(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】動作判別装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20241111BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20241111BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/113
A61B5/00 102A
(21)【出願番号】P 2024010929
(22)【出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 忠優
(72)【発明者】
【氏名】堀田 忍
(72)【発明者】
【氏名】村山 勝
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210367(JP,A)
【文献】特開2023-152960(JP,A)
【文献】国際公開第2021/112131(WO,A1)
【文献】特開2019-061643(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135050(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
前記心拍周波数信号が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が心拍不検出であると判断されたことを条件として、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置。
【請求項2】
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
所定の時間間隔における前記心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、
前記心拍最大値が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号の絶対値である呼吸振幅信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が前記アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が前記心拍不検出であるときに、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置。
【請求項3】
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
前記心拍周波数信号が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が前記アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が前記心拍不検出であるときに、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置。
【請求項4】
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
所定の時間間隔における前記心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、
前記心拍最大値が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号の絶対値である呼吸振幅信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が心拍不検出であると判断されたことを条件として、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置。
【請求項5】
前記センサは、前記ベッドの上に配置された敷寝具の振動を検出する、請求項1~4の何れか1項に記載の動作判別装置。
【請求項6】
前記演算装置は、前記出力信号の振動中心を基線として、前記基線よりも上方の部分は正の符号を付して積算し、前記基線よりも下方の部分は負の符号を付して積算することにより前記出力信号を積分することにより、前記呼吸周波数信号を生成する、請求項1~4の何れか1項に記載の動作判別装置。
【請求項7】
前記演算装置は、前記出力信号に、前記使用者の呼吸に起因する信号に対応する周波数成分を通過させるローパスフィルタを用いることにより、前記呼吸周波数信号を生成する、請求項1~4の何れか1項に記載の動作判別装置。
【請求項8】
前記演算装置は、前記出力信号に、前記使用者の心拍に起因する信号に対応する周波数成分を通過させるバンドパスフィルタを用いることにより、前記心拍周波数信号を生成する、請求項1~4の何れか1項に記載の動作判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院、または介護施設等において、ベッドに在床する、体の不自由な患者、または高齢者等の被介護者は、ベッドから自力で離れようとすると、ベッドから転落または転倒するおそれがある。そこで、被介護者がベッドから離れる離床を検出する離床センサを用いて、離床センサが被介護者の離床を検知した場合には、介護者に通知することにより、被介護者の離床を補助することが検討されている。
【0003】
特開2012-29871号公報(特許文献1)には、上記のような離床センサとして、ベッドの上に圧力センサを配置し、圧力センサで検出される使用者の体圧が所定値以下となった場合に、離床したと判定する離床センサが開示されている。
【0004】
また、特開2012-11174号公報(特許文献2)には、ベッドの各脚部に荷重センサを設け、それら荷重センサで検出された荷重重心の移動量が所定値以下となった場合に、離床したと判定する離床センサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-29871号公報
【文献】特開2012-11174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の離床センサでは、使用者が完全に離床した後に離床が検出される。このため、離床するよりも早い段階で、使用者の動作を検出することが求められる。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、使用者がベッドの上で上体を起こした状態を検知する動作判別装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
前記心拍周波数信号が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が心拍不検出であると判断されたことを条件として、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置にある。
本発明の第二の態様は、
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
所定の時間間隔における前記心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、
