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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】固定無線機及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20241111BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20241111BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W24/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023518659
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2022018109
(87)【国際公開番号】W WO2022234772
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021079269
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 弘一
(72)【発明者】
【氏名】伊東 啓樹
【審査官】松▲崎▼ 祐季
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-274616(JP,A)
【文献】中国実用新案第206022624(CN,U)
【文献】国際公開第2019/026375(WO,A1)
【文献】特開2011-193085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信における指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整する固定無線機であって、
当該無線機の設置方向、傾きを検出する検出部と、
前記検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき前記指向性アンテナのビーム方向を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、起動時に、前記検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき前記指向性アンテナのビーム方向を調整し、接続する上位装置からの指示により前記指向性アンテナのビーム方向を補正することを特徴とする固定無線機。
【請求項2】
前記検出部は、三軸センサであり、
前記制御部は、指向性アンテナのビーム角度とビーム幅を制御することでビーム方向を調整することを特徴とする請求項1記載の固定無線機。
【請求項3】
前記検出部には、温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサで検出された温度が特定のしきい値以上の温度になると、前記指向性アンテナのビーム方向の制御を行わず、無指向性とすることを特徴とする請求項1又は2記載の固定無線機。
【請求項4】
前記制御部は、接続する上位装置に指向性アンテナのビーム方向に関する情報を送信することを特徴とする請求項1又は2記載の固定無線機。
【請求項5】
請求項4記載の固定無線機を複数備え、前記複数の固定無線機に接続する上位装置を有する無線通信システムであって、
前記上位装置は、前記複数の固定無線機からの指向性アンテナのビーム方向に関する情報を受信して、前記複数の固定無線機によって形成される総合的なビームエリアを最適化するよう前記各固定無線機における指向性アンテナのビーム方向を個別に補正する指示を当該各固定無線機に送信し、
前記各固定無線機は、前記上位装置からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正することを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定無線機における指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整する無線通信システムに係り、特に、固定無線機の設置状態に応じて指向性ビーム制御を行う固定無線機及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
RRH(Remote Radio Head)、ROF(Radio Over Fiber)、DAS(Distributed Antenna System:分散型アンテナシステム)等のシステムに代表される、無線通信に対する3GPP(登録商標)(3rd Generation Partnership Project)、3GPP(登録商標) LTE無線規格に対応した光伝送装置がある。
【0003】
これら光伝送装置において、高速シリアル通信規格である、SERDES(SERializer/DESerializer)、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)などの技術を用いた、SlavePort光変換部、並びにMasterPort光変換部を保有し、光トランシーバを搭載し、親局(親機)と子局(子機)との間でデータ通信を行う機能を有するものがある。
【0004】
