(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電圧センシング部品の組立構造を改善したバッテリーモジュール及びそれを含むバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20241112BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/284
H01M50/298
H01M50/503
H01M50/507
H01M50/519
(21)【出願番号】P 2022580254
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 KR2021010900
(87)【国際公開番号】W WO2022102918
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0149664
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン-ギュ
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0248070(US,A1)
【文献】国際公開第2019/208938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向へ積層された複数のバッテリーセルから構成されたセル積層体と、
バッテリーセルの電圧センシング及び電気的接続のために前記セル積層体の前方または後方に配置されるセンシングモジュールと、を含み、
前記センシングモジュールは、
前記セル積層体の前面または後面をカバーするように形成され、前記バッテリーセルの電極リードが引き出される複数のリード引出孔を備えたメインフレームと、
前記メインフレームに一方向に沿って互いに離隔して配置される複数のバスバーと、
前記メインフレームに配置されたバスバーに脱着可能に設けられた複数のセンシングチップ
と、
前記メインフレームに取り付けられる硬性材質の印刷回路基板と、を含
み、
前記複数のセンシングチップは、一端で前記印刷回路基板に接合され、他端で前記複数のバスバーと脱着可能に設けられている、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記メインフレームは、
各前記バスバーに対応する形状で凹んだバスバー取付部と、
前記バスバー取付部の上部領域に備えられ、前記印刷回路基板に対応する形状で凹んだ基板取付部と、を備える、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記複数のセンシングチップは、各々、
前記印刷回路基板にはんだ付けされる基部と、
前記基部から所定の長さで延びて形成され、正方向または逆方向へ回転して前記バスバーに接触または接触解除するように設けられた連結部と、を備える、請求項1または2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
一方向へ積層された複数のバッテリーセルから構成されたセル積層体と、
バッテリーセルの電圧センシング及び電気的接続のために前記セル積層体の前方または後方に配置されるセンシングモジュールと、を含み、
前記センシングモジュールは、
前記セル積層体の前面または後面をカバーするように形成され、前記バッテリーセルの電極リードが引き出される複数のリード引出孔を備えたメインフレームと、
前記メインフレームに一方向に沿って互いに離隔して配置される複数のバスバーと、
対応するバスバーに脱着可能に設けられた複数のセンシングチップを備え、前記メインフレームに取り付けられる硬性材質の印刷回路基板と、を含み、
前記複数のセンシングチップは、各々、
前記印刷回路基板にはんだ付けされる基部と、
前記基部から所定の長さで延びて形成され、正方向または逆方向へ回転して前記バスバーに接触または接触解除するように設けられた連結部と、を備える、
バッテリーモジュール。
【請求項5】
前記連結部は、折り曲げられた端部を備え、
前記バスバーは、前記連結部の端部が締まりばめによって結合するように設けられたスリットを備える、請求項3または4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記連結部の端部は、凸パターン形成されたビードを一つ以上備える、請求項3から5のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記バスバーは、前記リード引出孔の外郭を囲む枠状で設けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記センシングモジュールは、前記印刷回路基板の縁端に直接接続するように設けられたダイレクトコネクターをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記ダイレクトコネクターは、
