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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】経口気管挿管用の喉頭鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/267 20060101AFI20241112BHJP
   A61M 16/04 20060101ALI20241112BHJP
   A61B 1/005 20060101ALI20241112BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20241112BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B1/267
A61M16/04 Z
A61B1/005 523
A61B1/045 642
A61B1/00 682
A61B1/00 715
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022506028
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2020059757
(87)【国際公開番号】W WO2021079243
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】102019000019562
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】522037333
【氏名又は名称】メドスナイパー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッツァ、アンドレア
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0135566(US,A1)
【文献】米国特許第09498112(US,B1)
【文献】特表2019-508143(JP,A)
【文献】特表2010-528820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口気管挿管用の喉頭鏡であって、
気管内チューブを受けてガイドするように構成された中央導管を内部に有する、全体的にJ字形状の筒状本体であって、前記筒状本体が、近位部分、ヘッド、および前記ヘッドを前記近位部分に接続する変形可能区分を有しており、前記変形可能区分が、前記ヘッドの長手方向軸線を通る任意の平面において前記近位部分に対する前記ヘッドの配向を変えるように弾性変形可能である、筒状本体と、
前記ヘッドの反対側の、前記近位部分の一方の端部に接続された基部であって、前記基部が、前記筒状本体に沿って前記筒状本体の外面上に延在した伝送システムを介して前記ヘッドに接続された複数のアクチュエータを有しており、前記複数のアクチュエータが、前記ヘッドの傾斜角度を制御するように構成されている、基部と
を備え、前記中央導管は、前記筒状本体の端部間で延在し、前記筒状本体の近位端部で前記基部の貫通孔と連通し、前記筒状本体の反対側の端部で前記ヘッドの前面において開口す喉頭鏡。
【請求項2】
前記伝送システムが、複数のボーデンケーブルを有しており、前記複数のボーデンケーブルのそれぞれが、前記ヘッドから前記筒状本体に沿ってそれぞれのアクチュエータまで延在している、請求項1に記載の喉頭鏡。
【請求項3】
前記伝送システムが、4本のボーデンケーブルを有しており、前記4本のボーデンケーブルが、断面において前記筒状本体の重心に中心が一致する正方形の頂点に配置されている、請求項2に記載の喉頭鏡。
【請求項4】
前記筒状本体は、前記中央導管の外周に沿って複数の外向きの凸部が配列された外側凸部輪郭を有し、前記複数のボーデンケーブルは、前記外側凸部輪郭の前記複数の外向きの凸部の間の凹部内に配置される、請求項2に記載の喉頭鏡。
【請求項5】
前記複数のアクチュエータが、前記基部に収容された電子制御ユニットによって制御される電気アクチュエータであり、前記電子制御ユニットが、前記基部の外側に位置する動作制御デバイスにインターフェイスユニットによって接続される、請求項1からのいずれか1項に記載の喉頭鏡。
【請求項6】
前記動作制御デバイスが、無線通信ネットワークを介して前記電子制御ユニットに接続される、請求項に記載の喉頭鏡。
【請求項7】
前記ヘッドに配置されており、前記筒状本体内に形成された導管の内側に延在したケーブルによって前記基部に接続されている視覚デバイスを備える、請求項1からのいずれか1項に記載の喉頭鏡。
