IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中強光電股▲ふん▼有限公司の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 25/00 20060101AFI20241112BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20241112BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B27/01
G02B13/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021011620
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2021135498
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】202010122428.9
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】郭 道宏
(72)【発明者】
【氏名】莊 福明
(72)【発明者】
【氏名】李 柏徹
(72)【発明者】
【氏名】蔡 幸▲うぇん▼
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109496(JP,A)
【文献】特開2012-008489(JP,A)
【文献】特開2001-124990(JP,A)
【文献】特開平07-234361(JP,A)
【文献】特開2017-122771(JP,A)
【文献】特開2018-028632(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054359(WO,A1)
【文献】特開2013-088632(JP,A)
【文献】特開2013-045020(JP,A)
【文献】特開平08-029704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路表示器であって、
入光側から出光側へ順次配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ、及び第五レンズからなる光学レンズを含み、
前記第一レンズ乃至前記第四レンズの屈折力は、順に、正、負、正、及び正であり、
前記第一レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記入光側に面する凸面を有し、
前記第二レンズは、双凹レンズであり、
前記第五レンズは、屈折力を有し、
前記入光側では、映像生成器が設置され、
前記光学レンズは、前記映像生成器により提供される映像光束を受け取り、
前記映像光束は、前記出光側においてストップを形成し、
前記ストップは、前記映像光束のビーム収縮(beam shrinkage)の最小断面積を有し、
前記導波路表示器は、導波路素子をさらに含み、
前記ストップは、前記導波路素子に形成され、
前記導波路素子は、互いに相対する光結合入口及び光結合出口を有し、
前記映像光束は、前記光結合入口を経由して前記導波路素子に進入し、
前記導波路素子は、前記映像光束をガイドし、前記映像光束が前記光結合出口から前記導波路素子を離れてターゲットに投射するようにさせる、導波路表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記光学レンズは、さらに、1<(A+C)/B<2.5を満たし、
Aは、前記ストップと、前記第五レンズが前記ストップに最も近い位置との間の光路距離であり、Bは、前記光学レンズのレンズ総長さであり、Cは、前記光学レンズの前記第一レンズが前記入光側に面する表面と、前記映像生成器との光軸上の距離である、導波路表示器。
【請求項3】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記光学レンズは、さらに、1<│f5/f4│<15を満たし、
f4は、前記光学レンズの前記第四レンズの焦点距離であり、f5は、前記光学レンズの前記第五レンズの焦点距離である、導波路表示器。
【請求項4】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記光学レンズは、さらに、V5-V4<25を満たし、
V4は、前記第四レンズのアッベ数であり、V5は、前記第五レンズのアッベ数である、導波路表示器。
【請求項5】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記第一レンズ、前記第二レンズ、前記第三レンズ、及び前記第五レンズの材料は、プラスチックであり、
前記第四レンズの材料は、ガラスである、導波路表示器。
【請求項6】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記第四レンズの材料は、ガラスであり、
前記第四レンズの焦点距離は、0よりも大きい、導波路表示器。
【請求項7】
請求項5に記載の導波路表示器であって、
前記第一レンズ、前記第二レンズ、前記第三レンズ、及び前記第五レンズは、非球面レンズであり、
前記第四レンズは、球面レンズである、導波路表示器。
【請求項8】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記第五レンズの屈折力は、正である、導波路表示器。
【請求項9】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記第五レンズの屈折力は、負である、導波路表示器。