前記印刷回路基板の一面に接触する上板部及び前記印刷回路基板の他面に接触する下板部を備え、前記印刷回路基板の縁端に挟まれるように設けられたコネクターハウジングと、前記コネクターハウジングの内部に備えられ、前記印刷回路基板の表面に備えられる導体線に接触するように設けられたコネクターターミナルと、を含む、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記印刷回路基板の縁端の一部と前記メインフレームの前面との間には、前記コネクターハウジングを接続させるための空間が設けられている、請求項9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より詳しくは、バッテリーセルの電圧センシングのために必要なバスバー、センシング部材、コネクターなどのような電圧センシング部品の組立構造を改善したバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2020年11月10日出願の韓国特許出願第10-2020-0149664号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気エネルギーを化学エネルギーの形態に転換し、充放電の反復が可能な半永久的な電池を、使い捨ての一次電池と区分して二次電池と指称する。
【0004】
二次電池には、リチウム二次電池、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、鉛蓄電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池、空気亜鉛電池、アルカリマンガン電池などが存在する。これらのうち鉛蓄電池とリチウム二次電池が最も活発に商用化された二次電池であるといえる。
【0005】
特に、リチウム二次電池は、エネルギー貯蔵密度が高くて軽量化と小型化が可能であり、優秀な安全性、低い放電率、長い寿命のような長所から、最近、電気車のバッテリーとしての活用が活発である。参考までに、リチウム二次電池は、製造形態によって通常的に、円筒型、角形、パウチ型に分けられ、使用用途においても、電気車バッテリーの外にもESSバッテリー、その他の電気装置などに用いられている。
【0006】
現在、一つのリチウム二次電池(セル)では電気車を駆動できるほどの十分な出力が得られない。電気車のエネルギー源に二次電池を適用するためには、複数のリチウムイオン電池セルを直列及び/または並列で接続してバッテリーモジュールを構成し、通常、直列でバッテリーモジュールを接続し、これを機能的に維持させるBMS(Battery Management System)、冷却システム、BDU(Battery Disconnection Unit)、電気配線ケーブルなどを含むバッテリーパックを構成する。
【0007】
一方、
図1に示したように、パウチ型二次電池セルでバッテリーモジュールを構成する場合、二次電池セルの直列及び/または並列接続のためにバッテリーモジュールの前面部または前面部と後面部に位置しているバスバー3にパウチ型二次電池セルの電極リード1a、1bを溶接する。
【0008】
そして、前記二次電池セルの電圧センシングのために、各バスバー3にFPCB(Flexible Printed Circuit Board)5が接続される。二次電池セルの電圧情報は、FPCB5に実装されたコネクター7によってBMS(図示せず)に伝送され、BMSは、これに基づいて各二次電池セルの状態をモニターして充放電を制御する。
【0009】
ところが、従来技術によるバッテリーモジュールの場合、バスバー3にFPCB5を接続するとき、各FPCBのセンシング端子5aと対応する各バスバー3をレーザー溶接しているが、溶接不良がよく発生して溶接の品質管理も容易ではない。FPCBの場合、通常PCB (Printed Circut Board)に比べて高価であり、上記のように組み立て過程で溶接不良によって廃棄される場合が多い。また、コネクターの場合にも、コネクターピンをFPCBの上にはんだ付けして実装しているが、コネクター実装工程も容易ではない作業であり、コネクターピンをはんだ付けしてFPCBに実装したコネクターは、衝撃や振動に弱いという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電圧センシングのためのバスバー、センシング部材、コネクター間の組立構造が従来よりも容易かつ堅固なバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、本発明が属する技術分野の通常の知識を持つ者であれば、下記の説明、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によれば、一方向へ積層された複数のバッテリーセルから構成されたセル積層体と、前記バッテリーセルの電圧センシング及び電気的接続のために前記セル積層体の前方または後方に配置されるセンシングモジュールと、を含み、前記センシングモジュールは、前記セル積層体の前面または後面をカバーするように形成され、前記バッテリーセルの電極リードが引き出される複数のリード引出孔を備えたメインフレームと、前記メインフレームに一方向に沿って互いに離隔して配置される複数のバスバーと、対応する前記バスバーに脱着可能に設けられた複数のセンシングチップ(tip)を備え、前記メインフレームに取り付けられる硬性材質の印刷回路基板と、を含むバッテリーモジュールが提供され得る。
