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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】筋電信号の収集処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/296 20210101AFI20241111BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20241111BHJP
   A61B 5/252 20210101ALI20241111BHJP
【FI】
A61B5/296
A61B5/256 210
A61B5/256 230
A61B5/252
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023530707
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2020139651
(87)【国際公開番号】W WO2022134081
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ 雷
(72)【発明者】
【氏名】黎 美▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/093194(WO,A1)
【文献】特開2016-036642(JP,A)
【文献】特開2018-121818(JP,A)
【文献】特開2018-102404(JP,A)
【文献】特公昭38-023400(JP,B1)
【文献】特開2017-113141(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0141790(US,A1)
【文献】特開2020-018783(JP,A)
【文献】特開2017-140411(JP,A)
【文献】国際公開第2020/254833(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の筋電(EMG)信号の収集処理装置であって、
前記人体のEMG信号を収集するように構成された電極モジュールを含み、
前記電極モジュールは、ベース構造、少なくとも2つの電極及び複数の吸盤構造を含み、前記少なくとも2つの電極は、間隔をあけて配置され、かつ前記ベース構造の表面に設置され、前記複数の吸盤構造は、前記少なくとも2つの電極又は前記ベース構造の表面にアレイ状に配列されるか又はランダムに分布し、前記吸盤構造は、中空部分及び前記吸盤構造の前記中空部分に位置する中間構造をさらに含み、前記中間構造の一部分は、前記中空部分が位置する前記吸盤構造の側壁に接続され、前記中間構造は、前記吸盤構造の前記中空部分を、互いに連通する複数の空間領域に分割する、ことを特徴とする人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの電極は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極と前記第2の電極は、並べて配置され、かつ前記ベース構造の表面に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの電極は、基準電極をさらに含み、前記第1の電極、前記基準電極及び前記第2の電極は、順に並べて配置され、かつ前記ベース構造の表面に設置され、或いは
前記少なくとも2つの電極は、第3の電極及び第4の電極をさらに含み、前記第3の電極と前記第4の電極は、並べて配置され、かつ前記ベース構造の表面に設置され、前記第1の電極と前記第3の電極は、並べて配置され、前記第2の電極と前記第4の電極は、並べて配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項4】
前記電極モジュールは、前記少なくとも2つの電極又は前記ベース構造の表面に位置する複数の突起構造を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項5】
前記吸盤構造は、立体構造であり、前記中空部分の前記吸盤構造の一端に位置する端部には、人体の皮膚に接触する開口部を有する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項6】
前記電極モジュールは、前記ベース構造又は前記少なくとも2つの電極の表面に位置する複数のバンプ構造をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項7】
前記電極モジュールは、前記電極及び/又は前記ベース構造に位置する複数の通気孔をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの電極の各々は、第1の電極部分及び第2の電極部分を含み、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分は、互いに接続され、一定の高さ差を有し、前記第1の電極部分は、人体の皮膚に接触するように構成され、前記第2の電極部分は、前記第1の電極部分により収集されたEMG信号を伝送するようにデータ線を切り替えるように構成される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人体の筋電信号の収集処理装置。
【請求項9】
ウェアラブルデバイスであって、上着服装及びズボン服装を含み、前記上着服装及び前記ズボン服装は、人体の筋電(EMG)信号を収集するEMG信号モジュールを少なくとも含み、前記EMG信号モジュールは、ベース構造、少なくとも2つの電極及び複数の吸盤構造を含み、前記少なくとも2つの電極は、間隔をあけて配置され、かつ前記ベース構造の表面に設置され、前記複数の吸盤構造は、前記少なくとも2つの電極又は前記ベース構造の表面にアレイ状に配列されるか又はランダムに分布し、前記吸盤構造は、中空部分及び前記吸盤構造の前記中空部分に位置する中間構造をさらに含み、前記中間構造の一部分は、前記中空部分が位置する前記吸盤構造の側壁に接続され、前記中間構造は、前記吸盤構造の前記中空部分を、互いに連通する複数の空間領域に分割する、ことを特徴とするウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、信号の収集及び処理の分野に関し、特に筋電信号の収集処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の科学的運動及び身体の健康への注目に伴い、スマートウェアラブルデバイスは、大きく発展している。スマートウェアラブルデバイスの指導及び監視は、センサ及び電極に依存する。現在、スマートウェアラブルデバイスは、快適さと信号の品質(安定性と信号雑音比)との間の矛盾に直面している。一般的な方法は、ハイドロゲル電極、皮膚表面処理、乾式電極材料及びゴム質材料を用いた固定などの方法を含むが、これらに限定されない。これらの方法は、収集された信号の品質の向上に役立つが、快適さが低く、耐用年数が短く、操作が複雑であるという問題のうちの少なくとも1つに直面している。乾式電極(金属織物電極、導電性シリコン電極など)を直接的に使用すると、上述した問題を解決することができるが、電極モジュールと人体の皮膚とが密着しないという問題に直面しやすくなって、信号を収集できずにノイズを増加させる可能性があり、また、人体が運動するとき、電極と人体との接触位置が相対的に移動する可能性があり、電極の移動は、目標位置の信号を収集できず、信号の品質に影響を与え、ノイズを増加させることなどを引き起こし、最後に、乾式電極と人体の皮膚との接触インピーダンスが大きく、大きな変動をより引き起こしやすく、信号の品質に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本願は、快適の前提で、電極モジュールにより収集された人体の皮膚の筋電信号の品質を顕著に向上させることができる、人体の筋電信号の収集処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一実施例に係る人体の筋電信号の収集処理装置は、人体の筋電信号を収集するように構成された電極モジュールを含み、上記電極モジュールは、ベース構造及び少なくとも2つの電極を含み、上記少なくとも2つの電極は、間隔をあけて配置され、かつ上記ベース構造の表面に設置される。
【0005】
いくつかの実施例において、上記少なくとも2つの電極は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極と前記第2の電極は、並べて配置され、かつ上記ベース構造の表面に設置される。
【0006】
いくつかの実施例において、上記少なくとも2つの電極は、基準電極をさらに含み、上記第1の電極、上記基準電極及び上記第2の電極は、順に並べて配置され、かつ上記ベース構造の表面に設置される。
【0007】
いくつかの実施例において、上記少なくとも2つの電極は、第3の電極及び第4の電極をさらに含み、上記第3の電極と上記第4の電極は、並べて配置され、かつ上記ベース構造の表面に設置され、上記第1の電極と上記第3の電極は、並べて配置され、上記第2の電極と上記第4の電極は、並べて配置される。
【0008】
いくつかの実施例において、上記電極モジュールは、上記少なくとも2つの電極又は上記ベース構造の表面に位置する複数の突起構造を含む。
【0009】
いくつかの実施例において、上記突起構造は、上記少なくとも2つの電極又は上記ベース構造の表面にアレイ状に配列されるか又はランダムに分布する。
【0010】
いくつかの実施例において、上記突起構造は、内部が中空であり、中空部分が充填物を有する。
【0011】
いくつかの実施例において、上記突起構造は、高さが0.5mm~10mmである。
【0012】
いくつかの実施例において、上記電極モジュールは、上記少なくとも2つの電極又は上記ベース構造の表面に位置する複数の吸盤構造を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、上記複数の吸盤構造は、上記少なくとも2つの電極又は上記ベース構造の表面にアレイ状に配列されるか又はランダムに分布する。
【0014】
いくつかの実施例において、上記複数の吸盤構造は、上記少なくとも2つの電極の周囲の上記ベース構造の表面に分布する。
【0015】
いくつかの実施例において、上記吸盤構造は、立体構造であり、中空部分を含み、上記中空部分の上記吸盤構造の一端に位置する端部には、人体の皮膚に接触する開口部を有する。
【0016】
いくつかの実施例において、上記吸盤構造は、上記吸盤構造の中空部分に位置する中間構造をさらに含み、上記中間構造の一部分は、上記中空部分が位置する上記吸盤構造の側壁に接続される。
【0017】
いくつかの実施例において、上記中間構造は、上記吸盤構造の上記中空部分を、互いに連通する複数の空間領域に分割する。
【0018】
いくつかの実施例において、上記電極モジュールは、上記ベース構造又は上記少なくとも2つの電極の表面に位置する複数のバンプ構造をさらに含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施例において、上記複数のバンプ構造は、高さが10μm~80μmである。
【0020】
いくつかの実施例において、上記複数のバンプ構造は、分布密度が2個/2.25mm~10個/2.25mmであってもよい。
【0021】
いくつかの実施例において、上記電極モジュールは、上記電極及び/又は上記ベース構造に位置する複数の通気孔をさらに含む。
【0022】
本願の実施例に係るウェアラブルデバイスは、上着服装及びズボン服装を含み、上記上着服装及び上記ズボン服装は、人体の筋電信号を収集する筋電モジュールを少なくとも含む。
【0023】
いくつかの実施例において、上記上着服装は、人体上半身運動データを収集するように構成された少なくとも1つの上着センサモジュールと、上記人体上半身運動データを受信し、処理するように構成された少なくとも1つの上着データ処理モジュールと、上記少なくとも1つの上着センサモジュール及び上記少なくとも1つの上着データ処理モジュールを載置するように構成された上着服装ベースと、を少なくとも含む。
【0024】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの上着センサモジュールは、第1の上着センサモジュール及び第2の上着センサモジュールを少なくとも含み、上記第1の上着センサモジュールは、上着服装ベースの左側に位置し、上記第2の上着センサモジュールは、上記上着服装ベースの右側に位置する。
【0025】
いくつかの実施例において、上記第1の上着センサモジュール及び上記第2の上着センサモジュールは、上記筋電モジュール、心電センサ、呼吸センサ、温度センサ、湿度センサ、慣性センサ、酸塩基センサ、音波トランスデューサを少なくとも含む。
【0026】
いくつかの実施例において、上記慣性センサは、上記上着処理モジュールに位置する。
【0027】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの上着処理モジュールは、第1の上着処理モジュール及び第2の上着処理モジュールを少なくとも含み、上記第1の上着処理モジュールは、上記上着服装ベースの左側肩部位置にあり、上記第1の上着センサモジュールと通信接続され、上記第2の上着処理モジュールは、上記上着服装ベースの右側肩部位置にあり、上記第2の上着センサモジュールと通信接続される。
【0028】
いくつかの実施例において、上記第1の上着処理モジュールと上記第2の上着処理モジュールは、主従関係又は並列関係である。
【0029】
いくつかの実施例において、上記ズボン服装は、人体下半身運動データを収集するように構成された少なくとも1つのズボンセンサモジュールと、上記人体下半身運動データを受信し、処理するように構成された少なくとも1つのズボンデータ処理モジュールと、上記少なくとも1つのズボンセンサモジュール及び上記少なくとも1つのズボンデータ処理モジュールを載置するように構成されたズボン服装ベースと、を少なくとも含む。
【0030】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つのズボンセンサモジュールは、第1のズボンセンサモジュール及び第2のズボンセンサモジュールを少なくとも含み、上記第1のズボンセンサモジュールは、上記ズボン服装ベースの左側に位置し、上記第2のズボンセンサモジュールは、上記ズボン服装ベースの右側に位置する。
【0031】
いくつかの実施例において、上記第1のズボンセンサモジュール及び上記第2のズボンセンサモジュールは、上記筋電モジュール、心電センサ、呼吸センサ、温度センサ、湿度センサ、慣性センサ、酸塩基センサ、音波トランスデューサを少なくとも含む。
【0032】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つのズボン処理モジュールは、第1のズボン処理モジュール及び第2のズボン処理モジュールを少なくとも含み、上記第1のズボン処理モジュールは、上記ズボン服装ベースの左脚左側位置にあり、上記第1のズボンセンサモジュールと通信接続され、上記第2のズボン処理モジュールは、上記ズボン服装ベースの右脚右側位置にあり、上記第2のズボンセンサモジュールと通信接続される。