【請求項8】
前記視覚デバイスによって提供される光信号が、前記基部の外側に位置するディスプレイに送信される、請求項に記載の喉頭鏡。
【請求項9】
前記ディスプレイが、無線通信ネットワークを介して前記基部に接続される、請求項に記載の喉頭鏡。
【請求項10】
前記ヘッドが、前記前面上に設けられた喉頭蓋持ち上げ要素を有しており、前記喉頭蓋持ち上げ要素が、前記前面に接触する下降位置と前記前面から離れる上昇位置との間で可動であり、前記基部に収容されたアクチュエータに伝送ケーブルによって接続されている、請求項1からのいずれか1項に記載の喉頭鏡。
【請求項11】
前記筒状本体の内側で、前記ヘッドの前面から前記近位部分の一方の端部へと延在している複数の流体導管を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の喉頭鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、医療デバイスの分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、経口気管挿管用の喉頭鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
経口気管挿管は、気管内チューブを気道の内側に入れて、機械または手動による患者の換気を可能にし、かつ胃の物質の逆流または上気道から来る物質から肺を保護することから成る。
【0004】
当技術分野の現在の状態において、気管内チューブは、以下の操作のうちの1つにより、患者の気管に入れられる。
【0005】
-直接喉頭鏡検査:喉頭鏡(たとえば、マッキントッシュ喉頭鏡)を使用して解剖学的構造(咽頭、喉頭)を持ち上げ、声帯の視覚化および気道へのアクセスを可能にして、気管内チューブを挿入できるようにする。直接喉頭鏡検査は、浮腫(したがって腫脹)を生じさせ、気道をブロックするおそれがある。直接喉頭鏡検査の挿管は、特に経験豊富な医師(通常は麻酔専門医)によって実施されなくてはならず、患者の特別な準備を必要とする。
-ビデオ喉頭鏡検査:遠隔視覚システムを有する喉頭鏡の使用を含み、これにより、操作を実施する医師は、より奥の解剖学的部分を外部画面上で見ることができるようになる。この技術は平易にされており、直接喉頭鏡検査によって実施される挿管をより安全にし、かつ外傷性をより低減させてきたが、直接喉頭鏡検査によって実施される挿管の制限のうちの多くによる影響を依然として受ける。
-可撓性ファイバスコープを有する喉頭鏡:この操作は、ファイバスコープを気道に挿入し、気管内チューブをスライドさせるガイドとしてこのファイバスコープを使用して、挿管を得ることを含む。この操作は、非常に安全であり、直接喉頭鏡検査の制限を克服するが、非常に経験豊富な人員および高価なデバイス(ファイバスコープ)を必要とし、これらは常に利用可能とは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の問題を克服する経口気管挿管用の喉頭鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1の主題を形成する特徴を有する経口気管挿管用の喉頭鏡によって達成される。
【0008】
特許請求の範囲は、本発明に関連してここに提供される開示の必須部分を形成している。
【0009】
以下の詳細な説明の過程で明らかになるように、本発明による喉頭鏡は、口を通って咽頭に入れられ、解剖学的湾曲に沿って喉頭および声帯に到達するまで挿入される配向可能ヘッドを有する筒状本体を備えている。ヘッドは、照明と、外部画面に接続されることが可能なディスプレイシステム(カメラ)とを備えていてよい。ヘッドは、気道への入口に向かって導かれることが可能になるように、アクチュエータによって配向されてよい。気道が視覚化され位置合わせされたら、喉頭鏡の筒状本体をガイドとして使用して、気管内チューブが気道を過ぎるまで挿入される。
【0010】
喉頭鏡の筒状本体には、ヘッドの前壁に配置された可動要素が設けられて、視覚および声帯へのアクセスを喉頭蓋が遮っている場合に喉頭蓋の持ち上げが可能にされてよい。
【0011】
筒状本体には、たとえば気体もしくは薬物を送達するためまたは分泌物を吸引するための流体用の導管、あるいは視覚システムのケーブル用の導管が設けられていてよい。
【0012】
本発明による喉頭鏡の筒状本体は、方向性のあるヘッドのおかげで、経口気管挿管に関連する困難のうちの多くを克服可能にし、正常な喉頭検査法の条件が存在しない場合の難しい挿管または厳しい環境における挿管に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、単に非限定的な例として与えられる添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1】本発明による喉頭鏡を使用した経口気管挿管用のシステムの概略図である。
