(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20241111BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2023182702
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2020527291の分割
【原出願日】2019-05-24
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2018122084
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019014658
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】西川 由理
(72)【発明者】
【氏名】小澤 順
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/021027(WO,A1)
【文献】特開2004-026344(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047289(WO,A1)
【文献】特開平11-271081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供システムのコンピュータが、
複数の荷物の各々のサイズ又は重量を示す第1荷物情報を取得し、
前記複数の荷物を配送車で配送する配送員
の年齢又は性別に応じた上限評価値を取得し、
前記複数の荷物が配送されるべき複数の目的地を含む第1配送経路情報を取得し、
前記第1荷物情報及び前記第1配送経路情報に基づいて
算出される評価値が前記上限評価値より小さい評価値となる前記複数の目的地を経由する第1配送経路を特定し、
前記特定した第1配送経路を示す情報を前記配送員に利用される第1情報端末に出力する、
情報提供方法。
【請求項2】
請求項1記載の情報提供方法であって、
前記特定した第1配送経路は、前記第1情報端末のディスプレイに表示される、
情報提供方法。
【請求項3】
請求項1記載の情報提供方法であって、
前記第1配送経路情報は、前記第1配送経路の距離、前記第1配送経路の移動時間、及び前記第1配送経路の道路状況の少なくとも1つを含む、
情報提供方法。
【請求項4】
請求項1記載の情報提供方法であって、
前記第1配送経路は、配達開始場所から開始し、前記複数の荷物が配送されるべき複数の目的地を経由し、前記配達開始場所で終わる、
情報提供方法。
【請求項5】
請求項
4記載の情報提供方法であって、
前記配達開始場所は、前記配送員が前記配送車を停止させる場所であり、
前記第1配送経路は、前記配送車を停止させる場所から開始し、前記配送員が徒歩で前記複数の目的地を経由し、前記配送車を停止させる場所で終わる、
情報提供方法。
【請求項6】
前記複数の荷物を配送車で配送する配送員の年齢又は性別に応じた上限評価値を取得することは、
前記複数の荷物を配送車で配送する配送員の氏名に紐づく年齢又は性別を参照し、前記配送員の年齢又は性別に応じた上限評価値をメモリから取得することを含む、
請求項1に記載の情報提供方法。
【請求項7】
前記第1配送経路を特定することは、
前記第1荷物情報、及び前記第1配送経路情報に基づいて、前記第1配送経路の評価値を算出し、
算出された前記評価値が前記上限評価値以上である場合、前記評価値が前記上限評価値よりも小さくなるように前記複数の目的地のうちの少なくとも1つの目的地を削除することを含む、
請求項1に記載の情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送員が複数の配送先に複数の荷物を配送する際の最適な配送経路を配送員に提示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配送車で荷物を搬送する配送員の安全且つ円滑な業務遂行を支援する技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、配送員が過去に危険な思いを経験した位置情報を含む運転注意地点情報に基づいて、配送員が注意を払うべき配送ルート上の地点に具体的な注意内容を表示した地図画面を作成し、配送員に提示する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、配送車による配送業務において、配送員に対して各配送先の各顧客に対応した具体的な配送車の停車位置を優先順位付きで提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-352599号公報
【文献】特開2001-76285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献はいずれも配送員が配送車から降りて徒歩で荷物を配送する場面及びこの場面における配送員の肉体的な負荷が何ら考慮されていないので、この点改善の必要がある。
【0006】
本開示は、配送員が複数の目的地に複数の荷物を徒歩で配送する場面において荷物を効率良く配送できると共に配送員の肉体的な負荷の軽減を図ることができる配送経路を正確に算出する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報提供方法は、情報提供システムのコンピュータが、
複数の荷物の各々の大きさ又は重量を示す第1荷物情報、及び複数の第1配送経路を示す第1配送経路情報をメモリから取得し、前記複数の第1配送経路のそれぞれは、配達開始場所から開始し、前記複数の荷物が配送されるべき複数の目的地を経由し、前記配達開始場所で終わり、
前記第1荷物情報、及び前記第1配送経路情報に基づいて、前記複数の第1配送経路の各々の評価値を算出し、
前記算出した複数の評価値に基づいて、前記複数の第1配送経路の中から最適な第1配送経路を特定し、
前記特定した第1配送経路を示す情報を第1情報端末に出力し、
前記特定した第1配送経路が前記第1情報端末のディスプレイに表示され、配送員は前記特定した第1配送経路に沿って前記複数の目的地に前記複数の荷物を配送する。
【0008】
尚、この包括的又は具体的な態様は、装置、システム、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、配送員が複数の目的地に複数の荷物を徒歩で配送する場面において、荷物を効率良く配送できると共に配送員の肉体的な負荷の軽減を図ることができる配送経路を算出することができる。
【0010】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る情報提供システムのネットワーク構成の一例を示す図
【
図2】
図1に示す情報提供システムの構成の一例を示すブロック図
【
図3】サーバのメモリが記憶する荷物DB及び顧客DBのデータ構成の一例を示す図
【
図4】サーバのメモリが記憶する荷物-配送経路DB、配送経路DB、及び複数荷物DBのデータ構成の一例を示す図
【
図5】サーバのメモリが記憶するルート距離DBのデータ構成の一例を示す図
【
図6】配送経路DBに記憶された配送経路を示すために用いられる記号を説明する図
【
図7】
図1に示す情報提供システムにおいて、サーバ及び配送員端末間でのデータの送受の一例を示すシーケンス図
【
図8】実施の形態1係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図9】配送員端末に表示される最適な配送経路を示す表示画面の一例を示す図
【
図10】実施の形態2に係る配達開始場所DBのデータ構成の一例を示す図
【
図11】実施の形態2に係る情報提供システムにおいてサーバ及び配送員端末間でのデータの送受の一例を示すシーケンス図
【
図12】実施の形態2に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態3に係る情報提供システムにおいてサーバ及び配送員端末間でのデータの送受の一例を示すシーケンス図
【
図14】実施の形態3に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図15】実施の形態5に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図16】実施の形態5に係る顧客DBのデータ構成の一例を示す図
【
図17】実施の形態5に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図18】実施の形態6において、配送員端末に表示される表示画面の一例を示す図
【
図19】実施の形態6に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図20】実施の形態7において、サーバのメモリが記憶する複数荷物DBのデータ構成の一例を示す図
【
図21】実施の形態7に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図22】実施の形態8において、サーバのメモリが記憶する複数荷物-配達開始場所DBのデータ構成の一例を示す図
【
図23】実施の形態8に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図24】
図23のS72の配達開始場所評価サブルーチンの処理の詳細を示すフローチャート
【
図25】実施の形態9において、配送員端末に表示される理由登録画面の一例を示す図
【
図26】実施の形態9において、サーバのメモリに記憶された複数荷物-配達開始場所DBのデータ構成の一例を示す図
【
図27】実施の形態9に係る配達開始場所評価サブルーチンの処理の一例を示すフローチャート
【
図28】実施の形態10において、配送員端末に表示される評価登録画面の一例を示す図
【
図29】実施の形態10において、サーバのメモリに記憶された複数荷物-配達開始場所DBのデータ構成の一例を示す図
【
図30】実施の形態10に係る配達開始場所評価サブルーチンの処理の一例を示すフローチャート
【
図31】実施の形態11に係る情報提供システムのネットワーク構成の一例を示す図
【
図32】実施の形態11において、サーバのメモリが記憶する天候距離DBのデータ構成の一例を示す図
【
図33】実施の形態11に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図35】実施の形態13において、サーバのメモリが記憶するサイズ対応DBのデータ構成の一例を示す図
【
図36】実施の形態14において、サーバのメモリが記憶する種別対応DBのデータ構成の一例を示す図
【
図37】実施の形態15において、サーバのメモリが記憶する高度差対応DBのデータ構成の一例を示す図
【
図38】実施の形態16において、サーバのメモリが記憶するルート距離DB及びルート距離DBのデータ構成の一例を示す図
【
図39】実施の形態16において、サーバのメモリが記憶する心拍数対応DBのデータ構成の一例を示す図
【
図40】実施の形態17において、サーバのメモリが記憶する上限DB及び配送員DBのデータ構成の一例を示す図
【
図41】実施の形態17に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図50】実施の形態18において、サーバのメモリが記憶するサイズ対応DBのデータ構成の一例を示す図
【
図51】実施の形態18において、サーバのメモリが記憶する種別対応DBのデータ構成の一例を示す図で
【
図52】実施の形態18において、サーバのメモリが記憶する高度差対応DBのデータ構成の一例を示す図
【
図53】実施の形態18におけるルート距離DBのデータ構成の一例を示す図
【
図54】実施の形態18に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャート
【
図55】実施の形態19に係る情報提供システムのネットワーク構成の一例を示す図
【
図56】実施の形態19において配送車が受取人に向かっていることを示す情報を通知する際にユーザ端末に表示される通知画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示に至る経緯)
昨今、物流業界では人材不足が深刻化している。中でも配送車を運転して配送先に荷物を配送する配送員の人材不足が深刻化しており、今後、新人配送員の大量採用が予想される。そのため、新人の配送員であっても熟練した配送員なみの効率の良い配送業務を遂行させるツールの開発が望まれている。
【0013】
熟練した配送員は、(1)配送車を止めて徒歩で荷物を運ぶ場合、どの場所に配送車を止めると良いか、(2)その後、どのように、荷物をまとめて、どういう順番で荷物を運ぶと良いか、(3)どの配送先が、どの時間帯に在宅であることが多いかといった知識及びノウハウを駆使して、スループットを上げている。スループットとは、単位時間あたりの配送完了数である。
【0014】
このように、熟練した配送員は、配送車を止めて、その配達開始場所の付近にある複数の目的地に複数の荷物を徒歩で配送する場面における知識が長けているため、スループットが高くなるという特徴がある。
【0015】
したがって、新人の育成コストを下げつつ、スループットを向上させるためには、配送車を止めた後に徒歩で荷物を運ぶ場面において、最適な配送経路を決定するスケジューラが上記のツールとして有効であることが分かる。そのためには、移動距離だけではなく、配送員が実際に運ぶ荷物のサイズ又は重量といった荷物情報を考慮に入れて配送経路を算出する必要がある。
【0016】
さらに、上記の場面において、最適な配送経路を決定する場合、配送員の肉体的な負荷の軽減を考慮して配送経路を算出すれば、さらなる配送員の肉体的な負荷の軽減を図ることができる。
【0017】
上述した特許文献1、2は、いずれも、配送車の配送経路を算出する技術に関するものであり、配送車から降りた後の配送員の配送経路を算出する技術ではないので、本開示とは、適用される場面が異なる。そのため、特許文献1、2は、いずれも、配送経路を算出するにあたり、荷物の重量又は荷物のサイズが考慮されておらず、本願が対象とする場面において最適な配送経路を算出することはできない。また、特許文献1、2は本願が対象とする場面が考慮されていないため、配送員の肉体的な負荷の軽減を図る配送経路を決定するとの課題は生じ得ない。
【0018】
本開示は、配送員が複数の目的地に複数の荷物を徒歩で配送する場面において、荷物を効率良く配送できると共に配送員の肉体的な負荷の軽減を図ることができる配送経路を正確に算出することを目的とする。
【0019】
本開示の一態様に係る情報提供方法は、
情報提供システムのコンピュータが、
複数の荷物の各々の大きさ又は重量を示す第1荷物情報、及び複数の第1配送経路を示す第1配送経路情報をメモリから取得し、前記複数の第1配送経路のそれぞれは、配達開始場所から開始し、前記複数の荷物が配送されるべき複数の目的地を経由し、前記配達開始場所で終わり、
前記第1荷物情報、及び前記第1配送経路情報に基づいて、前記複数の第1配送経路の各々の評価値を算出し、
前記算出した複数の評価値に基づいて、前記複数の第1配送経路の中から最適な第1配送経路を特定し、
前記特定した第1配送経路を示す情報を第1情報端末に出力し、
前記特定した第1配送経路が前記第1情報端末のディスプレイに表示され、
配送員は前記特定した第1配送経路に沿って前記複数の目的地に前記複数の荷物を配送する。
【0020】
本構成によれば、複数の荷物の各々の大きさ又は重量を示す第1荷物情報を用いて算出された評価値に基づいて、最適な第1配送経路が決定される。したがって、本構成は、配送員が配達開始場所から複数の荷物を徒歩で効率良く配送することができる低負荷な配送経路を算出できる。
【0021】
そして、このようにして算出された第1配送経路が配送員の情報端末に表示されるので、配送員は、複数の荷物を徒歩により効率良く配送できる。その結果、新人の配送員であっても熟練の配送員と同じような効率で荷物を配送することができる。