従来、指向性アンテナを備える無線機が、当該指向性アンテナを介して無線通信を行う無線通信システムにおいて、アンテナ張り出しを行う無線基地局アンテナ張出装置として、DAS装置又はROF装置がある。
【0005】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2014-150388号公報「無線通信装置、制御方法及び制御プログラム」(特許文献1)がある。
特許文献1には、指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整する無線通信システムにおいて、高速にビーム角度を調整可能な指向性制御方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-150388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の指向性アンテナを備える無線機では、ビル屋内、トンネル、地下等の閉空間に設置する際に、当該アンテナの指向性は固定、あるいは準固定であり、指向性アンテナのビーム方向の調整は個々に行わなければならず、調整に手間が掛かるという問題点があった。
【0008】
尚、特許文献1は、移動状態を取得する移動状態取得部から得られる移動情報に基づき、水平面に対する指向性アンテナの垂直方向の向きを決定する際の操作範囲を設定する方法が示されているが、無線機の設置状態に応じて自動的に指向性ビーム制御を行うことについての記載がない。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、固定無線機の設置状態に応じて自動的に指向性ビーム制御を行う固定無線機及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、無線通信における指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整する固定無線機であって、当該無線機の設置方向、傾きを検出する検出部と、検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき指向性アンテナのビーム方向を調整する制御部と、を備え、制御部が、起動時に、検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき指向性アンテナのビーム方向を調整し、接続する上位装置からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記固定無線機において、検出部が、三軸センサであり、制御部が、指向性アンテナのビーム角度とビーム幅を制御することでビーム方向を調整することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記固定無線機において、検出部には、温度を検出する温度センサを備え、制御部が、温度センサで検出された温度が特定のしきい値以上の温度になると、指向性アンテナのビーム方向の制御を行わず、無指向性とすることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記固定無線機において、制御部が、接続する上位装置に指向性アンテナのビーム方向に関する情報を送信することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記固定無線機を複数備え、複数の固定無線機に接続する上位装置を有する無線通信システムであって、上位装置が、複数の固定無線機からの指向性アンテナのビーム方向に関する情報を受信して、複数の固定無線機によって形成される総合的なビームエリアを最適化するよう各固定無線機における指向性アンテナのビーム方向を個別に補正する指示を各固定無線機に送信し、各固定無線機が、上位装置からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信における指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整する固定無線機であって、当該無線機の設置方向、傾きを検出する検出部と、検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき指向性アンテナのビーム方向を調整する制御部と、を備え、制御部が、起動時に、検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき指向性アンテナのビーム方向を調整し、接続する上位装置からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正するものとしているので、設置状態に応じて起動時に自動的に指向性ビーム制御を行い、更に上位装置からの指示で指向性ビーム補正を行うことができる効果がある。
【0016】
本発明によれば、検出部には、温度を検出する温度センサを備え、制御部が、温度センサで検出された温度が特定のしきい値以上の温度になると、指向性アンテナのビーム方向の制御を行わず、無指向性とする上記固定無線機としているので、熱を消費する指向性制御を停止して熱上昇を防止できる効果がある。
【0017】
本発明によれば、制御部が、接続する上位装置に指向性アンテナのビーム方向に関する情報を送信する上記固定無線機としているので、上位装置は接続する固定無線機のビーム方向の状況を容易に管理することができる効果がある。
