(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241111BHJP
H10K 65/00 20230101ALI20241111BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241111BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241111BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241111BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20241111BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K65/00
H10K59/35
H10K59/40
H10K59/10
G06F3/042 472
G06F3/041 412
(21)【出願番号】P 2024054090
(22)【出願日】2024-03-28
(62)【分割の表示】P 2021532548の分割
【原出願日】2020-07-08
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2019132204
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019152454
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019205423
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019213696
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太介
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
【審査官】武田 知晋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-262176(JP,A)
【文献】特表2007-529775(JP,A)
【文献】国際公開第2006/134869(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/24582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
H10K 65/00
H10K 59/35
H10K 59/40
H10K 59/10
G06F 3/042
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスと、受発光デバイスと、を有し、
前記発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、及び共通電極を有し、
前記受発光デバイスは、第2の画素電極、第2の発光層、活性層、及び前記共通電極を有し、
前記第1の発光層は、前記第1の画素電極と前記共通電極との間に位置し、
前記第2の発光層及び前記活性層は、それぞれ、前記第2の画素電極と前記共通電極との間に位置し、
前記第1の発光層は、第1の色の光を発する第1の発光物質を有し、
前記第2の発光層は、第2の色の光を発する第2の発光物質を有し、
前記第1の色は、前記第2の色よりも短波長であり、
前記活性層は、前記第2の色の光よりも短波長の光を吸収する有機化合物を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置、表示モジュール、及び電子機器に関する。本発明の一態様は、受発光デバイス(受発光素子ともいう)と発光デバイス(発光素子ともいう)とを有する表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、入出力装置(例えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、PID(Public Information Display)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマートフォンやタブレット端末の開発が進められている。
【0004】
表示装置としては、例えば、発光デバイスを有する発光装置が開発されている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流低電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。例えば、特許文献1に、有機ELデバイス(有機EL素子ともいう)が適用された、可撓性を有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置の精細度を高めることを課題の一とする。本発明の一態様は、利便性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、多機能の表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、開口率の高い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置の作製歩留まりの向上を課題の一とする。本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置の工程数を少なくすることを課題の一とする。本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置の作製コストを低減することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスと、受発光デバイスと、を有する。発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、及び共通電極を有する。受発光デバイスは、第2の画素電極、第2の発光層、活性層、及び共通電極を有する。活性層は、有機化合物を有する。第1の発光層は、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光層及び活性層は、それぞれ、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。発光デバイスは、第1の色の光を発する機能を有する。受発光デバイスは、第2の色の光を発する機能と、第1の色の光を受光する機能と、を有する。
【0010】
本発明の一態様の表示装置は、例えば、m個(mは2以上の整数)の発光デバイスと、n個(nはmより大きい整数)の受発光デバイスと、を有する。mとnは、n=2mを満たすことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様の表示装置は、p個(pは2以上の整数)の第1の発光デバイスと、q個(qは2以上の整数)の第2の発光デバイスと、r個(rはpより大きく、qより大きい整数)の受発光デバイスと、を有する。第1の発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、及び共通電極を有する。受発光デバイスは、第2の画素電極、第2の発光層、活性層、及び共通電極を有する。第2の発光デバイスは、第3の画素電極、第3の発光層、及び共通電極を有する。活性層は、有機化合物を有する。第1の発光層は、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光層及び活性層は、それぞれ、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。第3の発光層は、第3の画素電極と共通電極との間に位置する。第1の発光デバイスは、第1の色の光を発する機能を有する。受発光デバイスは、第2の色の光を発する機能と、第1の色の光を受光する機能と、を有する。第2の発光デバイスは、第3の色の光を発する機能を有する。pとrは、r=2pを満たすことが好ましい。p、q、rは、r=p+qを満たすことが好ましい。
【0012】
受発光デバイスは、第2の画素電極、活性層、第2の発光層、共通電極の順で積層された構造とすることができる。または、受発光デバイスは、第2の画素電極、第2の発光層、活性層、共通電極の順で積層された構造とすることができる。
【0013】
受発光デバイスは、さらに、バッファ層を有することが好ましい。バッファ層は、第2の発光層と活性層との間に位置することが好ましい。バッファ層は、正孔輸送層であることが好ましい。
【0014】
発光デバイス及び受発光デバイスは、さらに、共通層を有することが好ましい。共通層は、第1の画素電極と共通電極との間、及び、第2の画素電極と共通電極との間に位置することが好ましい。
【0015】
表示装置は、さらに、樹脂層、遮光層、及び基板を有することが好ましい。樹脂層及び遮光層は、それぞれ、共通電極と基板との間に位置することが好ましい。
【0016】
樹脂層は、受発光デバイスと重なる開口を有することが好ましい。樹脂層は、発光デバイスと重なる部分を有することが好ましい。遮光層は、共通電極と樹脂層との間に位置する部分を有することが好ましい。遮光層は、開口の少なくとも一部、及び、開口にて露出している樹脂層の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0017】
または、樹脂層は、島状に設けられ、かつ、発光デバイスと重なる部分を有することが好ましい。遮光層は、共通電極と樹脂層との間に位置する部分を有することが好ましい。基板を通過した光の少なくとも一部は、樹脂層を介さずに、受発光デバイスに入射することが好ましい。遮光層は、樹脂層の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0018】
表示装置は、さらに、接着層を有することが好ましい。接着層は、共通電極と基板との間に位置することが好ましい。樹脂層及び遮光層は、それぞれ、接着層と基板との間に位置することが好ましい。接着層は、受発光デバイスと重なる第1の部分と、発光デバイスと重なる第2の部分と、を有することが好ましい。第1の部分は、第2の部分に比べて厚いことが好ましい。
【0019】
表示装置は、受発光デバイスを複数有するユニットを複数有し、ユニットごとに撮像を行うモードと、受発光デバイスごとに撮像を行うモードと、を有することが好ましい。または、表示装置は、受発光デバイスを複数有し、全ての受発光デバイスを撮像に用いるモードと、一部の受発光デバイスを撮像に用いるモードと、を有することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様の表示装置は、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、第1の受発光デバイス、及び第2の受発光デバイスを有する。表示装置は、表示を行う第1のモード、撮像を行う第2のモード、及び、表示と撮像を同時に行う第3のモードを有する。第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、第1の受発光デバイス、及び第2の受発光デバイスは、同一面上に位置する。第1のモードでは、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、第1の受発光デバイス、及び第2の受発光デバイスがそれぞれ発光することで表示を行う。第2のモードでは、第1の発光デバイス及び第2の発光デバイスがそれぞれ発光し、第1の受発光デバイス及び第2の受発光デバイスがそれぞれ受光することで、撮像を行う。第3のモードでは、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、及び第1の受発光デバイスがそれぞれ発光し、第2の受発光デバイスが受光することで、表示と撮像を同時に行う。
【0021】
本発明の一態様の表示装置は、可撓性を有することが好ましい。
【0022】
本発明の一態様は、上記いずれかの構成の表示装置を有し、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit、以下、FPCと記す)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクタが取り付けられたモジュール、またはCOG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等のモジュールである。
【0023】
本発明の一態様は、上記のモジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち少なくとも一つと、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、光検出機能を有する表示装置を提供できる。本発明の一態様により、光検出機能を有する表示装置の精細度を高めることができる。本発明の一態様により、利便性の高い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、多機能の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、開口率の高い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、精細度の高い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、新規な表示装置を提供できる。
【0025】
本発明の一態様により、光検出機能を有する表示装置の作製歩留まりを向上できる。本発明の一態様により、光検出機能を有する表示装置の工程数を少なくできる。本発明の一態様により、光検出機能を有する表示装置の作製コストを低減できる。
【0026】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図8】
図8Aは、表示装置の一例を示す断面図である。
図8B、
図8Cは、樹脂層の上面レイアウトの一例を示す図である。
【
図9】
図9Aは、表示装置の一例を示す断面図である。
図9B、
図9Cは、遮光層の上面レイアウトの一例を示す図である。
【
図24】
図24Aは、IGZOの結晶構造の分類を説明する図である。
図24Bは、石英ガラス基板のXRDスペクトルを説明する図である。
図24Cは、結晶性IGZO膜のXRDスペクトルを説明する図である。
図24Dは、石英ガラス基板の極微電子線回折パターンを説明する図である。
図24Eは、結晶性IGZO膜の極微電子線回折パターンを説明する図である。
【
図28】
図28は、受発光デバイスの輝度-電圧特性を示す図である。
【
図29】
図29は、受発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を示す図である。
【
図30】
図30は、受発光デバイスの受光感度の波長依存性を示す図である。
【
図31】
図31は、受発光デバイスの受光感度の波長依存性を示す図である。
【
図32】
図32は、受発光デバイスの受光感度の温度依存性を示す図である。
【
図33】
図33は、受発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を示す図である。
【
図34】
図34は、順バイアス印加時の受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す図である。
【
図35】
図35は、受発光デバイスの外部量子効率-波長特性を示す図である。
【
図36】
図36は、逆バイアス印加時の受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す図である。
【
図37】
図37は、受発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を示す図である。
【
図38】
図38は、順バイアス印加時の受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す図である。
【
図39】
図39は、受発光デバイスの外部量子効率-波長特性を示す図である。
【
図40】
図40は、逆バイアス印加時の受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0030】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0031】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0032】
なお、本明細書等において、特に説明のない限り、要素(発光デバイス、発光層など)を複数有する構成を説明する場合であっても、各々の要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。例えば、発光層193B及び発光層193G等に共通する事項を説明する場合に、発光層193と記す場合がある。
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について
図1~
図14を用いて説明する。
【0034】
本実施の形態の表示装置の表示部は、画像を表示する機能に加えて、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方も有する。
【0035】
例えば、発光デバイスである有機ELデバイスと、受光デバイスである有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機ELデバイスを用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0036】
しかし、発光デバイスを有する副画素とは別に、受光デバイスを有する副画素を設けると、画素の開口率が低下する場合や、表示装置の高精細化が困難となる場合がある。
【0037】
そこで、本実施の形態の表示装置は、いずれかの色を呈する副画素に、発光デバイスの代わりとして、受発光デバイスを設ける。受発光デバイスは、光を発する機能(発光機能)と、受光する機能(受光機能)と、の双方を有する。例えば、画素が、赤色の副画素、緑色の副画素、青色の副画素の3つの副画素を有する場合、少なくとも1つの副画素が受発光デバイスを有し、他の副画素は発光デバイスを有する構成とする。受発光デバイスが、発光デバイスと受光デバイスとを兼ねることで、画素に含まれる副画素の数を増やさずに、画素に受光機能を付与することができる。これにより、画素の開口率(各副画素の開口率)、及び、表示装置の精細度を維持したまま、表示装置の表示部に、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付加することができる。
【0038】
受発光デバイスは、有機ELデバイスと有機フォトダイオードを組み合わせて作製することができる。例えば、有機ELデバイスの積層構造に、有機フォトダイオードの活性層を追加することで、受発光デバイスを作製することができる。さらに、有機ELデバイスと有機フォトダイオードを組み合わせて作製する受発光デバイスは、有機ELデバイスと共通の構成にできる層を一括で成膜することで、成膜工程の増加を抑制することができる。
【0039】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受発光デバイス及び発光デバイスで共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受発光デバイス及び発光デバイスで共通の層とすることが好ましい。また、例えば、受光デバイスの活性層の有無以外は、受発光デバイスと発光デバイスとで同一の構成にすることもできる。つまり、発光デバイスに、受光デバイスの活性層を加えるのみで、受発光デバイスを作製することもできる。このように、受発光デバイス及び発光デバイスが共通の層を有することで、成膜回数及びマスクの数を減らすことができ、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。また、表示装置の既存の製造装置及び製造方法を用いて、受発光デバイスを有する表示装置を作製することができる。
【0040】
なお、受発光デバイスが有する層は、受発光デバイスが、受光デバイスとして機能する場合と、発光デバイスとして機能する場合と、で、機能が異なることがある。本明細書中では、受発光デバイスが発光デバイスとして機能する場合における機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、受発光デバイスが発光デバイスとして機能する際には、正孔注入層として機能し、受発光デバイスが受光デバイスとして機能する際には、正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、受発光デバイスが発光デバイスとして機能する際には、電子注入層として機能し、受発光デバイスが受光デバイスとして機能する際には、電子輸送層として機能する。
