(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】別個の風味空気チャネルを有する吸入器マウスピース
(51)【国際特許分類】
A24F 42/20 20200101AFI20241111BHJP
A24D 3/18 20060101ALI20241111BHJP
A61M 13/00 20060101ALI20241111BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A24F42/20
A24D3/18
A61M13/00
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2022549264
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(86)【国際出願番号】 IB2021051524
(87)【国際公開番号】W WO2021171182
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-29
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/052192(WO,A1)
【文献】特表2021-520787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 3/18
A61M 13/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品であって、
マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体と、
マウスピースによって下流で境界が付けられた前記本体内のカプセル空洞と、
前記遠位端にある空気吸込み口と、
前記マウスピース端にある空気出口と、
前記カプセル空洞から前記マウスピースに至る気流経路を形成するための少なくとも一つの開口を備える、前記カプセル空洞と前記マウスピースの間の分離器と、
前記遠位空気吸込み口から前記カプセル空洞を通って前記マウスピース空気出口に延びる、第一のマウスピース空気チャネルと、
前記分離器の下流の点から前記マウスピース空気出口に延びる第二のマウスピース空気チャネルであって、前記第一のマウスピース空気チャネルから分離されている、第二のマウスピース空気チャネルと、
前記第二のマウスピース空気チャネルの表面上に配置された風味のコーティング層、および前記風味のコーティング層上に配置された保護層と、を備える、吸入器物品。
【請求項2】
前記風味のコーティング層が、前記第二のマウスピース空気チャネルの少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項3】
前記第二のマウスピース空気チャネルが、前記吸入器の前記本体を通して延びる空気吸込み口を有する、請求項1~2のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項4】
前記第二のマウスピース空気チャネルが、前記マウスピースを通して延びる空気吸込み口を有する、請求項1~3のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項5】
前記風味のコーティング層がゲル層を形成する、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項6】
前記本体が、前記マウスピース端に延びる狭められた部分と、前記狭められた部分の周りに配置された前記マウスピースとを画定し、かつ前記マウスピースと前記狭められた部分とが前記第二のマウスピース空気チャネルを形成する、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項7】
前記マウスピースが、前記吸入器物品本体と、前記マウスピースの内表面上に配置された前記風味のコーティング層とから取り外し可能である、請求項6に記載の吸入器物品。
【請求項8】
前記保護層が前記風味のコーティング層に接着し、前記保護層が前記本体の長軸方向軸と同軸のシリンダーを画定する、請求項1~7のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項9】
前記保護層が箔、紙、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項10】
前記マウスピース空気出口を封止するマウスピースエンドキャップをさらに備え、前記マウスピースエンドキャップが前記マウスピース空気出口を露出するために前記マウスピース要素から取り外し可能となるように構成されていて、前記保護層が前記マウスピースエンドキャップに固定されていて、かつ前記マウスピース要素から前記マウスピースエンドキャップとともに取り外されるように構成されている、請求項1~9のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項11】
前記保護層が、前記マウスピース要素から取り外した時に渦巻き状の構成を画定する、請求項10に記載の吸入器物品。
【請求項12】
前記マウスピースエンドキャップと前記マウスピース端の間に界面を形成する、円周方向の虚弱線をさらに備える、請求項10~11のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項13】
前記マウスピースエンドキャップが、前記吸入器物品本体の外径と等しい外径を有し、前記マウスピースエンドキャップが前記吸入器物品の本体と同軸である、請求項10~12のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項14】
前記カプセル空洞内に配置されたカプセルをさらに備える、請求項1~13のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項15】
前記カプセルが、ニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有し、前記医薬的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する、請求項14に記載の吸入器物品。
【請求項16】
前記吸入器物品の遠位端を画定する変形可能要素をさらに備え、前記変形可能要素が変形して開放遠位端を露出する、請求項1~15のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項17】
前記変形可能要素が、前記本体の遠位端にて扇状に折り畳まれている、請求項16に記載の吸入器物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、別個の風味空気チャネルを有するマウスピースを含む吸入器物品に関する。吸入器物品は、吸入器内の乾燥粉末気流チャネルから隔離された気流チャネルに風味要素が露出される、乾燥粉末吸入器であってもよい。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内にある吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切であるわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である場合があり、または可動部品を伴う場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量またはカプセル装填量の全体を提供しようとする。
【0003】
