(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】誘電体磁器組成物及びこれを含む積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
C04B 35/468 20060101AFI20241112BHJP
H01B 3/12 20060101ALI20241112BHJP
H01G 4/12 20060101ALI20241112BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C04B35/468
H01B3/12 303
H01G4/12 270
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
(21)【出願番号】P 2020098950
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0101517
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、イン タエ
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュン シク
(72)【発明者】
【氏名】ドー、シー ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジ ホン
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-193955(JP,A)
【文献】特開2013-079182(JP,A)
【文献】特開2016-102040(JP,A)
【文献】特開平02-049308(JP,A)
【文献】特開2008-042150(JP,A)
【文献】特開2017-114759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/468
H01B 3/12
H01G 4/12
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
BaTiO
3系母材主成分と副成分を含み、前記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、
前記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、前記母材主成分100
モルに対して
0.466モル超過1.0
モル以下であ
り、前記セリウム(Ce)の含有量は、前記母材主成分100モルに対して0.466モル以上0.932モル未満である
誘電体磁器組成物。
【請求項2】
BaTiO
3
系母材主成分と副成分を含み、前記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)、セリウム(Ce)、及びランタン(La)を含み、
前記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、前記母材主成分100モルに対して0.25モル超過1.0モル以下である、誘電体磁器組成物。
【請求項3】
前記セリウム(Ce)の含有量が、前記母材主成分100
モルに対して0.233
モル<Ce<0.932
モルを満たす、請求項
2に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項4】
前記第1副成分は
Laをさらに含む、請求項
1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項5】
前記誘電体磁器組成物は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnのうち少なくとも一つを含
む第2副成分を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項6】
前記誘電体磁器組成物は、
Mgを含む
第3副成分を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項7】
前記誘電体磁器組成物は、
Si及びAlのうち少なくとも一つを含む
第4副成分を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項8】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の外側に配置され、且つ第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極、及び前記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、誘電体磁器組成物を含む誘電体グレインを含み、
前記誘電体磁器組成物は、BaTiO
3系母材主成分と副成分を含み、前記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、
前記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、前記母材主成分100
モルに対して
0.466モル超過1.0
モル以下であ
り、前記セリウム(Ce)の含有量は、前記母材主成分100モルに対して0.466モル以上0.932モル未満である
積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の外側に配置され、且つ第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極、及び前記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、誘電体磁器組成物を含む誘電体グレインを含み、
前記誘電体磁器組成物は、BaTiO
3
系母材主成分と副成分を含み、前記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)、セリウム(Ce)、及びランタン(La)を含み、
