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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G02B6/36
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021086242
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022179024
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】為國 芳享
(72)【発明者】
【氏名】竹山 吉洸
(72)【発明者】
【氏名】清田 光政
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0341069(US,A1)
【文献】特開2019-012253(JP,A)
【文献】特開2014-085444(JP,A)
【文献】中国実用新案第205091487(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0205590(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255-6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/36- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端及び前記前端の第1方向における反対側の後端を有し、前記後端から光ファイバを挿入可能な光コネクタであって、
前記前端において前記光ファイバを保持可能な少なくとも1つのフェルールと、
前記フェルールよりも前記後端側に位置するアウターハウジングと、
前記アウターハウジングに連結され、前記アウターハウジングとの連結部にある基端から前記第1方向に沿って前記前端に向かって延在するラッチであって、前記ラッチの先端部分に外部装置に係合可能な係合部が少なくとも1つ設けられた、ラッチと、
前記フェルールの先端が前記前端において外部に露出するように前記フェルールを収納すると共に前記アウターハウジングに連結される、ハウジング本体と、
前記ラッチの少なくとも一部を覆うように前記ラッチの外側に配置されると共に前記アウターハウジングに対して前記第1方向に沿って移動可能なように前記アウターハウジングに連結され、前記第1方向に沿って前記前端から前記後端に向かう方向への移動に応じて前記ラッチの前記係合部を前記ハウジング本体に向けて押し下げるように構成されているタブと、
を備え、
前記ラッチは、前記係合部が前記第1方向と交差する第2方向において前記フェルールに向かって押し下がる方向に前記係合部が押し下げ可能に構成され、
前記係合部は、前記第1方向に沿って延在する係合本体と、前記係合本体から前記第1方向及び前記第2方向の両方に交差する第3方向に沿って外に突出する少なくとも1つの係合突部と、を有し、
前記係合突部の後方には、前記外部装置と係合するように構成された係合面が設けられ、前記係合面の端部が面取りされており
前記ラッチの先端部分は、通常状態において、前記ハウジング本体から離間して浮いており、
前記タブの内側には、前記ラッチの前記基端よりも前記前端側に位置する突部が設けられており、前記ラッチの前記係合部を前記外部装置に係合させる際に前記ラッチの内側が前記突部に接触し前記突部を支点として前記係合部が前記ハウジング本体に向かって押し下げられるように構成されている、光コネクタ。
【請求項2】
前記係合面の前記端部の面取り寸法は0.4mm以下である、
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記係合面の前記端部の面取り寸法は、前記係合部の前記第2方向に沿った突出長さの半分以下である、
請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記係合面の前記端部の面取りはC面取りまたはR面取りである、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記係合突部は、前記係合面の、前記係合部が前記第2方向において前記フェルールに向かって押し下がる方向とは逆の、上方の縁に連なる曲面を含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記曲面の縁の一部は前記面取りが為されている、
請求項5に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記面取りの面は、一対の直線と、前記一対の直線を繋ぐ2つの曲線とを含んで構成される、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記係合本体は、前記前端側に位置する第1傾斜面と、前記第1傾斜面に連なり前記第1傾斜面よりも前記後端側に位置する第2傾斜面とを有し、
前記係合突部は、前記第2方向から視た際に、前記第2傾斜面が位置する前記係合本体の部分から前記第3方向に沿って外に突出する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記係合突部は、前記前端側に位置する第3傾斜面を有し、
前記第3傾斜面の前記第1方向に対する傾斜角度は、前記第1傾斜面の前記第1方向に対する傾斜角度よりも小さく、且つ、前記第2傾斜面の第1方向に対する傾斜角度よりも大きい、
