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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】スキンケアのための化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20241111BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241111BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241111BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241111BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/81
A61Q19/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022559686
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2020082248
(87)【国際公開番号】W WO2021195905
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヤンドン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】イルイ・ジュ
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513624(JP,A)
【文献】特開2005-036001(JP,A)
【文献】特開2010-155839(JP,A)
【文献】特表2016-508158(JP,A)
【文献】特表2014-521665(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131845(WO,A1)
【文献】特開2018-100258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/06
A61K 8/34
A61K 8/44
A61K 8/81
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルジョンの形態の化粧用組成物であって、前記組成物の総質量に対して、
(i)0.5質量%~10質量%の、少なくとも1種の構造R-OHの固体脂肪アルコールであって、Rは、14~30個の炭素原子を含む、1つ又は複数のヒドロキシ基により任意選択で置換された、飽和又は不飽和の直鎖状アルキル基を示す、固体脂肪アルコール、
(ii)0.1質量%~5質量%の、少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤、並びに
(iii)少なくとも1つの架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、並びに少なくとも1つの、AMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレートの任意選択で架橋されたコポリマー
を含み、
前記少なくとも1つの架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、並びに少なくとも1つの、AMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレートの任意選択で架橋されたコポリマーの総量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~5質量%であり、
前記アミノ酸界面活性剤が、式(A)の化合物
【化1】
(式(A)中、
Zは、8~22個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0又は1であり、
Yは、水素、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2C6H5、-CH2C2H4OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)O-M+、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、塩形成カチオンである)
から選択される、
化粧用組成物。
【請求項2】
前記固体脂肪アルコールが、前記組成物の総質量に対して、0.5質量%~3質量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
式(A)において、
Zが、直鎖状又は分枝状C8~C22アルキル又はアルケニル基を表し、
Xが、水素又はメチル基であり、
nが、0であり、
Yが、水素、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mが、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びトリエタノールアミンから選択される塩形成カチオンである、
請求項1又は2に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記アミノ酸界面活性剤が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、セリン、チロシン、バリン、サルコシンの塩、及びそれらの任意の混合物から選択される、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記アミノ酸界面活性剤が、前記組成物の総質量に対して、0.3質量%~2質量%の範囲の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーが、
i)ランダムに分布した、
a)90質量%~99.9質量%の、下記一般式(I):
【化2】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンを示し、カチオンX+の10mol%以下が、プロトンH+である)
の単位、
b)少なくとも2つのオレフィン性二重結合を含有する少なくとも1種のモノマーから誘導される0.01質量%~10質量%の架橋単位であって、質量割合は、ポリマーの総質量に対して定義される、架橋単位
を含むAMPSホモポリマー
から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
前記化粧用組成物が、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート及びアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス-25メタクリレートクロスポリマーを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、並びに少なくとも1つの、AMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレートの任意選択で架橋されたコポリマーの総量が、前記組成物の総質量に対して、0.2質量%~約2質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記組成物の総質量に対して、10質量%~99質量%の範囲の量の水性相を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%の範囲の量の脂肪相を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
水中油型エマルジョンの形態の化粧用組成物であって、前記組成物の総質量に対して、
(i)0.5質量%~3質量%の、少なくとも1種の構造R-OHの固形脂肪アルコールであって、Rは、14~22個の炭素原子を含む、1つ又は複数のヒドロキシ基により任意選択で置換された、飽和又は不飽和の直鎖状アルキル基を示す、固体脂肪アルコール、
