(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】光ケーブル及び光ケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
G02B6/44 366
G02B6/44 371
G02B6/44 391
(21)【出願番号】P 2022533820
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2021022747
(87)【国際公開番号】W WO2022004362
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2020114332
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 彰
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159078(JP,A)
【文献】特開2011-081089(JP,A)
【文献】特開2016-148709(JP,A)
【文献】特開2014-016530(JP,A)
【文献】特開2012-027164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0233899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバユニットを備えた光ケーブルであって、
前記光ファイバユニットは、崩れた積層状態で配置された間欠連結型の複数の光ファイバテープを有しており、
或る断面において、少なくとも1つの前記光ファイバユニットは、
前記光ファイバテープの両端の光ファイバの中点をMとし、前記光ファイバテープの重心をGとし、中点Mを始点とし重心Gを終点とするベクトルをベクトルMGとし、各前記光ファイバテープのベクトルMGを合成したベクトルをベクトルGUとするとき、
ベクトルGUの長さは、複数の前記光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短
く、
前記ベクトルMGの長さをLとし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、前記光ファイバユニットを構成する少なくとも1つの前記光ファイバテープにおいて、L/L0は、0.225以下であり、
L/L0の標準偏差は、0.011以上である
ことを特徴とする光ケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の光ケーブルであって、
前記光ケーブルの全ての前記光ファイバユニットは、長手方向の少なくともいずれかの断面において、前記ベクトルGUの長さが、当該光ファイバユニットを構成する複数の前記光ファイバテープの前記ベクトルMGの最大長さよりも短いことを特徴とする光ケーブル。
【請求項3】
請求項2に記載の光ケーブルであって、
前記複数の光ファイバユニットが互いに撚られており、
前記光ケーブルの全ての前記光ファイバユニットは、撚りピッチの範囲内のいずれかの断面において、前記ベクトルGUの長さが、当該光ファイバユニットを構成する複数の前記光ファイバテープの前記ベクトルMGの最大長さよりも短いことを特徴とする光ケーブル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の光ケーブルであって、
前記光ファイバユニットは、前記複数の光ファイバテープを束ねるバンドル材を有することを特徴とする光ケーブル。
【請求項5】
請求項1に記載の光ケーブルであって、
L/L0は、0.149以下であることを特徴とする光ケーブル。
【請求項6】
請求項1に記載の光ケーブルであって、
前記光ファイバユニットを構成する全ての前記光ファイバテープにおいて、L/L0は、0.225以下であることを特徴とする光ケーブル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の光ケーブルであって、
前記光ファイバユニットを構成する少なくとも1つの前記光ファイバテープにおいて、
前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL1とし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、
L1/L0は、0.205以上、1.490以下であることを特徴とする光ケーブル。
【請求項8】
請求項7に記載の光ケーブルであって、
L1/L0は、0.490以上、1.267
以下であることを特徴とする光ケーブル。
【請求項9】
請求項7に記載の光ケーブルであって、
前記光ファイバユニットを構成する全ての前記光ファイバテープにおいて、L1/L0は、0.205以上、1.490以下であることを特徴とする光ケーブル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の光ケーブルであって、
前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL1とし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、
複数の光ファイバテープのL1/L0の標準偏差は、0.018以上であることを特徴とする光ケーブル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の光ケーブルであって、
前記断面内において、前記光ファイバユニットの少なくとも1つの前記光ファイバテープは、テープ面の一方側を凸として曲がる箇所と、前記テープ面の逆側を凸として曲がる箇所とを有することを特徴とする光ケーブル。
【請求項12】
間欠連結型の複数の光ファイバテープを有する光ファイバユニットを製造すること、及び
外被の内側に複数の前記光ファイバユニットを収容すること
を行う光ケーブルの製造方法であって、
或る断面において、少なくとも1つの前記光ファイバユニットが、
前記光ファイバテープの両端の光ファイバの中点をMとし、前記光ファイバテープの重心をGとし、中点Mを始点とし重心Gを終点とするベクトルをベクトルMGとし、各前記光ファイバテープのベクトルMGを合成したベクトルをベクトルGUとするとき、
ベクトルGUの長さは、複数の前記光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短くな
り、
前記ベクトルMGの長さをLとし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、前記光ファイバユニットを構成する少なくとも1つの前記光ファイバテープにおいて、L/L0は、0.225以下となり、
L/L0の標準偏差は、0.011以上となるように、
複数の前記光ファイバテープの積層状態を崩した前記光ファイバユニットを製造する
ことを特徴とする光ケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル及び光ケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数本の光ファイバを束ねた光ファイバの集合体を光ファイバユニットとして、光ファイバケーブルを構成する技術が知られている。その際、光ファイバの束に粗巻き糸(バンドル材)を巻き付けることにより、光ファイバの束がバラバラになることを抑制しつつ、バンドル材の色によって光ファイバユニットを識別する方法が一般的である。例えば、特許文献1には、複数枚の光ファイバテープを束ねてバンドル化して光ファイバユニットを形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数枚の光ファイバテープを束ねて光ファイバユニットを構成する場合、特許文献1に記載のように、一般的には、複数枚の光ファイバテープは、積層させた状態(複数枚の光ファイバテープを重ね合わせた状態)で束ねられている。但し、特許文献1に記載のように、複数枚の光ファイバテープを積層させた状態で束ねた光ファイバユニットを用いて光ケーブルを構成した場合、光ケーブルに負荷(例えば曲げや温度変化など)が加わったときに、特定の光ファイバに負荷が集中してしまい、伝送損失が増大するおそれがある。
【0005】
本発明は、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数の光ファイバユニットを備えた光ケーブルであって、前記光ファイバユニットは、崩れた積層状態で配置された間欠連結型の複数の光ファイバテープを有しており、或る断面において、少なくとも1つの前記光ファイバユニットは、前記光ファイバテープの両端の光ファイバの中点をMとし、前記光ファイバテープの重心をGとし、中点Mを始点とし重心Gを終点とするベクトルをベクトルMGとし、各前記光ファイバテープのベクトルMGを合成したベクトルをベクトルGUとするとき、ベクトルGUの長さは、複数の前記光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短いことを特徴とする光ケーブルである。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、光ケーブル1の説明図である。
図1Bは、光ファイバユニット2の説明図である。
【
図2】
図2は、間欠連結型の光ファイバテープ7の説明図である。
【
図3】
図3は、光ファイバユニット2を製造するユニット製造装置20の説明図である。
【
図4】
図4は、バンドル取付部50の説明図である。
【
図5】
図5Aは、本実施形態の光ケーブル1の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。
図5Bは、
図5Aに示す光ファイバ8の座標を示すグラフである。
【
図7】
図7Aは、
図5Aの1番の光ファイバテープ7の断面形状の説明図である。
図7Bは、光ファイバテープ7がテープ幅方向に対して一方向に曲げられている場合の比較説明図である。
【
図8】
図8は、積層状態を崩した状態の光ファイバユニット2の第1の製造方法の説明図である。
【
図9】
図9は、第1の製造方法におけるバンドル接合部60の断面図である。
【
図10】
図10は、積層状態を崩した状態の光ファイバユニット2の第2の製造方法の説明図である。
