(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】液晶ポリマー、組成物、液晶ポリマーフィルム、積層材料、および液晶ポリマーフィルムの形成方法
(51)【国際特許分類】
C08G 69/44 20060101AFI20241111BHJP
C08L 77/10 20060101ALI20241111BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20241111BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
C08G69/44
C08L77/10
C08J5/18 CFG
B32B27/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023158315
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-09-22
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱育麟
(72)【発明者】
【氏名】邱仁軍
(72)【発明者】
【氏名】何柏賢
(72)【発明者】
【氏名】韓裕民
(72)【発明者】
【氏名】陳孟▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】林志祥
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-008617(JP,A)
【文献】特表2000-508002(JP,A)
【文献】特開昭63-182340(JP,A)
【文献】特開2011-208140(JP,A)
【文献】特開2001-261946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69/00- 69/50
C08L 1/00-101/14
C08J 5/18
B32B27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、第4の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位を含み、前記第1の繰り返し単位が式(I)で示される構造を有し、前記第2の繰り返し単位が式(II)で示される構造を有し、前記第3の繰り返し単位が式(III)で示される構造を有し、前記第4の繰り返し単位が式(IV)で示される構造を有し、前記第5の繰り返し単位が式(V)で示される構造、式(VI)で示される構造、または式(VII)で示される構造を有する、液晶ポリマー。
【化1】
(式中、A
1、A
2、A
3、およびA
4は独立にA
5、またはA
5-X
2-A
6であり、A
5およびA
6は独立に
【化2】
【化3】
【化4】
であり、X
1は-O-、-NH-、または
【化5】
であり、X
2は単結合、-O-、-NH-、
【化6】
C1-C8アルキレン基(alkylene group)、C5-C8シクロアルキレン基(cycloalkylene group)、または
【化7】
であり、Z
1はC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)、または置換されたC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)であり、R
1は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、C1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)、またはC6-C12アリール基(aryl group)であり、R
2は
【化8】
であり、R
3は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)であり、R
4は独立に水素、フッ素、塩素、シアノ基(cyano group)、C1-C6アルキル基(alkyl group)、C1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)、C1-C6アルコキシ基(alkoxy group)、C1-C6アルキルチオ基(alkylthiogroup)、C1-C6シアノアルキル基(cyanoalkyl)、C6-C12アリール基(aryl group)、C7-C18アリールアルキル基(arylalkyl group)、C6-C12アリールオキシ基(aryloxy group)、またはC6-C12アリールチオ(arylthio group)であり、X
3は単結合、-O-、-NH-、
【化9】
であり、Z
2は単結合またはC1-C8アルキレン基(alkylene group)であり、R
5はC2-C20アルケニル基(alkenyl group)、アクリレート基(acrylate group)、メタクリレート基(methacrylate group)、
【化10】
であり、Qとその結合する炭素原子とはC4-C8シクロアルケン(cycloalkene)、置換されていないノルボルネン(norbornene)、置換されていない7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)、置換されたノルボルネン(norbornene)、または置換された7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)を構成する。)
【請求項2】
前記第1の繰り返し単位、前記第2の繰り返し単位、前記第3の繰り返し単位、前記第4の繰り返し単位の合計モル量に対し、前記第5の繰り返し単位の含量が0.01モル%から10モル%である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
【請求項3】
前記第1の繰り返し単位、前記第2の繰り返し単位、前記第3の繰り返し単位、および前記第4の繰り返し単位の合計モル量に対し、前記第1の繰り返し単位の含量が10モル%から50モル%であり、前記第2の繰り返し単位の含量が10モル%から50モル%であり、前記第3の繰り返し単位の含量が10モル%から50モル%であり、前記第4の繰り返し単位の含量が10モル%から
40モル%である、請求項2に記載の液晶ポリマー。
【請求項4】
前記液晶ポリマーの固有粘度が1.0dL/gから5.0dL/gである、請求項1に記載の液晶ポリマー。
【請求項5】
前記第5の繰り返し単位が下記のいずれかである、請求項1に記載の液晶ポリマー。
【化11】
【化12】
【化13】
(式中、R
5はC2-C20アルケニル基(alkenyl group)であり、R
6は水素またはC1-C17アルキル基(alkyl group)であり、R
7は水素またはC1-C15アルキル基であり、nは1から16の整数であり、R
8は水素またはメチル基であり、X
3は-O-、-NH-、
【化14】
であり、R
9は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)であり、mは1から8の整数である。)
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の液晶ポリマーである第1の液晶ポリマー100重量部と、
前記第1の液晶ポリマーを溶解させた溶媒と、
を含む組成物。
【請求項7】
第2の液晶ポリマー1から100重量部をさらに含み、前記第2の液晶ポリマーは前記第1の液晶ポリマーとは異なる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の液晶ポリマーが前記第4の繰り返し単位を有さない液晶ポリマー、前記第5の繰り返し単位を有さない液晶ポリマー、またはこれらの組み合わせである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
無機フィラー、有機フィラー、またはこれらの組み合わせであり得るフィラー0.1から50重量部をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
請求項6に記載の組成物の硬化物である液晶ポリマーフィルム。
【請求項11】
前記液晶ポリマーフィルムの50℃から100℃の間における熱膨張係数が10ppm/℃から48ppm/℃である、請求項10に記載の液晶ポリマーフィルム。
【請求項12】
支持体と、
前記支持体上に配置された請求項10に記載の液晶ポリマーフィルムと、
を含む積層材料。
【請求項13】
前記支持体と前記液晶ポリマーフィルムとの間に配置された接着剤層をさらに含む請求項12に記載の積層材料。
【請求項14】
請求項6に記載の組成物を支持体上に塗布して塗布層を得る工程と、
前記塗布層に対して熱処理を行って液晶ポリマーフィルムを前記支持体上に形成する工程と、
を含む液晶ポリマーフィルムの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶ポリマー、組成物、液晶ポリマーフィルム、積層材料、および液晶ポリマーフィルムの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ポリマー(liquid crystal polymer,LCP)応用の発展は目覚ましく、多くの高価値化およびハイエンドアプリケーションの領域において液晶ポリマー関連製品を目にすることができる。中でも、液晶ポリマーフィルムの発展は最も注目されている。液晶ポリマーは低吸湿、低誘電率および低誘電損失という特性を有しており、かつ4G/5G高速伝送の時代を迎え、携帯通信用のフレキシブル銅張積層板(flexible copper clad laminate,FCCL)に現在用いられているポリイミド(polyimide,PI)膜では不充分となるため、液晶ポリマーフィルムはこれに取って代わるポテンシャルを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の液晶ポリマーフィルムは一般的に熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)が過度に高いため、銅箔積層板への使用時に、銅箔とマッチせず、液晶ポリマーフィルムの応用性が非常に制限されてしまう。上述から、現在業界では、従来技術が面している問題を解決するべく、熱膨張係数の低い液晶ポリマーを創出することが早急に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は液晶ポリマーを提供する。液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、第4の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位を含む。第1の繰り返し単位は式(I)で示される構造を有し、第2の繰り返し単位は式(II)で示される構造を有し、第3の繰り返し単位は式(III)で示される構造を有し、第4の繰り返し単位は式(IV)で示される構造を有し、第5の繰り返し単位は式(V)で示される構造、式(VI)で示される構造、または式(VII)で示される構造を有する。