前記心拍最大値が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号の絶対値である呼吸振幅信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が前記アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が前記心拍不検出であるときに、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置にある。
本発明の第三の態様は、
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
前記心拍周波数信号が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が前記アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が前記心拍不検出であるときに、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置にある。
本発明の第四の態様は、
ベッドの使用者の動作を判別する動作判別装置であって、
前記ベッドの上に前記使用者が横たわった在床状態において、前記使用者の胴体に対応する位置に配置されるセンサと、
前記センサが出力する出力信号を受信して処理する処理装置と、を備え、
前記センサは、前記使用者が前記センサに加える荷重の変化を検出し、
前記処理装置は、演算装置と、判別装置と、記憶装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、前記使用者の心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、
前記判別装置は、
前記呼吸周波数信号、および前記心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、前記使用者が前記ベッドの上で上体を起こした起上り状態を判別するものであって、
所定の時間間隔における前記心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、
前記心拍最大値が前記記憶装置に格納された心拍閾値以下であることを条件として心拍不検出と判断し、
前記呼吸周波数信号の絶対値である呼吸振幅信号が前記記憶装置に格納されたアクティブ呼吸閾値より大きいことを条件として、前記使用者が前記ベッドの上で動いているアクティブ状態であると判断し、
前記使用者が過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であり、かつ、前記使用者が心拍不検出であると判断されたことを条件として、前記使用者が前記起上り状態であると判別する、動作判別装置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第一~第四の態様によれば、使用者が離床状態と判別されるよりも前に、使用者がベッドの上で上体を起こした起上り状態を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る動作判別装置を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係るベッドを示す、
図1のII-II線断面図である。
【
図3】実施形態1に係るベッドについて、マットレスを取外した状態を示す平面図である。
【
図4】実施形態1に係るセンサを示す断面図である。
【
図5】実施形態1に係る動作判別装置が生成する信号を示す図であり、(a)は出力信号、(b)は心拍周波数信号、(c)は心拍振幅信号、(d)は呼吸周波数信号、(e)は呼吸振幅信号、(f)は使用者の状態を示す信号、(g)は在床信号、(h)はアクティブ信号、(i)は起上り信号、(j)は離床信号である。
【
図6】実施形態1において、在床状態(安静状態)について説明するための図である。
【
図7】実施形態1において、在床状態(アクティブ状態)について説明するための図である。
【
図8】実施形態1において、起上り状態について説明するための図である。
【
図9】実施形態1において、端座状態について説明するための図である。
【
図10】実施形態1において、離床状態について説明するための図である。
【
図11】実施形態1に係る動作判別装置について、使用者の状態と動作判別装置のステータスについて説明するための図である。
【
図12】実施形態1に係る動作判別装置について、在床状態における動作判別装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態1に係る動作判別装置について、起上り状態における動作判別装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態1に係る動作判別装置について、離床状態における動作判別装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
1.動作判別装置の概要
以下に、本発明を動作判別装置に適用した実施形態について説明する。本形態に係る動作判別装置は、ベッドに配置されて、ベッドの使用者の動作を判別する。ベッドの使用者は、ベッドの上に安静に横たわった在床状態、ベッドの上で寝返り等の動作を行うアクティブ状態、ベッドの上で上体を起こす起上り状態、使用者がベッドから離れた離床状態等、種々の状態を取りうる。
【0012】
使用者が、体が不自由であったり、高齢であったりした場合、使用者がベッドから離れようとすると、ベッドから転落したり、転倒したりするおそれがある。そこで、使用者がベッドから離れようとする動作を、できるだけ早期に検出することが望ましい。本形態に係る動作判別装置は、使用者がベッドを離れようとする動作を開始する際における、ベッドの上で上体を起こす動作を判別することができる。
【0013】
2.動作判別装置10の構成
以下に、
図1~
図4を参照して、本形態の動作判別装置10について説明する。本形態に係る動作判別装置10は、ベッド20に配置される。ベッド20は、全体として、長手方向に長尺な形状に形成されている。ベッド20は、ヘッドボード21と、フットボード22と、フレーム23と、床板24と、マットレス25(敷寝具の一例)と、手すり26と、を備える。以下の説明において、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0014】
図1および
図2に示すように、ベッド20には、長手方向の一方の端部において上下方向にのびるヘッドボード21と、長手方向の他方の端部において上下方向にのびるフットボード22と、が配置されている。ヘッドボード21およびフットボード22の材質は特に限定されず、木製でも良いし、金属製でも良い。ヘッドボード21とフットボード22は、長手方向に長尺な一対のフレーム23によって連結されている。フレーム23は、ベッド20の、短手方向の端部のそれぞれに配置されている。フレーム23の材質は特に限定されないが、使用者Uの体重を支えるために、金属製が好ましい。ただし、ベッド20は、枠状のフレームと、フレームの四隅から下方にのびる脚部と、を備える構成としても良い。
【0015】
図3に示すように、一対のフレーム23の間には、ベッド20の短手方向にのびる複数(本形態では7つ)の床板24が、一対のフレーム23に架渡されるように配置されている。床板24を構成する材料は特に限定されず、木材、樹脂、金属等、任意の材料を選択できる。床板24の個数は特に限定されず、1つ、または、2つ~6つ、若しくは8つ以上でも良い。隣合う床板24は、間隔を空けて配置されている。ただし、隣合う床板24は互いに接触して配置されていても良い。
