(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】単一光子検出装置及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20241111BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20241111BHJP
H01L 31/107 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G01J1/42 H
H01L31/10 G
H01L31/10 B
(21)【出願番号】P 2023523181
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2021013926
(87)【国際公開番号】W WO2022080783
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0132506
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507302759
【氏名又は名称】ケーティー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミン ソ
(72)【発明者】
【氏名】シン、チョンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ、キョン-ウン
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-084877(JP,A)
【文献】特表2011-508869(JP,A)
【文献】国際公開第2019/050146(WO,A1)
【文献】特開2006-284202(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0048436(KR,A)
【文献】特表2013-539327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60
G01J 11/00
H01L 31/00-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一光子を検出する単一光子検出装置であって、
第1時点(t1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成するゲート信号生成部
;
前記ゲート信号を受信してガイガーモード(Geiger mode)で動作しながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t2)に出力する第1光子検出部;
及び
前記第1光子検出部による光子検出信号からダークカウントノイズを含むノイズ信号を減算してノイズ除去信号を出力する光子検出信号減算部;を含み、
前記第1光子検出部では、前記第1時点(t1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t2)に前記光子検出信号が出力されることを特徴とする単一光子検出装置。
【請求項2】
前記単一光子検出装置は、前記ダークカウントノイズを含むノイズ信号を出力する第2光子検出部;をさらに含み、
前記光子検出信号減算部は、前記第1光子検出部から前記光子検出信号を受信し、前記第2光子検出部から前記ノイズ信号を受信して前記ノイズ除去信号を出力することを特徴とする、請求項
1に記載の単一光子検出装置。
【請求項3】
前記第2光子検出部には、単一光子の入射無しでダークカウントノイズが持続的に発生するように、あらかじめ定められた基準値よりも高いバイアス電圧が印加されることを特徴とする、請求項
2に記載の単一光子検出装置。
【請求項4】
前記第1時点(t1)は、前記ダークカウントノイズのピーク値に対応する時点であり、
前記第2時点(t2)は、前記第1時点(t1)に後続して発生する前記光子検出信号のピーク値に対応する時点であることを特徴とする、請求項
2に記載の単一光子検出装置。
【請求項5】
前記単一光子検出装置では、前記第1時点(t1)及び前記第2時点(t2)の両方を含むことが可能に前記第1パルス幅(△P)を調整することを特徴とする、請求項1に記載の単一光子検出装置。
【請求項6】
前記単一光子検出装置には、前記第1光子検出部の温度を下げるための冷却システムが備えられず、
前記第1光子検出部は常温で駆動されることを特徴とする、請求項1に記載の単一光子検出装置。
【請求項7】
単一光子検出装置を駆動させる方法であって、
第1時点(t1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成するゲート信号生成段階
;
前記ゲート信号を受信して第1光子検出部をガイガーモード(Geiger mode)で駆動させながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t2)に出力させる光子検出段階;及び
前記第1光子検出部による光子検出信号からダークカウントノイズを含むノイズ信号を減算してノイズ除去信号を出力する光子検出信号減算段階;を含み、
前記
光子検出段階では、前記第1時点(t1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t2)に前記光子検出信号が出力されることを特徴とする単一光子検出装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一光子検出装置及び駆動方法に関し、より具体的には、単一光子検出装置で光子検出信号をダークカウントノイズから分離して検出可能にすることにより、前記単一光子検出装置を冷却システム無しで具現して常温駆動及び小型化が可能な単一光子検出装置及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有無線通信サービスが広く普及され、個人情報などに関する社会的認識が高まることに伴い、通信網に対する保安問題が重要課題として浮上している。特に、国、企業、金融などに関連した通信網における保安は、個人の問題を越えて社会的な問題に拡張されることがあり、保安の重要性がより強調されている。
【0003】
