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特許7585460絶縁冷却液を用いた冷却構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】絶縁冷却液を用いた冷却構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20241111BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241111BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241111BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241111BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20241111BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241111BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/204 401H
H01M50/507
H01M50/249
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023509579
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2021010297
(87)【国際公開番号】W WO2022035123
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0101935
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0158074
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074434
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ア・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-キ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・タンネンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヤンケ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ハラストージ
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0162923(US,A1)
【文献】特表2020-520067(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102157715(CN,A)
【文献】特開2014-060088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6557
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 50/204
H01M 50/507
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在される流路スペーサを含むセル積層体アセンブリ、前記セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合されるフロントバスバーフレームアセンブリ、及び前記セル積層体アセンブリの前記長手方向の他側に結合されるリアバスバーフレームアセンブリを含むサブモジュールと、
前記サブモジュールを収容するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの前記長手方向の一側開口部を覆い、絶縁冷却液の流入のためのインレットを備えるフロントシーリングプレートと、
前記モジュールハウジングの前記長手方向の他側開口部を覆い、前記絶縁冷却液の排出のためのアウトレットを備えるリアシーリングプレートと、
を含み、
前記複数のバッテリーセルのそれぞれは、前記バッテリーセルの長手方向に沿って両方向に引き出される一対の電極リードを備え、
前記フロントバスバーフレームアセンブリ及び前記リアバスバーフレームアセンブリは、
バスバーフレームと、
前記バスバーフレーム上に固定され、前記バッテリーセルの前記電極リードと結合される複数のバスバーと、
を含み、
前記絶縁冷却液は、前記絶縁冷却液が前記電極リード及び前記バスバーと接触するように、前記フロントシーリングプレートと前記フロントバスバーフレームアセンブリとの間の空間を満たし、且つ前記リアシーリングプレートと前記リアバスバーフレームアセンブリとの間の空間を満たす、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記流路スペーサは、前記バッテリーモジュールの外部から内部に供給される絶縁冷却液が流動可能な冷却液流路を備え、
