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特許7585337色変換画素、色変換画素用組成物およびこれを含む表示装置
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  • 特許-色変換画素、色変換画素用組成物およびこれを含む表示装置 図1
  • 特許-色変換画素、色変換画素用組成物およびこれを含む表示装置 図2
  • 特許-色変換画素、色変換画素用組成物およびこれを含む表示装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】色変換画素、色変換画素用組成物およびこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241111BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241111BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/20 101
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349B
G02F1/1335 505
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022552981
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2020015212
(87)【国際公開番号】W WO2021177542
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0026488
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,フン-シク
(72)【発明者】
【氏名】ミョン,ジョン-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】パク,スル-ギ
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0007294(KR,A)
【文献】特表2018-509647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G09F 9/30
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された色変換画素を含むカラーフィルタであって、
前記色変換画素は、量子ドットおよび色材を含み、
前記色材は、450nmおよび640nmの波長領域で透過率が50%以上の色材;および450nmおよび540nmの波長領域で透過率が50%以上の色材から選択される1以上であり、
前記カラーフィルタは前記それぞれの色変換画素の間に隔壁がないことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記450nmおよび640nmの波長領域で透過率が50%以上の色材は、540nmの波長領域で透過率が50%以下であり、
前記450nmおよび540nmの波長領域で透過率が50%以上の色材は、640nmの波長領域で透過率が50%以下である、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記色材は、シアン顔料であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記色材は、マゼンタ染料であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記量子ドットは、緑色量子ドットまたは赤色量子ドットである、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
前記色変換画素は、モノマー;バインダー;開始剤;および添加剤をさらに含む、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
前記色変換画素は、色変換画素用組成物で形成され、
前記色変換画素用組成物中の固形分の総重量に対して、
前記量子ドット5~40重量%;
前記色材1~20重量%;
前記モノマー20~60重量%;
前記バインダー20~60重量%;
前記開始剤1~10重量%;および
前記添加剤0.1~3重量%を含む、請求項6に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【請求項9】
基板上に形成された色変換画素を含むカラーフィルタであって、
前記色変換画素は、
赤色量子ドット及びマゼンタ色材を含む赤色変換画素;及び
緑色量子ドット及びシアン色材を含む緑色色変換画素を含み、
前記マゼンタ色材は450nmおよび640nmの波長領域で透過率が50%以上で、540nmの波長領域で透過率が50%以下のものであり、
前記シアン色材は450nmおよび540nmの波長領域で透過率が50%以上で、640nmの波長領域で透過率が50%以下のものであり、
前記カラーフィルタは青色光を光源とし、前記それぞれの色変換画素の間に隔壁がないことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項10】
基板上に形成された色変換画素を含むカラーフィルタであって、
前記色変換画素は、
赤色または緑色量子ドット;
450nmおよび640nmの波長領域で透過率が50%以上であり、540nmの波長領域で透過率が50%以下である色材、および450nmおよび540nmの波長領域で透過率が50%以上であり、640nmの波長領域で透過率が50%以下の色材から選択される1以上;
