(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】チェーンシステムの騒音、振動及びハーシュネスに影響を与えるチェーン運動制御装置のコンプライアンス面
(51)【国際特許分類】
F16H 7/08 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
F16H7/08
(21)【出願番号】P 2023111334
(22)【出願日】2023-07-06
【審査請求日】2023-07-06
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】クラム,マシュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ローン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】グッドセル,ジョセフ ピー.
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-270638(JP,A)
【文献】特開2014-066322(JP,A)
【文献】特開2006-138471(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006025890(DE,A1)
【文献】特開昭56-059051(JP,A)
【文献】実開昭56-060845(JP,U)
【文献】実開昭54-045881(JP,U)
【文献】特開昭56-012007(JP,A)
【文献】米国特許第05797818(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンショナ面のコンプライアンスを変更して、チェーンシステムの騒音、振動及びハーシュネスを低減する方法であって、
駆動スプロケットと、
従動スプロケットと、
前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットとを係合するチェーンであって、前記従動スプロケットと前記従動スプロケットとの間に弛みストランドを有し、前記従動スプロケットと前記従動スプロケットとの間に緊張ストランドを有し、接続要素によって接続された複数のリンクを含み、前記複数のリンクの各々は、
接続要素を受け入れるための穴を画定する本体と、歯と、背面とを備え、
前記チェーンの弛みストランドと相互作用するために取り付けられた少なくとも第1テンショナであって、テンショナ面を介して前記チェーンの弛みストランドと接触するテンショナ面を含み、前記テンショナ面が、前記チェーンの前記複数のリンクの背面に力を加えているときに、前記テンショナ面が圧縮状態に変形するようにする、少なくとも第1テンショナと、を含み、
前記方法は、
チェーンシステムレイアウト、チェーンシステム状況、前記少なくとも第1テンショナの初期テンショナ面幾何学的形状、及びチェーンに加えられるテンショナ面の力のうちの少なくとも1つのチェーンシステムの特性を受信するステップと、
前記テンショナ面と前記チェーンとの接触長さを、前記チェーンの2倍ピッチ長よりも短いように決定するステップと、
前記接触長さ及び前記テンショナ面の幾何学的形状に関するコンプライアンステンショナ面の幾何学的形状要件を定義し、設定量のコンプライアンスを有するテンショナ面の圧縮状態を得るステップと、
コンプライアンス幾何学的形状要件に基づいて、圧縮状態を得るために適用力テンショナ面剛性要件を決定するステップと、
前記テンショナ面の幾何学的形状に対するコンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件を最適化するステップと、
前記最適化されたコンプライアンス幾何学的形状要件及び前記適用力テンショナ面剛性要件をテンショナ面幾何学的形状に適用して、テンショナアームを製造するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
第1端部、第2端部、ピボット孔、キャビティ、第1面、及び前記第1面と反対側のテンショナ面を画定する本体を含むテンショナアームによって、コンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件が満たされ、前記テンショナ面は、前記第1端部から前記第2端部まで延びる曲率半径を有し、前記テンショナ面の一部は、キャビティと位置合わせされた少なくとも2倍ピッチ長の接触領域であり、前記キャビティと前記テンショナ面の接触領域との間の本体厚さが、前記テンショナ面と前記第1面との間の本体厚さよりも小さいく、前記テンショナ面の接触領域は、接触領域以外の面でテンショナ面よりも小さいコンプライアンスを有するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャビティはエラストマーで充填されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャビティ内にブレードスプリングが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ブレードスプリングの前記第1端部がキャビティ内にあり、前記ブレードスプリングの前記第2端部が