前記冷却液流路は、前記流路スペーサを貫通して形成され、前記流路スペーサの長手方向に沿って延びている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記流路スペーサを通って流れる前記絶縁冷却液は、前記バッテリーセルのボディと間接的に接触する、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記バスバーフレームは、冷却液孔を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記バッテリーモジュールは、
前記フロントシーリングプレートの外側に位置する外部端子、及び前記フロントシーリングプレートを貫通して前記外部端子と前記バッテリーセルとの間を電気的に接続するスタッドを含む一対の端子アセンブリをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記フロントバスバーフレームアセンブリは、前記バスバーフレーム上に固定され、前記セル積層体アセンブリに備えられた前記複数のバッテリーセルのうち最外郭に位置したバッテリーセルの電極リードと連結される一対の内部端子をさらに含み、
前記スタッドは、前記内部端子に固定される、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記端子アセンブリは、前記フロントシーリングプレートに形成された端子孔に挿入される端子スペーサをさらに含み、
前記スタッドは、前記端子スペーサを貫通している、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記端子アセンブリは、
前記端子スペーサ及び外部端子を貫通した前記スタッドに締結されて前記外部端子を前記端子スペーサに密着固定させる締結ナットをさらに含む、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記端子アセンブリは、
前記端子スペーサの外周面を覆い、前記フロントシーリングプレートの内面と前記内部端子との間に介在される第1のOリングをさらに含む、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記スタッドは、前記内部端子を貫通して押し込まれる、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記端子アセンブリは、前記スタッドの周縁に位置し、前記内部端子とバスバーフレームとの間に介在される第2のOリングをさらに含む、請求項9又は10に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含むバッテリーパック。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁冷却液を用いた冷却構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関し、より具体的には、モジュールハウジング内に流れ込んでバッテリーセルを冷却する絶縁冷却液がバッテリーセルの電極リード、バスバーなどの部品と直接接触して効率的な冷却を実現し、また隣接したバッテリーセル同士の間の流路を通して絶縁冷却液の効率的な流れを可能にする構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2020年8月13日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0101935号、2020年11月23日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0158074号、及び2021年6月8日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0074434号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
冷却水を用いた間接水冷方式を採用するバッテリーモジュールの場合、冷却水がバッテリーセルと直接接触せず、バッテリーセルを収容するモジュールハウジングを通じて間接的に接触するため、その冷却性能に限界がある。また、冷却のための流路を形成するため、別途のヒートシンクなどの冷却装置をモジュールハウジングの外側に備える必要があるので、バッテリーモジュール全体が嵩張るしかなく、エネルギー密度の面での損失につながる。
【0004】
このような間接水冷方式の問題を解決するため、冷却液がモジュールハウジング内に直接流れ込み、バッテリーセル及び電気的接続部品と直接接触することで、迅速な冷却を実現可能な構造を有するバッテリーモジュールの開発が求められている。
【0005】
