IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北京集創北方科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図1a
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図1b
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図2a
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図2b
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図3
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図4
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図5
  • 特許-生体特徴情報収集システム及び処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】生体特徴情報収集システム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20241111BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241111BHJP
【FI】
G06V40/13
H04N25/70
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022570743
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021094425
(87)【国際公開番号】W WO2021233308
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】202010429007.0
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517380215
【氏名又は名称】北京集創北方科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chipone Technology (Beijing) Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】Building 56,No.2 North Jing Yuan Street, Beijing Economic Technological Development Area,Daxing District,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル、チェンファ
(72)【発明者】
【氏名】マン、チェンロン
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-173827(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107945163(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109670478(CN,A)
【文献】特開2004-241752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/12
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基板と、
光源と、
前記光源とともに、前記透明な基板の片側に位置し、透明な基板によって反射された光を受け取り、かつ対応する電気信号を生成する光電変換装置と、
前記電気信号に基づいて生体特徴情報を取得する処理装置とを含み、
前記透明な基板の領域の少なくとも一部は可撓性材料で作られ、
前記処理装置は、前記電気信号にしたがってアナログレベル信号を生成する整流フィードバックユニットを含み、
前記処理装置は、前記アナログレベル信号にしたがってデジタル信号を生成し、前記デジタル信号にしたがって前記生体特徴情報を表す測定対象の画像を取得し、
検出される前記画像は、前記デジタル信号にしたがって取得される、ユーザーの所定部位の初期画像を含み、
前記処理装置は、さらに、
前記初期画像に対して第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行して第一画像を取得し、及び、前記第一画像において複数の指定されたピクセルのグレー値に対して第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行し、それにより、前記第一画像を第二画像に処理し、
前記第一画像に基づいて前記所定部位の第一パターン情報を取得し、
前記第一パターン情報に基づいて、前記ユーザーが認証に合格したユーザーであるかどうかを事前に判断し、そうであれば、前記第二画像に基づいて取得される特徴情報に基づいて、前記ユーザーが認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断する、
ことを特徴とする生体特徴情報収集システム。
【請求項2】
前記生体特徴情報は、生体の所定部位の中央パターン情報、周辺パターン情報、及び汗腺孔情報を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の生体特徴情報収集システム。
【請求項3】
前記光電変換装置はフォトダイオードアレイを含み、