【0016】
図2に示すように、床板24の上には、マットレス25が載置されている。ただし、床板24の上には、敷寝具の他の例として、敷布団、式毛布等が載置されていても良い。マットレス25は、上方から見て、長手方向に長尺な長方形状に形成されている。マットレス25は、上下方向について、床板24を覆うように配置されている。ただし、
図2においては、使用者Uは省略されている。
【0017】
図1に示すように、ベッド20には、少なくとも使用者Uの胴体が位置する両側(短手方向の両側)に、手すり26が設けられている。胴体は、使用者Uの体のうち、頭、首、四肢を除く部分である。手すり26は、マットレス25の上面よりも上方に突出して配置されている。手すり26は、使用者Uがベッド20から起上るときに
上体を支えるために配置されているとともに、使用者Uがベッド20から落下することを抑制するために配置されている。手すり26を構成する材料は特に限定されず、木材、樹脂、金属等、適宜に選択できる。本形態に係る手すり26は、金属製とされる。
【0018】
使用者Uは、手すり26が設けられていることにより、ベッド20から降りる場合には、ベッド20のうち手すり26が配置されていない領域から離床する。このように、本形態においては、使用者Uがベッド20から降りることのできる領域が、ベッド20の長手方向のうち手すり26が配置されていない領域に設定されている。これにより、使用者Uは、ベッド20のうち、長手方向の足側からのみ離床する。この結果、使用者Uの動作範囲が制約されるので、使用者Uの動作の検知精度を向上させることができる。
【0019】
図1に示すように、ベッド20には、手すり26によって短手方向への移動が抑制された領域に、センサ30が配置されている。さらに詳細には、ベッド20には、ベッド20上に使用者Uが横たわった状態において、使用者Uの胴体に対応する位置に、センサ30が配置されている。センサ30は、使用者Uの胴体のうち肩から腰の間に対応する位置に配置されることが好ましい。さらに、センサ30が、使用者Uの胴体のうち脇の下からへその間に対応する位置に配置されることにより、使用者Uの動作を精度よく検知することができるので、より好ましく、みぞおちに対応する位置に配置されることがさらに好ましい。
【0020】
図3に示すように、センサ30は、床板24の上面に配置されている。センサ30は、ベッド20の短手方向に長尺に形成されている。センサ30の、ベッド20の短手方向の長さ寸法は、床板24の、ベッド20の短手方向の長さ寸法よりもやや短く形成されている。
【0021】
ベッド20に使用者Uが横たわった状態において、使用者Uの胴体は、ベッド20の長手方向にのびている。センサ30の、ベッド20の長手方向の幅寸法は、ベッド20に横たわった使用者Uの胴体長よりも短く設定されている。センサ30は、一の床板24の上に載置された状態で、1つ、または複数の拘束部材によって、床板24に固定されている。本形態では、センサ30の、ベッド20の短手方向の両端部が、床板24に、拘束部材27によって固定されている。センサ30を床板24に固定する拘束部材27の個数は、3つ以上でも良い。
【0022】
拘束部材27は、ベルト、面ファスナー、テープ、両面テープ、結束バンド等、任意の拘束部材27を適宜に選択できる。また、センサ30は、床板24に、接着されても良いし、ねじ止めされていても良い。
【0023】
また、センサ30は、マットレス25の下面に固定されても良い。マットレス25への固定方法は特に限定されず、マットレス25の下面にセンサ30を接着しても良いし、マットレス25の下面にセンサ30を縫付けても良い。また、マットレス25の下面に、センサ30を収容可能なポケットを形成し、このポケット内にセンサ30を収容しても良い。
【0024】
ただし、センサ30は、マットレス25の上面に載置しても良い。この場合、マットレス25およびセンサ30の上方をシーツで覆うことにより、センサ30が使用者Uに接触することを避けることができる。
【0025】
センサ30は、マットレス25の振動を吸収可能な構成とされている。
【0026】
図4に示すように、センサ30は、基材31と、弾性体32と、センサ30シートと、を備える。
【0027】
基材31は、ベッド20の短手方向に長尺に形成されている。基材31を構成する材料としては、特に限定されず、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属、樹脂等、任意の材料を適宜に選択できる。本形態に係る基材31は金属製である。
【0028】
基材31の上面には、弾性を有する弾性体32が固定されている。弾性体32は特に限定されず、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム等のゴム、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡樹脂等、任意の材料を適宜に選択できる。基材31と弾性体32との固定方法は特に限定されず、例えば、接着されていても良いし、熱融着されていても良い。
【0029】
弾性体32の上面には、センサシート33が固定されている。センサシート33は、圧電センサまたは静電センサにより構成される。本形態においては、センサシート33は、シート状(膜状)に形成されている。センサシート33は、マットレス25の下面から圧力を受けることにより、受けた圧力に対応する物理量を出力することができる。ただし、弾性体32とセンサシート33とが固定されておらず、センサシート33が弾性体32と異なる部材に固定されることにより、弾性体32とセンサシート33との相対的位置が保持される構成としても良い。
【0030】
センサシート33は、圧電センサである場合には、第1電極層33a、第2電極層33b、圧電材料により形成される中間層33cを備える。第1電極層33a、中間層33cおよび第2電極層33bの順で積層されている。
【0031】
本形態に係る第1電極層33aおよび第2電極層33bは、それぞれ1枚の導電性シートにより構成されている。これにより、センサシート33は、1つのチャンネルの出力信号を出力する。
【0032】
また、第1電極層33aおよび第2電極層33bの一方が1枚の導電性シートにより構成され、他方がそれぞれ離間して配列された複数の導電性シートにより構成されるようにしても良い。さらに、第1電極層33aおよび第2電極層33bが、それぞれ複数の導電性シートにより構成されるようにしても良い。例えば、第1電極層33aを構成する複数の導電性シートと第2電極層33bを構成する複数の導電性シートとの対向位置が、1列に配列するように構成されたり、マトリックス状に配列するように構成されたりしても良い。上記の構成によれば、センサシート33は、複数のチャンネルの出力信号を出力することができる。これにより、複数の出力信号によって互いに補完したり、複数の出力信号同士の関係性を考慮することにより検知精度を向上させたりすることが可能になるので好ましい。
【0033】
センサシート33が圧電センサである場合の中間層33cは、圧電材料により構成されている。中間層33cは、圧縮力が付与された場合に、圧縮力に応じた電力を発生する。これにより、センサシート33は、センサシート33に加えられた荷重の変化に応じた出力信号を出力する。
【0034】
