(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】アンテナ構造体
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/06 20060101AFI20241111BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20241111BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20241111BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01Q19/06
H01Q15/14 B
H01Q19/10
H01Q23/00
(21)【出願番号】P 2022565289
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2021042474
(87)【国際公開番号】W WO2022113884
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2020197305
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敬三
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-060430(JP,A)
【文献】特開2018-121126(JP,A)
【文献】特開平06-177639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0166686(US,A1)
【文献】国際公開第2006/028136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/06
H01Q 15/14
H01Q 19/10
H01Q 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および該第1面の反対に位置する第2面を有するアンテナ基板と、
前記第1面に位置する透過型フィルターと、
前記第2面に位置する制御基板と、
を備え、
前記透過型フィルターは、前記第1面との対向面に第1環状パターンが位置し、前記対向面との反対面に第2環状パターンが位置し、
前記第1環状パターンと前記第2環状パターンは、平面透視で重なって位置しており、
前記制御基板は、前記第1環状パターンと同数で、平面透視で前記第1環状パターンと重なって位置する、
アンテナ構造体。
【請求項2】
前記アンテナ基板と前記透過型フィルターとの間に、電磁波誘導層がさらに位置する、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記電磁波誘導層が、前記透過型フィルター側の面に、前記第1環状パターンと同数で、かつ対向するように位置する第3環状パターンを備え、反対側の面に、該第3環状パターンと同数で、かつ平面透視で重なるように位置する電磁波誘導用の電極を備える、請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
前記透過型フィルターにおいて、前記アンテナ基板側の面の周縁部に第1接地用パッド、および反対側の面の周縁部に第2接地用パッドがさらに位置しており、前記第1環状パターンと前記第1接地用パッドとが、第1接地用配線で接続されており、前記第2環状パターンと前記第2接地用パッドとが、第2接地用配線で接続されている、請求項1~3のいずれかに記載のアンテナ構造体。
【請求項5】
前記第1環状パターン、前記第2環状パターン、前記第3環状パターン、前記第1接地用パッド、前記第2接地用パッド、前記第1接地用配線および前記第2接地用配線の少なくとも1種が、銅である、請求項
3を引用する請求項4に記載のアンテナ構造体。
【請求項6】
前記第1環状パターン、前記第2環状パターンおよび前記第3環状パターンが、円環状を有する、請求項
3、請求項3を引用する請求項4または請求項5に記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
前記透過型フィルターが2層以上積層されている、請求項1~
6のいずれかに記載のアンテナ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤレスネットワークを利用した通信機器には、電気信号の送受信のため、例えば特許文献1に記載のようなアンテナ構造体が採用されている。このようなアンテナ構造体は、例えば、制御基板(RF制御基板)の上面に電気フィルター基板を積層させ、電気フィルター基板の上面にアンテナ基板を積層させた構造を有している。
