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特許7585514燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04119 20160101AFI20241111BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241111BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20241111BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20241111BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241111BHJP
【FI】
H01M8/04119
H01M8/04 N
B01D53/22
B01D63/02
H01M8/10 101
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023558282
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2022005844
(87)【国際公開番号】W WO2022245001
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063409
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070522
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】アン ナヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジュンクン
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-528103(JP,A)
【文献】特開2015-226859(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0121474(KR,A)
【文献】特開2010-151339(JP,A)
【文献】特開2009-136772(JP,A)
【文献】特表2022-513641(JP,A)
【文献】特表2021-508917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて外部から供給された乾燥気体を加湿するための加湿モジュール;
前記加湿モジュールの一端に結合された第1キャップ;及び
前記加湿モジュールの他端に結合された第2キャップ;を含み、
前記加湿モジュールは、両末端が開放されているミッドケース(Mid-case)、及び前記ミッドケース内に配置され、複数の中空糸膜を含む少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)を含み、
前記カートリッジは、両末端が開放されており、前記中空糸膜が含まれているインナーケース(Inner Case)、及び前記インナーケースに第1軸方向に沿って離隔して形成された第1気体流入口と第1気体流出口を含み、
前記インナーケースは、前記中空糸膜が含まれている第1セグメント、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向を基準として前記第1セグメントから離隔した第2セグメント、及び前記第2軸方向を基準として前記第1セグメントと前記第2セグメントの間に位置する第3セグメントを含み、
前記第3セグメントの平均厚さは、前記第1セグメントの平均厚さと前記第2セグメントの平均厚さのそれぞれに比べてより薄いことを特徴とする、燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記第3セグメントは、前記第2軸方向を基準として両端から同じ距離に離隔した中端が両端に比べてより薄い厚さで形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記第3セグメントは、前記中端から前記両端側へ延びるにつれて厚さが増加するように形成され、前記中端で、最低厚さで形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記第1セグメントは、前記第3セグメントに連結された一端から他端へ延びるにつれて厚さが変化するように形成され、前記一端から最大厚さを有する地点まで延びるにつれて厚さが増加するとともに、最大厚さを有する地点から前記他端に延びるにつれて厚さが減少するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記インナーケースは、前記第2軸方向を基準として両端から同じ距離に離隔した中端を基準として互いに対称に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記第2軸方向を基準とする前記インナーケースの幅をH、前記インナーケースの最大厚さをTと定義するとき、前記インナーケースは、0.2H<T<0.5Hを満たす形状で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記第1気体流入口と前記中空糸膜の間及び前記第1気体流出口と前記中空糸膜の間の少なくとも一方の位置で前記インナーケースに結合された緩衝部材;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項8】
前記緩衝部材は、前記第1気体流出口と前記中空糸膜の間で前記第1気体流出口の前面を塞ぐように前記インナーケースに結合された第1緩衝部材を含み、
前記第1緩衝部材には、湿潤気体または乾燥気体を通過させる複数の第1通気孔が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項9】
前記緩衝部材は、前記第1気体流入口と前記中空糸膜の間で前記第1気体流入口の前面を塞ぐように前記インナーケースに結合された第2緩衝部材を含み、
前記第2緩衝部材には、湿潤気体または乾燥気体を通過させる複数の第2通気孔が形成されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項10】
前記緩衝部材は、綿織物(Non-woven)素材を用いて製造されたことを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項11】
燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて外部から供給された乾燥気体を加湿するための燃料電池用加湿器のカートリッジ(Cartridge)であって、
末端に開口(Opening)を有し、複数の中空糸膜が含まれているインナーケース(Inner Case);および
前記インナーケースに第1軸方向に沿って離隔して形成された第1気体流入口と第1気体流出口;を含み、
前記インナーケースは、前記中空糸膜が含まれている第1セグメント、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向を基準として前記第1セグメントから離隔した第2セグメント、及び前記第2軸方向を基準として前記第1セグメントと前記第2セグメントの間に位置する第3セグメントを含み、
前記第3セグメントの平均厚さは、前記第1セグメントの平均厚さと前記第2セグメントの平均厚さのそれぞれに比べてより薄いことを特徴とする燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項12】
前記第3セグメントは、前記第2軸方向を基準として両端から同じ距離に離隔した中端が両端に比べてより薄い厚さで形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項13】
前記第3セグメントは、前記中端から前記両端側へ延びるにつれて厚さが増加するように形成され、前記中端で、最低厚さで形成されていることを特徴とする、請求項12に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項14】
前記第1セグメントは、前記第3セグメントに連結された一端から他端へ延びるにつれて厚さが変化するように形成され、前記一端から最大厚さを有する地点まで延びるにつれて厚さが増加するとともに、最大厚さを有する地点から前記他端へ延びるにつれて厚さが減少するように形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項15】
前記インナーケースは、前記第2軸方向を基準として両端から同じ距離に離隔した中端を基準として互いに対称に形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項16】