【0013】
前記メインフレームは、各前記バスバーに対応する形状で凹んだバスバー取付部と、前記バスバー取付部の上部領域に備えられ、前記印刷回路基板に対応する形状で凹んだ基板取付部と、を備え得る。
【0014】
前記複数のセンシングチップは、各々、前記印刷回路基板にはんだ付けされる基部と、前記基部から所定の長さで延びて形成され、正方向または逆方向へ回転して前記バスバーに接触または接触解除するように設けられた連結部と、を備え得る。
【0015】
前記連結部は、折り曲げられた端部を備え、前記バスバーは、前記連結部の端部が締まりばめによって結合するように設けられたスリットを備え得る。
【0016】
前記連結部の端部は、凸パターン形成されたビードを一つ以上備え得る。
【0017】
前記バスバーは、前記リード引出孔の外郭を囲む枠状で設けられ得る。
【0018】
前記センシングモジュールは、前記印刷回路基板の縁端に直接接続するように設けられたダイレクトコネクターをさらに含み得る。
【0019】
前記ダイレクトコネクターは、前記印刷回路基板の一面に接触する上板部及び前記印刷回路基板の他面に接触する下板部を備え、前記印刷回路基板の縁端に挟まれるように設けられたコネクターハウジングと、前記コネクターハウジングの内部に備えられ、前記印刷回路基板の表面に備えられる導体線に接触するように設けられたコネクターターミナルと、を含み得る。
【0020】
前記印刷回路基板の縁端の一部と前記メインフレームの前面との間には、前記コネクターハウジングを接続させるための空間が設けられ得る。
【0021】
なお、本発明の他の様態によれば、上述したバッテリーモジュールを含むバッテリーパックが提供され得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一面によれば、電圧センシングのためのバスバー、センシング部材、コネクター間の組立構造が従来よりも容易かつ堅固なバッテリーモジュールを提供することができる。
【0023】
本発明は、センシング部材として硬性印刷回路基板を使用し、前記硬性印刷回路基板のセンシングチップをバスバーに締まりばめによって脱着可能になっていることで、センシングチップとバスバーとの組み立てが容易であり、必要な場合、リワーク(re-work)も可能である。
【0024】
また、本発明は、コネクターを実装せず、硬性印刷回路基板に機械的に挟まれる構造からなっているので、従来よりも容易かつ堅固にコネクターを硬性印刷回路基板に組み立てることができる。
【0025】
本発明の効果は、下記の本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来技術によるバッテリーモジュールの前面の一部を示した部分斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例によるセンシングモジュールを示した斜視図である。
【
図4】
図3のセンシングモジュールの分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例によるセンシングチップとバスバーの連結前の状態を示した図である。
【
図6】本発明の一実施例によるセンシングチップとバスバーの連結後の状態を示した断面図である。
【
図8】本発明の一実施例による硬性印刷回路基板とコネクターの組立構造を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0028】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。したがって、各構成要素の大きさや割合は、実際の大きさや割合を完全に反映することではない。
【0029】
図2は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例によるセンシングモジュールを示した斜視図であり、
図4は、
図3のセンシングモジュールの分解斜視図である。
【0030】
これらの図面を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、セル積層体100、センシングモジュール200、前方カバー300と後方カバー400を含む。
【0031】
セル積層体100は、バッテリーセル110からなる集合体であるといえる。例えば、セル積層体100は、バッテリーセル110を各々上下方向へ立て、左右方向へ積層して形成したものであり得る。ここで、前記バッテリーセル110は、パウチ型バッテリーセル110を意味する。本実施例のバッテリーセル110は、正極リードと負極リードが反対側に位置した両方向リードタイプのパウチ型バッテリーセル110である。
【0032】