【0003】
特許文献1に記載のアンテナ構造体は、アンテナ基板と制御基板とが電気フィルター基板を介して接続されている。そのため、配線が長くなり伝送損失が大きくなる。さらに、このようなアンテナ構造体は、積層構造を有しているため、接続不良などが生じた場合、アンテナ基板、電気フィルター基板および制御基板のそれぞれを再利用することができない。その結果、歩留まりが低くなる。このような不良を避けるために、比較的高価な低誘電材や低損失材を採用することになり、コストアップにつながる。
【0004】
特許文献1に記載のアンテナ構造体は平面視した場合に、アンテナ基板、電気フィルター基板および制御基板は、ほぼ同じ大きさを有している。このようなアンテナ構造体は積層構造を有しているため、各部材を配置場所に応じた任意の大きさで適用することができない。その結果、アンテナ構造体を小型化させるのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るアンテナ構造体は、第1面および第1面の反対に位置する第2面を有するアンテナ基板と、第1面に位置する透過型フィルターと、第2面に位置する制御基板とを備える。透過型フィルターは、第1面との対向面に第1環状パターンが位置し、対向面との反対面に第2環状パターンが位置し、第1環状パターンと第2環状パターンは、平面透視で重なって位置している。制御基板は、第1環状パターンと同数で、平面透視で第1環状パターンと重なって位置している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係るアンテナ構造体を示す説明図である。
【
図2】
図1に示すアンテナ構造体に含まれるアンテナ基板を説明するための説明図であり、(A)は絶縁基板の一実施形態を示す上面図であり、(B)は第1接地用導体層の一実施形態を示す上面図であり、(C)は最上面に位置する絶縁層の一実施形態を示す上面図であり、(D)は第2接地用導体層の一実施形態を示す上面図である。
【
図3】(A)は
図1に示すアンテナ構造体に含まれる透過型フィルターの一実施形態を示す上面図であり、(B)は
図1に示すアンテナ構造体に含まれる透過型フィルターの一実施形態を示す下面図である。
【
図4】(A)は
図1に示すアンテナ構造体に含まれる電磁波誘導層の一実施形態を示す上面図であり、(B)は
図1に示すアンテナ構造体に含まれる電磁波誘導層の一実施形態を示す下面図である。
【
図5】
図1に示すアンテナ構造体に含まれる制御基板の一実施形態を示す斜視図である。
【
図6】(A)は
図1に示すアンテナ構造体に含まれる透過型フィルターの他の実施形態を示す上面図であり、(B)は
図1に示すアンテナ構造体に含まれる透過型フィルターの他の実施形態を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来のアンテナ構造体は、上記のように、制御基板(RF制御基板)の上面に電気フィルター基板を積層させ、電気フィルター基板の上面にアンテナ基板を積層させた構造を有している。そのため、上記のように、歩留まりが低くなったり、コストアップにつながったり、各部材を配置場所に応じた任意の大きさで適用することができなかったりする。したがって、伝送損失が少なく、歩留まりが高くて低コスト化することができ、各部材を配置場所に応じた任意の大きさで適用することができるアンテナ構造体が求められている。
【0009】
本開示に係るアンテナ構造体は、アンテナ基板の第1面に透過型フィルターが位置し、アンテナ基板の第2面に少なくとも一つの制御基板が位置している。さらに、本開示に係るアンテナ構造体は、アンテナ基板、制御基板および透過型フィルターの一体型の積層体ではなく、それぞれ個別の部材が貼り合された構造を有している。したがって、本開示によれば、伝送損失が少なく、歩留まりが高くて低コスト化することができ、各部材を配置場所に応じた任意の大きさで適用することができるアンテナ構造体を提供することができる。
【0010】
本開示の一実施形態に係るアンテナ構造体を、
図1~5に基づいて説明する。
図1に示すように、一実施形態に係るアンテナ構造体1は、アンテナ基板2、透過型フィルター3、電磁波誘導層4および制御基板5を含む。
【0011】
アンテナ基板2は、絶縁基板21の上面に、第2アンテナ導体212、絶縁層(第2絶縁層)22b、第1接地用導体層23a、絶縁層(第1絶縁層)22aおよび第1アンテナ導体22a2がこの順序で積層され、絶縁基板21の下面に第2接地用導体層23bが積層された構造を有する。さらに、アンテナ基板2は、アンテナ基板2の上下面を貫通する接地用/電源用スルーホール導体24a、第1アンテナ導体22a2と制御基板5とを電気的に接続する第1スルーホール導体24b、および第2アンテナ導体212と制御基板5とを電気的に接続する第2スルーホール導体24cを含む。接地用/電源用スルーホール導体24a、第1スルーホール導体24b、および第2スルーホール導体24cは、例えば銅などの金属で形成されている。
