(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】蛍光体基板の製造方法及び発光基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20241111BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20241111BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2022544555
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2021030642
(87)【国際公開番号】W WO2022045017
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020144298
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小西 正宏
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/137764(WO,A1)
【文献】特表2014-520384(JP,A)
【文献】国際公開第2013/183693(WO,A1)
【文献】特開2013-159004(JP,A)
【文献】特開2019-153728(JP,A)
【文献】特開2020-126911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/50、33/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光素子が搭載される蛍光体基板の製造方法であって、
絶縁基板の一面に、前記少なくとも1つの発光素子に接合される回路パターン層を形成する回路パターン層形成工程と、
前記絶縁基板の一面側に、前記少なくとも1つの発光素子の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、
前記絶縁基板と前記蛍光体層との間に、前記蛍光体を含まない層であって前記蛍光体層を支持する支持層を形成する支持層形成工程と、
を含み、
前記蛍光体層形成工程は、前記支持層に前記蛍光体層を積層させ、
前記支持層は前記回路パターン層と前記蛍光体層の間にも形成され
、
前記支持層は絶縁層であり、
前記蛍光体層形成工程では、前記蛍光体層の厚みが前記支持層の厚みよりも薄くなるように、前記支持層に前記蛍光体層を積層させ、
前記支持層形成工程では、
前記絶縁基板の一面に白色顔料を含まない基層を形成し、次いで前記蛍光体層に隣接し前記白色顔料を含む隣接層を前記基層に積層させ、
かつ、前記回路パターン層のうち前記少なくとも1つの発光素子に接合される部分以外の部分に前記隣接層を形成し、
前記支持層として、前記回路パターン層の上には前記基層は設けられず前記隣接層が設けられ、前記回路パターン層以外の部分には、前記基層が設けられその上に前記隣接層が設けられる、
蛍光体基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持層形成工程は、前記隣接層の厚みを前記基層の厚みよりも薄く形成する、
請求項
1に記載の蛍光体基板の製造方法。
【請求項3】
前記蛍光体は、複数の蛍光体粒子で構成され、
前記白色顔料は、複数の白色粒子で構成され、
前記複数の蛍光体粒子における、レーザー回折散乱法により測定される体積基準のメジアン径(D
50)であるD1
50と、前記複数の白色粒子における、レーザー回折散乱法により測定される体積基準のメジアン径(D
50)であるD2
50とは、下記の(式2)の関係を有する、
請求項
1または2に記載の蛍光体基板の製造方法。
(式2)0.8≦D2
50/D1
50≦1.2
【請求項4】
前記支持層形成工程と前記蛍光体層形成工程とは、前記支持層に積層させる前記蛍光体層の外表面が前記回路パターン層の外表面よりも前記絶縁基板の厚み方向の外側に位置するように、それぞれ、前記支持層と前記蛍光体層とを形成する、
請求項
1~
3のいずれか1項に記載の蛍光体基板の製造方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの発光素子は、複数の発光素子である、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の蛍光体基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の蛍光体基板の製造方法と、
前記回路パターン層に前記少なくとも1つの発光素子を接合する接合工程と、
を含む、
発光基板の製造方法。
【請求項7】
前記接合工程は、前記蛍光体層形成工程の後に行う、
請求項
6に記載の発光基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体基板の製造方法及び発光基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子(LED素子)が搭載された基板を備えるLED照明器具が開示されている。このLED照明器具は、基板の表面に反射材を設けて、発光効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成の場合、反射材を利用してLED照明器具が発光する光を発光素子が発光する光と異なる発光色の光に調整することができず、またグレア対策が不十分であった。
【0005】
本発明は、発光素子が搭載された場合に発光素子が発光する光のグレアを低減することができる蛍光体基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の蛍光体基板の製造方法は、少なくとも1つの発光素子が搭載される蛍光体基板の製造方法であって、絶縁基板の一面に、前記少なくとも1つの発光素子に接合される回路パターン層を形成する回路パターン層形成工程と、前記絶縁基板の一面側に、前記少なくとも1つの発光素子の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、前記絶縁基板と前記蛍光体層との間に、前記蛍光体を含まない層であって前記蛍光体層を支持する支持層を形成する支持層形成工程と、を含み、蛍光体層形成工程は、前記支持層に前記蛍光体層を積層させる。
【0007】
本発明の第2態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記蛍光体層形成工程では、前記蛍光体層の厚みが前記支持層の厚みよりも薄くなるように、前記支持層に前記蛍光体層を積層させる。
【0008】
本発明の第3態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記支持層形成工程は、前記支持層として、白色顔料を含む単層構造の層を形成する。
【0009】
本発明の第4態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記支持層形成工程は、さらに、前記回路パターン層における前記少なくとも1つの発光素子に接合される部分以外の部分にも前記支持層を形成する。
【0010】
本発明の第5態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記支持層形成工程は、前記絶縁基板の一面に白色顔料を含まない基層を形成し、次いで前記蛍光体層に隣接し前記白色顔料を含む隣接層を前記基層に積層させる。
【0011】
本発明の第6態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記支持層形成工程は、前記隣接層の厚みを前記基層の厚みよりも薄く形成する。
【0012】
本発明の第7態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記支持層形成工程は、さらに、前記回路パターン層における前記少なくとも1つの発光素子に接合される部分以外の部分にも前記隣接層を形成する。
【0013】
本発明の第8態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記蛍光体は、複数の蛍光体粒子で構成され、前記白色顔料は、複数の白色粒子で構成され、前記複数の蛍光体粒子における、レーザー回折散乱法により測定される体積基準のメジアン径(D50)であるD150と、前記複数の白色粒子における、レーザー回折散乱法により測定される体積基準のメジアン径(D50)であるD250とは、下記の(式2)の関係を有する。
(式2)0.8≦D250/D150≦1.2
【0014】
本発明の第9態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記支持層形成工程と前記蛍光体層形成工程とは、前記支持層に積層させる前記蛍光体層の外表面が前記回路パターン層の外表面よりも前記絶縁基板の厚み方向の外側に位置するように、それぞれ、前記支持層と前記蛍光体層とを形成する。
【0015】
