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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】合巻取電極のロールマップ生成装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20241111BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241111BHJP
   B21C 47/02 20060101ALI20241111BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20241111BHJP
   B65H 23/188 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
B21C47/02 Z
B21C51/00 B
B21C51/00 R
B65H23/188
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023550099
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2022017354
(87)【国際公開番号】W WO2023080747
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0152305
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヨプ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒョ・ス
(72)【発明者】
【氏名】キ・ドク・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ウン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】スン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ワン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ギ・ヨン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ファン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ス・キム
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-194090(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2043024(KR,B1)
【文献】特開2008-127093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162668(US,A1)
【文献】特開2009-266739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62、10/00-10/39
B21C45/00-49/00、51/00
B65H23/18-23/198、26/00-26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンワインダーとリワインダーとの間で電極がロールツーロール状態で移動するとき、前記リワインダーの回転量に応じた電極の長手方向の位置を座標値データで取得する位置計測器と、
所定の間隔で複数個の基準点がそれぞれマーキングされた少なくとも2つ以上の旧電極を連結して1つの新電極に合巻取するとき、合巻取開始または終了を示す入力信号を入力し得る入力装置と、
前記合巻取された新電極の旧電極連結部位である継ぎ目を感知し、前記位置計測器と連動して前記継ぎ目の電極座標値を取得する継ぎ目感知器と、
前記合巻取された新電極の基準点を感知し、前記位置計測器と連動して前記基準点の電極座標値を取得する基準点感知器と、
前記入力装置の入力信号に基づいてロールツーロール状態で移動する新電極を模造したロールマップを生成し、前記位置計測器、継ぎ目感知器および基準点感知器と連動されて前記ロールマップ上に電極の長手方向座標値、継ぎ目の電極座標値、基準点の電極座標値を表示するロールマップ生成部と、
を含む、合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項2】
前記位置計測器は、リワインダーを駆動するモータ回転量から電極の位置を抽出するロータリエンコーダである、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項3】
前記入力装置は、自動または手動入力装置である、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項4】
前記入力装置は、タッチスクリーン上に表示されるHMI制御ボタンである、請求項3に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項5】
前記入力信号は、自動または手動で入力される、旧電極を連結するためのスプライシング作業開始または終了信号である、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項6】
前記ロールマップ生成部は、
前記新電極を模造したロールマップを形成する視覚化領域を定義して、前記定義された領域上に前記座標値データを表示し、
前記継ぎ目、基準点の座標値データに前記継ぎ目、基準点を視覚化して示す視覚化装置を含む、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項7】