【0018】
本発明によれば、上記固定無線機を複数備え、複数の固定無線機に接続する上位装置を有する無線通信システムであって、上位装置が、複数の固定無線機からの指向性アンテナのビーム方向に関する情報を受信して、複数の固定無線機によって形成される総合的なビームエリアを最適化するよう各固定無線機における指向性アンテナのビーム方向を個別に補正する指示を各固定無線機に送信し、各固定無線機が、上位装置からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正するものとしているので、複数の固定無線機によって総合的に形成されるビームエリアを上位装置が容易に最適化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本無線機を天井や壁に設置した場合のビームの垂直方向の広がりを示す本システムの概略図である。
図2】本無線機を壁に設置した場合のビームの水平方向の広がりを示す本システムの概略図である。
図3】子機の構成ブロック図である。
図4】子機の起動時の処理を示すフロー図である。
図5】子機のビーム設定処理を示すフロー図である。
図6】子機の上位設定指示の処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る固定無線機(本無線機)は、無線通信における指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整するものであり、検出部が、当該無線機の設置方向、傾きを検出し、制御部が、検出部で検出された設置方向及び傾きに基づき指向性アンテナのビーム方向を調整するようにしているので、設置状態に応じて自律的に指向性ビームの制御を行うことができるものである。
【0021】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、複数の本無線機に接続する上位装置を有する無線通信システムであって、上位装置が、複数の本無線機からの指向性アンテナのビーム方向に関する情報を受信して、複数の本無線機によって形成される総合的なビームエリアを最適化するよう各本無線機における指向性アンテナのビーム方向を個別に補正する指示を各本無線機に送信し、各本無線機が、上位装置からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正するものとしているので、複数の本無線機によって総合的に形成されるビームエリアを上位装置が容易に最適化できるものである。
【0022】
[本システム:図1,2]
本システムについて図1,2を参照しながら説明する。図1は、本無線機を天井や壁に設置した場合のビームの垂直方向の広がりを示す本システムの概略図であり、図2は、本無線機を壁に設置した場合のビームの水平方向の広がりを示す本システムの概略図である。尚、図1が加速度センサで設置方向を選択したイメージであり、図2がエリア設計や電力制御によるビームフォーミングを行ったエリア選択のイメージである。
本システムは、図1,2に示すように、サーバ等の上位装置1と、集約装置(親局装置/親機)2と、複数の本無線機(子局装置/子機)3と、複数の移動機4とを備えている。
上位装置1と親機2とは有線又は無線で接続し、親機2と子機3とは光ファイバーケーブル10等の有線ケーブルで有線接続し、子機3と移動機4とは無線接続している。
【0023】
図1,2に示すように、子機3を設置する場所に応じて、要求される指向性アンテナのビームは変化する。
例えば、図1に示すように、子機3を天井又は壁に設置した場合、いずれも下向きのビームとなるが、天井に設置する場合には垂直方向に大きく広がるビームが必要であり、壁に設置する場合には狭いビームで十分有効である。
また、図2に示すように、子機3を全て壁に設置する場合でも、設置場所の形状や奥行きに応じて、要求されるビームの水平方向の向きや広がりは異なる。
【0024】
本システムでは、子機3が、設置場所に応じて、指向性アンテナのビーム方向及び広がり(角度)を自律的に制御すると共に、上位装置1が、複数の子機3からの情報に基づいて、それぞれの子機3のビーム方向を個別に補正して、最適なビームエリアを形成するようにしている。
【0025】
[本システムの各部]
[上位装置1]
上位装置1は、サーバ等のコンピュータ装置で、複数の子機3、移動機4を管理している。
具体的には、上位装置1は、子機3の識別番号(子機ID)とその設置場所(ロケーション)を記憶し、子機3内の三軸センサで得られた子機3の傾き、設置方向の情報と、その情報によって制御される指向性アンテナのビーム方向の情報(角度方向[ビーム角度]、半値幅[ビーム幅])を子機3から取得して子機IDに関連付けて記憶している。
【0026】
また、上位装置1は、子機3の指向性アンテナのビーム方向(ビームフォーミング)を制御するため、ビーム方向を補正する指示を、親機2を介して子機3に送信する。
当該指示は、ビーム角度、ビーム幅のデータであってもよいし、運用しているビーム方向を補正する補正パラメータ(設定パラメータ)であってもよい。
上位装置1は、各子機3のビーム方向を個々に制御することで、子機3全体で形成されるビームエリアを最適化できるものである。
【0027】
[親機2]
親機2は、上位装置1と接続すると共に、複数の子機3と光ファイバーケーブル10で接続している。