センサシート33は静電センサを適用する構成としても良い。センサシート33は、静電センサである場合には、誘電材料により形成される中間層33cを備える。中間層33cは、圧縮力が付与された場合に、第1電極層33aと第2電極層33bとの間の距離が短くなることにより、第1電極層33aと第2電極層33bとの静電容量を変化させる。
【0035】
図1に示すように、センサ30は、処理装置40に、有線または無線により電気的に接続されている。センサ30は、出力信号を処理装置40に送信する。処理装置40は、演算装置41と、判別装置42と、記憶装置43と、を備える。
【0036】
演算装置41は、センサ30から送信された出力信号を受信して、出力信号を処理することにより、出力信号とは異なる信号を生成する。演算装置41は、心拍周波数信号、心拍振幅信号、呼吸周波数信号、および呼吸振幅信号を生成する。
【0037】
図5(a)~
図5(e)を参照して、出力信号と、演算装置41が生成する信号について説明する。ただし、
図5(a)~
図5(e)のグラフは、説明の便宜のため、グラフごとに、縦軸のスケールを調整している。このため、グラフごとに波形の大小を比較することができない点に留意されたい。
【0038】
図5(a)に、出力信号を示す。出力信号は、演算装置41がセンサ30から受信する信号である。出力信号は、センサ30から出力される単チャンネルの信号である。出力信号は、センサ30に対して付与された荷重の変化量に対応する信号である。出力信号は、使用者Uの体動に起因する信号、使用者Uの呼吸に起因する信号、使用者Uの心拍に起因する信号、使用者Uの脈拍に起因する信号等を含む。
【0039】
図5(b)に、心拍周波数信号を示す。演算装置41は、出力信号に、使用者Uの心拍に起因する信号に対応する周波数成分を通過させるバンドパスフィルタを用いることにより、心拍周波数信号を生成する。バンドパスフィルタは、9~15Hzの周波数成分を通過させる。心拍によって人体に生じる振動(心弾動)の周波数帯域は、数Hz~20Hz程度といわれており、出力信号のうち上記した9~15Hzの周波数成分を通過させることにより、使用者Uの心拍に起因する信号を明瞭に検出することができる。
【0040】
図5(c)に、心拍振幅信号を示す。演算装置41は、心拍周波数信号から心拍振幅信号を生成する。詳細には、演算装置41は、心拍周波数信号の振動中心を基線BL2として、心拍周波数信号のうち基線BL2よりも下方(負の方向)に位置する波形を、上方(正の方向)に折返すことにより生成する。換言すると、演算装置41は、心拍周波数信号の振動中心を0として、心拍周波数信号の絶対値を算出することにより心拍振幅信号を生成する。これにより、心拍の振幅を強調して検出することができる。
【0041】
図5(d)に、呼吸周波数信号を示す。演算装置41は、出力信号の振動中心を基線BL1として出力信号を積分することにより、呼吸周波数信号を生成する。詳細には、出力信号の振動中心を基線BL1をとして、基線BL1よりも上方の部分は正の符号を付して積算し、基線BL1よりも下方の部分は負の符号を付して積算する。一般的に、寝返り等の体動に起因する信号の周波数帯域は、約2Hz以下といわれており、心拍周波数信号の周波数帯域よりも呼吸成分の周波数帯域に近い。積分にはローパスの効果があるので、呼吸成分を明瞭に捉えることができる。ただし、演算装置41は、呼吸に起因する信号に対応する成分を通過させるローパスフィルタを用いることにより、呼吸周波数信号を生成しても良い。
【0042】
図5(e)に、呼吸振幅信号を示す。演算装置41は、呼吸周波数信号から呼吸振幅信号を生成する。詳細には、演算装置41は、呼吸周波数信号の振動中心を基線BL3として、呼吸周波数信号のうち基線BL3よりも下方(負の方向)に位置する波形を、上方(正の方向)に折返すことにより生成する。換言すると、演算装置41は、呼吸周波数信号の振動中心を0として、呼吸周波数信号の絶対値を算出することにより呼吸振幅信号を生成する。これにより、呼吸の振幅を強調して検出することができる。
【0043】
判別装置42は、演算装置41によって生成された信号について判断することにより、使用者Uの動作を判別し、使用者Uがどのような状態にあるかを判断する。使用者Uの状態と、状態ごとに判別装置42が出力する信号については、後に説明する。
【0044】
記憶装置43は、アクティブ呼吸閾値ABT、および心拍閾値HTを格納する(
図1参照)。これらの閾値については、後に説明する。
【0045】
判別装置42は、インターネットまたはイントラネット等のネットワーク44を介して、端末装置45に信号を送信し、または、端末装置45から信号を受信する。端末装置45は特に限定されず、液晶ディスプレイ等の表示装置でも良いし、タブレット端末でも良いし、スマートフォンでも良いし、本形態の動作判別装置10専用の端末装置45でも良い。端末装置45は、判別装置42からの信号を受信して、使用者Uの状態を報知する。報知する手段は特に限定されず、画面による表示、音声による報知等、任意の手段を採用しうる。
【0046】
3.使用者Uの動作
次に、
図6~
図10を参照して、使用者Uの動作について説明する。以下に説明における、使用者Uの動作の分類は、単なる例示であり、使用者Uの動作は以下の分類に限定されない。
【0047】
図6には、使用者Uがベッド20上に横たわった在床状態を示す。在床状態において、使用者Uは、ベッド20のマットレス25の上に、頭をヘッドボード21に向け、足をフットボード22に向けて横たわっている。さらに、
図6において、使用者Uは、ベッド20上に横たわって睡眠したり、ベッド20上に横たわって覚醒した状態で動かないでいたりする等、安静状態となっている。安静状態は、在床状態に含まれる。在床状態における使用者Uの頭から腰までの部分の、短手方向の両側には、手すり26が配置されている。本形態では、使用者Uの胴体の下方には、センサ30が配置されている。詳細には、センサ30が配置される位置としては、検知精度向上の観点から、使用者Uの脇の下から腰の間の領域の下方が好ましく、脇の下からへその間の領域の下方がより好ましく、みぞおちの下方がさらに好ましい。
【0048】
使用者Uが在床状態にある場合、センサ30は、使用者Uからマットレス25に付与された圧力または振動を検出して、出力信号を出力する。在床状態において、使用者Uからマットレス25に付与される圧力には、使用者Uの呼吸動作に起因する圧力、使用者Uの心拍に基づく圧力が例示される。
【0049】
判別装置42は、使用者Uが在床状態にあることを判別する。また、判別装置42は、使用者Uが在床状態にあることを端末装置45に報知させる。ただし、判別装置42は、端末装置45に使用者Uが安静状態にあることを報知させても良いし、報知させなくても良い。
【0050】
図7には、使用者Uがベッド20の上で横たわった状態で動いているアクティブ状態を示す。アクティブ状態は、使用者Uが、ベッド20のマットレス25の上で、寝返りを打ったり、上体を起こす準備動作として手すり26につかまったりする状態を含む。アクティブ状態においては、使用者Uの上体はベッド20のマットレス25と接触している。アクティブ状態にある使用者Uは、ベッド20の上で横たわった状態で動いているので、アクティブ状態は、在床状態に含まれる。
【0051】
アクティブ状態において、使用者Uからマットレス25に付与される圧力には、使用者Uの体動に起因する圧力、使用者Uの呼吸動作に起因する圧力、使用者Uの心拍に基づく圧力が例示される。
【0052】
判別装置42は、使用者Uがアクティブ状態にあることを判別する。本形態に係る判別装置42は、使用者Uがアクティブ状態にあることを端末装置45に報知させない。ただし、判別装置42は、使用者Uがアクティブ状態にあることを端末装置45に報知させる構成としても良い。
