IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トップゴルフ キャロウェイ ブランズ コーポレーションの特許一覧

特許7585534スタンド脚付きゴルフバッグ用補強具および当該補強具を備えたゴルフバッグ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】スタンド脚付きゴルフバッグ用補強具および当該補強具を備えたゴルフバッグ
(51)【国際特許分類】
   A63B 55/57 20150101AFI20241111BHJP
   A45C 13/36 20060101ALI20241111BHJP
   A45C 13/08 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A63B55/57
A45C13/36 Z
A45C13/08 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024029348
(22)【出願日】2024-02-29
【審査請求日】2024-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.ウェブサイトへの公開 (1) 掲載日 令和5年11月15日 (2) ウェブサイトのアドレス https://news.golfdigest.co.jp/news/gdoeye/jgto/article/162429/1/ https://www.alba.co.jp/articles/category/tour/jgto/post/g6-dgvzgr5n/
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300045363
【氏名又は名称】トップゴルフ キャロウェイ ブランズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Topgolf Callaway Brands Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(72)【発明者】
【氏名】石川 遼
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-529962(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0232017(US,A1)
【文献】登録実用新案第3122755(JP,U)
【文献】登録実用新案第3126644(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 55/57
A45C 13/36
A45C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンド脚付きゴルフバッグに装着可能な補強具であって、
前記装着の際に前記スタンド脚を通すための左右の通し筒部と、
前記左右の通し筒部の間に配置された厚布部及び前記厚布部の左右に配置された薄布部と、
を備えるスタンド脚付きゴルフバッグ用補強具。
【請求項2】
前記左右の通し筒部の少なくとも上部には、滑り止め加工がなされている、請求項1に記載の補強具。
【請求項3】
前記左右の通し筒部の少なくとも上部には、滑り止めとしてコードストッパーが採用される、請求項1に記載の補強具。
【請求項4】
前記厚布部と、前記厚布部の左右に配置された薄布部との係合部は、少なくともその一部分が補強されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の補強具。
【請求項5】
前記厚布部の表面は、バナーあるいは表示装置としての表示機能を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の補強具。
【請求項6】
前記厚布部の上部には、補強材が採用されている、請求項5に記載の補強具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド脚付きゴルフバッグに装着可能な補強具、ならびに、当該補強具を備えたゴルフバッグに関し、より具体的には、スタンド脚付きゴルフバッグのスタンド脚を補強する補強具、ならびに、当該補強具を備えたゴルフバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタンド脚部展開システムを備えたスタンド脚付きゴルフバッグが広く使用されている。このゴルフバッグは、スタンド付きキャディバッグ、あるいは、スタンド式キャディバッグとも呼ばれている。
【0003】
このスタンド脚部展開システムは、把手を有するゴルフバッグ本体の前面(把手を有する側とは反対側の面)に前後方向かつやや左右斜め方向に拡開収縮する一対のスタンド脚と、この一対のスタンド脚を拡開収縮させるための作動部とを備えている。この作動部は、ゴルフバッグ本体の傾きに連動して一対のスタンド脚を開閉させる構造を有しており、一般的には、この作動部の下端部に、ゴルフバッグ本体を支えると共にゴルフバッグ本体の傾きに連動して一対のスタンド脚を開閉始動させる接地板部を備える。
【0004】