前記第2軸方向を基準とする前記インナーケースの幅をH、前記インナーケースの最大厚さをTと定義するとき、前記インナーケースは、0.2H<T<0.5Hを満たす形状で形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項17】
前記第1気体流入口と前記中空糸膜の間及び前記第1気体流出口と前記中空糸膜の間の少なくとも一方の位置で前記インナーケースに結合された緩衝部材;を含むことを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項18】
前記緩衝部材は、前記第1気体流出口と前記中空糸膜の間で前記第1気体流出口の前面を塞ぐように前記インナーケースに結合された第1緩衝部材を含み、
前記第1緩衝部材には、湿潤気体または乾燥気体を通過させる複数の第1通気孔が形成されていることを特徴とする、請求項17に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項19】
前記緩衝部材は、前記第1気体流入口と前記中空糸膜の間で前記第1気体流入口の前面を塞ぐように前記インナーケースに結合された第2緩衝部材を含み、
前記第2緩衝部材には、湿潤気体または乾燥気体を通過させる複数の第2通気孔が形成されていることを特徴とする、請求項17又は18に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項20】
前記緩衝部材は、綿織物(Non-woven)素材を用いて製造されたことを特徴とする、請求項17に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、燃料電池に加湿された気体を供給するための燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般的な化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り継続的に電気を生産することができ、熱損失がないため、内燃機関より効率が2倍程度高いという利点がある。
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するため、汚染物質の排出が少ない。したがって、燃料電池は環境にやさしいだけでなく、エネルギー消費の増加に伴う資源枯渇の心配を減らすことができるという利点がある。
このような燃料電池は、使用する電解質の種類によって大きく高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell: PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell: PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell: MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell: SOFC)、およびアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell: AFC)などに分類することができる。
これらのそれぞれの燃料電池は根本的に同じ原理で動作するが、使用する燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。このうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作する点、および出力密度が大きく小型化が可能であるため、小規模据置型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望であると知られている。
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させることにおいて最も重要な要因の一つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane or Proton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することにより含水率を維持することである。高分子電解質膜が乾燥すると発電効率が急激に低下するためである。
【0003】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1) 耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通して水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2) 燃料電池反応に必要な供給水分量を計算してソレノイドバルブを通じてガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、および3) 高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気だけを選択的に透過させる膜を用いて水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することにより、高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たりの透過面積が大きい中空糸膜が望ましい。つまり、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも燃料電池の加湿が十分に行われ、低コストの素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれる水分と熱を回収して加湿器を通じて再使用できるという利点を有する。
図1は、通常の燃料電池用加湿器の概略的な分解斜視図である。
図1に例示するように、通常の膜加湿方式の加湿器(100)は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(未図示)から排出される排ガスの間の水分交換が行われる加湿モジュール(110)及び前記加湿モジュール(110)の両端に結合されたキャップ(120)を含む。
前記キャップ(120)の一つは、外部から供給される空気を前記加湿モジュール(110)に伝達し、残りの一つは、前記加湿モジュール(110)によって加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0004】
前記加湿モジュール(110)は、排ガス湿潤気体流入口(off-gas inlet)(111a)と排ガス湿潤気体流出口(off-gas outlet)(111b)を有するミッドケース(mid-case)(111)及び前記ミッドケース(111)内の複数の中空糸膜(112)を含む。前記中空糸膜(112)の束の両末端は固定層(113)にポッティングされている。前記固定層(113)は、一般的に、キャスティング(casting)方式を通じて液相ポリウレタン樹脂のような液相ポリマーを硬化させることによって形成される。前記中空糸膜(112)の末端がポッティングされている固定層(113)及び前記固定層(113)と前記ミッドケース(111)の間の樹脂層(114)が、前記キャップ(120)の内部空間を前記ミッドケース(111)の内部空間から遮断する。前記固定層(113)と類似に、前記樹脂層(114)は、一般的にキャスティング方式によって液相ポリウレタン樹脂などの液相ポリマーを硬化させることで形成される。
外部から供給される空気は、前記中空糸膜(112)の中空に沿って流れる。前記排ガス湿潤気体流入口(111a)を通じて前記ミッドケース(111)内に流入された排ガスは、前記中空糸膜(112)の外表面と接触した後、前記排ガス湿潤気体流出口(111b)を通じて前記ミッドケース(111)から流出される。前記排ガスが前記中空糸膜(112)の外表面と接触するとき、前記排ガス内に含まれていた水分が前記中空糸膜(112)を透過することにより、前記中空糸膜(112)の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
ここで、従来は比較的外側に位置する中空糸膜(112)を通じて加湿が集中的に行われる一方、比較的内側に位置する中空糸膜(112)を通じては加湿が円滑に行われないため、全体的に加湿性能が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するために案出されたものであり、中空糸膜を用いた加湿性能を高めることができる燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような課題を解決するために、本発明は次のような構成を含んでもよい。
