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特許7585586凍結茶葉組成物の生産方法および凍結茶葉組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】凍結茶葉組成物の生産方法および凍結茶葉組成物
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/06 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A23F3/06 Z
A23F3/06 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023096562
(22)【出願日】2023-05-25
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】593153093
【氏名又は名称】小川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100178261
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 正二郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特許第7334386(JP,B1)
【文献】中国実用新案第201064162(CN,Y)
【文献】特開2000-050798(JP,A)
【文献】特開平06-165638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 3/00
A23L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉が凍結される工程と、
水を主成分とする添加物が凍結される工程と、
凍結された前記茶葉と凍結された前記添加物とが圧縮されて凍結茶葉組成物とされる工程と、
を含む、凍結茶葉組成物の生産方法。
【請求項2】
凍結された前記茶葉が連続的に供給される工程と、
凍結された前記添加物が連続的に供給される工程と、
をさらに含み、
連続的に供給される凍結された前記茶葉と連続的に供給される凍結された前記添加物とは連続的に圧縮されて前記凍結茶葉組成物とされ、
前記凍結茶葉組成物が連続的に押し出される工程をさらに含む、
請求項1に記載の凍結茶葉組成物の生産方法。
【請求項3】
前記押し出される方向を法線とする第一仮想平面で前記凍結茶葉組成物を切った第一断面における前記凍結茶葉組成物の図心と前記凍結茶葉組成物の外周との中間を中間部としたときに、
前記第一断面において前記中間部より内側における前記凍結茶葉組成物の面積に対する前記茶葉が占める面積の割合が、
前記第一断面において前記中間部より外側における前記凍結茶葉組成物の面積に対する前記茶葉が占める面積の割合より大きくなるように、
前記凍結された前記茶葉および前記凍結された添加物は連続的に供給される、
請求項2に記載の凍結茶葉組成物の生産方法。
【請求項4】
凍結された前記茶葉と凍結された前記添加物とは混合された状態で圧縮される、
請求項1から請求項3に記載の凍結茶葉組成物の生産方法。
【請求項5】
前記連続的に押し出された前記茶葉と前記添加物とが前記押し出される方向において所定の長さで裁断される工程をさらに含む、
請求項2または請求項3に記載の凍結茶葉組成物の生産方法。
【請求項6】
前記添加物には前記茶葉からの抽出液が溶出しないように前記添加物および前記茶葉が圧縮される、
請求項1から請求項3に記載の凍結茶葉組成物の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、凍結茶葉組成物の生産方法および凍結茶葉組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より日本をはじめ世界の各地で茶を飲む文化があり、茶葉を入れた急須に湯を注ぐ、ティーバックに入った茶葉を湯呑に入れて水や湯を注ぐ、粉末にした茶葉を湯呑に入れ水や湯で溶かすなど、様々な方法で茶が作られている。
【0003】