【請求項10】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記ストップは、前記導波路素子の前記光結合入口、前記光結合出口、又は、前記光結合入口と前記光結合出口との間の位置に形成される、導波路表示器。
【請求項11】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記光学レンズにより投射される虚像のサイズは、前記映像生成器のサイズの184倍であり、
前記光学レンズの視野は、40度である、導波路表示器。
【請求項12】
請求項1に記載の導波路表示器であって、
前記光学レンズにより投射される虚像のサイズは、前記映像生成器のサイズの236倍であり、
前記光学レンズの視野は、50度である、導波路表示器。
【請求項13】
入光側から出光側へ順次配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ、及び第五レンズからなる光学レンズであって、
前記第一レンズ乃至前記第四レンズの屈折力は、順に、正、負、正、及び正であり、
前記第五レンズは、屈折力を有し、
前記入光側では、映像生成器が設置され、
前記光学レンズは、前記映像生成器により提供される映像光束を受け取り、
前記映像光束は、前記出光側においてストップを形成し、
前記ストップは、前記映像光束のビーム収縮(beam shrinkage)の最小断面積を有し、
前記第一レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記入光側に面する凸面を有し、
前記第二レンズは、双凹レンズであり、
前記第三レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記出光側に面する凸面を有し、
前記第四レンズは、双凸レンズであり、
前記第五レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記入光側に面する凸面を有する、光学レンズ。
【請求項14】
入光側から出光側へ順次配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ、及び第五レンズからなる光学レンズであって、
前記第一レンズ乃至前記第四レンズの屈折力は、順に、正、負、正、及び正であり、
前記第五レンズは、屈折力を有し、
前記入光側では、映像生成器が設置され、
前記光学レンズは、前記映像生成器により提供される映像光束を受け取り、
前記映像光束は、前記出光側においてストップを形成し、
前記ストップは、前記映像光束のビーム収縮(beam shrinkage)の最小断面積を有し、
前記第一レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記入光側に面する凸面を有し、
前記第二レンズは、双凹レンズであり、
前記第三レンズは、双凸レンズであり、
前記第四レンズは、双凸レンズであり、
前記第五レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記入光側に面する凸面を有する、光学レンズ。
【請求項15】
入光側から出光側へ順次配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ、及び第五レンズからなる光学レンズであって、
前記第一レンズ乃至前記第四レンズの屈折力は、順に、正、負、正、及び正であり、
前記第一レンズは、凹凸レンズであり、且つ前記入光側に面する凸面を有し、
前記第二レンズは、双凹レンズであり、
前記第五レンズは、屈折力を有し、
前記入光側では、映像生成器が設置され、
前記光学レンズは、前記映像生成器により提供される映像光束を受け取り、
前記映像光束は、前記出光側においてストップを形成し、
前記ストップは、前記映像光束のビーム収縮(beam shrinkage)の最小断面積を有し、
前記光学レンズと前記ストップとの間に第一プリズムが設置され、
前記映像光束は、前記光学レンズを離れ、前記第一プリズムを通過して前記ストップに集光し、
前記映像光束は、前記ストップを通過した後に発散する、光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズに関し、特に、導波路表示器に用いられる光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
導波路(waveguide)を有する表示器(導波路表示器と言う)は、その映像源の種類に基づいて、自己発光パネルアーキテクチャ、透過型パネルアーキテクチャ及び反射型パネルアーキテクチャを有する3種類のものに分けることができる。自己発光又は透過型パネルアーキテクチャを有する導波路表示器では、これらの各種の形式のパネルにより提供される映像光束が光学レンズを経由して結合(Coupling)入口から導波路に進入する。続いて、映像光束は、導波路内で結合出口に伝播し、そして、人の目の位置に投射して映像を形成することができる。また、反射型パネルアーキテクチャの導波路表示器について言えば、その光源により提供される照明光束が照明光学装置の伝播を経た後に、照明プリズムにより反射型パネルに照射され、そして、反射型パネルにより照明光束を映像光束に変換し、これにより、反射型パネルは、映像光束を光学レンズに伝播させ、映像光束は、光学レンズを経由して導波路に導入される。続いて、映像光束は、導波路内で結合出口伝播し、そして、人の目の位置に投射することができる。映像源(パネル)により生成される映像は、光学レンズにより一定の距離外に1つの虚像を形成し、この虚像は、人の目を通過して網膜上で結像することができる。光学レンズは、導波路表示器に応用され、その設計上の寸法、大小(サイズ)、重量の考慮及び熱安定性が重要な議題である。
【0003】
