(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】商品の生産者と消費者とのマッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q30/0601 312
(21)【出願番号】P 2019111671
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-06-14
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月4日に下記カンファレンスにて発表した。 「ICCサミット京都2018」ウェスティン都ホテル京都 平成30年11月13日に下記ウェブサイトにて公開した。 https://pro.tabechoku.com/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000025043.html
(73)【特許権者】
【識別番号】517434828
【氏名又は名称】株式会社ビビッドガーデン
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】秋元 里奈
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-44714(JP,A)
【文献】特開2008-158823(JP,A)
【文献】特開2006-11525(JP,A)
【文献】奥谷孝司ほか,“18 Promotion つながりが販促を変える”,世界最先端のマーケティング,第1版,日経BP社,2018年02月26日,pp.203~209
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで接続される、商品の生産者に関連する生産者端末と、商品の購入を行う消費者に関連する消費者端末と、を仲介するサーバ端末により提供される、生産者と消費者とのマッチング方法であって、
サーバ端末は、
消費者端末から消費者の、前記
商品に関する嗜好情報を受け付け、
当該嗜好情報を記憶し、
当該嗜好情報を基に特定された商品を提供する、候補となる生産者を選定し、
当該選定した候補となる生産者情報を消費者端末に送信し、
当該消費者端末から前記生産者を確定する要求を受け付け、
前記生産者に関連する生産者端末に
前記特定された商品の発送を依頼する、
マッチング方法。
【請求項2】
前記商品は食材であり、前記サーバ端末は、前記嗜好情報に基づいて、前記サーバ端末の記憶部に格納された、前記食材に対応するタグ情報を特定し、前記特定されたタグ情報に基づいて、前記食材を特定し、前記食材を提供する生産者を、前記候補となる生産者として選定する、請求項1に記載のマッチング方法。
【請求項3】
前記候補となる生産者について、前記消費者端末から変更依頼を受け付ける、請求項1に記載のマッチング方法。
【請求項4】
前記生産者について、前記消費者端末から評価情報を受け付ける、請求項1に記載のマッチング方法。
【請求項5】
前記評価情報を基に、前記嗜好情報を更新する、請求項
4に記載のマッチング方法。
【請求項6】
前記更新された嗜好情報を基に生産者を選定する、請求項
5に記載のマッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の生産者に関連する生産者端末と、商品の購入を行う消費者に関連する消費者端末と、を仲介するサーバ端末により提供される、生産者と消費者とのマッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品、特に、野菜等の食材を生産する生産者の情報を消費者または注文者に開示し、消費者または注文者からみて生産者の顔が直接見える形態で商品を提供する、商品の提供方法が増えている。
【0003】
例えば、特許文献1において、有機栽培に関する情報や生産者の顔写真付きの情報等の二次情報を注文者に対して開示し、注文者が入札価格に限らない情報を参照して、商品の購入を決定することができる、注文者と生産者の栽培契約マッチング方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、注文者からの注文に対し、複数の生産者がある場合、 最低生産能力の生産者を基準に複数の生産者間で均等割り付けを行うなど、生産者の事情を特段に考慮した発明であり、消費者と生産者との公平性を担保することは依然として困難である。
【0006】
そこで、本発明は、質の高い食材を、農家等の食材の生産者から直接消費者に提供する仕組みを提供することを目的とする。特に、消費者のニーズに見合った食材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、本発明の一態様における、ネットワークで接続される、商品の生産者に関連する生産者端末と、商品の購入を行う消費者に関連する消費者端末と、を仲介するサーバ端末により提供される、生産者と消費者とのマッチング方法であって、候補となる生産者を選定し、当該選定した候補となる生産者情報を消費者端末に送信し、当該消費者端末から前記生産者を確定する要求を受け付け、前記生産者に関連する生産者端末に商品の発送を依頼する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、質の高い食材を、農家等の食材の生産者から直接消費者に提供する仕組みを提供することができる。また、消費者のニーズに見合った食材提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、マッチングシステムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
