(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】バッテリコンバータを動作させる方法、バッテリコンバータおよびシステム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20241111BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20241111BHJP
【FI】
H02M3/00 H
H02M7/48 R
H02M3/00 C
(21)【出願番号】P 2023513302
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 EP2021072424
(87)【国際公開番号】W WO2022043066
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】102020122686.1
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アンル,アレクサンダー
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/135975(WO,A1)
【文献】特開2011-036080(JP,A)
【文献】国際公開第2011/154306(WO,A2)
【文献】独国特許出願公開第102018119957(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 - 3/44
H02M 7/42 - 7/98
H02J 1/00 - 1/16
H02J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリコンバータに加えて、グリッドに接続されたインバータおよびDC負荷が、DCバスを介して共通の中間回路
であって、回路電圧を平滑化するための平滑回路である中間回路に接続されたシステムにおいて、前記バッテリコンバータを動作させる方法であって、
-コンバータ特性曲線に従って、前記共通の中間回路の電圧に基づいて、前記バッテリコンバータに接続されたバッテリを使用して、前記バッテリコンバータの交換電力を制御するステップと、
-前記中間回路の電圧が、前記インバータに接続された前記グリッドの許容AC電圧の整流値よりも低下していることを識別するステップと、
-前記
整流値よりも低下していることが識別された場合に、
前記バッテリを放電するときの交換電力である前記バッテリコンバータの最大放電電力が、前記整流値以上である
前記中間回路の電圧の値で達成されるよう
に、前記コンバータ特性曲線を一時的にシフトさせるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記整流値を少なくとも10%上回る限界電圧以下の中間回路の電圧の値に対して最大放電電力で前記バッテリが放電されるように、前記コンバータ特性曲線がシフトされることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記コンバータ特性曲線が、シフトされる前の中間回路電圧のDC公称値付近にデッドバンドを含み、シフトされたコンバータ特性曲線はデッドバンドがないことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
シフトされたコンバータ特性曲線の最大放電電力が、前記バッテリコンバータの最大許容連続放電電力を少なくとも20%上回るように、前記コンバータ特性曲線がシフトされることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
シフトされたコンバータ特性曲線の最大放電電力が、前記バッテリコンバータの最大許容連続放電電力を少なくとも50%上回ることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記コンバータ特性曲線が、前記システムのフォルトライドスルーの第2の期間に応じて選択される第1の期間、シフトされることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記第1の期間が、前記第2の期間以上となるように選択されることを特徴とする方法。
【請求項8】
バッテリに接続するための入力部を備え、かつグリッドに接続するように構成された出力部で交換電力を提供するように構成されたコントローラを備えるバッテリコンバータであって、前記交換電力が、前記出力部に印加される電圧に基づいて提供され、前記交換電力が、さらにコンバータ特性曲線に基づいて提供され、