【0006】
【0007】
式中、A
1、A
2、A
3、およびA
4は独立にA
5、またはA
5-X
2-A
6である。A
5およびA
6は独立に、
【化2】
【化3】
【化4】
である。X
1は-O-、-NH-、または
【化5】
である。X
2は単結合、-O-、-NH-、
【化6】
C1-C8アルキレン基(alkylene group)、C5-C8シクロアルキレン基(cycloalkylene group)、または
【化7】
である。Z
1は置換されていないC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)、または置換されたC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)である。R
1は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、C1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)、またはC6-C12アリール基(aryl group)である。R
2は
【化8】
である。R
3は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)である。R
4は独立に水素、フッ素、塩素、シアノ基(cyano group)、C1-C6アルキル基(alkyl group)、C1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)、C1-C6アルコキシ基(alkoxy group)、C1-C6アルキルチオ基(alkylthiogroup)、C1-C6シアノアルキル基(cyanoalkyl)、C6-C12アリール基(aryl group)、C7-C18アリールアルキル基(arylalkyl group)、C6-C12アリールオキシ基(aryloxy group)、またはC6-C12アリールチオ基(arylthio group)である。X
3は単結合、-O-、-NH-、
【化9】
である。Z
2は単結合、またはC1-C8アルキレン基(alkylene group)である。R
5はC2-C20アルケニル基(alkenyl group)、アクリレート基(acrylate group)、メタクリレート基(methacrylate group)、
【化10】
である。Qとその結合する炭素原子はC4-C8シクロアルケン(cycloalkene)、置換されていないノルボルネン(norbornene)、置換されていない7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)、置換されたノルボルネン(norbornene)、または置換された7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)を構成する。
【0008】
本開示は、液晶ポリマーフィルムを形成するのに用いることのできる組成物を提供する。本開示の実施形態によれば、組成物は、第1の液晶ポリマー100重量部および溶媒を含む。第1の液晶ポリマーは本開示に係る液晶ポリマーである。第1の液晶ポリマーは溶媒中に溶解される。
【0009】
本開示は液晶ポリマーフィルムを提供する。本開示の実施形態によれば、液晶ポリマーフィルムは、本開示に係る組成物に熱処理を行って得られる硬化物である。
【0010】
本開示は積層材料を提供する。本開示の実施形態によれば、積層材料は支持体および本開示に係る液晶ポリマーフィルムを含む。
【0011】
本開示は、本開示に係る液晶ポリマーフィルムを形成するのに用いる液晶ポリマーフィルムの形成方法を提供する。液晶ポリマーフィルムの形成方法は以下のステップを含む。本開示に係る組成物を支持体上に塗布し、塗布層を得る。次いで、塗布層に熱処理を行って、液晶ポリマーフィルムを支持体上に形成する。
【発明の効果】
【0012】
本開示は液晶ポリマーを提供する。従来の液晶ポリマーは熱膨張係数が過度に高いという欠点を有しているため、液晶ポリマーの応用性が著しく限定されていた。液晶ポリマーの熱膨張係数を下げ、使用する基板に近いものにして積層材料を形成するために、反応性炭素炭素二重結合(reactive carbon-carbon double bond)(例えば非芳香族炭素炭素二重結合(non-aromatic carbon-carbon double bond))を有する無水物(または二酸)モノマーが液晶ポリマーを作製するのに用いる組成物に導入され、これによって本開示に係る液晶ポリマーが、架橋反応を進行することのできる繰り返し単位を備えることとなる。本開示に係る液晶ポリマーを含む組成物は、反応性炭素炭素二重結合の重合反応を経て、熱処理後に網目状架橋構造を有する液晶ポリマーフィルムを形成することができ、液晶ポリマーフィルムの寸法安定性がさらに改善される。このようであると、誘電率(dielectric coefficient,Dk)および誘電損率(dielectric loss factor,Df)を増やさずして、得られる液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を低減することができ、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を、積層材料に用いる基板(例えば銅箔基板)によりマッチさせるという目的が達せられ、液晶ポリマーフィルムが積層材料から剥離してしまうのを回避することができる。また、本開示に係る液晶ポリマーは溶媒への溶解性を有する(つまり、溶媒に溶解し易い)ため、本開示に係る液晶ポリマーを含む組成物がより良好な加工可能性を備えるようになる(溶液プロセスにより塗布層を形成できる)。さらに、本開示に係る液晶ポリマーは、溶解性を有さない液晶ポリマーと組み合わせることで、溶媒中に均一に分散できるようにもなり、これにより液晶ポリマーフィルムの作製に用いる組成物を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面を参照して、以下の詳細な説明および実施形態を読むことにより、本発明をより充分に理解することができる
【
図1】本開示の実施形態による積層材料の断面構造概略図を示している。
【
図2】本開示の別の実施形態による積層材料の断面構造概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
液晶ポリマー、組成物、液晶ポリマーフィルム、積層材料および液晶ポリマーフィルムの形成方法が以下の記載において詳細に説明される。以下の詳細な記載では、説明の目的で、本開示が十分理解されるように多数の特定の詳細と実施形態が示される。以下の詳細な記載において記載される特定の要素および構成は、本開示を明確に説明するために示されるものである。しかしながら、ここに示される例示的な実施形態は、単に説明の目的のために用いられるに過ぎず、本発明概念はそれらの例示的な実施形態に限定されることなく様々な形式で具体化可能であるという点は、明らかであろう。加えて、本開示を明確に説明するため、それぞれ異なる実施形態の図面では、類似および/または対応する要素を示すのに類似および/または対応する数字を用いることがある。しかしながら、それぞれ異なる実施形態の図面における類似および/または対応する数字の使用は、異なる実施形態間の何らの相関関係をも示唆しない。本明細書において使用されるとき、数量的な用語における用語「約」は、当業者にとって一般的かつ合理的である量だけプラスまたはマイナスすることを指す。
【0015】
また、構成要素を修飾するための本開示における順序を示す用語、例えば「第1の」、「第2の」、「第3の」等の使用は、1つの請求項に係る構成要素の別の構成要素に対する優先度、優先順序、もしくは順番、またはそれが形成される時間的な順序を、それ自体で示すものではなく、(順序を示す用語の使用がなければ)ある名称を有する1つの請求項に係る構成要素と同じ名称を有する別の構成要素とを区別して、請求項に係る構成要素どうしを区別するためのラベルとなるものに過ぎない。
【0016】
本開示の図面における構成要素または装置が当業者には既知である任意の形式または構成で提示され得るという点について、留意されたい。加えて、「別の層を覆う層」、「層が別の層の上側に配置される」、「層が別の層上に配置される」、および「層が別の層の上方に配置される」という表現は、他の層に直接接触する層に言及する場合があり、それらはまた、他の層と直接接触しない層であって、他の層との間に1つまたはそれ以上の中間層が存在する層に言及する場合もある。
【0017】
描かれている図は概略に過ぎず、非限定的なものである。説明の目的で、図におけるいくつかの構成要素のサイズ、形状または厚さは誇張されており、縮尺で描かれていないことがある。寸法および相対寸法は、本開示を実施するための実際の位置に対応していない。本開示は、特定の実施形態について、かつ特定の図に関して説明されるが、本開示がこれに限定されることはない。
【0018】