本発明による燃料電池用加湿器は、燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて外部から供給された乾燥気体を加湿するための加湿モジュール;前記加湿モジュールの一端に結合された第1キャップ;および前記加湿モジュールの他端に結合された第2キャップ;を含んでもよい。前記加湿モジュールは、両末端が開放されているミッドケース(Mid-case)、及び前記ミッドケース内に配置され、複数の中空糸膜を含む少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)を含んでもよい。前記カートリッジは、両末端が開放されており、前記中空糸膜が含まれているインナーケース(Inner Case)、及び前記インナーケースに第1軸方向に沿って離隔して形成された第1気体流入口と第1気体流出口を含んでもよい。前記インナーケースは、前記中空糸膜が含まれる第1セグメント、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向を基準として前記第1セグメントから離隔された第2セグメント、及び前記第2軸方向を基準として前記第1セグメントと前記第2セグメントの間に位置する第3セグメントを含んでもよい。前記第3セグメントの平均厚さは、前記第1セグメントの平均厚さと前記第2セグメントの平均厚さのそれぞれに比べてより薄くてもよい。
本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジは、燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて外部から供給された乾燥気体を加湿するための燃料電池用加湿器のカートリッジ(Cartridge)であって、末端に開口(Opening)を有し、複数の中空糸膜が含まれているインナーケース(Inner Case);及び前記インナーケースに第1軸方向に沿って離隔して形成された第1気体流入口及び第1気体流出口;を含んでもよい。前記インナーケースは、前記中空糸膜が含まれる第1セグメント、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向を基準として前記第1セグメントから離隔した第2セグメント、及び前記第2軸方向を基準として前記第1セグメントと前記第2セグメントの間に位置する第3セグメントを含んでもよい。前記第3セグメントの平均厚さは、前記第1セグメントの平均厚さと前記第2セグメントの平均厚さのそれぞれに比べてより薄くてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、中空糸膜に対して全体的に円滑に加湿が行われるように具現してもよい。したがって、本発明は加湿に用いられる中空糸膜の割合を増やすことにより、全体的な加湿性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通常の燃料電池用加湿器の概略的な分解斜視図である。
図2】本発明による燃料電池用加湿器の概略的な分解斜視図である。
図3】本発明による燃料電池用加湿器を図2のI-I線を基準として示した概略的な分解断面図である。
図4】本発明による燃料電池用加湿器を図2のI-I線を基準として示した概略的な結合断面図である。
図5】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジの概略的な平面図である。
図6】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジを図5のII-II線を基準として示した概略的な側面断面図である。
図7】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジを図5のIII-III線を基準として示した概略的な側面断面図である。
図8】比較例によるカートリッジを図5のIII-III線を基準として示した概略的な側面断面図である。
図9】本発明の変形された実施例による燃料電池用加湿器のカートリッジを図5のIII-III線を基準として示した概略的な側面断面図である。
図10】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジを図5のII-II線を基準として示した概略的な側面断面図である。
図11】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジにおいて、図5のII-II線を基準として第1緩衝部材を拡大して示した概略的な側面断面図である。
図12】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジにおいて、図5のII-II線を基準として第2緩衝部材を拡大して示した概略的な側面断面図である。
図13】ミッドケースの内部にカートリッジが位置する様子を示す概略的な一部切開図である。
図14】ミッドケースの内部にカートリッジが位置する様子を示す概略的な一部切開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による燃料電池用加湿器の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジは、本発明による燃料電池用加湿器に含まれることができるので、本発明による燃料電池用加湿器の実施例を説明しながら一緒に説明する。一方、図6図10図13、及び図14において、2本の平行な曲線は省略線である。
図2図4を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、燃料電池スタック(未図示)から排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するためのものである。乾燥気体は、燃料ガスまたは空気であってもよい。乾燥気体は、湿潤気体によって加湿された後に前記燃料電池スタックに供給されてもよい。本発明による燃料電池用加湿器(1)は、乾燥気体の加湿のための加湿モジュール(2)、前記加湿モジュール(2)の一端に結合された第1キャップ(3)、及び前記加湿モジュール(2)の他端に結合された第2キャップ(4)を含む。
図2図6を参照すると、前記加湿モジュール(2)は、外部から供給された乾燥気体を加湿するものである。前記加湿モジュール(2)の一端には、前記第1キャップ(3)が結合されてもよい。前記加湿モジュール(2)の他端には、前記第2キャップ(4)が結合されてもよい。前記第1キャップ(3)は、乾燥気体を前記加湿モジュール(2)に伝達してもよい。この場合、前記第2キャップ(4)は、前記加湿モジュール(2)で湿潤気体によって加湿された乾燥気体を外部に排出してもよい。前記第1キャップ(3)は、湿潤気体を前記加湿モジュール(2)に伝達してもよい。この場合、前記第2キャップ(4)は、前記加湿モジュール(2)で乾燥気体を加湿した後の湿潤気体を外部に排出してもよい。
前記加湿モジュール(2)は、少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)(21)、及びミッドケース(Mid-case)(22)を含む。
【0010】
前記カートリッジ(21)は、前記ミッドケース(22)内に配置され、複数の中空糸膜(211)を含む。前記中空糸膜(211)は、前記カートリッジ(21)に結合されてモジュール化してもよい。これにより、前記カートリッジ(21)を前記ミッドケース(22)に結合する工程を通じて、前記中空糸膜(211)は、前記ミッドケース(22)の内部に設けられてもよい。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記中空糸膜(211)に対する設置作業、分離作業、及び交替作業の容易性を向上させることができる。
前記カートリッジ(21)は、インナーケース(Inner case)(212)を含んでもよい。
前記インナーケース(212)は、末端に開口(Opening)を有し、前記複数の中空糸膜(211)が含まれているものである。前記中空糸膜(211)は、前記インナーケース(212)の内部に配置されてモジュール化してもよい。前記中空糸膜(211)は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらの2以上の混合物で形成された高分子膜を含んでもよい。
前記カートリッジ(21)は、固定層(213、214)を含んでもよい。
前記固定層(213、214)は、前記複数の中空糸膜(211)の末端部がポッティングされており、前記インナーケース(212)の開口を閉鎖させるものである。前記複数の中空糸膜(211)の一側が前記固定層(213)によって固定され、前記複数の中空糸膜(211)の他側が前記固定層(214)によって固定されてもよい。前記固定層(213、214)は、キャスティング工程を通じて液相ポリウレタン樹脂のような液相樹脂を硬化させることによって形成されてもよい。前記固定層(213、214)は、前記複数の中空糸膜(211)の末端部と前記インナーケース(212)を固定してもよい。