請求項8に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの係合突部は、前記係合本体から前記第3方向に沿って外側に突出する第1係合突部と、前記係合本体から前記第3方向に沿って前記第1係合突部とは逆の向きに外側に突出する第2係合突部と、を含む、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記ラッチは、前記アウターハウジングとの連結部のある第1基端から前記第1方向に沿って前記前端に向かって延在する第1ラッチ部材と、前記アウターハウジングとの連結部のある第2基端から前記第1ラッチ部材と並列に前記前端に向かって延在する第2ラッチ部材と、を有し、
前記第1ラッチ部材及び前記第2ラッチ部材のそれぞれの先端部分に前記係合部が設けられている、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光コネクタが開示されている。この光コネクタは、それぞれがフェルールを収納する一対のフェルールハウジング部を含むハウジング本体と、アダプタ等の外部装置に係合するための一対の係合部を有するラッチと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0341069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された光コネクタは、アダプタ等の外部装置にフェルールを挿入すると共にラッチの係合部を外部装置内の係合部に係合させることにより、外部装置に取り付けられる。このような光コネクタを外部装置から取り外す際、ラッチの係合部を下方に移動させることで外部装置の係合部との係合を解除する。しかしながら、光コネクタの係合部が外部装置の係合部から上手く外れずに引っ掛かってしまうことがある。特に、光コネクタの係合部が樹脂から形成され且つ外部装置が金属から形成されるような場合、光コネクタの係合部が外部装置の係合部に引っ掛かってしまい抜けないことがある。そこで、アダプタ等の外部装置からの抜去性を向上した光コネクタが望まれている。
【0005】
本開示は、外部装置からの抜去性を向上した光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、前端及び前端の第1方向における反対側の後端を有し、後端から光ファイバを挿入可能な光コネクタを提供する。この光コネクタは、前端において光ファイバを保持可能な少なくとも1つのフェルールと、フェルールよりも後端側に位置するアウターハウジングと、アウターハウジングに連結され、アウターハウジングとの連結部にある基端から第1方向に沿って前端に向かって延在するラッチと、を備える。ラッチの先端部分には、外部装置に係合可能な係合部が少なくとも1つ設けられる。ラッチは、係合部が第1方向と交差する第2方向においてフェルールに向かって押し下がる方向に係合部が押し下げ可能に構成される。係合部は、第1方向に沿って延在する係合本体と、係合本体から第1方向及び第2方向の両方に交差する第3方向に沿って外に突出する少なくとも1つの係合突部と、を有する。係合突部の後方には、外部装置と係合するように構成された係合面が設けられ、係合面の端部が面取りされている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、外部装置からの抜去性を向上した光コネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の光コネクタを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す光コネクタがアダプタに結合された状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す光コネクタの分解斜視図である。
図4図4は、光コネクタの一構成部品であるラッチ付きのアウターハウジングを示す斜視図である。
図5図5は、光コネクタの一構成部品であるタブを示す斜視図である。
図6図6は、図5に示すタブを逆側から視た斜視図である。
図7図7は、光コネクタの一部を構成するハウジング本体を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示す光コネクタからタブを除いた構成の側面図である。
図9図9は、光コネクタの上部を拡大した断面図であり、光コネクタをアダプタに挿入する際の動作を示す断面図である。
図10図10は、光コネクタの上部を拡大した断面図である。
図11図11は、光コネクタの上部を拡大した断面図であり、光コネクタをアダプタから抜去する際の動作を示す断面図である。
図12図12は、ラッチの係合部を拡大して示す平面図である。
図13図13は、ラッチの係合部を側面から視た場合を示す側面図である。
図14図14は、光コネクタをアダプタに取り付けた際のラッチの係合部とアダプタの係合部との係合状態を示す斜視図であり、説明のために上部を切り欠いた斜視図である。
図15図15は、光コネクタをアダプタに取り付けた際のラッチの係合部とアダプタの係合部との係合状態を示す斜視図であり、説明のために側部を切り欠いた斜視図である。
図16図16は、光コネクタをアダプタに取り付けた際のラッチの係合部とアダプタの係合部との係合状態を示す断面図であって、上下方向に延びる面に沿って切断した断面図である。
