(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】修理地点送信装置及び修理地点送信方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241111BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G06Q10/20
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2023529141
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 IB2021000422
(87)【国際公開番号】W WO2022269304
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 友希
(72)【発明者】
【氏名】高木 徹
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-155149(JP,A)
【文献】特開2019-168927(JP,A)
【文献】特開2016-090294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両又は前記車両のユーザから取得した情報に基づいて登録された登録地点を記憶する記憶部と、
前記車両の所定の異常に関する異常レベルを示すデータが入力される異常レベル入力部と、
前記所定の異常が検知された前記車両の対象部品の修理又は交換を行う修理地点の修理地点データを取得する修理地点取得部と、
前記修理地点取得部によって取得された前記修理地点データを外部装置に送信する送信部と、を備え、
前記修理地点取得部は、
前記修理地点における前記対象部品の交換部品の在庫状況
及び予約状況を取得し、
前記異常レベル
が所定値以上である場合には、前記予約状況
に基づいて、前記修理地点データを取得
し、
前記異常レベルが前記所定値未満である場合には、前記在庫状況に基づいて、前記修理地点データを取得する修理地点送信装置。
【請求項2】
前記車両の現在位置を取得する位置取得部と、をさらに備え、
前記修理地点取得部は、前記登録地点を起点とした前記修理地点の前記修理地点データを取得するか、前記現在位置を起点とした前記修理地点の前記修理地点データを取得するかを前記異常レベルに応じて決定する請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項3】
前記登録地点は、前記ユーザが入力した地点、前記車両の目的地、出発地、経由地、前記車両の過去の走行履歴に基づく地点、又は、前記車両を管理する営業地点である請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項4】
前記ユーザが入力した地点は、前記ユーザが管理するスケジュールに入力された地点である請求項3に記載の修理地点送信装置。
【請求項5】
前記修理地点取得部は、前記異常レベルが所定値未満である場合、前記登録地点を起点とした前記修理地点の前記修理地点データを取得する請求項2に記載の修理地点送信装置。
【請求項6】
前記修理地点取得部は、前記異常レベルが所定値以上である場合、前記現在位置を起点とした前記修理地点の前記修理地点データを取得する請求項2又は5に記載の修理地点送信装置。
【請求項7】
前記異常レベルは、前記異常の異常種別に応じた前記異常の重大度である請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項8】
前記異常レベルは、前記異常を修理せずに前記車両が走行可能な距離、時間若しくは範囲である走行可能条件に基づいて設定される請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項9】
前記修理地点取得部は、前記異常レベルに応じて、前記登録地点又は前記現在位置から近い順に前記修理地点の優先順位を決定し、
前記送信部は、前記優先順位を含めて前記修理地点データを前記外部装置に送信する請求項2に記載の修理地点送信装置。
【請求項10】
前記異常レベルを判定する異常レベル判定部をさらに備え、
前記異常レベル判定部は、前記異常の対象となる対象部品を推定する対象部品推定部を備え、
前記送信部は、前記対象部品を表示させる制御指示を前記外部装置に送信する請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項11】
前記異常レベルを判定する異常レベル判定部をさらに備え、
前記異常レベル判定部は、
前記異常が検知された前記車両の外部にある装置又はデータベースから前記車両の車両データを取得し、
取得された前記車両データに基づいて、前記異常レベルを判定する請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項12】
前記修理地点取得部は、
前記修理地点における前記対象部品の交換部品の在庫状況を取得し、
前記異常レベルが所定値未満である場合には、前記登録地点を起点とした前記修理地点のうち、前記在庫状況に基づいて、前記交換部品の在庫がある又は前記交換部品の入庫までに必要な日数が最も短い前記修理地点の前記修理地点データを取得し、
前記送信部は、前記登録地点を表示させる制御指示を前記外部装置に送信する請求項10に記載の修理地点送信装置。
【請求項13】
前記車両の現在位置を取得する位置取得部と、をさらに備え、
前記修理地点取得部は、
前記修理地点における予約状況を取得し、
前記異常レベルが所定値以上である場合には、前記予約状況に基づいて、前記現在位置を起点として前記車両が走行可能な距離又は時間の範囲内における前記修理地点の中で、即時予約が可能又は最も早い時間で対応可能な前記修理地点の前記修理地点データを取得し、
前記送信部は、前記修理地点を表示させる表示指示を前記外部装置に送信する請求項1に記載の修理地点送信装置。
【請求項14】
前記修理地点取得部は、前記異常レベルが所定値以上、かつ、前記異常が検知された時点の前記車両の前記現在位置から前記車両が走行可能な距離又は時間が閾値以下である場合には、法律上停車可能で安全な緊急停車地点の緊急停車地点データを取得し、
前記送信部は、前記緊急停車地点に停車させる停車指示を前記外部装置に送信する請求項2に記載の修理地点送信装置。
【請求項15】
前記送信部は、前記異常レベルが所定値以上、かつ、前記異常が検知された時点の前記車両の前記現在位置から前記車両が走行可能な距離又は時間が閾値以下である場合には、出張修理サービス提供者に連絡し、前記車両が走行可能な距離又は時間を前記出張修理サービス提供者に送信する請求項14に記載の修理地点送信装置。
【請求項16】
前記記憶部は、前記送信部によって前記出張修理サービス提供者に連絡された場合、前記車両のユーザと前記出張修理サービス提供者とによる通話の音声から特定される前記ユーザと前記出張修理サービス提供者との合流地点を前記登録地点として記憶する請求項15に記載の修理地点送信装置。
【請求項17】
車両又は前記車両のユーザから取得した情報に基づいて登録された登録地点を記憶する記憶部と、
前記車両に所定の異常が検出されたか否かを判定する異常検知部と、
前記車両に前記所定の異常が検出されたと判定された場合に、前記所定の異常に関する異常レベル
を判定する異常レベル判定部と、
判定された前記異常レベルを示すデータが入力される異常レベル入力部と、
前記所定の異常が検知された前記車両の部品の修理又は交換を行う修理地点の修理地点データを取得する修理地点取得部と、
前記修理地点取得部によって取得された前記修理地点データを外部装置に送信する送信部と、
前記車両の現在位置を取得する位置取得部と、を備え、
前記修理地点取得部は、前記登録地点を起点とした前記修理地点の前記修理地点データを取得するか、前記現在位置を起点とした前記修理地点の前記修理地点データを取得するかを前記異常レベルに応じて決定する修理地点送信装置。
【請求項18】
修理地点送信装置によって実行される修理地点送信方法であって、
前記修理地点送信装置は、
車両又は前記車両のユーザから取得した情報に基づいて登録された登録地点を記憶し、
所定の異常が検知された前記車両の対象部品の修理又は交換を行う修理地点における前記対象部品の交換部品の在庫状況
及び予約状況を取得し、
前記車両の前記所定の異常に関する異常レベルを示すデータが入力され、
前記異常レベル
が所定値以上である場合には、前記予約状況
に基づいて、前記修理地点の修理地点データを取得
し、
前記異常レベルが前記所定値未満である場合には、前記在庫状況に基づいて、前記修理地点データを取得し、
取得された前記修理地点データを外部装置に送信する修理地点送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修理地点送信装置及び修理地点送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザの所有する自動車の部品等のデータと整備履歴とを蓄積する自動車管理テーブルを、整備経過状況に対応した劣化度の汎用テーブルと照合して、点検すべき個所又は整備すべき部材があるか否かを判定し、点検すべき個所又は整備すべき部材がある場合には、これを自動車のユーザに通知する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の技術は、ユーザに、直ちに自動車の点検等を希望するか否かを問い合わせ、早急な自動車の点検等の希望が入力された場合には、現在の自動車の位置に基づいて検索された最寄りの整備場所を通知し、早急な自動車の点検等の必要なしとの希望が入力された場合には、ユーザの住所に基づいて検索された最寄りの整備場所を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ユーザは、車両の異常レベルの大きさを把握していない状態で、早急な自動車の点検等を希望するか否かユーザに選択させているため、早急な修理を必要としないような異常レベルでも、車両の現在位置から最寄り整備場所がユーザに通知されてしまう。そのため、ユーザに提供される修理地点の情報が、車両の異常レベルに応じた情報になっていないという問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、車両の異常レベルに応じた、修理地点の情報をユーザに提供できる修理地点送信装置及び修理地点送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両又は車両のユーザから取得した情報に基づいて登録された登録地点を記憶し、車両の所定の異常に関する異常レベルを示すデータが入力され、登録地点を起点とした、所定の異常が検知された車両の部品の修理又は交換を行う修理地点の修理地点データを取得するか否かを異常レベルに応じて決定し、決定された修理地点の修理地点データを取得し、取得された修理地点データを外部装置に送信することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の異常レベルに応じた、修理地点の情報をユーザに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る修理地点送信装置の一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る修理地点送信方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図3A】