テンショナ本体から径方向に離れて延びるように、前記ブレードスプリングが前記ピボット孔の周りにキャビティを通って延びる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記キャビティと前記テンショナ面の接触領域との間の厚さは、前記ピボット孔と前記テンショナ面の非接触領域との間の厚さよりも小さい、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
第1端部、第2端部、ピボット孔、第1面、及び第1面と反対側のテンショナ面を画定する本体を含むテンショナアームによって、前記コンプライアンス幾何学的形状要件及び前記適用力テンショナ面剛性要件が満たされ、前記テンショナ面は、前記第1端部から前記第2端部まで延びる曲率半径を有し、前記テンショナ面の一部は前記本体の前記第1端部における少なくとも2倍ピッチ長の接触領域であり、前記本体の第1端部で第1面と前記テンショナ面の接触領域との間の本体厚さが、前記テンショナ面の非接触領域と前記第1面との間の本体厚さよりも小さく、前記テンショナ面の接触領域は、接触領域以外の面でテンショナ面よりも小さいコンプライアンスを有するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1面と前記テンショナ面の接触領域との間の厚さは、前記ピボット孔と前記テンショナ面の非接触領域との間の厚さよりも小さい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
システム状況は、駆動サイクル及び前記チェーンの状態、チェーン次数、周波数及びピッチ次数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記初期テンショナ面幾何学的形状は、前記テンショナ面の剛性と、前記テンショナ面の曲率半径とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
システムレイアウトは、チェーンタイプ、スプロケット歯形、チェーンピッチ、及び前記チェーンの個々のチェーンリンク間の中心距離を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記チェーンのチェーンピッチ長、少なくとも初期面半径幾何学的形状のテンショナ面幾何学的形状、適用テンショナ力、及びコンプライアンス幾何学的形状要件は、適用力テンショナ面剛性要件を決定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1端部、第2端部、第1端部と第2端部との間の屈曲部、第1面、前記第1面と反対側の第2面を画定するブレードスプリング本体と、前記第2面に固定的に取り付けられたエラストマー面とを含むテンショナアームによって、前記コンプライアンス幾何学的形状要件及び前記適用力テンショナ面剛性要件が満たされ、前記エラストマーは少なくとも2倍ピッチ長の接触領域を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーン運動制御装置の騒音、振動及びハーシュネス(NVH)性能を改善することに関し、より具体的には、コンプライアント面を介してチェーン運動制御装置のNVH性能を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
チェーン用途では、タイミングや伝達系にかかわらず、チェーンの運動を制御するために、チェーンの背面と、テンショナ面、アーム、ガイド、緩衝器などの運動制御装置のテンショナ面との間の接触が必要になる場合がある。チェーンとテンショナ面との接触によりNVHが増加し、チェーンシステムの知覚性能が低下する可能性がある。特に、チェーンのテンショナ面の接触力は、ピッチ周波数などのチェーン次数と一致し、追加の励振や許容できない性能をもたらす可能性がある。
【0003】
チェーンの適用では、タイミング又はドライブシステムのいずれであっても、チェーンの動きを制御するために、チェーンの背面がテンショナガイド、アーム、又は緩衝器の表面に接触する必要がある場合がある。チェーンと表面との間の接触は、NVHを増加させ、チェーンシステムの知覚性能を低下させる係合騒音をもたらすことがある。特に、チェーンツー面接触力は、ピッチ周波数などのチェーン次数と一致し、追加の励振や許容できない性能をもたらす可能性がある。チェーンシステムのNVHは、通常、チェーンの各リンクとスプロケット及びテンショナとの係合に関連する騒音であるピッチ次数と、ガイド列内のリンクから非ガイド列内のリンクへの係合の違い、又はチェーンのリンク歯の側面に沿った遷移の結果として、半ピッチ及び2倍ピッチ次数で発生する係合の違いと、によって引き起こされる。次数は1回転あたりのイベント数に関係する。周波数は、単位時間あたりのイベント数である。したがって、チェーン次数はチェーン回転と同じである。ピッチ次数は、駆動スプロケットの歯の数に等しい。