【0033】
いくつかの実施例において、上記第1のズボン処理モジュールと上記第2のズボン処理モジュールは、主従関係又は並列関係である。
【0034】
例示的な実施例により本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号は同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本願のいくつかの実施例に係る電極モジュールの概略構成図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る別の電極モジュールの概略構成図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係るまた別の電極モジュールの概略構成図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る電極インピーダンス並列接続モデルを示す。
図5】本願のいくつかの実施例に係る導電性シリコン電極の電極インピーダンス並列接続モデルを示す。
図6】本願のいくつかの実施例に係る導電性シリコン電極とその厚さとの関係図である。
図7A】本願のいくつかの実施例に係る電極の概略構成図である。
図7B】本願のいくつかの実施例に係る金属織物導電性シリコン複合材料電極の並列接続モデルを示す。
図8】本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造の概略構成図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る別の吸盤構造の断面図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る別の吸盤構造の断面図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る別の吸盤構造の断面図である。
図12】本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造を有する電極モジュールの概略構成図である。
図13】本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造を有する別の電極モジュールの概略構成図である。
図14】本願のいくつかの実施例に係るウェアラブルデバイスの例示的な概略構成図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの配線接続方式の場合の例示的な構成図である。
図16A】本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの腋下位置の弾性設計部の例示的な構成図である。
図16B】本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの上腕位置の弾性設計部の例示的な構成図である。
図17A】本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの電極モジュールの環状弾性設計部の例示的な構成図である。
図17B】本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの電極モジュールの特定の方向の弾性設計部の例示的な構成図である。
図18】本願のいくつかの実施例に係るウェアラブルデバイスの透かし彫り設計部の例示的な構成図である。
図19A】本願のいくつかの実施例に係る刃形電極の例示的な構成図である。
図19B】本願のいくつかの実施例に係る刃形電極の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0037】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部材、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0038】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0039】
本願では、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0040】
人々の科学的運動及び身体の健康への注目に伴い、スマートウェアラブルデバイスは、大きく発展しており、生体電気信号を収集するスマートウェアラブルデバイスは、主に電極に依存する。具体的には、筋電信号は、生体電気信号の1種として、筋肉動力を生成する電気信号源であり、筋肉内の多くの運動ユニットの動作電位が時間及び空間で重畳したものであり、神経、筋肉の運動状態を大きく反映する。筋電信号の収集方式は、一般的には、2種があり、1種は、針電極を筋肉に挿入して筋電信号、すなわち、針筋電信号を収集することであり、干渉が小さく、識別しやすいという利点を有するが、人体に損傷を与え、他種は、電極シートを人体の皮膚に貼り付けることにより、人体の皮膚表面の筋電信号、すなわち表面筋電信号(SEMG)を収集することであり、このような方法は、一般的に人体が静止している時の収集に限定され、人体が運動しているとき、電極と人体とが相対的に移動し、収集された筋電信号が正確ではない。現在、一般的な方法は、ハイドロゲル電極、皮膚表面処理、乾式電極材料及びゴム質材料を用いた固定などの方法を含むが、これらに限定されない。これらの方法は、収集された信号の品質の向上に役立つが、快適さが低く、耐用年数が短く、操作が複雑であるという問題のうちの少なくとも1つに直面している。
【0041】
本願の実施例に記載の電極モジュール及びスマートウェアラブルデバイス(例えば、服装、リストバンド、ストラップなど)は、主に皮膚表面筋電信号(以下、筋電信号と総称する)の収集に関し、筋電信号は、人体の多くの部位、例えば、下腿、上腿、臀部、腰、背中、胸部、肩部、頸部などの部位から取得することができ、異なる部位から取得された筋電信号には、対応する部位の運動情報及び機能情報が搬送される。例えば、脚の筋電信号は、脚部の姿勢及び運動状態、例えば、歩行、ランニング、しゃがみ込みなどを反映する。したがって、スマートウェアラブルデバイスにより筋電信号を収集して、人々の運動フィットネス指導に対する要求を満たすことができる。ユーザが運動している時にその身体の筋電信号を多方向に収集するために、スマートウェアラブルデバイスを服装としてもよく、服装に人体の各部位(例えば、下腿、上腿、臀部、腰、背中、胸部、肩部、頸部など)に対応する電極モジュールを設置することにより、ユーザの運動している時の身体の各部位の筋電信号を収集することができる。好ましくは、スマートウェアラブルデバイスは、収集した筋電信号を直接的に分析し処理するか、又は収集した筋電信号を有線又は無線の方式で処理端末(例えば、移動端末装置、クラウドサーバ)に伝送して分析し処理して、ユーザの運動が正確であるか否かを判定し、対応するフィードバックをユーザに提供してユーザの不正確な運動を修正することができる。さらに、スマートウェアラブルデバイスは、収集した筋電信号に基づいて、ユーザに科学的な個人運動計画を制定し、運動するようにユーザを指導することができる。それ以外、人体運動状態の研究に筋電信号を用いることは、非常に重要な価値があり、例えば、医療リハビリテーション工学において、筋電信号は、患者の治療に用いることができ、生体工学において、筋電信号は、人工義肢の研究に用いることができる。
【0042】
服装がスマートウェアラブルデバイスとしてユーザの運動時の筋電信号を収集する場合、電極モジュールは、品質が高い筋電信号を収集することができるだけでなく、ユーザが該服装を装着して運動しフィットネスを行うときに、電極によるユーザへの不快感を回避するように、柔軟性、極薄、耐性、肌馴染みが良いなどの特性を有する必要がある。
【0043】
いくつかの実施例において、電極により直接的に収集された元の筋電信号は、振幅が非常に小さく、かつ大量のノイズがあるため、フィルタ、差動増幅などの処理を行ってこそ、筋電信号に対して後続きの分析及び処理を行うことができる。
【0044】
いくつかの実施例において、元の筋電信号におけるノイズは、主にコモンモードノイズを含み、コモンモードノイズは、主に電源周波数コモンモード信号により引き起こされるため、コモンモードノイズを低減するために、差動回路、右脚駆動回路、フィルタ回路などにより電源周波数コモンモード信号を効果的に抑制することにより、コモンモードノイズを低減するか又は除去することができる。好ましくは、差動回路、右脚駆動回路を用いて電源周波数コモンモード信号を効果的に抑制することができる。いくつかの実施例において、コモンモードノイズが主に電源周波数コモンモード信号により引き起こされることを考慮すると、コモンモードノイズの周波数は、主に50Hz又は60Hz(又はその高調波)付近に集中するが、筋電信号の主な強度の周波数は、20~140Hzに分布しているため、1つ以上のフィルタ又はノッチフィルタによりコモンモードノイズを取り除くことができる。例えば、いくつかの実施例において、50Hzのノッチフィルタ及び140Hzのローパスフィルタを用いてコモンモードノイズを取り除いてもよい。また例えば、50Hzのノッチフィルタ、100Hzのノッチフィルタ、150Hzのノッチフィルタ及び240Hzのローパスフィルタを用いてコモンモードノイズを取り除いてもよい。さらに、例えば、50Hzのノッチフィルタ、150Hzのノッチフィルタ及び230Hzのローパスフィルタを用いてコモンモードノイズを取り除いてもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、元の筋電信号におけるノイズは、コモンモード信号からディファレンシャルモード信号への変換により引き起こされるディファレンシャルモードノイズをさらに含んでもよい。例えば、差動回路を用いてコモンモードノイズを抑制する場合、電極と皮膚との接触インピーダンスの変動は、差動回路に対応する2つの電極の人体の皮膚との接触インピーダンスの不一致を引き起こすため、コモンモード信号がディファレンシャルモード信号に変換されてディファレンシャルモードノイズが引き起こされ、特に、差動増幅回路は、ディファレンシャルモード信号を増幅する。したがって、接触インピーダンスの変動を低減するか又は回避することにより、コモンモード信号のディファレンシャルモード信号への変換量を減少させることができる。例えば、電極と皮膚との接触インピーダンスの値を減少させることにより、接触インピーダンスが狭い変動範囲を有し、接触インピーダンスの変動により引き起こされるディファレンシャルモードノイズを低減することができる。
【0046】
いくつかの実施例において、接触インピーダンスの変動による差動回路に対応する2つの電極の皮膚との接触インピーダンスの不一致はまた、分圧の問題を引き起こすため、収集された筋電信号は、振幅が小さく、十分な強度を有さない。したがって、電極に接続された回路(例えば、差動回路)の入力インピーダンスを増加させることにより、分圧の問題を解決することができ、入力インピーダンスと接触インピーダンスとの差が十分に大きい場合、接触インピーダンスの変動による筋電信号の強度への影響を低減するか又は回避することができる。
【0047】
いくつかの実施例において、接触インピーダンスを低減することにより、ノイズを低減して筋電信号の品質を向上させてもよい。いくつかの実施例において、品質の悪い筋電信号を除去し、品質の高い筋電信号を保留するように、筋電信号の品質を格付けするか、又はアルゴリズムを用いて、品質の悪い筋電信号を処理して品質の高い筋電信号にしてもよい。具体的には、電極に接続される接触インピーダンス評価回路を設計することができ、接触インピーダンス評価回路は、電極の接触インピーダンスの大きさ又は異常状況を判断することができ、電極の接触インピーダンスの大きさ又は異常状況は、収集された筋電信号の品質に直接的に影響を与えるため、接触インピーダンスを判断する係数は、筋電信号の収集品質の指標とすることができ、この指標により、収集された筋電信号に重みを与え、重みが大きいほど、筋電信号の品質が高い。
【0048】
いくつかの実施例において、人体の各部位の筋電信号をより正確に測定するために、人体の各部位の筋電信号を収集するとき、人体の各部位に、異なる数の電極を対応して配置することができ、例えば、ある部位の筋電信号を収集する複数の電極を1つの電極モジュールに統合することができ、電極モジュールは、該部位の筋肉の中心領域に配置され、少なくとも2つの電極を含んでもよく、該少なくとも2つの電極は、該部位の筋肉繊維の長さ方向に沿って順に設置されてもよい。
【0049】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る電極モジュールの概略構成図である。いくつかの実施例において、図1に示すように、電極モジュール100は、ベース構造103及び2つの電極(電極ユニットとも呼ばれる)を含んでもよい。2つの電極は、ベース構造103の表面に間隔をあけて分布する。いくつかの実施例において、ベース構造103は、可撓性絶縁材料(例えば、樹脂、軟質PVC、シリカゲル)で製造されてもよく、形状が矩形、円形又は他の不規則的な形状であってもよい。電極は、貼り付け、係止、溶接などの方式でベース構造103に固定接続することができ、電極モジュール100は、ベース構造103により、ウェアラブルデバイスの対応する位置に固定することができる。具体的には、いくつかの実施例において、2つの電極は、第1の電極101及び第2の電極102を含んでもよく、電極モジュール100を用いて筋電信号を収集する場合、第1の電極101及び第2の電極102は、筋肉繊維の長さ方向(図1中のx方向)に沿って順に設置されてもよい。筋肉繊維の長さ方向における異なる位置は、異なる電位を有し、第1の電極101が位置する筋肉繊維の位置は、第1の電位を有し、第2の電極102が位置する筋肉繊維の位置は、第2の電位を有し、第1の電位と第2の電位とは、電位差(該電位差は、筋電信号を反映することができる)を有する。いくつかの実施例において、電極モジュールは、差動回路をさらに含んでもよく、第1の電極と第2の電極は、それぞれ差動回路の2つの入力端に電気的に接続されてもよい。差動回路は、ディファレンシャルモード信号を増幅し、コモンモード信号を抑制する回路構造であってもよい。