図2図1の喉頭鏡の部分的な概略側面図である。
図3図2のIII-III線に沿った概略断面図である。
図4図2の矢印IVによって示された細部の概略図である。
図5図2の矢印Vによる側面図である。
図6】患者の気管に挿入された、本発明による喉頭鏡を示す概略図である。
図7】本発明による喉頭鏡の主要な特徴的寸法を示す側面図である。
図8】本発明による喉頭鏡の主要な特徴的寸法を示す側面図である。
図9】本発明による喉頭鏡の主要な特徴的寸法を示す、図7のIX-IX線およびX-X線に沿った断面図である。
図10】本発明による喉頭鏡の主要な特徴的寸法を示す、図7のIX-IX線およびX-X線に沿った断面図である。
図11図7の矢印XIによって示された要素の主要な特徴的寸法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に関連して、参照符号10は、全体的に患者の経口気管挿管用のシステムを示している。このシステム10は、口および喉頭を通ることにより患者の気管に挿入されるように構成された喉頭鏡12を含んでいる。喉頭鏡12は、気管内チューブ14の挿入をガイドするように構成されている。
【0016】
喉頭鏡12は、基部16と、全体的にJ字形状を有する筒状本体18とを備えている。筒状本体18は、基部16に取り外し可能に固定されていてよい。
【0017】
基部16は、その中に複数のアクチュエータ20を有している。アクチュエータは、バッテリ22によって給電されて電子制御ユニット24によって制御される電気アクチュエータであってよい。代替的に、アクチュエータ20は、機械的アクチュエータであってもよい。
【0018】
電子制御ユニット24は、基部16の外部の、たとえばジョイスティックから成る動作制御デバイス28に接続されたインターフェイスユニット26に接続されてよい。インターフェイスユニット26は、ディスプレイ30にも接続されてよい。インターフェイスユニット26と動作制御デバイス28との接続、およびインターフェイスユニット26とディスプレイ30との接続は、ケーブルを使用して実施されてよい。
【0019】
可能な実施形態において、インターフェイスユニット26には、インターネットから成ってよい無線通信ネットワーク32への接続を可能にする無線通信プロトコルが提供されてよい。この場合、動作制御システム28およびディスプレイ30は、無線通信ネットワーク32を介してインターフェイスユニット26および電子制御ユニット24に接続されてよい。
【0020】
喉頭鏡12の基部16は、複数の流体コネクタ34を備えていてよい。基部16には、気管内チューブ14が通過するように構成された貫通孔36が設けられていてよい。
【0021】
図2に関連して、筒状本体18は、近位部分38と、変形可能区分40と、ヘッド42とを備えている。近位部分38は、解離可能に基部16に固定されてよい。近位部分38は、基部16に隣接した直線路を有してよく、変形不可能な湾曲路44により変形可能区分40に接続されてよい。
【0022】
筒状本体18は、筒状本体18の反対側の端部間で切れ目なく延在した中央導管46を有している。中央導管46は、筒状本体18の近位端部で基部16の貫通孔36と連通し、反対側の端部でヘッド42の前面48において開口している。筒状本体18の中央導管46は、気管内チューブ14を受けてガイドするように構成されている。
【0023】
図3の断面図に関連して、筒状本体18は、複数の凸部および凹部のある外側輪郭を有してよい。中央導管46は、円形断面を有してよい。筒状本体18は、薄肉の筒状シースによって形成された外側カバー50を有してよい。
【0024】
筒状本体18の変形可能区分40は、複数の横断方向切込み52を有してよく(図2)、これにより筒状本体18の断面全体が縮小され、弱化区域が形成され、これにより変形可能区分40の弾性曲げが可能になる。変形可能区分40の弾性変形により、ヘッド42の長手方向軸線を通る任意の平面においてヘッド42の傾斜が可能になる。
【0025】
ヘッド42は、筒状本体18に沿って延在した伝送システム54により、基部16に位置するアクチュエータ20に接続されている。可能な実施形態において、伝送システム54は、複数のボーデンケーブル56を備えており、各ボーデンケーブル56は、内側に摺動ケーブルを収容したガイドシースを備えている。ボーデンケーブル56の内側ケーブルは、その遠位端部でヘッド42に固定されている。基部16の各アクチュエータ20が、それぞれのボーデンケーブル56に関連付けられている。動作制御デバイス28によって制御されるアクチュエータ20は、それぞれのシースの内側にあるケーブルの長手方向動作を制御するように構成されている。アクチュエータ20によって制御されるケーブルの軸線方向動作は、変形可能区分40の弾性変形に起因してヘッド42の傾斜を変える。