前記固定層(213、214)は、前記複数の中空糸膜(211)の中空を塞がないように形成されてもよい。これにより、外部から供給された乾燥気体または湿潤気体は、前記固定層(213、214)に妨げられることなく、前記中空糸膜(211)の中空に供給されてもよく、前記固定層(213、214)に妨げられることなく、前記中空糸膜(211)の中空から流出されてもよい。
前記カートリッジ(21)は、第1気体流入口(215)、及び第1気体流出口(216)を含んでもよい。
【0011】
前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)に形成されたものである。前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)の一側(2120)に形成してもよい。図6を基準とするとき、前記インナーケース(212)の一側(2120)は、上面に該当する。前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させてもよい。前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)を貫通して形成してもよい。前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)を貫通する複数の貫通孔で具現してもよい。この場合、前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)の互いに異なる部分を貫通するように形成された複数の流入窓(215a)を含んでもよい。前記流入窓(215a)は、第1軸方向(X軸方向)と第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状をなすように配置してもよい。前記第1軸方向(X軸方向)と前記第2軸方向(Y軸方向)は、互いに垂直な軸方向である。図示されていないが、前記第1気体流入口(215)は、前記インナーケース(212)を貫通する一つの貫通孔で具現してもよい。
前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)に形成されたものである。前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)の一側(2120)に形成してもよい。前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させてもよい。前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)を貫通して形成してもよい。前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)を貫通する複数の貫通孔で具現してもよい。この場合、前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)の互いに異なる部分を貫通するように形成された複数の流出窓(216a)を含んでもよい。前記流出窓(216a)は、前記第1軸方向(X軸方向)と前記第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状をなすように配置してもよい。図示されていないが、前記第1気体流出口(216)は、前記インナーケース(212)を貫通する一つの貫通孔として具現してもよい。
【0012】
前記第1気体流出口(216)と前記第1気体流入口(215)は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔した位置に配置してもよい。これにより、湿潤気体は、前記ミッドケース(22)の内部に供給された後、前記第1気体流入口(215)を通じて前記インナーケース(212)の内部に供給されて前記中空糸膜(211)の外表面に接触し、前記中空糸膜(211)の中空に沿って流れていた乾燥気体を加湿した後、前記第1気体流出口(216)を通じて前記インナーケース(212)の外部に流出された後、前記ミッドケース(22)の外部に流出されてもよい。一方、乾燥気体が前記ミッドケース(22)の内部に供給された後、前記第1気体流入口(215)を通じて前記インナーケース(212)の内部に供給されて前記中空糸膜(211)の外表面に接触され、前記中空糸膜(211)の中空に沿って流れていた湿潤気体によって加湿された後、前記第1気体流出口(216)を通じて前記インナーケース(212)の外部に流出された後、前記ミッドケース(22)の外部に流出されてもよい。
前記ミッドケース(22)は、前記カートリッジ(21)が結合されたものである。前記カートリッジ(21)は、前記ミッドケース(22)の内部に配置してもよい。前記ミッドケース(22)は、両末端が開放されている。この場合、前記ミッドケース(22)には、受容孔(221)を形成してもよい。前記受容孔(221)は、前記ミッドケース(22)を前記第1軸方向(X軸方向)に貫通するように形成してもよい。
前記ミッドケース(22)には、第2気体流入口(222)及び第2気体流出口(223)を形成してもよい。前記第2気体流入口(222)は、前記ミッドケース(22)の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させてもよい。前記第2気体流出口(223)は、前記ミッドケース(22)の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させてもよい。前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔した位置に配置してもよい。
前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)を通じて湿潤気体が流動する場合、湿潤気体と乾燥気体は次のように流動してもよい。
【0013】
湿潤気体は、前記第2気体流入口(222)を通じて前記ミッドケース(22)の内部に供給された後、前記第1気体流入口(215)を通じて前記カートリッジ(21)の内部に供給され、前記中空糸膜(211)の外表面と接触してもよい。この過程で、湿潤気体に含まれていた水分が前記中空糸膜(211)を透過することにより、前記中空糸膜(211)の中空に沿って流れていた乾燥気体を加湿してもよい。加湿された乾燥気体は、前記中空糸膜(211)から流出し、前記第2キャップ(4)を通して流出した後に、前記燃料電池スタックに供給されてもよい。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は、前記第1気体流出口(216)を通じて前記カートリッジ(21)の外部に流出された後、前記ミッドケース(22)の内部を経て、前記第2気体流出口(223)を通じて前記ミッドケース(22)の外部に流出されてもよい。前記第2気体流入口(222)は、前記燃料電池スタックに連結されて湿潤気体を供給されてもよい。この場合、湿潤気体は、前記燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であってもよい。
前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)を通して乾燥気体が流動する場合、乾燥気体と湿潤気体は次のように流動してもよい。
乾燥気体は、前記第2気体流入口(222)を通じて前記ミッドケース(22)の内部に供給された後、前記第1気体流入口(215)を通じて前記カートリッジ(21)の内部に供給され、前記中空糸膜(211)の外表面と接触することができる。この過程で、前記中空糸膜(211)の中空に沿って流れていた湿潤気体の水分が前記中空糸膜(211)を透過することにより、乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は、前記第1気体流出口(216)を通じて前記カートリッジ(21)の外部に流出し、前記ミッドケース(22)の内部を経て、前記第2気体流出口(223)を通じて前記ミッドケース(22)の外部に流出された後、前記燃料電池スタックに供給されてもよい。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は、前記中空糸膜(211)から流出されたた後、前記第2キャップ(4)を通じて外部に流出されてもよい。前記第1キャップ(3)は、前記燃料電池スタックに連結されて湿潤気体を供給されてもよい。この場合、湿潤気体は、前記燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であってもよい。