(ii)0.3質量%~2質量%の、グルタミン酸の塩から選択される少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤、並びに
(iii)0.2質量%~2質量%の、架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、並びにAMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレートの任意選択で架橋されたコポリマーの組合せ
を含む、化粧用組成物。
【請求項12】
皮膚をケアするための非治療的方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧用組成物を皮膚に適用する工程を含む、非治療的方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、化粧用組成物に関する。特に、本発明は、ケラチン物質、とりわけ皮膚をケアするための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
皮膚及び/又は唇のケア及び/又はメイクアップ専用の配合物の開発には、終わりがない。配合物は、適用、例えば使いやすさの観点から、並びに適用後の感覚、例えば水和及び/又は保湿感の観点からも、申し分のない特性を示さなければならない。
【0003】
皮膚は、人体のための保護バリアである。皮膚は、物理的損傷(例えば外傷)及び生物学的損傷(例えば、細菌、ウィルス、又は菌)から、身体の内部を保護する。人体の皮膚は、真皮及び表皮を含む。表皮は皮膚の最上層であり、その表層は角質層と呼ばれる。
【0004】
保湿は、深部にある層の水によって、及び発汗によって、皮膚にもたらされる。皮膚の保湿障害、とりわけ皮膚の乾燥は、多くの場合、年齢及び/又は気候の変化に伴って観察される。しかしながら、そのような状態はまた、若年の個体においても表れることがある。
【0005】
多種多様な化粧用組成物が、皮膚のケア、特に皮膚に保湿又は水和をもたらすために使用されている。これらの組成物は、典型的には、閉塞を介して水損失を阻害する親油性保湿剤を含有する。これらの組成物は、他の皮膚に有益な薬剤、例えば、ビタミン及び保水剤を更に含みうる。これらの成分の添加は、皮膚の保湿を増加させうる。例えば、クリーム又はエマルジョンの形態で組成物を配合する努力がなされている。組成物の濃厚なテクスチャーのおかげで、閉塞を介して皮膚の保湿感をもたらすことが可能である。エマルジョンは、通常、油中水型エマルジョンの形態である。
【0006】
しかしながら、これらのタイプの製品は、なお満足のいくものではない。
【0007】
消費者は、製品の適用後、不快な脂っこさを感じる。更に、製品の濃厚なテクスチャーに起因して、皮膚に均一に適用するのが容易ではない。
【0008】
したがって、良好な化粧用特性、特に、脂っこさを感じさせることなく皮膚の保湿及び/又は水和を有する、皮膚をケアするための安定な組成物を配合する必要がなお存在する。
【0009】
その上、組成物は、良好なテクスチャーを有し、適用中に皮膚に容易に広がることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2008/0200704号
【文献】WO00/31154
【文献】EP-A-0750899
【文献】US-A-5089578
【文献】EP1069142
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、優れたテクスチャー及び適用、並びに感覚特徴を示す安定なスキンケア組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本出願人は、ここで、上記の通りの所望の特性を有するそのような組成物を配合することが可能であることを発見した。
【0013】
詳細には、本出願人は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための安定な組成物であって、優れたテクスチャー及び適用、並びに感覚特徴を示す、組成物を配合することが可能であることを発見した。
【0014】
したがって、第1の態様では、本発明は、水中油型エマルジョンの形態の化粧用組成物であって、
(i)少なくとも1種の固体脂肪アルコール、
(ii)少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤、並びに
(iii)親水性アクリルホモポリマー及び両親媒性アクリルポリマーから選択される少なくとも1種のゲル化剤
を含む、化粧用組成物に関する。
【0015】
本発明の化粧用組成物は、水中油型エマルジョンの形態である。したがって、化粧用組成物は、連続した水性相及び分散した脂肪相を含む。
【0016】
第2の態様では、本発明は、皮膚をケアするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による化粧用組成物を皮膚に適用する工程を含む、非治療的方法に関する。
【0017】
本発明の組成物は、指で長期間マッサージすることなく、皮膚に均一に容易に適用される。
【0018】
本発明の化粧用組成物は、優れたテクスチャー及び適用、並びに感覚特徴を示す。
【0019】
上記の通りの本発明による組成物は、高温(45℃)で経時的に、例えば、2カ月間、更には例えば3カ月間の保存後に安定である。
【0020】
本発明の他の利点は、以下の説明及び実施例を読むことで一層明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
第1の態様によると、本発明は、水中油型エマルジョンの形態の化粧用組成物であって、
(i)少なくとも1種の固体脂肪アルコール、
(ii)少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤、並びに
(iii)親水性アクリルホモポリマー及び両親媒性アクリルポリマーから選択される少なくとも1種のゲル化剤
を含む、化粧用組成物に関する。
【0022】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本説明における用語の定義が、本発明が属する分野の当業者が通常理解する意味と矛盾する場合、本明細書に記載される定義が適用されるものとする。
【0023】
以下の記載において、別途示されない限り、値の範囲の限界値は、特に「…からの間」及び「…~…の範囲」という表現において、この範囲内に含まれる。
【0024】
更に、本説明において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と等価である。
【0025】
本出願全体を通して、「含む」という用語は、全ての特定的に言及される特徴の他、任意選択の、追加の、特定されていない特徴を包含すると解釈されるものである。本明細書で使用される場合、「含む」という用語の使用はまた、特定的に言及される特徴以外の特徴は存在しない(すなわち、「からなる」)実施形態も開示する。
【0026】
別途特定されない限り、本説明及び特許請求の範囲において使用される成分の量等を表す全ての数値は、「約」という用語によって修飾されていると理解されるものである。したがって、逆のことが示されない限り、本明細書に記載される数値及びパラメーターは、必要に応じて所望の目的に従って変更することが可能な近似値である。
【0027】
本発明の全てのパーセンテージは、別途特定されない限り、質量パーセンテージを指す。
【0028】
固体脂肪アルコール
第1の態様によると、本発明の化粧用組成物は、少なくとも1種の固体脂肪アルコールを含む。
【0029】
「固体脂肪アルコール」によって、室温(25℃)及び大気圧(780mmHg又は1atm)で固体である、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和脂肪アルコールを意味する。脂肪アルコールは、水溶性である、すなわち、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満の水への溶解性を有する。