本発明の第10態様の蛍光体基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法であって、前記少なくとも1つの発光素子は、複数の発光素子である。
【0016】
本発明の第1態様の発光基板の製造方法は、前記蛍光体基板の製造方法と、前記回路パターン層に前記少なくとも1つの発光素子を接合する接合工程と、を含む。
【0017】
本発明の第2態様の発光基板の製造方法は、前記発光基板の製造方法において、前記接合工程は、前記蛍光体層形成工程の後に行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1C】
図1Aの1C-1C切断線により切断した発光基板の部分断面図である。
【
図2A】第1実施形態の蛍光体基板(蛍光体層及び支持層を省略)の平面図である。
【
図2B】第1実施形態の蛍光体基板の平面図である。
【
図3A】第1実施形態の発光基板の製造方法における第1工程の説明図である。
【
図3B】第1実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の説明図である。
【
図3C】第1実施形態の発光基板の製造方法における第3工程の説明図である。
【
図3D】第1実施形態の発光基板の製造方法における第4工程の説明図である。
【
図3E】第1実施形態の発光基板の製造方法における第5工程の説明図である。
【
図4】第1実施形態の発光基板の発光動作を説明するための図である。
【
図5】比較形態の発光基板の発光動作を説明するための図である。
【
図6】第2実施形態の発光基板の部分断面図である。
【
図7A】第2実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の説明図である。
【
図7B】第2実施形態の発光基板の製造方法における第3工程の説明図である。
【
図7C】第2実施形態の発光基板の製造方法における第4工程の説明図である。
【
図7D】第2実施形態の発光基板の製造方法における第5工程の説明図である。
【
図8】第3実施形態の発光基板の部分断面図である。
【
図9A】第3実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の前半の説明図である。
【
図9B】第3実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の後半の説明図である。
【
図9C】第3実施形態の発光基板の製造方法における第3工程の説明図である。
【
図9D】第3実施形態の発光基板の製造方法における第4工程の説明図である。
【
図9E】第3実施形態の発光基板の製造方法における第5工程の説明図である。
【
図10】第4実施形態の発光基板の部分断面図である。
【
図11A】第4実施形態の発光基板の製造方法における第1工程の後半の説明図である。
【
図11B】第4実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の説明図である。
【
図11C】第4実施形態の発光基板の製造方法における第3工程の説明図である。
【
図11D】第4実施形態の発光基板の製造方法における第4工程の説明図である。
【
図11E】第4実施形態の発光基板の製造方法における第5工程の説明図である。
【
図12】第5実施形態の発光基板の部分断面図である。
【
図13A】第5実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の前半の説明図である。
【
図13B】第5実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の後半の説明図である。
【
図13C】第5実施形態の発光基板の製造方法における第3工程の説明図である。
【
図13D】第5実施形態の発光基板の製造方法における第4工程の説明図である。
【
図13E】第5実施形態の発光基板の製造方法における第5工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
≪概要≫
本発明の一例である第1~第5実施形態についてこれらの記載順で説明する。次いで、これらの実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において参照するすべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0020】
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について
図1A~
図5を参照しながら説明する。まず、本実施形態の発光基板10の構成及び機能について
図1A~
図1Cを参照しながら説明する。次いで、本実施形態の発光基板10の製造方法について
図3A~
図3Eを参照しながら説明する。次いで、本実施形態の発光基板10の発光動作について
図4を参照しながら説明する。次いで、本実施形態の効果について
図4、
図5等を参照しながら説明する。
なお、本実施形態の蛍光体基板30は、本実施形態の発光基板10の構成要素であることから、本実施形態の発光基板10の構成及び機能の説明の中で説明する。
【0021】
<第1実施形態の発光基板の構成及び機能>
図1Aは本実施形態の発光基板10の平面図(表面31A側から見た図)、
図1Bは本実施形態の発光基板10の底面図(裏面33A側から見た図)である。
図1Cは、
図1Aの1C-1C切断線により切断した発光基板10の部分断面図である。
本実施形態の発光基板10は、表面31A側及び裏面33A側から見て、一例として矩形である。また、本実施形態の発光基板10は、複数の発光素子20と、蛍光体基板30と、コネクタ、ドライバIC等の電子部品(図示省略)とを備えている。すなわち、本実施形態の発光基板10は、蛍光体基板30に、複数の発光素子20及び上記電子部品が搭載されたものである。
本実施形態の発光基板10は、コネクタを介して外部電源(図示省略)から給電されると、発光する機能を有する。そのため、本実施形態の発光基板10は、例えば照明装置(図示省略)等における主要な光学部品として利用されるようになっている。
【0022】
なお、以降の説明の中で詳細に説明するが、本実施形態の蛍光体基板30及び発光基板10の基本的な構成は、それぞれ、以下のとおりである。
【0023】
・本実施形態の蛍光体基板の基本的な構成
本実施形態の蛍光体基板30は、少なくとも1つの発光素子20が搭載される蛍光体基板30であって、絶縁層32(絶縁基板の一例)と、絶縁層32の表面31(一面の一例)に配置され、少なくとも1つの発光素子20に接合される回路パターン層34と、絶縁層32の表面31側に配置され、少なくとも1つの発光素子20の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層36と、絶縁層32と蛍光体層36との間に配置され、かつ、前記蛍光体を含まない層であって、蛍光体層36を支持する支持層35と、を備える。
【0024】
・本実施形態の発光基板の基本的な構成
また、本実施形態の発光基板10は、前述の基本的な構成を有する蛍光体基板30と、少なくとも1つの発光素子20と、を備える。
【0025】
〔複数の発光素子〕
複数の発光素子20は、それぞれ、一例として、フリップチップLED22(以下、LED22という。)が組み込まれたCSP(Chip Scale Package)である(
図1C参照)。複数の発光素子20は、
図1Aに示されるように、蛍光体基板30の表面31A側の全体に亘って規則的に並べられた状態で、蛍光体基板30に搭載されている。各発光素子20が発光する光の相関色温度は、一例として3,018Kである。なお、本実施形態では、ヒートシンク(図示省略)や冷却ファン(図示省略)を用いることで、複数の発光素子20の発光動作時に、蛍光体基板30を一例として常温から50℃~100℃に収まるように放熱(冷却)するように構成されている。
また、LED22のジャンクションレベルJLは、蛍光体層36の表面のレベルより高い位置に設定されている。
ここで、本明細書で数値範囲に使用する「~」の意味について補足すると、例えば「50℃~100℃」は「50℃以上100℃以下」を意味する。すなわち、本明細書で数値範囲に使用する「~」は、「『~』の前の記載部分以上『~』の後の記載部分以下」を意味する。
【0026】
〔蛍光体基板〕
図2Aは、本実施形態の蛍光体基板30の図であって、支持層35及び蛍光体層36を省略して図示した平面図(表面31A側から見た図)である。
図2Bは、本実施形態の蛍光体基板30の平面図(表面31A側から見た図)である。なお、本実施形態の蛍光体基板30の底面図は、発光基板10を裏面33A側から見た図と同じである。また、本実施形態の蛍光体基板30の部分断面図は、
図1Cの部分断面図から発光素子20を除いた場合の図と同じである。すなわち、本実施形態の蛍光体基板30は、表面31A側及び裏面33A側から見て、一例として矩形である。
なお、
図2Aには、後述する複数の電極対34Aと、複数の電極対34A以外の部分である配線部分34Bとの範囲が図示されているが、実際のところ、両者は同じ平面(外表面)に形成されているため、