【
図11】
図11Aは、各光ケーブルのXminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示す表である。
図11Bは、各光ケーブルのXminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示すグラフである。
【
図12】ベクトルMGの長さ(無次元化)と、しごき試験の評価結果との関係を示す表である。
【
図13】
図13Aは、複数の光ファイバユニット2におけるベクトルMGの長さ(無次元化)と、ベクトルMGの長さのばらつきを示す表である。
図13Bは、それぞれの光ファイバユニット2におけるベクトルMGのばらつきを示すグラフである。
【
図14】
図14Aは、各光ケーブルのYminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示す表である。
図14Bは、各光ケーブルのYminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示すグラフである。
【
図15】
図15は、光ファイバテープ7の両端距離(無次元化)と、しごき試験の評価結果との関係を示す表である。
【
図16】
図16Aは、複数の光ファイバユニット2におけるそれぞれの光ファイバテープ7の両端距離(無次元化)と、両端距離のばらつきを示す表である。
図16Bは、それぞれの光ファイバユニット2における両端距離のばらつきを示すグラフである。
【
図17】
図17Aは、各光ケーブルのZminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示す表である。
図17Bは、各光ケーブルのZminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示すグラフである。
【
図18】
図18は、本実施形態の光ファイバユニット2と比較例との断面形状との対比表である。
【
図19】
図19は、第1比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。
【
図20】
図20Aは、第2比較例の光ケーブルの断面図である。
図20Bは、第2比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。
【
図21】
図21Aは、第3比較例の光ケーブルの断面図である。
図21Bは、第3比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。
【
図22】
図22Aは、第4比較例の光ケーブルの断面図である。
図22Bは、第4比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
複数の光ファイバユニットを備えた光ケーブルであって、前記光ファイバユニットは、間欠連結型の複数の光ファイバテープを有しており、或る断面において、少なくとも1つの前記光ファイバユニットは、前記光ファイバテープの両端の光ファイバの中点をMとし、前記光ファイバテープの重心をGとし、中点Mを始点とし重心Gを終点とするベクトルをベクトルMGとし、各前記光ファイバテープのベクトルMGを合成したベクトルをベクトルGUとするとき、ベクトルGUの長さは、複数の前記光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短いことを特徴とする光ケーブルが明らかとなる。このような光ケーブルによれば、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0012】
前記光ケーブルの全ての前記光ファイバユニットは、長手方向の少なくともいずれかの断面において、前記ベクトルGUの長さが、当該光ファイバユニットを構成する複数の前記光ファイバテープの前記ベクトルMGの最大長さよりも短いことが望ましい。これにより、いずれの光ファイバユニットにおいても、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0013】
前記複数の光ファイバユニットが互いに撚られており、前記光ケーブルの全ての前記光ファイバユニットは、撚りピッチの範囲内のいずれかの断面において、前記ベクトルGUの長さが、当該光ファイバユニットを構成する複数の前記光ファイバテープの前記ベクトルMGの最大長さよりも短いことが望ましい。これにより、光ファイバに付加される応力を長手方向に分散させやすくなる。
【0014】
前記光ファイバユニットは、前記複数の光ファイバテープを束ねるバンドル材を有することが望ましい。これにより、積層状態を崩した状態で複数の光ファイバテープを保持することができる。
【0015】
前記光ファイバユニットを構成する少なくとも1つの前記光ファイバテープにおいて、前記ベクトルMGの長さをLとし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、L/L0は、0.225以下であることが望ましい。これにより、間欠連結型の光ファイバテープの連結部の破損を抑制できる。
【0016】
L/L0は、0.149以下であることが更に望ましい。これにより、間欠連結型の光ファイバテープの連結部の破損を更に抑制できる。
【0017】
前記光ファイバユニットを構成する全ての前記光ファイバテープにおいて、L/L0は、0.225以下であることが望ましい。これにより、全ての光ファイバテープの連結部の破損を抑制できる。
【0018】
前記ベクトルMGの長さをLとし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、
L/L0の標準偏差は、0.011以上であることが望ましい。このようにベクトルMGの長さにばらつきがあるため、光ファイバに付加される応力が分散され易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0019】
前記光ファイバユニットを構成する少なくとも1つの前記光ファイバテープにおいて、
前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL1とし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき、L1/L0は、0.205以上、1.490以下であることが望ましい。これにより、間欠連結型の光ファイバテープの連結部の破損を抑制できる。
【0020】
L1/L0は、0.490以上、1.267以下であることが更に望ましい。これにより、間欠連結型の光ファイバテープの連結部の破損を更に抑制できる。
【0021】
前記光ファイバユニットを構成する全ての前記光ファイバテープにおいて、L1/L0は、0.205以上、1.490以下であることが望ましい。これにより、全ての光ファイバテープの連結部の破損を抑制できる。
【0022】
前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL1とし、平らな状態での前記光ファイバテープの両端の光ファイバの距離をL0としたとき複数の光ファイバテープのL1/L0の標準偏差は、0.018以上であることが望ましい。このように光ファイバテープの両端の光ファイバの距離L1にばらつきがあるため、光ファイバに付加される応力が分散され易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0023】
前記断面内において、前記光ファイバユニットの少なくとも1つの前記光ファイバテープは、テープ面の一方側を凸として曲がる箇所と、前記テープ面の逆側を凸として曲がる箇所とを有することが望ましい。これにより、光ファイバに付与される応力をテープ幅方向に分散させ易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0024】
間欠連結型の複数の光ファイバテープを有する光ファイバユニットを製造すること、及び、外被の内側に複数の前記光ファイバユニットを収容することを行う光ケーブルの製造方法であって、或る断面において、少なくとも1つの前記光ファイバユニットが、前記光ファイバテープの両端の光ファイバの中点をMとし、前記光ファイバテープの重心をGとし、中点Mを始点とし重心Gを終点とするベクトルをベクトルMGとし、各前記光ファイバテープのベクトルMGを合成したベクトルをベクトルGUとするとき、ベクトルGUの長さは、複数の前記光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短くなるように、複数の前記光ファイバテープの積層状態を崩した前記光ファイバユニットを製造することを特徴とする光ケーブルの製造方法が明らかとなる。このような製造方法によれば、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制可能な光ケーブルを製造できる。
【0025】
===第1実施形態===
<光ケーブル1の構成>
図1Aは、光ケーブル1の説明図である。
【0026】
光ケーブル1は、光ファイバ8を収容したケーブルである。本実施形態の光ケーブル1は、光ファイバ8を収容する溝(スロット)が形成されたスロットロッドを有さない光ケーブルであり、いわゆるスロットレス型の光ケーブルである。本実施形態の光ケーブル1は、複数の光ファイバユニット2と、外被3とを有する。なお、光ケーブル1は、ここではスロットレス型の光ケーブルであるが、スロットロッドを有するスロット型の光ケーブルでも良い。但し、後述する光ファイバユニット2は、スロットレス型の光ケーブル1に用いられた場合に特に有効である。
【0027】
光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8を束ねた構造体である。本実施形態の光ケーブル1は、複数の光ファイバユニット2を備えている。光ファイバユニット2の詳しい構造については後述する。複数の光ファイバユニット2は、押え巻きテープ5によって覆われた状態で外被3の内側に収容されている。複数の光ファイバユニット2は、一方向又はSZ状に撚られた状態で外被3の内側に収容されていても良い。押え巻きテープ5の内側には、複数の光ファイバユニット2の他に、介在物が収容されていても良い。例えば、押え巻きテープ5の内側、外側、或いは両方に、介在物として吸収材が収容されても良い。また、押え巻きテープ5が吸水テープで構成されていても良い。また、押え巻きテープ5が無くても良いし、介在物が無くても良い。