【0030】
好ましくは、固体脂肪アルコールは、構造R-OHのものであり、Rは、14~30個の炭素原子を含む1つ又は複数のヒドロキシ基により任意選択で置換された飽和又は不飽和直鎖状アルキル基を示す。
【0031】
好ましくは、固体脂肪アルコールは、14~30個の炭素原子を有するものから選択される。
【0032】
好ましくは、14~30個の炭素原子を有する固体脂肪アルコールは、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(cis-9-ヘキサデセン-1-オール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)、エルシルアルコール(cis-13-ドコセン-1-オール)、リグノセリルアルコール(1-テトラコサノール)、セリルアルコール(1-ヘキサコサノール)、ミリシルアルコール及びメリシル(1-トリアコンタノール)から選択されてもよい。
【0033】
より好ましくは、本発明によると、固体脂肪アルコールは、14~22個の炭素原子を有するアルコール、例えば、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)及びそれらの混合物から選択される。
【0034】
より好ましくは、固体脂肪アルコールは、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)及びそれらの混合物から選択される。
【0035】
固体脂肪アルコールへの言及は、BASF社によって名称Lanette(登録商標)16で販売されているセチルアルコール、若しくはBASF社によって名称Lanette(登録商標)22によって販売されているベヘニルアルコール、又はそれらの混合物でありうる。
【0036】
有利には、固体脂肪アルコールは、組成物の総質量に対して、0.1%~10%、好ましくは0.2質量%~5質量%、より好ましくは0.5質量%~3質量%の範囲の量で存在する。
【0037】
アミノ酸界面活性剤
第1の態様によると、本発明の組成物は、少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤を含む。
【0038】
一実施形態では、アミノ酸界面活性剤は、アミノ酸のカルボン酸塩から誘導され、ここで、アミノ酸塩のα-炭素又はβ-炭素上に位置するアミン基は、C8~C22脂肪酸誘導体でアクリル化されている。
【0039】
これらのアミノ酸のカルボン酸塩は、従来の手段、例えばそれぞれのアミノ酸を塩基で中和することによって形成することができる。中和されたアミノ酸のα-炭素又はβ-炭素上に位置するアミン基は、周知のショッテン-バウマン反応を介して、塩基の存在下において脂肪酸ハロゲン化物(ハロゲン化アシル)でアシル化され、アミドを生成し、したがって所望の界面活性剤反応生成物、すなわちアミノ酸界面活性剤を形成する。アミノ酸のカルボン酸塩のアシル化に好適なハロゲン化アシルとしては、塩化アシル、臭化アシル、フッ化アシル及びヨウ化アシルが挙げられる。ハロゲン化アシルは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C8~C22脂肪酸をハロゲン化(臭化、塩化、フッ化及びヨウ化)チオニルと反応させることによって調製できる。代表的なハロゲン化アシルとしては、これらに限定されるものではないが、塩化デカノイル、塩化ドデカノイル(塩化ラウロイル)、塩化ココイル(ヤシ油由来の脂肪酸塩化物)、塩化テトラデカノイル(塩化ミリストイル)、塩化ヘキサデカノイル(塩化パルミトイル)、塩化オクタデカノイル(塩化ステアロイル)、塩化9-オクタデセノイル(塩化オレオイル)、塩化エイコサノイル(塩化アラキドイル)、塩化ドコサノイル(塩化ベヘノイル)から選択される塩化アシル、及びそれらの任意の混合物が挙げられる。他のハロゲン化アシルとしては、前述の脂肪酸の、臭化物、フッ化物及びヨウ化物が挙げられる。ハロゲン化アシルを調製する方法並びにアミノ酸をアシル化する代替的方法は、2008年8月21日公開の米国特許出願公開第2008/0200704号に記載されており、その出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
一実施形態では、アミノ酸界面活性剤は、式(A):
【化1】
(式中、
Zは、8~22個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0又は1であり、
Yは、水素、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2C6H5、-CH2C2H4OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)O-M+、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、塩形成カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアミンである)
で表される。
【0041】
一実施形態では、式(A)において、
Zは、直鎖状又は分枝状C8~C22アルキル又はアルケニル基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0であり、
Yは、水素、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、塩形成カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアミンである。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によると、式(A)のアミノ脂肪酸において、
Zは、直鎖状又は分枝状C8~C22アルキル又はアルケニル基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0であり、
Yは、水素、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、塩形成カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアミンである。
【0043】
アミノ酸界面活性剤の例として、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、セリン、チロシン、バリン、サルコシンの塩、及びそれらの任意の混合物がある。
【0044】
より詳細には、アミノ酸界面活性剤、例えば、カプリロイルグルタミン酸二カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二カリウム、カプリロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸カリウム、カプリロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、オリーブ油グルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルメチルβ-アラニネート、ラウロイルβ-アラニネート、ラウロイルメチルβ-アラニネート、ミリストイルβ-アラニネート、ラウロイルメチルβ-アラニンカリウム、ココイルアラニンナトリウム、ココイルメチルβ-アラニンナトリウム及びミリストイルメチルβ-アラニンナトリウム