そして、スタンド脚を使ってこのゴルフバッグを安定的に載置する際には、接地板部を接地させたままゴルフバッグ本体を前方(把手を有する側とは反対側の方向)へ押し倒すことにより、接地板部と連動する一対のスタンド脚が前方へ移動して拡開状態となり、ゴルフバッグを前傾姿勢に保持させる。一方、ゴルフバッグを持ち運ぶ際には、ゴルフバッグ本体を垂直状態に引き起こして前傾姿勢を解除することにより、接地板部と連動する一対のスタンド脚が収縮方向へ自動的に復帰して折り畳み状態になるように構成されている。
【0005】
このようなスタンド脚付きゴルフバッグにおいて、その使い勝手等の機能を向上させるために様々な工夫がなされてきた。
【0006】
例えば、脚が後退状態にあるとき、脚が垂れ下がらないようにするゴルフバッグのための改良された脚展開システムが提案されている(特許文献1)。
【0007】
すなわち、特許文献1には、ゴルフバッグであって、バッグ本体と、前記バッグ本体に結合されるベースと、前記バッグ本体に結合される上部カフと、前記上部カフに結合される脚展開システムとを備え、前記脚展開システムは、前記上部カフの外側表面から離れて突き出る脚受け口と、前記脚受け口の中に挿入されるばねインサートであって、固定端および自由端を有する片持ち梁状のばねセグメントを含む、ばねインサートと、カムノーズを含む脚組立体であって、前記カムノーズは、前記脚組立体が後退状態にあるとき、前記片持ち梁状のばねセグメントに接触し、前記片持ち梁状のばねセグメントが前記カムノーズに力を加えて、前記脚組立体を前記後退状態に維持する脚組立体と、を備えるゴルフバッグが開示されている。
【0008】
また、ロゴやメーカーまたはゴルファーが自身のゴルフバッグで表示したいと思う他の表示を載せることができるゴルフバッグバナーあるいはゴルフバッグ表示装置が提案されている(特許文献2)。
【0009】
すなわち、特許文献2には、少なくとも、第1の位置と第2の位置との間を移動可能な可撓性本体と、前記可撓性本体をゴルフバッグの脚部に固定する連結器機構と、前記可撓性本体をゴルフバッグの前記脚部に沿って垂直方向に固定された状態に維持する固定具と、を含むゴルフバッグバナーが開示されている。
【0010】
さらに、特許文献2には、スタンド付きゴルフバッグと共に使用するゴルフバッグ表示装置であって、第1の縁部および第2の縁部を含むバナーと、前記第1の縁部および前記第2の縁部の一方と隣接して長手方向に延びる補強材と、少なくとも、前記バナーの第1の縁部および第2の縁部に取り付くように配置された連結機構の少なくとも一部分であって、前記バナーは、ゴルフバッグとゴルフバッグの第1の脚部と第2の脚部との間の空間にある平面の少なくとも一部分に広がる大きさとされる、連結機構の少なくとも一部分と、を含み、前記補強材ロッドは、前記ゴルフバッグの前記第1の脚部および前記第2の脚部の動作を妨害しないように、前記バナーを前記第1の脚部および前記第2の脚部の一方に沿って所定の位置に保持する、ゴルフバッグ表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2023-115912号公報
【文献】実用新案登録第3146237号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された従来技術においては、サイズが異なっていたり、脚の開き角度等が異なっていたりするなどの製品仕様が異なる種々のスタンド脚付きゴルフバッグにも柔軟に適応できる補強構造の工夫といった観点からは、改善の余地がある。
【0013】
また、補強具としての補強機能のみならずバナーや表示装置としての機能を追求する場合には、バナー機能や表示機能を向上させるための改善の余地がある。
【0014】
そこで、本発明は、サイズや脚の開き角度等の製品仕様が異なる種々のスタンド脚付きゴルフバッグに柔軟に適応できる補強具を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、補強具としての補強機能のみならずバナーや表示装置としての表示機能を備える場合には、スタンド脚の開状態及び閉状態、さらには開閉動作に影響されない安定した表示機能を発揮する補強具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態にかかるスタンド脚付きゴルフバッグ用補強具は、スタンド脚付きゴルフバッグに装着可能な補強具であって、前記装着の際に前記スタンド脚を通すための左右の通し筒部と、前記左右の通し筒部の間に配置された厚布部及び前記厚布部の左右に配置された薄布部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態にかかるスタンド脚付きゴルフバッグ用補強具によれば、サイズや脚の開き角度等の製品仕様が異なる種々のスタンド脚付きゴルフバッグに柔軟に適応できる補強具を提供できるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明の一実施形態にかかるスタンド脚付きゴルフバッグ用補強具が、補強機能のみならず、バナーや表示装置としての表示機能を備える場合には、スタンド脚の開状態及び閉状態、さらには開閉動作に影響されない安定した表示機能を発揮する補強具を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかる補強具の基本的構造を説明する説明図である。