なお、この「背景技術」の部分は、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、良好な光学品質及び熱安定性を有する光学レンズを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示される技術的特徴からさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の1つ又は一部又はすべての目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、光学レンズが提供され、それは、入光側から出光側へ順次配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ、及び第五レンズを含む。第一レンズ乃至第四レンズの屈折力は、順に、正、負、正、及び正であり、第五レンズは、屈折力を有する。入光側では、映像生成器が設置される。光学レンズは、映像生成器により提供される映像光束を受け取るために用いられる。映像光束は、出光側においてストップ(stop)を形成する。ストップは、映像光束のビーム収縮(beam shrinkage)の最小断面積を有する。
【0007】
上述により、本発明の実施例は、次のような利点又は効果のうちの少なくとも1つを有する。即ち、本発明の例示的な実施例において、光学レンズの設計が上述の屈折力の組み合わせ、レンズの配列方式、及び数量と一致するから、光学レンズは、比較的短いレンズ総長さの下で良好な結像品質を有することができる。
【0008】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて、添付した図面を参照することにより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例における導波路表示器の概略図である。
図2A図1の光学レンズの横方向色差図である。
図2B図1の光学レンズの像面湾曲と歪み図である。
図2C図1の光学レンズの横方向光束扇形図である。
図2D図1の光学レンズの変調変換関数曲線図である。
図2E図1の光学レンズの異なる像高下の波面光路差のシミュレーションデータ図である。
図2F図1の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図2G図1の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図2H図1の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図2I図1の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図2J図1の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図3】本発明の他の実施例における導波路表示器の概略図である。
図4】本発明の他の実施例における導波路表示器の概略図である。
図5】本発明の他の実施例における導波路表示器の概略図である。
図6A図5の光学レンズの横方向色差図である。
図6B図5の光学レンズの像面湾曲と歪み図である。
図6C図5の光学レンズの横方向光束扇形図である。
図6D図5の光学レンズの変調変換関数曲線図である。
図6E図5の光学レンズの異なる像高下の波面光路差のシミュレーションデータ図である。
図6F図5の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図6G図5の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図6H図5の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図6I図5の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図6J図5の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
図7】本発明の他の実施例における導波路表示器の概略図である。
図8】本発明の他の実施例における導波路表示器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の上述及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく以下のような好ましい実施例における詳細な説明により明確になる。なお、以下の実施例に言及される方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前、後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用される方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施例における導波路表示器の概略図である。
【0012】
図1に示すように、本実施例の導波路表示器100は、導波路素子130を有するヘッドマウントディスプレイに応用されるが、本発明は、これに限定されない。本実施例では、導波路表示器100は、光学レンズ110、照明プリズム(第二プリズム)120、導波路素子130、ガラス蓋(cover glass)140、及び映像生成器150を含む。光学レンズ110に対する入光側ISでは、映像生成器150が設置される。映像生成器150は、映像光束IMを提供し得る表示装置であっても良く、映像生成器150は、例えば、デジタルマイクロミラー素子(Digital Micromirror Device、DMD)、反射型液晶表示器(Liquid crystal on silicon、LCoS)などの、映像を生成することが可能な表示素子である。他の実施例において、映像生成器150は、透光型空間光変調器、例えば、透光性液晶パネル(Transparent Liquid Crystal Panel)などであって良い。なお、本発明は、映像生成器150の形態及びその種類について限定しない。照明プリズム120は、光学レンズ110と映像生成器150との間に設置される。映像生成器150により提供される映像光束IMは、照明プリズム120を通過して光学レンズ110に進入する。光学レンズ110は、映像光束IMを受け取るために用いられる。本実施例では、ガラス蓋140は、映像生成器150と照明プリズム120との間に設置されることにより、映像生成器150を灰塵の影響から保護することができる。