本開示の実施形態によれば、液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、第4の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位を含んでいてよい。本開示の実施形態によれば、第1の繰り返し単位は式(I)で示される構造を有し、第2の繰り返し単位は式(II)で示される構造を有し、第3の繰り返し単位は式(III)で示される構造を有し、第4の繰り返し単位は式(IV)で示される構造を有し、第5の繰り返し単位は式(V)で示される構造、式(VI)で示される構造、または式(VII)で示される構造を有する。
【0019】
【0020】
式中、A
1、A
2、A
3、およびA
4は独立にA
5、またはA
5-X
2-A
6である。A
5およびA
6は独立に、
【化12】
【化13】
【化14】
である。X
1は-O-、-NH-、または
【化15】
である。X
2は単結合、-O-、-NH-、
【化16】
C1-C8アルキレン基(alkylene group)、C5-C8シクロアルキレン基(cycloalkylene group)、または
【化17】
である。Z
1はC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)、または置換されたC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)である。R
1は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、C1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)、またはC6-C12アリール基(aryl group)である。R
2は
【化18】
である。R
3は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)である。R
4は独立に水素、フッ素、塩素、シアノ基(cyano group)、C1-C6アルキル基(alkyl group)、C1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)、C1-C6アルコキシ基(alkoxy group)、C1-C6アルキルチオ基(alkylthiogroup)、C1-C6シアノアルキル基(cyanoalkyl)、C6-C12アリール基(aryl group)、C7-C18アリールアルキル基(arylalkyl group)、C6-C12アリールオキシ基(aryloxy group)、またはC6-C12アリールチオ(arylthio group)である。X
3は単結合、-O-、-NH-、
【化19】
である。Z
2は単結合、またはC1-C8アルキレン基(alkylene group)である。R
5はC2-C20アルケニル基(alkenyl group)、アクリレート基(acrylate group)、メタクリレート基(methacrylate group)、
【化20】
である。Qはその結合する炭素原子とC4-C8シクロアルケン(cycloalkene)、置換されていないノルボルネン(norbornene)、置換されていない7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)、置換されたノルボルネン(norbornene)、または置換された7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)を構成する。本開示の実施形態によれば、Z
2が単結合であるとき、R
5はC2-C20アルケニル基(alkenyl group)である。
【0021】
本開示の実施形態によれば、置換されたノルボルネン(norbornene)とは、ノルボルネンの少なくとも1つの炭素における水素がフッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)で置換されたものである。
【0022】
本開示の実施形態によれば、置換された7-オキサノルボルネン(7-oxanorbornene)とは、7-オキサノルボルネンの少なくとも1つの炭素における水素がフッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)で置換されたものである。
【0023】
本開示の実施形態によれば、液晶ポリマーは、少なくとも1つの第1の繰り返し単位、少なくとも1つの第2の繰り返し単位、少なくとも1つの第3の繰り返し単位、少なくとも1つの第4の繰り返し単位、および少なくとも1つの第5の繰り返し単位を含んでいてよい。言い換えると、液晶ポリマーは、少なくとも1つの式(I)で示される構造を有する繰り返し単位、少なくとも1つの式(II)で示される構造を有する繰り返し単位、少なくとも1つの式(III)で示される構造を有する繰り返し単位、少なくとも1つの式(IV)で示される構造を有する繰り返し単位、および少なくとも1つの式(V)で示される構造、式(VI)で示される構造、または式(VII)で示される構造を有する繰り返し単位を含んでいてよい。
【0024】
本開示の実施形態によれば、第1の繰り返し単位は下記のいずれかであってよい。
【0025】
【0026】
式中、R4の定義は上述に同じである。
【0027】
本開示の実施形態によれば、第2の繰り返し単位は下記のいずれかであってよい。
【0028】
【0029】
式中、R4の定義は上述に同じである。
【0030】
本開示の実施形態によれば、第3の繰り返し単位は下記であってよい。
【0031】
【0032】
式中、R4の定義は上述に同じである。
【0033】
本開示の実施形態によれば、第4の繰り返し単位は下記のいずれかであってよい。
【0034】
【0035】
式中、A4の定義は上述に同じである。
【0036】
本開示の実施形態によれば、第4の繰り返し単位は下記のいずれかであってよい。
【0037】
【0038】
式中、R4の定義は上述に同じである。
【0039】
本開示の実施形態によれば、第5の繰り返し単位は下記のいずれかであってよい。
【0040】
【0041】
式中、X
3は-O-、-NH-、
【化30】
である、R
5はC2-C20アルケニル基(alkenyl group)である。R
6は水素、またはC1-C17アルキル基(alkyl group)である。R
7は水素、またはC1-C15アルキル基である。R
8は水素、またはメチル基である。R
9は独立に水素、フッ素、塩素、C1-C6アルキル基(alkyl group)、またはC1-C6フルオロアルキル基(fluoroalkyl group)である。nは1から16の整数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)であり、mは1から8の整数(例えば1、2、3、4、5、6、7、または8)である。
【0042】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るアルキル基(alkyl group)は直鎖または分岐の(linear or branched)アルキル基(alkyl group)であってよい。本開示の実施形態によれば、本開示に係るアルケニル基(alkenyl group)は直鎖または分岐の(linear or branched)アルケニル基(alkenyl group)であってよく、かつ少なくとも1つの炭素炭素二重結合(carbon-carbon double bond)を含む。
【0043】
例えば、C1-C6アルキル基はメチル基(methyl)、エチル基(ethyl)、プロピル基(propyl)、ブチル基(butyl)、ペンチル基(pentyl)、ヘキシル基(hexyl)、ヘプチル基(heptyl group)、オクチル基(octyl group)、またはその異性体(isomer)であってよい。本開示の実施形態によれば、C2-C20アルケニル基は、エテニル基(ethenyl)、プロペニル基(propenyl)、ブテニル基(butenyl)、ペンテニル基(pentenyl)、ヘキセニル基(hexenyl)、ヘプテニル基(heptenyl)、オクテニル基(octenyl)、ノネニル基(nonenyl)、デセニル基(decenyl)、ウンデセニル基(undecenyl)、ドデセニル基(dodecenyl)、トリデセニル基(tridecenyl)、テトラデセニル基(tetradecenyl)、ペンタデセニル基(pentadecenyl)、ヘキサデセニル基(hexadecenyl)、ヘプタデセニル基(heptadecenyl)、オクタデセニル基(octadecenyl)、またはその異性体(isomer)であってよい。
【0044】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るフルオロアルキル基とは、炭素における水素の全部または一部がフッ素で置換されたアルキル基のことであり、かつ直鎖(linear)または分岐(branched)であってよい。
【0045】
例えば、C1-C8フルオロアルキル基は、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、またはその異性体(isomer)であってよい。例えば、フルオロメチル基は、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、またはペルフルオロメチル基であってよく、フルオロエチル基は、モノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、またはペルフルオロエチル基であってよい。
【0046】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るアルコキシ基(alkoxy group)は直鎖または分岐の(linear or branched)アルコキシ基(alkoxy group)であってよい。本開示の実施形態によれば、本開示に係るアルキルチオ基(alkylthiogroup)は直鎖または分岐の(linear or branched)アルキルチオ基(alkylthiogroup)であってよい。本開示の実施形態によれば、本開示に係るシアノアルキル基(cyanoalkyl)は直鎖または分岐の(linear or branched)シアノアルキル基(cyanoalkyl)であってよい。
