(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】モジュールおよびその組付方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241112BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20241112BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20241112BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20241112BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
F16J15/10 B
F16J15/10 L
F16L23/02 D
H01M8/04 N
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2020035453
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2022-12-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和伸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】山森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 吾朗
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-238416(JP,A)
【文献】特開2009-210049(JP,A)
【文献】特開平08-260951(JP,A)
【文献】米国特許第04003590(US,A)
【文献】特開2019-114332(JP,A)
【文献】実開平01-057485(JP,U)
【文献】特開2010-238446(JP,A)
【文献】特開2009-197844(JP,A)
【文献】特開2018-159463(JP,A)
【文献】特開2002-071065(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10002974(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 - 15/14
F16L 23/00 - 25/14
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状の第2シール部材と、
を筐体内に備えるモジュールであって、
前記排出ダクトおよび前記導入ダクトのうち一方は、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記排出ダクトおよび前記導入ダクトのうち他方は、開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して前記第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有し、
前記第2シール部材は、前記第2フランジ部の前記第1フランジ部との突き合わせ面に配置された状態で該第2フランジ部の前記リブ部における内面に嵌合することで位置決めされる、
モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載のモジュールであって、
前記第2シール部材は、環状の第2本体部と、前記第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有し、前記第2突起部の先端が前記第2フランジ部のリブ部における内面に当接することで位置決めされる、
モジュール。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のモジュールであって、
前記モジュール本体は、燃料電池と、該燃料電池のオフガスを燃焼させる燃焼部と、前記燃料電池と前記燃焼部とを収容すると共に底面に前記高温流体として前記燃焼部で発生した燃焼排ガスを排出する前記排出ダクトが設けられたケースとを有し、
前記排出ダクトに連結される前記導入ダクトには、該導入ダクトを介して導入された燃焼排ガスを冷却する熱交換器が設けられている、
モジュール。
【請求項4】
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状のシール部材と、
を筐体内に備え、
前記排出ダクトは、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記導入ダクトは、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第1フランジ部は、前記第2フランジ部との突き合わせ面に、環状に凹み前記シール部材が配置される座面を有し、
前記円筒部の開口端面は、前記座面よりも突出し、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して前記第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有するモジュールの組付方法であって、
前記筐体内に組み付けられる前の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記モジュール本体を上下逆に配置し、前記シール部材として、環状の第1本体部と該第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有する第1シール部材を準備し、前記円筒部の開口端部における前記座面よりも突出した突出部分の外周面に前記第1突起部の先端が当接するよう該座面に前記第1シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合し、
