(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】乗客コンベアシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 25/00 20060101AFI20241111BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B66B25/00 Z
B66B31/00 D
(21)【出願番号】P 2023199571
(22)【出願日】2023-11-27
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 遼介
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-167662(JP,A)
【文献】特開2015-179954(JP,A)
【文献】国際公開第2022/249512(WO,A1)
【文献】特開2023-078778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0021093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 25/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏段を走行させる駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、
前記制御装置を制御するための信号を送受信する通信部と、
を有した乗客コンベアと、
前記乗客コンベアの点検を行う点検部を有した移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、
前記制御装置は、
予め定められた第1時刻から第2時刻の間は、
前記通信部の通信機能をオフ状態にし、前記乗客コンベアの点検を実行するための点検信号が入力すると、前記通信部の前記通信機能をオン状態にして前記移動体と通信を行って点検を実行し、前記点検信号が入力してから、前記移動体が前記点検に要する時間に設定された時間が経過すると、前記通信部の前記通信機能をオフ状態にし、
前記第1時刻から前記第2時刻以外の時刻の間は、前記通信部の前記通信機能をオン状態にして
、前記移動体と通信を行って前記移動体による点検を可能にする、
ことを特徴とする乗客コンベア
システム。
【請求項2】
前記乗客コンベアの異常を検出する安全装置を有し、
前記通信部は、前記安全装置が動作した場合には異常信号を送信する安全装置用通信機能を有し、
前記制御装置は、前記通信部の前記安全装置用通信機能を常にオン状態とする、
請求項1に記載の乗客コンベア
システム。
【請求項3】
前記通信機能は、近距離無線機能である、
請求項1に記載の乗客コンベア
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの点検作業は、保守員が現地に赴き行っていた。しかし、保守員の負担軽減や点検効率のために、保守員が遠隔から無線通信により乗客コンベアを運転/停止させて、乗客コンベアに取り付けたセンサや自立走行可能なロボットによる自動で点検作業をすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-128351号公報
【文献】特開2014-5112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように通信により乗客コンベアを自動的に点検作業する場合には、この通信を利用して第三者が、乗客コンベアの停止などの悪戯を行うことを防止する必要がある。
【0005】
そこで本発明の実施形態は、通信を利用した第三者の悪戯の防止を行うことができる乗客コンベアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、踏段を走行させる駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、前記制御装置を制御するための信号を送受信する通信部と、を有した乗客コンベアと、前記乗客コンベアの点検を行う点検部を有した移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、前記制御装置は、予め定められた第1時刻から第2時刻の間は、前記通信部の通信機能をオフ状態にし、前記乗客コンベアの点検を実行するための点検信号が入力すると、前記通信部の前記通信機能をオン状態にして前記移動体と通信を行って点検を実行し、前記点検信号が入力してから、前記移動体が前記点検に要する時間に設定された時間が経過すると、前記通信部の前記通信機能をオフ状態にし、前記第1時刻から前記第2時刻以外の時刻の間は、前記通信部の前記通信機能をオン状態にして、前記移動体と通信を行って前記移動体による点検を可能にする、ことを特徴とする乗客コンベアシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの側面図である。
【
図3】エスカレータの通信部の近距離無線機能のオン/オフ状態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の乗客コンベアの一つであるエスカレータ10と点検用の移動体100について
図1~
図3を参照して説明する。本実施形態では、エスカレータ10とその点検用の移動体100とで乗客コンベアシステムを構成している。
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の全体の構造について
図1を参照して説明する。