【0047】
例えば、C1-C6アルコキシ基(alkoxy group)は、メトキシ基(methoxy)、エトキシ基(ethoxy)、プロポキシ基(propoxy)、ブトキシ基(butoxy)、ペントキシ基(pentoxy)、ヘキソキシ基(hexoxy)、またはその異性体(isomer)であってよい。例えば、C1-C6アルキルチオ基(alkylthiogroup)は、メチルチオ基(methylthio)、エチルチオ基(ethylthio)、プロピルチオ基(propylthio)、ブチルチオ基(butylthio)、ペンチルチオ基(pentylthio)、ヘキシルチオ基(hexylthio)、またはその異性体(isomer)であってよい。例えば、C1-C6シアノアルキル基(cyanoalkyl)は、シアノメチル基(cyanomethyl)、シアノエチル基(cyanoethyl)、シアノプロピル基(cyanopropyl)、シアノブチル基(cyanobutyl)、シアノペンチル基(cyanopentyl)、シアノヘキシル基(cyanohexyl)、またはその異性体(isomer)であってよい。
【0048】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るC6-C12アリール基は、フェニル基(phenyl)、ビフェニル基(biphenyl)、またはナフチル基(naphthyl)であってよい。
【0049】
本開示の実施形態によれば、C7-C18アリールアルキル基(arylalkyl group)とは、C6-C12アリール基(aryl group)に置換されたC1-C6アルキル基のことである。例えば、C7-C18アリールアルキル基は、ベンジル基(benzyl)、フェニルエチル基(phenylethyl)、フェニルプロピル基(phenylpropyl) 、フェニルブチル基(phenylbutyl)、フェニルペンチル基(phenylpentyl)、フェニルヘキシル基(phenylhexyl)、またはその異性体(isomer)であってよい。
【0050】
本開示の実施形態によれば、アリールオキシ基(aryloxy group)とは、ヒドロキシ基における水素がアリール基で置換されたものである。例えば、C6-C12アリールオキシ基(aryloxy group)は、フェノキシ基(phenoxy group)、またはナフチルオキシ基(naphthyloxy)であってよい。
【0051】
本開示の実施形態によれば、アリールチオ基(arylthio group)とは、チオール基(thiol group)における水素がアリール基で置換されたものである。例えば、C6-C12アリールチオ(arylthio group)は、フェニルチオ基(phenylthio group)、またはナフチルチオ基(naphthylthio)であってよい。
【0052】
本開示に係るアルキレン基(alkylene group)は直鎖または分岐の(linear or branched)アルキレン基(alkylene group)であってよい。本開示の実施形態によれば、本開示に係るアルケニレン基(alkenylene group)は直鎖または分岐の(linear or branched)アルケニレン基(alkenylene group)であってよい。
【0053】
例えば、C1-C8アルキレン基(alkylene group)は、メチレン基(methylene group)、エチレン基(ethylene group)、プロピレン基(propylene group)、ブチレン基(butylene group)、ペンチレン基(pentylene group)、ヘキシレン基(hexylene group)、ヘプチレン基(heptylene group)、オクチレン基(octylene group)、またはその異性体(isomer)であってよい。例えば、C2-C20アルケニレン基(alkenylene group)は、エテニレン基(ethenylene)、プロペニレン基(propenylene)、ブテニレン基(butenylene)、ペンテニレン基(pentenylene)、ヘキセニレン基(hexenylene)、ヘプテニレン基(heptenylene)、オクテニレン基(octenylene)、ノネニレン基(nonenylene)、デセニレン基(decenylene)、ウンデセニレン基(undecenylene)、ドデセニレン基(dodecenylene)、ヘキサデセニレン基(hexadecenylene)、オクタデセニレン基(octadecenylene)、またはその異性体(isomer)であってよい。例えば、C5-C8シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基(cyclopentylene group)、シクロヘキシレン基(cyclohexylene group)、シクロヘプチレン基(cycloheptylene group)、シクロオクチレン基(cyclooctylene group)、またはその異性体(isomer)であってよい。
【0054】
本開示の実施形態によれば、置換されたC2-C20アルケニレン基(alkenylene group)とは、C2-C20アルケニレン基の少なくとも1つの炭素における水素がフッ素、塩素、またはフェニル基で置換されたものである。
【0055】
本開示の実施形態によれば、液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、第4の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、第4の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位は含まない。
【0056】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る液晶ポリマーでは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モル量(つまりM1+M2+M3+M4は100)に対し、第1の繰り返し単位の含量はM1モル%であり、ただしM1は10から50、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、または49であり、第2の繰り返し単位の含量はM2モル%であり、ただしM2は10から50、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、または49であり、第3の繰り返し単位の含量はM3モル%であり、ただしM3は10から50、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、または49であり、第4の繰り返し単位の含量はM4モル%であり、ただしM4は10から40、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39である。また、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モル量を基準とすると、第5の繰り返し単位の含量はM5モル%であり、ただしM5は0.01から10、例えば0.02、0.03、0.05、0.08、0.1、0.2、0.3、0.5、0.8、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、または9である。
【0057】
本開示の実施形態によれば、第1の繰り返し単位の含量が低すぎると、液晶ポリマーの結晶性が良好でなくなる。第1の繰り返し単位の含量が高すぎると、液晶ポリマーの(溶媒への)溶解度が悪くなってしまう。
【0058】
本開示の実施形態によれば、第2の繰り返し単位の含量が低すぎると、液晶ポリマーの(溶媒への)溶解度が悪くなってしまう。第2の繰り返し単位の含量が高すぎると、液晶ポリマーの結晶性が良好でなくなる。
【0059】
本開示の実施形態によれば、第3の繰り返し単位の含量が低すぎると、液晶ポリマーの結晶性が良好でなくなる。第3の繰り返し単位の含量が高すぎると、液晶ポリマーの(溶媒への)溶解度が悪くなってしまう。
【0060】
本開示の実施形態によれば、第4の繰り返し単位の含量が低すぎると、液晶ポリマーの(溶媒への)溶解度が悪くなってしまう。第4の繰り返し単位の含量が高すぎると、液晶ポリマーの誘電性および結晶性が良好でなくなる。
【0061】
本開示の実施形態によれば、第5の繰り返し単位の含量が低すぎると、液晶ポリマーを用いて作製される液晶ポリマーフィルムの架橋度が低くなりすぎ、得られる液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数低減の効果が制限されてしまう。第5の繰り返し単位の含量が高すぎると、液晶ポリマーを用いて作製される液晶ポリマーフィルムの架橋度が高すぎて、得られる液晶ポリマーフィルムの特性(例えば、吸湿性および誘電性)が劣化してしまう。
【0062】
本開示の実施形態によれば、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モル量に対し、第1の繰り返し単位の含量は10モル%から50モル%(例えば15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、35モル%、40モル%、または45モル%)、第2の繰り返し単位の含量は10モル%から50モル%(例えば15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、35モル%、40モル%、または45モル%)、第3の繰り返し単位の含量は10モル%から50モル%(例えば15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、35モル%、40モル%、または45モル%)、第4の繰り返し単位の含量は10モル%から40モル%(例えば15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、または35モル%)である。本開示の実施形態によれば、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モル量を基準とすると、第5の繰り返し単位の含量は0.01モル%から10モル%(例えば0.02モル%、0.03モル%、0.05モル%、0.08モル%、0.1モル%、0.2モル%、0.3モル%、0.5モル%、0.8モル%、1モル%、1.5モル%、2モル%、3モル%、4モル%、5モル%、6モル%、7モル%、8モル%、または9モル%)である。
