(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ランダムタイル
(51)【国際特許分類】
G06T 15/80 20110101AFI20241111BHJP
【FI】
G06T15/80
(21)【出願番号】P 2023507932
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021071597
(87)【国際公開番号】W WO2022029093
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-04-13
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ランファー,ベンヤミン
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-028781(JP,A)
【文献】米国特許第05966134(US,A)
【文献】Tim Golla et al.,Interactive Interpolation of Metallic Effect Car Paints,Vision, Modeling and Visualization,2018年,pp.11-20
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果顔料を含む塗料でコーティングされた車部品のデジタル表現を生成する方法であって、該方法は、レンダリングソフトウェアを使用して3D物体上の塗料の外観をシミュレーションするために、異なる視線方向と照射方向に対する前記塗料の効果顔料のきらめきを表す複数のテクスチャ画像を含む塗料の双方向テクスチャ関数(BTF)を用いることを含み、
ランダムな遷移点t
n周辺の幅wの区間でのスムースステップ関数
【数1】
が、複数のテクスチャ画像間の局所座標x
*におけるピクセル強度を補間するために使用さ
れ、
前記遷移点t
n
は、前記テクスチャ画像の各ピクセルについて、区間[w/2,1-w/2]で一回ランダムに選択され、
前記スムースステップ関数は、
【数2】
の形をとり、
前記補間されるピクセル強度は、
【数3】
によって計算され、
式中、
【数4】
は、局所座標
【数5】
を有するピクセルの補間された強度;
【数6】
は局所座標
【数7】
でのスムースステップ関数の値;
I
ab
(x)は、ピクセル位置xの隣接するテクスチャ画像abのピクセル強度の値である、方法。
【請求項2】
前記テクスチャ画像はsRGBテクスチャ画像である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記BTFは、少なくとも以下のステップ:
- カメラベースの測定装置を使用して、前記塗料の初期BTFを測定するステップと、
- 分光光度計を使用して、事前に与えられた数の異なる測定ジオメトリについて、前記塗料のスペクトル反射率データをキャプチャするステップと、
- 前記初期BTFを前記キャプチャされたスペクトル反射率データに適合させ、最適化されたBTFを得るステップと、
を含む方法によって生成される、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラベースの測定装置は、異なる視線角で、異なる照射角で、又は異なる照射色で、及び/又は異なる露出時間で、前記物体の複数の画像を作成し、これにより、照射角、視線角、照射色及び/又は露出時間の複数の組み合わせを考慮して複数の測定データを提供する、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
異なる照射色及び異なる露光時間を有するが、等しい照射角及び視線角を有する画像が、それぞれ高いダイナミックレンジの画像に組み合わされる、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記初期BTFは、2つの主要な項にセグメント化され、第一項は、測定ジオメトリにのみ依存する、前記物体の反射率特性を記述する均一な双方向反射率分布関数(BRDF)であり、第二項は、前記物体の空間的に変化する外観を説明するテクスチャ関数である、請求項
3~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータシステムであって、
- コンピュータユニットと;
- 非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存されたプログラムコードを有するコンピュータ可読プログラムであって、前記プログラムコードは、前記プログラムが前記コンピュータユニット上で実行されるときに、前記コンピュータユニットに、
物体の所定の視線方向及び照射方向における前記物体の視覚的外観を正確に再現する、塗料でコーティングされた物体の表現、を生成させるために、効果顔料を含む塗料の双方向テクスチャ関数(BTF)を使用させること、
を行わせるコンピュータ可読プログラムとを備え、
前記表現は、局所座標x
*においてランダムな遷移点t
n周辺の幅wの区間でのスムースステップ関数
【数8】
を使用して、隣接する視線方向と照射方向を表すBTFに存在するテクスチャ画像から、与えられた視線方向と照射方向におけるテクスチャ画像を補間する3Dレンダリングエンジンを使用して生成さ
れ、
前記遷移点t
n
は、前記テクスチャ画像の各ピクセルについて、区間[w/2,1-w/2]で一回ランダムに選択され、
前記スムースステップ関数は、
【数9】
の形をとり、
前記補間されるピクセル強度は、