各フォトダイオード間の中心間距離は90μm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の生体特徴情報収集システム。
【請求項4】
前記処理装置は、さらに、
制御信号を提供するための処理ユニットと、
前記制御信号にしたがって前記フォトダイオードアレイの対応する一行のフォトダイオードをオンにし、前記フォトダイオードがオンになると、前記フォトダイオードが受け取られた光を対応する前記電気信号に変換する制御ユニットと、
前記アナログレベル信号にしたがって前記デジタル信号を生成し、かつ前記デジタル信号を前記処理ユニットに送信する変換ユニットとを含み、
前記処理ユニットは、前記デジタル信号にしたがって前記生体特徴情報を表す測定対象の画像を取得する、ことを特徴とする請求項3に記載の生体特徴情報収集システム。
【請求項5】
前記変換ユニットによる前記アナログレベル信号のサンプリング周波数は16ビット以上である、ことを特徴とする請求項4に記載の生体特徴情報収集システム。
【請求項6】
前記光源の発光側は前記透明な基板に面している、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の生体特徴情報収集システム。
【請求項7】
前記生体特徴情報収集システムは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及びドアガード装置のうちの任意の電子装置で構成される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の生体特徴情報収集システム。
【請求項8】
前記光電変換装置によって提供される電気信号にしたがって、前記所定部位の初期画像を取得するステップと、
前記初期画像に対して前記第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行して、前記第一画像を取得し、これにより、前記第一画像における各谷と山のグレー値の分布範囲が前記初期画像における各谷と山のグレー値の分布範囲よりも大きいステップと、
前記第一画像に基づいて前記所定部位の前記第一パターン情報を取得するステップと、
前記第一画像において複数の指定されたピクセルのグレー値に対して第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行し、それにより、前記第一画像を前記第二画像に処理するステップと、
前記第一パターン情報に基づいて、前記ユーザーが認証に合格したユーザーであるかどうかを事前に判断し、そうであれば、前記第二画像に基づいて取得される特徴情報に基づいて、前記ユーザーが認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の生体特徴情報収集システムに基づく処理方法。
【請求項9】
前記第一画像において前記複数の指定されたピクセルのグレー値に対して前記第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行するステップは、
前記第一画像における各谷と山のグレー値の分布範囲内に中央のサブ区間を選択するステップと、
前記第一画像において前記複数の指定されたピクセルのグレー値に対して前記第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行し、それにより、前記第一画像を第二画像に処理し、前記第一画像において前記複数の指定されたピクセルのグレー値が前記中央のサブ区間に分布し、前記複数の指定されたピクセルの前記第二画像におけるグレー値の分布範囲が前記複数の指定されたピクセルの前記第一画像におけるグレー値の分布範囲よりも大きいステップと、
前記第二画像に基づいて前記所定部位の第二パターン情報及び/又は汗腺孔情報を取得するステップとをさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の処理方法。
【請求項10】
前記第二画像における各ピクセルのグレー値に対して二値化処理を実行し、それにより、前記第二画像を二値画像に変換するステップと、
前記二値画像に基づいて前記所定部位を認証するための前記特徴情報を取得するステップとをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
前記第二画像に基づいて取得される特徴情報に基づいて、前記ユーザーが認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断するステップは、
前記第一パターン情報に基づいて、生体が認証に合格したユーザーである判断されると、前記特徴情報に基づいて、前記生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は出願日2020年5月20日、出願番号2020104290070、名称「生体特徴情報収集システム及び処理方法」の中国発明出願の優先権を要求し、かつ上記中国発明出願の全ての明細書、請求項、図面及び要約書の方式を参照することにより、それを本願に引用する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、生体特徴情報収集の技術分野、特に生体特徴情報収集システム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生体特徴認証技術は、センサーによって生体特徴を収集して、システムに記憶された生体特徴と比較し、それによって身元を特定し、そのうち、生体特徴情報の収集は生体特徴認証のうちの重要なステップである。
【0004】