図3Aは、実施例1に係る修理地点提示の具体例を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、実施例1に係る修理地点提示の具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例2に係る修理地点送信装置の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例2に係る修理地点送信方法を示すフローチャート図である。
【
図6】
図6は、実施例2に係る故障部品提示の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例3に係る修理地点送信装置の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例3に係る修理地点送信方法を示すフローチャート図である。
【
図9A】
図9Aは、実施例3に係る修理地点提示の具体例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、実施例3に係る修理地点提示の具体例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例4に係る修理地点送信装置の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例4に係る修理地点送信方法を示すフローチャート図である。
【
図12】
図12は、実施例4に係る緊急停車地点提示の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る修理地点送信装置の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態における修理地点送信装置100の一例を示す構成図である。
図1に示すように、修理地点送信装置100は、電気通信回線網を構成するネットワークを介して車両2と接続されている。修理地点送信装置100は複数の車両と接続されていてもよい。また、修理地点送信装置100は、ネットワークを介して外部端末3と接続されている。修理地点送信装置100は複数の外部端末3と接続されていてもよい。修理地点送信装置100は、ネットワークを介して、車両2から車両データを取得し、車両2及び/又は外部端末3から地理的位置データを取得する。修理地点送信装置100は、サーバ1と、地理的位置データベース4と、修理地点データベース5と、を備える。
【0011】
サーバ1は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備えており、このコンピュータはプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。地理的位置データベース4は、地理的位置データを含む地図データベースである。
地理的位置データは、例えば、緯度経度や標高等の情報に、地名や名称などのテキスト情報が付加されたものである。地理的位置データベース4は、POIの地理的位置データを含む。
【0012】
修理地点データベース5は、修理地点に関する修理地点データを格納するデータベースである。修理地点は、異常が検知された車両の部品の修理又は交換を行う場所であって、例えば、ディーラーの店舗及び修理工場を含む。修理地点データは、修理地点ごとに、修理地点の位置データ及び修理サービス提供者のデータを含む。また、修理地点データは、店舗を構える修理地点のデータ、例えば、修理店舗がある場所の緯度経度及び修理店舗名だけでなく、店舗を構えていないが修理サービスを実施している修理サービス提供者の場所の緯度経度及び修理サービス提供者の情報を含む。サーバ1は、地理的位置データベース4から地理的位置データを取得し、修理地点データベース5から修理地点データを取得する。本実施形態では、地理的位置データベース4と修理地点データベース5は、修理地点送信装置100に記憶されたデータベースであるとしているが、これに限らず、修理地点送信装置100の外部のデータベースであってもよい。
【0013】
サーバ1は、機能ブロックとして、位置取得部10と、記憶部20と、異常検知部30と、異常レベル判定部40と、異常レベル入力部50と、修理ルート演算部60と、修理地点取得部70と、送信部80と、を含んで構成され、上記各機能を実現する又は各処理を実行するためのソフトウェアと、ハードウェアとの協働により各機能を実行する。なお、本実施形態では、サーバ1が有する機能を8つのブロックとして分けた上で、各機能ブロックの機能を説明するが、サーバ1の機能は必ずしも8つのブロックに分ける必要はなく、7つ以下の機能ブロック、あるいは、9つ以上の機能ブロックで分けてもよい。
【0014】
サーバ1は、車両2の現在位置を取得する。サーバ1は、登録地点及び修理地点を記憶する。登録地点は、車両2又は車両2のユーザから取得した情報に基づいて登録される。また、サーバ1は、車両2の所定の異常を検知し、所定の異常が検知された場合に、所定の異常に関する異常レベルを判定する。そして、サーバ1は、判定された異常レベルを示すデータが入力される。
【0015】
サーバ1は、異常レベルに応じて、取得する修理地点の修理地点データを決定し、取得された修理地点データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。取得する修理地点は、ユーザに提示するための修理地点である。本実施形態では、サーバ1は、異常レベルに応じて、登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得するか否かを決定する。登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得すると決定された場合には、サーバ1は、登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得する。登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得すると決定されない場合、すなわち、現在位置を起点とした修理地点の修理地点データを取得すると決定される場合には、サーバ1は、現在位置を起点とした修理地点の修理地点データを取得する。
【0016】
登録地点又は現在位置を起点とした修理地点は、登録地点又は現在位置から所定範囲内に位置する修理地点であり、例えば、所定の走行距離又は走行時間内に位置する修理地点である。また、登録地点又は現在位置を起点とした修理地点は、登録地点又は現在位置から距離が近い順に所定の順番以内に位置する修理地点であってもよい。なお、外部端末3は、車両2のユーザが使用する端末装置であり、例えばスマートフォンやPCなど任意のデバイスでもよい。外部端末3は、受信された修理地点データをユーザに表示する。車両2のユーザは、車両2を使用する者、車両2を保有する者及び車両2を管理する者を含む。ユーザは、個人であっても法人であってもよい。また、サーバ1は、修理地点データを複数の外部端末3に送信してもよい。また、車両2は、ナビゲーション装置を有する。車両2は、受信された修理地点データを、ナビゲーション装置を介してユーザに表示する。
【0017】
車両の異常とは、車両が故障している状態又は車両の故障に繋がる可能性がある状態である。車両の異常は、車両の走行に影響するもの及び車両の走行に影響しないものを含む。例えば、車両の異常には、走行に影響する車両のエンジンの異常や、走行に影響しないパワーウィンドウの動作不良を含む。車両の異常は、例えば、車両の部品の異常を示すDTCコード等の故障コードで定義される。また、車両の異常は、車両2の定期交換すべき対象部品が交換されていない状態を含む。
【0018】
異常レベルとは、車両2における異常の重大度を表す指標であり、例えば、車両の走行に影響する度合に応じて、異常レベルが高いか低いかで2値化されたものである。具体的には、異常レベルは、異常の異常種別に応じた異常の重大度として設定されている。異常種別は、故障が発生すると予測される不具合の部品とその現象に関する内容を表す。異常種別は、例えば、故障コードで特定される種別である。また、異常レベルは、車両2の異常を修理せずに車両2が走行可能な距離、時間又は範囲等の定量的な走行可能条件を基準として設定されるものとしてもよい。例えば、異常が検知された車両2の走行可能な距離が所定距離以上であると判定される場合には、異常レベルが「低い」と判定され、所定距離未満であると判定される場合には、異常レベルが「高い」と判定される。また、異常レベルは、2値化されたものに限らず、2以上の閾値によって3以上の種別に区分されたものであってもよい。
【0019】
また、サーバ1は、現在位置及び/又は登録地点を起点とした修理地点まで走行する走行ルートを修理ルートとして演算する。サーバ1は、演算された修理ルートの中から、取得対象として決定した修理地点までの修理ルートを選択し、修理ルートを含む修理地点データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。また、サーバ1は、修理ルートを含む修理地点データではなく、修理地点の位置データを含む修理地点データを送信してもよい。上記構成とすることにより、修理地点送信装置100は、異常レベルを判定して、判定された異常レベルによって、提示する修理ルートを切り替えて、車両2及び/又は外部端末3に異常レベルに応じた修理ルートを提示させることができる。