【0063】
本開示の別の実施形態によれば、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モル量に対し、第1の繰り返し単位の含量は15モル%から40モル%、第2の繰り返し単位の含量は15モル%から40モル%、第3の繰り返し単位の含量は15モル%から40モル%、第4の繰り返し単位の含量は10モル%から40モル%である。また、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モルを基準とすると、第5の繰り返し単位の含量は0.1モル%から5モル%である。
【0064】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る液晶ポリマーの固有粘度は1.0dL/gから5.0dL/gの間(例えば1.5dL/g、2dL/g、2.5dL/g、3dL/g、3.5dL/g、4dL/g、または4.5dL/g)である。ここで、液晶ポリマーの固有粘度の測定方法は次のとおりである。N-メチルー2-ピロリドン(NMP)を溶媒として加熱し、液晶ポリマーを完全に溶解させて濃度0.3g/dLの溶液を得る。次いで、オストワルド粘度計(Ostwaldviscometer)でこの溶液の常温(25℃)下における固有粘度(Inherent viscosity)を量る。液晶ポリマーの固有粘度が低すぎると、成膜性が悪くなる。液晶ポリマーの固有粘度が高すぎると、溶解度が悪くなる。また、本開示に係る液晶ポリマーは常温(25℃)下での溶解度が8%以上であり得る。
【0065】
本開示に係る液晶ポリマーは、第1のモノマー、第2のモノマー、第3のモノマー、第4のモノマー、および第5のモノマーに重合反応を進行させて得られる。本開示に係る液晶ポリマー中、第1の繰り返し単位は第1のモノマーから誘導され、第2の繰り返し単位は第2のモノマーから誘導され、第3の繰り返し単位は第3のモノマーから誘導され、第4の繰り返し単位は第4のモノマーから誘導され、第5の繰り返し単位は第5のモノマーから誘導される。
【0066】
本開示の実施形態によれば、第1のモノマーは下記であってよい。
【0067】
【0068】
第2のモノマーは下記であってよい。
【0069】
【0070】
第3のモノマーは下記であってよい。
【0071】
【0072】
第4のモノマーは下記のいずれかであってよい。
【0073】
【0074】
第5のモノマーは下記のいずれかであってよい。
【0075】
【0076】
式中、A1、A2、A3、A4、Z1、R1、R2、R3、およびQの定義は上述に同じである。
【0077】
例えば、第1のモノマーは
【化36】
であってよく、第2のモノマーは
【化37】
であってよく、第3のモノマーは
【化38】
であってよく、第4のモノマーは
【化39】
であってよく、第5のモノマーは、イタコン酸、ブテン二酸、ペンテン二酸、ヘキセン二酸、ヘキサジエン二酸、マレイン酸無水物、2-メチルマレイン酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、3-メチル-4フェニル-2,5-フランジオン、
【化40】
【化41】
であってよい。
【0078】
本開示の実施形態によれば、第4のモノマーが
【化42】
であるとき、第1のモノマー、第2のモノマー、第3のモノマー、第4のモノマー、および第5のモノマーの用量は以下の関係式を満たす。
【0079】
0.95≦[(2m1+m3+2m4)/(2m2+m3+2m5)]≦1.05
【0080】
式中、m1は第1のモノマーのモル数、m2は第2のモノマーのモル数、m3は第3のモノマーのモル数、m4は第4のモノマーのモル数、m5は第5のモノマーのモル数である。第1のモノマー、第2のモノマー、第3のモノマー、第4のモノマー、および第5のモノマーの用量が上記関係式を満たしていないと、重合反応後に未反応のモノマーが比較的多く残留してしまう。
【0081】
本開示の実施形態によれば、第4のモノマーが
【化43】
であるとき、第1のモノマー、第2のモノマー、第3のモノマー、第4のモノマー、および第5のモノマーの用量は以下の関係式を満たす。
【0082】
0.95≦[(2m1+m3+m4)/(2m2+m3+m4+2m5)]≦1.05
【0083】
式中、m1は第1のモノマーのモル数、m2は第2のモノマーのモル数、m3は第3のモノマーのモル数、m4は第4のモノマーのモル数、m5は第5のモノマーのモル数である。第1のモノマー、第2のモノマー、第3のモノマー、第4のモノマー、および第5のモノマーの用量が上記関係式を満たしていないと、重合反応後に未反応のモノマーが比較的多く残留してしまう。
【0084】
本開示に係る液晶ポリマーの作製方法に特に限定はない。例えば、ヒドロキシ基またはアミン基を含むモノマー(例えば第1のモノマー、第3のモノマー、および第4のモノマー)を先ず過剰量の脂肪酸無水物とアシル化してアシル化化合物を得ることができ、そしてアシル化化合物をさらにカルボン酸を含むモノマー(または無水物モノマー)(例えば第2のモノマーおよび第5のモノマー)とエステル交換反応させて液晶ポリマーを形成することができる。また、事前にアシル化させておいたアシル化化合物とカルボン酸を含むモノマー(または無水物モノマー)とをエステル交換反応させることによっても液晶ポリマーを形成することができる。
【0085】
アシル化反応における脂肪酸無水物の含量は、例えばヒドロキシ基とアミン基の当量合計の1.0から1.2倍である。アシル化反応の条件は、130℃から180℃で5分から10時間、例えば140℃から160℃で10分から3時間進行させるものとすることができる。
【0086】
本発明のアシル化反応に用いる脂肪酸無水物に特に限定はなく、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、吉草酸無水物、ピバル酸無水物、2-エチルヘキサン酸無水物、モノクロロ酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、モノブロモ酢酸無水物、ジブロモ酢酸無水物、トリブロモ酢酸無水物、モノフルオロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、β-ブロモプロピオン酸無水物、類似体、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態において、脂肪酸無水物は酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、またはイソ酪酸無水物であり得る。
【0087】
アシル化およびエステル交換反応に触媒を加えてもよい。加える触媒は、ポリエステルの重合反応に用いられる既知の触媒であってよく、例えば金属塩触媒、例として酢酸マグネシウム、酢酸スズ、テトラブチルチタン酸塩、酢酸鉛、酢酸カリウム、三酸化アンチモン、もしくは類似体であるか、または2つ以上の窒素原子を有する複素環化合物であり得る有機触媒、例としてN,N'-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、ピラゾール、もしくは類似体である。
【0088】
アシル化反応およびエステル交換反応に添加物を加えてもよく、加える添加物の例には、周知の結合剤、沈殿防止剤、UV吸収剤、熱安定剤、抗酸化剤、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0089】
本開示の実施形態によれば、バッチ型設備、連続型設備または類似の設備を用いて液晶ポリマーの作製を行うことができる。
【0090】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る液晶ポリマーは、液晶ポリマーを含む組成物、液晶ポリマーフィルム、または積層材料(例えばフレキシブル銅張積層板)を形成するのに用いることができる。
【0091】
本開示はまた、本開示に係る液晶ポリマーを含む組成物も提供する。本開示の実施形態によれば、組成物は、第1の液晶ポリマー100重量部および溶媒を含み、第1の液晶ポリマーは本開示に係る液晶ポリマーである。第1の液晶ポリマーは溶媒中に溶解でき、組成物の固形分は1wt%から50wt%(例えば2wt%、3wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、または45wt%)となり得る。ここで、固形分とは、組成分の総重量に対する、溶媒を除いた組成物のすべての成分の重量百分率のことである。本開示の実施形態によれば、組成物から作製されるフィルムの厚さと組成物の固形分とは比例する。言い換えると、組成物から作製されるフィルムの厚さは、組成物の固形分により調整することができる。組成物の固形分が少なすぎると、塗布成膜時に厚めの膜を得ることが難しくなる。組成物の固形分が多すぎると、粘度が高くなりすぎ、塗布工程がスムーズに進まなくなる。
【0092】
本開示の実施形態によれば、溶媒は、ハロゲン溶媒(例えば1-クロロブタン、クロロベンゼン、1,1-ジクロロエタン、クロロホルム、もしくは1,1,2,2-テトラクロロエタン)、エーテル溶媒(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、もしくは1,4-ジオキソラン)、ケトン溶媒(例えばアセトンもしくはシクロヘキサノン)、エステル溶媒(例えば酢酸エチル)、ラクトン溶媒(例えばγ-ブチルアクリレート)、カーボネート溶媒(例えばビニルカーボネートもしくはアクリルカーボネート)、アミン溶媒(例えばトリエチルアミンもしくはピリジン)、ニトリル溶媒(例えばアセトニトリル)、アミド溶媒(例えばN,N'-ジメチルホルミアミド、N,N'-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、もしくはN-メチルピロリドン)、ニトロ溶媒(例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン)、スルフィド溶媒(例えばジメチルスルホキシドもしくはスルホラン)、リン化物溶媒(例えばヘキサメチルリン酸アミドもしくはトリ-n-ブチルホスフィド)、アルカン、オレフィン、アルコール、アルデヒド、芳香族炭化水素、テルペン、水素化炭化水素、複素環化合物、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0093】