光の全反射の原理を利用して生体の所定部位の特徴情報を収集する光学的生体特徴情報収集の技術は、現在広く使用されている。従来技術では、図1aに示すように、生体の所定部位10は、剛性材料で作られた透明な基板100に押し付けられる必要があり、ここで、所定部位10の接線面のみが剛性材料で作られた透明な基板100と接触しており、接触面積が小さい。収集領域では、所定部位10の一部の有効な情報のみを収集することができる。例えば、所定部位10の中央が剛性材料で作られた透明な基板100と接触している場合、図1bに示すように、所定部位10の中央パターン11のみを収集することができ、ここで、周辺パターンを効果的に収集することができない。したがって、所定部位10の接触位置を何度も変更し、かつ収集した情報を統合する必要があり、それによって所定部位10の完全な情報を取得することができる。
【0005】
それと同時に、透明な基板100は所定部位10と接線面で接触し、接触位置の周辺の周囲光が収集精度に干渉しやすいため、生体特徴情報収集システムの安全性が低い。また、従来技術の生体特徴情報収集システムは、所定部位10のパターン情報のみを収集でき、かつパターン情報を再現しやすいため、システムの安全性がさらに低下する。また、剛性材料で作られた透明な基板100は壊れやすいため、交換費用が高くなるだけでなく、生体に損傷を与えやすい。
【0006】
したがって、改善される生体特徴情報収集システム及び処理方法を提供することが期待され、それによって、収集効率と収集精度を改善し、さらに生体特徴情報収集システムの安全性を改善する。
【発明の概要】
【0007】
上記問題を考慮して、本発明の目的は、改善される生体特徴情報収集システム及び処理方法を提供することであり、可撓性材料を使用して透明な基板の領域の少なくとも一部を作り、生体の所定部位と透明な基板との間の接触面積を増加させ、同時に、周囲光の干渉が減少し、それによって、生体特徴情報収集システムの収集効率と収集精度を向上させる。
【0008】
本発明の実施形態の一態様によれば、生体特徴情報収集システムが提供され、この生体特徴情報収集システムは、透明な基板と、光源と、前記光源とともに、前記透明な基板の片側に位置し、透明な基板によって反射された光を受け取り、かつ対応する電気信号を生成する前記光電変換装置と、前記電気信号に基づいて前記生体特徴情報を取得する処理装置とを含み、前記透明な基板の領域の少なくとも一部は可撓性材料で作られる。
【0009】
好ましくは、前記生体特徴情報は、生体の所定部位の中央パターン情報、周辺パターン情報、及び汗腺孔情報を含む。
【0010】
好ましくは、前記光電変換装置はフォトダイオードアレイを含み、各前記フォトダイオードは受け取られた光を対応する前記電気信号に変換し、各前記フォトダイオード間の中心間距離は90μm以下である。
【0011】
好ましくは、前記処理装置は、制御信号を提供するための処理ユニットと、前記制御信号にしたがって前記フォトダイオードアレイの対応する一行のフォトダイオードをオンにし、前記フォトダイオードがオンになると、前記フォトダイオードが受け取られた光を対応する前記電気信号に変換する制御ユニットと、前記電気信号にしたがってアナログレベル信号を生成する整流フィードバックユニットと、前記アナログレベル信号にしたがってデジタル信号を生成し、かつ前記デジタル信号を前記処理ユニットに送信する変換ユニットとを含み、前記処理ユニットは、前記デジタル信号にしたがって前記生体特徴情報を表す測定対象の画像を取得する。
【0012】
好ましくは、前記変換ユニットによる前記アナログレベル信号のサンプリング周波数は16ビット以上である。
【0013】
好ましくは、前記光源の発光側は前記透明な基板に面している。
【0014】
好ましくは、前記生体特徴情報収集システムは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及びドアガード装置のうちの任意の電子装置で構成される。
【0015】
本発明の実施形態の別の態様によれば、処理方法が提供され、前記処理方法は上記の生体特徴情報収集システムに基づいており、前記処理方法は、前記光電変換装置によって提供される電気信号にしたがって、前記所定部位の初期画像を取得するステップと、前記初期画像に対して第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行して、第一画像を取得し、これにより、前記第一画像における各谷と山のグレー値の分布範囲が前記初期画像における各谷と山のグレー値の分布範囲よりも大きいステップと、前記第一画像に基づいて前記所定部位の第一パターン情報を取得するステップとを含む。
【0016】
好ましくは、前記第一画像における各谷と山のグレー値の分布範囲内に中央のサブ区間を選択するステップと、前記第一画像において複数の指定されたピクセルのグレー値に対して第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行し、それにより、前記第一画像を第二画像に処理し、前記第一画像において前記複数の指定されたピクセルのグレー値が前記中央のサブ区間に分布し、前記複数の指定されたピクセルの前記第二画像におけるグレー値の分布範囲が前記複数の指定されたピクセルの前記第一画像におけるグレー値の分布範囲よりも大きいステップと、前記第二画像に基づいて前記所定部位の第二パターン情報及び/又は汗腺孔情報を取得するステップとをさらに含む。
【0017】
好ましくは、前記第二画像における各ピクセルのグレー値に対して二値化処理を実行し、それにより、前記第二画像を二値画像に変換するステップと、前記二値画像に基づいて前記所定部位を認証するための特徴情報を取得するステップとをさらに含む。
【0018】