【0050】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る別の電極モジュールの概略構成図である。いくつかの実施例において、図2に示すように、電極モジュール200は、筋肉繊維の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、ベース構造203の表面に設置された第1の電極201、第3の電極204、第2の電極202を含んでもよい。第1の電極201が位置する筋肉繊維の位置は、第1の電位を有し、第2の電極202が位置する筋肉繊維の位置は、第2の電位を有し、第3の電極204が位置する筋肉繊維の位置は、第3の電位を有する。さらに、第1の電位と第2の電位とは、電位差を有し、第1の電極201と第2の電極202は、それぞれ差動回路の入力端に接続され、中間の第3の電極204は、基準電極として、電極モジュールにより収集された筋電信号におけるMA(motion artifacts)ノイズ、接触不良により引き起こされるノイズを記録することにより、ノイズに対して一定の減衰を行うことができる。ここで、MAは、運動により引き起こされるノイズであり、例えば、運動は、電極の密着又は位置の変化を引き起こすため、出力信号にノイズが増加する。いくつかの実施例において、MAノイズの周波数は、運動と一定の関係があり、ハイパスフィルタにより取り除くことができる。しかしながら、いくつかの場合に、MAノイズは、他の源との相乗作用により、周波数が重畳し、このとき、MAノイズをフィルタにより取り除くことは困難である。MAノイズの問題をよりよく処理するために、いくつかの実施例において、第1の電極201と第2の電極202との間に第3の電極204を設置してもよい。まず、第3の電極204が第1の電極201と第2の電極202との間に位置すると、第3の電極204は、電極モジュール200を代表する参照意味を有し、第3の電極204を単独で測定して、第3の電極204の関連情報、例えば、接触インピーダンス、電源周波数出力などを取得することができ、第3の電極204の関連情報を評価システムに導入して、該電極モジュール200により収集された筋電信号を評価する品質管理値とすることができる。また、第3の電極204が第1の電極201と第2の電極202との間に位置すると、第3の電極204は、電極モジュール200全体の状態の変化に伴って変化する。例えば、筋電信号を測定するとき、第1の電極201及び第2の電極202は、MAノイズ、又は電極と皮膚が密着せずに導入された他のノイズが導入されると、これは、第3の電極204にも反映される。単に例示的な説明として、電極モジュール200は、第1の電極201及び第2の電極202のみを含む場合、電極モジュール200の測定回路の基準接地に接続されるのは、第1の電極201又は第2の電極202又はある固定源であり、電極モジュールにより測定された結果は、実際に、第1の電極201と第2の電極202との差に対して差動増幅を行ったものである。電極モジュール200に第3の電極204が設置されているとき、基準接地に接続されるのは、第3の電極204であり、電極モジュールにより測定された結果は、第1の電極201と第3の電極204の電位差と、第2の電極204と第3の電極の電位差に対して差動増幅を行ったものであり、第3の電極204により測定された電位には、MA及び接触不良などによるノイズが含まれ、第1の電極201と第3の電極204の電位差と、第2の電極204と第3の電極の電位差とを測定することにより、MA及び接触不良によるノイズを効果的に低減することができる。さらに、第3の電極204は、右脚駆動回路の出力端とすることができ、右脚駆動回路は、該電極モジュールのコモンモード信号を収集し、方向増幅を行った後に第3の電極204により人体にフィードバックし、源からコモンモード信号を効果的に抑制することができる。それ以外に、第3の電極204は、第1の電極201及び第2の電極202に類似する筋電信号収集電極として、異なる電極対の組み合わせ収集の実現を助けることができ、例えば、第1の電極201及び第3の電極204は、1組の筋電信号を収集し、第2の電極202及び第3の電極204は、別の組の筋電信号を収集することができ、これらの2組の筋電信号の属性(例えば、一定の範囲に、筋電信号の強度と収集電極の間隔は、正比例関係を呈する)により、筋電信号を抽出し、信号雑音比を最適化する。いくつかの実施例において、ベース構造203は、ベース構造103と同じであるか又は類似する。
【0051】
図3は、本願のいくつかの実施例に係るまた別の電極モジュールの概略構成図である。いくつかの実施例において、図3に示すように、電極モジュール300は、2組の電極を含んでもよく、2組の電極は、筋肉繊維の幅方向(y方向)に沿って間隔をあけて配置され、ベース構造303の表面に設置され、各組の電極のうちの2つの電極は、筋肉繊維の長さ方向に沿って間隔をあけて配置される。具体的には、2組の電極は、それぞれ第1組の電極310と第2組の電極320であり、第1組の電極310は、第1の電極301及び第2の電極302を含み、第2組の電極320は、第3の電極304及び第4の電極305を含む。第1の電極301が位置する筋肉繊維の位置は、第1の電位を有し、第2の電極302が位置する筋肉繊維の位置は、第2の電位を有し、第3の電極304が位置する筋肉繊維の位置は、第3の電位を有し、第4の電極305が位置する筋肉繊維の位置は、第4の電位を有する。いくつかの実施例において、第1の電極301と第3の電極304は、共に差動回路の1つの入力端に接続され、第1の電位と第3の電位のうちの大きい電位、小さい電位又は両者の平均値を該入力端の入力とすることができ、第2の電極302と第4の電極302は、差動回路の他入力端に接続され、第2の電位と第4の電位のうちの大きい電位、小さい電位又は両者の平均値を差動回路の該他入力端の入力とすることができ、差動回路の2つの入力端の入力に基づいて、電極モジュール300が位置する位置の筋電信号を取得することができる。別のいくつかの実施例において、第1の電極301と第2の電極302は、それぞれ差動回路の2つの入力端に接続されてもよく、第3の電極304と第4の電極305は、それぞれ他の差動回路の2つの入力端に接続されてもよく、このとき、第1の電位と第2の電位とは、第1の電位差(すなわち、第1の差動信号又は第1の筋電信号)を有し、第3の電位と第4の電位とは、第2の電位差(すなわち、第2の差動信号又は第2の筋電信号)を有する。第1の筋電信号及び第2の筋電信号に基づいて、y方向における筋肉繊維の付近の筋電クロストーク影響情報を取得することにより、筋電クロストーク影響情報に基づいて、アルゴリズムにより収集対象部位の付近の筋肉の筋電信号干渉を除去して、より正確な筋電信号を収集することができる。該実施例において、2組の電極により、電極モジュールに対応する人体部位の複数の位置の筋電信号の組み合わせを抽出して、より正確な筋電信号を抽出することができる。
【0052】
なお、上記実施例は、例示的な説明に過ぎず、電極モジュールの電極の数及び分布は、図1図2及び図3の方式に限定されず、電極モジュールの複数の電極のうちの少なくとも2つの電極が筋肉繊維の長さ方向に沿って間隔をあけて配置さればよく、ここでは説明を省略する。
【0053】
電極モジュールの少なくとも2つの電極(例えば、第1の電極及び第2の電極)が皮膚に密着して筋電信号を収集する場合、各電極が皮膚に接触しているときに接触インピーダンスを形成し、人体が運動するときに、電極の皮膚との圧力、位置などが一定の変化が発生するため、接触インピーダンスが変動し、筋電信号の正確性に影響を与える。いくつかの実施例において、電極モジュールの少なくとも2つの電極(例えば、第1の電極及び第2の電極)が人体の皮膚に密着するときに形成された接触インピーダンスの差異が大きいことによるディファレンシャルモード信号ノイズを低減するために、接触インピーダンスの変動を低減することにより実現することができる。具体的には、接触インピーダンスが広い範囲に変動しないように少なくとも2つの電極と皮膚との接触インピーダンスを低減することにより、電極の両端の接触インピーダンスの差異を小さくするか又は一致させる。
【0054】
理解及び説明を容易にするために、電極が皮膚に密着して筋電信号を収集する場合、電極と皮膚との接触は、1つのコンデンサと1つの抵抗との並列接続に相当することができ、接触インピーダンスは、式(1)により計算することができる。
【0055】
【数1】
【0056】
式中、|z|は、接触インピーダンスであり、Sは、電極と皮膚との接触面積であり、dは、電極と皮膚との距離であり、ρとεは、それぞれ電極と皮膚との平均抵抗率と静電容量誘電率を表し、ω=2π・fであり、fは、筋電信号の周波数である。式(1)から分かるように、電極の面積が大きいほど、電極と皮膚との距離が小さいほど、いずれも電極と皮膚との接触インピーダンスの低減に役立つ。
【0057】
さらに、電極と皮膚との接触インピーダンスを小さくするために、電極と皮膚との接触面積をできるだけ増加させることができるため、電極の皮膚に接触する表面の形状及び寸法を設計することにより、電極と皮膚との大きい接触面積を保証することができる。いくつかの実施例において、電極の皮膚に接触する表面の形状は、矩形であってもよく、電極の皮膚に接触する表面は、長さが1cm~10cmで、幅が1cm~4cmであってもよい。例えば、該表面の寸法は、4cm×2cm、3cm×1.5cm、又は2cm×1cmであってもよい。いくつかの実施例において、電極の形状は、円形、三角形、六角形などの他の規則的又は不規則的な形状であってもよく、実際の適用において、電極の形状は、筋電信号収集対象部位の筋肉の形状に依存してもよい。
【0058】
なお、電極の皮膚に接触する表面の寸法は、上記寸法に限定されず、より大きくてもよく、より小さくてもよく、具体的には、測定部分に基づいて決定されてもよい。例えば、電極の寸法及び分布状況は、筋肉の寸法及び筋電クロストークに限定される。いくつかの実施例において、電極は、筋肉範囲を超えずに測定対象の筋肉の中央に分布してもよい。いくつかの実施例において、電極は、筋肉が密集した領域にある場合、目標筋肉範囲の中央位置にあり、目標筋肉以外の他の筋肉から離れてもよい。単に例示的な説明として、人体の異なる部位の筋肉に対して筋電信号の収集を行う場合、筋肉繊維の長さ方向の長さに基づいて、異なる長さの電極を選択することができる。例えば、上半身の筋肉に対して、長さが4cmの電極を用いて筋電信号を収集することができる。また例えば、広い範囲を有する筋肉の部位、例えば、広背筋に対して、長さが10cmの電極を用いて収集することができる。また例えば、電極モジュールが基準電極(例えば、図2中の第3の電極204)を有する場合、基準電極は、筋電信号を収集する電極(例えば、図2に示す第1の電極201及び第2の電極202)の長さよりも小さくてもよく、例えば、広背筋に対して長さが10cmの電極を用いて収集し、基準電極の長さは、6cmであってもよい。さらに、例えば、狭い範囲を有する筋肉の部位に対して、2cm又は3cmなどの相対的に小さい寸法の電極を用いることができる。なお、電極の長さは、電極の筋肉繊維の長さ方向に垂直な方向(図1中のy方向)に沿った長さである。
【0059】
いくつかの実施例において、少なくとも2つの電極を含む電極モジュールにおいて、その隣接する2つの電極の間隔は、測定された筋電信号の強度に影響を与える。図1に示す2つの電極(例えば、第1の電極101及び第2の電極102)を含む電極モジュールを例として、筋電信号の強度は、2つの電極の電位差により反映することができ、2つの電極は、筋肉繊維の長さ方向(図1中のx方向)に沿って間隔をあけて配置され、ユーザが運動する場合、測定対象の筋肉が伸縮し、筋肉繊維方向に沿って電位差が生じ、2つの電極を筋肉繊維の長さ方向に沿って間隔をあけて配置すると、人体の運動時の測定対象の筋肉の電位差を収集することができる。2つの電極の間隔は、小さすぎると、筋電信号の強度に影響を与え、大きすぎると、筋肉範囲を超えやすく、いくつかの実施例において、筋電信号の正確度を向上させるために、電極モジュールにおける2つの電極(第1の電極101と第2の電極102)の間隔は、1mm~10cmであってもよい。好ましくは、電極モジュールにおける2つの電極の間隔は、0.5cm~6cmであってもよい。さらに好ましくは、電極モジュールにおける2つの電極の間隔は、0.8cm~4cmであってもよい。より好ましくは、電極モジュールにおける2つの電極の間隔は、1cm~3cmであってもよい。異なる筋肉領域に対して、各筋肉領域に対応する2つの電極の間隔は、他の筋肉領域に対応する2つの電極の間隔と同じであっても異なってもよい。
【0060】
図1に示すように、電極モジュールにおいて、電極の間隔及び電極の筋肉繊維の長さ方向(すなわち、x方向)における幅(すなわち、電極の幅)は、筋電収集周波数範囲及び筋電伝導速度によって限定される。具体的には、実際の測定において、異なる個人の各筋肉動作は、異なる筋電周波数領域表現に対応し、異なる筋電周波数領域は、異なる筋電収集周波数範囲に対応する。いくつかの実施例において、筋電収集周波数範囲は、10Hz~200Hzである。電極の間隔が筋電収集周波数範囲及び筋電伝導速度に対応しない場合、筋電信号の体表での伝送は、信号周波数領域の歪み現象を引き起こし、例えば、筋電信号を受信する2つの電極の間隔が1cmである場合、2つの電極のうちの1つの電極に点aを有し、もう1つの電極に点bを有し、点aと点bとの距離が1cmであり、筋電信号の伝送速度が4m/sであると仮定すると、点aから伝送された400Hz信号は、点bに伝播し、点aでの400Hz信号と同相であり、すると、この400Hzの信号は、同相で差動回路の2つの入力端に現れ、回路のコモンモード抑制作用により強度が抑制され、該周波数の信号の強度が減少し、時間領域信号が歪むことを引き起こす。
【0061】
実際の筋電収集周波数範囲と合わせて、いくつかの実施例において、2つの電極の中心間距離は、3cmよりも小さくてもよく、このようにして、筋電収集周波数範囲(例えば、133Hz)の筋電信号を十分に保留することができる。いくつかの実施例において、より大きい中心間距離を用いてもよく、例えば、2つの電極の中心間距離が6cmである場合に、筋電収集周波数範囲(例えば、66.5Hz)の筋電信号をより多く保留することができる。本明細書の実施例において、2つの電極の中心間距離は、2つの電極の中心の間の距離であり、1つの電極の幅の半分、もう1つの電極の幅の半分及び2つの電極の近いエッジのx方向における間隔の総和を表すことができる。いくつかの実施例において、電極の幅の範囲は、1mm~5cmであってもよい。好ましくは、電極の幅の範囲は、0.5cm~3cmであってもよい。より好ましくは、電極の幅は、1cm、1.5cm又は2cmである。
【0062】
電極が大きい寸法を有する場合、電極と皮膚は、大きな接触面積を有するため、電極と皮膚との接触インピーダンスを効果的に低減することができる。また、電極が大きい寸法を有すると、様々な運動又はギャザーの場合に、電極は、皮膚から完全に脱落しないため、筋電信号を収集し、収集された筋電信号に対して、バックエンド回路及びアルゴリズムなどにより有効な筋電信号を抽出することができる。また、大きい寸法を有する電極と小さい寸法を有する電極とは、同じギャザーが発生する場合、ギャザーの大きな寸法の電極への影響も相対的に少ない。
【0063】
いくつかの実施例において、適切な材料及び構造を有する電極を用いて、電極と皮膚との接触インピーダンス及び電極の総インピーダンスを効果的に低減することができる。いくつかの実施例において、電極は、単一の材料で構成された電極、例えば、金属織物電極、導電性シリコン電極、ハイドロゲル電極、金属電極などであってもよい。いくつかの実施例において、電極が服装に統合されて皮膚に密着する場合、好ましくは、電極は、金属織物電極及び導電性シリコン電極であってもよい。さらに好ましくは、電極は、金属織物電極であってもよく、金属織物電極は、抵抗率がより小さく、そのインピーダンス及び皮膚との接触インピーダンスも小さい。金属織物電極は、厚さが小さいほど、そのインピーダンス及び皮膚との接触インピーダンスも小さい。いくつかの実施例において、金属織物電極を使用して筋電信号を収集する場合、金属織物電極の厚さは、10μm~5mmであってもよい。好ましくは、金属織物電極の厚さは、100μm~3mmであってもよい。さらに好ましくは、金属織物電極の厚さは、500μm~2mmであってもよい。いくつかの実施例において、電極は、異なる材料を重畳して形成された電極、例えば、金属織物材料と導電性シリコン材料で構成された金属織物導電性シリコン複合材料電極であってもよく、皮膚との接触インピーダンスが小さいだけでなく、皮膚に接触する導電性シリコンは、肌馴染みが良く、耐洗濯性が高いなどの利点を有し、電極と皮膚との接触が人体に与える不快感を回避する。