【0020】
位置取得部10は、車両2の現在位置データを取得する。車両2の現在位置は、例えば、緯度経度で表される。位置取得部10は、車両2に搭載されたGPS等から送信された車両2の現在位置データを取得する。また、位置取得部10は、車両2のカーナビゲーション、車両2の運転手等、車両2に搭乗しているユーザのスマートフォンなど車両2の現在位置を取得できるデバイスであれば、任意のデバイスで取得した現在位置データを用いてもよい。
【0021】
記憶部20は、車両2及び/又は外部端末3からデータを取得し、取得されたデータに基づいて登録された登録地点を記憶する。記憶部20は、車両2及び外部端末3に記録されている地理的位置データを取得し、取得された地理的位置データで示される地点を登録地点として記憶する。登録地点は、ユーザが入力した地点、例えば、ユーザの自宅の位置、ユーザの職場の位置、車両を管理する営業地点の位置及び駐車場の位置を含む。登録地点は、ユーザの外部端末3にインストールされている地図・ローカル検索サービスアプリケーションに登録されているデータなど、外部端末3に登録されている地理的位置データを用いて記憶される。
【0022】
例えば、ユーザの外部端末3のアプリケーションにユーザの自宅の位置が登録されている場合には、記憶部20は、ユーザの自宅の位置の地理的位置データを取得して、ユーザの自宅の位置を登録地点として記憶する。また、登録地点は、ユーザが入力した車両2の出発地、目的地及び経由地であってもよい。例えば、車両2の車載デバイスであるカーナビゲーションに、車両2の出発地、目的地及び経由地が設定されている場合には、記憶部20は、車両2の出発地、目的地及び経由地の地理的位置データを取得して、車両2の出発地、目的地及び経由地を登録地点として記憶する。
【0023】
また、登録地点は、車両2の走行頻度又は立ち寄り頻度が高いPOIの位置を用いて記憶されてもよい。例えば、記憶部20は、車両2から、車両2に記録されている走行履歴データを取得して、走行頻度又は立ち寄り頻度の高いPOIを算出する。そして、記憶部20は、車両2の走行履歴に基づくPOIの地理的位置データを用いて、走行頻度又は立ち寄り頻度の高いPOIの位置を登録地点として記憶する。さらに、記憶部20は、外部端末3に入力されたスケジュール情報を取得し、ユーザ又は車両2の行動計画を推定し、ユーザ又は車両2の目的地を登録地点として記憶してもよい。登録地点は、現在位置とは異なる地点である。
【0024】
スケジュール情報は、例えば、外部端末3にインストールされている予定管理アプリケーションに入力されている情報である。なお、登録地点は、単一の箇所でも複数箇所でも設定可能で、登録地点を登録するために用いられる情報源は任意である。また、登録地点の記憶方法は、主に記憶部20が自動的にデータを取得することで設定されるが、ユーザがナビゲーションなどに手動で入力することで登録地点として記憶してもよい。また、例えば、登録地点の設定に関わる条件が予め定められることとしてもよい。例えば、登録地点の設定に関わる条件は、外部端末3及び/又は車両2のナビゲーションに設定されている地理的位置データがあるか否かである。記憶部20は、地理的位置データがないと判定されたときに、走行履歴に基づいて選択されたPOI等、車両2に記録された情報を用いて、走行頻度又は立ち寄り頻度の高いPOIの位置を登録地点として記憶することとしてもよい。
【0025】
異常検知部30は、車両2から車両データを取得し、車両2の異常を検知する。車両データは、車両2の状態を示すデータであり、具体的には、車両2の各部品に設置されたセンサによって検出された各部品の状態の検出結果である。異常検知部30は、例えば、車両データとして、エンジン回転数やエンジン温度を含んだ時系列データ等を取得する。そして、異常検知部30は、車両データに基づいて、車両2に故障が発生しているか、又は、今後車両2に故障が発生する可能性があるかどうかを判定する。具体的には、異常検知部30は、車両データに基づいて、予め設定された検知条件における各センサ信号の閾値から外れ値が検出されるか否かを判定する。異常検知部30は、外れ値が検出される場合には、車両2の異常が検知されると判定する。検知条件は、車両データから取得されるセンサ信号ごとに、対応する故障コードとセンサ信号の閾値が設定されている。異常検知部30は、例えば、検出値が、所定の範囲で設定された閾値の範囲外にある場合には、外れ値が検知されたと判定する。
【0026】
また、異常検知部30は、インバリアント分析を実施することとしてもよい。インバリアント分析では、異常検知部30は、通常時の車両データから複数のセンサ信号間の関係性のモデルを構築し、モデルから予測される値と実測値とを比較して関係性のモデルの崩れが生じたか否かを検出する。また、異常検知部30は、機械学習を用いて、車両データに基づいた正常状態・異常状態の判定を行うこととしてもよい。なお、ここで挙げた手法に限定されず、異常を検知する手法であれば、どのような手法でも構わない。
【0027】
異常レベル判定部40は、異常検知部30で車両2の異常を検知した場合に、検知された車両2の異常の異常レベルを判定し、異常レベル判定結果と、異常レベルの判定に用いられる判定要素を異常レベルデータとして記憶する。異常レベルの判定要素は単一要素でも、複数要素でもよい。判定要素は、例えば、異常種別、残り走行可能距離及び残り走行可能時間を含む。表1は、各異常レベル判定要素に基づく異常レベルの判定の一例である。
【表1】
【0028】
異常レベル判定部40は、異常種別に応じて異常レベルを判定する場合、エンジンにおける車両の異常が、異常種別「エンジンオイル劣化」に該当するときには、異常レベルを「低い」と判定する。また、異常レベル判定部40は、エンジンにおける車両の異常が、異常種別「エンジン故障」に該当する場合には、異常レベルを「高い」と判定する。また、異常レベル判定部40は、残り走行可能距離又は走行可能時間を算出し、算出結果から、異常レベルを判定してもよい。残り走行可能距離/時間は、車両2の異常を修理せずに車両2が走行可能な距離/時間である。例えば、残り走行可能距離が、閾値100km以上である場合、又は、残り走行可能時間が、閾値3時間以上である場合には、異常レベル判定部40は、異常レベルを「低い」と判定する。残り走行可能距離が、閾値100km未満である場合、又は、残り走行可能時間が、閾値3時間未満である場合には、異常レベル判定部40は、異常レベルを「高い」と判定する。
【0029】
異常レベル判定方法の一例として、残り走行可能距離を用いた方法を説明する。残り走行可能距離は、車両2の異常を修理せずに走行した場合に故障が発生すると予測される累積走行距離と、異常を検知した時点の累積走行距離との差分を表す。例えば、異常を検知した時の累積走行距離を1200km、車両2の異常を修理せずに走行した場合に故障が発生すると予測される累積走行距離を1250kmとすると、残り走行可能距離は、50kmとなる。そして、異常レベル判定部40は、残り走行可能距離が閾値未満の場合には、異常レベルを「高い」と判定し、残り走行可能距離が閾値以上の場合には、異常レベルを「低い」と判定する。
【0030】
例えば、残り走行可能距離の閾値が30kmで、残り走行可能距離が50kmである場合、残り走行可能距離50kmは、閾値30kmより大きいため、異常レベルは「低い」と判定される。一方で、残り走行可能距離の閾値が30kmで、残り走行可能距離が15kmである場合、残り走行可能距離15kmが閾値30kmより小さいため、異常レベルは「高い」と判定される。この場合、異常レベル判定部40は、異常レベル判定結果として、「異常レベル高」、判定要素として、「残り走行可能距離:50km」を含む異常レベルデータを記憶する。
【0031】
なお、異常レベル判定部40は、複数の判定基準及び閾値を用いて判定を実施してもよい。例えば、累積走行距離が長いと車両は故障しやすくなるため、累積走行距離が10万km以上である場合には、残り走行可能距離の閾値は10kmに設定されてもよい。また、累積走行距離が1000~10万kmである場合には、残り走行可能距離の閾値は20kmに設定され、累積走行距離が1000km以下である場合には、残り走行可能距離の閾値は30kmに設定されてもよい。また、残り走行可能距離の閾値は、故障のバスタブ曲線に合わせて設定されてもよい。具体的には、車両2の走行開始直後と、一定時間経過後に部品の劣化が進んだ後に、故障率が高くなることを踏まえて、走行初期、例えば、累積走行距離が1000km以下である場合、及び、走行後期、例えば、累積走行距離が10万km以上である場合には、残り走行可能距離の閾値が10kmに設定される。また、累積走行距離が1000~10万kmである場合には、残り走行可能距離の閾値が30kmに設定される。
【0032】
なお、ここで説明した手法および値は1つの例でありこの方法や値には限定されず、異常レベルを判定する手法および適切な値であれば、どのような手法、値でも構わない。例えば、異常レベル判定部40は、車両データを車両2から取得することに限らず、車両の外部にある装置又はデータベースから車両データを取得してもよい。例えば、外部にある装置は、道路上に設定された交通インフラのセンサ装置及び車両2以外の他車両のセンサ装置である。また、外部にある装置に格納されたデータベースから、車両データが取得されてもよい。また、異常検知部30及び異常レベル判定部40は、サーバ1に備えられることとしているが、これに限らず、異常検知部30及び異常レベル判定部40は、車両2に備えられることとしてもよい。すなわち、車両2は、異常検知部30により、車両データに基づいて、車両2の所定の異常を検知して、異常レベル判定部40により、検知された所定の異常の異常レベルを判定することとしてもよい。そして、車両2は、判定された異常レベルを示すデータをサーバ1に送信する。
【0033】
異常レベル入力部50は、異常レベル判定部40によって判定された異常レベルを示すデータが異常レベル判定結果として入力される。また、異常レベル入力部50は、車両2で異常レベルの判定が行われる場合には、車両2から送信された異常レベルを示すデータが入力される。
【0034】
修理ルート演算部60は、修理地点までの修理ルートを演算する。演算される修理ルートは、複数であってもよいし、ひとつであってもよい。修理ルート演算部60は、地点位置データ取得部61と、修理地点データ取得部62と、ルート演算部63とを有する。地点位置データ取得部61は、位置取得部10によって取得された車両2の現在位置データ及び記憶部20によって記憶された登録地点の位置データを用いて、修理ルートの出発地及び経由地を特定し、修理ルートの出発地及び経由地の位置データを取得する。例えば、地点位置データ取得部61は、車両2の現在位置、又は、登録地点であるユーザの自宅の位置を出発地の位置データとして取得する。
