IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7585518基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法
<>
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図1
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図2
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図3
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図4
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図5
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図6
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図7
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図8
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図9
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図10
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図11
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図12
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図13
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図14
  • -基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241111BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H05K13/04 P
H05K3/34 505D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023563403
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2021043130
(87)【国際公開番号】W WO2023095234
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】成田 佳貴
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-203966(JP,A)
【文献】特開2014-222687(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017802(WO,A1)
【文献】特開2021-052137(JP,A)
【文献】特開2012-069544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装される基板を作業位置に搬送する基板搬送部と、
前記作業位置に搬送された前記基板を支持する複数のバックアップ部材が配置されるバックアップ部材配置部と、
前記バックアップ部材配置部に対して前記バックアップ部材を移動させる移動部と、
前記移動部による前記バックアップ部材の移動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記作業位置において第1基板に対して作業を行った後、前記第1基板とは異なる種類の第2基板に対して作業を行う場合、前記第1基板に対して作業を行う際に、前記第1基板の範囲内に前記第2基板を支持するための複数の前記バックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成され
前記制御部は、前記第1基板を生産している際に、前記第1基板が前記作業位置に位置していない状態で、待ち時間が発生した場合に、前記第1基板の範囲内に前記第2基板を支持するための前記バックアップ部材を先行して配置する制御を行う、基板作業装置。
【請求項2】
前記制御部は、現在作業中の前記基板、および、現在作業中の前記基板を支持する前記バックアップ部材に対して干渉しない位置に、複数の前記バックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項3】
前記制御部は、現在作業中の前記基板の裏面に実装されている部品に対して干渉しない位置に、複数の前記バックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の基板作業装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1基板に関する情報および前記第2基板に関する情報に基づいて、現在作業中の前記基板、および、現在作業中の前記基板を支持する前記バックアップ部材に対して干渉しない位置を取得するように構成されている、請求項2または3に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1基板に対して作業を行った後、前記第2基板に対して作業を行う前に、先行して配置された前記バックアップ部材以外の前記バックアップ部材を前記第2基板を支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、前記バックアップ部材の移動の時間が短くなるように前記バックアップ部材を移動させる制御を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1基板に対して作業を行った後、前記第2基板に対して作業を行う前に、先行して配置された前記バックアップ部材以外の前記バックアップ部材を前記第2基板を支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、前記バックアップ部材の移動の距離が短くなるように前記バックアップ部材を移動させる制御を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項7】
前記制御部は、生産予定の前記基板の種類の生産順序を、先行して配置された前記バックアップ部材以外の前記バックアップ部材の移動時間の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の前記基板の生産を行う、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項8】