本開示の実施形態によれば、組成物から作製される液晶ポリマーフィルムの特性(例えば吸湿性および誘電性)向上のため、組成物は、1から100重量部(例えば2重量部、3重量部、5重量部、8重量部、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、または95重量部)の第2の液晶ポリマーをさらに含んでいてよい。
【0094】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーと第1の液晶ポリマーとは同じでない。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第4の繰り返し単位を有さない液晶ポリマー、第5の繰り返し単位を有さない液晶ポリマー、または上記の組み合わせであり得る。
【0095】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは溶解性を有さない(つまり、溶媒中に溶けないまたは溶けにくい)ものであってよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位を有していてよいが、第2の液晶ポリマーは第4の繰り返し単位を有さない。ここで、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位の合計モル量(つまりM1、M2、およびM3の合計は100)に対し、第1の繰り返し単位の含量はM1モル%であり、ただしM1は5から70、例えば7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、または65であり、第2の繰り返し単位の含量はM2モル%であり、ただしM2は5から70、例えば7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、または65であり、第3の繰り返し単位の含量はM3モル%であり、ただしM3は10から90、例えば15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、または85である。本開示の実施形態によれば、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位の合計モル量を基準とし、第5の繰り返し単位の含量はM5モル%であり、ただしM5は0.01から10、例えば0.02、0.03、0.05、0.08、0.1、0.2、0.3、0.5、0.8、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、または9である。
【0096】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位を含んでいてよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位以外、その他の繰り返し単位を含まない。
【0097】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位を有していてよいが、第2の液晶ポリマーは第4の繰り返し単位および第5の繰り返し単位を含まない。ここで、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位の合計モル量(つまり、M1、M2、およびM3の合計は100)に対し、第1の繰り返し単位の含量はM1モル%であり、ただしM1は5から70、例えば7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、または65であり、第2の繰り返し単位の含量はM2モル%であり、ただしM2は5から70、例えば7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、または65であり、第3の繰り返し単位の含量はM3モル%であり、ただしM3は10から90、例えば15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、または85である。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を含んでいてよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位を含まない。
【0098】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは溶媒中に溶解しにくいものであってよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位のうちの少なくとも1つを有していてよいが、第2の液晶ポリマーは第5の繰り返し単位を有さない。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および/または第4の繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を含んでいてよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、および第3の繰り返し単位からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および/または第4の繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を含まない。
【0099】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位を含む。ここで、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、および第4の繰り返し単位の合計モル量(つまり、M1、M2、M3、およびM4の合計は100)に対し、第1の繰り返し単位の含量はM1モル%であり、ただしM1は10から50、例えば15、20、25、30、35、40、または45であり、第2の繰り返し単位の含量はM2モル%であり、ただしM2は10から50、例えば15、20、25、30、35、40、または45であり、第3の繰り返し単位の含量はM3モル%であり、ただしM3は10から50、例えば15、20、25、30、35、40、または45であり、第4の繰り返し単位の含量はM4モル%であり、ただしM4は1から40、例えば2、3、5、8、10、15、20、25、30、または35である。
【0100】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマー中、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位、第3の繰り返し単位、第4の繰り返し単位、および第5の繰り返し単位の定義は上述に同じである。
【0101】
本開示の実施形態によれば、第2の液晶ポリマーは一般に市販されている液晶ポリマーであってよく、特に限定はない。高周波製品の応用では、例えば、第2の液晶ポリマーは、Dfが0.003(@10GHz)より小さい市販の液晶ポリマーとすることができる。
【0102】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る液晶ポリマーフィルムを形成するのに用いる組成物は、0.1から50重量部のフィラー(例えば0.5重量部、1重量部、2重量部、2重量部、3重量部、5重量部、8重量部、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、または45重量部)をさらに含んでいてよく、これにより得られる液晶ポリマーフィルムの誘電性または機械強度を改善することができる。フィラーは無機フィラー、有機フィラー、またはこれらの組み合わせであってよい。無機フィラーは、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、含水ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、またはこれらの組み合わせであってよい。有機フィラーは、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレア樹脂、ベンゾメラミンホルムアルデヒド樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの組み合わせであってよい。本開示に係る液晶ポリマーは熱処理後に網目状を有する架橋構造を形成することができ、この網目状架橋構造はフィラーの移動を固定し得るため、フィラーを均一に分散させる目的が達せられ、液晶ポリマーフィルムの誘電性または機械強度を最適化することができる。
【0103】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る液晶ポリマーフィルムを形成するのに用いる組成物は、0.1から30重量部(例えば0.5重量部、1重量部、2重量部、3重量部、5重量部、8重量部、10重量部、15重量部、20重量部、または25重量部)の樹脂をさらに含んでいてよい。樹脂には熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が含まれてよく、かつ樹脂は液晶ポリマーではない。熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル(つまり液晶ポリアリレート(polyallylate)ではない)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、メタクリル酸グリシジルとポリエチレンとの共重合体に代表されるエラストマー、またはその変性生成物であってよい。熱硬化性樹脂は、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、またはシアネート樹脂であってよい。また、その他の樹脂を使用する場合において、その他の樹脂は、液晶ポリマーに用いる溶媒中に溶解することのできるものである。
