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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】紫外線受発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20241111BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20241111BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241111BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20241111BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L31/02 D
H01L33/00 J
H01L33/00 K
H01L33/32
G02B5/28
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023531759
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2022023509
(87)【国際公開番号】W WO2023276621
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2021107650
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021189554
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恒輔
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-042079(JP,A)
【文献】特開2018-114197(JP,A)
【文献】特開2013-168587(JP,A)
【文献】特開2021-034509(JP,A)
【文献】特開2008-073152(JP,A)
【文献】特開2019-187727(JP,A)
【文献】特開2020-068283(JP,A)
【文献】特開2003-188407(JP,A)
【文献】特開2002-350228(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110828644(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
H10K 30/00-99/00
G01J 1/02
H01L 33/00
H01L 33/32
G02B 5/20
G02B 5/26
G02B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心波長が220nm以上230nm未満である光を放射する光源と、
220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰し、230nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部を透過するフィルタと、
220nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部の光に感度を有し、前記フィルタを透過した光を受光する受光部と、
を備え、
前記フィルタが透過する光の帯域と、前記受光部が感度を有する帯域の少なくとも一部とが重なっており、
前記フィルタの波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、波長230nm以上400nm未満の光の透過率の10分の1以下であ
紫外線受発光装置。
【請求項2】
前記フィルタは、波長220nm以上230nm未満の光、波長230nm以上240nm未満の光、波長240nm以上250nm未満の光の順に透過率が高くなる
請求項1に記載の紫外線受発光装置。
【請求項3】
前記フィルタの波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、1%以下である
請求項1に記載の紫外線受発光装置。
【請求項4】
前記受光部は、フォトダイオードを含み、
前記フィルタがフォトダイオードの表面に接して配置されている
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線受発光装置。
【請求項5】
前記フォトダイオードは、波長220nm以上230nm未満の光に対する受光感度が、波長230nm以上400nm未満の光に対する受光感度よりも高い
請求項に記載の紫外線受発光装置。
【請求項6】
前記フォトダイオードの波長220nm以上400nm未満の紫外線光に対する応答速度は、1秒より短い
請求項に記載の紫外線受発光装置。
【請求項7】
前記光源は、波長220nm以上230nm未満の光と、波長230nm以上400nm未満の光の両方を発する
請求項1に記載の紫外線受発光装置。
【請求項8】
前記光源からの波長220nm以上230nm未満の光の発光強度は、波長230nm以上400nm未満の光の発光強度の10倍以上である
請求項に記載の紫外線受発光装置。
【請求項9】
前記受光部は、前記光源からの全放射の1/100以下の強度の光を受光する位置に配
置されている
請求項7または8に記載の紫外線受発光装置。
【請求項10】
中心波長が220nm以上230nm未満である光を放射する光源と、
220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰し、230nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部を透過するフィルタと、
220nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部の光に感度を有し、前記フィルタを透過した光を受光する受光部と、
を備え、
前記フィルタが透過する光の帯域と、前記受光部が感度を有する帯域の少なくとも一部とが重なっており、
前記フィルタの波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、1%以下であ
紫外線受発光装置。
【請求項11】
中心波長が220nm以上230nm未満である光を放射する光源と、
220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰し、230nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部を透過するフィルタと、
220nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部の光に感度を有し、前記フィルタを透過した光を受光する受光部と、
を備え、
前記受光部は、フォトダイオードを含み、
前記フィルタがフォトダイオードの表面に接して配置されており、
前記フィルタが透過する光の帯域と、前記受光部が感度を有する帯域の少なくとも一部とが重なっている
紫外線受発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線受発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の殺菌処理や治療を行うための、波長200~230nmの波長域の紫外線光を発する紫外線殺菌装置が開示されている(例えば特許文献1)。この紫外線殺菌装置は、波長230~300nmの波長域の紫外線光は人体に悪影響を及ぼすことが明らかにされていることから、波長230~300nmの波長域の紫外線光を遮断するバンドパスフィルタを搭載し、さらに230~300nmの波長域の紫外線光を吸収させる紫外線吸収部材を紫外線殺菌装置内部に有している。このように、紫外線殺菌装置には、波長230~300nmの波長域の紫外線光の外部への発光を抑制する工夫が為されている。
【0003】
また、波長220nm以下の波長の紫外線は人体に有害なオゾンガスを発生させるため、従来、波長220nm以下の波長の紫外線を消失させた低圧UVランプを用いたロール表面の付着物除去方法が開示されている(例えば、特許文献2)。これらの知見から、人体に有害な紫外線光は波長220nm以下の波長領域の紫外線光、および波長230~300nmの波長域の紫外線光であることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/131582号明細書
【文献】国際公開第2018/012052号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような紫外線発光装置や照射光から紫外線を消失させる方法を用いたとしても、波長230nm以上の波長域の紫外線光を完全に除去することは出来ない。例えば、上述した紫外線発光装置を使用するとバンドパスフィルタや紫外線吸収部材の劣化により波長230nm以上の波長域の紫外線光が外部へ放射されてしまう。波長230nmから400nmの紫外線光は視認できないため、人体が有害な紫外線に曝されていたとしても気づくことが出来ない。
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示は、波長220nm以上230nm未満の波長帯の光を利用している空間において、波長230nmから400nmの波長帯の人体に有害な紫外線光が放射された際に、効率良く波長230nmから400nmの波長帯の紫外線光を検出して危険を検知する紫外線受発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様に係る紫外線受発光装置は、中心波長が220nm以上230nm未満である光を放射する光源と、220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰し、230nm以上320nm未満の波長を透過するフィルタと、220nm以上230nm未満の波長帯および230nm以上400nm未満の波長帯の両方の光に感度を有する受光部と、を備え、フィルタが透過する光の帯域と、受光部が感度を有する帯域の少なくとも一部とが重なっている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、波長220nm以上230nm未満の波長帯の光を利用している空間において、波長230nmから400nmの波長帯の人体に有害な紫外線光が放射された際に、効率良く波長230nmから400nmの波長帯の紫外線光を検出し危険を検知する紫外線受発光装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る紫外線受発光装置の一構成例を概略的に示す断面図である。