風味は、吸入可能な乾燥粉末の消費に望ましい場合がある。これを達成するために、風味粒子を乾燥粉末材料と組み合わせてもよい。風味粒子は乾燥粉末材料と相溶可能ではない場合がある。乾燥粉末と組み合わされる風味粒子は、乾燥粉末を分解または凝集してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥粉末カプセルまたはレセプタクルから分離されている風味要素を有する吸入器を提供することが望ましいであろう。風味要素がマウスピース内に配置されている吸入器を提供することが望ましいであろう。気流経路に露出される風味要素を有する吸入器を提供することが望ましいであろう。乾燥粉末気流経路を有する吸入器を提供することが望ましいであろう。また、乾燥粉末気流から隔離されている気流経路内に風味要素を有する吸入器を提供することが望ましいであろう。要求に応じて消費者による風味の放出を可能にする吸入器を提供することが望ましいであろう。高速で組み立てられうる密封された吸入器を提供することが望ましいであろう。異なる風味要素との交換が可能である風味要素を有する吸入器を提供することが望ましいであろう。従来の紙巻たばこに類似する、持ちやすくユーザーに馴染みのある形態を有する吸入器物品を提供することが望ましいであろう。ユーザーが風味要素を容易に起動する吸入器を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体を含む吸入器物品が提供されている。カプセル空洞は、マウスピースによって下流で境界が付けられた本体内にあってもよい。吸入器は、遠位端にて空気吸込み口を、マウスピース端にて空気出口を有してもよい。分離器は、カプセル空洞の中にカプセルを包含するために、カプセル空洞とマウスピースの間にあってもよく、カプセル空洞を通ってマウスピースに至る気流経路を形成するための少なくとも一つの開口を含む。第一のマウスピース空気チャネルは、遠位空気吸込み口からカプセル空洞を通ってマウスピース空気出口に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネルは、分離器の下流の点からマウスピース空気出口に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネルは、第一のマウスピース空気チャネルから分離していてもよい。風味のコーティング層は、第二のマウスピース空気チャネルの表面上に配置されてもよく、保護層は、風味のコーティング層上に配置されてもよい。
【0006】
吸入器物品は、乾燥粉末カプセルまたはレセプタクルから風味要素を分離または隔離し、これは、乾燥粉末カプセルまたはレセプタクル内に含有された乾燥粉末の安定性を改善または強化しうる。保護層は、風味要素と接触していてもよく、風味のコーティング層に取り外し可能に接着してもよい。有利なことに、ユーザーは、吸入器から保護層を除去することによって、風味のコーティング層を容易に活性化または露出させることができる。
【0007】
吸入器物品は、第二のマウスピース空気チャネルの少なくとも一部分を画定する風味のコーティング層を含んでもよい。
【0008】
吸入器物品は、吸入器の本体を通して延びる空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルを含んでもよい。吸入器物品の本体または側壁を通る空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルは、カプセル空洞からの乾燥粉末粒子を含有しない別個の空気吸込み口を提供する。
【0009】
吸入器物品は、マウスピースを通して延びる空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルを含んでもよい。マウスピースまたはマウスピースの側壁を通る空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルは、カプセル空洞からの乾燥粉末粒子を含有しない別個の空気吸込み口を確保する。
【0010】
吸入器物品は、ゲル層を形成する風味のコーティング層を含んでもよい。ゲル形態の風味のコーティング層を提供することは、風味を安定化することができ、組立中の便利な堆積技法でありうる。ゲル形態の風味のコーティング層を提供することは、調整され制御された風味放出を消費中に行うことを可能にしうる。
【0011】
吸入器物品は、マウスピースの内径に接触する風味のコーティング層を含んでもよい。
【0012】
吸入器物品は、風味のコーティング層に接着する保護層と、本体の長軸方向軸と同軸のシリンダーを画定する保護層とを含んでもよい。このような様態で風味のコーティング層および保護層を提供することは、単純化された構造および高速組立を可能にする。
【0013】
吸入器物品は、箔、紙、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む保護層を含んでもよい。
【0014】
マウスピースは、吸入器の本体の外側に嵌合してもよい。吸入器の本体は、マウスピースを収容するように形作られてもよい。例えば、吸入器の本体は、マウスピース内部に嵌合するように構造化かつ配設された、低減した直径を有するマウスピース領域を有してもよい。吸入器本体のマウスピース領域とマウスピースとは、同軸のシリンダーを形成してもよい。
【0015】
実施形態において、第二の空気チャネルは、マウスピースの内部表面と、吸入器の本体のマウスピース端の狭められた部分の外部表面との間に形成されている。風味のコーティング層は、マウスピースの内表面上に配置されてもよい。
【0016】
摺動移動を使用して吸入器の本体の狭められたマウスピース端からマウスピースを取り外し、新しいマウスピースを摺動して取り付けることによって、マウスピースを取り外して別のマウスピースと交換することができる。これは、記載の通りにユーザーが、枯渇した風味要素を交換する、または風味要素のタイプを変更するために有用である場合がある。
【0017】
吸入器物品は、マウスピース空気出口を封止するマウスピースエンドキャップをさらに含んでもよい。マウスピースエンドキャップは、マウスピース空気出口を露出するためにマウスピース要素から取り外し可能であるように構成されてもよい。マウスピースエンドキャップは有利なことに、吸入器のマウスピース端を封止して、吸入器および関連する粉末の貯蔵寿命を延長しうる。
【0018】
吸入器物品は、マウスピースエンドキャップに固定された、かつマウスピースエンドキャップとともにマウスピース要素から取り外されるように構成された保護層を含んでもよい。保護層をマウスピースエンドキャップに取り付けることは、ユーザーによる便利な取り外し動作を提供する。
【0019】
加えて、マウスピースエンドキャップに固定された保護層は、保護層がユーザーによって取り外される前に、第二の空気チャネルの空気吸込み口を覆ってもよい。これは、ユーザーによって装置が起動される前に、空気が風味のコーティング層と相互作用することを防止する。
【0020】
吸入器物品は、マウスピース要素から取り外した時に渦巻き状の構成を画定する保護層を含んでもよい。有利なことに、この渦巻き状の構成は、風味のコーティング層を損傷することなく、保護層を容易に取り外すことを可能にする。
【0021】
吸入器物品は、マウスピースエンドキャップとマウスピース端の間の界面を形成する、円周方向の虚弱線をさらに含みうる。有利なことに、この円周方向の虚弱線は、吸入器本体またはマウスピース本体からのマウスピースエンドキャップの、信頼性の高いクリーンな分離界面を提供する。
【0022】
吸入器物品は、吸入器物品本体の外径と等しい外径を有するマウスピースエンドキャップを含んでもよく、このマウスピースエンドキャップは吸入器物品の本体と同軸である。
【0023】
吸入器物品は、カプセル空洞内に配置されたカプセルをさらに含んでもよい。カプセルは、ニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有してもよい。医薬的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。
【0024】
吸入器物品は、第二のマウスピース空気チャネルと同軸である第一のマウスピース空気チャネルを含んでもよい。第一のマウスピース空気チャネルおよび第二のマウスピース空気チャネルは、吸入器物品本体の長軸方向軸と同軸であってもよい。
【0025】
吸入器物品は、ユーザーが風味のコーティング層のタイプを選択または変更することを可能にするように取り外し可能かつ交換可能でありうるマウスピースを含んでもよい。
【0026】
有利なことに、この吸入器物品は可動部分を最小化する。有利なことに、吸入器物品は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内にある吸入量または気流量でニコチン粒子を肺に効率的に提供する。吸入器は、従来の紙巻たばこに類似する形態を有する吸入器物品を用いて、ニコチン粉末を送達する。本明細書に記載の吸入器物品は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内にある吸入量または気流量で乾燥粉末を肺に提供してもよい。消費者は複数の吸入もしくは「吸煙」を行うことができ、この各々の「吸煙」は、カプセル空洞内に包含されたカプセル内に含有されたわずかな分量の乾燥粉末を送達する。この吸入器物品は、従来の紙巻たばこに類似する形態を有してもよく、従来の喫煙を模倣してもよい。この吸入器物品は製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに好都合である場合がある。
