(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電極組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241112BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20241112BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20241112BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20241112BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/474
H01M10/052
H01M10/0585
(21)【出願番号】P 2022520647
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2020009063
(87)【国際公開番号】W WO2021107315
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0154664
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クワク、ジン セオプ
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-159086(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158701(WO,A1)
【文献】特開2018-120789(JP,A)
【文献】特開2016-046009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00 -10/39
H01M 50/40 -50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極
及び正極が
分離膜を挟んで繰り返し積層される電極組立体の製造方法であって、
負極、分離膜、正極の予め定められた積層構造を有する単位セルを製造する単位セル製造段階と、
型枠内にフィルムを挿入するフィルム挿入段階と、
前記型枠内に前記単位セルを積層する単位セル積層段階と、
前記型枠内に積層された前記単位セルと前記フィルムとの間に接着剤を塗布する接着剤塗布段階と、を含み、
前記フィルム挿入段階の後に、予め定められた単位セルの積層が完了するまで、前記単位セル積層段階と前記接着剤塗布段階とが繰り返される電極組立体の製造方法。
【請求項2】
前記単位セル製造段階においては、前記分離膜の端部同士を接合して接合部が形成されるように単位セルを製造し、
前記接着剤塗布段階においては、互いに上下に隣接して置かれた単位セルそれぞれの接合部の間に前記接着剤が注入されるように塗布する、請求項
1に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項3】
前記単位セル製造段階においては、下から分離膜/負極/分離膜/正極の順序で積層されたモノセル、又は、分離膜/正極/分離膜/負極の順序で積層されたモノセルで単位セルを製造する、請求項
2に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項4】
前記単位セル製造段階においては、下から分離膜/負極/分離膜の順序で積層されたハーフセル、又は、分離膜/正極/分離膜の順序で積層されたハーフセルを前記モノセルとは別途に単位セルとして製造し、
前記単位セル積層段階が繰り返して行われる間に、前記モノセルで積層が行われるが、前記単位セル積層段階が最後に行われる際には、前記ハーフセルで積層が行われる、請求項
3に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤塗布段階において塗布される接着剤は、流動性を有するレジン(resin)、熱硬化接着剤、UV硬化樹脂剤から選択されたいずれか一つである、請求項
1から請求項
4のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項6】
前記接着剤塗布段階において塗布される接着剤は、熱硬化接着剤であり、
前記型枠に熱を加えて熱硬化接着剤を硬化させる加熱段階をさらに含む、請求項
5に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項7】