【0064】
実際の適用において、電極の一端は、皮膚に接続され、1つの面と見なすことができ、他端は、導線に接続され、1つの点のみと見なすことができるが、特定の場合(例えば、電極材料が良好な導電性を有する場合)に依然として1つの面と見なすことができる。したがって、電極と皮膚との接触は、一般的に、図4に示す電極インピーダンス並列接続モデルに相当することができ、電極材料が良好な導電性を有することは、図4中のR1=0、R2=0であることに相当する。
【0065】
図4において、R1は、電極材料の縦方向インピーダンスを表し、R2は、電極材料の横方向インピーダンスを表し、R3は、皮膚表面の横方向インピーダンスを表し、R4は、皮膚の縦方向インピーダンス(解釈及び説明を容易にするために、ここでの皮膚の縦方向インピーダンスは、接触インピーダンスを含む)を表し、R5は、真皮層の横方向インピーダンスであり、EMGは、筋電信号源を表し、測定点は、電極の導電線の引き出し点である。R1、R2は、電極の材料(抵抗率)、構造及び寸法(皮膚表面方向に垂直なのが厚さであり、皮膚表面方向に平行なのが長さである)に関連し、人体皮膚の抵抗率が生理的特徴に属するため、R3、R4は、一定値であってもよいが、R5は、電極の長さの影響を受ける。したがって、電極の材料、構造及び寸法を変更して電極インピーダンス並列接続モデルを最適化することにより(例えば、R1、R2の大きさを変更して電極インピーダンス並列接続モデルにおける並列接続経路を変更することにより、電極の総インピーダンス及び接触インピーダンスを低減するという目的を達成する)、電極に適切な材料を選択し、適切な構造を設計することができる。
【0066】
いくつかの実施例において、皮膚表面は、人体皮膚の角質層であり、角質層が乾燥し、抵抗率が大きくて、R3は、大きい値を有するため、開回路とみなすことができる。それ以外に、対称性のため、信号源の状況は、基本的に同じであるので、1つのEMG信号源のみを考慮することができる。
【0067】
いくつかの実施例において、異なる材料の電極に対応する電極インピーダンス並列接続モデルが異なり、電極の構造を変更して対応する電極インピーダンス並列接続モデルにおける並列接続経路を変更することにより、電極の総インピーダンス及び皮膚との接触インピーダンスを低減するという目的を達成することができる。
【0068】
例えば、図5は、本願のいくつかの実施例に係る導電性シリコン電極の電極インピーダンス並列接続モデルを示す。導電性シリコンの抵抗率が大きいため、R1及びR2は、無視できず、異なる構造と寸法を有する電極のR1とR2も大きく異なる。抵抗率は、R1とR2に同じ影響を与えるが、厚さは、R1とR2に異なる影響を与える。R2は、厚さの影響を受け、厚さが大きいほど、R2が小さいため、R2は、一連の単位厚さの材料の横方向抵抗r2の並列接続されたものと見なすことができる。図5に示すように、R1も厚さの影響を受け、厚さが大きいほど、R1が大きいため、R1は、一連の単位厚さの材料の縦方向抵抗r1の直列接続されたものと見なすことができる。
【0069】
図5に示す導電性シリコン電極の電極インピーダンスモデルから、図6中の導電性シリコン電極の抵抗値とその厚さとの関係を得ることができる。図6から分かるように、導電性シリコン電極は、厚さが大きいほど、抵抗値が小さい。抵抗率が大きい材料の電極(例えば、導電性シリコン電極)に対して、電極の厚さを増大させて電極の横方向抵抗R2を低減することにより、より広い面積の通路が並列接続モデルに参加することができ(例えば、並列接続通路は抵抗値が最小抵抗通路の10倍以上であると仮定し、より小さい電極の横方向抵抗R2により、より広い面積の通路が並列接続に参加することができる)、並列接続により、総インピーダンス及び接触インピーダンスを大幅に低減することができる。いくつかの実施例において、導電性シリコン電極の厚さは、0.01mm~4mmであってもよい。好ましくは、導電性シリコン電極の厚さは、0.1mm~3mmであってもよい。さらに好ましくは、導電性シリコン電極の厚さは、0.5mm~1mmであってもよい。いくつかの実施例において、導電性シリコン電極の幅は、1mm~5cmであってもよい。好ましくは、導電性シリコン電極の幅は、0.5cm~3cmであってもよい。さらに好ましくは、導電性シリコン電極の幅は、1cm、1.5cm又は2cmである。いくつかの実施例において、導電性シリコン電極の皮膚に接触する表面の長さは、1cm~10cmであってもよい。なお、導電性シリコン電極の長さは、測定部分に基づいて決定することができ、例えば、上半身の筋肉に対して、長さが4cmの導電性シリコン電極を用いて筋電信号を収集することができる。また例えば、広い範囲を有する筋肉の部位、例えば、広背筋に対して、長さが10cmの導電性シリコン電極を用いて収集することができる。
【0070】
いくつかの実施例において、異なる材質の電極を結合して、電極の総インピーダンスを低減してもよい。単に例示的な説明として、金属織物導電性シリコン複合材料電極を例として説明する。図7Aは、本願のいくつかの実施例に係る電極の概略構成図である。図7Bは、本願のいくつかの実施例に係る図4中のR5がR2よりもはるかに大きい場合の並列接続モデルを示す。図7Aに示すように、金属織物導電性シリコン複合材料電極は、上から下へ順に設置されたベース構造701、金属織物電極720及び導電性シリコン電極710を含んでもよい。導電性シリコン電極710の下面は、皮膚に接触し、金属織物電極720は、導電性シリコン電極の上面と、導電率が低い材料で製造されたベース構造701との間にある。さらに、金属織物電極は、高い導電率を有し、導電性シリコン電極710を短絡する材料の横方向抵抗(例えば、図4及び図7B中のR2)とほぼ見なすことができ、これは、電極並列接続回路の抵抗値(図4中の並列接続回路は、2つのR2と1つのR1からなるものであり、図7B中の並列接続回路は、1つのR2とR1からなるものである)の低減に役立ち、より多くの通路のより広い面積の並列接続を実現するため、総インピーダンス及び接触インピーダンスを大幅に低減し、電極の筋肉繊維の長さ方向に沿った測定結果(すなわち、収集された筋電信号)を一致させることができる。金属織物電極720と導電性シリコン電極710を結合して形成された金属織物導電性シリコン複合材料電極は、単一の導電性シリコン電極に比べて、電極の総インピーダンスを大幅に低減する。それ以外に、より多くの通路のより広い面積の並列接続を実現するために、電極と皮膚との接触インピーダンスを効果的に低減することができるため、等比変動の場合に、接触インピーダンスの変動の回路入力インピーダンスに対する値を減少させることにより、筋電信号におけるノイズを低減することができる。また、金属織物導電性シリコン複合材料電極が筋電信号を収集する場合、導電性シリコン電極が人体の皮膚に直接的に接触し、導電性シリコンは、肌馴染みが良く、耐性が高いなどの利点を有し、筋電信号収集電極と皮膚との接触が人体に与える不快感を回避することができる。いくつかの実施例において、金属織物導電性シリコン複合材料電極における金属織物電極の厚さは、10μm~5mmであってもよい。好ましくは、金属織物導電性シリコン複合材料電極における金属織物電極の厚さは、100μm~3mmであってもよい。さらに好ましくは、金属織物導電性シリコン複合材料電極における金属織物電極の厚さは、500μm~2mmであってもよい。いくつかの実施例において、金属織物導電性シリコン複合材料電極における導電性シリコン電極の厚さは、1μm~4mmであってもよい。好ましくは、金属織物導電性シリコン複合材料電極における導電性シリコン電極の厚さは、10μm~2mmであってもよい。さらに好ましくは、金属織物導電性シリコン複合材料電極における導電性シリコン電極の厚さは、0.1mm~1mmであってもよい。いくつかの実施例において、金属織物導電性シリコン複合材料電極の幅は、1mm~5cmであってもよい。好ましくは、金属織物導電性シリコン複合材料電極の幅は、0.5cm~3cmであってもよい。さらに好ましくは、金属織物導電性シリコン複合材料電極の幅は、1cm、1.5cm又は2cmである。いくつかの実施例において、金属織物導電性シリコン複合材料電極の皮膚に接触する表面の長さは、1cm~10cmであってもよい。なお、結合電極の長さは、測定部分に基づいて決定することができ、例えば、上半身の筋肉に対して、長さが4cmの結合電極を用いて筋電信号を収集することができる。また例えば、広い範囲を有する筋肉の部位、例えば、広背筋に対して、長さが10cmの結合電極を用いて収集することができる。
【0071】
いくつかの実施例において、金属織物電極の寸法(例えば、長さ及び幅)は、導電性シリコン電極の寸法よりも大きく、例えば、金属織物電極の幅は、1mm~5cmであり、導電性シリコン電極の幅は、0.8cm~4cmである。好ましくは、金属織物電極の幅は、0.5cm~3cmであり、導電性シリコン電極の幅は、0.4cm~2.8cmである。さらに好ましくは、金属織物電極の幅は、1cm~2cmであり、導電性シリコン電極の幅は、0.8cm~1.6cmである。いくつかの実施例において、導電性シリコン電極と金属織物電極を結合した電極における金属織物電極の長さは、1cm~10cmであってもよい。導電性シリコン電極と金属織物電極を結合した電極における導電性シリコン電極の長さは、0.8cm~8cmであってもよい。なお、導電性シリコン電極と金属織物電極の長さは、測定部分に基づいて決定することができ、例えば、上半身の筋肉に対して、長さが4cmの結合電極を用いて筋電信号を収集することができ、金属織物電極の長さを4cmとしてもよく、導電性シリコン電極の長さを3.2cmとしてもよい。また例えば、広い範囲を有する筋肉の部位、例えば、広背筋に対して、長さが10cmの結合電極を用いて収集することができ、金属織物電極の長さを10cmにしてもよく、導電性シリコン電極の長さを8cmにしてもよい。
【0072】
肢体の運動により、電極が皮膚に対して一定の変位又はギャザーを発生し、ひいては皮膚から脱落する可能性があるため、接触インピーダンスの大きな変動を生成し、ひいては筋電信号を収集することができず、そして、電極の変位により、筋電信号を収集する位置が変化して、収集された筋電信号が正確ではないことを引き起こす。いくつかの実施例において、電極と皮膚との密着度を向上させることにより、電極が皮膚に対して移動する可能性を低減することができる。さらに、電極と皮膚との密着は、電極と皮膚との距離を短縮することができ、式(1)によれば、皮膚と電極との接触インピーダンスを小さくすることができ、接触インピーダンスの低減及び接触インピーダンスの変動の低減に役立つ。
【0073】
いくつかの実施例において、電極と皮膚との確実な密着を実現するために、電極モジュールは、複数の突起構造を含むことができ、該突起構造は、電極とベース構造との間に位置し、電極の表面を外向きに突出させることができる。いくつかの実施例において、該突起構造は、電極の表面及び/又はベース構造の表面においてアレイ状に配列されるか、又はランダムに分布してもよい。具体的には、外部の一定の圧力が電極モジュールに作用して電極を人体の皮膚に接触させる場合、突起構造により、電極と人体の皮膚とがより優れた密着力を有することができる。他方では、突起構造を設置することにより、電極モジュールが位置する担体(例えば、服装)の身体への圧力要求を低減することができ、突起構造を有する電極モジュールは、電極部分のみの圧力が大きく、担体の身体の他の部分への圧力が大きくないことを保証し、電極が密着力を有することを保証するとともに、ユーザに良好な快適さを与える。いくつかの実施例において、電極は、突起構造であってもよい。例えば、電極の中部領域は、電極のエッジ領域よりも高い。いくつかの実施例において、電極は、平面構造であってもよく、電極は、電極モジュールのベース構造に対して外向きに突起して、電極モジュールの突起構造を形成してもよい。いくつかの実施例において、突起構造は、高さが1mm~10mmである。好ましくは、突起構造は、高さが2mm~8mmである。より好ましくは、突起構造は、高さが2mm~4mmである。なお、ここでの突起構造は、中間が最も高く、四辺が徐々に低くなる突起構造であり、突起構造の高さは、突起構造の中間の最も高い位置の部分の高さである。いくつかの実施例において、突起構造は、突起構造の人体に接触する端面が略平面である構造体であってもよく、高さが0.5mm~5mmであってもよい。好ましくは、突起構造は、高さが1mm~4mmである。より好ましくは、突起構造は、高さが1mm~2mmである。いくつかの実施例において、突起構造は、ベース構造の他側に位置してもよく、つまり、突起構造と電極は、ベース構造の異なる表面に分布する。いくつかの実施例において、突起構造は、弾性を有する材料で製造されてもよく、例えば、突起構造は、軟質PVC、樹脂、シリカゲルなどの材料で製造されてもよい。いくつかの実施例において、突起構造は、内部が中空である構造体であり、充填物を有してもよく、該充填物は、突起構造の中空の内部に位置してもよい。該充填物は、一定の導電能力を有する弾性材料であってもよい。例えば、充填物は、吸水スポンジ、シリカゲルなどであってもよい。一方では、充填物は、皮膚表面の余分な水分を除去し、電極間の短絡を防止することができる。
【0074】
2つの電極の突起構造が受けた圧力が異なることを考慮すると、2つの電極の突起構造に発生した変形が異なり、2つの電極と皮膚との接触インピーダンスが異なるため、2つの電極の一致性に影響を与え、収集された筋電信号にノイズの影響が存在する。いくつかの実施例において、接触インピーダンスを低減することにより筋電信号におけるノイズを低減してもよい。いくつかの実施例において、接触インピーダンスの変動範囲を制御して筋電信号におけるノイズを低減してもよい。いくつかの実施例において、接触インピーダンスの変動は、1Mオーム内であってもよい。好ましくは、接触インピーダンスの変動は、100Kオーム内であってもよい。より好ましくは、接触インピーダンスの変動は、10Kオーム内であってもよい。接触インピーダンスの変動範囲を制御することは、2つの電極と皮膚との接触インピーダンスの範囲を特定の範囲(例えば、上記1Mオーム内、100Kオーム内又は10Kオーム内)にすることであってもよく、2つの電極と皮膚との接触インピーダンスの変動値を概ね同じにすることであってもよい。いくつかの実施例において、電極に接続される回路によりノイズを低減してもよく、例えば、電極に接続される回路は、差動アーキテクチャ、ノッチフィルタ、閾値型フィルタ、右脚駆動などを含んでもよい。いくつかの実施例において、突起構造の構造及び高さを調整することにより、2つの電極と皮膚との接触インピーダンスが不一致であるという問題を解決してもよい。単に例示的な説明として、例えば、突起構造は、中実構造であり、突起構造の皮膚に接触する端面が平面である。また例えば、突起構造は、高さが1mmである。
【0075】