【0041】
このように、本実施の形態の表示装置は、表示部に、受発光デバイスと発光デバイスとを有する。具体的には、表示部には、受発光デバイスと発光デバイスがそれぞれマトリクス状に配置されている。そのため、表示部は、画像を表示する機能に加えて、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方も有する。
【0042】
表示部は、イメージセンサやタッチセンサに用いることができる。つまり、表示部で光を検出することで、画像を撮像することや、対象物(指やペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。さらに、本実施の形態の表示装置は、発光デバイスをセンサの光源として利用することができる。したがって、表示装置と別に受光部及び光源を設けなくてよく、電子機器の部品点数を削減することができる。
【0043】
本実施の形態の表示装置では、表示部が有する発光デバイスの発光を対象物が反射した際、受発光デバイスがその反射光を検出できるため、暗い場所でも、撮像やタッチ(さらには近接)検出が可能である。
【0044】
本実施の形態の表示装置は、発光デバイス及び受発光デバイスを用いて、画像を表示する機能を有する。つまり、発光デバイス及び受発光デバイスは、表示デバイス(表示素子ともいう)として機能する。
【0045】
発光デバイスとしては、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのELデバイスを用いることが好ましい。ELデバイスが有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。また、発光デバイスとして、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0046】
本実施の形態の表示装置は、受発光デバイスを用いて、光を検出する機能を有する。受発光デバイスは、受発光デバイス自身が発する光よりも短波長の光を検出することができる。
【0047】
受発光デバイスをイメージセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受発光デバイスを用いて、画像を撮像することができる。例えば、本実施の形態の表示装置は、スキャナとして用いることができる。
【0048】
例えば、イメージセンサを用いて、指紋や掌紋などのデータを取得することができる。つまり、本実施の形態の表示装置に、生体認証用センサを内蔵させることができる。表示装置が生体認証用センサを内蔵することで、表示装置とは別に生体認証用センサを設ける場合に比べて、電子機器の部品点数を少なくでき、電子機器の小型化及び軽量化が可能である。
【0049】
また、イメージセンサを用いて、ユーザーの表情、目の動き、または瞳孔径の変化などのデータを取得することができる。当該データを解析することで、ユーザーの心身の情報を取得することができる。当該情報をもとに表示及び音声の一方又は双方の出力内容を変化させることで、例えば、VR(Virtual Reality)向け機器、AR(Augmented Reality)向け機器、またはMR(Mixed Reality)向け機器において、ユーザーが機器を安全に使用できるよう図ることができる。
【0050】
また、受発光デバイスをタッチセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受発光デバイスを用いて、対象物の近接または接触を検出することができる。
【0051】
受発光デバイスは、受発光デバイスに入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換デバイスとして機能する。入射する光量に基づき、発生する電荷量が決まる。
【0052】
受発光デバイスは、上記発光デバイスの構成に、受光デバイスの活性層を追加することで作製することができる。
【0053】
受発光デバイスには、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードの活性層を用いることができる。
【0054】
特に、受発光デバイスには、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードの活性層を用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0055】
【0056】
図1Aに示す表示装置50Aは、基板51と基板59との間に、受発光デバイスを有する層53と、発光デバイスを有する層57と、を有する。
【0057】
図1Bに示す表示装置50Bは、基板51と基板59との間に、受発光デバイスを有する層53、トランジスタを有する層55、及び、発光デバイスを有する層57を有する。
【0058】
表示装置50A及び表示装置50Bは、発光デバイスを有する層57から、緑色(G)の光及び青色(B)の光が射出され、受発光デバイスを有する層53から赤色(R)の光が射出される構成である。なお、本発明の一態様の表示装置において、受発光デバイスを有する層53が発する光の色は、赤色に限定されない。
【0059】
受発光デバイスを有する層53に含まれる受発光デバイスは、表示装置50Aまたは表示装置50Bの外部から入射した光を検出することができる。当該受発光デバイスは、例えば、緑色(G)の光及び青色(B)の光のうち一方または双方を検出することができる。
【0060】
本発明の一態様の表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの受発光デバイスまたは1つの発光デバイスを有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。少なくとも1色の副画素は、受発光デバイスを有する。受発光デバイスは、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受発光デバイスを有していてもよい。
【0061】
トランジスタを有する層55は、例えば、受発光デバイスと電気的に接続されるトランジスタ、及び、発光デバイスと電気的に接続されるトランジスタを有する。トランジスタを有する層55は、さらに、配線、電極、端子、容量、抵抗などを有していてもよい。
【0062】
本発明の一態様の表示装置は、表示装置に接触している指などの対象物を検出する機能を有していてもよい(
図1C)。または、表示装置に近接している(接触していない)対象物を検出する機能を有していてもよい(
図1D)。例えば、
図1C及び
図1Dに示すように、発光デバイスを有する層57において発光デバイスが発した光を、表示装置50Bに接触または近接した指52が反射することで、受発光デバイスを有する層53における受発光デバイスがその反射光を検出する。これにより、表示装置50Bに指52が接触または近接したことを検出することができる。
【0063】
[画素]
図1E~
図1Gに、画素の一例を示す。なお、副画素の配列は図示した順序に限定されない。例えば、副画素(B)と副画素(G)の位置を逆にしても構わない。
【0064】
図1Eに示す画素は、ストライプ配列が適用され、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。画素が、R、G、Bの3つの副画素からなる表示装置において、Rの副画素に用いる発光デバイスを、受発光デバイスに置き換えることで、画素に受光機能を有する表示装置を作製することができる。
【0065】
図1Fに示す画素は、マトリクス配列が適用され、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、青色の光を呈する副画素(B)、及び、白色の光を呈する副画素(W)を有する。画素が、R、G、B、Wの4つの副画素からなる表示装置においても、Rの副画素に用いる発光デバイスを、受発光デバイスに置き換えることで、画素に受光機能を有する表示装置を作製することができる。
【0066】
図1Gに示す画素は、ペンタイル配列が適用され、画素によって組み合わせの異なる2色の光を呈する副画素を有する。
図1Gに示す左上の画素と右下の画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、及び、緑色の光を呈する副画素(G)を有する。
図1Gに示す左下の画素と右上の画素は、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。なお、
図1Gに示す副画素の形状は、当該副画素が有する発光デバイスまたは受発光デバイスの上面形状を示している。
【0067】
以上のように、本実施の形態の表示装置には、様々な配列の画素を適用することができる。本実施の形態の表示装置は、画素に受光機能を組み込むために画素配列を変更する必要がないため、開口率及び精細度を低減させずに、表示部に撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付加することができる。
【0068】
[受発光デバイス]
図2A~
図2Eに、受発光デバイスの積層構造の例を示す。
【0069】
受発光デバイスは、一対の電極間に、少なくとも、活性層及び発光層を有する。
【0070】
受発光デバイスは、活性層及び発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、電子ブロック性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0071】
図2A~
図2Cに示す受発光デバイスは、それぞれ、第1の電極180、正孔注入層181、正孔輸送層182、活性層183、発光層193、電子輸送層184、電子注入層185、及び第2の電極189を有する。
【0072】
なお、
図2A~
図2Cに示す受発光デバイスは、それぞれ、発光デバイスに、活性層183を追加した構成ということができる。そのため、発光デバイスの作製工程に、活性層183を成膜する工程を追加するのみで、発光デバイスの形成と並行して受発光デバイスを形成することができる。また、発光デバイスと受発光デバイスとを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示部に撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付与することができる。
【0073】
発光層193と活性層183との積層順は限定されない。
図2Aでは、正孔輸送層182上に活性層183が設けられ、活性層183上に発光層193が設けられている例を示す。また、
図2Bでは、正孔輸送層182上に発光層193が設けられ、発光層193上に活性層183が設けられている例を示す。また、活性層183と発光層193とは、
図2A、
図2Bに示すように、互いに接していてもよい。
【0074】
図2Cに示すように、活性層183と発光層193との間にバッファ層が挟まれていることが好ましい。バッファ層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、及び電子ブロック層等のうち少なくとも1層を用いることができる。または、バッファ層として、バイポーラ性材料を含む層を用いてもよい。
図2Cでは、バッファ層として正孔輸送層182を用いる例を示す。
【0075】
活性層183と発光層193との間にバッファ層を設けることで、発光層193から活性層183に励起エネルギーが移動することを抑制できる。また、バッファ層を用いて、微小共振(マイクロキャビティ)構造の光路長(キャビティ長)を調整することもできる。したがって、活性層183と発光層193との間にバッファ層を有する受発光デバイスからは、高い発光効率を得ることができる。
【0076】
図2Dに示す受発光デバイスは、正孔輸送層182を有さない点で、
図2A、
図2Cに示す受発光デバイスと異なる。受発光デバイスは、正孔注入層181、正孔輸送層182、電子輸送層184、及び電子注入層185のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光デバイスは、正孔ブロック層、電子ブロック層など、他の機能層を有していてもよい。
【0077】
図2Eに示す受発光デバイスは、活性層183及び発光層193を有さず、発光層と活性層を兼ねる層186を有する点で、
図2A~
図2Cに示す受発光デバイスと異なる。
【0078】
発光層と活性層を兼ねる層186としては、例えば、活性層183に用いることができるn型半導体と、活性層183に用いることができるp型半導体と、発光層193に用いることができる発光物質と、の3つの材料を含む層を用いることができる。
【0079】
なお、n型半導体とp型半導体との混合材料の吸収スペクトルの最も低エネルギー側の吸収帯と、発光物質の発光スペクトル(PLスペクトル)の最大ピークと、は互いに重ならないことが好ましく、十分に離れていることがより好ましい。
【0080】
受発光デバイスにおいて、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0081】
受発光デバイスを発光デバイスとして駆動する際、正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層である。正孔注入層は、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物や、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料を用いることができる。
【0082】
受発光デバイスを発光デバイスとして駆動する際、正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。受発光デバイスを受光デバイスとして駆動する際、正孔輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した正孔を陽極に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)や芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0083】
受発光デバイスを発光デバイスとして駆動する際、電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。受発光デバイスを受光デバイスとして駆動する際、電子輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した電子を陰極に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0084】
受発光デバイスを発光デバイスとして駆動する際、電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層である。電子注入層は、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0085】
発光層193は、発光物質を含む層である。発光層193は、1種または複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0086】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量子ドット材料などが挙げられる。
【0087】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0088】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0089】
発光層193は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0090】
発光層193は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光デバイスの高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0091】
励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性材料のHOMO準位(最高被占有軌道準位)が電子輸送性材料のHOMO準位以上の値であると好ましい。正孔輸送性材料のLUMO準位(最低空軌道準位)が電子輸送性材料のLUMO準位以上の値であると好ましい。材料のLUMO準位及びHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位及び酸化電位)から導出することができる。
【0092】
励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性材料の発光スペクトル、電子輸送性材料の発光スペクトル、及びこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(または長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。または、正孔輸送性材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、または遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL、及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
【0093】
活性層183は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層193と、活性層183と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0094】
活性層183が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光デバイスとして有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0095】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0096】
活性層183が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0097】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0098】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0099】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0100】
例えば、活性層183は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。
【0101】
発光層と活性層を兼ねる層186は、上述の発光物質、n型半導体、及びp型半導体を用いて形成することが好ましい。
【0102】
正孔注入層181、正孔輸送層182、活性層183、発光層193、電子輸送層184、電子注入層185、及び、発光層と活性層を兼ねる層186には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。各層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0103】
以下では、
図3~
図5を用いて、本発明の一態様の表示装置が有する受発光デバイス及び発光デバイスの詳細な構成について説明する。
【0104】
本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出するトップエミッション型、発光デバイスが形成されている基板側に光を射出するボトムエミッション型、両面に光を射出するデュアルエミッション型のいずれであってもよい。
【0105】
図3~
図5では、トップエミッション型の表示装置を例に挙げて説明する。
【0106】
[構成例1]
図3A、
図3Bに示す表示装置は、基板151上に、トランジスタを有する層55を介して、青色(B)の光を発する発光デバイス47B、緑色(G)の光を発する発光デバイス47G、赤色(R)の光を発し、かつ、受光機能を有する受発光デバイス47R(PD)を有する。
【0107】
図3Aでは、受発光デバイス47R(PD)が発光デバイスとして機能する場合を示す。
図3Aでは、発光デバイス47Bが青色の光を発し、発光デバイス47Gが緑色の光を発し、受発光デバイス47R(PD)が赤色の光を発している例を示す。
【0108】
図3Bでは、受発光デバイス47R(PD)が受光デバイスとして機能する場合を示す。
図3Bでは、発光デバイス47Bが発する青色の光と、発光デバイス47Gが発する緑色の光と、を、受発光デバイス47R(PD)が検出している例を示す。
【0109】