図2A】本発明の他の実施形態にかかる補強具(表面)の外観構成を説明する説明図である。
図2B】本発明の他の実施形態にかかる補強具(裏面)の外観構成を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを前傾姿勢に保持させた状態を示す外観斜視図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを前傾姿勢に保持させた状態を示す外観正面図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを垂直状態にした場合の外観正面図である。
図6A】本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを前傾姿勢から垂直状態へ引き起こしながらその前傾姿勢を解除していく様子を説明する説明図である。
図6B】本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを前傾姿勢から垂直状態へ引き起こしながらその前傾姿勢を解除していく様子を説明する説明図である。
図6C】本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを前傾姿勢から垂直状態へ引き起こしながらその前傾姿勢を解除していく様子を説明する説明図である。
図6D図6A図6Cに示された様子を経て本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを垂直状態にした様子を説明する説明図である。
図7A】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図7B】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図7C】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図8A】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図8B】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図9A】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図9B】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
図9C】本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかるスタンド脚付きゴルフバッグ用補強具(以下、単に「補強具」ともいう。)ならびに当該補強具を備えたゴルフバッグ(以下、単に「ゴルフバッグ」ともいう。)の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
図1に、本発明の一実施形態にかかる補強具の基本的構造を示す。本発明の一実施形態にかかる補強具10は、大別して、厚布部11と、縫込み部111a及び111bによってそれぞれ接合された薄布部12a及び12bと、薄布部12a及び12bの端部を折り返し縫込み(131a及び131b)によって形成された通し筒部13a及び13bとから構成される。
【0022】
厚布部11は、一実施形態において厚手のポリエステル等の生地が採用される。これに限定されるものではないが、その厚みは概ね0.5mm~2mm程度である。
【0023】
また、縫込み部111a及び111b(131a及び131bも同様である)は、一実施形態において糸による縫込みを行っているがこれに制限されるものではなく、接着剤等による係合も可能である。その意味において、縫込み部111a、111b、131a及び131bは、係合部111a、111b、131a及び131bと言い換えることもできる。
【0024】
薄布部12a及び12bは、厚布部11よりも相対的に薄手の生地であって伸縮性のあるポリエステル等の生地が採用される。これに限定されるものではないが、その厚みは0.5mm未満であって厚布部の厚みよりも相対的に薄くできている。
【0025】
通し筒部13a及び13bには、後述するようにスタンド脚を通すための通し筒であり、ここにスタンド脚を通すことにより補強具10はゴルフバッグに装着される。
【0026】
また、図1は表れていないが、同図中132a及び132b、ならびに、133a及び133bにおける通し筒部内側に滑り止め加工を施すことができる。この加工は、補強具10がスタンド脚付きゴルフバッグに装着された際に補強具が下方へずれ落ちてしまったり、補強具の下端がまくれ上がってきたりすることを防止するための加工である。加工の具体例は、スリップを防止するための高摩擦コーティング施工や、滑り止め材料の塗布・プリント等である。一実施形態において、132a及び132bを上部滑り止め加工部、133a及び133bを下部滑り止め加工部と呼ぶ。
【0027】
また、図1において、上部滑り止め加工部132a及び132bは、厚布部11の上部と一部重なるように縫い込まれている様子が確認できるが、本発明はこの構成に制限されるものではなく、通し筒部13a及び13bの上部と厚布部11の上部とは重ならないように、少し距離をおくように構成するようにしても良い。これらの構成の相違は、厚布部11と、薄布部12a及び12bとの素材の関係により適宜調整されるものである。