【0035】
また、地点位置データ取得部61は、走行計画の目的地が登録地点として記憶されている場合には、車両2の目的地の位置を経由地の位置データとして取得する。検知された車両2の異常の異常レベルが低い場合で、カーナビゲーションに車両2の走行計画として目的地が設定されているときには、ユーザは、現在位置から目的地まで移動した後に、目的地から修理地点に向かうことを希望することがあるためである。
【0036】
また、修理地点データ取得部62は、地点位置データ取得部61で取得された出発地及び経由地の位置データに基づいて、修理地点の位置データを取得する。修理地点データ取得部62は、出発地及び経由地として特定された現在位置又は登録地点を起点とした修理地点を特定し、修理地点の位置データを含む修理地点データを取得する。また、ルート演算部63は、出発地及び経由地データと、修理地点データとに基づいて、出発地から経由地を経由して修理地点まで走行する修理ルートを演算する。本実施形態では、ルート演算部63は、車両2の現在位置を出発地とした修理ルート及び登録地点を出発地とした修理ルートを演算する。また、ルート演算部63は、車両2の現在位置を出発地として、登録地点を経由地とした修理ルートを演算してもよい。
【0037】
修理地点取得部70は、異常レベルに応じて、ユーザに提示する修理地点を決定し、決定された修理地点の修理地点データを取得する。修理地点データは、例えば、修理地点の位置データ及び修理サービス提供者の名称を含む。修理地点取得部70は、取得情報決定部71を備える。取得情報決定部71は、登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得するか否かを決定する。例えば、取得情報決定部71は、異常レベルが「低い」場合には、登録地点を起点とした修理地点を、取得する修理地点として決定し、当該修理地点の修理地点データを取得する。また、取得情報決定部71は、異常レベルが「高い」場合には、車両2の現在位置を起点とした修理地点を、取得する修理地点として決定し、当該修理地点の修理地点データを取得する。さらに、取得情報決定部71は、取得する修理地点までの修理ルートを、修理ルート演算部60で演算された複数の修理ルートから選択する。選択される修理ルートは、ひとつの修理地点に対して複数の修理ルートであってもよい。
【0038】
例えば、修理地点取得部70は、現在位置を起点とした修理地点を、取得する修理地点として決定した場合には、現在位置を起点とした修理地点まで走行する複数の修理ルートを選択する。修理地点取得部70は、登録地点を起点とした修理地点を、取得する修理地点として決定した場合には、登録地点を起点として修理地点まで走行する複数の修理ルートを選択する。また、修理地点取得部70は、異常レベルが「低い」場合には、登録地点を起点とした修理地点と併せて、現在位置を起点とした修理地点の修理ルートを選択してもよい。また、取得情報決定部71は、提示する修理ルートが複数ある場合には、提示する修理ルートの優先順位を決定する。取得情報決定部71は、例えば、出発地から距離が近い順に優先順位を決定してもよいし、走行可能距離など異常レベルを判定する際に用いた要素を使用してもよいし、各修理地点の口コミの評価が高い順などインターネットに掲載されている評価のデータを使用してもよい。また、提示ルートの選択及び優先順位の判定をするための要素は、単一の要素でも複数の要素でもよい。
【0039】
送信部80は、修理地点取得部70によって取得された修理地点の修理地点データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。修理地点データは、修理地点の位置データ、修理サービス提供者の名称を含む。また、修理地点データは、修理地点取得部70によって選択された修理地点までの修理ルート、修理ルートの移動距離及び修理ルートの優先順位を含む。また、送信部80は、異常レベル判定結果と判定要素とを異常レベルデータとして車両2及び/又は外部端末3に送信する。また、送信部80は、修理地点データと異常レベルデータとともに、修理地点データと異常レベルデータを表示させる制御指示を車両2及び/又は外部端末3に送信する。
【0040】
外部端末3は、例えば、ユーザの端末などであり、外部端末3はひとつでも複数でもよい。上記構成とすることによって、本発明の修理地点送信装置100は、異常レベルによって提示されるルートを切り替えて提示することができる。これにより、部品の劣化状況が、給油所等の特定の場所に行かなければ把握できないような場合であっても、ユーザは、提示された異常レベルデータを確認することで異常への対応の緊急度を把握できるようになる。また、緊急で対応すべき異常が検知されている場合に、ユーザは、現在位置からのルートを確認することができるため、ユーザが後日修理を選んでしまうことを防止し、修理店舗に持ち込む前に故障が発生し、路上で車両が走行不能になることを防ぐ。また、緊急で対応すべき異常ではない場合に、ユーザの自宅や車両2の目的地を出発地又は経由地に設定したルートが提示されるため、ユーザは、自身の都合に合わせて修理地点を選択できるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0041】
次に、車両2について説明する。車両2は、ナビゲーション装置が搭載されている自動車であって、有人で自動制御又は手動制御により走行制御される自動車である。また、車両2は、カーシェアリング用車両等、ユーザである事業者によって管理されている車両である場合には、無人で自動制御により走行制御可能な自動車であってもよい。車両2は、ナビゲーション装置を備え、車両2の現在位置及びユーザの入力に基づいて、出発地から目的地まで走行する走行ルートを設定し、ユーザにルート案内を提示する。例えば、ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置に備わるディスプレイに、地図と、車両2の現在位置と、目的地の位置と、走行ルートとを表示する。
【0042】
また、ナビゲーション装置は、修理地点送信装置100から、修理地点の修理地点データ及び異常レベルデータが取得された場合には、ディスプレイに、修理地点データ及び異常レベルデータを表示する。また、ナビゲーション装置は、音声情報によって、修理地点データ及び異常レベルデータを出力してもよい。車両2は、GPSを備え、車両2の現在位置を検出し、一定の周期で、修理地点送信装置100に送信する。また、車両2は、車両2の各部品の状態を検出する車内センサを備え、車内センサによって検出された車両の状態を示す車両データを一定の周期で修理地点送信装置100に送信する。また、車両2は、移動先となったPOIの情報を含む走行履歴を記録し、走行履歴を修理地点送信装置100に送信する。
【0043】
次に、外部端末3について説明する。外部端末3は、ユーザから情報の入力を受け付け、ユーザに情報を出力する。外部端末3は、ユーザが入力した地理的位置データを取得して、修理地点送信装置100に地理的位置データを送信する。例えば、インストールされている地図・ローカルアプリケーションに、ユーザがユーザの自宅や職場の位置、外出予定先の目的地の位置を入力している場合に、外部端末3は、これらの地理的位置データを取得する。また、外部端末3は、インストールされている予定管理アプリケーションに、ユーザが、ユーザのスケジュールとして、ユーザの外出予定先の目的地の位置を入力している場合には、外部端末3は、外出予定先の地理的位置データを取得する。また、外部端末3は、修理地点送信装置100から、修理地点データ及び異常レベルデータを取得した場合には、ディスプレイに、修理地点データ及び異常レベルデータを表示する。また、外部端末3は、音声情報によって、修理地点データ及び異常レベルデータを出力してもよい。
【0044】
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る修理地点送信装置100によって実行される修理地点送信方法の実施例を説明する。
図2は、修理地点送信方法の実施例1に係る手順を示すフローチャート図である。ステップS1では、サーバ1は、位置取得部10によって、車両2の現在位置データを取得する。ステップS2では、サーバ1は、記憶部20によって、登録地点の位置データを記憶する。ステップS3では、サーバ1は、修理ルート演算部60によって、修理地点データを記憶する。ステップS4では、サーバ1は、異常検知部30によって、車両データを取得する。
【0045】
ステップS5では、サーバ1は、車両2に異常があるか否かを判定する。例えば、サーバ1は、車両2の車両データに基づいて、車両2に故障が発生しているか、又は、今後車両2に故障が発生する可能性があるかどうかを判定し、故障が発生している、又は、車両2に故障が発生する可能性があると判定される場合には、車両2の異常を検知する。車両2の異常が検知された場合には、サーバ1は、ステップS6に進む。車両2の異常が検知されない場合には、サーバ1は、ステップS1に進み、以下、フローを繰り返す。すなわち、サーバ1は、車両2の異常が検知されるまでの間、所定の周期で、車両2の現在位置を取得して、登録地点及び修理地点を記憶し、車両データを取得する。サーバ1は、登録地点が変更されている場合には、変更後の登録地点に更新する。
【0046】
ステップS6では、サーバ1は、修理ルート演算部60によって、車両2の異常が検知された時点の車両2の現在位置データ及び/又は登録地点の位置データを取得する。そして、サーバ1は、車両2の現在位置データ及び/又は登録地点の位置データを修理ルートの出発地及び/又は経由地の位置データとして取得する。ステップS7では、サーバ1は、出発地及び/又は経由地の位置データに基づき、出発地及び/又は経由地から所定範囲内にある複数の修理地点を探索し、探索された修理地点の修理地点データを取得する。ステップS8では、サーバ1は、ステップS7で取得された修理地点まで走行する修理ルートを演算する。サーバ1は、現在位置を起点とした修理地点までの修理ルートを演算し、登録地点を起点とした修理地点までの修理ルートを演算する。ステップS9では、サーバ1は、異常レベル判定部40によって、異常検知部30で検知した車両2の異常の異常レベルを判定する。ステップS10では、サーバ1は、ステップS9で判定された異常レベルを示すデータが入力される。