前記ロールマップ生成部は、生産管理システムまたは前記生産管理システムの構成要素である、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項8】
前記アンワインダーとリワインダーとの間の電極の移動を制御する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記入力装置、位置計測器、継ぎ目感知器および基準点感知器と連結され、前記入力装置の入力信号、電極の長手方向の位置に関する座標値データ、継ぎ目座標値および基準点座標値データを前記ロールマップ生成部に伝送する、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項9】
前記ロールマップ生成部は、
前記基準点感知器によって感知された新電極の基準点の座標値と前記旧電極にマーキングされた基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出し、
前記算出された変動量を反映して前記ロールマップ上の電極の長手方向座標値を補正してロールマップ上に表示する、請求項1に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項10】
前記合巻取される旧電極はそれぞれ複数個の基準点がマーキングされ、
前記旧電極それぞれに由来する新電極の基準点の座標値と前記旧電極それぞれの複数個の基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出する、請求項9に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項11】
前記旧電極それぞれに由来する新電極の基準点の座標値と前記旧電極それぞれの複数個の基準点間の間隔および前記継ぎ目感知器によって取得された継ぎ目の電極座標値とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出する、請求項10に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【請求項12】
前記旧電極それぞれの基準点間の間隔は、同一または異なる、請求項10に記載の合巻取電極のロールマップ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の電極を合巻取した合巻取電極のロールマップ生成装置に関するものである。
【0002】
本出願は、2021年11月8日付の韓国特許出願第10-2021-0152305号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加により、二次電池の需要も急激に増加している。その中でも、リチウム二次電池は、エネルギー密度と作動電圧が高く保存と寿命特性に優れるという点から、各種モバイル機器はもちろん、多様な電子製品のエネルギー源として広く使用されている。
【0004】
リチウム二次電池の電極を製造する電極製造工程は、集電体である金属極板の表面に活物質および所定の絶縁物質を塗布して正極と負極を構成するコーティング工程、コーティングされた電極を圧延するロールプレス工程、および圧延された電極を寸法に応じて切断するスリッティング工程の複数個の細部工程からなる。
【0005】
電極製造工程で製造された電極は、ノッチング工程により電極タブが形成され、正極と負極との間に分離膜を介在させて電極組立体となった後、この電極組立体をスタッキングまたはフォールディングしてパウチや缶などで包装して電解液を注液する組立工程を通じて二次電池の形態が作られる。その後、組立された二次電池は充放電され、電池の特性を付与する活性化工程を経て最終的な完製品の二次電池となる。
【0006】
上記電極製造工程は、アンワインダーとリワインダーとの間に電極ロールが装着されて移動するロールツーロール状態で行われる。通常の正常的な電極ロール(ジャンボロール)であれば種類によって異なるが、例えば全巻2000~3000mの電極長さを有する。しかしながら、電極製造工程を行ってみると、後工程との関係で全体の電極をすべて使用することができず、数百mの長さ程度の余剰の電極が不可避に残る場合がある。あるいは大量の不良が発生して上記不良を切断し正常電極が一部残る場合がある。生産性を考慮してこのような余剰の電極を捨てずに、余剰の電極を数個束ねて標準巻径で合巻取(Lot Merge)する場合が発生する。
【0007】
図1は、互いに異なるロット(Lot)の旧電極(使い古した電極)をアンワインダー(UW)で投入して互いに連結し、連結された新電極をリワインダー(RW)で巻取(合巻取)したことを示す概略図である。
【0008】
図示されたように、ロットA、Bの電極はそれぞれ600mの長さを有する。例えば、上記余剰の電極を連結して全巻3000mの新電極(ロットC)を作るとすれば、600mの電極5個を合巻取すれば良い。
【0009】
複数個の電極を連結する場合は、通常、1つの電極の始端部または後端部を切除して連結することになる。したがって、合巻取された新電極の長さは、旧電極の長さの合計(1200m)と異なる場合がほとんどである。すなわち、アンワインダーを介して解かれた電極がそれぞれ600mで全長は1200mであるが、リワインダーで合巻取された電極は1000mと測定され得る。従来には、合巻取時の新電極Cの全長のみをリワインダーのエンコーダで計測するのみであって、新電極Cの細部構成(ロットA、Bの電極長さまたは電極座標値)は管理されなかった。これにより、新電極CにおけるロットAの終端部の電極座標値がどこであるか、ロットBの始端部の電極座標値はどこであるかを把握することができなかった。したがって、ノッチング、組立工程などの後工程でロットCの電極で製造されたノッチング電極または電極組立体で不良が発生する場合は、その電極がロットCのどの部分に由来したかを正確に把握し得なかったため、不良の原因を把握するための品質追跡は事実上不可能であった。また、上記ロットCの電極で製造された最終製品である電池で問題が発生した場合には、ノッチング工程までは逆追跡して当該電池が由来した電極の部分を見つけることはできたが、合巻取電極Cに対しては具体的な原材料電極A、Bの座標を把握することができず、不良の原因を正確に把握することが困難であった。