前記制御部は、生産予定の前記基板の種類の生産順序を、先行して配置された前記バックアップ部材以外の前記バックアップ部材の移動距離の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の前記基板の生産を行う、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置が知られている。部品実装装置は、たとえば、特開2013-161840号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2013-161840号公報には、部品が実装される基板を作業位置に搬送する基板搬送部と、作業位置に搬送された基板を支持する複数のバックアップ部材が配置されるバックアップ部材配置部と、バックアップ部材配置部の基板を支持する配置位置に対してバックアップ部材を移動させる移動部とを備える部品実装装置が開示されている。この特開2013-161840号公報の部品実装装置では、複数のバックアップ部材を基板の種類に応じてバックアップ部材配置部の基板を支持する配置位置に配置する場合に、基板を支持するのに用いないバックアップ部材を、バックアップ部材配置部における基板外の仮置き位置に配置するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-161840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開2013-161840号公報の部品実装装置では、複数のバックアップ部材を基板の種類に応じてバックアップ部材配置部の基板を支持する配置位置に配置する場合に、基板を支持するのに用いないバックアップ部材を、バックアップ部材配置部における基板外の仮置き位置に配置するため、バックアップ部材を仮置き位置に移動させる必要がある。このため、バックアップ部材の移動に要する時間が増大する。そこで、複数のバックアップ部材を基板の種類に応じて配置する場合に、バックアップ部材の移動に要する時間が増大するのを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数のバックアップ部材を基板の種類に応じて配置する場合に、バックアップ部材の移動に要する時間が増大するのを抑制することが可能な基板作業装置、部品実装装置、印刷装置および基板作業方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明のの局面による基板作業装置は、部品が実装される基板を作業位置に搬送する基板搬送部と、作業位置に搬送された基板を支持する複数のバックアップ部材が配置されるバックアップ部材配置部と、バックアップ部材配置部に対してバックアップ部材を移動させる移動部と、移動部によるバックアップ部材の移動を制御する制御部と、を備え、制御部は、作業位置において第1基板に対して作業を行った後、第1基板とは異なる種類の第2基板に対して作業を行う場合、第1基板に対して作業を行う際に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するための複数のバックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成され、制御部は、第1基板を生産している際に、第1基板が作業位置に位置していない状態で、待ち時間が発生した場合に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するためのバックアップ部材を先行して配置する制御を行う
【0008】
この発明のの局面による基板作業装置では、上記のように、制御部は、作業位置において第1基板に対して作業を行った後、第1基板とは異なる種類の第2基板に対して作業を行う場合、第1基板に対して作業を行う際に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するための複数のバックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成されている。これにより、第1基板に対して作業を行う際に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するための複数のバックアップ部材の一部を先行して配置することにより、第1基板の生産から第2基板の生産に切り替わる際に、第2基板を支持するためのバックアップ部材の一部が既にバックアップ部材配置部に配置されているので、その分、第2基板を支持するために移動させるバックアップ部材の数を減少させることができる。その結果、バックアップ部材の移動に要する時間が増大するのを抑制することができる
【0009】
上記の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、現在作業中の基板、および、現在作業中の基板を支持するバックアップ部材に対して干渉しない位置に、複数のバックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、先行して配置したバックアップ部材が現在作業中の基板および基板を支持するバックアップ部材に干渉することに起因して、現在作業中の基板に対する作業性が低下するのを抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、現在作業中の基板の裏面に実装されている部品に対して干渉しない位置に、複数のバックアップ部材の一部を先行して配置する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、現在作業中の基板の裏面に実装されている部品に対して、先行して配置したバックアップ部材が接触することがないので、基板の裏面の部品が損傷するのを抑制することができる。
【0011】
上記現在作業中の基板および現在作業中の基板を支持するバックアップ部材に対して干渉しない位置に、バックアップ部材を先行して配置する制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、第1基板に関する情報および第2基板に関する情報に基づいて、現在作業中の基板、および、現在作業中の基板を支持するバックアップ部材に対して干渉しない位置を取得するように構成されている。このように構成すれば、第2基板を支持するための複数のバックアップ部材のうち先行して配置する一部のバックアップ部材を容易に決定することができる
【0012】
上記の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、第1基板に対して作業を行った後、第2基板に対して作業を行う前に、先行して配置されたバックアップ部材以外のバックアップ部材を第2基板を支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、バックアップ部材の移動の時間が短くなるようにバックアップ部材を移動させる制御を行う。このように構成すれば、第1基板の生産から第2基板の生産に切り替わる際に、移動が必要なバックアップ部材の移動時間を短くすることができるので、バックアップ部材の移動に要する時間が増大するのを効果的に抑制することができる。
【0013】
