(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20241111BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/18 601A
E04H6/18 601F
E04H6/42 Z
(21)【出願番号】P 2024017438
(22)【出願日】2024-02-07
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野田 整一
(72)【発明者】
【氏名】税所 正昭
(72)【発明者】
【氏名】小岩 正幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敏彦
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-106152(JP,A)
【文献】特開2013-249693(JP,A)
【文献】特開2020-186562(JP,A)
【文献】特開2021-098970(JP,A)
【文献】特開2024-52053(JP,A)
【文献】特許第7456048(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00- 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、
前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定手段と、
前記出入口扉の近傍に設けられ、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段と
を具備し、
前記監視領域設定手段は、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において監視領域を設定
し、
前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉と人との接触を検知するための監視領域を設定する機械式駐車装置。
【請求項2】
前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間の監視領域と、前記車両移動期間における監視領域とを異ならせる請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、
前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定手段と、
前記出入口扉の近傍に設けられ、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段と
を具備し、
前記監視領域設定手段は、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において監視領域を設定し、
前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉の開度に応じて監視領域を変化させ
る機械式駐車装置。
【請求項4】
前記監視領域設定手段は、前記車両移動期間において、前記車両の種別に応じた各監視領域を設定する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記開扉動作期間において、前記監視領域に物体が検知された場合に、前記出入口扉の開動作を停止又は前記出入口扉の反転制御を行う制御手段を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記車両移動期間において前記監視領域に物体が検知された場合に、エラー通知を行う通知手段を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉を構成する各扉の重複部分を全て含むように監視領域を設定する請求項1または3に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉が存在している領域を監視領域として設定する請求項1または3に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定工程と、
前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程と
をコンピュータが実行し、
前記監視領域設定工程では、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定
し、
前記監視領域設定工程では、前記開扉動作期間において、前記出入口扉と人との接触を検知するための監視領域を設定する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項10】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定工程と、
前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程と
をコンピュータが実行し、
前記監視領域設定工程では、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定し、
前記監視領域設定工程では、前記開扉動作期間において、前記出入口扉の開度に応じて監視領域を変化させる機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の機械式駐車装置の安全確認方法をコンピュータに実行させるための安全確認プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置では、安全性を確保するために種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、扉周辺センサを出入口扉の周辺に設け、扉を閉める際に、扉周辺センサによって異物が検知された場合に、出入口扉の閉動作を停止させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出入口扉を閉じるときだけでなく、出入口扉を開けるときにおいても安全を確認することは重要である。これは、利用者が動作中の出入口扉と接触すると、指の引き込まれなどが発生するおそれがあるためである。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、出入口周辺における安全性を向上させることのできる機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定手段と、前記出入口扉近傍に設けられ、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段とを具備し、前記監視領域設定手段は、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定し、前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉と人との接触を検知するための監視領域を設定する。
本開示の一態様に係る機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定手段と、前記出入口扉の近傍に設けられ、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段とを具備し、前記監視領域設定手段は、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において監視領域を設定し、前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉の開度に応じて監視領域を変化させる。
【0007】
本開示の参考例としての一態様に係る機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口の全部又は一部が開放された状態で車両搬送手段の搬送制御が行われる機械式駐車装置であって、前記車両搬送手段の動作期間における監視領域を前記出入口の近傍に設置する監視領域設定手段と、前記車両搬送手段の動作期間において、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段とを備える。
【0008】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定工程と、前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程とをコンピュータが実行し、前記監視領域設定工程では、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定し、前記監視領域設定工程では、前記開扉動作期間において、前記出入口扉と人との接触を検知するための監視領域を設定する。
本開示の一態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定工程と、前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程とをコンピュータが実行し、前記監視領域設定工程では、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定し、前記監視領域設定工程では、前記開扉動作期間において、前記出入口扉の開度に応じて監視領域を変化させる。
【0009】
本開示の参考例としての一態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口の全部又は一部が開放された状態で車両搬送手段の搬送制御が行われる機械式駐車装置の安全確認方法であって、前記車両搬送手段の動作期間における監視領域を前記出入口の近傍に設置する監視領域設定工程と、前記車両搬送手段の動作期間において、前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程とをコンピュータが実行する。
【0010】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置の安全確認プログラムは、上記の機械式駐車装置の安全確認方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、乗降室の出入口周辺における安全性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置の縦断面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る乗降室を示す概略斜視透視図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る操作盤の一構成例を示した図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置の開扉動作期間において設定される2枚扉の場合の監視領域の一例を示した図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置の開扉動作期間において設定される3枚扉の場合の監視領域の一例を示した図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置の車両移動期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図11】本開示の第1実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る入庫処理における開扉処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る入庫処理において閉扉動作期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図14】2枚扉の下開きの出入口扉を採用した場合に、開扉動作期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図15】本開示の変形例1に係る出入口扉の概略外観図である。