【0027】
吸入器物品のカプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中に、その中に包含されうるカプセルを回転させる場合がある。カプセルは、ニコチンを含有する粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)を含有してもよい。貫通されたカプセルの回転は、貫通されたカプセルから、吸入器物品を通して移動する吸入空気の中に放出されたニコチン粒子を懸濁およびエアロゾル化してもよい。ニコチンを含有する粒子は、風味粒子が風味のコーティング層から第二のマウスピース空気チャネルの中に放出される際に、風味要素から分離または隔離されている第一のマウスピース空気チャネルを通過してもよい。風味粒子は、ニコチン粒子よりも大きくてもよく、またユーザーの肺へのニコチン粒子の搬送を補助してもよく、その一方で風味粒子はユーザーの口または口腔に優先的に留まる。ニコチン粒子および風味粒子は従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内にある吸入量または気流量で吸入器物品を用いて送達されてもよい。
【0028】
「ゲル」という用語は、定常状態にある時に流れを呈しない、実質的に希釈した架橋システムを意味する。重量基準でゲルはほとんど液体であり、それにもかかわらず液体内の三次元架橋ネットワークに起因して固体のように挙動する。流体内の架橋は、ゲルにその構造(硬度)をもたらし、接着力(粘着性)に貢献する。このように、ゲルは固体媒体内の液体の分子の分散である。
【0029】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、およびこれに類するものなど)を指す。
【0030】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性もしくは芳香特性を変化させる、また変化させるように意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を指す。
【0031】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流が吸入器物品を通して引き出される際に、吸入気流の方向に関して記述される吸入器物品の要素の相対的な位置を指す。
【0032】
「近位」および「遠位」という用語は、吸入器物品の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。本発明によると、吸入器物品は近位端を有する。使用時、ニコチン粒子は、ユーザーへの送達のために吸入器物品の近位端を出る。吸入器物品は、近位端の反対側の遠位端を有する。吸入器物品の近位端はまた、口側端またはマウスピース端と呼ばれることがある。
【0033】
本明細書で使用されているすべての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0034】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0035】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で採用されているが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0036】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、その制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む、備える(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0037】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0038】
本開示は、別個の風味空気チャネルを有するマウスピースを含む吸入器物品に関する。吸入器物品は、風味要素が吸入器内の乾燥粉末気流から隔離されている、乾燥粉末吸入器であってもよい。吸入器物品は消費中に、渦巻くまたは回転する吸入気流を開始するように構成されてもよい。
【0039】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体を含む。カプセル空洞は、マウスピースによって下流で境界が付けられた本体内にあってもよい。遠位端にある空気吸込み口、およびマウスピース端にある空気出口。分離器はカプセル空洞とマウスピースの間にあってもよく、カプセル空洞からマウスピースに至る気流経路を形成するための少なくとも一つの開口を含む。第一のマウスピース空気チャネルは、遠位空気吸込み口からカプセル空洞を通ってマウスピース空気出口に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネルは、分離器の下流の点からマウスピース空気出口に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネルは、第一のマウスピース空気チャネルから分離していてもよい。風味のコーティング層は、第二のマウスピース空気チャネルの表面上に配置されてもよく、保護層は、風味のコーティング層上に配置されてもよい。
【0040】
第一のマウスピース空気チャネルを第二のマウスピース空気チャネルから隔離または分離することは、カプセル空洞からの気流が第二のマウスピース空気チャネルを通って流れるのを防止する。これは、乾燥粉末粒子が風味のコーティング層に付着する、または風味のコーティング層を分解する場合、有用である場合がある。
【0041】
第一のマウスピース空気チャネルは、第二のマウスピース空気チャネルと同軸であることが好ましい。第一のマウスピース空気チャネルは、第二のマウスピース空気チャネルと同軸かつ平行であることが好ましい。第一のマウスピース空気チャネルおよび第二のマウスピース空気チャネルは、吸入器物品本体の長軸方向軸と同軸であってもよい。
【0042】
第二のマウスピース空気チャネルは、吸入器本体の低減された直径部分の周りにマウスピースを配置することによって形成されてもよい。本体の形作られたかつ低減された直径部分または狭められた部分は、マウスピース領域に沿って、吸入器物品のマウスピース端に延びてもよい。マウスピースは、吸入器本体の低減された直径部分の外側に嵌合して、第二のマウスピース空気チャネルを形成してもよい。
【0043】
第二のマウスピース空気チャネルは、マウスピース内表面と吸入器本体の低減された直径部分の外部表面との間に環状の空間を画定してもよい。風味のコーティング層は、マウスピース内表面上に配置されてもよい。風味のコーティング層は、マウスピース内表面の約50%以上を覆ってもよい。風味のコーティング層は、マウスピース内表面の約75%以上を覆ってもよい。風味のコーティング層は、マウスピース内表面の約90%以上を覆ってもよい。
【0044】
マウスピースは、吸入器本体上の交換可能な要素であってもよい。それ故に、ユーザーは、消耗した風味のコーティング層を有するマウスピースを取り外してもよく、異なるまたは再生されたマウスピースを吸入器本体上に定置してもよい。
【0045】
吸入器物品は、第二のマウスピース空気チャネルの少なくとも一部分を画定する風味のコーティング層を含んでもよい。風味のコーティング層は、マウスピースの第二の空気チャネルの周囲の周りに均一な厚さを有してもよい。風味のコーティング層は、約5マイクロメートル~約60マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、最も好ましくは約15マイクロメートル~約35マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。風味のコーティング層は、マウスピースの第二の空気チャネルと同一の広がりを有しうる長軸方向の長さを有してもよい。風味のコーティング層は、約5ミリメートル~約25ミリメートル、好ましくは約7ミリメートル~約20ミリメートル、最も好ましくは約9ミリメートル~約18ミリメートルの範囲内の長軸方向の長さを有してもよい。