【0028】
外被3は、複数の光ファイバユニット2(及び押え巻きテープ5)を被覆する部材である。外被3の外形は、断面が略円形状である。本実施形態では、外被3の内側に、複数の光ファイバユニット2を包んだ押え巻きテープ5が収容されている。また、外被3には、テンションメンバ4が埋設されている。外被3には、テンションメンバ4の他に他の部材(例えばリップコードなど)が埋設されていても良い。
【0029】
図1Bは、光ファイバユニット2の説明図である。
光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8を束ねた構造体である。本実施形態の光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8がバンドル材10で束ねられている。但し、光ファイバユニット2は、バンドル材10を用いずに、例えば撚り合わせることで複数の光ファイバ8を束ねた構造でも良い。バンドル材10は、光ファイバ8の外周上に巻き付けられており、これにより複数の光ファイバ8が束ねられてバラバラにならないようになっている。本実施形態の光ファイバユニット2は、複数枚の間欠連結型の光ファイバテープ7を束ねて構成されている。
【0030】
図2は、間欠連結型の光ファイバテープ7の説明図である。
間欠連結型の光ファイバテープ7は、複数(ここでは12本)の光ファイバ8を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープ7である。隣接する2心の光ファイバ8は、連結部9Aによって連結されている。隣接する2心の光ファイバ8間には、複数の連結部9Aが長手方向に間欠的に配置されている。また、複数の連結部9Aは、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。隣接する2心の光ファイバ8間の連結部9A以外の領域は、非連結部9Bになっている。非連結部9Bでは、隣接する2心の光ファイバ8同士は拘束されていない。光ファイバテープ7は、テープ幅方向に対して柔軟に変形可能であり、多数の光ファイバ8を高密度に束ねることが可能である。
【0031】
なお、間欠連結型の光ファイバテープ7は、図に示したものに限られるものではない。例えば、連結部9Aの配置を変更しても良い。また、間欠連結型の光ファイバテープ7を構成する光ファイバ8の数を変更しても良い。また、隣り合う複数(例えば2本)の光ファイバを一組とし、複数の組を並列させて、隣り合う組の隣接する光ファイバ8を連結部9Aで間欠的に連結しても良い。また、間欠的に配置される連結部9Aの配置パターンは、一定のパターンでなくても良い。
【0032】
バンドル材10は、複数の光ファイバ8を束ねる部材である。バンドル材10は、複数の光ファイバ8を結束可能な部材であり、例えば糸状、紐状又はテープ状の部材である。バンドル材10は、光ファイバ8の束の外周上に巻き付けられている。図中の光ファイバユニット2は、2本のバンドル材10によって光ファイバ8を束ねているが、光ファイバユニット2のバンドル材10は、1本でも良いし、2本以上でも良い。また、光ファイバユニット2がバンドル材10を備えていなくても良い。
【0033】
バンドル材10は、高融点材料と低融点材料との複合材で構成されており、交点で熱融着されている。但し、バンドル材10は、複合材ではなく、単一材料によって構成されてもよい。例えば、高融点材料もしくは低融点材料のいずれかによって構成されていてもよいし、2本のバンドル材10の材質が異なってもよい。また、バンドル材10同士を熱融着する代わりに、接着剤により接合しても良い。また、バンドル材10の交点を接合していなくても良い。
【0034】
2本のバンドル材10は、
図1Bに示すように、光ファイバ8の束に対してそれぞれSZ状に巻き付けられている。つまり、それぞれのバンドル材10は、接合部15において巻き付け方向を反転させつつ、光ファイバ8の束の外周の半周分ずつ巻き付けられている。但し、バンドル材10の巻き付け方法は、これに限られるものではない。例えば、1本のバンドル材10が光ファイバ8の束の外周に螺旋状に巻き付けられても良い。また、2本のバンドル材10が光ファイバ8の束の外周にそれぞれ逆方向に螺旋状に巻き付けられても良い。本実施形態では、2本の紐状のバンドル材10により複数の光ファイバテープ7を束ねて光ファイバユニット2が構成されているが、光ファイバユニット2の構成は、これに限られるものではない。例えば、複数の光ファイバ8の束の外周上にテープ状のバンドル材10を包むように巻き付けることによって、光ファイバユニット2が構成されても良い。例えば、バンドル材10が押さえ巻きテープで構成されても良い。また、バンドル材10は、例えばルースチューブ、タイトバッファーチューブなどのチューブで構成されても良い。バンドル材10は、光ファイバ8の束の外形に追従するように取り付けられるため、光ファイバ8の束の外形を保持することができる(この結果、積層状態を崩した状態(後述)で複数の光ファイバテープ7を保持することができる)。
【0035】
図3は、光ファイバユニット2を製造するユニット製造装置20の説明図である。
ユニット製造装置20は、複数のテープ供給部30と、集合部40と、ユニット形成部100とを有する。
【0036】
テープ供給部30は、間欠連結型の光ファイバテープ7を供給する装置(供給源)である。例えば、テープ供給部30は、予め間欠連結型の光ファイバテープ7が巻き回されたドラム(又はボビン)で構成されている。なお、テープ供給部30は、間欠連結型の光ファイバテープ7の製造装置で構成されてもよい。本実施形態では、複数のテープ供給部30から集合部40へ間欠連結型の光ファイバテープ7がそれぞれ供給されることになる。
【0037】
集合部40は、複数の光ファイバテープ7を集合する装置である。集合部40は、複数の間欠連結型の光ファイバテープ7を束状に集合させる。本実施形態では、集合部40は、束状に集合させた複数の間欠連結型の光ファイバテープ7をバンドル取付部50へ供給することになる。
【0038】
ユニット形成部100は、複数の光ファイバテープ7をバンドル材10で束ねた光ファイバユニット2を形成する装置である。ユニット形成部100は、バンドル取付部50と、バンドル接合部60とを有する。但し、バンドル材10の接合を行わない場合、ユニット形成部100は、バンドル接合部60を備えず、バンドル取付部50を備えるだけでも良い。
【0039】
バンドル取付部50は、複数の間欠連結型の光ファイバテープ7の束の外周にバンドル材10を取り付ける装置である。本実施形態では、バンドル取付部50は、2本のバンドル材10をSZ状に巻き付けることになる。但し、バンドル取付部50は、バンドル材10をSZ状に巻き付けるものに限られず、例えばバンドル材10を一方向に螺旋状に巻き付けても良い。また、バンドル材がテープ状の場合には、バンドル取付部50は、複数の光ファイバテープ7の束を包むようにバンドル材を巻き付けても良い。また、バンドル材がチューブの場合には、チューブとなる樹脂を光ファイバテープ7の束の外周に押出成型しても良い。
【0040】
図4は、バンドル取付部50の説明図である。
バンドル取付部50は、第1回転部材51と、第2回転部材52とを有する。バンドル取付部50は、第1回転部材51及び第2回転部材52で構成された2重筒構造である。第1回転部材51は、筒状の部材である。第1回転部材51の中心部は、ファイバ通過部50Aであり、束状に集合させた複数の間欠連結型の光ファイバテープ7が通過することになる。また、第1回転部材51は、バンドル材10を通過させる第1通過部51Aを有する。第1回転部材51は、回転可能に設けられている。第2回転部材52は、第1回転部材51の外側に配置された筒状の部材である。第2回転部材52は、バンドル材10を通過させる第2通過部52Aを有する。第2回転部材52は、第1回転部材51に対して回転可能に設けられている。
【0041】
バンドル取付部50は、第1回転部材51と第2回転部材52を互いに逆方向に揺動させることになる。これにより、複数の間欠連結型の光ファイバテープ7の束の外周に2本のバンドル材10がSZ状に巻き付けられることになる。複数の間欠連結型の光ファイバテープ7の束の外周に2本のバンドル材10の交点が形成されながら、複数の間欠連結型の光ファイバテープ7及びバンドル材10がバンドル接合部60へ供給されることになる。なお、
図3において、バンドル取付部50とバンドル接合部60との間にバンドル材10の交点が複数形成されているが、バンドル取付部50とバンドル接合部60との間隔は、バンドル材10の交点の長手方向の間隔よりも短くてもよい。
【0042】
バンドル接合部60は、2本のバンドル材10を接合する装置である。本実施形態のバンドル接合部60は、筒状のヒーターで構成されている。筒状のヒーターの内壁面が加熱面になっている。複数の間欠連結型の光ファイバテープ7及びバンドル材10が、筒状のヒーターの内側を通過するときに、2本のバンドル材10の交点が融着接合され、接合部15が形成される。これにより、
図1Bに示す光ファイバユニット2が製造されることになる。なお、バンドル接合部60は、熱融着によりバンドル材10を接合する代わりに、接着剤によりバンドル材10を接合しても良い。また、後述するようにユニット形成部100がバンドル接合部60を備えず、バンドル材10が接合されなくても良い。
【0043】
なお、このように製造された複数の光ファイバユニット2が束ねられるとともに、押え巻きテープ5に巻き回され、押出成型装置において押え巻きテープ5の外側に外被3となる溶融樹脂が押出成型されることによって、光ケーブル1が製造されることになる。
【0044】
<光ファイバユニット2の断面形状について>
まず比較例の光ファイバユニットの断面形状について説明した後、本実施形態の光ファイバユニット2の断面形状について説明する。
【0045】
図19は、第1比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。第1比較例では、6枚の間欠連結型の光ファイバテープ7が積層された状態でバンドル材10によって束ねられている。第1比較例では、光ファイバテープ7は、テープ幅方向に対して曲げられておらず、テープ面が平坦である。また、それぞれの光ファイバテープ7の平坦なテープ面は、互いに平行になっており、それぞれの光ファイバテープ7のテープ面が揃っている。つまり、第1比較例では、6枚の光ファイバテープ7が規則的に積層されている。