いくつかの実施例において、電極モジュールは、複数の吸盤構造を含んでもよく、吸盤構造により電極を皮膚により密着させ、筋電信号を収集するときに電極が移動することを防止し、収集された筋電信号の正確性を保証することができる。図8は、本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造の断面図である。図8に示すように、吸盤構造800は、規則的又は不規則的な幾何学的構造であり、例えば、円柱体、円錐台体、直方体などの立体構造であり、吸盤構造800は、中空部分810を含んでもよく、該中空部分は、吸盤構造800の一端部に開口部811を有する。いくつかの実施例において、吸盤構造800が変形能力を有するように、吸盤構造800の少なくとも一部は、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリウレタン-アクリレート系ポリマー(s-PUA)などの弾性材料で製造されてもよい。電極モジュールが皮膚に密着する場合、吸盤構造800の中空部分810の開口部811は、人体の皮膚に接触し、外部作用力で吸盤構造800が変形することにより、中空部分810の内部の一部の空気が外部に押し出され、外部気圧が中空部分810の内部気圧よりも大きく、皮膚表面と負圧空間が形成されるため、電極モジュール(又は電極)が皮膚に吸着されて、電極と皮膚との密着効果を達成する。いくつかの実施例において、中空部分810の形状は、球状、アーチ状、柱状、立方体状、不完全な球状及び他の規則的又は不規則的な形状を含むが、これらに限定されない。例えば、図8に示す吸盤構造の中空部分の形状は、立方体状である。また例えば、図9に示す吸盤構造の中空部分の形状は、不完全な球状である。
【0076】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る別の吸盤構造の断面図である。いくつかの実施例において、吸盤構造1000は、吸盤構造1000の中空部分1010に位置する中間構造1020を含んでもよく、該中間構造1020の一部分は、中空部分1010が位置する吸盤構造1000の側壁に接続されてもよい。いくつかの実施例において、中間構造1020は、軟質で変形しやすい材料で製造され、一定の弾性を有してもよく、例えば、中間構造1020は、軟質PVC、シリカゲル、スポンジなどの材料で製造されてもよい。いくつかの実施例において、中間構造1020の形状は、球状、円柱状、立方体状及び他の規則的又は不規則的な形状を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、中間構造1020は、吸盤構造1000の一部であってもよいし、吸盤構造1000と分離して設置されてもよい。いくつかの実施例において、中間構造1020は、中空部分1010を、互いに連通する複数の空間領域に分割することにより、電極モジュールの特定の環境(例えば、皮膚表面の液体が多い環境)での適用性を向上させることができる。単に例示的な説明として、図10に示すように、中間構造1020は、吸盤構造1000に接続され、該接続箇所を点aで示し、中間構造が吸盤構造1000の中空部分1010に位置する場合、中間構造1020の他の部分(例えば、図10に示す点b、点c)は、中空部分1010が位置する吸盤構造1000の側壁に接続されずに密着し、ここでの密着は、弾性を有する中間構造1020の弾性により吸盤構造1000の側壁との間に生じる押圧力により実現される。中間構造1000は、中空部分を空間領域1、空間領域2及び空間領域3に分割することができる。具体的には、空間領域1及び空間領域2は、中間構造1020及び吸盤構造1000の側壁により限定されて形成され、空間領域3は、中間構造1020、吸盤構造1000の側壁及び人体の皮膚により限定されて形成され、空間領域1、空間領域2及び空間領域3は、互いに連通する。具体的には、吸盤構造1000が皮膚表面の液体の多い環境(例えば、人体の発汗しやすい部分(腋下、胸部など))に適用される場合、外部作用力がないとき、液体(汗)が空間領域3に存在し、外部作用力(例えば、筋肉運動による作用力)が吸盤構造1000に作用するとき、例えば、吸盤構造1000を押圧するとき、吸盤構造1000と中間構造1020が変形し、空間領域3内の液体は、点b、点cを通って空間領域1と空間領域2に到達し、押圧が終了した後、吸盤構造1000と中間構造1020は、形状を回復し、空間領域3の一部の液体は、空間領域1と空間領域2に残り、空間領域3内の液体量は、押圧されないときの液体量に対して大幅に減少するため、吸盤構造1000と人体の皮膚との間に強い負圧吸着力を発生させる。
【0077】
図11は、本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造の断面図である。図11に示すように、吸盤構造1100の本体は、中間部分1110を有し、中間部分1110は、皮膚に向かう開口部1111を有し、内部に中間構造1120を有し、中間構造1120の存在により、キャビティは、上部空間1112及び下部空間1113を含んでもよい。いくつかの実施例において、吸盤構造1100は、弾性を有する材料(ポリウレタン-アクリレート系ポリマー(s-PUA))を用いてもよく、吸盤構造1100とその中間構造1120は、外部作用力で変形することができる。筋電信号を収集するとき、まず、吸盤構造1100を有する電極を、筋電信号を収集しようとする人体の部位に置き、次に吸盤構造1100に圧力を印加することにより、吸盤構造1100が人体の皮膚に接触し、このとき、吸盤構造1100が作動する。吸盤構造1100が作動する場合、吸盤構造1100の中間部分1110の上部空間1112が変化し、それに応じて、下部空間1113も変化する。例えば、吸盤構造1100の内部の中間構造1120は、外向きに拡張するとともに、外部の側壁は、内向きに収縮し、上部空間1112及び下部空間1113内の一部の空気は、外部に排出され、外部気圧は、吸盤構造1100の内部気圧よりも大きいため、負圧空間が形成され、電極は、吸盤構造1100の負圧吸着力で皮膚に密着かつ確実に吸着することができる。いくつかの実施例において、吸盤構造1100の吸着能力を向上させるように、その中間部分1110内に一定のPBS緩衝液が充填されてもよい。
【0078】
いくつかの実施例において、図12は、本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造を有する電極モジュールの概略構成図である。図12に示すように、吸盤構造1210(例えば、吸盤構造800、吸盤構造1100)は、電極モジュール1200に設置され、電極(例えば、電極1201及び電極1202)の周囲にアレイ状に分布してもよい。複数の吸盤構造1210は、電極の周囲にアレイ状に分布し、電極と共に電極モジュール1200のベース構造1203の皮膚に向かう面に位置し、吸盤構造1210は、電極と同じ又は近似する高さ又は厚さを有することにより、電極モジュールは、吸盤構造により皮膚に密着かつ確実に吸着されるとともに、電極は、皮膚に十分に接触することができるため、筋電信号を正確に収集することができる。なお、複数の吸盤構造1210は、電極の周囲にランダムに分布してもよい。また、吸盤構造1210が電極から離れる場合、吸盤構造1210の高さは、電極の高さよりも大きいか又は小さくてもよく、吸盤が柔軟で変形しやすい材質である場合、吸盤構造1210は、電極に近接するとともに電極よりも高くてもよく、ユーザが電極モジュールを有する物品(例えば、衣服)を装着した後、物品の圧力により吸盤構造1210が変形した後に電極の皮膚との接触に影響を与えないことを保証すればよい。
【0079】
いくつかの実施例において、吸盤構造は、電極にアレイ状に配列されてもよく、ランダムに分布してもよい。図13は、本願のいくつかの実施例に係る吸盤構造を有する別の電極モジュールの概略構成図である。図13に示すように、複数の吸盤構造1310は、電極(例えば、電極1301及び電極1302)の皮膚に接触する面に均一に分布し、電極と皮膚が吸盤構造により間接的に接続されるため、電極が筋電信号を収集できることを保証するために、吸盤構造1310の材質の一部又は全部として、導電性材料を選択することができる。いくつかの実施例において、導電性材料は、導電性シリカゲル、導電性樹脂、導電性プラスチックなどを含んでもよい。本実施例において、複数の吸盤構造1310を電極モジュール1300のベース構造1303にアレイ状に配置するか又は複数の吸盤構造を電極に均一に配置することにより、電極が皮膚により均一で堅固に密着することができる。いくつかの実施例において、複数の吸盤構造1310は、電極モジュール1300のベース構造1303又は電極にランダムに配置されてもよい。
【0080】
なお、吸盤構造1210及び吸盤構造1310は、図8図11に示す吸盤構造を含んでもよく、ここでは説明を省略する。他の実施例において、貼り付け、クランプなどの方式により、電極を皮膚に確実に密着させてもよい。
【0081】
いくつかの実施例において、電極が皮膚に相対的に変位することをさらに防止するために、電極モジュールは、複数のバンプ構造(図示せず)をさらに含んでもよく、バンプ構造は、電極モジュール又は電極と皮膚との摩擦力を増加させることにより、電極モジュールの滑り止め性能を向上させることができる。バンプ構造は、ベース構造又は電極の人体の皮膚に接触する面に位置してもよい。バンプ構造は、任意の形状であってもよく、電極又は電極モジュールのベース構造にアレイ状に分布するか又はランダムに分布してもよい。いくつかの実施例において、該バンプ構造の形状は、円錐状、円柱状、直方体状、半球状などの規則的又は不規則的な構造を含んでもよい。いくつかの実施例において、電極モジュールの滑り止め性能を向上させるために、バンプ構造は、高さが5μm~200μmであってもよい。好ましくは、バンプ構造は、高さが10μm~100μmであってもよい。さらに好ましくは、バンプ構造は、高さが20μm~80μmであってもよい。よりさらに好ましくは、バンプ構造は、高さが20μm~50μmであってもよい。いくつかの実施例において、電極モジュールの滑り止め性能を向上させるために、バンプ構造の電極又はベース構造との接続面の寸法(例えば、長さ、幅又は半径など)を10μm~1000μmにしてもよい。好ましくは、バンプ構造の電極又はベース構造との接続面の寸法は、50μm~800μmであってもよい。さらに好ましくは、バンプ構造の電極又はベース構造との接続面の寸法は、100μm~600μmであってもよい。いくつかの実施例において、電極モジュールの滑り止め性能を向上させるために、バンプ構造の分布密度を、1個/2.25mm~10個/2.25mmにしてもよい。好ましくは、バンプ構造の分布密度は、3個/2.25mm~8個/2.25mmであってもよい。さらに好ましくは、バンプ構造の分布密度は、5個/2.25mm~6個/2.25mmであってもよい。単に例示的な説明として、バンプ構造は、導電性シリコン電極にランダムに分布してもよく、形状が円錐状、高さが20~50μm、円錐の底部半径が100~600μm、バンプ構造の分布密度が5個/2.25mmの導電性シリコン電極は、優れた滑り止め性能を有する。いくつかの実施例において、バンプ構造は、電極間に設置され、電極間の汗などの体表の液体を遮断し、電極の短絡を防止することができる。
【0082】
筋電信号の収集は、通常、人々が運動するときに行われる必要があるため、運動過程において、熱量の消費に伴い、人体から排出された汗が電極と皮膚との間に蓄積され、汗と人体の皮膚との粘度及び汗と電極との粘度により、電極と皮膚が密着しすぎて、皮膚が通気性を失い、細菌が繁殖しやすく、また汗の蓄積は、電極間の短絡の問題を引き起こす。上記問題の発生を防止するために、電極モジュールは、複数の通気孔をさらに含んでもよく、これらの通気孔は、電極モジュールのベース構造又は電極に位置することにより、電極モジュールに一定の通気性を備えさせ、皮膚と外部環境との通気性を向上させ、汗の電極モジュールと人体の皮膚との間の蓄積を減少させる。いくつかの実施例において、通気孔の形状は、円形、楕円形、長方形、正方形、六角形などの規則的又は不規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例において、複数の通気孔は、アレイ状に配列されてもよい。いくつかの実施例において、通気孔の直径範囲は、0.2mm~4mmであってもよい。好ましくは、通気孔の直径範囲は、0.5mm~3mmであってもよい。さらに好ましくは、通気孔の直径範囲は、1mm~2mmであってもよい。よりさらに好ましくは、通気孔の直径範囲は、1mm、1.5mm又は2mmである。いくつかの実施例において、通気孔の総面積は、電極の面積の90%を超えない。好ましくは、通気孔の総面積は、電極の面積の50%を超えない。さらに好ましくは、通気孔の総面積は、電極の面積の20%を超えない。いくつかの実施例において、機械的穿孔の方式で通気孔を形成してもよい。
【0083】
本願の実施例に係る電極モジュールは、服装又は他のウェアラブルデバイスに統合されてユーザの運動時の身体の各部位の筋電信号を効果的に収集することができるだけでなく、医療リハビリテーション工学において、患者の筋電信号を収集することにより、患者に対して、対応する診断又は治療を行うことができ、或いは、生体工学において、筋電信号を収集して人工義肢の研究に用いることができる。
【0084】
図14は、本願のいくつかの実施例に係るウェアラブルデバイスの例示的な概略構成図である。図14に示すように、ウェアラブルデバイス1400は、上着服装1410及びズボン服装1420を含んでもよい。上着服装1410は、上着服装ベース14110、少なくとも1つの上着データ処理モジュール14120、少なくとも1つの上着センサモジュール14130などを含んでもよく、少なくとも1つの上着データ処理モジュール14120と少なくとも1つの上着センサモジュール14130は、上記上着服装ベース14110の人体の異なる部位に密着する領域に位置する。上着服装ベース14110は、人体の上半身に装着される衣類であってもよい。いくつかの実施例において、上着服装ベース14110は、半袖Tシャツ、長袖Tシャツ、ワイシャツ、ジャケットなどを含んでもよい。図14を参照すると、少なくとも1つの上着データ処理モジュール14120は、第1の上着データ処理モジュール14121及び第2の上着データ処理モジュール14122を含んでもよい。具体的には、第1の上着データ処理モジュール14121は、上着服装ベース14110の左側肩部位置に設置され、第2の上着データ処理モジュール14122は、上着服装ベース14110の右側肩部位置に設置されてもよい。なお、第1の上着データ処理モジュール14121と第2の上着データ処理モジュール14122は、上着服装ベース14110の中心線に対して対称的に分布してもよく、上着服装ベース14110の中心線に対して非対称的に分布してもよい。少なくとも1つの上着センサモジュール14130は、第1の上着センサモジュール14131及び第2の上着センサモジュール14132を含んでもよい。第1の上着センサモジュール14131は、1つ以上の同じ又は異なるタイプのセンサ、例えば、筋電センサ(筋電モジュールとも呼ばれる)、心電センサ、呼吸センサ、温度センサ、湿度センサなどを含んでもよい。第1の上着センサモジュール14131は、上着服装ベース14110の左側筋肉位置(例えば、左側腕の上腕二頭筋、左側腕の手根伸筋、左側の大胸筋など)に設置されてもよい。第2の上着センサモジュール14132は、1つ以上の同じ又は異なるタイプのセンサ、例えば、筋電センサ、心電センサ、呼吸センサ、温度センサ、湿度センサなどであってもよい。第2の上着センサモジュール14132は、上着服装ベース14110の右側筋肉位置(例えば、右側腕の上腕二頭筋、右側腕の手根伸筋、右側の大胸筋など)に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1の上着データ処理モジュール14121と第1の上着センサモジュール14131とは、電極配線方式で接続されてもよく、第2の上着データ処理モジュール14122と第2の上着センサモジュール14132とは、電極配線方式で接続されてもよい。いくつかの実施例において、第1の上着データ処理モジュール14121と第1の上着センサモジュール14131とは、無線通信方式で通信接続されてもよく、第2の上着データ処理モジュール14122と第2の上着センサモジュール14132とは、無線通信方式で通信接続されてもよい。例えば、第1の上着センサモジュール14131の筋電センサは、収集された人体の筋電信号を有線又は無線の方式で第1の上着データ処理モジュール14121に伝送することができる。なお、ここでの筋電センサ(電極モジュール)の具体的な内容について、本願の他の箇所(例えば、図1図3図7図13)の説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0085】