モノマー;バインダー;開始剤;および添加剤を含み、
前記量子ドットが赤色量子ドットのとき、前記色材はマゼンタ色材であり、
前記量子ドットが緑色量子ドットのとき、前記色材はシアン色材であることを特徴とする、前記それぞれの色変換画素の間に隔壁のないカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドットおよび色材を含む色変換画素、色変換画素用組成物および前記色変換画素を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近浮上しているディスプレイ装置としては、大きく、液晶表示装置(LCD、Liquid Crystal Display)、有機電界発光表示装置(OLED、Organicelectro luminescence Display device)などがある。前記方式はそれぞれの画素を駆動する方式に差異がある。動く画面を示すために、LCDは、液晶という材料を用いてそれぞれの画素で表現する色相を制御し、OLEDは、それぞれの画素に電気を付与して光を発生させて画素で色を実現する方式により様々な画面を時間によって実現して動く画面を実現する。また、っ従来LCDは、光源をCCFL(冷陰極蛍光ランプ、Cold Cathode Fluorescent Lamp)を用いるか、またはLED(Light Emitting Diode)を用いるかによって異なり、OLEDも、それぞれの画素が単独でカラーを発生するRGB OLEDと、カラーフィルタ(CF、color filter)と組み合わされるWOLED(white OLED)とに分けられている。
【0003】
所望の色相を実現するためには光源と適切なカラーフィルタが要求され、現在、着色剤として顔料、染料のような色材を用いる方法が一般的に適用されている。従来ディスプレイに用いられる色材は特定の波長に透過および吸収特性を利用するものであって、例えば、赤色色相を有する色材である顔料レッド254(C.I.Pigment Red 254)は、青色領域と緑色領域で吸収特性を有し、赤色領域で透過特性を有するため、一般的な可視光線領域(波長範囲:380~780nm)で赤色として認識することができる。しかし、顔料を単独で用いる場合、高輝度、高コントラスト、高精細化などの高い品質要求条件を満足させることが困難であり、染料を単独で用いる場合、耐熱性および耐光性が低下するというデメリットがある。
【0004】
一方、最近多く研究されている量子ドットは、その大きさが数ナノメートルと小さくて特別な特性が発現する粒子で、光を受けてより長波長の光として放出する特性が現れるPL特性のほか、電気を注入して光を発生するEL特性も研究されている。前記特性によって量子ドットをディスプレイ材料として活用する研究も多く進められている。研究初期には、量子ドットを含むシートを開発して青色光源を白色光源に変換して既存のカラーフィルタを用いる構造が研究されており、最近は、それぞれの画素で色変換する特性への研究が進められている。例えば、フォトレジスト組成物およびこれを用いたカラーフィルタに関する大韓民国公開特許第10-2018-0030353号のように、青色画素は、光源の青色光源がそのまま発現し、緑色量子ドット画素は、青色光源を緑色光源として発現し、赤色量子ドット画素は、青色光源を赤色光源として発現する方法が検討されている。
【0005】
しかし、一般的に知られた色変換画素は、隔壁がなければ、バックライトユニットの青色光が隣接した画素に流出して赤色画素から流出した青色光が出たり、流出した青色光が赤色量子ドットに出会って赤色に変換された光が発生し、青色画素からも、緑色画素で緑色量子ドットのために発生した青色光が隣接した青色画素に流出し、画素から漏れ出るので、既存の色変換画素を用いる場合、隣接画素に光が漏れる問題点が発生する。したがって、このような隣接画素から発生する干渉を防ぐために、各画素の間に隔壁を必須として形成してこそ、光の漏れによる混色を防止することができる。従来使用される隔壁は光が漏れ出るのを防止する目的で必要になるため、黒色を有するものが一般的であるが、黒色隔壁を厚いパターンに製造することは容易ではない。また、隔壁を形成するため、隔壁が有する面積によって画素の開口率が減少するしかない問題が発生する。そこで、それぞれの色変換画素の性能を改善するために、隔壁がなくても画素間の干渉を最小化し、混色が発生しない高純度画素の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を改善するためのものであって、画素間の光干渉を最小化して、隔壁がなくても混色が発生せず、高い色純度を示す色変換画素、前記色変換画素製造のための色変換画素用組成物および前記色変換画素を含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、量子ドットおよび色材を含む色変換画素を提供する。
【0008】
また、本発明は、量子ドット、450nm、540nmおよび640nmのうち少なくとも2以上の波長領域で透過率が50%以上である色材、モノマー、バインダー、開始剤、および添加剤を含む、色変換画素用組成物を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、前記色変換画素を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の色変換画素は、量子ドットおよび特定の波長領域に対する透過率が高い色材を含むことにより、各画素間の光干渉を最小化して、各画素の間に隔壁がなくても混色が発生せず、色相の純度を高められる効果を提供する。