また、食品・飲料の鮮度を高く保つ目的で、これらを冷凍した状態で流通させ、消費の段階で消費者が解凍して飲食することは茶に限らず飲食物一般で広く行われている。なお特許文献1には、香味と鮮度が保持された冷凍状態で販売・流通が可能な凍結茶葉や凍結茶葉組成物の生産方法が開示されている。また特許文献2には、茶葉をプレスで成形した後に凍結させ、その後に茶葉のコアを覆うように氷の保護層を形成する茶型の生産方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-68767号公報
【文献】中国実用新案第201064162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした技術においては、凍結した茶葉に水などの添加物を加える生産工程において茶由来の抽出物が水などの添加物に溶出してしまったり、茶葉を凍結させる前に圧縮することでやはり茶由来の抽出物が溶出してしまったりして、消費者が飲食する前の段階で鮮度が落ちているおそれがあった。
【0006】
本開示の目的は、凍結茶葉組成物の生産工程において主として水などの添加物に茶由来の抽出物が溶出することを防ぎ、消費者が飲食する直前まで茶葉の鮮度を高く保つことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る凍結茶葉組成物の生産方法は、茶葉が凍結される工程と、水を主成分とする添加物が凍結される工程と、凍結された前記茶葉と凍結された前記添加物とが圧縮されて凍結茶葉組成物とされる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、あらかじめ凍結させておいた茶葉と、同じくあらかじめ凍結させておいた水を主成分とする添加物とが、圧縮されて凍結茶葉組成物とされているため、消費者が飲食する直前の添加物が溶け始める時点まで茶由来の抽出物が水などの添加物に溶出することを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、凍結茶葉組成物の例を示す図である。
図2図2は、凍結茶葉組成物を生産する工程の例を示す図である。
図3図3は、凍結茶葉組成物の例を示す図である。
図4図4は、凍結茶葉組成物に対する茶葉の占める面積の割合を示すイメージ図である。
図5図5は、凍結茶葉組成物の例を示す図である。
図6図6は、凍結茶葉組成物に対する茶葉の占める面積の割合を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
[1]本開示による凍結茶葉組成物の生産方法は、茶葉が凍結される工程と、水を主成分とする添加物が凍結される工程と、凍結された前記茶葉と凍結された前記添加物とが圧縮されて凍結茶葉組成物とされる工程と、を含む。
【0011】
これにより、あらかじめ凍結させておいた茶葉と、同じくあらかじめ凍結させておいた水を主成分とする添加物とが、圧縮されて凍結茶葉組成物とされているため、消費者が飲食する直前の添加物が溶け始める時点まで茶由来の抽出物が水などの添加物に溶出することを大幅に低減することができる。
【0012】
[2]上記[1]のものにおいて、凍結された前記茶葉が連続的に供給される工程と、凍結された前記添加物が連続的に供給される工程と、をさらに含み、連続的に供給される凍結された前記茶葉と連続的に供給される凍結された前記添加物とは連続的に圧縮されて前記凍結茶葉組成物とされ、前記凍結茶葉組成物が連続的に押し出される工程をさらに含む、とすることが好ましい。
【0013】
凍結茶葉組成物の生産工程の一態様においては、凍結された茶葉および凍結された水を主成分とする添加物が連続的に供給され、これらの圧縮も連続的に行なわれ、圧縮されて凍結茶葉組成物とされた後はさらに連続的に押し出されるため、生産効率を格段に向上させることができる。
【0014】
[3]上記[2]のものにおいて、前記押し出される方向を法線とする第一仮想平面で前記凍結茶葉組成物を切った第一断面における前記凍結茶葉組成物の図心と前記凍結茶葉組成物の外周との中間を中間部としたときに、前記第一断面において前記中間部より内側における前記凍結茶葉組成物の面積に対する前記茶葉が占める面積の割合が、前記第一断面において前記中間部より外側における前記凍結茶葉組成物の面積に対する前記茶葉が占める面積の割合より大きくなるように、前記凍結された前記茶葉および前記凍結された添加物は連続的に供給される、とすることが好ましい。
【0015】