【0046】
吸入器物品は、吸入器の本体を通して延びる空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルを含んでもよい。吸入器物品の本体または側壁を通る空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルは、カプセル空洞からの乾燥粉末粒子を含有しない別個の空気吸込み口を確保する。第二のマウスピース空気チャネルのための空気吸込み口は、吸入器物品の本体または側壁を通る一連の開口または穴によって画定されてもよい。吸入器物品の本体または側壁を通る一連の開口または穴は、吸入器物品の本体または側壁の周りに円周方向に延びてもよい。
【0047】
吸入器物品は、マウスピースの長さを通しておよびそれに沿って延びる空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルを含んでもよい。マウスピースまたはマウスピースの側壁を通る空気吸込み口を有する第二のマウスピース空気チャネルは、カプセル空洞からの乾燥粉末粒子を含有しない別個の空気吸込み口を確保する。
【0048】
マウスピースは、ユーザーが風味のコーティング層のタイプを選択または変更することを可能にするように取り外し可能かつ交換可能であってもよい。
【0049】
吸入器物品は、ゲル層を形成する風味のコーティング層を含んでもよい。ゲル形態の風味のコーティング層を提供することは、風味を安定化することができ、組立中の便利な堆積技法でありうる。ゲル形態の風味のコーティング層を提供することは、調整され制御された風味放出を消費中に行うことを可能にしうる。
【0050】
吸入器物品は、保護層とマウスピース内表面の間に配置された風味のコーティング層を含んでもよい。風味のコーティング層は、マウスピース内表面に接触してもよく、マウスピース内表面に接着されてもよい。
【0051】
吸入器物品は、ゲルである風味のコーティング層、または風味のコーティング層を形成するように安定化されているオイルまたは粉末を含んでもよい。
【0052】
吸入器物品は好ましくは、ゲル層を形成する風味のコーティング層を含んでもよい。ゲル形態の風味のコーティング層を提供することは、風味を安定化することができ、組立中の便利な堆積技法でありうる。ゲル形態の風味のコーティング層を提供することは、調整され制御された風味放出を消費中に行うことを可能にしうる。
【0053】
吸入器物品は、開放シリンダーを画定する風味のコーティング層を含んでもよい。開放シリンダーは、マウスピースの内表面、または第二のマウスピース空気チャネルの内表面と同軸であってもよい。開放シリンダーを画定する風味のコーティング層は、マウスピースの内径の周囲の周りに均一な厚さを有してもよい。風味のコーティング層は、約5マイクロメートル~約60マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、最も好ましくは約15マイクロメートル~約35マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。開放シリンダーを画定する風味のコーティング層は、第二のマウスピース空気チャネルと同一の広がりを有しうる長軸方向の長さを有してもよい。風味のコーティング層は、約5ミリメートル~約25ミリメートル、好ましくは約7ミリメートル~約20ミリメートル、最も好ましくは約9ミリメートル~約18ミリメートルの範囲内の長軸方向の長さを有してもよい。
【0054】
風味のコーティング層は、一つ以上の風味剤を含む。「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中に医薬的に活性な構成成分またはニコチン構成成分の味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるように意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を指す。「風味剤」または「風味」という用語は好ましくは、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall,R.L.& Oser,B.L.,Food Technology,February 1965 pg.151-197を参照のこと)、GRAS風味付け物質27(S.M.Cohen et al.,Food Technology Aug.2015 pg.40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を指す。
【0055】
風味剤または風味とは、天然起源または合成起源の様々な風味剤材料を指す。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、医薬的に活性な構成成分またはニコチン構成成分の体験を消費中に高めうる風味特性を有する。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果からもたらされるものと類似の体験を提供するように選ばれてもよい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高める場合がある。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0056】
適切な風味としては、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミント、スペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類および他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
他の適切な風味としては、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が挙げられうる。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、イソ吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0058】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、すなわち臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0059】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200ppm未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、ベータダマセノン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主要なたばこ芳香化合物である。他の風味剤は、ヒトによってより高い濃度レベルでのみ感知されうる。本明細書において力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は典型的に、吸入空気の中に放出される風味剤の量が桁違いに多くなるレベルで使用される。適切な力価のより低い風味剤としては、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、ショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リナロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
吸入器物品は、風味のコーティング層に接着する保護層と、本体の長軸方向軸と同軸のシリンダーを画定する保護層とを含んでもよい。保護層は、風味表面のコーティング層全体を覆うことが好ましい。保護層は、風味のコーティング層に防湿バリアを提供してもよい。保護層は、風味が風味のコーティング層から抜けることを防止しうる。
【0061】
吸入器物品は、箔、紙、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む保護層を含んでもよい。吸入器物品は、金属箔を含む保護層を含んでもよい。金属箔は、アルミ箔であることが好ましい。金属箔は、紙層またはポリマー層と組み合わされて、ラミネート保護層を形成してもよい。