【
図16】本開示の変形例1の開扉動作期間において設定される開度0%のときの監視領域の一例を示した図である。
【
図17】本開示の変形例1の開扉動作期間において設定される開度50%のときの監視領域の一例を示した図である。
【
図18】本開示の変形例1において非常脱出扉に設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図19】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置の概略外観図である。
【
図20】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置の概略正面図である。
【
図21】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置において、出入口扉が開いた状態を示した図である。
【
図22】本開示の第2実施形態に係る操作盤の取り付け例を示した図である。
【
図23】本開示の第2実施形態に係る操作盤の取り付け例を示した図である。
【
図24】本開示の第2実施形態に係る操作盤の一構成例を示した図である。
【
図25】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
【
図26】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置のパレット搬送期間および開扉動作期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図27】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置の開扉動作期間において設定される監視領域の他の例を示した図である。
【
図28】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置の車両移動期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図29】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置の閉扉動作期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図30】本開示の第2実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図31】本開示の第2実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図32】本開示の第2実施形態に係る入庫処理におけるパレット搬送処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図33】バース式の機械式駐車装置が備える乗降室(バース)の概略平面図である。
【
図34】バース式の機械式駐車装置が備える乗降室(バース)の概略正面図である。
【
図35】バース式の機械式駐車装置の車両移動期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【
図36】バース式の機械式駐車装置のコンベア動作期間において設定される監視領域の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムについて、図面を参照して説明する。以下に説明する第1実施形態では、エレベータ方式のタワー型機械式駐車装置を例示して説明する。
【0014】
図1は、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置1の縦断面図である。
図1に示すように、機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なエレベータ方式のタワー型立体駐車場施設であり、出入口3と出入口扉4とが設けられた駐車塔5を備えている。駐車塔5の地上階は、車両2を入出庫させる乗降室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗降室7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。なお、本実施形態では、乗降室7において、入庫及び出庫の両方が行われる場合を示しているがこれに限定されない。例えば、入庫と出庫とで乗降室を異ならせ、入庫専用の乗降室と、出庫専用の乗降室とを備える構成としてもよい。また、本実施形態において、1つの乗降室が示されているが、複数の乗降室を備えていてもよい。
【0015】
駐車塔5の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(エレベータ状の搬送機)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔5の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる複数本のワイヤロープに四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0016】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17(駐車スペース)が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0017】
リフト14と車両格納棚17の床面には、両者の床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18、または車両2が積載されたパレット18を、リフト14から車両格納棚17に、または車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0018】
図2は、乗降室7を示す概略斜視透視図である。乗降室7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースがあり、例えば、出入口扉4の正面の壁には車両2の位置を利用者(運転手)が確認するための鏡と、「前進」、「停車」、「後退」の案内を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。
【0019】
乗降室7には、内部状況を撮影する4台のカメラ35A~35Dが設置されている。本実施形態において、カメラ35A~35Dは、例えば、ビデオカメラであり、それぞれ乗降室7の異なる壁面(4面)に取り付けられている。例えば、カメラ35Aは乗降室7内に停車した車両2の正面を撮影するように配置され、カメラ35Bは車両2の後面、カメラ35Cは車両2の左側面、カメラ35Dは車両2の右側面をそれぞれ撮影する位置に配置されている。なお、カメラの設置数については上記に限定されず、少なくとも1台のカメラが設けられていればよい。
【0020】
乗降室7内には、乗降室内の無人を検知するための内部センサ30(
図4参照)が設置されている。なお、
図2では、内部センサ30の図示が省略されている。内部センサ30は、乗降室内の物体(人、ペット、荷物等)を検知するセンサであり、公知のセンサを適宜採用することが可能である。内部センサ30の一例として、乗降室7の対角位置又は平行位置に設けられた複数の測域センサ、乗降室7の前部領域、右側部領域、左側部領域、及び後部領域のそれぞれの領域に設けられた人感センサ、光電センサ、車両の停車位置を検知するための停止位置検出センサ等が挙げられる。また、内部センサの他の例として、上述したカメラ35A~35Dを代用することも可能である。この場合には、カメラ35A~35Dによって取得された画像データを画像処理することにより、乗降室内の無人を確認することが可能である。
内部センサ30の検知信号は、後述するセンサ制御部57(
図4参照)に出力されるようになっている。
【0021】
乗降室7の出入口3には、乗降室7から人又は車両が入退出したことを検知するための入退出センサ32が設けられている。入退出センサ32は、例えば、出入口3の内側に設けられた一対のセンサ32Aと、出入口3の外側に設けられた一対のセンサ32Bとを有している。センサ32A、32Bは、例えば、送信部から送信されたビームを受信部において受信するタイプのセンサである。このビームが車両2や人等によって遮光されるとセンサがオンになり、その検知信号が後述するセンサ制御部57(
図4参照)に伝達されるようになっている。
【0022】
センサ制御部57は、例えば、センサ32Aからセンサ32Bの順でオン信号が入力された場合に乗降室7から人又は車両が退出したと判定する。また、センサ制御部57は、例えば、センサ32Bからセンサ32Aの順でオン信号が入力された場合に乗降室7に人又は車両が進入したと判定する。
【0023】
なお、乗降室7からの人又は車両の退出を検知する手法は、上記例に限定されない。例えば、センサ32Aに代えて、乗降室7の後部領域における人を検知するためのセンサ(人感センサ、車両の後方部が所定の停止位置を超えていないか判定するためのオーバー検知センサ、測域センサ等)、乗降室内に設置されている所定のセンサを使用してもよい。
また、
図2では、センサ32A、32Bは、出入口扉4を挟んで乗降室7の内側と外側にそれぞれ設けられているが、この例に限定されない。例えば、センサ32A、32Bがいずれも乗降室内に設けられていてもよいし、乗降室外に設けられていてもよい。
【0024】
また、センサ制御部57は、入退出センサ32の検知信号に基づいて、人の入退出か車両の入退出かを判定することができる。例えば、人の入退出の場合、センサ32Aとセンサ32Bからは、同時期にオン信号が出力されない。これに対し、車両2の入退出の場合には、車両はある一定の長さを有していることから、センサ32Aのオン信号とセンサ32Bのオン信号とに時間的な重なりが生じる。このように、センサ32Aのオン信号とセンサ32Bのオン信号との時間的な重なり具合によって、人の入退出か車両2の入退出かを判定することができる。
【0025】
本実施形態では、上記構成による入退出センサ32により進入及び退出がそれぞれ検出可能な構成とされているが、この例に限定されない。例えば、少なくとも乗降室7からの退出を検知できるような構成を備えていればよい。一例として、カメラ35が挙げられる。
【0026】