前記パウチ型バッテリーセル110は、電極組立体、電解液及びこれらをパッケージングするためのパウチ外装材を含む。前記電極組立体は、正極板-分離膜-負極板の構造が反復した積層体からなり、各正極板と各負極板は、電極タブを備える。パウチ外装材の内部で一つ以上の電極タブが電極リード111と接続され、前記電極リード111がパウチ外装材の外部へ延びて配置されることで、バッテリーセル110の電極端子として機能する。
【0033】
パウチ外装材は、電極組立体と電解液を密封収納するためのものであって、電極組立体と電解液による電気化学的性質に対する補完及び放熱性などを向上させるために、金属薄膜、例えば、アルミニウム薄膜が含まれた形態で構成され得る。前記アルミニウム薄膜は、電気絶縁性の確保のために絶縁物質から形成された絶縁層と内部接着層との間に介在され得る。
【0034】
センシングモジュール200は、前記セル積層体100において各バッテリーセル110の電極リード111が位置した前方と後方に取り付けられる。
【0035】
前記センシングモジュール200は、バッテリーセル110同士の電気的接続と電圧、温度センシングのための構成であって、メインフレーム210と、複数のバスバー220と、印刷回路基板230と、ダイレクトコネクター240と、を含む。
【0036】
メインフレーム210は、板状の構造物であって、ほぼセル積層体100の前面部(または後面部)に対応する面積を有し、前記セル積層体100の前面(または後面)をカバーできるように設けられ得る。前記メインフレーム210は、プラスチックのような絶縁性材質で射出成形によって製作され得る。
【0037】
セル積層体100の前面部(または後面部)は、前記メインフレーム210によってカバーされ、各バッテリーセル110の電極リード111は、前記メインフレーム210に形成されている複数のリード引出孔213から外側へ抜き取られて対応するバスバー220に溶接され得る。
【0038】
本実施例によるメインフレーム210は、前面に、バスバー取付部211と、基板取付部212と、コネクター接続部Oと、を備える。これらは、後述するバスバー220とセンシングチップ231との連結と分離、硬性印刷回路基板230の安定的な取り付け、ダイレクトコネクター240との接続空間の確保などのために設けられたものである。
【0039】
前記バスバー取付部211は、メインフレーム210の中央領域で左右方向に沿って備えられ、取り付けるバスバー220の形状に対応する形状で凹んだ形態で設けられる。即ち、バスバー取付部211は、その広さと深さがバスバー220の広さと厚さと一致する。このようなバスバー取付部211に対応の各バスバー220を嵌め込んでメインフレーム210の表面とバスバー220の表面との間に段差が発生しないようにする。言い換えれば、バスバー取付部211にバスバー220を嵌め込んだとき、前記バスバー220がメインフレーム210の表面の外側へ突出しないようにする。
【0040】
前記基板取付部212は、印刷回路基板230を取り付ける場所であって、前記バスバー取付部211の上部または下部に備えられ得る。本実施例は、基板取付部212がバスバー取付部211の真上に形成されている。基板取付部212は、前記印刷回路基板230に対応する形状で凹んだ形態で設けられる。即ち、基板取付部212は、その広さと深さが前記印刷回路基板230の広さと厚さと一致する。前述したバスバー取付部211のように、前記基板取付部212に印刷回路基板230を嵌め込んでメインフレーム210の表面と印刷回路基板230の表面との間に段差が発生しないようにする。前記印刷回路基板230を基板取付部212に嵌め込むに際し、ボルトBを使用するか、またはボルトの代わりに接着剤や接着テープを使用して固定してもよい。
【0041】
前記構成によると、バスバー220の表面と印刷回路基板230の表面が同一平面上に置かれるようになる。この場合、バスバー220とセンシングチップ231の接続が容易になり得る。これについての詳細な説明は後述する。
【0042】
コネクター接続部Oは、基板取付部212の縁端の一領域が凹んで形成された部分である。前記コネクター接続部Oを設けることで、印刷回路基板230の縁端とメインフレーム210との間に空間が確保され、前記空間を通じてダイレクトコネクター240を印刷回路基板230の縁端に挟む方式で接続し得る。
【0043】
一方、バッテリーセル110の電極リード111は、機械的剛性が足りないため、バッテリーセル110の安定的な電気的接続のためにバスバー220が使用される。このようなバスバー220は、銅、アルミニウムまたはこれらを接合したクラッド(clad)金属から製作され得る。
【0044】
複数のバスバー220は、前記メインフレーム210の基板取付部212に形合わせになるように嵌め込まれて固定され得る。図示していないが、バスバー220の固定のために、接着剤、フック、ボルトなどがさらに使用され得る。
【0045】
本実施例の場合、セル積層体100の前方メインフレーム210に6個のバスバー220が等間隔で配置され、セル積層体100の後方メインフレーム210に5個のバスバー(図示せず)が等間隔で配置される。前記バスバー220は、直線形の棒状、U字形、四角フレーム形状などの多様な形態として具現され得る。