【0011】
また、隔壁の形成を必要としないのでカラーフィルタの製造工程が単純化され、これによって画素の開口率を増加させることができ、外光に対する反射を抑制して外部光源による量子ドットの発光を抑制することにより、高純度の色相で色を変換させる画素を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による色変換画素の構造を示す模式図である。
図2】本発明の一実施例により、本発明の色変換画素に含まれる色材の波長による透過率グラフである。
図3】一般的な青色、緑色、および赤色顔料の透過スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、量子ドットおよび色材を含む色変換画素、前記色変換画素を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む表示装置に関し、本発明の色変換画素は、カラーフィルタの青色画素、緑色画素、または赤色画素を意味するものであってもよい。
【0014】
本発明の色変換画素は、量子ドットおよび特定の波長に対する透過率が高い色材を含むことにより、画素間の光干渉を最小化して、各画素の間に隔壁がなくても混色が発生せず、色相の純度を高められる効果を提供する。
【0015】
また、本発明の色変換画素を含むカラーフィルタは、各画素の間に隔壁の形成を必要としないので工程が単純化され、これによって画素の開口率を増加させることができ、外光に対する反射を抑制して外部光源による量子ドットの発光を抑制することにより、高純度の色相で色を変換させる画素を製造することができ、このような色変換画素を含む表示装置を製造することができる。
【0016】
色材は、特定の波長で透過および吸収特性を示すものであって、例えば、赤色色材は、赤色領域(600nm以上)で透過特性を有するため、一般的な可視光線領域(波長範囲:380~780nm)で赤色として認識することができるが、その他の波長領域で吸収特性を示す。また、同じ脈絡から、緑色色材は、緑色領域(500~560nm)で透過特性を有し、可視光線領域で緑色として認識することができるが、その他の波長領域で吸収特性を示す。
【0017】
一方、量子ドットは、青色光を特定の波長の光に転換(短波長の光を長波長に転換)させるものであって、赤色量子ドットは、赤色画素で青色光を吸収して赤色光に変換させる役割を果たし、緑色量子ドットは、緑色画素で青色光を吸収して緑色光に変換させる役割を果たす。
【0018】
量子ドットを含む画素の色純度性能を向上させるために一般的な色材を導入する場合、例えば、赤色量子ドットと赤色色材を共に用いて画素を製造すれば、赤色色材が上述のように青色および緑色で吸収特性を有するため、赤色量子ドットが吸収すべき青色光を赤色色材が吸収して妨げるようになり、これによってむしろ画素の性能が低くなる。したがって、一般的に赤色または緑色画素に用いられる色材を、量子ドットと共に、色変換画素製造用組成物として使用することは好ましくない。
【0019】
そこで、本発明の色変換画素は、量子ドットおよび色材を含む色変換画素を含み、具体的には、画素間の混色を防止できる量子ドットおよび色材を含む色変換画素を含む。さらに具体的には、本発明は、量子ドットと2つの特定の波長領域に対する透過率が高い色材を共に含む色変換画素を含む。これにより、隔壁がなくても各画素の色純度を改善させ、混色に対する防止効果を付与することができ、このような色変換画素を用いることにより色相が改善された表示装置を提供することができる。
<色変換画素>
本発明の色変換画素は、量子ドットおよび色材を含む色変換画素を含み、好ましくは、量子ドットおよび2つの特定の波長領域に対する透過率が高い色材を含む。
量子ドット
本発明の色変換画素は、量子ドットを含む。
【0020】
本発明の量子ドットは、光または電気による刺激で発光できる量子ドット粒子であれば特に限定されない。例えば、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素、またはこれを含む化合物;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいし、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
例えば、前記II-VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0022】
前記III-V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0023】
前記IV-VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択される1つ以上であってもよいが、同じくこれに限定されない。
【0024】
これに限定されないが、前記IV族元素またはこれを含む化合物は、Si、Ge、およびこれらの混合物からなる群より選択される元素;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物からなる群より選択されてもよい。
【0025】
量子ドットは、均質な(homogeneous)単一構造;コア-シェル(core-shell)構造およびグラジエント(gradient)構造などのような二重構造;またはこれらの混合構造であってもよいし、本発明において、量子ドットは、光による刺激で発光できるものであれば、その種類を特に限定しない。
【0026】