上記の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、第1基板に対して作業を行った後、第2基板に対して作業を行う前に、先行して配置されたバックアップ部材以外のバックアップ部材を第2基板を支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、バックアップ部材の移動の距離が短くなるようにバックアップ部材を移動させる制御を行う。このように構成すれば、第1基板の生産から第2基板の生産に切り替わる際に、移動が必要なバックアップ部材の移動距離を短くすることができるので、その分、バックアップ部材の移動に要する時間が増大するのを効果的に抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、生産予定の基板の種類の生産順序を、先行して配置されたバックアップ部材以外のバックアップ部材の移動時間の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の基板の生産を行う。このように構成すれば、移動が必要なバックアップ部材を移動させる時間が小さくなるような順番で複数種類の基板を生産することができるので、複数種類の基板のトータルの生産時間を短くすることができる。
【0015】
上記第1の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、生産予定の基板の種類の生産順序を、先行して配置されたバックアップ部材以外のバックアップ部材の移動距離の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の基板の生産を行う。このように構成すれば、移動が必要なバックアップ部材の移動距離が小さくなるような順番で複数種類の基板を生産することができるので、その分、複数種類の基板のトータルの生産時間を短くすることができる。
【0016】
上記第1の局面による基板作業装置では、制御部は、第1基板を生産している際に、第1基板が作業位置に位置していない状態で、待ち時間が発生した場合に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するためのバックアップ部材を先行して配置する制御を行う。これにより、待ち時間を利用して、先行してバックアップ部材を配置することができるので、第1基板の生産中でも、第2基板を支持するバックアップ部材を先行して配置することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、複数のバックアップ部材を基板の種類に応じて配置する場合に、バックアップ部材の移動に要する時間が増大するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による部品実装装置の構成を示した平面図である。
図2】本発明の実施形態による部品実装装置の構成を示した正面図である。
図3】本発明の実施形態による部品実装装置のバックアップピンの先行配置を説明するための基板を示した図である。
図4】本発明の実施形態による部品実装装置のバックアップピンの留め置きを説明するための基板を示した図である。
図5】本発明の実施形態による部品実装装置の基板に対するバックアップピンの第1配置例を示した図である。
図6】本発明の実施形態による部品実装装置の基板に対するバックアップピンの第2配置例を示した図である。
図7】本発明の実施形態による部品実装装置のバックアップピンの移動の実施例を説明するための基板を示した図である。
図8】本発明の実施形態による部品実装装置のバックアップピンの移動の比較例を説明するための基板を示した図である。
図9】本発明の実施形態による部品実装装置の基板の生産順序の決定を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態による部品実装装置の先行配置ピン抽出処理を説明するためのフローチャートである。
図11】本発明の実施形態による部品実装装置の先行配置動作処理を説明するためのフローチャートである。
図12】本発明の実施形態による部品実装装置の留保ピン抽出処理を説明するためのフローチャートである。
図13】本発明の実施形態による部品実装装置の段取り動作処理を説明するためのフローチャートである。
図14】本発明の実施形態による部品実装装置のピン戻し動作処理を説明するためのフローチャートである。
図15】本発明の実施形態による部品実装装置のピン配置換え動作処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1図15を参照して、本発明の一実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板SをX方向に搬送し、作業位置Mにおいて基板Sに部品31を実装する部品実装装置である。
【0028】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、移動機構5と、移動機構6と、部品認識撮像部7と、制御部8とを備えている。また、部品実装装置100は、図2に示すように、バックアップピン配置部9を備えている。なお、コンベア2は、請求の範囲の「基板搬送部」の一例である。また、バックアップピン配置部9は、請求の範囲の「バックアップ部材配置部」の一例である。また、部品実装装置100は、請求の範囲の「基板作業装置」の一例である。
【0029】
図1および図2に示すように、一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2は、部品が実装される基板Sを作業位置Mに搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Sを作業位置Mで停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0030】
図1に示すように、部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、実装ヘッド42に部品31を供給するテープフィーダ30が配置される。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ30が配置可能に構成されている。
【0031】
テープフィーダ30は、部品31を保持した部品供給テープを送り出しながら部品31を供給する。具体的には、テープフィーダ30は、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープが巻き付けられたリールを保持している。また、テープフィーダ30は、リールの部品供給テープを部品供給位置に向けて送り出すように構成されている。テープフィーダ30は、Y方向の先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、コネクタなどの電子部品を含む。
【0032】
図1および図2に示すように、ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識撮像部43とを含んでいる。
【0033】