【
図3】
図1の消費者端末200を示す機能ブロック構成図である。
【
図4】サーバ100に格納される消費者データの一例を示す図である。
【
図5】サーバ100に格納される生産者データの一例を示す図である。
【
図6】サーバ100に格納される商品データの一例を示す図である。
【
図7】サーバ100に格納される取引データの一例を示す図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る、マッチング方法に係るフローチャートの一例である。
【
図9】消費者端末に表示される、嗜好情報の入力画面の一例を示す図である。
【
図10】消費者端末に表示される、嗜好情報の入力画面の他の例を示す図である。
【
図11】本発明の第一実施形態に係る、嗜好情報の更新処理に係るフローチャートの一例である。
【
図12】本発明の第一実施形態に係る、嗜好情報の更新処理に係るフローチャートの他の例である。
【
図13】本発明の第二実施形態に係る、マッチング方法に係るフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係るマッチングシステムを示すブロック構成図である。本システム1は、野菜や食材等の商品(以下、「商品」という)の購入を希望し、また、購入する消費者に関連する消費者端末200と、商品を生産し、提供する生産者に関連する生産者端末300と、を仲介するサーバ端末100と、により構成される。
【0012】
サーバ端末100と、消費者端末200及び生産者端末300とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100は、生産者から、生産者端末300を通じて生産者に関連する情報及び商品に関連する情報を受け付け、消費者端末200を通じて受け付けられる、消費者の嗜好情報に基づいて、生産者と消費者とのマッチング処理を行う装置であり、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上サーバ端末として1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよい。
【0014】
消費者端末200は、上述の通り、商品の購入を希望し、また、購入する消費者であり、そのために、サーバ端末100により提供されるサービスを利用する消費者が所有する、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0015】
生産者端末300は、上述の通り、生産者に関連する情報及び商品に関連する情報を提供し、商品を販売する生産者であり、また、サーバ端末100により提供されるサービスを利用する生産者が所有する、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0016】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100と、消費者端末200及び生産者端末300とを備え、商品の消費者または生産者が各々、消費者端末200、生産者端末300を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、商品の消費者または利用者が操作を行う機能を備えても良い。
【0017】
図2は、
図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0018】
通信部110は、ネットワークNWを介して消費者端末200及び生産者端末300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0019】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、商品の消費者に関連する各種データを格納する、格納部121、商品の生産者に関連する各種データを格納する、生産者データ格納部122、商品に関連する各種データを格納する、商品データ格納部123、また、商品の発注等の取引データを格納する、取引データ格納部124等を有する。さらに、記憶部120は、消費者端末200、生産者端末300と通信を行ったデータを一時的に記憶することもできる。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120外に構築されていてもよい。