【0012】
アンテナ基板2を、
図2に基づいて具体的に説明する。
図2(A)は、アンテナ基板2に含まれる絶縁基板21の一実施形態を示す上面図である。絶縁基板21は、絶縁性を有する素材で形成されていれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
絶縁基板21には、補強材が含まれていてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの絶縁性布材が挙げられる。補強材は2種以上を併用してもよい。さらに、絶縁基板21には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが分散されていてもよい。
【0014】
絶縁基板21の上面には、第2アンテナ導体212と、この第2アンテナ導体212を取り囲むように、絶縁基板21の周縁部にパッド211が位置している。第2アンテナ導体212およびパッド211は、導電性を有する素材(導体)で形成されていれば限定されない。導電性を有する素材としては、例えば、銅などの金属が挙げられる。第2アンテナ導体212およびパッド211は、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0015】
第2アンテナ導体212は、例えば縦一文字状を有しており、電磁波を受発信するために備えられている。
【0016】
絶縁基板21の上面、第2アンテナ導体212およびパッド211を被覆するように、絶縁層22bが位置している。絶縁層22bは、絶縁基板21と同様、上記のような絶縁性を有する素材であり、上記のような補強材や無機絶縁性フィラーが含まれていてもよい。
【0017】
絶縁層22bの上面には、第1接地用導体層23aが位置している。
図2(B)は、アンテナ基板2に含まれる第1接地用導体層23aの一実施形態を示す上面図である。第1接地用導体層23aは、導体で形成されていれば限定されず、例えば、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0018】
第1接地用導体層23aには、第2アンテナ導体212および後述する第1アンテナ導体22a2が位置している場所とほぼ対向するように、スロット23a1が形成されている。スロット23a1は、縦一文字状を有する第2アンテナ導体212および横一文字状を有する第1アンテナ導体22a2の形状に合わせて、十字状を有している。スロット23a1は、例えば、第1接地用導体層23aの前駆体であるベタ状の導体に、例えばエッチング処理を施すことによって形成される。
【0019】
第1接地用導体層23aの上面には、絶縁層22aが位置している。
図2(C)は、アンテナ基板2に含まれる絶縁層22aの一実施形態を示す上面図である。絶縁層22aの上面には、第1アンテナ導体22a2と、この第1アンテナ導体22a2を取り囲むように、絶縁層22aの周縁部にパッド22a1が位置している。第1アンテナ導体22a2およびパッド22a1は、第2アンテナ導体212およびパッド211と同様、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0020】
第1アンテナ導体22a2は、横一文字状を有しており、第2アンテナ導体212と対向する位置に、第2アンテナ導体212と交差するように位置している。すなわち、第1アンテナ導体22a2と第2アンテナ導体212とを平面透視した場合、十字状を有している。
【0021】
アンテナ基板2は、異なる周波数を有する電波が混在している場合に、1つの周波数帯の電波のみを送受信することができるような構成を有しているのがよい。すなわち、第1アンテナ導体22a2、第2アンテナ導体212およびスロット23a1の配置などの調整により、共振点が限定されたアンテナ基板であるのがよい。アンテナ基板2が、1つの周波数帯の電波のみを送受信することができるような構成を有していると、アンテナ構造体1の構造をより単純化することができ、例えば、小型化などに寄与することができる。
【0022】
一方、絶縁基板21の下面には、第2接地用導体層23bが位置している。
図2(D)は、アンテナ基板2に含まれる第2接地用導体層23bの一実施形態を示す上面図である。さらに、絶縁基板21の下面には、第1電極23b1、第2電極23b2および電源用導体23b3が、第2接地用導体層23bとクリアランスをあけて絶縁性を確保した状態で位置している。第1電極23b1は、第1スルーホール導体24bを介して第1アンテナ導体22a2と接続されている。第2電極23b2は、第2スルーホール導体24cを介して第2アンテナ導体212と接続されている。