【0010】
また、最近、本出願人は、電極製造工程においてロールツーロール状態で移動する電極の移動を模造してバー(bar)状に表示したロールマップ関連技術を開発した。上記ロールマップは、ロールツーロール状態の電極を模造し、画面上に示したバー状のロールマップ上に品質または不良に関するデータを表示し得るので、電極コーティング工程における品質や不良に関するデータを一目で視覚的に容易に把握することができる。
【0011】
このようなロールマップは、電極コーティング工程、ロールプレス工程およびスリッティング工程の各細部工程に対してそれぞれ作成され得る。例えば、第1工程で作成されたロールマップの情報は第2工程で活用し得、第2工程では上記第1工程のロールマップを参照して不良などを除去することができる。しかしながら、第1工程で上記のように余剰の電極が合巻取されて新電極Cとなった場合に、図1のように電極長さが変動すれば、その長さの変動に応じて電極の座標値を補正しなければならない。電極長さの変動にもかかわらず電極座標値を補正しなければ、第2工程で正確な後続作業を行うことができない。また、上記したように、複数個の電極が合巻取され、合巻取された電極で製造された製品に問題が発生する場合に、新電極を構成する各電極の長さや座標などを正確にロールマップ上に示し得れば、不良類型別に品質追跡または逆追跡を容易に行うことができる。
【0012】
したがって、複数個の電極を合巻取した場合に品質追跡を容易に行うことができるロールマップ関連技術が要望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国登録特許第10-1731983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであって、互いに異なる複数個の電極を連結する合巻取過程における合巻取された電極の座標情報を正確に反映することにより、電極座標に基づく品質追跡が可能な合巻取電極のロールマップ生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態のロールマップ生成装置は、アンワインダーとリワインダーとの間で電極がロールツーロール状態で移動するとき、上記リワインダーの回転量に応じた電極の長手方向の位置を座標値データで取得する位置計測器と、所定の間隔で複数個の基準点がそれぞれマーキングされた少なくとも2つ以上の旧電極を連結して1つの新電極に合巻取するとき、合巻取開始または終了を示す入力信号を入力し得る入力装置と、上記合巻取された新電極の旧電極連結部位である継ぎ目を感知し、上記位置計測器と連動して上記継ぎ目の電極座標値を取得する継ぎ目感知器と、上記合巻取された新電極の基準点を感知し、上記位置計測器と連動して上記基準点の電極座標値を取得する基準点感知器と、上記入力装置の入力信号に基づいてロールツーロール状態で移動する新電極を模造したロールマップを生成し、上記位置計測器、継ぎ目感知器および基準点感知器と連動されて上記ロールマップ上に電極の長手方向座標値、継ぎ目の電極座標値、基準点の電極座標値を表示するロールマップ生成部と、を含む。
【0016】
一例として、上記位置計測器は、リワインダーを駆動するモータ回転量から電極の位置を抽出するロータリエンコーダである。
【0017】
一例として、上記入力装置は、自動または手動入力装置であり得る。
【0018】
具体例として、上記入力装置は、タッチスクリーン上に表示されるHMI(Human Machine Interface)制御ボタンであり得る。
【0019】
他の例として、上記入力信号は、自動または手動で入力される、旧電極を連結するためのスプライシング作業開始または終了信号である。
【0020】
また、上記ロールマップ生成部は、上記新電極を模造したロールマップを形成する視覚化領域を定義して、上記定義された領域上に上記座標値データを表示し、上記継ぎ目、基準点の座標値データに上記継ぎ目、基準点を視覚化して示す視覚化装置を含み得る。
【0021】
一例として、上記アンワインダーとリワインダーとの間の電極の移動を制御する制御部をさらに含み、上記制御部は、上記入力装置、位置計測器、継ぎ目感知器および基準点感知器と連結され、上記入力装置の入力信号、電極の長手方向の位置に関する座標値データ、継ぎ目座標値および基準点座標値データを上記ロールマップ生成部に伝送し得る。
【0022】
具体例として、上記ロールマップ生成部は、生産管理システム(MES)または上記生産管理システムの構成要素であり得る。
【0023】
一例として、上記ロールマップ生成部は、上記基準点感知器によって感知された新電極の基準点の座標値と上記旧電極にマーキングされた基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出し、上記算出された変動量を反映して上記ロールマップ上の電極の長手方向座標値を補正してロールマップ上に表示し得る。
【0024】
具体的には、上記合巻取される旧電極はそれぞれ複数個の基準点がマーキングされ、上記それぞれの旧電極に由来する新電極の基準点の座標値と上記各旧電極の複数個の基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出し得る。
【0025】
より具体的には、上記それぞれの旧電極に由来する新電極の基準点の座標値と上記各旧電極の複数個の基準点間の間隔および上記継ぎ目感知器によって取得された継ぎ目の電極座標値とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出し得る。
【0026】