【0046】
図19に示す第1比較例の場合、光ケーブルが曲がったときに、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。例えば、図中のN1-N1面を中立面として光ファイバユニット2が曲げられた場合、図中の1番目の光ファイバテープ7又は6番目の光ファイバテープ7(積層状態の端の光ファイバテープ7)を構成する光ファイバ8に引張応力又は圧縮応力が集中し、他の光ファイバ8に応力が分散し難くなる。また、図中の各光ファイバテープ7のN2-N2面を中立面として光ファイバユニット2が曲げられた場合、図中の1番ファイバ又は12番ファイバ(光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8)に引張応力又は圧縮応力が集中し、他の光ファイバ8に応力が分散し難くなる。このように特定の光ファイバ8に負荷が集中して他の光ファイバ8に負荷を分散させ難い状況下では、負荷の集中する光ファイバ8の伝送損失が増大し、この結果、最大伝送損失(複数の光ファイバ8の伝送損失のうちの最大の伝送損失)が増大する。このため、特定の光ファイバ8に負荷が集中しないことが望ましい。
【0047】
そこで、本実施形態では、次に説明するように、複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩した状態で、光ファイバユニット2を構成している。これにより、本実施形態では、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制し、光ケーブル1(又は光ファイバユニット2)の最大伝送損失を抑制している。
【0048】
図5Aは、本実施形態の光ケーブル1の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。
図5Aは、本実施形態の光ケーブル1の断面写真を線図にした説明図である。
図5Bは、
図5Aに示す光ファイバ8の座標を示すグラフである。
図5Bに示すグラフは、本実施形態の光ケーブル1の断面写真(2次元画像)に基づいて各光ファイバ8のXY座標を測定した結果を示している。
図5A及び
図5Bには、光ファイバテープ7を構成する複数の光ファイバ8の配置を示すため、隣接する光ファイバ8同士が実線で連結して示されている。
【0049】
本実施形態の光ファイバユニット2は、
図5Aに示すように、複数の光ファイバテープ7の積層状態が崩れている状態で構成されている。ここで、「複数の光ファイバテープ7の積層状態が崩れている状態」とは、
図19の第1比較例と比べて光ファイバテープ7同士の相対的な位置関係が異なった状態であり、且つ、少なくとも1枚の光ファイバテープ7のテープ面が湾曲した状態を意味する。なお、光ファイバテープ7のテープ面が湾曲した状態では、或る断面において、光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中点をMとし、光ファイバテープ7の重心をGとしたとき、通常、中点Mと重心Gがずれて配置されることになる(中点Mと重心Gが一致することは、きわめて稀である)。
【0050】
図6A及び
図6Bは、ベクトルMGとベクトルGUの説明図である。
図6Aには、
図5Bに示す光ファイバユニット2の断面におけるベクトルMGとベクトルGUが示されている。また、
図6Bには、
図5Bに示す光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中点M及び重心Gの座標と、ベクトルMG及びベクトルGUのxy成分及び長さが示されている。ここでは、或る断面において、中点Mを始点とし、重心Gを終点とするベクトルをベクトルMGとしている。また、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7(ここでは6枚の光ファイバテープ7)のそれぞれのベクトルMGを合成したベクトルをベクトルGUとしている。
【0051】
図6A及び
図6Bに示す通り、この光ファイバユニット2のこの断面では、ベクトルGUの長さは、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7(ここでは6枚の光ファイバテープ7)のベクトルMGの最大長さ(ここでは、1番テープのベクトルMGの長さ)よりも短い。このように、ベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短い場合、その光ファイバユニット2は、その断面において、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向(テープ面のテープ幅方向における曲げ方向)が特定の方向に偏らない状態になる。言い換えると、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向(テープ面のテープ幅方向における曲げ方向)がランダムに近い状態になる。このため、光ケーブル1がいずれの方向に曲がった場合においても、その光ファイバユニット2では、光ファイバ8に付加される応力が分散され易くなり、第1比較例と比べて、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制できる。なお、光ケーブル1に温度変化が加わり外被3が収縮する場合においても、光ファイバユニット2の光ファイバ8に付加される応力が分散され易くなり、第1比較例と比べて、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制できる。つまり、或る断面におけるベクトルGUの長さが、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7のベクトルMGの最大長さよりも短いことによって、特定の光ファイバ8に負荷(曲げや温度変化など)が集中することを抑制し、光ファイバユニット2の最大伝送損失を抑制することができる。
【0052】
なお、或る断面における光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2において、ベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短くなくても良い。つまり、或る断面における少なくとも1つの光ファイバユニット2について、ベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短ければ良い。これにより、その断面において、少なくともその光ファイバユニット2の最大伝送損失を抑制することができる。
【0053】
一方、光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2は、光ケーブル1の長手方向の少なくともいずれかの断面において、ベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短いことが望ましい。これにより、長手方向の或る位置(第1位置)における断面で或る光ファイバユニット2のベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも長くても、別の位置(第2位置)における断面でその光ファイバユニット2のベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短ければ、或る位置(第1位置)で光ケーブル1が曲げられたとき(若しくは、光ケーブル1に温度変化が加えられたとき)、光ファイバ8に付加される応力(引張応力又は圧縮応力)を別の位置(第2位置)で吸収することが可能になるため、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制できる。つまり、長手方向のいずれかの断面において光ファイバユニット2のベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短いことによって、光ファイバ8に付加される応力を長手方向に分散させることが可能になるため、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制できる。
【0054】
光ケーブル1を構成する複数の光ファイバユニット2が互いに撚られている場合には、或る位置(第1位置)で光ケーブル1が曲げられたときに光ファイバ8に付加される応力(引張応力又は圧縮応力)を別の位置(第2位置)で吸収しやすくさせるために、言い換えると、光ファイバ8に付加される応力を長手方向に分散させやすくさせるために、撚りピッチ(1ピッチ)の範囲内のいずれかの断面において、ベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短いことが望ましい。つまり、光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2は、撚りピッチ(1ピッチ)の範囲内のいずれかの断面において、ベクトルGUがベクトルMGの最大長さよりも短いことが望ましい。なお、撚りピッチ(1ピッチ)とは、複数の光ファイバユニット2が一方向に撚られている場合には、螺旋状に配置された光ファイバユニット2が周方向に1周するための長手方向の長さである。また、複数の光ファイバユニット2がSZ状に撚られている場合には、撚りピッチ(1ピッチ)とは、撚り方向が反転する位置から、次に同じ方向に反転する位置までの間の長手方向の長さ(間隔)である。
【0055】
<テープ面の曲げ方向について>
図7Aは、
図5Aの1番の光ファイバテープ7の断面形状の説明図である。図中の左から3番目の光ファイバ8や6番目の光ファイバ8の箇所(図中上側の矢印の箇所)では、図中の上側のテープ面を凸にして、光ファイバテープ7がテープ幅方向に対して曲げられている。一方、図中の左から5番目の光ファイバ8の箇所(図中下側の矢印の箇所)では、図中の下側のテープ面を凸にして、光ファイバテープ7がテープ幅方向に対して曲げられている。このように、或る断面において、光ファイバテープ7の一方側のテープ面を凸として曲がる箇所と、逆側のテープ面を凸として曲がる箇所とを有することが望ましい。