発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)は、それぞれ、画素電極191及び共通電極115を有する。本実施の形態では、画素電極191が陽極として機能し、共通電極115が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する。
【0110】
本実施の形態では、発光デバイスと同様に、受発光デバイス47R(PD)においても、画素電極191が陽極として機能し、共通電極115が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受発光デバイス47R(PD)は、画素電極191と共通電極115との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受発光デバイス47R(PD)に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0111】
共通電極115は、発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)に共通で用いられる。発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)が有する画素電極191は、互いに電気的に絶縁されている(電気的に分離されている、ともいう)。
【0112】
発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)が有する一対の電極の材料及び膜厚等は等しくすることができる。これにより、表示装置の作製コストの削減及び作製工程の簡略化ができる。
【0113】
図3A、
図3Bに示す表示装置の構成について、具体的に説明する。
【0114】
発光デバイス47Bは、画素電極191上に、バッファ層192B、発光層193B、及びバッファ層194Bをこの順で有する。発光層193Bは、青色の光を発する発光物質を有する。発光デバイス47Bは、青色の光を発する機能を有する。
【0115】
発光デバイス47Gは、画素電極191上に、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gをこの順で有する。発光層193Gは、緑色の光を発する発光物質を有する。発光デバイス47Gは、緑色の光を発する機能を有する。
【0116】
受発光デバイス47R(PD)は、画素電極191上に、バッファ層192R、活性層183、発光層193R、及びバッファ層194Rをこの順で有する。発光層193Rは、赤色の光を発する発光物質を有する。活性層183は、赤色の光よりも短波長の光(例えば、緑色の光及び青色の光の一方または双方)を吸収する有機化合物を有する。なお、活性層183には、可視光だけでなく、紫外光を吸収する有機化合物を用いてもよい。受発光デバイス47R(PD)は、赤色の光を発する機能を有する。受発光デバイス47R(PD)は、発光デバイス47G及び発光デバイス47Bの少なくとも一方の発光を検出する機能を有し、双方の発光を検出する機能を有することが好ましい。
【0117】
活性層183は、赤色の光を吸収しにくく、かつ、赤色の光よりも短波長の光を吸収する有機化合物を有することが好ましい。これにより、受発光デバイス47R(PD)は、赤色の光を効率よく発する機能と、赤色の光よりも短波長の光を精度よく検出する機能とを、備えることができる。
【0118】
画素電極191、バッファ層192R、バッファ層192G、バッファ層192B、活性層183、発光層193R、発光層193G、発光層193B、バッファ層194R、バッファ層194G、バッファ層194B、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0119】
図3A、
図3Bに示す表示装置において、バッファ層、活性層、及び発光層は、デバイスごとに作り分けられる層である。
【0120】
バッファ層192R、192G、192Bは、それぞれ、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を有することができる。さらに、バッファ層192R、192G、192Bは、電子ブロック層を有していてもよい。バッファ層194B、194G、194Rは、それぞれ、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を有することができる。さらに、バッファ層194R、194G、194Bは、正孔ブロック層を有していてもよい。なお、発光デバイスを構成する各層の材料等については、上述の受発光デバイスを構成する各層の説明を参照できる。
【0121】
[構成例2]
図4A、
図4Bに示すように、発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)は、一対の電極間に、共通の層を有していてもよい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受発光デバイスを内蔵することができる。
【0122】
図4Aに示す発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)は、
図3A、
図3Bに示す構成に加えて、共通層112及び共通層114を有する。
【0123】
図4Bに示す発光デバイス47B、発光デバイス47G、及び受発光デバイス47R(PD)は、バッファ層192R、192G、192B及びバッファ層194R、194G、194Bを有さず、共通層112及び共通層114を有する点で、
図3A、
図3Bに示す構成と異なる。
【0124】
共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を有することができる。共通層114は、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を有することができる。
【0125】
共通層112及び共通層114は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0126】
[構成例3]
図5Aに示す表示装置は、受発光デバイス47R(PD)に、
図2Cに示す積層構造を適用した例である。
【0127】
受発光デバイス47R(PD)は、画素電極191上に、正孔注入層181、活性層183、正孔輸送層182R、発光層193R、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115をこの順で有する。
【0128】
正孔注入層181、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115は、発光デバイス47G及び発光デバイス47Bと共通の層である。
【0129】
発光デバイス47Gは、画素電極191上に、正孔注入層181、正孔輸送層182G、発光層193G、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115をこの順で有する。
【0130】
発光デバイス47Bは、画素電極191上に、正孔注入層181、正孔輸送層182B、発光層193B、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115をこの順で有する。
【0131】
本実施の形態の表示装置が有する発光デバイスには、マイクロキャビティ構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光デバイスが有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光デバイスから射出される光を強めることができる。
【0132】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。本明細書等では、それぞれ、半透過・半反射電極の一部として機能する、反射電極を画素電極または共通電極と記し、透明電極を光学調整層と記すことがあるが、透明電極(光学調整層)も、画素電極または共通電極としての機能を有するといえることがある。
【0133】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光デバイスには、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。また、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。なお、表示装置に、近赤外光を発する発光デバイスを用いる場合、これらの電極の近赤外光(波長750nm以上1300nm以下の光)の透過率、反射率も上記数値範囲であることが好ましい。
【0134】
正孔輸送層182B、182G、182Rは、それぞれ、光学調整層としての機能を有していてもよい。具体的には、発光デバイス47Bは、一対の電極間の光学距離が青色の光を強める光学距離となるように、正孔輸送層182Bの膜厚を調整することが好ましい。同様に、発光デバイス47Gは、一対の電極間の光学距離が緑色の光を強める光学距離となるように、正孔輸送層182Gの膜厚を調整することが好ましい。そして、受発光デバイス47R(PD)は、一対の電極間の光学距離が赤色の光を強める光学距離となるように、正孔輸送層182Rの膜厚を調整することが好ましい。光学調整層として用いる層は、正孔輸送層に限定されない。なお、半透過・半反射電極が、反射電極と透明電極との積層構造の場合、一対の電極間の光学距離とは、一対の反射電極間の光学距離を示す。
【0135】
[構成例4]
図5Bに示す表示装置は、受発光デバイス47R(PD)に、
図2Dに示す積層構造を適用した例である。
【0136】
受発光デバイス47R(PD)は、画素電極191上に、正孔注入層181、活性層183、発光層193R、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115をこの順で有する。
【0137】
正孔注入層181、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115は、発光デバイス47G及び発光デバイス47Bと共通の層である。
【0138】
発光デバイス47Gは、画素電極191上に、正孔注入層181、正孔輸送層182G、発光層193G、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115をこの順で有する。
【0139】
発光デバイス47Bは、画素電極191上に、正孔注入層181、正孔輸送層182B、発光層193B、電子輸送層184、電子注入層185、及び共通電極115をこの順で有する。
【0140】
正孔輸送層は、発光デバイス47G及び発光デバイス47Bに設けられ、受発光デバイス47R(PD)には設けられていない。このように、活性層及び発光層以外にも、発光デバイス及び受発光デバイスのうち一方にのみ設けられている層があってもよい。
【0141】
以下では、
図6~
図10を用いて、本発明の一態様の表示装置の詳細な構成について説明する。
【0142】
[表示装置10A]
図6A、
図6Bに表示装置10Aの断面図を示す。
【0143】
表示装置10Aは、発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受発光デバイス190R(PD)を有する。
【0144】
発光デバイス190Bは、画素電極191、バッファ層192B、発光層193B、バッファ層194B、及び共通電極115を有する。発光デバイス190Bは、青色の光21Bを発する機能を有する。
【0145】
発光デバイス190Gは、画素電極191、バッファ層192G、発光層193G、バッファ層194G、及び共通電極115を有する。発光デバイス190Gは、緑色の光21Gを発する機能を有する。
【0146】
受発光デバイス190R(PD)は、画素電極191、バッファ層192R、活性層183、発光層193R、バッファ層194R、及び共通電極115を有する。受発光デバイス190R(PD)は、赤色の光21Rを発する機能と、光22を検出する機能と、を有する。
【0147】
図6Aでは、受発光デバイス190R(PD)が発光デバイスとして機能する場合を示す。
図6Aでは、発光デバイス190Bが青色の光を発し、発光デバイス190Gが緑色の光を発し、受発光デバイス190R(PD)が赤色の光を発している例を示す。
【0148】
図6Bでは、受発光デバイス190R(PD)が受光デバイスとして機能する場合を示す。
図6Bでは、発光デバイス190Bが発する青色の光と、発光デバイス190Gが発する緑色の光と、を、受発光デバイス190R(PD)が検出している例を示す。
【0149】
画素電極191は、絶縁層214上に位置する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。互いに隣り合う2つの画素電極191は隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている(電気的に分離されている、ともいう)。
【0150】
隔壁216としては、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。隔壁216は、可視光を透過する層である。詳細は後述するが、隔壁216の代わりに、可視光を遮る隔壁217を設けてもよい。
【0151】
表示装置10Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受発光デバイス190R(PD)、発光デバイス190G、発光デバイス190B、及びトランジスタ42等を有する。
【0152】
受発光デバイス190R(PD)は、光を検出する機能を有する。具体的には、受発光デバイス190R(PD)は、表示装置10Aの外部から入射される光22を受光し、電気信号に変換する、光電変換デバイスである。光22は、発光デバイス190G及び発光デバイス190Bの一方または双方の発光を対象物が反射した光ということもできる。また、光22は、レンズを介して受発光デバイス190R(PD)に入射してもよい。
【0153】
発光デバイス190G及び発光デバイス190B(以下、まとめて、発光デバイス190とも記す)は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光デバイス190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光を射出する電界発光デバイスである(光21G、光21B参照)。
【0154】
バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194は、有機層(有機化合物を含む層)またはEL層ということもできる。画素電極191は可視光を反射する機能を有することが好ましい。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0155】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ42が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。トランジスタ42は、発光デバイスまたは受発光デバイスの駆動を制御する機能を有する。
【0156】
受発光デバイス190R(PD)と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、各色の発光デバイス190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0157】
受発光デバイス190R(PD)及び各色の発光デバイス190は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。
図6A等では、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受発光デバイス190R(PD)及び各色の発光デバイスなどの不純物が入り込むことを抑制し、受発光デバイス190R(PD)及び各色の発光デバイを高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。
【0158】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、各色の発光デバイス190と重なる位置、及び、受発光デバイス190R(PD)と重なる位置に開口を有する。なお、本明細書等において、発光デバイス190と重なる位置とは、具体的には、発光デバイス190の発光領域と重なる位置を指す。同様に、受発光デバイス190R(PD)と重なる位置とは、具体的には、受発光デバイス190R(PD)の発光領域及び受光領域と重なる位置を指す。
【0159】
図6Bに示すように、発光デバイス190の発光が対象物によって反射された光を受発光デバイス190R(PD)は検出することができる。しかし、発光デバイス190の発光が、表示装置10A内で反射され、対象物を介さずに、受発光デバイス190R(PD)に入射されてしまう場合がある。遮光層BMは、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層BMが設けられていない場合、発光デバイス190Gが発した光23は、基板152で反射され、反射光24が受発光デバイス190R(PD)に入射することがある。遮光層BMを設けることで、反射光24が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受発光デバイス190R(PD)を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0160】
遮光層BMとしては、発光デバイスからの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層BMは、可視光を吸収することが好ましい。遮光層BMとして、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層BMは、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0161】
[表示装置10B]
図7Aに示す表示装置10Bは、発光デバイス190及び受発光デバイス190R(PD)が、それぞれ、バッファ層192及びバッファ層194を有さず、共通層112及び共通層114を有する点で、表示装置10Aと異なる。なお、以降の表示装置の説明において、先に説明した表示装置と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0162】
なお、発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受発光デバイス190R(PD)の積層構造は、表示装置10A、10Bに示す構成に限られない。各デバイスには、例えば、
図2~
図5に示す積層構造などを適宜適用することができる。
【0163】
[表示装置10C]
図7Bに示す表示装置10Cは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する点で、表示装置10Bと異なる。
【0164】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0165】
表示装置10Cは、作製基板上に形成された絶縁層212、トランジスタ42、受発光デバイス190R(PD)、及び発光デバイス190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置10Cの可撓性を高めることができる。例えば、基板153及び基板154には、それぞれ、樹脂を用いることが好ましい。
【0166】
基板153及び基板154としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板153及び基板154の一方または双方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0167】
本実施の形態の表示装置が有する基板には、光学等方性が高いフィルムを用いてもよい。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0168】
[表示装置10D]
図8Aに表示装置10Dの断面図を示す。
【0169】
受発光デバイスは、発光デバイスの発光が対象物によって反射された光を検出する。しかし、発光デバイスの発光が、表示装置内で反射され、対象物を介さずに、受発光デバイスに入射されてしまう場合がある。このような迷光は光検出時にノイズとなり、S/N比(Signal-to-noise ratio)を低下させる要因となる。発光デバイス及び受発光デバイスが設けられている面よりも表示面側に遮光層BMを設けることで、迷光の影響を抑制することができる。これにより、ノイズを低減し、受発光デバイスを用いたセンサの感度を高めることができる。
【0170】