【0023】
アンテナ基板2においては、一組の第1アンテナ導体22a2および第2アンテナ導体212それぞれに対向する領域に、一組の第1電極23b1および第2電極23b2が位置している。具体的には、一組の第1アンテナ導体22a2および第2アンテナ導体212が9つ存在しており、
図2(D)に示すように、9つの領域それぞれに一組の第1電極23b1および第2電極23b2が位置している。電源用導体23b3は、一組の第1電極23b1および第2電極23b2を取り囲むように、各領域の周縁部に位置している。
【0024】
次に、透過型フィルター3を説明する。
図1に示すように、透過型フィルター3は、後述する電磁波誘導層4を介して、アンテナ基板2の第1面(上面)に位置している。透過型フィルター3は、
図1に示すように、絶縁基板31と、絶縁基板31の下面(アンテナ基板2側の面)に位置する第1環状パターン32aと、絶縁基板31の上面(アンテナ基板2側と反対側の面)に位置する第2環状パターン32bとを含む。透過型フィルター3を、
図3に基づいて具体的に説明する。
【0025】
図3(A)は、アンテナ構造体1に含まれる透過型フィルター3の一実施形態を示す上面図であり、
図3(B)は、アンテナ構造体1に含まれる透過型フィルター3の一実施形態を示す下面図である。
図3(A)に示すように、絶縁基板31の上面には、第2環状パターン32bと、この第2環状パターン32bを取り囲むように、絶縁基板31の周縁部に第2接地用パッド34bが位置している。
【0026】
絶縁基板31は、上述の絶縁基板21と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されず、さらに、補強材や無機絶縁性フィラーが含まれていてもよい。
【0027】
第2環状パターン32bは、上述した一組の第1アンテナ導体22a2および第2アンテナ導体212それぞれに対向する領域に位置している。第2環状パターン32bは、円環状を有しており、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。第2環状パターン32bは円環状に限定されず、環状を有していれば形状は限定されない。
【0028】
本例において、第2接地用パッド34bは、部材間を電気的に接続するためのパッドではなく、部材間を単に接続するために使用される。そのため、第2接地用パッド34bは、銅などの金属で形成されていてもよく、樹脂で形成されていてもよい。
【0029】
絶縁基板31の周縁部には、ソルダーレジスト35が形成されている。ソルダーレジスト35は、第2接地用パッド34bを露出するための開口を有している。ソルダーレジスト35は、例えば、アクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。
【0030】
一方、
図3(B)に示すように、絶縁基板31の下面には、第1環状パターン32aと、この第1環状パターン32aを取り囲むように、絶縁基板31の周縁部に第1接地用パッド34aが位置している。
【0031】
第1環状パターン32aは、第2環状パターン32bと絶縁基板31を挟んでそれぞれ対向するように位置している。言い換えれば、第1環状パターン32aと第2環状パターン32bとは、平面透視で互いに全てが重なるように位置している。第1環状パターン32aも第2環状パターン32bと同様、円環状を有しており、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。第1環状パターン32aは円環状に限定されず、環状を有していれば形状は限定されない。
【0032】
本例において、絶縁基板31の下面に位置する第1接地用パッド34aも、部材間を電気的に接続するためのパッドではなく、部材間を単に接続するために使用される。そのため、絶縁基板31の下面に位置する第1接地用パッド34aも、銅などの金属であってもよく、樹脂であってもよい。
【0033】
絶縁基板31の下面の周縁部にも、絶縁基板31の上面の周縁部と同様、ソルダーレジスト35が形成されている。絶縁基板31の下面に位置するソルダーレジスト35も、第1接地用パッド34aを露出するための開口を有している。ソルダーレジスト35は、上述のように、例えばアクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。
【0034】
透過型フィルター3に含まれる第1環状パターン32aおよび第2環状パターン32bのように、パターンを環状にすることによって、電波を集約するとともに隣接する環状パターンとの間で電波が混在することを低減できる。