一実施例によれば、量子ドットは、コア-シェル構造を有し、前記コアは、InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSeTe、CdZnS、CdSeS、PbSe、PbS、PbTe、AgInZnS、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InGaN、InAs、およびZnOからなる群より選択される1種以上を含み、前記シェルは、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、CdS、CdSe、CdTe、CdO、InP、InS、GaP、GaN、GaO、InZnP、InGaP、InGaN、InZnSCdSe、PbS、TiO、SrSe、およびHgSeからなる群より選択される1種以上を含むことができ、好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnS、およびInP/MnSe/ZnSからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0027】
一般的に、量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)、または分子線エピタキシ工程(MBE、molecular beam epitaxy)によって製造できる。
【0028】
湿式化学工程は、有機溶剤に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法で、結晶が成長する時、有機溶剤が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて分散剤の役割をして結晶の成長を調節するので、有機金属化学蒸着や分子線エピタキシのような気相蒸着法よりも容易かつ安価な工程により量子ドット粒子の大きさの成長を制御することができる。
【0029】
本発明の前記量子ドットは、それぞれ緑色画素、赤色画素、および青色画素の製造目的に応じて、緑色量子ドット、赤色量子ドット、および青色量子ドットを使用することができる。
【0030】
具体的には、前記量子ドットは、緑色量子ドットであってもよく、前記緑色量子ドットは、青色光を吸収して緑色光に転換させる役割を果たす物質を意味するものであって、一般的に、緑色画素製造のために使用される量子ドット物質であれば制限なく適用可能である。例えば、前記緑色量子ドットは、中心波長が500~560nmであってもよく、520nm~550nmであることが好ましく、約540nmであることが最も好ましい。
【0031】
また、前記量子ドットは、赤色量子ドットであってもよく、前記赤色量子ドットは、青色光を吸収して赤色光に転換させる役割を果たす物質を意味するものであって、一般的に、赤色画素製造のために使用される量子ドット物質であれば制限なく適用可能である。例えば、前記赤色量子ドットは、中心波長が600nm以上であってもよく、600nm~700nmであることが好ましく、約640nmであることが最も好ましい。
【0032】
また、前記量子ドットは、青色量子ドットであってもよく、前記青色量子ドットは、青色で出すようにする物質を意味するものであって、一般的に、青色画素製造のために使用される量子ドット物質であれば制限なく適用可能である。例えば、前記青色量子ドットは、中心波長が500nm以下であってもよく、400nm~500nmであることが好ましく、約450nmであることが最も好ましい。
【0033】
色材
本発明の色変換画素は、色材を含む。
【0034】
前記色材は、450nm、540nmおよび640nmのうち少なくとも2以上の波長領域で透過率が50%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上であってもよく、最も好ましくは70%以上であってもよい。また、前記色材は、450nm、540nmおよび640nmのうち少なくとも1以上の領域で透過率が50%以下であってもよく、好ましくは30%以下であってもよく、最も好ましくは5%以下であってもよい。
【0035】
本発明の前記色材は、450nm、540nmおよび640nmのうち2つの波長領域で透過率が50%以上、さらに好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上であってもよく、1つの領域で透過率が50%以下、好ましくは30%以下、最も好ましくは5%以下であってもよい。
【0036】
前記色材は、450nmおよび540nmの波長領域で透過率が50%以上、さらに好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上であってもよく、450nmおよび640nmの波長領域で透過率が50%以上、さらに好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上であってもよい。
【0037】
本発明の一例による、色材の波長による透過率を図2に示した。
具体的には、前記量子ドットが緑色量子ドットの時、前記色材は、450nmおよび540nmの波長領域で透過率が50%以上であってもよく、640nmの波長領域で透過率が50%以下であってもよいし、好ましくは、シアン色材であってもよいし、この時、本発明の色変換画素は、緑色画素であってもよい。前記シアン色材は、可視光線領域でシアン色として認識される公知の色材であれば制限なく使用可能であり、シアン顔料およびシアン染料を含む。例えば、前記シアン染料は、Acid Blue 90、Acid Blue G 4061(Sinochem Tianjin Imp Exp Corp)、Acid Blue GN(Jagson Colorchem Ltd)、Acid Brilliant Blue G(Sinochem Ningbo Imp&Exp Corp)、Acid Brilliant Blue G(Nanjing Chemicals Import and Export Corp)、Acid Brilliant Blue G(Brighten Colorchem BV)などがあり得、前記シアン顔料は、Polar Blue G(Ciba Specialty Chemicals Inc)、Polar Blue G-Ol(Ciba Specialty Chemicals Inc)、Ricolan Cyanine G(Rite Industries Inc.)、Sandolan Cyanine N-G(Clariant GmbH)などがあり得る。
