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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/232 20220101AFI20241111BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 23/43 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/171 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/1122 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/191 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/192 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/091 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/808 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20241111BHJP
   B01F 27/1111 20220101ALI20241111BHJP
   B02C 18/08 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B01F27/232
B01F23/53
B01F23/43
B01F27/171
B01F27/1122
B01F27/191
B01F27/192
B01F27/091
B01F27/808
B01F27/90
B01F27/1111
B02C18/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024100923
(22)【出願日】2024-06-24
【審査請求日】2024-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592205148
【氏名又は名称】みづほ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】荒島 正彦
(72)【発明者】
【氏名】坂下 武司
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特許第7025591(JP,B2)
【文献】特公昭63-029590(JP,B1)
【文献】特開平09-239251(JP,A)
【文献】独国特許出願公告第02318949(DE,B1)
【文献】米国特許第05611619(US,A)
【文献】実開平02-057137(JP,U)
【文献】特開2013-063413(JP,A)
【文献】実公昭29-000985(JP,Y1)
【文献】特開2008-132498(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第00353724(CH,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/04-09
B01F 23/40-57
B01F 27/00-96
B01F 35/00-95
B02C 18/06-12
B28C 3/00
B28C 5/08-16
B29B 7/00-94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置であって、
当該原料を格納するタンクと、
前記タンク内の中心軸に配置された回転可能な回転シャフトと、
前記タンクの底部に配置された下部タービンケースの内部に設けられ、独自に回転可能な下部タービン羽根と、
前記回転シャフトに水平方向に設けられ、断面が略円形状である略円筒形状のミキサーと、
前記ミキサーの外側に位置し鉛直方向に伸び、回転可能な支持体に支持され、断面が略円形状である略円筒形状のアンカー羽根と、
前記支持体の鉛直方向の長さと略同じ長さで外側に向けて前記支持体に有し、前記支持体とともに回転しタンク内壁における液体を掻き取ることが可能な樹脂からなる一のスクレーパーと、
前記回転シャフトの先端に接続され、前記下部タービンケースの上端部に被さった上部タービンケースの内部に設けられ、独自に回転可能な上部タービン羽根と、
を備えたことを特徴とする撹拌装置。
【請求項2】
前記回転シャフト及び前記支持体における断面は、いずれも略円形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記ミキサー及び前記アンカー羽根の先端は、略半球状を有していることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内における撹拌羽根の洗浄性を向上させた撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品、食品、化学品、又は医薬品における液体又は液体と固形物の混合体を原料として微細化し撹拌するために撹拌装置が用いられている。撹拌装置は、回転軸に設けられた回転羽根が回転して原料を撹拌する略円筒状のタンクと当該回転軸を回転させるための駆動部等からなっている。
【0003】
撹拌して微細化する品種は化粧品ひとつをとっても多岐にわたり、それら多くの品種毎に撹拌する材料は異なっている。そして品種の切替えに際しては、撹拌槽及び撹拌羽根の洗浄が欠かせない。そのため、撹拌槽内の洗浄が短時間で行えることが望まれている。