【0053】
図8には、使用者Uがベッド20上で上体を起こした起上り状態を示す。起上り状態においては、使用者Uは、ベッド20のマットレス25の上で、上体を起こした状態で座っている。起上り状態においては、使用者Uの上体はマットレス25の上面から離れている。
【0054】
起上り状態において、使用者Uからマットレス25に付与される圧力には、使用者Uの体動に起因する圧力が例示される。使用者Uの呼吸に基づく圧力、および使用者Uの心拍に基づく圧力は、マットレス25に直接には付与されない。ただし、使用者Uの臀部、足、手等、マットレス25と接触した部分から、使用者Uの呼吸に基づく圧力、および使用者Uの心拍に基づく圧力が間接的にマットレス25に付与される場合がある。
【0055】
判別装置42は、使用者Uが起上り状態にあることを判別する。また、判別装置42は、使用者Uが起上り状態にあることを端末装置45に報知させる。
【0056】
図9には、使用者Uがベッド20の側縁に座った端座状態を示す。端座状態においては、使用者Uの上体はマットレス25の上面から離れている。
【0057】
端座状態において、使用者Uからマットレス25に付与される圧力には、使用者Uの体動に起因する圧力が例示される。また、使用者Uの呼吸に基づく圧力、および使用者Uの心拍に基づく圧力についても、マットレス25に、ごくわずか付与される。このため、呼吸信号または心拍については「不検出」と判定される場合がある。一方、使用者Uが端座状態にある場合に、体を揺らす等の動きにより、マットレス25に圧力が付与された場合、呼吸信号または心拍が「検出」と判定される場合がある。
【0058】
本形態に係る判別装置42は、使用者Uが端座状態にあることを判別しない。また、本形態に係る判別装置42は、使用者Uが端座状態にあることを端末装置45に報知させない。ただし、判別装置42は、使用者Uが端座状態にあることを判別しても良いし、また、使用者Uが端座状態にあることを端末装置45に報知させても良い。
【0059】
図10には、使用者Uがベッド20から離れた離床状態を示す。離床状態においては、原則として、センサ30は、使用者Uからマットレス25に付与される圧力を検出しない。ただし、使用者Uがベッド20から離れた直後においては、マットレス25が振動することにより、センサ30に圧力が付与されて、センサ30が出力信号を出力する場合がある。
【0060】
判別装置42は、使用者Uが離床状態にあることを判別する。また、判別装置42は、使用者Uが離床状態にあることを端末装置45に報知させる。
【0061】
4.信号について
次に、
図5を参照して、判別装置42が生成する信号について説明する。
【0062】
判別装置42は、演算装置41から心拍振幅信号を取得し、所定の時間間隔tにおける心拍振幅信号の最大値である心拍最大値を取得する。詳細には、
図5(c)に示す心拍振幅信号のピークのグラフのピークのうち、所定の時間間隔t内での最大値を取得する。所定の時間間隔tは特に限定されないが、0.5秒~4.0秒が好ましく、1.0秒~3.0秒がより好ましく、1.5秒~2.5秒がさらに好ましい。本形態では、所定の時間間隔tは2秒間に設定されている。一般的に、健康な人の心拍の周波数は、0.5~2Hzである。このため、使用者Uが正常な状態であれば、上記した所定の時間間隔tにおいて、少なくとも1回は心拍が検出されると考えられる。
【0063】
判別装置42は、記憶装置43に格納された心拍閾値HTを取得し、心拍最大値が心拍閾値HT以上であることを条件として、心拍検出と判断する。さらに、判別装置42は、所定時間継続して心拍検出と判断したことを条件として、使用者Uが在床状態にあると判断し、在床信号を端末装置45に送信する(
図5(g)参照)。所定時間は特に限定されず、2.5秒~10秒が好ましい。本形態では、判別装置42は、2.5秒間継続して心拍検出と判断したことを条件として、使用者Uが在床状態にあると判断する。ただし、判別装置42は、心拍閾値HTと異なる閾値を用いて心拍検出を判断し、使用者Uが在床状態にあると判断しても良い。
【0064】
また、判別装置42は、心拍最大値が、心拍閾値HTより小さいことを条件として、心拍不検出と判断する。ただし、判別装置42は、心拍周波数信号が心拍閾値HTより小さいことを条件として、心拍不検出と判断しても良い。
【0065】
心拍閾値HTの値は特に限定されず、任意の値を設定することができる。心拍閾値HTは、予め設定された値としても良いし、センサ30によって検出された出力信号に基づいて設定される構成としても良い。
【0066】
ただし、判別装置42は、呼吸周波数信号に基づいて、使用者Uが在床状態にあると判断しても良い。また、判別装置42は、呼吸周波数信号および心拍周波数信号のいずれか一方に基づいて、使用者Uが在床状態にあると判断しても良い。
【0067】
判別装置42は、演算装置41から呼吸振幅信号を取得し、記憶装置43に格納されたアクティブ呼吸閾値ABTを取得し、呼吸振幅信号がアクティブ呼吸閾値ABTより大きいことを条件として、使用者Uがアクティブ状態であると判別する(
図5(e)および
図5(h)参照)。ただし、判別装置は、呼吸周波数信号がアクティブ呼吸閾値ABTより大きいことを条件として、使用者Uがアクティブ状態であると判別しても良い。
【0068】
アクティブ呼吸閾値ABTの値は特に限定されず、任意の値を設定することができる。アクティブ呼吸閾値ABTは、予め設定された値としても良いし、センサ30によって検出された出力信号に基づいて設定される構成としても良い。例えば、アクティブ呼吸閾値ABTは、所定時間継続して測定された呼吸振幅信号に基づいて設定することができる。上記の所定時間としては、100~300秒の何れかの値が好ましく、150~250秒の何れかの値がより好ましく、180~220秒の何れかの値がさらに好ましい。本形態では所定時間は200秒に設定されている。また、アクティブ呼吸閾値ABTの値は、例えば、測定された呼吸振幅信号の実効値に基づいて算出しても良く、呼吸振幅信号の実効値の3~9倍が好ましい。本形態では、アクティブ呼吸閾値ABTの値は、測定された呼吸振幅信号の実効値の6倍に設定されている。
【0069】
アクティブ呼吸閾値ABTを、所定時間継続して測定された呼吸振幅信号に基づいて設定することにより、使用者Uごとにアクティブ呼吸閾値ABTの値を設定することができる。これは、安定時の呼吸振幅信号の大きさは個人差があるため、使用者Uに対して個別にアクティブ呼吸閾値ABTの値を設定することにより、正確にアクティブ状態を判別することができるからである。
【0070】
また、動作判別装置10の使用中に、使用者Uの状態が変化する場合がある。このような場合に、アクティブ呼吸閾値ABTを、所定時間継続して測定された呼吸振幅信号に基づいて設定することにより、使用者Uの状態の変化に対応することができる。この結果、正確にアクティブ状態を判別することができる。
【0071】
判別装置42は、呼吸振幅信号が、アクティブ呼吸閾値ABT以下である状態が所定時間経過したとき、使用者Uがアクティブ状態でないと判断する。上記の所定時間としては、5~20秒の何れかの値が好ましい。本形態では所定時間は10秒に設定されている。
【0072】
また、判別装置42は、過去の所定時間、使用者Uがアクティブ状態であることを記録する。所定時間は5~20秒の何れかの値が好ましい。本形態では所定時間は10秒に設定されている。
【0073】