前記接着剤塗布段階において塗布される接着剤は、UV硬化樹脂剤であり、
前記フィルムを透過して前記接着剤が塗布された部分に紫外線を照射するUV照射段階をさらに含む、請求項
5に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項8】
前記フィルム挿入段階において、前記型枠内に前記フィルムを挿入する場合、前記フィルムの下端は、最初の単位セルが積層された際に前記単位セルの最下層面の下に積層されるように折り畳まれた状態で挿入される、請求項
1から請求項
7のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項9】
最後の単位セルの積層が完了する場合、前記フィルムの上端は、最上層の単位セルの最上層面の上に積層されるように折り畳まれる折り畳み段階と、をさらに含む、請求項
8に記載の電極組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月27日に出願された韓国特許出願第10-2019-0154664号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体及びその製造方法に関するものであって、より詳しくは、従来の固定用テープを削除することにより、前記固定用テープの付着時に発生した問題点を解消することができる電極組立体の製造方法及び前記製造方法により製造され得る電極組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
電気エネルギーを保存する電池は、通常一次電池と二次電池に区分され得る。一次電池は、使い捨ての消耗性電池であるのに対し、二次電池は、電流と物質との間の酸化及び還元過程が繰り返し可能な素材を使用して製造される充電式電池である。すなわち、電流により、素材に対する還元反応が行われると電源が充電され、素材に対する酸化反応が行われると電源が放電されるが、このような充電-放電が繰り返して行うことができる。
【0004】
様々な種類の二次電池のうち、リチウム二次電池は、通常、正極(Cathode)、分離膜(Separator)、及び負極(Anode)の積層された電極組立体がケースに取り付けられて製造され、リチウムイオンが正極のリチウム金属酸化物から負極に挿入(Intercalation)及び脱離(Deintercalation)される過程が繰り返され、リチウム二次電池の充放電が行われる。
【0005】
前記電極組立体は、予め定められた順序で負極、分離膜、正極の積層された単位セルが定められた数量だけ積層され、又は、正極、分離膜、負極が一つずつ繰り返し積層されて一つの電極組立体になる。そして、このような電極組立体は、円筒状のカン又は角型パウチなどのようなケースに収容されて二次電池として製造される。
【0006】
一方、前記電極組立体を製造する方式として、前記負極と正極との間に分離膜を積層してから巻いて製造する巻取型、要求される幅と長さを有するように裁断して負極と正極を切断した後、前記負極、分離膜、正極が繰り返されるように積層して製造する積層型、及びフォールディング分離膜上に単位セルを並んで置いた後、一側からフォールディングして製造するスタックアンドフォールディング型などが公知されたことがある。
【0007】
この中、積層型電極組立体は、従来の製造過程が単純化して示された
図1aに図示されたように、正極2、分離膜1、負極3が予め定められた個数だけ積層されて単位セル10として製造された後、前記単位セル10が予め定められた個数だけ積層されて電極組立体100として製造される。参考までに、
図1aに図示された電極組立体は、下から分離膜/正極/分離膜/負極の積層されたモノセルが単位セル10として製造されて複数個積層されるが、最上層に分離膜1が置かれるように分離膜/電極(負極又は正極)/分離膜の順序で積層されたハーフセル20が最上層に置かれた状態である。
【0008】
そして、前記単位セル10が定められた個数だけ積層されると、電極組立体100が固定されるように、固定用テープ200が電極組立体100の周りを巻くように(又は、側面が上面と下面に結束されるように)付着され、単位セル10を結束させた。
【0009】
しかし、このように固定用テープ200を介して結束させる構造は、従来の電極組立体の構造から分離膜の折り畳み及び浮き上がり現象の発生した様態が示された
図1bに図示されたように、固定用テープ200が接着される際に加えられる圧力により、分離膜1の端部が折り畳まれるか浮き上がるようになる問題が発生することがあった。