図17図17は、光コネクタをアダプタに取り付けた際のラッチの係合部とアダプタの係合部との係合状態を示す断面図であって、水平方向に延びる面に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光コネクタは、前端及び前端の第1方向における反対側の後端を有し、後端から光ファイバを挿入可能な光コネクタである。この光コネクタは、前端において光ファイバを保持可能な少なくとも1つのフェルールと、フェルールよりも後端側に位置するアウターハウジングと、アウターハウジングに連結され、アウターハウジングとの連結部にある基端から第1方向に沿って前端に向かって延在するラッチと、を備える。ラッチの先端部分には、外部装置に係合可能な係合部が少なくとも1つ設けられる。ラッチは、係合部が第1方向と交差する第2方向においてフェルールに向かって押し下がる方向に係合部が押し下げ可能に構成される。係合部は、第1方向に沿って延在する係合本体と、係合本体から第1方向及び第2方向の両方に交差する第3方向に沿って外に突出する少なくとも1つの係合突部と、を有する。係合突部の後方には、外部装置と係合するように構成された係合面が設けられ、係合面の端部が面取りされている。
【0010】
この光コネクタでは、外部装置に係合されるラッチの係合突部における係合面の端部が面取りされている。この場合、光コネクタを外部装置から抜去する際にラッチを押し下げると、係合面において特に外部装置の係合部に引っ掛かりやすい端部に角部がないため、光コネクタの係合部と外部装置の係合部との係合がより確実に解除される。これにより、この光コネクタによれば、外部装置からの抜去性を向上することができる。なお、ここでいう外部装置には、光コネクタ同士を接続するアダプタや、光コネクタを接続する光トランシーバなどが少なくとも含まれ得る。
【0011】
一実施形態として、係合面の端部の面取り寸法は0.4mm以下であってもよい。この場合、係合面による外部装置との係合を確実に行いつつ、外部装置からの抜去性も向上することができる。
【0012】
一実施形態として、係合面の端部の面取り寸法は、係合部の第2方向に沿った突出長さの半分以下であってもよい。この場合、係合面による外部装置との係合を確実に行いつつ、外部装置からの抜去性も向上することができる。
【0013】
一実施形態として、係合面の端部の面取りは、C面取りまたはR面取りであってもよい。この場合、係合面の端部の面取り形状をより確実に作製することができる。
【0014】
一実施形態として、係合突部は、係合面の、係合部が第2方向においてフェルールに向かって押し下がる方向とは逆の、上方の縁に連なる曲面を含んでもよい。この場合、光コネクタを外部装置から抜去する際に外部装置の係合部が光コネクタの係合面から外れた後の光コネクタの抜去動作をよりスムーズに行うことが可能となる。なお、この実施形態において、曲面の縁の一部に上記の面取りが為されていてもよい。
【0015】
一実施形態として、面取りの面は、一対の直線と、一対の直線を繋ぐ2つの曲線とを含んで構成されてもよい。この場合、係合突部により多くの曲面が設けられることになり、係合突部の外部装置への引っ掛かりを更に抑制することができる。
【0016】
一実施形態として、係合本体は、前端側に位置する第1傾斜面と、第1傾斜面に連なり第1傾斜面よりも後端側に位置する第2傾斜面とを有してもよく、係合突部は、第2方向から視た際に、第2傾斜面が位置する係合本体の部分から第3方向に沿って外に突出してもよい。この実施形態において、係合突部は、前端側に位置する第3傾斜面を有してもよく、第3傾斜面の第1方向に対する傾斜角度は、第1傾斜面の第1方向に対する傾斜角度よりも小さく、且つ、第2傾斜面の第1方向に対する傾斜角度よりも大きくてもよい。
【0017】
一実施形態として、少なくとも1つの係合突部は、係合本体から第3方向に沿って外側に突出する第1係合突部と、係合本体から第3方向に沿って第1係合突部とは逆の向きに外側に突出する第2係合突部と、を含んでもよい。この場合、ラッチを構成する1つのラッチ部材に異なった方向に突出する2つの係合突部が設けられることになり、ラッチ部材を外部装置に係合させる際の第3方向(左右方向)におけるバランスがよくなる。これにより、この光コネクタによれば、外部装置への係合及び係合からの解除の際に第3方向へのずれも生じにくくなり、係合及び解除をスムーズに行うことが可能となり、解除する際の抜去性を更に向上させることができる。
【0018】
一実施形態として、ラッチは、アウターハウジングとの連結部のある第1基端から第1方向に沿って前端に向かって延在する第1ラッチ部材と、アウターハウジングとの連結部のある第2基端から第1ラッチ部材と並列に前端に向かって延在する第2ラッチ部材と、を有してもよく、第1ラッチ部材及び第2ラッチ部材のそれぞれの先端部分に係合部が設けられていてもよい。
【0019】
一実施形態として、光コネクタは、フェルールの先端が前端において外部に露出するようにフェルールを収納すると共にアウターハウジングに連結されるハウジング本体と、ラッチの少なくとも一部を覆うようにラッチの外側に配置されると共にアウターハウジングに対して第1方向に沿って移動可能なようにアウターハウジングに連結され、第1方向に沿って前端から後端に向かう方向への移動に応じてラッチの係合部を第2方向であるハウジング本体に向けて押し下げるように構成されているタブと、を備えてもよい。ラッチの先端部分は、通常状態において、ハウジング本体から離間して浮いていてもよい。タブの内側には、ラッチの基端よりも前端側に位置する突部が設けられており、ラッチの係合部を外部装置に係合させる際にラッチの内側が突部に接触し突部を支点として係合部がハウジング本体に向かって押し下げられるように構成されてもよい。
【0020】