図2】本開示の実施形態に係る紫外線受発光装置を構成する紫外線受光装置の一構成例を示す断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る紫外線受発光装置を構成する紫外線受光装置の他の構成例を示す断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る紫外線受発光装置を構成する紫外線発光装置の一構成例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を通じて本開示に係る紫外線受光装置を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明に限定されない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
1.紫外線受発光装置
以下、本開示の実施形態に係る紫外線受発光装置5について、図1から図4を参照して説明する。
紫外線受発光装置5は、紫外光を受光可能な半導体素子を含む紫外線受光装置1と、紫外光を発光可能な半導体素子である光源4とを備えている。
【0012】
(1.1)紫外線受発光装置の構成
本実施形態の紫外線受発光装置5は、波長220nm以上230nm未満の光を放射する光源4と、受光部2及びフィルタ3を有する紫外線受光装置1とを備えている。すなわち、光源4と、受光部2及びフィルタ3を有する紫外線受光装置1とにより、図1に示す紫外線受発光装置5が構成されている。
【0013】
受光部2は、220nm以上230nm未満の波長帯および230nm以上400nm未満の波長帯の両方の光に感度を有するセンサである。フィルタ3は、220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰し、230nm以上320nm未満の波長帯の光を透過する機能を有する。紫外線光は、フィルタ3を介して受光部2へ入射する。
以下、紫外線受発光装置5を構成する紫外線受光装置1及び光源4の各構造について詳細に説明する。
【0014】
(1.2)紫外線受光装置
<受光部>
受光部2は、220nm以上230nm未満の波長帯および230nm以上400nm未満の波長帯の両方の光に感度を有するセンサであればセンサの種類と形状は特に制限されない。具体的に、受光部2は、光電子増倍管、シリコンフォトダイオード、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を材料とした光センサが挙げられる。受光部2は、この中で、受光感度が高いAlGaNを材料とした光センサであることが好ましい。特に、金属-半導体-金属の電流経路を有するMSM(Metal-Semiconductor-Metal)型の光センサは
、波長230nm以上400nm未満の受光感度が極めて高く、また可視光の影響を受けないため、本開示の光センサとして好ましい。
【0015】
図2に、MSM型の光センサである紫外線受光装置1の例を示す。
受光部2は、基板21と、半導体積層部22、23及び24と、電極25及び26とを備え、220nm以上230nm未満の波長帯および230nm以上400nm未満の波長帯の両方の光に感度を有する。基板21は、第1主面21A上に半導体積層部22を配置可能であればよく、形状は特に制限されない。
MSM型の光センサは、導電性AlGaNの固体内部を電流が流れる構造であってもよく、AlGaNの積層界面の2次元電子ガスあるいは2次元正孔ガスを利用して電流が流れる構造であっても良い。
受光部2は、単一の光センサ素子で構成されていても、複数の素子が連結していても、複数の素子が離散的に配置されていても良い。
【0016】
受光部2としてAlGaNを材料とした光センサを用いる場合には、MSM型の光センサに限られない。具体的には、p型半導体とn型半導体とを積層したPN型、PIN型、又はアバランシェ型フォトダイオードでも良い。PIN型のフォトダイオードを用いる場合には、光に反応する層が単層であっても、多重量子井戸層であっても良い。さらに、ゲート電極を用いても、あるいはp-AlGaNもしくはp-GaNを光センサのゲートとして半導体積層部の最上層に配置しても良い。ゲート電極、ゲート半導体を用いる場合には、絶縁体を介して半導体と接合させるMIS型構造であっても良い。
また、受光部2としては、ダイアモンド、酸化ガリウム、MgZnOなどの材料を用いた光センサでも良い。
【0017】
受光部2は、220nm以上230nm未満の波長帯の内、一部の波長にのみ感度を有していても、全波長帯域で感度を有していても良い。ここで、「感度を有する」とは、受光部2に光が入射した際に、受光部2で光から変換された電流あるいは電圧が、光が入射されていない時に受光部2から出力される電流あるいは電圧と比較して変化があることを表す。受光部2は、230nm以上400nm未満の波長帯の内一部の波長にのみ感度を有していても、全波長帯域で感度を有していても良い。人体に有害な光を漏れなく検出する観点から、全波長帯域で感度を有していることが好ましい。
【0018】
受光部2は、波長200nm以上220nm未満の光に対して感度を有していても良い。波長200nm以上220nm未満の光に感度を有していることで、オゾンを生成する紫外線が放射されているかどうかを検知することが出来る。
紫外線は、波長230nm以上240nm未満、波長240nm以上250nm未満、波長250nm以上280nm未満の波長帯の順に人体への有害性が増加し、また波長320nm以上400nm未満、波長280nm以上320nm未満の波長帯の紫外線もこの順に人体への有害性が増加する。このため、受光部2では、波長230nm以上240nm未満、波長240nm以上250nm未満、波長250nm以上280nm未満、波長280nm以上320nm未満、波長320nm以上400nm未満の波長帯域での感度が異なっていても良い。ここで、「感度が異なる」とは、受光部2に光が入射した際に、受光部2で光から変換された電流あるいは電圧が、光が入射されていない時に受光部2から出力される電流あるいは電圧と比較して変化の量および比率が異なっていることを表す。
【0019】
受光部2は、人体に最も有害な波長250nm以上280nm未満の波長帯の紫外線に対して最も感度が高いことが好ましい。この観点から、受光部2は、波長230nm以上240nm未満の光に対して感度を有することが好ましく、波長230nm以上250nm未満の光に対して感度を有することがより好ましく、波長230nm以上280nm未満の光に対して感度を有することがより好ましく、波長230nm以上320nm未満の光に対して感度を有することがさらに好ましい。
【0020】
また、波長320nm以上400nm未満の光は、波長230nm以上320nm未満の波長帯の紫外線光に比べて人体への有害性が低い。このため、波長320nm以上400nm未満の波長帯の紫外線光の分光感度(A/W/nm)は、波長230nm以上320nm未満の波長帯の紫外線光の分光感度(A/W/nm)より低くても良い。
また、波長230nm以上240nm未満、波長240nm以上250nm未満、波長250nm以上280nm未満、波長280nm以上320nm未満、及び波長320nm以上400nm未満の波長帯域での感度が異なる複数の素子を用いても良い。これは例えば、AlGaNを材料として用い、AlGaNのAl組成比率を変えて形成したMSM型センサの素子を複数用いることで実現可能である。
【0021】
人体に有害な紫外線光を微弱光であっても検出できるようにする観点から、波長230nm以上400nm未満の紫外線光の分光感度は、0.1A/W/nmより大きいことが好ましい。人体に特に有害な紫外線光を微弱光であっても検出できるようにする観点から、波長250nm以上280nm未満の紫外線光の分光感度が0.1A/W/nmより大きいことが好ましい。これは、人体に特に有害な波長帯の紫外線光を効率良く検出するためである。
【0022】
受光部2は、波長200nm以上220nm未満の光を受光する素子と、波長230nm以上400nm未満の光を受光する素子の二種類以上の素子を有していても良い。この場合、波長200nm以上220nm未満の紫外線光を受光する素子と、波長230nm以上400nm未満の紫外線光を受光する素子の設計を変えてもよい。これにより、各々の波長帯域に光電変換効率の高い素子あるいはコストを低減した安価な素子を採用することが可能となる。具体的には、波長200nm以上220nm未満の紫外線光を受光する素子にはAlGaNを材料としたMSM型の紫外線センサを用い、波長230nm以上400nm未満の紫外線光を受光する素子にはシリコンフォトダイオードを用いることが出来る。
【0023】
受光部2は、波長230nm以上240nm未満の光を受光する素子と、波長240nm以上400nm未満の光を受光する素子の二種類以上の素子を有していても良い。この場合、波長230nm以上240nm未満の紫外線光を受光する素子と、波長240nm以上400nm未満の紫外線光を受光する素子の設計を変えてもよい。これにより、各々の波長帯域に光電変換効率の高い素子あるいはコストを低減した安価な素子を採用することが可能となる。具体的には、波長230nm以上240nm未満の紫外線光を受光する素子にはAlGaNを材料としたMSM型の紫外線センサを用い、波長240nm以上400nm未満の紫外線光を受光する素子にはシリコンフォトダイオードを用いることが出来る。
【0024】
受光部2は、波長220nm以上230nm未満の光を受光する素子と、波長230nm以上400nm未満の光を受光する素子の二種類以上の素子を有していても良い。この場合、波長220nm以上230nm未満の紫外線光を受光する素子と、波長230nm以上400nm未満の紫外線光を受光する素子の設計を変えてもよい。また、後述するフィルタ3を透過した光を受光する配置で波長220nm以上230nm未満の光を受光する素子と、波長230nm以上400nm未満の光を受光する素子の二種類以上の素子を配置しても良く、あるいは波長230nm以上400nm未満の光を受光する素子だけがフィルタ3を透過した光を受光する配置にして、波長220nm以上230nm未満の光を受光する素子はフィルタ3を介さない光を受光する配置にしても良い。これにより、波長220nm以上230nm未満の紫外線光の強度と、波長230nm以上400nm未満の紫外線光の各々の波長帯域での積分出力の比較が可能となる。この積分出力を比較することで、例えば殺菌効果と、人体への紫外線による有害性の効果を比較することが出来る。さらに、殺菌効果と、人体への紫外線による有害性の効果の各々を定量化することも可能となる。これら定量化した値を、各種安全性の基準と照合し、その安全性の範囲内での使用に制限されるように光源4の駆動電流や電圧を制御することも出来る。