【0010】
このような分離膜1の折り畳みと浮き上がりは、負極3と正極2との接触を誘発し、短絡(short circuit)を誘発する可能性もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の主な目的は、前述したような問題点が解消できるように、電極組立体の積層が完了した後、固定用テープが追加接着される過程を削除することができる電極組立体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するための本発明の電極組立体は、負極、分離膜、正極が繰り返し積層された電極組立体であって、負極、分離膜、正極が積層されて形成された側面のいずれか一か所を覆うように配置されるフィルム;を含み、前記フィルムは、接着剤により、負極、分離膜、正極が積層されて形成された側面に接着されたことを特徴とする。
【0013】
前記フィルムは、負極、分離膜、正極が積層されて形成された側面のうち互いに向い合う側面の二か所のそれぞれに配置される。
【0014】
前記接着剤は、流動性を有するレジン(resin)、熱硬化接着剤、UV硬化樹脂剤から選択されたいずれか一つが選択されてよい。
【0015】
ここで、前記フィルムは、負極、分離膜、正極が積層されて形成された側面の高さよりも長く形成され、前記フィルムの両側端部は、前記側面から延長されて負極、分離膜、正極が積層されて形成された積層物の最下層面と最上層面に接着されるように折り畳まれた構造を有してよい。
【0016】
また、本発明は、前記のような構成の電極組立体を製造し得る製造方法が追加的に提供される。
【0017】
本発明に係る製造方法は、負極、分離膜、正極が繰り返し積層される電極組立体の製造方法であって、負極、分離膜、正極の予め定められた積層構造を有する単位セルを製造する単位セル製造段階(S10);型枠内にフィルムを挿入するフィルム挿入段階(S20);前記型枠内に前記単位セルを積層する単位セル積層段階(S30);及び前記型枠内に積層された単位セルとフィルムとの間に接着剤を塗布する接着剤塗布段階(S40);を含み、前記フィルム挿入段階(S20)後に、予め定められた単位セルの積層が完了するまで、前記単位セル積層段階(S30)と接着剤塗布段階(S40)とが繰り返されることを特徴とする。
【0018】
前記単位セル製造段階(S10)においては、分離膜の端部同士を接合して接合部が形成されるように単位セルを製造し、前記接着剤塗布段階(S40)においては、互いに上下に隣接して置かれた単位セルのそれぞれの接合部の間に接着剤が注入されるように塗布する。
【0019】
そして、前記単位セル製造段階(S10)においては、下から分離膜/負極/分離膜/正極の順序で積層されたモノセル、又は、分離膜/正極/分離膜/負極の順序で積層されたモノセルで単位セルを製造する。また、下から分離膜/負極/分離膜の順序で積層されたハーフセル、又は、分離膜/正極/分離膜の順序で積層されたハーフセルをモノセルとは別途に単位セルとして製造する。そして、前記単位セル積層段階(S30)が繰り返して行われる間に、モノセルで積層が行われるが、前記単位セル積層段階(S30)が最後に行われる際には、ハーフセルで積層が行われる。
【0020】
前記接着剤塗布段階(S40)において塗布される接着剤は、流動性を有するレジン(resin)、熱硬化接着剤、UV硬化樹脂剤から選択されたいずれか一つであってよい。
【0021】
前記接着剤が熱硬化接着剤である場合は、前記型枠に熱を加えて熱硬化接着剤を硬化させる加熱段階(S41)をさらに含む。
【0022】
さらに、前記接着剤がUV硬化樹脂剤である場合は、前記フィルムを透過して接着剤が塗布された部分に紫外線を照射するUV照射段階(S42)をさらに含む。
【0023】
一方、前記フィルム挿入段階(S20)において型枠内にフィルムを挿入する場合、前記フィルムの下端は、最初の単位セルが積層された際に前記単位セルの最下層面の下に積層されるように折り畳まれた状態で挿入されてよい。また、最後の単位セルの積層が完了する場合、前記フィルムの上端は、最上層の単位セルの最上層面の上に積層されるように折り畳まれる折り畳み段階(S50);をさらに含んでよい。
【発明の効果】
【0024】
前記のような技術的特徴を有する本発明の電極組立体は、固定用テープの代わりに電極組立体の側面にフィルムが付着されるので(固定用テープを接着する際に発生した圧力が除去されるので)、従来の構造から発生した分離膜の折り畳み又は浮き上がりを防止することができる。
【0025】