【0056】
図7Bは、光ファイバテープ7がテープ幅方向に対して一方向に曲げられている場合の比較説明図である。図中の矢印に示すように、テープ面の凸側において、光ファイバ8に引っ張り力が作用する。
図7Bのように光ファイバテープ7が一方向に曲げられている場合、各光ファイバ8のテープ面の凸側に引っ張り力が蓄積した状態になるため、或る光ファイバ8に更に引っ張り力が作用したときに、その引っ張り力を他の光ファイバ8に分散させ難くなり、特定の光ファイバ8に引っ張り力が集中するおそれがある。つまり、
図7Bのように光ファイバテープ7が一方向に曲げられている場合、光ファイバ8に付与される応力をテープ幅方向に分散させ難くなる。
これに対し、
図7Aに示す本実施形態では、例えば、左から3番目の光ファイバ8のテープ面が凸の側(図中の上側)に引っ張り力が作用したときに、左から5番目の光ファイバ8(逆側に凸に曲げられている箇所)にその引っ張り力を分散させることができる。このように、或る断面において、光ファイバテープ7の一方側のテープ面を凸として曲がる箇所と、逆側のテープ面を凸として曲がる箇所とを有することにより、光ファイバ8に付与される応力をテープ幅方向に分散させ易くなる。これにより、特定の光ファイバ8に力が集中することを更に抑制し、光ファイバユニット2の最大伝送損失を更に抑制することができる。
【0057】
<積層状態の崩し方について>
図8は、積層状態を崩した状態の光ファイバユニット2の第1の製造方法の説明図である。
図9は、第1の製造方法におけるバンドル接合部60の断面図である。
図9の上図は、XZ平面(積層状態の光ファイバテープ7のテープ面に平行な面)でのバンドル接合部60の断面図である。
図9の下図は、YZ平面(光ファイバテープ7の積層方向(Y方向)及び長手方向(Z方向)に平行な面)でのバンドル接合部60の断面図である。なお、
図9の下図には、バンドル接合部60の長手方向の異なる3箇所におけるバンドル接合部60の断面図(長手方向に垂直なXY平面での断面図)も示されている。
図9の左側には、積層状態の複数の光ファイバテープ7が示されている。なお、複数の光ファイバテープ7は、
図9(及び
図3)に示すように、交点の形成されたバンドル材10が外周に巻き回された状態で、バンドル接合部60に挿通された状態となる。
【0058】
バンドル接合部60は、光ファイバユニット2(複数の光ファイバテープ7及びバンドル材10)を通過させるためのユニット通過部61(貫通穴)を有する。また、バンドル接合部60は、絞り部62と、第1テーパ部63Aと、第2テーパ部63Bとを有する。
【0059】
絞り部62は、複数の光ファイバテープ7で構成された光ファイバ8の束を細く絞る部位である。複数の光ファイバテープ7及びバンドル材が絞り部62を通過するとき、バンドル材が絞り部62の内壁面(ヒーター)から加熱され、2本のバンドル材の交点が融着されることになる。積層状態の光ファイバテープ7のテープ幅方向(X方向)の寸法をW0とし、絞り部62における同じ方向(X方向)のユニット通過部61の寸法をW1としたとき、寸法W1は寸法W0よりも狭い(W1<W0)。これにより、2本のバンドル材の交点を融着接続させる際に、ユニット通過部61の内壁面と光ファイバテープ7とを接触させ、光ファイバテープ7をテープ幅方向に対して変形させることができる。
【0060】
第1テーパ部63Aは、絞り部62よりも入口側(上流側)のテーパ状の部位である。第1テーパ部63Aが設けられることにより、光ファイバ8に過度なストレスを与えることなく光ファイバ8を絞り部62に誘導することができる。第2テーパ部63Bは、絞り部62よりも出口側(下流側)に設けられたテーパ状の部位である。第2テーパ部63Bが設けられることにより、バンドル材10の接合部15に急激な力が加わることを抑制でき、接合部15が解けることを抑制できる。
【0061】
第1の製造方法では、絞り部62の内壁面と光ファイバテープ7とを接触させて、光ファイバテープ7をテープ幅方向に対して変形させている。加えて、第1の製造方法では、絞り部62の断面は、楕円形状であり、短軸に対して対称な形状である。短軸に対して対称な形状の絞り部62に、長軸方向(Y方向)に積層させた複数の光ファイバテープ7を通過させることによって、短軸の上側に位置する光ファイバテープ7と、短軸の下側に位置する光ファイバテープ7とでテープ面の変形が逆向きになるように誘導できる。これにより、光ファイバユニット2の断面において、ベクトルGUの長さがベクトルMGの最大長さよりも短くなるように、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向が特定の方向に偏らない状態にできる。
【0062】
なお、複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩す方法は、上記の方法に限られるものではない。例えば、バンドル材10の融着時ではなく、次に説明するように、複数の光ファイバテープ7の集合時に積層状態を崩しても良い。
【0063】
図10は、積層状態を崩した状態の光ファイバユニット2の別の製造方法の説明図であり、複数の光ファイバテープ7の集合時に積層状態を崩す方法の説明図である。集合部40は、中間部材41と、集合部材42とを有する。ここでは、中間部材41は複数の搬送ローラー41Aにより構成されており、集合部材42は、集合ローラー42Aにより構成されている。但し、中間部材41及び集合部材42の構成は、これに限られるものではない。
【0064】
搬送ローラー41Aは、光ファイバテープ7を搬送するローラー(プーリーやコロなどを含む回転体)である。それぞれの搬送ローラー41Aは、1枚の光ファイバテープ7を搬送する。集合ローラー42Aは、集合させた複数の光ファイバテープ7を搬送するローラーである。集合ローラー42Aは、複数の光ファイバテープ7を集合させた状態で搬送する。ここでは、
図10に示すように、集合ローラー42Aの回転軸に平行な方向をX方向とする。また、X方向と光ファイバテープ7の長手方向とに対して垂直な方向をY方向とする(光ファイバテープ7の長手方向をZ方向とする)。
【0065】
図10に示すように、少なくとも1つの搬送ローラー41Aの回転軸は、他の搬送ローラー41Aの回転軸に対して傾いて配置されている。具体的には、5つの搬送ローラー41Aの回転軸がX方向に平行であるのに対し、1つの搬送ローラー41Aの回転軸はX方向に対して角度θだけ傾いている。或る光ファイバテープ7のテープ面を他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾けた状態で、複数の光ファイバテープ7を集合させることによって、積層状態が崩れた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させることができる。
【0066】
また、複数の光ファイバテープ7を集合させたときにY方向の中央部に位置する光ファイバテープ7を搬送する搬送ローラー41Aの回転軸が、他の搬送ローラー41Aの回転軸に対して傾いて配置されている。これにより、傾いた光ファイバテープよりもY方向プラス側に位置する光ファイバテープ7と、傾いた光ファイバテープよりもY方向マイナス側に位置する光ファイバテープ7とでテープ面の変形が逆向きになるように誘導できる。このため、光ファイバユニット2の断面において、ベクトルGUの長さがベクトルMGの最大長さよりも短くなるように、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向が特定の方向に偏らない状態にできる。
【0067】
ところで、
図9に示す製造方法では、例えば、ユニット通過部61の形状(絞り部62、第1テーパ部63A、第2テーパ部63Bの形状)を変更することによって、光ファイバテープ7の湾曲を調整することが可能である。例えば、絞り部62のテープ幅方向における寸法W1を狭めることによって、光ファイバテープ7の湾曲を大きくすることが可能である。
また、
図10に示す製造方法では、例えば、搬送ローラー41Aの傾きθを変更することによって、光ファイバテープ7の湾曲を調整することが可能である。例えば、搬送ローラー41Aの傾きθを大きくすることによって、光ファイバテープ7の湾曲を大きくすることが可能である。
【0068】
なお、光ファイバテープ7の湾曲の変更方法(調整方法)は、ユニット通過部61(
図9参照)の形状変更や、搬送ローラー41A(
図10参照)の傾き変更に限られるものではない。また、
図9や
図10に示す製造方法とは異なる製造方法や、バンドル材の有無やバンドル材の種類を異ならせた光ケーブルにおいても、光ファイバテープの7湾曲を変更可能である。
例えば、光ファイバテープ7の連結部9A(
図2参照)の配置、形状、物性を変更することによって、光ファイバテープ7の湾曲を調整することが可能である。例えば、長手方向に間欠的に形成された連結部9Aの長手方向の間隔を長くしたり、それぞれの連結部9Aの長手方向の寸法を短くしたり、連結部9Aのヤング率を低くしたりすることによって、光ファイバテープ7の湾曲を大きくすることが可能である。
また、光ケーブル1の形状を変更することによって、光ファイバテープ7の湾曲を調整することも可能である。例えば、光ケーブル内の光ファイバの実装密度や、バンドル材等の介在物の本数などを変更することによって、光ファイバテープ7の湾曲を調整することが可能である。なお、光ケーブル内の光ファイバの実装密度とは、外被内の断面積から光ファイバ以外の部材の断面積を引いた面積における1mm
2当たりの光ファイバの本数であるため、例えば、外被内の断面積や、光ファイバ以外の部材(バンドル材等の介在物)の断面積や、光ファイバの本数などを変更することによって、実装密度を変更することができ、光ファイバテープ7の湾曲を調整することが可能である。例えば、光ケーブル内の光ファイバの実装密度を高めたり、バンドル材の本数を増やしたりすることによって、光ファイバテープ7の湾曲を大きくすることが可能である。なお、例えば、光ケーブルの内部に配置する介在の位置を変更することによって、光ファイバテープ7の湾曲を調整することも可能である。
【0069】