凍結茶葉組成物の生産工程の一態様においては、例えば押し出し成形における筒状の型枠の中心側に凍結された茶葉を供給し、その外側に凍結された水を主成分とする添加物を供給して、凍結茶葉組成物における外側よりも内側に茶葉を多く分布させることで、茶葉が外気に触れることを低減させることができる。
【0016】
[4]上記[1]から上記[3]のものにおいて、凍結された前記茶葉と凍結された前記添加物とは混合された状態で圧縮される、とすることが好ましい。
【0017】
凍結茶葉組成物の生産工程の一態様においては、例えば凍結された茶葉を供給する位置を時間とともに変化させることで、凍結された水を主成分とする添加物と凍結された茶葉とが混ざり合った状態の凍結茶葉組成物とすることができる。このような凍結茶葉組成物とすることで、消費者が飲用する際に添加物と茶葉が溶けていく過程で添加物と茶葉が触れる時間をより均一化することができる。
【0018】
[5]上記[2]または上記[3]のものにおいて、前記連続的に押し出された前記茶葉と前記添加物とが前記押し出される方向において所定の長さで裁断される工程をさらに含む、とすることが好ましい。
【0019】
凍結茶葉組成物の生産工程の一態様においては、凍結茶葉組成物を定尺で裁断することで、より輸送や販売に適したものとすることができる。
【0020】
[6]上記[1]から上記[3]のものにおいて、前記添加物には前記茶葉からの抽出液が溶出しないように前記添加物および前記茶葉が圧縮される、とすることが好ましい。
【0021】
凍結茶葉組成物の生産工程の一態様においては、例えば圧縮の荷重や温度の条件を適宜調整することで、生産時においては茶由来の抽出物が添加物には溶出していない状態とすることができ、消費者が飲用する段階まで鮮度をより高く保つことができる。
【0022】
[7]上記[1]または上記[2]に記載の生産方法で生産された凍結茶葉組成物であって、凍結された前記添加物は凍結された前記茶葉の外側にあり、前記茶葉の外周を茶葉外周部とし、前記添加物の外周を添加物外周部とし、前記茶葉外周部と前記添加物外周部との中間を添加物中間部としたときに、前記茶葉外周部と前記添加物中間部との間における前記添加物の比重は、前記添加物中間部と前記添加物外周部との間における前記添加物の比重より低い、とすることが好ましい。
【0023】
これにより、茶葉を凍結茶葉組成物の中心側に位置させ、茶葉の多くが凍結茶葉組成物の外周面に露出することを防ぎ、消費者が飲食する直前まで茶葉の鮮度を高く保つことができる。さらに茶葉近くの添加物によって茶葉が強く圧縮されないようにすることで、茶由来の抽出物が添加物に溶出してしまうことを低減することができる。
【0024】
[8]上記[7]のものにおいて、前記茶葉が占める面積が最大となる第二仮想平面で前記凍結茶葉組成物を切った第二断面において前記凍結茶葉組成物の面積に対する前記茶葉が占める面積の割合は、前記第二断面における前記茶葉の図心を通り前記第二仮想平面に直交する第三仮想平面で前記凍結茶葉組成物を切った第三断面において前記凍結茶葉組成物の面積に対する前記茶葉が占める面積の割合の2倍以上である、とすることが好ましい。
【0025】
これにより茶葉という粘性の低いものであっても、添加物に対して広く茶葉を載せれば、凍結茶葉組成物に対する相対的な茶葉の量を多くすることが可能になる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の凍結茶葉組成物の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」や「直交」は厳密に平行や直交の場合のみではなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。以下の説明において、上および下とは図4における上および下を、右および左とは図4における右および左を言うものとする。
【0027】
(凍結茶葉組成物1の全体構成)