したがって、駆動スプロケットに40個の歯がある場合、スプロケットの1回転は、ピッチ次数と呼ばれる40次に等しくなる。周波数(Hz)は、(次数#xrpm)/60と表すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2にチェーンシステム1を示す。チェーンシステム1は、駆動スプロケット2に歯付きチェーン8を介して接続された従動スプロケット6を有する。歯付きチェーン8は、接続要素7により接続された複数のチェーンリンク5を有する。各チェーンリンク5は、テンショニング装置12に接触可能な背面9を有する本体を有する。チェーンリンク5の背面9の反対側には一対の歯付きチェーン5が設けられている。リンク5の本体内には、接続要素7を受け入れるための一対の穴11が設けられている。リンク5の歯3は、歯従動スプロケット6と駆動スプロケット2とに噛み合っている。第1テンショナ10は、チェーン8の第1ストランド8aに隣接して存在して第1ストランド8aにおける張力を保持し、第2テンショナ12は、チェーン8の第2ストランド8bに隣接して存在して、第2ストランド8bにおける張力を保持する。張力は、チェーンストランド8a、8bの特定の領域におけるリンク5の背面9上の第1及び第2テンショナ10、12の付勢接触によって維持され、チェーンストランド8a、8bを互いに向かって付勢する。チェーン8の第1ストランド8aは緊張ストランドであり、第2ストランド8bは緩みストランドである。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、テンショナ面のコンプライアンスを変更してNVHを低減する方法が開示される。一実施形態では、本方法は、チェーンシステムレイアウト、チェーンシステム状況、少なくとも第1テンショナの初期テンショナ面幾何学的形状、及びチェーンに加えられるテンショナ面の力のうちの少なくとも1つのチェーンシステムの特性を受信するステップと、テンショナ面とチェーンとの接触長さを、チェーンの2倍ピッチ長よりも短いように決定するステップと、接触長さ及びテンショナ面の幾何学的形状に関するコンプライアンステンショナ面の幾何学的形状要件を定義し、設定量のコンプライアンスを有するテンショナ面の圧縮状態を得るステップと、コンプライアンス幾何学的形状要件に基づいて、圧縮状態を得るために適用力テンショナ面剛性要件を決定するステップと、テンショナ面の幾何学的形状に対するコンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件を最適化するステップと、最適化されたコンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件をテンショナ面幾何学的形状に適用して、テンショナアームを製造するステップと、を含む。
【0006】
コンプライアンス幾何学的形状要件を満たし、テンショナ面幾何学的形状に対する適用力テンショナ面剛性要件を満たすコンプライアンス面を含むテンショニング装置の例としては、ブレードスプリングが組み込まれたコンプライアンス面を有するテンショニング装置、コンプライアンス面に組み込まれたテンショナスプリング、テンショニング装置のエッジに位置するコンプライアンス面、エラストマー面を有するテンショナデバイスとして機能するスプリングを有するテンショニング装置、コンプライアンス面を有するテンショニング装置、及びエラストマーポケットを有するテンショニング装置を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
特許又は出願書類には、少なくとも1枚のカラー図面が含まれている。ラー図面を含むこの特許又は特許出願公開書のコピーは、要求と必要な手数料の支払いに応じて、特許庁によって提供される。
【
図1】
図1は、NVHを低減するためにテンショナ面のコンプライアンスを変更する方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、2ピッチ長よりも小さい接触領域の一例を示す。
【
図4】
図4は、2ピッチ長よりも大きい接触領域の一例を示す。
【
図5a】
図5aは、チェーンの緊張ストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、テンショナ面剛性3000N/mmにおける、様々なエンジン速度における様々なピッチ周波数でのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【
図5b】
図5bは、チェーンの緊張ストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、テンショナ面剛性300N/mmにおける、様々なエンジン速度における様々なピッチ周波数でのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【
図5c】