【0025】
受光部2において、波長220nm以上400nm未満の紫外線光に対する応答速度(応答にかかる時間)は1秒より短いことが好ましい。応答速度が1秒より短いと、人体に有害な波長230nm以上400nm未満の紫外線光が放射された際に、周囲にいる人に瞬時に危険を知らせることが出来る。応答速度は0.1秒より短いことがより好ましいが、0.01秒より短いことがより好ましく、0.001秒より短いことがさらに好ましい。この時間が短いことで、より周囲へ危険を知らせる時間を短くすることが出来る。
【0026】
ここで、「応答速度」とは、信号が安定化するまでの時間では無く、紫外線光が無い状態からの変化を検出できる時間を指し、必ずしも受光部2から得られる信号が安定化していなくても良い。具体的には、トリガーとなる閾値を設定し、検出信号がトリガー設定値を越えた際に検知を行う方式を用いても良い。
【0027】
また、受光部2において、波長230nm以上400nm未満の紫外線光に対する応答速度は、0.1秒より短いことが好ましく、0.01秒より短いことがより好ましく、0.001秒より短いことがさらに好ましい。この時間が短いことで、より周囲へ安全を知らせる時間を短くすることが出来る。
【0028】
受光部2は、波長230nm以上400nm未満の光を受光して電気(電流あるいは起電圧)に変換する構造であることが望ましい。また、受光部2は、その電流あるいは起電圧に対して閾値を設定し、閾値を超えると周囲が認知出来る信号を発する構造であっても良い。受光部2は、波長220nm以上230nm未満の光を受光する素子と、波長230nm以上400nm未満の光を受光する素子の二種類以上の素子を有していて、各々の素子が別々の電気信号を掃き出す構造でも良い。この場合、波長220nm以上230nm未満の光の積分強度と、波長230nm以上400nm未満の光の積分強度を比較することで、殺菌効果と、人体への紫外線による有害性の効果を比較することが出来る。さらに、上述した積分強度を比較することで、殺菌効果と、人体への紫外線による有害性の効果の各々を定量化することも可能となる。これら定量化した値を、各種安全性の基準と照合し、その安全性の範囲内での使用に制限されるように光源4の駆動電流や電圧を制御することも出来る。
波長230nm以上400nm未満の光は波長ごとに区切って複数の積分強度を測定しても良い。例えば、波長230nm以上240nm未満の光の積分強度、波長240nm以上250nm未満の光の積分強度、波長250nm以上260nm未満の光の積分強度、波長260nm以上270nm未満の光の積分強度、波長270nm以上280nm未満の光の積分強度、波長280nm以上290nm未満の光の積分強度を別々に測定し、各々の測定結果を換算して光源4の駆動電力を制御しても良い。
【0029】
これは、特に光源4への入力電力を制御するための基準となる上限照射量に波長依存性がある場合に有効である。例えば、植物や動物あるいは樹脂製品への照射においては、照射対象への影響量には波長の依存性がある。そのため、上述の通り各波長帯での積分強度を測定し、各波長帯での影響量に応じた重みづけの係数を各光の積分強度に対して掛け算することで、異なる波長での光の強度を発光が含んでいたとしても基準上限と比較することが可能となる。一例として、波長260nm以上270nm未満の光の積分強度に対しての発光の許容上限照射量をAとした際に、波長230nm以上240nm未満の光の積分強度をB、重みづけ係数をb、波長240nm以上250nm未満の光の積分強度をC、重みづけ係数をc、波長250nm以上260nm未満の光の積分強度をD、重みづけ係数をd、波長260nm以上270nm未満の光の積分強度をE、重みづけ係数をe、波長270nm以上280nm未満の光の積分強度をF、重みづけ係数をf、波長280nm以上290nm未満の光の積分強度をG、重みづけ係数をgとした際に、B×b+C
×c+D×d+E×e+F×f+G×gがAを越えないように光源4への入力電力を調整する(例えば、電流を下げる)方法が挙げられる。別の一例として、波長260nm以上270nm未満の光の積分強度に対しての発光量を一定量のAにしたい場合、波長230nm以上240nm未満の光の積分強度をB、重みづけ係数をb、波長240nm以上250nm未満の光の積分強度をC、重みづけ係数をc、波長250nm以上260nm未満の光の積分強度をD、重みづけ係数をd、波長260nm以上270nm未満の光の積分強度をE、重みづけ係数をe、波長270nm以上280nm未満の光の積分強度をF、重みづけ係数をf、波長280nm以上290nm未満の光の積分強度をG、重みづけ係数をgとした際に、B×b+C×c+D×d+E×e+F×f+G×gがAとなるよう
に光源4への入力電力を調整する、例えば電流を上げるもしくは下げる方法が挙げられる。この際、紫外線受発光装置5に電流に対しての各波長帯の発光出力を示す検量式が事前に読み込まれ、その検量式を用いて演算を行う機能が内蔵されており、波長260nm以上270nm未満の光の積分強度に対しての発光量を一定量のAとなるように調整する方法が考えられる。
【0030】
より具体的には、閾値を超えると周囲に可視光の光を発する、あるいは人体で認識可能な音を発する、あるいは振動する、あるいは定量化したデータを表示する、あるいは定量化したデータや信号を送信する等の機能を有していても良い。ここで、「データ」や「信号」とは、具体的には受光部2で紫外線光を検出した際に変換された電流・電圧の値、あるいは電流・電圧の比率を定量化した値を示しても良く、その定量化した値に補正係数を掛けて変換した値でも良く、またあるいはその定量化した値を区分化した区分を数値で表現しても良い。
【0031】
受光部2は、波長220nm以上230nm未満の光を受光する素子と、波長220nm未満の光を受光する素子の二種類以上の素子を有していて、各々の素子が別々の電気信号を掃き出す構造でも良い。受光部2が波長220nm未満の光を受光する素子であることにより、220nm未満の光が大気中に放射されているか否かを検出することが出来、検出に伴って光源4の発光を停止することで同波長帯の紫外性線光により生成するオゾンの発生を抑制することが出来る。
【0032】
受光部2で測定した測定強度値を用いて、光源4への入力電力あるいは光源4からの発光を調節あるいは抑制する機構(以下、第1発光調節機構と記載する)が受光部2とは別に設けられていても良い。測定強度値には、例えば任意の波長帯での積分出力強度値、あるいは任意の波長帯での積分強度値にその波長帯ごとの重み付け係数を掛けて積算させた代用値が挙げられる。もしくは、積分強度値以外にも任意の波長での出力強度値、あるいは受光時に生じる起電圧値を用いることも可能である。あるいは、受光部2が蛍光体及び可視光センサを内蔵しており、蛍光体が紫外線光を可視光に変換して、可視光センサが可視光の蛍光強度を測定強度値として算出しても良い。第1発光調節機構は、例えば、波長220nm以上230nm未満の光の積分強度値を検出し、波長220nm以上230nm未満の光の出力が定値になるように光源4への入力電力を調節しても良い。また、使用時間の経過とともに素子の劣化により光源4の出力が低下するが、その際に、第1発光調節機構は、初期出力と同じ発光強度が得られるように光源4の入力電力を調節しても良い。第1発光調節機構は、波長220nm以上230nm未満の光の積分強度値を検出し、発光強度が使用初期の出力の一定相対比率値(例えば、0.5倍)を示した際に光源4の入力電力を0ワットに調節しても良く、あるいは機械的に発光を抑制する機構、例えばシャッターが閉じることで光源4からの外部への放射を遮断しても良い。その際、第1発光調節機構は、機械動作以外にもインジケータ表示により発光が抑制されたことを示しても良い。第1発光調節機構は、波長220nm以上230nm未満の光の各波長の強度を測定し、この波長域で最大の出力を示す波長が規定値以上シフトした場合に(例えば2nm)、光源4の入力電力を0ワットに調節しても良い。上記は第1発光調節機構が波長220nm以上230nm未満の光の強度を測定した場合の動作を例として示したが、第1発光調節機構は、波長230nm以上320nm未満の光の強度を測定した場合に同様の動作をしても良く、あるいは波長220nm以下の光の強度を測定した場合に同様の調節をしても良い。具体的には、例えば波長230nm以上320nm未満の光の強度が規定値を越えた場合に、第1発光調節機構が光源4の入力電力を小さくするように調整することで波長220nm以上320nm未満の光の強度を小さくしても良い。
【0033】
受光部2で測定した波長220nm未満の光測定強度値を用いて、光源4への入力電力あるいは光源4からの発光を調節あるいは抑制する機構(以下、第2発光調節機構と記載する)が受光部2とは別に設けられていても良い。測定強度値には、例えば波長220nm未満の任意の波長帯での積分出力強度値、あるいは任意の波長帯での積分強度値にその波長帯ごとの重み付け係数を掛けて積算させた代用値が挙げられる。もしくは、積分強度値以外にも任意の波長での出力強度値、あるいは受光時に生じる起電圧値を用いることも可能である。あるいは、受光部2が蛍光体及び可視光センサを内蔵しており、蛍光体が紫外線光を可視光に変換して、可視光センサが可視光の蛍光強度を測定強度値として算出しても良い。第2発光調節機構は、波長220nm以上230nm未満の光の積分強度値を検出し、発光強度が使用初期の出力の一定相対比率値(例えば、0.5倍)を示した際に光源4の入力電力を0ワットに調節しても良く、あるいは機械的に発光を抑制する機構、例えばシャッターが閉じることで光源4からの外部への放射を遮断しても良い。その際、第2発光調節機構は、機械動作以外にもインジケータ表示により発光が抑制されたことを示しても良い。第2発光調節機構は、波長220nm未満の光の各波長の強度を測定し、この波長域で最大の出力を示す波長が規定値以上シフトした場合に(例えば2nm)、光源4の入力電力を0ワットに調節しても良い。あるいは、波長220nm未満の光の強度が規定値を越えた場合に、第2発光調節機構が光源4の入力電力を小さくするように調整することで波長220nm未満の光の強度を小さくしても良い。
【0034】
第1発光調節機構が受光部2からの信号を用いて光源4の入力電力を調節する際には、昇圧コンバータあるいは降圧コンバータを用いて電圧を増減させても良く、あるいは電流制御の抵抗を介することで制御しても良い。もしくは、パルス駆動とすることでのデューティ比あるいは各パルスの強度を変化させることで調節しても良い。デューティ比を変化させる場合は、各パルスのパルス時間を変化させても、パルスの数を変化させても良い。