判別装置42は、心拍周波数信号に基づいて、使用者Uがベッド20上で上体を起こした起上り状態を判別する。本形態に係る判別装置42は、使用者Uが過去の所定時間内に少なくとも1回はアクティブ状態であると判別され、かつ、使用者Uが心拍不検出であると判別されたことを条件として、使用者Uが起上り状態であると判別する(
図5(c)、
図5(h)および
図5(i)参照)。使用者Uがアクティブ状態であるかを判別する過去の所定時間としては、5~20秒の何れかの値が好ましい。本形態では所定時間は10秒に設定されている。
【0074】
例えば、使用者Uが過去10秒間アクティブ状態であり、このアクティブ状態において、使用者Uが心拍不検出と判別された場合、使用者Uは起上り状態であると判別される。
【0075】
また、例えば、呼吸振幅信号が、アクティブ呼吸閾値ABT以下である状態を検知してから10秒未満である場合、判別装置42は、使用者Uがアクティブ状態であるとの判別を維持している。このため、継続して10秒以上アクティブ状態であると判別された後、呼吸振幅信号がアクティブ呼吸閾値ABT以下である状態を検知してから10秒未満である場合であって、かつ、使用者Uが心拍不検出と判別された場合、使用者Uは起上り状態であると判別される。
【0076】
また、判別装置42は、使用者Uがアクティブ状態であると判別され、且つ、使用者Uが心拍不検出であると判別されたことを条件として、使用者Uが起上り状態であると判別しても良い。
【0077】
ただし、判別装置42は、心拍振幅信号が心拍閾値HT以下であることを条件として、使用者Uが起上り状態であると判別しても良い。
【0078】
また、判別装置42は、呼吸周波数信号が、アクティブ呼吸閾値ABTと異なる所定の閾値以下であることを条件として、使用者Uが起上り状態であると判別しても良い。使用者Uの心拍周波数信号が比較的に小さいために、センサ30によって検出しにくい場合に有効である。
【0079】
判別装置42は、心拍振幅信号が心拍閾値HTよりも小さいことを条件として心拍不検出と判断し、さらに、所定時間継続して心拍不検出であると判断したことを条件として使用者Uがベッド20から離れた離床状態であると判別する(
図5(c)および
図5(g)参照)。ただし、判別装置42は、心拍閾値HTと異なる閾値を用いて心拍不検出を判断し、さらに、所定時間継続して心拍不検出であると判断しても良い。
【0080】
所定時間は特に限定されず、任意の値を適宜に設定しうる。所定時間としては、例えば、10~60秒が好ましい。本形態では、20秒間継続して心拍不検出であることを条件として、使用者Uが離床状態であると判別される。
【0081】
図5~
図10を参照して、所定時間継続して心拍不検出であると判断したことを条件として、使用者Uがベッド20から離れた離床状態であると判別する理由について説明する。
【0082】
図5(a)に示すグラフにおいて、領域Aにおける出力信号は、比較的に規則正しい波形を示している。このような状態の使用者Uは、ベッド20の上で横たわって安静な状態にあると考えられる(
図6参照)。出力信号のグラフに示される規則正しい波形は、呼吸に起因する信号、および心拍に起因する信号であると考えられる。
【0083】
図5(a)に示すグラフにおいて、領域Bにおける出力信号は、領域Aの波形に比べて振幅が大きく、また、波形が乱れている。このような状態の使用者Uは、ベッド20の上で横たわった状態で、寝返りを打ったり、起上ろうとして手すり26をつかんだりしていると考えられる(
図7参照)。出力信号のグラフに示される波形は、使用者Uの動作に起因する信号と考えられる。
【0084】
図5(a)に示すグラフにおいて、領域Cにおける出力信号は、領域Bと領域Cとの境界部分に1つのピークPが見られ、このピークPが、緩やかに減衰して振幅が0となっている。このような状態の使用者Uは、ベッド20の上に
上体を起こして起上り状態になっていると考えられる(
図8参照)。領域Bと領域Cとの境界部分に観測される1つのピークPは、使用者Uが
上体を起こす際に、マットレス25に付与された圧力であると考えられる。また、ピークPの緩やかな減衰は、付与された圧力によってマットレス25が振動し、この振動が緩やかに減衰したものであると考えられる。
【0085】
さて、
図5(a)の領域Cに対応する状態としては、使用者Uが、
図8に示す起上り状態にある場合、および、
図9に示す端座状態にある場合が想定される。この場合、使用者Uの
上体は、ベッド20のマットレス25から離れている。このため、センサ30は、使用者Uの、心拍に基づく圧力、および呼吸に基づく圧力を直接に検出することはできない。しかし、センサ30は、使用者Uの身体のうち、ベッド20のマットレス25と接触した部分から、使用者Uの身体の動作に伴ってマットレス25に付与された圧力を検知する。
【0086】
使用者Uが起上り状態または端座状態にあるときに、使用者Uからベッド20のマットレス25に付与された圧力により、センサ30は出力信号を出力する。この出力信号には、呼吸に起因する信号に対応する周波数成分と、心拍に起因する信号に対応する周波数成分と、が含まれる場合がある。
【0087】
図5(c)にみられるように、
図5(a)の領域Bと領域Cとの間に位置するピークPの後でも、心拍振幅信号がわずかにみられる。これは、
図5(a)の領域Bと領域Cとの間に位置するピークPが減衰する信号のうち、心拍に対応する周波数成分が抽出されたものと考えられる。このように、使用者Uの動作が終了した場合でも、使用者Uからマットレス25に付与された圧力に起因してマットレス25が振動すると、この振動の減衰部分のうち心拍に対応する周波数成分が検出される場合がある。このため、判別装置42は、所定時間継続して心拍不検出であると判断したときに、使用者Uがベッド20から離れた離床状態であると判断する(
図10参照)。
【0088】
なお、
図5(d)に示すグラフにおいて、
図5(a)の領域Bと領域Cとの間に位置するピークPの後においても、ゆるやかな波形が見られるのは、上記と同様の理由である。
【0089】
5.動作判別装置10の動作について
次に、
図11を参照して、本形態の動作判別装置10において判別される、使用者Uの状態について説明する。使用者Uは、動作判別装置10の判別装置42によって、在床状態(S1)にあるか、起上り状態(S2)にあるか、離床状態(S3)にあるか、判別される。使用者Uの状態は、端末装置45によって報知される。
【0090】
図11に示すように、使用者Uの状態は、在床状態(S1)、起上り状態(S2)、および離床状態(S3)を、相互に遷移する。
【0091】
図11に示すように、使用者Uの状態は、在床状態(S1)から、ルートAを経て起上り状態(S2)に遷移する場合がある。また、使用者Uの状態は、在床状態(S1)から、ルートDを経て離床状態(S3)に遷移する場合がある。
【0092】
また、
図11に示すように、使用者Uの状態は、起上り状態(S2)から、ルートBを経て在床状態(S1)に遷移する場合もある。また、使用者Uの状態は、起上り状態(S2)から、ルートCを経て離床状態(S3)に遷移する場合がある。
【0093】
また、
図11に示すように、使用者Uの状態は、離床状態(S3)から、ルートEを経て在床状態(S1)に遷移する場合もある。
【0094】
次に、
図12~
図14を参照して、本形態の動作判別装置10の動作について説明する。まず、
図12は、使用者Uが在床状態(
図11のS1)である場合における、動作判別装置10の動作を示すフローチャートである。
【0095】
使用者Uが在床状態(