本発明では、単位セルごとに別途にフィルムとの接着が行われるので、圧力が加えられなくてもより安定して単位セルとフィルムとの間の接着が行われ得る。特に、前記単位セルは、端部に接合部が形成され、個別単位セルの動きは固定されるので、電極組立体全体の整列も向上させ得る。
【0026】
さらに、本発明では、フィルムの上端と下端が電極組立体の最上層と最下層を覆うように折り畳まれ、接着剤の硬化が行われる前に流れ落ちることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1a】従来の電極組立体の製造過程が単純化して図示された図面である。
【
図1b】従来の電極組立体の構造で分離膜の折り畳み及び浮き上がり現象の発生した様態が図示された図面である。
【
図2】本発明の電極組立体の製造方法の順序図である。
【
図3】単位セル製造段階において、負極、分離膜、正極の積層が行われて単位セルとして製造される様態が図示された図面である。
【
図4a】本発明の電極組立体の製造方法において、型枠の断面様態(a)及び前記型枠内にフィルムの付着された様態(b)が図示された図面である。
【
図4b】
図4aに図示された型枠内で、前記フィルムの間に単位セルが安着した様態(c)、安着した単位セルとフィルムとの間にグルーガンが接着剤を塗布する様態(d)、及びその次に単位セルがさらに安着し、安着した単位セルとフィルムとの間にグルーガンが接着剤を塗布する様態(e)が追加的に図示された図面である。
【
図4c】
図4bに図示された型枠内で、最上層単位セルが安着した後、前記フィルムの上端が折り畳まれた様態(f)及び塗布された接着剤を硬化させるために型枠の内部にUVが照射される様態(g)が追加的に図示された図面である。
【
図5】本発明の電極組立体の製造方法により製造された電極組立体の平面図、正面図、左側面図がそれぞれ図示された図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面に基づいて、本発明に対して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0029】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付ける。
【0030】
また、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるとの原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0031】
本発明は、負極3、分離膜1、正極2が繰り返し積層される電極組立体及びその製造方法に関するものであって、以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態をより詳しく説明する。
【0032】
第1実施形態
本発明は、電極組立体の製造方法を第1実施形態として提供する。本発明に係る電極組立体の製造方法の順序が示された
図2に記載されたように、本実施形態による製造方法は、単位セル製造段階(S10)、フィルム挿入段階(S20)、単位セル積層段階(S30)、接着剤塗布段階(S40)、フィルム折り畳み段階(S50)を含む。
【0033】
前記単位セル製造段階(S10)においては、負極3、分離膜1、正極2の予め定められた積層構造を有する単位セル10を製造するが、分離膜1の端部同士を接合して接合部1aが形成されるように製造する。
【0034】
すなわち、負極3、分離膜1、正極2の積層が行われて単位セル10として製造される様態が示された
図3に図示されたように、予め定められた積層構造を有するモノセル及びハーフセルを単位セル10として製造する。前記モノセルは、図示されたように、下から分離膜1/正極2/分離膜1/負極3の順序で積層された構造を有するか、下から分離膜1/負極3/分離膜1/正極2の順序で積層された構造を有してよい。そして、前記モノセルから最上層の電極(正極又は負極)が除去されたハーフセルが追加的に提供される。前記ハーフセルは、モノセルの積層が完了した後に最上層に分離膜1が置かれるように下から分離膜1/負極3/分離膜1の順序で積層された構造を有するか、分離膜1/正極2/分離膜1の順序で積層された構造を有する。したがって、モノセルの積層が完了した後にハーフセルの積層が行われるので、本発明により積層される電極組立体は、最下層と最上層に分離膜1が置かれる構造を有する。
【0035】