【0022】
さらに、本構成では、配送員が徒歩で配送する複数の荷物の各々の大きさ又は重量に関する第1荷物情報を用いて算出された評価値に基づいて、最適な第1配送経路が決定される。そのため、配送員の肉体的な負荷の軽減を図ることができる。
【0023】
上記態様において、各々の評価値は、前記配送員の肉体的な負荷を表してもよい。
【0024】
本構成によれば、評価値は配送員の肉体的な負荷を表しているため、配送員の肉体的な負荷の軽減を図り得る第1配送経路を算出できる。
【0025】
上記態様において、前記配送員が前記荷物を前記目的地に届ける度に、前記複数の荷物のうち、残りの前記荷物の大きさ又は重量の合計が小さくなることが各々の評価値に反映されてもよい。
【0026】
本構成によれば、荷物が目的地に届けられる度に、残りの荷物の大きさ又は重量の合計が小さくされて評価値が算出されるため、配送員の肉体的な負荷が正確に考慮された評価値を算出できる。
【0027】
なお、上記態様において、前記複数の荷物は第1荷物を含み、前記複数の目的地は第1目的地を含み、前記配送員が前記第1荷物を前記第1目的地に届けると、前記評価値は再算出され、前記再算出された評価値は、前記第1荷物情報から前記第1荷物の大きさ又は重量を除いた情報に基づいてもよい。
【0028】
上記態様において、各々の評価値は、前記配達開始場所から前記複数の目的地を順に結んだときの前記配達開始場所及び目的地間を繋ぐルート並びに前記目的地間を繋ぐルートを含む複数のルートの各々の配送負荷の総和で算出され、
前記配送負荷は、i(iは0以上の整数)番目の第iルートで配送する1以上の荷物の重量に応じた荷物負荷と、前記第iルートの距離又は移動時間に応じたルート負荷との積で表されてもよい。
【0029】
本構成によれば、第1配送経路を構成する各ルートの距離又は移動時間に応じたルート負荷と、各ルートで運ばれる荷物の重量とを考慮に入れて評価値が算出されるため、配送員の現実の負担がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0030】
なお、上記態様において、前記複数の評価値は、前記複数の第1配送経路に含まれる任意の1つの第1配送経路Pの評価値を含み、前記第1配送経路Pは、前記配達開始場所をD0、前記複数の目的地D1~Dn、前記D0を始点としD1を終点とするルートを第0ルート、D1を始点としD2を終点とするルートを第1ルート、・・・、Diを始点としD(i+1)を終点とするルートを第iルート、・・・、Dnを始点とし前記D(n+1)を終点とする第nルートを含み、前記D(n+1)は前記D0であり、(前記第1配送経路Pの評価値)=(前記第0ルートの配送負荷)+・・・+(前記第iルートの配送負荷)+・・・+(前記第nルートの配送負荷)であり、(前記第iルートの配送負荷)=(前記第iルート荷物負荷)×(前記第iルートのルート負荷)であり、前記第iルート荷物負荷は、前記Diと前記D(i+1)の間において未配送の荷物の重量に応じた値であり、前記第iルートのルート負荷は、前記第iルートの距離又は前記配送員の前記第iルート移動時間に応じた値であり、0≦i≦n、前記iは整数、前記nは整数であってもよい。
【0031】
上記態様において、前記第1配送経路情報は、前記複数の第1配送経路の距離、前記複数の第1配送経路の移動時間、及び前記複数の第1配送経路の道路状況の少なくとも1つを含んでもよい。
【0032】
本構成によれば、第1配送経路情報は、複数の第1配送経路の距離、複数の第1配送経路の移動時間、及び複数の第1配送経路の道路状況の少なくとも1つを含んでいるため、第1配送経路の評価値をより精度良く算出できる。
【0033】
なお、上記態様において、前記第1配送経路情報は、(i)~(iii)の少なくとも1つを含み、前記(i)は前記第0ルートの距離、・・・、前記第nルートの距離、前記(ii)は前記配送員の前記第0ルートの移動時間、・・・、前記配送員の前記第nルートの移動時間、前記(iii)は前記第0ルートの道路状況、・・・、前記第nルートの道路状況であってもよい。
【0034】
上記態様において、前記荷物負荷は、前記第iルートにて前記配送員が配送する各前記荷物の重量と各前記荷物の第1負荷係数とを乗算した値の総和で表され、
前記第1負荷係数は、前記荷物のサイズが増大するにつれて大きな値が設定されていてもよい。
【0035】
本構成によれば、荷物のサイズが増大するほど評価値が増大されるため、配送員の肉体的な負荷がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0036】
なお、上記態様において、前記Diと前記D(i+1)の間での未配送の荷物を第1荷物、・・・、第m荷物、前記第1荷物の重量をW1、・・・、前記第m荷物の重量をWm、前記第1荷物に対応する第1負荷係数をβ1、・・・、前記第m荷物に対応する第1負荷係数βmとすると、(前記第iルートの荷物負荷)=(W1×β1)+・・・+(Wm×βm)であり、βj>βkであれば、(第j荷物の大きさ)>(第k荷物の大きさ)であってもよい。
【0037】
上記構成において、前記荷物負荷は、台車が用いられるか否かによって異なってもよい。
【0038】
本構成によれば、荷物負荷は台車が用いられるか否かに応じて異なるため、配送員が台車を使用して荷物を配送できるか否かを考慮に入れて評価値を算出できる。
【0039】
上記構成において、前記第1配送経路情報は、前記台車の使用可否に関する情報を含んでもよい。
【0040】
本構成によれば、第1配送経路情報には台車の使用可否に関する情報が含まれているため、配送員は第1配送経路において台車が使用可能であるか否かを容易に把握でき、効率の良い配送を実現できる。
【0041】
上記構成において、前記第1配送経路情報は、前記配送員が前記台車を使用する第1ルート、及び前記配送員が前記台車を使用しない第2ルートを含んでもよい。
【0042】
本構成によれば、第1配送経路情報には台車を使用する第1ルート及び台車を使用しない第2ルートが含まれているため、配送員は第1配送経路において台車が使用可能なルートと台車が使用不可能なルートとがどこであるのかを容易に把握でき、効率の良い配送を実現できる。
【0043】
上記態様において、前記荷物負荷は、前記第iルートにて前記配送員が運ぶ各前記荷物の重量と各前記荷物の第2負荷係数とを乗算した値の総和で表され、
前記第2負荷係数は、前記荷物の種別に応じた値が設定されていてもよい。
【0044】
本構成によれば、荷物の種別を考慮して評価値が算出されているので、配送員の現実の負担がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0045】
なお、上記態様において、前記Diと前記D(i+1)の間での未配送の荷物を第1荷物、・・・、第m荷物、前記第1荷物の重量をW1、・・・、前記第m荷物の重量をWm、前記第1荷物に対応する第2負荷係数をγ1、・・・、前記第m荷物に対応する第2負荷係数γmとすると、前記第iルートの荷物負荷は(W1×γ1)+・・・+(Wm×γm)であり、前記第2負荷係数γ1、・・・、前記第2負荷係数γmのそれぞれは、対応する荷物の種別に応じた値であってもよい。
【0046】
上記態様において、前記第1配送経路情報は、各前記ルートの距離と各前記ルートの高度差とを含み、
前記ルート負荷は、前記第iルートの距離と第3負荷係数とを乗算した値の総和で表され、
前記第3負荷係数は前記高度差が昇り方向に増大するにつれて大きな値が設定されていてもよい。
【0047】
本構成によれば、高度差が昇り方向に増大するルートを含む第1配送経路ほど評価値が高く算出されるので、配送員の現実の負担がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0048】
なお、上記態様において、前記第1配送経路情報は、前記第0ルートの距離L0と高度差、・・・、前記第nルートの距離Lnと高度差を含み、前記第0ルートに対応する第3負荷係数をδ0、・・・、前記第nルートに対応する第3負荷係数をδnとすると、(前記第0ルートのルート負荷)=(L0×δ0)、・・・、(前記第nルートのルート負荷)=(Ln×δn)であり、δj>δkであれば、(前記第jルートの高度差)>(前記第kルートの高度差)であり、(前記第jルートの高度差)={(前記D(j+1)の高度)-(前記Djの高度)}であってもよい。
【0049】
上記態様において、前記第1配送経路情報は、各前記ルートの距離と各前記ルートにおける前記配送員の心拍数の平均増加率とを含み、
前記ルート負荷は、前記第iルートの距離と第4負荷係数とを乗算した値の総和で表され、
前記第4負荷係数は前記心拍数の平均増加率が増大するにつれて大きな値が設定されていてもよい。
【0050】
本構成によれば、心拍数の平均増加率が大きかったルートを含む第1配送経路ほど評価値が高く算出されるので、配送員の現実の負担がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0051】
なお、上記態様において、前記第1配送経路情報は、前記第0ルートの距離L0と前記第0ルートにおける前記配送員の心拍数の平均増加率、・・・、前記第nルートの距離Lnと前記第nルートにおける前記配送員の心拍数の平均増加率を含み、前記第0ルートに対応する第4負荷係数をε0、・・・、前記第nルートに対応する第4負荷係数をεnとすると、(前記第0ルートのルート負荷)=(L0×ε0)、・・・、(前記第nルートのルート負荷)=(Ln×εn)であり、εj>εkであれば、(前記第jルートにおける前記配送員の心拍数の平均増加率)>(前記第kルートにおける前記配送員の心拍数の平均増加率)であってもよい。
【0052】
上記態様において、前記第1荷物情報は、前記複数の荷物の各々の配送先を含み、
前記第1荷物情報に基づいて、前記複数の配送先の中から前記配達開始場所からの距離が閾値以下の複数の配送先を抽出し、
各々の評価値は、抽出された前記複数の配送先を前記複数の目的地として含む複数の第1配送経路の各々について算出されてもよい。
【0053】
本構成によれば、配達開始場所からの距離が閾値以下の配送先を目的地として含む複数の第1配送経路の各々に対して評価値が算出され、算出された評価値を用いて最適な第1配送経路が算出される。そのため、配達開始場所からの距離が閾値より大きく、徒歩での配送が困難な配送先が目的地として設定されることを防止できる。
【0054】
上記態様において、複数の配達開始場所の候補と位置とを対応付けて記憶する配達開始場所情報を前記メモリから更に取得し、
前記配送員の現在地を更に取得し、
前記複数の配達開始場所の候補の中から前記配送員の現在地に対して最も近い配達開始場所の候補を前記配達開始場所として更に決定してもよい。
【0055】
本構成によれば、配達開始場所の候補の中から、配送員の現在地に対して最も近くに位置する配達開始場所の候補が配達開始場所として決定されるため、配送員が配達開始場所を知らない場合であっても、付近にある適切な配達開始場所から徒歩による荷物の配送を開始できる。
【0056】
上記態様において、前記配達開始場所に配送員の配送車を止めることができなかったことを示す情報を前記情報端末からネットワークを介して取得した場合、
複数の配達開始場所の候補の中から前記配送員の現在地に対して次に近い配達開始場所の候補を前記配達開始場所として更に決定してもよい。
【0057】
本構成によれば、配達開始場所に配送車を止めることができなかった場合、現在地から次に近い配達開始場所が決定されるため、配送員は止めやすい配達開始場所に配送車を止めて効率良く荷物を配送することができる。
【0058】
上記態様において、前記配達開始場所に配送員の配送車を止めることができなかったことを示す情報には、止めることができなかった理由が含まれてもよい。
【0059】
本構成によれば、配送車を止めることができなかった場合、その理由が配送員端末から通知されるため、その場所が配達開始場所として妥当な場所であるか否かの判断材料を収集できる。
【0060】
上記態様において、前記配達開始場所に配送員の配送車を止めることができた場合に前記配達開始場所の良否に関する情報をネットワークを介して前記第1情報端末から更に取得してもよい。
【0061】
本構成によれば、配送車を止めることができた場合、第1情報端末からその良否が通知されるため、その場所が配達開始場所として妥当な場所であるか否かの判断材料を収集できる。
【0062】
上記態様において、前記配送員が前記複数の目的地に含まれる第1目的地を訪れた時に、前記第1目的地における第1受取人が不在であることを示す情報を前記第1情報端末からネットワークを介して取得した場合、
前記第1目的地から残りの目的地を順に結び、前記配達開始場所へと戻る複数の第2配送経路を示す複数の第2配送経路情報を前記メモリから取得し、
前記第1荷物情報、及び前記複数の第2配送経路情報に基づいて、前記複数の第2配送経路の各々の評価値を算出し、
前記算出した複数の評価値に基づいて、前記複数の第2配送経路の中から最適な第2配送経路を特定し、
特定した前記第2配送経路を示す情報を前記第1情報端末に出力し、
特定した前記第2配送経路が前記第1情報端末のディスプレイに表示されてもよい。
【0063】
本構成によれば、第1目的地において荷物の第1受取人が不在であった場合、第1目的地から残りの目的地を順に結ぶ最適な第2配送経路が再スケジューリングされるため、未配達の荷物の重さ又はサイズを考慮した最適な第2配送経路が決定される。
【0064】
上記態様において、前記複数の目的地のそれぞれに対応する過去の再配送の割合を示す履歴情報を前記メモリから読み出し、
前記複数の第1配送経路の各々の評価値は、前記履歴情報に基づいて算出されてもよい。
【0065】
本構成によれば、過去の再配送の割合を示す履歴情報が考慮されて評価値が算出されるため、より実態に即した評価値を算出することができる。これにより、最終的に決定された第1配送経路の信頼性を高めることができる。
【0066】
上記態様において、前記配送員が前記複数の目的地に含まれる第1目的地を訪れた時に、前記複数の荷物に含まれる第1荷物を配送すると共に、第2荷物を集荷したことを示す情報を前記第1情報端末からネットワークを介して取得した場合において、
前記第2荷物の大きさ又は重量に関する第2荷物情報を、前記第1情報端末からネットワークを介して取得し、
前記第1目的地から残りの目的地を順に結び、前記配達開始場所へと戻る複数の第2配送経路を示す複数の第2配送経路情報を前記メモリから取得し、
前記第1荷物情報、第2荷物情報、及び前記複数の第2配送経路情報に基づいて、前記複数の第2配送経路の各々の評価値を算出し、
前記算出した複数の評価値に基づいて、前記複数の第2配送経路の中から最適な第2配送経路を特定し、
特定した前記第2配送経路を示す情報を前記第1情報端末に出力し、
特定した前記第2配送経路が前記第1情報端末のディスプレイに表示されてもよい。
【0067】
本構成によれば、第1荷物の配送時に別の第2荷物を集荷した場合、第2荷物の大きさ又は重量を考慮して、第1目的地から残りの目的地を順に結ぶ第2配送経路が再スケジューリングされるため、集荷した第2荷物の重さ又はサイズを考慮した最適な第2配送経路が決定される。
【0068】
上記態様において、前記複数の目的地に含まれる第1目的地において、前記配送員が前記複数の荷物に含まれる前記第1荷物を配送すると共に、第2荷物を集荷すること示す情報が予め前記メモリに記憶されている場合において、
前記第2荷物の大きさ又は重量に関する第2荷物情報を前記メモリから取得し、
前記複数の第1配送経路の各々の評価値は、前記第1荷物情報及び前記第2荷物情報に基づいて算出されてもよい。
【0069】
本構成によれば、予め集荷する第2荷物の大きさ又は重さを把握できている場合は、配送する第1荷物のみならず集荷する第2荷物も考慮して最適な配送経路が決定される。これにより、より高い効率で荷物を配送できる第1配送経路が決定される。
【0070】