前記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、前記母材主成分100モルに対して0.25モル超過1.0モル以下である、積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記セリウム(Ce)の含有量が前記母材主成分100
モルに対して0.233
モル<Ce<0.932
モルを満たす、請求項
9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記第1副成分は
Laをさらに含み、前記Laは前記誘電体グレインのうちグレイン粒界に配置される、請求項
8に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記誘電体磁器組成物は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnのうち少なくとも一つを含む
第2副成分を含む、請求項
8から
11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記誘電体磁器組成物は、
Mgを含む
第3副成分を含む、請求項
8から
12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記誘電体磁器組成物は、
Si及びAlのうち少なくとも一つを含む
第4副成分を含む、請求項
8から
13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記誘電体層の厚さは0.4μm以下である、請求項
8から
14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記積層セラミックキャパシタのサイズは1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下である、請求項
8から
15のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項17】
前記第1内部電極のうち少なくとも一つの厚さは0.4μm以下であり、前記第2内部電極のうち少なくとも一つの厚さは0.4μm以下である、請求項8または9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項18】
前記第1内部電極のうち少なくとも一つの厚さは0.4μm以下であり、前記第2内部電極のうち少なくとも一つの厚さは0.4μm以下であり、前記誘電体層のうち少なくとも一つの厚さは0.4μm以下である、請求項8または9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性を向上させることができる誘電体磁器組成物及びこれを含む積層セラミックキャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ又はサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、本体内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるように、セラミック本体の表面に配置された外部電極と、を備える。
【0003】
最近では、電子製品の小型化や多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化しつつあるため、積層セラミックキャパシタに対してもサイズが小さく、容量が大きい高容量製品が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化をともに達成する方法としては、内部の誘電体層及び電極層の厚さを薄くして、多くの数を積層する方法が挙げられる。また、現在の誘電体層の厚さは0.6μm程度のレベルであって、引き続き薄いレベルへの開発が進められている。
【0005】
このような状況下では、誘電体層の信頼性の確保が誘電材料において重要な課題となっており、併せて、誘電体の絶縁抵抗劣化の不良が増加し、品質及び歩留まり管理に困難がある点が重要な問題となっている。
【0006】
そこで、かかる問題を解決するために、積層セラミックキャパシタの構造的な面だけでなく、特に誘電体の組成の面において高信頼性を確保することができる新たな方法が必要な実情である。
【0007】
現在のレベルにおいて、信頼性レベルをより一層高めることができる誘電体組成を確保することができるのであれば、より薄層化した積層セラミックキャパシタを製作することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、信頼性を向上させることができる誘電体磁器組成物及びこれを含む積層セラミックキャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、BaTiO3系母材主成分と副成分を含み、上記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下である誘電体磁器組成物を提供する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の外側に配置され、且つ第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極、及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極と、を含み、上記誘電体層は、誘電体磁器組成物を含む誘電体グレインを含み、上記誘電体磁器組成物は、BaTiO3系母材主成分と副成分を含み、上記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下である積層セラミックキャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によると、セラミック本体内の誘電体層に含まれる誘電体磁器組成物が、副成分として新たな希土類元素であるセリウム(Ce)を含み、且つその含有量を制御することにより、高誘電率を確保することができるとともに、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【