乗降室7の外部には、出入口扉4を閉めるための入力情報を受け付ける操作盤22が設けられている。この操作盤22は、例えば、利用者、管理者、保守員等によって操作される。操作盤22の近傍には、カメラ35A~35Dによって撮像されたリアルタイム画像を表示するためのモニタ28が設置されている。
【0027】
図3は、操作盤22の一構成例を示した図である。
図3に示すように、操作盤22は、例えば、風雨からの保護と悪戯防止のために金属製の筐体43に収容されており、この筐体43には施錠可能な蓋44が設けられている。操作者が操作盤22を操作する際には、施錠を解錠して蓋44を開き、操作盤22にアクセスする。
【0028】
操作盤22は、例えば、利用者の認証情報を受け付けるための認証情報入力部を備えている。本実施形態では、認証情報入力部の一例として、ICカードリーダ46が設けられているが、この例に限定されない。認証情報入力部は、例えば、テンキー、指紋、虹彩、静脈の情報、顔画像等のいわゆる生体認証情報を読み取る生体情報読取部、無線通信(例えば、3G,4G,5G,6G、無線LAN、Wifi、LTE等)で認証情報を受信する無線通信部等によって構成されていてもよい。
【0029】
また、操作盤22は、タッチパネル45、操作者(例えば、利用者)に操作方法を音声で案内するためのスピーカ47、機械式駐車装置1の動作を非常停止させる非常停止ボタン48、マイク等を備えていてもよい。
【0030】
タッチパネル45は、表示機能と入力機能とを兼ね備えている。タッチパネル45には、例えば、入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示されるとともに、入出庫の操作を操作者に行わせるための操作ボタン等が表示される。タッチパネル45の表示は後述する制御装置40によって制御され、また、タッチパネル45が操作者等によって操作されることにより入力された情報は、制御装置40に出力される。
【0031】
図2に示すように、乗降室7の外部には、出入口3の近傍に、出入口扉近傍の物体を検知する出入口センサ(物体検知手段)20が設けられている。出入口センサ20は、例えば、出入口扉4の上部に下向きに設置されている。出入口センサ20による監視領域は、後述する監視領域設定部(監視領域設定手段)によって、入庫状況又は出庫状況に応じて設定される。
【0032】
出入口センサ20は、例えば、測域センサ(レーザースキャナ)であり、レーザー光線や超音波等の目標物に当たって反射する性質のある探査波を出力し、その反射波を受信しながら所定の角度範囲を水平方向にスキャニング(走査)することにより、物体を検知する。
本実施形態では、探査波を2次元的(面状)に走査する場合を例示するが、これに限られない。例えば、探査波を3次元的に走査することにより、三次元的に物体を検知することとしてもよい。
【0033】
出入口センサ20の設置位置については、上記例に限られない。例えば、出入口センサ20は、出入口3の右側部又は左側部に設けられていてもよい。また、出入口センサ20は、測域センサに限られず、複数の高さ位置及び左右位置に設けられた複数の光電式センサ(反射型・透過型)であってもよく、後述する監視領域の監視を実現できる機能を有する範囲で、公知のセンサを適宜採用することが可能である。
【0034】
出入口センサ20の上部には、例えば、青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、乗降室7の内部又は外部に、機械式駐車装置1の全体の制御を行う制御装置40が設置されている。
【0035】
図4は、本実施形態に係る機械式駐車装置1の制御装置40が備える機能の一例を示した機能構成図である。制御装置40は、例えば、情報処理装置であり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するための補助記憶装置、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ、ネットワークに接続するための通信インターフェース等を備えている。また、制御装置40は、機械式駐車装置1を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース52を備えている。総合データベース52には、在車状況、パレット形状種別、車両格納棚形状種別、当該機械式駐車装置1の使用が許可されている人物の識別情報(利用者ID等)、利用者等の連絡先(例えば、登録メールアドレス等)が格納されている。当該機械式駐車装置1の使用が許可されている人物には、利用者の他、管理者、保守員等が含まれる。
【0036】
また、制御装置40は、後述する入庫処理、出庫処理の実行に伴い、必要なデータを格納するための記憶部41を備えている。例えば、記憶部41には、第1のユーザ認証処理においてユーザ認証に成功した利用者ID(第1認証情報)、監視領域、各種モードの情報等が格納される。
【0037】
制御装置40の補助記憶装置には、機械式駐車装置1の各機構を制御するための制御プログラム等が記憶されており、CPUが補助記憶装置に格納されている各種プログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、後述する各部の機能を実現させる。また、プログラムの実行にあたり、CPUは総合データベース52や記憶部41に格納されている各種データを参照して用いる。
【0038】
上記制御プログラムは、制御装置40の製造時においてROM等の補助記憶装置に予め格納されていてもよいし、施工後などにおいて、制御プログラム等を配信するサーバ等からダウンロードしてインストールされてもよい。また、外部記憶装置を介してインストールされる態様としてもよい。このように、各種プログラムのインストール方法については特に限定されない。
【0039】
制御装置40は、主制御部50を備えている。主制御部50には、上述した総合データベース52に加えて、出入口扉制御部55、搬送機制御部56、センサ制御部57、カメラ制御部58、画像データベース59、車両計測制御部61、旋回制御部62等が接続されている。また、主制御部50には、操作盤22が接続されており、双方向通信が可能な構成とされている。
【0040】
出入口扉制御部55は、主制御部50から動作指令を受けて出入口扉4を開閉駆動する扉駆動部63を制御することにより、出入口扉4を開閉させる。また、出入口扉制御部55は、出入口扉センサ67から出入口扉4の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。扉駆動部63は、例えば、モータ等を備えて構成される。扉駆動部63には、公知の種々の構成を適宜採用することができる。
【0041】
出入口扉センサ67は、例えば、出入口扉4の全開及び全閉を検知し、その旨を示す検知信号(扉全開信号、扉全閉信号)を出入口扉制御部55に出力する。出入口扉センサ67として、公知のセンサを適宜採用することができる。例えば、出入口扉センサ67の一例として、リミットスイッチ等が挙げられる。
また、出入口扉センサ67は、出入口扉4の開度に関する情報を出力するセンサを更に備えていてもよい。例えば、出入口3の両端部には、所定の高さ位置に設けられた1対の光電センサ(図示略)が設けられており、この光電センサからの光線が遮断されるか否かにより、出入口扉4の開度、換言すると、高さ方向の位置を検出するような構成とされていてもよい。本実施形態では、地面からの高さが300mmの高さに1対の光電センサが設けられている場合を例示して説明するが、これに限られない。例えば、複数の高さ位置を検出するために複数組のセンサが設けられていてもよい。また、出入口扉4の開度を検出する手段は、上述した光電センサに限られない。例えば、リミットスイッチを用いてもよいし、扉駆動部63のモータに設けられたエンコーダを用いて開度を検出することとしてもよい。
【0042】
搬送機制御部56は、主制御部50から動作指令を受けてリフト14を駆動するリフト駆動部64を制御することにより、リフト14の昇降およびパレット18の積み下ろし動作を制御する。また、搬送機制御部56は、搬送機位置センサ68からリフト14の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0043】
センサ制御部57は、出入口センサ20、内部センサ30の検知信号を受信し、その情報を主制御部50に出力する。また、センサ制御部57は、入退出センサ32の検知信号に基づいて人又は車両の入退出を判定し、判定結果を主制御部50に出力する。
【0044】
カメラ制御部58は、主制御部50から動作指令を受けて乗降室7の内部に設置されたカメラ35(35A~35D)に画像を撮像させ、その画像情報を主制御部50に出力する。この画像情報は、画像データベース59に所定の期間蓄積される。なお、画像データベース59を総合データベース52の内部に設けたり、クラウド上に設けたりしても良い。
【0045】
車両計測制御部61は、主制御部50から動作指令を受けて、車両計測器69により、リフト14に搭載された車両の車重を計測し、車重センサ73を介してその情報を主制御部50にフィードバックする。この車重情報は、リフト14の制御等に用いられる。
【0046】
旋回制御部62は、主制御部50から動作指令を受けて、ターンテーブル8を旋回させる旋回駆動部11を制御することによってターンテーブル8を動作させる。また、旋回制御部62は、ターンテーブル位置センサ71によりターンテーブル8の旋回位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0047】
主制御部50は、各制御部55,56,57,58,61,62からのフィードバック、操作盤22からの入力情報に基づいて機械式駐車装置1を運行させる。また、主制御部50は、操作盤22と授受する各種情報に基づいて入庫処理の制御プログラムや出庫処理の制御プログラムを実行する。なお、出入口センサ20、内部センサ30、入退出センサ32の検知信号については、上述したセンサ制御部57を介して主制御部50に入力されるのに代えて、直接的に主制御部50に入力されることとしてもよい。このようにすることで、検知信号に応じたより迅速な制御を実施することが可能となる。
【0048】
また、主制御部50は、入庫時及び出庫時の少なくともいずれか一方において、監視領域を設定する監視領域設定部(監視領域設定手段)80、監視領域において物体が検知された場合に所定の制御を行う物体検知制御部81を備えている。
【0049】
監視領域設定部80は、例えば、出入口近傍に監視領域を設定する。例えば、監視領域設定部80は、出入口扉4を開く開扉動作期間および車両2が移動する車両移動期間において監視領域を設定する。具体的には、監視領域設定部80は、開扉動作期間の監視領域と、車両移動期間における監視領域とを異ならせる。
【0050】
例えば、監視領域設定部80は、開扉動作期間において、出入口扉4を構成する各扉の重複部分Dを全て含むように監視領域を設定することとしてもよい。
図5は、2枚扉の場合の監視領域の一例を示した図、
図6は3枚扉の場合の監視領域の一例を示した図である。
また、監視領域設定部80は、開扉動作期間において、出入口扉4の開度に応じて監視領域を変化させてもよい。例えば、出入口扉4が存在している領域を監視領域として設定してもよい。これにより、出入口扉4の動きに合わせて監視領域が動的に変化することとなる。
【0051】