上記態様において、前記配送員が配送車から降りたことを示す情報を前記第1情報端末から取得し、
前記複数の目的地に含まれる第1目的地に前記配送員が向かっていることを示す情報を前記第1目的地における受取人が有する第2情報端末に出力し、
前記第1目的地に前記配送員が向かっていることを示す情報が前記第2情報端末のディスプレイに表示されてもよい。
【0071】
本態様によれば、配送員が配送車から降りた場合、配送員が向かっていることが荷物の受取人が有する第2情報端末に出力されるため、受取人はより確実に荷物を受け取ることができる。
【0072】
上記態様において、前記第1配送経路情報は、前記複数の第1配送経路の各々の距離を含み、
前記配送員の徒歩による第1上限距離と前記第1上限距離よりも小さな第2上限距離とを含む上限距離情報を前記メモリから取得し、
悪天候を示す情報を前記ネットワークを介して取得した場合、前記第2上限距離を設定し、
前記特定した第1配送経路の距離が前記第2上限距離以上の場合、前記第1配送経路の距離が前記第2上限距離より短くなるように、前記第1配送経路に含まれる前記目的地を削除してもよい。
【0073】
本構成によれば、悪天候の場合、第1上限距離よりも短い第2上限距離が選択される。
【0074】
そして、第1配送経路の距離が第2上限距離以上の場合、1配送経路の距離が第2上限距離より短くなるように、目的地が削除される。そのため、悪天候による配送員の負担の増大を抑制し、配送員の安全を確保できる。
【0075】
上記態様において、前記配送員の年齢又は性別に応じた上限評価値を前記メモリから取得し、
前記特定した第1配送経路の評価値が前記上限評価値以上の場合、前記第1配送経路の評価値が前記上限評価値より小さくなるように、前記第1配送経路に含まれる目的地を削除してもよい。
【0076】
本構成によれば、年齢又は性別に応じた上限評価値が選択され、第1配送経路の評価値が上限評価値以上の場合、第1配送経路の評価値が上限評価値より小さくなるように、目的地が削除される。そのため、配送員の年齢又は性別に応じて妥当な負荷の配送経路が提示される。
【0077】
本開示は、このような方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム或いはこのコンピュータプログラムによって動作するシステムとして実現することもできる。また、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【0078】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0079】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る情報提供システムのネットワーク構成の一例を示す図である。情報提供システムは、複数の荷物を複数の目的地に徒歩で配送する配送員に対して効率良く荷物を配送することが可能な適切な配送経路を提示するシステムである。情報提供システムは、サーバ1及び配送員端末2(第1情報端末の一例)を備えている。サーバ1及び配送員端末2はネットワークNTを介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNTとしては、例えばインターネット通信網及び携帯電話通信網等が採用される。
【0080】
サーバ1は、例えば、1又は複数のコンピュータから構成され、本情報提供システムの全体制御を司る。配送員端末2は、例えば、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯可能な情報処理装置で構成され、荷物を配送する配送員に対して種々のメッセージを表示する。ここで、配送員端末2は、配送員が乗る配送車に搭載された情報処理装置で構成されてもよく、例えば、配送車が備えるECU(Electronic Control Unit)又はカーナビゲーションシステムに実装されてもよい。また、配送員端末2は、荷物の配送員用に開発された専用の携帯可能な情報処理装置で構成されていてもよい。
【0081】
なお、
図1では、説明の便宜上、1つの配送員端末2しか図示されていないが、複数の配送員端末2が含まれていてもよい。この場合、配送員端末2から送信されるデータは、配送員端末2に対して個別に付与された配送員IDを用いて配送員別に管理される。
【0082】
図2は、
図1に示す情報提供システムの構成の一例を示すブロック図である。サーバ1は、メモリ11、評価値算出部12、通信部13、配送経路特定部14、及び制御部15を備える。なお、評価値算出部12、配送経路特定部14、及び制御部15は、例えば、CPU等のプロセッサで構成されてもよいし、専用のハードウェア回路で構成されてもよい。この場合、これらの構成要素は、それぞれ、別個のハードウェアで構成されてもよいし、1つのプロセッサが所定のプログラムを実行することで構成されていてもよい。
【0083】
メモリ11は、例えば、半導体メモリで構成され、配送員が配達開始場所から複数の目的地に配送する複数の荷物の各々の大きさ又は重量に関する荷物情報(第1荷物情報の一例)を予め記憶する。また、メモリ11は、配達開始場所から複数の目的地を順に結ぶ複数の配送経路(第1配送経路の一例)を示す複数の配送経路情報(第1配送経路情報の一例)を予め記憶する。ここで、荷物情報は、例えば、
図3で後述する荷物DB31で構成される。また、複数の配送経路情報は、例えば、
図4で後述する配送経路DB42で構成される。
【0084】
評価値算出部12は、荷物情報及び配送経路情報に基づいて、複数の配送経路の各々の評価値を算出する。ここで、複数の配送経路情報は、それぞれ、配送経路の距離情報を記憶する。配送経路の距離情報は、例えば、
図5で後述するルート距離DB51及びルート距離DB52で構成される。評価値とは、配送員が荷物を運ぶ際の配送員の肉体的な負荷を評価する値であり、負荷が大きいほど大きな値をとる。したがって、評価値が小さい配送経路ほど配送員は楽に荷物を運ぶことが可能となり、配送員の肉体的な負荷は小さくなる。これにより、配送員の肉体的な負荷の軽減を図り得る配送経路が算出される。
【0085】
本実施の形態では、評価値算出部12は、荷物を目的地に届ける度に、複数の荷物のうち、残りの荷物のサイズ又は重量の合計が小さくなることを評価値に反映させる。これにより、配送員の肉体的な負荷が正確に考慮された評価値を算出できる。
【0086】
例えば、評価値は、配達開始場所から複数の目的地を順に通って再び配達開始場所に戻る場合の配達開始場所及び目的地間を繋ぐルート及び目的地同士を繋ぐルートを含む複数のルートの各々の配送負荷の総和で表される。
【0087】
配送負荷は、あるルートを示す第i(iはルートを指定するインデックスであり、0以上の整数)ルートで配送する1以上の荷物の重量又はサイズに応じた荷物負荷と、第iルートの距離又は移動にかかる所要時間(移動時間)に応じたルート負荷との積で表される。なお、荷物の重量又はサイズは、荷物DB31から特定される。また、ルート負荷は、距離又は所要時間が長いほど大きな値をとる。第iルートの距離は、ルート距離DB51及びDB52を用いて特定される。また、第iルートの所要時間は、第iルートの距離を配送員の徒歩による移動速度で割ることで算出される。なお、評価値の算出の詳細は後述する実施の形態で説明する。
【0088】
配送経路特定部14は、評価値算出部12が算出した複数の配送経路の各々の評価値に基づいて、複数の配送経路の中から最適な配送経路を特定する。ここでは、評価値が最小の配送経路が最適な配送経路として特定される。
【0089】
通信部13は、サーバ1をネットワークNTに接続する通信装置で構成され、配送経路特定部14が特定な最適な配送経路を示す情報を配送員端末2に送信する。制御部15は、サーバ1の全体制御を司る。
【0090】
配送員端末2は、メモリ21、GPS22、制御部23、読取部24、通信部25、表示部26、及び入力部27を備える。メモリ21は、例えば、半導体メモリで構成され、サーバ1から送信される配送経路等を示す情報を表示するためのアプリケーション等を記憶する。
【0091】
GPS(グローバルポジショニングシステムセンサ)22は、GPS衛星からの電波を用いて配送員端末2の現在地を算出する。ここで、GPS22は、例えば、所定の時間間隔(例えば、1分、2分、10分等)で現在地を算出すればよい。
【0092】
読取部24は、例えば、荷物に貼り付けられた荷物伝票に記載されたバーコード又はQRコード(登録商標)等を読み取るバーコードリーダで構成されている。ここで、バーコード又はQRコード(登録商標)には、荷物の識別子である荷物IDが少なくとも含まれている。
【0093】
読取部24は、例えば、配送センターにおいて配送員が配送車に荷物を積み込む際、積み込んだ荷物の荷物伝票に記載されたバーコード又はQRコード(登録商標)を読み取るために使用される。これにより、配送員端末2は、読取部24が読み取った荷物IDをキーにしてサーバ1から目的地(配送先)及び受取人等の情報を取得し、配送すべき荷物を管理することができる。
【0094】
また、読取部24は、例えば、配送員がユーザに荷物を手渡す際、荷物伝票に記載されたバーコード又はQRコード(登録商標)を読み取らせるためにも用いられる。これにより、サーバ1は、荷物の手渡しが完了したか否かを管理できる。
【0095】
通信部25は、配送員端末2をネットワークNTに接続させる通信装置で構成され、サーバ1から送信される最適な配送経路を示す情報等を受信する。また、通信部25は、GPS22が検出した現在地をサーバ1に送信する。
【0096】
表示部26は、液晶ディスプレイ等の表示装置で構成され、サーバ1から送信される最適な配送経路を示す情報等を含む種々の画像を表示する。入力部27は、例えば、タッチパネルで構成され、ユーザからの種々の操作を受け付ける。制御部23は、CPU等のプロセッサで構成され、配送員端末2の全体制御を司る。
【0097】
図3は、サーバ1のメモリ11が記憶する荷物DB31及び顧客DB32のデータ構成の一例を示す図である。荷物DB31は、配送員が配達する荷物に関する荷物情報を記憶するデータベースであり、1つの荷物に対して1つのレコードが割り当てられている。荷物DB31は、「荷物ID」、「配送元顧客ID」、「配送先顧客ID」、「大きさ」、及び「重さ」を対応付けて記憶する。
【0098】
「荷物ID」は、荷物を一意的に識別すために割り付けられた識別子を示す。「配送元顧客ID」は、荷物の送り主である顧客の識別子を示す。「配送先顧客ID」は、荷物の受取人となる顧客の識別子を示す。「大きさ」は荷物のサイズを示す。ここでは、荷物のサイズは、荷物の幅と高さと奥行きとの乗算値で表される。したがって、この乗算値が大きいほど、荷物のサイズは大きくなる。「重さ」は荷物の重量を示す。
【0099】
顧客DB32は、荷物の受取人となる顧客の個人情報を記憶するデータベースであり、1人の顧客に対して1つのレコードが割り付けられている。顧客DB32は、「顧客ID」、「住所」、及び「受取人氏名」を対応付けて記憶する。「住所」は受取人の住所、すなわち、荷物の配送先(目的地)を示す。「受取人氏名」は、受取人の名前を示す。
【0100】
図4は、サーバ1のメモリ11が記憶する荷物-配送経路DB41、配送経路DB42、及び複数荷物DB43のデータ構成の一例を示す図である。荷物-配送経路DB41は、配送員が徒歩により纏めて運ぶ複数の荷物と配送経路DB42に記憶された配送経路とを対応付けるデータベースであり、「複数荷物ID」及び「配送経路ID」を対応付けて記憶する。「複数荷物ID」は、予め纏められた複数の荷物に対して割り当てられた識別子を示す。「配送経路ID」は、「複数荷物ID」で示される複数の荷物に対して割り当てられた配送経路の識別子を示す。
【0101】
配送経路DB42は、荷物-配送経路DB41の「配送経路ID」が示す配送経路を示す配送経路情報を記憶するデータベースであり、1つの配送経路情報に対して1つのレコードが割り当てられている。具体的には、配送経路DB41は、「配送経路ID」及び「配送経路」を対応付けて記憶する。「配送経路」は、配送経路の内容を示す。「配送経路」の内容については
図6で後述する。
【0102】
複数荷物DB43は、「複数荷物ID」で纏められた複数の荷物の内容を示すデータベースであり、「複数荷物ID」及び「荷物ID」を対応付けて記憶する。「複数荷物ID」は、予め纏められた複数の荷物の全体に対して割り当てられた識別子を示す。「荷物ID」は、「複数荷物ID」で纏められた個々の荷物の荷物IDを示す。
【0103】
図5は、サーバ1のメモリ11が記憶するルート距離DB51のデータ構成の一例を示す図である。ルート距離DB51は、配送経路DB42に記憶された配送経路情報が示す配送経路を構成する目的地同士を繋ぐルートに関する情報を記憶するデータベースであり、「目的地その1」、「目的地その2」、「目的地その1-目的地その2間のルート」、及び「距離」を対応付けて記憶する。「目的地その1」は、ルートの上流側の目的地を示す。ここでは、「目的地その1」の欄には荷物の受取人のユーザIDが記憶されている。「目的地その2」は、ルートの下流側の目的地を示す。ここでは、「目的地その2」の欄には荷物の受取人のユーザIDが記憶されている。「目的地その1-目的地その2間のルート」の欄には、「DR0001」、「DR0002」といった目的地その1で示される目的地と目的地その2で示される目的地とを繋ぐルートの識別子が記憶されている。「距離」は、ルートの距離を示す。なお、「距離」は目的地間の直線距離が採用されてもよいし、経路探索アルゴリズムを用いて地図画像から特定された目的地間を繋ぐ最適経路の距離、すなわち、配送員が実際に徒歩で移動する経路の距離が採用されてもよい。このことは、ルート距離DB52の「距離」についても同じである。
【0104】
ルート距離DB52は、配送経路DB42に記憶された配送経路情報が示す配送経路を構成する配達開始場所及び目的地間を繋ぐルートに関する情報を記憶するデータベースであり、「配達開始場所」、「目的地」、「配達開始場所-目的地間のルート」、及び「距離」を対応付けて記憶する。「配達開始場所」は、配送員が配送車を止めて徒歩による荷物の配送を開始する予め定められた場所を示す。「目的地」は、配達開始場所の次に位置する目的地を示す。ここでは、「目的地」の欄には受取人のユーザIDが記憶されている。「配達開始場所-目的地間のルート」の欄には、「SR0001」、「SR0002」といった、配達開始場所と目的地とを繋ぐルートの識別子が記憶されている。「距離」は、ルートの距離を示す。
【0105】
図6は、配送経路DB42に記憶された配送経路を示すために用いられる記号を説明する図である。
図6は、配送経路DB42の1行目に記憶された配送経路ID「TR0001」で示される配送経路を図示したものである。「S0001」というように「S」で始まる記号は、配達開始場所の識別子を示している。「SR0001」というように「SR」で始まる記号は、配達開始場所と目的地とを繋ぐルートの識別子を示している。「GUEST0001」というようにGUESTで始まる記号は、受取人の顧客ID、すなわち目的地を示している。
【0106】
したがって、「TR0001」の配送経路は、配達開始場所「S0001」を出発し、ルート「SR0001」を通って目的地「GUEST0001」へ行き、ルート「DR0001」を通って目的地「GUEST0002」へ行き、ルート「SR0002」を通って配達開始場所「S0001」に戻る経路を表している。
【0107】
図7は、
図1に示す情報提供システムにおいて、サーバ1及び配送員端末2間でのデータの送受の一例を示すシーケンス図である。サーバ1は、例えば、配送員が配達開始場所で配送車を止めると、その配達開始場所に対応する複数の配送経路のうち、評価値が最小となる最適な配送経路を特定し、その配送経路を示す情報を配送員端末2に送信する。
【0108】
図8は、実施の形態1係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S1では、サーバ1の制御部15は、メモリ11から荷物DB31及び荷物-配送経路DB41を取得する。