【0038】
例えば、一具体例の緑色画素は、前記色材が赤色光を吸収し、青色および緑色光は透過し、前記緑色量子ドットが透過した青色光を緑色光に転換させることにより、緑色画素の色純度が向上できる。
【0039】
また、前記量子ドットが赤色量子ドットの時、前記色材は、450nmおよび640nmの波長領域で透過率が50%以上であってもよく、540nmの波長領域で透過率が50%以下であってもよいし、好ましくは、マゼンタ色材であってもよいし、この時、本発明の色変換画素は、赤色画素であってもよい。前記マゼンタ色材は、可視光線領域でマゼンタ色として認識される公知の色材であれば制限なく使用可能であり、前記マゼンタ色材は、マゼンタ染料およびマゼンタ顔料を含む。例えば、前記マゼンタ染料は、Acid Magenta IIS(British dyestuffs corporation、BDC)、Magenta S(Interessen Gemeinschaft Farbenindustrie A.G.,IG)などがあり得、前記マゼンタ顔料は、Diamond magenta I、Magenta A pdr Magenta AB pdr(Interessen Gemeinschaft Farbenindustrie A.G.,IG)などがあり得る。
【0040】
例えば、一具体例の赤色画素は、前記色材が緑色光を吸収し、青色および赤色光は透過し、前記赤色量子ドットが透過した青色光を赤色光に転換させることにより、赤色画素の色純度が向上できる。
【0041】
<色変換画素用組成物>
本発明の上述した色変換画素は、量子ドットおよび色材を含む色変換画素用組成物から製造されたものであってもよいし、本発明の前記色変換画素用組成物は、量子ドットおよび色材のほか、モノマー、バインダー、開始剤、添加剤、および溶剤のうちの1種以上を追加的に含むことができる。
【0042】
量子ドット
色変換画素において上述した量子ドットに関する説明が、色変換画素用組成物でも同様に適用可能である。
【0043】
前記量子ドットは、前記色変換画素用組成物の固形分に対して5~40重量%、好ましくは10~30重量%含まれる。
【0044】
色材
色変換画素において上述した色材に関する説明が、色変換画素用組成物でも同様に適用可能である。
【0045】
前記色材は、前記色変換画素用組成物の固形分に対して1~20重量%含まれ、好ましくは1.5~10重量%含まれる。
【0046】
モノマー
本発明の一実施形態による色変換画素は、モノマーを追加的に含むことができる。前記モノマーは、組成物に適切な粘度特性を付与し、後述する開始剤によって発生したラジカルがモノマーを介して構造を形成する作用をする。
【0047】
前記モノマーは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトール(ポリ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を含むことができ、好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく使用される。
【0048】
前記モノマーは、前記色変換画素用組成物の固形分に対して20~60重量%含まれ、好ましくは25~50重量%含まれる。
【0049】
バインダー
本発明の一実施形態による色変換画素は、バインダーを追加的に含むことができる。
【0050】
前記バインダーは、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、下記化学式1で表される構造を含む樹脂を使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0051】
【化1】
【0052】
前記化学式1において、pは、3~15の整数であり、*は、結合手である。
前記バインダーは、前記色変換画素用組成物の固形分に対して20~60重量%含まれ、好ましくは25~50重量%含まれる。
【0053】
開始剤
本発明の一実施形態による色変換画素は、開始剤を追加的に含むことができる。
【0054】
本発明の一実施形態において、前記開始剤は、前記モノマーを重合させることができるものであれば、その種類を特に制限なく使用可能である。特に、前記開始剤は、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、価格などの観点から、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシム系化合物、およびチオキサント系化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用することが好ましい。
【0055】
前記開始剤は、前記色変換画素用組成物の全体含有量に対して1~10重量%、好ましくは1.5~5重量%含まれる。
【0056】
添加剤
本発明の一実施形態による色変換画素は、添加剤を追加的に含むことができる。
【0057】