【数10】
によって計算され、
式中、
【数11】
は、局所座標
【数12】
を有するピクセルの補間された強度;
【数13】
は局所座標
【数14】
でのスムースステップ関数の値;
I
ab
(x)は、ピクセル位置xの隣接するテクスチャ画像abのピクセル強度の値である、コンピュータシステム。
【請求項8】
前記
3Dレンダリングエンジンはリアルタイムレンダリングエンジンである、請求項
7に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記
3Dレンダリングエンジンのためのシェーダをさらに含む、請求項
7又は
8に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
前記シェーダは、フラグメントシェーダ及び頂点シェーダを含む、請求項
9に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
前記シェーダ
のためのインポータをさらに含む、請求項
9又は
10に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
前記インポータは、ファイルから前記BTFを読み取り、前記BTFのパラメータを前記シェーダによって使用されるテクスチャ関数のパラメータに翻訳するように構成されている、請求項
11に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車部品のコーティングのデジタル表現を生成するための方法に関する。本方法は、車の塗料のきらめきをレンダリングするための改善されたテクスチャブレンドを提供する。本開示はまた、それぞれのコンピュータシステムにも言及する。
【背景技術】
【0002】
現在の車の塗料の色設計プロセスは、多くの場合小さな平面パネルに塗布された車の塗料の物理的なサンプルに基づいている。物理的なサンプルのみでの作業は、いくつかの欠点を有する。サンプルの塗装にはコストと時間がかかる。加えて、コストの関係で、小さな平面パネルにしか塗装されず、小さなサンプルから異なる3次元形状、例えば車体では、又は異なる光設定では、コーティングがどのように見えるかを推測することは困難であり得る。車の塗料は、特に、干渉、及び/又は真珠光沢フレーク顔料などのメタリックフレーク顔料又は特殊効果フレーク顔料などのメタリック顔料によって引き起こされるゴニオアパレント効果を有する効果色として選ばれることが多い。
【0003】
車の塗料の外観のデジタルモデルを用いることにより、任意の光条件下で任意の形状に塗布された車の塗料の画像をコンピュータ生成することが可能になる。双方向テクスチャ関数(BTF)は、きらめきなどの車の塗料の空間的な変化もキャプチャすることができるようなデジタルモデルを呈する。物体に適用された車の塗料のコンピュータ生成画像に基づくことにより、車の塗料の色の特徴を仮想的に評価することができる。
【0004】
BTFは、視線方向と照射方向、すなわち視線角と照射角の関数としてテクスチャの外観の表現である。BTFは通常、あり得る視線方向と照射方向の半球のサンプリングの表面を画像化することによってキャプチャされる。BTFの測定は、画像の集合体である。BTFは6次元関数である(Dana,Kristin J.,Bram van Ginneken,Shree K.Nayar,and Jan J.Koenderink.による「Reflectance and Texture of Real-World Surfaces」.ACM Transactions on Graphics 18,no.1(1999年1月1日):1-34.https://doi.org/10.1145/300776.300778.)。
【0005】
PCT/EP2020/058444は、物体の双方向テクスチャ関数(BTF)を生成するための方法を開示している。この方法は、カメラベースの測定装置を用いて物体の初期BTFを測定することと、分光光度計を用いて予め与えられた数の異なる測定ジオメトリについて物体のスペクトル反射率データをキャプチャすることと、最適化されたBTFを得るために初期BTFをキャプチャされたスペクトル反射率データに適合させることと、を含んでいる。
【0006】
EP20182808.4は、塗装された車部品を視覚化する方法を開示している。この方法は、測定と塗料の双方向テクスチャ関数(BTF)の最適化、及びレンダリングソフトウェアを用いた後続の3D物体の塗料の外観のシミュレーションに基づいている。BTFはまた、異なる視線及び照射のジオメトリに対する塗料の効果顔料のきらめきを表すテクスチャ画像をも含む。当然ながら、すべての観察方向及び照射方向に対してきらめきの画像をキャプチャし、保存することは不可能である。したがって、BTFを評価する場合には、レンダリング時に、記録された最も近い隣接のジオメトリのきらめき画像から、与えられたジオメトリでのきらめき画像を補間する必要がある。線形補間が使用されているが、線形補間は散在するきらめき点の強度の強い低下と、したがってコントラストと奥行きの低下を引き起こす。そのため、レンダリングされたきらめきはコントラストと奥行きに欠け、変化する観察条件又は光条件の下できらめき点のダイナミクスが妥当ではない。さらに、低下したコントラストのハロー状の光学効果もきらめき内で観察される。
【0007】