前記コントローラが、インバータに接続されたグリッドの許容AC電圧の整流値を下回る前記出力部に印加される電圧の低下を識別するとともに、低下が識別された場合に、
前記バッテリを放電するときの交換電力である前記バッテリコンバータの最大放電電力が前記整流値以上である前記出力部に印加される電圧の値で達成されるように、前記コンバータ特性曲線を一時的にシフトさせるようにさらに構成されていることを特徴とするバッテリコンバータ。
【請求項9】
請求項8に記載のバッテリコンバータにおいて、
前記バッテリコンバータの出力部が、DCバスを介してDC負荷および前記インバータに接続されるようにさらに構成され、
前記DC負荷、前記インバータおよび前記バッテリコンバータが、前記DCバスを介して共通の中間回路
であって、回路電圧を平滑化するための中間回路に接続されていることを特徴とするバッテリコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリコンバータを動作させる方法、この方法を実行するように構成されたバッテリコンバータ、並びに、そのようなバッテリコンバータを有するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工業生産プラントなどのシステムにおいてDC負荷を動作させる場合、DC負荷は、共通のDCバスを介して給電される。このDCバスは、DC負荷を動作させるために必要な電力交換を確保するために、多くの場合、インバータを介してACグリッドに接続される。この場合、インバータは、中間回路を介してDCバスに接続され、DCバスの電圧を、この中間回路の中間回路電圧として、所定のDC公称値付近の許容電圧範囲内に留まるようにする。さらに、そのようなシステムは、インバータの能力を超える電圧変動や、インバータがDCバス電圧の調節を超える更なる制御タスク、特に接続されたグリッドの周波数や電圧の安定化などのグリッド電力サービスの提供を有することによって生じる電圧変動に対して、短期間の制御予備機能を提供するバッテリコンバータを有することが多い。この場合、バッテリコンバータは、中間回路電圧の関数として交換電力の公称値を規定した所定のコンバータ特性曲線を介して、主にDCバスとの交換電力を決定する。そして、バッテリコンバータのコントローラは、公称値に従って交換電力を設定する。通常、コンバータ特性曲線は、DCバス電圧のDC公称値付近にデッドバンドを有し、そのデッドバンドにおいて、バッテリコンバータは非アクティブである。本開示の範囲内において、「DC負荷」という用語は、純粋な負荷を意味するだけでなく、DCバスに一時的または恒久的に電力を供給するコンポーネントも含むものと理解される。
【0003】
システムの効率的な動作を可能にするために、DCバス電圧のDC公称値は、インバータに接続されたACグリッドの整流値を僅かに超える程度に設定することが望ましい。これは、インバータの変換損失を低減することができるからである。
【0004】
同時に、グリッドのためのグリッドサポートサービスを提供するために、上述したようなシステムに対する要求がますます高まっている。このグリッドサポート動作の一部として、インバータは、グリッド電圧の崩壊時に、少なくとも所定時間、グリッド上のグリッド電圧に関連する公称値(例えば、電圧振幅、周波数)の回復のために相対的に高い電流の位相補正供給によってグリッドをサポートすることを試みる必要がある。この動作はFRT(フォルトライドスルー)と呼ばれている。先行技術によれば、DC側にDCバス電圧も提供するインバータの場合、結果として、中間回路がかなり放電され、DCバスの電圧がグリッド電圧の公称値の整流値より低下する。特に、DCバス電圧のこのような降下は、DC公称値が整流値をほんの僅かに上回る場合、従来のコンバータ特性曲線を介して制御されるバッテリコンバータでは十分に対抗することができない。
【0005】
DCバス電圧が所定の整流値より低下した場合、グリッド電圧が突然完全に回復すると、インバータのブリッジ回路のフリーホイールダイオードを介してDCバスの放電された中間回路に制御不能な形で大電流が流れ込んで、それらが破壊される可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
よって、本発明の目的は、電圧源インバータ、DC負荷およびバッテリが接続されたバッテリコンバータを備えるシステムにおいて、FRTの事象の場合に突然戻るグリッド電圧がシステムを損傷しないように、バッテリコンバータの制御を適合させることにある。