【0020】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、消費者端末200または生産者端末300からの指示を受け付ける指示受付部131と、消費者に関連する各種データを参照し、処理する消費者データ管理部132と、生産者に関連する各種データを参照し、処理する、生産者データ管理部133と、商品に関連する各種データを参照し、処理する、商品データ管理部134、及び商品の発注等の取引を処理する、取引処理部135等を有する。この指示受付部131、消費者データ管理部132、生産者データ管理部133、商品データ管理部134及び取引処理部135は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0021】
指示受付部131は、サーバ端末100が提供し、消費者端末200または生産者端末300において表示されるウェブ画面等のユーザインターフェースを介して、消費者または生産者であるユーザが、(キーワードを入力したり、アイコンを押下する等して)所定の要求を行ったとき、消費者端末200または生産者端末300から通信部110を介して指示を受付ける。
【0022】
消費者データ管理部132は、消費者に関連する各種データ(例えば、消費者の基本情報、支払情報、加入プラン、嗜好情報、及び取引履歴等)を管理し、処理を行う。
【0023】
生産者データ管理部133は、生産者に関連する各種データ(例えば、基本情報、支払情報、商品情報、取引履歴、及び評価情報等)を管理し、処理を行う。
【0024】
商品データ管理部134は、商品に関連する各種データ(例えば、商品情報、生産者情報、及びタグ情報等)を管理し、処理を行う。
【0025】
取引管理部135は、商品の発注等の商品の取引に関連する処理を行う。
【0026】
図3は、
図1の消費者端末200を示す機能ブロック構成図である。消費者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0027】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0028】
表示操作部220は、消費者が指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、消費者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、消費者端末200がタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である消費者端末200により実行される。
【0029】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0030】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、消費者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0031】
なお、サーバ端末100に表示操作部の機能を備える構成としても良く、この場合、消費者端末200を備えない構成としても良い。
【0032】
なお、生産者端末300の機能構成についても、消費者端末200と実質同一であるので、説明を省略する。
【0033】
図4は、サーバ100に格納される消費者データの一例を示す図である。
【0034】
図4に示す消費者データ1000は、消費者に関連する各種データを格納する。
図4において、説明の便宜上、一消費者(消費者ID「10001」で識別される消費者)の例を示すが、複数の消費者の情報を格納することができる。消費者に関連する各種データとして、例えば、消費者の基本情報(消費者の氏名、住所、Eメールアドレス、SNSアカウント情報等)、支払情報(消費者が登録したクレジットカード情報)、消費者が加入するプラン(例えば、パッケージとして発送する野菜の数に応じて決定されるプランS、M、L等)及び発送する頻度(毎週、隔週、毎月等)に関する情報、後述する嗜好情報、及び取引履歴に関連する情報等を格納する。
【0035】
図5は、サーバ100に格納される生産者データの一例を示す図である。
【0036】
図5に示す生産者データ2000は、生産者に関連する各種データを格納する。
図5において、説明の便宜上、一生産者(生産者ID「20001」で識別される生産者)の例を示すが、複数の利用者の情報を格納することができる。生産者に関連する各種データとして、例えば、生産者の基本情報(氏名、住所、Eメールアドレス、SNSアカウント情報等)、支払情報(売上の振込先口座情報等)、商品情報(商品名、商品ID等)、取引履歴、及び消費者から受け付けた生産者や商品に関連する評価情報等の情報を格納する。
【0037】
図6は、サーバ100に格納される商品データの一例を示す図である。
【0038】
図6に示す商品データ3000は、野菜等の商品に関連する各種データを格納する。
図6において、説明の便宜上、商品の一例(取引ID「30001」で識別される商品)の例を示すが、その他の商品に関する情報を格納することができる。商品データ3000として、例えば、商品情報(商品名または商品のパッケージ名、商品またはパッケージの内容、価格(定額制の場合は、これに限らない)、及び商品またはパッケージ紹介文等)、その商品の生産者情報(生産者名、生産者ID等)、及び商品またはパッケージに対して紐づけられ、商品のカテゴリを識別し、または消費者の嗜好を識別するタグ情報を格納する。
【0039】
図7は、サーバ100に格納される取引データの一例を示す図である。
【0040】