上記実施形態に係る光コネクタでは、ラッチの係合部が設けられた先端部分が通常状態においてハウジング本体から離間して浮く構成になっている。このため、従来のラッチの先端部分に相当する領域を削減して光コネクタの軽量化を図ることができる。これに加え、この光コネクタでは、ラッチの基端よりも光コネクタの前端側に位置する突部をタブの内側に設け、ラッチの係合部を外部装置に係合させる際にラッチの内側が突部に接触しこの突部を支点としてラッチの係合部がハウジング本体に向かって押し下げられるようになっている。この構成によれば、ラッチの係合部を外部装置に係合させる際に、基端を支点としてラッチをハウジング本体に向けて変形させるよりも、その基端よりも光ファイバの先端側に位置する突部を支点としてラッチをハウジング本体に向かって変形させることができる。その結果、変形の支点から距離が短くなるため変形されたラッチ(係合部)の弾性力が強くなり、ラッチの係合部を外部装置に係合させる際のクリック感を向上できる。このように、この光コネクタによれば、部材の軽量化を図ると共に、外部装置に取り付ける際に使用者に所望のクリック感を付与することが可能となる。なお、ここでいう「通常状態」とは、光コネクタをアダプタ等の外部装置に取り付ける前の状態、あるいは外部装置から取り外した後の状態であって、ラッチが外部装置に係合していない状態を意味する。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、一実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。図1に示すように、光コネクタ1は、長手方向X(第1方向)に横長形状のコネクタであり、前端1a及び後端1bを有する。後端1bは、前端1aの長手方向Xの反対側に位置する。光コネクタ1が保持する光ケーブルKは、光コネクタ1の後端1bから挿入される。光ケーブルKに内包される一対の光ファイバ(不図示)は、光コネクタ1内では被覆樹脂が取り除かれて、一対のフェルール14,15それぞれに収納されて保持される。光コネクタ1は、例えば二連LCタイプの光コネクタ(Duplex LC Connector)であり、ユニブーツタイプ(Uniboot Type)の光コネクタである。光コネクタ1は、他の構成の光コネクタであってもよい。
【0023】
図2は、光コネクタ1がアダプタ100(外部装置)に挿入された状態を示す図である。図1及び図2に示すように、光コネクタ1は、ラッチ40の先端部分に設けられた係合部43,44(詳細は後述する)がアダプタ100内に設けられた係合部103,104に係合することにより、アダプタ100における所定の位置に収納されてロックされる(図14を参照)。アダプタ100の光コネクタ1とは逆側の取付口101には別の光コネクタ(不図示)が挿入され、光コネクタ1は、アダプタ100により別の光コネクタと光結合される。なお、光コネクタ1は、外部装置としての光トランシーバ等の連結部に挿入される構成であってもよい。この場合、外部装置は、金属製であってもよい。
【0024】
図3は、図1に示す光コネクタの分解斜視図である。図1及び図3に示すように、光コネクタ1は、一対のフロントハウジング10,11、インナーハウジング20、アウターハウジング30、ラッチ40、タブ50、ブーツ60、弾性部材70、及び、ケーブル保持部材80を備えている。本実施形態では、一対のフロントハウジング10,11とインナーハウジング20とから、ハウジング本体M(図7を参照)が構成される。このハウジング本体Mがアウターハウジング30内に収納される。
【0025】
一対のフロントハウジング10,11は、本体12,13と、フェルール14,15とを有している(図7も参照)。本体12,13は、合成樹脂から形成され、内部に丸孔12a,13aが設けられた四角柱形状の外形を有する。本体12,13は、それぞれが光ファイバを保持可能なフェルール14,15を、それぞれの先端14a,15aが光コネクタ1の前端1aにおいて外部に露出するように、丸孔12a,13a内に収納する。フェルール14,15の先端14a,15aからは、保持された光ファイバの先端が露出する。フェルール14,15の先端14a,15aは、長手方向に直交(交差)する上下方向(第2方向)に対して平行な面であってもよいし、傾斜した面であってもよい。本体12,13の後端には、それぞれの四隅に突起12b,13bが設けられている。これら突起12b,13bは、フロントハウジング10,11がインナーハウジング20の前端に連結される場合に、相互の位置関係を規定する。フロントハウジング10の両側面には、長方形状の一対の開口部16が設けられており、フロントハウジング11の両側面には、長方形状の一対の開口部17が設けられている。
【0026】
インナーハウジング20は、光ファイバを収納することができる空間が内部に形成されたハウジングであり、合成樹脂から形成される。インナーハウジング20は、前端部21とテーパ部22と後端部23とを有し、後端から前端に向かってそれぞれの内部空間が徐々に広がるように形成されている。インナーハウジング20は、光ケーブルKに内包される一対の光ファイバをフェルール14,15に分岐させるための領域であり、一対のフロントハウジング10,11の後端に連結される。インナーハウジング20の前端部21には一対のラッチ24及び一対のラッチ25が設けられており、一対のラッチ24がフロントハウジング10の一対の開口部16に内側から挿入されて係合し、一対のラッチ25がフロントハウジング11の一対の開口部17に内側から挿入されて係合する。これにより、一対のフロントハウジング10,11がインナーハウジング20に連結される。また、インナーハウジング20には、表面20a及び裏面のそれぞれの中心やや前方付近に突起26が設けられている(図7を参照)。インナーハウジング20がアウターハウジング30に収納された際には何れか一方の突起26がアウターハウジング30の下面30bに設けられた孔に係合することで、インナーハウジング20はアウターハウジング30の内部に着脱可能に連結される。なお、各突起26は、着脱可能なように、傾斜面を有している。
【0027】