一方、このような絶縁冷却液を用いた直接冷却構造を有するバッテリーモジュールの場合、効率的な冷却のための流路構造を開発することも重要であるが、それ以外にも絶縁冷却液がモジュールハウジング及びエンドプレートの外側に漏れないように気密性を維持することが非常に重要である。
【0006】
特に、バッテリーモジュールの高電位端子として機能する一対の外部端子がシーリングプレート及びエンドプレートの外側に露出する構造を有するバッテリーモジュールの場合、シーリングプレートの外側に位置する外部端子とシーリングプレートの内側に位置する内部端子との間の電気的接続のため、シーリングプレートの一部が貫通する構造を取るしかない。したがって、シーリングプレートが貫通した部位からモジュールハウジングの内部の絶縁冷却液が漏れる危険性があり、シーリングプレートの貫通部位におけるこのような漏洩を効率的に防止できるシーリング構造が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、絶縁冷却液がバッテリーモジュールの内部に流れ込んでバッテリーセル及び電気的接続部品と直接接触して効率的な冷却を実現可能な構造を有し、またバッテリーモジュールの内部に流れ込んだ冷却液が円滑に流動可能な構造を有するバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、バッテリーモジュールの高電位端子として機能する一対の外部端子がシーリングプレート及びエンドプレートの外側に露出する構造を有するバッテリーモジュールにおいて、シーリングプレートの貫通部位における漏洩を効率的に防止することを他の目的とする。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は上記の課題に制限されず、その他の課題は下記の発明の説明から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在される流路スペーサを含むセル積層体アセンブリ、セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合されるフロントバスバーフレームアセンブリ、及びセル積層体アセンブリの長手方向の他側に結合されるリアバスバーフレームアセンブリを含むサブモジュールと、サブモジュールを収容するモジュールハウジングと、モジュールハウジングの長手方向の一側開口部を覆い、絶縁冷却液の流入のためのインレットを備えるフロントシーリングプレートと、モジュールハウジングの長手方向の他側開口部を覆い、絶縁冷却液の排出のためのアウトレットを備えるリアシーリングプレートと、を含む。
【0011】
流路スペーサは、バッテリーモジュールの外部から内部に供給される絶縁冷却液が流動可能な冷却液流路を備え得る。
【0012】
冷却液流路は、流路スペーサを貫通して形成され得、流路スペーサの長手方向に沿って延長し得る。
【0013】
流路スペーサを通って流れる絶縁冷却液は、バッテリーセルのボディと間接的に接触し得る。
【0014】
フロントバスバーフレームアセンブリは、バスバーフレームと、バスバーフレーム上に固定され、バッテリーセルの電極リードと結合される複数のバスバーと、を含み得る。
バスバーフレームは、冷却液孔を備え得る。
【0015】
バッテリーモジュールは、フロントシーリングプレートの外側に位置する外部端子、及びフロントシーリングプレートを貫通して外部端子とバッテリーセルとの間を電気的に接続するスタッドを含む一対の端子アセンブリをさらに含み得る。
【0016】
フロントバスバーフレームアセンブリは、バスバーフレーム上に固定され、セル積層体アセンブリに備えられたバッテリーセルのうち最外郭に位置したバッテリーセルの電極リードと連結される一対の内部端子をさらに含み得る。
スタッドは、内部端子に固定され得る。
【0017】
端子アセンブリは、フロントシーリングプレートに形成された端子孔に挿入される端子スペーサをさらに含み得る。
【0018】
スタッドは、端子スペーサを貫通し得る。
【0019】
端子アセンブリは、端子スペーサ及び外部端子を貫通したスタッドに締結されて外部端子を端子スペーサに密着固定させる締結ナットをさらに含み得る。
【0020】
端子アセンブリは、端子スペーサの外周面を覆い、フロントシーリングプレートの内面と内部端子との間に介在される第1のOリングをさらに含み得る。
【0021】
スタッドは、内部端子を貫通して押し込まれ得る。
【0022】
端子アセンブリは、スタッドの周縁に位置し、内部端子とバスバーフレームとの間に介在される第2のOリングをさらに含み得る。
【0023】
一方、本発明の他の一態様によるバッテリーパック及び自動車は、上述した本発明の一態様によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、絶縁冷却液がバッテリーモジュールの内部に流れ込んでバッテリーセル及び電気的接続部品と直接接触し、またバッテリーモジュールの内部に流れ込んだ冷却液が円滑に流れることができるため、効率的且つ迅速な冷却が可能になる。