上記のように、光ファイバテープ7の湾曲を調整することによって、光ケーブルの断面におけるベクトルMGの長さを調整することができ、ベクトルGUの長さがベクトルMGの最大長さよりも短くすることが可能である。なお、光ファイバテープ7の湾曲を調整することによって、ベクトルMGの長さだけでなく、ベクトルMGのばらつき(後述)や、光ファイバテープ7の両端距離(後述)や、両端距離のばらつき(後述)なども所定の条件を満たすように調整することが可能である。
【0070】
<実施例>
実施例として、864心の光ケーブルを作成した。光ファイバユニットは、6枚の間欠連結型の光ファイバテープをSZ状に巻き付けたバンドル材で束ねて構成した。光ケーブルは、12ユニットの光ファイバユニットをSZ状に撚り合わせ、撚り合わせた12ユニットの光ファイバユニットを押え巻きテープに包み、押え巻きテープの外側を外被で被覆した。ここでは、光ケーブル内の光ファイバの実装密度を8~20本/mm2の範囲として、複数種類の光ケーブルを作成した。なお、実装密度は、外被内の光ファイバの本数(ここでは864本)を、外被内の断面積から光ファイバ以外の部材(押え巻きテープや介在物など)の断面積を引いた面積で割った値である。つまり、実装密度は、外被内の断面積から光ファイバ以外の部材の断面積を引いた面積における1mm2当たりの光ファイバの本数である。
また、それぞれの光ケーブルの評価として、-40℃/+70℃の2サイクルの条件下における損失温度特性評価を行った。なお、測定波長を1550nmとし、GR-20-CORE Issue4, 6.6.4.3 Optical Acceptance Criteriaに準拠して光ケーブルの最大伝送損失増加量を測定した。測定結果が0.15dB/km以下の場合、良(○)と評価し、測定結果が0.15dB/kmより大きい場合には、不可(×)と評価した。
【0071】
・実施例1
それぞれの光ケーブルの断面を撮影し、既に説明したように、光ケーブルの断面写真(2次元画像)に基づいて各光ファイバ8のXY座標を測定し、各光ファイバユニットのそれぞれの光ファイバテープのベクトルMGと、ベクトルGUを測定した。n番ユニット(n:1~12)におけるそれぞれの光ファイバテープについて、ベクトルGUの長さをベクトルMGで割った値を算出し、n番ユニットにおける最小値(n番ユニットを構成する複数の光ファイバテープにおけるベクトルGUの長さをベクトルMGで割った値の最小値)をXnとする。また、光ケーブル内の全ユニットにおけるXnの最小値をXminとする。なお、Xnが1未満の場合、その光ファイバユニットでは、ベクトルGUの長さが複数の光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短いことを意味する。また、Xminが1未満の場合、光ケーブルの少なくとも1つの光ファイバユニットにおいて、ベクトルGUの長さが複数の光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短いことを意味する。
【0072】
図11Aは、各光ケーブルのXminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示す表である。
図11Bは、各光ケーブルのXminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示すグラフである。
【0073】
図11Aに示すように、Xminが1未満の場合、最大伝送損失増加量Δmaxが0.15dB/km以下であった(良と評価された)。また、
図11Bに示すように、Xminが1よりも大きくなると、最大伝送損失増加量Δmaxが顕著に増加した。したがって、Xminは1未満であることが望ましい。すなわち、光ケーブルの少なくとも1つの光ファイバユニットにおいてベクトルGUの長さが複数の光ファイバテープのベクトルMGの最大長さよりも短いことが望ましい。
【0074】
・実施例2:ベクトルMGの長さ
図12は、ベクトルMGの長さ(無次元化)と、しごき試験の評価結果との関係を示す表である。
図中には、ベクトルMGの長さを無次元化した値が示されている。具体的には、本実施形態の光ケーブル1の断面写真(2次元画像)でのXY座標に基づくベクトルMGの長さをLとし、平らな状態での光ファイバテープ7(第1比較例参照)の両端の光ファイバ8の中心間距離をL0(XY座標上の長さ2.75に相当)としたとき、ベクトルMGの長さLをL0で割った値(L/L0)を、無次元化されたベクトルMGの長さとしている。
また、図中には、しごき試験の評価結果が示されている。しごき試験は、IEC60794-1-21 Method E18Aに基づき、張力2700N又は1350N、マンドレル径600mm、及び曲げ角度90°の条件下で行った。しごき試験後、光ケーブルを解体して光ファイバテープ7の連結部9Aの破損の有無を評価した。張力2700N及び1350Nのいずれの条件下でも連結部9Aの破損が無い場合には優良(◎)と評価し、張力1350Nの条件では連結部9Aの破損が無い場合には良(○)と評価し、張力2700N及び1350Nのいずれの条件下でも連結部9Aの破損がある場合には不良(×)と評価した。
【0075】
図12に示すように、L/L0が0.242以上の場合、張力2700N及び1350Nのいずれの条件下でも光ファイバテープ7の連結部9Aの破損が確認された。なお、L/L0が大きい値になると、光ケーブルの断面において光ファイバテープ7が鋭く折れ曲がるように変形する傾向があるため、L/L0が0.242以上の場合には、光ファイバテープ7の連結部9Aが破損するほど光ファイバテープ7が鋭く折れ曲がるように変形したと考えられる。このため、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0は、0.225以下であることが望ましい(L/L0≦0.225)。
【0076】
図12に示すように、L/L0が0.008以上、0.225以下の範囲では、張力1350Nの条件ではしごき試験後の光ファイバテープ7の連結部9Aに破損が無かった。このため、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0は、0.008以上、0.225以下であることが望ましい(0.008≦L/L0≦0.225)。また、L/L0が0.008以上、0.149以下の範囲では、張力2700Nの条件でもしごき試験後の光ファイバテープ7の連結部9Aに破損が無かった。このため、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0は、0.008以上、0.149以下であることが更に望ましい(0.008≦L/L0≦0.149)。
【0077】
なお、光ファイバテープ7のテープ面が湾曲した状態では、通常、中点Mと重心Gがずれて配置されるため(中点Mと重心Gが一致することは、きわめて稀であるため)、
図12に示す実施例では、L/L0が0の場合の評価結果が得られなかった。但し、L/L0が0の場合には、光ファイバテープ7は折れ曲がるような変形をしていないため、連結部9Aは破損しないことが想定できる。したがって、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0は、0の場合も含んで良いので、0以上、0.225以下であることが望ましく(0≦L/L0≦0.225)、0以上、0.149以下であることが更に望ましい。つまり、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0は、0.225以下であれば良く(L/L0≦0.225)、0.149以下であれば更に良い。
【0078】
或る断面における光ケーブル1の全ての光ファイバテープ7において、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0が0.225以下(又は0.149以下)でなくても良い。つまり、或る断面における少なくとも1つの光ファイバテープ7について、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0が0.225以下(又は0.149以下)であれば良い。これにより、その断面において、少なくともその光ファイバテープ7の連結部9Aの損傷を抑制できる。一方、光ファイバユニット2を構成する全ての光ファイバテープ7において、ベクトルMGの長さ(無次元化)を示すL/L0が0.225以下(又は0.149以下)であることが望ましい。これにより、光ファイバユニット2を構成する全ての光ファイバテープ7の連結部9Aの損傷を抑制できる。
【0079】
・実施例3:ベクトルMGのばらつき
【0080】
図13Aは、或る光ケーブルにおける複数の光ファイバユニット2のベクトルMGの長さ(無次元化)と、ベクトルMGの長さのばらつきを示す表である。
図13Bは、或る光ケーブルにおける複数の光ファイバユニット2のベクトルMGのばらつきを示すグラフである。なお、
図13A及び
図13Bには、ベクトルMGの長さを無次元化した値が示されている。具体的には、本実施形態の光ケーブル1の断面写真(2次元画像)でのXY座標に基づくベクトルMGの長さをLとし、平らな状態での光ファイバテープ7(第1比較例参照)の両端の光ファイバ8の中心間距離をL0(XY座標上の長さ2.75に相当)としたとき、ベクトルMGの長さLをL0で割った値(L/L0)を、無次元化されたベクトルMGの長さとしている。
【0081】
図13A及び
図13Bに示す通り、本実施形態の光ケーブル1では、各光ファイバユニット2において、ベクトルMGの長さにばらつきが生じる。一方、前述の第1比較例では、6枚の光ファイバテープ7が規則的に積層された状態であるため、ベクトルMGの長さにばらつきが生じない(ベクトルMGの長さの標準偏差は、ほぼゼロになる)。本実施形態のようにベクトルMGの長さにばらつきが生じている場合、各光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7がランダムに近い状態で曲げられた状態になっているため、光ケーブル1がいずれの方向に曲がった場合においても、その光ファイバユニット2では、光ファイバ8に付加される応力が分散され易くなり、第1比較例と比べて、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制できる。
【0082】