図11のS1)である場合、判別装置42は、呼吸振幅信号が、アクティブ呼吸閾値ABTより大きいか否かを判断する(S101)。
【0096】
呼吸振幅信号が、アクティブ呼吸閾値ABTより大きい場合(S101:Y)、判別装置42は、過去の所定時間のアクティブ状態を記録する(S103)。本形態に係る判別装置42は、過去の10秒間のアクティブ状態を記録する。
【0097】
次に、判別装置42は、心拍が検出されたか否かを判断する(S104)。すなわち、判別装置42は、2秒間における心拍振幅信号の最大値が、心拍閾値HTより大きいか否かを判断する。
【0098】
心拍信号が不検出である場合(S104:Y)、判別装置42は、過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であるかを判断する(S105)。
【0099】
使用者Uが過去の所定時間内に少なくとも1回はアクティブ状態であると判別された場合(S105:Y)、判別装置42は、使用者Uが起上り状態であると判別する(S106)。判別装置42は、端末装置45に起上り信号を送信する。端末装置45は、使用者Uが起上り状態であることを報知する。
【0100】
次に、動作判別装置10は、起上り状態における動作に遷移する(
図11のルートAに対応)。
【0101】
一方、S101において、呼吸振幅信号が、アクティブ呼吸閾値ABTより大きくない場合(S101:N)、判別装置42は、使用者Uがアクティブ状態でないと判別し、S101の処理を繰返す。
【0102】
また、S104において、心拍が不検出でない場合(S104:N)、判別装置42は、使用者Uが在床状態にあると判別し、動作判別装置10のステータスを、在床状態に維持する(S109)。すなわち、判別装置42は、端末装置45に、使用者Uが在床状態にあるとの表示を維持する。次に、判別装置42は、S101以下の動作を実行する。
【0103】
また、S105において、過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であると判断しなかった場合(S105:N)、判別装置42は、心拍が不検出である状態が所定時間継続したかを判断する(S110)。心拍が不検出である状態が所定時間継続した場合(S110:Y)、判別装置42は、使用者Uがベッド20から離れた離床状態であると判別する(S111)。判別装置42は、端末装置45に離床信号を送信する。端末装置45は、使用者Uが離床状態であることを表示する。
【0104】
次に、動作判別装置10は、離床状態における動作に遷移する(
図11のルートDに対応)。
【0105】
また、S110において、心拍が不検出である状態が所定時間継続しなかった場合(S110:N)、判別装置42は、使用者Uが在床状態にあると判別し、動作判別装置10のステータスを、在床状態に維持する(S109)。すなわち、判別装置42は、端末装置45に、使用者Uが在床状態にあるとの表示を維持する。次に、判別装置42は、S101以下の動作を実行する。
【0106】
以上により、使用者Uが在床状態にある場合の処理が終了する。
【0107】
次に、
図13を参照して、使用者Uが起上り状態(
図11のS2)にある場合における、動作判別装置10の動作について説明する。
図13は、使用者Uが起上り状態(
図11のS2)にある場合における、動作判別装置10の動作を示すフローチャートである。
【0108】
使用者Uが起上り状態(
図11のS2)である場合、判別装置42は、心拍が検出されたか否かを判断する(S201)。すなわち、判別装置42は、2秒間における心拍振幅信号の最大値が、心拍閾値HTより大きいか否かを判断する。
【0109】
判別装置が心拍を検出した場合(S201:Y)、判別装置は、心拍が所定時間継続して検出されたか否かを判断する(S202)。心拍が所定時間継続して検出された場合(S202:Y)、判別装置42は、使用者Uがベッド20に横たわった在床状態にあると判別する(S203)。判別装置42は、端末装置に在床信号を送信する。端末装置45は、使用者Uが在床状態にあることを表示する。
【0110】
次に、動作判別装置10は、在床状態における動作に遷移する(
図11のルートBに対応)。
【0111】
また、S201において、心拍が検出されない場合(S201:N)、判別装置42は、心拍が不検出である状態が所定時間継続したか否かを判断する(S206)。心拍が不検出である状態が所定時間継続した場合(S206:Y)、判別装置42は、使用者Uが、ベッド20から離れた離床状態にあると判別する(S207)。判別装置42は、端末装置に離床信号を送信する。端末装置45は、使用者Uが離床状態にあることを表示する。
【0112】
次に、動作判別装置10は、離床状態における動作に遷移する(
図11のルートCに対応)。
【0113】
また、S202で、心拍が検出される状態が所定時間継続しなかったと判断された場合(S202:N)、判別装置42は、使用者Uが起上り状態にあると判別し、動作判別装置10のステータスを、起上り状態に維持する(S205)。すなわち、判別装置42は、端末装置45に、使用者Uが起上り状態にあるとの表示を維持する。次に、判別装置42は、S201以下の動作を実行する。
【0114】
また、S206において、心拍が不検出である状態が所定時間継続しなかったと判断された場合(S206:N)、判別装置42は、使用者Uが起上り状態にあると判別し、動作判別装置10のステータスを、起上り状態に維持する(S205)。すなわち、判別装置42は、端末装置45に、使用者Uが起上り状態にあるとの表示を維持する。次に、判別装置42は、S201以下の動作を実行する。
【0115】
以上により、使用者Uが起上り状態にある場合の処理が終了する。
【0116】
次に、
図14を参照して、使用者Uが離床状態(
図11のS3)にある場合における、動作判別装置10の動作について説明する。
図14は、使用者Uが離床状態(
図11のS3)にある場合における、動作判別装置10の動作を示すフローチャートである。
【0117】
使用者Uが離床状態(
図11のS3)である場合、判別装置42は、心拍が検出されたか否かを判断する(S301)。
【0118】
判別装置42が心拍を検出した場合(S301:Y)、判別装置は、心拍が所定時間継続して検出されたか否かを判断する(S302)。心拍が所定時間継続して検出された場合(S302:Y)、判別装置42は、使用者Uがベッド20に横たわった在床状態にあると判別する(S303)。判別装置42は、端末装置に在床信号を送信する。端末装置45は、使用者Uが在床状態にあることを表示する。
【0119】
次に、動作判別装置10は、在床状態における動作に遷移する(
図11のルートEに対応)。
【0120】
また、S301において、心拍が検出されない場合(S301:N)、判別装置42は、使用者Uが、ベッド20から離れた離床状態にあると判別し、動作判別装置10のステータスを、離床状態に維持する(S305)。すなわち、判別装置42は、端末装置45に、使用者Uが離床状態にあるとの表示を維持する。次に、判別装置42は、S301以下の動作を実行する。
【0121】
また、S302において、心拍が所定時間継続して検出されなかった場合(S302:N)、判別装置42は、使用者Uが、ベッド20から離れた離床状態にあると判別し、動作判別装置10のステータスを、離床状態に維持する(S305)。すなわち、判別装置42は、端末装置45に、使用者Uが離床状態にあるとの表示を維持する。次に、判別装置42は、S301以下の動作を実行する。
【0122】