また、上記各旧電極の基準点間の間隔は、同一または異なり得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、合巻取された電極の細部座標情報を反映し得るロールマップを自動で生成することができる。
【0028】
これにより、合巻取電極の電極座標に基づいて電極の品質を容易に追跡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】互いに異なるロット(Lot)の旧電極をアンワインダー(UW)で投入して互いに連結し、連結された新電極をリワインダー(RW)で巻取(合巻取)したことを示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態の合巻取電極のロールマップ生成装置を示した概略図である。
図3】旧電極をスプライシングする場合の合巻取開始を示す入力信号を自動で入力する例を示した実施形態である。
図4】合巻取電極のロールマップを生成するロールマップ生成部の構成を示すブロック図である。
図5】本発明のロールマップ生成装置によって生成されたロールマップの一例を示したものである。
図6】本発明のロールマップ生成装置により電極の長手方向座標値が補正されて表示されたロールマップの様々な実施形態を示す概略図である。
図7】本発明のロールマップ生成装置により電極の長手方向座標値が補正されて表示されたロールマップの様々な実施形態を示す概略図である。
図8】本発明のロールマップ生成装置により電極の長手方向座標値が補正されて表示されたロールマップの様々な実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面と様々な実施形態により本発明の細部構成を詳細に説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の理解を助けるために例示的に示したものである。また、添付された図面は、本発明の理解を助けるために実際の縮尺通りに図示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されて図示され得る。
【0031】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態の合巻取電極のロールマップ生成装置を示した概略図である。
【0033】
本発明の一実施形態のロールマップ生成装置100は、アンワインダーUWとリワインダーRWとの間で電極がロールツーロール状態で移動するとき、上記リワインダーRW回転量に応じた電極の長手方向の位置を座標値データで取得する位置計測器10と、所定の間隔で複数個の基準点がそれぞれマーキングされた少なくとも2つ以上の旧電極1、2を連結して1つの新電極3に合巻取するとき、合巻取開始または終了を示す入力信号を入力し得る入力装置20と、上記合巻取された新電極3の旧電極連結部位である継ぎ目Tを感知し、上記位置計測器10と連動して上記継ぎ目Tの電極座標値を取得する継ぎ目感知器30と、上記合巻取された新電極の基準点を感知し、上記位置計測器10と連動して上記基準点の電極座標値を取得する基準点感知器40と、上記入力装置20の入力信号に基づいてロールツーロール状態で移動する新電極を模造したロールマップRMを生成し、上記位置計測器10、継ぎ目感知器30および基準点感知器40と連動されて上記ロールマップRM上に電極の長手方向座標値、継ぎ目Tの電極座標値、基準点の電極座標値を表示するロールマップ生成部60と、を含む。
【0034】
本発明のロールマップ生成装置100は、位置計測器10、入力装置20、継ぎ目感知器30、基準点感知器40、およびロールマップ生成部60を含む。
【0035】
電極製造工程において、電極はアンワインダーUWとリワインダーRWとの間に装着される。上記アンワインダーUWから電極が解かれて所定の工程を終えた後、上記電極はリワインダーRWで巻取されて電極ロールとなる。また、1つの工程(前工程)を終えた電極ロールは、後工程のアンワインダーUWとリワインダーRWとの間に再び装着され、ロールツーロール状態で移動しながら後工程を経ることになる。すなわち、電極製造工程は、ロールツーロール状態で移動する電極移動工程が繰り返される。したがって、このような電極移動時の位置を座標で表現し得れば、各工程における電極の位置を特定することができる。また、品質や不良に関するデータが取得された場合と、電極破断などのイベントが発生してそれを継ぎ目連結部材Tで連結した場合に、そのデータ取得部または継ぎ目の位置を座標で表示し得れば、当該工程における電極の品質、不良、各種イベントに関する履歴情報を表示することができる。電極はアンワインダーUWとリワインダーRWの回転に応じて移動するため、上記アンワインダーUWおよびリワインダーRWの回転量に応じて電極1、2、3の長手方向の位置を特定し得る。本発明では、旧電極1、2を連結して新電極3にリワインダーRWで合巻取するため、リワインダーの回転量に応じて電極の長手方向の位置を特定している。したがって、本発明では、上記電極1、2、3の長手方向の位置の座標値データは、リワインダーRWに設置されたロータリエンコーダ10によって検出し得る。通常、ロータリエンコーダ10は、アンワインダーUWおよびリワインダーRWを駆動するモータ駆動部に設置され、モータ回転数(回転量)に応じた電極の移動距離を検出し得る。したがって、電極1、2、3がアンワインダーUWとリワインダーRWとの間で移動する場合、その移動距離は、上記ロータリエンコーダ10によって検出可能である。
【0036】
電極製造のための生産管理システム(MES)または電極のロールツーロール移送工程を制御する制御部などの設備は、合巻取信号を入力しなければ、合巻取であることを認識することができない。これにより、合巻取されるロットAの電極1の終点座標も把握し得ない。したがって、合巻取される電極の座標値を把握してロールマップRMを生成し得るように、本発明のロールマップ生成装置100は、合巻取開始または終了を示す入力信号を入力し得る入力装置20を備える。