図5cは、チェーンの緊張ストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、テンショナ面剛性30N/mmにおける、様々なエンジン速度における様々なピッチ周波数でのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【
図5d】
図5dは、チェーンの緩みストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、テンショナ面剛性3000N/mmにおける、様々なエンジン速度における様々なピッチ周波数でのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【
図5e】
図5eは、チェーンの緩みストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、テンショナ面剛性300N/mmにおける、様々なエンジン速度における様々なピッチ周波数でのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【
図5f】
図5fは、チェーンの緩みストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、テンショナ面剛性30N/mmにおける、様々なエンジン速度における様々なピッチ周波数でのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【
図6a】
図6aは、チェーンの緊張ストランドに隣接して取り付けられた剛性テンショナ面の周波数対エンジン速度の一例を示す。
【
図6b】
図6bは、チェーンの緊張ストランドに隣接して取り付けられた可撓性テンショナ面の周波数対エンジン速度の一例を示す。
【
図6c】
図6cは、チェーンの弛みストランドに隣接して取り付けられた剛性テンショナ面の周波数対エンジン速度の一例を示す。
【
図6d】
図6dは、チェーンの弛みストランドに隣接して取り付けられた可撓性テンショナ面の周波数対エンジン速度の一例を示す。
【
図7】
図7は、コンプライアンス面を有するテンショニング装置を示す。
【
図8】
図8は、コンプライアント面と組み込まれたブレードスプリングとを有するテンショニング装置の一例を示す。
【
図9】
図9は、コンプライアント面にテンショナスプリングを組み込むテンショニング装置の一例を示す。
【
図10】
図10は、装置のエッジにコンプライアント面を有するテンショニング装置の一例を示す。
【
図11】
図11は、エラストマー面を有するテンショニング装置として使用されるスプリングの一例を示す。
【
図12】
図12は、エラストマーポケットを有するテンショニング装置の一例を示す。
【
図13a】
図13aは、チェーン面及び測定された関連変数の一例を示す。
【
図13b】
図13bは、平坦面の2ピッチ長さの接触を生成するために潰れ距離を決定するための図を示す。
【
図13c】
図13cは、所望のコンプライアントの半径と平坦面との間の距離を決定するための図である。
【
図13e】
図13eは、所望のコンプライアントの半径、ピッチ長、及び平坦面間の距離と所望のコンプライアント半径との間の関係図を示す。
【
図14】
図14は、
図5a~5f及び6a~6dのテンショナトルク変動(Nm)に関連する凡例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
コンプライアントをテンショナの面に適用して、チェーン接触領域を変化させたり、チェーン接触力を最小化したりして、懸念されるチェーン次数との位置合わせを防止することができる。本発明の実施形態は、チェーンの運動制御装置上のコンプライアント面(例えば、テンショナ面、アーム、ガイド又は緩衝器)を利用して、ストランドの張力に伴って接触領域が増加するようにする。接触面のコンプライアンス及び幾何学的形状は、本明細書に開示された方法によって決定される。例えば、単一リンクの接触領域から複数のリンクの接触領域への移動は、ピッチ周波数成分を減少させる可能性がある。このようなコンプライアンスは、特定の接触剛性要件のために設計された薄い材料セクションなどの意図的な幾何学的形状によって得ることができる。必要な接触剛性を適用するには、テンショナの設計に組み込むために追加のブレードスプリング又は他のタイプのスプリングが必要になる場合もある。
【0009】
図1は、テンショナ面のコンプライアンスを変更してNVHを低減する方法のフローチャートを示す。
【0010】
第1ステップにおいて、コンピュータは、チェーンシステムレイアウト、システム状況、初期面幾何学的形状、及びテンショニング装置のテンショナ面に加えられる力を受け取る(ステップ102)。チェーンシステムレイアウトには、チェーンタイプ、スプロケット歯形、チェーンピッチ、及びチューンリンク間の中心距離が含まれ得るが、これらに限定されない。システム状況には、駆動サイクル及びチェーンの状態(新しいチェーン又は磨耗したチェーン、チェーン次数、周波数及びピッチ次数など)が含まれ得るが、これらに限定されない。初期テンショナ面幾何学的形状は、少なくともその面の曲率半径とテンショナ面の剛性とを含むが、これに限定されない。
【0011】