親機2の通信インタフェース部は、子機3からの光信号を受信して電気信号に変換する光/電気変換部と、子機3向けの電気信号を送信用として光信号に変換する電気/光変換部とを備え、更に上位装置1との通信用のインタフェース部を備えている。
尚、上位装置1が行う処理を親機2で代わりに行うようにしてもよい。
【0028】
[子機3:図3
子機3は、地下街、ビル屋内の通路に沿って、天井、壁、床等に複数配置され、指向性アンテナを有し、近くを移動又は静止する移動機4と無線通信を行う。
そして、内蔵する三軸センサ(加速度センサ)で子機3の傾き、設置方向の情報を検出し、検出された情報に基づいて指向性アンテナのビーム方向(ビーム角度、ビーム幅)を調整する。
上述したように、子機3は、設置される場所によって傾きや設置方向が異なるため、本システムの子機3では、これらの情報に基づいて適切なビーム方向となるよう自律的に調整する。
【0029】
次に、子機3について図3を参照しながら説明する。図3は、子機の構成ブロック図である。
子機3は、図3に示すように、アンテナ部31と、無線処理本体部32と、無線処理部33と、センサ部34と、補正部(フォーミングパターン補正部)35と、フォーミングパラメータ選択部36と、復調部37と、変調部38と、有線インタフェース部39aと、有線インタフェース部39bとを有している。
【0030】
アンテナ部31は、指向性アンテナで、移動機4との間で無線の送受信を行う。
無線処理本体部32は、無線処理部33と、センサ部34と、補正部35と、フォーミングパラメータ選択部36と、復調部37と、変調部38と、有線インタフェース部39aと、有線インタフェース部39bとを内蔵している。
【0031】
無線処理部33は、A/D変換、D/A変換、RF信号変換の機能を備え、有線インタフェース部39aを介して親機2からの信号を入力して復調処理を行って受信し、更に変調処理を行ってアンテナ部31に出力して移動機4に送信する。
また、無線処理部33は、アンテナ部31から入力された移動機4からの信号を復調処理して受信し、更に変調処理して有線インタフェース部39bから親機2に送信する。
【0032】
無線処理部33は、フォーミングパラメータ選択部36から設定されるパラメータに従い、指向性アンテナのビームを形成する。
具体的には、補正部35で、センサ部34からの検出データに基づいて、垂直方向のビーム方向・幅が補正され、上位装置1からの指示のデータに基づいて、水平方向のビーム方向・幅が補正される。尚、上位装置1からの指示のデータで垂直方向のビーム方向・幅を補正してもよい。
【0033】
つまり、補正部35で、補正値によりパラメータが修正され、修正したらパラメータをフォーミングパラメータ選択部36が選択して、無線処理部33に設定して、上記のビームの方向・幅の補正が実現される。従って、補正部35は、フォーミングパターンを補正し、フォーミングパラメータ選択部36は、フォーミングパターンを選択するものである。
【0034】
センサ部34は、三軸センサ(加速度センサ)であり、子機3の傾き、設置方向の情報を検出する。センサ部34は、請求項で検出部としている。
また、センサ部34に温度センサを含め、特定のしきい値以上の温度になったか否かを検出する。この温度センサの検出結果も指向性アンテナのビーム方向制御に関係する。詳細は後述する。
【0035】
補正部35は、センサ部34からの傾き、設置方向の情報に基づいて垂直方向のビーム角度・幅の補正を行う補正値を取得する。補正部35には、レジストリ(対応テーブル)を備え、傾き、設置方向の情報に対応する補正値を出力するようになっている。つまり、補正部35で、指向性アンテナのビーム方向を形成するビームフォーミングパラメータにレジストリから得られる補正値を加算することになる。
【0036】
ここで、傾きは、子機3の傾き具合(傾き状態)を示す数値であり、設置方向は、天井、壁又は床等の設置位置から得られるアンテナが向けられた方向を示すものである。
つまり、補正部35は、ビームフォーミングパラメータに補正値を加算し、フォーミングパラメータ選択部36に加算されたフォーミングパラメータを出力する。
【0037】
また、補正部35は、センサ部34の温度センサが特定のしきい値以上の温度になったことを検出すると、指向性アンテナのビーム方向の制御を行わず、無指向性とする。
これは、例えば、天井近辺で熱がこもって特定のしきい値以上の温度になると、熱を消費する指向性制御を停止して、熱が上がらないようにするための措置である。
【0038】
フォーミングパラメータ選択部36は、無線で行うビーム形成(ビームフォーミング)のためのパラメータを選択して無線処理部33に設定する。
復調部37は、上位装置1からの設定パラメータを有線インタフェース部39aから入力して復調し、補正部35に出力する。
変調部38は、設定パラメータを変調して上位装置1向けの伝送用コードに変換して有線インタフェース部39bに出力する。
尚、補正部35、フォーミングパラメータ選択部36、復調部37、変調部38は、請求項では制御部としている。
【0039】
有線インタフェース部39aは、親機2からの光信号を入力し、電気信号に変更し、無線処理部33に出力すると共に、復調部37に設定パラメータの信号を出力する。
有線インタフェース部39bは、無線処理部33からの信号と変調部38からの設定パラメータの信号を入力し、電気信号を光信号に変換して親機2に送信する。