図1は、エスカレータ10を左側面から見た説明図である。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の右側の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、下階から上階を見上げ、上階が前側、下階が後側であるものとする。
【0009】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって、支持アングル2,3を用いて前後方向に支持されている。
【0010】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の踏段スプロケット24,24、不図示の左右一対のベルトスプロケットが設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機21と、この減速機21の出力軸に取り付けられた駆動小スプロケット19と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスク式の電磁ブレーキ23とを有している。左右一対の踏段スプロケット24,24には、同軸に駆動大スプロケット17が取り付けられ、駆動小スプロケット19との間に無端状の駆動チェーン22が架け渡されている。また、上階側の機械室14内部には、モータ20や電磁ブレーキ23などを制御する制御装置50が設けられている。
【0011】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、左右一対の従動スプロケット26,26が設けられている。上階側の左右一対の踏段スプロケット24,24と下階側の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端状の踏段チェーン28,28が架け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28の間には、複数の踏段30の左右一対の第1輪301,301が一定間隔毎に連結されている。モータ20が回転すると踏段30の第1輪301は、トラス12に固定された不図示の第1輪専用の案内レールを走行し、踏段30の第2輪302は、トラス12に固定された第2輪専用の案内レール25を走行する。
【0012】
トラス12の上部の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部には手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。手摺りレール39の下部には、LEDから構成される照明装置68が設けられている。手摺りベルト38は、不図示のベルトスプロケットが踏段スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。
【0013】
左右一対の欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられている。正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。左右一対の欄干36の側面下部には、スカートガード44がそれぞれ設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上階の乗り口付近と下階の乗り口付近のスカートガード44には、操作盤70がそれぞれ設けられている。
【0014】
上階側の乗降口である機械室14の天井面には、上階側の乗降板32が水平に設けられている。下階側の乗降口である、機械室16の天井面には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。上階側の乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60に踏段30が進入したり、引き出されたりする。また、下階側の乗降板34の先端にも櫛歯状のコム62が設けられている。
(2)移動体100
次に、点検用の移動体100について
図1と
図2を参照して説明する。この移動体は、エスカレータ10の踏段30に乗り、下階から上階に移動する間にエスカレータ10を自動的に点検する。この移動体100は、自立走行可能なロボットであり、その目的は無人でエスカレータ10の点検を行うことである。
【0015】
移動体100は、
図1に示すように、ほぼ立方体であり、その大きさは、一段の踏段30に乗ることができる大きさに設計されている。移動体100の内部には、
図2に示すように、コンピュータなどよりなる移動体制御部104が設けられている。
図1に示すように、移動体100の下部には、4個の車輪106が設けられ、
図2に示すように、この4個の車輪106は、移動体100内部の移動モータ108で回転する。移動体制御部104は、移動モータ108の運転、停止、回転方向を制御することにより、移動体100を前進、後進、又は右若しくは左に回転させることができる。また、
図2に示すように、移動体100には、エスカレータ10の手摺りベルト38、欄干36、踏段30、照明装置68を点検するためのセンサ、カメラ、振動検出装置などからなる点検部110が設けられている。この点検部110は、移動体制御部104によって制御されている。
図2に示すように、移動体制御部104は、移動体通信部112を介して制御装置50の通信部64と通信を行う。
(3)エスカレータ10と移動体100の電気的構成
次に、エスカレータ10と移動体100の電気的構成について、
図2のブロック図を参照して説明する。
【0016】
上階側の機械室14内部にある制御装置50には、通信部64と、モータ20と電磁ブレーキ23を制御するための駆動回路66、照明装置68、操作盤70、安全装置72が接続されている。また、制御装置50には、時刻を計時する時計74と、時間をカウントするタイマ76も接続されている。