【0013】
本実施例では、映像光束IMは、光学レンズ110を通過した後に、光学レンズ110に対する出光側ESにおいてストップSTを形成する。ストップSTは、映像光束IMのビーム収縮の最小断面積を有する。例を挙げて言えば、本実施例では、ストップSTは、X軸及びY軸により形成される参照平面に位置し、その形状は、例えば、ほぼ円形であり、また、X軸方向及びY軸方向において直径(寸法)も、ほぼ同じである。本実施例では、映像光束IMは、光学レンズ110を通過した後にストップSTを形成し、ストップSTは、映像光束IMのビーム収縮の最小断面積を有する。よって、映像光束IMは、光学レンズ110を通過した後にストップSTの位置に収縮し、且つストップSTを通過した後に発散する。本実施例では、映像光束IMが光学レンズ110を通過した後に形成するストップST位置は、例えば、導波路素子の中にあるが、図1は、等価光学経路の例示であり、ストップSTとの間に位置する一部の導波路素子130のみを示している。映像光束IMは、導波路素子130に進入しストップSTを通過し、続いて、導波路素子130内で伝播し、そして、所定のターゲットに投射することができる。一実施例において、前記所定のターゲット(図示せず)は。例えば、人の目である。
【0014】
詳しく言えば、本実施例では、光学レンズ110は、入光側ISから出光側ESへ順次配列される第一レンズ111、第二レンズ113、第三レンズ115、第四レンズ117、及び第五レンズ119を含み、その屈折力は、順に、正、負、正、正、及び正である。本実施例では、第一レンズ111は、凹凸レンズであり、且つ出光側ESに面する凹面及び入光側ISに面する凸面を有する。第二レンズ113は、双凹レンズであり、且つそれぞれ、出光側ES及び入光側ISに面する凹面を有する。第三レンズ115は、凹凸レンズであり、且つ出光側ESに面する凸面及び入光側ISに面する凹面を有する。第四レンズ117は、双凸レンズであり、且つそれぞれ、出光側ES及び入光側ISに面する凸面を有し、また、第四レンズ117の焦点距離は、0よりも大きい。第五レンズ119は、凹凸レンズであり、且つ出光側ESに面する凹面及び入光側ISに面する凸面を有する。本実施例では、第一、第二、第三、及び第五レンズ111、113、115、及び119は、プラスチック製非球面レンズであり、第四レンズ117は、ガラス製球面レンズである。
【0015】
以下、導波路表示器100に用いられる光学レンズ110の一実施例を挙がる。なお、以下に記載のデータ資料は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明をもとに、示されるラメータ又は設定を適切に調整しても良いが、そのすべては、本発明の範囲内に属する。
【0016】
【表1】
図1及び表1を参照するに、表1には、導波路表示器100における各素子の表面及びその関連パラメータがリストされている。表面S1は、第一レンズ111の、入光側ISに面する表面であり、表面S2は、第一レンズ111の、出光側ESに面する表面であり、その他は、これに基づいて類推することができる。また、間隔とは、2つの隣接表面の間の光軸OA上の直線距離を指す。例えば、表面S2に対応する間隔(長さ)が1.83mmであることは、表面S1と表面S2との間の光軸OA上の直線距離が1.83ミリメートル(即ち、第一レンズ111の厚さ)であることを意味し、表面S3に対応する間隔が1.24mmであることは、表面S2と表面S3との間の光軸OA上の直線距離が1.24ミリメートルであることを意味し、その他は、これに基づいて類推することができる。また、光学有効半径とは、光が通過し得る素子の最大直径の半分を指す。
【0017】
本実施例では、第一、第二、第三、及び第五レンズ111、113、115、及び119は、ともに、非球面レンズであり、非球面レンズの公式は、以下の通りである。
【0018】
【数1】
上式では、Xは、光軸OA方向の偏移量(sag)であり、Rは、接触球面(osculating sphere)の半径であり、即ち、光軸OAに近い箇所の曲率半径(例えば、表1にリストされる曲率半径)である。kは、二次曲面係数(conic)であり、Yは、非球面の高さであり、即ち、レンズ中心からレンズエッジ(辺縁)までの高さであり、係数A2、A4、A6、A8、A10、及びA12は、非球面係数(aspheric coefficient)である。本実施例では、係数A2は、0であり、ここでは、A2のデータを省略する。以下の表2にリストするのは、上述のレンズの非球面のパラメータ値であり、そのうち、E-003が表すのは、10のマイナス3乗であり、その他は、これに基づいて類推することができる。
【0019】
【表2】