【0025】
また、本発明の一態様によれば、バッテリーモジュールの冷却のためにモジュールハウジングの内部に流れる絶縁冷却液の漏洩を効果的に防止することができる。本発明の一態様によれば、特に、バッテリーモジュールの高電位端子として機能する一対の外部端子がシーリングプレート及びエンドプレートの外側に露出する構造を有するバッテリーモジュールにおいて、シーリングプレートの貫通部位からの漏洩を効率的に防止することができる。
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した分解斜視図である。
図3図1のA-A’線に沿って切断した断面を示した図である。
図4図1に示されたバッテリーモジュールにおいて、フロントエンドプレート及びフロントシーリングプレートを除去した状態を示した図である。
図5】冷却のための絶縁冷却液の流れを示した図である。
図6】冷却のための絶縁冷却液の流れを示した図である。
図7】本発明によるバスバーフレームと流路スペーサとの結合構造を示した図である。
図8】本発明による端子アセンブリの具体的な構造を示した図である。
図9】本発明による端子アセンブリの具体的な構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0029】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、サブモジュール100、モジュールハウジング200、フロントシーリングプレート300及びリアシーリングプレート400を含む。バッテリーモジュールは、上述した構成要素に加えて、フロントエンドプレート500及び/またはリアエンドプレート600及び/または一対の端子アセンブリ700をさらに含んでもよい。
【0030】
図2図6を参照すると、サブモジュール100は、セル積層体アセンブリ110を含む。サブモジュール100は、セル積層体アセンブリ110に加えて、セル積層体アセンブリ110に結合されるフロントバスバーフレームアセンブリ120A及びリアバスバーフレームアセンブリ120Bをさらに含んでもよい。
【0031】
セル積層体アセンブリ110は、複数のバッテリーセル111、及び隣接したバッテリーセル111同士の間に介在される少なくとも一つの流路スペーサ112を含む。セル積層体アセンブリ110は、流路スペーサ112に加えて、隣接したバッテリーセル111同士の間に介在される少なくとも一つの緩衝パッド113をさらに含んでもよい。バッテリーセル111、流路スペーサ112及び緩衝パッド113は、地面(X-Y平面に平行な面)に垂直に起立した形態で積層されて一つのセル積層体アセンブリ110を形成する。
【0032】
バッテリーセル111としては、バッテリーセル111の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って両方向に引き出される一対の電極リード111aを備えるパウチ型バッテリーセルが用いられ得る。
【0033】
流路スペーサ112は、バッテリーモジュールの外部から内部に供給される絶縁冷却液が流動可能な少なくとも一つの冷却液流路112aを備える。冷却液流路112aは、流路スペーサ112を貫通して形成され、流路スペーサ112の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って延びる。複数の冷却液流路112aが備えられる場合、複数の冷却液流路112aは流路スペーサ112の高さ方向(Z軸に平行な方向)に沿って相互に離隔して配置される。本発明において、冷却に用いられる絶縁冷却液は、絶縁性を向上させた冷却液であって、例えば絶縁油が用いられ得る。
【0034】
流路スペーサ112は、隣接したバッテリーセル111同士の間毎に介在され得る。この場合、それぞれのバッテリーセル111は、その一面及び他面がすべて流路スペーサ112と接するため、冷却効果が極大化され、バッテリーモジュール内に流れ込んだ絶縁冷却液の流れがより円滑になるという長所がある。
【0035】
一方、これと異なり、流路スペーサ112の個数は、バッテリーセル111の個数の約1/2のみになってもよい。具体的には、複数の流路スペーサ112は、互いに隣接する一対の流路スペーサ112同士の間に、互いに接する一対のバッテリーセル111が位置するように配置されてもよい。この場合、すべてのバッテリーセル111は、両面のうち一面のみが流路スペーサ112と接触するようになる。複数の流路スペーサ112がこのように配置される場合、バッテリーセル111の冷却効率の向上及びエネルギー密度の向上をともに実現することができる。冷却液流路112aは、流路スペーサ112の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って貫設された孔状である。したがって、流路スペーサ112を通って流れる絶縁冷却液は、バッテリーセル111のボディと直接には接触せず、流路スペーサ112を通じてバッテリーセル111のボディと間接的に接触するようになる。冷却液流路112aは、複数個備えられ得る。この場合、冷却液流路112aは、流路スペーサ112の高さ方向(Z軸に平行な方向)に沿って互いに離隔して形成され得る。