【0017】
安全装置72としては、スカートガード44に設けられたスカートガード挟まれ検出装置、インレット部46,48に設けられたインレット挟まれ検出装置、案内レール25に設けられた踏段浮き上がり検出装置、踏段チェーン切断検出装置、非常停止ボタンなどである。スカートガード挟まれ検出装置とは、スカートガード44と踏段30の間に異物(例えば、服や荷物)が挟まれたことを検出する装置であり、インレット挟まれ検出装置とは、手摺りベルト38が引き込まれるインレット部46又はインレット部48に異物(例えば、乗客の手や荷物)が手摺りベルト38と同時に引き込まれたときに検出する装置である。
【0018】
通信部64は、移動体100の移動体通信部112、保守員が所有する点検用携帯端末202、外部にある保守センタの監視装置200と通信を行える。また、通信部64は、Bluetooth(登録商標)、Wifi又はNFC(Near Field Communication)等で通信を行う近距離無線機能と、無線又は有線の公共の商用回線を用いて通信を行う通常通信機能を有している。通常通信機能は常にオン状態であり、例えば、安全装置72が動作し、エスカレータ10に異常が発生した場合には、通信部64はこの通常通信機能で監視装置200に異常信号を送信する。また、制御装置50は、通信部64の近距離無線機能をオン/オフすることができる。通信部64は、移動体通信部112と近距離無線機能で通信を行う。
【0019】
時計74は、現在の時刻を計時するものであり、現在の時刻を示す時刻信号を制御装置50に送信する。
【0020】
タイマ76は制御装置50からの開始信号により時間のカウントを開始し、このカウントが終了すれば終了信号を制御装置50に送信する。
(4)エスカレータ10の動作状態
本実施形態のエスカレータ10は、エスカレータ10がある建屋の営業時間中に、近距離無線を介して第三者の携帯端末(以下、「悪用携帯端末」という)204からエスカレータ10の運転/停止を制御して、悪戯されることを防止することができる。そのための制御方法を以下に説明する。なお、建屋の営業時間は、第1時刻(一例として午前10時)から第2時刻(一例として午後8時)とする。
【0021】
第1制御方法について説明する。営業が始まる第1時刻になると、制御装置50は、操作盤70を建屋の管理者が操作して、エスカレータ10の通常運転モードを実行する。このとき操作盤70の操作により制御装置50が、駆動回路66を通じてモータ20を回転させ、その回転方向も制御して、踏段30を通常速度で上昇又は下降させる。また、営業が終了する第2時刻になり、操作盤70を建屋の管理者が操作すると、制御装置50は、通常運転モードを終了する。このとき操作盤70の操作により制御装置50が、モータ20を停止させると共に、電磁ブレーキ23で完全に停止させる。
【0022】
第2制御方法について説明する。営業時間内において、通信部64が有する近距離無線機能を介して、第三者が悪用携帯端末を用いてエスカレータ10を勝手に制御するのを防止するため、制御装置50は通信部64の近距離無線機能をオフ状態にする。すなわち、制御装置50は時計74で時刻を計時し、午前10時から午後8時までは、通信部64の近距離無線機能をオフ状態にする。一方、営業時間外、つまり午後8時から次の日の午前10時まで通信部64の近距離無線機能をオン状態にする。
【0023】
第3制御方法について説明する。営業時間内であっても安全装置72が動作し、監視装置200に異常信号を送信する必要があるため、制御装置50は通常通信機能はそのままオン状態とし、異常信号を送信可能としている。この通常通信機能が安全装置用通信機能となる。
【0024】
第4制御方法について説明する。
【0025】
まず、営業時間内に移動体100で点検を行う必要が生じたときは、通信部64の通常通信機能はオン状態であるので、保守員が点検用携帯端末202からの点検信号を商用回線を介して送信し、通信部64はその点検信号を受信する。そして、制御装置50は、通常運転モードから点検モードへ切り替え、また、通信部64の近距離無線機能がオン状態にする。なお、この点検モードへの切り替えは、点検用携帯端末202からの点検信号を商用回線を介して送信するのでなく、保守員が操作盤70を操作して点検モードに切り替えてもよい。この場合も通信部64の近距離無線機能はオン状態になる。
【0026】
次に、制御装置50は、通信部64の近距離無線機能がオン状態になると、タイマ76が、移動体100が点検を実施し終了するまでの時間(例えば、1時間)のカウントを開始する。
【0027】
次に、点検モードにおいて、移動体100は、このオン状態となった近距離無線機能を用いて制御装置50を制御し、エスカレータ10の運転/停止を行って点検を行い、その点検した結果を制御装置50に送信して点検モードを終了する。なお、移動体100が、点検を行う対象としては、例えば、踏段30の破損の有無、踏段30の移動速度の遅れ、手摺りベルト38の速度の遅れ、踏段30の振動又は異常音の検出、欄干36の照明装置68の点灯及び消灯状態である。
【0028】
次に、タイマ76のカウントが終了すると、点検モードにおける移動体100の点検は終了しているため、制御装置50は通信部64の近距離無線機能をオフ状態にする。
(5)点検における制御装置50の制御方法
移動体100を用いた点検における制御装置50の制御方法を、
図3のフローチャートを参照して説明する。なお、
図3中の「通信」は近距離無線機能による通信を意味する。
【0029】
ステップS1において、制御装置50は、現在の時刻が営業時間内か否かを判断し、営業時間内であればステップS3に進み(yの場合)、予め定められた営業時間外であればステップS2に進む(nの場合)。