前記筐体内に組み付けられた後の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記シール部材として、環状の第2本体部と該第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有する第2シール部材を準備し、前記第2フランジ部の前記リブ部における内面に前記第2突起部の先端が当接するよう該第2フランジ部の前記第1フランジ部との突き合わせ面に前記第2シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合する、
モジュールの組付方法。
【請求項5】
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状のシール部材と、
を筐体内に備え、
前記導入ダクトは、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記排出ダクトは、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第1フランジ部は、前記第2フランジ部との突き合わせ面に、環状に凹み前記シール部材が配置される座面を有し、
前記円筒部の開口端面は、前記座面よりも突出し、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して前記第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有するモジュールの組付方法であって、
前記筐体内に組み付けられる前の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記モジュール本体を上下逆に配置し、前記シール部材として、環状の第2本体部と該第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有する第2シール部材を準備し、前記第2フランジ部の前記リブ部における内面に前記第2突起部の先端が当接するよう該第2フランジ部の前記第1フランジ部との突き合わせ面に前記第2シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合し、
前記筐体内に組み付けられた後の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記シール部材として、環状の第1本体部と該第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有する第1シール部材を準備し、前記円筒部の開口端部における前記座面よりも突出した突出部分の外周面に前記第1突起部の先端が当接するよう該座面に前記第1シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合する、
モジュールの組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールおよびその組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温流体が流れる第1ダクトと第2ダクトとをガスケットを介在させて結合するダクト結合装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、第1ダクトの端部に流路の開口から外方に延在するように設けられた第1フランジと、第2ダクトの端部に流路の開口から外方に延在するように設けられた第2フランジとを有し、第1フランジおよび第2フランジの対向する当接面間にガスケットを配置して、連結ボルトにより第1フランジと第2フランジとを互いに近接するように連結する。これにより、ガスケットが厚み方向に圧縮され、第1ダクトと第2ダクトとの結合部がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガスケット(シール部材)を配置した状態で当該ガスケットが十分に位置決めされていないと、第1フランジと第2フランジとを連結する際にガスケットが位置ずれし、シール性を発揮することができない場合が生じる。
【0005】
本発明のモジュールおよびその組付方法は、簡易な構成によりシール部材を位置決めして、2つのダクトを連結する際にシール部材の位置ずれを防止することができるモジュールおよびその組付方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモジュールおよびその組付方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の第1のモジュールは、
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状の第1シール部材と、
を筐体内に備えるモジュールであって、
前記排出ダクトおよび前記導入ダクトのうち一方は、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記排出ダクトおよび前記導入ダクトのうち他方は、開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第1フランジ部は、前記第2フランジ部との突き合わせ面に、環状に凹み前記第1シール部材が配置される座面を有し、
前記円筒部の開口端面は、前記座面よりも突出し、