しかしながら、ハッキング手法の発達により、従来技術による保安通信は、外部攻撃によって通信内容が露出される危険性が大きくなっており、これを補完するための次世代保安技術として、非常に高い保安性を保障できる量子暗号通信が脚光を浴びている。
【0004】
かかる量子暗号通信では、量子特性を用いて保安性を保障するために単一光子(single photon)(或いは、これに準ずる類似単一光子(quasi-single photon))が用いられ、前記単一光子を検出するために単一光子検出装置(single photon detector)が用いられる。
【0005】
このとき、前記単一光子は非常に小さい光量を有するため、一般的な光検出器(Photo Detector)では検出が不可能であり、通常、アバランシェ光検出器(Avalanche Photo-Diode,APD)を用いて単一光子検出装置を構成する。
【0006】
ところが、
図1に見られるように、前記単一光子検出装置を駆動するために周期的なゲート信号を印加すると、前記単一光子検出装置では前記ゲート信号に対する応答信号を生成するが、背景雑音と呼ばれる前記応答信号は、単一光子による出力信号が最小値と最大値との間で変動する時点に発生することがあり、前記単一光子を検出することを難しくする。
【0007】
そこで、単一光子の検出のために、単一光子検出器の利得(gain)を高め、背景雑音以上と発生した単一光子検出信号だけを分離して単一光子検出を判別するのが一般的な方法である。しかし、この場合、利得の増加によって単一光子検出素子の内部に熱的ノイズが増加しながら、単一光子が入射しなかったにもかかわらず、単一光子検出信号と分別し難いダークカウントというノイズが発生することがある。特に、常温で単一光子検出器が駆動される場合にダークカウント(Dark Count)ノイズが多数発生することがあり、これを抑制するために、通常、冷却システムを用いて前記単一光子検出器を-40℃~-50℃までに冷却させる。
【0008】
しかしながら、前記冷却システムを用いる場合には、外部環境の変化によって単一光子検出装置の動作が影響を受け易くなる他、前記単一光子検出装置を小型化するのが非常に難しくなる。一方、前記単一光子検出装置を常温で駆動させる場合には、前記ダークカウントノイズが急増しながら単一光子が検出し難くなる問題がある。
【0009】
このため、量子暗号通信システムでは前記単一光子検出装置を冷却システム無しで駆動可能に具現して常温駆動及び小型化を可能にする方案が要求されているが、これに対する適切な解決法が未だ提示されずにいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために創案されたものであり、量子暗号通信システムにおいて前記単一光子検出装置を冷却システム無しで駆動しながらも、ダークカウントによる誤り発生を抑制し、常温駆動及び小型化を可能にする単一光子検出装置及び駆動方法を提供することを目的とする。
【0011】
その他、本発明の細部的な目的は、下に記載される具体的な内容から、この技術の分野における専門家や研究者に明らかに把握されて理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための本発明の一側面に係る単一光子検出装置は、単一光子を検出する単一光子検出装置であって、第1時点(t1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成するゲート信号生成部;及び、前記ゲート信号を受信してガイガーモード(Geiger mode)で動作しながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t2)に出力する第1光子検出部;を含み、前記第1光子検出部では、前記第1時点(t1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t2)に前記光子検出信号が出力されることを特徴とする。
【0013】
このとき、前記単一光子検出装置は、前記第1光子検出部による光子検出信号からダークカウントノイズを含むノイズ信号を減算してノイズ除去信号を出力する光子検出信号減算部;をさらに含んでよい。
【0014】
また、前記単一光子検出装置は、前記ダークカウントノイズを含むノイズ信号を出力する第2光子検出部;をさらに含み、前記光子検出信号減算部は、前記第1光子検出部から前記光子検出信号を受信し、前記第2光子検出部から前記ノイズ信号を受信して前記ノイズ除去信号を出力することができる。
【0015】
なお、前記第2光子検出部には、単一光子の入射無しでダークカウントノイズが持続的に発生するように、あらかじめ定められた基準値よりも高いバイアス電圧が印加されてよい。
【0016】
又は、前記第1時点(t1)は、前記ダークカウントノイズのピーク値に対応する時点であり、前記第2時点(t2)は、前記第1時点(t1)に後続して発生する前記光子検出信号のピーク値に対応する時点であってよい。
【0017】
また、前記単一光子検出装置では、前記第1時点(t1)及び前記第2時点(t2)の両方を含むことが可能に前記第1パルス幅(△P)を調整することができる。
【0018】
また、前記単一光子検出装置には、前記第1光子検出部の温度を下げるための冷却システムが備えられておらず、前記第1光子検出部は常温で駆動され得る。
【0019】
また、本発明の他の実施例に係る単一光子検出装置の駆動方法は、単一光子検出装置を駆動させる方法であって、第1時点(t1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成するゲート信号生成段階;及び、前記ゲート信号を受信して第1光子検出部をガイガーモード(Geiger mode)で駆動させながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t2)に出力させる光子検出段階;を含み、前記第1光子検出段階では、前記第1時点(t1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t2)に前記光子検出信号が出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