遮光層BMが発光デバイスから近い位置にあるほど、表示装置内の発光デバイスの迷光を抑制し、センサの感度を高めることができる。一方で、遮光層BMが受発光デバイスから遠い位置にあるほど、受発光デバイスの撮像範囲の面積を狭くすることができ、撮像の解像度を高めることができる。
【0171】
そこで、遮光層BMから受発光デバイスまでの距離と、遮光層BMから発光デバイスまでの距離と、に差が生じるよう、遮光層を形成する面に構造物(例えば樹脂層)を設けてもよい。構造物のレイアウト及び厚さを調整することで、遮光層BMから受発光デバイスまでの距離を長くし、かつ、遮光層BMから発光デバイスまでの距離を短くすることができる。これにより、センサのノイズを低減しつつ、撮像の解像度を高めることができる。
【0172】
なお、遮光層BMから受発光デバイスまでの距離と、遮光層BMから発光デバイスまでの距離と、の差が大きすぎると、色によって視野角依存性が変わってしまう。そのため、表示装置の用途などに応じて、表示品位及び撮像品位のバランスがとれる範囲内で、構造物のレイアウト及び厚さを調整することが好ましい。
【0173】
表示装置10Dは、樹脂層159を有する点で、表示装置10Aと異なる。
【0174】
樹脂層159は、基板152の基板151側の面に設けられている。樹脂層159は、発光デバイス190Gと重なる位置及び発光デバイス190Bと重なる位置に設けられ、受発光デバイス190R(PD)と重なる位置には設けられない。
【0175】
樹脂層159は、例えば、
図8Bに示すように、発光デバイス190Gと重なる位置及び発光デバイス190Bと重なる位置に島状に設けられ、かつ、受発光デバイス190R(PD)と重なる位置には設けられない構成とすることができる。または、樹脂層159は、例えば、
図8Cに示すように、発光デバイス190Gと重なる位置及び発光デバイス190Bと重なる位置に設けられ、かつ、受発光デバイス190R(PD)と重なる位置に開口159pを有する構成とすることができる。
【0176】
基板152の基板151側の面及び樹脂層159の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、発光デバイス190Bと重なる位置、発光デバイス190Gと重なる位置、及び、受発光デバイス190R(PD)と重なる位置に開口を有する。
【0177】
例えば、遮光層BMは、樹脂層159を通過し基板152の基板151側の面で反射した迷光23aを吸収することができる。また、遮光層BMは、樹脂層159に届く前に迷光23bを吸収することができる。これにより、受発光デバイス190R(PD)に入射する迷光を低減することができる。したがって、ノイズを低減し、受発光デバイス190R(PD)を用いたセンサの感度を高めることができる。特に、遮光層BMが発光デバイス190から近い位置にあると、迷光をより低減できるため好ましい。また、遮光層BMが発光デバイス190から近い位置にあると、表示の視野角依存性を抑制できるため、表示品位の向上の観点からも好ましい。
【0178】
また、遮光層BMを設けることで、受発光デバイス190R(PD)が光を検出する範囲を制御することができる。遮光層BMが受発光デバイス190R(PD)から離れた位置にあると、撮像範囲が狭くなり、撮像の解像度を高めることができる。
【0179】
樹脂層159が開口を有する場合、遮光層BMは、当該開口の少なくとも一部、及び当該開口にて露出している樹脂層159の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0180】
樹脂層159が島状に設けられている場合、遮光層BMは、樹脂層159の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0181】
このように、樹脂層159の形状に沿って遮光層BMが設けられるため、遮光層BMから発光デバイス190(具体的には、発光デバイス190の発光領域)までの距離は、遮光層BMから受発光デバイス190R(PD)(具体的には、受発光デバイス190R(PD)の受光領域)までの距離に比べて短くなる。これにより、センサのノイズを低減しつつ、撮像の解像度を高め、かつ、表示の視野角依存性を抑制することができる。したがって、表示装置における表示品位と撮像品位との双方を高めることができる。
【0182】
樹脂層159は、発光デバイス190の発光を透過する層である。樹脂層159の材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。なお、基板152と遮光層BMとの間に設ける構造物は、樹脂層に限定されず、無機絶縁膜などを用いてもよい。当該構造物の厚さが厚いほど、遮光層から受発光デバイス190R(PD)までの距離と、遮光層から発光デバイス190までの距離と、に差が生じる。樹脂などの有機絶縁膜は厚く形成することが容易であるため、当該構造物として好適である。
【0183】
遮光層BMから受発光デバイス190R(PD)までの距離と、遮光層BMから発光デバイス190までの距離と、を比較するために、例えば、遮光層BMの受発光デバイス190R(PD)側の端部から共通電極115までの最短距離L1と、遮光層BMの発光デバイス190側の端部から共通電極115までの最短距離L2と、を用いることができる。最短距離L1に比べて、最短距離L2が短いことで、発光デバイス190からの迷光を抑制し、受発光デバイス190R(PD)を用いたセンサの感度を高めることができる。最短距離L2に比べて、最短距離L1が長いことで、受発光デバイス190R(PD)の撮像範囲を狭くすることができ、撮像の解像度を高めることができる。
【0184】
また、接着層142における、発光デバイス190と重なる部分に比べて、受発光デバイス190R(PD)と重なる部分が厚い構成とすることでも、遮光層BMから受発光デバイス190R(PD)までの距離と、遮光層BMから発光デバイス190までの距離と、に差を生じさせることができる。
【0185】
[表示装置10E]
図9Aに、表示装置10Eの断面図を示す。
図9Aは、
図9B、
図9Cに示す上面図における一点鎖線A1-A2間の断面図に相当する。
【0186】
上面視(平面視ともいえる)において、受発光デバイス190R(PD)と、発光デバイス190Gとの間には、遮光層219が設けられている。同様に、受発光デバイス190R(PD)と、発光デバイス190Bとの間にも、遮光層219が設けられている。受発光デバイス190R(PD)と発光デバイス190との間に遮光層を設けることで、迷光が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。
【0187】
遮光層219は、
図9Bに示すように、複数の受発光デバイス190R(PD)と隣接していてもよく、
図9Cに示すように、1つの受発光デバイス190R(PD)にのみ隣接していてもよい。
【0188】
図9Aに示すように、隔壁216は、受発光デバイス190R(PD)と発光デバイス190Gとの間に、開口を有する。そして、開口を覆うように、遮光層219が設けられている。遮光層219は、隔壁216の開口、及び、開口にて露出した隔壁216の側面を覆うことが好ましい。遮光層219は、さらに、隔壁216の上面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0189】
隔壁216に開口を設けず、隔壁216上に遮光層219を設ける構成とすることもできるが、迷光が隔壁216を透過して受発光デバイス190R(PD)に入射する可能性がある。隔壁216に開口を設け、当該開口を埋めるように遮光層219を設ける構成とすることで、隔壁216を透過した迷光が、隔壁216の開口にて遮光層219で吸収される。これにより、迷光が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。
【0190】
遮光層219は、順テーパ形状であることが好ましい。なお、順テーパ形状を有する層は、当該層の側面と底面との間の角度(テーパ角)が、0°より大きく90°未満である。これにより、遮光層219上に設けられる膜(共通電極115及び保護層195など)の被覆性を高めることができる。
【0191】
遮光層219は、少なくとも、受発光デバイス190R(PD)が検出する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光デバイス190Gが発する緑色の光を受発光デバイス190R(PD)が検出する場合、遮光層219は、少なくとも緑色の光を吸収することが好ましい。例えば、遮光層219が、赤色のカラーフィルタを有すると、緑色の光を吸収することができ、反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。遮光層219は、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いて形成されたブラックマトリクスであってもよい。遮光層219は、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。または、遮光層219として、茶色レジスト材料を用いて、着色された絶縁層を形成してもよい。
【0192】
例えば、発光デバイス190Gが発する緑色の光を受発光デバイス190R(PD)が検出する場合、発光デバイス190Gが発した光は、基板152及び隔壁216で反射され、反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することがある。また、発光デバイス190Gが発した光が隔壁216を透過し、トランジスタまたは配線等で反射されることで、反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することがある。表示装置10Eでは、遮光層BM及び遮光層219によって光が吸収されることで、このような反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受発光デバイス190R(PD)を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0193】
例えば、遮光層BMは、迷光23bが基板152に届く前に、その多くを吸収することができる。さらに、迷光23bの一部が遮光層BMで反射しても、遮光層219が迷光23bを吸収することで、迷光23bがトランジスタ又は配線等に入射することを抑制できる。したがって、受発光デバイス190R(PD)に迷光が到達することを抑制できる。迷光23bが遮光層BMと遮光層219に当たる回数が多いほど、吸収される光量を増やすことができ、受発光デバイス190R(PD)に到達する迷光の量を極めて少なくすることができる。
【0194】
また、遮光層219が光を吸収することで、発光デバイスから直接、遮光層219に入射された迷光23dを、遮光層219によって吸収することができる。このことからも、遮光層219を設けることで、受発光デバイス190R(PD)に入射する迷光を低減することができる。
【0195】
また、遮光層BMを設けることで、受発光デバイス190R(PD)が光を検出する範囲を制御することができる。遮光層BMから受発光デバイス190R(PD)までの距離が長いと、撮像範囲が狭くなり、撮像の解像度を高めることができる。
【0196】
[表示装置10F]
図10Aに示す表示装置10Fは、可視光を透過する隔壁216を有さず、可視光を遮る隔壁217を有する点で、表示装置10Dと異なる。
【0197】
隔壁217は、発光デバイス190が発した光を吸収することが好ましい。隔壁217として、例えば、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。また、茶色レジスト材料を用いることで、着色された絶縁層で隔壁217を構成することができる。
【0198】
表示装置10D(
図8A)において、発光デバイス190が発した光は、基板152及び隔壁216で反射され、反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することがある。また、発光デバイス190が発した光が隔壁216を透過し、トランジスタまたは配線等で反射されることで、反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することがある。表示装置10Fでは、隔壁217によって光が吸収されることで、このような反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受発光デバイス190R(PD)を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0199】
隔壁217は、少なくとも、受発光デバイス190R(PD)が検出する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光デバイス190が発する緑色の光を受発光デバイス190R(PD)が検出する場合、隔壁217は、少なくとも緑色の光を吸収することが好ましい。例えば、隔壁217が、赤色のカラーフィルタを有すると、緑色の光を吸収することができ、反射光が受発光デバイス190R(PD)に入射することを抑制できる。
【0200】
遮光層BMは、樹脂層159に届く前に迷光23bの多くを吸収することができるが、迷光23bの一部は反射し、隔壁217に入射することがある。隔壁217が迷光23bを吸収する構成であると、迷光23bがトランジスタ又は配線等に入射することを抑制できる。したがって、受発光デバイス190R(PD)に迷光23cが到達することを抑制することができる。迷光23bが遮光層BMと隔壁217に当たる回数が多いほど、吸収される光量を増やすことができ、受発光デバイス190R(PD)に到達する迷光23cの量を極めて少なくすることができる。樹脂層159の厚さが厚いと、迷光23bが遮光層BMと隔壁217に当たる回数を増やすことができるため、好ましい。
【0201】
また、隔壁217が光を吸収することで、発光デバイス190から直接、隔壁217に入射された迷光23dを、隔壁217によって吸収することができる。このことからも、隔壁217を設けることで、受発光デバイス190R(PD)に入射する迷光を低減することができる。
【0202】
[表示装置10G]
図10Bに示す表示装置10Gは、可視光を透過する隔壁216を有さず、可視光を遮る隔壁217を有する点で、表示装置10Eと主に異なる。
【0203】
遮光層219は、隔壁217上に位置する。隔壁217は、隔壁216とは異なり、発光デバイスが発した光を吸収することができるため、隔壁217に開口を設けなくてよい。発光デバイスから隔壁217に入射された迷光は、隔壁217で吸収される。発光デバイスから遮光層219に入射された迷光23dは、遮光層219で吸収される。
【0204】
以下では、
図11~
図15を用いて、本発明の一態様の表示装置の、より詳細な構成について説明する。
【0205】
[表示装置100A]
図11に表示装置100Aの斜視図を示し、
図12に、表示装置100Aの断面図を示す。
【0206】
表示装置100Aは、基板152と基板151とが貼り合わされた構成を有する。
図11では、基板152を破線で明示している。
【0207】
表示装置100Aは、表示部162、回路164、配線165等を有する。
図11では表示装置100AにIC(集積回路)173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、
図11に示す構成は、表示装置100A、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0208】
回路164としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0209】
配線165は、表示部162及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から、またはIC173から配線165に入力される。
【0210】
図11では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式等により、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、表示装置100A及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0211】
図12に、
図11で示した表示装置100Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0212】
図12に示す表示装置100Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、トランジスタ207、発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)等を有する。
【0213】
基板152と絶縁層214は接着層142を介して接着されている。発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)の封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。
図12では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素やアルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)と重ねて設けられていてもよい。また、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0214】
発光デバイス190Bは、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193B、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ207が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ207は、発光デバイス190Bの駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0215】
発光デバイス190Gは、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193G、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光デバイス190Gの駆動を制御する機能を有する。
【0216】
受発光デバイス190R(PD)は、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、活性層183、発光層193R、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと電気的に接続されている。トランジスタ205は、受発光デバイス190R(PD)の駆動を制御する機能を有する。
【0217】
発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)が発する光は、基板152側に射出される。また、受発光デバイス190R(PD)には、基板152及び空間143を介して、光が入射する。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0218】
画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)に共通して用いられる。受発光デバイス190R(PD)は、赤色の光を呈する発光デバイスの構成に活性層183を追加した構成である。また、発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)は、活性層183と各色の発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置100Aの表示部162に受光機能を付加することができる。
【0219】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、発光デバイス190B、発光デバイス190G、受発光デバイス190R(PD)のそれぞれと重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受発光デバイス190R(PD)が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層BMを有することで、対象物を介さずに、発光デバイス190から受発光デバイス190R(PD)に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0220】
トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、及びトランジスタ207は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0221】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0222】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0223】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜、窒化酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。なお、基板151とトランジスタとの間に下地膜を設けてもよい。当該下地膜にも上記の無機絶縁膜を用いることができる。
【0224】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置100Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置100Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置100Aの端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、表示装置100Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0225】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0226】
図12に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が入り込むことを抑制できる。したがって、表示装置100Aの信頼性を高めることができる。
【0227】
トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、及びトランジスタ207は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0228】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0229】
トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、及びトランジスタ207には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0230】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0231】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0232】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0233】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0234】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2またはその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8またはその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5またはその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0235】
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0236】
回路164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0237】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0238】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0239】
基板151及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
【0240】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0241】
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0242】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0243】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層や、発光デバイス及び受発光デバイスが有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0244】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0245】
[表示装置100B]
図13に、表示装置100Bの断面図を示す。
【0246】
表示装置100Bは、保護層195を有する点で、主に表示装置100Aと異なる。表示装置100Aと同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0247】
発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受発光デバイス190R(PD)を覆う保護層195を設けることで、発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受発光デバイス190R(PD)に水などの不純物が入り込むことを抑制し、発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受発光デバイス190R(PD)の信頼性を高めることができる。
【0248】
表示装置100Bの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が入り込むことを抑制することができる。したがって、表示装置100Bの信頼性を高めることができる。
【0249】
保護層195は単層であっても積層構造であってもよく、例えば、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層と、無機絶縁層上の有機絶縁層と、有機絶縁層上の無機絶縁層と、を有する3層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0250】
さらに、受発光デバイス190R(PD)と重なる領域に、レンズが設けられていてもよい。これにより、受発光デバイス190R(PD)を用いたセンサの感度及び精度を高めることができる。
【0251】
レンズは、1.3以上2.5以下の屈折率を有することが好ましい。レンズは、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を用いて形成することができる。例えば、樹脂を含む材料をレンズに用いることができる。また、酸化物及び硫化物の少なくとも一方を含む材料をレンズに用いることができる。
【0252】
具体的には、塩素、臭素、またはヨウ素を含む樹脂、重金属原子を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、硫黄を含む樹脂などをレンズに用いることができる。または、樹脂と当該樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む材料をレンズに用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0253】
また、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物、またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズに用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズに用いることができる。
【0254】
また、表示装置100Bでは、保護層195と基板152とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受発光デバイス190R(PD)とそれぞれ重ねて設けられており、表示装置100Bには、固体封止構造が適用されている。
【0255】
[表示装置100C]
図14Aに、表示装置100Cの断面図を示す。
【0256】
表示装置100Cは、トランジスタの構造が、表示装置100Bと異なる。
【0257】
表示装置100Cは、基板151上に、トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210を有する。
【0258】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0259】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0260】
発光デバイス190Gの画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。
【0261】
受発光デバイス190R(PD)の画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ209の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。
【0262】
図14Aでは、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示す。一方、
図14Bでは、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクとして絶縁層225を加工することで、
図14Bに示すトランジスタ202を作製できる。
図14Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、導電層222a上及び導電層222b上に、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0263】
また、表示装置100Cは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する点で、表示装置100Bと異なる。
【0264】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0265】
表示装置100Cは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ208、トランジスタ209、トランジスタ210、受発光デバイス190R(PD)、及び発光デバイス190G等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置100Cの可撓性を高めることができる。
【0266】
絶縁層212には、絶縁層211及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。
【0267】
以上のように、本実施の形態の表示装置は、いずれかの色を呈する副画素に、発光デバイスの代わりとして、受発光デバイスを設ける。受発光デバイスが、発光デバイスと受光デバイスとを兼ねることで、画素に含まれる副画素の数を増やさずに、画素に受光機能を付与することができる。また、表示装置の精細度や、各副画素の開口率を下げずに、画素に受光機能を付与することができる。
【0268】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0269】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の駆動方法について
図15~
図20を用いて説明する。
【0270】
図15に、表示装置の1つの画素を表す回路図を示す。
【0271】
図15に示す画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
【0272】
赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)は、トランジスタM1R、トランジスタM2R、トランジスタM3R、トランジスタM11、トランジスタM12、トランジスタM13、トランジスタM14、容量Csr、容量Cf、及び、受発光デバイス190R(PD)を有する。トランジスタM1R、トランジスタM3R、トランジスタM11、トランジスタM12、及びトランジスタM14は、それぞれスイッチとして機能する。
【0273】
トランジスタM1Rは、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの一方が配線SLRと電気的に接続され、他方がトランジスタM2Rのゲート及び容量Csrの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタM2Rは、ソース及びドレインの一方がトランジスタM3Rのソース及びドレインの一方、トランジスタM11のソース及びドレインの一方、容量Csrの他方の電極、及び、受発光デバイス190R(PD)のアノードと電気的に接続され、他方が、配線ANODEと電気的に接続される。トランジスタM3Rは、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線V0と電気的に接続される。トランジスタM11は、ゲートが配線TXと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタM12のソースまたはドレインの一方、トランジスタM13のゲート、及び、容量Cfの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタM12は、ゲートが配線RSと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線VRSと電気的に接続される。トランジスタM13は、ソース及びドレインの一方がトランジスタM14のソース及びドレインの一方と電気的に接続され、他方が配線VPIと電気的に接続される。トランジスタM14は、ゲートが配線SEと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線WXと電気的に接続される。容量Cfの他方の電極は、配線VCPと電気的に接続される。受発光デバイス190R(PD)のカソードは、配線CATHODE/VPDと電気的に接続される。
【0274】
緑色の光を呈する副画素(G)は、トランジスタM1G、トランジスタM2G、トランジスタM3G、容量Csg、及び、発光デバイス190Gを有する。トランジスタM1G及びトランジスタM3Gは、それぞれスイッチとして機能する。
【0275】
トランジスタM1Gは、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの一方が配線SLGと電気的に接続され、他方がトランジスタM2Gのゲート及び容量Csgの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタM2Gは、ソース及びドレインの一方がトランジスタM3Gのソース及びドレインの一方、容量Csgの他方の電極、及び、発光デバイス190Gのアノードと電気的に接続され、他方が、配線ANODEと電気的に接続される。トランジスタM3Gは、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線V0と電気的に接続される。発光デバイス190Gのカソードは、配線CATHODE/VPDと電気的に接続される。
【0276】
青色の光を呈する副画素(B)は、トランジスタM1B、トランジスタM2B、トランジスタM3B、容量Csb、及び、発光デバイス190Bを有する。トランジスタM1B及びトランジスタM3Bは、それぞれスイッチとして機能する。
【0277】
トランジスタM1Bは、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの一方が配線SLBと電気的に接続され、他方がトランジスタM2Bのゲート及び容量Csbの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタM2Bは、ソース及びドレインの一方がトランジスタM3Bのソース及びドレインの一方、容量Csbの他方の電極、及び、発光デバイス190Bのアノードと電気的に接続され、他方が、配線ANODEと電気的に接続される。トランジスタM3Bは、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線V0と電気的に接続される。発光デバイス190Bのカソードは、配線CATHODE/VPDと電気的に接続される。
【0278】
配線GL、配線SE、配線TX、及び配線RSには、それぞれ、トランジスタの動作を制御するための信号が供給される。
【0279】
画像表示を行う場合、配線SLR、配線SLG、及び配線SLBには、それぞれ、画像信号VdataR、VdataG、VdataBが供給される。
【0280】
配線V0、配線VPI、配線VCP、配線VRS、配線ANODE、及び配線CATHODE/VPDにはそれぞれ所定の電位が供給される。配線V0には、画像信号VdataR、VdataG、VdataBの黒表示に対応する電位Vo(例えば0V)が供給される。配線VPIには、トランジスタM13のゲート電圧の範囲よりも高い電位が供給される。配線VCPには、任意の電位(例えば0V)を供給することができる。配線VRSには、配線CATHODE/VPDよりも低い電位が供給される。配線ANODEには、配線CATHODE/VPDよりも高い電位が供給される。
【0281】
トランジスタM1R、トランジスタM1G、トランジスタM1B、トランジスタM3R、トランジスタM3G、及びトランジスタM3Bは、配線GLに供給される信号により制御され、画素の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。
【0282】
トランジスタM2Rは、ゲートに供給される電位に応じて受発光デバイス190R(PD)に流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。同様に、トランジスタM2G、トランジスタM2Bは、それぞれ、ゲートに供給される電位に応じて発光デバイス190G、発光デバイス190Bに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。
【0283】
トランジスタM1Rが導通状態のとき、同時に、トランジスタM3Rも導通状態となり、配線SLRに供給される電位(例えば、画像信号VdataR)がトランジスタM2Rのゲートに供給され、配線V0に供給される電位VoがトランジスタM3Rのソースに供給される。容量Csrには、電圧VdataR-Voに応じた電荷が蓄積される。受発光デバイス190R(PD)は、ノードGRの電位(トランジスタM2Rのゲート電位)に応じた輝度で発光することができる。
【0284】
同様に、トランジスタM1Gが導通状態のとき、同時に、トランジスタM3Gも導通状態となり、配線SLGに供給される電位(例えば、画像信号VdataG)がトランジスタM2Gのゲートに供給され、配線V0に供給される電位VoがトランジスタM3Gのソースに供給される。電圧VdataG-Voに応じた電荷が蓄積される。発光デバイス190Gは、トランジスタM2Gのゲート電位に応じた輝度で発光することができる。また、トランジスタM1Bが導通状態のとき、同時に、トランジスタM3Bも導通状態となり、配線SLBに供給される電位(例えば、画像信号VdataB)がトランジスタM2Bのゲートに供給され、配線V0に供給される電位VoがトランジスタM3Bのソースに供給される。容量Csbには、電圧VdataB-Voに応じた電荷が蓄積される。発光デバイス190Bは、トランジスタM2Bのゲート電位に応じた輝度で発光することができる。
【0285】
トランジスタM11は、配線TXに供給される信号により制御され、受発光デバイス190R(PD)に流れる電流に応じてノードFDの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM12は、配線RSに供給される信号により制御され、トランジスタM13のゲートに接続するノードFDの電位を、配線VRSに供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM13は、ノードFDの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM14は、配線SEに供給される信号により制御され、ノードFDの電位に応じた出力を配線WXに接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0286】