コンピュータは、チェーンシステムレイアウト、システム状況、初期テンショナ面幾何学的形状、及びテンショニング装置のテンショナ面に加わる力に基づいて、テンショニング装置のテンショナ面とチェーンストランドとの接触長さを決定する(ステップ104)。接触長さは、従動スプロケットによってチェーンが駆動されるときにチェーンのストランドに接触してチェーンに張力を直接付与するテンショニング装置のテンショナ面の実際の長さとして定義される。
【0012】
例えば、
図3は、テンショナ12に接触するチェーンシステム1のチェーン8のストランドの断面を示す。チェーンとテンショナ面との間の接触長さは、チェーンタイプ、スプロケット歯形、システム状況などのチェーンシステムレイアウトに基づいて決定される。この場合、テンショナ面13とチェーンリンク5の背面9との接触領域14は、1ピッチ長(P1)程度の距離d1を有する。テンショナ面13がチェーンのリンク8の背面9に接触すると、テンショナの接触領域14が圧縮されるか、圧縮状態となる。この設計段階では、テンショナ面の変形は、コンプライアンスがほとんどないソリッド幾何学的形状であると想定されるため、小さいと想定される。
【0013】
テンショナのコンプライアントテンショナ面の接触長さが2ピッチ長よりも長い場合(ステップ106)、この方法は終了する。
【0014】
コンプライアントテンショナ面の接触長さが2ピッチ長未満である場合(ステップ106)、コンピュータは、設定量のコンプライアントを有する圧縮状態を表すために、接触長さとテンショナ面の幾何学的形状とのコンプライアントテンショナ面の幾何学的形状要件を定義する(ステップ108)。必要に応じて、所望の性能が達成されるまで、様々な想定圧縮状態テンショナ面を使用してステップ108を繰り返すことができる。圧縮状態とは、テンショニング装置のテンショナ面がチェーンに力を加えてテンショナ面を変形させた状態である。
【0015】
図4は、テンショナに接触するチェーンシステムのチェーンのストランドの断面を示す。この例では、リンク8の背面9とテンショナ12のテンショナ面13との間に、2ピッチ以上の長さ(P1)を有する接触領域16が存在する。テンショナ面13がチェーンのリンク8の背面9に接触すると、テンショナの接触領域16が圧縮されるか、圧縮状態となる。接触領域14は、少なくとも2つのピッチ長さP2にわたる距離d2に等しい長さ14を有する。
【0016】
図5a~5fは、チェーン8の弛みストランド8bとチェーン8の緊張ストランド8aとの様々な想定接触剛性におけるテンショナトルク変動を示す。
図14図5a~5f及び6a~6dのテンショナトルク変動(Nm)に関連する図を以下に説明する図である。
【0017】
図5a、5b、5cは、チェーンの緊張ストランドに隣接して取り付けられたテンショナの、様々な想定接触剛性における、様々なエンジン速度、様々なピッチ周波数でのテンショナトルク変動と、その結果として生じるテンショナトルク変動とを示す。
【0018】
図5aを参照すると、この例では、エンジン速度が700~4000rpmのとき、ピッチ周波数は約500~2500Hzの周波数を有し、チェーンの緊張ストランドに3000N/mmのテンショナ面剛性が付与されたとき、テンショナトルク変動は0.1Nm未満である。ピッチ周波数の2倍では、テンショナトルクは、エンジン速度1000~2000rpm、周波数1000~2000Hz、チェーンの緊張ストランドにかかるテンショナ面剛性3000N/mmで0.1Nm未満である。
【0019】
図5bを参照すると、ピッチ周波数はエンジン速度700~2000rpm付近に集中する2000Hz以下の周波数であり、チェーンの緊張ストランドに300N/mmのテンショナ面剛性を付与したときのテンショナトルク変動は0.1Nm未満である。ピッチ周波数の2倍では、500~4000rpmの間でチェーンの緊張ストランドに対して、テンショナトルクの変動が非常に小さいことが確認される。
【0020】
図5cを参照すると、ピッチ周波数は1000Hz未満であり、エンジン速度が700~1500rpm付近に集中しており、チェーンテンショナに加わるテンショナ面剛性が30N/mmのとき、テンショナトルク変動は0.1Nm未満である。ピッチ周波数の2倍では、500~4000rpmの間でチェーンの緊張ストランドに対して、テンショナトルクの変動が非常に小さいことが確認される。
【0021】
図5d、5e、5fは、様々なエンジン速度、様々なピッチ周波数での、チェーンの弛みストランドに隣接して取り付けられたテンショナのテンショナ面の接触剛性と、その結果として生じるテンショナトルク変動と、を示す。
【0022】
図5dを参照すると、ピッチ周波数は200~2500Hzであり、周波数はエンジン速度500~4000rpmの間に集中し、テンショナのトルク変動は約0.08~0.18Nmである。ピッチ周波数の2倍では、エンジン速度が500~2200rpm、テンショナ変動トルクが約0.1Nm未満の場合、周波数は800~2500Hz程度に集中する。
【0023】