【0062】
吸入器物品の保護層は、ポリスチロール、ポリチオフェン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、または配向ポリアミドを含んでもよい。
【0063】
吸入器物品の保護層は、約20マイクロメートル~約60マイクロメートル、または約25マイクロメートル~約40マイクロメートル、または約25マイクロメートル~約35マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。
【0064】
吸入器物品は、マウスピース空気出口を封止するマウスピースエンドキャップをさらに含んでもよい。マウスピースエンドキャップは、マウスピース空気出口を露出するためにマウスピース要素から取り外し可能であるように構成されてもよい。マウスピースエンドキャップは有利なことに、吸入器のマウスピース端を封止して、吸入器および関連する粉末の貯蔵寿命を延長しうる。
【0065】
吸入器物品は、マウスピースエンドキャップに固定された、かつマウスピースエンドキャップとともにマウスピース要素から取り外されるように構成された保護層を含んでもよい。保護層をマウスピースエンドキャップに取り付けることは、ユーザーによる便利な取り外し動作を提供する。
【0066】
吸入器物品は、保護層の長さに沿って、渦巻き状もしくはらせん状のスコアライン、または渦巻き状もしくはらせん状の虚弱線を有する保護層を含んでもよい。渦巻き状もしくはらせん状のスコアライン、または渦巻き状もしくはらせん状の虚弱線は、渦巻き状の構成の保護層の取り外しを提供してもよい。これは、マウスピースからの保護層の取り外しを補助しうる。
【0067】
吸入器物品は、マウスピース要素から取り外した時に渦巻き状の構成を画定する保護層を含んでもよい。有利なことに、この渦巻き状の構成は、風味のコーティング層を損傷することなく、保護層を容易に取り外すことを可能にする。
【0068】
吸入器物品は、マウスピースエンドキャップとマウスピース端の間の界面を形成する、円周方向の虚弱線をさらに含みうる。有利なことに、この円周方向の虚弱線は、吸入器本体またはマウスピース本体からのマウスピースエンドキャップの、信頼性の高いクリーンな分離界面を提供する。
【0069】
保護層が風味のコーティング層から取り外されると、風味化合物は風味のコーティング層から揮発し、吸入気流において流動化されたニコチンを含む粒子と組み合わされる。
【0070】
吸入器物品は、吸入器物品本体の外径と等しい外径を有するマウスピースエンドキャップを含んでもよく、このマウスピースエンドキャップは吸入器物品の本体と同軸である。
【0071】
吸入器本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに似ていてもよい。吸入器本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延びる細長い本体を有してもよい。吸入器本体は、細長い本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよい。吸入器本体は、細長い本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有してもよい。吸入器本体は約6mm~約10mm、または約7mm~約10mm、または約7mm~約9mm、または約7mm~約8mmの範囲内の外径、または約7.2mmの外径を有してもよい。吸入器本体は(長軸方向軸に沿って)約40mm~約80mm、または約40mm~約70mm、または約40mm~約50mmの範囲内の長さ、または45mmの長さを有してもよい。
【0072】
カプセル空洞の下流に位置するマウスピース要素は、カプセル空洞から吸入器物品のマウスピース端に延びてもよい。マウスピース要素は約10mm~約30mm、好ましくは約15mm~約25mm、より好ましくは約20mm~約22mmの範囲内の長さを有してもよい。
【0073】
分離器は、カプセル空洞とマウスピースの間にあってもよい。分離器は、遠位空気吸込み口からカプセル空洞を通って、マウスピースを通りマウスピース空気出口に至る気流経路を形成するための少なくとも一つの開口を含んでもよい。分離器は、遠位空気吸込み口からカプセル空洞を通って、マウスピースを通りマウスピース空気出口に至る気流経路を形成するための複数の開口を含んでもよい。分離器は、カプセル空洞の下流端を画定してもよい。分離器は、マウスピースの上流端を画定してもよい。
【0074】
カプセル空洞は、カプセル(例えば、カプセルは長円形状または円形断面を有してもよい)を包含するように構成された円筒状の空間を画定してもよい。カプセル空洞はカプセル空洞の長さに沿って、実質的に均一な、または均一な直径を有してもよい。カプセル空洞は、固定された空洞長さを有してもよい。カプセル空洞は長軸方向軸と直交する空洞内径を有し、またカプセルはカプセル外径を有する。カプセル空洞は、長円形カプセルを包含するようにサイズ設定され、かつ形状にされてもよい。カプセル空洞はカプセル空洞長さに沿って、実質的に円筒状の、または円筒状の断面を有してもよい。カプセル空洞は均一な内径を有してもよい。カプセルは、カプセル空洞の内径の約80%~約95%の外径を有してもよい。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルの起動中または貫通中に、カプセルの制限された移動を促進する場合がある。
【0075】
カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞内で安定性を有して回転するのを促進する場合がある。カプセルの長軸方向軸は、吸入中に吸入器本体の長軸方向軸と同軸で安定性を有して回転する場合がある。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞内で何らかの振動を有して回転するのを促進する場合がある。
【0076】
安定な回転とは、吸入器本体の長軸方向軸がカプセルの回転軸と実質的に平行または同軸であることを指す。安定な回転とは、回転するカプセルの前進の欠如を指す場合がある。吸入器本体の長軸方向軸は、カプセルの回転の軸と実質的に同一の広がりを有することが好ましい。カプセルの安定な回転は、消費者による二回以上、または五回以上、または十回以上の「吸煙」または吸入にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分の均一な同伴を提供する場合がある。
【0077】
吸入器の遠位端は、カプセル空洞の中にカプセルを定置するまたは交換することを可能にするように取り外し可能であってもよい。吸入器の遠位端は、カプセル空洞を通して渦巻くまたは回転する気流を開始するように構成されてもよい。カプセル空洞を通る渦巻くまたは回転する気流は、本明細書に記載の通りカプセルを回転またはスピンさせてカプセルから粉末を放出させる。
【0078】
吸入器の遠位端は、針または貫通要素をカプセル空洞の中に通過させ、その中に包含されたカプセル内に開口を形成する開口を含んでもよい。
【0079】
カプセルの遠位端は、取り外し可能なシール用膜で封止されて、吸入器物品の遠位端を封止してもよい。マウスピースエンドキャップ要素は、吸入器物品の近位端を封止する。ユーザーは、吸入器物品の消費直前に、遠位端のシール用膜とマウスピースエンドキャップ要素との両方を取り外す。
【0080】