パルミトイルグリシネート、ラウロイルグリシンナトリウム、ココイルグリシンナトリウム、ミリストイルグリシンナトリウム、ラウロイルグリシンカリウム、ココイルグリシンカリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ココイルサルコシンカリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレオイルサルコシンナトリウム、パルミトイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンアンモニウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ミリストイルアスパラギン酸ナトリウム、ココイルアスパラギン酸ナトリウム、カプロイルアスパラギン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸二ナトリウム、ミリストイルアスパラギン酸二ナトリウム、ココイルアスパラギン酸二ナトリウム、カプロイルアスパラギン酸二ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸カリウム、ミリストイルアスパラギン酸カリウム、ココイルアスパラギン酸カリウム、カプロイルアスパラギン酸カリウム、ラウロイルアスパラギン酸二カリウム、ミリストイルアスパラギン酸二カリウム、ココイルアスパラギン酸二カリウム、カプロイルアスパラギン酸二カリウム、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
より好ましくは、組成物において使用されるアミノ酸界面活性剤は、グルタミン酸の塩、特に、カプリロイルグルタミン酸二カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二カリウム、カプリロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸カリウム、カプリロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、オリーブ油グルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ウンデシレノイグルタミン酸ナトリウムから選択される。
【0046】
好ましくは、アミノ脂肪酸界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~5質量%、好ましくは0.2質量%~3質量%、より好ましくは0.3質量%~2質量%の範囲の量で、組成物中に存在する。
【0047】
親水性ゲル化剤
第1の態様によると、本発明の化粧用組成物は、親水性アクリルホモポリマー及び両親媒性アクリルポリマーから選択される少なくとも1種のゲル化剤を含む。
【0048】
a-親水性アクリルホモポリマー
本発明によると、「親水性アクリルホモポリマー」という用語は、とりわけ、非疎水性及び非両親媒性アクリルホモポリマーを意味する。
【0049】
この親水性アクリルホモポリマーの存在により、とりわけ、良好な安定性特性を有する組成物を得ることが可能になる。
【0050】
ある実施形態によると、親水性アクリルホモポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1種のモノマーを含む。
【0051】
本発明に従って使用されるホモポリマーは、スルホン基を有するエチレン性不飽和モノマーから得ることができるホモポリマーであり、これは、遊離形態又は部分的若しくは完全に中和された形態であってもよい。
【0052】
優先的には、ホモポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニア水)又は有機塩基、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン、並びにこれらの化合物の混合物を用いて部分的又は完全に中和されている。それらは、一般に中和されている。
【0053】
本発明において、「中和された」という用語は、完全に又は事実上完全に中和された、すなわち、少なくとも90%中和されたホモポリマーを意味する。
【0054】
本発明の組成物において使用されるホモポリマーは、一般に、1000~20,000,000g/molの範囲、好ましくは20,000~5,000,000g/molの範囲、更にはより優先的には100,000~1,500,000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0055】
本発明によるこれらのホモポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。本発明の組成物において使用されるホモポリマーのスルホン基を有するモノマーは、とりわけ、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、N-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えば、ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸、並びに更にそれらの部分的又は完全に中和された形態、並びにそれらの混合物から選択される。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態によると、スルホン基を有するモノマーは、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、並びに更にそれらの部分的又は完全に中和された形態、並びにそれらの混合物から選択される。
【0057】
特に、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))、及び更にその部分的又は完全に中和された形態が使用される。
【0058】
ホモポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られる架橋ポリマーに通常使用されるポリオレフィン性不飽和化合物から選択することができる。
【0059】
挙げることができる架橋剤の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコール若しくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレアート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖類のアルコールのアリルエーテル、又は多官能性アルコールの他のアリルエーテル若しくはビニルエーテル、並びに更にリン酸誘導体及び/若しくはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、又はこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0060】
本発明の好ましい一実施形態によると、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は、一般に、ホモポリマーに対して0.01mol%~10mol%、特に0.2mol%~2mol%の範囲である。
【0061】
スルホン基を有するモノマーのホモポリマーは、1種又は複数の架橋剤で架橋されていてもよい。
【0062】
これらのホモポリマーは、一般に、架橋及び中和され、以下の工程:
(a)遊離形態のモノマー、例えば2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を、tert-ブタノール溶液又は水溶液及びtert-ブタノール溶液に分散又は溶解する工程、
(b)(a)で得られたモノマー溶液又は分散体を、90%~100%の範囲の、ホモポリマーのスルホン酸官能基の中和度を得ることを可能にする量で、1種又は複数の無機又は有機塩基、好ましくはアンモニア水を用いて中和する工程、
(c)架橋モノマーを(b)で得られた溶液又は分散体に添加する工程、
(d)標準的なフリーラジカル重合を、フリーラジカル開始剤の存在下、10~150℃の範囲の温度で実施し、ホモポリマーをtert-ブタノール系溶液又は分散体中で沈殿させる工程
を含む調製方法に従って得ることができる。
【0063】
好ましいAMPSホモポリマーは、一般に、ランダムに分布した、