【0007】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する方法、請求項8の特徴を有するバッテリコンバータ、並びに、請求項9の特徴を有するシステムによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0008】
一態様では、バッテリコンバータに加えて、グリッドに接続されたインバータおよびDC負荷が、DCバスを介して共通の中間回路に接続されたシステムにおいて、バッテリコンバータを動作させる本発明に係る方法は、
-コンバータ特性曲線に従って、中間回路の電圧に応じて、バッテリコンバータに接続されたバッテリを使用して、バッテリコンバータの交換電力を制御するステップと、
-中間回路の電圧が、インバータに接続されたグリッドの許容AC電圧の整流値よりも低下していることを識別するステップと、
-低下が識別された場合に、バッテリコンバータの最大放電電力が整流値以上である中間回路電圧の値で達成されるように、コンバータ特性曲線を一時的にシフトさせるステップとを備える。
【0009】
低下を識別することによって、バッテリコンバータは、外部からの明示的な信号がなくても、システムがFRT事象に直面する可能性があることを独立して認識することができる。この場合、バッテリコンバータの制御動作は、DCバスの電圧を、接続されたグリッドの許容AC電圧の整流値を超える電圧範囲内に予め設定された期間維持することを試みるという意味で変更される。これにより、FRT事象の終了後に許容グリッド電圧に急激に戻ることによって引き起こされるインバータ破損の危険性を回避することができる。通常の動作時、すなわち電圧低下が検出される直前は、DCバスとグリッドとの間に対応する交換電力を供給することによりDCバスの電圧を許容電圧範囲内に維持することがインバータのタスクとなる。バッテリコンバータは、コンバータ特性曲線を使用して、この制御をサポートする。
【0010】
好ましい実施形態では、低下が検出されたときに、整流値より少なくとも10%高い限界電圧以下の中間回路電圧の値に対して最大放電電力でバッテリが放電されるように、コンバータ特性曲線がシフトされる。その結果、追加の安全マージンが作り出されて、例えば、グリッド電圧の回復時に許容値を超える電圧振幅の短いオーバーシュートが発生した場合に、セーフガードが作られる。また、DC負荷、インバータ、または他のコンポーネントによってDCバスからの電力消費が一時的に増加した場合にも、より適切に補償することができる。
【0011】
そのような場合、シフトされたコンバータ特性曲線の最大放電電力が、バッテリコンバータの最大許容連続放電電力を少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%上回るようにコンバータ特性曲線をシフトすることによって、バス電圧の低下に反応する間、バッテリコンバータの制御予備機能をさらに改善することが可能である。この最大放電電力は短時間しか供給されないため、バッテリコンバータはこの過負荷に損傷することなく耐えることができる。
【0012】
好ましくは、シフトする前、コンバータ特性曲線は、中間回路電圧のDC公称値付近にデッドバンドを有し、シフト後のコンバータ特性曲線は、デッドバンドを有しない。この状態でシフトされた特性曲線にデッドバンドがあると、コンバータの制御特性を悪化させるか、またはシフトされた特性曲線に基づいてバッテリコンバータが制御する電圧範囲を不必要に広げるだけであるが、通常の動作におけるデッドバンドは、バッテリコンバータおよびそれに接続されたバッテリの実質的な負担を軽減する。
【0013】
有利には、コンバータ特性曲線は、第1の期間においてシフトされ、この第1の期間は、システムのFRTの第2の期間に応じて選択され、特に、第2の期間以上となるように選択される。これにより、バッテリコンバータは、FRT事象の全体にわたってDCバスサポート機能を提供することが保証される。この場合、FRT事象の第2の期間は、インバータがアクティブにグリッドをサポートして、グリッドと適切に電力交換することを試みるフェーズだけでなく、必要に応じて、例えばブリッジスイッチがアクティブにクロックされることなくインバータがグリッドにパッシブに接続されたまま維持されるフェーズも含む。このようなパッシブフェーズは、事前のアクティブサポートフェーズなしに、FRT事象を再現することもでき、数分間かかる場合がある。この期間内にグリッドが回復すると、インバータは、再び必要とされるグリッドとの接続プロセスの遅延なしに再びアクティブになり、グリッドとの適切に制御された電力交換を提供することができる。