図2Aのように支持層35及び蛍光体層36を除いた図において、両者の境界は存在しない。しかしながら、
図2Aは、両者の位置関係を明確化するために、便宜的に、複数の電極対34A及び配線部分34Bの符号を入れた図としている。
【0027】
本実施形態の蛍光体基板30は、絶縁層32と、回路パターン層34と、支持層35と、蛍光体層36と、裏面パターン層38とを備えている(
図1B、
図1C、
図2A及び
図2B参照)。
図2Aでは支持層35及び蛍光体層36が省略されているが、蛍光体層36は、
図2Bに示されるように、一例として、絶縁層32の表面31側に配置されている。具体的には、蛍光体層36は、
図1Cに示されるように、一例として、支持層35の絶縁層32と反対側の面と、回路パターン層34の後述する複数の電極対34A以外の部分とを覆うように配置されている。また、支持層35は、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分であって、絶縁層32と蛍光体層36との間に配置されている(
図1C及び
図3E参照)。
【0028】
また、蛍光体基板30には、
図1B及び
図2Aに示されるように、四つ角付近の4箇所及び中央付近の2箇所の合計6箇所に貫通孔39が形成されている。6箇所の貫通孔39は、蛍光体基板30及び発光基板10の製造時に位置決め孔として利用されるようになっている。また、6箇所の貫通孔39は、(発光)灯具筐体への熱引き効果確保(基板反り及び浮き防止)のための取り付け用のネジ穴として利用されるようになっている。なお、本実施形態の蛍光体基板30は、後述するように、絶縁板の両面に銅箔層が設けられた両面板(以下、マザーボードMBという。
図3A参照)をエッチング等の加工をして製造される。このマザーボードMBの一例としては、利昌工業株式会社製のCS-3305Aが挙げられる。
【0029】
〈絶縁層〉
以下、本実施形態の絶縁層32の主な特徴について説明する。
形状は、前述のとおり、一例として表面31側及び裏面33側から見て矩形である。
材質は、一例としてビスマレイミド樹脂及びガラスクロスを含む絶縁材である。
厚みは、一例として100μmである。
縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、50℃~100℃の範囲において10ppm/℃以下である。また、別の見方をすると、縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、6ppm/Kである。この値は、本実施形態の発光素子20の場合とほぼ同等(90%~110%、すなわち±10%以内)である。
ガラス転移温度は、一例として、300℃よりも高い。
貯蔵弾性率は、一例として、100℃~300℃の範囲において、1.0×1010Paよりも大きく1.0×1011Paよりも小さい。
縦方向及び横方向の曲げ弾性率は、一例として、それぞれ、常態において35GPa及び34GPaである。
縦方向及び横方向の熱間曲げ弾性率は、一例として、250℃において19GPaである。
吸水率は、一例として、23℃の温度環境で24時間放置した場合に0.13%である。
比誘電率は、一例として、1MHz常態において4.6である。
誘電正接は、一例として、1MHz常態において、0.010である。
【0030】
〈回路パターン層〉
本実施形態の回路パターン層34は、絶縁層32の表面31に設けられた金属層であって、一例として銅箔層(Cu製の層)であり、コネクタ(図示省略)に接合される端子37と導通している。そして、回路パターン層34は、コネクタを介して外部電源(図示省略)から給電された電力を、発光基板10を構成している状態において複数の発光素子20に供給するようになっている。そのため、回路パターン層34の一部は、複数の発光素子20がそれぞれ接合される複数の電極対34Aとなっている。すなわち、回路パターン層34は、絶縁層32の表面31に配置され、各発光素子20に接続されている。また、別の見方をすると、回路パターン層34は、絶縁層32の表面31に配置され、各電極対34Aの外表面である接合面34A1で各発光素子20に接続されている。
【0031】
また、前述のとおり、複数の発光素子20は絶縁層32の表面31側の全体に亘って規則的に並べられていることから(
図1A参照)、複数の電極対34Aも表面31側の全体に亘って規則的に並べられている(
図2A参照)。ここで、本明細書では、回路パターン層34における複数の電極対34A以外の部分を、配線部分34Bという。また、配線部分34Bの外表面を非接合面34B1(回路パターン層34の外表面における接合面34A1以外の部分)という。非接合面34B1は、回路パターン層34におけるすべての発光素子20に接合される部分以外の部分である。
なお、表面31側から見て、絶縁層32の表面31に対して回路パターン層34が占める割合(回路パターン層34の専有面積)は、一例として、絶縁層32の表面31の60%以上である(
図2A参照)。また、本実施形態では、回路パターン層34の厚みは一例として175μmである。ただし、各図では、回路パターン層34の厚み、絶縁層32の厚み、蛍光体層36の厚み等の関係が寸法どおりとなっていない。
【0032】
〈支持層〉
本実施形態の支持層35は、前述のとおり、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分に配置されて、蛍光体層36の一部を支持している(
図1C及び
図3E参照)。ここで、支持層35が支持している蛍光体層36の一部とは、蛍光体層36のうち回路パターン層34の外表面に配置されている部分以外の部分のことを意味する。なお、
図1C、
図3E等に示されるように、支持層35の厚みは、一例として、回路パターン層34の厚みと同じに設定されているが、これに限らず薄く設定されてもよいし、逆に厚く設定されてもよい。
【0033】
本実施形態の支持層35は、後述する蛍光体層36と異なり蛍光体(複数の蛍光体粒子の集合体)を含まずに、一例として、白色顔料(複数の白色粒子の集合体)とバインダーとを含み、複数の白色粒子が当該バインダーに分散された絶縁層である。また、本実施形態の支持層35は、一例として、単層構造である。ここで、複数の白色粒子は、一例として酸化チタンであるが、酸化カルシウムその他の白色粒子でもよい。また、バインダーは、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等のバインダーであって、ソルダーレジストに含まれるバインダーと同等の絶縁性を有するものであればよい。
なお、前述のとおり、支持層35は、絶縁層32と蛍光体層36との間に配置されている(
図1C、
図3E等参照)。また、支持層35が白色顔料を含むことの技術的意義については、後述する第1実施形態の効果の説明の中で説明する。
【0034】
〈蛍光体層〉
本実施形態の蛍光体層36は、
図2B及び
図3Eに示されるように、一例として、支持層35の絶縁層32と反対側の面(図示で上側の面)、及び、回路パターン層34における非接合面34B1に配置されている。別の見方をすると、蛍光体層36は、支持層35及び回路パターン層34の電極対34Aを残して、絶縁層32の表面31側を覆うように配置されている。本実施形態では、表面31側から見て、絶縁層32の表面31に対して蛍光体層36が占める割合は、一例として、絶縁層32の表面31の面積に対して80%以上となっている。
なお、蛍光体層36における絶縁層32の厚み方向の外側の面(外表面)は、回路パターン層34における絶縁層32の厚み方向の外側の面(外表面)よりも当該厚み方向の外側に位置している(
図1C及び
図3E参照)。また、蛍光体層36における、支持層35に配置されている部分の外表面及び回路パターン層34に配置されている部分の外表面は、一例として、同じ高さ、すなわち絶縁層32の厚み方向の同じ位置に位置している(
図3E参照)。
【0035】
本実施形態の蛍光体層36は、一例として、後述する蛍光体(複数の蛍光体粒子の集合体)とバインダーとを含み、複数の蛍光体粒子が当該バインダーに分散された絶縁層である。蛍光体層36に含まれる蛍光体は、各発光素子20の発光を励起光として励起する性質を有する。具体的には、本実施形態の蛍光体は、発光素子20の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある性質を有する。なお、当該バインダーは、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等のバインダーであって、ソルダーレジストに含まれるバインダーと同等の絶縁性を有するものであればよい。
【0036】
ここで、本明細書では、蛍光体層36に含まれる複数の蛍光体粒子における、レーザー回折散乱法により測定される体積基準のメジアン径(D50)をD150と表記する。また、前述の支持層35に含まれる複数の白色粒子における、レーザー回折散乱法により測定される体積基準のメジアン径(D50)をD250と表記する。そうすると、本実施形態の蛍光体基板30では、D150とD250とは、一例として、下記の(式1)の関係を有する。