本発明の一態様の表示装置では、
図15に示す画素に含まれるトランジスタの全てに、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流が極めて小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを用いることで、表示装置の消費電力を低減することができる。
【0287】
または、本発明の一態様の表示装置では、
図15に示す画素に含まれるトランジスタ全てに、チャネルが形成される半導体層にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)を用いることが好ましい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly-Silicon))を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く高速動作が可能である。
【0288】
さらに、LTPSトランジスタなどのSiトランジスタを用いることで、CMOS回路で構成される各種回路を、表示部と同一基板に作りこむことが容易となる。これにより、表示装置に実装される外部回路を簡略化することができ、部品コスト、実装コストを削減することができる。
【0289】
または、本発明の一態様の表示装置では、受発光デバイスを有する副画素(R・PD)に、2種類のトランジスタを用いることが好ましい。具体的には、当該副画素は、OSトランジスタと、LTPSトランジスタと、を有することが好ましい。トランジスタに求められる機能に応じて、半導体層の材料を変えることで、受発光デバイスを有する副画素(R・PD)の画素回路の品質を高め、センシングや撮像の精度を高めることができる。このとき、発光デバイスを有する副画素(G)、副画素(B)には、OSトランジスタ及びLTPSトランジスタのうち一方を用いてもよく、双方を用いてもよい。
【0290】
さらに、画素に2種類のトランジスタ(例えば、OSトランジスタとLTPSトランジスタ)を用いた場合でも、LTPSトランジスタを用いることで、CMOS回路で構成される各種回路を、表示部と同一基板に作りこむことが容易となる。これにより、表示装置に実装される外部回路を簡略化することができ、部品コスト、実装コストを削減することができる。
【0291】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量Csr、容量Csg、容量Csb、または容量Cfに直列に接続されるトランジスタM1R、トランジスタM1G、トランジスタM1B、トランジスタM3R、トランジスタM3G、トランジスタM3B、トランジスタM11、及びトランジスタM12には、OSトランジスタを用いることが好ましい。
【0292】
また、トランジスタM13には、Siトランジスタを用いることが好ましい。これにより、撮像データの読み出し動作を高速に行うことができる。
【0293】
なお、
図15において、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。また、トランジスタは、シングルゲートに限らず、さらに、バックゲートを有していてもよい。
【0294】
受発光デバイス190R(PD)、発光デバイス190G、または発光デバイス190Bと重なる位置に、トランジスタ及び容量の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な表示部を実現できる。
【0295】
【0296】
図16Aに示すように、画像表示を行う際は、行ごとに画像信号の書き込み動作を行う。
【0297】
図17Aに、n行目の画素における画像信号の書き込み動作P1のタイミングチャートを示す。
【0298】
まず、時刻T1より前に、配線GL<n>の電位を高電位とし、配線TX、配線RS<n>、及び、配線SE<n>の電位をそれぞれ低電位にする。これにより、トランジスタM1R及びトランジスタM3Rが導通し、配線SLRの電位DataR<n>と配線V0の電位Voの電位差(電圧DataR<n>-Vo)に応じた電荷が容量Csrに蓄積される。また、トランジスタM1G及びトランジスタM3Gが導通し、配線SLGの電位DataG<n>と配線V0の電位Voの電位差(電圧DataG<n>-Vo)に応じた電荷が容量Csgに蓄積される。さらに、トランジスタM1B及びトランジスタM3Bが導通し、配線SLBの電位DataB<n>と配線V0の電位Voの電位差(電圧DataB<n>-Vo)に応じた電荷が容量Csbに蓄積される。このとき、配線WX<m>の電位は低電位である。
【0299】
次に、時刻T1と時刻T2の間に、配線GL<n>の電位を低電位にすることで、トランジスタM1R、M1G、M1B、M3R、M3G、M3Bが非導通となり、容量Csr、Csg、Csbに蓄積された電荷は保持され、画像信号の書き込み動作が終了する。トランジスタM2R、M2G、M2Bのゲート電位に基づいて、受発光デバイス190R(PD)、発光デバイス190G、発光デバイス190Bはそれぞれ発光する。
【0300】
図16Bに、受発光デバイス190R(PD)を用いて、グローバルシャッタ方式で撮像を行う場合のシーケンスを示す。
図16Bに示すように、受発光デバイス190R(PD)を用いて、撮像を行う場合は、まず、行ごとに撮像用画像信号の書き込み動作を行い、次に、書き込まれたデータを保持したまま、受光機能を有する副画素において、初期化(リセット)動作、露光(蓄積)動作、転送動作を順に行い、その後、行ごとに撮像データを読み出すことで検出を行う。
【0301】
図17Bに、n行目の画素における撮像用画像信号の書き込み動作P2のタイミングチャートを示す。ここでは、発光デバイス190Gを光源に用いて、受発光デバイス190R(PD)で撮像を行う例を示す。
【0302】
まず、時刻T3より前に、配線GL<n>の電位を高電位とし、配線TX、配線RS<n>、及び、配線SE<n>の電位をそれぞれ低電位にする。これにより、トランジスタM1R及びトランジスタM3Rが導通し、配線SLRの電位Vbと配線V0の電位Voの電位差(電圧Vb-Vo)に応じた電荷が容量Csrに蓄積される。また、トランジスタM1G及びトランジスタM3Gが導通し、配線SLGの電位Vemと配線V0の電位Voの電位差(電圧Vem-Vo)に応じた電荷が容量Csgに蓄積される。さらに、トランジスタM1B及びトランジスタM3Bが導通し、配線SLBの電位Vbと配線V0の電位Voの電位差(電圧Vb-Vo)に応じた電荷が容量Csgに蓄積される。このとき、配線WX<m>の電位は低電位である。
【0303】
ここで、配線SLRの電位Vbは、トランジスタM2Rにおけるゲート-ソース間電圧(Vgs)及び閾値電圧(Vth)が、Vgs=Vb-V0<Vthを満たす電位とする。これにより、トランジスタM2Rを完全にオフ状態とすることができる。
【0304】
配線SLGの電位Vemは、発光デバイス190Gを発光させるための電位とする。電位Vemとして、発光デバイス190Gの発光が、撮像に十分な輝度となる電位を供給することが好ましい。
【0305】
配線SLBには、発光デバイス190Bが非発光となる電位を供給する。
図17Bでは、配線SLBに電位Vbが供給される例を示すが、これに限定されない。配線SLBに供給される電位は、配線SLRに供給される電位と同じであっても、異なっていてもよい。なお、発光デバイス190Bも、撮像時に光源として用いる場合は、配線SLBに、発光デバイス190Bを発光させるための電位を供給する。
【0306】
次に、時刻T3と時刻T4の間に、配線GL<n>の電位を低電位にすることで、トランジスタM1R、M1G、M1B、M3R、M3G、M3Bが非導通となり、容量Csr、Csg、Csbに蓄積された電荷は保持され、撮像用の画像信号の書き込み動作が終了する。トランジスタM2Gのゲート電位に基づいて、発光デバイス190Gは発光する。
【0307】
図17Cに、初期化(リセット)動作P3のタイミングチャートを示す。
【0308】
時刻T5に、配線TX及び配線RS<n>の電位を高電位にすることで、トランジスタM11及びトランジスタM12が導通となる。これにより、受発光デバイス190R(PD)のアノードの電位と、ノードFDの電位と、を、配線VRSに供給される電位にリセットすることができる。ノードGRは浮遊のため、Vgsは保存され、ノードSAの電位によらず、トランジスタM2Rはオフ状態を保つ。配線VRSに、配線CATHODE/VPDよりも低い電位を供給することで、受発光デバイス190R(PD)に逆バイアスをかけることができる。
【0309】
時刻T6に、配線TX及び配線RS<n>の電位を低電位にすることで、トランジスタM11及びトランジスタM12が非導通となり、初期化動作が終了する。
【0310】
図17Dに、露光(蓄積)動作P4のタイミングチャートを示す。
【0311】
時刻T7から時刻T8までの間、受発光デバイス190R(PD)は、発光デバイス190Gが発した光を受光することで、電荷を発生する。これにより、受発光デバイス190R(PD)の容量に電荷が蓄積され、ノードSAの電位は、受発光デバイス190R(PD)で発生した電荷に応じた電位となる。
【0312】
なお、時刻T7から時刻T8までの間、配線SLR、配線SLG、配線SLB、配線GL<n>、配線TX、配線RS<n>、配線SE<n>、及び配線WX<m>は低電位とすることができる。
【0313】
図18Aに、転送動作P5のタイミングチャートを示す。
【0314】
時刻T9に、配線TXの電位を高電位にすることで、トランジスタM11が導通となる。これにより、ノードSAからノードFDに電荷が転送される。つまり、ノードFDの電位は、受発光デバイス190R(PD)で発生した電荷に応じた電位となる。
【0315】
時刻T10に、配線TXの電位を低電位にすることで、トランジスタM11が非導通となり、転送動作が終了する。
【0316】
図18Bに、検出動作P6のタイミングチャートを示す。
【0317】
時刻T11に、配線SEの電位を高電位にすることで、トランジスタM14が導通し、配線WXの電位を、受発光デバイス190R(PD)で発生した電荷に応じた電位とすることができる。これにより、受発光デバイス190R(PD)で発生した電荷に応じた出力sigを配線WXに接続する外部回路で読み出すことができる。なお、トランジスタM13は、ソースフォロワ回路が有するトランジスタということもできる。
【0318】
時刻T12に、配線SEの電位は高電位のまま、配線RS<n>の電位を高電位にすることで、トランジスタM12が導通し、配線WXの電位を、配線VRSの電位に応じた電位にリセットする。バックグラウンドの電位を読み出すことで、外部回路で、時刻T11で読み出した出力信号からトランジスタM13に起因する固定パターンノイズを除去することができる。これにより、画素間のトランジスタM13の特性のバラツキの影響を低減することができる。
【0319】
時刻T13に、配線RS<n>の電位を低電位にすることで、トランジスタM12が非導通となる。
【0320】
時刻T14に、配線SE<n>の電位を低電位にすることで、トランジスタM14が非導通となり、検出動作が終了する。
【0321】
時刻T3から時刻T14までの動作を繰り返し行うことで、撮像を繰り返し行うことができる。また、トランジスタM1R、M2R、M1G、M2G、M1B、M2Bに、OSトランジスタを用いる場合、撮像用画像信号を長時間保持することが可能であるため、撮像用画像信号の書き込み動作P2を行う頻度を低くすることができる。そのため、一度、時刻T3から時刻T14までの動作を行った後、時刻T5から時刻T14までの動作を所定の回数、繰り返し行い、その後、時刻T3の動作に戻ってもよい。
【0322】
なお、本実施の形態の表示装置は、画像表示を行うモード、撮像を行うモード、画像表示と撮像とを同時に行うモードのいずれでも駆動することができる。画像表示を行うモードでは、例えば、フルカラーの画像を表示することができる。また、撮像を行うモードでは、例えば、撮像用画像(例えば、緑単色、青単色など)を表示し、受発光デバイスを用いて撮像を行うことができる。撮像を行うモードでは、例えば、指紋認証などを行うことができる。また、画像表示と撮像とを同時に行うモードでは、例えば、一部の画素では、発光デバイス(発光デバイス190Gまたは発光デバイス190B)を用いて撮像用画像を表示し、かつ、受発光デバイス190R(PD)を用いて撮像を行い、残りの画素が有する受発光デバイス及び発光デバイスを用いて、フルカラーの画像を表示することができる。
【0323】
図19を用いて、画像表示と撮像とを同時に行うモードの動作方法の一例を説明する。
【0324】
図19では、1行目の副画素(R・PD)及び副画素(G)と、2行目の副画素(R・PD)及び副画素(G)の画素回路を示す。各副画素の回路構成は、
図15と同様である。
【0325】
以下では、1行目の副画素(R・PD)及び副画素(G)を用いて画像を表示し、2行目の副画素(R・PD)及び副画素(G)を用いて撮像を行う例を示す。
【0326】
まず、1行目の配線GL1の電位を高電位とし、配線TX、配線RS1、及び、配線SE1の電位をそれぞれ低電位にする。これにより、副画素(R・PD)が有するトランジスタM1R、M3R、及び、副画素(G)が有するトランジスタM1G、M3Gが導通し、配線SLR及び配線SLGから画像信号が供給される。このとき、配線WX1の電位は低電位である。次に、配線GL1の電位を低電位にすることで、トランジスタM1R、M1G、M3R、M3Gが非導通となり、画像信号の書き込み動作が終了する。トランジスタM2R、M2Gのゲート電位に基づいて、受発光デバイス190R(PD)、発光デバイス190Gはそれぞれ発光する。
【0327】
次に、2行目の配線GL2の電位を高電位とし、配線TX、配線RS2、及び、配線SE2の電位をそれぞれ低電位にする。これにより、副画素(R・PD)が有するトランジスタM1R、M3R、及び、副画素(G)が有するトランジスタM1G、M3Gが導通し、配線SLRからトランジスタM2Rを完全にオフ状態にする電位が供給され、かつ、配線SLGから、撮像用画像信号が供給される。このとき、配線WX2の電位は低電位である。次に、配線GL2の電位を低電位にすることで、トランジスタM1R、M1G、M3R、M3Gが非導通となり、信号の書き込み動作が終了する。トランジスタM2Gのゲート電位に基づいて、発光デバイス190Gは発光する。また、上述の初期化動作、露光動作、転送動作、及び検出動作を行うことで、副画素(R・PD)では、撮像を行うことができる。
【0328】
図20A~
図20Cを用いて、本発明の一態様の表示装置を表示部6001に適用した電子機器6000の機能を説明する。
【0329】
図20Aに示すように、表示部6001は、タッチパネルとして機能させることができる。表示部6001では、フルカラーの画像を表示しながら、指6003の接触を検出することができる。
【0330】
図20Bは、表示部6001の上面に触れた指6003の指紋認証を行う例であり、
図20Cは、表示部6001の側面に触れた指6003の指紋認証を行う例である。表示装置の表示部全体が受光機能を有するため、電子機器において、表示装置とは別に指紋センサを搭載する場合に比べて、指紋認証に用いる領域の自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の表示装置は、表示パネル、指紋センサ、及びタッチセンサのすべてを兼ね備えているため、それぞれを別に設けなくてよく、電子機器の小型化、薄型化、及び軽量化を図ることができる。
【0331】
以上のように、本実施の形態の表示装置は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)を、画像表示と、光検出の双方に用いることができる。また、複数の副画素(R・PD)のうち、一部を画像表示に用い、残りを光検出に用いることもできる。これにより、本実施の形態の表示装置は、画像表示を行うモード、撮像を行うモード、画像表示と撮像とを同時に行うモードのいずれでも駆動することができる。
【0332】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0333】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の駆動方法について、
図21及び
図22を用いて説明する。
【0334】
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置をタッチパネルとして機能させる場合について説明する。
【0335】
指紋の撮像には高い解像度が求められるため、受発光デバイスを用いて取得した撮像データは、全ての画素について、1つずつ(1画素ずつ)個別に読み出されることが好ましい。一方、タッチパネルとして機能させる場合は、指紋認証に比べて高い解像度が求められないが、読み出し動作を高速で行うことが求められる。
【0336】
例えば、複数の画素でタッチ検出を一括で行うことで、駆動周波数を高めることができる。例えば、同時に読み出す画素を、4画素(2×2画素)、9画素(3×3画素)、または16画素(4×4画素)などと適宜決定することができる。
【0337】
図21Aに、複数の画素に含まれる受発光デバイス(R・PD)の撮像データをまとめて読み出す例を示す。
【0338】
1つの画素300は、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
図21Aでは、ユニット310が、画素300を9つ(3×3画素)有する例を示すが、ユニット310が有する画素の数は特に限定されない。同じユニット310に含まれる画素300は、同時に、撮像データが読み出される。例えば、まず、ユニット310aの撮像データが読み出され、次に、ユニット310bの撮像データが読み出される。これにより、1画素ずつ個別に撮像データを読み出す場合に比べて、読み出し回数を削減でき、駆動周波数を高めることができる。また、ユニット310aの撮像データは、複数の画素300(ここでは9個の画素300)の撮像データを足し合わせたデータとなるため、1画素ずつ撮像する場合と比較して感度を高めることができる。
【0339】
または、一部の画素のみを用いて、タッチ検出を行ってもよい。例えば、タッチ検出に用いる画素を、4画素(2×2画素)につき1画素、100画素(10×10画素)につき1画素、または900画素(30×30画素)につき1画素などと適宜決定することができる。
【0340】
図21Bに、一部の画素のみを用いてタッチ検出を行う例を示す。
【0341】
1つの画素300は、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。読み出し対象となる対象画素320は、一点鎖線で囲った画素300のみである。
図21Bでは、タッチ検出に用いる対象画素320が、9画素(3×3画素)につき1画素である例を示すが、対象画素320の数は特に限定されない。まず、対象画素320aの撮像データが読み出され、次に、対象画素320bの撮像データが読み出される。対象画素320aと対象画素320bとの間にある画素300からは、撮像データが読み出されない。これにより、1画素ずつ全ての画素の撮像データを読み出す場合に比べて、読み出し回数を削減でき、駆動周波数を高めることができる。
【0342】
なお、特定の画素300のみを対象画素320として用いると、他の画素300と、受発光デバイスの劣化度合いに差が生じることがある。したがって、複数の画素300を交替で対象画素320として用いることが好ましい。例えば、9画素につき1画素を対象画素320として用いる場合、対象画素320が1行または1列ずつずれていき、3画素を交替で対象画素320として用いてもよい。また、9画素全てを交替で対象画素320として用いてもよい。
【0343】
本発明の一態様の表示装置は、受発光デバイスの動作モードを2種類以上有し、これらの動作モードは互いに切り替え可能であることが好ましい。例えば、全ての画素について、1画素ずつ個別に読み出すモードと、複数の画素をまとめて読み出すモードとが、切り替え可能であることが好ましい。または、全ての画素について読み出すモードと、一部の画素のみについて読み出すモードとが、切り替え可能であることが好ましい。これにより、指紋撮像時には、高い解像度で撮像を行い、画像表示時には、高い駆動周波数でタッチ検出を行うことができる。
【0344】
また、タッチ検出を行う際には、ノイズとなる周囲の光の影響を除去することが好ましい。
【0345】
例えば、一部の画素で、周期的に発光デバイスの点灯と消灯を繰り返し、点灯時と消灯(非点灯)時の受発光デバイスの検出強度の差分を取得することで、周囲の光の影響を除去することができる。なお、点灯と消灯を繰り返す画素は、表示装置で表示している映像に影響を生じない範囲で複数設けることが好ましい。また、奇数フレームと偶数フレームで点灯している画素と消灯している画素とが入れ替わるなど、1フレームごとに発光デバイスの点灯と消灯を繰り返すことが好ましい。なお、点灯時の発光色は特に限定されない。
【0346】
図22Aでは、画素330a、画素330dが消灯し、かつ、画素330b、画素330cが点灯しており、