a)90質量%~99.9質量%の、下記一般式(I):
【化2】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンを示し、場合によりカチオンX+の10mol%以下はプロトンH+である)
の単位と、
b)少なくとも2つのオレフィン性二重結合を含有する少なくとも1種のモノマーから誘導される0.01質量%~10質量%の架橋単位であって、質量割合は、ホモポリマーの総質量に対して定義される、架橋単位と
を含むことを特徴とする。
【0064】
特に好ましい本発明によるホモポリマーは、98質量%~99.5質量%の式(I)の単位、及び0.2質量%~2質量%の架橋単位を含む。
【0065】
とりわけ挙げることができるこのタイプのホモポリマーは、Clariant社によって商品名Hostacerin(登録商標)AMPS(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)で販売されている、架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーである。
【0066】
b-両親媒性アクリルポリマー
そのようなポリマーは、以前に記載したAMPS(登録商標)製品から誘導されうる。
【0067】
これらのポリマーは、親水性部分及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性部分の両方を含む。したがって、それらは、両親媒性ポリマーである。
【0068】
そのようなポリマーの脂肪鎖は、7~30個の炭素原子、特に8~22個の炭素原子を含みうる。
【0069】
本発明によるAMPS(登録商標)コポリマーは、50,000~10,000,000、特に100,000~8,000,000、特に100,000~7,000,000の範囲の質量平均分子量を有しうる。
【0070】
本発明によるAMPS(登録商標)コポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。
【0071】
使用に好適でありうる架橋剤の中でも、非限定的な方法で、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を挙げることができる。
【0072】
架橋度は、ポリマーに対して0.01mol%~10mol%、特に0.2mol%~2mol%の範囲でありうる。
【0073】
本発明における使用に好適な両親媒性AMPS(登録商標)ポリマーは、例えば、C6~C22 n-モノアルキルアミン又はジ-n-アルキルアミンとの反応によって変性された統計的両親媒性AMPSポリマー、例えば、特許出願WO00/31154に記載されているものから選択されてもよい。
【0074】
これらのポリマーはまた、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルキル置換誘導体、又はモノ若しくはポリアルキレングリコールにより得られるそれらのエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリド、イタコン酸及びマレイン酸、又はそれらの混合物から選択される他のエチレン性不飽和親水性モノマーを含有してもよい。
【0075】
本発明のポリマーは、AMPS(登録商標)、及び7~30個の炭素原子、特に8~22個の炭素原子、特に12~20個の炭素原子を含有する少なくとも1つの疎水性部分を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーの両親媒性ポリマーから選択されてもよい。
【0076】
疎水性部分は、飽和又は不飽和の直鎖状(例えば、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-ドデシル又はオレイル)、分枝状(例えば、イソステアリン)、又は環状(例えば、シクロドデカン又はアダマンタン)アルキル基であってもよい。
【0077】
本発明における使用に好適なエチレン性不飽和疎水性モノマーは、下記式(II):
【化3】
(式中、
R27は、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1~C6アルキル基(好ましくは、メチル)を示し、
Yは、O又はNHを示し、
R28は、7~30個の炭素原子、好ましくは8~22個、特に12~20個の炭素原子を含有する脂肪鎖を含む疎水性基を示す)
のアクリレート又はアクリルアミドから選択されてもよい。
【0078】
疎水性基R28は、飽和又は不飽和の直鎖状C7~C22アルキル基(例えば、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-ドデシル又はオレイル)、分枝状アルキル基(例えば、イソステアリン)、又は環状アルキル基(例えば、シクロドデカン又はアダマンタン)、C7~C18アルキルパーフルオロ基(例えば、式(CH2)2(CF2)9-CF3の基)、コレステリル基又はコレステロールエステル、例えば、コレステリルヘキサノエート、芳香族多環式基、例えば、ナフタレン又はピレンから選択される。
【0079】
これらの基の中でも、直鎖状及び分枝状アルキル基が特に好ましい。
【0080】
本発明の一実施形態によると、疎水性基R28はまた、少なくとも1種のアルキレンオキシド単位、特にポリオキシアルキレン鎖を含んでもよい。
【0081】
ポリオキシアルキレン鎖は、エチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位から形成されてもよく、更に特に、エチレンオキシド単位のみから形成されてもよい。
【0082】
オキシアルキレン単位のモル数は、一般に、1~30mol、特に2~25mol、更に特に3~20molの範囲であってもよい。
【0083】
本発明における使用に好適なAMPS(登録商標)両親媒性ポリマーの中でも、
ポリマーに対して15質量%~60質量%のAMPS単位及び40質量%~85質量%の(C8~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位又は(C8~C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含む架橋又は非架橋の、中和された又は中和されていないコポリマー例えば、特許出願EP-A-0750899に記載されているもの、
ポリマーに対して10mol%~90mol%のアクリルアミド単位、0.1mol%~10mol%のAMPS単位及び5mol%~80mol%のn(C6~C18)アルキルアクリルアミド単位を含むターポリマー、例えば、特許US-A-5089578に記載されているもの
を挙げることができる。
【0084】
本発明における使用に好適な両親媒性ポリマーとして、AMPS(登録商標)及びアルキルメタクリレートのポリオキシエチレン化(架橋された又は架橋されていない)コポリマー、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0085】
本発明における使用に好適な両親媒性ポリマーとしては、完全に中和されたAMPS(登録商標)並びにn-ドデシル、n-ヘキサデシル及び/又はn-オクタデシルメタクリレートのコポリマー、並びに更に架橋されていても架橋されていなくてもよい、AMPS及びn-ドデシルメタクリルアミドのコポリマーも挙げることができる。
【0086】
下記式(III):
【化4】
(式中、Xは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンであってもよい)
の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))単位、
及び下記式(IV):
【化5】
(式中、
n及びpは、互いに独立して、モル数を示し、0~30、特に1~25、特に3~20の範囲であり、但し、n+pは、30以下、特に25未満、特に20未満であり、
R27は、前述の式(II)で示されるのと同じ意味を有し、