前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)は、ミッド本体(220)から突出してもよい。前記ミッド本体(220)は、前記ミッドケース(22)の全体的な外観を構成するものである。前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)は、前記ミッド本体(220)から同じ方向に突出してもよい。前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)は、前記ミッド本体(220)から互いに異なる方向に突出してもよい。前記第2気体流入口(222)、前記第2気体流出口(223)、及び前記ミッド本体(220)は一体に形成してもよい。
【0014】
前記加湿モジュール(2)は、複数のパッキング部材(23、23')を含んでもよい。
前記パッキング部材(23、23’)は、乾燥気体と湿潤気体が直接的に混合されることを防止するように前記カートリッジ(21)と前記ミッドケース(22)の間を密閉するものである。前記パッキング部材(23、23’)は、前記カートリッジ(21)と前記ミッドケース(22)の間に挿入してもよい。この場合、前記カートリッジ(21)は、前記パッキング部材(23、23')に形成された第1通過孔(23a、23a')に挿入してもよい。前記パッキング部材(23、23')は、それぞれ前記カートリッジ(21)の両側に配置してもよい。図示されていないが、前記パッキング部材(23、23')に代わって、前記カートリッジ(21)の両側には樹脂層を形成してもよい。前記樹脂層は、キャスティング方式により、液相ポリウレタン樹脂のような液相ポリマーを硬化させることによって形成してもよい。
図2図4を参照すると、前記第1キャップ(3)は、前記加湿モジュール(2)の一端に結合されたものである。前記第1キャップ(3)と前記カートリッジ(21)の間の空間は、前記パッキング部材(23)または樹脂層によって前記カートリッジ(21)と前記ミッドケース(22)の間の空間に対して密閉されてもよい。
図2図4を参照すると、前記第2キャップ(4)は、前記加湿モジュール(2)の他端に結合されたものである。前記第2キャップ(4)は、前記第1キャップ(3)から前記第1軸方向(X軸方向)に沿って離隔した位置で、前記加湿モジュール(2)の他端に結合してもよい。前記第2キャップ(4)と前記カートリッジ(21)の間の空間は、前記パッキング部材(23')または樹脂層によって前記カートリッジ(21)と前記ミッドケース(22)の間の空間に対して密閉されてもよい。
【0015】
図2図8を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、加湿性能を向上させるために、前記カートリッジ(21)が次のように具現されてもよい。
前記カートリッジ(21)は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として不均一な厚さを有するように形成してもよい。この場合、前記インナーケース(212)は、第1セグメント(2121)、第2セグメント(2122)、及び第3セグメント(2123)を含んでもよい。
前記第1セグメント(2121)、前記第2セグメント(2122)、及び前記第3セグメント(2123)のそれぞれの内部には、前記中空糸膜(211)が含まれている。前記第1セグメント(2121)、前記第2セグメント(2122)、および前記第3セグメント(2123)は、前記第2軸方向(Y軸方向)に沿って並んで配置してもよい。この場合、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記第3セグメント(2123)は、前記第1セグメント(2121)と前記第2セグメント(2122)の間に配置してもよい。前記第1セグメント(2121)と前記第2セグメント(2122)は、前記第3セグメント(2123)を挟んで互いに離隔して配置してもよい。
前記第3セグメント(2123)の平均厚さは、前記第1セグメント(2121)の平均厚さと前記第2セグメント(2122)の平均厚さのそれぞれに比べて、より薄く具現されてもよい。この場合、平均厚さは、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記第3セグメント(2123)、前記第2セグメント(2122)、および前記第1セグメント(2121)のそれぞれの厚さの平均値である。前記第1軸方向(X軸方向)を前記インナーケース(212)の長さ方向と定義し、前記第2軸方向(Y軸方向)を前記インナーケース(212)の幅方向と定義するとき、厚さは、前記第1軸方向(X軸方向)と前記第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに対して垂直な第3軸方向(Z軸方向)を基準とする長さである。前記第3セグメント(2123)、前記第2セグメント(2122)、および前記第1セグメント(2121)のそれぞれの厚さが前記第2軸方向(Y軸方向)に沿って変化する場合、前記第3セグメント(2123)、前記第2セグメント(2122)、および前記第1セグメント(2121)のそれぞれは、平均厚さと同じ厚さを有する部分、平均厚さと比較してより厚い厚さを有する部分、平均厚さと比較してより薄い厚さを有する部分を含んでもよい。前記第3セグメント(2123)、前記第2セグメント(2122)、および前記第1セグメント(2121)のそれぞれの厚さが前記第2軸方向(Y軸方向)に沿って変化なく一定である場合、前記第3セグメント(2123)、前記第2セグメント(2122)、および前記第1セグメント(2121)のそれぞれは、平均厚さと同じ厚さを有する部分のみを含んでもよい。
前記第3セグメント(2123)の平均厚さが前記第1セグメント(2121)の平均厚さと前記第2セグメント(2122)の平均厚さのそれぞれに比べてより薄く具現されることにより、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記中空糸膜(211)の全体として加湿が円滑に行われることができるので、加湿性能を高めることができる。これを具体的に説明すると、以下の通りである。
【0016】
まず、図8に示すように、前記インナーケース(212)が前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として全体的に厚さの変化なく一定に具現された比較例の場合、中央領域(IA)に位置する中空糸膜(211)に対しては、外郭領域(OA)に位置する中空糸膜(211)に比べて加湿が円滑に行われない。前記インナーケース(212)の内部に流入された湿潤気体または乾燥気体が前記外郭領域(OA)に位置する中空糸膜(211)の間を通じて前記中央領域(IA)に位置する中空糸膜(211)まで伝達されにくいからである。これにより、比較例は加湿に用いられた中空糸膜(211)の割合が低いため、全体的な加湿性能が低くなる。一方、前記中央領域(IA)は、前記外郭領域(OA)の内側に位置する領域であり、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記インナーケース(212)の両端(212a、212b)から同じ距離に離隔してもよい。前記中央領域(IA)は、前記第3軸方向(Z軸方向)を基準として、前記インナーケース(212)の上端と下端のそれぞれから同じ距離に離隔されてもよい。
次に、図7に示すように、前記第3セグメント(2123)の平均厚さが、前記第1セグメント(2121)の平均厚さと前記第2セグメント(2122)の平均厚さのそれぞれに比べてより薄く具現された実施例の場合、比較例において、前記中央領域(IA、図8に示す)に対応する部分がより薄い厚さで具現される。これにより、実施例は、比較例における前記中央領域(IA、図8に示す)に対応する部分の中空糸膜(211)まで湿潤気体または乾燥気体が円滑に伝達されて加湿が行われることができる。したがって、実施例は、比較例と対比すると、加湿に用いられない中空糸膜(211)の割合を減らすと同時に、加湿に用いられる中空糸膜(211)の割合を増やすことができるので、全体的な加湿性能を高めることができる。
図2図7を参照すると、前記第3セグメント(2123)は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする中端(2123a)が両端(2123b、2123c)に比べてより薄い厚さで形成してもよい。前記第3セグメント(2123)の中端(2123a)は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記第3セグメント(2123)の両端(2123b、2123c)から同じ距離に離隔した部分である。これに従い、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、比較例において最も加湿が円滑に行われなかった中央領域(IA、図8に示す)に対応する部分がより薄い厚さで具現されてもよい。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、加湿に用いられる中空糸膜(211)の割合をより多くすることで、全体的な加湿性能をより高めることができる。