実装ヘッド42は、基板Sに対して作業を行うように構成されている。実装ヘッド42は、基板Sに部品31を実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、部品供給部3に配置されたテープフィーダ30から供給される部品31を吸着して、作業位置Mに配置された基板Sに対して吸着した部品31を装着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成されている。また、実装ヘッド42は、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ30から供給される部品31を吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品31を装着(実装)するように構成されている。なお、実装ヘッド42は、請求の範囲の「移動部」の一例である。
【0034】
また、実装ヘッド42は、バックアップピン配置部9に対してバックアップピン91を移動させるように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、バックアップピン91を保持可能なノズルが先端に取り付けられた状態で、バックアップピン91を保持し、バックアップピン91を移動させる。実装ヘッド42は、バックアップピン配置部9内においてバックアップピン91を移動可能であるとともに、複数のバックアップピン91が載置されているバックアップピンステーションとバックアップピン配置部9との間で、バックアップピン91を移動可能である。バックアップピン91は、請求の範囲の「バックアップ部材」の一例である。
【0035】
基板認識撮像部43は、基板Sを上方から撮像する。基板認識撮像部43は、基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0036】
移動機構5は、図1に示すように、モータ51を含んでいる。移動機構5は、モータ51を駆動させることにより、移動機構5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。移動機構5は、両端部が移動機構6により支持されている。
【0037】
移動機構6は、基台1上に固定されている。X1側の移動機構6は、モータ61を含んでいる。移動機構6は、モータ61を駆動させることにより、移動機構5を移動機構6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が移動機構5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、移動機構5が移動機構6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。つまり、移動機構5および6は、実装ヘッド42を水平方向に移動させるように構成されている。
【0038】
部品認識撮像部7は、部品31を下方から撮像する。部品認識撮像部7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識撮像部7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部8により取得することが可能である。
【0039】
制御部8は、一対のコンベア2による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、部品認識撮像部7および基板認識撮像部43による撮像動作、実装ヘッド42によるバックアップピン91の配置動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。制御部8は、CPU(中央演算装置)などのプロセッサと、メモリとを含んでいる。また、制御部8は、所定のプログラムを実行することにより、各種制御を行うように構成されている。
【0040】
図2に示すように、バックアップピン配置部9は、複数のバックアップピン91が配置されるように構成されている。バックアップピン91は、作業位置Mに搬送された基板Sを下方から支持するように構成されている。また、複数のバックアップピン91は、作業される基板Sに対応するように、基板Sの範囲内に複数配置される。
【0041】
バックアップピン配置部9は、上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。バックアップピン配置部9は、上方に移動することにより、バックアップピン91を基板Sの下面(実装面に対する裏面)に当接させて、基板Sを支持する。また、バックアップピン配置部9は、下方に移動することにより、バックアップピン91を基板Sから離間させて、基板Sの移動にバックアップピン91が干渉しないようにする。
【0042】
バックアップピン配置部9は、バックアップピン91を配置するための複数のピン孔が設けられている。複数のピン孔は、一定のピッチで、X方向およびY方向に配列されている。ピン孔にバックアップピン91が挿入されて固定される。
【0043】
ここで、本実施形態では、制御部8は、実装ヘッド42によるバックアップピン91の移動を制御する。具体的には、制御部8は、作業位置Mにおいて第1基板Saに対して作業を行った後、第1基板Saとは異なる種類の第2基板Sbに対して作業を行う場合、第1基板Saに対して作業を行う際に、第1基板Saの範囲内に第2基板Sbを支持するための複数のバックアップピン91の一部を先行して配置する制御を行うように構成されている。なお、第1基板Saの範囲内とは、第1基板Saの外接矩形の範囲内を含む。つまり、第1基板Saに切り欠きや貫通口が形成されている場合において、切り欠きや貫通口が第1基板Saの外接矩形内であれば、その切り欠きや貫通口も第1基板Saの範囲内である。
【0044】
たとえば、制御部8は、図3に示すように、第1基板Saに対して作業を行う際に、第1基板Saを支持する複数のバックアップピン911とは別個に、第2基板Sbを支持する複数のバックアップピン921を先行して配置する制御を行う。
【0045】
制御部8は、現在作業中の基板S(第1基板Sa)、および、現在作業中の基板S(第1基板Sa)を支持するバックアップピン91(バックアップピン911)に対して干渉しない位置に、複数のバックアップピン91の一部(バックアップピン921)を先行して配置する制御を行う。
【0046】
図3に示す例の場合、第2基板Sbを支持するためのバックアップピン921、922、923および924のうち、バックアップピン921は、第1基板Saおよび第1基板Saを支持するバックアップピン911に対して干渉しないバックアップピン91である。また、バックアップピン922は、第1基板Saの幅方向(Y方向)の外側に位置するバックアップピン91である。第1基板Saに対してY方向の外側の位置は、コンベア2に干渉するため、バックアップピン922は、先行して配置されない。バックアップピン923は、第1基板Saを支持するバックアップピン911に対して干渉する位置のバックアップピン91である。このため、バックアップピン923は、先行して配置されない。
【0047】
バックアップピン924は、第1基板Saに対して干渉する位置のバックアップピン91である。具体的には、バックアップピン924は、第1基板Saの裏面に実装されている部品31aに対して干渉する位置のバックアップピン91である。このため、バックアップピン924は、先行して配置されない。つまり、制御部8は、現在作業中の基板S(第1基板Sa)の裏面に実装されている部品31(31a)に対して干渉しない位置に、複数のバックアップピン91の一部(バックアップピン921)を先行して配置する制御を行う。