図7に示す取引データ4000は、野菜等の商品の発注等の取引に関連する各種データを格納する。取引データ4000として、例えば、取引を識別する「取引ID」、その取引対象となる商品を発注した消費者を識別する「消費者ID」、その商品を生産し、提供する生産者を識別する「生産者ID」、取引対象となる商品を識別する「商品ID」、その商品の「価格」(定額制の場合は不要とする)、その商品を生産者が発送した「発送日」、及びその商品が消費者に届けられる「配達予定日」等の情報を格納する。
【0041】
<処理の流れ>
図8を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する消費者と生産者とのマッチング方法の処理の流れについて説明する。
図8は、本発明の第一実施形態に係る、マッチング方法に係るフローチャートの一例である。
【0042】
ここで、本システム1を利用するために、消費者及び/または生産者は、消費者端末200、生産者端末300各々のインターネットブラウザ等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、前述の消費者基本情報等、生産者基本情報等を各々入力し、既に消費者、生産者のアカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト等を介して所定のユーザインターフェースが提供され、
図7に示すステップS101へ進む。
【0043】
まず、ステップS101の処理として、サーバ端末100は、消費者端末200から嗜好情報を受け付ける。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、消費者端末200から通信部110を介して、嗜好情報を受信し、受信した嗜好情報を記憶部120の消費者データ格納部121に記憶する。嗜好情報としては、様々な形態が考えられるが、一例として、サーバ端末100は、嗜好情報を生成するためのサーベイ情報を消費者端末200に対して提供し、消費者は、消費者端末200の画面に表示されるサーベイ画面を通じて嗜好情報を入力することができる。
【0044】
図9乃至
図10に、消費者端末に表示される、嗜好情報の入力画面のいくつかの例を示す。
【0045】
まず、
図9に示すように、嗜好情報として、例えば、消費者の(朝ごはんの)和食/洋食の好み、お弁当を作るか否か、家族構成/人数、料理をする頻度、料理の方法(作りおき/時短料理/新しいレシピに挑戦等)、大きな野菜のカットの要否、春夏野菜及び秋冬野菜の各々についての好み等について、消費者は選択または入力することができる。
【0046】
また、
図10に示すように、嗜好情報として、例えば、消費者の苦手な野菜、アレルギー、栽培方法へのこだわり(化学肥料の使用/不使用/使用の度合い)、商品内容の好み(葉菜、根菜の内訳)、伝統野菜の希望、訳あり品の希望等について、消費者は選択または入力することができる。
【0047】
ステップS102の処理として、サーバ端末100は、嗜好情報を基に、候補となる生産者を選定し、消費者端末200に対して、選定された生産者情報を提供する。例えば、サーバ端末100の制御部130の消費者データ管理部131は、消費者データ格納部121に記憶された、消費者データの嗜好情報を参照し、商品データ管理部133は、嗜好情報を基に、商品データ格納部123に記憶された、商品データを参照する。商品データを参照するに当たり、消費者の嗜好情報に、例えば、料理方法について「よく作りおきをする」や、好みの野菜に「ジャガイモ」「タマネギ」といったタグ情報が含まれている場合は、タグ情報に基づいて、日持ちする野菜や「ジャガイモ」「タマネギ」といった商品を検索し、消費者の嗜好情報に含まれるタグ情報に対して、より多くマッチする商品を特定する。そして、生産者データ管理部132は、特定された商品をキーとして、生産者データ格納部122に記憶される生産者データを参照し、その商品を提供する生産者を特定する。ここで、サーバ端末100は、候補となる生産者を1人または複数人を選定することができる。また、サーバ端末100は、候補となる生産者を選定するに際して、他の消費者または今回対象となる消費者と過去にマッチングされていない生産者を優先的に選定することもできる。サーバ端末100が消費者端末200に提供する生産者情報として、例えば、
図6に示す生産者データ2000に含まれるような、生産者の氏名、地域、顔写真等の基本情報のほか、その生産者が提供する商品または商品パッケージ(例えば、人参、タマネギ、ジャガイモ、葉物、サラダ野菜からなるパッケージ)に関連する情報、また生産者のこだわり等の紹介文を含むことができる。また、サーバ端末100は、商品について、生産者から取得される収穫状況、計画といった情報に基づいて、消費者のニーズに応じた商品を発送することができる生産者を選定することもできる。ここで、サーバ端末100は、嗜好情報によらず、前述の、消費者が加入するプラン(例えば、パッケージとして発送する野菜の数に応じて決定されるプランS、M、L等)及び発送する頻度(毎週、隔週、毎月等)に関する情報のみに基づいて、候補となる生産者を選定することもできる。
【0048】