【0017】
前記第3セグメント(2123)は、前記中端(2123a)から前記両端(2123b、2123c)側に延びるにつれて厚さが増加するように形成してもよい。この場合、前記第3セグメント(2123)は、前記中端(2123a)から第1方向(FD矢印方向)に延びるにつれて厚さが増加し、一端(2123b)で前記第1セグメント(2121)に連結されてもよい。前記第3セグメント(2123)は、前記中端(2123a)から第2方向(SD矢印方向)に延びるにつれて厚さが増加し、他端(2123c)で前記第2セグメント(2122)に連結されてもよい。前記第1方向(FD矢印方向)と前記第2方向(SD矢印方向)は、前記第2軸方向(Y軸方向)に対して平行でありながら、互いに反対の方向である。これにより、前記第3セグメント(2123)は、前記中端(2123a)で最低厚さ(2123T)で形成してもよい。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、比較例において最も加湿が円滑に行われなかった中央領域(IA、図8に示す)に対応する部分が最も薄い厚さで具現されることにより、加湿に用いられる中空糸膜(211)の割合をさらに増やすことができる。
ここで、前記第1セグメント(2121)は、前記第3セグメント(2123)に連結された一端から他端に延びるにつれて厚さが変化するように形成してもよい。前記第1セグメント(2121)の一端は、前記第3セグメント(2123)の一端(2123b)に連結された部分である。前記第1セグメント(2121)の他端は、前記インナーケース(212)の一端(212a)に該当する。前記第1セグメント(2121)は、前記一端から最大厚さ(2121T)を有する地点(2121a)まで延びるにつれて厚さが増加するとともに、最大厚さ(2121T)を有する地点(2121a)から他端へ延びるにつれて厚さが減少するように形成してもよい。この場合、前記第1セグメント(2121)は、全体的に曲面をなして形成してもよい。
前記第2セグメント(2122)は、前記第3セグメント(2123)に連結された一端から他端へ延びるにつれて厚さが変化するように形成してもよい。前記第2セグメント(2122)の一端は、前記第3セグメント(2123)の他端(2123c)に連結された部分である。前記第2セグメント(2122)の他端は、前記インナーケース(212)の他端(212b)に該当する。前記第2セグメント(2122)は、前記一端から最大厚さ(2122T)を有する地点(2122a)まで延びるにつれて厚さが増加するとともに、最大厚さ(2122T)を有する地点(2122a)から他端へ延びるにつれて厚さが減少するように形成してもよい。この場合、前記第2セグメント(2121)は、全体的に曲面をなして形成してもよい。
【0018】
前記インナーケース(212)は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として両端(212a、212b)から同じ距離に離隔した中端を基準として互いに対称に形成してもよい。前記インナーケース(212)の中端及び前記第3セグメント(2123)の中端(2123a)は、互いに同じ地点であってもよい。これにより、前記カートリッジ(21)は、前記インナーケース(212)の中端を基準として、両側が互いにほぼ一致する加湿性能を有するように具現されてもよい。
図7に示すように、前記インナーケース(212)は、前記第3セグメント(2123)の中端(2123a)を基準として、前記第1方向(FD矢印方向)側と前記第2方向(SD矢印方向)側に延びるにつれて厚さが増加した後に再び減少する曲面状に形成してもよい。例えば、前記インナーケース(212)はダンベル(Dumbbell)の形で形成してもよい。前記第3セグメント(2123)、前記第2セグメント(2122)、及び前記第1セグメント(2121)は一体に形成してもよい。
図9に示すように、前記インナーケース(212)は、平面が組み合わされた形態で形成してもよい。この場合、前記第3セグメント(2123)は、中端(2123a)を基準として、前記第1方向(FD矢印方向)側と前記第2方向(SD矢印方向)側に厚さの変化なく所定の長さに延びた後、厚さが徐々に厚くなるように傾斜した形状に形成してもよい。前記第1セグメント(2121)と前記第2セグメント(2122)は、それぞれ厚さの変化のない直方体状に形成してもよい。図示されていないが、前記インナーケース(212)は、曲面と平面を組み合わせた形で形成してもよい。
図2図9を参照すると、前記インナーケース(212)は、下記数学式1を満たす形で形成してもよい。

[数学式1]
0.2H < T < 0.5H

前記数学式1において、Hは、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする前記インナーケース(212)の幅であり、Tは、前記インナーケース(212)の最大厚さと定義してもよい。図7図9を基準とするとき、Hは、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする前記第1セグメント(2121)の長さ、前記第2セグメント(2122)の長さ、及び前記第3セグメント(2123)の長さを全て合わせた値に該当する。Tは、前記第3軸方向(Z軸方向)を基準とする前記第1セグメント(2121)の最大厚さ(2121T)または前記第2セグメント(2122)の最大厚さ(2122T)に該当する。
【0019】
このように、前記数学式1を満すインナーケース(212)は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする幅方向の長さに対して、前記第3軸方向(Z軸方向)を基準とする最大厚さが0.2倍超0.5倍未満で具現されてもよい。つまり、前記インナーケース(212)は、最大厚さを基準としても薄い厚さで具現されてもよい。したがって、前記カートリッジ(21)は、前記インナーケース(212)の内部に流入した湿潤気体または乾燥気体に接触する前記中空糸膜(211)の割合を増やすことができるように具現されることにより、全体的な加湿性能を高めることに寄与することができる。
この場合、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする幅方向の長さに対して、前記第3軸方向(Z軸方向)を基準とする最大厚さが0.2倍以下で具現されたインナーケース(212)の場合、前記中空糸膜(211)に対する収容量が減少するため、加湿性能が低下する可能性がある。前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする幅方向の長さに対して、前記第3軸方向(Z軸方向)を基準とする最大厚さが0.5倍以上具現されたインナーケース(212)の場合、前記インナーケース(212)の内部に流入された湿潤気体または乾燥気体が比較的外側に位置する中空糸膜(211)の間を通過して比較的内側に位置する中空糸膜(211)まで伝達されにくくなるため、加湿性能が低下する可能性がある。これを考慮して、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする幅方向の長さに対して、前記第3軸方向(Z軸方向)を基準とする最大厚さが0.2倍超0.5倍未満に具現されたインナーケース(212)を備えることにより、前記中空糸膜(211)を用いた加湿性能を高めることができる。
ここで、湿潤気体または乾燥気体が前記カートリッジ(21)の内部に流入し、前記カートリッジ(21)の外部に流出する過程で、湿潤気体または乾燥気体により中空糸膜(211)に振動が発生することがある。このような振動により、前記中空糸膜(211)が周辺に位置する構造物に直接衝突するため、前記中空糸膜(211)が損傷ないし破損するリスクがある。
このように、前記中空糸膜(211)に発生する損傷ないし破損を減少させるために、本発明による燃料電池用加湿器(1)において、前記カートリッジ(21)は、緩衝部材(217、図10に示す)を含んでもよい。
【0020】
図2図6、及び図10を参照すると、前記緩衝部材(217)は、前記インナーケース(212)の内部に位置するように前記インナーケース(212)に結合してもよい。前記緩衝部材(217)は、前記第1気体流入口(215)と前記中空糸膜(211)の間、及び前記第1気体流出口(216)と前記中空糸膜(211)の間の少なくとも一つの位置で前記インナーケース(212)に結合してもよい。これにより、気体の流動により前記中空糸膜(211)が振動しても、前記中空糸膜(211)は、前記インナーケース(212)の内面に直接ぶつかることなく、前記緩衝部材(217)にぶつかることになる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記緩衝部材(217)を用いて前記中空糸膜(211)に加わる衝撃を緩和させることにより、前記中空糸膜(211)が損傷ないし破損するリスクを低減することができる。これにより、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記中空糸膜(211)に対する使用寿命を延びることができるので、メンテナンス費用を減らすことができる。一方、前記中空糸膜(211)に発生する振動には、気体の流れにおける気体の圧力、気体の流れなどが影響を及ぼすことがある。この場合、前記中空糸膜(211)に振動を発生させる気体は、湿潤気体または乾燥気体のうち、前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)を通じて流動するものである可能性がある。