一方、前記モノセル及びハーフセルで製造される単位セル10は、分離膜1が正極2と負極3よりも大きな面積を有し、図示されたように、両側に端部が突出した構造を有する。この単位セル製造段階(S10)において、前記分離膜1の端部は、互いの上下面が接合されて接合部1aを形成する。前記接合部1aは、分離膜1が突出した端部のいずれも必ず形成される必要はないが、単位セル10が積層される際にフィルム30と向い合う端部には形成されることが好ましい。
【0036】
図4a~
図4cには、型枠の断面様態(a)、前記型枠内にフィルムが付着した様態(b)、前記フィルムの間に単位セルが安着した様態(c)、安着した単位セルとフィルムとの間にグルーガンが接着剤を塗布する様態(d)、その次に単位セルがさらに安着し、安着した単位セルとフィルムとの間にグルーガンが接着剤を塗布する様態(e)がそれぞれ図示された。
【0037】
図4a~
図4cを参照すれば、前記フィルム挿入段階(S20)においては、型枠M内で互いに向い合う両側の内周面にフィルム30が配置される。前記型枠Mは、フィルム30が配置された状態で、その間に単位セル10の積層が行われ得る大きさに製作され、十分な強性を有する。
【0038】
前記型枠Mは、単位セル10の積層が行われる内部空間が六面体形状になるように構成されてよいが、単位セル10の積層時、単位セル10を移送及び積層するグリッパー(gripper、未図示)などが作動する際に干渉が発生しないようにフィルム30が配置されない一側面又は両側面は、開放された状態で提供されてよい。
【0039】
そして、前記型枠M内には、フィルム30と単位セル10との間に接着剤Aが塗布される前に垂直に立てられた状態が維持されるように前記型枠Mの内周面に仮固定された状態で配置されてよい。すなわち、前記型枠Mには、フィルム30を仮固定させるためのクリップ、ホルダー(holder)などが設置されてよく、又は、前記フィルム30は、型枠M内に配置される前に表面に接着力が弱い接着剤が塗布された状態で配置が行われてよい。このようなフィルム30を仮固定する手段は、電極組立体の製造が完了した後、前記型枠Mの内周面でフィルム30が容易に分離され得るならば、公知の他の方法が適用されてよい。
【0040】
さらに、前記型枠Mは、フィルム30と単位セル10との間に接着剤Aが塗布される際に、グルーガンGの進入が可能となるように、前記グルーガンGの進入が垂直方向に可能なスリット(slit:未図示)などが形成されるか、前記型枠M内でグルーガンGが滑走可能に搭載された構造を有してよい。
【0041】
一方、前記フィルム挿入段階(S20)において、型枠M内にフィルム30を挿入する場合、前記フィルム30の下端は、最初の単位セルが積層された際に前記単位セル10の最下層面の下に積層されるように折り畳まれた状態で挿入されることが好ましい。前記フィルム30の折り畳まれた部分は、型枠M内で接着剤Aが塗布された後、硬化する前に外部に流れ出すことを防止する目的として提供され、折り畳まれた部分の長さは、接着剤Aの量と状態により決定されてよい。
【0042】
前記型枠M内にフィルム30が配置され、グルーガンGの作動が準備された状態で、その次に単位セル積層段階(S30)が行われる。前記単位セル積層段階(S30)においては、二つのフィルム30の間の正位置に型枠M内に単位セル10の積層が行われる。ここで、前記単位セル10は、前述したようなモノセルであるが、下方に分離膜1が置かれるように積層が行われる。
【0043】
そして、前記型枠M内で積層された単位セル10とフィルム30との間に接着剤Aを塗布する接着剤塗布段階(S40)が行われる。
【0044】
この実施形態においては、型枠M内で互いに向い合う両側壁面に一つずつ当接するように二つのフィルム30が挿入され、前記接着剤Aの塗布は、型枠Mの両側壁面のそれぞれで同時に行われる。
【0045】
前記フィルム挿入段階(S20)後に、予め定められた単位セル10の積層が完了するまで、前記単位セル積層段階(S30)と接着剤塗布段階(S40)とが繰り返される。ここで、前記フィルム挿入段階(S20)において、最上層に置かれる単位セル10の積層は、モノセルの代わりにハーフセルの積層が行われる。前記ハーフセルの接着剤塗布まで完了すると(最後の単位セルの積層が完了すると)、前記フィルム30の上端は、最上層単位セル10の最上層面の上に積層されるように折り畳まれる折り畳み段階(S50)が行われる。折り畳まれたフィルム30の上端は、最上層の単位セル10で最上層に置かれた分離膜1と密着する。
【0046】
一方、本実施例で使用される接着剤Aは、ショートを防止するために非導電性を有するが、その種類は限定されない。したがって、折り畳み段階(S50)まで完了した状態で、上下に隣接して置かれた単位セル10のそれぞれの接合部1aの間に注入された接着剤Aは、種類に応じて硬化が完了しないことがある。