吸入器物品は、吸入器物品の遠位端を画定する変形可能要素を含んでもよい。変形可能要素は変形して、開放遠位端を露出する。変形可能要素は、本体の遠位端にて扇状の折り畳みを画定してもよい。変形可能要素の少なくとも一部分は、セルロース系材料で形成されてもよい。変形可能要素の少なくとも一部分は、紙で形成されてもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の長軸方向の側壁の少なくとも一部分を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の大部分を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の上流境界および側壁を画定してもよい。変形可能要素は、約0.5mm~約5mm、または約1mm~約4mm、または約2mm~約3mmの範囲内で本体を越えて延びてもよい。変形可能要素は、紙で形成されてもよい。変形可能要素は、一つ以上の紙の層で形成されてもよい。変形可能要素は、約50グラム/平方メートル~約150グラム/平方メートル、または約75グラム/平方メートル~約125グラム/平方メートル、または約90グラム/平方メートル~約110グラム/平方メートルの範囲内の重量を有する紙から形成されてもよい。変形可能要素は、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約100マイクロメートル~約150マイクロメートル、または約110マイクロメートル~約130マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。変形可能要素は破れるまたは開放されると、カプセル空洞の直径の少なくとも約80%または少なくとも約90%である開放直径を有する開口部を画定してもよい。破れたまたは開放された変形可能要素は、カプセル空洞の側壁上に折り返されてもよい。
【0081】
カプセルは、空気が吸入器物品を通して流れる時、その長軸方向軸または中心軸を中心として回転してもよい。カプセルは気密材料で形成されてもよく、この気密材料は、吸入器と別個であってもよい、または吸入器と組み合わされてもよい貫通要素によって、貫通または穿孔されてもよい。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のニコチン粒子の消費前に貫通要素によって貫通または穿孔される場合がある。カプセルは高分子材料で形成されてもよい。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルはサイズ1~サイズ4のカプセル、またはサイズ3のカプセルであってもよい。
【0082】
カプセルは医薬的に活性な粒子を含有してもよい。例えば、医薬的に活性な粒子はニコチンを含んでもよい。医薬的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。
【0083】
カプセルは所定の量のニコチン粒子を含有してもよい。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含有してもよい。カプセルは、約5~50回の吸入もしくは「吸煙」、または約10~30回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含有してもよい。各吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達してもよい。
【0084】
ニコチン粒子は、採用される特定の配合に基づいて任意の有用な濃度のニコチンを有してもよい。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%~最高約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有してもよい。好ましくは、各吸入もしくは「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達されてもよい。
【0085】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または含有してもよい。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または含有してもよい。カプセルは、約5mg~約300mgのニコチン粒子、または約10mg~約200mgのニコチン粒子を保持または含有してもよい。
【0086】
ニコチン粒子は、ユーザーの肺の中に優先的に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含んでもよい。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末系を形成してもよい。
【0087】
カプセルは、少なくとも約5mgの乾燥粉末(粉末系とも呼ばれる)または少なくとも約10mgの乾燥粉末を保持または含有してもよい。カプセルは、約900mg未満の乾燥粉末、または約300mg未満の乾燥粉末、または約150mg未満の乾燥粉末を保持または含有してもよい。カプセルは、約5mg~約300mgの乾燥粉末、または約10mg~約200mgの乾燥粉末、または約25mg~約100mgの乾燥粉末を保持または含有してもよい。
【0088】
乾燥粉末または粉末系は、約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約5マイクロメートルの範囲内の粒子サイズのニコチン粒子から成る、少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%の粉末系を有してもよい。
【0089】
ニコチンを含む粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0090】
粉末系中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬品として許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であってもよい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物としては、例えばピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと組み合わされて塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選択されうる。
【0091】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。好ましくは、アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、それ故にニコチン粒子の凝集を低減する場合がある。それ故に、本明細書に記載の粉末系は自由流動材料であってもよく、またニコチン粒子と随意の粒子が組み合わせられる時でさえも、各粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。
【0092】
好ましくは、ニコチンは表面修飾されたニコチン塩であってもよく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子または複合材料粒子を含む。好ましい被覆材料または複合材料はL-ロイシンであってもよい。一つの特に有用なニコチン粒子は、L-ロイシンを有する重酒石酸ニコチンであってもよい。好ましくは、粉末系は自由流動であってもよい。
【0093】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有する場合がある。有利なことに、吸入器本体内のカプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末系をエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を補助する場合がある。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺の中に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0094】
吸入器物品は、約5L/分未満、または約3L/分未満、または約2L/分、または約1.6L/分未満の流量を使用してもよい。好ましくは、流量は、約1L/分~約3L/分、または約1.5L/分~約2.5L/分の範囲内であってもよい。好ましくは、吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)の喫煙方法の吸入量または流量に類似してもよく、すなわち約1.6L/分であってもよい。
【0095】
吸入器システムは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられてもよく、第一の工程中に、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少容量が口腔の中に引き出され、後に続く第二の工程中に、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少容量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。両方の工程は消費者によって制御される。消費者は第一の吸入工程中に、吸入されるニコチンの量を決定してもよい。消費者は第二の工程中に、第一の量を希釈して肺の中により深く引き出される量を決定して、気道の上皮表面に送達される活性剤の濃度を最大化してもよい。この喫煙のメカニズムは、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれることがある。