図5eを参照すると、ピッチ周波数が2000Hz未満であり、エンジン速度が1600rpm未満である場合、濃度周波数は500Hz未満である。この濃度は、テンショナのトルク変動が0.1Nm未満である。ピッチ周波数の2倍では、500~4000rpmの間でチェーンの弛みストランドでは、テンショナトルクの変動が非常に小さいことが確認される。
【0024】
図5fを参照すると、チェーンの弛みストランドのテンショナトルクの変動は、ピッチ及び2倍ピッチ周波数で500~4000rpmの間で非常に小さい。ピッチ周波数を500rpm~4000rpmの範囲で0.05nm以下に維持する。
【0025】
図5a~5fに示すシミュレーションは、テンショナ面幾何学的形状の接触長さ及びコンプライアンステンショナ面幾何学的形状要件を提供し、設定量のフレックスメトリクス又はテンショナ面の接触剛性を有する様々なエンジン速度において、2ピッチ長よりも長い接触長さを有する圧縮状態を得る。特に、使用されている適用荷重、初期幾何学的形状、及びその他の情報を利用すると、剛性30N/mmは約2ピッチ接触となる。これらの図は、テンショナに適用されるトルク周波数成分が減少し、NVH性能が向上することを示す。
【0026】
図1に戻って参照すると、チェーンピッチ長、初期面半径幾何学的形状、作動中にテンショナ伸張状態で加えられるテンショナ力、及びコンプライアンス幾何学的形状要件を用いて、圧縮状態を得るために加えられるテンショナ面剛性要件を決定する(ステップ110)。
【0027】
図13a~
図13eに示す変数は、以下のように定義される。
p=チェーンのピッチ長
2p=2倍ピッチ長
r
0=初期面半径
r
f = 所望の面半径
k=所望の面剛性
F=適用テンショナ力
δ
1=半径を伴う2つのピッチ接触長を生じさせるための崩れ距離
δ
2=R
fと平坦面の距離
δ=半径を伴う2ピッチ接触を生じさせるための崩れ距離
θ=
図13bにおけるr
0とr
0 の間の角度、又は
図13bにおけるr
fとr
fとの間の角度
x=三角形の斜辺
y= 三角形の斜辺
【0028】
図13a、
図13d、
図13eは、テンショナ面の幾何学的形状と関連変数の例を示す。示された変数に基づいて、式1.1は、テンショナ面半径を有する2ピッチ接触を生じさせるための潰れ距離を決定するために使用される。
【数1】
(1.1)
ここで、
δ=半径を伴う2ピッチ接触を生じさせるための崩れ距離
δ
1 =平坦面との2ピッチ接触を生じさせるための崩れ距離
δ
2 =r
fと平坦面との間の距離
【0029】
平坦面(δ
1)との2ピッチ接触を生じさせ崩れ距離は、
図13b及び式(2.1)~(2.5)を用いて決定され、所望のコンプライアンス半径(r
f)と平坦面との間の距離(δ
2)は、
図13c及び式(2.6)を用いて決定される。
【0030】
図13bに示すように、チェーンピッチ長(p)と初期面半径(r
0)を用いる。
【数2】
(2.1)
ここで、
x=三角形の斜辺
δ
1 =平坦面との2ピッチ接触を生じさせるための崩れ距離
p=ピッチ長
【数3】
(2.2)
ここで、
p=ピッチ長
r
0=初期力半径
θ= r
0 とr
0の間の角度
【数4】
(2.3)
ここで、
p=ピッチ長
r
0=初期面半径
x= 三角形の斜辺
【0031】
式(2.2)を式(2.3)に代入すると、次式(2.4)が得られる。
【数5】
(2.4)
ここで、
p=ピッチ長
r
0=初期面半径
x=三角形の斜辺
【0032】
式(2.4)を式(2.1)に代入すると、式(2.5)が得られる。
【0033】
【数6】
(2.5)
ここで、
p=ピッチ長
r
0=初期面半径
δ
1 =平坦面との2ピッチ接触を生じさせるための崩れ距離
【0034】
所望のコンプライアンス半径(δ
2)と平坦面との距離(r
f)は、以下に示される。
【数7】
(2.6)
ここで、
r
f =所望の面半径
p=ピッチ長
δ
2= r
fと平坦面との間の距離
【0035】
式(1.1)に式(2.5)と(2.6)を代入すると、式(2.7)が得られる。
【数8】
(2.7)
ここで、
p=ピッチ長
r
0=初期面半径
r
f =所望の面半径
δ=半径を伴う2ピッチ接触長を生じさせるための崩れ距離
【0036】
所望の表面剛性(k)は、次の式(1.2)を使用して計算される。
【数9】
(1.2)
ここで、
fは適用テンショナ力であり、
δは半径を伴う2ピッチ接触を生じさせるための崩れ距離である。
【0037】
式(1.2)に式(2.7)を代入すると、次のような式(2.8)が得られる。
【数10】
(2.8)
ここで、
k=所望の面剛性
F=適用テンショナ力
p=ピッチ長
r
0= 初期面半径
r
f =所望の面半径
【0038】
次に、コンプライアンス幾何学的形状要件と、コンプライアンス面幾何学的形状に対するテンショナ力に対する適用力テンショナ面剛性要件とを、例えばコンピュータシミュレーションにより最適化する(ステップ112)。
【0039】
ステップ110で決定された適用力テンショナ面剛性要件に基づいて、コンピュータは、
図6a~6dに示すように、コンピュータは、チェーンの緊張ストランドおよび緩みストランド上のテンショナについて、剛性フェイステンショナおよび可撓性フェイステンショナの周波数対エンジン速度をシミュレートする。