図22Bでは、画素330a、画素330dが点灯し、かつ、画素330b、画素330cが消灯している。
【0347】
画素330bは、周囲の光を検出するため、受発光デバイスの検出強度は、光源の点灯時と消灯時で変化しない。一方、画素330dは、指340からの反射光を検出するため、受発光デバイスの検出強度が、発光デバイスの点灯時と消灯時で変化する。この、点灯時と消灯時の検出強度の差分を利用して、周囲の光の影響を除去することができる。
【0348】
以上のように、本実施の形態の表示装置は、ユニットごとに撮像を行うモードと、受発光デバイスごとに撮像を行うモードと、のいずれでも駆動することができる。例えば、高速動作が求められるときにはユニットごとに撮像を行うモードを用いることができる。また、高解像度の撮像が求められるときには、1画素ずつ(受発光デバイス1つずつ)撮像を行うモードを用いることができる。用途に応じて、駆動モードを変えることで、表示装置の機能性を高めることができる。
【0349】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0350】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる画素レイアウトについて説明する。なお、副画素の配列は図示した順序に限定されない。例えば、副画素(B)と副画素(G)の位置を逆にしても構わない。
【0351】
図23Aに示す画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。副画素(R・PD)は、副画素(G)と副画素(B)とは異なる列に配置される。副画素(G)と副画素(B)とは、同じ列に交互に配置され、一方が奇数行に設けられ、他方が偶数行に設けられる。なお、他の色の副画素と異なる列に配置される副画素は、赤色(R)に限られず、緑色(G)または青色(B)であってもよい。
【0352】
図23Bには、2つの画素を示しており、点線で囲まれた3つの副画素により1つの画素が構成されている。
図23Bに示す画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
図23Bに示す左の画素では、副画素(R・PD)と同じ行に副画素(G)が配置され、副画素(R・PD)と同じ列に副画素(B)が配置されている。
図23Bに示す右の画素では、副画素(R・PD)と同じ行に副画素(G)が配置され、副画素(G)と同じ列に副画素(B)が配置されている。
図23Bに示す画素レイアウトでは、奇数行と偶数行のいずれにおいても、副画素(R・PD)、副画素(G)、及び副画素(B)が繰り返し配置されており、かつ、各列において、奇数行と偶数行では互いに異なる色の副画素が配置される。
【0353】
図23Cは、
図1Gに示す画素配列の変形例である。
図23Cに示す左上の画素と右下の画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、及び、緑色の光を呈する副画素(G)を有する。
図23Cに示す左下の画素と右上の画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
【0354】
図1Gでは、各画素に緑色の光を呈する副画素(G)が設けられている。一方、
図23Cでは、各画素に赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)が設けられている。各画素に受光機能を有する副画素が設けられているため、
図23Cに示す構成では、
図1Gに示す構成に比べて、高い精細度で撮像を行うことができる。これにより、例えば、生体認証の精度を高めることができる。
【0355】
また、発光デバイス及び受発光デバイスの上面形状は特に限定されず、円、楕円、多角形、角の丸い多角形等とすることができる。副画素(G)が有する発光デバイスの上面形状について、
図1Gでは円形である例を示し、
図23Cでは正方形である例を示している。各色の発光デバイス及び受発光デバイスの上面形状は、互いに異なっていてもよく、一部または全ての色で同じであってもよい。
【0356】
また、各色の副画素の開口率は、互いに異なっていてもよく、一部または全ての色で同じであってもよい。例えば、各画素に設けられる副画素(
図1Gでは副画素(G)、
図23Cでは副画素(R・PD))の開口率を、他の色の副画素の開口率に比べて小さくしてもよい。
【0357】
図23Dは、
図23Cに示す画素配列の変形例である。具体的には、
図23Dの構成は、
図23Cの構成を45°回転させることで得られる。
図23Cでは、2つの副画素により1つの画素が構成されることとして説明したが、
図23Dに示すように、4つの副画素により1つの画素が構成されていると捉えることもできる。
【0358】
図23Dでは、点線で囲まれた4つの副画素により1つの画素が構成されることとして説明を行う。1つの画素は、2つの副画素(R・PD)と、1つの副画素(G)と、1つの副画素(B)と、を有する。このように、1つの画素が、受光機能を有する副画素を複数有することで、高い精細度で撮像を行うことができる。したがって、生体認証の精度を高めることができる。例えば、撮像の精細度を、表示の精細度のルート2倍とすることができる。
【0359】
図23Cまたは
図23Dに示す構成が適用された表示装置は、p個(pは2以上の整数)の第1の発光デバイスと、q個(qは2以上の整数)の第2の発光デバイスと、r個(rはpより大きく、qより大きい整数)の受発光デバイスと、を有する。pとrはr=2pを満たす。また、p、q、rはr=p+qを満たす。第1の発光デバイスと第2の発光デバイスのうち一方が緑色の光を発し、他方が青色の光を発する。受発光デバイスは、赤色の光を発し、かつ、受光機能を有する。
【0360】
例えば、受発光デバイスを用いて、タッチ検出を行う場合、光源からの発光が使用者に視認されにくいことが好ましい。青色の光は、緑色の光よりも視認性が低いため、青色の光を発する発光デバイスを光源とすることが好ましい。したがって、受発光デバイスは、青色の光を受光する機能を有することが好ましい。
【0361】
以上のように、本発明の一態様の表示装置には、様々な配列の画素を適用することができる。
【0362】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0363】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(酸化物半導体ともいう)について説明する。
【0364】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0365】
<結晶構造の分類>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図24Aを用いて説明を行う。
図24Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0366】
図24Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0367】
なお、
図24Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」や、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0368】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、石英ガラス基板、及び「Crystalline」に分類される結晶構造を有するIGZO(結晶性IGZOともいう)膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを、それぞれ
図24B、
図24Cに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、
図24B、
図24Cに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。
図24Bが石英ガラス基板、
図24Cが結晶性IGZO膜のXRDスペクトルである。また、
図24B、
図24Cの縦軸Intensity[a.u.]は、強度(任意単位)を示す。なお、
図24Cに示す結晶性IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図24Cに示す結晶性IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0369】
図24Bの矢印に示すように、石英ガラス基板では、XRDスペクトルのピークの形状がほぼ左右対称である。一方で、
図24Cの矢印に示すように、結晶性IGZO膜では、XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称であることは、膜中または基板中の結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状で左右対称でないと、膜または基板は非晶質状態であるとは言えない。なお、
図24Cには、2θ=31°、またはその近傍に結晶相(IGZO crystal phase)を明記してある。XRDスペクトルにおける、左右非対称な形状のピークは、当該結晶相(微小な結晶)による回折ピークに由来すると推察される。
【0370】
具体的には、IGZOに含まれる原子により散乱したX線の干渉は、2θ=34°またはその近傍のピークに寄与すると推測される。また、微小な結晶は、2θ=31°またはその近傍のピークに寄与すると推測される。
図24Cに示す、結晶性IGZO膜のXRDスペクトルの、2θ=34°またはその近傍のピークにおいて、低角度側のピーク幅が広くなる。これは、結晶性IGZO膜中に、2θ=31°またはその近傍のピークに起因する微小な結晶が内在することを示唆している。
【0371】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて評価することができる。石英ガラス基板、及び基板温度を室温として成膜したIGZO膜の回折パターンを、それぞれ
図24D、
図24Eに示す。
図24Dが石英ガラス基板、
図24EがIGZO膜の回折パターンである。なお、
図24Eに示すIGZO膜は、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]である酸化物ターゲットを用いて、スパッタリング法によって成膜される。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0372】
なお、
図24Dに示すように、石英ガラス基板の回折パターンでは、ハローが観察され、石英ガラスは、非晶質状態であることが確認できる。また、
図24Eに示すように、室温成膜したIGZO膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIGZO膜は、結晶状態でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態であると結論することはできないと推定される。
【0373】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、
図24Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0374】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0375】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0376】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0377】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM(Transmission Electron Microscope)像において、格子像として観察される。
【0378】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0379】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0380】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0381】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0382】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。従って、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0383】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0384】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0385】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0386】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0387】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0388】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0389】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0390】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0391】
また、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とする領域と、一部にInを主成分とする領域とが、それぞれモザイク状であり、これらの領域がランダムに存在している構成をいう。よって、CAC-OSは、金属元素が不均一に分布した構造を有していると推測される。
【0392】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0393】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0394】
ここで、第1の領域は、第2の領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、第1の領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、第1の領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0395】
一方、第2の領域は、第1の領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、第2の領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制することができる。
【0396】
従って、CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0397】
また、CAC-OSを用いたトランジスタは、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、表示装置をはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0398】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0399】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0400】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0401】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0402】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0403】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0404】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0405】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0406】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0407】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0408】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0409】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0410】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0411】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0412】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図25~
図27を用いて説明する。
【0413】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。例えば、電子機器の表示部に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、光を検出する機能を有するため、表示部で生体認証を行うことや、接触もしくは近接を検出することができる。これにより、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0414】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0415】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0416】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0417】
図25Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0418】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0419】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0420】
図25Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0421】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0422】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0423】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0424】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0425】
表示パネル6511に、本発明の一態様の表示装置を用いることで、表示部6502で撮像を行うことができる。例えば、表示パネル6511で指紋を撮像し、指紋認証を行うことができる。
【0426】
表示部6502が、さらに、タッチセンサパネル6513を有することで、表示部6502に、タッチパネル機能を付与することができる。タッチセンサパネル6513としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、表示パネル6511を、タッチセンサとして機能させてもよく、その場合、タッチセンサパネル6513を設けなくてもよい。
【0427】
図26Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0428】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0429】
図26Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0430】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0431】
図26Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0432】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0433】