これにより、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置及び駆動方法では、単一光子検出装置で光子検出信号をダークカウントノイズから分離して検出可能にすることにより、前記単一光子検出装置を冷却システム無しで具現して常温駆動及び小型化が可能な単一光子検出装置及び駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明の実施例を提供し、詳細な説明と一緒に本発明の技術的思想を説明する。
【0022】
【
図1】従来技術による単一光子検出装置を例示する図である。
【0023】
【
図2】本発明の一実施例に係る量子暗号通信システムの構成図である。
【0024】
【
図3】本発明の一実施例に係る単一光子検出装置のブロック図である。
【0025】
【
図4】本発明の一実施例に係る単一光子検出装置の動作を説明する図である。
【0026】
【
図5】本発明の一実施例に係る単一光子検出装置の動作を説明する図である。
【0027】
【
図6】本発明の一実施例に係る単一光子検出装置の駆動方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有し得るところ、以下では特定実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
以下の実施例は、本明細書で記述された方法、装置及び/又はシステムに対する包括的な理解を助けるために提供される。ただし、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0030】
本発明の実施例を説明するとき、本発明に関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、後述される用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変わってよい。したがって、その定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきである。詳細な説明で使われる用語は単に本発明の実施例を記述するためのもので、決して制限的なものではない。特に断らない限り、単数形態の表現は複数形態の意味を含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを指すためのものであり、記述されたもの以外に1つ又はそれ以上の他の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0031】
また、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの構成要素は前記用語によって限定されるものではなく、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0032】
以下では、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置及び駆動方法に関する例示的な実施形態を、添付の図面を参照して順に説明する。
【0033】
まず、
図2には、本発明の一実施例に係る量子暗号通信システム10の構成図が例示されている。
図2に見られるように、本発明の一実施例に係る量子暗号通信システム10は、送信者11、受信者12及び量子チャネル13を含んで構成されてよく、前記送信者11と前記受信者12は前記量子チャネル13を通じて光信号を授受しながら量子暗号キーを生成して共有し、さらには前記量子暗号キーを用いて量子通信を行う。
【0034】
このとき、前記送信者11及び前記受信者121はサーバーであるか、前記サーバーと連結されるクライアント又は端末装置であってよく、又は、ゲートウェイ、ルータなどの通信用装備であるか、さらには移動性を有する携帯型装置であってもよく、その他にも、量子暗号キーを生成し共有して通信を行い得る様々な装置によって構成されてもよい。
【0035】
また、前記量子チャネル13は、前記送信者11と前記受信者12との間に備えられて光信号を伝達する。前記量子チャネル13は光ファイバ(optical fiber)を用いて構成されてもよいが、本発明が必ずしもそれに限定されず、その他にも、光信号を伝達できる媒体であれば前記量子チャネル13を構成するために用いられてよい。
【0036】
これにより、前記送信者11と前記受信者12は、BB84プロトコルなどの様々なプロトコルを用いて、前記光信号の位相、偏光などを用いて量子暗号キーを生成するために必要な情報を交換し、量子暗号キーを生成して共有し、攻撃者14の量子暗号キー奪取及びハッキング試みを効果的に防止可能になる。
【0037】
このとき、前記送信者11及び前記受信者12には、量子暗号キー分配装置(Quantum Key Distribution)及び量子暗号キー管理装置(Quantum Key Management)が備えられてよい。これにより、前記量子暗号キー分配装置(QKD)で量子キーストリームを生成して量子暗号キー管理装置(QKM)に提供すれば、前記量子暗号キー管理装置(QKM)では、量子暗号通信を行うサービス装置の要求規格に合わせて量子暗号キーを生成して前記サービス装置に提供する。これにより、前記サービス装置は、提供された量子暗号キーを用いて平文を暗号化して伝達したり復号化して量子暗号通信を行うことにより、通信システムの保安性を強化することができる。
【0038】
また、
図3には、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100のブロック図を例示している。ここで、前記単一光子検出装置100は、前記受信者12などにおいて単一光子(single photon)(或いは、それに準ずる類似単一光子(quasi-single photon))を検出するために用いられてよい。
【0039】
このとき、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100において、前記単一光子は非常に小さい光量を有するため、一般の光検出器(Photo Detector)では検出ができず、アバランシェ光検出器(Avalanche Photo-Diode,APD)をガイガーモード(Geiger mode)で動作させる構造とすることによって単一光子を検出できる。
【0040】
より具体的には、
図3に見られるように、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100は、第1時点(t