【0104】
また、本開示に係る液晶ポリマーフィルムを形成するのに用いる組成物は、0.1から20重量部(例えば0.5重量部、1重量部、2重量部、3重量部、5重量部、8重量部、10重量部、または15重量部)の添加剤をさらに含んでいてよく、寸法安定性、機械特性、熱伝導性、誘電性、熱安定性、光安定性、抗エイジング特性、塗布適性および成膜性を高めるために用いられる。添加剤には、抗酸化剤、熱安定剤、UV吸収剤、光安定剤、抗エイジング剤、強化剤、鎖延長剤、可塑剤、架橋剤、塗料インク用添加助剤(例えば消泡剤、レベリング剤、湿潤分散剤、増粘剤、チキソトロピー調整剤、接着促進剤、もしくはカップリング剤)、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0105】
本開示は、本開示に係る組成物から作製することのできる液晶ポリマーフィルムを提供する。液晶ポリマーフィルムは本開示に係る組成物の硬化物であり得る。本開示の実施形態によれば、液晶ポリマーフィルムの厚さに特に限定はなく、例えば1マイクロメーターから100マイクロメーターである。液晶ポリマーフィルムの50℃から100℃の間における熱膨張係数は48ppm/℃よりも低いものであってよく、例えば10ppm/℃から48ppm/℃、または10ppm/℃から40ppm/℃であってよい。例えば、液晶ポリマーフィルムの50℃から100℃の間における熱膨張係数は15ppm/℃、20ppm/℃、25ppm/℃、30ppm/℃、または35ppm/℃であってよい。熱膨張係数は、動的機械分析(dynamic mechanical analysis,DMA)により、50℃から100℃で、ASTM D696に定められた方法に基づいて測定する。
【0106】
本開示は液晶ポリマーフィルムの形成方法を提供する。該方法は次のステップを含む。先ず、本開示に係る組成物を支持体上に塗布して塗布層を得る。塗布の方法は、ロールコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンオンコーティング、カーテン塗布、スロットコーティング、またはスクリーンコーティングとすることができる。支持体は、特に限定はなく、銅箔、ガラス、アルミニウム箔、またはその他の適した支持体であってよい。塗布後、その塗布層に対して熱処理を行って(反応性二重結合を架橋させ、組成物中の溶媒を除去する)、液晶ポリマーフィルムを支持体上に形成する。その後は、応用の必要に応じてさらに支持体を除去するかを選択する。支持体を除去する方法はエッチングまたは剥離であってよい。熱処理の温度は約200℃から320℃(例えば220℃、250℃、280℃、および300℃)とすることができ、かつ熱処理の時間は30分から10時間(例えば1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、または9時間)とすることができる。
【0107】
本開示は積層材料、例えばフレキシブル銅張積層板も提供する。
図1は本開示の実施形態による積層材料10の断面構造概略図を示している。
図1に示されるように、積層材料10は支持体12と、支持体12上に配置された液晶ポリマーフィルム14とを含んでいてよい。また、
図2に示されるように、本開示の実施形態によれば、積層材料10は、液晶ポリマーフィルム14を支持体12に固定させるように支持体12と液晶ポリマーフィルム14との間に配置される接着剤層16をさらに含んでいてよい。この積層材料がプリント回路板に用いられる場合、優れた電気特性を有する接着剤、例えばフッ素樹脂を導入することによって、プリント回路板製品の伝送損失を低減することができる。この積層材料は、さらに両面銅箔の積層材料に作製することもできる。例えば、上述した片面銅箔の積層材料を液晶ポリマーフィルム面で貼り合わせ、熱圧成形を行うことで、上下の両層が銅箔、中間層が液晶ポリマーフィルムである両面銅箔積層材料を形成することができる。
【0108】
以下に、当該分野において通常の知識を持つ者が容易に理解できるよう、例示的な実施例を詳細に記載する。本発明概念は、ここに記載される例示的な実施例に限定されることなく、様々な形式で具体化され得る。
【実施例】
【0109】
実施例1
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、マレイン酸無水物(0.014モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.23dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(1)を得た。固有粘度(IV)の測定にはオストワルド粘度計(Ostwaldviscometer)を用い、説明書に記載されている方法に基づいて決定した。次いで、液晶ポリマー(1)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0110】
液晶ポリマーの熱分解温度については熱重量分析装置(thermogravimetric analyzer,TGA)により分析を行い、液晶ポリマーフィルムの繰り返し単位の含量については核磁気共鳴分光(nuclear magnetic resonancespectroscopy,NMR)により分析を行った。
【0111】
次いで、液晶ポリマー(1)を常温下でN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(1)を得た。
【0112】
次いで、液晶ポリマーフィルム(1)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0113】
液晶ポリマーフィルムのガラス転移温度については示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry,DSC)により分析を行った。液晶ポリマーフィルムの誘電率および誘電損率については、共振空洞型マイクロ波誘電率測定装置(resonant cavity type microwave dielectrometer)を用い、周波数10GHzで、JIS-compliant 1641に定められている方式に従って測定を行った。液晶ポリマーフィルムの50℃から100℃における熱膨張係数は、動的機械分析(dynamic mechanical analysis,DMA)により、ASTM D696に定められている方式に従って測定を行った。
【0114】
実施例2
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、マレイン酸無水物(0.044モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.21dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(2)を得た。次いで、液晶ポリマー(2)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0115】
次いで、液晶ポリマー(2)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(2)を得た。
【0116】
次いで、液晶ポリマーフィルム(2)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0117】
実施例3
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、マレイン酸無水物(0.07モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.19dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(3)を得た。次いで、液晶ポリマー(3)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0118】
次いで、液晶ポリマー(3)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(3)を得た。
【0119】
次いで、液晶ポリマーフィルム(3)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0120】
実施例4
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、イタコン酸(0.014mole)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.23dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(4)を得た。次いで、液晶ポリマー(4)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0121】
次いで、液晶ポリマー(4)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(4)を得た。
【0122】
次いで、液晶ポリマーフィルム(4)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0123】
実施例5
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、イタコン酸(0.044mole)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.23dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(5)を得た。次いで、液晶ポリマー(5)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0124】