図2Aは、図1の光学レンズの横方向色差(Lateral Color)図である。図2Bは、図1の光学レンズの像面湾曲(field curvature)と歪み(Distortion)図である。ここで、Xは、サジタル(Sagittal)方向上の像面湾曲収差(aberration)であり、Yは、タンジェンシャル(Tangential)方向上の像面湾曲収差であり、また、525ナノメートルを例とする。図2Cは、図1の光学レンズの横方向光束扇形図(transverse ray fan plot)であり、それは、波長が465ナノメートル(nm)、525ナノメートル、及び620ナノメートルである光に基づいて作成されたシミュレーションデータ図である。図2Dは、図1の光学レンズの変調変換関数曲線図であり、そのうち、横座標は、焦点偏移量(Focus shift)であり、縦座標は、光学遷移関数のモジュラス(modulus of the OTF)である。図2Eは、図1の光学レンズの異なる像高(Image height)下の波面(Wavefront)光路差(Optical Path Difference,OPD)のシミュレーションデータ図である。図2F図2Jは、図1の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
【0020】
図2A図2Eから分かるように、示される図形は、すべて、標準の範囲内にある。これにより、本実施例の光学レンズ110は、良好な結像効果を達成し得ることが検証されている。なお、図2Eから分かるように、映像生成器150の能動表面ASにおいて映像光束IMが有するOPD範囲は、-1.5λ<OPD<1.5λであり、ここで、OPDは、各像高下の光路差であり、λは、各色の光の波長であり、また、映像光束IMは、赤色光、緑色光、青色光を含む。映像生成器150の能動表面ASは、映像光束IMが出射する領域の表面である。さらに、この光路差の設計について言えば、当業者が理解すべきは、光学レンズ設計時に、光学シミュレーションの方式で、物面から、映像源が提供する必要のある映像光束の各像高下の光路差を逆に推定することができるということである。本実施例では、光学レンズ110の設計が事前設定の規範と一致しており、少なくとも93lp/mmの解像度の映像を解析することができる。よって、光学レンズ110は、高い解像度を有する。また、図2F図2Jから分かるように、示される図形は、すべて、異なる環境温度(図2F図2Jの環境温度は、それぞれ、0度、10度、20度、30度、及び40度である)下で標準の範囲内にある。これにより、本実施例の光学レンズ110は、良好な熱安定性を有することが検証されている。
【0021】
本実施例では、1つのケースは、図1の光学レンズ110が1<(A+C)/B<2.5を満たすことであり、ここで、Aは、ストップSTから、光学レンズ110が設けられる鏡筒(図示せず)の辺縁までの距離、即ち、ストップSTから、第五レンズ119がストップSTに最も近い位置までの間の光路距離であり、Bは、光学レンズ110のレンズ総長さ、即ち、第一レンズ111が入光側ISに面する表面S1から、第五レンズ119が出光側ESに面する表面S10までの間の光軸OA上の距離であり、Cは、第一レンズ111が入光側ISに面する表面S1と、該映像生成器150との間の該光軸OA上の距離、即ち、光学レンズ110の第一レンズ111が入光側ISに面する表面S1と、映像生成器150の能動表面ASとの間の光軸OA上の距離である。また、Dが光学レンズ110における最大レンズのクリアアパーチャ(Clear aperture)であると定義する。本実施例では、光学レンズ110の最大レンズのクリアアパーチャは、例えば、第四レンズ117のクリアアパーチャである。また、FOVが光学レンズ110の視野(FOV)であり、EがストップSTの直径であり、Fが映像生成器150の能動表面ASの対角線の長さであると定義する。本実施例では、これらのパラメータA、B、C、D、E、及びFは、例えば、それぞれ、10.2ミリメートル(millimeters)、10.72ミリメートル、12ミリメートル、8.6ミリメートル、4ミリメートル、及び7.93ミリメートルであり、(A+C)/Bは、2.07である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。また、本実施例では、光学レンズ110の視野は、40度である。
【0022】
図3は、本発明の他の実施例の導波路表示器の概略図である。図3を参照するに、本実施例の導波路表示器100aは、図1の導波路表示器100とほぼ同様であるが、両者の主な相違点は、導波路表示器100aがさらに、ターニングプリズム160、反射防止素子170、及び反射素子180を含むことにある。ターニングプリズム160(第一プリズム)は、光学レンズ110とストップSTとの間に設置される。導波路素子130aは、互いに相対する上表面US及び下表面DSを有し、且つ互いに相対する光結合入口ET及び光結合出口OTを有する。光結合入口ET及び光結合出口OTは、それぞれ、例えば、映像光束IMが導波路素子130aに入射する表面領域及び映像光束IMが導波路素子130aを離れる表面領域であり、ここで、ストップSTは、光結合入口ETに形成される。光結合入口ETが上表面USに位置する一端であって、光結合入口ETの所在するところには、反射防止素子170が設けられ、ここで、反射防止素子170は、例えば、光結合入口ETに塗布する反射防止層であっても良く、或いは、反射防止素子170は、光結合入口ETに対して表面処理を行うことで形成される反射防止構造であっても良い。光結合出口OTが導波路素子130aの上表面USに位置する他端であって、光結合出口OTの所在する上表面USに対する下表面DSには、反射素子180が設けられ、ここで、反射素子180は、例えば、光結合出口OTに塗布する反射膜層であっても良く、或いは、反射素子180は、光結合出口OTに対して表面処理を行うことで形成される反射構造であっても良い。ここで、反射防止素子170は、より容易に映像光束IMを導波路素子130aに進入させることで、導波路素子130aの表面により反射される割合を低減するために用いられる。反射素子180は、導波路素子130a内で伝播する映像光束IMを反射し、映像光束IMを光結合出口OTへ伝播させることで、導波路素子130a内の映像光束IMを導波路素子130aからより容易に離れさせるために用いられる。