【0040】
図6aは、様々なエンジン速度及び様々なテンショナトルクの下で、剛性面を有する緊張ストランドテンショナに関連するピッチ周波数を示す。ピッチ周波数は、エンジン速度が700rpm~4000rpmでテンショナトルク変動が0.1Nm未満のときに500~2500Hz程度の周波数である。ピッチ周波数の2倍では、エンジン速度が1000~2000rpm、テンショナトルクが0.1Nm未満の場合、周波数は1000~2000Hzである。
【0041】
図6bは、様々なエンジン速度及び様々なテンショナトルクの下で、可撓性面を有するストランドテンショナに関連するピッチ周波数を示す。ピッチ周波数は1000Hz未満であり、周波数はエンジン速度700~1500rpm付近に集中し、テンショナのトルク変動は0.1Nm未満である。ピッチ周波数の2倍では、500~4000rpmの間でチェーンの緊張ストランドに対して、テンショナトルクの変動が非常に小さいことが確認される。
【0042】
図6cは、さまざまなエンジン速度およびさまざまな適用テンショナトルクにおける剛性面を有する緩みストランドテンショナに関連するピッチ周波数を示す。ピッチ周波数は200~2500Hzであり、周波数はエンジン速度500~4000rpmの間に集中し、テンショナトルク変動は0.08~0.18Nm程度である。ピッチ周波数の2倍では、エンジン速度が500~2200rpm、テンショナ変動トルクが約0.1Nm未満の場合、周波数は800~2500Hz程度に集中する。
【0043】
図6dは、さまざまなエンジン速度およびさまざまな適用テンショナトルクにおける、可撓性面を有する緩みストランドテンショナに関連するピッチ周波数を示す。ピッチ周波数とピッチ周波数の2倍では、500~4000rpmの間でチェーンの緩みストランドに非常に小さなトルク変動が見られる。ピッチ周波数を500rpm~4000rpmの範囲で0.05nm以下に維持する。
【0044】
図1に戻って参照すると、コンプライアンス幾何学的形状要件から最適化コンプライアンス幾何学的形状を適用し、適用力テンショナ面剛性要件を適用して、最適化されたNVH性能を有する少なくとも1つのテンショナアームを生成し(ステップ114)、この方法を終了する。
【0045】
図7~11に、コンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件を満たすコンプライアンスを組み合わせたテンショナの例を示す。
【0046】
図7は、コンプライアンス面を有するテンショニング装置を示す。テンショニング装置又はテンショナ200は、第1端部209a、第2端部209b、第1側面201、第1側面201と反対側にあり、テンショナ面204として機能する第2側面、及びピボット孔203を画定する本体202を有する。テンショナ200の本体202は、ピボット孔203を中心に回動する。テンショナ面204は、第1端部209aと第2端部209bとの間にあり、少なくとも一部が接触領域206として機能し、チェーン8のストランドに接触する。テンショナ面204は、本体202の第1端部209aから本体202の第2端部209bまで延びる曲率半径を有する。接触領域206は、テンショニング装置200が係合するチェーンの2倍ピッチ長以上の距離d2を有する。好ましい実施形態では、接触領域206のコンプライアンス又は剛性は、接触領域206のいずれかの側のテンショナ面領域207、208のようなテンショナ面204の残りの部分のコンプライアンス又は剛性よりも小さい。コンプライアンスは、本体202の一部を除去して、本体202によって画定された接触領域206に位置合わせされたキャビティ205を提供することによって達成される。キャビティ205は、第1横端部205aと、第2横端部205bと、第1側205cと、第2側205dとを有する。キャビティ205とテンショナ面204の接触領域206との間には、厚さT1の壁210が設けられている。厚さt1は、厚さt2及び厚さT3よりも小さい。テンショナ面204の接触領域256とキャビティ205の第1側205cとの間で厚さt1が測定される。非接触領域テンショナ面256とテンショニング装置200の本体202の第1側面201との間で厚さt2が測定される。非接触領域テンショナ面207とピボット孔203との間で厚さt3を測定する。キャビティ205の第1横端部205aは、壁210と一致し、テンショナ面接触領域206に位置合わせされている。このため、接触領域206におけるテンショナ面204の厚さt1は、残りのテンショナ面領域207、208の厚さt2、t3よりも小さい。なお、テンショナ面のコンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件は、上記
図1のステップ及びテンショナ面204の曲率半径によって決定される。なお、接触領域206の長さは変化してもよい。
【0047】