アウターハウジング30は、インナーハウジング20を内部に収納すると共に、インナーハウジング20に連結されるハウジングである。図4は、アウターハウジング30を示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態では、アウターハウジング30は、後述するラッチ40と一体になるように合成樹脂から形成されているが、アウターハウジング30とラッチ40とを別体として形成し、所定の手段(接着や嵌合など)により両者を連結してもよい。図4では、連結部Aにおいて、ラッチ40がアウターハウジング30に連結している。図4に示すように、アウターハウジング30は、前方及び後方それぞれに開口31,32を有するハウジング本体33を有している。
【0028】
アウターハウジング30の上面30aには、弾性部材70を収納する部分36aをその内側に画定する一対の壁部36と、壁部36の外側に位置する一対のガイド突起37とが設けられている。部分36aに収納される弾性部材70は、アウターハウジング30と後述するタブ50との間に配置されることになり(図11を参照)、タブ50をアウターハウジング30に対して後端1b側に移動した場合にタブ50を通常位置に復帰させるように機能する。弾性部材70は例えばバネである。各ガイド突起37は、タブ50がアウターハウジング30に連結された場合にタブ50のスリット55,56内に位置し、タブ50の長手方向Xに沿った移動をガイドする。アウターハウジング30は、タブ50との連結構造として、前方側に設けられた突出部34と、各ガイド突起37の下方に設けられた連結用のスリット35とを更に備えている。また、アウターハウジング30の下面30bには、孔と開口部とが設けられている。この孔には、インナーハウジング20の何れかの突起26が入り込むようになっており、これにより、インナーハウジング20がアウターハウジング30に着脱可能で連結される。
【0029】
ラッチ40は、アウターハウジング30の外側に設けられると共に連結部Aのある基端40a(第1基端、第2基端)から長手方向Xに沿って前端1aに向かって延在する部材41,42(ラッチ部材)を含む部材である。ラッチ40の部材41,42は、その先端部分40bにアダプタ100等の外部装置に係合可能な係合部43,44が設けられている。係合部43,44は、例えば長手方向Xに沿って延在する係合本体45,46と、各係合本体45,46から長手方向Xに直交する横方向Yに沿って外に突出する一対の係合突部47,48とを含んで構成されている。係合部43,44のこれら突起がアダプタ100内の係合部103,104に係合されることにより(図14を参照)、光コネクタ1がアダプタ100に取り付けられる。ラッチ40の先端部分40b、即ち係合部43,44は、通常状態において、フロントハウジング10,11から離間して浮くような状態になっている。係合部43,44及び係合部103,104のより詳細な構成については後述する。
【0030】
ラッチ40の部材41,42には、その中央付近において、傾斜面41a,42aと、傾斜面41b,42bと、凹部41c,42cとが設けられている(図8も参照)。傾斜面41a,42aは、ラッチ40の内側に設けられている。傾斜面41b,42bは、ラッチ40の外側に設けられており、凹部41c,42cの一部を為している。なお、ラッチ40の部材41,42においては、全体が同じ厚みとなるように形成されていてもよいし、基端40aの板厚が傾斜面41a,42a又は傾斜面41b,42bが位置する領域での板厚よりも薄くてもよい。この場合、基端40aを支点としたラッチ40の先端部分40b、即ち係合部43,44の上下方向の移動がよりスムーズになる。なお、ここでいう板厚は、各箇所における面に対して垂直な方向における厚さを意味する。
【0031】
タブ50は、ラッチ40のうち先端部分40bにある係合部43,44を除く部分を覆うようにラッチ40の外側に配置される。図5は、タブ50を一方から示す斜視図であり、図6は、タブを他方から示す斜視図である。図3図4図5及び図6に示すように、タブ50の前端50aの内側にある突出部58がアウターハウジング30の上面30aにある突出部34に連結すると共に、タブ50の内側の左右にある一対のラッチ59が、アウターハウジング30の上面30aの左右にあるスリット35に内側から引っかかる。これにより、タブ50は、アウターハウジング30に対して長手方向Xに沿って移動可能なようにアウターハウジング30に連結される。タブ50は、長手方向Xに沿って前端1aから後端1bに向かう方向への移動に応じてラッチ40の係合部43,44を長手方向Xと直交(交差)する上下方向Z(第2方向)であるフロントハウジング10,11に向けて押し下げるように構成されている。より具体的には、タブ50の前端50aには下方に突出する突起51,52が設けられており、タブ50が後方に移動すると、これら突起51,52がラッチ40の傾斜面41b,42bに沿って後方に向かって移動し、これにより、ラッチ40の係合部43,44が下方に押し下げられる。
【0032】
タブ50の内側には、一対の突起53,54が更に設けられている。これら突起53,54は、通常状態においてはラッチ40の内側に僅かに接触しない位置に設けられているが、光コネクタ1をアダプタ100に取り付ける際、即ちラッチ40の係合部43,44をアダプタ100の係合部に係合させる際にラッチ40の係合部43,44が僅かに下方に移動すると、ラッチ40の内側に接触するようになっている。そして、ラッチ40は、これら突起53,54との接触点を支点として、係合部43,44がフロントハウジング10,11に向かって押し下げられるように構成されている。
【0033】