(式1)0.8≦D250/D150≦1.2
すなわち、本実施形態では、白色顔料を構成する複数の白色粒子のメジアン径(D50)が蛍光体を構成する複数の蛍光体粒子のメジアン径(D50)に対して80%以上120%以下の範囲となるように設定されている。
【0037】
(蛍光体の具体例)
ここで、本実施形態の蛍光体層36に含まれる蛍光体は、一例として、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体、Euを含有するCASN蛍光体及びEuを含有するSCASN蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも1種の蛍光体である。なお、前述の蛍光体は、本実施形態での一例であり、YAG、LuAG、BOSその他の可視光励起の蛍光体のように、前述の蛍光体以外の蛍光体であってもよい。
【0038】
Euを含有するα型サイアロン蛍光体は、一般式:MxEuySi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-nで表される。上記一般式中、MはLi、Mg、Ca、Y及びランタニド元素(ただし、LaとCeを除く)からなる群から選ばれる、少なくともCaを含む1種以上の元素であり、Mの価数をaとしたとき、ax+2y=mであり、xが0<x≦1.5であり、0.3≦m<4.5、0<n<2.25である。
【0039】
Euを含有するβ型サイアロン蛍光体は、一般式:Si6-zAlzOzN8-z(z=0.005~1)で表されるβ型サイアロンに発光中心として二価のユーロピウム(Eu2+)を固溶した蛍光体である。
【0040】
また、窒化物蛍光体として、Euを含有するCASN蛍光体、Euを含有するSCASN蛍光体等が挙げられる。
【0041】
Euを含有するCASN蛍光体は、例えば、式CaAlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。なお、本明細書におけるEuを含有するCASN蛍光体の定義では、Euを含有するSCASN蛍光体が除かれる。
【0042】
Euを含有するSCASN蛍光体は、例えば、式(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。
【0043】
〈裏面パターン層〉
本実施形態の裏面パターン層38は、絶縁層32の裏面33に設けられた金属層であって、一例として銅箔層(Cu製の層)である。
裏面パターン層38は、
図1Bに示されるように、絶縁層32の長手方向に沿って直線状に並べられた複数の矩形部分の列が、短手方向に沿って複数列並べられた層となっている。なお、隣り合う2つの列同士は、長手方向おいて位相をずらしたような状態で配置されている。また、裏面パターン層38は、一例として、独立フローティング層である。
なお、裏面パターン層38は、一例として、絶縁層32の厚み方向から見て表面31に配置されている回路パターン層34の80%以上の領域と重なっている。
【0044】
以上が、本実施形態の発光基板10及び蛍光体基板30の構成についての説明である。
【0045】
<第1実施形態の発光基板の製造方法>
次に、本実施形態の発光基板10の製造方法について
図3A~
図3Eを参照しながら説明する。本実施形態の発光基板10の製造方法は第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を含んでおり、各工程はこれらの記載順で行われる。
【0046】
なお、以降の説明の中で詳細に説明するが、本実施形態の蛍光体基板30の製造方法及び発光基板10の製造方法の基本的な構成は、それぞれ、以下のとおりである。
【0047】
・蛍光体基板の製造方法の基本的な構成
本実施形態の蛍光体基板30の製造方法は、絶縁層32(絶縁基板の一例)の表面31(一面の一例)に、少なくとも1つの発光素子20に接合される回路パターン層34を形成する第1工程(回路パターン層形成工程)と、絶縁層32の表面31側に、少なくとも1つの発光素子20の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層36を形成する第3工程(蛍光体層形成工程)と、絶縁層32と蛍光体層36との間に、前記蛍光体を含まない層であって蛍光体層36を支持する支持層35を形成する第2工程(支持層形成工程)と、を含み、蛍光体層形成工程は、支持層35に蛍光体層36を積層させる。
【0048】
・発光基板の製造方法の基本的な構成
本実施形態の発光基板10の製造方法は、前述の本実施形態の蛍光体基板30の製造方法と、回路パターン層34に少なくとも1つの発光素子20を接合する第5工程(接合工程)と、を含む。
【0049】
〔第1工程〕
図3Aは、第1工程の開始時及び終了時を示す図である。第1工程(回路パターン層形成工程の一例)は、マザーボードMB(すなわち絶縁層32)の表面31側に回路パターン層34を、裏面33側に裏面パターン層38を形成する工程である。本工程は、例えばマスクパターン(図示省略)を用いたエッチングにより行われる。
【0050】
〔第2工程〕
図3Bは、第2工程の開始時及び終了時を示す図である。第2工程(支持層形成工程の一例)は、絶縁層32と第3工程で形成される蛍光体層36との間に、蛍光体を含まない層であって第3工程で形成される蛍光体層36を支持する支持層35を形成する工程である。本工程では、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分に白色塗料(図示省略)を塗布して、支持層35を形成する。ここで、白色塗料とは支持層35を構成する白色顔料(複数の白色粒子の集合体)及びバインダーに溶剤を加えた塗料であり、塗布された白色塗料の層は硬化後に支持層35となる。その結果、本工程が終了すると、支持層35として、白色顔料を含む単層構造の層が形成される。また、本工程では、硬化後の白色塗料の層の厚み、すなわち、支持層35の厚みが回路パターン層34の厚みよりも薄くなるように、白色塗料が塗布される。
なお、本工程により形成される支持層35は、絶縁層32の厚み方向に白色塗料を1回で塗布しても、複数回塗布して形成してもよい。
【0051】
〔第3工程〕
図3Cは、第3工程の開始時及び終了時を示す図である。第3工程(蛍光体層形成工程の一例)は、絶縁層32の表面31側に、蛍光体塗料(図示省略)を塗布して、蛍光体層36を形成する工程である。具体的には、本工程では、第2工程で形成した支持層35の外表面及び回路パターン層34の外表面に蛍光体塗料を塗布する。すなわち、本工程では、支持層35に蛍光体層36の一部を積層させる。また、本工程では、蛍光体層36が支持層35の外表面及び回路パターン層34の外表面に形成されるが、蛍光体層36は、一例として、その外表面が平坦となるように形成される。また、本工程では、蛍光体層36における支持層35の外表面に配置される部分の厚みが支持層35の厚みよりも薄くなるように、蛍光体層36が形成される。
【0052】
〔第4工程〕
図3Dは、第4工程の開始時及び終了時を示す図である。第4工程は、蛍光体層36の一部を除去して、回路パターン層34のすべての接合面34A1を露出させる工程である。ここで、蛍光体塗料のバインダーが例えば熱硬化性樹脂である場合は、加熱により蛍光体塗料を硬化させた後に2次元レーザー加工装置(図示省略)を用いて蛍光体層36における各接合面34A1上の部分に選択的にレーザー光を照射する。その結果、蛍光体層36における各接合面34A1上の部分がアブレーションされて、各接合面34A1が露出する。
以上の結果、本実施形態の蛍光体基板30が製造される。
なお、本工程は、上記の方法の他に、例えば、以下の方法により行ってもよい。蛍光体塗料のバインダーが例えばUV硬化性樹脂(感光性樹脂)である場合、各接合面34A1と重なる部分(塗料開口部)にマスクパターンをかけて、UV光を露光し、当該マスクパターン以外をUV硬化させ、非露光部(未硬化部)を樹脂除去液により取り除くことで、各接合面34A1を露出させる。その後、一般的には、熱をかけてアフターキュアを行う(写真現像法)。また、第3工程及び第4工程に換えて、予め開口部が設定されたスクリーンマスク(図示省略)を用いたスクリーン印刷により蛍光体層36を形成してもよい(スクリーン印刷法)。この場合、スクリーンマスクにおける接合面34A1に重なる部分の蛍光体塗料開口部を根詰まりさせておけばよい。
本工程が終了すると、蛍光体基板30が製造される。
【0053】
〔第5工程〕
図3Eは、第5工程の開始時及び終了時を示す図である。第5工程(接合工程の一例)は、蛍光体基板30に複数の発光素子20を搭載する工程である。本工程は、蛍光体基板30の蛍光体層36が凹状に取り除かれて露出した各接合面34A1にはんだペーストSPを印刷し、各接合面34A1に複数の発光素子20の各電極を位置合わせした状態ではんだペーストを溶かす。その後、はんだペーストSPが冷却され固化すると、各電極対34A(各接合面34A1)に各発光素子20が接合される。なお、本工程は、一例として、リフロー工程により行われる。