【0046】
これらのうちで四角フレーム形状のバスバー220は、リード引出孔213の外郭を囲むようにメインフレーム210に取り付け、前記リード引出孔213から電極リード111を抜き取った後、前記電極リード111のうちで一部は四角フレームの左側領域に溶接し、残りは四角フレームの右側領域に溶接可能であるので、多くの電極リード111を溶接する場合に容易である。
【0047】
これによって、本実施例では、前記四角フレーム形状のバスバー220を使用する。前記バスバー220のうちで二つをバッテリーモジュールの正極ターミナルと負極ターミナルとして兼用する。このために、前方メインフレーム210で最外側に配置されたバスバー220である一番目のバスバー220と六番目のバスバー220は、各々正極ターミナルT1と負極ターミナルT2の形状が加えられている。
【0048】
前記のようなバスバー220の構成によって、前記前方メインフレーム210の一番目のバスバー220に第1グループのバッテリーセル110の正極リードを溶接し、前記第1グループのバッテリーセル110の負極リードは、第2グループのバッテリーセル110の正極リードと共に前記後方メインフレーム210の一番目のバスバー220に溶接する。その後、前記第2グループのバッテリーセル110の負極リードと第3グループのバッテリーセル110の正極リードを一緒に前記前方メインフレーム210の二番目のバスバー220に溶接する。このようなパターンで最後のグループのバッテリーセル110の負極リードを前方メインフレーム210の六番目のバスバー220に溶接する(ここで、第Nグループのバッテリーセル110とは、一つ以上のバッテリーセル110の束ねを意味する。)。この場合、前記セル積層体100をなすすべてのバッテリーセル110は、前記複数のバスバー220を介して直列及び/または並列に接続され得る。
【0049】
上述したように、バッテリーセル110は、グループまたは束ね単位で前記バスバー220を介して直列に接続される。この場合、各バスバー220での電圧を測定すると、直列に接続された各バッテリーセル110の電圧が分かる。
【0050】
印刷回路基板230は、前記各バスバー220での電圧をセンシングするためのセンシング部材として使用され得る。印刷回路基板230は、バッテリーモジュール内で小さい空間を占めると共に、多くの信号や電源が伝達可能であるため、電圧センシング部材として活用度が高い。
【0051】
従来には、三次元の配線が可能な軟性印刷回路基板(FPCB)がセンシング部材としてよく使用されていたが、前記軟性印刷回路基板(FPCB)は衝撃に弱くて単価が高く、背景技術で言及したように、バスバー220への連結時、レーザー溶接を行わしなければならないという不具合がある。これに対し、本発明は、軟性印刷回路基板(FPCB)の代わりにメインフレーム210に堅固に取付可能な硬性材質の印刷回路基板230(Rigid PCB)を使用する。
【0052】
図3及び
図4に示したように、本発明の一実施例による硬性材質の印刷回路基板230は、バスバー220に脱着可能に設けられた複数のセンシングチップ231と、各前記センシングチップ231の信号を伝送するための導体線232と、を備え、基板取付部212に固定されるように取り付けられ得る。この際、印刷回路基板230が硬性材質であることから、ボルトBを用いて基板取付部212に堅固に固定できる。
【0053】
前記複数のセンシングチップ231は、各々前記印刷回路基板230にはんだ付けされる基部231aと、前記基部231aから所定の長さで延びて形成され、正方向または逆方向へ回転して前記バスバー220に接触または接触解除可能に設けられた連結部231bと、を備え得る。
【0054】
また、連結部231bは、
図5に示したように、約90°の角度に折り曲げられた端部231cを備える。そして、バスバー220は、厚さ方向へ所定の深さが切開されて形成されたスリット221を備える。ここで、前記スリット221は、センシングチップ231を回転させたとき、連結部231bの端部231cが入られる位置に形成される。
【0055】
前記構成によると、
図6のように、メインフレーム210にバスバー220と印刷回路基板230を各々取り付けた状態でセンシングチップ231の連結部231bを回転させ、前記連結部231bの端部231cをバスバー220のスリット221の中に締まりばめによって結合し得る。
【0056】
前述したように、バスバー220の表面と印刷回路基板230の表面は、同一平面上に置かれるように、バスバー220と印刷回路基板230が各々バスバー取付部211と基板取付部212に配設される。したがって、前記センシングチップ231の連結部231bを回転させてバスバー220のスリット221に連結部231bの端部231cを挿入したとき、連結部231bの残りの部分は、バスバー220の表面に密着し得る。
【0057】
また、センシングチップ231は、前記連結部231bの端部231cに凸パターンに形成されたビード231dを一つ以上備え得る。