【0028】
また、本発明の他の実施形態においては、これらの滑り止め加工を他の方法に代替することもできる(図2A等を参照。)。また、必要に応じて下部滑り止め加工部133a及び133bを省略することもできる。
【0029】
図1における補強具10のサイズは、これらに限定されるものではないが、その目安として、同図中高さH1は、370mm~540mm程度であり、横幅W1は、290mm~540mm程度であり、厚布部11の横幅W2は、160mm~300mm程度であり、薄布部12a及び12bの底辺の横幅W3a及びW3bは、それぞれ65mm~120mm程度である。
【0030】
特に横幅に関しては、薄布部の伸縮性により、同じ補強具においてもスタンド脚に装着された際にはその幅に開きができる。そして、この薄布部の伸縮性により多少サイズや脚の開き角度等の製品仕様が異なる種々のスタンド脚付きゴルフバッグに対しても、柔軟な適応性を発揮している。その適応性は、単に種々のスタンド脚付きゴルフバッグに装着できるというものに止まらず、種々のスタンド脚付きゴルフバッグに装着された際にも厚布部における一定の張りを維持し、厚布部に施されたネームや広告等の表示の視認性を確保できることを含む。さらに、この薄布部の伸縮性及び柔軟性は、スタンド脚の収納時にも厚布部に施されたネームや広告等の表示の視認性を確保する。
【0031】
もっとも、補強具10のスタンド脚付きゴルフバッグへの装着により、スタンド脚が開き過ぎることを防止するという補強本来の役目が果たされることは言うまでもない。
【0032】
(厚布部等の形状)
図1において、厚布部11の形状は、略長方形の矩形状であるが本発明はこれに制限されるものではなく、上部へ向かうにつれ幅が狭くなるような台形状や、その逆となる下部へ向かうにつれ幅が狭くなる台形状であってよい。また、中央部がやや膨らんだような樽型形状であってもよく、逆に中央部がやや細くなるような糸巻き型形状であってもよい。さらに、厚布部11の形状は、その上部の辺が通し筒部13a及び13bにある程度沿うような六角形状となってもよい。
そして、薄布部12a及び12bは、上記種々の厚布部11の形状に合わせてデザイン可能である。
【0033】
図2A及び図2Bに、本発明の他の実施形態にかかる補強具の外観構成を説明する説明図である。図2Aには補強具200の表面が表わされており、図2Bには同じく補強具200の裏面が表されている。
【0034】
図2A及び図2Bにおいては、補強具200の滑り止め加工として、上部滑り止め加工部24a及び24bにコードストッパー241a及び242bが採用されている。補強具200が図示しないスタンド脚付きゴルフバッグに装着された際所定位置でこのコードストッパー241a及び242bを絞ることにより、補強具200が下方へずれ落ちることを防止する。
なお、補強具200においては、下部滑り止め加工部は省略されている。
【0035】
また、図2A及び図2Bにおいては、コードストッパー241a及び242bが片方に1つずつ装着されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上部滑り止め加工部24a及び24bにコードストッパーをそれぞれ複数個ずつ装着するように構成してもよい。
さらに、本発明の他の実施形態においては、コードストッパー241a及び242bを横方向に連結する1本のゴム紐等の伸縮糸を採用し、上部滑り止め加工部24a及び24bが互いに引き合うような張力を作用させることにより、補強具200が下方へずれ落ちることを一層防止するように構成することもできる。
【0036】
また、図示されていないが、補強具200を採用するにあたっては、装着される側のスタンド脚の上部にスタンド脚の外径よりも僅かに小さい内径を有するOリング等を1つ以上取り付けておき、補強具200をこのスタンド脚付きゴルフバッグに装着した際、Oリングよりも上部側でコードストッパー241a及び242bを絞ることにより、補強具200のずれ落ちは一層防止される。本発明の一実施形態として、両スタンド脚の上部にスタンド脚の外径よりも僅かに小さい内径を有するOリングを2個ずつ装着しておくなどがある。
【0037】
図2A及び図2Bにおいて、21は厚布部、22、22a及び22bは薄布部、23a及び23bは通し筒部、231a及び232bは縫込み部である。
【0038】
また、図2Bに表れているように、薄布部22は、単に厚布部21の両端に接合されるように縫い合わされているのではなく、薄布部22が一枚布となってその中央部に厚布部21が縫い付けられるような構造となっている。このような構造も本発明の一実施形態において採用されうる構造である。
【0039】
図3に、本発明の一実施形態にかかる補強具310を装着したスタンド脚付きゴルフバッグ300を前傾姿勢に保持させた状態の斜視図を示す。301a及び301bはスタンド脚部であり、302a及び302bは、スタンド脚部301a及び301bを開閉させるための開閉部材である。303は接地板部であり、開閉部材302a及び302bと連動している。そして、接地板部303は、ゴルフバッグ本体の傾斜に応じて開閉部材302a及び302bを介してスタンド脚部301a及び302bを開閉作動させる。
【0040】
