】
また、上記の実施形態において、光拡散加工としてシボ加工がレンズ620に施されている。しかしながら、光拡散加工としてウェーブ加工がレンズ620に施されてもよい。
【0117】
(第八実施形態)
次に、
図25を参照して、第八実施形態に係る画像生成装置24Hについて説明する。
図25は、画像生成装置24Hの左右方向断面模式図である。
図25において、液晶デバイス230の画像形成可能領域Aおよび外周部P10の図示は省略している。尚、第八実施形態において、第五実施形態の画像生成装置24Eを構成する部材と同一の部材については、同一の参照番号を付与し、便宜上、その説明は省略する。
【0118】
図25に示すように、画像生成装置24Hは、光源111と、レンズ720と、液晶デバイス230を備えている。レンズ720は、光源111の上側に配置される。液晶デバイス230は、レンズ720の上側に配置される。光源111は、光源基板110に搭載されている。光源111は、第一光源111Aと、第二光源111Bを備えている。
【0119】
レンズ720は、例えば、光源111からの光が入射される入射面722及び当該入射した光が出射される出射面723のいずれも凸面状に形成された非球面凸レンズである。レンズ720は、光源111から出射された光を透過または反射して液晶デバイス230に向けて出射するように構成されている。
【0120】
本例においては、レンズ720は、第一光源111Aから出射された第一光を透過する第一領域721Aと、第二光源111Bから出射された第二光を透過する第二領域721Bとを有している。第一領域721Aは、第一光源111Aに対応した非球面凸レンズである。第二領域721Bは、第二光源111Bに対応した非球面凸レンズである。第一領域721Aの入射面722A及び第二領域721Bの入射面722Bは、後方にやや膨らんだ凸状の入射面である。第一領域721Aの出射面723A及び第二領域721Bの出射面723Bは、前方に膨らんだ凸状の出射面である。左側に配置される第一領域721Aにおける右側の一部分と、右側に配置される第二領域721Bにおける左側の一部分とが結合されている。レンズ720は、第一光源111Aの発光面中心が第一領域721Aの焦点位置となるとともに第二光源111Bの発光面中心が第二領域721Bの焦点位置となるように、レンズホルダ(図示せず)に取り付けられている。
【0121】
第七実施形態におけるレンズ720は、出射面723の外周部P6の全周に渡って外周部P6において外側に行くほど曲率半径が大きくなるように加工されている。この加工は、光拡散加工の一例である。本例においては、第一領域721Aの出射面723Aの外周部P6A及び第二領域721Bの出射面723Bの外周部P6Bにおいて外側に行くほど曲率半径が大きくなるように加工されている。
【0122】
画像生成装置24Hによれば、出射面723の外周部P6において外側に行くほど曲率半径が大きくなるように加工されているので、出射面723の外周部P6から出射された光は拡散されて液晶デバイス230に入射する。これにより、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光をさらに減少させることができる。したがって、
図17に示される虚像表示可能領域R内において虚像オブジェクトI1以外の領域が薄く光る場合でも、虚像表示可能領域Rの外周部の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0123】
なお、上記の実施形態において、出射面723の外周部P6の全周に渡って外側に行くほど曲率半径が大きくなるように加工されている。しかしながら、出射面723の外周部P6の一部の領域において外側に行くほど曲率半径が大きくなるように加工されうる。例えば、
図17に示される虚像表示可能領域Rの外周部における上側部分に対応する液晶デバイス230の画像形成可能領域Aの部分に到達する光を出射する出射面723の外周部P6の一部の領域において外側に行くほど曲率半径が大きくなるように加工されうる。この場合、虚像表示可能領域Rの上側部分の輝度が低いので、虚像表示可能領域Rの輪郭を目立たなくさせることができる。
【0124】
上記第五実施形態から第八実施形態では、画像生成装置24E,24F,24G,24Hは、光源111として第一光源111Aと第二光源111Bを備えている。レンズ420,520,620,720は、第一領域421A、521A,621A,721Aと第二領域421B、521B,621B,721Bとを有している。しかしながら、画像生成装置24E,24F,24G,24Hは、一つの光源を備えており、レンズ420,520,620,720は、光源から出射された光を透過する一つの領域を有しうる。あるいは、画像生成装置24E,24F,24G,24Hは、三つ以上の光源を備えており、レンズ420,520,620,720は、対応する光源から出射された光を透過する三つ以上の領域を有しうる。
【0125】
上記第五実施形態から第八実施形態では、レンズ420、520、620、720は、非球面凸レンズである。しかしながら、レンズ420、520、620、720は、他の形状のレンズも含みうる。
【0126】
上記第五実施形態から第八実施形態において、画像生成装置24E,24F,24G,24Hは、例えば光源基板110の裏面に設けられたヒートシンクを備えてもよい。ヒートシンクにより、光源基板110から発生する熱を放熱されうる。また、画像生成装置24E,24F,24G,24Hは、レンズ420、520、620、720と液晶デバイス230の間に拡散シートなどを備えてもよい。
【0127】
上記第五実施形態から第八実施形態では、レンズ420,620,720は、出射面423,623,723の外周部P1,P5,P6に光拡散加工が施されている。レンズ520,620は、入射面522,622の外周部P2,P4に光拡散加工が施されている。しかしながら、レンズ420,620,720は、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができれば、出射面423,623,723において外周部P1,P5,P6以外の部分に光拡散加工が施されうる。レンズ520,620は、液晶デバイス230における画像形成可能領域Aの外周部P10に到達する光を減少させることができるのであれば、入射面522,622において外周部P2,P4以外の部分に光拡散加工が施されている。
【0128】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0129】
上記第一実施形態から第八実施形態では、画像生成装置24から出射された光は、凹面鏡26で反射されてウインドシールド18に照射されるように構成されているが、これに限られない。例えば、凹面鏡26で反射された光は、ウインドシールド18の内側に設けたコンバイナ(不図示)に照射されるようにしてもよい。コンバイナは、例えば、透明なプラスチックディスクで構成される。HUD本体部21の画像生成装置24からコンバイナに照射された光の一部は、ウインドシールド18に光を照射した場合と同様に、乗員の視点Eに向けて反射される。
【0130】
また、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。
【0131】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0132】
本出願は、2020年4月27日出願の日本特許出願2020-078252号および2020年5月20日出願の日本特許出願2020-088277号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。