【0035】
受光部2で検出する信号はプリアンプを用いて増幅されても良く、第1発光調節機構は、その増幅された信号をコンパレータに送り、光源4を駆動させる電圧と比較しても良い。その際に、第1発光調節機構では、プリアンプを用いて増幅された信号(電圧)と光源4を駆動させる電圧との両者の電圧値が一致するような制御、すなわち光源4が一定の発光出力となるようなフィードバック制御が為されても良い。つまり、第1発光調節機構は、プリアンプからの出力電圧が光源駆動の電圧よりも小さければコンパレータの出力は大きくなり、光源4の駆動電流が大きくなることで光出力が大きくなるように制御しても良く、プリアンプからの出力電圧が光源駆動の電圧よりも大きければコンパレータの出力は小さくなり、光源4の駆動電流が小さくなることで光出力が小さくなるように制御しても良い。
【0036】
受光部2で検出する累積時間が規定値(時間)を越えた際に、光源4からの光源4の入力電力を0ワット(つまり、発光を停止する)に調節する、あるいは機械的に外部への放射を抑制する機構(以下、第2発光調節機構と記載する)が受光部2とは別に設けられていても良い。この動作を行うことにより、第2発光調節機構は、人体に有害な光が外部へ放射されることを抑制することが出来る。
第2発光調節機構は、受光部2で検出する信号値を用いて、複数の光源4を有する場合その一部のみに入力電力の調節を行っても良い。
受光部2は、光源4が複数ある場合その一部のみの発光を検知しても良い。例えば、光源4が100個の発光ダイオードで有る場合に、その内の1個の発光出力を検知して光源4の入力電力を調整しても良い。
【0037】
上述したような受光部2で発光を検知し光源4への入力電力(電圧もしくは電流あるいはその両方)を制御することで、光源4の発光出力を使用期間中一定に保つことが可能となる。あるいは、受光部2で発光を検知し光源4への入力電力を制御することで、光源4の発光出力が規定の値に収まるように制御することや、光源4の発光出力が規定の値より強く、あるいは弱く、外れた場合に光源4への入力電力を制御することが可能となる。
【0038】
受光部2は、信号を算出する際に補正係数を用いていても良い。波長230nm以上240nm未満の光に対して用いる補正係数は、波長220nm以上230nm未満の光に対して用いる補正係数より高くても良い。さらには、波長240nm以上250n未満の光に対して用いる補正係数は、波長230nm以上240nm未満の光に対して用いる補正係数より高くても良い。さらには、波長250nm以上280nm未満の光に対して用いる補正係数は、波長240nm以上250nm未満の光に対して用いる補正係数より高くても良い。これにより、より人体に有害な波長帯の紫外線を検出した際に信号が大きく出るため、危険をより迅速に認識できる。
このように補正係数を調整することは、光を受光する素子が一つである場合により効果がある。
【0039】
また、波長280nm以上320nm未満の光に対して用いる補正係数は、波長320nm以上400nm未満の光に対して用いる補正係数より高くても良い。これにより、より人体に有害な波長帯の紫外線を検出した際に信号が大きく出るため、危険をより迅速に認識できる。
このように補正係数を調整することは、光を受光する素子が一つである場合により効果がある。
【0040】
また、波長200nm以上220nm未満の光に対して用いる補正係数は、波長230nm以上400nm未満の光に対して用いる補正係数より高くても良い。これにより、オゾンを生成する波長帯の紫外線を検出する信号が大きく出るため、危険をより迅速に認識できる。
【0041】
受光部2では、波長220nm以上230nm未満の光に対する受光感度が、波長230nm以上400nm未満の光に対する受光感度より高くても良い。これにより、オゾンを生成する波長帯の紫外線を検出する信号が大きく出るため、危険をより迅速に認識できる。より具体的には、波長220nm以上230nm未満の光に対する受光感度が230nm以上400nm未満の光に対する受光感度より10倍高くても良い。
【0042】
受光部2は、温度センサ(不図示)を有していても良い。温度センサを有し、かつその信号に基づいて、受光部2の紫外線受光装置の温度特性を補正し、より精密な測定が可能となる。温度センサは赤外線センサであっても良い。温度センサが赤外線センサである場合、赤外線を電気信号へ変換し、紫外線受光素子の温度特性を補正しやすくなる。また、赤外線センサが半導体センサである場合、紫外線受光素子と赤外線受光素子とを並列して配置しても良く、同じパッケージ品の中に赤外線受光素子と紫外線受光素子を配置することで、省スペース化を実現することも可能である。さらに、赤外線センサの紫外線曝露による特性変化を、紫外線受光素子で検出する強度に応じて信号処理することで、補正することも可能である。
【0043】
受光部2は、光源4の初期出力を測定しても良く、ある時間使用した後に測定しても良く、その両方で測定しても良い。受光部2は、使用時に光源4の出力を常時測定しても良く、一定間隔で測定しても良く、任意の時間で測定しても良い。受光部2は、光源4の電源がオフであるなど、光を発していない時も測定を行っても良い。
受光部2は、太陽からの光を同時に受光しても良いが、好ましくは太陽からの光を直接受光しないように太陽光を遮断する仕切り等を設ける。あるいは、受光部2は、太陽光からのノイズを低減するために、光源4の発光と受光部2の受光のタイミングを連動させても良い。この際、光源4はパルス駆動であっても良い。
以下、受光部2の各層について詳細に説明する。なお、以下、受光部2の紫外線受光センサにAlGaNを用いたMSM型センサを用いた場合に関して説明を行う。
【0044】
<基板>
基板21を形成する材料の具体例としては、Si、SiC、MgO、Ga、Al、ZnO、GaN、InN、AlN、あるいはこれらの混晶等が挙げられる。基板21は、薄板の四角形状を有していることが組立上好ましいが、これに限らない。
また、基板21のオフ角は高品質の結晶を成長させる観点から0度より大きく2度より小さいことが好ましい。
基板21の膜厚は、上層にAlGaN薄膜を積層させる目的であるならば特に制限されないが、50μm以上1mm以下であることが好ましい。基板21は、上層薄膜の支持、および結晶性の向上、外部への放熱を目的として使用される。そのため、基板21としては、AlGaNを高品質で成長させることが出来、熱伝導率の高い材料であるAlN基板を用いることが好ましい。
【0045】
基板21の結晶品質には特に制限はないが、高い光電変換効率を有する素子薄膜を上層に形成することを目的として、貫通転位密度が1×10cm-2以下であることが好ましく、1×10cm-2以下であることがより好ましい。基板21の成長面は、一般的に用いられる+c面AlNが低コストなため良いが、-c面AlNであっても、半極性面基板であっても、非極性面基板であっても良い。基板21としてAlN基板を用いる場合、融液成長法や昇華法、ハライド気相成長法によって作製できるが、高品質なAlN基板を成長させることが出来る観点から昇華法で作製することが好ましい。
【0046】
<半導体積層部>
半導体積層部22、23及び24は、紫外線光を電気に変換する素子である。
半導体積層部22は、基板21上に配置され、上層に積層する半導体積層部23、24を高品質に成長させる目的で配置される。具体的には、基板21に+c面のAlN単結晶基板を用いる場合、半導体積層部22はAlGaNであることが好ましい。基板21との格子定数差が小さく高品質な薄膜を成長させることが出来、かつ波長220nm以上230nm未満の紫外線光、および波長230nm以上400nm未満の紫外線光を電気に変換できるためである。
【0047】
半導体積層部22は、基板21との界面にAlNをバッファ層(不図示)として配置しても良い。このAlNのバッファ層は、基板21と同じ方法で成長させても良いが、異なる方法で成長させても良い。異なる方法で半導体積層部22を成長させる場合、半導体積層部22には、炭素や酸素、水素等の不純物の濃度が基板21と異なる濃度で含まれていても良い。異なる方法で半導体積層部22を成長させる場合には、有機金属気相成長法、スパッタ法、ハライド気相成長法等で作製できるが、上層の高品質AlGaN層を連続的に成長出来る観点から有機金属気相成長法が好ましい。
【0048】
基板21の上層、具体的には半導体積層部22の膜厚方向における基板21に接する領域にAlNバッファ層を配置しても良い。AlNバッファ層は、例えば基板21の全面に形成されている。AlNバッファ層の膜厚は、10nm超10μm未満であることが好ましい。AlNバッファ層の膜厚が10nm超であることで、結晶性の高いAlNを作製することができる。また、AlNバッファ層の膜厚が10μm未満であることで、ウェハ全面においてクラックの無い結晶成長が可能である。AlNバッファ層の膜厚は、50nm超5μm未満であることがより好ましい。AlNバッファ層の膜厚が50nm超であることで、結晶性の高いAlNを再現良く作製することができる。また、AlNバッファ層の膜厚が5μm未満であることで、クラック発生確率の低い結晶成長が可能となる。
【0049】
基板21がGaN、AlN及びAlGaN等の窒化物半導体で形成されている場合、上記理由のため、欠陥の少ない窒化物半導体層を基板21上に成長できる。このため、基板21が窒化物半導体で形成されている場合、必ずしもAlNバッファ層が設けられていなくてもよい。また、その他の基板上においても、高品質のAlGaNを直接基板上に形成し、AlNを有さなくても良い。AlN層には、炭素やケイ素、鉄、マグネシウム等の不純物が混入されていてもよい。
【0050】
半導体積層部23、24は、界面に2次元電子ガスを生成させる観点から、Al組成比率の異なるAlGaNであることが好ましい。半導体積層部23、24は、メサ構造20を構成している。
具体的には、基板21が+c面AlN基板、半導体積層部23が膜厚150nmのAl0.5Ga0.5N、半導体積層部24が膜厚20nmのAl0.6Ga0.4Nである場合、波長220nm以上230nm未満の波長帯域における分光感度が1000A/W/nm以上、波長230nm以上270nm未満の波長帯域における分光感度が3A/W/nm以上の紫外線受光素子を作成することが出来る。
基板21が+c面AlN基板、半導体積層部23が膜厚150nmのAl0.2Ga .8N、半導体積層部24が膜厚20nmのGaNである場合、波長220nm以上230nm未満の波長帯域における分光感度が10000A/W/nm以上、波長230nm以上4000nm未満の波長帯域における分光感度が3A/W/nm以上の紫外線受光素子を作成することが出来る。