いくつかの実施例において、上着服装ベース14110の左側肩部位置に第1の上着データ処理モジュール14121が設置され、第1の上着データ処理モジュール14121は、人体の左側センサ(例えば、筋電センサ、心電センサ、呼吸センサなど)の上半身運動データを受信するように構成される。上着服装ベース14110の右側肩部位置に第2の上着データ処理モジュール14122が設置され、第2の上着データ処理モジュール14122は、人体の右側センサ(例えば、筋電センサ、心電センサ、呼吸センサなど)の上半身運動データを受信するように構成される。上述した左側肩部位置にある第1の上着データ処理モジュール14121と右側肩部位置にある第2の上着データ処理モジュール14122は、上着服装ベース14110の中心線に対して対称的に分布してもよい。
【0086】
いくつかの実施例において、左側肩部位置の第1の上着データ処理モジュール14121と右側肩部位置の第2の上着データ処理モジュール14122は、主従関係であってもよい。例えば、第1の上着データ処理モジュール14121は、主データ処理モジュールであり、第2の上着データ処理モジュール14122は、従データ処理モジュールであり、このとき、第1の上着データ処理モジュール14121と第2の上着データ処理モジュール14122とは、有線又は無線の方式で通信接続されてもよい。具体的には、第1の上着データ処理モジュール14121は、人体左側運動データを受信し、第2の上着データ処理モジュール14122は、人体右側運動データを受信し、第2の上着データ処理モジュール14122は、受信した人体右側運動データを第1の上着データ処理モジュール14121に伝達して処理することができる。いくつかの実施例において、第1の上着データ処理モジュール14121と第2の上着データ処理モジュール14122とのの配線方式は、ウェアラブルデバイス1400の前側に配線することであってもよく、ウェアラブルデバイス1400の後側に配線することであってもよい。いくつかの実施例において、第1の上着データ処理モジュール14121は、それ自体が受信した人体左側運動データを、第2の上着データ処理モジュール14122から受信した人体右側運動データと共に外部端末に伝達してもよく、外部端末は、その受信した運動データに対してデータ処理を行う。
【0087】
いくつかの実施例において、第1の上着データ処理モジュール14121と第2の上着データ処理モジュール14122は、並列関係であってもよい。第1の上着データ処理モジュール14121と第2の上着データ処理モジュール14122が並列関係である場合、第1の上着データ処理モジュール14121と第2の上着データ処理モジュール14122は、それぞれ外部端末と接続されて通信してもよい。具体的には、第1の上着データ処理モジュール14121は、人体左側からの運動データを受信し、受信した人体左側運動データを外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した人体左側運動データに対してデータ処理を行う。第2の上着データ処理モジュール14122は、人体右側からの運動データを受信し、受信した人体右側運動データを外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した人体右側運動データに対してデータ処理を行う。
【0088】
いくつかの実施例において、上着データ処理モジュール14120により受信された人体運動データは、上着データ処理モジュール14120においてデータ処理が行われてもよい。例えば、第1の上着データ処理モジュール14121により受信された人体左側運動データは、第1の上着データ処理モジュール14121においてデータ処理が行われ、第1の上着データ処理モジュール14121は、処理後の運動データを外部端末に伝達する。いくつかの実施例において、上着データ処理モジュール14120により受信された人体運動データは、外部端末においてデータ処理が行われてもよい。例えば、第2の上着データ処理モジュール14122は、受信した人体右側運動データを外部端末に直接的に伝達し、外部端末は、その受信した人体右側運動データに対してデータ処理を行う。いくつかの実施例において、上着データ処理モジュール14120により受信された人体運動データは、上着データ処理モジュール14120において一部のデータ処理が行われ、外部端末において他の部分のデータ処理が行われてもよい。例えば、第1の上着データ処理モジュール14121により受信された人体左側運動データは、第1の上着データ処理モジュール14121において一部のデータ処理が行われ、第1の上着データ処理モジュール14121は、一部のデータ処理が行われた運動データを外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した、一部のデータ処理が行われた運動データに対して、他の部分のデータ処理を行う。
【0089】
いくつかの実施例において、上着データ処理モジュール14120と外部端末とは、双方向通信であってもよい。例えば、第1の上着データ処理モジュール14121(又は第2の上着データ処理モジュール14122)は、外部端末に運動データを伝達してもよく、外部端末からの命令を受信してもよい。例えば、該命令は、動作するように電極モジュールを制御する命令であってもよく、ユーザの運動データに基づいて運動品質をフィードバックする命令であってもよい。
【0090】
引き続き図14を参照すると、ズボン服装1420は、ズボン服装ベース14210、少なくとも1つのズボンデータ処理モジュール14220、少なくとも1つのズボンセンサモジュール14230などを含んでもよい。少なくとも1つのズボンデータ処理モジュール14220は、第1のズボンデータ処理モジュール14221及び第2のズボンデータ処理モジュール14222を含んでもよい。具体的には、第1のズボンデータ処理モジュール14221は、ズボン服装ベース14210の左側股部位置に設置され、第2のズボンデータ処理モジュール14222は、ズボン服装ベース14210の右側股部位置に設置されてもよい。なお、第1のズボンデータ処理モジュール14221と第2のズボンデータ処理モジュール14222は、ズボン服装ベース14210の中心線に対して対称的に分布してもよく、ズボン服装ベース14210の中心線に対して非対称的に分布してもよい。少なくとも1つのズボンセンサモジュール14230は、第1のズボンセンサモジュール14231及び第2のズボンセンサモジュール14232を含んでもよい。第1のズボンセンサモジュール14231は、1つ以上の異なるタイプのセンサ、例えば、筋電センサ、温度センサ、湿度センサなどを含んでもよい。第1のズボンセンサモジュール14231は、ズボン服装ベース14210の左脚の左側筋肉位置(例えば、左側の大臀筋、左側の外側広筋、左側の内側広筋、左側の大腿二頭筋など)に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1のズボンセンサモジュール14231は、ズボン服装ベース14210の左脚の前側筋肉位置、左脚の後側筋肉位置に設置されてもよい。第2のズボンセンサモジュール14232は、1つ以上の異なるタイプのセンサ、例えば、筋電センサ、温度センサ、湿度センサなどを含んでもよい。第2のズボンセンサモジュール14232は、ズボン服装ベース14210の右脚の右側筋肉位置(例えば、右側の大臀筋、右側の外側広筋、右側の内側広筋、右側の大腿二頭筋など)に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第2のズボンセンサモジュール14232は、ズボン服装ベース14210の右脚の前側筋肉位置、右脚の後側筋肉位置に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1のズボンデータ処理モジュール14221と第1のズボンセンサモジュール14231とは、電極配線方式で接続されてもよく、第2のズボンデータ処理モジュール14222と第2のズボンセンサモジュール14232とは、電極配線方式で接続されてもよい。少なくとも1つのズボンデータ処理モジュール14220(例えば、第1のズボンデータ処理モジュール14221及び第2のズボンデータ処理モジュール14222)、少なくとも1つのズボンセンサモジュール14230(例えば、第1のズボンセンサモジュール14231及び第2のズボンセンサモジュール14232)の内容について、少なくとも1つの上着データ処理モジュール14120、少なくとも1つの上着センサモジュール14130の関連内容を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0091】
いくつかの実施例において、センサモジュール(例えば、第1の上着センサモジュール14131、第2の上着センサモジュール14132、第1のズボンセンサモジュール14231、第2のズボンセンサモジュール14232)は、筋電センサ、慣性センサ、心電センサ、呼吸センサ、温度センサ、湿度センサ、酸塩基センサ、音波トランスデューサなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施例において、筋電センサ(電極モジュールとも呼ばれる)は、人体筋肉位置に設置されてもよく、筋電センサとデータ処理モジュール(例えば、第1の上着データ処理モジュール14121、第2の上着データ処理モジュール14122、第1のズボンデータ処理モジュール14221、第2のズボンデータ処理モジュール14222)とは、接続されて通信してもよい。上着の人体筋肉位置は、上腕二頭筋、上腕三頭筋、手根伸筋、手根屈筋、三角筋(例えば、三角筋前部、三角筋中部、三角筋後部)、僧帽筋、広背筋、大胸筋、外腹斜筋、腹直筋などの位置を含んでもよいが、これらに限定されない。ズボンの人体筋肉位置は、大臀筋、外側広筋、内側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、腓腹筋などの位置を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、筋電センサは、ユーザの運動時の筋肉情報、例えば、動作幅、動作速度、動作強度などを収集するように構成されてもよい。例えば、ユーザがバーベルベンチプレスを行うとき、上腕二頭筋(又は上腕三頭筋、三角筋、大胸筋など)に設置された筋電センサは、ユーザの対応する位置の筋肉情報(例えば、動作幅、動作速度、動作強度など)を収集し、収集した筋肉情報をデータ処理モジュールに伝達することができる。データ処理モジュールは、受信した筋肉情報に対してデータ処理を行い(或いはデータ処理モジュールは、受信した筋肉情報を外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した筋肉情報に対してデータ処理を行う)、ユーザのバーベルベンチプレス過程における筋肉データが判定標準にあるか否かを判定し、判定標準を超えると、ウェアラブルデバイスは、フィードバックモジュールによりユーザに警告することができる。ここでの判定標準は、ウェアラブルデバイスに予め入力された、専門家(例えば、アスリート、コーチなど)と多くの普通の人のバーベルベンチプレス過程における筋肉データによりトレーニングされ、ユーザの情報に基づいて調整適合されたものであってもよい。ユーザは、フィードバックモジュールの警告に基づいて、自身のバーベルベンチプレスときの筋肉状態(例えば、動作幅、動作速度、動作強度など)が標準的であるか否かをリアルタイムに把握し、運動姿勢をタイムリーに調整することができる。
【0093】
いくつかの実施例において、慣性センサは、センサモジュールに統合されてもよく、このとき、慣性センサは、データ処理モジュールから離脱することができるため、実際の問題、例えば、洗浄の問題、複雑度の問題(例えば、単独で製造し、取り外すなど)、給電の問題、充電の問題などをもたらす。いくつかの実施例において、慣性センサは、服装ベースの左側データ処理モジュール及び右側データ処理モジュールに設置されてもよく、慣性センサは、ユーザの運動パラメータ(例えば、歩数、歩幅、ピッチなど)を監視するように構成されてもよい。具体的には、慣性センサは、服装ベースの左側データ処理モジュール及び右側データ処理モジュールに設置され、ユーザの運動パラメータ、例えば、歩数、歩幅、ピッチなどを監視することができる。他方では、慣性センサがデータ処理モジュールから離脱する場合の問題(例えば、洗浄の問題、給電の問題など)を効果的に解決することができる。さらに一方では、第1のデータ処理モジュールと第2のデータ処理モジュールにそれぞれ設置された慣性センサは、ユーザの身体の左右両側の運動時の協調性、一致性、平衡性などをさらに監視することができる。
【0094】
いくつかの実施例において、より複雑な動作識別などの機能を実現するように、データ処理モジュール内及び/又はデータ処理モジュール外により多くの慣性センサを設計してもよい。例えば、加速度センサは、人体の運動時の加速度を収集するように構成されてもよい。具体的には、加速度測定は、主にユーザの運動過程における歩数カウント及びカロリー計算に用いられてもよく、ユーザの運動過程における身体のX、Y、Zの3つの軸方向における加速度の監視に用いられてもよい。
【0095】