311は厚布部、313a及び313bは通し筒部である。なお、スタンド脚付きゴルフバッグ300に対して補強具310を着脱する際には、スタンド脚部301a及び301bの先端部に取り付けられている先端脚3011a及び3011bを取り外して、通し筒部313a及び313bに対してスタンド脚部301a及び301bをそれぞれ通したり外したりするなどの着脱作業が行われる。
【0041】
また、本発明の一実施形態において、厚布部311には、プレイヤーネームやスポンサー名、その他の広告等の表示を行うことができる。本願明細書全体を通じて強調されることであるが、本発明の一実施形態にかかる補強具の厚布部に施されたバナー機能は、その視認性の確保等の面でも優れている。
【0042】
図4に、本発明の一実施形態にかかる補強具410を装着したスタンド脚付きゴルフバッグ400を前傾姿勢に保持させた状態の正面図を示す。401a及び401bはスタンド脚部であり、411は厚布部である。厚布部411を正面から見た場合の視認性の良さが確認できる。
【0043】
図5に、本発明の一実施形態にかかる補強具510を装着したスタンド脚付きゴルフバッグ500を垂直状態にした場合の正面図を示す。501a及び501bはスタンド脚部であり、503は開閉部材と連動する接地板部であり、511は厚布部である。スタンド脚付きゴルフバッグを垂直状態にした場合においても、厚布部511はスタンド脚等に邪魔されることなく前面に保持され、その視認性の良さが確保されている様子を確認できる。
【0044】
図6A図6Dに、本発明の一実施形態にかかる補強具を装着したスタンド脚付きゴルフバッグを前傾姿勢から垂直状態へ引き起こしながらその前傾姿勢を解除していく様子を示す。図6A図6Dは一連の動作過程を示すので同じ部材には同一の部材番号を付している。
【0045】
図6Aにおいて、補強具610が装着されたスタンド脚付きゴルフバッグ600は、それまでスタンド脚部601a及び602bが完全に開脚されて前傾姿勢に保持された状態にあったが、把手609を掴まれ本体が引き起こされる形でその姿勢を解除しつつある。その際、接地していたスタンド脚部601a及び602bは地面を離れて浮き状態になるが、同図には表れていない接地板部の接地状態に規制されながら徐々に収縮方向へ向かう。
図6Aにおいては、重みのある厚布部611(特にその下部)が、軽量で柔軟性のある薄布部612a及び612bに先行してゴルフバッグ600本体へ向かいつつある様子が確認できる。
【0046】
図6Bにおいて、同図には表れていない接地板部の接地状態に規制されながら収縮方向へ向かうスタンド脚部601a及び602bの動きが、重みがありある程度の固さを有する厚布部611へ追い付こうとしている様子が確認できる(特に厚布部611の上部にも注目されたい。)。このとき、薄布部612a及び612bは、スタンド脚部601a及び602bの動きに対しても、また、厚布部611の動きに対しても影響を与えないように、柔軟な振る舞いをする。薄布部612a及び612bの素材について、摩擦係数の少ない(つまり手触りがさらさらした)素材が採用された場合には、薄布部としてのこの柔軟な振る舞いは一層顕著になる。
【0047】
図6Cにおいて、同図には表れていない接地板部の接地状態に規制されながら収縮方向へ向かうスタンド脚部601a及び602bの動きが、重みがありある程度の固さを有する厚布部611を追い抜き、厚布部611の内側(つまり、ゴルフバッグ600本体により近い側)へ収まっていく様子が確認できる。
このとき、同図において、厚布部611からはみ出た薄布部612bが一部確認できるが、薄布部612bについてもその素材の柔軟性のためにスタンド脚部602bの最終的な動きに追従するように振る舞う。
【0048】
図6Dにおいて、ゴルフバッグ600は完全に垂直状態になり立脚している。このとき、スタンド脚部601a及び602bは、厚布部611の内側(つまり、ゴルフバッグ600本体により近い側)に完全に収まり、薄布部612a及び612bも、その柔軟性ゆえにこれに追従して厚布部611の内側に完全に収まっている様子が確認できる。
【0049】
図6A図6Dに示されたように、本発明の一実施形態にかかる補強具ならびに当該補強具が装着されたゴルフバッグは、バナーや表示装置としての表示機能を備える場合には、スタンド脚の開状態及び閉状態、さらには開閉動作に影響されない安定した表示機能を発揮する。
【0050】
図7A図9Cにおいて、本発明の一実施形態にかかる補強具の構造上のバリエーションを示す。いずれの構造バリエーションも、これまで説明した本発明の効果を一層高めるための構造であり、これらの構造は必ずしも必須の構造ではないが、採用される素材の関係によっては、有効な構造上のバリエーションとなる。
【0051】
(縫込み部の強化バリエーション)
図7A図7Cに縫込み部を強化するバリエーションを示す。図7Aは、補強具の高さ方向に対する断面構造を表したものである。同図において、厚布部711の左右両端の縫込み部(同図では片側しか表れていない)は、2回程度折り返されて縫込み位置713のラインに沿って裏地となる薄布部712に縫込まれている(この2回程度の折り返しは制限的なものではなく、1回半や2回半の折り返し、あるいは3回以上の折り返しなど、素材との関係で適宜変更できる。)。このような縫付けをすることにより、厚布部の左右両端部の固さを維持または向上させることができ、図6A図6Dを参照して説明した一連の動作においても、スタンド脚部の動きが、ある程度の固さを有する厚布部の動きを追い抜きやすくする。