好ましくは、前記第一パターン情報に基づいて前記生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを判断するステップをさらに含む。
【0019】
好ましくは、前記第一パターン情報に基づいて、前記生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを事前に判断し、そうであれば、前記特徴情報に基づいて、前記生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断するステップをさらに含む。
【0020】
本発明の実施形態において提供される生体特徴情報収集システム及び処理方法によれば、可撓性材料を使用して透明な基板の領域の少なくとも一部を作り、生体特徴情報を収集する過程において、透明な基板と生体の所定部位が曲面貼り合わせを呈する。従来技術と比較して、曲面の貼り合わせは接線面の貼り合わせよりも大きな接触面積を有するので、より多くの所定部位の生体特徴情報を一度に取得することができ、収集効率を改善する。それと同時に、曲面の貼り合わせは、光電変換装置への周囲光の入射を減らし、周囲光の干渉を減らし、生体特徴情報を取得する精度を向上させ、それによって、生体特徴情報収集システムの安全性を向上させることができる。
【0021】
さらに、光電変換装置への周囲光の入射が低減されるため、周囲光の干渉が低減され、比較的明確な中央パターン情報と周辺パターン情報を取得できるだけでなく、汗腺孔の特徴情報も取得でき、特徴情報を再現することの難しさが増し、それによって、生体特徴情報収集システムの安全性がさらに向上する。
【0022】
さらに、光電変換装置への周囲光の入射が低減されるため、周囲光の干渉が低減され、得られる初期画像の画質は非常に高い。したがって、第一ヒストグラム均等化アルゴリズム、又は第一ヒストグラム均等化アルゴリズム及び第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを直接使用して、所定部位のパターン情報及び汗腺孔情報を取得することができ、それによって、画像処理速度が向上する。
【0023】
また、透明な基板の所定部位と接触する部分は可撓性材料で作られるため、生体特徴情報収集システムは外圧による損傷を受けにくい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態を説明することによって、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点はより明らかになるであろう。図面は以下のとおりである。
【0025】
図1a】従来技術における生体特徴情報の収集方法を示す概略図である。
図1b】従来技術における生体特徴情報の収集効果を示す概略図である。
図2a】本発明の実施形態による生体特徴情報収集システムを示す概略図である。
図2b】本発明の実施形態による生体特徴情報の収集効果を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態による処理方法のフローチャートを示す。
図4図3の一部の処理の効果を示す概略図である。
図5図3の一部の処理の効果を示す概略図である。
図6図3の一部の処理の効果を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の様々な実施形態は、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明される。様々な図面において、同じ要素は、同じ又は類似の参照番号によって示される。わかりやすくするために、図面の様々な部分は縮尺どおりに描かれていない。また、よく知られている部分が図面に表示されていない場合がある。
【0027】
本発明の特定の実施形態は、添付の図面及び実施形態を参照して、以下でより詳細に説明される。本発明をより明確に理解するために、部品の構造、材料、寸法、処理プロセス及び技術など、本発明の多数の特定の詳細は以下に説明される。しかしながら、当業者によって理解され得るように、本発明は、これらの特定の詳細なしで実施され得る。
【0028】
部品の構造を説明する際に、層又は領域は別の層又は別の領域の「上面」又は「上方」に位置することと呼ばれる場合、それは別の層又は別の領域の上方に直接存在し、又は、それと別の層又は別の領域との間に他の層又は他の領域も含まれることが理解され得る。また、部品を裏返すと、該層、領域は別の層、別の領域の「下面」又は「下方」に位置する。
【0029】
図2aは、本発明の実施形態による生体特徴情報収集システムを示す概略図である。
【0030】
図2aに示されるように、本発明の実施形態による生体特徴情報収集システムは、透明な基板210、光電変換装置220、処理装置、及び光源(図示せず)を含む。そのうち、処理装置は、処理ユニット231、制御ユニット232、整流フィードバックユニット233、及び変換ユニット234を含む。本発明の実施形態による生体特徴情報の収集は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及びドアガード装置のうちの任意の電子装置で構成されてもよい。
【0031】
本実施形態では、光電変換装置220及び光源は透明な基板210の第一側211に位置し、光電変換装置220は、透明な基板210によって反射された光を受け取り、かつ対応する電気信号を生成する。そのうち、透明な基板210の領域の少なくとも一部は、可撓性材料で作られ、それによって、生体特徴情報を収集する過程において、少なくとも一部の領域は透明な基板210の第二側212において、生体の所定部位10と曲面で貼り合わせる。
【0032】