【0051】
半導体積層部22、23及び24のAl組成比率は、断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)により特定することが出来る。
断面は集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置を用いてAlGaNのa面に沿う断面を露出させる。断面の観察方法としては、透過型電子顕微鏡を用いる。観察する倍率は、測定する層の膜厚に対してx1000倍/nmとする。例えば、100nmの膜厚の層を観察するには100000倍、1μmの膜厚の層を観察するには1000000倍の倍率で観察する。
Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。
【0052】
また、半導体積層部22、23及び24を形成するAlx1Ga(1-x1)Nには、P、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれていてもよい。半導体積層部22、23及び24は、n型半導体でもp型半導体でも良い。
半導体積層部22、23及び24をn型半導体にする場合、例えばSiをドープ(例えば1×1019cm-3)することでAlGaNをn型化できる。
半導体積層部22、23及び24をp型半導体にする場合、例えばMgをドープする(例えば3×1019cm-3)ことでAlGaNをp型化できる。
【0053】
上記以外にも異なる層が含まれていても良い。例えば、半導体積層部22と半導体積層部23との間に中間AlGaN層(不図示)を含んでいても良い。この中間AlGaN層は、上層に積層する半導体積層部23と24への格子歪を緩和する目的で成長させても良いし、結晶性を向上させるために厚膜成長させても良い。
【0054】
図2では、半導体積層部23及び24は、半導体積層部22よりも面積が小さい構造を有している。具体的には、半導体積層部22、23及び24を薄膜成長させた後にエッチング処理を行うことで、半導体積層部23、24を加工している。この処理は、受光する面積を制御することで再現性良く紫外線光に対する検出信号を得る、あるいは素子分離の際のパーティクルの付着を抑制する目的で加工が行われる。
【0055】
<電極>
電極25、26は、接触する半導体積層部24とオーミック接続となる材料で形成されることが好ましい。電極25、26を構成する材料としては、Ti,Al,Ni,Au,Cr,V,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W若しくはその合金、又はITO等が挙げられ、アルミニウムとニッケルとを含む材料あるいはZr,V,Al,Mo,Auを含む材料がコンタクト抵抗低減の観点からより好ましい。
電極25、26は、電流拡散、あるいは図示しないパッケージ基体との接続のために、例えばAu,Al,Cu,Ag,W等の金属層を連続して形成しても良く、導電性の高いAuが用いられることが望ましい場合がある。また、密着性向上のため、半導体積層部24との界面にTiをさらに含んでいても良い。
【0056】
<フィルタ>
フィルタ3は、受光部2に入射する紫外線光の波長を制御するために配置され、具体的には波長220nm以上230nm未満の光を減衰する。波長220nm以上230nm未満の紫外線光は、人体に有害では無いため積極的に用いられており、波長200nm以上220nm未満の紫外線光、あるいは波長230nm以上400nm未満の紫外線光より高い光強度で存在している。この波長220nm以上230nm未満の紫外線光をフィルタ3で減衰させることで、受光部2が波長230nm以上400nm未満の紫外線光を精度良く検出することが可能となる。ここで、「減衰」とは必ずしも透過率0%である必要は無く、少なくとも指定された波長範囲全域で透過率が30%以下なら減衰していると考える。
フィルタ3は1つであっても、複数であっても良い。フィルタ3が複数である場合には、分光特性が異なるフィルタ3を複数用いても良い。
【0057】
フィルタ3は、波長230nm以上320nm未満の波長帯の光を透過する。ここで、「透過する」とは、「減衰」される波長220nm以上230nm未満の波長帯の光よりも指定された波長範囲全域で透過率が高いことを意味する。フィルタ3の波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、波長230nm以上320nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましい。ここで、フィルタ3の波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、波長230nm以上240nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長240nm以上250nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長250nm以上260nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長260nm以上270nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長270nm以上280nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長280nm以上290nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長290nm以上300nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長300nm以上310nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長310nm以上320nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましい。更に、波長230nm以上400nm未満の光の透過率の10分の1以下であることがより好ましい。ここで、フィルタ3の波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、波長320nm以上330nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長330nm以上340nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長340nm以上350nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長350nm以上360nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長360nm以上370nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長370nm以上380nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長380nm以上390nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましく、さらに波長390nm以上400nm未満の光の透過率の10分の1以下であることが好ましい。これにより、上述したように受光部2に入射する波長220nm以上230nm未満の紫外線光の強度が下がるため、より効率良く波長230nm以上320nm未満、あるいは230nm以上400nm未満の紫外線光を受光・検出することが可能となる。
【0058】
フィルタ3は、波長220nm以上230nm未満の光、波長230nm以上240nm未満の光、波長240nm以上250nm未満の光の順に透過率が高くなることが好ましい。紫外線光はこの順で人体への有害性が高くなっていく。このため、より有害な波長帯の紫外線光を受光部2で検出できるように、フィルタ3での透過率はこの順で高いことが好ましい。
また、波長230nm以上240nm未満の光の透過率は、波長220nm以上230nm未満の光の透過率より高い方が好ましい。さらには、波長250nm以上240nm未満の光の透過率は、波長230nm以上240nm未満の光の透過率より高い方が好ましい。さらには、波長250nm以上280nm未満の光の透過率は、波長250nm以上240nm未満の光の透過率より高い方が好ましい。これにより、人体に有害な波長帯の紫外線光を受光部2でより効率良く検出することができる。これは、フィルタ3が一つである場合により効果がある。また、フィルタ3は、波長280nm以上320nm未満の光の透過率より波長320nm以上400nm未満の光の透過率が高い方が好ましい。波長280nm以上320nm未満の光の透過率は、波長220nm以上230nm未満の光の透過率より高い方が好ましい。波長320nm以上400nm未満の光の透過率は、波長220nm以上230nm未満の光の透過率より高い方が好ましい。
【0059】
フィルタ3の波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、1%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。これは、220nm以上230nm未満の波長帯の一部のみ満たしていても、全波長帯域で満たしていても良い。これにより人体に有害な波長帯の紫外線光をより受光部2で効率良く検出することができる。
【0060】
フィルタ3は、受光部2が半導体受光素子を有する場合、半導体受光素子の入射面に接して配置されていても良い。具体的には、紫外線受光装置1の各層は、図3に示す配置であっても良い。特に、受光部2が半導体受光素子としてフォトダイオードを含む場合、フィルタ3が半導体受光素子、すなわちフォトダイオードの表面(入射面)に接して配置されていることが好ましい。フィルタ3が半導体受光素子の入射面に接して配置されることにより、フィルタ3と半導体受光素子の機能を一体化させることで、コストを低減することが可能である。さらに、フィルタ3が半導体受光素子の表面を覆うことで、半導体受光素子が空気や水により腐食されることを抑制することが可能である。
【0061】
フィルタ3は、波長200nm以上220nm未満の光を透過し、受光部2は波長200nm以上220nm未満の光を受光しても良い。これにより、オゾンを生成する紫外線光である波長200nm以上220nm未満の紫外線光を受光部2で受光することが可能である。