前記第1シール部材は、前記座面に配置された状態で前記円筒部の開口端部における前記座面よりも突出した突出部分の外周面に嵌合することで位置決めされる、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の第1のモジュールでは、排出ダクトおよび導入ダクトのうち一方は、円筒状に延びる円筒部と、円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、排出ダクトおよび導入ダクトのうち他方は、開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有する。第1フランジ部および第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結される。第1フランジ部は、第2フランジ部との突き合わせ面に環状に凹み第1シール部材が配置される座面を有し、円筒部の開口端面は、当該座面よりも突出する。そして、第1シール部材は、座面に配置された状態で円筒部の開口端部における座面よりも突出した突出部分の外周面に嵌合することで位置決めされる。このように、排出ダクトおよび導入ダクトのうち一方のダクトにおける円筒部の外周面(第1フランジ部の座面よりも突出した突出部分の外周面)で第1シール部材を位置決めするから、簡易な構成によりシール部材(第1シール部材)を位置決めして、2つのダクトを連結する際にシール部材の位置ずれを防止することができる。
【0009】
こうした本発明の第1のモジュールにおいて、前記第1シール部材は、環状の第1本体部と、前記第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有し、前記第1突起部の先端が前記円筒部の開口端部における突出部分の外周面に当接することで位置決めされるものとしてもよい。
【0010】
本発明の第2のモジュールは、
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状の第2シール部材と、
を筐体内に備えるモジュールであって、
前記排出ダクトおよび前記導入ダクトのうち一方は、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記排出ダクトおよび前記導入ダクトのうち他方は、開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して前記第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有し、
前記第2シール部材は、前記第2フランジ部の前記第1フランジ部との突き合わせ面に配置された状態で該第2フランジ部の前記リブ部における内面に嵌合することで位置決めされる、
ことを要旨とする。
【0011】
この本発明の第2のモジュールでは、排出ダクトおよび導入ダクトのうち一方は、円筒状に延びる円筒部と、円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、排出ダクトおよび導入ダクトのうち他方は、開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有する。第1フランジ部および第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結される。第2フランジ部は、第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有する。そして、第2シール部材は、第2フランジ部の第1フランジ部との突き合わせ面に配置された状態で当該第2フランジ部のリブ部における内面に嵌合することで位置決めされる。このように、排出ダクトおよび導入ダクトのうち他方のダクトにおける第2フランジ部の外縁に形成されるリブ部の内面で第2シール部材を位置決めするから、簡易な構成によりシール部材(第2シール部材)を位置決めして、2つのダクトを連結する際にシール部材の位置ずれを防止することができる。
【0012】
こうした本発明の第2のモジュールにおいて、前記第2シール部材は、環状の第2本体部と、前記第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有し、前記第2突起部の先端が前記第2フランジ部のリブ部における内面に当接することで位置決めされるものとしてもよい。
【0013】
また、本発明の第1および第2のモジュールにおいて、前記モジュール本体は、燃料電池と、該燃料電池のオフガスを燃焼させる燃焼部と、前記燃料電池と前記燃焼部とを収容すると共に底面に前記高温流体として前記燃焼部で発生した燃焼排ガスを排出する前記排出ダクトが設けられたケースとを有し、前記排出ダクトに連結される前記導入ダクトには、該導入ダクトを介して導入された燃焼排ガスを冷却する熱交換器が設けられているものとしてもよい。
【0014】
本発明の第1のモジュールの組付方法は、
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状のシール部材と、
を筐体内に備え、
前記排出ダクトは、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記導入ダクトは、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第1フランジ部は、前記第2フランジ部との突き合わせ面に、環状に凹み前記シール部材が配置される座面を有し、
前記円筒部の開口端面は、前記座面よりも突出し、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して前記第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有するモジュールの組付方法であって、
前記筐体内に組み付けられる前の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記モジュール本体を上下逆に配置し、前記シール部材として、環状の第1本体部と該第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有する第1シール部材を準備し、前記円筒部の開口端部における前記座面よりも突出した突出部分の外周面に前記第1突起部の先端が当接するよう該座面に前記第1シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合し、