【0037】
このとき、上記連結される旧電極(ロットAの電極1およびロットBの旧電極2)には、所定の間隔で複数個の基準点がそれぞれマーキングされている。図2を参照すると、ロットAの電極1には3つの基準点M1、M2、M3がそれぞれマーキングされ、ロットBの旧電極2にも3つの基準点N1、N2、N3がそれぞれマーキングされている。このような基準点は、合巻取時の電極長さの変動量を算出する基準となる。すなわち、基準点がマーキングされず、基準点感知器40がなければ、継ぎ目感知器によって継ぎ目の電極座標値のみを得るのみである。電極長さの変動量を反映して新電極(ロットC)を構成する各電極(ロットA、B)の正確な座標値を把握するためには、上記基準点と基準点の座標値を取得し得る基準点感知器40が必要である。
【0038】
上記入力装置20による入力信号の入力により、現在行われるロールツーロール移送工程が合巻取移送工程であることがシステム(例えばMES)に伝達される。また、例えば、上記MESまたはMESの一構成要素であるロールマップ生成部60は、上記入力信号に基づいて合巻取電極(ロットC)のロールマップRMを生成することになる。したがって、本発明の入力装置20は、電極の連結要因を特定し、ロールマップ生成信号を付与するという点で重要である。
【0039】
上記入力装置20は自動または手動で構成され得る。図2の入力装置20は、手動入力装置の一例を示したものである。作業者がスプライシングテーブル21でロットAの旧電極1とロットBの旧電極2とを連結するとき、その作業開始または終了時にロールマップ生成部60に連結される手動入力装置のボタンを押して、合巻取開始または終了の入力信号を入力し得る。例えば、上記手動入力装置は、タッチスクリーン上に表示されるHMI(Human Machine Interface)制御ボタン20であり得る。作業者は、スプライシングテーブル21上で旧電極1、2を連結する前に上記HMI制御ボタンを押すか、または旧電極1、2を連結した後にHMI制御ボタンを押すことができる。HMI制御ボタンの生成は、タッチパネルスクリーンとコンピュータ、ロールマップ生成部とのデータ伝送装置などのハードウェアや、HMI生成ソフトウェアなどの公知されたHMI形成ソリューションによって行い得る。したがって、本明細書では、それに関する具体的な説明は省略する。
【0040】
上記入力信号はまた、自動または手動で入力される、旧電極を連結するためのスプライシング作業開始または終了信号であり得る。手動で入力されるスプライシング作業開始または終了信号は、上述したような作業者が入力するHMI制御ボタンによって入力され得る。
【0041】
図3は、旧電極をスプライシングする場合の合巻取開始を示す入力信号を自動で入力する例を示した実施形態である。
【0042】
図示されたように、ロットAの旧電極ロールUW1から導出された電極終端部1Aと他の旧電極ロールUW2から導出された電極始端部2Aとが連結される。例えば、図3の(a)のような他の旧電極ロールUW2の待機状態において、旧電極ロールUW1に設置された巻径センサ(図示せず)により旧電極ロールの電極終了信号が受信されると、旧電極終端部1Aが巻取される圧着ロールR1と他の旧電極始端部2Aが圧着される圧着ロールR2とが接近するように駆動される(図3の(b)参照)。他の旧電極ロールの始端部2Aには両面テープ3が付着されているため、上記圧着ロールの圧着によって旧電極が接着される。接着完了後に旧電極終端部1A付近に設置されたカッター20’が下降して旧電極を切断すると、旧電極ロールと繋がった上記他の旧電極ロールの電極が図示されないリワインダーに向かってロールツーロール状態で移動する。これにより、アンワインダーからリワインダーへのロールツーロール移送が中断されずに連続的に行われ得る。上記カッター20’が電極を容易に切断し得るように、上記電極の裏面には支持台22が設置される。この場合、上記カッター20’の下降(図3の(b)参照)または上昇(図3の(c)参照)が合巻取(スプライシング)の開始または終了を示す信号となる。より正確には、旧電極1を切断するカッター20’に連結された昇降シリンダーなどに設置される動作感知センサの動作信号が合巻取開始または終了信号となる。この動作感知センサはロールマップ生成部に連結されて、合巻取に関する入力信号を自動で伝達する。この入力信号に基づいて後述するように、ロールマップ生成部60は合巻取であることを認識し、位置計測器10などによる座標値に基づいてロールマップRMを生成することになる。
【0043】
継ぎ目感知器30は、合巻取による旧電極の連結時に電極上に付着される継ぎ目、または継ぎ目連結部材T(例えば、連結テープ)を感知する。継ぎ目連結部材Tを継ぎ目感知器30が感知すると、何らかの原因によって電極が連結されたことをシステムまたは設備が認識することになる。図2を参照すると、電極はアンワインダーUWからリワインダーRWにロールツーロール移送され、アンワインダー側のスプライシングテーブル21で既に合巻取入力信号が入力されたため、リワインダーRW付近の継ぎ目感知器30が継ぎ目を感知すると、その継ぎ目が合巻取によるものであることを認識または確認することになる。
【0044】
上記継ぎ目感知器30は、上記ロータリエンコーダ10と有線または無線で連結され、継ぎ目連結部材Tの感知時のエンコーダ値を取得し得る。これにより、上記継ぎ目感知器30は継ぎ目連結部材Tの位置に関する電極座標値データを取得し得る。したがって、ロールマップ座標の補正のためには、継ぎ目連結部材Tの存在およびその座標値の取得が先行されなければならない。上記継ぎ目感知器30は、例えばカラーセンサであり得る。連結テープは通常、電極と色が異なるため、カラーセンサにより、電極と色が異なる部分である連結テープを検出し得る。
【0045】