【0023】
本実施例では、映像光束IMは、光学レンズ110を離れた後に、ターニングプリズム160により反射されて伝播方向が変わり、ストップSTに集光することができる。映像光束IMは、ストップSTを通過した後に発散し、そして、光結合入口ETを通過して導波路素子130aに進入する。映像光束IMは、導波路素子130aの上、下表面US、DSにおいて1回乃至複数回全反射された後に、光結合出口OTから導波路素子130aを離れ、そして、ターゲットOBに投射することができる。ここでの投射ターゲットOBは、例えば、人の目である。
【0024】
また、以下、導波路表示器100aに用いられる光学レンズ110の一実施例を挙がる。なお、以下に記載のデータ資料は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明をもとに、示されるパラメータ又は設定を適切に調整しても良いが、そのすべては、本発明の範囲内に属する。
【0025】
【表3】
また、図3の光学レンズ110における各レンズ111、113、115、117、及び119の表面形状設計やパラメータは、すべて、図1の光学レンズと同じであるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0026】
本実施例では、1つのケースは、図3の光学レンズ110が1<(A+C)/B<2.5を満たすことである。ここで、パラメータA、B、C、D、E、及びFの定義は、上記と同様でする。本実施例では、これらのパラメータA、B、C、D、E、及びFは、例えば、それぞれ、8.52ミリメートル、10.72ミリメートル、12ミリメートル、8.6ミリメートル、4ミリメートル、及び7.93ミリメートルであり、(A+C)/Bは、1.91である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。また、本実施例では、光学レンズ110の視野は、40度である。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例の導波路表示器の概略図である。図4を参照するに、本実施例の導波路表示器100bは、図3の導波路表示器100aとほぼ同様であるが、両者の主要な相違点は、例えば、光学レンズ110、照明プリズム120、ガラス蓋140、及び映像生成器150が共同で光結合入口ETの真上に設置され、光学レンズ110と導波路素子130aとの間に図3に示すようなターニングプリズム160が設けられないことにある。
【0028】
以下、導波路表示器100bに用いられる光学レンズ110の一実施例を挙げる。なお、以下に記載のデータ資料は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明をもとに、示されるパラメータ又は設定を適切に調整しても良いが、そのすべては、本発明の範囲内に属する。
【0029】
【表4】
本実施例では、映像光束IMは、光学レンズ110を離れた後に、直接、光結合入口ETを経由して導波路素子130aに進入するのである。映像光束IMは、導波路素子130aの上、下表面US、DSにおいて1回乃至複数回全反射された後に、光結合出口OTから導波路素子130aを離れ、そして、ターゲットOBに投射することができる。
【0030】
本実施例では、1つのケースは、図4の光学レンズ110が1<(A+C)/B<2.5を満たすことである。ここで、パラメータA、B、C、D、E、及びFの定義は、上記と同様である。本実施例では、これらのパラメータA、B、C、D、E、及びFは、例えば、それぞれ、5.74ミリメートル、10.72ミリメートル、12ミリメートル、8.6ミリメートル、4ミリメートル、及び7.93ミリメートルであり、(A+C)/Bは、1.655である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。また、本実施例では、光学レンズ110の視野は、40度である。
【0031】
なお、上述の図1図4の光学レンズ110は、トータルで、5つのレンズを有するが、これに限定されない。ストップSTの直径は、約4mmであり、一般の人の目の瞳孔のサイズ(約3mm~6mm)に近い。映像生成器150は、例えば、0.3インチの720PのDMD装置であり、その対角線は、例えば、7.93mmであり、映像生成器150の対角線は、光学レンズ110の結像サイクル(image circle)を表す。このような光学レンズ110の設計下で、人の目は、2メートル(M)外の57.3インチ(inch)のサイズに相当する虚像を見ることができ、このときの拡大倍率は、実質的に約184倍である。
【0032】
また、上述の図1図4の本実施例における光学レンズ110は、焦点距離と像高との次のような関係式を満たし、即ち、像高=焦点距離×tan(半視野)である。ここで、像高が例えば3.965mmであり、設計視野が40度である場合、半視野は、20度であり、これにより、光学レンズ110の有効焦点距離は、ほぼ、10.89mmである。また、図1図4の本実施例における光学レンズ110は、1<│f5/f4│<15及びV5-V4<25を満たし、ここで、f4は、光学レンズ110の第四レンズ117の焦点距離であり、f5は、光学レンズ110の第五レンズ119の焦点距離であり、V4は、第四レンズ117のアッベ数であり、V5は、第五レンズ119のアッベ数である。本実施例では、上述のパラメータf4、f5、V4、及びV5は、例えば、それぞれ、13.52ミリメートル(millimeters)、100.01ミリメートル、44、及び56であり、f5/f4は、7.4であり、V5-V4は、12である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。