前記筐体内に組み付けられた後の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記シール部材として、環状の第2本体部と該第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有する第2シール部材を準備し、前記第2フランジ部の前記リブ部における内面に前記第2突起部の先端が当接するよう該第2フランジ部の前記第1フランジ部との突き合わせ面に前記第2シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合する、
ことを要旨とする。
【0015】
この本発明の第1のモジュールの組付方法では、筐体内に組み付けられる前のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合には、まず、モジュール本体を上下逆に配置する。次に、シール部材として、環状の第1本体部と、第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有する第1シール部材を準備し、円筒部の開口端部における座面よりも突出した突出部分の外周面に第1突起部の先端が当接するよう座面に第1シール部材を配置する。そして、第1フランジ部に第2フランジ部が突き合わせられるよう導入ダクトを配置し、第1フランジ部と第2フランジ部とを接合する。また、筐体内に組み付けられた後のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合には、シール部材として、環状の第2本体部と、第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有する第2シール部材を準備し、第2フランジ部のリブ部における内面に第2突起部の先端が当接するよう第2フランジ部の第1フランジ部との突き合わせ面に第2シール部材を配置する。そして、第1フランジ部に第2フランジ部が突き合わせられるよう導入ダクトを配置し、第1フランジ部と第2フランジ部とを接合する。このように、筐体内に組み付けられる前のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合と、筐体内に組み付けられた後のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合とで異なるシール部材を用いることにより、簡易な構成によりシール部材を位置決めして2つのダクトを連結する際のシール部材の位置ずれを防止することができる。また、組付性を向上させて作業者の作業負担を軽減することができる。
【0016】
本発明の第2のモジュールの組付方法は、
高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と、
前記排出ダクトに連結される導入ダクトと、
前記排出ダクトと前記導入ダクトとの連結部をシールする環状のシール部材と、
を筐体内に備え、
前記導入ダクトは、円筒状に延びる円筒部と、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第1フランジ部とを有し、
前記排出ダクトは、前記円筒部の開口端部から径方向に延在する第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに突き合わされて連結され、
前記第1フランジ部は、前記第2フランジ部との突き合わせ面に、環状に凹み前記シール部材が配置される座面を有し、
前記円筒部の開口端面は、前記座面よりも突出し、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部との突き合わせ面の外縁から起立して前記第1フランジ部の外縁に嵌合するリブ部を有するモジュールの組付方法であって、
前記筐体内に組み付けられる前の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記モジュール本体を上下逆に配置し、前記シール部材として、環状の第2本体部と該第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有する第2シール部材を準備し、前記第2フランジ部の前記リブ部における内面に前記第2突起部の先端が当接するよう該第2フランジ部の前記第1フランジ部との突き合わせ面に前記第2シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合し、
前記筐体内に組み付けられた後の前記モジュール本体の前記排出ダクトに前記導入ダクトを組み付ける場合には、前記シール部材として、環状の第1本体部と該第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有する第1シール部材を準備し、前記円筒部の開口端部における前記座面よりも突出した突出部分の外周面に前記第1突起部の先端が当接するよう該座面に前記第1シール部材を配置し、前記第1フランジ部に前記第2フランジ部が突き合わせられるよう前記導入ダクトを配置し、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを接合する、
ことを要旨とする。
【0017】