【0109】
S2では、評価値算出部12は、配送経路DB42から配送員が徒歩で纏めて配送する複数の荷物に対応する複数の配送経路を取得し、各配送経路の評価値を算出する。例えば、配送対象となる複数の荷物の荷物IDが「1234-5678-90」及び「1234-5678-89」であったとする。この場合、複数荷物DB43が参照されて、複数荷物ID「P0001」が特定される。次に、荷物-配送経路DB41が参照され、複数荷物ID「P0001」に対応する配送経路ID「TR0001」、「TR0002」が特定される。次に、配送経路DB42が参照され、配送経路ID「TR0001」、「TR0002」で示される2つの配送経路が評価値の算出対象となる複数の配送経路として特定される。そして、特定された2つの配送経路のそれぞれについて評価値が算出される。なお、ここでは、配送経路が2つ特定される例を示したが、本開示はこれに限定されず、3つ以上の配送経路が特定されてもよい。
【0110】
S3では、配送経路特定部14は、S2で評価値が算出された複数の配送経路のうち、評価値が最小の配送経路を最適な配送経路として特定する。
【0111】
S4では、通信部13は、最適な配送経路を示す情報を配送員端末2に送信する。これにより、配送員端末2は最適な配送経路を示す画像を表示し、配送員に最適な配送経路が提示されることになる。
【0112】
なお、S2では、評価値算出部12は、例えば、配送員の現在の配達開始場所に対してより近い目的地をより多く含む複数荷物IDで示される複数の荷物を複数荷物DB43から抽出し、配送対象の荷物として決定してもよい。
【0113】
図9は、配送員端末2に表示される最適な配送経路を示す表示画面G1の一例を示す図である。ここでは、荷物ID「1234-5678-90」及び「0987-6543-21」で示される2つの荷物L1及び荷物L2について、配送員が徒歩で配送する配送経路が示されている。表示欄R11は、配送員に配送経路の全体像を把握させるために、荷物L1の配送先の目的地と荷物L2の配送先の目的地とが示された地図画像を表示する。表示欄R12は、表示欄R11に表示された地図画像のうち、配達開始場所SAから、配送員がこれから向かう荷物L1の目的地までの経路R0001を拡大表示した地図画像が表示されている。なお、表示欄R12に示す地図画像は、配送員端末2から送信される現在地を示す位置情報にしたがって、現在地と目的地とが含まれるように、表示欄R11に表示された地図画像が拡大された画像であってもよい。
【0114】
表示欄R13には、配送員が徒歩により纏めて配送する複数の荷物に関する荷物IDが上から配送順に表示されている。このように、表示画面G1には、地図画像上に複数の荷物の目的地、複数の荷物の配送順、及び経路等が表示されているため、最適な配送経路で配送員が荷物を配送するように配送員を適切に誘導することができる。
【0115】
このように、本実施の形態によれば、配達開始場所から複数の目的地を順に通って再び配達開始場所に戻る複数の配送経路の各々の評価値が、複数の配送経路の距離情報のみならず、配送員が徒歩で配送する複数の荷物の各々の大きさ又は重量に関する荷物情報を用いて算出され、算出された評価値に基づいて、最適な配送経路が決定される。したがって、本実施の形態は、配送員が配達開始場所から複数の荷物を徒歩で効率良く配送することができる低負荷な配送経路を精度良く算出できる。
【0116】
さらに、本実施の形態では、荷物情報を用いて算出された評価値に基づいて、最適な配送経路が決定されるため、配送員の肉体的な負荷の軽減を図ることができる最適な配送経路を決定することができる。
【0117】
そして、このようにして決定された配送経路が配送員端末2に表示されるので、配送員は、複数の荷物を徒歩により効率良く配送できる。その結果、新人の配送員であっても熟練の配送員と同じような効率で荷物を配送することができる。
【0118】
(実施の形態2)
実施の形態2は、予め定められた配達開始場所を記憶する配達開始場所DBを用いて最適な配送経路を特定するものである。
図10は、実施の形態2に係る配達開始場所DB100のデータ構成の一例を示す図である。配達開始場所DB100は、サーバ1のメモリ11に予め記憶された配達開始場所を記憶するデータベースであり、1つの配達開始場所に対して1つのレコードが割り当てられている。なお、本実施の形態において実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態においてネットワーク構成図及びブロック図は
図1及び
図2を用いる。これらのことは、下記の実施の形態においても、特に言及がなければ同じである。
【0119】
配達開始場所DB100は、「配達開始場所ID」及び「住所」を対応付けて記憶する。「配達開始場所ID」は、サーバ1が管理する配達開始場所の識別子を示す。「住所」は、各配達開始場所の住所を示している。ここで、配達開始場所DB100に記憶された配達開始場所は、過去に配送車の駐車実績のある予め定められた場所が採用され、例えば、駐車場等の配送車を止めやすい場所が採用されている。
【0120】
図11は、実施の形態2に係る情報提供システムにおいてサーバ1及び配送員端末2間でのデータの送受の一例を示すシーケンス図である。本実施の形態では、配送員はサーバ1が管理している配達開始場所のうち、自身が行くべき配達開始場所を把握している。そして、配送車が配達開始位置に到着すると、配送員端末2は、配達開始場所をサーバ1に送信する(S1101)。ここで、配送員端末2は、事前に配達開始場所をメモリ21に記憶しておき、GPS22が検出した現在地とメモリ21に記憶された配達開始場所とを照合し、配達開始場所へ到着したことを検出した場合に配達開始場所をサーバ1に送信すればよい。
【0121】
次に、サーバ1は、配送員端末2から送信された配達開始場所を用いて最適な配送経路を特定し、配送員端末2に送信する(S1102)。
【0122】
図12は、実施の形態2に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S11では、サーバ1の制御部15は、配送員端末2から送信された配達開始場所を通信部13を用いて取得する。S12では、制御部15は、メモリ11から荷物DB31及び配達開始場所DB100を取得する。
【0123】
S13では、制御部15は、S11で取得した配達開始場所と、荷物DB31に記憶された複数の荷物の目的地のそれぞれとの距離を算出する。なお、複数の荷物の目的地は、荷物DB31の「配送元顧客ID」をキーに顧客DB32の「住所」を参照することで特定される。また、配達開始場所及び目的地の位置情報は、地図情報において「住所」に対応付けられた緯度及び経度を採用すればよい。そして、配達開始場所と複数の目的地とのそれぞれの距離は、緯度及び経度を含む位置情報を用いて算出されればよい。
【0124】
S14では、制御部15は、S13で算出された配達開始場所及び目的地間の距離が閾値以下の目的地を抽出する。これにより、荷物DB31に記憶された複数の荷物のうち、配達開始場所からの距離が閾値以下の場所を目的地とする荷物が抽出される。閾値としては、荷物を持った配送員が徒歩で移動する上で妥当な予め定められた距離が採用されており、例えば、10m、50m、100m、500mといった距離が採用されている。
【0125】
S15では、制御部15は、配達開始場所から、S14で抽出された複数の目的地を結ぶ複数の配送経路を抽出する。ここで、制御部15は、S14で抽出された目的地を配送先とする荷物から構成される複数荷物IDを複数荷物DB43から抽出し、抽出した複数荷物IDに対応する配送経路を配送経路DB42から抽出することで、複数の配送経路を抽出すればよい。
【0126】
S16では、S15で抽出された複数の配送経路に対して処理Aが実行される。処理Aは、
図8のS2~S4で示す処理である。
【0127】
このように、本実施の形態によれば、配達開始場所からの距離が閾値以下の配送先を目的地として含む複数の配送経路の各々に対して評価値が算出され、算出された評価値を用いて最適な配送経路が算出される。そのため、配達開始場所からの距離が閾値より大きく、徒歩での配送が困難な配送先が目的地として設定されることを防止できる。
【0128】
(実施の形態3)
実施の形態3は、配達開始場所DB100に記憶された配達開始場所の候補の中から配送員の現在地に対して最も近くに位置する配達開始場所の候補を配達開始場所として決定するものである。
図13は、実施の形態3に係る情報提供システムにおいてサーバ1及び配送員端末2間でのデータの送受の一例を示すシーケンス図である。
【0129】
本実施の形態では、配送員はサーバ1が管理している配達開始場所を把握していないものとする。配送員端末2は、配送員から現在地の通知指示の入力を受け付けると、GPS22が検出した現在地をサーバ1に送信する(S1301)。そして、サーバ1は、現在地に対して最も近くに位置する配達開始場所を決定すると共に配達開始場所からの最適な配送経路を特定し、配送員端末2に送信する(S1302)。
【0130】
配送員端末2は、サーバ1から送信された配達開始場所及び最適経路を示す表示画面を表示部26に表示する。この表示画面を閲覧した配送員は配送車を表示画面が示す配達開始場所まで移動させて配送車を停止させ、表示画面が示す配送経路で荷物を配送する。
【0131】
ここでは、配送員から現在地の通知指示の入力をトリガーに配送員端末2は、現在地をサーバ1に送信しているが、これは一例であり、配送車が停車したことを検出したことをトリガーに現在地をサーバ1に送信してもよい。
【0132】
図14は、実施の形態3に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S21では、サーバ1の制御部15は、配送員端末2から送信された現在地を通信部13を用いて取得する。S22では、制御部15は、メモリ11から配達開始場所DB100を取得する。
【0133】
S23では、制御部15は、現在地と配達開始場所DB100に記憶された全ての配達開始場所の各々との距離を算出する。ここで、制御部15は、例えば、現在地と配達開始場所との直線距離を前記距離として算出してもよいし、現在地と配達開始場所とを繋ぐ最適経路の距離を前記距離として算出してもよい。
【0134】
S24では、S23で距離が算出された複数の配達開始場所の中から、現在地からの距離が最も近い配達開始場所を抽出する。
【0135】
S25では、制御部15は、S24で抽出した配達開始場所を配達員に通知する配達開始場所として特定する。
【0136】
S26では、S25で特定された配達開始場所を用いて処理Bが実行される。処理Bは
図12のS11~S16の処理である。
【0137】
このように、本実施の形態によれば、配達開始場所DB100の中から、配送員の現在地に対して最も近くに位置する配達開始場所が配送員に通知されるため、配送員が配達開始場所を知らない場合であっても、付近にある適切な配達開始場所から徒歩による荷物の配送を開始できる。
【0138】
(実施の形態4)
実施の形態4は、配送員が目的地を訪れた時に目的地における受取人が不在である場合、配送経路を再スケジューリングするものである。
図15は、実施の形態5に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【0139】
S31では、処理Bが実行される。処理Bは、
図12のS11~S16の処理である。S31により、配達開始場所を出発してから複数の目的地を経由して再度、配達開始場所に戻るまでの最適な配送経路が特定される。
【0140】
S32では、制御部15は、S31で特定された配送経路に沿って配送員が配送を開始したことを検出する。S33では、制御部15は、配送員が目的地を訪問したことを検出する。ここで、制御部15は、例えば、配送員端末2から定期的に送信される位置情報をモニタすることで配送員が配送を開始したこと及び配送員が目的地を訪問したことを検出すればよい。
【0141】
S34では、制御部15は、配送員が配送できたか否かを判定する。ここで、配送員は、受取人に荷物の配送が完了すると、荷物伝票に記載されたバーコード又はQRコード(登録商標)を読取部24に読み取らせて荷物IDを取得し、その荷物IDを含む情報であって荷物の配送が完了したことを示す情報を配送員端末2からサーバ1に送信させる。したがって、制御部15は、この情報を通信部13が受信した場合に荷物が配送できたと判定すればよい。
【0142】
S34で配送できた場合は(S34でYES)、処理はS37に進み、S34で配送できなかった場合は(S34でNO)、処理はS35に進む。
【0143】
S35では、制御部15は、S31で特定された配送経路において配送が終了していない残りの1以上の目的地と配達開始場所とを用いて1以上の配送経路を抽出する。ここで、制御部15は、残りの目的地の全てを通って配達開始場所に戻る配送経路の全組み合わせを抽出する。例えば、残りの目的地として目的地M1、M2があり、現在地をM0、配達開始場所をS0とすると、M0-M1-M2-S0の配送経路と、M0-M2-M1-S0の配送経路との2つが抽出される。ここで、現在地M0に位置する目的地は第1目的地の一例に相当し、この目的地の受取人は第1受取人の一例に相当する。S35で抽出される配送経路は第2配送経路の一例である。
【0144】
S36では、S35で抽出された配送経路に対して処理Aが実行され、各配送経路の評価値が算出され、評価値を最小とする配送経路が最適な配送経路として特定される。処理Aは、
図8のS1~S4の処理である。
【0145】
S37では、制御部15は、次の目的地の有無を判定する。例えば、現在地であるM0において、上記のM0-M1-M2-S0が最適な配送経路として特定されたとすると、M1、M2の目的地への荷物の配送が終了していない場合、S37でYESと判定され、処理はS33に戻る。一方、上記のM0-M1-M2-S0の例で、M2への配送が終了したとすると、S37でNOと判定され、処理は終了する。
【0146】
目的地において荷物の受取人が不在であった場合、配送員は、その荷物を余分に抱えて残りの目的地に残りの荷物を配送する必要があるため、当初に算出された配送経路が妥当でないケースも生じ得る。
【0147】
そこで、本実施の形態は、ある目的地において荷物の受取人が不在であった場合、残りの目的地を順に結ぶ配送経路を再スケジューリングする。そのため、未配達の荷物の重さ又はサイズを考慮した最適な配送経路を決定できる。
【0148】
(実施の形態5)
実施の形態5は、目的地における過去の再配送の割合を示す履歴情報を用いて評価値を算出するものである。
図16は、実施の形態5において、サーバ1のメモリ11が記憶する顧客DB160のデータ構成の一例を示す図である。顧客DB160は、
図3に示す顧客DB32に対して、更に「不在確率」を備えている。「不在確率」は、荷物の配送時に受取人が不在であった確率、すなわち、過去の再配送の割合を示す。ここで、メモリ11には、各受取人(顧客)について、荷物を配送した日時と、荷物を引き渡すことができたか否かを示す情報とが対応付けられた配送ログ(図略)が記憶される。この配送ログは、配送員が目的地を訪問する都度、配送員が配送員端末2に入力した配送結果をサーバ1が取得することで作成されたものである。したがって、「不在確率」は、配送ログに記憶された全配送回数に対する不在数の割合を顧客別に算出することで得られる。ここで、顧客DB160は、履歴情報の一例である。
【0149】
図17は、実施の形態5に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S41では、制御部15は、荷物DB31、荷物-配送経路DB41、及び顧客DB160をメモリ11から取得する。
【0150】
S42~S44では、顧客DB160に記憶された「不在確率」が更に用いた処理Aが実行され、最適な配送経路が算出される。処理Aは
図8のS2~S4である。なお、不在確率を考慮した評価値は後述の配送経路の具体例の項目で説明する。