いくつかの特定の実施形態では、透明な基板210は、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display:FPD)内の透明な基板を含み、光源の発光側は透明な基板210に面している。光源はFPDのバックライトを含み、自動光学検査(Automated Optical Inspection:AOI)によって生体特徴情報を収集する。そのうち、透明な基板210の材料は、樹脂などの透明な可撓性材料を含む。光電変換装置220は、フォトダイオード(photo diodes:PD)アレイを含み、各フォトダイオードは、受け取られた光を対応する電気信号に変換する。そのうち、各フォトダイオード間の中心間距離は90μm以下であり、すなわち、センサーのピクセルピッチ(Pixel pitch of sensor)は90μm以下である。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態では、透明な基板210の第一側211は剛性材料であり、透明な基板210の第二側212は可撓性材料である。剛性材料を可撓性材料と組み合わせると、透明な基板210の固定が容易になり、また、透明な基板210の第一側211に配置された光電変換装置220の固定も容易になる。それによって、PDアレイは透明な基板210の第一側211に貼り合わせることができる。
【0034】
本実施形態では、処理装置は電気信号に基づいて生体特徴情報を取得する。図2bに示されるように、生体特徴情報は、所定部位10の中央パターン情報21、周辺パターン情報22、及び汗腺孔情報(図示せず)を含む。処理装置において、処理ユニット231は、制御信号を提供するために使用される。制御ユニット232は、制御信号にしたがってフォトダイオードアレイの対応する一行のフォトダイオードをオンにし、フォトダイオードがオンになると、フォトダイオードが受け取られた光を対応する電気信号に変換する。整流フィードバックユニット233は、電気信号にしたがってアナログレベル信号を生成する。変換ユニット234は、アナログレベル信号にしたがってデジタル信号を生成し、かつデジタル信号を処理ユニット231に送信する。そのうち、処理ユニット231は、デジタル信号にしたがって生体特徴情報を表す測定対象の画像を取得する。そのうち、変換ユニット234によるアナログレベル信号のサンプリング周波数は16ビット以上である。
【0035】
いくつかの特定の実施形態では、処理ユニット231の実装方法は、システムのリアルタイム要件にしたがって選択され得る。ストリーミングメディア伝送モードを使用する場合、処理ユニット231は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)又はグラフィックス処理ユニット(Graphics Processing Unit:GPU)によって実装され得る。単一画像伝送モードを使用する場合、処理ユニット231は、中央処理ユニット(Central Process Unit:CPU)又はマイクロコントローラユニット(Microcontroller Unit:MCU)によって実装され得る。
【0036】
いくつかの特定の実施形態では、制御ユニット232は、ゲート制御(gate control)回路によって実装され、ゲート制御回路は、PDアレイを行ごとにオンにすることを可能にする。
【0037】
いくつかの特定の実施形態では、整流フィードバックユニット233は、電荷収集増幅回路、信号フィルタリング回路、及び明暗相関二重サンプリング回路を含む低ノイズ信号調整増幅回路によって実装される。
【0038】
いくつかの特定の実施形態では、変換ユニット234は、16ビットA/D変換器によって実装される。
【0039】
FPGAを使用して処理ユニット231を実装する場合、FPGAは、LVDS、SPI、又はパラレルポートなどのデジタルインタフェースを介して、整流フィードバックユニットからデジタル信号を受信することを実現でき、次に、USB又はイーサネットなどの通信インタフェースを介して、デジタル信号をPCに送信する。本発明の実施形態によって提供される生体特徴情報収集システムによって、所定部位10の中央パターン21、周辺パターン22、及び汗腺孔の分布情報を効果的に区別することができる。そのうち、汗腺孔の位置は図4~6に説明されるが、図2bには示されていない。
【0040】
図3は、本発明の実施形態による処理方法のフローチャートを示す。図4~6は、図3の一部の処理の効果を示す概略図である。本発明の実施形態の処理方法は、本発明の実施形態によって提供される生体特徴情報収集システムに基づいて行われ、可撓性材料が所定部位に対して良好な貼合性を有することを前提として、鮮明度がよりよく、汗腺孔とパターンのグレースケール分布がより明白な画像を取得でき、そのうち、汗腺孔のグレースケール範囲は、パターンの谷と山の範囲内で変化する。指を所定部位として例にとると、可撓性材料の透明な基板が指のカーブに非常によく貼り合わせるため、AOI領域での光漏れが少なく、収集された画像のグレー値に対する外部周囲光の影響を減らす。したがって、本発明の実施形態によって提供される生体特徴情報収集システムにおいて、指紋のグレー値と汗腺孔のグレー値との間の相対差を可能な限り一定に保つことができる。これに基づいて、汗腺孔と指紋の画像処理アルゴリズムは、グレースケールの差について処理することができる。本発明の実施形態の処理方法は、図2b~6を参照して以下に詳細に説明される。
【0041】
ステップS01において、光電変換装置によって提供される電気信号にしたがって、所定部位の初期画像を取得する。
【0042】