この本発明の第2のモジュールの組付方法では、筐体内に組み付けられる前のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合には、まず、モジュール本体を上下逆に配置する。次に、シール部材として、環状の第2本体部と、第2本体部の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の第2突起部とを有する第2シール部材を準備し、第2フランジ部のリブ部における内面に第2突起部の先端が当接するよう第2フランジ部の第1フランジ部との突き合わせ面に第2シール部材を配置する。そして、第1フランジ部に第2フランジ部が突き合わせられるよう導入ダクトを配置し、第1フランジ部と第2フランジ部とを接合する。また、筐体内に組み付けられた後のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合には、シール部材として、環状の第1本体部と、第1本体部の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の第1突起部とを有する第1シール部材を準備し、円筒部の開口端部における座面よりも突出した突出部分の外周面に第1突起部の先端が当接するよう座面に第1シール部材を配置する。そして、第1フランジ部に第2フランジ部が突き合わせられるよう導入ダクトを配置し、第1フランジ部と第2フランジ部とを接合する。このように、筐体内に組み付けられる前のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合と、筐体内に組み付けられた後のモジュール本体の排出ダクトに導入ダクトを組み付ける場合とで異なるシール部材を用いることにより、簡易な構成によりシール部材を位置決めして2つのダクトを連結する際のシール部材の位置ずれを防止することができる。また、組付性を向上させて作業者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】発電モジュールを含む燃料電池システムの概略構成図である。
【
図5】燃焼排ガス排出管と燃焼排ガス導入管とを示す外観斜視図である。
【
図6】燃焼排ガス排出管と燃焼排ガス導入管との接合部分の断面を示す部分断面図である。
【
図7】第1熱交換器組付手順の一例を示す説明図である。
【
図8】第1ガスケットを配置して発電モジュールの燃焼排ガス排出管に熱交換器の燃焼排ガス導入管を組み付ける前の分解斜視図である。
【
図9】ガスケットと燃焼排ガス排出管にガスケットを配置した状態とを示す外観斜視図である。
【
図10】第2熱交換器組付手順の一例を示す説明図である。
【
図11】第2ガスケットを配置して発電モジュールの燃焼排ガス排出管に熱交換器の燃焼排ガス導入管を組み付ける前の分解斜視図である。
【
図12】第2ガスケットと燃焼排ガス導入管に第2ガスケットを配置した状態とを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、発電モジュールを含む燃料電池システムの概略構成図であり、
図2は、発電モジュールの概略構成図であり、
図3は、発電モジュールの外観斜視図であり、
図4は、熱交換器の外観斜視図である。本実施形態の燃料電池システム20は、
図1に示すように、アノードガス(燃料ガス)中の水素とカソードガス(酸化剤ガス)中の酸素との電気化学反応により発電する燃料電池スタック31を含む発電モジュール30と、発電モジュール30にアノードガスの原料となる原燃料ガス(例えば天然ガスやLPガス)を供給する原燃料ガス供給装置50と、発電モジュール30に原燃料ガスからアノードガスへ改質するのに必要な改質水を供給する改質水供給装置55と、発電モジュール30(燃料電池スタック31)にカソードガスを供給するカソードガス供給装置60と、燃料電池スタック31の出力端子に接続されると共にリレーを介して電力系統に接続されるパワーコンディショナ(図示せず)と、発電モジュール30で発生した排熱を回収するための排熱回収装置70と、これらを収容する筐体21とを備える。
【0021】
発電モジュール30は、燃料電池スタック31や、気化器32、2つの改質器33を含み、これらは、モジュールケース40に収容されている。本実施形態では、発電モジュール30は、
図2に示すように、2つの燃料電池スタック31を有し、2つの燃料電池スタック31は、間隔をおいて互いに対向するようにモジュールケース40内に配置されたマニホールド34上に設置される。各燃料電池スタック31は、酸化ジルコニウム等の電解質と当該電解質を挟持するアノード電極およびカソード電極とをそれぞれ有すると共に
図1中、左右方向(水平方向)に配列された複数の固体酸化物形の単セルを有する。各単セルのアノード電極内には、図示しないアノードガス通路が単セルの配列方向と直交する方向、すなわち上下方向に延在するように形成されている。また、各単セルのカソード電極の周囲には、カソードガスを流通させる図示しないカソードガス通路が単セルの配列方向に直交する方向、すなわち上下方向に延在するように形成されている。各単セルのアノードガス通路は、マニホールド34に連通する。
【0022】
発電モジュール30の気化器32および改質器33は、モジュールケース40内の2つの燃料電池スタック31の上方に両者と間隔をおいて配設される。本実施形態では、一方の燃料電池スタック31の上方に気化器32および一方の改質器33が配置され、他方の燃料電池スタック31の上方に他方の改質器33が配置される。更に、一方の燃料電池スタック31と気化器32および一方の改質器33との間、並びに他方の燃料電池スタック31と他方の改質器33との間には、燃料電池スタック31の作動や、気化器32および改質器33での反応に必要な熱を発生させる燃焼部35が画成されている。各燃焼部35には、点火ヒータ36が設置されている。
【0023】
気化器32は、燃焼部35からの熱により原燃料ガス供給装置50からの原燃料ガスと改質水供給装置55からの改質水とを加熱し、原燃料ガスを予熱すると共に改質水を蒸発させて水蒸気を生成する。気化器32により予熱された原燃料ガスは、水蒸気と混合され、その混合ガスは、当該気化器32から改質器33に流入する。改質器33は、その内部に充填された例えばRu系またはNi系の改質触媒を有し、燃焼部35からの熱の存在下で、改質触媒による気化器32からの混合ガスの反応(水蒸気改質反応)によって水素ガスと一酸化炭素とを生成する。更に、改質器33は、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気との反応(一酸化炭素シフト反応)によって水素ガスと二酸化炭素とを生成する。これにより、改質器33によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の原燃料ガス等を含むアノードガスが生成されることになる。改質器33により生成されたアノードガスは、配管やマニホールド34を介して各単セルのアノード電極に供給される。