監視領域設定部80は、車両移動期間において、車両の種別に応じた監視領域を設定する。監視領域設定部80は、例えば、普通車と、ミッドルーフ車と、ハイルーフ車との3つに車両種別を区分けし、これらの区分に応じてそれぞれ異なる監視領域を設定することとしてもよい。例えば、監視領域の下端部が普通車、ミッドルーフ車、ハイルーフ車の順に高くなるように、監視領域を設定してもよい。
図7に、車両移動期間における監視領域の一例を示す。
図7において、ハイルーフ車の場合には、入庫不可の車両を検知するためのCの領域が、ミッドルーフ車の場合には、B~Cの領域が、普通車の場合には、A~Cの領域が監視領域として設定されてもよい。
【0052】
車両の種別情報は、例えば、利用者IDと関連付けられて総合データベース52に格納されていてもよい。また、車両の種別情報に代えて、車両の種別情報に対応する監視領域の情報が利用者IDに対応付けられて総合データベース52に格納されていてもよい。
監視領域設定部80は、上述した監視領域と条件(設定タイミング)とが関連付けられたテーブルなどを有しており、これらの情報を参照することにより、上述した監視領域の設定機能を実現させる。なお、上述した監視領域の設定手法については一例であり、これに限られない。例えば、監視領域は、扉の開閉方式や要求される安全レベルに応じて適宜設定することが可能である。
【0053】
物体検知制御部81は、開扉動作期間において、監視領域に物体が検知された場合には、出入口扉4の動作を停止させる。また、これに代えて、出入口扉4を反転動作させることとしてもよい。また、物体検知制御部81は、物体が検知されたときの出入口扉4の開度に応じて、動作を停止させるか、反転動作させるかを判定してもよい。
【0054】
物体検知制御部81は、車両移動期間において、監視領域に物体が検知された場合には、エラー通知を行う。これにより、入庫時に設定された車両の種別、又は、パレットに対応付けられている車両の種別と、入庫車両とが異なることを利用者(例えば、運転手)に通知することが可能となる。なお、Cの領域において車両が検知された場合には、入庫不可を通知してもよい。
【0055】
〔入庫処理〕
次に、入庫時において、制御装置40によって実行される入庫処理の一例について図を参照して説明する。
図8~
図11は、制御装置40によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0056】
まず入庫を行う場合、利用者は車両2を出入口3の前に移動させ、降車して、操作盤22に向かう。そして、専用の鍵で施錠を解錠し筐体43の蓋44を開ける。制御装置40は、蓋44が開いたことを検知すると(
図8のSA1)、操作盤22のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
【0057】
利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第1認証情報)が読み取られ、制御装置40に送信される。制御装置40は、利用者IDが入力されると(SA3)、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証(第1認証)を行う(SA4)。具体的には、制御装置40は総合データベース52にアクセスし、入力された利用者IDが登録されているか否かを判定する。この結果、第1のユーザ認証が成功しなかった場合には(SA5:NO)、タッチパネル45にユーザ認証に失敗したメッセージを表示させることによりユーザに認証が失敗したことを通知した上で、第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
【0058】
一方、第1のユーザ認証が成功した場合(SA5:YES)、すなわち、利用者IDが総合データベース52に登録されている場合には、操作盤22のタッチパネル45からの入力操作が可能な操作許可状態とし(SA6)、第1のユーザ認証が成功した利用者IDを記憶部41に記憶し(SA7)、操作盤22のタッチパネル45に入庫起動確認画面を表示させる(SA8)。
【0059】
入庫起動確認画面において、起動ボタンが押下されると(SA9)、制御装置40は、リフト14等の車両搬送機構や出入口扉4等の機械機構の運転が可能な運転許可状態とし(SA10)、車両格納棚17から空パレットを呼び出す(
図9のSA11)。また、このとき、タッチパネル45に入庫待ちの状態を示す入庫待ち確認画面を表示してもよい。
【0060】
次に、空パレットが乗降室7に到着すると(SA12)、制御装置40はタッチパネル45に出入口扉4が開くことを示す扉開画面を表示し、出入口扉4を開く開扉処理を行う(SA13)。なお、開扉処理の詳細については後述する。
続いて、出入口扉4が完全に開くと、制御装置40は、機械機構(リフト14等の車両搬送手段や出入口扉4)の運転をロックする運転ロック状態とし(SA14)、更に、操作盤22のタッチパネル45からの入力を受け付けない操作ロック状態とする(SA15)。これにより、利用者が操作盤22の前を離れている間における第三者によるタッチパネル45からの入力を阻止することが可能となる。
【0061】
続いて、制御装置40は、乗降室7への車両2の進入が開始されたか否かを判定する(SA16)。換言すると、入退出センサ32(具体的には、センサ32B)によって物体が検知されたか否かを判定する。この結果、車両2がまだセンサ32Bの位置まで移動していない場合には(SA16:NO)、当該判定処理を繰り返し行う。一方、乗降室7への車両2の進入が開始されると(SA16:YES)、制御装置40は、車両2の車種情報に応じた監視領域を設定する(SA17)。これにより、車両2が普通車である場合には、領域A~Cが、ミッドルーフ車である場合には、領域B~Cが、ハイルーフ車である場合には入庫不可の車両を検知するための領域Cが監視領域として設定される(
図7参照)。
【0062】
続いて、制御装置40は、出入口センサ20によって監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SA18)。換言すると、車両2の車体高さが規定値以内であるか否かを判定する。この結果、監視領域に物体が検知されていない場合には(SA18:NO)、乗降室7への車両2の進入が完了したか否かを判定する(SA19)。すなわち、入退出センサ32によって物体(車両)が検知されていない状態となったか否かを判定する。この結果、車両2の進入が完了していない場合には(SA19:NO)、ステップSA18に戻り、上記処理を繰り返す。また、ステップSA18において、物体が検知された場合(SA18:YES)には、車両2の高さが規定値以上であると判定し、エラー通知を行う(SA20)。エラー通知は、例えば、乗降室内に設置されたスピーカ等により行ってもよいし、乗降室内の前方にディスプレイを設置し、ディスプレイにメッセージを表示させることとしてもよい。また、車両2に搭載された車載器との通信が可能な状態とされている場合には、無線通信部を介して車載器を通じて報知するようにしてもよい。
【0063】
一方、物体が検知されることなく、車両2の進入が完了すると(SA19:YES)、監視領域の設定を解除する(
図10のSA21)。これにより、出入口近傍の物体検知が一時的に停止される。続いて、利用者は、車両2を乗降室内の所定位置に停止させ、乗降室7から退出する。そして、乗降室7から利用者が退出したことが入退出センサ32によって検知されると、制御装置40は、操作盤22のタッチパネル45に第2のユーザ認証画面を表示させ、利用者に対して認証情報の入力を促す(SA22)。
【0064】
これにより、利用者等がICカードをICカードリーダ46に接触させ、認証情報(第2認証情報)が入力されると(SA23)、制御装置40は、第2のユーザ認証を行う(SA24)。第2のユーザ認証(第2認証)では、受信した利用者ID(第2認証情報)が予め登録されている利用者IDであるか否かを判定する。
【0065】
この結果、第2のユーザ認証に成功した場合には(SA25:YES)、続いて、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第2のユーザ認証で入力された利用者ID(第2認証情報)とが同一か否かを判定する照合処理を行う(SA26)。照合処理では、出入口扉4を開けた人物と閉める人物とが同一であるか否かを判定する。照合処理に成功した場合には(SA27:YES)、
図11のステップSA28に移行する。
【0066】
一方、第2のユーザ認証が成功しなかった場合(
図10のSA25:NO)、又は、照合処理が成功しなかった場合には(SA27:NO)、ステップSA22に戻り、第2のユーザ認証画面を表示させる。なお、このとき、認証又は照合に失敗した旨を通知することとしてもよい。
【0067】
図11のステップSA28において、制御装置40は、操作盤22を操作許可状態とする。続いて、制御装置40は、乗降室内の無人確認を利用者に行わせるための無人確認画面をタッチパネル45に表示させるとともに、利用者に無人確認を行わせるためのガイダンスを行う(SA29)。
【0068】
無人確認画面において、無人確認ボタンが押されると(SA30)、制御装置40は、操作盤22のタッチパネル45に出入口扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SA31)。閉扉画面では、例えば、閉扉ボタンを表示するとともに、乗降室内の無人を再度確認した上で閉扉ボタンを操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。この閉扉画面において、閉扉ボタンが押されると(SA32)、制御装置40は内部センサ30からの検知信号に基づいて、乗降室内の無人を判定する(SA33)。また、このとき、
図13に示すように、出入口3の全体に監視領域を設定し、この監視領域において出入口センサ20による物体検知を更に行うこととしてもよい。
この結果、内部センサ30又は出入口センサ20によって物体が検知された場合には(SA33:NO)、ステップSA29に戻り、利用者に無人確認を再度行わせる。一方、物体が検知されておらず、無人が確認された場合には(SA33:YES)、閉扉処理を行い(SA34)、記憶部41に記憶されている利用者ID(第1認証情報)を消去し(SA35)、入庫処理を終了する。なお、閉扉処理については、後述する。
なお、上記ステップSA33において、物体が検知された場合には、ステップSA29に戻る態様に代えて、
図10のステップSA22に戻り、第2のユーザ認証から行わせることとしてもよい。
【0069】
〔開扉処理〕
次に、入庫処理のステップSA13(
図9参照)で実行される開扉処理について
図12を参照して説明する。
図12は、入庫処理における開扉処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【0070】
入庫処理の開扉処理では、制御装置40は、監視領域(例えば、
図5参照)を設定し(SB1)、続いて、出入口センサ20からの検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SB2)。この結果、監視領域において物体が検知された場合には(SB2:YES)、エラー処理を行う(SB3)。エラー処理では、例えば、監視領域において物体が検知された旨及び出入口扉4の周辺の安全確認を促す旨を利用者に報知する。報知は、例えば、操作盤22に設置されたスピーカ等により行う。また、出入口扉4の周辺にディスプレイを設置し、ディスプレイにメッセージを表示させることとしてもよい。このようにして、エラー処理が終了すると、ステップSB2に戻る。