そこで、0.9<Xmin<1.0となるように複数種類の光ケーブルを作成し、ベクトルMGのばらつきの影響についても測定した。具体的には、n番ユニットにおけるそれぞれの光ファイバテープについて、ベクトルMGの長さLをL0で割った値(L/L0;無次元化されたベクトルMGの長さ)を算出し、n番ユニットにおけるL/L0の値(n番ユニットを構成する複数の光ファイバテープのL/L0)の標準偏差をYnとする。また、光ケーブル内の全ユニットにおけるYnの最小値をYminとする。
【0083】
図14Aは、各光ケーブルのYminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示す表である。
図14Bは、各光ケーブルのYminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示すグラフである。ここでは、測定波長を1550nmとし、GR-20-CORE Issue4, 6.6.4.3 Optical Acceptance Criteriaに準拠して光ケーブルの最大伝送損失増加量を測定し、測定結果が0.15dB/km以下の場合、良(○)と評価し、測定結果が0.10dB/km以下の場合には、優良(◎)と評価した。
【0084】
図14Aに示すように、Yminが0.011以上の場合、最大伝送損失増加量Δmaxが0.10dB/km以下であった(優良と評価された)。また、
図14Bに示すように、Yminが0.011未満の場合、最大伝送損失増加量Δmaxが0.15dB/km以下であるものの、最大伝送損失増加量Δmaxが顕著に増加した。したがって、Yminは0.011以上であることが望ましい。すなわち、L/L0の値(ベクトルMGの長さLを、平らな状態での光ファイバテープの両端の光ファイバの距離L0で割った長さ)の標準偏差は、0.011以上であることが望ましい。
【0085】
なお、光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2において、L/L0の標準偏差が0.011以上でなくても良い。つまり、少なくとも1つの光ファイバユニット2について、L/L0の標準偏差が0.011以上であれば良い。これにより、少なくともその光ファイバユニット2では、ベクトルMGの長さにばらつきがあるため、光ファイバに付加される応力が分散され易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。一方、本実施例に示すように、光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2において、L/L0の標準偏差が0.011以上であることが望ましい。これにより、全ての光ファイバユニット2において、ベクトルMGの長さにばらつきがあるため、光ファイバに付加される応力が分散され易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0086】
・実施例4:両端距離
図15は、光ファイバテープ7の両端距離(無次元化)と、しごき試験の評価結果との関係を示す表である。
図中には、光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心距離(両端距離)を無次元化した値が示されている。具体的には、本実施形態の光ケーブル1の断面写真(2次元画像)でのXY座標上での光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心間距離をL1とし、平らな状態での光ファイバテープ7(第1比較例参照)の両端の光ファイバ8の中心間距離をL0としたとき、L1をL0で割った値(L1/L0)を、無次元化された両端距離としている。
また、図中には、しごき試験の評価結果が示されている。しごき試験の方法、条件、評価は前述の実施例2と同様である。
【0087】
図15に示すように、L1/L0が0.135以下の場合、張力2700N及び1350Nのいずれの条件下でも連結部9Aの破損が確認された。なお、L1/L0が小さい値になると、光ケーブルの断面において光ファイバテープ7が折り畳まれるように変形する傾向があるため、L1/L0が0.135以下の場合には、光ファイバテープ7の連結部9Aが破損するほど光ファイバテープ7が折り畳まれるように変形したと考えられる。
また、
図15に示すように、L1/L0が1.633以上の場合においても、張力2700N及び1350Nのいずれの条件下で光ファイバテープ7の連結部9Aの破損が確認された。L1/L0が1を超えて大きい値になるほど、光ファイバテープ7の連結部9Aがテープ幅方向に引っ張られるため、L1/L0が1.633以上の場合には、光ファイバテープ7の連結部9Aが破損するほど連結部9Aがテープ幅方向に引っ張られたと考えられる。
一方、
図15に示すように、L1/L0が0.205以上、1.490以下の範囲では、張力1350Nの条件ではしごき試験後の光ファイバテープ7の連結部9Aに破損が無かった。このため、光ファイバテープ7の両端距離(無次元化)を示すL1/L0は、0.205以上、1.490以下であることが望ましい(0.205≦L1/L0≦1.490)。また、L1/L0が0.490以上、1.267以下の範囲では、張力2700Nの条件でもしごき試験後の光ファイバテープ7の連結部9Aに破損が無かった。このため、光ファイバテープ7の両端距離(無次元化)を示すL1/L0は、0.490以上、1.267以下であることが更に望ましい(0.490≦L1/L0≦1.267)。
【0088】
或る断面における光ケーブル1の全ての光ファイバテープ7において、両端距離(無次元化)を示すL1/L0が0.205以上、1.490以下(又は0.490以上、1.267以下)でなくても良い。つまり、或る断面における少なくとも1つの光ファイバテープ7について、両端距離(無次元化)を示すL1/L0が0.205以上、1.490以下(又は0.490以上、1.267以下)であれば良い。これにより、その断面において、少なくともその光ファイバテープ7の連結部9Aの損傷を抑制できる。一方、光ファイバユニット2を構成する全ての光ファイバテープ7において両端距離(無次元化)を示すL1/L0が0.205以上、1.490以下(又は0.490以上、1.267以下)であることが望ましい。これにより、光ファイバユニット2を構成する全ての光ファイバテープ7の連結部9Aの損傷を抑制できる。
【0089】
・実施例5:両端距離のばらつき
【0090】
図16Aは、複数の光ファイバユニット2におけるそれぞれの光ファイバテープ7の両端距離(無次元化)と、両端距離のばらつきを示す表である。
図16Bは、それぞれの光ファイバユニット2における両端距離のばらつきを示すグラフである。なお、
図16A及び
図16Bには、光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心距離(両端距離)を無次元化した値が示されている。具体的には、本実施形態の光ケーブル1の断面写真(2次元画像)でのXY座標上での光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心間距離をL1とし、平らな状態での光ファイバテープ7(第1比較例参照)の両端の光ファイバ8の中心間距離をL0としたとき、L1をL0で割った値(L1/L0)を、無次元化された両端距離としている。
【0091】
図16A及び
図16Bに示す通り、本実施形態の光ケーブル1では、各光ファイバユニット2において、光ファイバテープ7の両端距離にばらつきが生じる。一方、前述の第1比較例では、6枚の光ファイバテープ7がいずれも平坦な状態で積層されているため、両端距離にばらつきが生じない(両端距離の標準偏差は、ほぼゼロになる)。本実施形態では、いずれの光ファイバユニット2においても、光ファイバテープ7の両端距離にばらつきが生じている場合、各光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7がランダムに近い状態で曲げられた状態になっているため、光ケーブル1がいずれの方向に曲がった場合においても、その光ファイバユニット2では、光ファイバ8に付加される応力が分散され易くなり、第1比較例と比べて、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制できる。
【0092】
そこで、0.9<Xmin<1.0となるように複数種類の光ケーブルを作成し、両端距離(L1/L0)のばらつきの影響についても測定した。具体的には、n番ユニットにおけるそれぞれの光ファイバテープについて、光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心間距離L1をL0で割った値(L1/L0;無次元化された両端距離)を算出し、n番ユニットにおけるL1/L0の値(n番ユニットを構成する複数の光ファイバテープ7のL1/L0)の標準偏差をZnとする。また、光ケーブル内の全ユニットにおけるZnの最小値をZminとする。
【0093】
図17Aは、各光ケーブルのZminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示す表である。
図17Bは、各光ケーブルのZminと最大伝送損失増加量Δmaxの測定結果を示すグラフである。ここでも光ケーブルの最大伝送損失増加量を同様に測定し、測定結果が0.15dB/km以下の場合、良(○)と評価し、測定結果が0.10dB/km以下の場合には、優良(◎)と評価した。
【0094】
図17Aに示すように、Zminが0.18以上の場合、最大伝送損失増加量Δmaxが0.10dB/km以下であった(優良と評価された)。また、
図17Bに示すように、Zminが0.18未満の場合、最大伝送損失増加量Δmaxが0.15dB/km以下であるものの、最大伝送損失増加量Δmaxが顕著に増加した。したがって、Zminは0.18以上であることが望ましい。すなわち、光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心間距離L1をL0で割った値の標準偏差は、0.018以上であることが望ましい。
【0095】