図3】本発明の実施例及び比較例による温度別誘電定数の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図であり、
図2は
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含むセラミック本体110と、上記セラミック本体110の外側に配置され、且つ第1内部電極121と電気的に連結される第1外部電極131、及び上記第2内部電極122と電気的に連結される第2外部電極132と、を含む。
【0016】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100において、「長さ方向」とは
図1の「L」方向、「幅方向」とは「W」方向、及び「厚さ方向」とは「T」方向と定義する。ここで、「厚さ方向」は、誘電体層を積み上げる方向、すなわち、「積層方向」と同一の概念で用いることができる。
【0017】
上記セラミック本体110の形状に特に制限はないが、図面に示すように、六面体形状であることができる。
【0018】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、上記セラミック本体110の一面、又は上記一面と向かい合う他面に一端が露出する。
【0019】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対にすることができる。
【0020】
第1内部電極121の一端はセラミック本体の一面に露出し、第2内部電極122の一端は上記一面と向かい合う他面に露出することができる。
【0021】
上記セラミック本体110の一面及び上記一面と向かい合う他面には、第1及び第2外部電極131、132が形成されて上記第1及び第2内部電極121、122と電気的に連結されることができる。
【0022】
上記第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、上記第1及び第2内部電極121、122は、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0023】
上記第1及び第2外部電極131、132は、静電容量を形成するために、上記第1及び第2内部電極121、122と電気的に連結されることができ、上記第2外部電極132は、上記第1外部電極131とは異なる電位に連結されることができる。
【0024】
上記第1及び第2外部電極131、132に含有される導電性材料は、特に限定されないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、又はこれらの合金を用いることができる。
【0025】
上記第1及び第2外部電極131、132の厚さは、用途などに応じて、適宜決定することができ、特に制限されないが、例えば、10~50μmであってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末であってもよい。
【0027】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々な添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0028】
上記誘電体層111は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層同士の粒界は確認できないほど一体化していることができる。
【0029】
上記誘電体層111上に第1及び第2内部電極121、122が形成されることができ、上記第1及び第2内部電極121、122は、焼結によって一誘電体層を間に挟んで上記セラミック本体110の内部に形成されることができる。
【0030】
誘電体層111の厚さは、キャパシタの容量設計に応じて任意に変更することができる。本発明の一実施例において、焼成後の誘電体層の厚さは、好ましくは1層当たり0.4μm以下であってもよい。
【0031】
また、焼成後の上記第1及び第2内部電極121、122の厚さは、好ましくは1層当たり0.4μm以下であってもよい。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111は、誘電体磁器組成物を含む誘電体グレインを含み、上記誘電体磁器組成物は、BaTiO3系母材主成分と副成分を含み、上記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下であることを特徴とする。
【0033】
最近、超小型高容量積層セラミックキャパシタの開発のために、添加剤が固溶されたBaTiO3系母材主成分において同一のグレインサイズの形成時に磁壁移動度(Domain Wall Mobility)を向上させ、高誘電率の実現が可能な誘電体組成物の組成開発が必要な実情である。
【0034】
このために、ドナー型(Donor-type)のドーパント(Dopant)組成を適用すると、格子内のピニングソース(Pinning Source)の濃度が下がり、磁壁間の移動が容易になるという研究結果がある。
【0035】
このために、公知の様々なドナー型(Donor-type)のドーパント(Dopant)のうちBa、及びイオンサイズが最も類似の添加剤を適用することにより、格子ミスマッチングを最小限に抑え、高誘電特性を実現できる誘電体組成を開発しようとした。
【0036】
また、一般に、ドナー型(Donor-type)の添加剤は、その含有量が増加する場合、絶縁抵抗(Insulation Resistance、IR)が低下し、耐還元性の確保が難しくなるという問題があるため、適切な含有量比を選定しようとした。
【0037】
従来の誘電率の向上及び積層セラミックキャパシタの信頼性の向上に影響を与えるもののうち、最も一般的に用いられるドナー型(Donor-type)のドーパント(Dopant)としてジスプロシウム(Dy)が挙げられ、このドナー型(Donor-type)ドーパント(Dopant)とアクセプタ型(Acceptor type)ドーパント(Dopant)の含有量を適切に調整することで、要求される誘電特性及び信頼性を実現することができる。