【0048】
また、本実施形態では、制御部8は、作業位置Mにおいて第1基板Saに対して作業を行った後、第1基板Saとは異なる種類の第2基板Sbに対して作業を行う場合、第2基板Sbに対して作業を行う際に、第2基板Sbの範囲内に第1基板Saを支持するために用いた複数のバックアップピン91の一部を留め置く制御を行うように構成されている。
【0049】
たとえば、制御部8は、図4に示すように、第2基板Sbに対して作業を行う際に、第2基板Sbを支持する複数のバックアップピン911とは別個に、第1基板Saを支持するのに使用した複数のバックアップピン931を留め置く制御を行う。
【0050】
制御部8は、現在作業中の基板S(第2基板Sb)、および、現在作業中の基板S(第2基板Sb)を支持するバックアップピン91(バックアップピン911)に対して干渉しない位置に、複数のバックアップピン91の一部(バックアップピン931)を留め置く制御を行う。
【0051】
図4に示す例の場合、第1基板Saを支持するためのバックアップピン931、932、933および934のうち、バックアップピン931は、第2基板Sbおよび第2基板Sbを支持するバックアップピン911に対して干渉しないバックアップピン91である。また、バックアップピン932は、第2基板Sbの幅方向(Y方向)の外側に位置するバックアップピン91である。第2基板Sbに対してY方向の外側の位置は、コンベア2に干渉するため、バックアップピン932は、留め置かれない。バックアップピン933は、第2基板Sbを支持するバックアップピン911に対して干渉する位置のバックアップピン91である。このため、バックアップピン933は、留め置かれない。
【0052】
バックアップピン934は、第2基板Sbに対して干渉する位置のバックアップピン91である。具体的には、バックアップピン934は、第2基板Sbの裏面に実装されている部品31aに対して干渉する位置のバックアップピン91である。このため、バックアップピン934は、留め置かれない。つまり、制御部8は、現在作業中の基板S(第2基板Sb)の裏面に実装されている部品31(31a)に対して干渉しない位置に、複数のバックアップピン91の一部(バックアップピン931)を留め置く制御を行う。
【0053】
また、制御部8は、第1基板Saに関する情報および第2基板Sbに関する情報に基づいて、現在作業中の基板S、および、現在作業中の基板Sを支持するバックアップピン91に対して干渉しない位置を取得するように構成されている。また、制御部8は、現在作業中の基板S、および、現在作業中の基板Sを支持するバックアップピン91に対して干渉しない位置に、先行してバックアップピン91を配置する。また、制御部8は、現在作業中の基板S、および、現在作業中の基板Sを支持するバックアップピン91に対して干渉しない位置に、バックアップピン91を留め置く。
【0054】
また、制御部8は、第1基板Saに対して作業を行った後、第2基板Sbに対して作業を行う前に、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91を第2基板Sbを支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、バックアップピン91の移動の時間が短くなるようにバックアップピン91を移動させる制御を行う。具体的には、制御部8は、移動が必要な複数のバックアップピン91の移動パターンをシミュレーションにより複数取得し、その中からバックアップピン91の移動の時間が短くなる移動パターンを選択する。
【0055】
また、制御部8は、第1基板Saに対して作業を行った後、第2基板Sbに対して作業を行う前に、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91を第2基板Sbを支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、バックアップピン91の移動の距離が短くなるようにバックアップピン91を移動させる制御を行う。具体的には、制御部8は、移動が必要な複数のバックアップピン91の移動パターンをシミュレーションにより複数取得し、その中からバックアップピン91の移動の距離が短くなる移動パターンを選択する。なお、バックアップピン91の移動の距離が短くなれば、移動の時間が短くなるため、制御部8は、移動の時間または距離に基づいて、移動パターンを選択してもよい。
【0056】
たとえば、図5に示すような基板Scに対して作業を行ったあと、図6に示すような基板Sdに対して作業を行う場合、基板Scを支持するバックアップピン91の配置から、基板Sdを支持するバックアップピン91の配置に、複数のバックアップピン91を移動させる必要がある。
【0057】
図7に示す実施例では、基板Scを支持するのに使用した複数のバックアップピン931を、基板Sdに対して作業を行う場合にも留め置く。また、基板Scを支持するのに使用した複数のバックアップピン91のうち、基板Sdを支持するバックアップピン91と位置が共通しているバックアップピン91は、そのまま移動せずに使用される。これにより、図7に示す例では、配置換えされるバックアップピン91が10本であり、バックアップピンステーションに戻されるバックアップピン91が1本である。つまり、移動される合計のバックアップピン91は11本である。
【0058】
一方、図8に示す比較例では、基板Sdを支持するのに使用しないバックアップピン91は、全てバックアップピンステーションに戻すため、配置換えされるバックアップピン91が10本であり、バックアップピンステーションに戻されるバックアップピン91が7本である。つまり、移動される合計のバックアップピン91は17本である。これにより、図7に示す実施例の方が、図8に示す比較例よりもバックアップピン91の移動の距離および時間を短くすることが可能である。
【0059】
また、制御部8は、生産予定の基板Sの種類の生産順序を、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91の移動時間の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の基板Sの生産を行う。または、制御部8は、生産予定の基板Sの種類の生産順序を、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91の移動距離の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の基板Sの生産を行う。
【0060】
また、制御部8は、図9に示すように、生産予定の基板Sの生産品種リストから、段取り替えを行う際に、バックアップピン91の移動本数の合計が少ない生産順を、複数の生産順のパターンから選択して、生産順序を決定してもよい。
【0061】
また、制御部8は、第1基板Saを生産している際に、第1基板Saが作業位置Mに位置していない状態で、待ち時間が発生した場合に、第1基板Saの範囲内に第2基板Sbを支持するためのバックアップピン91を先行して配置する制御を行う。