該ステップにおいて、指は透明な基板210の可撓性材料の部分に押し付けられ、指は透明な基板210の第二側212と曲面で貼り合わせる。制御ユニット232は、処理ユニット231によって提供される制御信号にしたがって、フォトダイオードアレイを行ごとにオンにし、フォトダイオードは、受け取られた光を、電荷、電流、及び電圧などの対応する電気信号に変換する。電気信号は、整流フィードバックユニット233及び変換ユニット234によって処理された後、処理ユニット231に送信され、それによって、処理ユニット231は、電気信号に基づいて初期画像を取得することができる。初期画像では、指紋の谷と山のグレー値の変化範囲を取得することができる。
【0043】
ステップS02において、図4に示されるように、初期画像に対して第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行し、それにより、第一画像を取得する。
【0044】
該ステップにおいて、指紋の谷202と山201のグレー値の変化範囲の境界にしたがって、初期画像に対して第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行し、それによって、第一画像における各谷202と山201のグレー値の分布範囲が初期画像における各谷と山のグレー値の分布範囲よりも大きい。また、汗腺孔203のグレー値の変化範囲は谷202と山201のグレー値の変化範囲の間に位置するので、第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行した後、汗腺孔203の情報は比較的完全に保存される。例えば、谷のグレー値の変化範囲は(80,100)であり、山のグレースケールの変化範囲は(20,25)であり、谷と山のグレー値の変化範囲の境界は20と100である。しかしながら、本発明の実施形態はこれに限定されない。光源などの要因が異なるため、当業者は、必要に応じて、谷と山のグレー値の変化範囲の境界の値を選択することができる。
【0045】
ステップS03において、第一画像に基づいて所定部位の第一パターン情報を取得する。
【0046】
該ステップにおいて、初期画像があまり周囲光の干渉を受けていないため、初期画像の汗腺孔とパターンのグレースケールは非常にはっきりとわかる。したがって、初期画像に対して第一ヒストグラム均等化アルゴリズムを実行した後、図5に示すように、第一画像の谷202と山201のパターン情報を第一パターン情報として分離することができる。いくつかの特定の実施形態では、第一パターン情報に基づいて、生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを判断することができる。例えば、第一パターン情報を標準的な第一パターン情報と比較し、その比較結果に基づいて、生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを判断する。そのうち、標準的な第一パターン情報は、例えば、ユーザーが以前に入力した第一パターン情報である。いくつかの好ましい実施形態では、第一パターン情報に基づいて、生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを事前に判断することができ、そうであれば、後続のステップS04~S08に進み、そうでなければ、ステップS01に戻る。
【0047】
ステップS04において、第一画像における各谷と山のグレー値の分布範囲内に中央のサブ区間を選択する。
【0048】
該ステップにおいて、例えば、谷202と山201のグレースケール範囲の40%~70%を中央のサブ区間として使用する。第一画像における谷のグレー値の変化範囲が(60,120)であると仮定すると、山のグレースケールの変化範囲は(10,35)であり、谷と山のグレー値の変化範囲の境界は10と120である。120と10の差にそれぞれ40%と70%を掛け、その積にそれぞれ10を足して、中央のサブ区間を(54,87)として取得する。しかしながら、本発明の実施形態は、これに限定されない。バックライト又は画面の光の強度が異なるため、取得される画像はまったく異なる。具体的には、アプリケーションのシナリオに応じて、中央のサブ区間の値を微調整する必要があり、本明細書では、より広い定性的な範囲のみを示す。
【0049】
ステップS05において、第一画像において複数の指定されたピクセルのグレー値に対して第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行し、それにより、第一画像を第二画像に処理する。
【0050】
該ステップにおいて、例えば、中央のサブ区間の境界54と87で第一画像の複数の指定されたピクセルのグレー値に対して第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを実行し、それにより、第一画像を第二画像に処理し、第一画像において複数の指定されたピクセルのグレー値が中央のサブ区間に分布し、複数の指定されたピクセルの第二画像におけるグレー値の分布範囲は複数の指定されたピクセルの第一画像におけるグレー値の分布範囲よりも大きい。
【0051】
第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムの選択範囲は、汗腺孔と指紋の有効な区間であるため、ヒストグラム伸長化した後、汗腺孔と指紋の情報がより明確になる。そのうち、有効な区間は、谷202と山201を明確に表示できるグレー値区間、すなわち、中央のサブ区間である。汗腺孔203のグレー値の範囲は、谷202と山201のグレー値の区間に含まれ、したがって、汗腺孔203も有効な区間内に明確に表示され得る。
【0052】