いくつかの実施例において、心電センサは、ユーザの運動過程における心電データを収集するように構成されてもよい。心電センサとデータ処理モジュール(例えば、第1の上着データ処理モジュール14121、第2の上着データ処理モジュール14122)とは、接続されて通信してもよい。ユーザは、運動過程において、心拍数が変化する。例えば、ユーザが有酸素運動又は筋力トレーニングを行うとき、ユーザの運動時間の長さ及び/又は運動強度の大きさは、ユーザの心拍数に影響を与えることができる。心電センサは、ユーザの運動過程における心電信号を収集し、収集した心電信号をデータ処理モジュールに伝達することができる。データ処理モジュールは、受信した心電信号に対してデータ処理を行い(或いはデータ処理モジュールは、受信した心電信号を外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した心電信号に対してデータ処理を行う)、ユーザの心拍数が判定標準にあるか否かを判定し、判定標準を超えると、ウェアラブルデバイスは、フィードバックモジュールによりユーザに警告することができる。ここでの判定標準は、ウェアラブルデバイスに予め入力された、専門家(例えば、アスリート、コーチなど)と多くの普通の人の運動過程における心電データによりトレーニングされ、ユーザの情報に基づいて調整適合されたものであってもよい。ユーザは、フィードバックモジュールの警告に基づいて自身の心電状態が正常であるか否かをリアルタイムに把握し、運動時間及び/又は運動強度をタイムリーに調整することができる。
【0096】
いくつかの実施例において、呼吸センサは、ユーザの運動過程における呼吸信号を収集するように構成されてもよい。呼吸センサとデータ処理モジュール(例えば、第1の上着データ処理モジュール14121、第2の上着データ処理モジュール14122)とは、接続されて通信してもよい。ユーザは、運動過程において、呼吸速度、呼吸数がいずれも変化する。例えば、ユーザは、ランニング過程において、呼吸速度がユーザのランニング時間の経過及び/又はランニング速度の増加に伴って徐々に速くなり、呼吸数がユーザのランニング時間の経過及び/又はランニング速度の増加に伴って徐々に増大する。呼吸センサは、ユーザの運動過程における呼吸信号(例えば、呼吸速度、呼吸数など)を収集し、収集した呼吸信号をデータ処理モジュールに伝達する。データ処理モジュールは、受信した呼吸信号に対してデータ処理を行い(或いはデータ処理モジュールは、受信した呼吸信号を外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した呼吸信号に対してデータ処理を行う)、ユーザのランニング運動の過程における呼吸データが判定標準にあるか否かを判定し、判定標準を超えると、ウェアラブルデバイスは、フィードバックモジュールによりユーザに警告することができる。ここでの判定標準は、ウェアラブルデバイスに予め入力された、専門家(例えば、アスリート、コーチなど)と多くの普通の人のランニング過程における呼吸データによりトレーニングされ、ユーザの情報に基づいて調整適合されたものであってもよい。ユーザは、フィードバックモジュールの警告に基づいて自身のランニング状態(例えば、ランニング速度、ランニング時間など)が標準的であるか否かをリアルタイムに把握し、ランニング時間及び/又はランニング速度をタイムリーに調整することができる。
【0097】
いくつかの実施例において、温度センサは、ユーザの運動過程における温度信号を収集するように構成されてもよい。温度センサとデータ処理モジュール(例えば、第1の上着データ処理モジュール14121、第2の上着データ処理モジュール14122、第1のズボンデータ処理モジュール14221、第2のズボンデータ処理モジュール14222)とは、接続されて通信してもよい。ユーザは、運動過程において、身体温度が徐々に上昇する。例えば、ユーザが有酸素運動又は筋力トレーニングを行うとき、ユーザの運動時間の長さ及び/又は運動強度の大きさは、ユーザの体温に影響を与えることができる。温度センサは、ユーザの運動過程における温度信号を収集し、収集した温度信号をデータ処理モジュールに伝達することができる。データ処理モジュールは、受信した温度信号に対してデータ処理を行い(或いはデータ処理モジュールは、受信した温度信号を外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した温度信号に対してデータ処理を行う)、ユーザの体温が判定標準にあるか否かを判定し、判定標準を超えると、ウェアラブルデバイスは、フィードバックモジュールによりユーザに警告することができる。ここでの判定標準は、ウェアラブルデバイスに予め入力された、専門家(例えば、アスリート、コーチなど)と多くの普通の人の運動過程における温度データによりトレーニングされ、ユーザの情報に基づいて調整適合されたものであってもよい。ユーザは、フィードバックモジュールの警告に基づいて自身の温度状態が正常であるか否かをリアルタイムに把握し、運動時間及び/又は運動強度をタイムリーに調整することができる。
【0098】
いくつかの実施例において、湿度センサは、ユーザの運動過程における湿度信号を収集するように構成されてもよい。湿度センサとデータ処理モジュール(例えば、第1の上着データ処理モジュール14121、第2の上着データ処理モジュール14122、第1のズボンデータ処理モジュール14221、第2のズボンデータ処理モジュール14222)とは、接続されて通信してもよい。ユーザは、運動過程において、身体湿度が徐々に大きくなる。例えば、ユーザが有酸素運動又は筋力トレーニングを行うとき、ユーザの運動時間の長さ及び/又は運動強度の大きさは、ユーザの身体湿度に影響を与えることができる。湿度センサは、ユーザの運動過程における湿度信号を収集し、収集した湿度信号をデータ処理モジュールに伝達することができる。データ処理モジュールは、受信した湿度信号に対してデータ処理を行い(或いはデータ処理モジュールは、受信した湿度信号を外部端末に伝達し、外部端末は、その受信した湿度信号に対してデータ処理を行う)、ユーザの身体湿度が判定標準にあるか否かを判定し、判定標準を超えると、ウェアラブルデバイスは、フィードバックモジュールによりユーザに警告することができる。ここでの判定標準は、ウェアラブルデバイスに予め入力された、専門家(例えば、アスリート、コーチなど)と多くの普通の人の運動過程における湿度信号によりトレーニングされ、ユーザの情報に基づいて調整適合されたものであってもよい。ユーザは、フィードバックモジュールの警告に基づいて自身の湿度状態が正常であるか否かをリアルタイムに把握し、運動時間及び/又は運動強度をタイムリーに調整することができる。
【0099】
図15は、本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの配線接続方式の場合の例示的な構成図である。図15に示すように、上着ウェアラブルデバイス1500は、服装ベース1510、第1のデータ処理モジュール1521、第2のデータ処理モジュール1522、第1の筋電センサ1531、第2の筋電センサ1532、温度センサ1541、湿度センサ1542、第1の心電センサ1551、第2の心電センサ1552、接続線1561(又は接続線1562、接続線1571、接続線1572、接続線1581、接続線1582など)などを含んでもよい。具体的には、第1の筋電センサ1531は、接続線1561により第1のデータ処理モジュール1521と通信接続される。第2の筋電センサ1532は、接続線1562により第2のデータ処理モジュール1522と接続されて通信する。温度センサ1541は、接続線1571により第1のデータ処理モジュール1521と接続されて通信する。湿度センサ1542は、接続線1572により第2のデータ処理モジュール1522と接続されて通信する。第1の心電センサ1551は、接続線1581により第1のデータ処理モジュール1521と接続されて通信する。第2の心電センサ1552は、接続線1582により第2のデータ処理モジュール1522と接続されて通信する。
【0100】
いくつかの実施例において、上着ウェアラブルデバイス1500は、左側肩部に第1のデータ処理モジュール1521が設置され、右側肩部に第2のデータ処理モジュール1522が設置される。第1のデータ処理モジュール1521と第2のデータ処理モジュール1522は、それぞれユーザの身体の左右両側運動データを受信するように構成され、このような設計は、配線回路を効果的に分担し、単一のデータ処理モジュール(例えば、第1のデータ処理モジュール1521、第2のデータ処理モジュール1522)の体積を合理的に制御することができる。他方では、上着ウェアラブルデバイス1500の左右両側にそれぞれデータ処理モジュールが設置されるという設計は、対称設計であり、非対称設計によるユーザの安全上の問題(例えば、スクワットなどの運動時のバランス制御)を効果的に解決することができる。さらに一方では、上着ウェアラブルデバイス1500の左右両側にそれぞれデータ処理モジュールが設置されるという設計は、ユーザの胸元、心臓などの主要な器官に近接する場所に回路などの電子機器(例えば、電池、ブルートゥース(登録商標)、増幅器など)が存在することを効果的に回避するとともに、ユーザの装着快適さを向上させることができる。いくつかの実施例において、上着ウェアラブルデバイス1500の左右両側の肩部位置にそれぞれデータ処理モジュールが設置されるという設計は、設計の難しさ及び各データ処理モジュールの重量を低減することができ、さらに胸元の付近の生理信号(例えば、心電信号、大胸筋の筋電信号など)を効果的に収集することができる。
【0101】
いくつかの実施例において、上着ウェアラブルデバイス1500のセンサモジュールが多い場合、上記配線方式は、効果的に回路を分離して配置し、配線の難易度を低下させ、設計空間を向上させることができる。他方では、大角度の配線を回避することができる。いくつかの実施例において、ウェアラブルデバイスにおける配線の長さは、その信号雑音比に影響を与え、具体的には、配線の長さが長いほど、導入されたノイズ干渉が大きい。図15の配線方式を参照すると、配線の長さを効果的に短縮することにより、センサモジュールにより収集されたノイズ信号を減少させ、ノイズの干渉を低減することができる。いくつかの実施例において、センサモジュールがいずれもデータ処理モジュールと接続されて通信し、ウェアラブルデバイスにおける配線が相対的に密集し、各チャネル間に相互干渉の現象が発生する。図15の配線方式を参照すると、各配線間の離間距離を効果的に向上させ、チャネル間の相互干渉を低減することができる。
【0102】
いくつかの実施例において、ユーザの運動過程において、大部分の運動(例えば、バーベルベンチプレス、ダンベルプレス、ランニング、胸拡張運動など)は、人体の手足の参加を必要とし、両腕の運動は、ウェアラブルデバイスの変位を駆動するため、ウェアラブルデバイスのセンサモジュールが変位し、信号の収集品質(例えば、大胸筋位置の筋電信号、心電信号など)が低下する。図16Aは、本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの腋下位置の弾性設計部の例示的な構成図である。図16Aに示すように、服装ベース1610の左側腋下位置に第1の弾性設計部1611が設置され、服装ベース1610の右側腋下位置に第2の弾性設計部1612が設置される。図16Bは、本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの上腕位置の弾性設計部の例示的な構成図である。図16Bに示すように、服装ベース1620の左側上腕位置に第3の弾性設計部1621が設置され、服装ベース1620の右側上腕位置に第4の弾性設計部1622が設置される。第3の弾性設計部1621及び第4の弾性設計部1622は、上腕環状弾性設計部である。なお、弾性設計部の設置位置は、腋下位置及び上腕位置を含んでもよいが、これらに限定されず、本実施例は、腋下位置及び上腕位置のみを説明し、他の人体位置(例えば、肘位置、肩部位置など)について、ここでは具体的に説明しない。
【0103】
いくつかの実施例において、弾性設計部は、高弾性伸縮可能な材料を用いてもよい。該高弾性伸縮可能な材料は、弾性繊維織物材料、可撓性高分子材料、弾性ゴムリングなどを含んでもよいが、これらに限定されない。また、弾性設計部に用いられる材料は、単一の弾性材料であってもよく、複数種の異なる弾性材料の組み合わせであってもよい。例えば、ウェアラブルデバイスの上腕位置(例えば、図16B中の第3の弾性設計部1621、又は図16B中の第4の弾性設計部1622)での服装ベースは、弾性ゴム材料で製造されてもよく、ユーザの上腕位置が引っ張られる場合、高弾性のゴム材料が伸長することにより、ウェアラブルデバイスの変位を効果的に回避することができる。また例えば、ウェアラブルデバイスの腋下部位(例えば、図16A中の第1の弾性設計部1611、又は図16A中の第2の弾性設計部1612)での服装ベースは、弾性繊維織物パネルとナイロン材料(又はポリエステル系の伸長材料)との結合材料で製造されてもよい。具体的には、ユーザが腕伸長動作を行うとき、ウェアラブルデバイスの腋下部位が引っ張られ、弾性繊維織物パネルとナイロン材料(又はポリエステル系の伸長材料)との結合材料は、高い伸長率及び回復率を有し、ウェアラブルデバイスの変位を効果的に回避することができる。
【0104】
いくつかの実施例において、弾性設計部は、構造設計部であってもよい。具体的には、ウェアラブルデバイスの人体肩部に近接する上腕位置(図16Bの第3の弾性設計部1621及び第4の弾性設計部1622を参照することができる)にギャザー起伏構造を設計することができる。該ギャザー起伏構造は、ウェアラブルデバイス自体に対して周囲に環状に立体的に突出し、突出変位の大きさは、運動中の引張力の大きさに基づいて決定することができる。ギャザー起伏構造は、上腕位置がユーザの運動動作(例えば、バーベルベンチプレス)により引っ張られる場合、引張方向に沿って延性伸縮することにより、ウェアラブルデバイスが引っ張られて変位し、信号の収集品質に影響を与えることを効果的に緩和することができる。
【0105】
いくつかの実施例において、電極付近の引張力の分析に基づいて、電極モジュールの周囲に弾性設計部を設置してもよい。図17Aは、本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの電極モジュールの環状弾性設計部の例示的な構成図である。図17Aに示すように、電極モジュール1710の外周に環状弾性設計部1720(例えば、高弾性伸縮可能な材料、ギャザー設計部などを用いる)が設置され、ユーザによる運動過程における電極モジュールへの引っ張りを360度弱めることができる。例えば、運動装置を装着しているユーザが腕の周回引張の運動を行う場合、胸元及びその付近位置の電極モジュール1710は、多角度に引っ張られる。この場合に、電極モジュール1710の外周に環状弾性設計部1720(例えば、高弾性伸縮可能な材料、ギャザー設計部などを用いる)を設置すると、電極モジュール1710のユーザの引っ張りによる変位を効果的に回避し、ユーザの運動による信号収集モジュールへの影響をさらに弱めることができる。図17Bは、本願のいくつかの実施例に係る上着ウェアラブルデバイスの電極モジュールの特定の方向の弾性設計部の例示的な構成図である。図17Bに示すように、電極モジュール1730の1つ以上の特定の方向に弾性設計部1740(例えば、高弾性伸縮可能な材料、ギャザー設計部などを用いる)が設置され、1つ以上の特定の方向における引っ張りを弱めることができる。例えば、運動装置を装着しているユーザが胸拡張運動を行うとき、胸部の電極モジュール1730は、同じ側の腕に近接する方向に引っ張られる。この場合に、胸部の電極モジュール1730の同じ側の腕に近接する方向に弾性設計部1740(例えば、高弾性伸縮可能な材料、ギャザー設計部などを用いる)を設置すると、電極モジュール1730のユーザの引っ張りによる変位を効果的に回避し、ユーザの運動による信号収集モジュールへの影響をさらに弱めることができる。