【0434】
図26Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0435】
図26Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0436】
図26C、
図26Dにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0437】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0438】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0439】
また、
図26C、
図26Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0440】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0441】
図27A~
図27Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0442】
図27A~
図27Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0443】
【0444】
図27Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。
図27Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0445】
図27Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0446】
図27Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0447】
図27D~
図27Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図27Dは携帯情報端末9201を展開した状態、
図27Fは折り畳んだ状態、
図27Eは
図27Dと
図27Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0448】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0449】
本実施例では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる受発光デバイスを作製し、評価した結果について説明する。
【0450】
本実施例では、2つの受発光デバイス(デバイス1及びデバイス2)を作製した。本実施例で作製した受発光デバイスは、発光デバイス(有機ELデバイス)と構造の共通化を図った構成である。
【0451】
本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
【0452】
【0453】
本実施例の受発光デバイスの具体的な構成について表1に示す。
図2Dに、デバイス1の積層構造を示す。デバイス1は、発光デバイスの正孔輸送層を受光デバイスの活性層に置き換えて作製可能な積層構造を有する。また、
図2Cに、デバイス2の積層構造を示す。デバイス2は、発光デバイスに、さらに、受光デバイスの活性層を追加することで作製可能な積層構造を有する。
【0454】
【0455】
第1の電極180は、銀(Ag)とパラジウム(Pd)と銅(Cu)の合金(Ag-Pd-Cu(APC))をスパッタリング法により、膜厚100nmとなるように成膜し、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により、膜厚100nmとなるように成膜することで、形成した。
【0456】
正孔注入層181は、3-[4-(9-フェナントリル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)と、酸化モリブデンとを、重量比がPCPPn:酸化モリブデン=2:1となるように共蒸着することで、形成した。正孔注入層181の膜厚は、15nmとなるように形成した。
【0457】
活性層183は、フラーレン(C70)とテトラフェニルジベンゾペリフランテン(略称:DBP)とを、重量比がC70:DBP=9:1となるように共蒸着することで、形成した。活性層183の膜厚は、50nmとなるように形成した。
【0458】
正孔輸送層182は、デバイス1には設けず、デバイス2には設けた。正孔輸送層182は、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)を用い、膜厚が15nmとなるように蒸着した。
【0459】
発光層193は、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、PCBBiF、及び、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)2(dibm)])を用い、重量比が0.8:0.2:0.06(=2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:[Ir(dmdppr-P)2(dibm)])、膜厚が70nmとなるように共蒸着して形成した。
【0460】
電子輸送層184は、2mDBTBPDBq-IIの膜厚が10nm、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)の膜厚が10nmとなるように順次蒸着して形成した。
【0461】
電子注入層185は、フッ化リチウム(LiF)を用い、膜厚が1nmとなるように蒸着して形成した。
【0462】
第2の電極189は、銀(Ag)とマグネシウム(Mg)との体積比を10:1とし、膜厚が10nmとなるように共蒸着して形成した後、インジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により、厚さが40nmとなるように形成した。
【0463】
以上により、本実施例の受発光デバイスを作製した。
【0464】
[発光デバイスとしての特性]
まず、受発光デバイスの発光デバイスとしての特性(順バイアス印加時の特性)を評価した。
図28に、受発光デバイスの輝度-電圧特性を示す。
図29に、受発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を示す。
【0465】
デバイス1及びデバイス2ともに、発光デバイスとして正常に動作することが確認された。特に、活性層183と発光層193Rの間に正孔輸送層182を設けたデバイス2は、高い外部量子効率が得られた。
【0466】
[受光デバイスとしての特性]
次に、受発光デバイスの受光デバイスとしての特性(逆バイアス印加時の特性)を評価した。
図30に、受発光デバイスの受光感度の波長依存性を示す。測定条件としては、電圧を-6Vとし、光を12.5μW/cm
2で照射した。なお、ここで印加した電圧は、通常、ELデバイスに印加するバイアスを正とした場合の値である。つまり、第1の電極180側が高電位で第2の電極189側が低電位である場合が、正である。
【0467】
デバイス1及びデバイス2ともに、受光デバイスとして正常に動作することが確認された。
【0468】
以上のように、本実施例では、発光デバイス(有機ELデバイス)と構造の共通化を図った構成の受発光デバイスを作製し、発光デバイス及び受光デバイスの双方として良好な特性を得ることができた。
【実施例2】
【0469】
本実施例では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる受発光デバイスを作製し、評価した結果について説明する。
【0470】
本実施例で作製した受発光デバイスは、発光デバイス(有機ELデバイス)と構造の共通化を図った構成である。
【0471】
本実施例で作製した受発光デバイスは、活性層183の厚さが約60nmである点以外は、実施例1で作製したデバイス2(表1参照)と同様の構成である。
【0472】
[受光デバイスとしての特性]
本実施例で作製した受発光デバイスの、受光デバイスとしての特性(逆バイアス印加時の特性)を評価した。本実施例の受発光デバイスに、波長375nmから750nmまでの光を25nmおきに、12.5μW/cm
2で照射し、外部量子効率の波長依存性を求めた。電圧は、-6Vとした。また、測定温度を、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、79℃の7条件とし、外部量子効率の温度依存性を求めた。
図31に、受発光デバイスの受光感度の波長依存性を示す。
図32に、受発光デバイスの受光感度の温度依存性を示す。なお、
図31及び
図32の縦軸は外部量子効率(EQE)を示す。
【0473】
本実施例の結果から、本実施例の受発光デバイスでは、高温になるにつれて、緩やかに外部量子効率が上昇する傾向が確認された。本実施例の受発光デバイスは、20℃から79℃までの間で、急激な効率の変化は確認されず、受光デバイスとして正常に動作することが確認された。
【0474】
以上のように、本実施例では、発光デバイス(有機ELデバイス)と構造の共通化を図った構成の受発光デバイスを作製し、受光デバイスとして広い温度で使用可能であることを確認することができた。
【実施例3】
【0475】
本実施例では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる受発光デバイスを作製し、評価した結果について説明する。
【0476】
本実施例で作製した受発光デバイスは、発光デバイス(有機ELデバイス)と構造の共通化を図った構成である。
【0477】
<3-1.活性層の膜厚の影響>
まず、受発光デバイスの活性層の膜厚の影響を確認するため、表2に示す5つのデバイス(デバイス3-a、3-b、3-c、3-d、3-e)を作製し、発光デバイスとしての特性と受光デバイスとしての特性の双方を評価した。
【0478】
【0479】
5つの受発光デバイスは、活性層183の厚さ(X)と正孔輸送層182の厚さ(Y)の和が75nmとなるような条件で、それぞれ、XとYの値を変えて作製した。活性層183の厚さと正孔輸送層182の厚さ以外は、実施例1で作製したデバイス2(表1参照)と同様の構成とした。なお、デバイス3-eは、活性層183を有さない構成であり、赤色の発光デバイスということができる。
【0480】
[発光デバイスとしての特性]
まず、受発光デバイスの発光デバイスとしての特性(順バイアス印加時の特性)を評価した。
図33に、受発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を示す。
図34に、受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す。
【0481】
図33に示すように、活性層183の厚さ(X)が薄いほど、高い外部量子効率が得られることがわかった。また、
図34に示すように、5つのデバイスで電流密度-電圧特性にほとんど差はなく、活性層183の厚さ(X)の影響が極めて小さいことがわかった。このことから、活性層183と正孔輸送層182とでキャリア(正孔)輸送性に大きな差がないことが示唆された。
【0482】
以上のことから、本実施例の受発光デバイスにおける活性層183は、発光効率に影響するが、順バイアス印加時の正孔輸送性には大きな影響を与えないことがわかった。
【0483】
[受光デバイスとしての特性]
次に、受発光デバイスの受光デバイスとしての特性(逆バイアス印加時の特性)を評価した。
図35に、受発光デバイスの外部量子効率-波長特性を示す。
図36に、受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す。
【0484】
測定条件としては、光を12.5μW/cm
2で照射し、
図35の電圧は-6Vとした。なお、ここで印加した電圧は、通常、ELデバイスに印加するバイアスを正とした場合の値である。つまり、第1の電極180側が高電位で第2の電極189側が低電位である場合が、正である。
【0485】
図35に示すように、活性層183の厚さ(X)が薄いほど、外部量子効率が低下することがわかった。また、
図36に示すように、活性層183の厚さ(X)が薄いほど、光電流が低下していることがわかった。また、活性層と発光層の間のバッファ層として機能する正孔輸送層182の厚さ(Y)が厚いほど、駆動電圧が高くなることがわかった。
【0486】
<3-2.バッファ層の膜厚の影響>
次に、受発光デバイスのバッファ層の膜厚の影響を調査するため、表3に示す5つのデバイス(デバイス3-f、3-g、3-h、3-i、3-j)を作製し、発光デバイスとしての特性と受光デバイスとしての特性の双方を評価した。
【0487】
【0488】
実施例1、実施例2、及び本実施例の3-1で作製した受発光デバイス(表1、表2参照)は、いずれも、第2の電極189側から光を受光する構成であったが、本実施例の3-2(表3)で作製した受発光デバイスは、第1の電極180側から光を受光する構成である。
【0489】
本実施例の3-2で作製した受発光デバイスは、第1の電極180が厚さ約70nmのインジウム錫酸化物(ITO)膜である点と、第2の電極189が厚さ約150nmのアルミニウム(Al)膜である点と、正孔輸送層182の厚さ(Z)の値を変えて作製した点以外は、実施例1で作製したデバイス2(表1参照)と同様の構成である。
【0490】
[発光デバイスとしての特性]
まず、受発光デバイスの発光デバイスとしての特性(順バイアス印加時の特性)を評価した。
図37に、受発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を示す。
図38に、受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す。
【0491】
図37に示すように、正孔輸送層182の厚さ(Z)が厚いほど、高い外部量子効率が得られることがわかった。また、
図38に示すように、5つのデバイスで電流密度-電圧特性にほとんど差はなく、正孔輸送層182の厚さ(Z)の影響が極めて小さいことがわかった。
【0492】
以上のことから、活性層183と発光層193の間のバッファ層として機能する正孔輸送層182の厚さ(Z)が厚いほど、発光層193から活性層183へのエネルギー移動が抑制され、発光効率が高くなることがわかった。
【0493】
[受光デバイスとしての特性]
次に、受発光デバイスの受光デバイスとしての特性(逆バイアス印加時の特性)を評価した。
図39に、受発光デバイスの外部量子効率-波長特性を示す。
図40に、受発光デバイスの電流密度-電圧特性を示す。
【0494】
測定条件としては、光を12.5μW/cm
2で照射し、
図39の電圧は-6Vとした。
【0495】
図35と
図39とを比較することで、活性層183の厚さと正孔輸送層182の厚さの双方を調整した場合に比べて、正孔輸送層182の厚さを変化させた場合は、外部量子効率の変化が小さいことがわかった。
図40に示すように、正孔輸送層182の厚さが厚いほど、駆動電圧が増加することがわかった。一方で、
図36と
図40を比較することで、正孔輸送層182の厚さを変えることによる、電流密度の低下は確認されなかった。
【0496】
以上のことから、活性層と発光層との間にバッファ層(本実施例では正孔輸送層)を設けることで、駆動電圧が上昇し、また、バッファ層の厚さが厚いほど、駆動電圧の上昇量も大きいことがわかった。
【0497】
上記、3-1、3-2の2つの評価から、活性層183は、電荷(正孔)移動の抑制要因にはなっていないことが考えられる。また、バッファ層(本実施例では正孔輸送層182)の導入により、発光層193から活性層183へのフェルスター移動が抑制され、発光効率の低下が抑制されていると考えられる。したがって、本実施例の受発光デバイスを発光デバイスとして駆動させる際、効率よく電荷移動、再結合、発光が生じていると考えられる。
【0498】
ここで、活性層の吸収スペクトルと発光層の発光スペクトルの重なりを小さくし、発光層が発する光が活性層に吸収される現象を抑制することで、発光効率をより高められる可能性がある。活性層の膜厚を減らす手法で発光デバイスとしての特性の改善を図る場合は、受光デバイスとしての特性が悪化する、トレードオフの関係になる。一方で、活性層の材料の変更であれば、当該トレードオフの関係を回避しながら、発光デバイスとしての特性と受光デバイスとしての特性の双方を高められると考えられる。
【符号の説明】
【0499】
ANODE:配線、BM:遮光層、CATHODE/VPD:配線、Cf:容量、Csb:容量、Csg:容量、Csr:容量、FD:ノード、GL:配線、GL1:配線、GL2:配線、GR:ノード、L1:最短距離、L2:最短距離、M1B:トランジスタ、M1G:トランジスタ、M1R:トランジスタ、M2B:トランジスタ、M2G:トランジスタ、M2R:トランジスタ、M3B:トランジスタ、M3G:トランジスタ、M3R:トランジスタ、M11:トランジスタ、M12:トランジスタ、M13:トランジスタ、M14:トランジスタ、RS:配線、RS1:配線、RS2:配線、SA:ノード、SE:配線、SE1:配線、SE2:配線、SLB:配線、SLG:配線、SLR:配線、TX:配線、V0:配線、VCP:配線、VPI:配線、VRS:配線、WX:配線、WX1:配線、WX2:配線、10A:表示装置、10B:表示装置、10C:表示装置、10D:表示装置、10E:表示装置、10F:表示装置、10G:表示装置、21B:光、21G:光、21R:光、22:光、23:光、23a:迷光、23b:迷光、23c:迷光、23d:迷光、24:反射光、42:トランジスタ、47B:発光デバイス、47G:発光デバイス、47R:受発光デバイス、50A:表示装置、50B:表示装置、51:基板、52:指、53:受発光デバイスを有する層、55:トランジスタを有する層、57:発光デバイスを有する層、59:基板、100A:表示装置、100B:表示装置、100C:表示装置、112:共通層、114:共通層、115:共通電極、142:接着層、143:空間、151:基板、152:基板、153:基板、154:基板、155:接着層、159:樹脂層、159p:開口、162:表示部、164:回路、165:配線、166:導電層、172:FPC、173:IC、180:第1の電極、181:正孔注入層、182:正孔輸送層、182B:正孔輸送層、182G:正孔輸送層、182R:正孔輸送層、183:活性層、184:電子輸送層、185:電子注入層、186:発光層と活性層を兼ねる層、189:第2の電極、190:発光デバイス、190B:発光デバイス、190G:発光デバイス、190R(PD):受発光デバイス、191:画素電極、192:バッファ層、192B:バッファ層、192G:バッファ層、192R:バッファ層、193:発光層、193B:発光層、193G:発光層、193R:発光層、194:バッファ層、194B:バッファ層、194G:バッファ層、194R:バッファ層、195:保護層、201:トランジスタ、202:トランジスタ、204:接続部、205:トランジスタ、206:トランジスタ、207:トランジスタ、208:トランジスタ、209:トランジスタ、210:トランジスタ、211:絶縁層、212:絶縁層、213:絶縁層、214:絶縁層、215:絶縁層、216:隔壁、217:隔壁、218:絶縁層、219:遮光層、221:導電層、222a:導電層、222b:導電層、223:導電層、225:絶縁層、228:領域、231:半導体層、231i:チャネル形成領域、231n:低抵抗領域、242:接続層、300:画素、310:ユニット、310a:ユニット、310b:ユニット、320:対象画素、320a:対象画素、320b:対象画素、330a:画素、330b:画素、330c:画素、330d:画素、340:指、6000:電子機器、6001:表示部、6003:指、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、7000:表示部、7100:テレビジョン装置、7101:筐体、7103:スタンド、7111:リモコン操作機、7200:ノート型パーソナルコンピュータ、7211:筐体、7212:キーボード、7213:ポインティングデバイス、7214:外部接続ポート、7300:デジタルサイネージ、7301:筐体、7303:スピーカ、7311:情報端末機、7400:デジタルサイネージ、7401:柱、7411:情報端末機、9000:筐体、9001:表示部、9003:スピーカ、9005:操作キー、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:アイコン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9101:携帯情報端末、9102:携帯情報端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末