ステップS06において、第二画像に基づいて所定部位の第二パターン情報及び/又は汗腺孔情報を取得する。
【0053】
該ステップにおいて、谷202、山201、及び汗腺孔203はいずれも第二画像に明確に表示されているため、谷202と山201の情報を第二パターン情報として使用することができ、汗腺孔情報は汗腺孔203の分布情報又は各汗腺孔のサイズ情報などを含む。
【0054】
ステップS07において、第二画像における各ピクセルのグレー値に対して二値化処理を実行し、それにより、第二画像を二値画像に変換する。
【0055】
該ステップにおいて、二値化の閾値は条件付きであり、認証したい汗腺孔の数によって異なる。
【0056】
ステップS08において、二値画像に基づいて所定部位を認証するための特徴情報を取得する。
【0057】
該ステップにおいて、特徴情報は、図6に示されるように、谷202と山201で構成される指紋情報と、汗腺孔203の分布情報とを含む。ここで、図5をマスクとし、二値画像における汗腺孔203を分離することによって、汗腺孔203の分布情報を取得する。いくつかの好ましい実施形態では、第一パターン情報に基づいて、生体が認証に合格したユーザーであることを事前に判断した後、特徴情報に基づいて、生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断する。例えば、特徴情報を標準的な特徴情報と比較し、その比較結果に基づいて、生体が認証に合格したユーザーであるかどうかを再度判断し、そのうち、標準的な特徴情報は、例えば、ユーザーが以前に入力した特徴情報であり、二回認証の方法で、生体特徴情報の処理効率と判断の正確さを保証し、システムの安全性を改善する。
【0058】
上記は、本発明の任意の実施形態にすぎないことに留意されたい。本発明の実施形態による生体特徴情報収集方法は、指紋又は掌紋の認証に限定されない。本発明の実施形態による生体特徴情報収集方法はまた、様々なパターン特徴の収集に適用され、特に唇のしわ及び舌のしわなどの身元の識別可能なパターン特徴の収集に適用される。本発明の実施形態による生体特徴情報収集方法は、人間の情報を収集することに限定されず、様々な動物、植物などの生体特徴情報の収集に使用されてもよく、例えば、猫又は犬の鼻紋、及び葉の脈絡を収集することである。
【0059】
本発明の実施形態において提供される生体特徴情報収集システム及び処理方法によれば、可撓性材料を使用して透明な基板の領域の少なくとも一部を作り、生体特徴情報を収集する過程において、透明な基板と生体の所定部位が曲面貼り合わせを呈する。従来技術と比較して、曲面の貼り合わせは接線面の貼り合わせよりも大きな接触面積を有するので、より多くの所定部位の生体特徴情報を一度に取得することができ、収集効率を改善する。それと同時に、曲面の貼り合わせは、光電変換装置への周囲光の入射を減らし、周囲光の干渉を減らし、生体特徴情報を取得する精度を向上させ、それによって、生体特徴情報収集システムの安全性を向上させることができる。
【0060】
さらに、光電変換装置への周囲光の入射が低減されるため、周囲光の干渉が低減され、比較的明確な中央パターン情報と周辺パターン情報を取得できるだけでなく、汗腺孔の特徴情報も取得でき、特徴情報を再現することの難しさが増し、それによって、生体特徴情報収集システムの安全性がさらに向上する。
【0061】
さらに、光電変換装置への周囲光の入射が低減されるため、周囲光の干渉が低減され、得られる初期画像の画質は非常に高い。したがって、第一ヒストグラム均等化アルゴリズム、又は第一ヒストグラム均等化アルゴリズム及び第二ヒストグラム伸長化アルゴリズムを直接使用して、所定部位のパターン情報及び汗腺孔情報を取得することができ、それによって、画像処理速度が向上する。
【0062】
また、透明な基板の所定部位と接触する部分は可撓性材料で作られるため、生体特徴情報収集システムは外圧による損傷を受けにくい。
【0063】
説明すべきこととして、本明細書では、第一及び第二等のような関係用語は一つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作と区別するために用いられるものだけであり、これらのエンティティ又は操作の間にいかなるこのような実際の関係又は順序が存在することを要求するか又は暗示することはない。また、用語「含む」、「包含」又は任意の他の変形は非排他的な包含を含むことが意図され、それにより、一連の要素を含む過程、方法、物品又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されない他の要素も含み、又はこのような過程、方法、物品又は装置に固有の要素を含む。より多くの限定がない場合、言語の「一つの……を含み」により限定された要素は、前記要素を含む過程、方法、部品、又は装置においてさらに別の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0064】
本発明の実施形態は上記に記載されており、これらの実施形態は、すべての詳細を説明するものではなく、また、本発明が記載された特定の実施形態のみに限定されるものでもない。明らかに、上記の説明に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本明細書は、本発明の原理及び実際の適用をよりよく説明するために、これらの実施形態を選択し、具体的に説明する。したがって、当業者は、本発明をよく利用し、かつ本発明に基づいて修正及び使用することができる。本発明は、特許請求の範囲及びそれらの全範囲と同等物のみによって限定されるべきである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6