本工程が終了すると、発光基板10が製造される。
【0054】
以上が、本実施形態の発光基板10の製造方法についての説明である。
【0055】
<第1実施形態の発光基板の発光動作>
次に、本実施形態の発光基板10の発光動作について
図4を参照しながら説明する。ここで、
図4は、本実施形態の発光基板10の発光動作を説明するための図である。
【0056】
まず、複数の発光素子20を作動させる作動スイッチ(図示省略)がオンになると、コネクタ(図示省略)を介して外部電源(図示省略)から回路パターン層34への給電が開始され、複数の発光素子20は光Lを放射状に発散出射し、その光Lの一部は蛍光体基板30の表面31Aに到達する。より具体的には、発光素子20のLED22における発光は、LED22のジャンクションレベルJL(すなわちPN接合面)でなされる(
図1C参照)。
以下、出射された光Lの進行方向に分けて光Lの挙動について説明する。
【0057】
各発光素子20から出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射することなく外部に出射される。この場合、光Lの波長は、各発光素子20から出射された際の光Lの波長と同じままである。
【0058】
また、各発光素子20から出射された光Lの一部分の中のLED22自身の光は、蛍光体層36に入射する。ここで、前述の「光Lの一部分の中のLED22自身の光」とは、出射された光Lのうち各発光素子20(CSP自身)の蛍光体により色変換されていない光、すなわち、LED22自身の光(一例として青色(波長が470nm近傍)の光)を意味する。そして、LED22自身の光Lが蛍光体層36に分散されている蛍光体に衝突すると、蛍光体が励起して励起光を発する。ここで、蛍光体が励起する理由は、蛍光体層36に分散されている蛍光体が青色の光に励起ピークを持つ蛍光体(可視光励起蛍光体)を使用しているためである。これに伴い、光Lのエネルギーの一部は蛍光体の励起に使われることで、光Lはエネルギーの一部を失う。その結果、光Lの波長が変換される(波長変換がなされる)。例えば、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては(例えば、蛍光体に赤色系CASNを用いた場合には)光Lの波長が長くなる(例えば650nm等)。
【0059】
また、蛍光体層36での励起光はそのまま蛍光体層36から出射するものもあるが、一部の励起光は下側の回路パターン層34に向かい、また、一部の励起光は下側の支持層35に向かう。そして、回路パターン層34に向かった励起光は、回路パターン層34での反射により外部に出射する。以上のように、蛍光体による励起光の波長が600nm以上の場合、回路パターン層34がCuでも反射効果が望める。なお、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては光Lの波長が前述の例と異なるが、いずれの場合であっても光Lの波長変換がなされる。例えば、励起光の波長が600nm未満の場合、回路パターン層34又はその表面を例えばAg(鍍金)とすれば反射効果が望める。これに対して、支持層35に向かった励起光は、支持層35の白色顔料による反射により外部に出射する。この場合、可視光の全波長領域における反射効果を高めることができる。
【0060】
以上のとおり、各発光素子20が出射した光L(各発光素子20が放射状に出射した光L)は、それぞれ、上記のような複数の光路を経由して上記励起光とともに外部に照射される。そのため、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光素子20(CSP)におけるLED22を封止した(又は覆う)蛍光体の発光波長とが異なる場合、本実施形態の発光基板10は、各発光素子20が出射した際の光Lの束を、各発光素子20が出射した際の光Lの波長と異なる波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。例えば、本実施形態の発光基板10は、発光素子20が出射した光(波長)と蛍光体層36より出射された光(波長)との合成光を照射する。
【0061】
これに対して、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光素子20(CSP)におけるLED22を封止した(又は覆う)蛍光体の発光波長とが同じ場合(同じ相関色温度の場合)、本実施形態の発光基板10は、各発光素子20が出射した際の光Lの束を、各発光素子20が出射した際の光Lの波長と同じ波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。
【0062】
以上が、本実施形態の発光基板10の発光動作についての説明である。
【0063】
<第1実施形態の効果>
次に、本実施形態の効果について図面を参照しながら説明する。
【0064】
〔第1の効果〕
第1の効果については、本実施形態を以下に説明する比較形態(
図5参照)と比較して説明する。ここで、比較形態の説明において、本実施形態と同じ構成要素等を用いる場合は、その構成要素等に本実施形態の場合と同じ名称、符号等を用いることとする。
図5は、比較形態の発光基板10aの発光動作を説明するための図である。比較形態の発光基板10a(複数の発光素子20を搭載する基板30a)は、蛍光体層36を備えていない点以外は、本実施形態の発光基板10(蛍光体基板30)と同じ構成とされている。
【0065】
比較形態の発光基板10aの場合、各発光素子20から出射され、基板30aの表面31Aに入射した光Lは、波長が変換されることなく反射又は散乱する。そのため、比較形態の基板30aの場合、発光素子20が搭載された場合に発光素子20が発光する光と異なる発光色の光に調整することができない。すなわち、比較形態の発光基板10aの場合、発光素子20が発光する光と異なる発光色の光に調整することができない。
【0066】
これに対して、本実施形態の場合、絶縁層32の厚み方向から見て、絶縁層32の表面31であって、各発光素子20との各接合面34A1の周囲には蛍光体層36が配置されている。そのため、各発光素子20から放射状に出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射して、蛍光体層36により波長変換されて、外部に照射される。この場合、各発光素子20から放射状に出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射して、蛍光体層36に含まれる蛍光体を励起させ、励起光を発生させる。
【0067】
したがって、本実施形態の蛍光体基板30によれば、発光素子20が搭載された場合に、蛍光体基板30から発光される光Lを発光素子20が発光する光Lと異なる発光色の光に調整することができる。これに伴い、本実施形態の発光基板10によれば、蛍光体基板30から発光される光Lを発光素子20が発光する光Lと異なる発光色の光Lに調整することができる。別の見方をすると、本実施形態の発光基板10によれば、発光素子20が発光する光Lと異なる発光色の光Lを外部に照射することができる。
【0068】
〔第2の効果〕
第2の効果については、本実施形態を比較形態(
図5参照)と比較して説明する。比較形態の場合、
図5に示されるように、各発光素子20の配置間隔に起因して外部に照射される光Lに斑が発生する。ここで、光Lの斑が大きいほど、グレアが大きいという。
これに対して、本実施形態の蛍光体基板30の表面31A側は、
図2Bに示されるように、各接合面34A1以外の部分に蛍光体層36が全体的に設けられている。そのため、本実施形態の発光基板10では、各接合面34A1の周囲(各発光素子20の周囲)からも励起光が発光される。
したがって、本実施形態によれば、比較形態に比べて、グレアを小さくすることができる。
なお、本効果は、蛍光体層36が絶縁層32の全面に亘って設けられている場合、具体的には、表面31側から見て、絶縁層32の表面31に対して蛍光体層36が占める割合が表面31の80%以上である場合により効果的となる。
【0069】
〔第3の効果〕
本実施形態の場合、蛍光体層36の一部が支持層35に支持されている(
図1C及び
図3E参照)。ここで、支持層35を構成する白色顔料は蛍光体層36を構成する蛍光体よりも安価であることから、支持層35を形成するための白色塗料は蛍光体塗料よりも安価である。
したがって、本実施形態の蛍光体基板30は、支持層35が蛍光体層36で形成されている場合に比べて、安価である。これに伴い、本実施形態の蛍光体基板30の製造方法は、支持層35が蛍光体層36で形成されている蛍光体基板の製造方法に比べて、蛍光体基板30の製造コストが安価である。
なお、本実施形態の発光基板10の場合、複数のLED22の発光時の発熱及び励起する蛍光体層36の発熱の影響を考慮し、例えば、回路パターン層34の厚みを通常の回路基板よりも厚く(一例として175μm)設定している。そのうえで、本実施形態の場合、蛍光体層36の外表面を回路パターン層34の外表面よりも絶縁層32の厚み方向の外側に設定している。本効果は、本実施形態のような以上の構成の場合に顕著となる。