本開示の目的は、車の塗料のきらめきのよりリアルかつ妥当なデジタル表現、及び効果顔料コーティングを有する車部品のよりリアルな視覚化、を生成する方法を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、それぞれ独立請求項の特徴を有する、車部品のコーティングのデジタル表現を生成するための方法、及びその方法を実装するコンピュータシステムを提供する。特許請求される方法及びシステムのさらなる特徴及び実施形態は、従属請求項及び明細書に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本方法は、車の塗料のきらめきのレンダリングのための改良されたテクスチャブレンドを使用する。線形補間関数の代わりに、ランダム遷移点を中心とするスムースステップ関数が、隣接するテクスチャ画像からピクセル値を補間するために使用される。このようにして、補間されたヒストグラム、つまりコントラストが保持される。さらに、変化する視線条件及び光条件の下でのコーティング表面のきらめきダイナミクスが、よりリアルにレンダリングされる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本開示によれば、車の塗料の双方向テクスチャ関数(BTF)が、車の塗料でコーティングされた物体の光学的外観、特に、色及び色効果を、物体の所定の照射において正確に再現する車の塗料でコーティングされた物体の表現をレンダリングするために使用される。
【0011】
本開示の文脈では、「レンダリング」という用語は、コンピュータプログラムによって物体の写実的画像を生成する自動的なプロセスを説明するのに使用される。
【0012】
本開示は、効果顔料を含む塗料でコーティングされた車部品のデジタル表現を生成する方法を提供する。本方法は、レンダリングソフトウェアを使用して3D物体の塗料の外観をシミュレーションするために、異なる視線方向と照射方向に対する塗料の効果顔料のきらめきを表す複数のテクスチャ画像を含む塗料の双方向テクスチャ関数(BTF)を用いることを含む。本開示の方法では、ランダムな遷移点tn周辺の幅wの区間でスムースステップ関数
【0013】
【0014】
が、複数のテクスチャ画像間の局所座標x*におけるピクセル値を補間するのに使用される。この式において、x+は、幅wの区間と、後で説明する局所座標
【0015】
【0016】
を記述するパラメータx*に依存する遷移点tnとによる座標変換に相当する。
【0017】
物体のテクスチャを正しく反映するために、BTFは、照射及び観察の角度及び方向(以下、「ジオメトリ」)に依存する空間テクスチャ画像のテーブルを含んでいる。すべての可能な観察方向及び照射方向(ジオメトリ)のきらめき画像をキャプチャして保存することはできないため、レンダリング中に記録された最も近い隣接ジオメトリのきらめき画像から、与えられたジオメトリのきらめき画像を補間する必要がある。
【0018】
補間されたテクスチャ画像のコントラストを保持するために、新たな補間方式が開発された。線形補間関数を使用する代わりに、ランダムな遷移点を中心とするスムースステップ関数が、隣接するテクスチャ画像からピクセル値を補間するのに使用される。スムースステップはシグモイドのような補間関数とクランプ関数のファミリーである。この関数は、入力x、「左エッジ」、「右エッジ」の3つのパラメータに依存しており、左エッジは右エッジより小さいと仮定される。この関数は、実数xを引数として受け取り、xが左エッジ以下の場合は0、xが右エッジ以上の場合は1を返し、それ以外の場合はHermite多項式を使って0と1の間でスムースに補間する。スムースステップ関数の勾配は、両エッジでとも0である。このことは、より高度で高価な補間技術を使用する代わりに、各セグメントを補間するためにスムースステップを使って、一連の遷移を作成するのに便利である。スムースステップ関数は、所与のパラメータ区間にわたって1つの値から他の値への遷移を記述するために使用されることができる。本開示の方法では、特定の遷移点を中心とする2つのジオメトリ間の距離よりもはるかに小さい固定幅の区間が選択される。
【0019】
区間幅wは、前に示したスムースステップ関数S1(x)の文脈で理解されるべきであり、2つの隣接するテクスチャ画像のピクセル強度の間の遷移がどの程度の速さで発生するかを決定する。w=0の場合、ピクセル強度間の急激な遷移をもたらす。w=1の場合、ゆっくりとした遷移をもたらし、そこではピクセル強度は隣接テクスチャ画像間の距離全体にかけて補間される。
【0020】
適切な値のwは、補間された画像のコントラストを保持し、ピクセル強度間の妥当な遷移を作成する。このような値は、wの値を変化させ、変化する値のwを使用して変化する照射及び観察条件の画像を補間し、補間された画像のピクセル強度間のコントラストと遷移を観察することによって、実験的に特定されることができる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、w=0.05の値が使用される。w>0.05の場合、テクスチャ画像のより多くのピクセルについてピクセル値を補間する必要があり、これによって補間された画像のコントラストが再び低下する。w<0.05の場合、主観的に遷移が急すぎるように見え、したがって、妥当でない。
【0021】
きらめき画像の確率的な性質により、きらめき画像の個々のピクセルを互いに独立して補間することができる。つまり、きらめき画像の各ピクセルに対して、遷移点をランダムに選択することができる。
【0022】
実際には、与えられたジオメトリに対して、少数のピクセル値のみが重みを計算するためにスムースステップ関数を使用して補間される。それ以外のピクセルについては、隣接するきらめき画像のいずれか一方から値が選択される。与えられたジオメトリが隣接するジオメトリに近いほど、隣接するジオメトリのきらめき画像からより多くのピクセル値が選択される。