図8は、コンプライアント面と組み込まれたブレードスプリングとを有するテンショニング装置の例を示す。本実施形態では、ブレードスプリング220は、キャビティ205内に存在し、テンショナ200の接触領域206と位置合わせしている。ブレードスプリング220の第1端部220aはキャビティ205の第1横端部205aに隣接し、ブレードスプリングの第2端部220bはキャビティ205の第2横端部205bに隣接する。なお、キャビティ205の長さ、ひいては接触領域206の長さd2は、異なる実施形態において変化してもよい。
【0048】
図12は、キャビティ205がエラストマー221で充填された代替実施形態を示す。エラストマー221は、キャビティ205全体に充填されていることが好ましい。キャビティ205は、テンショナ200の接触領域206に位置合わせされている。
【0049】
図9は、コンプライアント面にテンショナスプリングを組み込むテンショニング装置の例を示す。本実施形態では、コンプライアンステンショナスプリング230は、キャビティ205内に存在し、キャビティ205内からピボット孔203の周りに延びている。より具体的には、コンプライアンステンショナスプリング230は、第1端部230aと第2端部230bとを有し、第1端部230aと第2端部230bとの間に長さを有する。第1端部230aは、キャビティ205の第1横端部205aに隣接してキャビティ205内に存在し、キャビティ205の第2横端部205bを通って延びる。コンプライアンステンショナスプリング230は、キャビティ205とテンショナ面204の接触領域206との間の壁210と平行であり、残りのテンショナ面領域207とほぼ平行に維持され、その後、コンプライアンステンショナスプリング230は、ピボット孔203の周りで230cを湾曲又は屈曲させ、テンショナ200の本体202の第1側面201から第2端部230bまで径方向に延びる。
【0050】
図10は、装置のエッジに位置するコンプライアント面を有するテンショニング装置の一例を示す。本実施形態では、テンショニング装置250は、第1端部252a、第2端部252b、第1側面251、第1側面201と反対側にあり、テンショナ面254として機能する第2側面、及びピボット孔253を画定する本体252を有する。テンショナ250の本体252は、ピボット孔253を中心に回動する。テンショナ面254は、第1端部252aと第2端部252bとの間にあり、少なくとも一部がチェーンのストランドに接触している。テンショナ面254は、本体252の第1端部252aから本体252の第2端部252bまで延びる曲率半径を有する。チェーンに接触する部分は、チェーン8の2倍ピッチ長以上の距離d2を有する接触領域256であり、ここでテンショニング装置250が係合する距離d2を有する。本実施形態では、接触領域256は、前の実施形態のように本体の中間ではなく、本体252の第1端部252aに位置する。好ましい実施形態では、接触領域256のコンプライアンス又は剛性は、接触領域256に隣接するテンショナ面領域257のように、テンショナ面254の残りの部分のコンプライアンス又は剛性よりも小さい。コンプライアンスは、接触領域256を本体252の残りの部分よりも薄い厚さにすることによって達成される。これにより、本体の接触領域256の厚さt4は、チェーン接触が生じにくい残りの非接触テンショナ面領域257の厚さt2、t3よりも小さくなる。厚みt4は、テンショナ面254の接触領域256とテンショニング装置250の本体252の第1側面251との間で測定される。厚さt2は、非接触領域テンショナ面257とテンショニング装置250の本体252の第1側面251との間で測定される。厚さt3は、非接触領域テンショナ面257とピボット孔253との間で測定される。なお、テンショナ面254の曲率半径と同様に、テンショナ面のコンプライアンス幾何学的形状要件及び適用力テンショナ面剛性要件は、上記
図1のステップによって決定される。また、接触領域256の長さは変化してもよい。
【0051】
図11は、エラストマー面を有するテンショニング装置として使用されるスプリングの一例を示す。本実施形態では、スプリング275は、第1端部275aと、第2端部275bと、第1端部275aと第2端部275bとの間の屈曲部276cと、第1側面278と、第2側面279とを有する本体276を有する。エラストマー面277は、第1端部275aと屈曲部276cとの間でスプリング275の第2側面279に直接取り付けられている。エラストマー面277は、第1端部277bと第2端部277cとの間の距離d2が、テンショニング装置275が係合するチェーンの2倍ピッチ長以上であるか等しい接触領域277aを有する。エラストマー面277は、第2側面279に結合されていてもよく、接着剤によって取り付けられてもよい。スプリング275は、他のスプリングを用いることもできるが、リーフスプリングであることが好ましい。単一のブレードスプリングとして示されている場合、ブレードスプリングは、単一のブレードスプリングとして協働する複数のブレードスプリングから構成されてもよい。
【0052】
したがって、本明細書に記載された本発明の実施形態は、本発明の原理の適用例にすぎないことが理解されるべきである。本明細書において示された実施形態の詳細への参照は特許請求の範囲の範囲を限定することを意図するものではなく、それら自体が本発明に不可欠であるとみなされる特徴を列挙している。