【0070】
〔第4の効果〕
また、本実施形態の場合、前述のとおり、蛍光体層36の厚みは支持層35の厚みよりも薄い。
したがって、本実施形態の蛍光体基板30は、蛍光体層36の厚みが支持層35の厚み以下の場合に比べて、安価である。これに伴い、本実施形態の蛍光体基板30の製造方法は、蛍光体層36の厚みが支持層35の厚み以下の蛍光体基板の製造方法に比べて、蛍光体基板30の製造コストが安価である。
【0071】
〔第5の効果〕
本実施形態の場合、前述のとおり、支持層35は白色顔料を含む。そのため、本実施形態によれば、可視光とされる励起光の全波長領域の反射効果を高めることができる。
【0072】
〔第6の効果〕
本実施形態の場合、D150とD250とは、下記の(式1)の関係を有する。
(式1)0.8≦D250/D150≦1.2
以上の構成により、各層の微粒子(複数の蛍光体粒子及び複数の白色粒子)のメジアン径の差が比較的小さく設定されている。
したがって、本実施形態の蛍光体基板30は、支持層35と蛍光体層36との熱膨張係数(CTE)の差が小さくなる結果、それらの界面に生じる応力が低減されている。
【0073】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
また、以上が、第1実施形態についての説明である。
【0074】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について
図6及び
図7A~
図7Dを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第1実施形態(
図1C、
図3A~
図3E等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0075】
<第2実施形態の構成>
本実施形態の蛍光体基板30A(
図6参照)は、第1実施形態の蛍光体基板30(
図1C参照)に対して、支持層35が回路パターン層34の非接合面34B1にも配置されている点で異なる。なお、支持層35は、絶縁層32の表面31の一部及び回路パターン層34の非接合面34B1に形成されているが、その外表面は平坦となっている。
【0076】
<第2実施形態の蛍光体基板の製造方法>
次に、本実施形態の蛍光体基板30Aの製造方法について、
図7A~
図7Dを参照しながら説明する。本実施形態の発光基板10Aの製造方法は第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を含んでおり、各工程はこれらの記載順で行われる。
【0077】
〔第1工程〕
本工程は、第1実施形態の場合と同じである(
図3Aを援用)。
【0078】
〔第2工程〕
図7Aは、第2工程の開始時及び終了時を示す図である。第2工程(支持層形成工程の一例)は、絶縁層32と第3工程で形成される蛍光体層36との間に、蛍光体を含まない層であって第3工程で形成される蛍光体層36を支持する支持層35を形成する工程である。本工程では、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分及び回路パターン層34の外表面全域に白色塗料(図示省略、第1実施形態の場合と同じ)を塗布し、外表面が全域で平坦となるように支持層35を形成する。本工程が終了すると、支持層35として、白色顔料を含む単層構造の層が形成される。
【0079】
〔第3工程〕
図7Bは、第3工程の開始時及び終了時を示す図である。第3工程(蛍光体層形成工程の一例)は、絶縁層32の表面31側に、蛍光体塗料(図示省略)を塗布して、蛍光体層36を形成する工程である。具体的には、本工程では、第2工程で形成した支持層35の外表面に蛍光体塗料を塗布する。
【0080】
〔第4工程〕
図7Cは、第4工程の開始時及び終了時を示す図である。第4工程は、蛍光体層36の一部及び支持層35の一部を除去して、回路パターン層34のすべての接合面34A1を露出させる工程である。接合面34A1を露出する工程は、第1実施形態と同様の工程において、レーザー光照射により除去方法や、写真印刷法、スクリーン印刷法などの手法を適宜選択して行う。本工程が終了すると、蛍光体基板30Aが製造される。
【0081】
〔第5工程〕
図7Dは、第5工程の開始時及び終了時を示す図である。第5工程(接合工程の一例)は、蛍光体基板30に複数の発光素子20を搭載する工程である。この工程は、第1実施形態の
図3Eで説明した工程と同様にして、リフロー処理によって、各接合面34A1にはんだペーストSPを印刷し各接合面34A1に複数の発光素子20を搭載し接合する。本工程が終了すると、発光基板10Aが製造される。
【0082】
以上が、本実施形態の発光基板10Aの製造方法についての説明である。
【0083】
<第2実施形態の発光基板の発光動作>
次に、本実施形態の発光基板10Aの発光動作について説明する。本実施形態の発光基板10Aの発光動作は、基本的に第1実施形態の場合と同様である。しかしながら、本実施形態の発光基板10Aは、第1実施形態の場合と異なり、回路パターン層34における非接合面34B1が支持層35で被覆されている。そのため、蛍光体層36での励起光のうち回路パターン層34に向かった励起光は、支持層35により反射される。
【0084】
以上が、本実施形態の発光基板10Aの発光動作についての説明である。
【0085】
<第2実施形態の効果>
本実施形態の場合、第1実施形態の場合と異なり、蛍光体層36の全領域が白色顔料を含む支持層35により支持されている。そのため、本実施形態によれば、蛍光体層36の全領域において、可視光とされる励起光の全波長領域の反射効果を高めることができる。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態の場合と同様である。
【0086】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
また、以上が、第2実施形態についての説明である。
【0087】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態について
図8及び
図9A~
図9Eを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第2実施形態(
図6等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0088】
<第3実施形態の構成>
本実施形態の蛍光体基板30B(
図8参照)は、第2実施形態の蛍光体基板30A(
図6参照)に対して、支持層35Bが多層構造である点で異なる。具体的には、本実施形態の支持層35Bは、第1層35B1(基層の一例)と、第2層35B2(隣接層の一例)とで構成されている。第1層35B1は、絶縁層32の表面31における回路パターン層34が形成されている部分以外の部分に配置されている。そして、第1層35B1の厚みは、回路パターン層34の厚みよりも薄い。第2層35B2は、第1層35B1及び回路パターン層34の非接合面34B1に配置されている。ここで、第1層35B1は、白色顔料を含まない層であり、一例として第1実施形態及び第2実施形態の支持層35から白色顔料を除いた層である。また、第2層35B2は、その一部が第1層35B1と蛍光体層36との間に配置され、残りの一部が回路パターン層34と蛍光体層36との間に配置されている。すなわち、第2層35B2は、蛍光体層36に隣接する層である。第2層35B2は、白色顔料を含む層であり、一例として第1実施形態及び第2実施形態の支持層35と同じ材質である。第2層35B2の厚みは、一例として第1層35B1の厚みよりも薄い。以上の構成より、第1層35B1は、絶縁層32と第2層35B2との間に配置されている。また、本実施形態の支持層35Bの厚みは、一例として蛍光体層36の厚みよりも薄い。
【0089】
<第3実施形態の蛍光体基板の製造方法>
次に、本実施形態の蛍光体基板30Bの製造方法について、
図9A~
図9Eを参照しながら説明する。本実施形態の発光基板10Bの製造方法は第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を含んでおり、各工程はこれらの記載順で行われる。
【0090】
〔第1工程〕
本工程は、第1実施形態の場合と同じである(
図3Aを援用)。
【0091】
〔第2工程〕
図9Aは第2工程の開始時及び前半の終了時を示す図であり、
図9Bは第2工程の前半の終了時(後半の開始時)及び後半の終了時(終了時)を示す図である。第2工程(支持層形成工程の一例)は、絶縁層32と第3工程で形成される蛍光体層36との間に、支持層35B(第1層35B1及び第2層35B2)を形成する工程である。すなわち、本工程(支持層形成工程の一例)は、絶縁層32に、蛍光体を含まない層であって第3工程で形成される蛍光体層36を支持する支持層35Bを形成する工程である。本工程は、
図9Aに示される前半の工程と、
図9Bに示される後半の工程とに分けられる。
【0092】