【0071】
一方、監視領域において物体が検知されていない場合には(SB2:NO)、制御装置40は、開扉動作を開始する(SB4)。続いて、制御装置40は、出入口センサ20の検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SB5)。この結果、物体が検知されていない場合には(SB5:NO)、扉が全開したか否かを判定する(SB6)。この結果、扉が全開状態でなければ(SB6:NO)、ステップSB5に戻り、扉が全開状態となるまで、物体検知の判定を繰り返し行う。
【0072】
そして、監視領域において物体が検知された場合には(SB5:YES)、制御装置40は、出入口扉4の開扉動作を停止し(SB7)、エラー処理を行う(SB8)。ここでのエラー処理は、ステップSB3と同様であるから説明を省略する。続いて、制御装置40は、出入口センサ20の検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SB9)。この結果、物体が検知されている場合には(SB9:YES)、ステップSB8に戻る。一方、ステップSB9において、物体が検知されていない場合には(SB9:NO)、出入口扉4の開扉動作を再開させ(SB10)、ステップSB5に戻る。そして、出入口扉4が全開状態となると(SB6:YES)、開扉処理を終了する。
【0073】
〔閉扉処理〕
次に、入庫処理のステップSA34(
図11参照)で実行される閉扉処理について説明する。閉扉処理は、基本的には、出入口扉4が全開状態から全閉状態に駆動される点、監視領域が開扉処理のときと異なる点以外は、
図12に示した開扉処理と同一であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
閉扉処理のときに設定される監視領域、換言すると、開扉動作期間における監視領域は、例えば、
図13に示すように、出入口全域に設定される。また、閉扉処理においては、ステップSB7の開扉動作停止に代えて、扉反転処理を行うこととしてもよい。この場合、閉扉動作を行っている場合に、監視領域に物体が検知された場合には、扉が反転駆動され、全開状態に戻ることとなる。その後、出入口センサ20の検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されていないことを確認すると、閉扉動作を再開させる。
【0074】
〔出庫処理〕
出庫処理については、
図8のステップSA8の入庫起動確認画面が出庫起動確認画面になる点、ステップSA11のパレット呼び出しにおいて、空パレットではなく車両2が載置されたパレットが呼び出される点、ステップSA16~SA21の処理が省略される点以外は、上述した入庫処理と同様である。したがって、詳細な説明は省略する。
【0075】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置1及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムによれば、出入口扉4の近傍に監視領域を設定する監視領域設定部80と、出入口扉近傍に設けられ、監視領域における物体の検知を行う出入口センサ20とを備えている。そして、監視領域設定部80は、出入口扉4を開く開扉動作期間および車両2が移動する車両移動期間において監視領域を設定する。
これにより、開扉動作期間においては、出入口扉4との人の接触などを検知でき、指の巻き込みなどの事故を未然に防ぐことが可能となる。また、車両移動期間においては、車高が規格外の車両を検知することが可能となる。これにより、機械式駐車装置1の安全性を向上させることが可能となる。
更に、共通の出入口センサ20によって、出入口扉と人との接触検知および車高判定の両方を行うので、センサの増設を回避することができる。これにより、コスト増大を抑えることが可能となる。
【0076】
なお、本実施形態に係る入庫処理及び出庫処理に係る処理手順や処理内容は一例であり、これに限られない。例えば、処理の追加、省略、手順変更を適宜行うことが可能である。また、利用者認証、無人確認等について、公知の処理を適宜採用することが可能である。
また、本実施形態においては、上開きの出入口扉4を例示して説明したが、これに限られない。例えば、下開きの出入口扉を採用することも可能である。この場合、例えば、
図14に例示するように、出入口扉4の開扉動作期間において、出入口扉4の下方側に監視領域を設定することとしてもよい。
図14は、2枚扉の出入口扉4を採用する場合の監視領域の一例を示した図である。
【0077】
〔変形例1〕
また、出入口扉については、例えば、
図15に示すように、水平開き(左右開き)の出入口扉4’を採用してもよい。
図15は、変形例1に係る機械式駐車装置の出入口3周辺の構成を示した図である。
図15に示すように、出入口3には、水平開きの出入口扉4’が設けられている。また、出入口3の近傍には、非常脱出扉6が設けられている。非常脱出扉6は、外開きの扉とされている。
【0078】
このような水平開きの出入口扉4’の場合、監視領域設定部80は、開扉動作期間において、監視領域を設定する。この場合、上述したように、出入口扉4’の開度に応じて監視領域を変化させてもよい。水平開きにおいても、扉の重複部分が監視領域に含まれるように設定するとよい。
図16は、全閉時(開度0%)の監視領域の一例を示した図、
図17は、開度50%のときの監視領域の一例を示した図である。
【0079】
また、出入口扉4’の全閉状態において、
図18に示すように、非常脱出扉6の全体を含むような監視領域を設定し、設定した監視領域における物体検知を出入口センサ20によって行わせることとしてもよい。そして、出入口センサ20によって物体が検知された場合には、機械式駐車装置を非常停止させ、安全性を確保することとしてもよい。これは、非常脱出扉6が開いた場合には、乗降室内に人の閉じ込めが発生していたとみなすことができるからである。
また、上述したような非常脱出扉6の監視については、出入口扉の開閉方式によらずに、非常脱出扉6を有する機械式駐車装置1に広く適用することが可能である。
【0080】
〔第2実施形態〕
以下、本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムについて、図面を参照して説明する。以下に説明する第2実施形態では、本開示の機械式駐車装置として、二多段方式の機械式駐車装置100を例示して説明する。
【0081】
図19は、本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置100の概略外観図、
図20は本実施形態に係る機械式駐車装置100の概略正面図である。本実施形態では、機械式駐車装置100の乗降室107a~107fが車両の幅方向に一列に並んで配置された単列式の機械式駐車装置100を例示して説明する。
【0082】
図19、
図20に示すように、機械式駐車装置100は、単列二段昇降横行式の駐車装置であり、地上階に設けられた6つの乗降室107a~107fと、その上階に設けられた6つの格納庫を備えている。なお、格納庫は乗入階よりも下層に設けられていてもよい。また、乗降室107は、入庫及び出庫の両方が可能な領域とされていてもよいし、入庫または出庫のいずれか一方が可能な領域とされていてもよい。
以下、乗降室107a~107fのそれぞれを個別に区別する必要がある場合には、乗降室107a、107b、107cなどと称し、区別する必要がない場合には、単に乗降室107と称する。また、他の構成についても同様の取り扱いとする。
【0083】
各乗降室107a~107fの出入口には、出入口扉104a~104fがそれぞれ設けられている。ここで、本実施形態では、車両の出入口毎に各出入口扉104を設けている場合を例示して説明するがこれに限られない。例えば、複数の出入口に対して一つの扉を設けることとしてもよい。出入口扉104a~104fの高さL(
図20参照)は、所定の高さとされており、全閉状態において、出入口の上部が開放されている。このため、後述するパレット(車両搬送手段)の搬送制御は、出入口の一部が開放された状態で実施される。
【0084】
図19、
図20には、出入口扉104a~104fが閉じた状態(開度0%)の機械式駐車装置100が示されている。また、
図21には、出入口扉104(ここでは、出入口扉104d)が開いた状態(開度100%)の機械式駐車装置100が示されている。
図21に示すように、出入口扉104は、上方にスライドすることによって開放され、出入口扉104の上端が所定の高さ位置に達した場合に全開状態(開度100%)とされる。
【0085】
乗降室107内には、乗降室107内の無人を検知するための内部センサ130(
図25参照)が設けられている。また、乗降室107への出入口近傍には、乗降室107への物体の進入及び退出を検知するための入退出センサ132(
図25参照)が設けられている。
なお、
図19、
図20では、これらセンサの図示が省略されている。内部センサ130、入退出センサ132の種類、配置位置、制御等については、公知の技術を適宜採用すればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0086】
機械式駐車装置100において、例えば、乗降室107a~107fの上部であって幅方向のほぼ中央には、出入口近傍の物体を検知するための出入口センサ120が設けられている。出入口センサ120は、例えば、測域センサ(レーザースキャナ)であり、レーザー光線や超音波等の目標物に当たって反射する性質のある探査波を出力し、その反射波を受信しながら所定の角度範囲を水平方向にスキャニング(走査)することにより、物体を検知する。本実施形態では、探査波を2次元的(面状)に走査する場合を例示するが、これに限られない。例えば、探査波を3次元的に走査することにより、三次元的に物体を検知することとしてもよい。
【0087】
出入口センサ120の設置数及び設置位置については、上記例に限られない。例えば、出入口センサ120は、出入口の右側部又は左側部に設けられていてもよい。また、出入口センサ120は、各出入口扉104a~104fに対応してそれぞれ設けられていてもよい。
また、出入口センサ120は、測域センサに限られず、複数の高さ位置及び左右位置に設けられた複数の光電式センサ(反射型・透過型)であってもよく、後述する監視領域の監視を実現できる機能を有する範囲で、公知のセンサを適宜採用することが可能である。
【0088】
機械式駐車装置100は、利用者が入庫や出庫のための各種入力操作や無人確認終了の入力を行うための操作盤122を備えている。本実施形態において、操作盤122は、乗降室107cと107dとの間の支柱に設けられているがこれに限られない。いずれかの支柱に設けられていればよく、例えば、右端部、又は、左端部の支柱に設けられていてもよい。
【0089】
図22、
図23は、操作盤122の取り付け例を示した図であり、
図22は操作盤122の取り付けを上方からみた図、
図23は操作盤122の概略正面図において、操作盤122を支持する支持部材123の配置例を示した図である。
図22、