フィルタ3は、波長200nm以上220nm未満の光の透過率が波長230nm以上240nm未満の光の透過率より高くても良い。これにより、オゾンを生成する紫外線光を人体への曝露で直接有害である波長230nm以上240nm未満の紫外線光よりも優先的に効率良く検出することが可能である。これは、例えばパーティション等で仕切られた空間において、紫外線光の直接の照射はある程度遮断が出来ているが、オゾンガスの拡散を懸念する環境での使用において効果的にオゾンガスを生成する波長帯の紫外線光を検出することが可能である。
【0062】
フィルタ3は、例えば光学設計の容易性の観点から誘電体多層膜が用いられる。例えば、厚さ65nmのSiO層と、厚さ10nmのHfO層とが5周期繰り返して積層された誘電体多層膜で、波長222nmから235nmの紫外線波長帯において高い遮断率を有するフィルタを作製することが出来る。誘電体多層膜の材料、膜厚、周期を適切に設計することで、遮断する波長の帯域、および各波長帯域の透過率を制御することが可能である。誘電体多層膜は、例えば、スパッタ法により形成可能である。誘電体多層膜は、SiO、Al、SiN、SnO、ZrO、HfO等で形成されていてもよい。
【0063】
(1.3)光源
光源4は、波長220nm以上230nm未満の光と、波長230nm以上400nm未満の光の両方を発していても良い。この場合、波長230nm以上400nm未満の紫外線光は人体に有害であるが、本開示の受光部2で検出が可能である。本開示の紫外線受発光装置5は光源4からの波長230nm以上400nm未満の紫外線光発光が許容閾値出力を越えていないことを確認しながら、光源4を駆動することができる。これにより、光源4の発光を必ずしも波長220nm以上230nm未満の光に制限する必要が無くなるため、光源4の設計・製造が簡便になり、製造コストの低減が可能となる。
【0064】
光源4からの波長220nm以上230nm未満の光の発光強度は、波長230nm以上400nm未満の光の発光強度の10倍以上であっても良い。紫外線受発光装置5を用いることで、人体に有害な波長230nm以上400nm未満の許容範囲内での、波長220nm以上230nm未満の紫外線光の強度を高めることが出来る。
【0065】
光源4からの波長220nm以上230nm未満の光の発光強度は、波長200nm以上220nm未満の光の発光強度の10倍以上であっても良い。紫外線受発光装置5を用いることで、人体に有害な波長200nm以上220nm未満の許容範囲内での、波長220nm以上230nm未満の紫外線光の強度を高めることが出来る。
【0066】
光源4からの波長200nm以上220nm未満の光の出力は、波長230nm以上240nm未満の光の出力より高くなっていても良い。光源4からの発光が連続的に照射される環境においては、波長200nm以上220nm未満の紫外線光で生成したオゾンは波長230nm以上240nm未満の紫外線光により分解することが出来、波長200nm以上220nm未満の紫外線光の許容できる閾値出力を増加させることが可能である。
これにより、光源4の設計自由度が高まり、コストを低減することが可能となる。
【0067】
また、受光部2は、光源4からの全放射の1/100以下の強度の光を受光する位置に
配置されていても良い。これにより、光源4からの紫外線の放射光を効率良く外部へ放射、利用でき、かつ人体に有害な波長帯の紫外線光を検出することが可能となる。
【0068】
光源4は、エキシマランプであっても、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であっても、レーザダイオードであっても、紫外線レーザであっても良い。安価で長寿命、堅牢で廃棄時の環境汚染が少ない観点からLEDが好ましい。LEDである場合には、AlGaNを材料として用いることが好ましい。AlGaNを材料として用いることで、オゾンを極めて多く生成する波長210nm以下の紫外線光が放射しない光源4を提供することが可能である。光源4がLEDである場合は、樹脂等で封止された形態や、サブマウント基板に実装された形態なども含む。
【0069】
光源4は、波長220nm以上240nm未満の光を発していても良い。波長220nm以上240nm未満の発光を許容することで、特にLEDを光源4として用いた場合に、活性層の構造設計の自由度が高まるため、コストを低減することが出来る。
光源4は、波長220nm以上250nm未満の光を発していても良い。波長220nm以上250nm未満の発光を許容することで、特にLEDを光源4として用いた場合に、活性層を挟み込むクラッド層の構造設計の自由度が高まるため、コストを低減することが出来る。具体的には、例えばp型半導体として、活性層よりもAl組成比率の低いAlGaNを用いることが出来るため、素子抵抗を低減し駆動電圧を低減させることが可能である。
【0070】
光源4がLEDである場合、紫外線受発光装置5は、例えばLED基板41と、第1導電型半導体層42と、活性層43と、第2導電型半導体層44と、LED電極45とを備える。すなわち、紫外線受発光装置5は、LED基板41上にAlGaN材料で形成された発光素子を形成する構造が考えられる。紫外線受発光装置5では、活性層43を挟んで配置される第1導電型半導体層42及び第2導電型半導体層44はクラッド層として機能する。
【0071】
光源4は、波長220nm以上230nm未満の光と、波長260nm以上280nm未満の光とを発していても良い。波長260nm以上280nm未満の発光を許容することで、特にLEDを光源4として用いた場合に、クラッド層の構造設計の自由度がより高まるため、コストを低減することが出来る。具体的には、例えばp型半導体として、よりAl組成比率の低いAlGaNを用いることが出来るため、素子抵抗をさらに低減し駆動電圧を低減させることが可能である。
【0072】
また、Al組成比率をより低くすることが出来るため、例えばAlGaNのAl組成比率を活性層43から遠い方向へ連続的に減少させる組成傾斜構造をクラッド層として用いた場合に、Al組成比率の変化率を高めることが出来る。このため、分極ドーピング法により生成する正孔の量を高めることが出来るため、素子抵抗を低減し駆動電圧を低減させることが出来る。あるいは、キャリア注入効率を向上させてLEDの発光効率を高めることが可能となる。
【0073】
光源4は、波長220nm以上230nm未満の光と、波長280nm以上400nm未満の光とを発していても良い。波長280nm以上400nm未満の発光を許容することで、LEDを光源4として用いた場合に、クラッド層の構造設計の自由度が高まるため、コストを低減することが出来る。具体的には、例えばp型半導体としてGaNを用いることが出来るため、例えばAlGaNのAl組成比率を活性層43から遠い方向へ連続的に減少させる組成傾斜構造をクラッド層として用いた場合に、Al組成比率の変化率を高めることが出来る。このため、分極ドーピング法により生成する正孔の量を高めることが出来るため、素子抵抗を低減し駆動電圧を低減させることが出来る。あるいは、キャリア注入効率を向上させてLEDの発光効率を高めることが可能となる。
【0074】
光源4は、波長220nm以上230nm未満の光と、波長200nm以上220nm未満の光とを発していても良い。波長200nm以上220nm未満の発光を許容することで、LEDを光源4として用いた場合に、活性層43として用いるAlGaNのAl組成比率の製造ばらつきを許容することが出来、製造コストを低減することが出来る。また、紫外線受発光装置5を用いることで、波長200nm以上220nm未満の紫外線光が許容の照射範囲内であることを確認しながら紫外線受発光装置5を使用できる。
【0075】
紫外線受発光装置5は、受光部2の検出値が閾値を超えると、光源4の駆動を停止する回路を有していても良い。これにより、光源4から人体に有害な紫外線光が放射されることを停止することが可能となる。あるいは、紫外線受発光装置5が、受光部2の検出値に応じて光源4の駆動電流(あるいは電圧)を変化させる回路を有していても良い。これにより、紫外線受発光装置5は、安定した出力で発光させることが出来る、あるいは光源4から人体に有害な紫外線光が許容量を越えて放射されることを抑制することが可能となる。
【0076】
紫外線受発光装置5は、受光部2の検出値に応じて、光源4の発光出力を変化させる構造を有していても良い。例えば、光源4の放射部に紫外線光の放射範囲を制御する窓を配置し、窓の開口の大きさを変化させることで出力を制御することで、光源4から人体に有害な紫外線光が許容量を越えて放射されることを抑制することが可能となる。紫外線受発光装置5は、窓を完全に閉めることで外界への放射を遮断する構造を有していても良い。
【0077】
紫外線受発光装置5は、受光部2の検出値が閾値を超えると、光源4の発光を外部へ放射する機構(以下、第3発光調節機構と記載する)を有していても良い。例えば、紫外線受発光装置5は閉空間に閉じ込められており、第3発光調節機構は、受光部2の検出値が閾値を超えると光放射用の窓を開けて、発光を外部へ放射する。これにより、第3発光調節機構は、光源4から人体に有害な紫外線光が放射されていないことを確認した後に、光源4からの発光を外部へ放射することが可能となる。
【0078】
紫外線受発光装置5は、温度センサを有していても良く、温度変化に応じて光源4の出力を補正する温度補正の回路を有していても良い。これにより、温度が変化することで光源4の温度特性により発光出力が変化することを抑制することが可能となる。
【0079】
紫外線受発光装置5は、波長400nm以上800nm未満の可視光を受光するセンサを有していても良い。光源4がLEDである場合、LEDが使用に伴い劣化すると、LED中の欠陥が増え、欠陥を介した可視光発光の強度が強くなる。この可視光の強度を、可視光を受光するセンサで検出することで、LEDの故障を早期検出することが可能となる。これにより、装置の故障を早期検出し、交換時期を判定することが可能となる。
【0080】
紫外線受発光装置5は、紫外線受発光装置5の発光面(LED基板41側の面)が受光部2の受光面(基板21側の面)に対向するように配置されていても良い。紫外線受発光装置5の発光面は、受光部2の受光面に対向していなくても良いが、光源4からの発光を外部へ効率よく放射させる観点から対向していないことが好ましい。
また、紫外線受発光装置5は、受光部2の受光面の垂線と、光源4の発光面の垂線が為す角度が45度以上90度未満の位置に配置されていても良い。この構造により、例えばAlGaN材料で形成されたLEDを光源4として用いた場合、紫外線受発光装置5と受光部2とが、発光面の垂線の為す角度が45度以上90度未満の位置に配置されている方が、人体に有害な紫外線光を検出しやすくなる。これは、波長220nm以上230nm未満の紫外線光の発光強度に対する波長230nm以上400nm未満の紫外線光の発光強度の比率が高くなるので、人体に有害な紫外線光である波長230nm以上400nm未満の光を検出しやすくなるためである。