図3(A)および(B)に示すように、第1環状パターン32aおよび第2環状パターン32bが円形状を有することによって、この効果がより発揮される。
【0035】
図1に示すように、アンテナ基板2と透過型フィルター3とを介する電磁波誘導層4は、絶縁基板41と、絶縁基板41の上面(透過型フィルター3側の面)に位置する第3環状パター42と、絶縁基板41の下面(アンテナ基板2側の面)に位置する電磁波誘導用の電極43とを含む。電磁波誘導層4は、アンテナ基板2からの電波を透過型フィルター3に、より効率よく導くため、あるいは、透過型フィルター3を透過した外部からの電波をアンテナ基板2に、より効率よく導くために使用される。電磁波誘導層4を、
図4に基づいて具体的に説明する。
【0036】
図4(A)は、アンテナ構造体1に含まれる電磁波誘導層4の一実施形態を示す上面図であり、
図4(B)は、アンテナ構造体1に含まれる電磁波誘導層4の一実施形態を示す下面図である。
図4(A)に示すように、絶縁基板41の上面には、第3環状パターン42と、この第3環状パターン42を取り囲むように、絶縁基板41の周縁部に第3接地用パッド44aが形成されている。
【0037】
絶縁基板41は、上述の絶縁基板21と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されず、さらに、補強材や無機絶縁性フィラーが含まれていてもよい。
【0038】
第3環状パターン42は、第1環状パターン32aと同数で、かつ対向するように位置している。第3環状パターン42も第1環状パターン32aと同様、円形状を有しており、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。第3環状パターン42は円環状に限定されず、環状を有していれば形状は限定されない。
【0039】
本例において、第3接地用パッド44aは、部材間を電気的に接続するためのパッドではなく、部材間を単に接続するために使用される。そのため、第3接地用パッド44aは、銅などの金属であってもよく、樹脂であってもよい。
【0040】
絶縁基板41の周縁部には、ソルダーレジスト45が形成されている。ソルダーレジスト45は、第3接地用パッド44aを露出するための開口を有している。ソルダーレジスト45は、上述のように、例えばアクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。
【0041】
一方、
図4(B)に示すように、絶縁基板41の下面には、電磁波誘導用の電極43と、この電磁波誘導用の電極43を取り囲むように、絶縁基板41の周縁部に第4接地用パッド44bが位置している。
【0042】
電磁波誘導用の電極43は、第3環状パターン42と同数で、かつ絶縁基板41を介して対向するように位置している。電磁波誘導用の電極43の形状は環状ではなく、面状の四角形である。電磁波誘導用の電極43の形状は、四角形以外の多角形であってもよく、円形であってもよい。電磁波誘導用の電極43は、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0043】
本例において、絶縁基板41の下面に位置する第4接地用パッド44bも、部材間を電気的に接続するためのパッドではなく、部材間を単に接続するために使用される。そのため、第4接地用パッド44bも、銅などの金属であってもよく、樹脂であってもよい。
【0044】
絶縁基板41の下面の周縁部にも、絶縁基板41の上面の周縁部と同様、ソルダーレジスト45が形成されている。絶縁基板41の下面に位置するソルダーレジスト45も、第4接地用パッド44bを露出するための開口を有している。ソルダーレジスト45は、上述のように、例えばアクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。
【0045】
次に、アンテナ基板2の第2面(下面)に位置する制御基板5を、
図5に基づいて具体的に説明する。
図5は、アンテナ構造体1に含まれる制御基板5の一実施形態を示す斜視図である。制御基板5は、第1環状パターン32aと同数で、かつ対向するように位置している。本例においては、個々の9つの制御基板5が縦横3列に並んでいる。制御基板5は、
図5に示すように、絶縁基板51と、絶縁基板51の上面に位置する接地用/電源用電極52、第3電極521および第4電極522とを含み、さらに、制御回路(図示せず)を備える。制御基板5は、電磁波の強弱を制御したり、送受信のタイミングを制御したりする機能を有している。
【0046】