1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成するゲート信号生成部110と、前記ゲート信号を受信してガイガーモード(Geiger mode)で動作しながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t
2)に出力する第1光子検出部120を含んで構成されてよく、このとき、前記第1光子検出部120では前記第1時点(t
1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t
2)に前記光子検出信号が出力されることを特徴とする。
【0041】
より具体的には、前記ゲート信号生成部110では、第1時点(t1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成して前記第1光子検出部120に提供する。
【0042】
これにより、前記第1光子検出部120は前記ゲート信号を受信して動作しながら単一光子を検出して光子検出信号を出力する。
【0043】
ここで、前記第1光子検出部120は、アバランシェ光検出器(Avalanche Photo-Diode,APD)を用いて構成されてもよいが、本発明が必ずしもこれに限定されない。
【0044】
これにより、前記アバランシェ光検出器(APD)に周期的なゲート信号が印加されながら、前記アバランシェ光検出器(APD)はガイガーモード(Geiger mode)で動作しながら出力信号を生成する
【0045】
ここで、前記第1光子検出部120が単一光子(single photon)(或いは、それに準ずる類似単一光子(quasi-single photon))を受信する場合に、前記第1光子検出部120は前記単一光子による光子検出信号を出力する。
【0046】
このとき、前記第1光子検出部120では前記第1時点(t1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t2)に前記光子検出信号を出力することにより、前記単一光子による光子検出信号が前記ダークカウントノイズによるノイズ信号と離隔して出力され、よって、前記ダークカウントノイズなどのノイズが発生しても前記光子検出信号を識別して単一光子を検出することができる。
【0047】
なお、
図3に見られるように、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100は、ダークカウントノイズを含むノイズ信号を出力する第2光子検出部130及び前記第1光子検出部120による光子検出信号からダークカウントノイズを含むノイズ信号を減算してノイズ除去信号を出力する光子検出信号減算部140をさらに含んでもよい。
【0048】
これにより、
図4に見られるように、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100では、前記第1単一光子検出部120から出力される光子検出信号からダークカウントノイズを含むノイズ信号を分離して検出することにより、前記単一光子検出装置100を冷却システム無しで具現して常温駆動及び小型化を可能にしながらも、単一光子が検出可能になる。
【0049】
より具体的には、
図4の(a)に見られるように、従来では通常、単一光子検出器(APD)を駆動するためのゲートパルスを印加するとき、単一光子が入射するタイミングを、単一光子検出信号が最大限に発生し得るポイントに位置させるようにし、さらには、量子チャネル13の温度変化などによって前記単一光子の入射タイミングが多少変動してもそれに対する単一光子検出を極力安定させるために、第1パルス幅(△P)を有するゲート信号の中心点に対応する第1時点(t
1)に前記単一光子が入射するように調整した。
【0050】
したがって、従来は、前記単一光子検出器(APD)でダークカウントノイズの発生を極力抑制する必要があり、そのため、前記単一光子検出器(APD)の内部温度を-40~-50℃まで冷却させてダークカウントノイズを抑制できるように冷却システムが必須に備えられる必要があった。
【0051】
これに対し、
図4の(b)に見られるように、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100では、第1光子検出部120が前記ゲート信号を受信してガイガーモード(Geiger mode)で動作しながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t
2)に出力し、この時、前記第1光子検出部120では前記第1時点(t
1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t
2)に前記光子検出信号が出力されるようにすることにより、前記単一光子による光子検出信号が前記ダークカウントノイズによるノイズ信号と離隔して出力され、よって、前記ダークカウントノイズなどのノイズが発生しても前記光子検出信号を識別して単一光子を検出可能になる。
【0052】
このとき、
図4に見られるように、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100において、前記第2時点(t
2)は、前記第1時点(t
1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)だけ遅れた時点に調整することが好ましい。
【0053】
また、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100では、前記光子検出信号が出力される第2時点(t2)を、前記第1光子検出部120で発生するダークカウントノイズの発生時点を考慮して離隔させてもよい。
【0054】
より具体的には、前記第1時点(t1)は、前記ダークカウントノイズのピーク値に対応する時点であり、前記第2時点(t2)は、前記第1時点(t1)に後続して発生する前記光子検出信号のピーク値に対応する時点であってよい。
【0055】
なお、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100では、前記第1時点(t1)及び前記第2時点(t2)を全て含み得るように前記第1パルス幅(△P)を調整してもよい。
【0056】
より具体的には、
図4に見られるように、前記ダークカウントノイズのピーク値に対応する第1時点(t
1)と前記光子検出信号のピーク値に対応する第2時点(t