凍結茶葉組成物1は、図1に示すように、茶葉11と、その外側に位置する添加物30と、を備える。凍結茶葉組成物1の外形の形状は、立方体・直方体・円柱・錐・球など、消費者の嗜好に合わせたり、抽出時間を変えるために表面積/体積の比率をコントロールしたりして、任意の形状を選択することができる。凍結された水を主成分とする添加物30および凍結された茶葉11を型枠40に供給して圧縮することで凍結茶葉組成物1を生産する。ここで、茶葉11の粘性は低いため茶葉11を高く積み上げることはできないが、茶葉11を添加物30に対して広く載せれば、凍結茶葉組成物1に対する相対的な茶葉11の量を多くすることが可能になる。図6に示すように、茶葉11が占める面積が最大となる第二仮想平面で凍結茶葉組成物1を切った第二断面において凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合は、第二断面における茶葉11の図心を通り第二仮想平面に直交する第三仮想平面で凍結茶葉組成物1を切った第三断面において凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合の2倍以上である。
【0028】
凍結茶葉組成物1の生産工程の一態様においては、図2に示すように、後述の氷20(粉氷)を型枠40に入れ、その上に凍結させておいた茶葉11を載せ、さらにその上に粉氷をかぶせてから圧縮する。この圧縮力により、または凍結茶葉組成物1の最外周にある粉氷を一時的に加温することにより、凍結茶葉組成物1の最外周の粉氷だけを一瞬溶かし、その後に圧縮・加温をやめて冷却することで氷結させる。これにより、凍結茶葉組成物1の最外周に比べて茶葉11近くの添加物30は比重が低い状態になり、茶葉11近くの添加物である粉氷は圧縮されないので、茶由来の抽出物が生産工程で添加物30に溶出してしまうことを防止できる。
【0029】
別の方法として、押し出し成形をした後、排出された凍結茶葉組成物1を定尺で裁断する方法を採用することもできる。より詳細には、凍結された、水を主成分とする添加物30(粉氷)と、凍結された茶葉11を、所定の断面形状の筒状の型枠40に供給し、押し込みながら圧縮し、型枠40の外に排出された凍結茶葉組成物1を所定の長さで裁断することで図3および図5に示すような凍結茶葉組成物1を得ることができる。
【0030】
押し出し成形における筒状の型枠40の中心側に凍結された茶葉11を供給し、押し出し成形における筒状の型枠40の中心より外側に凍結された水を主成分とする添加物30(粉氷)を供給することで、凍結茶葉組成物1における外側よりも内側に茶葉11を多く分布させることができる。より詳細には、押し出される方向を法線とする第一仮想平面で凍結茶葉組成物1を切った第一断面における凍結茶葉組成物1の図心と凍結茶葉組成物1の外周との中間を中間部(図4の一点鎖線)としたときに、第一断面において中間部より内側における凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合が、第一断面において中間部より外側における凍結茶葉組成物11の面積に対する茶葉11が占める面積の割合よりも大きくなるように、凍結された茶葉11および凍結された添加物30を連続的に供給・圧縮することで、茶葉11が外気に触れることを低減させることができる。または、粉氷が茶葉11の外側に位置した凍結茶葉組成物1を得ることもできる。この押し出し成形においても、型枠40に添加物30(粉氷)と茶葉11が押し込まれる際の型枠40の内壁から中心へ向かう圧縮力により、または凍結茶葉組成物1の最外周にある粉氷を一時的に加温することにより、凍結茶葉組成物1の最外周の粉氷だけを一瞬溶かし、その後に圧縮・加温をやめて冷却することで氷結させる。これにより、凍結茶葉組成物1の最外周に比べて茶葉11近くの添加物30は比重が低い状態になり、茶葉11近くの添加物30である粉氷は圧縮されないので、茶由来の抽出物が生産工程で添加物30に溶出してしまうことを防止することができる。
【0031】
(茶葉11)
茶葉11は、摘み取った生茶葉に対して加熱、揉み込み、裁断を適宜行なった後に凍結させたもので、葉だけでなく茎の部分も含んだ集合体である。葉の大きさや厚さ、茎の長さや太さは、葉や茎のもともとの大きさや裁断された位置などによりさまざまである。
【0032】
(茶葉由来の抽出物15)
茶葉由来の抽出物15には、カテキン、カフェイン、ビタミン、ミネラル、アミノ酸や、色素の元でもある葉緑素(クロロフィル)などが含まれている。
【0033】
(氷20)
氷20は、添加物30の主成分である水を凍結させたものであり、図2の生産方法および図示しない押し出し成形による生産方法に用いられる、粉末状の氷、いわゆる粉氷である。
【0034】
(添加物30)