【0033】
図5は、本発明の他の実施例の導波路表示器の概略図である。図5を参照するに、本実施例の導波路表示器100cは、図1の導波路表示器100とほぼ同じであるが、両者の主な相違点は、光学レンズ110cの屈折力の組み合わせ及び対応して有する各光学パラメータと、光学レンズ110の屈折力の組み合わせ及び対応して有する各光学パラメータとが少し異なるにある。詳細に言えば、光学レンズ110cも、入光側ISから出光側ESへ順次配列される第一レンズ111c、第二レンズ113c、第三レンズ115c、第四レンズ117c、及び第五レンズ119cを含み、その屈折力は、順に、正、負、正、正、及び負である。本実施例では、第一、第二、第三、及び第五レンズ111c、113c、115c、及び119cは、プラスチック製非球面レンズであり、第四レンズ117cは、ガラス製球面レンズである。
【0034】
また、レンズの表面形状設計も少し異なり、図5の第一、第二、第四、及び第五レンズ111c、113c、117c、及び119cの表面形状設計は、図1の第一、第二、第四、及び第五レンズ111、113、115、及び119の表面形状設計と類似しているが、両者の主な相違点は、図5の第三レンズ115cが双凸レンズであることにある。
【0035】
以下、導波路表示器100cに用いられる光学レンズ110cの一実施例を挙がる。なお、以下に記載のデータ資料は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明をもとに、示されるパラメータ又は設定を適切に調整しても良いが、そのすべては、本発明の範囲内に属する。
【0036】
【表5】

本実施例では、第一、第二、第三、及び第五レンズ111c、113c、115c、及び119cは、すべて、非球面レンズであり、以下の表6にリストするのは、このレンズの非球面のパラメータ値である。
【0037】
【表6】
図6Aは、図5の光学レンズの横方向色差(Lateral Color)図である。図6Bは、図5の光学レンズの像面湾曲(field curvature)と歪み(Distortion)図である。図6Cは、図5の光学レンズ横方向光束扇形図(transverse ray fan plot)であり、それは、波長が465ナノメートル(nm)、525ナノメートル、及び620ナノメートルである光に基づいて作成されたシミュレーションデータ図である。図6Dは、図5の光学レンズの変調変換関数曲線図であり、そのうち、横座標は、焦点偏移量(Focus shift)であり、縦座標は、光学遷移関数のモジュラス(modulus of the OTF)である。図6Eは、図5の光学レンズの異なる像高下の波面光路差(Optical Path Difference,OPD)のシミュレーションデータ図である。図6F図6Jは、図5の光学レンズの異なる温度下の変調変換関数曲線図である。
【0038】
図6A図6Eから分かるように、示される図形は、すべて、標準の範囲内にある。これにより、本実施例の光学レンズ110cは、良好な結像効果を達成し得ることが検証されている。なお、図6Eから分かるように、映像生成器150の能動表面において映像光束IMが有するOPD範囲は、-1.5λ<OPD<1.5λである。ここで、OPDは、各像高下の光路差であり、λは、各色の光の波長であり、また、映像光束IMは、赤色光、緑色光、青色光を含む。映像生成器150の能動表面ASは、映像光束IMが出射する表面である。さらに、この光路差の設計について言えば、当業者が理解すべきは、光学設計レンズ時に、光学シミュレーションの方式で、物面から、映像源が提供する必要のある映像光束の各像高下の光路差を逆に推定し得るということである。本実施例では、光学レンズ110cの設計が事前設定の規範と一致しており、少なくとも93lp/mmの解像度の映像を解析することができる。よって、光学レンズ110は、高い解像度を有する。また、図6F図6Jから分かるように、示される図形は、すべて、異なる環境温度(図6F図6Jの環境温度は、それぞれ、0度、10度、20度、30度、及び40度である)下で、すべて、標準の範囲内にある。これにより、本実施例の光学レンズ110cは、良好な熱安定性を有することが検証されている。
【0039】
本実施例では、1つのケースは、図5の光学レンズ110cが1<(A+C)/B<2.5を満たすことであり、ここで、パラメータA、B、C、D、E、及びFの定義は、上記と同様である。本実施例では、これらのパラメータA、B、C、D、E、及びFは、例えば、それぞれ、6.2ミリメートル、11.01ミリメートル、12ミリメートル、8.6ミリメートル、3.2ミリメートル、及び7.93ミリメートルであり、(A+C)/Bは、1.653である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。また、本実施例では、光学レンズ110cの視野は、50度である。
【0040】
図7は、本発明の他の実施例の導波路表示器の概略図である。図7を参照するに、本実施例の導波路表示器100dは、図3の導波路表示器100aとほぼ同じであるが、両者の主な相違点は、導波路表示器100dが採用する設計は図5に示すような光学レンズ110cの設計であることにある。
【0041】
以下、導波路表示器100dに用いられる光学レンズ110cの一実施例を挙げる。なお、以下に記載のデータ資料は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明をもとに、示されるパラメータ又は設定を適切に調整しても良いが、そのすべては、本発明の範囲内に属する。
【0042】
【表7】
また、図7の光学レンズ110cにおける各レンズ111c、113c、115c、117c、及び119cの表面形状設計やパラメータは、すべて、図5の光学レンズ110cと同じであるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0043】