【0047】
すなわち、本実施例で塗布される接着剤Aは、流動性を有するレジン(resin)、熱硬化接着剤、UV硬化樹脂剤から選択されたいずれか一つであってよい。
【0048】
前記フィルム30の接着が完了した状態で、電極組立体が型枠Mから除去され得るように、本発明では接着剤Aを硬化させるための追加的な段階をさらに提供する。
【0049】
例えば、前記接着剤Aが熱硬化接着剤である場合は、前記型枠Mに熱を加えて熱硬化接着剤を硬化させる加熱段階(S41)をさらに含んでよい。
【0050】
一方、前記接着剤AがUV硬化樹脂剤である場合は、前記フィルム30を透過して接着剤が塗布された部分に紫外線を照射するUV照射段階(S42)をさらに含んでよい。なお、前記フィルム30も非導電性を有する材質であれば選択が制限されないが、接着力が悪くなく耐化学性が良いPET(polyethylene terephthalate)などのような高分子材質で製造されてよい。
【0051】
参考までに、接着剤塗布段階(S40)において、グルーガンGは、接着剤の流動性を向上させるために加熱機能を有してよく、加熱温度及び噴射圧力などは、フィルム30の厚さと材質、又は接合部1aの相対的な位置と大きさなどに応じて可変されてよい。ここで、前記型枠Mは、前述したように、グルーガンGの端部が進入するか、グルーガンGが内蔵されるように構成され、前記型枠に積層された状態で加熱段階(S41)又はUV照射段階(S42)が行われるので、前記フィルム30の接着は、型枠M内で行われる。
【0052】
なお、前記型枠Mは、加熱段階(S41)が進行されるか否か、又はUV照射段階(S42)が進行されるか否かに応じて、熱伝導が可能な材質で製造されるか、紫外線(UV)が内部に照射され得る構造(例えば、透明材質で製造された構造又は紫外線が進入可能なホールなどが打ち抜かれた構造)を有してよい。
【0053】
第2実施形態
本発明は、第1実施形態による製造方法により製造され得る電極組立体を第2実施形態として提供する。
【0054】
この実施形態で提供される電極組立体は、負極3、分離膜1、正極2が繰り返し積層された電極組立体であって、負極3、分離膜1、正極2が積層されて形成された側面のいずれか一か所を覆うように配置されるフィルム30を含み、前記フィルム30は、接着剤Aにより、負極3、分離膜1、正極2が積層されて形成された側面に接着されたことを特徴とする。
【0055】
すなわち、本発明の電極組立体の製造方法により製造された電極組立体の平面図、正面図、左側面図が図示された
図5を参照すれば、本発明に係る負極3と正極2は、一側辺に突出した負極タブ3aと正極タブ2aとをそれぞれ有する。前記正極タブ2aと負極タブ3aは、互いに反対側に突出するように構成され、前記正極タブ2a及び負極タブ3aが突出した辺の直角をなす二つの辺を含む電極組立体の側面のそれぞれに、フィルム30が付着した構成を有する。ここで、フィルム30の上側端部30aは、負極3、正極2、分離膜1が積層された部分の最上層面の上を覆うように折り畳まれ、フィルム30の下側端部30bは、負極3、正極2、分離膜1が積層された部分の最下層面の下を覆うように折り畳まれる。
【0056】
前記のような技術的特徴を有する本発明の電極組立体は、固定用テープの代わりに電極組立体の側面にフィルム30が付着されるので(固定用テープを接着する際に発生した圧力が除去されるので)、従来の構造から発生した分離膜の折り畳み又は浮き上がりを防止することができる。
【0057】
本発明では、単位セル10ごとに別途にフィルム30との接着が行われるので、圧力が加えられなくてもより安定して単位セル10とフィルム30との間の接着が行われ得る。特に、前記単位セル10は、端部に接合部1aが形成され、個別単位セル10の動きは固定されるので、電極組立体全体の整列も向上させ得る。
【0058】
さらに、本発明では、フィルム30の上端と下端が電極組立体の最上層と最下層を覆うように折り畳まれ、接着剤Aの硬化が行われる前に流れ落ちることを防止することができる。
【0059】
以上で本発明は、たとえ限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明はこれにより限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と以下に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。