【0106】
図18は、本願のいくつかの実施例に係るウェアラブルデバイスの透かし彫り設計部の例示的な構成図である。図18に示すように、一部の服装ベース1800は、第1の側端1811、第2の側端1812、第3の側端1813、第4の側端1814、透かし彫り設計部の服装ベース1820(図18中のハッチング部分)、通常の服装ベース1830(図18中の空白の長尺状部分)などを含んでもよい。ここで、一部の服装ベース1800は、服装の一部の領域の構造であってもよく、第1の側端1811、第2の側端1812、第3の側端1813及び第4の側端1814は、それぞれ服装に接続されてもよい。第1の側端1811と第2の側端1812は、対向して設置され、第1の側端1811及び第2の側端1812の方向に沿って引っ張られる場合、透かし彫り設計のウェアラブルデバイスは、通常のウェアラブルデバイスよりも優れた延性を有する。引き続き図18を参照すると、第3の側端1813と第4の側端1814は、対向して設置され、第3の側端1813及び第4の側端1814の方向に沿って引っ張られる場合、透かし彫り構造は、引っ張られるにつれて大きくなることにより、透かし彫り設計のウェアラブルデバイスは、通常のウェアラブルデバイスよりも優れた延性を有する。いくつかの実施例において、運動装置を装着しているユーザが胸拡張運動を行うとき、ユーザの胸元位置の服装は、動作引っ張りにより変位する。ウェアラブルデバイスの胸元の周囲位置に透かし彫り構造を設置すると、該透かし彫り構造は、ユーザの動作引っ張りによる電極の皮膚に対する変位を効果的に減少させることにより、ユーザの胸元位置の信号収集品質を効果的に向上させることができる。引き続き図18に示す透かし彫り設計方法を参照すると、同じ材料の服装は、より優れた延性を有し、さらに服装の伸縮性を効果的に向上させることができる。他方では、服装は、より優れた通気性及び美学的な利点を備えることができる。さらに一方では、透かし彫り設計部は、異なる材料の接合を回避し、加工プロセスにおいてコスト削減をより容易に実現することができる。なお、透かし彫り構造は、服装ベースの複数の位置に設置することができ、本願は、これを限定しない。一部の服装ベース1800及び透かし彫り設計部の服装ベース1820の形状は、図18に示す長方形に限定されず、三角形、円形、平行四辺形、菱形などの規則的又は不規則的な形状であってもよい。また、服装に接続される側端は、上記第1の側端1811、第2の側端1812、第3の側端1813及び第4の側端1814に限定されず、一部の服装ベース1800の形状に基づいて適応的に調整することができる。
【0107】
いくつかの実施例において、ウェアラブルデバイスの服装ベースに追加の弾性設計部を設置してもよい。このような追加の弾性設計部は、3D印刷などのプロセスにより実現することができ、尺状の追加の材料を服装ベースに付着したものであってもよく、服装ベース自体の材料接合部及び/又は構造設計部などであってもよい。服装の材料及び構造設計部に関する説明は、図16Aから見つけることができるため、本実施例において説明を省略する。いくつかの実施例において、ウェアラブルデバイスにおける電極付近の部分加圧設計部は、電極の付近の人体への密着力を効果的に向上させるとともに、ウェアラブルデバイスの残りの部分の人体への圧力を増加させず、ユーザの装着快適さに影響を与えない。例えば、ウェアラブルデバイスの腕関節位置に加圧設計部を設置し、ユーザが運動するとき、その腕位置が引っ張られ、この場合に、腕関節位置の加圧設計部は、服装ベースのユーザの身体での変位を効果的に減少させることができる。いくつかの実施例において、ウェアラブルデバイスにおける電極付近の部分加圧設計部は、電極モジュールの2つの電極の一致性を効果的に向上させることができる。具体的には、人体表面は、不規則的な曲面であり、同一の電極モジュールが服装ベースに設置されて人体表面に密着しても、異なる密着圧力に直面する。この場合に、ウェアラブルデバイスにおける電極付近の部分加圧設計部は、電極モジュールの2つの電極の密着圧力のバランスを効果的に調整することができる。
【0108】
いくつかの実施例において、人体曲面、人体動作などの外部要因は、服装ベースにおける電極モジュールに影響を与える。回路の切り替え、ソフトワイヤーからハードワイヤーへの変換などの操作による電極の一致性への影響を効果的に回避するために、本実施例は、刃形電極を提供する。図19Aは、本願のいくつかの実施例に係る刃形電極の例示的な構成図である。図19Aに示すように、刃形電極は、第1の電極部分1910(図19A中のハッチング部分に対応する)及び第2の電極部分1920(図19A中の空白の部分に対応する)を含んでもよく、第1の電極部分1910と第2の電極部分1920は、接続され、第1の電極部分1910は、人体の皮膚に接触し、第2の電極部分1920は、データ線を切り替えることにより、第1の電極部分1910により収集された筋電信号を伝送する。いくつかの実施例において、第2の電極部分1920の上面は、ユーザの皮膚に接触しなくてもよい。さらに、第1の電極部分1910と第2の電極部分1920は、一定の高さ差を有し、第1の電極部分1910が皮膚に接触している場合、第2の電極部分1920と人体の皮膚との間に一定の間隔を有し、第2の電極部分1920においてデータ線を切り替えることにより、第2の電極部分1920が第1の電極部分1910による筋電信号の収集に干渉することを防止することができる。いくつかの実施例において、第2の電極部分1920の上面部分は、ユーザの皮膚に接触してもよい。いくつかの実施例において、第1の電極部分1910の下面と第2の電極部分1920の下面は、同一の平面にあってもよく、このとき、第1の電極部分1910の厚さを第2の電極部分1920の厚さよりも大きくすることにより、第1の電極部分1910がユーザの皮膚に接触しているとき、第2の電極部分1920は、ユーザの皮膚との間に一定の間隔があり、ユーザの皮膚に接触しない。いくつかの実施例において、第1の電極部分1910の下面と第2の電極部分1920の下面は、同一の平面に位置しなくてもよい。例えば、第1の電極部分1910の下面は、第2の電極部分1920の下面の上方に位置する。また例えば、第2の電極部分1920の下面は、第1の電極部分の上方に位置してもよいが、第2の電極部分1920の上面は、第1の電極部分1910の上面の下方にあると、第1の電極部分1910がユーザの皮膚に接触しているとき、第2の電極部分1920は、ユーザの皮膚との間に一定の間隔があり、ユーザの皮膚に接触しない。図19Bは、本願のいくつかの実施例に係る刃形電極の例示的な断面図である。図19Bに示すように、説明を容易にするために、単に例示的な説明として、刃形電極構造を服装に適用し、第1の電極部分1910の下面が服装の内層の第1の平面に接続され、第2の電極部分1920の上面が第1の平面に接続されることにより、第2の電極部分1920が第1の平面と第2の平面との間に位置する。ここでの第1の平面及び第2の平面は、衣服又は衣服に接続された他の構造の内外両側であってもよい。第1の平面及び第2の平面は、いずれも絶縁材料である。例えば、絶縁材料は、ポリエステル、綿布、ゴム、アラミド繊維などであってもよく、本実施例は、これを限定しない。
【0109】
いくつかの実施例において、電極の寸法を大きくすると、ユーザの運動による電極の脱落を効果的に回避するとともに、センサが信号を収集できることをできるだけ保証することができる。刃形電極の材料、寸法について、本願の他の箇所(例えば、図3)の説明を参照することができる。
【0110】
いくつかの実施例において、図19A中の第2の電極部分1920は、第1の電極部分1910から離れた伝導信号に対して切り替え処理を行う領域であってもよい。ウェアラブルデバイスにおける電極は、扁平状であることが多く、該扁平状の電極を切断した後に信号伝導に直接的に用いると、相対的に大きい空間を占め、信号伝導回路の抵抗が大きく、長距離の信号伝送に不利である。この場合に、刃形構造設計、及び特殊な材料(例えば、可撓性材料、弾性材料など)、特殊な加工プロセス、特殊な構造を用いて製造された導電線により、第2の電極部分1920に切り替え処理(例えば、導電線と第2の電極部分1920との電気的な接続)を行うことにより、該電極が長距離の信号伝送を実現することができる。
【0111】
いくつかの実施例において、電極に対して滑り止め設計を行ってもよい。ユーザの運動過程において、電極が動作引っ張りにより移動し及び/又は脱落するため、電極に対して固定及び滑り止め設計を行う必要がある。図19Bを参照すると、第2の電極部分1920が第1の平面の付近を通過し、第2の電極部分1920に対して1回目の固定を行うことができ、第2の電極部分1920が信号切り替えを行う前に、第2の電極部分1920に対して2回目の固定を行うことができる。なお、ここでの固定方式は、接着、溶接などの物理的接続であってもよく、固定位置及び固定順序は、必要に応じて決定されてもよく、本実施例は、これを限定しない。いくつかの実施例において、刃形電極構造の付近に部分加圧設計部を設置してもよい。ウェアラブルデバイスにおける刃形電極構造の付近に部分加圧を設計すると、刃形電極構造の付近の人体への密着力を効果的に向上させることができる。例えば、ウェアラブルデバイスの腕関節位置に加圧設計部を設置し、ユーザが運動するとき、その腕位置が引っ張られ、この場合に、腕関節位置の加圧設計部は、服装ベースのユーザの身体での変位を効果的に減少させることにより、人体の腕位置に設置された刃形電極構造の滑りを効果的に回避することができる。いくつかの実施例において、刃形電極構造の周囲にシリカゲルを塗布し、刃形電極構造と皮膚との摩擦力を増加させることにより、刃形電極構造のユーザの運動引っ張りによる変位を効果的に回避することができる。いくつかの実施例において、刃形電極構造の付近に弾性設計部を設置してもよく、弾性設計部に関する詳細な説明は、図17A図17Bから見つけることができるため、本実施例において説明を省略する。いくつかの実施例において、刃形電極構造の付近に透かし彫り設計部を設置してもよく、透かし彫り設計部に関する詳細な説明は、図18から見つけることができるため、本実施例において説明を省略する。いくつかの実施例において、刃形電極構造の付近に吸着設計部を設置してもよく、吸着設計部に関する詳細な説明は、図12図13から見つけることができるため、本実施例において説明を省略する。
【0112】
なお、上記実施例における電極モジュール(例えば、電極モジュール100、電極モジュール200、電極モジュール300及びウェアラブルデバイスにおける筋電モジュール)は、筋電信号の収集に適用されるだけでなく、電流を放出して人体の特定部分を刺激して対応する提示効果又はマッサージリラックス効果を達成することができる。例えば、ユーザのフィットネス過程において、ウェアラブルデバイスは、人体運動データに基づいて、ユーザのフィットネス動作が標準的であるか否かを判定し、電極モジュールにより電流を放出して、ユーザに運動状況を提示するという効果を達成することができる。
【0113】
なお、実施例によって、達成可能な有益な効果が異なるが、異なる実施例において、達成可能な有益な効果は、以上のいずれかの1種又は複数種の組み合わせであってもよく、他の任意の達成可能な有益な効果であってもよい。
【0114】
以上は基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本願において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0115】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0116】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0117】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願の開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0118】
いくつかの実施例において、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0119】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0120】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0121】
100 電極モジュール
101 第1の電極
102 第2の電極
103 ベース構造
200 電極モジュール
201 第1の電極
202 第2の電極
203 ベース構造
204 第3の電極
300 電極モジュール
301 第1の電極
302 第2の電極
310 第1組の電極
320 第2組の電極
701 ベース構造
710 導電性シリコン電極
720 金属織物電極
800 吸盤構造
810 中空部分
811 開口部
1000 吸盤構造
1010 中空部分
1020 中間構造
1100 吸盤構造
1110 中空部分
1111 開口部
1112 上部空間
1113 下部空間
1120 中間構造
1201 電極
1202 電極
1203 ベース構造
1210 吸盤構造
1310 吸盤構造
1301 電極
1302 電極
1400 ウェアラブルデバイス
1410 上着服装
14110 上着服装ベース
14120 上着データ処理モジュール
14121 第1の上着データ処理モジュール
14122 第2の上着データ処理モジュール
14130 上着センサモジュール
14131 第1の上着センサモジュール
14132 第2の上着センサモジュール
1420 ズボン服装
14210 ズボン服装ベース
14220 ズボンデータ処理モジュール
14221 第1のズボンデータ処理モジュール
14222 第2のズボンデータ処理モジュール
14230 ズボンセンサモジュール
14231 第1のズボンセンサモジュール
14232 第2のズボンセンサモジュール
1500 上着ウェアラブルデバイス
1510 服装ベース
1521 第1のデータ処理モジュール
1522 第2のデータ処理モジュール
1531 第1の筋電センサ
1532 第2の筋電センサ
1541 温度センサ
1542 湿度センサ
1551 第1の心電センサ
1552 第2の心電センサ
1561 接続線
1562 接続線
1571 接続線
1572 接続線
1581 接続線
1582 接続線
1610 服装ベース
1611 第1の弾性設計部
1612 第2の弾性設計部
1620 服装ベース
1621 第3の弾性設計部
1622 第4の弾性設計部
1710 電極モジュール
1720 環状弾性設計部
1730 電極モジュール
1740 弾性設計部
1800 一部の服装ベース
1811 第1の側端
1812 第2の側端
1813 第3の側端
1814 第4の側端
1820 透かし彫り設計部の服装ベース
1830 通常の服装ベース
1910 第1の電極部分
1920 第2の電極部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B