【0081】
紫外線受発光装置5は、受光部2と光源4とが同一の半導体素子で形成されたモノリシック構造であっても良い。具体的には、LED基板41上にAlGaN PIN構造の受光素子と、AlGaN PIN構造の発光素子が形成されていても良い。受光部2と光源4とをモノリシック構造とすることで、製造コストを低減することが出来る。
また、光源4がLEDである場合、LED基板41の裏面にフィルタである透過制御部が配置されていても良い。
以下、光源4がLEDである場合の、紫外線受発光装置5の各層について、図4を参照して説明する。なお、以下では、光源4をLED4と記載する。
【0082】
(1.3.1)LEDの構成
本実施形態の光源4の一例であるLED4は、紫外線光を発光可能な半導体素子である。
LED4は、LED基板41と、LED薄膜40と、LED電極45とを備える。また、LED薄膜40は、第1導電型半導体層42と、活性層43と、第2導電型半導体層44とで構成されている。LED4は、樹脂等で封止された形態や、サブマウント基板に実装された形態なども含む。
以下、各層について詳細に説明する。
【0083】
<LED基板>
LED基板41は、第1主面41A上にLED薄膜40を配置可能であればよく、形状は特に制限されない。
高品質なLED薄膜40を配置する観点から、LED基板41はサファイア基板又は窒化アルミニウム基板であることが好ましい。窒化アルミニウム基板は単結晶の窒化アルミニウム基板であることが好ましい。
LED基板41の第1主面41A以外がLED4の外界に露出している場合、LED基板41がサファイア基板であると、LED4の発熱によりLED基板41が外界の水等と反応してLED基板41の表面に水酸化膜が形成される場合がある。また、LED基板41が窒化アルミニウム基板であると、LED4の発熱によりLED基板41が外界の酸素と反応して酸化膜が形成される場合がある。これらの膜(水酸化膜又は酸化膜)は、発光スペクトルの中心波長を含む光を減衰させたり、反射させたりして、所望の波長の光の発光効率を低減、すなわち出力を低下させてしまう。これらの膜は、形成時に外界の二酸化炭素若しくはLED基板41中に不純物として混入している炭素、又はLED4のパッケージで使用されている樹脂由来の炭素を含むことがある。これにより、各膜のバンドギャップエネルギーが発光エネルギーよりも大きいとしても、不純物由来の吸収が起こり、光の減衰が起こる。また、屈折率の異なる層が形成されると、LED基板41との界面で反射が起こる。特に、例えば窒化アルミニウム基板と酸化アルミニウム層のように、LED基板41よりも低屈折率の材料が形成されると、より強い反射が起こり外界に光が取り出せなくなる。
【0084】
LED基板41の転位密度は、10cm-2未満であることが好ましく、特に10cm-2未満であればより好ましい。LED薄膜40の転位密度低減の観点から、LED基板41の第1主面41A側の二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)高さ(二乗平均平方根高さRq)は、10μm×10μmの面積に対して約1nm未満であることが好ましい。また、透過制御部を平坦かつ均一に形成するために、LED基板41の第2主面41B側の二乗平均平方根(RMS)高さは、10μm×10μmの面積に対して約10nm未満であることが好ましい。
【0085】
<LED薄膜>
LED薄膜40は、活性層43を含み、LED基板41の第1主面41A上に配置されていれば特に制限されない。
LED薄膜40は、発光効率の観点から、活性層43を挟むように第1導電型半導体層42と第2導電型半導体層44とを更に備えることが好ましい場合がある。ここで、「第1導電型」「第2導電型」は、互いに異なる導電性を示す半導体であることを意味し、一方がn型導電性の場合、他方はp型導電性となる。一般的には活性層43とLED基板41との間がn型半導体層であるが、本実施形態はこれに制限されない。
【0086】
第1導電型半導体層42、活性層43及び第2導電型半導体層44以外の層としては、例えば、活性層43と、第1導電型半導体層42及び第2導電型半導体層44の少なくとも一方との間に、電子又は正孔をブロックする層(不図示)が備えられていてもよい。
また、LED薄膜40の結晶性向上の観点から、LED薄膜40のLED基板41と接する側の面にバッファ層(不図示)を更に備えることが好ましい場合がある。
また、活性層43に効率的に電力を供給する観点から、第1導電型半導体層42と接するLED電極45(LED電極45A)と、第2導電型半導体層44と接するLED電極45(LED電極45B)を備えていても良い。
【0087】
また、LED薄膜40は、一部に活性層43を含んだメサ構造であってもよい。図4では、第1導電型半導体層42の第2積層領域42Bと、活性層43と、第2導電型半導体層44とによりメサ構造が構成されている。
LED薄膜40は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition
:有機金属気相成長)法により形成することが可能である。メサ構造を有するLED薄膜40は、上述したMOCVD法等によりLED薄膜40を構成する薄膜層を形成した後に、所望の領域をエッチングすることで形成することができる。
【0088】
(活性層)
活性層43は、活性層43に電力が印加された時に活性層43のバンドギャップに応じた光を発する。本実施形態のLED4における活性層43は、発光スペクトルの中心波長が220nm以上230nm未満の光を発光すれば特に制限されない。ここで、発光スペクトルが複数のピークを有する場合、発光強度が最も大きいピークの波長が光の中心波長として定義される。
活性層43の具体的構造の一例としては、量子井戸構造が挙げられる。例えば、組成比が異なる(バンドギャップが異なる)AlGaN層を積層した量子井戸構造が採用可能である。より好ましくは組成比が異なる(バンドギャップが異なる)AlGaN層を多層積層した多重量子井戸が採用可能である。より具体的な構造としては、組成がAl0.87Ga0.13Nの井戸層(厚さ1nm)3層と、組成がAl0.97Ga0.03Nの障壁層(厚さ5nm)2層を交互に積層した3重量子井戸構造が挙げられる。
【0089】
(第1導電型半導体層)
第1導電型半導体層42としては、AlN、GaN、InNの単結晶及び混晶が挙げられ、またこれらの組み合わせ(多層)であっても良い。LED基板41が窒化アルミニウム基板の場合、格子定数の差が小さいAl/(Al+Ga)比率が0.8以上のAlGaNが第1導電型半導体層42として好ましい場合がある。
図4に示すように、第1導電型半導体層42は、第1導電型半導体層42の一部が除去されることにより形成された第1積層領域42Aと、第1積層領域42A上に位置してメサ構造を構成する第2積層領域42Bとを有している。
【0090】
第1導電型半導体層42を構成する第1導電型半導体がn型半導体である場合、第1導電型半導体として例えばSiを1×1019cm-3の濃度でドープされたAlGaNを用いることができる。また、第1導電型半導体として、極性を有する混晶半導体の混晶組成比率を連続的に変化させる分極ドーピング法によりn型化したAlGaNを用いても良い。
【0091】
第1導電型半導体層42を構成する第1導電型半導体がp型半導体である場合、第1導電型半導体として例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされたAlGaNを用いることができる。また、第1導電型半導体として、極性を有する混晶半導体の混晶組成比率を連続的に変化させる分極ドーピング法によりp型化したAlGaNを用いても良い。230nm未満のピーク波長を有する光を発光する活性層43に効率良くキャリアを輸送する観点から、第1導電型半導体としてAl/(Al+Ga)比率が0.8以上のAlGaNを用いることが好ましい。
【0092】
(第2導電型半導体層)
第2導電型半導体層44としては、AlN、GaN、InNの単結晶及び混晶が挙げられ、これらの組み合わせ(多層)であっても良い。
第2導電型半導体層44を構成する第2導電型半導体がn型半導体である場合、第2導電型半導体として例えばSiを1×1019cm-3の濃度でドープされたAlGaNを用いることができる。また、第2導電型半導体として、極性を有する混晶半導体の混晶組成比率を連続的に変化させる分極ドーピング法によりn型化したAlGaNを用いても良い。
【0093】
第2導電型半導体層44を構成する第2導電型半導体がp型半導体である場合、第2導電型半導体として例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされたAlGaNを用いることができる。第2導電型半導体がp型半導体である場合、LED電極45とのコンタクト抵抗を下げる観点から、第2導電型半導体層44はAl/(Al+Ga)比率がLED基板41から離れる方向に連続的又は段階的に小さくなるAlGaN傾斜組成を有していても良い。また、発光効率を低減させる電子やホールの動きを抑制する観点から、第2導電型半導体層44の活性層43側にバンドギャップの大きいバリア層(不図示)を有していても良い。また、LED電極45との接触抵抗を低減する観点から、第2導電型半導体層44のLED電極45側に不純物が多量にドーピングされたコンタクト層(不図示)を有していても良い。
【0094】
<LED電極>
LED電極45は、接触する半導体層とオーミック接続となる材料で形成されることが好ましい。
n型半導体層と接するLED電極45(例えば、図4中のLED電極45A)を構成する材料としては、Ti、Al、Ni、Au、Cr、V、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W若しくはその合金、又はITO等が挙げられ、アルミニウムとニッケルとを含む材料がコンタクト抵抗低減の観点からより好ましい。
p型半導体層と接するLED電極45(例えば、図4中のLED電極45B)を構成する材料としては、例えばNi、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Pt、Cu及びその合金、又はITO等が挙げられる。p型半導体層が窒化物半導体層の場合、窒化物半導体層とのコンタクト抵抗が小さいNi、Au若しくはこれらの合金、又はITOが好ましい。
LED電極45は接続のために、例えばAu、Al、Cu、Ag、W等の金属層を連続して形成しても良く、導電性の高いAuが用いられることが望ましい場合がある。また、密着性向上のため、LED薄膜40との界面にTiをさらに含んでいても良い。