また、サーバ端末100は、機械学習等を通じて、生産者の選定に際して、消費者が提供した嗜好情報に類似した他の消費者に対して選定した生産者を選定することができる。この場合、その消費者が最終的にその生産者を選定したか、ポジティブな評価をしたか、に基づいて、生産者を選定することもできる。また、サーバ端末100は、消費者がフリーテキストで入力した嗜好情報を自然言語分析によりキーワードを特定し、特定されたキーワードに基づいて、生産者を選定することもできる。
【0049】
また、ここで、消費者と生産者とのマッチングを重視して、サーバ端末100を運営するサービス事業者は、単品の商品ではなく、商品パッケージのみを消費者に提供することができ、生産者に対し、商品パッケージに含まれる商品内容を、例えば、野菜が収穫されるタイミングに合わせる等の方法で、決定することを委ねることができる。この場合、事前に商品パッケージの内容を消費者に提供することが困難な場合は、実際に消費者に提供する商品情報を提供せずに、過去にその消費者または他の消費者に提供した商品情報を提供するか、または、事前に商品パッケージの内容を通知することが可能な場合は、その商品情報を提供することができる。
【0050】
続いて、ステップS103の処理として、サーバ端末100は、消費者端末200から、選定した生産者の変更依頼を受け付けたか、を確認する。ここで、消費者端末200は、サーバ端末100から候補となる生産者情報を受信し、その生産者に関連する情報を消費者端末200の画面上で確認することができる。そして、消費者は、消費者端末200を通じて、生産者情報を確認のうえ、その生産者でよいことを確定するか、または、その生産者から他の生産者に変更する要求を行うことができる。また、サーバ端末100が複数人の生産者の候補者を選定した場合は、消費者は、複数のうち1人の生産者を選択することもできる。
【0051】
ステップS103において、消費者が生産者を変更せずに、サーバ端末100が、消費者端末200から、生産者を確定する要求を受付けた場合は、処理はステップS104に進み、消費者が生産者の変更を希望し、サーバ端末100が変更要求を受付けた場合は、処理はステップS102に戻り、サーバ端末100は、再度生産者の選定処理を行う。
【0052】
ステップS104において、サーバ端末100は、生産者端末300に対し、商品または商品パッケージを発送するよう依頼する処理を行う。具体的には、サーバ端末100の取引処理部135は、消費者データ管理部132を介して、消費者データ1000の消費者の基本情報を参照し、発送先氏名や住所等の情報を生成し、配達希望日/時間、発送頻度とともに発送依頼のメッセージを生産者端末300に送信する。消費者が、個別の商品または商品パッケージを指定した場合には、商品情報についても送信する。生産者端末300は、発送依頼を受け取ると、サーバ端末100を運営する事業者を介さずに直接消費者に対して商品または商品パッケージを発送する。このように、仲介事業者を介さずに生産者と消費者とで直接取引を実現することで、事業者に負担は減る一方で、生産者から消費者に対してより新鮮な商品を届けることができる。
【0053】
また、取引処理部135は、本取引を識別するための取引IDを生成し、商品を購入する消費者を識別する消費者ID、商品を提供する生産者ID、商品を識別する商品ID、取引毎に価格が設定されている場合は価格等の情報を取引データとして取引データ格納部124に記憶し、生産者から商品の発送が確認できた段階で、発送日情報を更新し、配達予定日を更新する。また、消費者から商品の受取りが確認できた段階で、受領日を更新することができる。
【0054】
また、ステップS105において、サーバ端末100は、生産者から商品を受け取った消費者端末200から、その生産者に対する評価情報を受け付けることができる。評価情報として、消費者から生産者に宛てたメッセージ、口コミ情報、レーティング情報(例えば、1つ星から5つ星からなる段階的評価)等の情報を受け取ることができる。サーバ端末100は、消費者端末200から受信した評価情報を、生産者情報を表示するウェブページ等に表示する処理を行うことができる。
【0055】
以上のように、生産者を厳選して、消費者と生産者をマッチングさせることで、消費者と生産者との信頼関係を構築し、心理的距離を近づけることができる。これにより、質の高い食材を、農家から直接消費者に提供する仕組みを提供することができる。また、消費者は、候補となる生産者を変更することができるので、より消費者ニーズに見合った生産者をマッチングすることができ、好みの食材を提供することができる。さらに嗜好情報に基づいて生産者を厳選することで、精度の高いマッチング方法を提供することができる。
【0056】
(変形例1)
図11は、本発明の第一実施形態に係る、嗜好情報の更新処理に係るフローチャートの一例である。
図8に示すマッチング方法において、消費者から取得する嗜好情報を更新し、更新された嗜好情報に基づいて、消費者と生産者とのマッチングを測ることもできる。以下、嗜好情報の更新処理の一例を説明する。
【0057】
まず、ステップS201において、サーバ端末100は、消費者端末200から嗜好情報の変更要求を受付ける。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、消費者端末200から通信部110を介して、変更された嗜好情報を受信する。消費者端末200における嗜好情報の変更処理は、例えば、消費者がサービス用ウェブサイトに所定のログイン操作ののち、マイページ等に含まれる消費者の嗜好情報を変更する機能を用いることで実行することができる。嗜好情報を変更するための画面は、