【0014】
第2の期間が経過した後は、FRT事象が正常に解決されるか、またはインバータが接続されたグリッドから切断されるであろう。このようにして、システムは、バッテリコンバータによって、少なくとも一定期間、動作を継続することが可能である。この継続的な動作は、原則として、シフトされた特性曲線を使用するバッテリコンバータによってサポートされ得るが、特にインバータがグリッドから切断された後は、元のコンバータ特性曲線によってもサポートされ得る。
【0015】
本発明の更なる態様では、バッテリに接続するための入力部に加えて、バッテリコンバータは、コンバータ特性曲線に従って出力部に印加される電圧に応じて出力部に交換電力を提供するように構成されたコントローラを備える。コントローラは、インバータに接続されたグリッドの許容AC電圧の整流値を下回る出力部に印加される電圧の低下を識別し、低下が識別された場合、バッテリコンバータの最大放電電力が整流値以上の出力部に印加される電圧の値で達成されるように、コンバータ特性を一時的にシフトするようにさらに構成されている。上述した方法に関連して示された利点が得られる。
【0016】
本発明に係るシステムにおいて、そのようなバッテリコンバータは、DCバスを介してその出力部が共通の中間回路に接続される。中間回路には、DC負荷およびインバータも接続されている。インバータは特に、出力側がグリッドに接続され、DCバスが許容電圧範囲内で動作するように、グリッドを介して中間回路またはDCバスに交換電力を供給するように構成されている。バッテリコンバータは、特に、予め設定されたコンバータ特性曲線に従って、接続されたバッテリとの交換電力をさらに供給するという点で、インバータをサポートする。共通の制御目標を達成するために、インバータとバッテリコンバータとの間の直接的な通信は必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面によって本発明を説明する。
【
図1】
図1は、本発明に係る方法を実行するためのシステムを示している。
【
図2】
図2は、本発明に係る方法のフローチャートを示している。
【
図3】
図3は、コンバータ特性曲線および本発明に係る方法を実行する状況におけるそのシフトを示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、AC側がグリッド7に、DC側が中間回路3を介してDCバス8に接続されたインバータ2を含むシステム1の本発明に係る一実施形態を示している。図示の例では、中間回路3はインバータの一部であるが、システム1の独立したコンポーネントとすることも可能である。また、DCバス8には、DCバス8を介して電力が供給されるDC負荷6も接続されている。負荷の消費電力の変動とそれに伴うDCバス8の電圧変動を補償するために、バッテリ5もバッテリコンバータ4を介してDCバス8に接続されている。バッテリコンバータ4の制御は、DCバス電圧の各値についてバッテリ5との交換電力の公称値を規定するコンバータ特性曲線によって行われる。バッテリコンバータ4の交換電力は、公称値に従ってコントローラによって設定される。この場合、コンバータ特性曲線は必ずしも経時的に一定である必要はなく、例えば、バッテリ5の所望の充電状態を目指すために、バッテリ5の充電状態の関数として適合させることができる。
【0019】
さらに、コントローラは、DCバス8に印加される電圧が、インバータ2に接続されたグリッド7の許容AC電圧の整流値よりも低下したことを検出するとともに、低下が検出された場合、バッテリコンバータ4の最大放電電力が整流値12以上である出力部に印加される電圧の値で既に達成されるように、コンバータ特性曲線を一時的にシフトするよう構成される。そのような低下は、システム1の特別な動作状況を示すFRT事象によって引き起こされ得る。シフトされた特性曲線がDCバスとの交換電力を制御するためにバッテリコンバータによって使用される期間は、好ましくは、インバータ2が、例えば、グリッドの電圧低下を補償するためにグリッドオペレータの仕様に基づいてFRTの実行を試みる期間に従って選択することができる。このように、バッテリコンバータ4は、インバータ2とバッテリコンバータ4との間の直接的な通信を必要とせずに、FRTの実行をサポートする。
【0020】