前半の工程では、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分に第1層35B1の元となる塗料(図示省略)を塗布し、第1層35B1を形成する(
図9A参照)。
次いで、後半の工程では、前半の工程で形成した第1層35B1及び回路パターン層34の非接合面34B1の外表面全域に第2層35B2の元となる白色塗料(図示省略、第1実施形態の場合と同じ)を塗布し、外表面が全域で平坦な第2層35B2を形成する(
図9B参照)。
そして、本工程が終了すると、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分に、多層構造である支持層35B(第1層35B1及び第2層35B2)が形成される。
【0093】
〔第3工程〕
図9Cは、第3工程の開始時及び終了時を示す図である。第3工程(蛍光体層形成工程の一例)は、絶縁層32の表面31側に、蛍光体塗料(図示省略)を塗布して、蛍光体層36を形成する工程である。具体的には、本工程では、第2工程で形成した支持層35Bの外表面(第2層35B2の外表面)に蛍光体塗料(図示省略)を塗布する。
【0094】
〔第4工程〕
図9Dは、第4工程の開始時及び終了時を示す図である。第4工程は、蛍光体層36の一部及び支持層35Bの一部を除去して、回路パターン層34のすべての接合面34A1を露出させる工程である。接合面34A1を露出させる工程は、第1、第2実施形態と同様の工程において、レーザー光照射により除去方法や、写真印刷法、スクリーン印刷法などの手法を適宜選択して行う。本工程が終了すると、蛍光体基板30Bが製造される。
【0095】
〔第5工程〕
図9Eは、第5工程の開始時及び終了時を示す図である。第5工程(接合工程の一例)は、蛍光体基板30Bに複数の発光素子20を搭載する工程である。この工程は、第1及び第2実施形態の
図3E、
図7Dで説明した工程と同様にして、リフロー処理によって、各接合面34A1にはんだペーストSPを印刷し各接合面34A1に複数の発光素子20を搭載し接合する。
本工程が終了すると、発光基板10Bが製造される。
【0096】
以上が、本実施形態の発光基板10Bの製造方法についての説明である。
【0097】
<第3実施形態の発光基板の発光動作>
本実施形態の発光基板10Bの発光動作は、基本的に第2実施形態の場合と同様である。
以上が、本実施形態の発光基板10Bの発光動作についての説明である。
【0098】
<第3実施形態の効果>
本実施形態の蛍光体基板30Bは、第2実施形態の蛍光体基板30A(
図6参照)と同様に、蛍光体層36の全領域が白色顔料を含む支持層35Bにより支持されている。具体的には、蛍光体層36は支持層35Bを構成する第2層35B2上に配置されている。そのため、本実施形態によれば、蛍光体層36の全領域において、可視光とされる励起光の全波長領域の反射効果を高めることができる。
また、本実施形態の蛍光体基板30Bは、第2実施形態の蛍光体基板30A(
図6参照)と異なり、支持層35Bの下側の部分が白色顔料を含まない第1層35B1で構成されている。そのため、本実施形態の蛍光体基板30Bは、第2実施形態の蛍光体基板30Aに比べて、安価である。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様である。
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
【0099】
以上が、第3実施形態についての説明である。
【0100】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態について
図10及び
図11A~
図11Eを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第2実施形態(
図6等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0101】
<第4実施形態の構成>
本実施形態の蛍光体基板30C(
図10参照)は、第2実施形態の蛍光体基板30A(
図6参照)と異なり、回路パターン層34の接合面34A1が非接合面34A2よりも絶縁層32の厚み方向外側に位置している。別言すると、本実施形態の場合、第2実施形態の場合と異なり、各電極対24Aが配線部分34Bよりも絶縁層32の厚み方向外側に突出している。
【0102】
<第4実施形態の蛍光体基板の製造方法>
次に、本実施形態の蛍光体基板30Cの製造方法について、
図11A~
図11Eを参照しながら説明する。本実施形態の発光基板10Cの製造方法は第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を含んでおり、各工程はこれらの記載順で行われる。
【0103】
〔第1工程〕
図11Aは、第1工程の開始時及び終了時を示す図である。第1工程は、マザーボードMBの表面31側に回路パターン層34を、裏面33側に裏面パターン層38を形成する工程である。
なお、本工程で回路パターン層34を形成する場合、まずマザーボードMBの表面31側に厚み方向から見て回路パターン層34と同じ形状のパターンを例えばマスクパターン(図示省略)を用いたエッチングにより形成する。次いで、当該パターンの一部(配線部分34Bに相当する部分)を例えばマスクパターン(図示省略)を用いたエッチングによりハーフハッチ(厚み方向の途中までエッチング)する。
【0104】
〔第2工程〕
図11Bは、第2工程の開始時及び前半の終了時を示す図である。第2工程(支持層形成工程の一例)は、絶縁層32と第3工程で形成される蛍光体層36との間に、支持層35Cを形成する工程である。本工程では、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分及び回路パターン層34の非接合面34B1の外表面全域に白色塗料(図示省略、第1実施形態の場合と同じ)を塗布し支持層35Cを形成する。この場合、本工程では、すべての電極対34Aが支持層35Cの外表面よりも突出した状態で、支持層35Cの外表面が全域で平坦となるようにする。本工程が終了すると、支持層35Cとして、白色顔料を含む単層構造の層が形成される。
【0105】
〔第3工程〕
図11Cは、第3工程の開始時及び終了時を示す図である。第3工程(蛍光体層形成工程の一例)は、絶縁層32の表面31側に、蛍光体塗料(図示省略)を塗布して、蛍光体層36を形成する工程である。具体的には、本工程では、第2工程で形成した支持層35Cの外表面に蛍光体塗料(図示省略)を塗布する。この場合、本工程では、すべての電極対34Aが蛍光体層36に被覆されるように蛍光体層36を形成する。
【0106】
〔第4工程〕
図11Dは、第4工程の開始時及び終了時を示す図である。第4工程は、蛍光体層36の一部を除去して、回路パターン層34のすべての接合面34A1を露出させる工程である。接合面34A1を露出させる工程は、第1~第3実施形態と同様の工程において、レーザー光照射により除去方法や、写真印刷法、スクリーン印刷法などの手法を適宜選択して行う
本工程が終了すると、蛍光体基板30Cが製造される。
【0107】
〔第5工程〕
図11Eは、第5工程の開始時及び終了時を示す図である。第5工程(接合工程の一例)は、蛍光体基板30Cに複数の発光素子20を搭載する工程である。この工程は、第1~第3実施形態の
図3E、
図7D、
図9Eで説明した工程と同様にして、リフロー処理によって、各接合面34A1にはんだペーストSPを印刷し各接合面34A1に複数の発光素子20を搭載し接合する。本工程が終了すると、発光基板10Cが製造される。
【0108】
以上が、本実施形態の発光基板10Cの製造方法についての説明である。
【0109】
<第4実施形態の発光基板の発光動作>
本実施形態の発光基板10Cの発光動作は、基本的に第2実施形態の場合と同様である。
以上が、本実施形態の発光基板10Cの発光動作についての説明である。
【0110】
<第4実施形態の効果>
本実施形態の効果は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態の場合と同様である。
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
【0111】
以上が、第4実施形態についての説明である。
【0112】
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態について
図12及び
図13A~
図13Eを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第4実施形態(
図10等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0113】
<第5実施形態の構成>
本実施形態の蛍光体基板30D(
図12参照)は、第4実施形態の蛍光体基板30C(