前記緩衝部材(217)は、前記中空糸膜(211)がぶつかることによる衝撃を緩和させることができながらも、湿潤気体または乾燥気体が通過できるように通気性を有する素材を用いて製造してもよい。これにより、前記緩衝部材(217)は、前記中空糸膜(211)に加わる衝撃を緩和させることができながらも、前記第1気体流出口(216)と前記第1気体流入口(215)を通じて湿潤気体または乾燥気体が円滑に流動できるように具現されてもよい。例えば、前記緩衝部材(217)は、綿織物(Non-wovne)素材を用いて製造してもよい。前記緩衝部材(217)は、メッシュ(Mesh)状に形成された素材を用いて製造してもよい。
前記緩衝部材(217)は、前記インナーケース(212)の内面に結合してもよい。前記緩衝部材(217)は、融着加工などの方式を用いて前記インナーケース(212)の内面に結合してもよい。
【0021】
図2図6図10、および図11を参照すると、前記緩衝部材(217)は、第1緩衝部材(2171)を含んでもよい。
前記第1緩衝部材(2171)は、前記第1気体流出口(216)と前記中空糸膜(211)の間で前記第1気体流出口(216)の前面を塞ぐように前記インナーケース(212)に結合してもよい。これにより、前記第1気体流出口(216)を通じて湿潤気体または乾燥気体が流出する過程で前記中空糸膜(211)が振動しても、前記中空糸膜(211)は、前記インナーケース(212)に直接ぶつかることなく、前記第1緩衝部材(2171)にぶつかることができる。したがって、前記第1緩衝部材(2171)は、前記中空糸膜(211)に加わる衝撃を緩和させることにより、前記中空糸膜(211)が損傷ないし破損するリスクを減らすことができる。
前記第1緩衝部材(2171)には、複数の第1通気孔(2171a)を形成してもよい。前記第1通気孔(2171a)は、前記第1緩衝部材(2171)を貫通して形成してもよい。これにより、前記第1緩衝部材(2171)が前記第1気体流出口(216)の前面を塞いでも、湿潤気体または乾燥気体は、前記第1通気孔(2171a)を通じて円滑に流出することができる。前記第1通気孔(2171a)のそれぞれは、前記流出窓(216a)のそれぞれに比べて、より小さいサイズで形成してもよい。前記第1通気孔(2171a)は、前記第1緩衝部材(2171)に複数の穴(Hole)を加工することによって形成されてもよい。前記第1緩衝部材(2171)が綿織物(Non-wovne)素材、メッシュ(Mesh)状で形成された素材などを用いて製造された場合、前記第1通気孔(2171a)は材料自体が有する穴(Hole)によって具現されてもよい。
図2図6図10図12を参照すると、前記緩衝部材(217)は、第2緩衝部材(2172)を含んでもよい。
前記第2緩衝部材(2172)は、前記第1気体流入口(215)と前記中空糸膜(211)の間で前記第1気体流入口(215)の前面を塞ぐように前記インナーケース(212)に結合してもよい。これにより、前記第1気体入口(215)を通じて湿潤気体または乾燥気体が流入する過程で前記中空糸膜(211)が振動しても、前記中空糸膜(211)は、前記インナーケース(212)に直接ぶつかることなく、前記第2緩衝部材(2172)にぶつかることができる。したがって、前記第2緩衝部材(2172)は、前記中空糸膜(211)に加わる衝撃を緩和させることにより、前記中空糸膜(211)が損傷ないし破損するリスクを減らすことができる。
【0022】
前記第2緩衝部材(2172)には、複数の第2通気孔(2172a)を形成してもよい。前記第2通気孔(2172a)は、前記第2緩衝部材(2172)を貫通して形成してもよい。これにより、前記第2緩衝部材(2172)が前記第1気体流入口(215)の前面を塞いでも、湿潤気体または乾燥気体は、前記第2通気孔(2172a)を通じて円滑に流入することができる。前記第2通気孔(2172a)のそれぞれは、前記流入窓(215a)のそれぞれに比べて、より小さいサイズで形成してもよい。前記第2通気孔(2172a)は、前記第2緩衝部材(2172)に複数の穴(Hole)を加工することによって形成してもよい。前記第2緩衝部材(2172)が綿織物(Non-wovne)素材、メッシュ(Mesh)状で形成された素材などを用いて製造された場合、前記第2通気孔(2172a)は、材料自体が有する穴(Hole)によって具現されてもよい。
一方、図10には、前記緩衝部材(217)が前記第1緩衝部材(2171)と前記第2緩衝部材(2172)の両方を含むものとして示されているが、これに限定されず、前記緩衝部材(217)は、前記第1緩衝部材(2171)と前記第2緩衝部材(2172)のうちいずれか一方のみを含んでもよい。すなわち、前記緩衝部材(217)は、前記第1緩衝部材(2171)と前記第2緩衝部材(2172)のうち少なくとも一方を含んでもよい。
図3図13、および図14を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器(1)において、前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)が互いに離隔した間隔(21D)[以下、「第1間隔(21D)」という]は、前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)が互いに離隔した間隔(22D)[以下、「第2間隔(22D)」という]に比べて、より大きく具現されてもよい。前記第1間隔(21D)と前記第2間隔(22D)は、いずれも前記第1軸方向(X軸方向)を基準とするものである。前記第1間隔(21D)は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第1気体流入口(215)の中間地点と前記第1気体流出口(216)の中間地点が互いに離隔した距離であってもよい。前記第2間隔(22D)は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2気体流入口(222)の中間地点と前記第2気体流出口(223)の中間地点が互いに離隔した距離であってもよい。
前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第1間隔(21D)は、前記第2間隔(22D)に比べてより大きく具現されてもよい。これにより、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)は、一部または全部が互いに重ならない(Overlap)ように具現されてもよい。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記第2気体流入口(222)を通じて前記ミッドケース(22)の内部に流入する湿潤気体または乾燥気体の流動が前記中空糸膜(211)に直接的に加わらないように具現されてもよい。これを具体的に説明すると、以下の通りである。
【0023】
まず、図13に示すように、前記第1軸方向を基準として、前記第1間隔(21D、図14に示す)と前記第2間隔(22D、図14に示す)が互いにほぼ一致するように具現された比較例の場合、前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)が互いに重なることになる。これにより、比較例は、前記第2気体流入口(222)から流入した湿潤気体または乾燥気体が前記第1気体流入口(215)に向かって流動し、前記第1気体流入口(215)を通じて前記インナーケース(212)の内部に流入することになる。したがって、比較例は、湿潤気体または乾燥気体の流動が前記中空糸膜(211、図3に示す)に直接的に加わり、前記中空糸膜(211、図3に示す)が損傷ないし破損するリスクが高い。