【0096】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴の任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0097】
実施例1:吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体を含む。カプセル空洞は、マウスピースによって下流で境界が付けられた本体内にあってもよい。遠位端にある空気吸込み口、およびマウスピース端にある空気出口。分離器はカプセル空洞とマウスピースの間にあってもよく、カプセル空洞からマウスピースに至る気流経路を形成するための少なくとも一つの開口を含む。第一のマウスピース空気チャネルは、遠位空気吸込み口からカプセル空洞を通ってマウスピース空気出口に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネルは、分離器の下流の点からマウスピース空気出口に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネルは、第一のマウスピース空気チャネルから分離していてもよい。風味のコーティング層は、第二のマウスピース空気チャネルの表面上に配置されてもよく、保護層は、風味のコーティング層上に配置されてもよい。
実施例2:風味のコーティング層が、第二のマウスピース空気チャネルの少なくとも一部分を画定する、実施例1の吸入器物品。
実施例3:第二のマウスピース空気チャネルが、吸入器の本体を通して延びる空気吸込み口を有する、実施例1~2のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例4:第二のマウスピース空気チャネルが、マウスピースを通して延びる空気吸込み口を有する、実施例1~3のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例5:風味のコーティング層がゲル層を形成する、実施例1~4のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例6:風味のコーティング層がマウスピースの内径に接触する、実施例1~5のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例7:保護層が風味のコーティング層に接着し、保護層が本体の長軸方向軸と同軸のシリンダーを画定する、実施例1~6のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例8:保護層が箔、紙、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、実施例1~7のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例9:マウスピース空気出口を封止するマウスピースエンドキャップをさらに備え、マウスピースエンドキャップが、マウスピース空気出口を露出するためにマウスピース要素から取り外し可能であるように構成されている、実施例1~8のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例10:保護層が、マウスピースエンドキャップに固定されている、かつマウスピースエンドキャップとともにマウスピース要素から取り外されるように構成されている、実施例9に記載の吸入器物品。
実施例11:保護層が、マウスピース要素から取り外した時に渦巻き状の構成を画定する、実施例10に記載の吸入器物品。
実施例12:マウスピースエンドキャップとマウスピース端の間に界面を形成する、円周方向の虚弱線をさらに含む、実施例9~11のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例13:マウスピースエンドキャップが、吸入器物品本体の外径と等しい外径を有し、マウスピースエンドキャップが吸入器物品の本体と同軸である、実施例9~12のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例14:カプセル空洞内に配置されたカプセルをさらに備える、実施例1~13のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例15:カプセルがニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有し、医学的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する、実施例14に記載の吸入器物品。
実施例16:第一のマウスピース空気チャネルが、第二のマウスピース空気チャネルと同軸である、実施例1~15のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例17:第一のマウスピース空気チャネルおよび第二のマウスピース空気チャネルが、吸入器物品本体の長軸方向軸と同軸であってもよい、実施例1~16のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例17:ユーザーが風味のコーティング層のタイプを選択または変更することを可能にするように、マウスピースが取り外し可能かつ交換可能であってもよい、実施例1~16のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例18:本体が、マウスピース端に延びる狭められた部分と、狭められた部分の周りに配置されたマウスピースとを画定し、かつマウスピースと狭められた部分とが第二のマウスピース空気チャネルを形成する、実施例1~17のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例19:マウスピースと、本体の狭められた部分とが、同軸のシリンダーを形成する、実施例18に記載の吸入器物品。
実施例20:マウスピースが、吸入器物品本体と、マウスピースの表面上に配置された風味のコーティング層とから取り外し可能である、実施例18に記載の吸入器物品。
実施例21:マウスピースが、吸入器物品本体と、マウスピースの内表面上に配置された風味のコーティング層とから取り外し可能である、実施例18に記載の吸入器物品。
実施例22:マウスピース内表面と本体の狭められた部分とが、第二のマウスピース空気チャネルを形成する環状の空間を画定する外部表面を形成する、実施例18~21のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例23:吸入器物品の遠位端を画定する変形可能要素をさらに備え、変形可能要素が変形して開放遠位端を露出する、実施例1~22のいずれかに記載の吸入器物品。
実施例24:変形可能要素が、本体の遠位端にて扇状に折り畳まれている、実施例23に記載の吸入器物品。
【0098】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】
図1は、例示的な吸入器物品の概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的な吸入器物品の概略側面図である。
【
図3】
図3は、保護層およびマウスピースエンドキャップが取り外されている例示的な吸入器物品の概略側面図である。
【
図4】
図4は、保護層およびマウスピースエンドキャップが取り外されている
図3の例示的な吸入器物品の概略側面図である。
【
図5】
図5は、第一のマウスピース空気チャネルおよび第二のマウスピース空気チャネルの別個の気流経路を例示する、例示的なマウスピースの概略断面図である。
【
図6】
図6は、別の例示的な吸入器物品の概略断面図である。
【
図7】
図7は、
図6の例示的な吸入器物品の概略側面図である。
【
図8】
図8は、保護層およびマウスピースエンドキャップが取り外されている