【0004】
特許文献1には、ミキサーとアンカー羽根を撹拌槽内で回転させる撹拌装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特許第7025591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、ミキサーとアンカー羽根という撹拌羽根が複雑な形状をしているため洗浄に手間がかかり、また、複数のスクレーパーが鉛直方向に配置されているためスクレーパー間の狭い隙間の洗浄がしにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決して、撹拌羽根及びスクレーパーの洗浄性を高めた撹拌装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、液体又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置であって、
当該原料を格納するタンクと、
前記タンク内の中心軸に配置された回転可能な回転シャフトと、
前記タンクの底部に配置された下部タービンケースの内部に設けられ、独自に回転可能な下部タービン羽根と、
前記回転シャフトに水平方向に設けられ、断面が略円形状である略円筒形状のミキサーと、
前記ミキサーの外側に位置し鉛直方向に伸び、回転可能な支持体に支持され、断面が略円形状である略円筒形状のアンカー羽根と、
前記支持体の鉛直方向の長さと略同じ長さで外側に向けて前記支持体に有し、前記支持体とともに回転しタンク内壁における液体を掻き取ることが可能な樹脂からなる一のスクレーパーと、
前記回転シャフトの先端に接続され、前記下部タービンケースの上端部に被さった上部タービンケースの内部に設けられ、独自に回転可能な上部タービン羽根と、
を備えたことを特徴とする撹拌装置を提供するものである。
【0009】
この構成により、ミキサー、及びアンカー羽根がいずれも断面が略円形状である略円筒形状という単純な形状であるため汚れがつきにくく洗浄しやすいため洗浄性が向上する。また、下部タービン羽根を備えて強力な液流を発生させることができるため撹拌性能に優れている。そのため、化粧品、食品、化学品、又は医薬品の分野における撹拌性を確保しつつ、洗浄性を高めた撹拌羽根を有する撹拌装置を実現することができる。
また、スクレーパーが一つで構成されているためスクレーパー間の汚れの除去が不要となり洗浄時間が短縮できる。
さらに、上部タービンケースが下部タービンケースの上端部に被さっていることで、下から上への液流が上部タービンケースの外部に漏れることなく上昇液流を発生させることができる。
【0014】
撹拌装置であって、前記回転シャフト及び前記支持体における断面は、いずれも略円形状を有している構成としてもよい。
【0015】
この構成により、回転シャフト及び支持体においても洗浄性を高めることができる。
【0016】
撹拌装置であって、前記ミキサー及び前記アンカー羽根の先端は、略半球状を有している構成としてもよい。
【0017】
この構成により、ミキサー及びアンカー羽根の先端についても洗浄性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の撹拌装置により、撹拌羽根及びスクレーパーの洗浄性を高めた撹拌装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1における撹拌装置を説明する図である。
図2】本発明の実施例1における下部タービンケースと下部タービン羽根を説明する図である。
図3】本発明の実施例1における下部タービンケースを説明する図である。
図4】本発明の実施例1における下部タービン羽根を説明する図である。
図5】本発明の実施例1における下部ホモスタンドを説明する図である。
図6】本発明の実施例1における下部タービン羽根の斜視図である。
図7】本発明の実施例1における下部タービンケースを上からみて反時計方向に回転させた時の液流を説明する図である。
図8】本発明の実施例2における撹拌装置を説明する図である。
図9】本発明の実施例2における上部タービンケースを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1の撹拌装置について、図1図7を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における撹拌装置を説明する図である。図2は、本発明の実施例1における下部タービンケースと下部タービン羽根を説明する図であり、(a)は隙間l1を示し、(b)は隙間l2を示す。図3は、本発明の実施例1における下部タービンケースを説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。図4は、本発明の実施例1における下部タービン羽根を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。図5は、本発明の実施例1における下部ホモスタンドを説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図、(c)は下面図である。図6は、本発明の実施例1における下部タービン羽根の斜視図である。図7は、本発明の実施例1における下部タービンケースを上からみて反時計方向に回転させた時の液流を説明する図である。
【0021】