【0023】
結果として得られる補間されたきらめき画像は、よりリアルな外観を有する。コントラストは保持され、ハロー状の光学効果も観察されない。さらに、きらめき画像のヒストグラムも連続的に補間される。さらに、変化する視線条件及び照射条件の下でのきらめきダイナミクスがよりリアルである。
【0024】
本方法の一実施形態では、テクスチャ画像は、sRGBテクスチャ画像である。本開示の文脈では、「sRGB」(standard Red Green Blue)という用語は、IEC 61966-2-1:1999に定義されるRGB色空間を表す。本方法の一実施形態では、テクスチャ画像は、ガンマ圧縮を含まない線形sRGB色空間で表される。線形sRGBとsRGB値は、情報を失うことなく互いに変換されることができる。線形sRGB値が使用されるのは、レンダリングエンジンが物理量(例えば、光強度及び反射率)と関連付けることができる線形値で動作するためである。
【0025】
物体の双方向テクスチャ関数(BTF)は、以下の:
- 物体の初期BTFを測定するように構成されたカメラベースの測定装置と、
- 事前に与えられた数の異なる測定ジオメトリについて、前記物体のスペクトル反射率データをキャプチャするように構成された分光光度計と、
- 前記カメラベースの測定装置及び前記分光光度計とそれぞれ通信接続され、前記それぞれの通信接続を介して前記初期BTF及び前記物体の前記キャプチャされたスペクトル反射率データを受信し、前記初期BTFを前記キャプチャされた反射率データに適合させて最適化BTFを取得するように構成された、コンピューティング装置と、
を備えるシステムを用いて生成されることができる。
【0026】
本システムは、初期BTF、事前に与えられた数の異なる測定ジオメトリに対する物体のスペクトル反射率データ、及び最適化BTFを保存するように構成されたデータベースをさらに備えることができる。コンピューティング装置は、初期BTF及び事前に与えられた数の異なる測定ジオメトリに対する物体のスペクトル反射率データを取得するように、及び最適化BTFを保存するように、データベースと通信可能に接続されてよい。つまり、カメラベースの測定装置から得られた初期BTF及び分光光度計によってキャプチャされたスペクトル反射率データは、コンピューティング装置が初期BTFをキャプチャされた反射率データに適合させて最適化BTFを得るために、初期BTF及びスペクトル反射率データを取得する前に、データベースに最初に保存されてよい。このシナリオでは、カメラベースの測定装置及び分光光度計もまた、データベースと通信接続される。したがって、コンピューティング装置とカメラベースの測定装置との間の通信接続、及びコンピューティング装置と分光光度計との間の通信接続の両方は、それぞれ、データベースを介した直接接続又は間接接続であってよい。各通信接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。それぞれ適切な通信技術が使用されてよい。コンピューティング装置、カメラベースの測定装置、及び分光光度計は、それぞれ、互いに通信するための1つ以上の通信インターフェースを含むことができる。そのような通信は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、デジタル加入者線(DSL)、イーサネット、非同期転送モード(ATM)、又は他の任意の有線伝送プロトコルなどの有線データ伝送プロトコルを使用して実行されることができる。あるいは、通信は、汎用パケット無線サービス(GPRS)、ユニバーサル移動通信システム(UMTS)、符号分割多重アクセス(CDMA)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、及び/又は任意の他の無線プロトコルなど、様々なプロトコルのいずれかを使用して無線通信ネットワークを介してワイヤレスであってよい。それぞれの通信は、無線通信と有線通信の組み合わせであってもよい。
【0027】
コンピューティング装置は、タッチスクリーン、音声入力、動作入力、マウス、キーパッド入力、及び/又は同様のものなどの1つ以上の入力ユニットを含むことができ、又はそれらと通信することができる。さらにコンピューティング装置は、音声出力、ビデオ出力、スクリーン/ディスプレイ出力、及び/又は同様のものなどの1つ以上の出力ユニットを含むことができ、又はそれらと通信することができる。
【0028】
本方法の一実施形態では、使用されるBTFは、特殊なBTFであり、これは、少なくとも以下のステップ:
- カメラベースの測定装置を使用して、物体の初期BTFを測定するステップと、
- 分光光度計を使用して、事前に与えられた数、すなわち限られた数の異なる測定ジオメトリについて、前記物体のスペクトル反射率データをキャプチャするステップと、
- 前記初期BTFを前記キャプチャされたスペクトル反射率データに適合させ、最適化されたBTFを得るステップと、
を含む方法によって生成される。
【0029】
色精度を向上させるために、第1ステップにおいて、カメラベースの測定装置を用いて、物理的な車の塗料サンプルの初期BTFを取得することが提案される。次に、第2ステップにおいて、第2スペクトル測定が、分光光度計、特にハンドヘルド分光光度計を用いて、同じサンプルに対して実行される。このように、少数(例えば25未満)の測定ジオメトリについて追加の、より正確なスペクトル反射率データが得られる。初期BTFが、したがって、より正確だが疎なスペクトル反射率データを用いて改善される。その結果、色と空間的に変化する外観、例えば車の塗料サンプルのきらめきがキャプチャされ、十分に正確なBTFが得られる。