図10参照)と異なり、支持層35Dが多層構造である点で異なる。具体的には、本実施形態の支持層35Dは、第1層35D1(基層の一例)と、第2層35D2(隣接層の一例)とで構成されている。第1層35D1は、絶縁層32の表面31における回路パターン層34が形成されている部分以外の部分に配置されている。そして、第1層35D1の厚みは、回路パターン層34の厚みよりも薄い。第2層35D2は、第1層35D1及び回路パターン層34の非接合面34B1に配置されている。ここで、第1層35D1は、白色顔料を含まない層であり、一例として、第3実施形態の第1層35B1と同じ層である。また、第2層35D2は、その一部が第1層35D1と蛍光体層36との間に配置され、残りの一部が回路パターン層34と蛍光体層36との間に配置されている。すなわち、第2層35D2は、蛍光体層36に隣接する層である。第2層35D2は、白色顔料を含む層であり、一例として第3実施形態の第2層35B2と同じ材質である。第2層35D2の厚みは、一例として第1層35D1の厚みよりも薄い。以上の構成より、第1層35D1は、絶縁層32と第2層35D2との間に配置されている。また、本実施形態の支持層35Dの厚みは、一例として蛍光体層36の厚みよりも薄い。
【0114】
<第5実施形態の蛍光体基板の製造方法>
次に、本実施形態の蛍光体基板30Dの製造方法について、
図13A~
図13Eを参照しながら説明する。本実施形態の発光基板10Dの製造方法は第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を含んでおり、各工程はこれらの記載順で行われる。
【0115】
〔第1工程〕
本工程は、第4実施形態の場合と同じである(
図11Aを援用)。
【0116】
〔第2工程〕
図13Aは第2工程の開始時及び前半の終了時を示す図であり、
図13Bは第2工程の前半の終了時(後半の開始時)及び後半の終了時(終了時)を示す図である。第2工程(支持層形成工程の一例)は、絶縁層32と第3工程で形成される蛍光体層36との間に、支持層35Dを形成する工程である。すなわち、本工程は、絶縁層32に、蛍光体を含まない層であって第3工程で形成される蛍光体層36を支持する支持層35Dを形成する工程である。本工程は、
図13Aに示される前半の工程と、
図13Bに示される後半の工程とに分けられる。
【0117】
前半の工程では、絶縁層32の表面31における、回路パターン層34が配置されている部分以外の部分に第1層35D1の元となる塗料(図示省略)を塗布し、第1層35D1を形成する(
図13A参照)。
次いで、後半の工程では、前半の工程で形成した第1層35D1及び回路パターン層34の非接合面34B1の外表面全域に第2層35D2の元となる白色塗料(図示省略、第1実施形態の場合と同じ)を塗布し、第2層35D2を形成する(
図13B照)。この場合、本工程では、すべての電極対34Aが第1層35D1の外表面よりも絶縁層32の外表面から突出した状態で、支持層35Dの外表面が全域で平坦となるようにする。本工程が終了すると、多層構造の支持層35Dが形成される。
【0118】
〔第3工程〕
図13Cは、第3工程の開始時及び終了時を示す図である。第3工程(蛍光体層形成工程の一例)は、絶縁層32の表面31側に、蛍光体塗料(図示省略)を塗布して、蛍光体層36を形成する工程である。本工程は、基本的に第4実施形態の場合と同じように行われる。
【0119】
〔第4工程〕
図13Dは、第4工程の開始時及び終了時を示す図である。第4工程は、蛍光体層36の一部を除去して、回路パターン層34のすべての接合面34A1を露出させる工程である。接合面34A1を露出させる工程は、第1~第4実施形態と同様の工程において、レーザー光照射により除去方法や、写真印刷法、スクリーン印刷法などの手法を適宜選択して行う。
本工程が終了すると、蛍光体基板30Dが製造される。
【0120】
〔第5工程〕
図13Eは、第5工程の開始時及び終了時を示す図である。第5工程(接合工程の一例)は、蛍光体基板30Dに複数の発光素子20を搭載する工程である。この工程は、第1~第4実施形態の
図3E、
図7D、
図9E、
図11Eで説明した工程と同様にして、リフロー処理によって、各接合面34A1にはんだペーストSPを印刷し各接合面34A1に複数の発光素子20を搭載し接合する。
本工程が終了すると、発光基板10Dが製造される。
【0121】
以上が、本実施形態の発光基板10Dの製造方法についての説明である。
【0122】
<第5実施形態の発光基板の発光動作>
本実施形態の発光基板10Dの発光動作は、基本的に第2実施形態の場合と同様である。
以上が、本実施形態の発光基板10Dの発光動作についての説明である。
【0123】
<第5実施形態の効果>
本実施形態の蛍光体基板30Dは、第4実施形態の蛍光体基板30C(
図10参照)と異なり、支持層35Dの下側の部分が白色顔料を含まない第1層35D1で構成されている。そのため、本実施形態の蛍光体基板30Dは、第4実施形態の蛍光体基板30Cに比べて、安価である。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態の場合と同様である。
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
【0124】
以上が、第5実施形態についての説明である。
【0125】
以上のとおり、本発明について前述の各実施形態を例として説明したが、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態(変形例)も含まれる。
【0126】
例えば、各実施形態の説明では、発光素子20の一例をCSPであるとした。しかしながら、発光素子20の一例はCSP以外でもよい。例えば、単にフリップチップを搭載したものでもよい。また、COBデバイスの基板自身に応用することもできる。
【0127】
また、各実施形態の説明では、蛍光体基板30には複数の発光素子20が搭載され、発光基板10は複数の発光素子20を備えているとした。しかしながら、前述の第1の効果の説明のメカニズムを考慮すると、発光素子20が1つであっても第1の効果を奏することは明らかである。しかたがって、蛍光体基板30に搭載される発光素子20の数は少なくとも1つであればよい。また、発光基板10に搭載されている発光素子20は少なくとも1つであればよい。
【0128】
また、各実施形態の説明では、蛍光体層36における絶縁層32の厚み方向外側の面は、回路パターン層34よりも当該厚み方向外側に位置しているとした(
図1C、
図3D等参照)。しかしながら、前述の第1の効果の説明のメカニズムを考慮すると、蛍光体層36における絶縁層32の厚み方向外側の面が回路パターン層34の接合面34A1と当該厚み方向において同じ又は接合面34A1よりも当該厚み方向内側の位置としてもよい。
【0129】
また、各実施形態の説明では、蛍光体基板30の裏面33側に裏面パターン層38が備えられているとした(
図1B参照)。しかしながら、前述の第1の効果の説明のメカニズムを考慮すると、蛍光体基板30の裏面33側に裏面パターン層38が備えられていなくてもよい。
【0130】
また、本実施形態の説明では、蛍光体層36は、絶縁層32及び回路パターン層34の表面31側における、複数の電極対34A以外の部分に配置されているとした(
図2B参照)。しかしながら、蛍光体層36は、蛍光体基板30の表面31側における複数の電極対34A以外の部分の全域に亘って配置されていなくてもよい。
【0131】
また、各実施形態の説明では、蛍光体基板30及び発光基板10を製造するに当たり、利昌工業株式会社製のCS-3305AをマザーボードMBとして用いると説明した。しかしながら、これは一例であり、異なるマザーボードMBを用いてもよい。例えば、利昌工業株式会社製のCS-3305Aの絶縁層厚、銅箔厚等の標準仕様にこだわるものではなく、特に銅箔圧は更に厚いものを用いてもよい。
【0132】
なお、各実施形態の発光基板10(その変形例も含む)は、他の構成要素と組み合せて、照明装置に応用することができる。この場合における他の構成要素は、発光基板10の発光素子20を発光させるための電力を供給する電源等である。
【0133】
また、第3実施形態では、支持層35Bは、第1層35B1及び第2層35B2で構成される2層構造を多層構造として説明した。しかしながら、支持層35Bが白色顔料を含む層を含んでいれば、多層構造である支持層35Bは3層構造以上の構造であってもよい。この点については、第5実施形態の場合も同じである。
【0134】
この出願は、2020年8月28日に出願された日本出願特願2020-144298号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0135】
10、10A、10B、10C、10D 発光基板
20 発光素子
22 LED
30、30A、30B、30C、30D 蛍光体基板
32 絶縁層(絶縁基板の一例)
34 回路パターン層
34A 電極対
34A1 接合面
34A2 非接合面
34B 配線部分
34B1 非接合面
35、30B、30C、30D 支持層
35B1、30D1 第1層
35B2、30D2 第2層
36 蛍光体層
37 端子
38 裏面パターン層
39 貫通孔
L 光
MB マザーボード
SP はんだペースト