前記添加剤は、例えば、他の高分子化合物、エポキシ添加剤(硬化剤)、およびレベリング剤などからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0058】
前記他の高分子化合物の具体例としては、エポキシ樹脂およびマレイミド樹脂などの硬化性樹脂;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、およびポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0059】
前記硬化剤は、深部硬化および機械的強度を高めるために使用され、具体例としては、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、およびオキセタン化合物などが挙げられる。
【0060】
前記硬化剤においてエポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、その他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、またはこのようなエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂およびその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族または芳香族エポキシ化合物、ブタジエン(共)重合体エポキシ化物、イソプレン(共)重合体エポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0061】
前記硬化剤は、硬化剤と共に、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合可能にする硬化補助化合物を併用することができる。前記硬化補助化合物は、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などがある。前記多価カルボン酸無水物類は、エポキシ樹脂硬化剤として市販のものを用いることができる。前記エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、市販品として、商品名(アデカハードナーEH-700)(アデカ工業(株)製造)、商品名(リカシッドHH)(新日本理化(株)製造)、商品名(MH-700)(新日本理化(株)製造)などが挙げられる。前記例示した硬化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
前記レベリング剤としては、黒色感光性樹脂組成物の被膜形成性をより向上させるために、市販の界面活性剤を使用することができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
前記添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適宜追加して使用可能である。例えば、前記添加剤は、前記色変換画素用組成物の固形分に対して0.1~3重量%、好ましくは0.2~1重量%含まれる。
【0064】
溶剤
本発明の一実施形態による色変換画素は、溶剤を追加的に含むことができる。
【0065】
前記溶剤は、色変換画素用組成物に含まれる他の成分を溶解させるのに効果的なものであれば、当該分野にて通常使用される溶剤を特に制限なく使用可能である。前記溶剤は、具体例として、エーテル類、アセテート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類、およびアミド類などから1種以上を選択して使用することができるが、これに限定するものではない。
【0066】
前記エーテル類溶剤は、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。
【0067】
前記アセテート類溶剤は、具体的には、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、n-ペンチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類;などが挙げられる。
【0068】
前記芳香族炭化水素類溶剤は、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0069】
前記ケトン類溶剤は、具体的には、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0070】
前記アルコール類溶剤は、具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0071】
前記エステル類溶剤は、具体的には、γブチロラクトンなどの環状エステル類;3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、エチル3-エトキシプロピオネートなどが挙げられる。
【0072】
前記アミド類溶剤は、具体的には、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0073】
前記溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0074】
前記溶剤は、前記色変換画素用組成物の固形分に対して100~400重量%、好ましくは150~300重量%含まれる。
【0075】
<カラーフィルタおよび表示装置>
本発明は、前記色変換画素を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む表示装置に関する。また、本発明の表示装置およびカラーフィルタは、上述した色変換画素に対して記述された内容をすべて適用することができ、重複する部分については詳細な説明を省略したが、その説明が省略されても同様に適用可能である。