【0030】
一実施形態によれば、カメラベースの測定装置は、異なる視線角で、異なる照射角で、異なる照射色で、及び/又は異なる露出時間で、物体/サンプルの複数の画像(写真)を作成し、これにより、照射角、視線角、照射色及び/又は露出時間の複数の組み合わせを考慮した複数の測定データを提供する。カメラベースの測定装置は、例えば、X-Rite TAC7(登録商標)などの市販の測定装置とすることができる。車の塗料サンプルとクリアコートでコーティングされた小型の平面パネルを測定装置に挿入し、測定プロセスを開始する。測定とそれに続く後処理により、初期BTFが得られる。
【0031】
後処理の過程では、異なる照射色及び異なる露光時間を有するが、等しい照射角及び視線角を有する画像/写真が、それぞれ高いダイナミックレンジの画像に組み合わされる。さらに、サンプルへの写真の遠近が補正される。写真と後処理によって得られたデータに基づいて、初期BTFのパラメータが決定される。
【0032】
さらなる実施形態によれば、最適化されたBTFを得るために初期BTFをキャプチャされたスペクトル反射率データに適合させることは、初期BTFを異なる項(term)(各項はパラメータのセットを含む)にセグメント化すること、及びキャプチャされたスペクトル反射率データを使用して各項のパラメータを個別に最適化することを含む。
【0033】
初期BTFは、2つの主要な項にセグメント化(分割)され、第一項は、測定ジオメトリにのみ依存する、物体(例えば、車の塗料サンプル)の反射率特性を記述する均一な双方向反射率分布関数(BRDF)であり、第二項は、物体の空間的に変化する外観を説明する、すなわち、視線と照射に依存するテクスチャ画像を追加するテクスチャ関数である。モデルに保存されたテクスチャ画像は、すべてのピクセルの平均で、RGBチャネルのそれぞれの強度の合計がゼロであるという特性を有する。遠くから見た場合、車の塗料の全体的な色の印象は、一点での色ではなく、より広い範囲の平均的な色によって決定される。上記の性質より、テクスチャ画像の広い領域の平均的な色はゼロ又はゼロに近いと考えられる。これにより、全体の色を変えることなく、テクスチャ画像を重ねることができる。これは、BTFを最適化する際に、テクスチャ画像を無視できることも意味する。
【0034】
BTFの表現には、Rump等(Rump,Martin,Ralf Sarlette,und Reinhard Klein.)によって最初に導入されたカラーモデル「Efficient Resampling, Compression and Rendering of Metallic and Pearlescent Paint.」、Vision,Modeling,and Visualization,11-18,2009.が使用される:
【0035】
【0036】
ここで、
【0037】
【0038】
一般に、双方向反射率分布関数(BRDF)は、不透明な表面で光がどのように反射するかを定義する4つの実変数の関数である。この関数は、入射光方向
【0039】
【0040】
と出射方向
【0041】
【0042】
を入力し、方向
【0043】
【0044】
から表面に入射する放射照度に対する
【0045】
【0046】
に沿って出る反射放射照度の比率を返す。BRDFとは、照射角と反射散乱角の関数として、材料(物体)の測光反射光散乱特性を記述する、任意の材料(ここでは物体、すなわち塗料サンプルを意味する)の測光データの集合を意味する。BRDFは、物体、特に物体に含まれるゴニオ外観性材料のスペクトル及び空間反射散乱特性を記述し、材料の外観の記述と、BRDFから容易に導き出され得る、光沢、ヘイズ、及び色などの他の多くの外観属性を提供する。
【0047】
一般的に、BRDFは散乱ジオメトリの関数として3つのカラー座標で構成されている。特定の照度及びカラーシステム(CIELABなど)は、指定され、及び、BRDFを扱う場合の任意のデータを含ませられなければならない。
【0048】
式(1)から分かるように,第一項すなわちBRDFは、カラーテーブル
【0049】
【0050】
に対応する第一サブ項と、強度関数
【0051】
【0052】
に対応する第二サブ項とに分けられる。この初期BTFのパラメータは、スペクトル反射率データと初期BTFの色差を最小限に抑えるために、第1最適化ステップで強度関数のパラメータを一定に保ちながらカラーテーブルのパラメータを最適化することによって、また、第2最適化ステップでカラーテーブルのパラメータを一定に保ちながら強度関数のパラメータを最適化することによって、最適化される。
【0053】
スペクトル反射率データ、すなわちスペクトル反射率曲線は、測定ジオメトリの限られた数だけ取得される。このような測定ジオメトリのそれぞれは、特定の照射角/方向及び特定の視線角/方向によって定義される。スペクトル反射率測定は、例えば、ハンドヘルド分光光度計、例えば、6つの測定ジオメトリ(-15°、15°、25°、45°、75°、110°の固定照射角及び視線角/測定角)を有するByk-Mac I(登録商標)、12個の測定ジオメトリ(2つの照射角と6つの測定角)を有するX-Rite MA-T12(登録商標)、又はX-Rite MA 98(登録商標)(2つの照射角と最大11個の測定角)によって行われる。これらの測定装置から得られるスペクトル反射率データは、カメラベースの測定装置から得られる色情報よりも正確である。
【0054】