添加物30は、主として水を凍結させたものである。水としては飲用に適するあらゆる水が用いられ、水道水およびミネラルウオーターや、湧き水も用いることができる。本開示により、凍結された茶葉11から茶葉由来の抽出物15が溶出するのを防止して鮮度を高く保つことができるが、添加物30に初めから茶葉由来の抽出物15を添加しておくことや、逆に茶葉由来の抽出物15を添加物30に初めから含ませないようにしておくことを、消費者の嗜好に合わせて選択することができる。
【0035】
(型枠40)
型枠40は、図2の生産方法に用いるものとしては、下型41および上型42を備える。図示しない押し出し成形による生産方法における型枠40は、任意の断面形状を有する筒状であり、断面形状は円や楕円、正方形や長方形などの四角形や多角形など、消費者の嗜好に合わせたり、抽出時間を変えるために表面積/体積の比率をコントロールしたりするために、任意の形状を選択することができる。
【0036】
(生産方法)
図2の態様においては、下型41に氷20(粉氷)、茶葉11、氷20(粉氷)が入れられ、その上から上型42で圧縮されて凍結茶葉組成物1とされる。生産工程の一態様においては、例えば圧縮の荷重や温度の条件を適宜調整し、生産時においては茶由来の抽出物が添加物には溶出していない状態とすることで、消費者が飲用する段階まで鮮度をより高く保つことができる。
【0037】
図示しない押し出し成形においては、凍結された、水を主成分とする添加物30(粉氷)と、凍結された茶葉11を、所定の断面形状の筒状の型枠40へ連続的に供給し、スクリューローダーで押し込みながら型枠40で圧縮し、型枠40の外に排出された凍結茶葉組成物1を所定の長さで裁断することで図3のような凍結茶葉組成物1を連続的に得ることができる。
【0038】
凍結された、水を主成分とする添加物30(粉氷)に対する、凍結された茶葉11を供給する相対的な位置を時間の経過とともに変化させることで、凍結茶葉組成物1において茶葉11をどのように分布させるかをコントロールすることができる。粉氷を外周側に、茶葉11をその中心側に位置するように型枠40に供給しても良い。または、凍結された茶葉11を供給する位置を時間とともに変化させれば、これらが混ざり合った状態の凍結茶葉組成物1とすることができる。
【0039】
押し出し成形における筒状の型枠40の中心側に凍結された茶葉11を供給し、押し出し成形における筒状の型枠40の外側に凍結された水を主成分とする添加物30を供給することで、図4の下の図に示すように凍結茶葉組成物1における外側よりも内側に茶葉11を多く分布させることができる。
【0040】
本実施形態の作用効果について説明する。
[1]本開示による凍結茶葉組成物の生産方法は、茶葉11が凍結される工程と、水を主成分とする添加物30が凍結される工程と、凍結された茶葉11と凍結された添加物30とが圧縮されて凍結茶葉組成物1とされる工程と、を含む。
【0041】
これにより、あらかじめ凍結させておいた茶葉11と、同じくあらかじめ凍結させておいた水を主成分とする添加物30とが、圧縮されて凍結茶葉組成物1とされているため、消費者が飲食する直前の添加物30が溶け始める時点まで茶由来の抽出物が水などの添加物30に溶出することを大幅に低減することができる。
【0042】
[2]上記[1]のものにおいて、凍結された茶葉11が連続的に供給される工程と、凍結された添加物30が連続的に供給される工程と、をさらに含み、連続的に供給される凍結された茶葉11と連続的に供給される凍結された添加物30とは連続的に圧縮されて凍結茶葉組成物1とされ、凍結茶葉組成物1が連続的に押し出される工程をさらに含む、とすることが好ましい。
【0043】
凍結茶葉組成物1の生産工程の一態様においては、凍結された茶葉11および凍結された水を主成分とする添加物30が連続的に供給され、これらの圧縮も連続的に行なわれ、圧縮されて凍結茶葉組成物1とされた後はさらに連続的に押し出されるため、生産効率を格段に向上させることができる。
【0044】
[3]上記[2]のものにおいて、押し出される方向を法線とする第一仮想平面で凍結茶葉組成物1を切った第一断面における凍結茶葉組成物1の図心と凍結茶葉組成物1の外周との中間を中間部としたときに、第一断面において中間部より内側における凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合が、第一断面において中間部より外側における凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合より大きくなるように、凍結された茶葉11および凍結された添加物30は連続的に供給される、とすることが好ましい。