R29は、7~22個、好ましくは12~20個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状アルキル基を示す)
の単位
を含む又は更にそれらから形成された、架橋された又は架橋されていない両親媒性コポリマーも挙げることができる。
【0087】
式(III)において、カチオンXは、特にナトリウム又はアンモニウムを示してもよい。特に、
架橋されていないポリマー(p=0であり、n=7又は25であり、R27はメチルを示し、R29はC12~C14又はC16~C18アルキルの混合物を表す)、
架橋されたポリマー(p=0であり、n=8又は25であり、R27はメチルを示し、R29はC16~C18アルキルの混合物を表す)
を挙げることができる。
【0088】
これらのポリマーは、文献EP1069142に記載され、合成される。
【0089】
これらの特定の両親媒性ポリマーは、1種又は複数の開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2-アゾビス[2-アミジノプロパン]ヒドロクロリド(ABAH)、有機過酸化物、例えば、過酸化ジラウリル、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルヒドロペルオキシド等、鉱物過酸化化合物、例えば、過硫酸カリウム若しくは過硫酸アンモニウム、又はH2O2の存在下、任意選択で還元剤の存在下での、標準的なフリーラジカル重合方法に従って得ることができる。
【0090】
これらの両親媒性ポリマーは、それらが沈殿するtert-ブタノール媒体中でフリーラジカル重合によって得ることができる。
【0091】
tert-ブタノール中での沈殿重合を使用することによって、その使用に特に好都合なポリマー粒径分布を得ることが可能である。
【0092】
反応は、0から150℃の間、好ましくは10から100℃の間の温度で、大気圧又は減圧下のいずれかで、実施されてもよい。
【0093】
反応はまた、不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で実施されてもよい。
【0094】
本発明によるポリマーは、無機又は有機塩基、例えば、上で言及したもので部分的又は完全に中和されていてもよい。
【0095】
本発明による両親媒性ポリマー中の式(III)の単位及び式(IV)の単位のモルパーセンテージ濃度は、所望の化粧用用途、エマルジョンの性質(水中油型又は油中水型エマルジョン)、及び所望の配合物のレオロジー特性の関数として変動しうる。
【0096】
それは、0.1から99.9mol%の間の範囲でありうる。
【0097】
本発明による両親媒性ポリマー中の式(IV)の単位のモル割合は、好ましくは、0.1%~50%、特に1%~25%)、更に特に3%~10%の範囲であってもよい。
【0098】
本発明による両親媒性ポリマー中の式(IV)の単位のモル割合は、好ましくは、50.1%~99.9%、特に60%~95%、更に特に65%~90%の範囲であってもよい。
【0099】
本発明のポリマー中のモノマーの分布は、例えば、交互、ブロック(マルチブロックを含む)又はランダムであってもよい。
【0100】
手引きとして、限定することなく、以下の市販の参照:Clariant社によって販売されているAristoflex(登録商標)HMS及びAristoflex(登録商標)HMBを挙げることができ、これらの2種の参照は、架橋ポリマーに関する。
【0101】
Aristoflex(登録商標)HMSは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)と架橋された、AMPS(登録商標)/エトキシル化(25 EO)セテアリルメタクリレートコポリマー80/20の名称、又はINCI名としてアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレート-25メタクリレートクロスポリマーである。
【0102】
INCI名として、Aristoflex(登録商標)HMBは、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ベヘネス-25メタクリレートクロスポリマーである。
【0103】
疎水性AMPSコポリマーとして、架橋されていないAMPS(登録商標)コポリマー(Aristoflex(登録商標)LNC又はSNC)を使用することも可能であり、これは、エマルジョンを安定化させる観点から効果的でもある。
【0104】
INCI名として、Aristoflex(登録商標)LNCは、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ラウレス-7メタクリレートコポリマーである。
【0105】
INCI名として、Aristoflex(登録商標)SNCは、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス-8メタクリレートコポリマーである。
【0106】
本発明による組合せで組み合わせられうるアクリルポリマーの中でも、中和され架橋されたアクリルホモポリマー又はコポリマーを挙げることもできる。
【0107】
本発明の好ましい親水性ゲル化剤は、商品名Hostacerin AMPS(登録商標)としても公知であり、供給元Clariant社から市販されているアンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレートである。それは、アンモニアで部分的に中和され、高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))としても記載される。
【0108】
本発明の他の好ましい親水性ゲル化剤は、AMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレート(任意選択で架橋された)のコポリマー、並びにそれらの混合物、例えば、商品名Aristoflex HMSで入手可能なアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス-25メタクリレートクロスポリマー、商品名Aristoflex SNCで入手可能なアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス-8メタクリレートクロスポリマー;及び商品名Aristoflex AVC、Aristoflex JQD、Hostacerin SAFで入手可能な、全て供給元Clariant社から市販されている、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマーである。
【0109】
好ましい実施形態によると、化粧用組成物は、少なくとも1種の架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、並びに少なくとも1種の、AMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレートの任意選択で架橋されたコポリマーを含む。
【0110】
より好ましい実施形態によると、化粧用組成物は、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート及びアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス-25メタクリレートクロスポリマーを含む。
【0111】
有利には、少なくとも1種のアクリルポリマーは、本発明による化粧用組成物の総質量に対して、0.1質量%~5質量%、例えば、0.15質量%~3質量%、又は0.2質量%~約2質量%の範囲の量で、化粧用組成物中に存在する。
【0112】
化粧用有効成分
化粧用組成物として、本発明の組成物は、少なくとも1種の化粧用有効成分を含む。
【0113】