さらなる実施形態によれば、各スペクトル測定ジオメトリに対する第1最適化ステップにおけるカラーテーブルの最適化のために、第1CIEL*a*b*値がスペクトル反射率データ(曲線)から計算され、第2CIEL*a*b*値が初期BTFから計算され、a*座標とb*座標の補正ベクトルが第1CIEa*b*値から第2CIEa*b*値を減算することによって計算され、補正ベクトルはカラーテーブルに保存されている視線角と照射角の全範囲についてコンポーネントごとに補間及び外挿され、補間された補正ベクトルは、カラーテーブルに保存された各スペクトル測定ジオメトリの初期BTF CIEL*a*b*値に適用され、補正されたBTF CIEL*a*b*値は線形sRGB座標(それらの合計が例えば3に等しくなるように正規化されている)に変換され、最終的にカラーテーブルに保存される。
【0055】
マルチレベルB-スプライン補間アルゴリズム(Lee,Seungyong,George Wolberg,und Sung Yong Shin.による「Scattered data interpolation with multilevel B-splines」、IEEE transactions on visualization and computer graphics 3,Nr.3(1997):228-244.)は、補正ベクトルのコンポーネントごとに補間及び外挿に使用されることができる。
【0056】
なおさらなる実施形態によれば、第2最適化ステップにおける強度関数のパラメータの最適化のために、コスト関数が、すべてのスペクトル反射率測定ジオメトリにわたる色差の合計に基づいて定義される。このコスト関数
【0057】
【0058】
は、以下の式に従って、すべての反射率測定ジオメトリにわたって定義される:
【0059】
【0060】
ここで、
【0061】
【0062】
式(2)に示されるように、コスト関数は、特定の拘束を考慮するように設計されたペナルティ関数によって補完されることができ、そのような拘束は、好ましくは、パラメータ値を有効範囲内に保つことを含む。
【0063】
色差を計算するために、初期BTFは異なるスペクトル反射率測定ジオメトリで評価され、得られたCIEL*a*b*値は、例えばDIN6157/2に定義されている式などの重み付き色差式を用いてスペクトル反射率測定からのCIEL*a*b*値と比較され、強度関数のパラメータは、コスト関数が最小化するように、例えばネルダーミーアダウンヒルシンプレックス法などの非線形最適化法を使用して最適化される。
【0064】
カラーテーブルを最適化する場合、分光光度計のスペクトル反射率測定ジオメトリごとに、補正ベクトルが決定される。補正ベクトルは、初期BTFのBRDF部分と同じジオメトリのスペクトル反射率データから、RGBチャネルの反射放射輝度の差としてそれぞれ結果として得られる。補正ベクトルの計算は、CIEL*a*b*色空間で行われる。得られた補正ベクトルは、カラーテーブルの全パラメータ範囲にわたってコンポーネントごとに補間される。
【0065】
なおさらなる実施形態によれば、第1及び第2の最適化ステップは、最適化されたBTFの精度をさらに向上させるために繰り返し/反復して実行される。反復の回数は、指定され得、予め定義され得る。3回の反復で既に信頼できる良い結果が得られることが分かった。
【0066】
BTF表現は、不連続な数のジオメトリのみに対するスパークル画像を含む。ジオメトリは、2つの角度:中間ベクトルと照射方向の間の角度
【0067】
【0068】
中間ベクトルと法線の間の角度
【0069】
【0070】
を与えることで指定されることができる。中間ベクトルとは、照射方向と観察方向の間の中間ベクトルである。テクスチャ画像は一定区間で
【0071】
【0072】
の値でキャプチャされる。
【0073】
スパークル画像が記録されなかったジオメトリ
【0074】
【0075】
のBTFを評価する場合、補間が必要である。スパークル画像は、最も近い隣接ジオメトリ
【0076】
【0077】
でそれぞれ記録されたスパークル画像
【0078】
【0079】
から補間される。
【0080】
ジオメトリ
【0081】
【0082】
の画像をジオメトリ
【0083】
【0084】
の隣接画像から補間する場合、次のように定義される局所座標座標が使用される:
【0085】
【0086】
バイリニア補間を用いると、補間される画像強度は
【0087】
【0088】
ここで、局所座標は以下の通りである。
【0089】
【0090】
これらの局所座標では、隣接する2つのジオメトリの距離は常に1である。局所座標は、後述する遷移区間の幅の固定値wに依存する。
【0091】
補間スキームとして、以下の1次元及び2次元のスムースステップ関数が導入される:
【0092】
【0093】
この形式では、スムースステップ関数は、パラメータx*が0から1に変化するとき、0から1へ滑らかに変化する。遷移点tn周辺の幅wを持つ区間、好ましくはw=0.05の区間が定義される。次に、スムースステップ関数
【0094】
【0095】
は、遷移点周辺の指定された区間で0から1に滑らかに変化する。
【0096】
スムースステップ関数を用いて、補間された強度は次のように計算される、
【0097】
【0098】
式中、
【0099】
【0100】
は、局所座標
【0101】
【0102】
を有するピクセルの補間された強度;
【0103】
【0104】
は局所座標
【0105】
【0106】
でのスムースステップ関数の値;
【0107】
【0108】
は、ピクセル位置xの隣接するテクスチャ画像abのピクセル強度の値である。
【0109】
遷移点は、テクスチャ画像の各ピクセルについて、区間[w/2,1-w/2]で一回ランダムに選択される。ここで