【0076】
図1を参照して説明すれば、本発明の表示装置に含まれるカラーフィルタは、基板10上に互いに異なるカラーの形成のための第1画素、第2画素、および第3画素21、22、23を含み、前記第1~第3画素の少なくとも1つは、本発明による色変換画素であってもよい。例えば、外部から光(例えば、青色光)30がカラーフィルタに入射すると、第1画素、第2画素、および第3画素領域からそれぞれ赤色光、緑色光、および青色光が出射される。
【0077】
一実施形態において、図1に示されるように、前記カラーフィルタは、青色画素21、緑色画素22、および赤色画素23が形成されたものであって、緑色画素22および/または赤色画素23が本発明による色変換画素であることを含み、緑色画素22および赤色画素23とも、本発明による色変換画素であることが好ましい。
【0078】
一実施形態において、前記カラーフィルタは、青色画素21、緑色画素22、および赤色画素23が形成されたものであって、青色画素21、緑色画素22、および/または赤色画素23が本発明による色変換画素であることを含み、青色画素21、緑色画素22、および赤色画素23とも、本発明による色変換画素であることが好ましい。
【0079】
本発明のカラーフィルタは、本発明による色変換画素を含むことにより、前記第1画素、第2画素、および第3画素21、22、23の間にこれらを区画するための隔壁を含まなくてもよいし、前記基板10は、ガラスなどのような透明基板であることが好ましい。
【0080】
一実施形態において、図1に示されるように、前記カラーフィルタは、青色画素21、緑色画素22、および赤色画素23の間にこれらを区画するための隔壁を含まなくてもよい。
【0081】
また、本発明は、上述したカラーフィルタを含む表示装置を提供する。本発明による表示装置は、本発明によるカラーフィルタを用いることを除けば、従来公知の構造をすべて適用可能である。
【0082】
一実施形態において、本発明の表示装置は、互いに対向する下部基板および上部基板と、下部基板と上部基板との間に配置された液晶層とを備える液晶パネルと、前記液晶パネルに画像形成用光を提供するバックライト装置と、バックライト装置から出射され、前記液晶パネルを透過した光の波長を変換させてカラーを形成するカラーフィルタとを含む。また、前記バックライト装置は、青色光を発光する光源30を含み、液晶パネルに青色光を提供することができる。
【実施例
【0083】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例、比較例および実験例を提示するが、このような実施例、比較例および実験例は本発明を例示するものに過ぎず、添付した特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇および技術思想の範囲内で実施例、比較例および実験例に対する多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変形および修正が添付した特許請求の範囲に属することも当然である。
【0084】
製造例1~9:色変換画素用組成物の製造
製造例1~9の組成により製造された組成物は、表1の含有量によって溶剤、色材、量子ドット、モノマー、バインダー、開始剤、エポキシ、添加剤の順に添加し、30分間300rpmの速度で回転して混合して色変換画素用組成物を製造した。
【0085】
本製造例において、青色色変換画素用組成物を製造するために、散乱体としてTiOを用いる白色感光性樹脂組成物(製造例1)、散乱体としてTiOを用い、青色顔料を含む青白色感光性樹脂組成物(製造例2)、および製造例3の透明な有機組成物を製造した。
【0086】
【表1】
【0087】
白色顔料:Pigment White 6(dupont社製品TR-88)
青色顔料:Pigment Blue 15:6、Xcolor pigment社
シアン顔料:BCG社製品
緑色顔料:Pigment Green 58
マゼンタ染料:Saujanya dyestuff社
赤色顔料:Pigment Red 254
緑色量子ドット(GQD):Nanolumi社の量子ドット、中心波長530nm、FWHM30nm
赤色量子ドット(RQD):Nanolumi社の量子ドット、中心波長640nm、FWHM38nm
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社)
バインダー:下記の合成例1の化学式2のバインダー
開始剤:Irgacure OXE03(バスフ社)
エポキシ:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ダイセル)
添加剤:レベリング剤(F475、DIC社)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
合成例1:化学式2のバインダー樹脂の合成
下記化学式1-1の白色固体粉末を三口フラスコに入れて、チオフェノール(thiophenol)27g、エタノール32gを入れて撹拌した。
【0088】
【化1-1】
【0089】
反応溶液にトリエチルアミン(trimethylamine)16.3gをゆっくり滴加した。反応完了後、エタノールを減圧蒸留して除去し、有機物をジクロロメタン(dichloromethane)に溶かした後、水で洗浄した後、ジクロロメタンを減圧蒸留により除去した。3-Neck flaskに同量のPGMEA溶剤を投入して50%溶液に製造した後、115℃まで昇温させた。115℃で3,3’,4,4’-Biphenyltetracarboxylic dianhydride31.1gを滴下した後、6時間118℃を維持しながら撹拌させた。Phthalic anhydride7.35gを入れて2時間さらに撹拌した後、反応を終了した。冷却後、重量平均分子量4,300g/molである化学式1の樹脂を得た。