【0095】
<透過制御部>
本実施形態に係る発光装置(LED)は、LED基板41の第1主面41A(LED薄膜40形成面)以外の面に、紫外線光の透過を制御する透過制御部(図中不図示)が備えられていてもよい。透過制御部は、LED基板41の第1主面41A以外(すなわち、LED基板41の第1主面41Aと反対側の第2主面41B及びLED基板41の側面41C)の少なくとも一部に配置されていてもよい。透過制御部は、少なくとも活性層43の発光スペクトルの中心波長の光を透過する。この透過制御部は、LED基板41の外界との接触を抑制することで、LED基板41の劣化を抑制する働きを有する。
透過制御部は、中心波長が230nm未満の光を透過する材料で形成されていれば特に制限されないが、用途等に応じて、中心波長以外の波長帯域で不要な光を透過しない材料で形成されていても良い。
【0096】
活性層43から発光された光を効率的に透過する観点から、透過制御部は、活性層43から発光された光の中心波長に対して±5nmの波長の光を透過する材料で形成されていることが好ましい。また目的に応じて、中心波長に対して±10nmの波長の光を透過することが好ましい場合もある。ここで「xnmの波長の光を透過する」とは、波長xnmに対する光の吸収率が30%以下であることを意味する。また、透過制御部は、用途等に応じて、中心波長に対して±5nm以外の波長の光を透過しないように構成されていても良い。
また、活性層43から発光された光を効率的に透過する観点から、活性層43から発光される光の中心波長を基準とする半値幅の帯域の波長の光を透過する材料で形成されていることが好ましい。また、用途等に応じて、活性層43から発光される光の中心波長を基準とする半値幅の帯域の波長以外の光を透過しないように構成されていても良い。
【0097】
活性層43の発光スペクトルの中心波長の光を透過することの光学設計の容易性の観点から、透過制御部は誘電体多層膜であることが好ましい場合がある。一例として、発光スペクトルの中心波長が226nmの場合、透過制御部は、厚さ41nmのSiO層と、厚さ34nmのHfO層が7周期繰り返して積層された誘電体多層膜で構成されることが好ましい。誘電体多層膜は、例えば、スパッタ法により形成可能である。また、異なる材料を積層することにより、2つの材料中、外界の成分(酸素や水など)との化学反応が早い方の材料の、外界の成分との化学反応による劣化を、第2主面41B表面近傍に抑制することも出来るとともに、外界の成分のLED基板41の第2主面41Bへの到達を抑制することが出来る。
【0098】
LED基板41の劣化による発光効率の劣化を効率的に抑制する観点から、透過制御部は、LED基板41の第1主面41Aと反対側の第2主面41B上に配置されることが好ましい。また、LED基板41の劣化による発光効率の劣化を効率的に抑制する観点から、透過制御部は、LED基板41の側面41C上に配置されることが好ましい。
【0099】
透過制御部を有する場合、LEDに電力を印加して発光をさせた際に発生する熱によりLED基板41が劣化し、LED基板41の一部に膜(酸化膜や水酸化膜など)が発生してLED基板41の表面が劣化することが抑制される。また、LED基板41表面の劣化部分が発光スペクトルの中心波長の光を反射したり吸収したりしてしまい、所望の波長の光の発光効率が低減することを抑制する。
一方、図2に示した第1の実施形態の発光装置であるLEDは、LED基板41の表面が透過制御部に覆われているため、電力が印加されて発光した際に発生する熱によりLED基板41が劣化し、LED基板41の一部に膜(酸化膜や水酸化膜など)が発生してLED基板41の表面に劣化部の形成が抑制される。また、LEDは、より効率的に所望の波長の光を出力することが可能となり、駆動に伴う発光効率の低下が抑制される。
【0100】
(1.4)本実施形態の効果
本実施形態に係る紫外線受発光装置は、以下のような効果を有する。
(1)本実施形態に係る紫外線受発光装置は、波長220nm以上230nm未満の光を放射する光源と、220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰するフィルタと、220nm以上230nm未満の波長帯および230nm以上400nm未満の波長帯の両方の光に感度を有する受光部と、を備え、フィルタが透過する光の帯域と、前記受光部が感度を有する帯域の少なくとも一部とが重なっている。
これにより、波長220nm以上230nm未満の波長帯の光を利用している空間において、波長230nmから400nmの波長帯の人体に有害な紫外線光が放射された際に、効率良く波長230nmから400nmの波長帯の紫外線光を検出し危険を検知することができる。
【0101】
(2)本実施形態に係る紫外線受発光装置におけるフィルタの波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、波長230nm以上400nm未満の光の透過率の10分の1以下である。
これにより、受光部に入射する波長220nm以上230nm未満の紫外線光の強度が下がるため、より効率良く波長230nm以上400nm未満の紫外線光を受光・検出することが可能となっている。
(3)本実施形態に係る紫外線受発光装置のフィルタでは、波長220nm以上230nm未満の光、波長230nm以上240nm未満の光、波長240nm以上250nm未満の光の順に透過率が高くなる。
これにより、人体への有害性が高い紫外線光程フィルタを透過しやすくなり、有害な波長帯の紫外線光を受光部でより検出しやすくなる。
【0102】
(4)本実施形態に係る紫外線受発光装置におけるフィルタの波長220nm以上230nm未満の光の透過率は、1%以下である。
これにより、人体に有害な波長帯の紫外線光を受光部でより効率良く検出することができる。
(5)本実施形態に係る紫外線受発光装置における受光部は、フォトダイオードを含み、フィルタがフォトダイオードの表面に接して配置されている。
これにより、フィルタと半導体受光素子の機能を一体化させることで、コストを低減することが可能であり、また、フィルタが半導体受光素子の表面を覆うことで、半導体受光素子が空気や水により腐食されることが抑制される。
【0103】
(6)本実施形態に係る紫外線受発光装置におけるフォトダイオードでは、波長220nm以上230nm未満の光に対する受光感度が、波長230nm以上400nm未満の光に対する受光感度よりも高くなっている。
これにより、オゾンを生成する波長帯の紫外線を検出する信号が大きく出るため、危険をより迅速に認識することができる。
(7)本実施形態に係る紫外線受発光装置において、フォトダイオードの波長220nm以上400nm未満の紫外線光に対する応答速度は、1秒より短くなっている。
これにより、人体に有害な波長230nm以上400nm未満の紫外線光が放射された際に、周囲にいる人に瞬時に危険を知らせることが出来る。
(8)本実施形態の紫外線受発光装置の光源は、波長220nm以上230nm未満の光と、波長230nm以上400nm未満の光の両方を発する。
これにより、受光部によって人体に有害な波長230nm以上400nm未満の紫外線光が検出が可能であり、光源からの波長230nm以上400nm未満の紫外線光発光が許容閾値出力を越えていないことを確認しながら、光源を駆動することができる。
(9)本実施形態の紫外線受発光装置では、光源からの波長220nm以上230nm未満の光の発光強度が、波長230nm以上400nm未満の光の発光強度の10倍以上となっている。
これにより、人体に有害な波長230nm以上400nm未満の許容範囲内での、波長220nm以上230nm未満の紫外線光の強度を高めることが出来る。
(10)本実施形態の紫外線受発光装置の受光部は、光源からの全放射の1/100以下
の強度の光を受光する位置に配置されている。
これにより、光源からの紫外線の放射光を効率良く外部へ放射、利用でき、かつ人体に有害な波長帯の紫外線光を検出することが可能となる。
【0104】
以上説明した紫外線受発光装置は、以下の実施態様とすることもできる。
【0105】
(実施態様1)
中心波長が220nm以上230nm未満である光を放射する光源と、
220nm以上230nm未満の波長帯の光を減衰し、230nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部を透過するフィルタと、
220nm以上320nm未満の波長帯少なくとも一部の光に感度を有し、前記フィルタを透過した光を受光する第一受光部と、
前記光源への入力電力を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第一受光部の検出結果に応じて前記光源への入力電力を制御する
紫外線受発光装置。
【0106】
(実施態様2)
前記制御部は、
前記第一受光部の検出結果の予め定められた波長帯の積分強度に応じて前記光源への入力電力を制御する
実施態様1に記載の紫外線受発光装置。
【0107】
(実施態様3)
前記制御部は、
220nm以上230nm未満の波長帯の少なくとの一部の積分強度と230nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部の積分強度との比較結果に基づいて前記光源への入力電力を制御する
実施態様2に記載の紫外線受発光装置。
【0108】
(実施態様4)
前記制御部は、
230nm以上320nm未満の波長帯の少なくとも一部の積分強度が予め定めれた値より大きい場合に前記光源の発光出力を低減するように前記光源への入力電力を制御する
実施態様2に記載の紫外線受発光装置。
【0109】
(実施態様5)
前記第一受光部の検出結果の予め定められた波長帯の積分強度が予め定められた値になるように前記光源への入力電力を制御する
実施態様2に記載の紫外線受発光装置。
【0110】
(実施態様6)
220nm未満の波長帯の少なくとも一部の光に感度を有する第二受光部を更に備え、
前記第二受光部の検出結果に応じて前記光源への入力電力を制御する
実施態様2に記載の紫外線受発光装置。
【0111】
以上、本開示を実施の形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0112】
1 紫外線受光装置
2 受光部
3 フィルタ
4 光源
5 紫外線受発光装置
20 メサ構造
21 基板
21A 第1主面
22,23,24 半導体積層部
25,26 電極
40 LED薄膜
41 LED基板
41A 第1主面
41B 第2主面
41C 側面
42 第1導電型半導体層
43 活性層
44 第2導電型半導体層
45,45A,45B LED電極
図1
図2
図3
図4