図7を参照すると、本実施例によるセンシングチップ231は、連結部231bの端部231cに凹凸または凸パターンのビード231dを備える。バスバー220のスリット221に前記連結部231bの端部231cが入るとき、前記ビード231d部分がスリット221の内壁面に突き当たって圧縮されながら入る。この場合、ビード231dの復元力が作用してスリット221の内壁面とビード231dの接触が強く維持され得る。
【0058】
また、前記連結部231bの端部231cの終端を前記スリット221の外側にかけるようにフック231e形状で構成して連結部231bが前記スリット221から抜けにくくし得る。
【0059】
このような構成によって、センシングチップ231とバスバー220を連結する場合、センシングチップ231とバスバー220をレーザー溶接する場合に比べて連結作業を容易かつ迅速に行うことができ、必要な場合に分離可能であるので、バスバー220または印刷回路基板230のいずれか一つのみを交替することも可能である。
【0060】
ダイレクトコネクター240は、印刷回路基板230のセンシングチップ231によってセンシングしたバッテリーセル110の電圧情報をBMS(図示せず)へ伝送するのに使用され得る。
【0061】
本発明の一実施例によるダイレクトコネクター240は、
図8に示したように、印刷回路基板230の縁端に直接接続可能に設けられ得る。
【0062】
具体的には、前記ダイレクトコネクター240は、前記印刷回路基板230に挟まれるように設けられるコネクターハウジングと、前記コネクターハウジングの内部に備えられる複数のコネクターターミナルと、前記複数のコネクターターミナルと一対一に連結され、外部へ延びる複数のケーブル244と、を含み得る。
【0063】
コネクターハウジングは、コネクターターミナルの収容空間を形成する上板部241a及び下板部241bと、そして印刷回路基板230に対するロック手段を形成するラッチ部242と、基板ホルディングリード243と、を含む。
【0064】
上板部241a及び下板部241bは、コネクターハウジングの本体を形成する部分といえる。前記上板部241a及び下板部241bは、印刷回路基板230の縁端に所定の深みまで挟まれるように前部が少なくとも印刷回路基板230の厚さだけ相互に離隔し、後部は一体で形成されるように互いに連結されている。
【0065】
前記コネクターハウジングを印刷回路基板230の縁端に接続させると、上板部241aの前部は前記印刷回路基板230の前面に接触し、下板部241bの前部は前記印刷回路基板230の後面に接触し、追加的にラット部242と基板ホルディングリード243が印刷回路基板230に結合してダイレクトコネクター240の動きが防止され得る。前記上板部241a及び下板部241bの後部にはコネクターターミナルを個別に挿入可能な挿入孔が設けられ得る。
【0066】
また、本実施例の場合、前記印刷回路基板230の縁端の一部と前記メインフレーム210の前面との間に空間が設けられている。前記空間は、前述したメインフレーム210のコネクター接続部Oになる。ダイレクトコネクター240は、前記空間にコネクターハウジングの下板部241bが配置されることによって、メインフレーム210の上端によって干渉されることなく印刷回路基板230の縁端に接続され得る。
【0067】
以上で説明したように、本発明によるバッテリーモジュールは、前記硬性印刷回路基板230のセンシングチップ231をバスバー220に締まりばめにって脱着可能になっていることで、センシングチップ231とバスバー220の組み立てが容易であり、必要な場合、リワーク(re-work)も可能である。また、ダイレクトコネクター240を印刷回路基板230に機械的に挟む構造からなるので、コネクターの取り付けが従来よりも堅固かつ容易であるという長所がある。
【0068】
一方、本発明によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを一つ以上含み得る。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュールの他に、バッテリーモジュールを収納するためのパックケース、各バッテリーモジュールの充放電を制御するための各種装置、例えば、マスターBMS、電流センサー、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0069】
本発明によるバッテリーモジュールは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用可能である。即ち、前記自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含み得る。
【0070】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0071】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。