【0090】
【化1】
【0091】
実施例および比較例:色変換画素の製造
前記製造例で製造された組成物を用いてフォトリソグラフィ工程によりパターンを形成して、下記表2に示したように、それぞれ青色画素、緑色画素、赤色画素を含む色変換画素を製造した。
【0092】
フォトリソグラフィは、ガラス基板(イーグル2000、コーニング社製)の表面を中性洗剤、水、およびアルコールで順次洗浄した後、前記ガラス基板上にコーティング機器(Mikasa社、Opticoat MS-A150)を用いて、下記表2の実施例1~実施例7および比較例1~4で構成された構造により組成物ごとに一定の厚さを示すことができるrpmでコーティングを進行させた後、90℃の熱板(hot-plate)で1分~10分間プリベークを進行させて、塗膜を形成した。
【0093】
以後、前記塗膜にパターンを形成するためのマスクを介在した後、露光機(Ushio社、HB-50110AA)で200mJ/cmの露光条件(365nmのセンサによる)で、UVを照射しながら、パターン露光を進行させた。前記露光後、現像液水溶液で不要な部分を溶解させて除去して、露光部分のみを残存させてパターンを形成し、convectionオーブンで130℃の温度に60分間熱硬化を進行させて、試験片の作製を完了した。画素は隔壁を形成せず、青色画素を形成し、赤色画素を形成し、緑色画素を形成する順に基板を製造し、形成された構造の模式図は図1の通りである。
【0094】
【表2】
【0095】
一般的な量子ドット画素は、青色光源から発生した光を量子ドットが吸収して長波長の光を発生するもので、比較例1および2のように、緑色画素には青色光源から発生した光を量子ドットが吸収して緑色波長の光を発生する量子ドットを用い、赤色画素には青色光源から発生した光を量子ドットが吸収して赤色波長の光を発生する量子ドットを用いて感光性樹脂組成物を製造したものである。
【0096】
<試験例>
前記製造された実施例および比較例による色変換画素に対して、性能評価を次のように実施し、その結果を表3に示した。
【0097】
試験例1:輝度評価
緑色(緑色の輝度)乃至赤色(赤色の輝度)を駆動し、基板の上部にCAS 140 CT装置を用いて基板のスペクトル(spectrum)を測定した。所望の色相の波長を面積比で計算して、下記の区分により比較例1~4および実施例1~7の結果を測定して表3に示した。
【0098】
◎:青色対比の緑色乃至赤色の輝度が80%以上の場合
○:青色対比の緑色乃至赤色の輝度が60%以上の場合
△:青色対比の緑色乃至赤色の輝度が40%以上の場合
X:青色対比の緑色乃至赤色の輝度が25%以下の場合
試験例2:色純度評価
緑色(緑色の色純度)乃至赤色(赤色の色純度)を駆動し、基板の上部にCAS 140 CT装置を用いて基板のスペクトル(spectrum)を測定した。所望の色相の波長以外の波長を面積比で計算して、下記の区分により比較例1~4および実施例1~7の結果を測定して表3に示した。
【0099】
◎:所望の色相以外の波長が0.1%以下の場合
○:所望の色相以外の波長が0.1%超過1%以下の場合
△:所望の色相以外の波長が1%超過3%以下の場合
X:所望の色相以外の波長が3%超過の場合
試験例3:鮮明性評価
画素間の鮮明性を評価するために、特定の画素を駆動し、隣接した画素で発生する光の強度(intensity)で評価して鮮明性を評価し、その結果を下記表3に示した。
【0100】
緑色/赤色の鮮明性は緑色画素を駆動し、隣接した赤色画素で発生する光の強度で評価し、緑色/青色の鮮明性は緑色画素を駆動し、隣接した青色画素で発生する光の強度で評価し、評価基準は下記の通りである。
【0101】
◎:緑色の光の強度対比で発生した強度が0.1%以下の場合
○:緑色の光の強度対比で発生した強度が0.1%超過1%以下の場合
△:緑色の光の強度対比で発生した強度が1%超過3%以下の場合
X:緑色の光の強度対比で発生した強度が3%超過の場合
【0102】
【表3】
【0103】
緑色を実現するために緑色画素の後面の青色光源を駆動すれば、バックライトユニット(BLU)から青色光源が発生し、緑色画素で青色光源が緑色に変換されて緑色を呈しなければならない。しかし、隔壁を形成せずに比較例1および2のように色変換画素を構成する場合、バックライトユニットの青色光が隣接した画素に流出して赤色画素から青色光が出たり、赤色量子ドットに出会って赤色に変換された光が発生し、また、青色画素からも、緑色画素で発生した青色光が隣接した青色画素に漏れ出る。前記表3を参照すれば、緑色および赤色画素に量子ドットのみを導入した比較例1および2が上記の問題点によって色品質が悪化し、画素間の鮮明性が低くなったことを確認することができる。
【0104】
また、量子ドットに色材を導入する場合、比較例3および比較例4のように、各画素と同一の色材を導入して色変換画素を構成する場合、色材が量子ドットの吸収すべき青色光を吸収するため、量子ドットの効率が低くなり、結果として緑色乃至赤色画素の輝度が低下する結果が発生した(図3)。
【0105】
これに対し、緑色画素および赤色画素にシアンおよびマゼンタ色材を導入した実施例1の場合、隔壁がなくても色純度と鮮明性がすべて優れており、緑色画素および赤色画素のうちの1つの画素にのみ色材を導入した実施例2~7も、隔壁なしに色純度と鮮明性が向上したことを確認することができた。
図1
図2
図3