基準点感知器40は、上記エンコーダと連動して旧電極1の基準点M1、M2、M3の位置座標データを取得し得る。すなわち、基準点感知器40は、エンコーダと有線または無線で連結されて基準点感知時のエンコーダ値を取得し得る。これにより、基準点感知器40は、電極1上にマーキングされた各基準点M1、M2、M3の位置座標値に関するデータを取得し得る。また、旧電極1と旧電極2とが合巻取(スプライシング)されてリワインダーRW側に連続的に移動すると、旧電極2にマーキングされた基準点N1、N2、N3の座標値データも取得し得る。上記基準点感知器40は、印刷された文字を光学文字認識(OCR)で読み取ることができるOCRリーダーであり得る。あるいは、ビジョンセンサを備えて基準点M1、M2、M3、N1、N2、N3を感知し得るビジョンカメラを基準点感知器40として採用し得る。
【0046】
図2を再び参照すると、本発明は、上記入力装置20の入力信号に基づいてロールツーロール状態で移動する新電極3を模造したロールマップRMを生成し、上記位置計測器10、継ぎ目感知器30および基準点感知器40と連動されて上記ロールマップRM上に電極の長手方向座標値、継ぎ目の電極座標値、基準点の電極座標値を表示するロールマップ生成部60を含む。
【0047】
図4は、合巻取電極のロールマップRMを生成するロールマップ生成部60の構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
上記ロールマップ生成部60は、位置計測器10、継ぎ目感知器30および基準点感知器40から取得されたデータを保存するか、または余剰の電極である旧電極の長さ、基準点の個数や間隔などの情報が保存されたデータベース61を備え得る。
【0049】
また、上記ロールマップ生成部60は、上記データベース61に保存されたデータに基づいて後述するように、合巻取時の電極長さの変動量を算出し、算出された変動量を反映してロールマップRM上の電極の長手方向座標値を補正する中央処理部62(算出部)を含む。上記中央処理部62は、また、取得されたデータを処理してロールマップ生成部60に備えられた視覚化装置63に視覚化するように指令を出し得る。
【0050】
すなわち、上記ロールマップ生成部60は、新電極3を模造したロールマップを形成する視覚化領域を定義して、上記定義された領域上に座標値データを表示する視覚化装置63を備える。上記視覚化装置63は、上記継ぎ目、基準点の座標値データの位置に上記継ぎ目、基準点を視覚化して示し得る。
【0051】
図4を参照すると、上記視覚化装置63は、取得データ入力部63a、ロールマップ上座標把握部63b、およびイメージ生成部63cを備えている。
【0052】
まず、取得データ入力部63aは、中央処理部62からデータを受信して入力する。
【0053】
ロールマップ上座標把握部63bは、ロールマップを形成する視覚化領域を定義し、取得されたソースデータの各データ要素に対して視覚化領域内のピクセル座標値を定義し得る。このとき、電極ロールのロット番号や長さ、幅などの仕様に関するデータが電極ロール情報の登録により制御部50やサーバなどに入力されると、上記ロールマップ上座標把握部63bがこのような電極のサイズに関するデータから所定の縮尺変換スケールに応じてロールマップの視覚化領域を計算して確定し得る。
【0054】
上記座標把握部63bは、取得された品質または不良に関するデータと電極の(幅方向および長手方向)位置データをマッピングし、上記視覚化領域(ロールマップ)上に上記マッピングされたデータをピクセル座標に従って割り当てることができる。
【0055】
イメージ生成部63cは、視覚化領域内の各ピクセル座標に割り当てられた上記マッピングされたデータ要素を少なくとも1つ以上の凡例(legend)で表現し得る。凡例とは、視覚化領域に表示される円、四角形、三角形などの多様な形状や、色が付与された上記形状などを意味する。したがって、上記イメージ生成部63cにより、ロールマップという視覚化領域において、実際の電極の各位置データに対応するピクセル座標(ロールマップ上の座標)に電極の長手方向座標値データ、継ぎ目、基準点の座標値などが各データ別に指定された模様、形状、色の表示部で視覚的に表示されてロールマップ上に具現されることによって、本発明のロールマップを生成し得る。
【0056】
また、データベース61のような保存部に保存されたデータに基づいて、上記ロールマップの特定範囲と連動して、その特定範囲に該当するデータを保存部から読み込んで画面上に表示(イメージ生成)し得る。
【0057】
上記した視覚化領域のサイズ設定や、視覚化領域の座標を把握してイメージを生成することは、従来の多様なユーザインタフェースや、データ割り当て-処理-分析および視覚化に関する様々なプログラムや処理ツールによって行い得る。したがって、上述したロールマップ生成部60は一例に過ぎず、上述した実施形態によって限定されるものではない。
【0058】
上述したロールマップ生成部60は、例えば生産管理システム(MES)などのデータ処理システムまたは上記システムの一構成要素であり得る。データ処理システムとは、データに対して一連の操作を行うために入力(input)、処理(processing)、出力(output)、通信(communication)などを行うシステム(ハードウェアまたはソフトウェアを含む)をいう。電極製造工程においては、コーティング、プレス、スリッティングなどの一連の電極製造工程を管理する電極MESが備えられている。したがって、上述した座標データ、検査データなどを電極MESに送出すると、電極MESで上述したロールマップを生成し得る。
【0059】