【0038】
但し、ジスプロシウム(Dy)がBaTiO3のAサイト(A-site)に置換されて酸素空孔を抑制することはできるが、Ba元素内の固溶限界によって上記特性の実現に制約があるのが実情である。
【0039】
そこで、かかる固溶効果を最大限にするために、希土類元素がBa元素内により円滑に置換されるようにする必要がある。
【0040】
具体的には、ドナー効果をより上昇させるために、ジスプロシウム(Dy)よりも原子価がより大きく、Ba元素のイオンサイズと同様となるようにジスプロシウム(Dy)よりもイオンサイズが大きい希土類元素を用いる必要がある。
【0041】
本発明では、誘電体組成内の欠陥化学的に酸素空孔の生成を抑制したり、又はその濃度を下げることができる+4価の原子価を有する希土類元素としてセリウム(Ce)を含む誘電体組成物を提案する。
【0042】
セリウム(Ce)元素の場合には、主成分であるBa元素、及びドナー型(Donor-type)ドーパント(Dopant)であるジスプロシウム(Dy)元素よりも大きいイオン半径を有し、Ba元素のイオン半径と類似するため、Ba元素サイトに効果的に置換されて固溶されることができる。
【0043】
また、上記セリウム(Ce)元素の場合には原子価が高いため、ドナー(Donor)として効果的に酸素空孔を除去することができる。
【0044】
本発明の一実施形態では、安定した誘電特性を示すジスプロシウム(Dy)元素とともにセリウム(Ce)元素を適用し、高誘電率及び優れた信頼性を確保することができる最適な含有量比を選定した。
【0045】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、BaTiO3系母材主成分と副成分を含み、上記副成分は、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量は、上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下であることを特徴とする。
【0046】
上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下を満たすように調整することにより、高誘電率を確保することができるとともに、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上を可能にする。
【0047】
本発明の一実施形態によると、セラミック本体内の誘電体層に含まれる誘電体磁器組成物において、副成分として希土類元素であるジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を含み、且つジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の含有量を制御することにより、高誘電特性を確保するとともに、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上を可能にする。
【0048】
上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%以下の場合には、希土類の合計含有量が不足し、高温及び高圧環境下において信頼性が低下する可能性がある。
【0049】
すなわち、上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.25モル%以下の場合には、希土類元素がAサイト(A-site)に置換されることにより、酸素空孔を抑制する効果が不十分となり、結果として、信頼性が低下し、誘電率の向上効果が不十分となる可能性がある。
【0050】
これに対し、上記ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の合計含有量が上記母材主成分100モル%に対して1.0モル%を超えると、ドナーとして作用する希土類元素の含有量が増加して電子の濃度が増加し、結果として、半導体化による絶縁抵抗の低下が発生する可能性がある。
【0051】
本発明の一実施形態によると、上記セリウム(Ce)の含有量が、上記母材主成分100モル%に対して0.233モル%<Ce<0.932モル%を満たすことができる。
【0052】
上記セリウム(Ce)の含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.233モル%<Ce<0.932モル%を満たすように調整することにより、高誘電特性を確保するとともに、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上を可能にする。
【0053】
特に、上記セリウム(Ce)の含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.466モル%≦Ce<0.932モル%を満たすようにすることにより、高誘電特性を確保するとともに、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上を可能にする。
【0054】
上記セリウム(Ce)の含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.233モル%以下の場合には、ジスプロシウム(Dy)だけを含む従来に比べて誘電率の増加効果が大きくない。
【0055】
本発明の一実施形態のように、上記セリウム(Ce)の含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.233モル%を超えて誘電体磁器組成物に含まれる場合には、ジスプロシウム(Dy)と対比して酸素空孔を効果的に除去することにより、磁壁移動度(Domain Wall Mobility)を向上させるとともに、高誘電率を実現することができる。
【0056】
しかし、上記セリウム(Ce)の含有量が上記母材主成分100モル%に対して0.932モル%以上の場合には、ドナーとして作用する希土類元素の含有量が増加して電子の濃度が増加し、結果として、半導体化による絶縁抵抗の低下が発生する可能性がある。
【0057】