次に、図14に示すように、前記第1軸方向を基準として、前記第1間隔(21D)が前記第2間隔(22D)に比べてより大きく具現された実施例の場合、前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)が互いに重ならないようになる。この場合、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)は、互いにずれた位置に配置されることがある。これにより、実施例は、前記第2気体流入口(222)を通じて流入された湿潤気体または乾燥気体が、前記第1気体流入口(215)から離隔した位置に流れた後、前記第1気体流入口(215)を通じて前記インナーケース(212)の内部に流入されるようになる。 したがって、実施例は、湿潤気体または乾燥気体の流動が前記中空糸膜(211、図3に示す)に直接的に加わらないように具現されてもよい。これにより、実施例は、比較例と比較して、前記中空糸膜(211)に加わる湿潤気体または乾燥気体の流動を減少することができるので、湿潤気体または乾燥気体の流動によって前記中空糸膜(211)が振動する程度を低減することにより、前記中空糸膜(211)(図3に示す)が損傷または破損するリスクをさらに低減することができる。したがって、実施例は、比較例と比較して、前記中空糸膜(211)に対する使用寿命をより長くすることができる。図示されていないが、前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)は、互いに一部だけ重なることもできる。
前記第2気体流入口(222)は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第1気体流入口(215)及び前記第1気体流出口(216)のそれぞれから離隔してもよい。これにより、前記第2気体流入口(222)の全てが前記第1気体流入口(215)及び前記第1気体流出口(216)のそれぞれと重ならないように具現してもよい。この場合、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2気体流入口(222)は、前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)の間に配置してもよい。
前記第2気体流出口(223)は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)のそれぞれから離隔してもよい。この場合、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)は、前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)の間に配置してもよい。これにより、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)が互いに重ならないように配置されることにより、前記中空糸膜(211)が損傷又は破損することを減少させることができる。
【0024】
この場合、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)が互いに離隔した前記第1間隔(21D)が過度に大きくなると、前記第1気体流入口(215)と前記第1気体流出口(216)のそれぞれの面積が狭くなり、湿潤気体または乾燥気体の流動の増加により、前記中空糸膜(211)の振動が大きくなる可能性がある。これを考慮して、前記第1間隔(21D)は、前記中空糸膜(211)が振動により損傷ないし破損しない長さに決定してもよい。
図3図13、および図14を参照すると、前記ミッドケース(22)は、隔壁部材(224)を含んでもよい。
前記隔壁部材(224)は、前記ミッドケース(22)の内部を区画するものである。前記隔壁部材(224)は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2気体流入口(222)と前記第2気体流出口(223)の間に配置してもよい。これにより、前記隔壁部材(224)は、前記ミッドケース(22)の内部を、前記第2気体流入口(222)に連結された空間と、前記第2気体流出口(223)に連結された空間に区画してもよい。したがって、前記隔壁部材(224)は、前記第2気体流入口(222)を通じて流入した湿潤気体または乾燥気体が前記第2気体流出口(223)に流出することを遮断することにより、前記第1気体入口(215)に流入する湿潤気体または乾燥気体の流量を増やすことができる。
前記隔壁部材(224)は、前記インナーケース(212)の外面と前記ミッドケース(22)の内面の間を閉鎖することができる。これにより、前記隔壁部材(224)は、前記第2気体流入口(222)を通じて流入した湿潤気体または乾燥気体が前記第2気体流出口(223)側に流れることを遮断することができる。前記隔壁部材(224)は、前記インナーケース(212)の外面を囲むように配置してもよい。前記ミッドケース(22)の内面は、前記隔壁部材(224)の外面を囲むように配置してもよい。図14の点線は、前記隔壁部材(224)の位置を示すものである。図14の点線のように、前記隔壁部材(224)は、前記インナーケース(212)の外面と前記ミッドケース(22)の内面の間で、前記ミッドケース(22)の内部を横切るように配置してもよい。
【0025】
図3図13、および図14を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器(1)において、前記第2気体流出口(223)と前記第1気体流出口(216)は、互いに異なる方向を向くように配置してもよい。これにより、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記第1気体流出口(216)を通じて流出した湿潤気体または乾燥気体が、前記第2気体流出口(223)が位置する方向へ流れた後、前記第2気体流出口(223)を通じて流出されてもよい。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記第1気体流出口(216)を通じて流出する湿潤気体または乾燥気体の流動により、前記中空糸膜(211)に発生する振動を低減することができるので、前記中空糸膜(211)に対する損傷又は破損のリスクをさらに低減することができる。例えば、前記第1気体流出口(216)が前記インナーケース(212)の上面に形成された場合、前記第2気体流出口(223)は、前記インナーケース(212)の側面に向かうように配置してもよい。
前記第2気体流入口(222)と前記第1気体流入口(215)は、互いに異なる方向を向くように配置してもよい。これにより、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記第2気体流入口(222)を通じて流入された湿潤気体または乾燥気体が、前記第1気体流入口(215)が位置する方向へ流れた後、前記第1気体流入口(215)を通じて流入されてもよい。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記中空糸膜(211)に加わる湿潤気体または乾燥気体の流動をさらに減少させることができ、前記湿潤気体または乾燥気体の流動により前記中空糸膜(211)に発生する振動を減少させることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器(1)は、前記中空糸膜(211)に対する損傷ないし破損のリスクをより低減することができる。例えば、前記第1気体流入口(215)が前記インナーケース(212)の上面に形成された場合、前記第2気体流入口(222)は、前記インナーケース(212)の側面に向かうように配置してもよい。
【0026】
以上説明した本発明は、前述の実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術思想をはずれない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【符号の説明】
【0027】
1 燃料電池用加湿器
2 加湿モジュール
3 第1キャップ
4 第2キャップ
21 カートリッジ
21D 第1間隔
22D 第2間隔
22ミッドケース
23、23'パッキング部材
23a、23a' 第1通過孔
100 加湿器
110 加湿モジュール
111ミッドケース
111a 排ガス湿潤気体流入口
111b 排ガス湿潤気体流出口
112 中空糸膜
113 固定層
114 樹脂層
120キャップ
211 中空糸膜
212 インナーケース
212a、212b インナーケースの両端
213、214 固定層
215 第1気体流入口
215a 流入窓
216 第1気体流出口
216a 流出窓
217 緩衝部材
220ミッド本体
221 受容孔
222 第2気体流入口
223 第2気体流出口
224 隔壁部材
2120インナーケースの一側
2121 第1セグメント
2121a 地点
2122 第2セグメント
2123 第3セグメント
2123a 中端
2123b 一端
2123c 他端
2121T 最大厚さ
2123T 最低厚さ
2171 第1緩衝部材
2171a 第1通気孔
2172 第2緩衝部材
2172a 第2通気孔
IA 中央領域
OA 外郭領域
図1
図2
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図14