なお、光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2において、L1/L0の標準偏差が0.018以上でなくても良い。つまり、少なくとも1つの光ファイバユニット2について、L1/L0の標準偏差が0.018以上であれば良い。これにより、少なくともその光ファイバユニット2では、複数の光ファイバテープ7がランダムに近い状態で曲げられた状態になっているため、光ケーブル1がいずれの方向に曲がった場合においても、その光ファイバユニット2では、光ファイバ8に付加される応力が分散され易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。一方、本実施例に示すように、光ケーブル1の全ての光ファイバユニット2において、L1/L0の標準偏差が0.018以上であることが望ましい。これにより、全ての光ファイバユニット2において、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7がランダムに近い状態で曲げられた状態になっているため、光ケーブル1がいずれの方向に曲がった場合においても、その光ファイバユニット2では、光ファイバ8に付加される応力が分散され易くなり、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【0096】
<他の比較例との対比>
図18は、本実施形態の光ファイバユニット2と比較例との断面形状との対比表である。第1比較例(
図19参照)については既に説明したので、ここでは主に第2~第4比較例について説明する。
【0097】
・第2比較例
図20Aは、第2比較例の光ケーブルの断面図である。第2比較例の光ケーブルは、複数のスロット(溝)を有するロッドを備えたスロット型の光ケーブルである。それぞれのスロットには、複数の光ファイバテープ7で構成された光ファイバユニット2が収容されている。
【0098】
図20Bは、第2比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。第2比較例においても、光ファイバテープ7は、間欠連結型の光ファイバテープ7で構成されている。この結果、第2比較例では、光ファイバテープ7は、スロットの内壁面に沿うように変形している。つまり、第2比較例では、共通のスロットに収容されている複数の光ファイバテープ7は、共通のスロットの内壁面に沿って同じように変形することになる。この結果、第2比較例では、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7のそれぞれのベクトルMGは、ほぼ共通の方向に向くため、ベクトルGUが比較的長くなる。つまり、第2比較例では、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向が特定の方向に偏った状態である。このため、第2比較例では、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。なお、第2比較例のようなスロット型の光ケーブルに限らず、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向が特定の方向に偏った状態では、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。
【0099】
また、第2比較例では、複数の光ファイバテープ7は、共通のスロットの内壁面に沿って同じように変形するため、ベクトルMGの長さにばらつきが生じ難くなるので、本実施形態と比べると、ベクトルMGの長さの標準偏差は、小さくなる。このため、第2比較例では、本実施形態と比べると複数の光ファイバテープ7の配置が規則的でありランダム性を有しないため、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。また、第2比較例では、複数の光ファイバテープ7は、共通のスロットの内壁面に沿って同じように変形するため、両端距離のばらつき(光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心間の距離L1とし、平らな状態での光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8の中心間距離L0としたときの複数の光ファイバテープ7のL1/L0の標準偏差)が小さくなる。このような理由からも、第2比較例では、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。
【0100】
なお、第2比較例では、それぞれの光ファイバテープ7は、スロットの底側のテープ面を凸として曲がり易い。つまり、第2比較例では、
図20Bに示すように、各光ファイバテープ7は、テープ幅方向に対して一方向に曲げられる。このため、第2比較例では、光ファイバ8に付与される応力をテープ幅方向に分散させ難くなる。
【0101】
・第3比較例
図21Aは、第3比較例の光ケーブルの断面図である。第3比較例の光ケーブルは、第2比較例と同様に、複数のスロット(溝)を有するロッドを備えたスロット型の光ケーブルである。それぞれのスロットには、複数の光ファイバテープ7で構成された光ファイバユニット2が収容されている。
【0102】
図21Bは、第3比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。第3比較例においても、光ファイバテープ7は、間欠連結型の光ファイバテープ7で構成されている。第3比較例では、それぞれの光ファイバテープ7は、複数の光ファイバ8が渦巻き状に配置されている。言い換えると、第3比較例では、それぞれの光ファイバテープ7は、テープ面が渦巻き状になるように変形している。第3比較例では、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7のそれぞれのベクトルMGが共通の方向を向いているため、ベクトルGUが比較的長くなる。第3比較例では、複数の光ファイバテープ7が規則的に配置されており、ランダム性を有しないため、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。
【0103】
また、第3比較例では、複数の光ファイバテープ7は、テープ面が渦巻き状になるように同じように変形しているため、ベクトルMGの長さにばらつきが生じ難くなるので、本実施形態と比べると、ベクトルMGの長さの標準偏差は、小さくなる。このため、第3比較例では、本実施形態と比べると複数の光ファイバテープ7の配置が規則的でありランダム性を有しないため、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。また、第3比較例では、複数の光ファイバテープ7は、テープ面が渦巻き状になるように同じように変形しているため、両端距離のばらつき(複数の光ファイバテープ7のL1/L0の標準偏差)が小さくなる。このような理由からも、第3比較例では、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。
【0104】
・第4比較例
図22Aは、第4比較例の光ケーブルの断面図である。第4比較例の光ケーブルは、本実施形態と同様に、スロットレス型の光ケーブルである。第4比較例の光ケーブルは、周方向に均等に配置された複数の光ファイバユニット2を備えている。
【0105】
図22Bは、第4比較例の光ファイバユニット2の断面形状の説明図である。光ファイバユニット2は、扇形状(又はハート型)の断面形状を有している。ここでは、光ファイバユニット2は、6枚の間欠連結型の光ファイバテープ7を備えている。3枚の光ファイバテープ7を1セットとして、2セットの光ファイバテープ7が対称的に配置されることによって、光ファイバユニット2が構成されている。1セットを構成する3枚の光ファイバテープ7は、重ね合わせた状態で同じ方向に屈曲して配置されている。この結果、第4比較例では、光ファイバユニット2を構成する複数の光ファイバテープ7のそれぞれのベクトルMGは、ほぼ共通の方向に向くため、ベクトルGUが比較的長くなる。つまり、第4比較例では、複数の光ファイバテープ7の曲げ方向が特定の方向に偏った状態である。このため、第4比較例では、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。
【0106】
また、第4比較例では、複数の光ファイバテープ7は、3枚の光ファイバテープ7を1セットとして重ね合わせた状態で同じ方向に屈曲しており、2セットの光ファイバテープ7は対称的に配置されているため、ベクトルMGの長さにばらつきが生じ難くなるので、本実施形態と比べると、ベクトルMGの長さの標準偏差は、小さくなる。このため、第4比較例では、本実施形態と比べると複数の光ファイバテープ7の配置が規則的でありランダム性を有しないため、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。また、第4比較例では、複数の光ファイバテープ7は、3枚の光ファイバテープ7を1セットとして重ね合わせた状態で同じ方向に屈曲しており、2セットの光ファイバテープ7は対称的に配置されているため、両端距離のばらつき(複数の光ファイバテープ7のL1/L0の標準偏差)が小さくなる。このような理由からも、第3比較例では、光ケーブルが所定の方向に曲げられた場合に、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。
【0107】
なお、第4比較例では、それぞれの光ファイバテープ7は、外側のテープ面を凸として屈曲して配置されている。つまり、第4比較例では、
図22Bに示すように、各光ファイバテープ7は、テープ幅方向に対して一方向に曲げられている。このため、第4比較例では、光ファイバ8に付与される応力をテープ幅方向に分散させ難くなる。
【0108】
===その他の実施形態===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。また、上述の各実施形態が適宜組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 光ケーブル、2 光ファイバユニット、
3 外被、4 テンションメンバ、5 押え巻きテープ、
7 光ファイバテープ、8 光ファイバ、
9A 連結部、9B 非連結部、
10 バンドル材、11 コア部、12 被覆部、
15 接合部、
20 ユニット製造装置、30 テープ供給部、40 集合部、
50 バンドル取付部、50A ファイバ通過部、
51 第1回転部材、51A 第1通過部、
52 第2回転部材、52A 第2通過部、
60 バンドル接合部、100 ユニット形成部