【0047】
ステップS11では、サーバ1は、修理地点取得部70によって、登録地点を起点とした修理地点を取得するか否かを決定する。具体的には、サーバ1は、ステップS9の判定結果に基づいて、異常レベルが閾値以上であるか否かを判定する。また、サーバ1は、異常レベルが高いか低いかで判定してもよい。ステップS11で、異常レベルが閾値以上であると判定された場合は、サーバ1は、ステップS12に進む。ステップS12では、サーバ1は、現在位置を起点とした修理地点を、ユーザに提示する修理地点として決定し、決定された修理地点データを取得する。そして、サーバ1は、修理ルート演算部60で演算されたルートのうち、現在位置を出発地とする修理ルートに限定して修理ルートを選択する。選択される修理ルートは、現在位置を出発地とする修理ルートであれば複数ルートが取得されてもよいし、車両2が走行可能な(走行中に故障が発生しない)範囲で複数の修理地点の修理ルートが取得されてもよい。複数ルートが選択された場合には、修理ルートの優先順位が決定される。
【0048】
一方、ステップS11で、異常レベルが閾値未満であると判定される場合には、サーバ1は、ステップS13に進む。ステップS13では、サーバ1は、登録地点を出発地とする修理地点の修理地点データを優先的に取得する。また、サーバ1は、登録地点を起点とした修理地点までの修理ルートを選択する。なお、異常レベルが低い場合に優先的に取得される修理ルートは、現在位置から登録地点を経由して修理地点に到達する修理ルートでもよい。また、異常レベルが低い場合に取得される修理ルートは、現在位置から登録地点を経由して修理地点まで走行する修理ルートと併せて、現在位置を出発地として修理地点まで走行する修理ルートを取得されてもよい。本実施形態では、サーバ1は、修理ルートを選択するとともに、修理ルートの移動距離を算出し、修理ルートの優先順位を決定する。
【0049】
ステップS14では、サーバ1は、送信部80によって、修理地点の位置データ、修理地点までの修理ルート、修理ルートの移動距離及び修理ルートの優先順位を修理地点データとして車両2及び/又は外部端末3に送信する。また、サーバ1は、送信部80によって、異常レベル判定結果と判定要素とを異常レベルデータとして車両2及び/又は外部端末3に送信する。また、サーバ1は、送信部80によって、修理地点データと異常レベルデータをユーザに表示させる制御指示を車両2及び/又は外部端末3に送信する。
【0050】
なお、本実施形態では、サーバ1は、車両2の異常が検知される前に、車両2の現在位置及び登録地点のデータを取得しているが、これらのデータ取得のタイミングはこれに限らない。サーバ1は、異常レベルが判定された後に、車両2の現在位置及び登録地点のデータを取得することとしてもよい。例えば、サーバ1は、異常レベルが高い場合には、現在位置データを取得し、現在位置を起点とした修理地点を特定し、特定された修理地点までの修理ルートを演算してもよい。また、本実施形態では、サーバ1は、異常レベルの判定がされる前に、現在位置及び登録地点を起点とした修理ルートをそれぞれ演算しているが、修理ルートの演算のタイミングはこれに限らない。サーバ1は、異常レベルの判定後に、異常レベルに基づいて、異常レベルに応じた修理地点までの修理ルートの演算を行うこととしてもよい。
【0051】
ここで、異常レベル判定結果に基づいて切り替えられる修理地点の具体的な提示例を説明する。サーバ1は、異常レベル判定結果に基づいて修理地点を取得し、修理地点までの修理ルートを選択する。また、サーバ1は、修理地点に対して優先順位を決定し、修理地点の優先順位を含む修理地点データを車両2及び/又は外部端末3に送信し、車両2及び/又は外部端末3を介してユーザに修理地点データを提示させる。サーバ1は、異常レベルが高い場合には、現在位置から修理地点まで走行する修理ルートを車両2及び/又は外部端末3を介してユーザに提示させる。その際、サーバ1は、現在位置周辺の修理地点として、複数の修理地点の修理地点データを提示させることとしてもよい。例えば、サーバ1は、現在位置(出発地)から距離の近い順に修理地点を選択して、修理地点までの修理ルートと、修理ルートの移動距離を提示させる。
【0052】
具体的には、サーバ1は、現在位置から最も近い修理地点が修理店舗Aである場合には、修理店舗Aを最優先の修理地点として、現在位置から修理店舗Aまでの修理ルートを提示し、当該修理ルートの移動距離(例えば、2.3km)を提示させる。また、サーバ1は、現在位置から2番目に近い修理地点が修理店舗Bである場合には、修理店舗Bを第2推奨修理地点として、現在位置から修理店舗Bまでの修理ルートを提示し、当該修理ルートの移動距離(例えば、3.3km)を提示する。さらに、サーバ1は、現在位置から3番目に近い修理地点が修理店舗Cである場合には、修理店舗Cを第3推奨修理地点として、現在位置から修理店舗Cまでの修理ルートを提示し当該修理ルートの移動距離(例えば、3.7km)を提示する。
【0053】
一方、異常レベルが低い場合には、サーバ1は、提示するルートは限定せず、登録地点を出発地とした修理地点までの修理ルートを優先的に提示させる。例えば、登録地点が、カーナビゲーションに登録されている車両2の目的地のショッピングモールDである場合、サーバ1は、ショッピングモールDを修理ルートの出発地として、ショッピングモールD周辺の修理地点まで走行する修理ルートを提示してもよい。サーバ1は、ショッピングモールDを修理ルートの経由地として、現在位置からショッピングモールDを経由して、ショッピングモールD周辺の修理地点まで走行する修理ルートを提示してもよい。また、サーバ1は、他の日に車両2を修理することを想定して、現在位置からショッピングモールDを第1経由地として経由し、自宅を第2経由地として経由し、自宅周辺の修理地点まで走行する修理ルートを提示してもよい。さらに、車両2のユーザが配車サービス提供者やレンタカー業者である場合には、サーバ1は、例えば、配車サービス提供者やレンタカー業者が契約している修理店舗や営業所を登録地点としてもよい。
【0054】
次に、
図3A及び
図3Bを用いて、実施例1において車両2及び/又は外部端末3のディスプレイに表示される表示例を説明する。
図3Aは、修理地点データと異常レベルデータの表示例であり、異常レベルが高い場合、すなわち、現在位置を起点とした修理地点とその修理ルートを表示する場合の一例である。
図3Aでは、車両2の現在位置P0と、第1推奨修理地点P1の位置と、第2推奨修理地点P2の位置と、第3推奨修理地点P3の位置と、現在位置P0からそれぞれの修理地点までの修理ルートと、それぞれの修理ルートの移動距離と、が表示されている。また、第1推奨修理地点P1までの修理ルートが最優先ルートとして表示され、第2推奨修理地点までの修理ルートが第2推奨ルートとして表示され、第3推奨修理地点までの修理ルートが第3推奨ルートとして表示されている。これによって、各修理地点の優先順位データが示されている。また、異常レベルデータの表示例として、例えば、異常種別、走行可能距離及び走行可能時間を含む異常レベル判定要素と、異常レベル判定結果が表示されている。
【0055】
図3Bは、修理地点データと異常レベルデータの表示例であり、異常レベルが低い場合、すなわち、登録地点を起点とした修理地点を表示する場合の一例である。登録地点は、ユーザの自宅である。
図3Bでは、車両2の現在位置P0と、第1推奨修理地点P1の位置と、第2推奨修理地点P2の位置と、第3推奨修理地点P3の位置と、現在位置P0からそれぞれの修理地点までの修理ルートと、それぞれの修理ルートの移動距離と、が表示されている。また、第1推奨修理地点P1までの修理ルートが最優先ルートとして表示され、第2推奨修理地点までの修理ルートが第2推奨ルートとして表示され、第3推奨修理地点までの修理ルートが第3推奨ルートとして表示されている。これによって、各修理地点の優先順位データが示されている。また、異常レベルデータの表示例として、例えば、異常種別、走行可能距離及び走行可能時間を含む異常レベル判定要素と、異常レベル判定結果が表示されている。
【0056】
以上のように、本実施形態では、車両又は車両のユーザから取得した情報に基づいて登録された登録地点を記憶し、車両の所定の異常に関する異常レベルを示すデータが入力され、登録地点を起点とした、所定の異常が検知された車両の部品の修理又は交換を行う修理地点の修理地点データを取得するか否かを異常レベルに応じて決定し、決定された修理地点データを取得し、取得された修理地点データを外部装置に送信する。これにより、車両の異常レベルに応じて修理地点の情報をユーザに提供できる。
【0057】
また、本実施形態では、車両の現在位置を取得し、登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得するか、現在位置を起点とした修理地点の修理地点データを取得するかを異常レベルに応じて決定する。これにより、車両の異常のリスクの大きさに応じて、ユーザに提示する修理地点を切り替えることができる。
【0058】
また、本実施形態では、登録地点は、ユーザが入力した地点、車両の目的地、出発地、経由地、車両の過去の走行履歴に基づく地点、又は、車両を管理する営業地点である。これにより、ユーザの行動計画に合わせた多様な修理地点を提示できるようになり、無駄な走行を減らせるので、走行中に車両の故障が発生するリスクを低減できる。
【0059】
また、本実施形態では、ユーザが入力した地点は、ユーザが管理するスケジュールに入力された地点である。これにより、ユーザのナビゲーションに設定する工数を削減でき、ユーザのナビゲーションへの登録忘れによる登録地点の非表示を防止し、無駄な走行を減らせるので、走行中に車両の故障が発生するリスクを低減できる。
【0060】
また、本実施形態では、修理地点取得部は、異常レベルが所定値未満である場合、登録地点を起点とした修理地点の修理地点データを取得する。これにより、ユーザの行動計画に合わせた多様なルートを提示できるようになり、無駄な走行を減らせるので、走行中に車両の故障が発生するリスクを低減できる。
【0061】
また、本実施形態では、異常レベルが所定値以上である場合、現在位置を起点とした修理地点の修理地点データを取得する。これにより、車両の異常が緊急度の高いもので、現在位置から修理地点に直行すべきだとユーザが認識でき、緊急度に応じた適切な対応を選択できる。
【0062】