【0151】
このように本実施の形態によれば、不在確率が考慮されて評価値が算出されるため、より実態に即した評価値を算出することができる。これにより、最終的に決定された配送経路の信頼性を高めることができる。
【0152】
(実施の形態6)
実施の形態6は、目的地で荷物を集荷した場合、その場で配送経路の再スケジューリングを行うものである。
図18は、実施の形態6において、配送員端末2に表示される表示画面G2の一例を示す図である。表示画面G2は、目的地で荷物を集荷したことをサーバ1に通知するための画面である。集荷とは、配送員がある目的地に訪問した際に、その目的地の顧客から荷物を引き取ることを指す。
【0153】
表示画面G2は、配送元IDの入力欄R21と、配送先IDの入力欄R22と、集荷した荷物の寸法(サイズ)及び重量の入力欄R23と、戻るボタンB21と、登録ボタンB22とを備えている。入力欄R21には、集荷した荷物の配送元となる顧客IDが配送員によって入力される。入力欄R22には、集荷した荷物の受取人の顧客IDが配送員によって入力される。入力欄R23には、集荷した荷物の幅(W)、高さ(H)、奥行き(D)、及び重量が配送員によって入力される。
【0154】
戻るボタンB21は、表示画面G2を前に表示されていた表示画面に戻すためのボタンである。配送員は、目的地で荷物を集荷した場合、表示画面G2の各入力欄に必要な情報を入力し、登録ボタンB22を押す。すると、配送員端末2の通信部25は、各欄に入力された情報をサーバ1に送信する。
【0155】
図19は、実施の形態6に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S51~S53は、
図15のS31~S33と同じである。S53に続くS54では、制御部15は、荷物を集荷したか否かを判定する。ここでは、制御部15は、目的地において荷物を受取人に引き渡すことができたか否かを示す配送結果と共に、荷物の集荷を示す情報が配送員端末2から送信された場合に、荷物を集荷したと判定すればよい。
【0156】
荷物を集荷していない場合(S54でNO)、処理はS58に進み、荷物を集荷した場合(S54でYES)、処理は、S55に進む。
【0157】
S55では、制御部15は、集荷した荷物に関する荷物情報(第2荷物情報の一例)を配送員端末2から通信部13を用いて取得し、メモリ11に記憶する。ここで、制御部15は、
図18に示す表示画面G2に対して入力された情報を集荷した荷物の荷物情報として取得し、メモリ11に記憶すればよい。
【0158】
S56では、残りの目的地を結ぶ1以上の配送経路が抽出される。この処理の詳細は、
図15のS35と同じである。
【0159】
S57では、S56で抽出された配送経路に対してS55で取得した荷物情報を適用した処理Aが実行され、各配送経路の評価値が算出され、評価値を最小とする最適な配送経路が特定される。S58は、
図15のS37と同じである。
【0160】
途中の目的地で荷物を集荷した場合、その荷物が加わることにより当初の配送経路では効率良く荷物を配送できない可能性がある。
【0161】
そこで、本実施の形態では、ある目的地で荷物を集荷した場合、集荷した荷物の大きさ又は重量を考慮して、この目的地から残りの目的地を順に結ぶ配送経路が再スケジューリングされる。そのため、集荷した荷物の重さ又はサイズを考慮した最適な配送経路が決定される。
【0162】
なお、集荷した荷物は、配達開始場所まで運ばれて配送車に積み込まれ、配送センターへと運ばれ、別の配送車によって該当する目的地に配送される。
【0163】
(実施の形態7)
実施の形態7は、目的地において集荷する荷物に関する荷物情報が事前にメモリ11に記憶されている場合に、最適な配送経路を特定するものである。
図20は、実施の形態7において、サーバ1のメモリ11が記憶する複数荷物DB200のデータ構成の一例を示す図である。
【0164】
複数荷物DB200は、複数荷物DB43に対して、更に「集荷荷物ID」を備えている。「集荷荷物ID」はある目的地で集荷が予定されている荷物の荷物IDを示す。複数荷物DB200の1行目では、「荷物ID」の欄に記憶された2つの荷物と、「集荷荷物ID」の欄に記憶された荷物との3つの荷物が1つに纏められて「複数荷物ID」が付与されている。
【0165】
なお、集荷する荷物に関する荷物情報は
図3に示す荷物DB31に事前に記憶されており、この荷物情報から、集荷する荷物の集荷場所となる目的地及び集荷する荷物の配送先が特定される。
【0166】
図21は、実施の形態7に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S61では、制御部15は、荷物DB31、荷物-配送経路DB41、及び複数荷物DB43をメモリ11から取得する。
【0167】
S62~S64では処理Aが実行される。但し、S62では、配送される荷物に加えて集荷する荷物の重量又はサイズが考慮されて、各配送経路の評価値が算出される。
【0168】
このように、本実施の形態によれば、予め集荷する荷物の大きさ又は重さを把握できている場合は、配送する荷物のみならず集荷する荷物も考慮して最適な配送経路が決定される。これにより、再スケジューリングを行わなくても、効率の高い配送経路を配送員に提示できる。
【0169】
(実施の形態8)
実施の形態8は、配達開始場所に配送車を止めることができなかった場合、現在地から次に近い配達開始場所を決定するものである。
【0170】
図22は、実施の形態8において、サーバ1のメモリ11が記憶する複数荷物-配達開始場所DB220のデータ構成の一例を示す図である。複数荷物-配達開始場所DB220は、配達開始場所に配送車を止めることができたか否かを示す情報を記憶するデータバースであり、「複数荷物ID」、「配達開始場所ID」、及び「結果」を対応付けて記憶する。
【0171】
「複数荷物ID」は、
図4に示す複数荷物DB43で示すものと同じである。「配達開始場所ID」、「複数荷物ID」で特定される複数の荷物の配達開始場所の識別子を示す。「結果」は、配達開始場所にて、配送車を止めることができたか否かの結果を示す。
【0172】
図23は、実施の形態8に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S71では、処理Cが実行される。処理Cは
図14のS21~S25である。
【0173】
S72では、配達開始場所評価ルーチンが実行される。この処理の詳細は
図24で後ほど説明する。
【0174】
S73では、制御部15は、S72でのルーチンの結果がYESであるか否かを判定する。S72におけるルーチン結果がYESの場合(S73でYES)、処理は終了し、S72におけるルーチンの結果がNOの場合(S73でNO)、処理はS74に進む。すなわち、処理Cで決定された配達開始場所に配送車が止められた場合は、次の配達開始場所を決定する必要があるので、処理はS74に進められるのである。なお、ルーチンの結果がYESかNOかの判定は、複数荷物-配達開始場所DB220の「結果」の欄に記憶された情報が用いられる。
【0175】
S74では、制御部15は、配達開始場所DB100を参照し、現在地に対して閾値以下の距離内に他の配達開始場所が存在するか否かを判定する。他の配達開始場所が存在すれば(S74でYES)、処理はS75に進み、他の配達開始場所が存在しなければ(S74でNO)、処理は終了する。ここで、現在地は、例えば、当初の配達開始場所に停車を試みたが止めることができなかったため、当初の配達開始場所付近において、配送員が配送車を止めた場所が該当する。
【0176】
S75では、制御部15は、現在地からの距離が当初の配達開始場所の次に最も近い配達開始場所を配達開始場所DB100から抽出する。
【0177】
S76では、制御部15は、S75で抽出した配達開始場所を新たな配達開始場所として、特定し、処理をS73に進める。
【0178】
図24は、
図23のS72の配達開始場所評価サブルーチンの処理の詳細を示すフローチャートである。S81では、制御部15は、配達開始場所に配送車が駐車できたか否かを判定する。ここで、制御部15は、例えば、配送員端末2から定期的に送信される位置情報が配送開始場所の付近で配送車が一定時間以上停止していることを示す場合、配達開始場所に配送車を止めることができなかったと判定すればよい。一方、制御部15は、配送員端末2から定期的に送信される位置情報が配達開始場所で配送車が一定時間以上、停車ことを示した場合、配達開始場所に配送車を止めることができたと判定すればよい。
【0179】
S81において、配達開始場所に配送車を駐車できたと判定した場合(S81でYES)、制御部15は、複数荷物-配達開始場所DB220において、該当する配達開始場所の「結果」の欄にYESを登録させる(S83)。一方、配達開始場所に配送車を駐車できなかったと判定した場合(S81でNO)、制御部15は、複数荷物-配達開始場所DB220において、該当する配達開始場所の「結果」の欄にNOを登録させる。S82、S83の処理が終了すると、処理は
図23に戻る。
【0180】
このように、本実施の形態によれば、配達開始場所に配送車を止めることができなかった場合、現在地から当初の配達開始場所の次に最も近い配達開始場所が決定されるため、配送員は止めやすい配達開始場所に配送車を止めて効率良く荷物を配送することができる。
【0181】
(実施の形態9)
実施の形態9は、配達開始場所に配送車を止めることができなかった場合に止められなかった理由を配送員に入力させるものである。
【0182】
図25は、実施の形態9において、配送員端末2に表示される理由登録画面G3の一例を示す図である。理由登録画面G3は、配達開始場所に配送車を止めることができなかった場合に配送員端末2に表示される画面である。
【0183】
理由登録画面G3は、配達開始場所IDの表示欄R31と、複数荷物IDの表示欄R32と、停車結果の入力欄R33と、理由の入力欄R34と、戻るボタンB31と、登録ボタンB32とを備えている。
【0184】
表示欄R31には、配送車を止めることができなかった配達開始場所IDが表示される。ここで、サーバ1は、配送車を止めることができなかったと判定した配達開始場所の配達開始場所IDを特定し、表示欄R31に予め表示させておけばよい。表示欄R32には、複数荷物IDが表示される。ここで、サーバ1は、配送車を止めることができなかったと判定した配達開始場所に対応する複数荷物IDを特定し、表示欄R32に予め表示させておけばよい。入力欄R33は、止めることができた場合は、「可」の欄が配送員によって選択され、止めることができなかった場合は、「不可」の欄が配送員によって選択される。
【0185】
入力欄R34には、止めることができなかった理由が配送員によって入力される欄である。ここでは、「駐車車両あり」、「工事中」、及び「その他」の3つの選択肢の中から1つの理由を配送員に選択させる態様が採用されている。「駐車車両あり」の選択肢は配達開始場所に別の車が止まっていた場合に選択され、「工事中」の選択肢は配達開始場所が工事中であった場合に選択され、「その他」の選択肢は、上記2つの理由以外の理由で止められなかった場合に選択される。
【0186】
戻るボタンB31は理由登録画面G3を前に表示されていた画面に戻すために押されるボタンである。配送員は、配達開始場所に配送車を止めることができなかった場合、理由登録画面G3の各入力欄に必要な情報を入力し、登録ボタンB32を押す。すると、配送員端末2の通信部25は、各欄に入力された情報をサーバ1に送信する。
【0187】
図26は、実施の形態9において、サーバ1のメモリ11に記憶された複数荷物-配達開始場所DB260のデータ構成の一例を示す図である。複数荷物-配達開始場所DB260は、
図22の複数荷物-配達開始場所DB220に対して更に「理由」を備えている。「理由」は、理由登録画面G3を用いて配送員に入力された配送車を止めることができなかった理由を示す。
【0188】
例えば、1行目の配達開始場所は配送車を止めることができたため、「理由」の欄はブランクになっている。2行目の配達開始場所では、別の車が止まっているために配送車を止めることができなかったため、「理由」の欄には「駐車車両」ありが記憶されている。
【0189】
図27は、実施の形態9に係る配達開始場所評価サブルーチンの処理の一例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態のメインルーチンは、
図23が用いられる。また、
図27のフローにおいて、
図24と同じ処理には同じステップ番号を付している。
【0190】
S84では、制御部15は、理由登録画面G3を配送員端末2の表示部26に表示させる。S85では、制御部15は、理由登録画面G3において配送員により選択された配送車を止めることができなかった理由を複数荷物-配達開始場所DB260の「理由」の欄に登録する。S83、S85の処理が終了すると、処理は、
図23に戻る。
【0191】
このように、本実施の形態によれば、配送車を止めることができなかった場合、その理由が配送員端末2から通知され、複数荷物-配達開始場所DB260に登録される。そのため、その場所が配達開始場所として妥当な場所であるか否かの判断材料を収集できる。
【0192】
(実施の形態10)
実施の形態10は、配達開始場所に配送車を止めることができた場合、その配達開始場所が配送車の停車場所として好ましいか否かを配送員に入力させるものである。
【0193】
図28は、実施の形態10において、配送員端末2に表示される評価登録画面G4の一例を示す図である。評価登録画面G4は、配達開始場所に配送車を止めることができた場合に、その配達開始場所に関する評価を配送員に入力させる画面である。
【0194】
評価登録画面G4は、
図25に示す理由登録画面に対し、理由の入力欄R34に代えて評価の入力欄R41が設けられている。それ以外、評価登録画面G4は、理由登録画面G3と同じである。
【0195】
入力欄R41には、配達開始場所に対する駐車のしやすさに関する評価が配送員によって入力される。ここでは、入力欄R41には、「駐車しやすいか?」、「目的地まで歩きやすいか?」といった評価項目が表示されている。駐車しやすかった場合、「駐車しやすいか?」の評価項目に対して、配送員により「良好」の欄が選択され、駐車しにくかった場合、配送員により「不良」の欄が選択される。
【0196】
目的地までの配送経路が歩きやすかった場合、「目的地まで歩きやすいか?」の評価項目に対して、配送員により「良好」の欄が選択され、歩きにくかった場合、配送員により「不良」の欄が選択される。
【0197】
更に、入力欄R41には、コメントの入力欄が設けられている。コメントの入力欄には、配送員により配達開始場所に関するコメントが入力される。ここでは、「○○アパートまで坂道あり」といった配送員によるコメントが入力される。このように、コメントの入力欄には配送員による任意のメッセージが入力される。
【0198】
配送員は、配達開始場所に配送車を止めることができた場合、評価登録画面G4の各入力欄に必要な情報を入力し、登録ボタンB32を押す。すると、配送員端末2の通信部25は、各欄に入力された情報をサーバ1に送信する。
【0199】
図29は、実施の形態10において、サーバ1のメモリ11に記憶された複数荷物-配達開始場所DB290のデータ構成の一例を示す図である。複数荷物-配達開始場所DB290は、
図26の複数荷物-配達開始場所DB260に対して更に「駐車しやすさ」、「配送しやすさ」、及び「コメント」を備えている。「駐車しやすさ」、「配送しやすさ」、及び「コメント」の欄には、それぞれ、評価登録画面G4を用いて入力された「駐車しやすさ」、「配送しやすさ」、及び「コメント」のそれぞれに対する配送員の評価結果が記憶されている。
【0200】
例えば、1行目の配達開始場所は配送車を止めることができたため、「駐車しやすさ」、「配送しやすさ」、及び「コメント」の欄には配送員による評価結果が記憶されている。また、2行目の配達開始場所では、配送車を止めることができなかったため、「駐車しやすさ」、「配送しやすさ」、及び「コメント」の欄はブランクになっている。