【0052】
図7Bは、図7Aを参照して説明した縫込み部を採用する領域例を説明する説明図である。図7Bにおいて、補強具720は、その厚布部721の両端部全域(722a及び722b)にわたって2回程度の折り返し縫込みが行われている。
また、図7Cでは、補強具730は、その厚布部731の両端部の下方の高さH2の部分となる732a及び732bで2回程度の折り返し縫込みが行われている(H2は、補強具の高さに対して10~50%程度。)。
このようなバリエーションは、採用される素材やその組み合わせ等によって調整される。
【0053】
(厚布部の上部の強化バリエーション)
図8A図8Bは、厚布部の上部に補強板等の補強材が採用されることによる補強のバリエーションを示す。
【0054】
図8Aに示された補強具800は、その厚布部801の上部にプラ板等の補強板802が接着されるか、あるいは縫い込まれている。このとき、図示されていないが補強板802は表側が全体的に凸面となるような緩やかな曲げ加工を施しておくと好適である。このような加工により、補強具800が装着されたゴルフバッグの状態に関わらずこの厚布部801は一定の張りと見栄えを保つことができ、ネームや広告等の表示機能を持たせた場合にも高い視認性を発揮することができる。
【0055】
図8Bに示された補強具810は、その厚布部811の上部にプラ板等の補強板812が接着されるか、あるいは縫い込まれているが、補強板812の上部両端には、通し筒部にそれぞれ乗り上げるような乗り上げ部8121a及び8121bが設けられている。このような構造にすることにより、図6A図6Dを参照して説明した一連の動作においても、厚布部の落ち込みを防止してスタンド脚部の動きが厚布部の動きを一層追い抜きやすくする。
なお、補強板812においても、補強板802について説明したような曲げ加工を施すと好適である。
【0056】
(厚布部の上部のその他の強化バリエーション)
図9A図9Cは、厚布部の上部を金属ワイヤや特殊形状の補強材等が採用されることのよる補強のバリエーションを示す。
【0057】
図9Aに示された補強具910は、その厚布部911の上部に金属ワイヤ等の補強材912が接着されるか、あるいは縫い込まれている。このとき、図示されていないが補強材緒912は全体的に表側へ凸状に湾曲となるような緩やかな曲げ加工を施すと好適である。このような加工により、補強材緒912が装着されたゴルフバッグの状態に関わらずこの厚布部911は一定の張りと見栄えを保つことができ、ネームや広告等の表示機能を持たせた場合にも高い視認性を発揮することができる。
【0058】
図9Bに示された補強具920は、その厚布部921の上部にC形状の金属ワイヤ等の補強材922が接着されるか、あるいは縫い込まれている。なお、補強材922においても、補強材912について説明したような曲げ加工を施すと好適である。
【0059】
図9Cに示された補強具930は、その厚布部931の上部にトンネル型あるいは中央部を山状に切り欠いた板状の補強材932が接着されるか、あるいは縫い込まれている。なお、補強材932においても、補強材912について説明したような曲げ加工を施すと好適である。
【0060】
[組み合わせ]
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件については、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0061】
[特徴や要素の一例]
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴や要素の各々(寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等)は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために作用する代替の要素に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された要素の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【符号の説明】
【0062】
10 補強具(バナー機能を備えることができる)
11 厚布部
111a、111b 縫込み部(係合部)
12a、12b 薄布部
13a、13b 通し筒部
131a、131b 縫込み部(係合部)
132a、132b 上部滑り止め加工部
133a、133b 下部滑り止め加工部
241a、241b コードストッパー
300 ゴルフバッグ
301a、301b スタンド脚部
302a、302b 開閉部材
303 接地板部
【要約】
【課題】 サイズや脚の開き角度等の製品仕様が異なる種々のスタンド脚付きゴルフバッグに柔軟に適応できる補強具を提供する。
【解決手段】 スタンド脚付きゴルフバッグに装着可能な補強具であって、前記装着の際に前記スタンド脚を通すための左右の通し筒部と、前記左右の通し筒部の間に配置された厚布部及び前記厚布部の左右に配置された薄布部と、を備えるスタンド脚付きゴルフバッグ用補強具が提供される。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C