絶縁基板51は、上述の絶縁基板21と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されず、さらに、補強材や無機絶縁性フィラーが含まれていてもよい。
【0047】
接地用/電源用電極52は、第3電極521および第4電極522を取り囲むように、絶縁基板51の周縁部に位置している。接地用/電源用電極52は、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0048】
第3電極521は、第1電極23b1および第1スルーホール導体24bを介して第1アンテナ導体22a2と接続されている。第4電極522は、第2電極23b2および第2スルーホール導体24cを介して第2アンテナ導体212と接続されている。第3電極521および第4電極522は、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0049】
絶縁基板51の上面の周縁部には、ソルダーレジスト55が形成されている。ソルダーレジスト55には、接地用/電源用電極52を露出するための開口を有している。ソルダーレジスト55は、上述のように、例えばアクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。
【0050】
各々の制御基板5の下面には、
図1に示すように、半導体素子6が搭載されている。制御基板5と半導体素子6との隙間には、封止樹脂7が充填されている。
【0051】
本開示は、上述の一実施形態に係るアンテナ構造体1に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、透過型フィルター3において、起電流を排出させるために、接地用配線341(第1接地用配線341aおよび第2接地用配線341b)が設けられていてもよい。接地用配線341は、銅などの金属、具体的には、銅箔などの金属箔、銅めっきなどの金属めっきによって形成されている。
【0052】
接地用配線341は、
図6(A)および(B)に示すように、透過型フィルター3に含まれる絶縁基板31の両面(上下面)に位置している。絶縁基板31の上面に位置している第2接地用配線341bは、第2環状パターン32bと第2接地用パッド34bとを接続するように位置している。第2接地用配線341bが接続されている接地用パッド34は、銅などの金属で形成されているのがよい。
【0053】
絶縁基板31の下面に位置している第1接地用配線341aは、第1環状パターン32aと第1接地用パッド34aとを接続するように形成されている。第1接地用配線341aが接続されている第1接地用パッド34aは、銅などの金属で形成されているのがよい。このような第1接地用パッド34aと第2接地用パッド34bとは、例えば絶縁基板31に位置するビアホール導体によって電気的に接続されている。
【0054】
上述の一実施形態に係るアンテナ構造体1は、透過型フィルター3を1層積層させた構造を有している。しかし、本開示のアンテナ構造体は、透過型フィルターを2層以上積層させた構造を有していてもよい。
【0055】
上述の一実施形態に係るアンテナ構造体1には、透過型フィルター3の上下面、電磁波誘導層4の上下面、および制御基板5の上面に、ソルダーレジストが形成されている。しかし、本開示のアンテナ構造体において、ソルダーレジストは必須の部材ではなく、必要に応じて使用すればよい。
【0056】
上述の一実施形態に係るアンテナ構造体1には、電磁波誘導層4が使用されている。しかし、本開示のアンテナ構造体において、電磁波誘導層は必須の部材ではなく、必要に応じて使用すればよい。
【符号の説明】
【0057】
1 アンテナ構造体
2 アンテナ基板
21 絶縁基板
211 パッド
212 第2アンテナ導体
22a 第1絶縁層
22a1 パッド
22a2 第1アンテナ導体
22b 第2絶縁層
23a 第1接地用導体層
23a1 スロット
23b 第2接地用導体層
23b1 第1電極
23b2 第2電極
23b3 電源用導体
24a 接地用/電源用スルーホール導体
24b 第1スルーホール導体
24c 第2スルーホール導体
3 透過型フィルター
31 絶縁基板
32a 第1環状パターン
32b 第2環状パターン
34 接地用パッド
34a 第1接地用パッド
34b 第2接地用パッド
341 接地用配線
341a 第1接地用配線
341b 第2接地用配線
35ソルダーレジスト
4 電磁波誘導層
41 絶縁基板
42 第3環状パターン
43 電磁波誘導用の電極
44a 第3接地用パッド
44b 第4接地用パッド
45 ソルダーレジスト
5 制御基板
51 絶縁基板
52 接地用/電源用電極
521 第3電極
522 第4電極
55 ソルダーレジスト
6 半導体素子
7 封止樹脂