図2は、本発明に係る方法のフローチャートを示している。第1のステップS1では、バッテリコンバータとこのバッテリコンバータに接続されたバッテリとの交換電力が、コンバータ特性曲線に従って中間回路の電圧に応じて制御される。これは、バッテリコンバータの通常動作モードに対応する。第2ステップS2では、バッテリコンバータが、中間回路に接続されたその出力端子の電圧を確認して、中間回路の電圧がインバータに接続されたグリッドの許容AC電圧の整流値より低下しているか否かを判定する。そのような低下が検出されない場合、本方法は、第1のステップS1に戻る。
【0021】
そのような低下が検出された場合、第3のステップS3において、コンバータ特性曲線が予め設定された電圧値だけシフトされ、それにより、特性曲線に従った交換電力が、予め設定された電圧値だけ高い中間回路電圧で達成されるようにする。第4のステップS4では、バッテリコンバータが、シフトされた特性曲線で予め設定された時間動作され、その後、コンバータ特性曲線が通常の動作モードの元の特性曲線にリセットされるとともに、本方法が第1のステップS1に戻る。この予め設定された時間は、電圧設定インバータがFRTモードで動作する最大期間に応じて選択することができ、それにより、バッテリコンバータは、シフトされたコンバータ特性曲線を使用して、FRT事象の全体にわたって中間回路の電圧をサポートする。他の原因によって中間回路電圧が一時的に低下した場合であっても、特性曲線の一時的なシフトが実行される。
【0022】
図3は、DCバスに接続されるバッテリコンバータの出力端子における電圧Uの関数として交換電力Pの公称値が示される、コンバータ特性曲線10を示している。コンバータ特性曲線10は、DC公称値14の周りに一定の電力(この場合はゼロ)を持つデッドバンドを有し、その両側に隣接する領域では、充電電力が増加する方向に電圧が増加するに連れて交換電力Pが増加する(または放電電力が減少する)。それらの領域は、最大許容連続充電電力に達するか、または最大許容連続放電電力の電圧が低下するために終了するが、何れの場合も、それらを超えることはない。その結果、バッテリコンバータの可変交換電力を有する電圧範囲が得られ、接続されたグリッドの許容AC電圧の整流値12が、図示の場合、この電圧範囲内となる。
【0023】
バッテリコンバータがその出力端子の電圧の低下を識別すると、バッテリコンバータは、コンバータ特性曲線10の代わりに、シフトされた特性曲線11を一時的に使用する。その結果、シフトされた特性曲線11は、コンバータ特性曲線10に対して、シフトされた特性曲線11についてのDCバス電圧Uの割り当てられた値が、最大許容連続充電電力と最大許容連続放電電力との間の交換電力Pの各値について、コンバータ特性曲線10よりも高いか、またはせいぜい同じであるという特徴を有している。同時に、バッテリコンバータの最大放電電力は、整流値12以上であるDCバス電圧の値で、既に達成されている。このように、バッテリコンバータは、整流値を下回るDCバス電圧の低下に対して、その能力に応じて動作する。
【0024】
コンバータ特性曲線10とは異なり、シフトされた特性曲線11は、デッドバンドを含まない。任意選択的には、シフトされた特性曲線は、最大許容連続放電電力に対して過負荷13によって増加される最大放電電力を有することができる。シフトされた特性曲線11は予め設定された期間だけ使用されるため、DCバスの電圧は、バッテリコンバータの損傷の危険性なしに、過負荷13によって追加的にサポートされ得る。シフトされた特性曲線11が最大放電電力に達する電圧は、DCバスの許容電圧範囲内にあることが好ましい。
【0025】
図3に示す特性曲線は、コンバータ特性曲線およびシフトされた特性曲線のプロファイルの例を示しているに過ぎない。プロファイルは、例えば、必ずしも直線的なセクションを有する必要はなく、シフトされた特性曲線の勾配は、必ずしもコンバータ特性曲線の勾配と一致する必要はない。最大許容連続充電電力と最大許容連続放電電力との間の交換電力Pの各値について、シフトされた特性曲線の割り当てられた電圧Uは、コンバータ特性曲線の割り当てられた電圧Uよりも上にある。これは、シフト15として矢印で示されている。代替的には、2つの特性曲線の各電圧値Uについて、シフトされた特性曲線の割り当てられた電力値Pは、コンバータ特性曲線に対して、より強い放電または低い充電の方向にシフトされた電力値を有するか、または、電力値Pが最大許容連続充電電力または最大許容連続放電電力に対応する場合、2つの特性曲線はせいぜい同一の電力値を有する。これは、シフト16として矢印で示されている。
【符号の説明】
【0026】
1 システム
2 インバータ
3 中間回路
4 バッテリコンバータ
5 バッテリ
6 負荷
7 グリッド
8 DCバス
10 特性曲線
11 特性曲線
12 整流値
13 過負荷
14 DC公称値
15 シフト
16 シフト
S1-S4 ステップ