【0062】
次に、図10を参照して、部品実装装置100の制御部8による先行配置ピン抽出処理について説明する。この先行配置ピン抽出処理では、第2基板Sbを支持するためのバックアップピン91のうち、第1基板Saの作業中に先行して配置するバックアップピン91が抽出される。
【0063】
図10のステップS1において、現在配置しているバックアップピン91の情報が取得される。つまり、現在作業を行っている第1基板Saに用いられるバックアップピン91の位置情報が取得される。ステップS2において、次生産の基板品種(第2基板Sb)で配置するバックアップピン91の情報が取得される。つまり、第1基板Saの生産後に生産される第2基板Sbに用いられるバックアップピン91の位置情報が取得される。
【0064】
ステップS3において、現在生産している基板S(第1基板Sa)の形状情報が取得される。つまり、現在作業を行っている第1基板Saの外周の形状情報が取得される。ステップS4において、現在生産している基板S(第1基板Sa)の裏面の部品31の配置情報が取得される。つまり、現在作業を行っている第1基板Saの裏面の部品31の位置情報が取得される。
【0065】
ステップS5からステップS10まで、iを1ずつ増加させながらループ処理が行われる。ステップS6において、次生産の基板品種(第2基板Sb)で配置するバックアップピン91のi番目のバックアップピン91の位置情報が取得される。
【0066】
ステップS7において、i番目のバックアップピン91のY方向の位置が現在生産の基板S(第1基板Sa)の範囲外か否かが判断される。範囲外であれば、ステップS11に進み、範囲内であれば、ステップS8に進む。ステップS8において、i番目のバックアップピン91に対して、現在配置されているバックアップピン91のうち干渉するバックアップピン91があるか否かが判断される。干渉するバックアップピン91がある場合、ステップS11に進み、干渉するバックアップピン91がない場合、ステップS9に進む。
【0067】
ステップS9において、i番目のバックアップピン91に対して、現在生産の基板S(第1基板Sa)の裏面の部品31のうち干渉する部品31があるか否かが判断される。干渉する裏面の部品31がある場合、ステップS11に進み、干渉する裏面の部品31がない場合、ステップS10に進む。ステップS10において、i番目のバックアップピン91が先行配置されるバックアップピン91(先行配置ピン)として登録される。そして、次生産の基板品種(第2基板Sb)で配置するバックアップピン91の全てについて、ステップS5からステップS11のループ処理が行われたあと、先行配置ピン抽出処理が終了される。
【0068】
図11を参照して、部品実装装置100の制御部8による先行配置動作処理について説明する。この先行配置動作処理では、第1基板Saに対して作業を行う際に、第1基板Saの範囲内に第2基板Sbを支持するための複数のバックアップピン91の一部が先行して配置される。
【0069】
図11のステップS12において、先行配置ピンがあるか否かが判断される。つまり、図10の先行配置ピン抽出処理において、1本以上のバックアップピン91が先行配置ピンとして登録されているか否かが判断される。先行配置ピンがある場合、ステップS13に進み、先行配置ピンがない場合、ステップS20に進む。ステップS13において、作業位置Mに基板S(第1基板Sa)があるか否かが判断される。つまり、作業位置Mに基板Sがなく、バックアップピン配置部9に対して、バックアップピン91を移動可能か否かが判断される。作業位置Mに基板Sがある場合、ステップS20に進み、作業位置Mに基板Sがない場合、ステップS14に進む。
【0070】
ステップS14において、作業位置Mに基板S(第1基板Sa)が搬送中であるか否かが判断される。作業位置Mに基板Sが搬送中である場合、ステップS20に進み、作業位置Mに基板Sが搬送中ではない場合、ステップS15に進む。ステップS15において、作業位置Mの上流位置に基板S(第1基板Sa)があるか否かが判断される。作業位置Mの上流位置に基板Sがある場合、ステップS20に進み、作業位置Mの上流位置に基板Sがない場合、ステップS16に進む。
【0071】
ステップS16において、作業位置Mの上流位置に基板S(第1基板Sa)が搬送中であるか否かが判断される。作業位置Mの上流位置に基板Sが搬送中である場合、ステップS20に進み、作業位置Mの上流位置に基板Sが搬送中ではない場合、ステップS17に進む。ステップS17において、作業位置Mへの基板Sの搬送が禁止される。
【0072】
ステップS18において、先行配置ピンが配置される。ステップS19において、作業位置Mへの基板Sの搬送の禁止が解除される。ステップS20において、基板S(第1基板Sa)の生産が続行される。その後、ステップS12に戻る。
【0073】
次に、図12を参照して、部品実装装置100の制御部8による留保ピン抽出処理について説明する。この留保ピン抽出処理では、第1基板Saを支持するために用いたバックアップピン91のうち、第2基板Sbの作業中にも留め置かれるバックアップピン91が抽出される。
【0074】
図12のステップS21において、現在配置しているバックアップピン91の情報が取得される。つまり、現在作業を行っている第1基板Saに用いられるバックアップピン91の位置情報が取得される。ステップS22において、次生産の基板品種(第2基板Sb)で配置するバックアップピン91の情報が取得される。つまり、第1基板Saの生産後に生産される第2基板Sbに用いられるバックアップピン91の位置情報が取得される。
【0075】
ステップS23において、次生産の基板S(第2基板Sb)の形状情報が取得される。つまり、次に作業を行う第2基板Sbの外周の形状情報が取得される。ステップS24において、次生産の基板S(第2基板Sb)の裏面の部品31の配置情報が取得される。つまり、次に作業を行う第2基板Sbの裏面の部品31の位置情報が取得される。
【0076】
ステップS25からステップS32まで、iを1ずつ増加させながらループ処理が行われる。ステップS26において、現在の生産の基板品種(第1基板Sa)で配置するバックアップピン91のi番目のバックアップピン91の位置情報が取得される。
【0077】
ステップS27において、次生産の基板S(第2基板Sb)を支持するためのバックアップピン91のうち、i番目のバックアップピン91と同じ位置に配置されているバックアップピン91があるか否かが判断される。同じ位置にバックアップピン91があれば、ステップS32に進み、同じ位置にバックアップピン91がなければ、ステップS28に進む。ステップS28において、i番目のバックアップピン91のY方向の位置が次生産の基板(第2基板Sb)の範囲外か否かが判断される。範囲外であれば、ステップS32に進み、範囲内であれば、ステップS29に進む。
【0078】