本発明のロールマップ生成装置100は、アンワインダーUWとリワインダーRWとの間の電極の移動を制御する制御部50(PLC制御部)を含み得る。この場合、上記制御部50は、上記入力装置20、位置計測器10、継ぎ目感知器30および基準点感知器40と連結され、上記入力装置20の入力信号、電極の長手方向の位置に関する座標値データ、継ぎ目座標値および基準点座標値データを上記ロールマップ生成部60に伝送し得る。この場合、上記制御部50は、ロールマップ生成部60で加工が容易な形態で上記座標値データを加工し得る。PCL制御部50は上記エンコーダなどと連結されて電極のロールツーロール移送を制御するため、エンコーダなどから直接電極MESなどのデータ処理システムにデータを伝送するよりは、制御部50を介してデータを伝送するのがデータ処理および管理面でより効率的である。
【0060】
また、本発明のロールマップ生成装置100は、生成されたロールマップをディスプレイ部70に現出することにより、合巻取電極に関するデータを一目で視覚的に容易に把握し得る(図2および図4参照)。
【0061】
上記ロールマップ生成部60は、上記基準点感知器40によって感知された新電極3の基準点の座標値と上記旧電極1、2にマーキングされた基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出し、上記算出された変動量を反映して上記ロールマップRM上の電極の長手方向座標値を補正してロールマップRM上に表示し得る。これにより、合巻取時に電極の長さが変動された実物の新電極3を反映し得る座標を有する合巻取電極のロールマップRMを作成することができる。
【0062】
具体的には、上記合巻取される旧電極は、それぞれ複数個の基準点M1、M2、M3、N1、N2、N3がマーキングされ、上記それぞれの旧電極1、2に由来する新電極3の基準点の座標値と上記各旧電極の複数個の基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を算出し得る。
【0063】
また、上記ロールマップRMは合巻取電極のロールマップであるため、継ぎ目の座標位置が特定されてからこそ合巻取される旧電極1の終点と旧電極2の始点を特定することができる。しかも上記それぞれの旧電極に由来する新電極の基準点の座標値と上記各旧電極の複数個の基準点間の間隔のみならず、上記継ぎ目感知器によって取得された継ぎ目の電極座標値を共に対比することにより、合巻取時の電極長さの変動量をより正確に算出し得る。
【0064】
以下では、本発明の合巻取電極のロールマップ生成装置によるロールマップ作成過程を様々な実施形態を参照して説明する。
【0065】
(第1実施形態)
図5は、本発明のロールマップ生成装置100によって生成されたロールマップの一例を示したものである。
【0066】
図5の上部面図は、合巻取を要する余剰の電極の概略図であって、アンワインダー側から投入された旧電極1、2を示す。各旧電極1、2は、それぞれ所定の間隔で複数個の基準点M1、M2、M3、N1、N2、N3がマーキングされている。各旧電極の基準点間の間隔は同一または異なり得る。上記旧電極が合巻取される場合には上記基準点も新電極に残存する。したがって、旧電極間の基準点間の間隔が異なっても、新電極の残存する各旧電極部分の基準点間の間隔に対応するため、上記基準点を対比して電極長さの変動量を算出することには問題がない。ただし、以下の実施形態は、説明の便宜のために、互いに異なる旧電極1、2にマーキングされた基準点の間隔を等しくした。全長600mのロットAの旧電極は100、300、500m地点にM1、M2、M3の基準点がマーキングされており、全長600mのロットBの旧電極は100、300、500m地点にN1、N2、N3の基準点がマーキングされている。
【0067】
本実施形態は、ロットAとロットBの旧電極1、2が合巻取されるが、電極長さの変動量がないことを示す。図示されたロールマップRMは、リワインダーで巻取された電極を長手方向に解いて示したものであり、ロールツーロール状態で移動する新電極3を模造したものである。上記ロールマップRM上に表示された座標値は、リワインダーRWでそれぞれ巻取された時点の座標値であって、上記リワインダーの位置計測器10と連動される継ぎ目感知器30、基準点感知器40によって取得された座標値を含んでいる。
【0068】
上述したように、入力装置20によって合巻取開始または終了信号がロールマップ生成部60に伝送されると、ロールマップ生成部60は、その後の基準点感知器40、継ぎ目感知器30、リワインダーの位置計測器10によって感知される座標値データをバー(BAR)形状のロールマップ上に表示してロールマップRMを生成する。
【0069】
第1実施形態は、ロットA、Bの電極長さに変動がなく、ロットAの電極終端部が600mであり、この座標で継ぎ目感知器30が継ぎ目連結部材Tを感知したことを示す。電極長さに変動がないため、各基準点間の間隔も変動されない。したがって、図5の上部図面(アンワインダー投入側の旧電極のロールマップまたは絶対座標のロールマップ)と下部図面(リワインダー排出側の新電極のロールマップまたは相対座標ロールマップ)は実質的に同一であり、座標値に変動がない。このような合巻取は理想的なものであって、実際の合巻取は下記の実施形態のように電極長さの変動を伴う。本発明のロールマップ生成装置100により、上記ロットCの新電極における継ぎ目の座標(600m)、ロットA、ロットBの長さ(それぞれ600m)が特定される。ただし、旧電極ロットBにおける基準点座標値は、新電極Cでは合巻取され、旧電極Aの座標値に合算されて表示された(図5の下部図面において、N1、N2、N3が100、300、500からそれぞれ700、900、1100に変更)。以上のように本発明によって、新電極Cにおいて継ぎ目座標および新電極Cを構成する旧電極の長さ、基準点座標値が明確に特定されるので、後続工程で不良が発生しても新電極Cのロールマップを用いて品質追跡を容易に行い得る。
【0070】
(第2実施形態)
図6は、本発明のロールマップ生成装置100により電極の長手方向座標値が補正されて表示されたロールマップRMの一例を示す概略図である。
【0071】