図23に示すように、操作盤122は、支柱135に対して棒状の2本の支持部材123によって支持されている。そして、上述した出入口センサ120のセンシング位置は、操作盤122と支柱135との間を通るように設定されている。支持部材123のサイズ(直径)は出入口センサ120が検知可能なサイズ以下とされている。これにより、支持部材123が物体として検知されることを回避できる。
【0090】
図24に操作盤122の一構成例を示す。
図24に示すように、操作盤122は、電源キー111、非常停止ボタン112、及びタッチパネル113を備えている。利用者が操作盤122を操作することで、入庫時における空パレットの呼び出しや、出庫時における出庫車両の呼び出しを指示することができる。
操作盤122のタッチパネル113には、所望のパレットを呼び出すためのパレット番号を入力するためのテンキー、パレットを呼び出すためのパレット起動ボタン、無人確認の完了を入力させるための無人確認ボタン、扉を開けるための扉開ボタン、及び扉を閉じるための扉閉ボタンなどが表示される。
【0091】
次に、本実施形態に係る機械式駐車装置100の制御装置140について
図25を参照して説明する。
図25は、本実施形態に係る制御装置140が備える機能の一例を示した機能構成図である。制御装置140は、例えば、情報処理装置であり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するための補助記憶装置、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ、ネットワークに接続するための通信インターフェース等を備えている。また、制御装置140は、機械式駐車装置100を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース152を備えている。総合データベース152には、機械式駐車装置の入出庫制御などに必要となる各種情報が格納されている。
【0092】
また、制御装置140は、後述する入庫処理、出庫処理の実行に伴い、必要なデータを格納するための記憶部141を備えている。例えば、記憶部141には、入庫処理や出庫処理の各進行状況に応じた監視領域の情報等が格納される。
【0093】
制御装置140の補助記憶装置には、機械式駐車装置100の各機構を制御するための制御プログラム等が記憶されており、CPUが補助記憶装置に格納されている各種プログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、後述する各部の機能を実現させる。また、プログラムの実行にあたり、CPUは総合データベース152に格納されている各種データを参照して用いる。
【0094】
上記制御プログラムは、制御装置140の製造時においてROM等の補助記憶装置に予め格納されていてもよいし、施工後などにおいて、制御プログラム等を配信するサーバ等からダウンロードしてインストールされてもよい。また、外部記憶装置を介してインストールされる態様としてもよい。このように、各種プログラムのインストール方法については特に限定されない。
【0095】
制御装置140は、主制御部150を備えている。主制御部150には、上述した総合データベース152に加えて、出入口扉制御部155、搬送機制御部156、センサ制御部157等が接続されている。また、主制御部150には、操作盤122が接続されており、双方向通信が可能な構成とされている。
【0096】
出入口扉制御部155は、主制御部150から動作指令を受けて各出入口扉104a~104fを開閉駆動する扉駆動部163を制御することにより、出入口扉104a~104fを開閉させる。また、出入口扉制御部155は、出入口扉センサ167から出入口扉104a~104fの位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。扉駆動部163は、例えば、モータ等を備えて構成される。なお、扉駆動部163には、公知の種々の構成を適宜採用することができる。
【0097】
出入口扉センサ167は、例えば、出入口扉104の全閉(
図20参照)及び全開(
図21参照)を検知し、その旨を示す検知信号(扉全閉信号、扉全開信号)を出入口扉制御部155に出力する。
出入口扉センサ167として、公知のセンサを適宜採用することができる。例えば、出入口扉センサ167の一例として、リミットスイッチ等が挙げられる。
また、出入口扉センサ167は、出入口扉104の開度に関する情報を出力するセンサを更に備えていてもよい。例えば、出入口3の両端部には、所定の高さ位置に設けられた1対の光電センサ(図示略)が設けられており、この光電センサからの光線が遮断されるか否かにより、出入口扉104の開度、換言すると、高さ方向の位置を検出するような構成とされていてもよい。出入口扉センサ167は、例えば、複数の高さ位置を検出するために複数組のセンサが設けられていてもよい。また、出入口扉104の開度を検出する手段は、上述した光電センサに限られない。例えば、リミットスイッチを用いてもよいし、扉駆動部163のモータに設けられたエンコーダを用いて開度を検出することとしてもよい。
【0098】
搬送機制御部156は、主制御部150から動作指令を受けてパレット(車両搬送手段)を駆動するパレット駆動部164を制御することにより、パレットの横行駆動及び昇降駆動を制御する。なお、パレットの駆動については、公知の技術を採用すればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0099】
センサ制御部157は、出入口センサ120、内部センサ130、入退出センサ132の検知信号を受信し、その情報を主制御部150に出力する。
【0100】
主制御部150は、各制御部155,156,157からのフィードバック、操作盤122からの入力情報に基づいて機械式駐車装置100を運行させる。また、主制御部150は、操作盤122と授受する各種情報に基づいて入庫処理及び出庫処理を行う。なお、出入口センサ120、内部センサ130、入退出センサ132の検知信号については、上述したセンサ制御部157を介して主制御部150に入力されるのに代えて、直接的に主制御部150に入力されることとしてもよい。このようにすることで、検知信号に応じたより迅速な制御を実施することが可能となる。
【0101】
また、主制御部150は、入庫時及び出庫時の少なくともいずれか一方において、監視領域を設定する監視領域設定部(監視領域設定手段)180、監視領域において物体が検知された場合に所定の制御を行う物体検知制御部181を備えている。
これにより、車両の位置や入出庫の進行状況に応じて適切な監視範囲を設定することができ、安全性を向上させることが可能となる。
【0102】
監視領域設定部180は、例えば、出入口扉104の近傍に監視領域を設定する。例えば、監視領域設定部180は、パレットを搬送するパレット搬送期間(車両搬送手段の動作期間)、出入口扉4を開く開扉動作期間、車両2が乗降室と前庭との間で移動する車両移動期間、及び出入口扉4を閉める閉扉動作期間において、監視領域を設定する。
【0103】
例えば、監視領域設定部180は、パレット搬送期間において、出入口扉104の高さLに応じた監視領域を設定する。例えば、
図26に示すように、全閉状態における出入口扉4の上端部から少し下方に設定された基準位置D3から上側の領域を監視領域として設定してもよい。
【0104】
また、監視領域設定部180は、例えば、開扉動作期間において、パレット搬送期間と同じ監視領域を設定してもよい。また、監視領域設定部180は、開度に応じて監視領域を変化させてもよい。例えば、監視領域設定部180は、
図27に示すように、開扉中の出入口扉104の一部を含むように、その上方に監視領域を設定してもよい。これにより、出入口扉104の動きに合わせて監視領域が動的に設定されることとなる。
また、監視領域設定部180は、例えば、後述する閉扉動作期間と同様に、出入口全体を監視するように監視領域を設定してもよい(
図29参照)。
【0105】
監視領域設定部180は、車両移動期間において、車両の種別に応じた各監視領域を設定する。
図28は、車両移動期間における監視領域の一例を示した図である。監視領域設定部180は、例えば、普通車と、ミッドルーフ車と、ハイルーフ車との3つに車両種別を区分けし、これらの区分に応じてそれぞれ異なる監視領域を設定することとしてもよい。例えば、監視領域の下端部が普通車、ミッドルーフ車、ハイルーフ車の順に高くなるように、監視領域を設定してもよい。この監視領域の設定手法は、例えば、第1実施形態で説明した通りである。
車両の種別情報は、例えば、利用者IDと関連付けられて総合データベース152に格納されていてもよい。また、車両の種別情報に代えて、車両の種別情報に対応する監視領域の情報が利用者IDに対応付けられて総合データベース152に格納されていてもよい。また、車両の種別情報は、入庫時において、ユーザによって入力される情報であってもよい。
【0106】
監視領域設定部180は、例えば、閉扉動作期間において、
図29に示すように、出入口の全体に監視領域を設定する。
監視領域設定部180は、入庫処理や出庫処理の進行状況に関連付けられた監視領域の情報を有しており、これらの情報を参照することにより、上述した監視領域の設定機能を実現させる。
【0107】
物体検知制御部181は、パレット搬送期間において監視領域に物体が検知された場合には、パレットの駆動を停止させる。
また、物体検知制御部181は、開扉動作期間において、監視領域に物体が検知された場合には、出入口扉104の動作を停止させる。また、物体検知制御部181は、物体が検知されたときの出入口扉104の開度に応じて、動作を停止させるか、反転動作させるかを判定してもよい。
【0108】
物体検知制御部181は、車両移動期間において、監視領域に物体が検知された場合には、エラー通知を行う。これにより、入庫時に設定された車両の種別、又は、パレットに対応付けられている車両の種別と、入庫車両とが異なることを利用者(例えば、運転手)に通知することが可能となる。なお、入庫不可の車両を検知するための領域Cにおいて物体(車両)が検知された場合には、入庫不可を通知してもよい。
【0109】
物体検知制御部181は、閉扉動作期間において、監視領域に物体が検知された場合には、出入口扉104の動作を停止又は反転させる。また、物体検知制御部181は、物体が検知されたときの出入口扉104の開度に応じて、動作を停止させるか、反転動作させるかを判定してもよい。
【0110】
〔入庫処理〕
次に、入庫時において、制御装置140によって実行される入庫処理の一例について図を参照して説明する。
図30~
図31は、制御装置140によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0111】
まず、利用者によって操作盤122の電源がオン状態とされ(SC1)、所望のパレット番号が指定されてパレット呼び出し操作が行われると(SC2)、指定された空パレットを呼び出しが行われた乗降室107に搬送するパレット搬送処理が行われる(SC3)。なお、パレット搬送処理の詳細については、後述する。
【0112】
指定された空パレットが所定の乗降室107に到着すると(SC3)、空パレットが到着した乗降室107に対応する出入口扉104を全開状態とする開扉処理が行われる(SC4)。開扉処理では、例えば、
図26にハッチングで示した監視領域が設定され、この監視領域における物体検知の監視を行いながら、出入口扉104を全開状態まで移動させる。なお、具体的な処理内容については、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0113】