図9及び
図10に示すような嗜好情報を入力するための画面とすることができる。消費者が嗜好情報の変更入力を完了すると、変更された嗜好情報がサーバ端末100に送信され、サーバ端末100がそれを受信する。
【0058】
ステップS202において、サーバ端末100は、嗜好情報を更新する処理を行う。例えば、サーバ端末100の消費者データ管理部132は、受信した嗜好情報を記憶部120の消費者データ格納部121に記憶することで、
図4に示すような、消費者データ1000の嗜好情報を更新することができる。
【0059】
以上により、サーバ端末100は、更新された嗜好情報に基づいて、消費者の最新の嗜好に合わせた生産者のマッチングを行うことができる。
【0060】
(変形例2)
図12は、本発明の第一実施形態に係る、嗜好情報の更新処理に係るフローチャートの他の一例である。
図8に示すマッチング方法において、消費者から取得する嗜好情報を更新し、更新された嗜好情報に基づいて、消費者と生産者とのマッチングを測ることもできる。以下、嗜好情報の更新処理の他の一例を説明する。
【0061】
まず、ステップS301において、サーバ端末100は、消費者端末200から生産者の評価情報を受け付ける。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、消費者端末200から通信部110を介して、生産者の評価情報を受信する。消費者端末200における評価情報の入力処理は、例えば、消費者が生産者から野菜のパッケージ等の商品を受領し、その商品が届いた旨をメッセージとして投稿したり、また、生産者または商品の内容について、5段階評価でレーティングを行うことができる。また、フリーテキストにて、メッセージを入力のうえ投稿することもできる。また、生産者は、任意のタイミングで、評価情報を入力、投稿することもできる。消費者が評価情報の入力を完了すると、評価情報がサーバ端末100に送信され、サーバ端末100がそれを受信する。
【0062】
以上により、サーバ端末100は、評価情報に基づき、消費者の嗜好情報を更新し、例えば、その評価内容が低いものであった場合、サーバ端末100は、次回以降、異なる生産者をマッチングすることもできる。これにより、消費者の最新の嗜好に合わせた生産者のマッチングを行うこともできる。
【0063】
(実施形態2)
本実施形態において、消費者として、料理店のシェフのような食材へのこだわりを持つユーザを想定し、肉や野菜等の食材を商品として提供する生産者のマッチングを行う。ここで、本実施形態の基本的なシステム構成、及びサーバ端末100及び消費者端末200/生産者端末300の機能構成は、第一の実施形態と同じであり、説明を省略する。
図13は、本発明の第二実施形態に係る、マッチング方法に係るフローチャートの一例である。
【0064】
まず、ステップS401の処理として、サーバ端末100は、消費者端末200から食材要求を受け付ける。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、消費者端末200から通信部110を介して、食材要求を受信し、受信した食材情報を記憶部120の消費者データ格納部121に記憶する。要求内容としては、様々な形態が考えられるが、例えば、食材の名前、食材の用途及び分量、食材(野菜等)の栽培方法(化学肥料の使用/不使用/使用の度合い)、及び予算等の情報が挙げられる。
【0065】
ステップS402の処理として、サーバ端末100は、食材情報を基に、候補となる生産者を選定し、消費者端末200に対して、選定された生産者情報を提供する。例えば、サーバ端末100の制御部130の消費者データ管理部131は、消費者データ格納部121に記憶された、消費者データの食材情報を参照し、商品データ管理部133は、食材情報を基に、商品データ格納部123に記憶された、商品データを参照する。商品データを参照するに当たり、消費者の食材情報に、例えば、「無農薬の食材」、「サラダ用野菜3kg」、及び「予算5000円」といった情報が含まれている場合、タグ情報に基づいて、サラダ用の野菜(例えば、「レタス」、「キャベツ」)といった商品を検索する。そして、生産者データ管理部132は、特定された商品をキーとして、生産者データ格納部122に記憶される生産者データを参照し、その商品を提供する生産者を特定する。この際、商品の栽培情報(例えば、収穫時期)を参照して、出荷が可能な生産者を特定することができる。ここで、サーバ端末100は、候補となる生産者を1人または複数人を選定することができる。また、サーバ端末100は、候補となる生産者を選定するに際して、他の消費者または今回対象となる消費者と過去にマッチングされていない生産者を優先的に選定することもできる。サーバ端末100が消費者端末200に提供する生産者情報として、例えば、