また、本実施形態では、異常レベルは、異常の異常種別に応じた異常の重大度である。これにより、様々な要素から異常レベルを判定でき、異常レベル判定の精度を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、異常レベルは、異常を修理せずに車両が走行可能な距離、時間若しくは範囲である走行可能条件に基づいて設定される。これにより、様々な要素から異常レベルを判定でき、異常レベル判定の精度を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、異常レベルに応じて、登録地点又は現在位置から近い順に修理地点の優先順位を決定し、優先順位を含めて修理地点データを外部装置に送信する。これにより、ユーザは、優先順位の高い修理地点を把握できるため、無駄な走行を減らして、走行中に車両の故障が発生するリスクを低減できる。
【0065】
また、本実施形態では、異常が検知された車両の外部にある装置又はデータベースから車両の車両データを取得し、取得された車両データに基づいて、異常レベルを判定する。これにより、車両から取得されるデータのみならず、車両の外から取得されたデータに基づいて異常レベルを判定するため、異常レベル判定の精度を向上させることができる。
【0066】
次に、本実施形態の実施例2を、
図4~6を用いて説明する。
図4は、本実施例に係る修理地点送信装置のブロック構成図である。実施例2は、本実施形態の変形例である。実施例2は、以下に説明する点において実施例1に係る修理地点送信装置と異なること以外は、実施例1と同様の構成を有し、実施例1と同様に動作するものであり、実施例1の記載を適宜、援用する。以下、実施例1と異なる構成について説明する。本実施例において実施例1と異なる構成は、異常レベル判定部40が、故障部品推定部41を備える点である。すなわち、実施例2では、サーバ1は、異常レベルの判定に加え、車両2の異常が発生する対象部品を推定する。これにより、ユーザが車両2の異常への対応の緊急度や故障の重大度をより把握でき、予測システムの異常予測結果を信用してもらえるようになる。
【0067】
実施例2では、異常レベル判定部40は、異常検知部30で車両の異常を検知した場合に、故障部品推定部41によって、異常の対象となる故障部品の推定を行う。故障部品推定部41は、車両データ又は異常レベル判定要素(例えば、残り走行可能距離など)から故障部品を推定して、推定された故障部品を示す故障部品データを記憶する。なお、推定する対象は、故障部品以外にも、例えば、車両構成要素(オイルパンのドレンボルト(=ドレンプラグ))及び修理時のディーラーの対応(エンジンオイルの補充)など、想定される故障の部位または範囲を示すものや、修理拠点における対応(例えば、部品を分解して異物の除去など)であってもよい。また、故障部品推定部41は、車両データと異常レベル判定要素の両方を用いて推定してもよいし、いずれか一方を用いて推定してもよい。また、推定する対象部品は、故障部品に限らず、例えば、交換時期が過ぎている部品であってもよい。
【0068】
ここで、故障部品の推定例について説明する。故障部品の推定方法の一例として、異常レベル判定要素を複数用いた場合の推定方法を説明する。異常レベル判定要素を、「異常種別」と、「残り走行可能距離」の2要素とする。今回は、異常種別を「エンジン失火」、残り走行可能距離を80kmと想定する。異常種別「エンジン失火」の要因として考えられる故障部品は、「スパークプラグ」、「インジェクター」、「エアフロセンサー」等が考えられる。故障部品推定部41は、検知された異常の異常種別に対応付けられた故障部品候補から、異常種別「エンジン失火」の要因として考えられる部品を故障部品候補として特定する。
【0069】
そして、故障部品推定部41は、これらの3部品に対して、例えば、車両2の信号の中から故障の兆候が表れるタイミングを統計的に導出した値と残り走行可能距離とを比較することで上記3部品の中から故障部品を推定する。例えば、3部品について、今後エンジン失火が発生する場合にエンジン失火の兆候が車両2の信号の挙動の変化として表れるタイミング(異常検出点)は、スパークプラグが、故障発生前の30km前、インジェクターが、異常発生前の75km前、エアフロセンサーが、異常発生前の150km前であると想定する。この場合故障部品推定部41は、残り走行可能距離80kmと異常検出点が最も近いインジェクターを故障部品として推定する。
【0070】
また、他の例として、故障部品推定部41は、異常種別から故障部品又は修理地点における対応を推定してもよい。例えば、異常種別を「エンジンオイル劣化」と想定したとき、故障部品推定部41は、異常種別「エンジンオイル劣化」から、「エンジンオイル交換」を推定することとしてもよい。また、例えば、異常種別を「エンジン失火」と想定したとき、故障部品推定部41は、異常種別「エンジン失火」から「インジェクター交換」を推定することとしてもよい。異常種別から推定される故障部品は、異常種別ごとに対応付けられて記憶されている。故障部品の推定に用いられる異常レベルの判定要素の数は任意である。また、ここで説明した手法は1つの方法でありこの方法には限定されず、故障部品を推定する手法であれば、どのような手法でも構わない。また、異常レベル判定部40は、故障部品の推定と異常レベルの判定は同時並行で処理してもよいし、いずれか一方を先に実行してから、もう一方を実行してもよい。
【0071】
送信部80は、修理地点データと異常レベルデータに加えて、推定された故障部品を示す故障部品データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。また、送信部80は、故障部品データを表示させる制御指示を車両2及び/又は外部端末3に送信する。上記構成とすることにより、本発明の修理地点送信装置100は、異常レベルによって切り変えたルートの提示だけでなく、推定された故障部品を提示することで、ユーザが異常への対応の緊急度や故障の重大度をより具体的に把握できる。
【0072】
次に、
図5を用いて、実施例2に係る修理地点送信装置で実行される修理地点送信方法を説明する。
図5は、実施例2における修理地点送信方法の手順を示すフローチャート図である。
図5のフローチャートでは、ステップS21~30と、ステップS32~34は、
実施例1と同様であるため、繰り返しとなる説明は省略し、既にした説明を援用する。以下、ステップS31とステップS35について説明する。ステップS31では、サーバ1は、異常レベル判定部40によって、異常検知部30で検知した異常に対して、異常が発生する可能性のある故障部品を推定する。また、サーバ1は、ステップS33又は34で、修理地点データを取得すると、ステップS35では、修理地点データと異常レベルデータに加えて、ステップS31で推定された故障部品を示す故障部品データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。
【0073】
次に、
図6を用いて、実施例2において外部端末3及び/又は車両2のディスプレイに表示される表示例を説明する。
図6は、故障部品データの表示例である。例えば、
図6で示されるように、異常レベル及び異常種別に加えて、故障部品データに含まれる故障部品、及び車両における故障部品の箇所・場所が表示される。また、故障部品を交換するための交換部品の候補となる部品番号又は型番、各交換部品の候補の在庫状況及び部品費用が表示されることとしてもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態では、異常の対象となる対象部品を推定し、対象部品を表示させる制御指示を外部装置に送信する。これにより、ユーザが異常への対応の緊急度や故障の重大度をより具体的に把握することができる。
【0075】
次に、実施例3を、
図7~9を用いて説明する。
図7は、実施例3に係る修理地点送信装置のブロック構成図である。実施例3は、本実施形態の変形例である。実施例3は、以下に説明する点において実施例2に係る修理地点送信装置と異なること以外は、実施例2と同様の構成を有し、実施例2と同様に動作するものであり、実施例2の記載を適宜、援用する。以下、実施例2と異なる構成について説明する。本実施例において実施例2と異なる構成は、修理ルート演算部60は、店舗状況取得部64を備える点である。また、修理地点データベース5は、修理地点ごとに、修理地点の店舗状況データを記憶する。例えば、店舗状況データは、予約状況や部品の在庫状況等を示すデータである。
【0076】
実施例3では、店舗状況取得部64は、修理地点データ取得部62でデータを取得した修理地点の店舗状況データを取得する。ここで説明する店舗状況データの要素は、一例であり、他にも各店舗における修理費用及びオプションサービスの有無などを店舗状況データの要素として含むこととしてもよい。修理ルート演算部60は、修理地点データ取得部62によって修理地点データを取得する際に、店舗状況データに基づいて、ルート演算を行う修理地点を選択する。
【0077】
修理地点取得部70は、異常レベル判定部40で判定された異常レベルに基づいて、修理地点を選択した後、選択された修理地点から、店舗状況データに基づいて、ユーザに提示する修理地点を決定する。また、修理地点取得部70は、店舗状況データに基づいて、ユーザに提示する修理地点の優先順位を決定する。
【0078】
ここで、異常レベルが高いと判定された場合の店舗状況データを用いた修理地点の選択と優先順位の決定の例を示す。異常レベルが高いと判定された場合には、現在位置を起点とした修理地点及び修理ルートが提示される。この場合、例えば、サーバ1は、店舗状況データに含まれる予約状況データから、修理地点ごとに、修理の即時対応の可否及び/又は待ち時間のデータを取得する。そして、サーバ1は、修理の即時対応の可否及び/又は待ち時間に基づいて、現在位置から修理地点までの修理地点から、ユーザに提示する修理地点を選択する。例えば、サーバ1は、現在位置を起点として車両が走行可能な距離又は時間の範囲内における修理地点の中で、予約状況に基づいて、即時予約が可能又は最も早い時間で対応可能な修理地点を選択し、選択された修理地点の修理地点データを取得する。また、サーバ1は、修理の即時対応の可否及び/又は待ち時間に基づいて、取得された修理地点の優先順位を決定する。
【0079】
修理地点の選択及び優先順位の決定の一例として、各修理地点の現在位置からの移動距離及び即時対応の可否又は待ち時間は以下の表2のように想定される。
【表2】