本発明の一実施形態によると、上記第1副成分は、ランタン(La)を含む酸化物又は炭酸塩をさらに含み、上記ランタン(La)は、上記誘電体グレインのうちグレイン粒界に配置されることができる。
【0058】
一方、ジスプロシウム(Dy)よりもイオン半径が大きい希土類元素、例えば、ランタン(La)を用いる場合、Baサイトをより効果的に置換することができるため、酸素空孔欠陥濃度の減少にはさらに効果的である。
【0059】
したがって、信頼性を向上させるために、酸素空孔欠陥濃度を最小限に抑えるとともに、絶縁抵抗を確保するために、第1副成分としてランタン(La)をさらに含むことができる。
【0060】
但し、ランタン(La)の含有量が多すぎる場合には、過度な半導体化によって絶縁抵抗が急激に低下するという問題があるため、その含有量は、母材主成分100モル%に対して0.233モル%以上0.699モル%以下で含まれることが好ましい。
【0061】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、上述のように、超小型高容量製品であって、上記誘電体層111の厚さは0.4μm以下、上記第1及び第2内部電極121、122の厚さは0.4μm以下であることを特徴とするが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0062】
また、上記積層セラミックキャパシタ100のサイズは、1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下であることができる。
【0063】
すなわち、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、超小型高容量製品であるため、誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122の厚さが従来の製品に比べて薄膜で構成されており、このように薄膜の誘電体層及び内部電極が適用された製品の場合、絶縁抵抗などの信頼性向上のための研究は非常に重要なイシューとなっている。
【0064】
換言すると、従来の積層セラミックキャパシタの場合には、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタに含まれる誘電体層及び内部電極よりも比較的厚い厚さを有するため、誘電体磁器組成物の組成が従来と同一の場合であっても、信頼性が大きく問題とされていなかった。
【0065】
しかし、本発明の一実施形態のように薄膜の誘電体層及び内部電極が適用される製品においては、積層セラミックキャパシタの信頼性が重要であり、そのために誘電体磁器組成物の組成を調整する必要がある。
【0066】
すなわち、本発明の一実施形態では、第1副成分として、ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下含み、且つ上記セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.233モル%<Ce<0.932モル%、特に0.466モル%≦Ce<0.932モル%を満たすように調整する。これにより、誘電体層111の厚さが0.4μm以下の薄膜の場合にも、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上が可能となる。
【0067】
但し、上記薄膜の意味は誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下であることを意味するものではなく、従来の製品よりも薄い厚さの誘電体層及び内部電極を含む概念として理解するとよい。
【0068】
以下、本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物の各成分についてより具体的に説明する。
【0069】
a)母材主成分
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物はBaTiO3で示される母材主成分を含むことができる。
【0070】
本発明の一実施形態によると、上記母材主成分は、BaTiO3、(Ba1-xCax)(Ti1-yCay)O3(ここで、xは0≦x≦0.3、yは0≦y≦0.1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(ここで、xは0≦x≦0.3、yは0≦y≦0.5)、及びBa(Ti1-yZry)O3(ここで、0<y≦0.5)からなる群より選択される一つ以上を含むが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0071】
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は常温誘電率が2000以上であることができる。
【0072】
上記母材主成分は、特に制限されないが、主成分粉末の平均粒径が40nm以上200nm以下であってもよい。
【0073】
b)第1副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、第1副成分元素としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を必ず含み、これに加えて、上記母材主成分100モル%に対して0.233モル%以上0.699モル%以下のランタン(La)酸化物又は炭酸塩をさらに含むことができる。
【0074】
上記第1副成分は、本発明の一実施形態において、誘電体磁器組成物が適用された積層セラミックキャパシタの信頼性の低下を防ぐ役割を果たす。
【0075】
上記ランタン(La)の含有量が0.233モル%未満の場合には、誘電率の向上効果がなく、0.699モル%を超えると、絶縁抵抗が低下したり、又は誘電損失(Dissipation Factor、DF)の低下の問題が発生する可能性がある。
【0076】