【0045】
凍結茶葉組成物1の生産工程の一態様においては、例えば押し出し成形における筒状の型枠40の中心側に凍結された茶葉11を供給し、その外側に凍結された水を主成分とする添加物30を供給して、凍結茶葉組成物1における外側よりも内側に茶葉11を多く分布させることで、茶葉11が外気に触れることを低減させることができる。
【0046】
[4]上記[1]から上記[3]のものにおいて、凍結された茶葉11と凍結された添加物30とは混合された状態で圧縮される、とすることが好ましい。
【0047】
凍結茶葉組成物1の生産工程の一態様においては、例えば凍結された茶葉11を供給する位置を時間とともに変化させることで、凍結された水を主成分とする添加物30と凍結された茶葉11とが混ざり合った状態の凍結茶葉組成物1とすることができる。このような凍結茶葉組成物1とすることで、消費者が飲用する際に添加物30と茶葉11が溶けていく過程で添加物30と茶葉11が触れる時間をより均一化することができる。
【0048】
[5]上記[2]または上記[3]のものにおいて、連続的に押し出された茶葉11と添加物30とが押し出される方向において所定の長さで裁断される工程をさらに含む、とすることが好ましい。
【0049】
凍結茶葉組成物1の生産工程の一態様においては、凍結茶葉組成物1を定尺で裁断することで、より輸送や販売に適したものとすることができる。
【0050】
[6]上記[1]から上記[3]のものにおいて、添加物30には茶葉11からの抽出液が溶出しないように添加物30および茶葉11が圧縮される、とすることが好ましい。
【0051】
凍結茶葉組成物1の生産工程の一態様においては、例えば圧縮の荷重や温度の条件を適宜調整することで、生産時においては茶由来の抽出物が添加物30には溶出していない状態とすることができ、消費者が飲用する段階まで鮮度をより高く保つことができる。
【0052】
[7]上記1または上記2に記載の生産方法で生産された凍結茶葉組成物1であって、凍結された添加物30は凍結された茶葉11の外側にあり、茶葉11の外周を茶葉外周部とし、添加物30の外周を添加物外周部とし、茶葉外周部と添加物外周部との中間を添加物中間部としたときに、茶葉外周部と添加物中間部との間における添加物30の比重は、添加物中間部と添加物外周部との間における添加物30の比重より低い、とすることが好ましい。
【0053】
これにより、茶葉11を凍結茶葉組成物1の中心側に位置させ、茶葉11の多くが凍結茶葉組成物1の外周面に露出することを防ぎ、消費者が飲食する直前まで茶葉11の鮮度を高く保つことができる。さらに茶葉11近くの添加物30によって茶葉11が強く圧縮されないようにすることで、茶由来の抽出物が添加物30に溶出してしまうことを低減することができる。
【0054】
[8]上記[7]のものにおいて、茶葉11が占める面積が最大となる第二仮想平面で凍結茶葉組成物1を切った第二断面において凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合は、第二断面における茶葉11の図心を通り第二仮想平面に直交する第三仮想平面で凍結茶葉組成物1を切った第三断面において凍結茶葉組成物1の面積に対する茶葉11が占める面積の割合の2倍以上である、とすることが好ましい。
【0055】
これにより茶葉11という粘性の低いものであっても、添加物30に対して広く茶葉11を載せれば、凍結茶葉組成物1に対する相対的な茶葉11の量を多くすることが可能になる。
【0056】
なお上述したのはあくまでも一実施形態であり、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 凍結茶葉組成物
11 茶葉
15 茶葉由来の抽出物
20 氷
30 添加物
40 型枠
41 下型
42 上型
【要約】
【課題】凍結茶葉組成物の生産工程において主として水などの添加物に茶由来の抽出物が溶出することを防ぎ、消費者が飲食する直前まで茶葉の鮮度を高く保つ。
【解決手段】凍結茶葉組成物の生産方法は、茶葉が凍結される工程と、水を主成分とする添加物が凍結される工程と、凍結された前記茶葉と凍結された前記添加物とが圧縮されて凍結茶葉組成物とされる工程と、を含む。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6