【0030】
ステップS2において、営業時間外であるため、通信部64の近距離無線機能をオン状態とし、ステップS1に戻る。なお、通信部64の通常通信機能も常にオン状態である。これにより、保守員は、営業時間外であれば近距離無線機能を介して、移動体100による点検モードを実行できる。
【0031】
ステップS3において、営業時間内であるため、通常運転モードを実施してエスカレータ10を運転し、また、通信部64の近距離無線機能をオフ状態にし、ステップS4に進む。なお、通信部64の通常通信機能は常にオン状態である。近距離無線機能はオフ状態であるので、第三者の悪用携帯端末204によってエスカレータ10が停止されたりする悪戯を防止できる。
【0032】
ステップS4において、営業時間内ではあるが、保守員が移動体100で点検モードを開始する場合には、通信部64の通常通信機能を介して点検信号を受信して、制御装置50は通常運転モードから点検モードに切り替えてステップS5に進み(yの場合)、点検モードを開始しない場合にはステップS1に戻る(nの場合)。
【0033】
ステップS5において、点検モードであるため制御装置50は、通信部64の近距離無線機能をオン状態とし、ステップS6に進む。
【0034】
ステップS6において、制御装置50は、移動体100が点検に必要な予め定められた時間をタイマ76でカウントを開始し、ステップS7に進む。
【0035】
ステップS7において、点検モードにおける移動体100での点検を実行する。すなわち、点検モードでは、移動体100が、待機位置から下階の乗降板34に移動し、次に、上昇している踏段30に乗り、踏段30、手摺りレール39、欄干36、照明装置68などの点検を行い、ステップS8に進む。
【0036】
ステップS8において、移動体100が、上昇した踏段30から上階の乗降板32まで移動すると、移動体100は待機位置まで移動し、点検モードを終了し、ステップS9に進む。
【0037】
ステップS9において、タイマ76のカウントが終了していればステップS10に進み(yの場合)、終了していなければカウントが終了するまでステップS9を続ける(nの場合)。
【0038】
ステップS10において、タイマ76のカウントが終了しているので制御装置50は、通信部64の近距離無線機能をオフ状態にし、ステップS11に進む。
【0039】
ステップS11において、制御装置50は、タイマ76をリセットし、ステップS1に戻る。
(6)効果
本実施形態によれば、営業時間外においては、通信部64の近距離無線機能がオン状態となるため、保守員が移動体100を用いてエスカレータ10をいつでも点検することができる。
【0040】
また、営業時間内においては、通信部64の近距離無線機能がオフ状態となるため、第三者の悪用携帯端末204によってエスカレータ10が停止されたりすることがない。
【0041】
また、営業時間内においても、保守員がエスカレータ10の点検を行いたい場合には、移動体100を用いて点検を行うことができる。この場合に、点検を開始するときからタイマ76でカウントを開始し、通信部64の近距離無線機能をオン状態とし、移動体100による点検を行うことができる。そして移動体100が点検を終える時間に到達すると、タイマのカウントが終了し、自動的に通信部64の近距離無線機能がオフ状態となる。したがって、点検が終了すると保守員が特別な操作をすることなく通信部64の近距離無線機能は自動的にオフ状態になるため、点検終了後であっても第三者の悪用携帯端末204によってエスカレータ10が停止されたりすることがない。
【変更例】
【0042】
次に、上記実施形態の変更例について説明する。
【0043】
上記実施形態では、営業時間内において移動体100によって点検を行ったが、これに限らず保守員自身が点検を行ってもよい。この場合には、タイマ76がカウントする時間は、保守員が点検作業を終了する時間に合わせて設定する。
【0044】
また、上記実施形態では、営業時間内では通信部64の近距離無線機能をオフ状態にしたが、さらに確実に第三者の悪用を防止するために、通常通信機能も含めた全ての通信機能をオフ状態としてもよい。このとき、安全装置72が動作し異常信号を送信する必要があるときは、制御装置50は通常通信機能をオン状態にして送信する。
【0045】
また、上記実施形態では、第1時刻と第2時刻を営業時間に合わせたが、これ以外の時刻、例えば、鉄道の始発、終電時刻、又は、エスカレータ10が屋外に設置されている場合には、日の出、日の入りなどの時刻に合わせてもよい。第1時刻と第2時刻とは、エスカレータ10の管理者等が任意の時刻を設定することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0047】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10・・・エスカレータ、18・・・駆動装置、50・・・制御装置、64・・・通信部、72・・・安全装置、74・・・時計、76・・・タイマ、100・・・移動体、104・・・移動体制御部、112・・・移動体通信部、200・・・監視装置、202・・・点検用携帯端末、204・・・悪用携帯端末
【要約】
【課題】無線通信を利用した第三者の悪戯の防止を行うことができる乗客コンベアと乗客コンベアシステムを提供する。
【解決手段】踏段30を走行させる駆動装置18と、駆動装置18を制御する制御装置50と、制御装置50が外部との通信を行うための通信部64とを有し、制御装置50は、予め定められた第1時刻から第2時刻の間は、通信部64の通信機能をオフ状態にし、それ以外の時刻の間は、通信部64の通信機能をオン状態にする。
【選択図】
図3