本実施形態では、ロットAの旧電極1の終端部が50m切除された後に、ロットBの旧電極2の始端部と継ぎ目で連結されたことを示している。切除された終端部C1を考慮すると、ロットAの旧電極1の基準点M3と継ぎ目Tの座標値との間の間隔は50mに変動される。したがって、ロットAの旧電極1の長さは550mとなり、旧電極1の終端部である継ぎ目座標値も550となる。
【0072】
旧電極1、2が550m地点で連結されるため、旧電極2の始端部座標も550mとなる。この場合、旧電極2の基準点間の間隔は変動されないため、550mの旧電極1の座標値に旧電極2の各長さを加えて新電極Cのロールマップ(相対座標)を求め得る。新電極Cのロールマップ情報から、ロットAの旧電極の長さは550mで、ロットAの基準点の間隔変動(基準点M3と終端部との間隔が100から50に減少)で合巻取時の電極長さの変動量を把握(全長50m減少)し得た。また、新電極Cのロールマップ情報から新電極Cを構成するロットBの旧電極の長さは600mで変動されず、ただし、合巻取で電極座標値がロットAの電極長さを加えた数値に変更された。
【0073】
本実施形態によっても、新電極Cで継ぎ目座標および新電極Cを構成する旧電極の長さ、基準点座標値が明確に特定されるので、後続工程で不良が発生しても新電極Cのロールマップを用いて品質追跡を容易に行い得る。
【0074】
(第3実施形態)
図7は、本発明のロールマップ生成装置により電極の長手方向座標値が補正されて表示されたロールマップRMの一例を示す概略図である。
【0075】
本実施形態では、ロットAの旧電極1の終端部が50m切除され、ロットBの始端部も50m切除された後に、ロットA、Bを継ぎ目で連結した場合のロールマップを示している。切除された終端部C1、C2を考慮すると、ロットAの旧電極1の基準点M3と継ぎ目の座標値との間の間隔は50mに変動される。したがって、ロットAの旧電極1の長さは550mとなり、旧電極1の終端部である継ぎ目座標値も550となる。
【0076】
旧電極2の始端部も50m切除されたため、基準点N1と切除された始端部との間隔が50mに変動される。それを反映して旧電極2の後続する基準点N2、N3、終端部の座標値を補正すると、図7の下部面図となる。図7の上部図面は切除部C1、C2を表示した絶対座標のロールマップとして捉え得、図7の下部図面は切除部C1、C2を既に反映して示した相対座標のロールマップとして捉えることができる。
【0077】
図7の下部図面から旧電極1の長さは550m、旧電極2の長さも550mとなり、新電極3全体の長さは1100mとなることがわかる。
【0078】
このように、基準点感知器40によって感知された新電極3の基準点の座標値と、旧電極1、2にマーキングされた基準点間の間隔とを対比して、合巻取時の電極長さの変動量を容易に算出し得る。
【0079】
また、新電極Cのロールマップ作成時に算出された長さの変動量を反映してロールマップRM上の電極の長手方向座標値を絶対座標から補正して表示した。
【0080】
本実施形態によっても、新電極Cの長さ(1100m)において、継ぎ目座標(550m)および新電極Cを構成する旧電極の長さ(それぞれ550m)、基準点座標値が明確に特定されるので、後続工程で不良が発生しても新電極Cのロールマップを用いて品質追跡を容易に行い得る。
【0081】
(第4実施形態)
図8は、本発明のロールマップ生成装置により電極の長手方向座標値が補正されて表示されたロールマップの様々な実施形態を示す概略図である。
【0082】
本実施形態では、ロットAの旧電極1の終端部が50m切除され、ロットBの旧電極2の始端部も50m切除された後に、ロットBの終端部が100m切除されて新電極Cに合巻取されたことを示している。切除された終端部C1を考慮すると、ロットAの旧電極の基準点M3と継ぎ目の座標値との間の間隔は50mに変動される。したがって、ロットAの旧電極1の長さは550mとなり、旧電極1の終端部である継ぎ目座標値も550となる。
【0083】
旧電極2の始端部も50m切除されたため、基準点N1と切除された始端部C2との間隔が50mに変動される。それを反映して旧電極2の後続する基準点N2、N3、終端部の座標値が補正される。それに加えて、旧電極2の終端部の座標値も100mの切除部C3を反映して補正すると図8の下部図面となる。
【0084】
図8の下部図面から、旧電極1の長さは550m、旧電極2の長さは450mとなり、新電極3全体の長さは1000mとなることがわかる。また、各旧電極に由来する新電極の基準点座標値も、上記電極長さの変動量に符合するように修正された。
【0085】
本実施形態によっても、新電極Cの長さ(1000m)において、継ぎ目座標(550m)および新電極Cを構成する旧電極の長さ(A:550m、B:450m)、各基準点の座標値が明確に特定されるので、後続工程で不良が発生しても新電極CのロールマップRMを用いて品質追跡を容易に行い得る。
【0086】
以上、図面と実施形態などを通じて本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載された図面または実施形態などに記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0087】
1:旧電極(ロットA)
2:旧電極(ロットB)
3:新電極(ロットC)
UW、UW1、UW2:アンワインダー
RW:リワインダー
10:位置計測器(ロータリエンコーダ)
20: 入力装置(HMI制御ボタン)
20’:カッター(の動作感知センサ)
21:スプライシング部
22:支持台
30:継ぎ目感知器
40:基準点感知器
50:制御部
60:ロールマップ生成部
61:データベース
62:中央処理部
63:視覚化装置
70:ディスプレイ部
M1、M2、M3:旧電極(1)の基準点
N1、N2、N3:旧電極(2)の基準点
T:継ぎ目(連結部材)
C1、C2、C3:切除部
100:合巻取電極のロールマップ生成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8