実施例1における撹拌装置100は、ステンレスからなる略円筒形状でありながら底面と天面とは中央部が緩やかに突出した形状のタンク1を備えている。タンク1の天面には、撹拌する一方の原料Aを投入する図示しない原料A投入口と他方の原料Bを投入する図示しない原料B投入口とを有している。ここで、実施例1における原料A及び原料Bとは、液体又は液体と固形物の混合体のいずれかであり、これらを原料として撹拌し乳化させてエマルションを形成するものである。
【0022】
また、タンク1内の上部である天面中心から底部の底面に向けてタンク1の中心軸に沿って回転シャフト2が設けられている。また、回転シャフト2には水平方向に、断面が略円形状である略円筒形状のミキサー3を左右及び上下方向に6ヶ所取付けている。さらに、ミキサー3の外側でタンク1内の側面との間で液体を掻きとるための樹脂で構成されたスクレーパー5を保持する支持体23がアンカー羽根4をミキサー3と交互に左右及び上下方向に6ヶ所回転可能に設けられている。アンカー羽根4も断面が略円形状である略円筒形状を有している。
【0023】
ミキサー3及びアンカー羽根4がいずれも断面が略円形状である略円筒形状という単純な形状であるため汚れがつきにくく洗浄しやすいため洗浄性が向上させることができる。また、回転シャフト2や支持体23も断面が略円形状である略円筒形状としてもよく、これにより、回転シャフト2や支持体23も略円筒形状となり、単純な形状であるため汚れがつきにくく洗浄しやすいため洗浄性が向上させることができる。
【0024】
また、ミキサー3及びアンカー羽根4の先端が、略半球状を有していてもよい。これにより、ミキサー3及びアンカー羽根4の先端が単純な形状となり、さらに汚れがつきにくく洗浄しやすいため洗浄性を向上させることができる。
【0025】
回転シャフト2は、タンク1外に設けた図示しないモーターにより時計方向又は反時計方向に回転駆動される。回転シャフト2が回転駆動されることで、ミキサー3が水平方向に回転してタンク1内の原料を撹拌する。また、アンカー羽根4も別の図示しない駆動源により水平方向に回転駆動される。アンカー羽根4はミキサー3とは反対方向に回転することができ、これにより水平方向の撹拌が行われるとともに、タンク1内の内壁においてスクレーパー5が液体を掻きとることができる。
【0026】
なお、実施例1においては、略円筒形状のミキサー3を左右及び上下方向に6ヶ所設けるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、5ヶ所以下でもよいし、7ヶ所以上であってもよく、撹拌する原料に応じた最適な数のミキサーを設ければよい。また。実施例1においては、アンカー羽根4を6ヶ所に設けるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、5ヶ所以下でもよいし、7ヶ所以上であってもよいし、又はなくてもよい。
【0027】
また、実施例1においては、回転シャフト2、ミキサー3、及びアンカー羽根4を備えるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、ミキサー3、及びアンカー羽根4を備えない構成としてもよい。低粘度の撹拌材料の場合などは、後述の上部タービンケース9と下部タービンケース8が回転することで十分に微細化できる場合がある。
【0028】
タンク1内の底部にはステンレスからなる下部タービンケース8を時計方向又は反時計方向に回転可能に備えている。下部タービンケース8は、全体としてお椀を伏せたような略円錐台の形状で下部の側面には液体及びエマルションを吸込むか排出する下液流孔852(852a、852b、852c、952d)を有するとともに、上部である上面には液体及びエマルションを排出するか吸込む上液流孔811(811a、811b、811c、811d)を有している。
【0029】
なお、実施例1においては、下部タービンケース8は、全体としてお椀を伏せたような略円錐台の形状としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、略円筒状としてもよいし、略四角柱状や略多角柱状でもよく、任意の形状を選択することができる。
【0030】
下部タービンケース8の構造を詳しく説明する。下部タービンケース8は略円錐台形状をなし、上面には液体を排出又は吸込む上液流孔811(811a、811b、811c、811d)が貫通して設けられている。4個の上液流孔811(811a、811b、811c、811d)は、長円形で長円部分はわずかに円弧形状を有している(図3(a)参照)。また、下部タービンケース8は下端部においてスタンド用ボルト孔812(812a、812b、812c、812d)に下部ホモスタンド85が螺着されており、下部タービンケース8と一体に時計方向又は反時計方向に回転可能とされている。そして、下部ホモスタンド85の側面4ヶ所には、液体を吸込む又は排出する下液流孔852(852a、852b、852c、852d)を有している。これにより、下部タービンケース8は全体として、液体を吸込むか排出する下液流孔852(852a、852b、852c、852d)を下部に有するとともに、液体を排出するか吸込む上液流孔811(811a、811b、811c、811d)を上部に有している。
【0031】
なお、実施例1においては、上液流孔811(811a、811b、811c、811d)が長円形で長円部分はわずかに円弧形状を有しており、下液流孔852(852a、852b、852c、952d)が側面を切り抜かれた形状を有しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、液体を効率よく吸込むために、水切羽根等を孔の開口部分に設けてもよい。また、開口の形状は任意の形状としてよい。
【0032】