【0110】
【0111】
は、ピクセルの遷移区間に対するジオメトリ角の局所座標である。ランダムな遷移点の設定は、マテリアルの初期化時などに、各ピクセルに対して一度だけ行われる。その後、設定された遷移点は、テクスチャがレンダリングされるたびに、使用される。
【0112】
シェーダプログラムでの実装では、補間されるテクスチャ画像はテクスチャとして保存される。追加のテクスチャは、ランダムな遷移点を保存する。BTFにズームするとき、補間はサンプル上の空間位置x.でも必要である。レンダリング中、本開示の補間アプローチは、まず、位置xに隣接するピクセルで値を補間するために使用される。次に、xで補間されたピクセル値は線形補間を使用して、これらの値から計算される。
【0113】
本開示はまた、コンピュータシステムに関し、前記コンピュータシステムは:
- コンピュータユニットと;
- 非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存されたプログラムコードを有するコンピュータ可読プログラムであって、前記プログラムコードは、前記プログラムが前記コンピュータユニット上で実行されるときに、前記コンピュータユニットに以下の、
物体の所定の視線方向及び照射方向における前記物体の視覚的外観を正確に再現する、塗料でコーティングされた物体の表現、を生成させるために、効果顔料を含む塗料の双方向テクスチャ関数(BTF)を使用させ、
前記表現は、局所座標x*においてランダムな遷移点tn周辺の幅wの区間でのスムースステップ関数
【0114】
【0115】
を使用して、隣接する視線方向と照射方向を表すBTFに存在するテクスチャ画像から、与えられた視線方向と照射方向におけるテクスチャ画像を補間する3Dレンダリングエンジンを使用して生成される、
ことを行わせるコンピュータ可読プログラムと、
を備える。
【0116】
一実施形態では、改善されたレンダリングアプローチの実装は、OpenGLとC++を使用する。
【0117】
さらなる実施形態では、物体の表現は、リアルタイムレンダリングエンジンを使用して生成される。3Dレンダリングエンジンは、シーンに存在する材料の光学(反射)特性を考慮して、仮想3Dライトシーン内の光の伝播をシミュレート又は近似する。リアルタイムレンダリングエンジンは、高いフレームレートで仮想シーンの画像を生成することができ、それにより、ユーザ入力と更新された画像の間に遅延が認識されない、又はほとんど遅延が認識されない。数学的なグラフィックスモデルは、材料の光学的特性を記述する。
【0118】
一実施形態では、コンピュータシステムは、BTFを解釈するためのシェーダと呼ばれる特定のプログラムを含む。さらなる実施形態では、システムは、レンダリングエンジンのためのインポータとシェーダを含む。
【0119】
インポータとは、ある形式のデータファイル又はメタデータ情報を読み取り、それを特殊なアルゴリズム(フィルタなど)を介して別のフォーマットに変換するソフトウェアアプリケーションである。インポータは、多くの場合、それ自体ではプログラム全体ではなく、他のプログラムへの拡張機能であって、プラグインとして実装される。このように実装された場合、インポータはファイルからデータを読み取り、それをホストアプリケーションのネイティブフォーマットに変換する。インポータの役割は、ファイルからBTFの情報を読み取り、それをシェーダに供給することである。シェーダが限定されたBTFモデルを使用する場合、インポータはフルBTFモデルのパラメータを限定されたモデルに変換する必要がある。これは、測定ジオメトリのセットに対する反射率がフルBTFモデルの反射率にできるだけ類似するように、限定モデルのパラメータを最適化することによって行われる。コンピュータシステムの一実施形態では、インポータは、ファイルからBTFを読み取り、BTFのパラメータをシェーダによって使用されるテクスチャ関数のパラメータに翻訳するように構成されている。
【0120】
インポータはBTFから情報を読み取り、それをレンダリングエンジンの特定のシェーダに提供する。シェーダがBTFに組み込まれたフルグラフィックスモデルを解釈できず、簡略化したモデルを使用する場合は、インポータのBTFの情報の翻訳が必要である。
【0121】
シェーダは、元々は3Dシーン(レンダリング画像に適切なレベルの光、暗さ、及び色の生成物)のシェーディングに用いられるコンピュータプログラムの一種であるが、現在はコンピュータグラフィックスの特殊効果のカテゴリーの中で様々な分野で様々な特化された機能を実行している。単純な照明モデルを超えて、シェーダのより複雑な使用は、画像の色相、彩度、明度(HSL/HSV)、コントラストの変更;ぼかし、ライトブルーム、ボリュームライティング、法線マッピング(深度効果用)、ボケ、セルシェーディング、ポスタリゼーション、バンプマッピング、歪曲、彩度キーイング(いわゆる「ブルースクリーン/グリーンスクリーン」効果用)、エッジ及びモーション検出並びにサイケデリック効果を含む。
【0122】
シェーダは、頂点又はピクセルの特性を記述する。頂点シェーダは頂点の属性(位置、テクスチャ座標、色など)を記述し、ピクセルシェーダはピクセルの特性(色、Z深度及びアルファ値)を記述する。頂点シェーダはプリミティブの各頂点に対して呼び出され(おそらくテッセレーション後に);このように、1つの頂点が入力され、1つの(更新された)頂点が出力される。各頂点は、その後最終的にスクリーンに送られるサーフェス(メモリブロック)に一連のピクセルとしてレンダリングされる。
【0123】