2)との離隔が十分でないと、本発明において単一光子検出装置100は前記単一光子を効率的に検出し難く、よって、前記第2時点(t
2)は、前記第1時点(t
1)から適切に離隔するように調整されることが好ましく、これに応じて、前記第1パルス幅(△P)も前記第1時点(t
1)及び前記第2時点(t
2)を含み得るように調整することにより、前記単一光子に対する検出効率を改善することが可能である。
【0057】
これにより、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100では、前記第1単一光子検出部120から光子検出信号が出力される第2時点(t2)を前記第1時点(t1)から遅延させ、前記ゲート信号の第1パルス幅(△P)を調整することにより、前記単一光子検出装置100での単一光子検出効率を改善することも可能である。
【0058】
また、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100には、
図5に見られるように、前記ダークカウントノイズを含むノイズ信号を出力する第2光子検出部130と、前記第1光子検出部120による光子検出信号からダークカウントノイズを含むノイズ信号を減算してノイズ除去信号を出力する光子検出信号減算部140が含まれてよい。
【0059】
これにより、前記光子検出信号減算部140は、前記第1光子検出部120から前記光子検出信号を受信し、前記第2光子検出部130から前記ノイズ信号を受信して前記ノイズ除去信号を出力することができる。
【0060】
このとき、前記第2光子検出部130では単一光子の入射を遮断しながらダークカウントノイズが持続的に発生し得るように、あらかじめ定められた基準値よりも高いバイアス電圧が印加される構造とすることができる。
【0061】
これにより、
図5に見られるように、光子検出信号減算部140では、前記第1光子検出部120から前記光子検出信号を受信し、前記第2光子検出部130から前記ノイズ信号を受信して、前記光子検出信号から前記ノイズ信号が減算されたノイズ除去信号を出力可能になる。
【0062】
これにより、
図5に見られるように、前記光子検出信号減算部140から出力されるノイズ除去信号は、前記ダークカウントノイズ(Dark Count Noise)の他に背景信号ノイズ(Background Signal Noise)も除去可能であり、よって、既存には検出し難かった弱い光子検出信号までも検出し、検出効率を増大させ得るという長所がある。
【0063】
なお、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置100では、前記第1光子検出部120を常温で駆動させ、ダークカウントノイズが発生しても単一光子を効果的に検出でき、これにより、前記第1光子検出部120の温度を下げるための冷却システムを備えずに小型化して具現することも可能になる。
【0064】
また、
図6には、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置の駆動方法のフローチャートを例示している。
図6に見られるように、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置の駆動方法は、単一光子検出装置を駆動させる方法であって、第1時点(t
1)を中心点にして第1パルス幅(△P)を有するゲート信号を生成するゲート信号生成段階(S110)、及び前記ゲート信号を受信して第1光子検出部をガイガーモード(Geiger mode)で駆動させながら単一光子を検出して光子検出信号を第2時点(t
2)に出力させる光子検出段階(S120)を含み、ここで、前記第1光子検出段階(S120)では、前記第1時点(t
1)からあらかじめ定められた時間間隔(△T)で離隔した第2時点(t
2)に前記光子検出信号が出力されることを特徴とする。
【0065】
このとき、前記本発明の一実施例に係る単一光子検出装置の駆動方法については、前述した単一光子検出装置100及び
図2~
図5の説明を参照でき、その詳細な説明の反復は省略する。
【0066】
また、本発明のさらに他の側面に係るコンピュータプログラムは、前述した単一光子検出装置の駆動方法の各段階をコンピュータで実行させるためにコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムであることを特徴とする。前記コンピュータプログラムは、コンパイラーによって作られる機械語コードを含むコンピュータプログラムの他、インタープリターなどを用いてコンピュータで実行可能な高級言語コードを含むコンピュータプログラムであってもよい。このとき、前記コンピュータは、パーソナルコンピューター(PC)又はノートパソコンなどに限定されず、サーバー、通信用装備、スマートフォン、タブレットPC、PDA、携帯電話などの、中央処理装置(CPU)を備えてコンピュータプログラムを実行できるいかなる情報処理装置であってもよい。また、前記コンピュータ可読媒体は、電磁的記録媒体(例えば、ROM、フラッシュメモリーなど)、マグネチック記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的読取り媒体(例えば、CD-ROM、DVDなど)及びキャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した転送)のようにいかなるコンピュータ可読記憶媒体も含む。
【0067】
これにより、本発明の一実施例に係る単一光子検出装置及び駆動方法では、単一光子検出装置で光子検出信号をダークカウントノイズから分離して検出できるようにすることにより、前記単一光子検出装置を冷却システム無しで具現して常温駆動及び小型化が可能な単一光子検出装置及びその駆動方法を提供することができる。
【0068】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に記載された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、そのような実施例に限定されるものではない。本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある技術思想はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。