本発明の一実施形態によると、第1副成分としてジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下含み、且つ上記セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.233モル%<Ce<0.932モル%、特に0.466モル%≦Ce<0.932モル%を満たすように調整することにより、誘電体層111の厚さが0.4μm以下の薄膜の場合にも、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上が可能となる。
【0077】
上記セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.233モル%以下の場合には、ジスプロシウム(Dy)だけを含む従来に比べて誘電率の増加効果が大きくない。
【0078】
上記セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.932モル%以上の場合には、半導体化による絶縁抵抗の低下が発生する可能性がある。
【0079】
c)第2副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、第2副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩を含むことができる。
【0080】
上記第2副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩は、上記母材主成分100モルに対して0.1~2.0モルの含有量で含まれることができる。
【0081】
上記第2副成分は、誘電体磁器組成物が適用された積層セラミックキャパシタの焼成温度の低下及び高温耐電圧特性を向上させる役割を果たす。
【0082】
上記第2副成分の含有量ならびに後述する第3及び第4副成分の含有量は、母材粉末100モルに対して含まれる量であって、特に各副成分が含む金属イオンのモルとして定義することができる。
【0083】
上記第2副成分の含有量が0.1モル未満の場合には、焼成温度が高くなり、高温耐電圧特性がやや低下する可能性がある。
【0084】
上記第2副成分の含有量が2.0モル以上の場合には、高温耐電圧特性及び常温比抵抗が低下する可能性がある。
【0085】
特に、本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は、母材主成分100モルに対して0.1~2.0モルの含有量を有する第2副成分を含むことができる。これにより、低温焼成が可能であり、高い高温耐電圧特性を得ることができる。
【0086】
d)第3副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、原子価固定アクセプタ(fixed-valence acceptor)元素のMgを含む酸化物又は炭酸塩である第3副成分を含むことができる。
【0087】
上記原子価固定アクセプタ(fixed-valence acceptor)元素のMgは、上記母材主成分100モルに対して0.001~0.5モルの第3副成分を含むことができる。
【0088】
上記第3副成分は、原子価固定アクセプタ元素及びこれを含む化合物であって、アクセプタ(Acceptor)として作用して、電子の濃度を減らす役割を果たすことができる。上記第3副成分である原子価固定アクセプタ(fixed-valence acceptor)元素のMgを上記母材主成分100モルに対して0.001~0.5モル添加することにより、n-type化による信頼性の向上効果を最大限にすることができる。
【0089】
上記第3副成分の含有量が上記母材主成分100モルに対して0.5モルを超えると、誘電率が低くなるという問題があるため好ましくない。
【0090】
但し、本発明の一実施形態によると、上記第3副成分は、n-type化による信頼性の向上効果を最大限にするために、チタン(Ti)100モルに対して0.5モルを添加することが好ましいが、必ずしもこれに制限されるものではなく、0.5モル以下又は0.5モルから少量超えて添加することもできる。
【0091】
e)第4副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、第4副成分として、Si及びAlのうち少なくとも一つを含む酸化物、又はSiを含むガラス(Glass)化合物を含むことができる。
【0092】
上記誘電体磁器組成物は、上記母材主成分100モルに対して、Si及びAlのうち少なくとも一つを含む酸化物、又はSiを含むガラス(Glass)化合物である0.001~4.0モルの第4副成分をさらに含むことができる。
【0093】
上記第4副成分の含有量は、ガラス、酸化物又は炭酸塩のような添加形態を区分せずに第4副成分に含まれるSi及びAlのうち少なくとも一つ以上の元素の含有量を基準にすることができる。
【0094】
上記第4副成分は、誘電体磁器組成物が適用された積層セラミックキャパシタの焼成温度の低下及び高温耐電圧特性を向上させる役割を果たす。
【0095】
上記第4副成分の含有量が上記母材主成分100モルに対して4.0モルを超えると、焼結性及び緻密度を低下させ、2次相生成などの問題があるため好ましくない。
【0096】
特に、本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物が4.0モル以下の含有量でAlを含むことにより、粒成長を均一に制御することができ、耐電圧特性及び信頼性の向上に効果があり、DC-biasの特性も向上させることができる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が実施例により限定されるものではない。
【0098】
(実施例)
本発明の実施例は、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含む誘電体原料粉末に、Dy、Ce、La、Al、Mg、Mnなどの添加剤、バインダー及びエタノールなどの有機溶媒を添加し、湿式混合して誘電体スラリーを設けた後、上記誘電体スラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた。これにより、誘電体層を形成することができる。
【0099】
この際、チタン酸バリウムに対してすべての元素の添加剤の割合が40%以下になるように単分散して投入した。