【0201】
図30は、実施の形態10に係る配達開始場所評価サブルーチンの処理の一例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態のメインルーチンは、
図23が用いられる。また、
図30のフローにおいて、
図24と同じ処理には同じステップ番号を付している。
【0202】
S91では、制御部15は、評価登録画面G4を配送員端末2の表示部26に表示させる。S92では、制御部15は、評価登録画面G4において配送員により入力された評価結果を複数荷物-配達開始場所DB290の「理由」の欄に登録する。S82、S92の処理が終了すると、処理は、
図23に戻る。
【0203】
このように、本実施の形態によれば、配送車を止めることができた場合、その良否が通知されるため、その場所が配達開始場所として妥当な場所であるか否かの判断材料を収集できる。
【0204】
(実施の形態11)
実施の形態11は、天候に応じて配送経路の徒歩可能総距離を変更するものである。
図31は、実施の形態11に係る情報提供システムのネットワーク構成の一例を示す図である。徒歩可能総距離とは、配送経路の上限距離である。
【0205】
本実施の形態では、更に天気情報提供サーバ3が含まれている。天気情報提供サーバ3は、ネットワークNTを介してサーバ1及び配送員端末2と相互に通信可能に接続されている。
【0206】
天気情報提供サーバ3は、晴れ、曇りといった気象予想を含む天気情報を提供するサーバである。
図32は、実施の形態11において、サーバ1のメモリ11が記憶する天候距離DB320のデータ構成の一例を示す図である。
【0207】
天候距離DB320は、天候に応じた配送経路の上限距離である徒歩可能総距離を記憶するデータベースであり、「天候」及び「徒歩可能総距離」を対応付けて記憶する。ここでは、「悪天候」に対しては、「徒歩可能総距離」として「0.5km」が記憶され、「それ以外」に対しては、「徒歩可能総距離」として「0.8km」が記憶されている。なお、
図32において「悪天候」に対する「徒歩可能総距離」は、第2上限距離の一例に相当し、それ以外に対応する「徒歩可能総距離」は、第1上限距離の一例に相当する。このように、天候距離DB320では、悪天候の場合、それ以外の場合に対して徒歩可能総距離が短く設定されている。
【0208】
なお、「悪天候」としては、例えば、雨、強風、及び雪等が該当し、「それ以外」としては、例えば、晴れ及び曇り等が該当する。
【0209】
図33は、実施の形態11に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S101では、制御部15は、荷物DB31、荷物-配送経路DB41、及び天候距離DB320をメモリ11から取得する。
【0210】
S102では、サーバ1の制御部15は、天気情報提供サーバ3から天気情報を通信部13を用いて取得する。ここで、送信される天気情報は現在の天気情報である。S103では、制御部15は、S102で取得した天気情報を用いて悪天候か否かを判定する。
【0211】
S104では、制御部15は、天候距離DB320を参照し、S103の判定結果に応じた徒歩可能総距離を設定する。ここで、S103の判定結果が悪天候の場合、徒歩可能総距離として0.5kmが設定され、S103の判定結果が悪天候で無い場合、徒歩可能総距離として0.8kmが設定される。
【0212】
S105では、処理Aが実行されて配送経路が特定される。処理Aは、
図8のS2~S4の処理である。S106では、制御部15は、S105で特定された配送経路の総距離を算出する。ここで、制御部15は、S105で特定された配送経路に含まれる各ルートのそれぞれの距離をルート距離DB51及びDB52を参照することで特定し、特定した各ルートの距離の総和を求めることで、配送経路の総距離を算出すればよい。例えば、
図6の配送経路の例では、この配送経路に含まれるルート「SR0001」、「DR0001」、及び「SR0002」のそれぞれの距離がルート距離DB51及びDB52から特定されて、総距離が算出される。
【0213】
S107では、制御部15は、S106で算出した総距離がS104で設定した徒歩可能総距離未満か否かを判定する。総距離が徒歩可能距離未満であれば(S107でYES)、S105で特定された配送経路は現在の天候に対して妥当な総距離を持つため、最適な配送経路として決定され、処理が終了する。
【0214】
一方、総距離が徒歩可能距離以上であれば(S107でNO)、処理はS108に進む。S108では、制御部15は、S105で特定された配送経路を構成するルートのうち距離が最も長いルートを特定する。
【0215】
例えば、上述の配送経路の例では、ルート「SR0001」、「DR0001」、及び「SR0002」の3つのルートで構成されているため、これらのルートのうち距離が最も長いルートが特定される。
【0216】
S109では、制御部15は、S108で特定された最も長いルートにおいて上流及び下流側に位置する目的地のうち一方の目的地をS105で特定された配送経路から削除する。ここで、制御部15は、最も長いルートが配達開始場所から目的地を繋ぐルートであれば、目的地を削除し、最も長いルートが目的地同士を繋ぐルートであれば、下流側の目的地を削除し、最も長いルートが目的地から配達開始場所を繋ぐルートであれば、目的地を削除すればよい。
【0217】
S109の処理が終わると処理はS106に戻る。このS106では、S109で削除された目的地が除外された配送経路に対する総距離が算出される。上述の配送経路の例で、ルート「DR0001」が最も長いルートと判定された場合、下流側に位置する目的地「GUEST0002」が削除された配送経路に対する総距離が算出される。すなわち、
図33のフローは、配送経路の総距離が天候に応じた徒歩可能総距離未満になるまで、距離が最も長いルートに対応する目的地を削除する処理になっている。
【0218】
このように、本実施の形態によれば、悪天候の場合、徒歩可能総距離が悪天候以外の場合に比べて短い距離に設定され、配送経路の総距離が設定された距離より短くなるように、目的地が削除される。そのため、悪天候による配送員の負担の増大を抑制し、配送員の安全を確保できる。
【0219】
(実施の形態12)
実施の形態12は、配送経路の評価値の算出手法を具体化したものである。
図34は、評価値の算出式を示す図である。式(2)は、ある配送経路の評価値を算出する式である。式(1)は式(2)のWiを算出する式である。なお、式(1)及び式(2)を用いた評価値の演算は評価値算出部12によって行われる。
【0220】
式(2)において、Eは評価値を示す。Wiは配送経路を構成するi番目のルートである第iルートの移動中に配送員が持っている荷物の重量に応じた荷物負荷を示す。Diは第iルートの距離又は所要時間に応じたルート負荷を示す。例えば、第iルートの距離が100mであれば、ルート負荷Diは100となる。或いは、第iルートの配送員の徒歩による所要時間が5分であれば、ルート負荷Diは5となる。Nは、ある配送経路に含まれる総ルート数を示す。
図6の配送経路の例では、総ルート数は3である。
【0221】
すなわち、式(2)に示す評価値Eは、荷物負荷Wiにルート負荷Diを乗じた配送負荷(=Wi・Di)の全ルートに亘る総和を示す。
【0222】
式(1)に示すwikは、第iルートの移動中に配送員が持っているある1つの荷物kの負荷(例えば、重量)を示す。Kiは、第iルートの移動中に持っている荷物の総数を示す。したがって、式(1)に示す荷物負荷Wiは、第iルートで配送員が持っている荷物の負荷の総和を示す。
【0223】
このように評価値Eは、配送経路を構成する各ルートの距離が長くなるにつれて、且つ、各ルートで運ぶ荷物の重量が重くなるにつれて増大する。したがって、評価値Eを最小とする配送経路を最適な配送経路として特定することで、配送員にとって肉体的な負担が低い配送経路を提示できる。また、評価値Eは、配送員が徒歩で運ぶ荷物の荷物負荷Wiが考慮されているので、配送員の負担が正確に反映された値を有している。
【0224】
(実施の形態13)
実施の形態13は、荷物のサイズを考慮に入れて評価値を算出するものである。
図35は、実施の形態13において、サーバ1のメモリ11が記憶するサイズ対応DB350のデータ構成の一例を示す図である。サイズ対応DB350は、荷物のサイズに応じた負荷係数を記憶するデータベースであり、「3辺(W+H+D)の合計値」と「負荷係数」とを対応付けて記憶する。「3辺(W+H+D)の合計値」とは、荷物の幅(W)と高さ(H)と奥行き(D)との合計値であり、荷物のサイズを表す。「負荷係数」は、式(1)に示すwikを算出する際に用いられる係数であり、荷物のサイズが増大するにつれて大きな値が設定されている。なお、この負荷係数は、第1負荷係数の一例である。
【0225】
ここで、評価値算出部12は、サイズ対応DB350において、3辺の合計値が60以下であれば、負荷係数として0.5を選択し、3辺の合計値が60より大きく80以下であれば、負荷係数として1を選択し、3辺の合計値が80より大きく120以下であれば、負荷係数として1.5を選択し、3辺の合計値が120より大きく160以下であれば、負荷係数として、3.0を選択すればよい。なお、3辺の合計値が160より大きい場合、評価値算出部12は、負荷係数として、例えば、3.0を選択すればよい。
【0226】
例えば、式(1)を参照し、重量がαkg、サイズが60の荷物kを例に挙げて説明する。この場合、サイズ対応DB350から負荷係数は0.5となるので、wikは、wik=α×0.5によって算出される。荷物k以外の荷物も同様にして重量×補正係数によってwikが算出される。そして、評価値算出部12は、このようにして荷物ごとに算出したwikを式(1)に代入し、荷物負荷Wiを求め、式(2)を用いて評価値Eを算出する。
【0227】
このように、本実施の形態によれば、荷物のサイズが増大するほど評価値が増大されるため、配送員の配送の現実の負荷がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0228】
(実施の形態14)
実施の形態14は、荷物の種別を考慮に入れて評価値を算出するものである。
図36は、実施の形態14において、サーバ1のメモリ11が記憶する種別対応DB360のデータ構成の一例を示す図である。種別対応DB360は、荷物の種別に応じた負荷係数を記憶するデータベースであり、「種別」と「負荷係数」とを対応付けて記憶する。「種別」は、「普通」、「割れ物注意・天地無用」、「クール」、及び「ゴルフ」といった荷物の種別を示す。「割れ物注意・天地無用」とは、ガラス、陶磁器、及び精密機械といった、上下を逆転させたり、ほうり投げたりすると壊れる可能性の高い荷物の種別を示す。「クール」は、生鮮食料品及び冷凍食品といった冷却する必要のある荷物の種別を示す。「ゴルフ」は、複数のゴルフクラブを収納するゴルフバックの荷物の種別を示す。「普通」は、これら以外の荷物の種別を示す。
【0229】
「負荷係数」は、式(1)に示すwikを算出する際に用いられる係数であり、持ちにくい、或いは、取り扱いに神経を要するといった配送員が運ぶ際の負担が高い種別の荷物ほど大きな値が設定されている。なお、この負荷係数は、第2負荷係数の一例である。
【0230】
例えば、式(1)を参照し、重量がαkg、種別がクールの荷物kを例に挙げて説明する。この場合、種別対応DB360から負荷係数は2となるので、wikは、wik=α×2によって算出される。荷物k以外の荷物も同様にして重量×補正係数によってwikが算出される。そして、評価値算出部12は、このようにして荷物ごとに算出したwikを式(1)に代入し、荷物負荷Wiを求め、式(2)を用いて評価値Eを算出する。
【0231】
このように、本実施の形態によれば、荷物の種別に応じた配送員の配送の負荷が考慮された適切な評価値が算出される。
【0232】
(実施の形態15)
実施の形態15は、配送経路を構成する各ルートの高度差を考慮に入れて評価値を算出するものである。
図37は、実施の形態15において、サーバ1のメモリ11が記憶する高度差対応DB370のデータ構成の一例を示す図である。高度差対応DB370は、高度差に応じた負荷係数を記憶するデータベースであり、「高度差」と「負荷係数」とを対応付けて記憶する。「高度差」は、第iルートの高度差を示す。ここで、高度差は、第iルートにおける最大高度から最小高度の差分が採用されてもよい。或いは、高度差は、第iルートに含まれる昇り坂及び下り坂の区間のそれぞれについて算出された最大高度から最小高度の差分の合計値が採用されてもよい。したがって、高度差は、上り坂であればプラスの値をとり、下り坂であればマイナスの値をとる。なお、各ルートの高度差は、
図5に示すルート距離DB51及びルート距離DB52に予め記憶させておけばよい。
【0233】
「負荷係数」は、式(2)に示すルート負荷Diを算出する際に用いられる係数であり、昇り方向に高度差が増大するにつれて、大きな値が設定されている。この負荷係数は、第3負荷係数の一例である。
【0234】
ここで、評価値算出部12は、高度差対応DB370において、高度差が-3m以下であれば、負荷係数として0.5を選択し、高度差が-3mより大きく0m以下であれば、負荷係数として1を選択し、高度差が0mより大きく3m以下であれば、負荷係数として1.5を選択し、高度差が3mより大きければ、負荷係数として2を選択すればよい。
【0235】
例えば、式(2)を参照し、距離が100m、高度差が3mの第iルートを例に挙げて説明する。この場合、高度差対応DB370から負荷係数は1.5となるので、ルート負荷Diは、Di=100×1.5によって算出される。そして、評価値算出部12は、このようにしてルートごとに算出したルート負荷Diを式(2)に代入し、評価値Eを算出する。なお、本実施の形態において、荷物負荷Wiは、実施の形態12~14のいずれかの手法により算出されたものが用いられる。
【0236】
このように、本実施の形態によれば、高度差が昇り方向に増大するルートを含む配送経路ほど評価値が高く算出されるので、配送員の現実の負担がより考慮された適切な評価値を算出できる。
【0237】
(実施の形態16)
実施の形態16は、配送経路を構成する各ルートにおける配送員の心拍数の平均増加率を考慮に入れて評価値を算出するものである。
図38は、実施の形態16において、サーバ1のメモリ11が記憶するルート距離DB381及びルート距離DB382のデータ構成の一例を示す図である。ルート距離DB381及びDB382は、
図5に示すルート距離DB51及びDB52に対して、更に「平均心拍数増加率」を備えている。
【0238】
「平均心拍数増加率」は、各ルートにおいて配送員が荷物を配送したときの心拍数をセンサで計測することで算出されたものである。具体的には、各ルートにおいて、配達開始時の心拍数と目的地到着時の心拍数との差分を、移動に要した所要時間で割り、得られた値の全配送員の平均値を算出することで得られる。
【0239】
なお、これを実現するために、配送員は配送時に心拍数を計測するためのセンサを装着しているものとする。配送員端末2は、このセンサで得られた心拍数を計測時刻と現在地と対応付けて定期的にサーバ1に送信し、サーバ1の制御部15は配送員端末2から送信された心拍数、計測時刻、及び現在地を対応付けて心拍数ログとしてメモリ11に蓄積すればよい。そして、制御部15は、心拍数ログを参照することで各ルートの平均心拍数増加率を適宜算出し、ルート距離DB381及びDB382に記憶させればよい。
【0240】
図39は、実施の形態16に係る心拍数対応DB390のデータ構成の一例を示す図である。心拍数対応DB390は、平均心拍数増加率に応じた負荷係数を記憶するデータベースであり、「平均心拍数増加率」と「負荷係数」とを対応付けて記憶する。
【0241】
「平均心拍数増加率」は、ルート距離DB381及びDB382に記憶された「平均心拍数増加率」に対応している。「負荷係数」は、式(2)に示すルート負荷Diを算出する際に用いられる係数であり、平均心拍数増加率が増大するにつれて、大きな値が設定されている。この負荷係数は、第4負荷係数の一例である。