ステップS29において、i番目のバックアップピン91に対して、次に配置されるバックアップピン91のうち干渉するバックアップピン91があるか否かが判断される。干渉するバックアップピン91がある場合、ステップS32に進み、干渉するバックアップピン91がない場合、ステップS30に進む。ステップS30において、i番目のバックアップピン91に対して、次生産の基板S(第2基板Sb)の裏面の部品31のうち干渉する部品31があるか否かが判断される。干渉する裏面の部品31がある場合、ステップS32に進み、干渉する裏面の部品31がない場合、ステップS31に進む。
【0079】
ステップS31において、i番目のバックアップピン91が留め置かれるバックアップピン91(留保ピン)として登録される。そして、次生産の基板品種(第2基板Sb)で配置するバックアップピン91の全てについて、ステップS25からステップS32のループ処理が行われたあと、留保ピン抽出処理が終了される。
【0080】
図13を参照して、部品実装装置100の制御部8による段取り動作処理について説明する。この段取り動作処理では、第1基板Saに対して作業を行った後、第2基板Sbに対して作業を行う前に、第1基板Saを支持するためのバックアップピン91の配置から、第2基板Sbを支持するためのバックアップピン91の配置になるように、バックアップピン91を移動させる。
【0081】
図13のステップS41において、ピン配置換えが必要か否かが判断される。つまり、バックアップピン91の移動が必要か否かが判断される。たとえば、バックアップピン91の先行配置および留め置きにより、移動するバックアップピン91が0本となる場合は、バックアップピン91の移動は必要なくなる。ピン配置換えが必要であれば、ステップS42に進み、ピン配置換えが必要でなければ、段取り動作処理が終了される。ステップS42において、戻りピンがあるか否かが判断される。戻りピンは、バックアップピン配置部9からバックアップピンステーションに戻されるバックアップピン91である。戻りピンがあれば、ステップS43に進み、戻りピンがなければ、ステップS45に進む。
【0082】
ステップS43において、図12の留保ピン抽出処理が行われる。ステップS44において、後述する図14のピン戻し動作が行われる。ステップS45において、後述する図16のピン配置換え動作が行われる。その後、段取り動作処理が終了される。
【0083】
図14を参照して、図13のステップS44のピン戻し動作処理について説明する。このピン戻し動作処理では、バックアップピン配置部9からバックアップピンステーションにバックアップピン91が戻される。
【0084】
図14のステップS51において、バックアップピン91のピン戻し本数が算出される。ピン戻し本数は、(ピン戻し本数)=(現在生産基板(第1基板Sa)に用いるバックアップピン91の本数)-(留保ピンの本数)-(次生産基板(第2基板Sb)に用いるバックアップピン91の本数)により求められる。ステップS52において、戻し本数が0本より多いか否かが判断される。戻し本数が0本よりも多ければ、ステップS53に進み、戻し本数が0本以下であれば、ピン戻し動作処理が終了される。
【0085】
ステップS53において、留保ピンを除外した現在生産基板(第1基板Sa)に用いるバックアップピン91から戻し本数分のバックアップピン91がバックアップピンステーションに戻される。その後、ピン戻し動作処理が終了される。
【0086】
図15を参照して、図13のステップS45のピン配置換え動作処理について説明する。このピン配置換え動作処理では、バックアップピン配置部9に配置されたバックアップピン91の配置換えが行われる。
【0087】
図15のステップS54において、次生産基板(第2基板Sb)と現生産基板(第1基板Sa)とのバックアップピン91の配置位置が一致するバックアップピン91が移動の対象から除外される。ステップS55において、次生産基板(第2基板Sb)のバックアップピン91の配置位置のうち、未配置の位置へ、保留ピン以外の現在配置されているバックアップピン91が移動される。
【0088】
ステップS56において、未配置ピンがまだあるか否かが判断される。未配置ピンがあれば、ステップS57に進み、未配置ピンがなければ、ピン配置換え動作処理が終了される。ステップS57において、次生産基板(第2基板Sb)のバックアップピン91の配置位置のうち、未配置の位置へ、保留ピンとしてのバックアップピン91が移動される。その後、ピン配置換え動作処理が終了される。
【0089】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0090】
本実施形態では、上記のように、制御部8は、作業位置Mにおいて第1基板Saに対して作業を行った後、第1基板Saとは異なる種類の第2基板Sbに対して作業を行う場合、第1基板Saに対して作業を行う際に、第1基板Saの範囲内に第2基板Sbを支持するための複数のバックアップピン91の一部を先行して配置する制御と、第2基板Sbに対して作業を行う際に、第2基板Sbの範囲内に第1基板Saを支持するために用いた複数のバックアップピン91の一部を留め置く制御とを行うように構成されている。これにより、第1基板Saに対して作業を行う際に、第1基板Saの範囲内に第2基板Sbを支持するための複数のバックアップピン91の一部を先行して配置することにより、第1基板Saの生産から第2基板Sbの生産に切り替わる際に、第2基板Sbを支持するためのバックアップピン91の一部が既にバックアップピン配置部9に配置されているので、その分、第2基板Sbを支持するために移動させるバックアップピン91の数を減少させることができる。その結果、バックアップピン91の移動に要する時間が増大するのを抑制することができる。また、第2基板Sbに対して作業を行う際に、第2基板Sbの範囲内に第1基板Saを支持するために用いた複数のバックアップピン91の一部を留め置くことにより、第1基板Saの生産から第2基板Sbの生産に切り替わる際に、第1基板Saを支持するためのバックアップピン91の一部をバックアップピン配置部9から取り除くために移動させる必要がないため、これによっても、バックアップピン91の移動に要する時間が増大するのを抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、現在作業中の基板S、および、現在作業中の基板Sを支持するバックアップピン91に対して干渉しない位置に、複数のバックアップピン91の一部を先行して配置する制御と、複数のバックアップピン91の一部を留め置く制御とを行うように構成されている。これにより、先行して配置したバックアップピン91または留め置かれたバックアップピン91が現在作業中の基板Sおよび基板Sを支持するバックアップピン91に干渉することに起因して、現在作業中の基板Sに対する作業性が低下するのを抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、現在作業中の基板Sの裏面に実装されている部品31(31a)に対して干渉しない位置に、複数のバックアップピン91の一部を先行して配置する制御と、複数のバックアップピン91の一部を留め置く制御とを行うように構成されている。