タブ50の中央部には、一対のスリット55,56が設けられている。これらスリット55,56には、上述したアウターハウジング30の一対のガイド突起37が配置される。一対のガイド突起37のそれぞれがこれらスリット55,56内をスライドすることにより、タブ50の長手方向Xに沿った移動がガイドされる。また、タブ50の後端50bには、把持部57が設けられている。アダプタ100に取り付けられた光コネクタ1をアダプタ100から取り外す際には把持部57を使用者が把持して後方に引っ張ることにより、突起51,52が上述した動作を行い、ラッチ40の係合が解除される。本実施形態における把持部57は、上下方向及び左右方向の何れにおいても使用者が把持できるように一周回る筒形状になっているが、上下方向及び左右方向の少なくとも一方の方向で把持できる構成であればよい。この把持部57の内部には、後述するブーツ60が収納される。
【0034】
ブーツ60及びケーブル保持部材80は、光ケーブルKを光コネクタ1に対して導入させると共に、光コネクタ1内の所定の位置で光ケーブルKを固定するための部材である。ブーツ60の一部及びケーブル保持部材80は、アウターハウジング30等の内部に収納される。
【0035】
ここで、上述した構成の光コネクタ1において、光コネクタ1をアダプタ100に取り付ける際のコネクタ内部の動作について、図8図9を参照して、説明する。図8は、光コネクタ1からタブを除いた構成の側面図である。図9は、光コネクタ1の上部を拡大した断面図であり、光コネクタ1をアダプタ100に挿入する際の内部動作を示す断面図である。図8及び図9に示すように、光コネクタ1は、アダプタ100に取り付けられる前の通常状態においては、タブ50の内部に設けられた突起53,54は、ラッチ40の傾斜面41a,42aから僅かに離れて位置している。そして、光コネクタ1をアダプタ100に挿入すると、まず係合部43,44がアダプタ100の係合部により僅かに矢印S1方向である下方に押し下げられる。この際のラッチ40の動作の支点は基端40aに位置している。但し、この動作によりラッチ40の傾斜面41a,42aが突起53,54に接触する。
【0036】
その後、係合部43,44がアダプタ100の係合部103,104(図14及び図16を参照)により更に下方に(矢印S1方向に)押し下げられると、以後は、突起53,54との接触点を支点としてラッチ40(係合部43,44)が下方に押し下げられることになる。つまり、ラッチ40に対して荷重が付与される点に対してより近い位置に支点が移動したことになる。その結果、この近い支点を中心としてラッチ40が変形することになり、ラッチ40における弾性力がより強くなって、使用者にフィードバックされることになる。その結果、光コネクタ1をアダプタ100に挿入して互いに係合部を係合完了した際のクリック感を向上させることができる。
【0037】
続いて、上記構成を備えた光コネクタ1をアダプタ100から取り外す際の内部動作について、図10及び図11を参照して、説明する。図10は、光コネクタ1の上部を拡大した断面図であり、アダプタ100に取り付けられた状態を示す(アダプタは省略)。図11は、光コネクタ1をアダプタ100から抜去する際の動作を示す断面図である。図10及び図11に示すように、光コネクタ1をアダプタ100から取り外す際は、まずタブ50の把持部57を使用者が把持して、矢印S2の方向(後方)にタブ50を引っ張る。この動作により、タブ50が後方に移動し、タブ50の先端にある突起51,52がラッチ40の傾斜面41b,42bに接触して傾斜面に沿って後方に移動し、係合部43,44を下方、即ちフロントハウジング10,11の方向(矢印S3の方向)に向けて押し下げる。これにより、光コネクタ1がアダプタ100から抜去される。なお、この際、ラッチ40は基端40aを支点とする動作を行う。また、後方に移動したタブ50は、アウターハウジング30とタブ50との間に配置された弾性部材70であるバネにより、通常状態である初期位置に自動的に復帰する。
【0038】
このような挿入及び抜去を行うことができる光コネクタ1は、アダプタ100からの抜去をよりスムーズに行うことができる構成を有するラッチ40を備えている。そこで、光コネクタ1のラッチ40の係合部43,44の構成、及び、係合部43,44とアダプタ100との係合構成について、より詳細に説明する。図12は、ラッチ40の係合部43を拡大して示す平面図である。図13は、ラッチ40の係合部43を側面から視た場合を示す側面図である。
【0039】
図12及び図13に示すように、ラッチ40の一方の係合部43は、係合本体45と、一対の係合突部47とを有する。係合本体45は、長手方向Xに沿って延在する部分であり、前端10a側に傾斜面45a(第1傾斜面)が設けられ、傾斜面45aに湾曲面45bを介して連なる傾斜面45c(第2傾斜面)が係合部43の上方に設けられている。傾斜面45cは、傾斜面45aよりも後端10b側に位置しており、且つ、長手方向X及び横方向Yに沿って延びる水平面に対する傾斜角度が傾斜面45aよりも小さな(緩やかな)傾斜となっている。
【0040】
一対の係合突部47は、アダプタ100の係合部103に係合して、光コネクタ1をアダプタ100に取り付けるための部分である。各係合突部47は、係合本体45から横方向Yに沿ってそれぞれが逆向きに外に突出するように構成される。より具体的には、各係合突部47は、係合本体45において傾斜面45cが位置する部分から横方向Yに沿って外に突出する。各係合突部47は、アダプタ100に取り付けられる際にアダプタ100の係合部103の係合面105(図14を参照)と面接触する係合面47aと、係合面47aの外側の端部に設けられる面取り47bと、係合面47aの上端に連なる曲面47cと、曲面47cに連なると共に前端10a側に向かって下方に傾斜する傾斜面47d(第3傾斜面)と、を有している。係合面47aは、横方向Y及び上下方向Zに沿って広がる面である。なお、傾斜面47dの水平面(長手方向X及び横方向Yに広がる面)に対する傾斜角度は、係合本体45の傾斜面45aの水平面に対する傾斜角度よりも小さく、且つ、傾斜面45cの水平方向に対する傾斜角度よりも大きくてもよい。