実施例3では、サーバ1は、即時対応が可能な修理地点を最優先に決定する。また、サーバ1は、待ち時間がある場合には、待ち時間が短い順に、優先順位を高くする。本例では、修理地点の優先順位は、修理店舗B、修理店舗A、修理店舗Cの順番になる。また、上記の例では、修理店舗Cは即時対応が不可能であるから、サーバ1は、ユーザに提示する修理地点から除外してもよい。また、ここで説明した手法は1つの方法でありこの方法には限定されず、店舗状況データを踏まえて、ユーザに提示する修理地点とその優先順位を決定する手法であれば、どのような手法でも構わない。
【0080】
また、異常レベルが低いと判定された場合には、サーバ1は、現在位置及び登録地点を起点とした修理地点の店舗状況データを取得し、店舗状況データに基づいて、ユーザに提示する修理地点とその優先順位を決定する。ここで、異常レベルが低いと判定された場合の店舗状況データを用いた修理地点の選定と優先順位の決定の例を示す。異常レベルが低いと判定された場合は、サーバ1は、即時対応の可否ではなく、修理サービスに対するユーザの満足度に関わる要素に基づいて、ユーザに提示する修理地点及びその優先順位を決定する。例えば、ユーザの満足度に関わる要素は、修理サービスに対する交換部品の在庫状況、修理にかかる費用、オプションサービス(例えば、オイル交換時のエンジン添加剤など)の有無、オプションサービスの料金、修理に要する期間(ユーザが車を手放す期間)の長さ、時間効率、コストパフォーマンス及びサービスの品質等である。
【0081】
以下、店舗状況データのうち、車両2の部品の在庫状況を加味する例を示す。まず、サーバ1は、例えば、故障部品推定部41で推定した故障部品の交換部品の在庫状況データを取得する。そして、サーバ1は、登録地点を起点とした修理地点のうち、在庫状況に基づいて、交換部品の在庫がある又は交換部品の入庫までに必要な日数が最も短い修理地点の修理地点データを取得する。各修理店舗の登録地点からの移動距離と交換部品の在庫状況が以下の表3の通りであると想定する。
【表3】
実施例3では、サーバ1は、故障部品の交換部品の在庫がある修理地点を最優先に決定する。また、サーバ1は、入荷待ちの場合には、入荷時期が早い順に優先順位を高くする。本例では、修理地点の優先順位は、修理店舗B、修理店舗A、修理店舗Cの順番となる。すなわち、サーバ1は、在庫状況が在庫有りの修理店舗Bを最優先として、在庫状況が1週間待ちである修理店舗Aを第2候補として、在庫状況が3週間待ちである修理店舗Cを第3候補として決定する。また、問い合わせた部品の取り扱いがない修理店舗の場合、サーバ1は、これを考慮してルートの提示から除外してもよい。
【0082】
また、店舗状況データに基づいた修理地点の選択及びその優先順位の決定の仕方は任意である。例えば、サーバ1は、現在位置周辺の修理店舗に部品の在庫がある場合に、部品の在庫状況を最優先に考慮し、現在位置から修理店舗までのルートを最優先ルートとして示してもよい。また、ここで説明した手法は1つの方法でありこの方法には限定されず、店舗状況データを踏まえてユーザに提示する修理地点とその優先順位を決定する手法であれば、どのような手法でも構わない。
【0083】
送信部80は、修理地点データと異常レベルデータと故障部品データとに加えて、店舗状況データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。店舗状況データは、ユーザに提示する修理地点及びその優先順位の決定に用いられた店舗状況データの要素を含む。上記構成とすることにより、本発明の修理地点送信装置100は、店舗の予約状況や部品の在庫状況などの店舗状況データを取得し、店舗状況を加味して決定した修理地点及びその優先順位をユーザに提示できる。ユーザは、来店時に対応可能な修理店舗を選択することができるため、来店時に修理サービス提供者が円滑に対応し易くなり、修理やメンテナンスの効率を上げることができる。
【0084】
次に、
図8を用いて、実施例3に係る修理地点送信装置で実行される修理地点送信方法を説明する。
図8は、実施例3における修理地点送信方法の手順を示すフローチャート図である。
図8のフローチャートでは、ステップS41~48と、ステップS51~53は、
実施例1と同様であるため、繰り返しとなる説明は省略し、既にした説明を援用する。以下、ステップS49~50とステップS54~58について説明する。ステップS48で修理ルートが演算された後、ステップS49では、サーバ1は、故障部品を推定する。
【0085】
ステップS50では、サーバ1は、ステップS47で修理地点データの取得対象となった修理地点ごとに、予約状況及び/又は部品の在庫状況等の店舗状況データを取得する。サーバ1は、部品の在庫状況データを取得する際には、ステップS49で推定された故障部品の在庫状況を把握してもよい。また、故障部品推定部41で推定された部品が複数である場合、又は、故障部位が特定できない場合、サーバ1は、異常種別から考えられる部品の在庫状況、例えば在庫部品リストなどのデータベースを参照してもよい。予約状況に関する店舗状況データは、即日予約と後日予約の情報を分けて取得されてもよいし、まとめて取得されてもよい。また、予約状況は、日程だけでなく、時間も含めて取得されてもよいし、例えば午前と午後などの時間帯が取得されてもよい。なお、取得する店舗状況データは、年別、月別、日別、時間帯別など任意のカテゴライズ方法で取得されてもよいし、データ取得期間は、当日の店舗状況データを取得できているのであれば、任意の期間のデータを取得してよい。
【0086】
ステップS54で、サーバ1は、現在位置を起点として、取得する修理地点データを決定する。ステップS55で、サーバ1は、現在位置を起点とした修理地点から、店舗状況データに基づいて、ユーザに提示する修理地点を選定し、選定された修理地点までの修理ルートを含む修理地点データを取得する。また、サーバ1は、店舗状況データに基づいて、修理地点の優先順位を決定する。ステップS56では、サーバ1は、登録地点を起点として、取得する修理地点データを決定する。ステップS57では、サーバ1は、登録地点を起点とした修理地点から、店舗状況データに基づいて、ユーザに提示する修理地点を選定し、選定された修理地点までの修理ルートを含む修理地点データ及びその修理地点の予約可能日を取得する。
【0087】
ステップS58では、サーバ1は、修理地点データを送信する。ステップS57で修理地点データ及び予約可能日が取得された場合には、サーバ1は、修理地点の位置データ、修理地点までの修理ルート、修理ルートの移動距離及び予約可能日を含む修理地点データを送信する。これにより、修理地点における修理サービス提供者が円滑に対応し易くなり、修理やメンテナンスの効率を上げることができる。
【0088】
次に、
図9A及び
図9Bを用いて、実施例3において車両2及び/又は外部端末3のディスプレイに表示される表示例を説明する。
図9A及び
図9Bでは、実施例3において店舗状況を加味して選択された修理地点の修理地点データ、提示される修理地点の店舗状況及び優先順位が表示されている。
図9Aは、現在位置を起点とした修理地点の修理地点データが表示された場合の一例である。修理地点データは、修理地点の位置、修理地点までの修理ルート、修理ルートの移動距離、及び修理ルートの優先順位を含む。店舗状況データは、修理地点の即時対応可否を含む。例えば、修理店舗Aの即時対応の可否は、2時間待ちであり、修理店舗Bの即時対応の可否は、即時対応可であり、修理店舗Cの即時対応の可否は、予約不可である。
図9Aでは、店舗Bを最優先の修理地点として、店舗Bまでの修理ルートが最優先ルートとして表示され、店舗Aを第2推奨修理地点として、店舗Aまでの修理ルートが第2推奨ルートとして表示されている。店舗Cは、即時対応不可のため、表示されていない。
【0089】
また、
図9Bは、登録地点を起点とした修理地点が表示された場合の一例である。登録地点は、ユーザの自宅である。修理地点データは、修理地点の位置、修理地点までの修理ルート、修理ルートの移動距離、及び修理ルートの優先順位を含む。店舗状況データは、故障部品の在庫状況を含む。例えば、修理店舗Aの在庫状況は、3週間待ちであり、修理店舗Bの在庫状況は、在庫有りであり、修理店舗Cの在庫状況は、1週間待ちである。
図9Bでは、店舗Bを最優先の修理地点として、店舗Bまでの修理ルートが最優先ルートとして表示され、店舗Cを第2推奨修理地点として、店舗Cまでの修理ルートが第2推奨ルートとして表示され、店舗
Aを第3推奨修理地点として、店舗
Aまでの修理ルートが第3推奨ルートとして表示されている。また、店舗状況データは、異常レベルの判定結果によって切り替えてもよいし、取得した店舗状況データの全項目を表示してもよい。
【0090】
以上のように、本実施形態では、修理地点における対象部品の交換部品の在庫状況を取得し、異常レベルが所定値未満である場合には、登録地点を起点とした修理地点のうち、在庫状況に基づいて、交換部品の在庫がある又は交換部品の入庫までに必要な日数が最も短い修理地点の修理地点データを取得し、登録地点を表示させる制御指示を外部装置に送信する。これにより、ユーザは、交換部品の在庫状況に応じて適切な修理地点を選択できる。
【0091】
また、本実施形態では、車両の現在位置を取得し、修理地点における予約状況を取得し、異常レベルが所定値以上である場合には、予約状況に基づいて、現在位置を起点として車両が走行可能な距離又は時間の範囲内における修理地点の中で、即時予約が可能又は最も早い時間で対応可能な修理地点の修理地点データを取得し、修理地点を表示させる表示指示を外部装置に送信する。これにより、ユーザは、修理地点の予約状況に応じて適切な修理地点を選択できる。
【0092】
次に、実施例4を、
図10~12を用いて説明する。
図10は、実施例4に係る修理地点送信装置のブロック構成図である。実施例4は、本実施形態の変形例である。実施例4は、以下に説明する点において実施例3に係る修理地点送信装置と異なること以外は、実施例3と同様の構成を有し、実施例3と同様に動作するものであり、実施例3の記載を適宜、援用する。以下、実施例3と異なる構成について説明する。本実施例において実施例3と異なる構成は、修理地点取得部70が、緊急停車判定部72を備える点である。
【0093】
実施例4では、車両2が修理地点に到達する前に故障が発生する可能性があるほど異常レベルが高い場合に、サーバ1は、車両2が安全に停車できる緊急停車地点を探索し、緊急停車指示をユーザに提示させる。緊急停車指示データは、緊急停車地点の位置データ、現在位置から安全に緊急停車地点まで走行するルート、及び緊急停車地点まで車両2を走行させる緊急停車指示を含む。これにより、車両2が故障前に安全に停車でき、走行中に路上で車両2が故障してしまうことを防ぐことができる。本実施形態では、車両2が修理地点に到達する前に故障が発生する可能性があるほど異常レベルが高い場合とは、例えば、異常レベルが高い場合で、かつ、異常が検知された時点の車両2の現在位置から車両2が走行可能な距離又は時間が閾値以下である場合である。