化粧用有効成分の例として、ビタミン(例えば、アスコルビルグルコシド、トコフェリルアセテート)、サッカロミセス/キシリナム/紅茶発酵物、ビルベリー(vaccinium myrtillus)果実抽出物、サッカラム・オフィシナラム(saccharum officinarum)(サトウキビ)抽出物、シトラス・オーランティウム・ダルシス(citrus aurantium dulcis)(オレンジ)果実抽出物、シトラス・リモン(citrus limon)(レモン)果実抽出物、エイサー・サッカラム(acer saccharum)(サトウカエデ)抽出物、グリコール酸、ヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール、カフィン、セカーレ・シリアル(secale cereale)(ライムギ)種子抽出物、ヒアルロン酸ナトリウム、ベタイン、ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート等を挙げることができる。
【0114】
一実施形態によると、化粧用有効成分は、組成物の総質量に対して、0.1%~15%、好ましくは1~12質量%、より好ましくは3質量%~10質量%の範囲の量で存在する。
【0115】
水性相
水中油型エマルジョンとして、本発明の化粧用組成物は、連続した水性相を含む。
【0116】
水性相は、好ましくは、組成物の総質量の10質量%~99質量%、より好ましくは20質量%~90質量%、更により好ましくは50質量%~85質量%の範囲の量で存在する。
【0117】
水は、好ましくは、組成物の総質量に対して、1質量%~80質量%、好ましくは、5質量%~77質量%、より好ましくは10質量%~75質量%の範囲の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0118】
連続した水性相は、水、水と混和性の少なくとも1種の有機溶媒又はそれらの混合物を含みうる。
【0119】
好ましくは、連続した親水性相は、水と混和性の少なくとも1種の有機溶媒(室温25℃で)、例えば、2~6個の炭素原子を有するモノアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、2~20個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子、優先的には2~6個の炭素原子を有するポリオール、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール;グリコールエーテル(とりわけ、3~16個の炭素原子を有する)、例えば、モノ、ジ又はトリプロピレングリコール(C1~C4)アルキルエーテル、モノ、ジ又はトリエチレングリコール(C1~C4)アルキルエーテル、及びそれらの混合物を含む。
【0120】
好ましくは、本発明の組成物の連続した親水性相は、水及びポリオール、好ましくはグリセリン、プロピレングリコール、ペンチレングリコールを含みうる。
【0121】
脂肪相
水中油型エマルジョンとして、本発明の化粧用組成物は、分散した脂肪相を更に含む。
【0122】
脂肪相は、本発明の組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~40質量%、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲の量で存在する。
【0123】
脂肪相は、好ましくは、少なくとも1種の油を含む。油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0124】
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である水非混和性の非水性化合物を意味する。
【0125】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で、少なくとも数時間ケラチン物質に残存することができ、とりわけ10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。不揮発性油はまた、以前に定義した条件下で、30分後の蒸発量が0.07mg/cm2未満であるように蒸発速度を有すると定義することもできる。
【0126】
これらの油は、植物、鉱物又は合成起源のものであってもよい。
【0127】
好ましくは、油は、炭化水素化シリコーン又はフッ素油から選択される。
【0128】
「炭化水素系油」又は「炭化水素化油」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択でO及びN原子から本質的に形成され、又は更にそれらによって構成され、Si及びFヘテロ原子を含まない油を意味する。そのような油は、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有しうる。
【0129】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、とりわけ、Si-O基を含有する油を意味する。
【0130】
「フッ素油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を意味する。
【0131】
好ましくは、油は、好ましくは不揮発性の、炭化水素化油から選択される。
【0132】
油は、例えば、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲の量で存在する。
【0133】
構造化剤
有利には、本発明の化粧用組成物は、45℃以下の融点を有する少なくとも1種の構造化剤を含む。
【0134】
好ましくは、構造化剤は、ワックス、ペースト状化合物及びそれらの混合物から選択される。
【0135】
本発明の文脈において検討されるワックスは、一般に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的な状態変化があり、30℃以上、好ましくは40℃以上の融点を有し、融点が最大200℃、特に最大120℃でありうる親油性化合物である。
【0136】
本発明の意味内での「ペースト状化合物」という用語は、固体/液体の可逆的な状態変化があり、固体状態で異方性結晶配置を示し、23℃の温度で液体画分及び固体画分を含む、親油性脂肪化合物を意味すると理解される。言い換えると、ペースト状化合物の出発融点は、23℃未満でありうる。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、ペースト状化合物の9~97質量%を占めうる。23℃において、この液体画分は、好ましくは、ペースト状化合物の15から85質量%の間、より好ましくは40から85質量%の間を占める。
【0137】
本発明の意味内で、融点は、ISO規格11357-3:1999に記載の熱分析(DSC)により観察される最高吸熱ピークの温度に対応する。ペースト状化合物の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により「MDSC 2920」の名称で販売されている熱量計を使用して測定できる。
【0138】
測定プロトコルは以下の通りである:
るつぼに入れた5mgのペースト状化合物の試料を、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇に供し、次いで10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇に供する。第2の温度上昇中に、空のるつぼにより吸収される力と、ペースト状化合物の試料を含むるつぼにより吸収される力との差の変化を、温度の関数として測定する。ペースト状化合物の融点は、吸収された力の差の変化を温度の関数として表す曲線のピークの先端に対応する温度値である。
【0139】
23℃におけるペースト状化合物の液体質量画分は、23℃で消費される融解エンタルピーの、ペースト状化合物の融解エンタルピーに対する比に等しい。
【0140】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、固体状態から液体状態に変化するためにペースト状化合物によって消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その質量全体が固体結晶形態にある場合、「固体状態にある」。ペースト状化合物は、その質量全体が液体形態にある場合、「液体状態にある」。