下部タービンケース8の内部には、図3(b)に示すように、空洞が設けられ、その内部に下部タービン羽根83が回転可能に収納されている。下部タービン羽根83は、下部シャフト84に螺着され、図示しないモーターにより上から見て時計方向又は反時計方向に回転可能とされている。下部タービン羽根83は、上からみて反時計方向に回転することで下から上へと液流を起こすことができ、逆に上から見て時計方向に回転することで上から下へと液流を起こすことができるように羽根形状が構成されている(図4(a)、図6参照)。つまり、下部タービン羽根83は、円筒部の周囲に4個の水切羽根831(831a、831b、831c、831d)が設けられ、水切羽根831(831a、831b、831c、831d)は前記円筒部の上から下へと斜めに構成され、回転方向に基づき、効率よく下から上へ、又は上から下へと液流を発生させることができる。
【0033】
なお、実施例1においては、下部タービン羽根83がモーターにより上から見て時計方向又は反時計方向に回転可能としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、下部タービン羽根83をモーターで回転駆動せず、下部タービンケース8の回転による液流によって自由回転させられるようにしてもよい。
【0034】
このように、下部タービンケース8は、図示しない駆動部により、時計方向又は反時計方向に単独にいずれかの方向に回転可能である。また、下部タービン羽根83も時計方向又は反時計方向に単独にいずれかの方向に回転可能である。さらに、下部タービンケース8を回転駆動せずに自由回転としてもよい。
【0035】
下部タービン羽根83を上からみて反時計方向に回転させると、図7に示すように、旋回流Aを起こすとともに、下から上への液流を起こして液体やエマルションが吸込まれる吸込み流Bが下液流孔852(852a、852b、852c、852d)から下部タービンケース8内に吸い込まれ、下部タービン羽根83端部と下部タービンケース8内面との隙間l1(図2(a)参照。)と、隙間l2(図2(b)参照。)を通過することで、これらの隙間l1及びl2にてエマルションをすり潰して上方に押し出し、上液流孔811(811a、811b、811c、811d)から排出流Cが排出される。実施例1においては、隙間l1=1mm、隙間l2=0.5mmに設定しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、隙間l1=隙間l2=0.5mmに設定してもよいし、隙間l1=0.5mm、隙間l2=1mmに設定してもよく、原料の種類に応じて任意の隙間に設定できる。
【0036】
なお、実施例1においては
、下部タービン羽根83を上からみて反時計方向に回転させるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更しても良い。例えば、下部タービン羽根83を上からみて時計方向に回転させるようにして、上から下への液流を起こしてもよい。この場合は、液体やエマルションが上液流孔811(811a、811b、811c、811d)から下部タービンケース8内に吸い込まれ、下液流孔852(852a、852b、852c、852d)から排出される。
【0037】
また、下部タービン羽根83を上からみて時計方向に回転させて下から上への液流をおこすように構成してもよいし、下部タービン羽根83を上からみて反時計方向に回転させて上から下への液流をおこすように構成してもよい。
【0038】
このように、実施例1においては、液体又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置であって、 当該原料を格納するタンクと、 前記タンク内の中心軸に配置された回転可能な回転シャフトと、 前記タンクの底部に配置された下部タービンケースの内部に設けられ、独自に回転可能な下部タービン羽根と、 前記回転シャフトに水平方向に設けられた断面が略円形状である略円筒形状のミキサーと、 前記ミキサーの外側に位置し鉛直方向に伸びる支持体に支持された断面が略円形状である略円筒形状のアンカー羽根と、を備えたことを特徴とする撹拌装置により、ミキサー、及びアンカー羽根がいずれも断面が略円形状である略円筒形状という単純な形状であるため汚れがつきにくく洗浄しやすいため洗浄性が向上する。また、下部タービン羽根を備えて強力な液流を発生させることができるため撹拌性能に優れている。そのため、化粧品、食品、化学品、又は医薬品の分野における撹拌性を確保しつつ、洗浄性を高めた撹拌羽根を有する撹拌装置を実現することができる。
【実施例2】
【0039】
本発明の実施例2は、上部タービン羽根を備えた点で実施例1と異なっている。実施例2について、図8図9を参照して説明する。図8は、本発明の実施例2における撹拌装置を説明する図である。図9は、本発明の実施例2における上部タービンケースを説明する図である。
【0040】
実施例2における撹拌装置200は、下部タービンケース8の上方にステンレスからなる上部タービンケース9が下部タービンケース8と略同軸、つまりタンク1の中心軸に沿って時計方向又は反時計方向に回転可能に備えられている。上部タービンケース9内には独自に回転可能な上部タービン羽根92を有している。上部タービンケース9及び上部タービン羽根92は、図9に示すように、下部タービンケース8及び下部タービン羽根83と同様の構造を有しており、全体としてお椀のような略円錐台の形状で下部の側面には液体及びエマルションを吸込むか排出する図示しない下液流孔を有するとともに、上部である上面には液体及びエマルションを排出するか吸込む図示しない上液流孔を有している。