図6に示す生産者データ2000に含まれるような、生産者の氏名、地域、顔写真等の基本情報のほか、その生産者が提供する商品または商品パッケージ(例えば、人参、タマネギ、ジャガイモ、葉物、サラダ野菜からなるパッケージ)に関連する情報、また生産者のこだわり等の紹介文を含むことができる。また、サーバ端末100は、機械学習等を通じて、生産者の選定に際して、消費者が提供した食材情報に類似した他の消費者に対して選定した生産者を選定することができる。この場合、その消費者が最終的にその生産者を選定したか、ポジティブな評価をしたか、に基づいて、生産者を選定することもできる。また、サーバ端末100は、消費者がフリーテキストで入力した食材情報を自然言語分析によりキーワードを特定し、特定されたキーワードに基づいて、生産者を選定することもできる。
【0066】
続いて、ステップS103の処理として、サーバ端末100は、消費者端末200から、選定した生産者の変更依頼を受け付けたか、を確認する。ここで、消費者端末200は、サーバ端末100から候補となる生産者情報を受信し、その生産者に関連する情報を消費者端末200の画面上で確認することができる。そして、消費者は、消費者端末200を通じて、生産者情報を確認のうえ、その生産者でよいことを確定するか、または、その生産者から他の生産者に変更する要求を行うことができる。また、サーバ端末100が複数人の生産者の候補者を選定した場合は、消費者は、複数のうち1人の生産者を選択することもできる。
【0067】
ステップS403において、消費者が生産者を変更せずに、サーバ端末100が、消費者端末200から、生産者を確定する要求を受付けた場合は、処理はステップS104に進み、消費者が生産者の変更を希望し、サーバ端末100が変更要求を受付けた場合は、処理はステップS102に戻り、サーバ端末100は、再度生産者の選定処理を行う。
【0068】
ステップS404において、サーバ端末100は、消費者端末200から、食材の選択要求を受付ける。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、消費者端末200から通信部110を介して、食材の選択要求を受信し、受信した選択食材情報を記憶部120の消費者データ格納部121に記憶する。例えば、消費者は、消費者端末200の画面に表示されるサーベイ画面を通じて生産者に発送を依頼したい食材(例えば、「レタス」「キャベツ」)を選択し、発送を依頼することで、消費者端末200からサーバ端末100に対して、食材の選択要求が送信される。
【0069】
ステップS405において、サーバ端末100は、生産者端末300に対し、選択された商品を発送するよう依頼する処理を行う。具体的には、サーバ端末100の取引処理部135は、消費者データ管理部132を介して、消費者データ1000の消費者の基本情報を参照し、発送先氏名や住所等の情報を生成し、配達希望日/時間、商品及び分量、及び発送頻度とともに発送依頼のメッセージを生産者端末300に送信する。生産者端末300は、発送依頼を受け取ると、サーバ端末100を運営する事業者を介さずに直接消費者に対して商品ジを発送する。このように、仲介事業者を介さずに生産者と消費者とで直接取引を実現することで、事業者に負担は減る一方で、生産者から消費者に対してより新鮮な商品を届けることができる。
【0070】
また、取引処理部135は、本取引を識別するための取引IDを生成し、商品を購入する消費者を識別する消費者ID、商品を提供する生産者ID、商品を識別する商品ID、取引毎に価格が設定されている場合は価格等の情報を取引データとして取引データ格納部124に記憶し、生産者から商品の発送が確認できた段階で、発送日情報を更新し、配達予定日を更新する。また、消費者から商品の受取りが確認できた段階で、受領日を更新することができる。
【0071】
また、サーバ端末100は、生産者から商品を受け取った消費者端末200から、その生産者に対する評価情報を受け付けることができる。評価情報として、消費者から生産者に宛てたメッセージ、口コミ情報、レーティング情報(例えば、1つ星から5つ星からなる段階的評価)等の情報を受け取ることができる。サーバ端末100は、消費者端末200から受信した評価情報を、生産者情報を表示するウェブページ等に表示する処理を行うことができる。
【0072】
以上のように、消費者の要求する食材情報に基づいて生産者を厳選して、消費者と生産者をマッチングさせることで、消費者と生産者との信頼関係を構築し、心理的距離を近づけることができる。これにより、質の高い食材を、農家等の生産者から直接消費者に提供する仕組みを提供することができる。また、消費者は、候補となる生産者を変更することができるので、より消費者ニーズに見合った生産者をマッチングすることができ、好みの食材を提供することができる。
【0073】
以上の第1及び第2の実施形態において、野菜や食材等の商品を例示したが、商品として、肉や魚等を含むこともできる。また、野菜という一定ジャンルのおすすめ商品の、パーソナライズされたパッケージを直送するだけでなく、例えば、ある消費者に対して、野菜、食肉、鮮魚等の複数のジャンルに跨った商品からなるパッケージをパーソナライズして直送することもできる。
【0074】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 マッチングシステム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 消費者端末、300 生産者端末、NW ネットワーク