【0036】
流路スペーサ112は、その両面がそれぞれバッテリーセル111のボディと全体的に接触する。したがって、バッテリーセル111にスウェリングが発生したとき、バッテリーセル111のボディに全体的に均一な圧力が加えられることで、バッテリーセル111の一部領域のみに集中的に圧力が加えられる現象が発生せずバッテリーセル111の破損を防止することができる。
【0037】
流路スペーサ112は、例えばアルミニウムなどのような熱伝導性に優れた金属材質からなり得る。この場合、本発明のバッテリーモジュールは、絶縁冷却液とバッテリーセル111のボディとが直接接触しない構造を有するにもかかわらず、絶縁冷却液がバッテリーセル111のボディと直接接触する場合と比べてバッテリーセル111のボディに対する冷却効率が実質的に劣らない。すなわち、本発明の流路スペーサ112は、バッテリーセル111のスウェリング時にバッテリーセル111が破損されないように安定的に緩衝作用する緩衝部材としての機能と、効率的冷却を実現する冷却部材としての機能とを共に持つ。
【0038】
絶縁冷却液は、インレットP1からバッテリーモジュールの内部に流れ込み、バッテリーセル111の長手方向(X軸に平行な方向)の一側に備えられた電極リード111a及びバスバー122を冷却した後、流路スペーサ112を通過しながらバッテリーセル111のボディを冷却する。また、絶縁冷却液は、バッテリーセル111のボディを冷却した後、アウトレットP2を通ってバッテリーモジュールの外部に流れ出る過程で、バッテリーセル111の長手方向の他側に備えられた電極リード111a及びバスバー122を冷却する。また、本発明のフロントバスバーフレームアセンブリ120Aが後述する内部端子123を備える場合、絶縁冷却液は、このような内部端子123とも接触して迅速に冷却することができる。このような過程を通じて、絶縁冷却液は、モジュールハウジング200内部のサブモジュール100を全体的に効果的に冷却することができる。バッテリーセル111において、熱が最も集中的に発生する箇所は電極リード111aであるため、このように本発明のバッテリーモジュールは、電極リード111aに対する効率的な冷却を可能にすることでバッテリーモジュールの全体的な冷却効率を向上させることができる。また、複数のバッテリーセル111から発生した電流が集まるバスバー122及び内部端子123でも熱が多量発生し得るため、本発明のバッテリーモジュールは、このような電気的接続部品に対する効率的な冷却を可能にすることで優れた冷却効率を奏することができる。
【0039】
緩衝パッド113は、隣接したバッテリーセル111同士の間に介在されてバッテリーセル111のスウェリングによる体積膨張を吸収することができる。
【0040】
フロントバスバーフレームアセンブリ120A及びリアバスバーフレームアセンブリ120Bは、それぞれセル積層体アセンブリ110の長手方向(X軸に平行な方向)の一側及び他側に結合されて複数のバッテリーセル111同士の間を電気的に接続する。フロントバスバーフレームアセンブリ120Aは、実施形態によって内部端子123を備え得、リアバスバーフレームアセンブリ120Bは内部端子123を備えないという点を除けば、実質的に同じ構造を有する。したがって、リアバスバーフレームアセンブリ120Bの具体的な構造についての詳しい説明は省略し、フロントバスバーフレームアセンブリ120Aの具体的な構造のみを集中的に説明する。
【0041】
図4図7を参照すると、フロントバスバーフレームアセンブリ120Aは、バスバーフレーム121及び複数のバスバー122を含む。フロントバスバーフレームアセンブリ120Aは、その外に一対の内部端子123をさらに含んでもよい。バスバーフレーム121は、セル積層体アセンブリ110の長手方向(X軸に平行な方向)の一側を覆う。
【0042】
バスバーフレーム121は、複数の冷却液孔121aを備える。冷却液孔121aは、フロントシーリングプレート300に備えられたインレットP1からモジュールハウジング200の内部に流れ込んだ絶縁冷却液がバスバーフレーム121を通過してセル積層体アセンブリ110側へと流動可能にする通路として機能する。
【0043】
このような機能に鑑みて、冷却液孔121aは、セル積層体アセンブリ110に備えられた流路スペーサ112に対応する位置に形成され得る。また、冷却液孔121aは、流路スペーサ112に対応するサイズを有し得る。
【0044】
フロントバスバーフレームアセンブリ120Aに形成された冷却液孔121aを通ってセル積層体アセンブリ110側に流れ込んだ冷却液は、矢印(図5及び図6を参照)方向に沿って流路スペーサ112に形成された冷却液流路112aを通ってリアバスバーフレームアセンブリ120B側へと移動する。リアバスバーフレームアセンブリ120B側に移動した絶縁冷却液は、リアバスバーフレームアセンブリ120Bに形成された冷却液孔121aを通ってリアシーリングプレート400側に流れ、リアシーリングプレート400に備えられたアウトレットP2からバッテリーモジュールの外部に排出される。この過程で絶縁冷却液は、バッテリーセル111の電極リード111aを含む電気的接続部品とは直接接触し、バッテリーセル111のボディとは間接接触してバッテリーモジュールの内部を冷却する。