【0242】
ここで、評価値算出部12は、心拍数対応DB390において、平均心拍数が0以下であれば、負荷係数として1を選択し、平均心拍数増加率が0より大きく20以下であれば、負荷係数として1.2を選択し、平均心拍数が20より大きく40以下であれば、負荷係数として1.5を選択し、平均心拍数が40より大きければ、負荷係数として2を選択すればよい。
【0243】
例えば、式(2)を参照し、距離が100m、平均心拍数増加率が20の第iルートを例に挙げて説明する。この場合、心拍数対応DB390から負荷係数は1.2となるので、ルート負荷Diは、Di=100×1.2によって算出される。そして、評価値算出部12は、このようにしてルートごとに算出したルート負荷Diを式(2)に代入し、評価値Eを算出する。なお、本実施の形態において、荷物負荷Wiは、実施の形態12~14のいずれかの手法により算出されたものが用いられる。
【0244】
本実施の形態によれば、平均心拍数増加率が大きかったルートを含む配送経路ほど評価値が高く算出されるので、配送員の現実の負担がより適切に考慮された評価値を算出できる。
【0245】
なお、本実施の形態では、所定の配送経路における配送員の心拍数増加率を考慮した配送経路の算出を行っている。一方、配送車を停車させてからの配送は、通常、一日に複数回発生することが一般的である。そこで、ある配送経路での配送負荷が心拍数の増加等で高いことが判明した場合には、次の配送経路の算出の場合には、負荷係数を高くして算出することも可能である。これにより、一日に発生する配送において、午後に、配送の疲労が蓄積されてきたときに、その疲労度合いを考慮して配送経路を選択することが可能になる。
【0246】
(実施の形態17)
実施の形態17は、年齢を考慮に入れて配送経路を特定するものである。
図40は、実施の形態17において、サーバ1のメモリ11が記憶する上限DB401及び配送員DB402のデータ構成の一例を示す図である。上限DB401は、配送員の年齢に応じた配送経路の上限評価値を記憶するデータベースであり、「年齢」、「性別」、及び「上限評価値」を対応付けて記憶する。「年齢」は配送員の年齢を示す。「性別」は配送員の性別を示す。「上限評価値」は制限するべき配送経路の評価値を示す。ここでは、同じ性別であれば年齢が増大するにつれて値が小さくなるように上限評価値は設定されている。また、ここでは、同じ年齢であれば女性の方が男性よりも小さくなるように上限評価値は設定されている。これは、年齢が増大するにつれて配送員の体力が減少し、男性に比べて女性の方が体力が少ないことを考慮したものである。また、ここでは、25歳以下、25歳より大きく34歳以下、34際より大きく44歳以下、・・・というように年齢は区分されており、各区分ごとに上限評価値は設定されている。但し、この区分は一例である。
【0247】
配送員DB402は配送員の個人情報を記憶するデータベースであり、「配送員ID」、「氏名」、「年齢」、及び「性別」を対応付けて記憶する。「配送員ID」は配送員の識別子を示す。「氏名」は配送員の名前を示す。「年齢」は配送員の年齢を示す。「性別」は配送員の性別を示す。
【0248】
図41は、実施の形態17に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S111では、制御部15は、荷物DB31、荷物-配送経路DB41、上限DB401、及び配送員DB402をメモリ11から取得する。
【0249】
S112では、制御部15は、配送員DB402を参照して配送員の年齢及び性別を特
定し、上限DB401を参照して配送員の年齢及び性別に対応する上限評価値を設定する。
【0250】
ここで、制御部15は、配送員DB402を参照することで、該当する配送員端末2から送信される配送員端末2を所持する配送員の配送員IDをキーに配送員DB402を参照し、該当する配送員の年齢及び性別を特定すればよい。例えば、配送員DB402の配送員は年齢が38歳で性別が男性であるため、上限DB401が参照されることで上限評価値は8.0が設定される。
【0251】
S113では、処理Aが実行されて配送経路が決定される。処理Aは、
図8のS2~S4の処理である。S114では、制御部15は、S113で特定された配送経路の評価値がS112で設定した上限評価値未満であるか否かを判定する。評価値が上限評価値未満であれば(S114でYES)、S113で特定された配送経路は、該当する配送員にとって妥当な負荷を持つため、最適な配送経路として決定され、処理が終了する。
【0252】
一方、評価値が上限評価値以上であれば(S114でNO)、処理はS115に進む。S115では、制御部15は、S113で特定された配送経路を構成するルートのうち負荷が最も高いルートを特定する。ここで、負荷としては、式(2)で示す荷物負荷Wiが採用されてもよいし、ルート負荷Diが採用されてもよいし、Wi×Diで示される配送負荷が採用されてもよい。
図6の配送経路は、ルート「SR0001」、「DR0001」、及び「SR0002」の3つのルートで構成されているため、これらのルートのうち負荷が最も高いルートが特定される。
【0253】
S116では、制御部15は、S115で特定された負荷が最も高いルートにおいて上流及び下流側に位置する目的地のうち一方の目的地をS113で特定された配送経路から削除する。この処理の詳細は、
図33のS109と同じである。すなわち、
図41のフローは、配送経路の評価値が配送員の年齢及び性別に応じた上限評価値未満になるまで、負荷が最も高いルートに対応する目的地を削除する処理になっている。
【0254】
このように、本実施の形態によれば、年齢及び性別に応じた上限評価値が選択され、配送経路の評価値が上限評価値以上の場合、配送経路の評価値が上限評価値より小さくなるように、目的地が削除される。そのため、配送員の年齢に応じて妥当な負荷の配送経路が提示される。
【0255】
なお、本実施の形態では、年齢及び/または性別等の配送員の負荷に寄与する情報が入力され、その情報に基づいて、配送経路が選択されている。一方で、配送員の体調は日々変化するものである。そこで、配達開始前に、配送員の体調に関して「体調よい」、「体調普通」、及び「体調悪い」等の入力を行わせ、その体調の状態に応じて、配送経路を算出することも可能である。
【0256】
また、一日の中でも、配送員の体調は変化することがあるので、午前中の配送においては、「体調よい」の条件で配送経路を選択していたが、午後に入って体調がすぐれない事象が起きた場合には、「体調悪い」という条件に設定を変更し、配送経路を選択することも可能である。これにより、日常的に変化する、配送員の体調状態を考慮した配送経路を算出することが可能になる。
【0257】
(実施の形態18)
実施の形態18は、実施の形態13において、さらに配送員が台車を用いて荷物を運ぶことを考慮に入れて評価値を算出するものである。
【0258】
図50は、実施の形態18において、サーバ1のメモリ11が記憶するサイズ対応DB350Aのデータ構成の一例を示す図である。サイズ対応DB350Aは、
図35に示すサイズ対応DB350において、「負荷係数」に代えて、「負荷係数(徒歩)」及び「負荷係数(台車)」を備える。「負荷係数(徒歩)」は、配送員が徒歩で荷物を運ぶ場合の負荷係数であり、サイズ対応DB350の「負荷係数」と同じである。「負荷係数(台車)」は、配送員が台車を用いて荷物を運ぶ場合の負荷係数である。
【0259】
台車は、荷物が載置される板部と、板部の裏面に取り付けられた複数のコロと、板部から上側に延び、配送員が台車を押すために使用される取手部などを備えている。台車は、配送車から取り出された複数の荷物を複数の目的地に纏めて運ぶ際に使用される。台車は、取手部が板部に対して回動自在に取り付けられており、折りたたみ可能に構成されている。配送車で移動する際、台車は折り畳まれた状態で配送車に積み込まれる。
【0260】
なお、台車は、配送員が台車を押す作業をモータなどでアシストするアシスト機能を備えてもよい。さらに、台車は、カートであってもよい。カートは、格子状に構成された側壁が板部の周囲に立設されたタワー型の台車である。
【0261】
台車で荷物を運ぶ場合に配送員に与える肉体的な負荷は、徒歩で荷物を運ぶ場合に比べて小さい。そのため、サイズ対応DB350Aにおいて、荷物のサイズが同じである場合、「負荷係数(台車)」の値は「負荷係数(徒歩)」の値に比べて小さな値が設定されている。
【0262】
「負荷係数(徒歩)」及び「負荷係数(台車)」はそれぞれ、式(1)に示すwikを算出する際に用いられる係数であり、荷物のサイズが増大するにつれて大きな値が設定されている。
【0263】
ここで、評価値算出部12は、サイズ対応DB350Aにおいて、3辺の合計値が60以下であれば、負荷係数(台車)として0.1を選択し、3辺の合計値が60より大きく80以下であれば、負荷係数(台車)として0.2を選択し、3辺の合計値が80より大きく120以下であれば、負荷係数(台車)として0.4を選択し、3辺の合計値が120より大きく160以下であれば、負荷係数(台車)として0.5を選択すればよい。なお、3辺の合計値が160より大きい場合、評価値算出部12は、負荷係数(台車)として、例えば、0.5を選択すればよい。
【0264】
例えば、式(1)を参照し、重量がαkg、サイズが60の荷物kが台車によって運ばれる場合を例に挙げて説明する。この場合、サイズ対応DB350Aから「負荷係数(台車)」は0.1となるので、wikは、wik=α×0.1によって算出される。一方、荷物kが徒歩によって運ばれる場合、サイズ対応DB350Aから「負荷係数(徒歩)」は0.5となるので、wikは、wik=α×0.5によって算出される。そして、評価値算出部12は、このようにして荷物ごとに算出したwikを式(1)に代入し、第iルートでの荷物負荷Wiを求め、荷物負荷Wiを式(2)に代入して評価値Eを算出する。
【0265】
本実施の形態では、サイズ対応DB350Aに代えて
図51に示す種別対応DB360Aを用いてwikは算出されてもよい。
【0266】
図51は、実施の形態18において、サーバ1のメモリ11が記憶する種別対応DB360Aのデータ構成の一例を示す図である。種別対応DB360Aは、
図36に示す種別対応DB360において、「負荷係数」に代えて、「負荷係数(徒歩)」及び「負荷係数(台車)」を備える。「負荷係数(徒歩)」は、配送員が徒歩で荷物を運ぶ場合の負荷係数であり、種別対応DB360の「負荷係数」と同じである。「負荷係数(台車)」は、配送員が台車を用いて荷物を運ぶ場合の負荷係数である。
【0267】
台車で荷物を運ぶ場合に配送員に与える肉体的な負荷は、徒歩で荷物を運ぶ場合に比べて小さい。そのため、種別対応DB360Aにおいて、荷物の種別が同じである場合、「負荷係数(台車)」の値は「負荷係数(徒歩)」の値に比べて小さな値が設定されている。
【0268】
「負荷係数(徒歩)」及び「負荷係数(台車)」はそれぞれ、式(1)に示すwikを算出する際に用いられる係数であり、持ちにくい、或いは、取り扱いに神経を要するといった配送員が運ぶ際の負担が高い種別の荷物ほど大きな値が設定されている。
【0269】
例えば、式(1)を参照し、重量がαkg、種別が「クール」の荷物kが台車で運ばれる場合を例に挙げて説明する。この場合、種別対応DB360Aから負荷係数(台車)は1.2となるので、wikは、wik=α×1.2によって算出される。一方、この荷物kが徒歩で運ばれる場合、負荷係数(徒歩)は2となるので、wikは、wik=α×2により算出される。そして、評価値算出部12は、このようにして荷物ごとに算出したwikを式(1)に代入し、第iルートでの荷物負荷Wiを求め、荷物負荷Wiを式(2)に代入して評価値Eを算出する。
【0270】
さらに、本実施の形態では、サイズ対応DB350A又は種別対応DB360Aで算出されたwkiに対して、
図52に示す高度差対応DB370Aを用いてルート負荷Diを算出して評価値Eを算出してもよい。
【0271】
図52は、実施の形態18において、サーバ1のメモリ11が記憶する高度差対応DB370Aのデータ構成の一例を示す図である。高度差対応DB370Aは、
図37に示す高度差対応DB370において、「負荷係数」に代えて、「負荷係数(徒歩)」及び「負荷係数(台車)」を備える。「負荷係数(徒歩)」は、配送員が徒歩で荷物を運ぶ場合の負荷係数であり、高度差対応DB370の「負荷係数」と同じである。「負荷係数(台車)」は、配送員が台車を用いて荷物を運ぶ場合の負荷係数である。
【0272】
台車で荷物を運ぶ場合に配送員に与える肉体的な負荷は、徒歩で荷物を運ぶ場合に比べて小さい。そのため、高度差対応DB370Aにおいて、高度差が同じである場合、「負荷係数(台車)」の値は「負荷係数(徒歩)」の値に比べて小さな値が設定されている。
【0273】
ここで、評価値算出部12は、配送員が台車を用いて荷物を運ぶ場合、高度差対応DB370Aにおいて、高度差が-3m以下であれば、負荷係数として0.1を選択し、高度差が-3mより大きく0m以下であれば、負荷係数として0.2を選択し、高度差が0mより大きく3m以下であれば、負荷係数として0.3を選択し、高度差が3mより大きければ、負荷係数として0.5を選択すればよい。
【0274】
例えば、式(2)を参照し、距離が100m、高度差が3mの第iルートにおいて荷物が台車で運ばれる場合を例に挙げて説明する。この場合、高度差対応DB370Aから負荷係数(台車)は0.3となるので、ルート負荷Diは、Di=100×0.3によって算出される。一方、この第iルートにおいて荷物が徒歩で運ばれる場合、負荷係数(徒歩)は1.5となるので、ルート負荷Diは、Di=100×1.5によって算出される。そして、評価値算出部12は、このようにしてルートごとに算出したルート負荷Diを式(2)に代入し、評価値Eを算出する。
【0275】
本実施の形態では、
図5に示すルート距離DB51及びルート距離DB52に代えて、
図53に示すルート距離DB51A及びルート距離DB52Aを用いて第iルートのルート距離が算出される。
【0276】
図53は、実施の形態18におけるルート距離DB51A及びルート距離DB52Aのデータ構成の一例を示す図である。ルート距離DB51Aは、配送経路DB42に記憶された配送経路情報が示す配送経路を構成する目的地同士を繋ぐルートに関する情報を記憶するデータベースである。ルート距離DB51Aは、
図5に示すルート距離DB51において、さらに、「台車利用」が追加されている。「台車利用」は対応するルートにおいて台車が利用可能であるか否かを示す。例えば、1行目のルート「DR0001」は台車が利用可能であるため、「台車利用」の項目に「可」と記載され、2行目のルート「DR0002」は台車が利用不可能であるため、「台車利用」の項目に「不可」と記載されている。
【0277】
ルート距離DB52Aは、配送経路DB42に記憶された配送経路情報が示す配送経路を構成する配達開始場所及び目的地間を繋ぐルートに関する情報を記憶するデータベースであり、
図5に示すルート距離DB52において、さらに「台車利用」の項目が追加されている。「台車利用」の項目は、対応するルートにおいて台車が利用可能であるか否かを示す。例えば、1行目のルート「SR0001」は台車が利用可能であるため、「台車利用」の項目に「可」と記載され、2行目のルート「SR0002」は台車が利用不可であるため、「不可」と記載されている。
【0278】
例えば、第iルートがルート「DR0001」であるとすると、台車が利用可能であるため、サイズ対応DB350A又は種別対応DB360Aの「負荷係数(台車)」の値を用いて式(1)のwikが算出され、高度差対応DBの「負荷係数(台車)」の値を用いて式(2)のルート負荷Diが算出される。
【0279】
なお、台車が利用不可のルートは、例えば、道幅が台車の幅より狭いルート、地面が軟らかく台車の移動が困難なルート、階段を含むルート、及び急勾配であり台車の移動が困難なルートなどである。