【0041】
係合突部47の係合面47aの端部に設けられた面取り47bは、例えば、係合面47aの広がり方向(横方向Y及び上下方向Zによって画定される面)に対して所定の角度、例えば30度以上60度以下(本実施形態では一例として45度)で傾斜する面である。面取り47bの面取り寸法は、限定されるものではないが、係合突部47の係合本体45からの突出幅(例えば1mm程度)の半分以下であってもよく、例えば0.4mm以下とすることができる。面取り47bの面取り寸法は、0.3mm以下であってもよく、0.2mm以下であってもよく、0.1mm以上であってもよい。このような面取り47bは、図13に示すように、例えば一対の直線と、一対の直線を繋ぐ2つの曲線とによって画定される面であってもよい。
【0042】
ラッチ40の他方の係合部44は、図4に示すように、光コネクタ1の横方向Yにおける中心を通り、且つ、長手方向Xに沿って延びる中心線を基準として、係合部43と線対称な形状を有しており、係合本体46と、一対の係合突部48とを有する。係合本体46は、図12及び図13に示すように、係合本体45と同様に、傾斜面46a(第1傾斜面B)、湾曲面46b、及び、傾斜面46c(第2傾斜面)を含んで構成される。各係合突部48は、係合突部47と同様に、係合面48a、面取り48b、曲面48c、及び、傾斜面48d(第3傾斜面)を含んで構成される。なお、このような構成を有するラッチ40は、摺動性のよい樹脂材料から構成されてもよい。樹脂材料としては、例えば、PEI(ポリエーテルイミド)、POM(ポリオキシメチレンまたはポリアセタール)、PES(ポリエーテルサルホン)等を用いることができる。
【0043】
次に、上記構成を有する係合部43,44をアダプタ100に係合した場合の構成について、図14図15図16及び図17を参照して説明する。図14は、光コネクタ1をアダプタ100に取り付けた際のラッチ40の係合部43,44とアダプタ100の係合部103,104との係合状態を示す斜視図であり、説明のために上部を切り欠いた斜視図である。図15は、光コネクタ1をアダプタ100に取り付けた際のラッチ40の係合部43とアダプタ100の係合部103との係合状態を示す斜視図であり、説明のために側部を切り欠いた斜視図である。図16は、光コネクタ1をアダプタ100に取り付けた際のラッチ40の係合部43とアダプタ100の係合部103との係合状態を示す断面図であって、上下方向に延びる面に沿って切断した断面図である。図17は、光コネクタ1をアダプタ100に取り付けた際のラッチ40の係合部43とアダプタ100の係合部103との係合状態を示す断面図であって、水平方向に延びる面に沿って切断した断面図である。
【0044】
図14から図17に示すように、光コネクタ1をアダプタ100に取り付けた場合、光コネクタ1では、ラッチ40の各係合部43,44がアダプタ100の対応する係合部103,104にそれぞれ係合する。これにより、光コネクタ1は、アダプタ100に対して固定される。この係合は、上述したように、光コネクタ1の係合部43,44がアダプタ100の係合部103,104の後方からその下方(下面107等の下)を通り、再び上方に浮き上がることにより行われる。この係合状態では、アダプタ100の係合部103の各係合面105がラッチ40の係合部43の各係合面47aに接してラッチ40の後方への移動を規制することにより、光コネクタ1を後端10b側に移動できないようにアダプタ100に固定する。この係合状態である光コネクタ1をアダプタ100から取り外す場合には、図16に示すように、係合突部47を係合部103の下方(例えば下面107よりも下)になるようにタブ50によって移動させる。上述したこのような移動により、係合が解除される。この際、図17等に示すように、光コネクタ1では、各係合突部47の係合面47aの端部に面取り47bが設けられており、係合面105等に引っ掛かりやすい角部が取り除かれており、また接触面積も低減されている。このため、アダプタ100の係合面105等に係合面47a等が引っ掛かったりすることが低減され、係合突部47の下方への移動をスムーズに行うことができる。なお、ラッチ40の係合部44がアダプタ100の係合部104の係合面106から係合解除される動作は、係合部43での係合解除の動作と同様である。
【0045】
以上、本実施形態に係る光コネクタ1では、アダプタ100に係合されるラッチ40の係合突部47,48における係合面47a,48aの端部が面取りされている。このため、光コネクタ1をアダプタ100から抜去する際にラッチ40を押し下げると、係合面47a,48aにおいて特にアダプタ100の係合部103,104に引っ掛かりやすい端部に角部がないため、光コネクタ1の係合部43,44とアダプタ100の係合部103,104との係合がより確実に解除される。これにより、光コネクタ1によれば、アダプタ100からの抜去性を向上することができる。
【0046】
光コネクタ1では、係合面47a,48aの端部の面取り寸法は0.4mm以下であってもよい。この場合、係合面47a,48aによるアダプタ100との係合を確実に行いつつ、アダプタ100からの抜去性も向上することができる。
【0047】
光コネクタ1では、係合面47a,48aの端部の面取り寸法は、係合部43,44の横方向に沿った突出長さの半分以下であってもよい。この場合、係合面47a,48aによるアダプタ100との係合を確実に行いつつ、アダプタ100からの抜去性も向上することができる。
【0048】
光コネクタ1では、係合面47a,48aの端部の面取りは、C面取りである。これにより、係合面47a,48aの端部の面取り形状をより確実に作製することができる。