【0040】
[移動機4]
移動機4は、本システムで形成されるビームエリア内を移動して子機3と無線通信し、親機2を介して上位装置1或は上位装置1の先でネットワークを介して管理サーバで管理されるものである。
[光ファイバーケーブル10]
光ファイバーケール10は、無線データを光多重により通信する。
【0041】
[子機3の処理:図4~6]
次に、子機3における処理について図4~6を参照しながら説明する。図4は、子機の起動時の処理を示すフロー図であり、図4は、子機のビーム設定処理を示すフロー図であり、図6は、子機の上位設定指示の処理を示すフロー図である。
【0042】
[起動時の処理:図4
子機3の起動時の処理は、図4に示すように、センサ部34を起動して(S1)、ビーム設定処理を行い(S2)、処理を終了する。
ビーム設定処理については、図5を用いて説明する。
【0043】
[ビーム設定処理:図5
子機3のビーム設定処理は、図5に示すように、センサ部34からセンサ値を取得し(S11)、補正部35で補正値を計算し、レジストリ値を加算してフォーミングパラメータを求める(S12)。
そして、フォーミングパラメータ選択部36は、補正部35からの補正値が加算されたフォーミングパラメータを入力し、そのフォーミングパラメータを決定(選択)し、無線処理部33にパラメータを設定し(S13)、処理を終了する。
【0044】
[上位設定指示処理:図6
子機3の上位設定指示処理は、図6に示すように、有線インタフェース部39aから上位装置1の設定パラメータを復調部37が復調し(S21)、復調した設定パラメータで補正部35のレジストリ値を更新する(S22)。
そして、図5で説明したビーム設定処理を行い(S23)、処理を終了する。
【0045】
上述したように、上位装置1又は親機2は、子機3の設置場所が天井なのか壁なのかを子機3のセンサ部34から取得することができ、フォーミング用のパラメータ情報を設置場所の子機個別に指示することで、子機3のビーム補正情報を修正できるものである。
【0046】
上位装置1又は親機2は、複数の子機3全体で構築されるアンテナビームを把握して、各子機3のビームフォームで形成される全体的なビームエリアのバランスを調整してビームエリアを最適化するよう、各子機3に対してそれぞれビーム補正情報を修正する。
【0047】
本システムでは、子機3がセンサ部34で検出したセンサ情報で、例えば壁設置なら半値幅を絞り下方向、天井設置なら半値幅をできる限り広げるビーム制御を自律的に行うことができ、子機3の施工を容易にできる。
また、上位装置1又は親機2により、子機3の設置方向の情報や追加修正(水平方向のビームの向き、絞り、角度)を行うことが可能となる。
【0048】
本システムは、設置方向に制限がなく、加速度センサによって自律的にビーム方向を修正できるため、個別設定が不要で施工性が高く有利である。
また、本システムでは、エリアパーティション変更(ショッピングモールなどの、エリア区分けがしばしば変更になるような空間)は、必要に応じて子機3の指向性アンテナのビーム方向の微調整を上位装置1より実施すれば、設置後でも簡単に修正できるため、有利である。
【0049】
更に、本システムでは、天井設置は熱が逃げにくいという不利な場合もあり、温度センサを組み合わせることで、しきい値を超えた場合は指向制御回路をバイパスし、天井設置の場合は自律的に無指向に設定して発熱量を抑えることができるので有利である。
【0050】
[実施の形態の効果]
本無線機によれば、無線通信における指向性アンテナのビーム角度を自律的に調整するもので、センサ部34が、当該無線機の設置方向、傾きを検出し、補正部35が、センサ部34で検出された設置方向及び傾きに基づき指向性アンテナのビーム方向を調整するようにしているので、設置状態に応じて自律的に指向性ビームの制御を行うことができる効果がある。
【0051】
本システムによれば、複数の本無線機(子機)3に接続する上位装置1を有する無線通信システムであり、上位装置1が、複数の子機3からの指向性アンテナのビーム方向に関する情報を受信して、複数の子機3によって形成される総合的なビームエリアを最適化するよう各子機3における指向性アンテナのビーム方向を個別に補正する指示を各子機3に送信し、各子機3が、上位装置1からの指示により指向性アンテナのビーム方向を補正するものとしているので、複数の子機3によって総合的に形成されるビームエリアを上位装置1が容易に最適化できるものである。
【0052】
この出願は、2021年5月7日に出願された日本出願特願2021-079269を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、固定無線機の設置状態に応じて自動的に指向性ビーム制御を行う固定無線機及び無線通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0054】
1…上位装置、 2…親機、 3…子機、 4…移動機、 10…光ファイバーケーブル、 31…アンテナ、 32…無線処理本体部、 33…無線処理部、 34…センサ部、 35…補正部、 36…フォーミングパラメータ選択部、 37…復調部、 38…変調部、 39a,39b…有線インタフェース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6