【0280】
図54は、実施の形態18に係る情報提供システムの処理の一例を示すフローチャートである。S121では、サーバ1の制御部15は、メモリ11から、荷物DB31と、荷物-配送経路DB41と、サイズ対応DB350A又は種別対応DB360Aと、高度差対応DB370Aと、ルート距離DB51Aと、ルート距離DB52Aとを取得する。
【0281】
S122では、評価値算出部12は、配送員が徒歩又は台車で纏めて配送する配送対象となる複数の荷物に対応する複数の配送経路を抽出する。この場合、配送対象となる複数の荷物に対応する荷物IDが複数荷物DB43から特定され、荷物IDに対応する配送経路IDが荷物-配送経路DB41から特定され、配送経路IDに対応する複数の配送経路が配送経路DB42から特定されることになる。
【0282】
S123では、評価値算出部12は、ルート距離DB51A及びルート距離DB52Aを参照し、各配送経路について台車が利用できるルートを抽出する。抽出された複数の配送経路のうちの1つが
図6に示す配送経路であり、この配送経路に対してルート距離DB51A及びルート距離DB52Aが適用される場合について説明する。この場合、ルート「SR0001」及びルート「DR0001」は台車が利用可能であるが、ルート「SR0002」は台車が利用できないため、ルート「SR0001」及びルート「DR0001」が抽出される。
【0283】
S124では、評価値算出部12は、サイズ対応DB350A又は種別対応DB360Aと高度差対応DB370Aとを参照し、台車が利用できるルートの負荷係数を決定する。
図6の配送経路の例では、ルート「SR0001」及びルート「DR0001」のそれぞれについて、サイズ対応DB350A又は種別対応DB360Aが参照されて「負荷係数(台車)」の値が取得されると共に、高度差対応DB370Aが参照されて「負荷係数(台車)」の値が取得される。
【0284】
S125では、S122で抽出された複数の配送経路に対してS124で決定された負荷計数が適用された処理Aが実行される。処理Aは、
図8のS2~S4である。但し、ここでは、S122で複数の配送経路が抽出されているため、S2では複数の配送経路が抽出される処理は省略され、S122で抽出された複数の配送経路のそれぞれに対する評価値が算出される。また、S4では、台車の利用可否がルート別に示された配送経路が出力されることになる。ここで出力される配送経路には、全ルートに台車が利用可能であるもの、一部のルートに台車が利用可能であるもの、全ルートに台車が利用不可であるものがある。
【0285】
なお、上記説明では、配送経路内に台車が利用不可のルートがあった場合、その台車の取り扱いに特に言及しなかったが、下記のようにして台車を取り扱うことで、評価値は算出されてもよい。
【0286】
例えば、
図6の配送経路の例において、ルート「SR0001」及びルート「SR0002」は台車が利用可能であるが、ルート「DR0001」は台車が利用不可であったとする。この場合、配送員は、目的地「GUEST0001」での荷物の配送が終了すると、台車をその場に置いて、残りの荷物を徒歩で目的地「GUEST0002」に運ぶ。そして、目的地「GUEST0002」での配送が終了すると、再度、目的地「GUEST0001」まで台車を取りに戻り、ルート「SR0001」を経由して配達開始場所「S0001」に戻ればよい。したがって、この場合の配送経路は、例えば、第1ルート「SR0001」、第2ルート「DR0001」、第3ルート「DR0001」、第4ルート「SR0001」となる。
【0287】
この場合の評価値を見積もると下記のようになる。第1ルート「SR0001」での荷物負荷W1及びルート負荷D1は、全荷物を台車で運ぶ場合の荷物負荷及びルート負荷が算出される。第2ルート「DR0001」での荷物負荷W2及びルート負荷D2は、残りの荷物を徒歩で運ぶ場合の荷物負荷及びルート負荷が算出される。第3ルート「DR0001」での荷物負荷W3及びルート負荷D3は、さらに残りの荷物又は荷物がない場合は荷物袋などを徒歩で運ぶ場合の荷物負荷及びルート負荷が算出される。第4ルート「SR0001」での荷物負荷W4及びルート負荷D4は、さらに残りの荷物又は荷物が無い場合は荷物袋などを台車で運ぶ場合の荷物負荷が算出される。
【0288】
また、上記説明では、サイズ対応DB350Aと種別対応DB360Aとは択一的に用いられる例を示したが、本実施の形態はこれに限定されず、サイズ対応DB350Aと種別対応DB360Aとの両方が用いられてもよい。この場合、式(1)に示すwikは以下のように算出されればよい。例えば、W+H+Dの合計値が60、種別がクール、重量がαkgの荷物kが台車で運ばれる場合を想定する。この場合、サイズ対応DB350Aから負荷係数「0.1」が取得され、種別対応DB360Aから負荷係数「1.2」が取得される。そして、wikは、wik=α*(0.1*1.2)或いは、wik=α*(0.1+1.2)により算出されればよい。
【0289】
このように、本実施の形態によれば、荷物を台車で運べるか否かが考慮されて評価値が算出されるため、配送員の肉体的な負荷がより正確に反映された評価値を算出できる。また、本実施の形態では、どのルートに台車が利用でき、どのルートに台車が利用できないかを示す配送経路が配送員に提示されるため、配送員は台車を適切に用いて効率良く荷物を配送することができる。
【0290】
(実施の形態19)
実施の形態19は、複数の目的地に含まれる第1目的地に配送員が向かっている場合、その旨を示す情報を第1目的地における受取人に通知するものである。
図55は、実施の形態19に係る情報提供システムのネットワーク構成の一例を示す図である。本実施の形態では、
図1に示す情報提供システムにおいて、さらにユーザ端末4(第2情報端末の一例)が追加されている。
【0291】
ユーザ端末4は、荷物の受取人の端末である。ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、携帯電話、及びタブレット端末などの携帯情報端末で構成されてもよいし、据え置き型の情報処理端末で構成されてもよい。
【0292】
本実施の形態では、サーバ1は、配送員が荷物を運ぶために配送車から降りた場合、そのことを示す情報を配送員端末2からネットワークNTを介して取得する。ここで、配送員端末2は、例えば、配送車が備えるGPSセンサから配送車の位置情報を取得し、その位置情報が所定期間以上、配送車が停止していることを示した場合、配送員が配送車から降車したと判定し、降車信号をサーバ1に送信すればよい。或いは、配送員端末2は、例えば、GPSセンサの位置情報が配送車の停止を示す場合に代えて或いは加えて、配送車のエンジンが止められたことを示す信号を配送車から取得した場合に、降車信号をサーバ1に送信してもよい。或いは、配送員端末2は、上記の条件に代えて或いは加えて配送車のドアが開けられたこと又は閉められたことを示す信号を配送車から取得した場合に、降車信号をサーバ1に送信してもよい。
【0293】
サーバ1の制御部15は、配送員端末2から送信された降車信号を取得すると、この降車信号が示す降車によって配送員に配送される荷物の1又は複数の受取人を特定し、特定した受取人のユーザ端末4に配送員が向かっていることを示す情報を通信部13を介して送信する。
【0294】
ここで、制御部15は、実施の形態2で示す予め定められた配達開始場所に配送車を止めて複数の荷物を配送する態様が採用される場合、配達開始場所からの距離が閾値以下の場所を目的地とする荷物を荷物DB31及び顧客DB32に基づいて抽出し、抽出した荷物の受取人を顧客DB32から特定すればよい。
【0295】
一方、実施の形態3で示す配達開始場所を配送員が把握していない態様が採用される場合、制御部15は下記のようにして受取人を特定すればよい。まず、制御部15は、配送員端末2から配送車の停車を検知すると、実施の形態3で説明したように予め定められた配達開始場所に配送車を誘導する。次に、制御部15は、配送車が配達開始場所に到達したことを検知した後、降車信号を配送員端末2から取得すると、制御部15は、上述の手法を用いて受取人を特定すればよい。
【0296】
図56は、実施の形態19において配送車が受取人に向かっていることを示す情報を通知する際にユーザ端末4に表示される通知画面G56の一例を示す図である。通知画面G56には、「配達のお知らせ」との見出しが付けられている。この見出しの下側には、まもなく荷物が配送される旨のメッセージが表示されている。ここでは、「まもなく配送です。佐藤様のお宅へ3名のお客様を訪問後に伺います。もう少しお待ち下さい。」とのメッセージが表示されている。
【0297】
このように、このメッセージには、残り何件の荷物を配送した後で受取人に自宅に訪れるかを示す情報が含まれている。そのため、受取人は現在からどのくらい後の時間に配送員が自宅を訪問するかのおよその時間を把握できる。これにより、受取人は荷物を受け取る準備を行うことができ、余裕を持って荷物を受け取ることができ、荷物をより確実に受け取ることができる。
【0298】
このように、本実施の形態によれば、配送員が配送車から降りた場合、配送員が向かっていることが荷物の受取人の有するユーザ端末4に送信されるため、荷物の配送時に受取人が不在であることを防止できる。
【0299】
(配送経路の具体例)
次に、配送経路の具体例について説明する。
図42は、配送経路ROの一例を示す図である。この配送経路ROは、配達開始場所であるX地点を出発して目的地であるA宅及び次の目的地であるB宅を通ってX地点に戻る配送経路である。
【0300】
ここで、A宅には重量が4kgの荷物LAが配送され、B宅には重量が7kgの荷物LBが配送される。また、配送員は1kgの荷物袋に荷物LA及び荷物LBを入れて徒歩で荷物を配送する。また、A宅の受取人の不在確率は80%であり、B宅の受取人の不在確率は10%である。更に、X地点からA宅までの移動コストは5であり、A宅からB宅までの移動コストは3であり、B宅からX地点までの移動コストは6である。ここで、移動コストは、運ぶ荷物を考慮に入れた配送員の負荷を示し、例えば、式(2)のルート負荷Diが該当する。
【0301】
図43は、
図42に示す配送経路ROを確率的な二分木T1で示した図である。二分木T1は、X地点からA宅を繋ぐパスP1と、A宅が在宅の場合にA宅からB宅を繋ぐパスP2と、A宅が不在の場合にA宅からB宅を繋ぐパスP3というように、在宅及び不在に応じた7つのパスP1~P7で表される。
【0302】
図44は、
図43に示す二分木T1を更に説明する図である。
図44に示すように、例えば、A宅の不在確率は80%であるため、パスP2を配送員が通る確率は20%となり、パスP3を配送員が通る確率は80%となる。また、B宅の不在確率は10%であるため、パスP4を配送員が通る確率は、パスP2の確率20%にパスP4の確率90%を乗じた18%となる。このようにして、各パスを配送員が通る確率が算出される。
【0303】
図45は、
図44に示す二分木T1を更に説明する図である。A宅が在宅ならば4kgの荷物LAはA宅に届けられるので、パスP2での配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LBの7kgと荷物袋の1kgとの和である8kgとなる。一方、A宅が不在ならば4kgの荷物LAはA宅に届けられないので、パスP3での配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LAの4kgと、荷物LBの7kgと、荷物袋1kgの和である12kgとなる。また、パスP4では、A宅及びB宅共、荷物が届けられたので、配送員が運ぶ荷物の重量は荷物袋の1kgとなる。このようにしてパスP1~P7のそれぞれにおいて配送員が通る確率と配送員が運ぶ荷物の重量とが算出される。
【0304】
図46は、
図45に示す二分木T1を更に説明する図である。ここでは、X地点とA宅間とのパスP1間の評価値EXAが説明される。X地点及びA宅間では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LAの4kgと荷物LBの7kgと荷物袋の1kgとの和となる。またX地点及びA宅間の移動コスト「5」である。したがって、評価値EXAは、EXA=5*(4+7+1)=60となる。
【0305】
図47は、
図46に示す二分木T1を更に説明する図である。ここでは、A宅及びB宅間の評価値EABが説明される。パスP2では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LBの7kgと荷物袋の1kgとの和となる。また、パスP3では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LAの4kgと荷物LBの7kgと荷物袋の1kgとの和となる。また、A宅及びB宅間の移動コストは「3」である。したがって、評価値EABは、EAB=3*{0.2*(7+1)+0.8*(4+7+1)}=33.6となる。
【0306】
図48は、
図47に示す二分木T1を更に説明する図である。ここでは、B宅及びX地点間の評価値EBXが説明される。パスP4では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物袋の1kgとなる。また、パスP5では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LBの7kgと荷物袋の1kgとの和となる。また、パスP6では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LAの4kgと荷物袋の1kgとの和となる。また、パスP7では配送員が運ぶ荷物の重量は、荷物LAの4kgと荷物LBの7kgと荷物袋の1kgとの和となる。また、B宅及びX地点間の移動コスト「6」である。したがって、評価値EBXは、EAB=6*{0.18*1+0.02*(7+1)+0.72*(4+1)+0.08*(4+7+1)}=29.4となる。以上より、配送経路ROの評価値EXABXは、60+33.6+29.4=123となる。
【0307】
図49は、
図42とは別の配送経路R1を確率的な二分木T2で表した図である。配送経路R1は、
図42で示す配送経路ROに対して、A宅とB宅との配送順序を入れ替えた配送経路である。二分木T2は、A宅及びB宅の順序の入れ替えに応じて、パスP1~P7のそれぞれにおいて、配送員が運ぶ荷物の重量と配送員が通る確率とが二分木T1と異なっているが、二分木T1と同じ考え方を使って荷物の重量と確率とが算出されている。
【0308】
これにより、評価値EXB=72、評価値EBA=17.1、評価値EAX=24.5と算出されている。そして、配送経路ROの評価値XBAXは、72+17.1+24.5=113.6と算出されている。
【0309】
この結果から、配送経路ROと配送経路R1とを比較した場合、両者とも同じ目的地を通る配送経路ではあるが、配送経路R1の評価値EXBAXの方が配送経路ROの評価値EXABXよりも小さく、配送経路R1は配送員の負担が小さい配送経路であることが分かる。したがって、このケースでは、配送経路R1が最適な配送経路として特定され配送員に通知されることになる。
【0310】
(変形例)
上記実施の形態では、評価値を用いて最適な配送経路が特定されたが、本開示はこれに限定されず、他の指標を用いて最適な配送経路を特定してもよい。
【0311】
また、高度差対応DB370の高度差は第1搬送経路情報に含まれる道路状況を示す情報として取り扱われても良い。
【産業上の利用可能性】
【0312】
本開示によれば、配送員が徒歩で荷物を運ぶ場合の効率の良い配送経路を提示できるので、配送員の運送業務の効率化を図る上で有用である。
【符号の説明】
【0313】
1 :サーバ
2 :配送員端末
3 :天気情報提供サーバ
11 :メモリ
12 :評価値算出部
13 :通信部
14 :配送経路特定部
15 :制御部
21 :メモリ
22 :GPS
23 :制御部
24 :読取部
25 :通信部
26 :表示部
27 :入力部