以上により、使用者Uが離床状態にある場合の処理が終了する。
【0123】
6.本形態の作用効果について
続いて、本形態の作用効果について説明する。本形態に係る動作判別装置10は、ベッド20の使用者Uの動作を判別する動作判別装置10であって、ベッド20上に使用者Uが横たわった在床状態において、使用者Uの胴体に対応する位置に配置されるセンサ30と、センサ30が出力する出力信号を受信して処理する処理装置40と、を備える。センサ30は、使用者Uがセンサ30に加える荷重の変化を検出する。処理装置40は、演算装置41と、判別装置42と、を備える。演算装置41は、出力信号に基づいて、使用者Uの呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、出力信号に基づいて、使用者Uの心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成する。判別装置42は、呼吸周波数信号、および心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、使用者Uがベッド20上で上体を起こした起上り状態を判別する。
【0124】
本形態によれば、使用者Uが離床状態と判別されるよりも前に、使用者Uがベッド20の上で上体を起こした起上り状態を検知することができる。なお、心拍周波数信号(0.5~2秒周期)に基づいて起上り状態を判別する方が、呼吸周波数信号(~10秒周期)に基づいて起上り状態を判別する場合に比べて、より早期に起上り状態を判別することができるので、好ましい。
【0125】
本形態によれば、センサ30は、ベッド20の上に載置されたマットレス25の振動を検出する。これにより、使用者Uがセンサ30と直接に接触していない場合でも、使用者Uの体動を検出することができる。
【0126】
また、本形態に係る処理装置40は、さらに記憶装置43を備える。判別装置42は、心拍周波数信号が記憶装置43に格納された心拍閾値HT以下であることを条件として心拍不検出と判断し、呼吸周波数信号が記憶装置43に格納されたアクティブ呼吸閾値ABTより大きいことを条件として、使用者Uがベッド20の上で動いているアクティブ状態であると判断し、使用者Uが過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であり、かつ、使用者Uが心拍不検出であるときに、使用者Uが起上り状態であると判別する。本形態によれば、起上り状態の判別精度を向上させることができる。
【0127】
また、本形態に係る処理装置40は、さらに記憶装置43を備える。判別装置42は、所定の時間間隔tにおける心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、心拍最大値が記憶装置43に格納された心拍閾値HT以下であることを条件として心拍不検出と判断し、呼吸周波数信号の絶対値である呼吸振幅信号が記憶装置43に格納されたアクティブ呼吸閾値ABTより大きいことを条件として、使用者Uがベッド20の上で動いているアクティブ状態であると判断し、使用者Uが過去の所定時間内に少なくとも1回アクティブ状態であり、かつ、使用者Uが心拍不検出であるときに、使用者Uが起上り状態であると判別する。本形態によれば、起上り状態の判別精度を向上させることができる。
【0128】
また、本形態によれば、処理装置40は、さらに記憶装置43を備え、判別装置42は、心拍周波数信号が、記憶装置43に格納された心拍閾値HT以下であることを条件として使用者Uが起上り状態であると判別しても良い。
【0129】
また、本形態によれば、処理装置40は、さらに記憶装置43を備え、判別装置42は、所定の時間間隔における心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、心拍最大値が記憶装置43に格納された心拍閾値HT以下であることを条件として使用者Uが起上り状態であると判別しても良い。
【0130】
また、本形態に係る演算装置41は、出力信号の振動中心を基線BL1として、基線BL1よりも上方の部分は正の符号を付して積算し、基線BL1よりも下方の部分は負の符号を付して積算することにより、出力信号を積分する。これより、呼吸周波数信号を生成することができる。また、本形態に係る演算装置41は、出力信号に、使用者Uの呼吸に起因する信号に対応する周波数成分を通過させるローパスフィルタを用いることにより、呼吸周波数信号を生成することができる。従って、出力信号から、呼吸に起因する信号、または、呼吸に対応する周波数成分の信号を生成することができる。
【0131】
また、本形態に係る演算装置41は、出力信号に、使用者Uの心拍に起因する信号に対応する周波数成分を通過させるバンドパスフィルタを用いることにより、心拍周波数信号を生成することができる。従って、出力信号から、心拍に起因する信号、または、心拍に対応する周波数成分の信号を生成することができる。
【0132】
また、本形態に係る判別装置42は、呼吸周波数信号、および心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、使用者Uがベッド20に横たわっている在床状態を判別する。これにより、使用者Uが、ベッド20に横たわっている在床状態を判別することができる。
【0133】
また、本形態に係る処理装置40は、さらに記憶装置を備える。判別装置42は、心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、心拍最大値が記憶装置43に格納された所定の閾値以上であることを条件として心拍検出と判断し、所定時間継続して心拍検出と判断したことを条件として、使用者Uが在床状態であると判別する。これにより、使用者Uがベッド20上に横たわっている在床状態の判別精度を向上させることができる。
【0134】
また、本形態に係る処理装置40は、さらに記憶装置43を備える。判別装置42は、心拍周波数信号の振幅の最大値である心拍最大値を取得し、心拍最大値が記憶装置43に格納された所定の閾値より小さいことを条件として心拍不検出と判断し、所定時間継続して心拍不検出と判断したことを条件として、使用者Uがベッド20から離れた離床状態であると判別する。これにより、使用者Uが、ベッド20から離れた離床状態を判別することができる。
【0135】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0136】
10:動作判別装置、20:ベッド、30:センサ、40:処理装置、41:演算装置、42:判別装置、43:記憶装置、ABT:アクティブ呼吸閾値、HT:心拍閾値、t:所定の時間間隔、U:使用者
【要約】
【課題】使用がベッドの上で上体を起こした状態を検知する動作判別装置を提供する。
【解決手段】ベッド20の使用者Uの動作を判別する動作判別装置10であって、使用者Uの胴体に対応する位置に配置されるセンサ30と、センサ30が出力する出力信号を受信して処理する処理装置40と、を備え、センサ30は、使用者Uがセンサ30に加える荷重の変化を検出し、処理装置40は、演算装置41と、判別装置42と、を備え、演算装置41は、出力信号に基づいて、使用者Uの呼吸に対応する周波数成分を含む呼吸周波数信号を生成し、出力信号に基づいて、使用者Uの心拍に対応する周波数成分を含む心拍周波数信号を生成し、判別装置42は、呼吸周波数信号、および心拍周波数信号の少なくとも一方に基づいて、使用者Uがベッド20上で上体を起こした起上り状態を判別する。
【選択図】
図1