出入口扉104が全開状態とされると、制御装置40は、操作盤122のタッチパネル113からの入力を受け付けない操作ロック状態とする(SC5)。これにより、利用者が操作盤122の前を離れている間における第三者によるタッチパネル113からの入力を阻止することが可能となる。
【0114】
続いて、制御装置140は、乗降室107への車両の進入が開始されたか否かを判定する(SC6)。換言すると、入退出センサ132によって物体が検知されたか否かを判定する。この結果、車両が入退出センサ132の位置まで移動していない場合には(SC6:NO)、当該判定処理を繰り返し行う。一方、乗降室107への車両の進入が開始されると(SC6:YES)、制御装置140は、車両の車種情報に応じた監視領域を設定する(SC7)。これにより、車両が普通車である場合には、領域A~Cが、ミッドルーフ車である場合には、領域B~Cが、ハイルーフ車である場合には、入庫不可の車両を検知するための領域Cが監視領域として設定される(
図7参照)。
【0115】
続いて、制御装置140は、出入口センサ120によって監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SC8)。換言すると、車両の車体高さが規定値以内であるか否かを判定する。この結果、監視領域に物体が検知されていない場合には(SC8:NO)、乗降室107への車両の進入が完了したか否かを判定する(SC9)。すなわち、入退出センサ132によって物体(車両)が検知されていない状態となったか否かを判定する。この結果、車両の進入が完了していない場合には(SC9:NO)、ステップSC8に戻り、上記処理を繰り返す。また、ステップSC8において、物体が検知された場合(SC8:YES)には、車両の高さが規定値以上であると判定し、エラー通知を行う(SC10)。エラー通知は、例えば、乗降室内に設置されたスピーカ等により行ってもよいし、乗降室内の前方にディスプレイを設置し、ディスプレイにメッセージを表示させることとしてもよい。また、車両に搭載された車載器との通信が可能な状態とされている場合には、無線通信部を介して車載器を通じて報知するようにしてもよい。
【0116】
一方、物体が検知されることなく(SC8:NO)、車両の進入が完了すると(SC9:YES)、監視領域の設定を解除する(
図31のSC11)。これにより、出入口扉104近傍の物体検知が一時的に停止される。続いて、利用者は、車両を乗降室内の所定位置に停止させ、乗降室107から退出する。
【0117】
乗降室107から利用者が退出したことが入退出センサ132によって検知されると、制御装置140は、操作盤122が操作可能な操作許可状態とし(SC12)、タッチパネル113に無人確認ボタンを表示させる(SC13)。これにより、無人確認を行った利用者によって無人確認ボタンが押下されると(SC14)、制御装置140は、タッチパネル113に閉扉指示ボタンを表示させる(SC15)。これにより、利用者によって閉扉指示ボタンが押下されることにより閉扉指示が入力されると(SC16)、制御装置140は、内部センサ130からの検知信号に基づいて、乗降室内の無人を判定する(SC17)。また、このとき、
図29にハッチングで示すように、出入口の全体に監視領域を設定し、この監視領域において出入口センサ120による物体検知を更に行うこととしてもよい。
【0118】
この結果、内部センサ130又は出入口センサ120によって物体が検知された場合には(SC17:NO)、ステップSC13に戻り、利用者に無人確認を再度行わせる。一方、物体が検知されておらず、無人が確認された場合には(SC17:YES)、出入口扉104を閉じる閉扉処理を行う(SC18)。閉扉処理では、例えば、
図29にハッチングで示した監視領域が設定され、この監視領域における物体検知の監視を行いながら、出入口扉104を全閉状態まで移動させる。なお、具体的な処理内容については、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0119】
そして、出入口扉104が完全に閉じ、閉扉処理が終了すると、利用者は操作盤122の電源をオフする(SC19)。制御装置140は、利用者によって操作盤122の電源がオフされると、入庫処理を終了する。
【0120】
〔パレット搬送処理〕
次に、入庫処理のステップSC3(
図30参照)で実行されるパレット搬送処理について図を参照して説明する。
図32は、パレット搬送処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。なお、入庫時に限られず、パレット搬送を行うパレット搬送期間においては、以下の処理が制御装置140によって行われる。
【0121】
パレット搬送処理では、制御装置140は、監視領域(例えば、
図26のハッチング領域参照)を設定し(SD1)、続いて、出入口センサ120からの検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SD2)。この結果、監視領域において物体が検知された場合には(SD2:YES)、エラー処理を行う(SD3)。エラー処理では、例えば、監視領域において物体が検知された旨及び出入口扉104の周辺の安全確認を促す旨を利用者に報知する。報知は、例えば、操作盤122に設置されたスピーカ等により行う。このようにして、エラー処理が終了すると、ステップSD2に戻る。
【0122】
一方、監視領域において物体が検知されていない場合には(SD2:NO)、制御装置140は、パレット搬送を開始する(SD4)。続いて、制御装置140は、出入口センサ120の検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SD5)。この結果、物体が検知されていない場合には(SD5:NO)、指定されたパレットを所望の位置(例えば、呼び出した行われた乗降室107)まで搬送させる搬送処理が完了したか否かを判定する(SD6)。この結果、パレット搬送が完了していなければ(SD6:NO)、ステップSD5に戻り、パレット搬送が完了するまで、物体検知の判定を繰り返し行う。
【0123】
そして、監視領域において物体が検知された場合には(SD5:YES)、制御装置140は、パレット搬送を停止し(SD7)、エラー処理を行う(SD8)。ここでのエラー処理は、ステップSD3と同様であるから説明を省略する。続いて、制御装置140は、出入口センサ120の検知信号に基づいて監視領域に物体が検知されたか否かを判定する(SD9)。この結果、物体が検知されている場合には(SD9:YES)、ステップSD8に戻る。一方、ステップSD9において、物体が検知されていない場合には(SD9:NO)、パレットの搬送を再開させ(SD10)、ステップSD5に戻る。そして、パレット搬送が完了すると(SD6:YES)、パレット搬送処理を終了する。
【0124】
〔出庫処理〕
出庫処理の場合は、車両が載置されたパレットが所定の乗降室107に呼び出される点、該パレットが到着した乗降室107に対して利用者が進入し、パレット上に載置されている車両に乗り込んで乗降室107から車両を出庫させる点が異なるのみであり、他の点についてはほぼ同様のため、説明を省略する。
【0125】
なお、上述した本実施形態に係る入庫処理及び出庫処理に係る処理手順や処理内容は一例であり、これに限られない。例えば、処理の追加、省略、手順変更を適宜行うことが可能である。また、公知の処理を適宜採用することが可能である。例えば、上述した入庫処理では、ユーザ認証、安全確認などの各処理を省略していたが、これらの処理を追加で設けることとしてもよい。例えば、第1実施形態のように、操作盤122に、ユーザ認証操作を行うためのICカードリーダ又はテンキーを設け、ユーザ認証を適宜行わせることとしてもよい。
【0126】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置100及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムによれば、出入口扉104の近傍に監視領域を設定する監視領域設定部180と、出入口扉近傍に設けられ、監視領域における物体の検知を行う出入口センサ120とを備えている。そして、監視領域設定部180は、例えば、パレットを搬送させるパレット搬送期間、出入口扉104を開く開扉動作期間、車両が移動する車両移動期間および出入口扉104を閉じる閉扉動作期間において監視領域を設定する。
これにより、パレット搬送期間、開扉動作期間、閉扉動作期間においては、出入口扉104との人の接触などを検知でき、指の巻き込みなどの事故を未然に防ぐことが可能となる。また、車両移動期間においては、車高が規格外の車両を検知することが可能となる。これにより、機械式駐車装置1の安全性を向上させることが可能となる。
更に、共通の出入口センサ120によって、出入口扉104と人との接触検知および車高判定の両方を行うので、センサの増設を回避することができる。これにより、コスト増大を抑えることが可能となる。
【0127】
また、上述した実施形態では、出入口扉104が上方にスライドする上開き方式の扉を例示して説明したが、出入口扉104の開閉方式についてはこれに限られない。例えば、下方に設けられたポケット(扉収容スペース)に出入口扉104がスライドし、出入口扉104の全体が下方に収容されることで開閉する下開き方式の扉であってもよい。この場合、
図29に示すように、出入口全体を監視領域として設定してもよい。また、全ての出入口扉104を含むとともに、その上方の一部の領域を監視領域として設定することとしてもよい。
【0128】
また、出入口扉104は、左右方向にスライドする水平開きの扉であってもよい。この場合、
図29に示すように、出入口全体を監視領域として設定してもよい。また、例えば、
図16及び
図17に例示したように、開度に応じて監視領域を設定することとしてもよい。
このように、監視領域は、扉の開閉方式や要求される安全レベルに応じて適宜設定することが可能である。
【0129】
以上、本開示について、上記実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上述した各実施形態で説明した各処理(ステップ)の流れは一例であり、一部の処理を削除したり、新たな処理を追加したり、処理順序を入れ替えたりすることが可能である。また、公知の入庫処理及び出庫処理の一部の処理を適宜採用することが可能であり、例えば、公知の処理を追加したり、一部の処理を公知の処理と置き換えたりことが可能である。
【0130】
例えば、上述した各実施形態においては、出庫時において入庫時と同じ方向に退出する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、乗降室7の前方(例えば、停車位置指示灯25(
図2参照)が設置されている壁)が開閉可能に構成されており、出庫時には、乗降室7の前方を通じて退出するような構成とされていてもよい。また、入庫と出庫とで異なる乗降室を用いることとしてもよい。
【0131】