【0094】
修理地点取得部70は、緊急停車判定部72によって、異常レベルが所定値以上、かつ、異常が検知された時点の車両の現在位置から車両が走行可能距離又は時間が閾値以下である場合には、現在位置周辺の緊急停車地点を探索し、緊急停車地点の位置データを含む緊急停車地点データを取得する。走行可能距離の閾値は、例えば、2kmである。また、走行可能時間の閾値は、1時間である。緊急停車地点は、法律上停車可能で安全に停車できる場所である。緊急停車地点は、例えば、サービスエリアなど駐車場のある休憩所と、法律上停車不可能なエリア(駐停車禁止場所)以外のエリアの路肩と、他の車両の通行の妨げにならない場所とを含む。また、修理地点取得部70は、現在位置から緊急停車地点までのルートを取得する。
【0095】
また、緊急停車判定部72は、修理ルート演算部60で演算されたルートのうち、いずれかの修理ルートで車両故障前に修理地点に到達可能か否かを判定してもよい。緊急停車判定部72は、例えば、走行可能距離以内に修理地点が存在しない場合には、いずれの修理地点にも到達不可能なほど異常レベルが高いと判定し、現在位置周辺の緊急停車地点を探索し、現在位置から緊急停車地点までのルートを取得する。そして、緊急停車判定部72は、緊急停車地点まで出張可能な修理店舗又は修理サービスの探索を行い、出張可能な修理店舗又は修理サービスに関するデータを取得する。出張可能な修理店舗又は修理サービスに関するデータは、例えば、修理店舗等の位置データと連絡先データである。
【0096】
ここで、修理地点に到達可能か否かの判定例を示す。各修理地点の現在位置からの移動距離と即時対応の可否又は待ち時間は、上述の表3と同じ例である。また、今回の例では、緊急停車指示に関する判定を「残り走行可能距離」を用いて実施した場合の例を示す。このとき、残り走行可能距離が2kmである場合には、現在位置から移動可能な店舗が存在しないので、サーバ1は、現在位置周辺の緊急停車地点を探索する。緊急停車地点は、高速道路上であれば、例えばSAや休憩所、一般道路上であれば、例えば駐停車禁止エリア以外の路肩等が考えられる。以上のような手法で、サーバ1は、修理地点に到達可能か否かを判定し、いずれの修理地点にも到達不可能なほど、異常の重大度が高いと判定した場合には、車両2の現在位置周辺の緊急停車地点の位置データを取得する。また、ここで説明した手法は1つの方法でありこの方法には限定されず、車両2が修理地点に到達可能か否かを判定する手法であれば、どのような手法でも構わない。
【0097】
送信部80は、修理地点データ、異常レベルデータ、故障部品データ、店舗状況データに加えて、緊急停車指示データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。緊急停車指示データは、緊急停車地点の位置データ、緊急停車地点までのルート、緊急停車地点に出張可能な修理店舗又は修理サービスの情報、及び、車両2を緊急停車地点に停車させる停車指示を含む。上記構成とすることにより、本発明の修理地点送信装置100は、修理地点に到達する前に故障が発生するほど異常レベルが高い場合に、安全に停車できる場所を探索し、現在位置から緊急停車地点までのルートを提示する。これにより、故障前に車両2が安全に停車でき、走行中の路上での故障を防ぐことができる。また、本実施形態では、出張可能な修理店舗または修理サービスの情報を提示することで、停車した後のユーザの行動の効率を向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態では、異常レベルが所定値以上、かつ、異常が検知された時点の車両の現在位置から車両が走行可能距離又は時間が閾値以下である場合には、送信部80は、緊急停車地点まで出張可能な出張修理サービス提供者に連絡し、当該出張修理サービス提供者に、車両2の走行可能距離又は時間のデータを送信してもよい。例えば、出張修理サービス提供者は、JAF等である。例えば、出張修理サービス提供者への連絡は、出張修理サービス提供者と通話を接続及びアプリケーションにおける救援要請を含む。これにより、ユーザは、出張修理サービス提供者に出張修理依頼をしながら、出張修理サービス提供者との連絡の中で、車両2が停車できる走行範囲を効率的に共有でき、合流地点を早急に決定することができる。また、記憶部20は、送信部80によって出張修理サービス提供者に連絡された場合、車両2のユーザと出張修理サービス提供者とによる通話の音声からユーザと出張修理サービス提供者との合流地点を特定し、ユーザと出張修理サービス提供者との合流地点を登録地点として記憶する。例えば、記憶部20は、音声認識により、会話の音声から、合流地点に関連するキーワードを抽出し、合流地点を特定する。
【0099】
次に、
図11を用いて、実施例4に係る修理地点送信装置で実行される修理地点送信方法を説明する。
図11は、実施例4における修理地点送信方法の手順を示すフローチャート図である。
図11のフローチャートでは、ステップS61~73は、実施例3と同様であるため、繰り返しとなる説明は省略し、既にした説明を援用する。以下、ステップS74~ステップS80について説明する。ステップS74では、サーバ1は、現在位置を起点とした現在対応可能な修理地点までの修理ルートを取得する。ステップS75では、サーバ1は、ステップS74で現在対応可能な修理地点がないか否か、又は、修理地点に到達できないほど、異常レベルが高いか否かを判定する。サーバ1は、この判定の際には、例えば残り走行可能距離及び残り走行可能時間等の異常レベル判定要素を用いてもよいし、その他の要素を用いてもよい。また、判定する際に用いる要素は単一でもいいし、複数でもよい。
【0100】
ステップS75で、現在対応可能な修理地点がない、又は、故障が発生する前に修理地点に到着することが不可能であるほど異常レベルが高いと判定される場合、サーバ1は、ステップS76に進む。現在対応可能な修理地点がない、又は、修理地点に到達できないほど異常レベルが高いと判定されない場合、サーバ1は、ステップS80に進む。ステップS76では、サーバ1は、緊急停車地点までのルートを取得する。ステップS77では、サーバ1は、出張可能な修理地点の修理地点データを取得する。ステップS78では、サーバ1は、ステップS76で取得した緊急停車地点までのルート、出張可能な修理地点の修理地点データ、及び車両2を緊急停車させる停車指示を含む緊急停車指示データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。ステップS79では、サーバ1は、登録地点を起点とした修理地点の修理地点データと予約可能日を取得する。ステップS80では、サーバ1は、ステップS74又はステップS79で取得された修理ルートを含む修理地点データを車両2及び/又は外部端末3に送信する。すなわち、サーバ1は、いずれかのルートで到達可能であれば、到達可能な修理ルートを、ユーザに提示する修理ルートとして送信する。
【0101】
次に、
図12を用いて、実施例4において車両2及び/又は外部端末3のディスプレイに表示される表示例を説明する。
図12で示されるように、緊急停車指示データに含まれる緊急停車地点の候補の位置、現在位置から緊急停車地点までのルート、及び、そのルートの移動距離が表示される。また、緊急停車地点まで出張可能な出張修理店舗又はサービスの詳細情報が表示される。詳細情報は、電話番号、及び緊急停車
地点までの到着予定時間を含む。また、緊急停車をユーザに促す指示が、テキストデータ及び/又はグラフィックデータで表示される。なお、サーバ1は、出張可能な出張修理店舗又はサービスの提示の優先順位を決定するために店舗状況データを取得し、その結果を表示してもよい。
【0102】
以上のように、本実施形態では、異常レベルが所定値以上、かつ、異常が検知された時点の車両の現在位置から車両が走行可能な距離又は時間が閾値以下である場合には、法律上停車可能で安全な緊急停車地点の緊急停車地点データを取得し、緊急停車地点に停車させる停車指示を外部装置に送信する。これにより、ユーザは、安全に停車することが必要な場合に、安全に停車できる場所を選択できる。
【0103】
また、本実施形態では、異常レベルが所定値以上、かつ、異常が検知された時点の車両の現在位置から車両が走行可能な距離又は時間が閾値以下である場合には、出張修理サービス提供者に連絡し、車両が走行可能な距離又は時間を出張修理サービス提供者に送信する。これにより、車両が安全に停車する必要があるほど、異常レベルが高い場合には、出張修理サービス提供者に車両が停車する位置を教えることができる。
【0104】
また、本実施形態では、出張修理サービス提供者に連絡された場合、車両のユーザと出張修理サービス提供者とによる通話の音声から特定されるユーザと出張修理サービス提供者との合流地点を登録地点として記憶する。これにより、ユーザが合流地点を手動で入力せずに、合流地点を記憶することができる。
【0105】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0106】
例えば、本実施形態では、実施例3の修理地点送信装置100において、サーバ1は、実施例2の故障部品推定部41を備えることとしているが、実施例3においては、故障部品推定部41を備えず、実施例1の修理地点送信装置100が店舗状況取得部64を備えることとしてもよい。また、実施例4の修理地点送信装置100において、サーバ1は、実施例2の故障部品推定部41と実施例3の店舗状況取得部64を備えることとしているが、実施例4において、故障部品推定部41と店舗状況取得部64のいずれか又は両方を備えないこととしてもよい。すなわち、実施例4においては、実施例1の修理地点送信装置100が緊急停車判定部72を備えることとしてもよいし、実施例2の修理地点送信装置100が緊急停車判定部72を備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
100…修理地点送信装置
1…サーバ
10…位置取得部
20…記憶部
30…異常検知部
40…異常レベル判定部
50…異常レベル入力部
60…修理ルート演算部
70…修理地点取得部
80…送信部
2…車両
3…外部端末