【0045】
バスバー122は、バスバーフレーム121上に固定され、バスバーフレーム121に形成されたリードスリットを通って引き出された電極リード111aと結合されることで、複数のバッテリーセル111を電気的に接続させる。
【0046】
内部端子123は、バスバーフレーム121上に固定され、セル積層体アセンブリ110に備えられたバッテリーセル111のうち最外郭に位置したバッテリーセル111の電極リード111aと結合される。内部端子123は高電位端子として機能する。バスバーフレーム121の長手方向(Y軸に平行な方向)の一側に位置する内部端子123は正極高電位端子として機能し、バスバーフレーム121の長手方向の他側に位置する内部端子123は負極高電位端子として機能する。内部端子123は、後述する外部端子710(図8及び図9を参照)と電気的に接続される。
【0047】
バッテリーモジュールの内部に流れ込んだ絶縁冷却液は、フロントシーリングプレート300とフロントバスバーフレームアセンブリ120Aとの間の空間を満たし得、またリアシーリングプレート400とリアバスバーフレームアセンブリ120Bとの間の空間を満たし得る。これにより、絶縁冷却液は、熱が集中的に発生する部品である電極リード111a、バスバー122及び内部端子123と接触するようになって、これによりバッテリーモジュールを効率的に冷却することができる。
【0048】
一方、図5図6及び図7を参照すると、フロントバスバーフレームアセンブリ120Aのバスバーフレーム121及びリアバスバーフレームアセンブリ120Bのバスバーフレーム121は、上端及び下端にバスバーフレーム121の長手方向(Y軸に平行な方向)に沿って形成された複数のガイドリブ121bを備える。ガイドリブ121bは、セル積層体アセンブリ110に向かう方向に延びた形態を有する。ガイドリブ121bは、流路スペーサ112に対応する位置に形成される。
【0049】
一方、流路スペーサ112の長手方向(X軸に平行な方向)の両端部には、ガイドリブ121bに対応する位置に備えられて対応する形状を有する固定部112bが形成される。ガイドリブ121b及び固定部112bによって、流路スペーサ112の上下方向(Z軸に平行な方向)及び長手方向(X軸に平行な方向)への動きが制限される。これにより、セル積層体アセンブリ110にフロントバスバーフレームアセンブリ120A及びリアバスバーフレームアセンブリ120Bを結合するとき、結合位置がガイドできることで、組立便宜性が増大できる。
【0050】
図1図6を参照すると、モジュールハウジング200は、セル積層体アセンブリ110、フロントバスバーフレームアセンブリ120A及びリアバスバーフレームアセンブリ120Bを含むサブモジュール100を収容する。モジュールハウジング200は、長手方向(X軸に平行な方向)の一側及び他側が開放された形態を有する。
【0051】
図5図6図8及び図9を参照すると、フロントシーリングプレート300は、モジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の一側に形成された開口部を覆う。フロントシーリングプレート300は、絶縁冷却液の流入のためのインレットP1を備える。絶縁冷却液の漏洩を防止するため、フロントシーリングプレート300の周縁面とモジュールハウジング200の内面との間にはシーリング部材Gが介在され得る(図9を参照)。シーリング部材Gは、例えばガスケットであり得る。
【0052】
フロントシーリングプレート300は、フロントバスバーフレームアセンブリ120Aに備えられた内部端子123と後述する外部端子710との電気的接続のための部品が通過可能な一対の端子孔300aを備える。端子孔300aは、内部端子123に対応する位置に形成される。
【0053】
図6を参照すると、リアシーリングプレート400は、モジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の他側開口部を覆い、絶縁冷却液の排出のためのアウトレットP2を備える。フロントシーリングプレート300の場合と同様に、絶縁冷却液の漏洩を防止するため、リアシーリングプレート400の周縁面とモジュールハウジング200の内面との間にはシーリング部材Gが介在され得る。シーリング部材Gは、例えばガスケットであり得る。
【0054】
フロントシーリングプレート300及びリアシーリングプレート400は、電気的絶縁のために絶縁性樹脂から構成され得る。
【0055】