また、上述した実施形態では、エレベータ方式の機械式駐車装置1、二多段方式の機械式駐車装置100を例示して説明したが、この例に限られない。本開示の機械式駐車装置は、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式、平面往復方式等であってもよい。また、パレットを使用しないコンベア式やフォーク式の機械式駐車装置であってもよい。
【0132】
また、上述した実施形態では、乗降室7、107の出入口に出入口扉4、104が設けられた機械式駐車装置1、100について説明したが、例えば、乗降室への出入口に出入口扉が設置されていない機械式駐車装置であってもよい。このような機械式駐車装置の一例として、
図33、
図34に示すバース式の機械式駐車装置200が挙げられる。
図33は、バース式の機械式駐車装置200が備える乗降室(バース)207の概略平面図、
図34は、乗降室207の概略正面図である。
図33、
図34に示すように、乗降室207には、車両を入庫又は出庫させるための出入口203が設けられ、出入口203の上方には、出入口近傍の物体を検知するための出入口センサ220が設けられている。
【0133】
乗降室207には、リフト昇降室205が併設されている。乗降室207とリフト昇降室205との間には、区画扉204が設けられている。乗降室207には、コンベア(車両搬送手段)210が設けられ、コンベア210によって乗降室207とリフト昇降室205との間で車両が搬送(横送り)される。リフト昇降室205では、リフト等によって車両格納棚との間で車両が搬送(昇降・横行等)される。乗降室207の奥側には、人が乗降室207に入退出するための自動扉215が設けられている。
【0134】
このような機械式駐車装置200における入庫時には、利用者は、出入口203から車両を乗降室207に進入させ、所定の停車位置に停車させた後に降車し、自動扉215から乗降室外へ退出する。利用者の退出が確認され、図示しない操作盤において搬送指示が行われると、区画扉204が全閉状態から全開状態とされるとともに、コンベア210が動作することにより、車両が搬送される。
このような車両の入庫時において、車両の進入時(車両移動時)には、上述した第1実施形態、第2実施形態と同様に、
図35に示すように、駐車規格外の車両を検知するための領域Cを監視領域として設定し、出入口センサ220によって駐車規格外の車両を検知することとしてもよい。
【0135】
また、車両をリフト昇降室205に移動させるコンベア210の動作期間(車両搬送手段の動作期間)においては、
図36に示すように、出入口全面を監視領域として設定し、出入口センサ220によって物体の検知を行うこととしてもよい。これにより、区画扉の開閉期間や車両搬送期間における人や動物の進入を速やかに検知することができ、安全性を向上させることが可能となる。
【0136】
以上説明した実施形態に記載の機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0137】
本開示の第1態様に係る機械式駐車装置(1,100)は、車両(2)の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室(7,107)と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉(4,104)と、前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定手段(80,180)と、前記出入口扉近傍に設けられ、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段(20,120)とを具備し、前記監視領域設定手段は、前記出入口扉を開く開扉動作期間および前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定する。
【0138】
この態様によれば、出入口扉の開扉動作期間においては、出入口扉との人の接触などを検知できるとともに、車両移動期間においては、車高が規格外の車両を検知することが可能となる。また、共通の物体検知手段によって、出入口扉と人との接触検知および車高判定の両方を行うことにより、センサの増設を回避することができる。これにより、コスト増大を抑えることが可能となる。
【0139】
本開示の第2態様に係る機械式駐車装置(1,100)は、上記第1態様において、前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間の監視領域と、前記車両移動期間における監視領域とを異ならせる。
【0140】
この態様によれば、開扉動作期間と車両移動期間とにおいてそれぞれ適切な監視領域を設定することが可能となる。これにより、入出庫の進行状況に応じて適切な監視範囲を設定することができる。
【0141】
本開示の第3態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第1態様又は第2態様において、前記監視領域設定手段は、前記開扉動作期間において、前記出入口扉の開度に応じて監視領域を変化させる。
【0142】
この態様によれば、出入口扉の開度に応じて適切な監視領域を設定することが可能となる。
【0143】
本開示の第4態様に係る機械式駐車装置(1,100)は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記監視領域設定手段は、前記車両移動期間において、前記車両の種別に応じた各監視領域を設定する。
【0144】
この態様によれば、車両の種別に応じて適切な監視領域を設定することが可能となる。
【0145】
本開示の第5態様に係る機械式駐車装置(1,100)は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記開扉動作期間において、前記監視領域に物体が検知された場合に、前記出入口扉の開動作を停止又は前記出入口扉の反転制御を行う制御手段(40,140)を備える。
【0146】
この態様によれば、監視領域に物体が検知された場合には、出入口扉の開動作を停止又は出入口扉を反転動作させるので、人が出入口扉に接触したことを速やかに検知し、安全策を取ることが可能となる。
【0147】
本開示の第6態様に係る機械式駐車装置(1,100)は、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記車両移動期間において前記監視領域に物体が検知された場合に、エラー通知を行う通知手段を備える。
【0148】
上記態様によれば、規定外の車高の車両を検知した場合に、その旨を通知することが可能となる。
【0149】
本開示の第7態様に係る機械式駐車装置(100,200)は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室(107,207)と、前記乗降室の出入口(203)の全部又は一部が開放された状態で車両搬送手段(210)の搬送制御が行われる機械式駐車装置であって、前記車両搬送手段(210)の動作期間における監視領域を前記出入口の近傍に設置する監視領域設定手段(180)と、前記車両搬送手段の動作期間において、前記監視領域における物体の検知を行う物体検知手段(120,220)とを備える。
【0150】
この態様によれば、車両搬送手段を動作させる動作期間における人の進入などを速やかに検知することが可能となる。これにより、安全性を向上させることができる。
【0151】
本開示の第8態様に係る機械式駐車装置は、上記第7態様において、前記監視領域に物体が検知された場合に、前記車両搬送手段の動作を停止させる。
【0152】
この態様によれば、監視領域に物体が検知された場合には、車両搬送手段の動作を停止させるので、事故の発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0153】
本開示の第9態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、前記出入口扉の近傍に監視領域を設定する監視領域設定工程と、前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程とをコンピュータが実行し、前記監視領域設定工程では、前記出入口扉を開く開扉動作期間及び前記車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定する。
【0154】
本開示の第10態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室の出入口の全部又は一部が開放された状態で車両搬送手段の搬送制御が行われる機械式駐車装置の安全確認方法であって、前記車両搬送手段の動作期間における監視領域を前記出入口の近傍に設置する監視領域設定工程と、前記車両搬送手段の動作期間において、前記監視領域において物体が検知されたか否かを判定する物体検知工程とをコンピュータが実行する。
【0155】
本開示の第11態様に係る機械式駐車装置の安全確認プログラムは、コンピュータに上記安全確認方法を実行させるための安全確認プログラムである。
【符号の説明】
【0156】
1 :機械式駐車装置
2 :車両
3 :出入口
4 :出入口扉
4’ :出入口扉
5 :駐車塔
6 :非常脱出扉
7 :乗降室
14 :リフト
18 :パレット
20 :出入口センサ
22 :操作盤
25 :停車位置指示灯
28 :モニタ
30 :内部センサ
32 :入退出センサ
40 :制御装置
41 :記憶部
45 :タッチパネル
46 :ICカードリーダ
47 :スピーカ
50 :主制御部
52 :総合データベース
55 :出入口扉制御部
56 :搬送機制御部
63 :扉駆動部
64 :リフト駆動部
67 :出入口扉センサ
68 :搬送機位置センサ
69 :車両計測器
71 :ターンテーブル位置センサ
73 :車重センサ
80 :監視領域設定部
81 :物体検知制御部
100 :機械式駐車装置
104a :出入口扉
104b :出入口扉
104c :出入口扉
104d :出入口扉
104e :出入口扉
104f :出入口扉
107a :乗降室
107b :乗降室
107c :乗降室
107d :乗降室
107e :乗降室
107f :乗降室
111 :電源キー
113 :タッチパネル
120 :出入口センサ
122 :操作盤
123 :支持部材
130 :内部センサ
132 :入退出センサ
135 :支柱
140 :制御装置
141 :記憶部
150 :主制御部
152 :総合データベース
155 :出入口扉制御部
156 :搬送機制御部
157 :センサ制御部
163 :扉駆動部
164 :パレット駆動部
167 :出入口扉センサ
180 :監視領域設定部
181 :物体検知制御部
200 :機械式駐車装置
203 :出入口
204 :区画扉
205 :リフト昇降室
207 :乗降室
210 :コンベア
215 :自動扉
220 :出入口センサ
【要約】
【課題】乗降室の出入口周辺における安全性を更に向上させること。
【解決手段】機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室7と、乗降室7の出入口3に設けられた出入口扉4と、出入口扉4の近傍に監視領域を設定する監視領域設定部と、出入口扉近傍に設けられ、監視領域における物体の検知を行う出入口センサ20とを具備する。監視領域設定部は、出入口扉4を開く開扉動作期間および車両が移動する車両移動期間において、各監視領域を設定する。
【選択図】
図2