本実施例では、1つのケースは、図7の光学レンズ110cが1<(A+C)/B<2.5を満たすことであり、ここで、パラメータA、B、C、D、E、及びFの定義は、上記と同じである。本実施例では、これらのパラメータA、B、C、D、E、及びFは、例えば、それぞれ、5.82ミリメートル、11.01ミリメートル、12ミリメートル、8.6ミリメートル、3.2ミリメートル、及び7.93ミリメートルであり、(A+C)/Bは、1.62である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。また、本実施例では、光学レンズ110cの視野は、50度である。
【0044】
図8は、本発明の他の実施例の導波路表示器の概略図である。図8を参照するに、本実施例の導波路表示器100eは、図4の導波路表示器100bとほぼ同じであるが、両者の主な相違点は、導波路表示器100eが採用する設計は図5に示すような光学レンズ110cの設計であることにある。
【0045】
以下、導波路表示器100eに用いられる光学レンズ110cの一実施例を挙げる。なお、以下に記載のデータ資料は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明をもとに、示されるパラメータ又は設定を適切に調整しても良いが、そのすべては、本発明の範囲内に属する。
【0046】
【表8】
また、図8の光学レンズ110cにおける各レンズ111c、113c、115c、117c、及び119cの表面形状設計やパラメータは、図5の光学レンズ110cと同じであるから、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0047】
本実施例では、1つのケースは、図8の光学レンズ110cが1<(A+C)/B<2.5を満たすことであり、ここで、パラメータA、B、C、D、E、及びFの定義は、上記と同様である。本実施例では、これらのパラメータA、B、C、D、E、及びFは、例えば、それぞれ、3.3ミリメートル、11.01ミリメートル、12ミリメートル、8.6ミリメートル、3.2ミリメートル、及び7.93度であり、(A+C)/Bは、1.39である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。また、本実施例では、光学レンズ110cの視野は、50度である。
【0048】
なお、上述の図5、7、8の光学レンズ110cは、計5つのレンズを有するが、これに限定されない。ストップSTの直径は、約3.2mmであり、一般の人の目の瞳孔のサイズ(約3mm~6mm)に近い。映像生成器150は、例えば、0.3インチの720P DMD装置であり、その対角線は、例えば、7.93mmであり、映像生成器150の対角線は、光学レンズ110cの結像サイクル(image circle)を表す。このような光学レンズ110cの設計下で、人の目は、2メートル(M)外の73.7インチ(inch)のサイズに相当する虚像を見ることができ、このときの拡大倍率は、実質的に約236倍である。
【0049】
また、本実施例の光学レンズ110cは、焦点距離と像高との次のような関係式を満たし、即ち、像高=焦点距離×tan(半視野)であり、ここで、像高が例えば3.965mmであり、設計視野が50度である場合、半視場は、25度であり、これにより、光学レンズ110cの有効焦点距離は、ほぼ8.5mmである。また、図5図8の本実施例の光学レンズ110cは、1<│f5/f4│<15及びV5-V4<25を満たし、ここで、f4は、光学レンズ110cの第四レンズ117cの焦点距離であり、f5は、光学レンズ110cの第五レンズ119cの焦点距離であり、V4は、第四レンズ117cのアッベ数であり、V5は、第五レンズ119cのアッベ数である。本実施例では、これらのパラメータf4、f5、V4、及びV5は、例えば、それぞれ、13.99ミリメートル(millimeters)、-35.2ミリメートル、43、56であり、f5/f4は、及び-2.52であり、V5-V4は、13である。なお、これらのパラメータの数値は、本発明を限定するものではない。
【0050】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の技術思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示されたすべての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の技術的範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、他の実施例又は範囲を区別するためのものみであり、要素の数量上での上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0051】
100、100a~100e:導波路表示器
110:光学レンズ
111、111c:第一レンズ
113、113c:第二レンズ
115、115c:第三レンズ
117、117c:第四レンズ
119、119c:第五レンズ
120:照明プリズム
130、130a:導波路素子
140:ガラス蓋
150:映像生成器
160:ターニング(turning)プリズム
170:反射防止素子
180:反射素子
A~F:パラメータ
AS:能動表面
DS:下表面
ES:出光側
ET:光結合入口
IM:映像光束
OA:光軸
OB:ターゲット
OT:光結合出口
S’、S1~S17:表面
ST:ストップ
US:上表面
X:X軸
Y:Y軸
Z:Z軸
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7
図8