図6の例示的な吸入器物品の概略側面図である。
【
図9】
図9は、完全な変形可能要素を有する
図6の例示的な吸入器物品の正面斜視図である。
【
図10】
図10は、開放された変形可能要素を有する
図6の例示的な吸入器物品の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
概略図は必ずしも実寸に比例していなく、また例示の目的で提示されていて、限定するものではない。図面は本開示に記載の一つ以上の態様を図示する。しかし当然のことながら、図面に図示されていない他の態様は、本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【0101】
図1は、例示的な吸入器物品100の概略断面図である。
図2は、例示的な吸入器物品100の概略側面図である。
図3は、保護層およびマウスピースエンドキャップが取り外されている例示的な吸入器物品100の概略側面図である。
図4は、保護層およびマウスピースエンドキャップが取り外されている
図3の例示的な吸入器物品100の概略側面図である。
図5は、第一のマウスピース空気チャネルおよび第二のマウスピース空気チャネルの別個の気流経路を例示する、例示的なマウスピースの概略断面図である。
【0102】
図6は、別の例示的な吸入器物品の概略断面図である。
図7は、
図6の例示的な吸入器物品の概略側面図である。
図8は、保護層およびマウスピースエンドキャップが取り外されている、
図6の例示的な吸入器物品の概略側面図である。
図9は、完全な変形可能要素158を有する
図6の例示的な吸入器物品の正面斜視図である。
図10は、開放された変形可能要素158を有する
図6の例示的な吸入器物品の正面斜視図である。
図6~
図10の吸入器物品は、吸入器物品の遠位端114を画定する変形可能要素158を含む。変形可能要素158は変形して、開放遠位端を露出する。変形可能要素158は、本体110の遠位端114にて扇状に折り畳まれている。
【0103】
吸入器物品100は、マウスピース端112から遠位端114に長軸方向軸LAに沿って延びる本体110を含む。カプセル空洞122は、マウスピース120によって下流で境界が付けられた本体110内であってもよい。遠位端114にある空気吸込み口118、およびマウスピース端112にある空気出口116。分離器124はカプセル空洞122とマウスピース120の間にあってもよく、カプセル空洞122からマウスピース120に至る気流経路を形成するための少なくとも一つの開口126を含む。第一のマウスピース空気チャネル125は、遠位空気吸込み口118からカプセル空洞122を通ってマウスピース空気出口116に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネル135は、分離器124の下流の点からマウスピース空気出口116に延びてもよい。第二のマウスピース空気チャネル135は、第一のマウスピース空気チャネル125から分離していてもよい。風味のコーティング層130は、第二のマウスピース空気チャネル135の表面上に配置されてもよく、保護層140は、風味のコーティング層130上に配置されてもよい。
【0104】
第二のマウスピース空気チャネル135は、吸入器100の本体110を通して延びる空気吸込み口132を有する。第二のマウスピース空気チャネル135は、マウスピース120を通して延びてもよい空気吸込み口132を有する。第二のマウスピース空気チャネル135は、マウスピース120の側壁を通して延びてもよい空気吸込み口132を有する。第二のマウスピース空気チャネル135の空気吸込み口132は、マウスピース120の周りに円周方向に位置する複数の穴または開口から形成されてもよい。
【0105】
第一のマウスピース空気チャネル125は、第二のマウスピース空気チャネル135と同軸であってもよい。第一のマウスピース空気チャネル125および第二のマウスピース空気チャネル135は、吸入器物品本体110の長軸方向軸LAと同軸であってもよい。第一のマウスピース空気チャネル125は、第二のマウスピース空気チャネル135と同軸かつ平行であってもよい。
【0106】
第二のマウスピース空気チャネル135は、吸入器本体110の低減された直径部分111の周りにマウスピース120を配置することによって形成されてもよい。本体の形作られたかつ低減された直径部分または狭められた部分111は、マウスピース領域に沿って、吸入器物品100のマウスピース端112に延びてもよい。マウスピース120は、吸入器本体110の低減された直径部分111の外側に嵌合して、第二のマウスピース空気チャネル135を形成してもよい。
【0107】
第二のマウスピース空気チャネル135は、マウスピース内表面121と吸入器本体110の低減された直径部分111の外部表面との間に環状の空間を画定してもよい。風味のコーティング層130は、マウスピース120の内径表面121と接触してもよい。
【0108】
マウスピース120は、吸入器本体100上の交換可能な要素であってもよい。それ故に、ユーザーは、消耗した風味のコーティング層130を有するマウスピース120を取り外してもよく、異なるまたは再生されたマウスピース120を、低減された直径部分111の外側に、かつ吸入器本体110上に定置してもよい。
【0109】
保護層140は、風味のコーティング層130に接着してもよく、また保護層140は、本体110の長軸方向軸L
Aと同軸のシリンダーを画定してもよい。マウスピースエンドキャップ145は、マウスピース空気出口116を封止してもよく、マウスピースエンドキャップ145は、マウスピース空気出口116を露出するためにマウスピース120から取り外し可能であるように構成されてもよい。保護層140は、マウスピースエンドキャップ145に固定されてもよく、かつマウスピースエンドキャップ145とともにマウスピース120から取り外されるように構成されてもよい。保護層140は、
図3で例示の通り、マウスピース120から取り外された時、渦巻き状の構成を画定してもよい。
【0110】
保護層140は、第二のマウスピース空気チャネル135の空気吸込み口132を封止してもよい。保護層140は、マウスピースエンドキャップ145から風味のコーティング層130に沿って、かつ第二のマウスピース空気チャネル135の空気吸込み口132に及んで延びて、バリアを提供し、風味のコーティング層130の風味材料の移動を低減または防止してもよい。
【0111】
円周方向の虚弱線146は、マウスピースエンドキャップ145とマウスピース端112の間の界面を形成する。ユーザーは、マウスピースエンドキャップ145を円周方向の虚弱線146にてマウスピース120から分離してもよい。
【0112】
カプセル150はカプセル空洞122内に配置されてもよい。カプセル150は、吸入器物品100の遠位端114またはマウスピース120を取り外すことによって、およびカプセル150を取り外すもしくは挿入することによって、交換可能であってもよい。遠位端114の空気吸込み口118は、カプセル空洞の中への回転するまたは渦巻く気流を開始して、カプセル150を回転またはスピンさせ、乾燥粉末粒子を気流の中に放出してもよい。
【0113】
図5に例示の通り、同伴された乾燥粉末粒子を含有するカプセル空洞からの気流は、分離器を通過し、第一の空気チャネル125に沿ってマウスピース空気出口116から出る。分離された気流は、吸入器の本体110を通して第二の空気チャネル135の中に通り、ここで風味は、その気流の中へと揮発し、第二の空気チャネル135に沿ってマウスピース空気出口116から出る。第二の空気チャネル135は、第一の気流チャネル125を通過する同伴された乾燥粉末粒子を含有するカプセル空洞からの気流から分離または隔離されている風味通気気流を提供してもよい。それ故に、乾燥粉末粒子および風味は、吸入器物品100内で相互に接触しない。乾燥粉末粒子および風味は、吸入器物品100から抜け出た後にのみ、相互に接触する。第一の気流チャネル125に沿った気流は、第二の空気チャネル135に沿った別個の気流と平行かつ同軸であってもよい。第一の気流チャネル125および第二の空気チャネル135からの気流は、吸入器物品100から出た後に組み合わされてもよい。
【0114】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±2%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。