図8及び図9を参照すると、端子アセンブリ700は、フロントシーリングプレート300の外側に位置する外部端子710、及び外部端子710とバッテリーセル111との間を電気的に接続するスタッド720を含む。スタッド720は、内部端子123に固定される。スタッド720は、内部端子123を貫通して押込み方式によって内部端子123に固定され得る。内部端子123に固定されたスタッド720は、フロントシーリングプレート300に形成された端子孔300aを通って外部に引き出されて外部端子710と結合される。
【0056】
端子アセンブリ700は、フロントシーリングプレート300に形成された端子孔300aに挿入されるリング形状の端子スペーサ730をさらに含み得る。端子スペーサ730は、金属材質からなり得る。端子スペーサ730が備えられる場合、スタッド720は端子スペーサ730を貫通するようになる。
【0057】
端子アセンブリ700は、外部端子710をスタッド720に締結させるための締結ナット740をさらに含み得る。締結ナット740は、端子スペーサ730及び外部端子710の締結部712を貫通したスタッド720に締結されて、外部端子710の締結部712と端子スペーサ730に密着固定させる。これにより、内部端子123と外部端子710とは、端子スペーサ730を通じて相互に電気的に接続される。
【0058】
端子アセンブリ700は、端子スペーサ730の外周面を覆い、フロントシーリングプレート300の内面と内部端子123との間に介在される第1のOリング750をさらに含み得る。図9を参照すると、第1のOリング750は、フロントシーリングプレート300とバスバーフレーム121との間の空間に流れ込んだ絶縁冷却液が端子孔300aの内面と端子スペーサ730との間の空間を通ってフロントシーリングプレート300の外側に漏れないようにする。
【0059】
また、端子アセンブリ700は、内部端子123に押し込まれて内部端子123とバスバーフレーム121との間の空間に露出したスタッド720の周縁に位置し、内部端子123とバスバーフレーム121との間に介在される第2のOリング760をさらに含み得る。第2のOリング760は、フロントシーリングプレート300とバスバーフレーム121との間の空間に流れ込んだ絶縁冷却液が内部端子123とスタッド720との間の空間及び端子スペーサ730の内面とスタッド720との間の空間を通ってフロントシーリングプレート300の外側に漏れないようにする。
【0060】
図1図2図5及び図6を参照すると、フロントエンドプレート500は、フロントシーリングプレート300を覆いながらモジュールハウジング200に固定される。リアエンドプレート600は、リアシーリングプレート400を覆いながらモジュールハウジング200に固定される。
【0061】
フロントエンドプレート500は、外部端子710の連結部711をフロントエンドプレート500の外側に露出させる端子露出部500a、及びインレットP1をフロントエンドプレート500の外側に露出させるインレット露出部500bを備える。リアエンドプレート600は、アウトレットP2をリアエンドプレート600の外側に露出させるアウトレット露出部600bを備える。
【0062】
フロントエンドプレート500及びリアエンドプレート600が適用される場合、フロントエンドプレート500とモジュールハウジング200との結合部位、そしてリアエンドプレート600とモジュールハウジング200との結合部位には絶縁冷却液の漏洩を防止するためのガスケット(図示せず)が介在され得る。
【0063】
一方、本発明の他の一実施形態によるバッテリーパック及び自動車は、上述した本発明によるバッテリーモジュールを含む。バッテリーパックは、少なくとも一つの本発明によるバッテリーモジュール及び少なくとも一つのバッテリーモジュールを収容するパックハウジングを含む。バッテリーモジュールは、フロントエンドプレート500及び/またはリアエンドプレート600に形成された締結孔Hを通じてパックハウジングに締結され得る。すなわち、締結孔Hは、パックハウジングとバッテリーモジュールとの締結のためのボルトなどの締結手段が挿入される空間を提供し得る。一方、バッテリーパックが複数のバッテリーモジュールを含む場合、複数のバッテリーモジュール同士の締結がフロントエンドプレート500及び/またはリアエンドプレート600に形成された締結孔Hを通じても行われ得る。
【0064】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
100 サブモジュール
110 セル積層体アセンブリ
111 バッテリーセル
112 流路スペーサ
113 緩衝パッド
120A フロントバスバーフレームアセンブリ
120B リアバスバーフレームアセンブリ
121 バスバーフレーム
122 バスバー
123 内部端子
200 モジュールハウジング
300 フロントシーリングプレート
400 リアシーリングプレート
500 フロントエンドプレート
600 リアエンドプレート
700 端子アセンブリ
710 外部端子
711 連結部
712 締結部
720 スタッド
730 端子スペーサ
740 締結ナット
750 第1のOリング
760 第2のOリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9