【0026】
図3に関連して、ヘッド42の傾斜を制御するボーデンケーブル56は、筒状本体18の外側凸部輪郭のそれぞれの凹部内に配置されてよい。可能な実施形態において、筒状本体18の重心に中心が一致する正方形の頂点に配置された4本のボーデンケーブル56が提供されてよい。ケーブル56を引っ張ることにより、変形可能区分40のみの変形が生じる。この目的のために、近位部分38およびヘッド42を形成する材料は、半剛性のプラスチック材料であってよい。変形可能区分40の弾性変形性は、材料の変形性と、横断方向切込み52によって引き起こされるその区分の弱化とによって得ることができる。
【0027】
図3に関連して、正方形の同じ側に沿って位置する2本のケーブル56を同時に引っ張ることにより、引っ張られたケーブルが位置する側の方向に、ヘッド42が傾斜する。たとえば、正方形の上方水平側に沿って位置する2本のケーブルを同時に引っ張ることにより、ヘッド42が上向きに傾斜し、正方形の右側に沿って位置する2本のケーブル56を引っ張ることにより、ヘッド42が右に向かって傾斜するなどである。単一のケーブル56を引っ張ることにより、正方形の対角線に沿ってヘッド42が傾斜する。たとえば、正方形の右上隅に位置するケーブル56を引っ張ることにより、右上側にヘッドが傾斜し、左下に位置するケーブル56を引っ張ることにより、左下側へヘッド42が傾斜するなどである。
【0028】
図4に関連して、喉頭鏡12は、ヘッド42の前面48に配置された視覚システム58を備えている。視覚システム58は、光学センサ60、たとえばCCDセンサと、レンズ62と、ミラー64とを備えている。レンズ62は、視界をミラー64に焦点合わせしており、ミラー64は、画像を光学センサ60に対して反射する。この配置により、中央導管46の中心から、ヘッド42の前壁48より約5~6cm先までに含まれる区域に、前方の視界を導くことが可能になる。視覚デバイス58は、視覚デバイス58の視界を照射するための発光源66、たとえばLEDも備えていてよい。光学系60および発光源66は、筒状本体18に形成された導管68の内側に延在することが可能なケーブルにより、基部16に接続されている。光学センサ60によって検出された画像は、電子制御ユニット24によって処理されてよく、インターフェイスユニット26を介して外部ディスプレイ30に送信されてよい。
【0029】
図3に関連して、筒状本体18は、基部16のそれぞれのコネクタ34に接続された、流体を通すための複数の導管70を備えてよい。導管70は、ヘッド42の前端48で開口しており、筒状本体18の長手方向軸線に対して平行に基部16まで延在している。流体導管70は、分泌物を吸引するため、および/または薬物もしくは酸素を投与するために使用されてよい。基部16のコネクタ34は、吸引源に接続されてもよいし、酸素を投与するための加圧容器に接続されてもよいし、または薬物を投与するためのデバイスに接続されてもよい。
【0030】
図2および図5に関連して、喉頭鏡12は、喉頭蓋持ち上げ要素72を備えてよく、この持ち上げ要素72は、薄肉のU字形状プレートから形成されてよい。喉頭蓋持ち上げ要素72は、2つのヒンジ74により、ヘッド42の前壁48に関節連結されており、ヘッド42の前壁48に要素72が接触する下降位置(図5)と、ヘッド42の前面48に対して要素72が実質的に垂直な上昇位置(図2)との間で動作することができる。
【0031】
図3に関連して、筒状本体18は、下降位置から上昇位置までの、およびその逆の、喉頭蓋持ち上げ要素72の動作を制御するように配置された2本のボーデンケーブル76を備えてよい。ボーデンケーブル76は、動作制御デバイス28によって制御可能な、基部16に位置するそれぞれのアクチュエータ78(図1)に接続されてよい。
【0032】
図1に関連して、基部16は、気管内チューブ14の挿入を制御するように構成された別のアクチュエータ80をさらに備えてよい。たとえば、アクチュエータ80は、気管内チューブ14の外面に形成されたラックに噛み合う歯車を駆動することができる。アクチュエータ80も、動作制御デバイス28によって制御されてよい。気管内チューブ14の挿入は、自動モードで実施されてもよいし、または半自動モードで実施されてもよい。
【0033】