これにより、現在作業中の基板Sの裏面に実装されている部品31に対して、先行して配置したバックアップピン91または留め置かれたバックアップピン91が接触することがないので、基板Sの裏面の部品31が損傷するのを抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第1基板Saに関する情報および第2基板Sbに関する情報に基づいて、現在作業中の基板S、および、現在作業中の基板Sを支持するバックアップピン91に対して干渉しない位置を取得するように構成されている。これにより、第2基板Sbを支持するための複数のバックアップピン91のうち先行して配置する一部のバックアップピン91を容易に決定することができる。また、第1基板Saを支持するための複数のバックアップピン91のうち留め置く一部のバックアップピン91を容易に決定することができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第1基板Saに対して作業を行った後、第2基板Sbに対して作業を行う前に、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91を第2基板Sbを支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、バックアップピン91の移動の時間が短くなるようにバックアップピン91を移動させる制御を行う。これにより、第1基板Saの生産から第2基板Sbの生産に切り替わる際に、移動が必要なバックアップピン91の移動時間を短くすることができるので、バックアップピン91の移動に要する時間が増大するのを効果的に抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第1基板Saに対して作業を行った後、第2基板Sbに対して作業を行う前に、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91を第2基板Sbを支持する位置に移動させる際に、複数の移動作業の候補に基づいて、バックアップピン91の移動の距離が短くなるようにバックアップピン91を移動させる制御を行う。これにより、第1基板Saの生産から第2基板Sbの生産に切り替わる際に、移動が必要なバックアップピン91の移動距離を短くすることができるので、その分、バックアップピン91の移動に要する時間が増大するのを効果的に抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、生産予定の基板Sの種類の生産順序を、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91の移動時間の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の基板Sの生産を行う。これにより、移動が必要なバックアップピン91を移動させる時間が小さくなるような順番で複数種類の基板Sを生産することができるので、複数種類の基板Sのトータルの生産時間を短くすることができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、生産予定の基板Sの種類の生産順序を、先行して配置されたバックアップピン91および留め置くバックアップピン91以外のバックアップピン91の移動距離の合計が、小さくなるような順番にして、複数種類の基板Sの生産を行う。これにより、移動が必要なバックアップピン91の移動距離が小さくなるような順番で複数種類の基板Sを生産することができるので、その分、複数種類の基板Sのトータルの生産時間を短くすることができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第1基板Saを生産している際に、第1基板Saが作業位置Mに位置していない状態で、待ち時間が発生した場合に、第1基板Saの範囲内に第2基板Sbを支持するためのバックアップピン91を先行して配置する制御を行う。これにより、待ち時間を利用して、先行してバックアップピン91を配置することができるので、第1基板Saの生産中でも、第2基板Sbを支持するバックアップピン91を先行して配置することができる。
【0099】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0100】
たとえば、上記実施形態では、基板作業装置として部品実装装置の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置は、部品が実装される基板を作業位置に搬送する基板搬送部と、作業位置において、基板に対して半田を印刷する印刷作業部と、作業位置に搬送された基板を支持する複数のバックアップ部材が配置されるバックアップ部材配置部と、バックアップ部材配置部に対してバックアップ部材を移動させる移動部と、移動部によるバックアップ部材の移動を制御する制御部と、を備える印刷装置であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、制御部は、作業位置において第1基板に対して作業を行った後、第1基板とは異なる種類の第2基板に対して作業を行う場合、第1基板に対して作業を行う際に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するための複数のバックアップ部材の一部を先行して配置する制御と、第2基板に対して作業を行う際に、第2基板の範囲内に第1基板を支持するために用いた複数のバックアップ部材の一部を留め置く制御との両方を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、第1基板に対して作業を行う際に、第1基板の範囲内に第2基板を支持するための複数のバックアップ部材の一部を先行して配置する制御と、第2基板に対して作業を行う際に、第2基板の範囲内に第1基板を支持するために用いた複数のバックアップ部材の一部を留め置く制御とのうち、少なくとも一方を行うように構成されていればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、バックアップピン配置部(バックアップ部材配置部)が複数のピン孔を含み、バックアップピン(バックアップ部材)がピン孔に挿入されて固定される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、バックアップ部材は、バックアップ部材配置部に、磁力や空気圧などの作用により吸着されて固定されてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、バックアップ部材がピン状に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、バックアップ部材は、基板を支持することが可能であれば、ピン状に形成されていなくてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0105】
2 コンベア(基板搬送部)
8 制御部
9 バックアップピン配置部(バックアップ部材配置部)
31 部品
42 実装ヘッド(移動部)
91 バックアップピン(バックアップ部材)
100 部品実装装置(基板作業装置)
M 作業位置
S 基板
Sa 第1基板
Sb 第2基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15