【0141】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して、ISO規格11357-3:1999に従って、1分当たり5又は10℃の温度上昇で得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0142】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、ペースト状化合物を固体状態から液体状態に変えるのに必要なエネルギーの量である。これは、J/gで表される。
【0143】
23℃で消費される融解エンタルピーは、固体状態から、23℃で試料が示す液体画分及び固体画分で構成される状態に変化するために、試料が吸収するエネルギーの量である。
【0144】
32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分は、好ましくはペースト状化合物の30~100質量%、好ましくはペースト状化合物の50~100質量%、より好ましくはペースト状化合物の60~100質量%を占める。32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分が100%に等しい場合、ペースト状化合物の融解範囲の終点の温度は32℃以下である。
【0145】
32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費される融解エンタルピーの、ペースト状化合物の融解エンタルピーに対する比に等しい。32℃で消費される融解エンタルピーは、23℃で消費される融解エンタルピーと同じ方法で計算される。
【0146】
好ましくは、構造化剤の融点は、38℃から45℃の間である。
【0147】
好ましくは、ワックスは、38℃から45℃の間の融点を有するワックス、例えば、直鎖状エステルである。
【0148】
本発明における使用に好適な直鎖状エステルは、好ましくは、ステアリン酸ステアリル、テトラデカン酸テトラデシル(INCI名:ミリスチン酸ミリスチル)、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル及びパルミチン酸セチル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0149】
好ましくは、存在する場合、構造化剤は、組成物の総質量に対して、0.1%~5%、好ましくは、0.2~2質量%、より好ましくは0.5質量%~1.5質量%の範囲の量で存在する。
【0150】
追加のアジュバント又は添加剤
本発明の化粧用組成物はまた、従来の化粧用アジュバント又は添加剤、例えば、芳香剤、キレート剤(例えば、二ナトリウムEDTA)、保存剤(例えば、クロルフェネシン及びフェノキシエタノール)及び殺菌剤、追加の界面活性剤、追加の増粘剤、フィラー(例えば、ステアラルコニウムヘクトライト)、pH調整剤(例えば、クエン酸又は水酸化ナトリウム)、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0151】
特に好ましい実施形態によると、本発明は、水中油型エマルジョンの形態の化粧用組成物であって、組成物の総質量に対して、
(i)0.5質量%~3質量%の、14~22個の炭素原子を有する少なくとも1種の固形脂肪アルコール、
(ii)0.3質量%~2質量%の、グルタミン酸の塩から選択される少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤、並びに
(iii)0.2質量%~2質量%の、架橋及び中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、並びにAMPS及びポリオキシエチレンアルキルメタクリレートの任意選択で架橋されたコポリマー、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種のゲル化剤
を含む、化粧用組成物を提供する。
【0152】
方法及び使用
第2の態様によると、本発明は、ケラチン物質を処置するための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、方法に関する。
【0153】
特に、ケラチン物質は、皮膚でありうる。
【0154】
したがって、第2の態様の実施形態では、本発明は、皮膚をケアするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による化粧用組成物を皮膚に適用する工程を含む、非治療的方法を提供する。
【0155】
以下の実施例は、本発明を例示するために役立つが、本質的に限定するものではない。
【実施例
【0156】
(実施例1)
化粧用組成物の調製
比較配合物(Comp.)及び本発明の配合物(Inv.)による化粧用組成物を、下記表に示す量に従って調製した。量は、総組成物の質量%で示される。
【表1A】
【表1B】
【0157】
比較例1の組成物は、固体脂肪アルコールを含まない。
【0158】
比較例2の組成物は、親水性ゲル化剤としてアクリルポリマーを含まない。
【0159】
調製方法:
上に列挙した組成物を、本発明の配合物1の組成物を例に取り、以下の通り調製した:
1.水性相及び油相を、それぞれ約75℃及び80℃で均質化する。
2.油相を水性相に導入し、乳化が完了するまで高温で撹拌し続ける。
3.ポリマー(AMPS、HMS、HA、キサンタンガム)を逐次添加し、それらが均一に分散するように撹拌し続ける。
4.温度を低下させて、シリコーン及び活性物質を添加する。
【0160】
(実施例2)
化粧用組成物の評価
実施例1で調製した各化粧用組成物の安定性、テクスチャー及び皮膚感覚を測定した。
【0161】
安定性
40℃、45℃及び65℃で本発明及び比較配合物による化粧用組成物の安定性試験を、Binder社のオーブン(USA)を使用し、本発明及び比較配合物をオーブン中に3カ月間静置することによって行なった。
【0162】
4℃で2カ月間の安定性試験を、Zhongke Meiling社の冷蔵庫(YC-260L、中国)を使用し、本発明及び比較配合物による化粧用組成物を冷蔵庫中に3カ月間静置することによって行なった。
【0163】
24時間の光安定性試験を、ATLAC(AMETEK Measurement and Calibration Technologies社)を使用して行なった。
【0164】
最後に、冷凍-解凍安定性試験を、Binder社のオーブン(USA)を使用して、10サイクル行なった。各サイクルにおいて、温度は、24時間で20℃から-20℃に徐々に変化させることになる。
【0165】
テクスチャー
テクスチャーを、本発明の配合物の化粧用組成物及び比較配合物の組成物の各々の粘度に従って評価した。
【0166】
粘度測定は、一般に、M3スピンドルを備えるRheomat社のRM180粘度計を使用して25℃で実施し、測定は、組成物中でスピンドルが回転してから10分後に(この時間のあとに、粘度及びスピンドルのスピン速度の安定化が観察される)、200rpmのせん断速度で実施する。
【0167】
皮膚感覚
本発明及び比較配合物の化粧用組成物を、5名の消費者に提供して、皮膚に適用し、消費者は、容易に拡がること並びにさっぱり感及び保湿感のスコアをつけた:
1:非常に不良、
2:わずかな効果、許容されない、
3:許容できる、
4:良好な効果、
5:非常に良好な効果、非常に容易に取れ、広がり、皮膚上でさっぱりとしている。
【0168】
比較配合物及び本発明の配合物による組成物の安定性、粘度、使用及び化粧用特性の結果を下記に列挙した。
【表2】
【0169】
本発明の配合物1の化粧用組成物は、皮膚上で容易に広げることができ、皮膚にさっぱり感及び保湿感をもたらす。更に、本発明の配合物1の化粧用組成物は、安定であり、良好なテクスチャーを示す。