【0100】
特に、添加される希土類元素のうちジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下となるように含ませた。
【0101】
上記実施例のうち、実施例1は、ジスプロシウム(Dy)0.466モル%及びセリウム(Ce)0.466モル%を添加して製作し、実施例2は、ジスプロシウム(Dy)0.233モル%及びセリウム(Ce)0.699モル%を添加して製作した。
【0102】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することができる。
【0103】
その後、粒子平均サイズが0.1~0.2μmのニッケル粉末を40~50重量部含む内部電極用の導電性ペーストを設けることができる。
【0104】
上記グリーンシート上に上記内部電極用の導電性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成し、内部電極パターンが配置されたグリーンシートを積層して積層体を形成した後、上記積層体を圧着及び切断した。
【0105】
次に、切断された積層体を加熱してバインダーを除去した後、高温の還元雰囲気で焼成してセラミック本体を形成した。
【0106】
上記焼成過程では、還元雰囲気(0.1% H2/99.9% N2、H2O/H2/N2雰囲気)で1100~1200℃の温度で2時間焼成した後、1000℃の窒素(N2)雰囲気下で3時間再酸化して熱処理した。
【0107】
次に、焼成されたセラミック本体に対して、銅(Cu)ペーストでターミネーション工程及び電極焼成を経て外部電極を完成した。
【0108】
また、セラミック本体110の内部の誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122は、焼成後の厚さが0.4μm以下となるように製作した。
【0109】
(比較例1)
比較例1は、従来の場合であって、母材主成分100モル%に対してジスプロシウム(Dy)を0.932モル%添加したものであり、その他の制作過程は、上述した実施例の場合と同様である。
【0110】
(比較例2)
比較例2は、母材主成分100モル%に対してジスプロシウム(Dy)0.699モル%及びセリウム(Ce)0.233モル%を添加したものであり、その他の制作過程は、上述した実施例の場合と同様である。
【0111】
(比較例3)
比較例3は、母材主成分100モル%に対してセリウム(Ce)を0.932モル%添加したものであり、その他の制作過程は、上述した実施例の場合と同様である。
【0112】
上記のように完成された試作型積層セラミックキャパシタ(Proto-type MLCC)試料の実施例1~2及び比較例1~3に対して、誘電率、誘電損失(Dissipation Factor、DF)及び絶縁抵抗(Insulation Resistance、IR)試験を行い、その結果を評価した。
【0113】
上記試験は、セリウム(Ce)の添加効果を正確に確認するために2つの条件でそれぞれ行った。各条件は、セラミック状態及び積層セラミックキャパシタの状態で行われた。
【0114】
下記表1は、実験例(実施例1~2及び比較例1~3)による試作型積層セラミックキャパシタ(Proto-type MLCC)チップの誘電率、誘電損失(Dissipation Factor、DF)及び絶縁抵抗(Insulation Resistance、IR)を示すものである。
【0115】
【0116】
上記表1を参照すると、母材主成分100モル%に対してジスプロシウム(Dy)を0.932モル%添加した比較例1の場合には、誘電率及び絶縁抵抗(Insulation Resistance、IR)が低いことが分かる。
【0117】
次に、セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.233モル%以下である比較例2の場合には、ジスプロシウム(Dy)を単独で固溶された比較例1の場合に比べて、誘電率の向上効果が不十分であることが分かる。
【0118】
次に、セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.932モル%以上である比較例3の場合には、半導体化の傾向を示し、誘電損失(Dissipation Factor、DF)に問題があり、絶縁抵抗(Insulation Resistance、IR)の低下の問題があることが分かる。
【0119】
これに対し、本発明の実施例1及び2はジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下含み、上記セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.233モル%<Ce<0.932モル%、特に0.466モル%≦Ce<0.932モル%を満たす場合であって、高誘電率を確保することができるとともに、絶縁抵抗の向上などといった信頼性の向上を可能にすることが分かる。
【0120】
図3は本発明の実施例及び比較例による温度別誘電率の結果を示すグラフである。
【0121】
図3を参照すると、ジスプロシウム(Dy)及びセリウム(Ce)を母材主成分100モル%に対して0.25モル%超過1.0モル%以下含み、上記セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.233モル%<Ce<0.932モル%、特に0.466モル%≦Ce<0.932モル%を満たす実施例1及び2の場合には、従来のジスプロシウム(Dy)だけを添加した比較例1に比べて温度別誘電率の上昇幅が大きいことが分かる。
【0122】
一方、セリウム(Ce)の含有量が母材主成分100モル%に対して0.932モル%含まれる比較例3の場合には、誘電率は高いが、半導体化の傾向を示し、絶縁抵抗の低下が発生するため信頼性に問題がある。
【0123】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0124】
110 セラミック本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極