【0041】
上部タービンケース9は略円錐台形状をなし、上面には液体を排出又は吸込む図示しない上液流孔が貫通して設けられている。また、上部タービンケース9は、回転シャフト2とつながっており、ミキサー3とともに同一方向に同速度で時計方向又は反時計方向に回転可能とされている。上部タービンケース9は、液体を吸込む又は排出する図示しない下液流孔を有している。これにより、上部タービンケース9は全体として、液体を吸込むか排出する下液流孔を下部に有するとともに、液体を排出するか吸込む上液流孔を上部に有している。
【0042】
上部タービンケース9の内部には、図9に示すように、空洞が設けられ、その内部に上部タービン羽根92が回転可能に収納されている。上部タービン羽根92は、回転シャフト2の中空に設けた上部タービン羽根駆動軸921に取付けられ、図示しないモーターでこの上部タービン羽根駆動軸921を回転駆動させることで独自に反時計方向又は時計方向に回転することができる。上部タービン羽根92の形状は、下部タービン羽根83と同様であり、円筒部の周囲に4個の水切羽根が設けられ、これら水切羽根は前記円筒部の上から下へと斜めに構成され、回転方向に基づき、効率よく下から上へ、又は上から下へと液流を発生させることができる。すなわち、上部タービン羽根92は、上からみて反時計方向に回転することで下から上へと液流を起こすことができ、逆に上から見て時計方向に回転することで上から下へと液流を起こすことができるように羽根形状が構成されている
【0043】
上部タービン羽根92は、下部タービン羽根83と同様に、上部タービン羽根92を上からみて反時計方向に回転させると、下から上への液流を起こして下液流孔から上部タービンケース91内に吸い込まれ、上部タービン羽根92端部と上部タービンケース9内面との隙間を通過することで、これらの隙間l1及びl2にてエマルションをすり潰して上方に押し出し、上液流孔から液流が排出される。
【0044】
上部タービンケース9の下端縁は高さ方向に1mmほど下部タービンケース8の上端部に被さっている。これにより、後述のように、下から上への液流が上部タービンケース91の外部に漏れることなく上昇液流を発生させることができる。
【0045】
下部タービン羽根83を上からみて反時計方向に回転させて、図7に示すように、下部タービンケース81の周囲に旋回流Aを起こすとともに、下部タービンケース8の下部側面に設けた下液流孔852(852a、852b、852c、852d)から液体やエマルションを吸込む吸込み流Bを起こし、下部タービン羽根83端部と下部タービンケース81内面との隙間l1を通過させてエマルションを微細化し、下部タービンケース8の上部に設けた上液流孔811(811a、811b、811c、811d)から微細化されたエマルションや液体を排出する排出流を起こして下から上への液流を改善する(図7参照)。また、同時に、上部タービン羽根92を上からみて反時計方向に回転させて、下から上への上昇液流を発生させる。これにより、下部タービン羽根83及び上部タービン羽根92による上昇液流により最大の強力な液流が発生し、下から上へと原料が撹拌される。
【0046】
下部タービン羽根83及び上部タービン羽根92による上昇液流により最大の強力な液流が発生することで、ミキサー3及びアンカー羽根4が略円筒形状を有していても撹拌力が落ちずに撹拌羽根やスクレーパーの洗浄性を向上させることができる。
【0047】
このように、実施例2においては、下部タービン羽根に加えて、下部タービンケースの上方で回転シャフトの先端に接続された上部タービンケースの内部に設けられ、独自に回転可能な上部タービン羽根を備えたことにより、撹拌力が落ちずに撹拌羽根とスクレーパーの洗浄性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明における撹拌装置は、液体又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌し乳化してエマルションを形成する分野に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:タンク 2:回転シャフト 3:ミキサー 4:アンカー羽根 5:スクレーパー 8:下部タービンケース 9:上部タービンケース 83:下部タービン羽根 84:下部シャフト 85:下部ホモスタンド 811(811a、811b、811c、811d):上液流孔 812(812a、812b、812c、812d):スタンド用ボルト孔 831(831a、831b、831c、831d):水切羽根 851(851a、851b、851c、851d):ディスパー用ボルト孔 852(852a、852b、852c、852d):下液流孔 92:上部タービン羽根 921:上部タービン羽根駆動軸 100:撹拌装置 A:旋回流 B:吸込み流 C:排出流
【要約】      (修正有)
【課題】撹拌羽根及びスクレーバの洗浄性を高めた撹拌装置を実現することを課題とする。
【解決手段】原料を格納するタンク1と、前記タンク内の中心軸に配置された回転可能な回転シャフト2と、前記タンクの底部に配置された下部タービンケース8の内部に設けられ、独自に回転可能な下部タービン羽根と、前記回転シャフトに水平方向に設けられ、断面が略円形状である略円筒形状のミキサー3と、前記ミキサーの外側に位置し鉛直方向に伸びる支持体23に支持され、断面が略円形状である略円筒形状のアンカー羽根4と、を備えたことを特徴とする撹拌装置100とした。
【選択図】図1
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