図6に関連して、喉頭蓋持ち上げ要素72が最初に下降位置にある状態で、筒状本体18が患者の口に挿入される。筒状本体18は喉頭に徐々に挿入され、医師は挿入中に、動作制御デバイス28によってヘッド42の傾斜を制御して、気管の正確な開口部を見つけ出す。喉頭蓋の持ち上げ操作を実施するための適切な位置にデバイスがくると、アクチュエータ78が操作され、それによりケーブル76を引っ張ることによって、喉頭蓋72の持ち上げ要素が持ち上げられる。
【0034】
ディスプレイ30に示される画像により、医師は必要に応じてヘッド42の傾斜を調整して、ヘッド42を気管の口に位置合わせすることができる。
【0035】
ヘッド42が気管に適切に挿入されると、気管内チューブ14が筒状本体18に挿入される。導管46は、気管内チューブ14の挿入をガイドする。気管内チューブ14が患者の気管に挿入されたら、気管内チューブ14を定位置に残したまま筒状本体18が引き抜かれる。
【0036】
可能な実施形態において、動作制御デバイス28およびディスプレイ30は、喉頭鏡12に対して遠隔位置にあってよく、インターネットを介して喉頭鏡12の電子制御ユニット24に接続されてよい。喉頭鏡12の光学センサ60によって検出された画像は、インターネットを介してディスプレイ30に送信され、医師は、筒状本体18のヘッド42の動作を遠隔で制御することができる。
【0037】
ヘッド42の配向を専門医が遠隔で制御できることにより、患者の気管への喉頭鏡12の筒状本体18の挿入が、患者の挿管を実施する資格のない人員によっても実施されることが可能になる。たとえば緊急事態において、挿管操作を実施する資格のある医師(たとえば麻酔専門医)が救急隊員に含まれていないことがある。この場合、救急スタッフは、患者の咽喉に喉頭鏡を入れて、バンドを用いてそれを患者の頭部に固定し、挿管操作を実施する資格のある医師が最も繊細な操作を遠隔で制御することができ、それにより救急スタッフは適切に患者に挿管することが可能になる。
【0038】
筒状本体18は、医療デバイス用途の認証を有するプラスチック材料から作られてよく、製造工程中または製造工程後に除菌されてよい。筒状本体18の外面は、挿入段階中の抵抗を低減するために平滑であってよい。
【0039】
筒状本体18は、患者の特徴に応じて異なるサイズで製造されてよい。
【0040】
図7図11に関連して、筒状本体18の主要な特徴的測定寸法は、以下の表に示す範囲内に含まれてよい。
【0041】
筒状本体-図7図8
L1:15~45mm 遠位直線路長さ
L2:55~180mm 近位部分長さ
L3:8~40mm ヘッド長さ
A1:0°~43° 最後部分角度
A2:60°~105° 最初部分角度
R1:30~55mm 角度A1の半径区分
R2:35~85mm 角度A2の半径区分
D1:12~40mm 筒状本体の外径
D2:10~40mm ヘッドの外径
A3:60°~95° 本体-ヘッドの軸線角度
A4:0°~30° ヘッド装置軸線の上向き動作の立体半角(solid half-angle)
A5:0°~25° ヘッド装置軸線の下向き動作の立体半角
ヘッド区分-図9
F1、F2、F3:0.5~6mm サービス導管孔の直径
F4:1~8mm 視覚システム孔の直径
F5:10~28mm 中央導管の直径
F6、F7、F9、F10:0.5~4mm ヘッド動作ケーブル用の孔の直径
F8、F11:0.5~2mm 喉頭蓋持ち上げケーブル用の孔の直径本体
区分-図10
D3、D5、D7:0.5~6mm サービス管用の導管の直径
S1、S3、S5:0.1~3mm サービス管の厚さ
D4、D5、D9、D10:0.8~2.6mm ヘッド動作管の直径
S2、S4、S7、S8:0.1~3mm ヘッド動作管の厚さ
D8、D10:0.8~2.6mm 喉頭蓋持ち上げ動作管の直径
S6、S9:0.1~3mm 喉頭蓋持ち上げ動作管の厚さ
D12:10~28mm 中央導管直径
S10:0.1~3mm 中央導管厚さ
S11:0.5~4mm 筒状本体の外壁厚さ
S12:0.1~3mm 外側シース厚さ
喉頭蓋持ち上げ要素-図11
L4:12~40mm 要素幅
L5:0~30mm 下側平坦部分の幅
L6:6~24mm 開口部分の幅
L7:6~24mm 開口部分の長さ
L8:10~38mm 要素長さ
L9:12~40mm ヒンジを含む要素長さ
当然ながら、本発明の原理に影響を及ぼすことなく、構造および実施形態の詳細事項は、説明および図示したものに関して様々に変更されてよく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲からこれにより逸脱することはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11