次いで、液晶ポリマー(5)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(5)を得た。
【0125】
次いで、液晶ポリマーフィルム(5)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0126】
実施例6
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、イタコン酸(0.07モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.23dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(6)を得た。次いで、液晶ポリマー(6)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0127】
次いで、液晶ポリマー(6)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(6)を得た。
【0128】
次いで、液晶ポリマーフィルム(6)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0129】
実施例7
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、マレイン酸(0.044モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.23dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(7)を得た。次いで、液晶ポリマー(7)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0130】
次いで、液晶ポリマー(7)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(7)を得た。
【0131】
次いで、液晶ポリマーフィルム(7)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0132】
実施例8
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、シトラコン酸無水物(0.044モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.23dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(8)を得た。次いで、液晶ポリマー(8)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0133】
次いで、液晶ポリマー(8)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(8)を得た。
【0134】
次いで、液晶ポリマーフィルム(8)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0135】
比較例1
ヒドロキノン(0.7モル)、イソフタル酸(0.7モル)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(0.7モル)、4-アミノ安息香酸(0.7モル)、および酢酸無水物(2.8モル)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して3時間反応させた。次いで、320℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を320℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、得られたものの固有粘度(IV)をモニタリングした。得られたものの固有粘度(IV)が所望の粘度に達した後(固有粘度(IV)は1.20dl/g)、窒素で真空を破壊すると共に、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(9)を得た。固有粘度(IV)の測定にはオストワルド粘度計(Ostwaldviscometer)を用い、説明書に記載されている方法に基づいて決定した。次いで、液晶ポリマー(9)の熱分解温度(decomposition temperature,Td)および繰り返し単位の含量を測定した。結果は表1に示されるとおりである。
【0136】
次いで、液晶ポリマー(9)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解して塗布組成物を形成した(組成物の固形分は8wt%)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から300℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(9)を得た。
【0137】
次いで、液晶ポリマーフィルム(9)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0138】
【0139】
【0140】
表2からわかるように、比較例1と比較して、液晶ポリマーの作製時に特定の二酸または無水物をさらに添加することで、本開示に係る第5の繰り返し単位を有する液晶ポリマーを得ることができ、これにより得られた液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数が低減されている(銅箔の熱膨張係数(約18ppm/℃)により近づけることができた)。
【0141】
実施例9
2,6-ナフタレンジカルボン酸(0.3mole)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(2.1mole)、イソフタル酸(0.15mole)、ヒドロキノン84.0g(0.45mole)および酢酸無水物310.0g(3.03mol)を混合した後、混合物を窒素下で150℃まで加熱して2時間反応させた。次いで、330℃まで昇温して1時間反応させた後、温度を330℃に保ちながらゆっくりと真空引きし、所望の粘度になるまで反応させ、窒素圧力を利用し生成物を押し出して、液晶ポリマー(10)を得た。
【0142】
次いで、液晶ポリマー(2)(70重量部)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解した。次いで、液晶ポリマー(10)(30重量部)を、液晶ポリマー(2)を溶解させたN-メチルピロリドン(NMP)溶液中に分散させて塗布組成物を形成した(組成物の固形分は10wt%)(液晶ポリマー(2)はNMP中に完全に溶解した)。次いで、塗布組成物をブレードで銅箔上に塗布し、乾燥させ、200℃から320℃で熱処理を行った後、銅箔に貼着された液晶ポリマーフィルムを得た(厚さ約25マイクロメーター)。エッチャントで銅箔を除去した後、液晶ポリマーフィルム(10)を得た。
【0143】
次いで、液晶ポリマーフィルム(10)のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損率(dielectric loss factor,Df)、および50℃から100℃における熱膨張係数(coefficient of thermal expansion,CTE)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0144】
【0145】
実施例9からわかるように、本開示に係る液晶ポリマーは、溶解性を有さない液晶ポリマー(つまり液晶ポリマー(10))をさらに組み合わせることによって、溶媒中に均一に分散できるようになり、溶液プロセスにより成膜され得る組成物を形成することもできる。表3からわかるように、本開示に係る液晶ポリマーに、別の液晶ポリマーをさらに組み合わせて塗布組成物を形成することにより、作製される液晶ポリマーフィルムの特性をより高めることができる。
【0146】
以上まとめると、特定の構造設計および配合設計により、本開示に係る液晶ポリマーフィルムが良好な誘電率、誘電損率、低熱膨張係数を備え得るようになり、5G用フレキシブル銅張積層板の要求を満たすことができる。
【0147】
上述に基づくと、反応性炭素炭素二重結合(reactive carbon-carbon double bond)を有する無水物(または二酸)を液晶ポリマーの作製に導入することによって、得られる液晶ポリマーに架橋反応を進行することのできる繰り返し単位が備わるようになる。反応性炭素炭素二重結合の重合反応によって、本開示に係る液晶ポリマーを含む組成物は熱処理後に網目状架橋構造を有する液晶ポリマーフィルムを形成でき、誘電率(dielectric coefficient,Dk)および誘電損率(dielectric loss factor,Df)を高めずに、得られる液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を下げることができ、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を積層材料に用いられる基板(つまり支持体)によりマッチさせるという目的が達成される。また、本開示に係る液晶ポリマーは溶媒に溶解性を有している(つまり、溶媒中に溶解し易い)ため、本開示に係る液晶ポリマーを含む組成物は加工可能性により優れる(溶媒プロセスにより塗布層を形成することができる)。
【0148】
開示された方法および材料に各種修飾および変更を加え得ることは、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は単に例示と見なされるよう意図されており、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示される。
【符号の説明】
【0149】
10…積層材料
12…支持体
14…液晶ポリマーフィルム
16…接着剤層