【0049】
光コネクタ1では、係合突部47,48は、係合面47a,48aの上方の縁に連なる曲面47c,48cを含んでいる。このため、光コネクタ1をアダプタ100から抜去する際にアダプタ100の係合部103,104が光コネクタ1の係合面47a,48aから外れた後の光コネクタ1の抜去をよりスムーズに行うことが可能となる。なお、光コネクタ1では、曲面47c,48cの縁の一部には面取りが為されていてもよい。
【0050】
光コネクタ1では、面取り47b,48bの面は、一対の直線と、一対の直線を繋ぐ2つの曲線とを含んで構成されてもよい。この場合、係合突部47,48により多くの曲面が設けられることになり、係合突部47,48のアダプタ100への引っ掛かりを更に抑制することができる。
【0051】
光コネクタ1では、係合本体45,46は、前端側に位置する傾斜面45a,46aと、傾斜面45a,46aに連なり傾斜面45a,46aよりも後端側に位置する傾斜面45c,46cと、を有してもよく、係合突部47,48は、上方から視た際に、傾斜面45c,46cが位置する係合本体45,46の部分から横方向に沿って外に突出してもよい。また、係合突部47,48は、前端10a側に位置する傾斜面47d,48dを有しており、傾斜面47d,48dの水平面に対する傾斜角度は、傾斜面45a,46aの水平面に対する傾斜角度よりも小さく、且つ、傾斜面45c,46cの水平面に対する傾斜角度よりも大きい。
【0052】
光コネクタ1では、一対の係合突部47,48を有している。これにより、ラッチ40を構成する各ラッチ部材に異なった方向に突出する2つの係合突部が設けられることになり、各ラッチ部材をアダプタ100に係合させる際の横方向Y(左右方向)におけるバランスをよくすることができる。これにより、光コネクタ1によれば、アダプタ100との係合及び係合からの解除の際に横方向へのずれも生じにくくなり、係合及び解除をスムーズに行うことが可能となり、解除する際の抜去性を更に向上させることができる。
【0053】
光コネクタ1では、ラッチ40の係合部43,44が設けられた先端部分が通常状態においてフロントハウジング10,11から離間して浮く構成になっている。このため、従来のラッチの先端部分に相当する領域を削減して光コネクタ1の軽量化を図ることができる。これに加え、光コネクタ1では、ラッチ40の基端よりも光コネクタ1の前端側に位置する突起53,54をタブ50の内側に設け、ラッチ40の係合部43,44をアダプタ100に係合させる際にラッチ40の内側が突起53,54に接触し、突起53,54を支点としてラッチ40の係合部43,44がフロントハウジング10,11に向かって押し下げられるようになっている。この構成によれば、ラッチ40の係合部43,44をアダプタ100に係合させる際に、基端を支点としてラッチ40をフロントハウジング10,11に向けて変形させるよりも、その基端よりも光コネクタ1の先端側に位置する突起53,54を支点としてラッチ40をフロントハウジング10,11に向かって変形させることができる。その結果、変形の支点から距離が短くなるため変形されたラッチ40(係合部43,44)の弾性力が強くなり、ラッチ40の係合部43,44をアダプタ100に係合させる際のクリック感を向上できる。この光コネクタ1によれば、部材の軽量化を図ると共に、アダプタ100に取り付ける際に使用者に所望のクリック感を付与することが可能となる。
【0054】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態に適用することができる。例えば上記の実施形態では、一対の光ファイバを収納する光コネクタの例を説明したが、一本の光ファイバを収納する光コネクタに本実施形態を適用してもよいし、三本以上の光ファイバを収納する光コネクタに本実施形態を適用してもよいし、その他の各種の光コネクタに適用してもよい。また、ラッチ40の係合部43,44の係合面47a,48aの端部に設けた面取り47b,48bはC面取りであったが、R面取りであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…光コネクタ
1a…前端
1b…後端
10,11…フロントハウジング
12,13…本体
12a,13a…丸孔
12b,13b…突起
14,15…フェルール
14a,15a…先端
16,17…開口部
20…インナーハウジング
20a…表面
21…前端部
22…テーパ部
23…後端部
24,25…ラッチ
26…突起
30…アウターハウジング
30a…上面
30b…下面
31,32…開口
33…ハウジング本体
34…突出部
35…スリット
36…壁部
36a…部分
37…ガイド突起
40…ラッチ
40a…基端
40b…先端部分
41,42…部材
41a,42a…傾斜面
41b,42b…傾斜面
41c,42c…凹部
43,44…係合部
45,46…係合本体
45a,46a…傾斜面(第1傾斜面)
45b,46b…湾曲面
45c,46c…傾斜面(第2傾斜面)
47,48…係合突部
47a,48a…係合面
47b,48b…面取り
47c,48c…曲面
47d,48d…傾斜面(第3傾斜面)
50…タブ
50a…前端
50b…後端
51,52…突起
53,54…突起
55,56…スリット
57…把持部
58…突出部
59…ラッチ
60…ブーツ
70…弾性部材
80…ケーブル保持部材
100…アダプタ
101…取付口
103,104…係合部
105,106…係合面
107…下面
A…連結部
K…光ケーブル
M…ハウジング本体
X…長手方向
Y…横方向
Z…上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17