本開示の文脈では、フラグメントシェーダが主に使用される。頂点シェーダの特定のコードは、頂点シェーダがフラグメントシェーダのためのある入力データを準備する必要があるときだけである。
【0124】
フラグメントシェーダは、「フラグメント」ごとに色及びその他の属性を計算する:フラグメントは最大で単一の出力ピクセルに影響を与えるレンダリング作業の単位である。最も単純なフラグメントシェーダは、色値として1つのスクリーンピクセルを出力する;複数の入力/出力を有するより複雑なシェーダも可能である。フラグメントシェーダは、単純に常に同じ色を出力することから、ライティング値を適用してバンプマッピング、シャドウ、鏡面ハイライト、半透明及びその他の現象を行うものまで及ぶ。それらは、フラグメントの深度を変更し(Zバッファリングのため)、又は複数のレンダーターゲットがアクティブな場合は複数の色を出力することができる。
【0125】
頂点シェーダは、グラフィックスプロセッサに与えられた各頂点に対して1回実行される。その目的は、仮想空間における各頂点がスクリーン(及びZバッファの深度値)に表示される2D座標に変換することである。頂点シェーダは、位置、色、テクスチャ座標などのプロパティを操作することはできるが、新しい頂点を作成することはできない。
【0126】
一実施形態では、コンピュータシステムは、V-ray又はLuxCoreRenderなどの少なくとも1つのレンダリングソフトウェアアプリケーション、及び/又はUnreal Engine又はUnityなどの少なくとも1つのゲームエンジンのためのプラグインを提供する。
【0127】
一実施形態では、コンピュータシステムは、Unity用のプラグインを提供する。Unityは、Unity Technologiesによって開発されたクロスプラットフォームゲームエンジンである。このエンジンは、3次元、2次元、仮想現実、及び拡張現実のゲーム、並びにシミュレーション及び他の体験を作成するために使用されることができる。このエンジンは、映画、自動車、建築、エンジニアリング、建設など、ビデオゲーム以外の業界にも採用されている。
【0128】
コンピュータシステムは、ビデオ出力、スクリーン/ディスプレイ出力、人工現実(AR)又は仮想現実(VR)出力及び/又は同様のものなどの1つ以上の出力ユニットを含むことができ、又は、それと通信することができる。
【0129】
本発明の実施形態は、スタンドアロンユニット、又は、例えばインターネット又はイントラネットなどのネットワークを介して、例えばクラウドに位置する中央コンピュータと通信する1つ以上のリモート端末又は装置、を含み得るコンピュータシステムとともに使用されてもよく、又はそのコンピュータシステムに組み込まれていてもよい。このように、本明細書に記載されるコンピューティング装置/コンピューティングユニット及び関連するコンポーネントは、ローカルコンピュータシステムの一部又はリモートコンピュータ又はオンラインシステム又はそれらの組み合わせであってよい。本明細書に記載されたデータベース及びソフトウェアは、コンピュータ内部メモリ又は非一時的なコンピュータ可読媒体に保存されることができる。
【0130】
本開示は、ユーザが3D物体に適用された仮想の車の塗料の画像又はアニメーションを作成することを可能にするレンダリングアプリケーションを提供する。これらの画像は、設計プロセス中に、車の形状上の塗料の外観をプレビューするために使用されることができる。本開示の方法及びシステムは、車の塗料のきらめきのより現実的かつ妥当なデジタル表現を提供する。これにより、設計段階における新しい車の塗料の仮想レビューが容易になる。この時点での仮想色の使用は、色設計プロセスを加速させ、さもなければ物理的サンプルの噴霧に必要なコスト及びリソースを節約する可能性を有する。
【0131】
本発明のさらなる態様は、添付の特許請求の範囲に特に示される要素及び組み合わせによって実現及び達成される。本明細書は例示的かつ説明的のみであり、記載された本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】2つの例示的なテクスチャ画像(左、右)の線形補間によって補間された画像(中央)、及び対応する強度ヒストグラム(下)を示す図である。
【
図2】
図1の例示的なテクスチャ画像(左、右)から本開示の補間スキームを使用して補間された画像(中央)、及び対応する強度ヒストグラム(下)を示す図である。図面の詳細な説明
図1は、きらめき顔料を含む車の塗料の2つの例示的なテクスチャ画像(テクスチャA、テクスチャB)を示す。上部中央の画像(補間されたテクスチャ)は、テクスチャAとテクスチャBから線形補間によって生成されている。
【0133】
対応する画像の強度ヒストグラムが、
図1の下部に示されている。ヒストグラムの各バーには、所定の強度を持つピクセルの数が表示されている。各バーは、左から右に、テクスチャA、テクスチャB、補間されたテクスチャのそれぞれの値を表す3つのコラムで構成されている。ヒストグラムは、直線的に補間されたテクスチャ画像の減少されたコントラストを明確に示している。
【0134】
図2は、
図1の2つの例示的なテクスチャ画像(テクスチャA、テクスチャB)を再度示している。上部中央の画像(補間されたテクスチャ)は、本開示の補間スキームによってテクスチャAとテクスチャBから生成されたものである。
【0135】
画像の対応する強度ヒストグラムが、
図2の下部に示されている。
図1と同様に、ヒストグラムの各バーは、左から右に、テクスチャA、テクスチャB、補間されたテクスチャのそれぞれの値を表す3つのコラムで構成されている。ヒストグラムは、補間された画像でコントラストと強度勾配が保持されていることを明確に示している。