【0024】
また、燃料電池スタック31の各単セルのカソード電極には、モジュールケース40内に画成されるカソードガス通路48を介して酸素を含むカソードガスとしての空気が供給される。各単セルのカソード電極では、酸化物イオン(O2
-)が生成され、当該酸化物イオンが電解質を透過してアノード電極で水素や一酸化炭素と反応することにより電気エネルギが得られる。各単セルにおいて電気化学反応(発電)に使用されなかったアノードガス(以下、「アノードオフガス」という)およびカソードガス(以下、「カソードオフガス」という)は、各単セルのアノードガス通路やカソードガス通路から上方の燃焼部35へと流出する。
【0025】
各単セルから燃焼部35に流入したアノードオフガスは、水素や一酸化炭素等の燃料成分を含む可燃性ガスであり、各単セルから燃焼部35に流入した酸素を含むカソードオフガスと混合される。以下、アノードオフガスとカソードオフガスとの混合ガスを「オフガス」という。そして、点火ヒータ36により点火させられて燃焼部35でオフガス(アノードオフガス)が着火すると、当該オフガスの燃焼により、燃料電池スタック31の作動や、気化器32での原燃料ガスの予熱や水蒸気の生成、改質器33での水蒸気改質反応等に必要な熱が発生することになる。また、オフガスの燃焼に伴い、燃焼部35では、水蒸気を含む燃焼排ガスが生成される。燃焼部35で生成された燃焼排ガスは、モジュールケース40内に形成された燃焼排ガス通路49を通過して燃焼排ガス排出管45から当該モジュールケース40外に排出される。
【0026】
原燃料ガス供給装置50は、原燃料ガスを供給する原燃料供給源10と気化器32とを接続する原燃料ガス供給管51と、当該原燃料ガス供給管51に組み込まれた原燃料ガス供給弁(電磁開閉弁)52および原燃料ガスポンプ53と、気化器32と原燃料ガスポンプ53との間に位置するように原燃料ガス供給管51に組み込まれた例えば常温脱硫式の脱硫器54とを有する。原燃料ガスは、原燃料ガスポンプ53を作動させることで、原燃料供給源10から脱硫器54を介して気化器32へと圧送(供給)される。
【0027】
改質水供給装置55は、改質水を貯留する改質水タンク57と、改質水タンク57と気化器32とを接続する改質水供給管56と、改質水供給管56に組み込まれた改質水ポンプ58とを有する。改質水タンク57内の改質水は、改質水ポンプ58を作動させることで、当該改質水ポンプ58により気化器32へと圧送(供給)される。
【0028】
カソードガス供給装置60は、モジュールケース40内に形成されたカソードガス通路48に接続されるカソードガス供給管61と、カソードガス供給管61に組み込まれたブロワ62とを有する。カソードガスとしての空気は、ブロワ62を作動させることで、図示しないエアフィルタからカソードガス通路48を介して各燃料電池スタック31へと圧送(供給)される。
【0029】
排熱回収装置70は、湯水を貯留する貯湯タンク71と、発電モジュール30の燃焼部35から燃焼排ガス通路49を介して導入される燃焼排ガスと湯水とを熱交換する熱交換器80と、貯湯タンク71と熱交換器80とを接続する循環配管73と、循環配管73に組み込まれた循環ポンプ74とを有する。貯湯タンク71内に貯留されている湯水は、循環ポンプ74を作動させることで、熱交換器80へと導入され、熱交換器80で燃焼排ガスとの熱交換によって昇温させられた後、貯湯タンク71へと返送される。熱交換器80で湯水との熱交換によって燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮し、これにより凝縮水が得られる。
【0030】
熱交換器80は、
図4に示すように、燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路と湯水が流れる湯水流路とを内部に有する熱交換器本体81と、燃焼排ガス流路の一端に燃焼排ガスを導入する燃焼排ガス導入管82と、湯水流路の一端に湯水を導入する湯水導入管83と、湯水流路の他端から湯水を導出する湯水導出管84と、燃焼排ガス流路の他端から燃焼排ガス中に含まれる水蒸気の凝縮水を導出する凝縮水導出管85と、燃焼排ガス流路の他端から燃焼排ガス中の水分が除去された排ガスを導出する排ガス導出管86とを備える。燃焼排ガス導入管82は、燃焼排ガス排出管45に接続され、湯水導入管83および湯水導出管84は、循環配管73に接続される。熱交換器本体81において、燃焼排ガス流路に導入された燃焼排ガスと湯水流路に導入された湯水との熱交換によって燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮され、得られた凝縮水は、凝縮水導出管85から導出される。
【0031】
凝縮水導出管85は、改質水タンク57に連結された水精製器76に配管75を介して接続されており、凝縮水導出管85から導出された凝縮水は、当該配管75を通過し、水精製器76で精製され、改質水タンク57内へと導入される。更に、排ガス導出管86は排気管77に接続されており、燃焼排ガス中の水分が除去された排ガスは、排気管77を介して大気中に排出される。
【0032】
モジュールケース40は、
図2に示すように、底壁部411に1つの貫通孔が形成された箱形のインナケース41と、インナケース41の外面と間隔をおいて当該インナケース41を覆うように配設されると共に底壁部421に2つの貫通孔が形成されたアウタケース42と、アウタケース42の一方の貫通孔に挿通されインナケース41とアウタケース42との間に形成されるカソードガス通路48と連通して当該カソードガス通路48にカソードガスを導入するカソードガス導入管44(
図3参照)と、インナケース41の貫通孔とアウタケース42の他方の貫通孔とに挿通されインナケース41内に画成される燃焼排ガス通路49と連通して当該燃焼排ガス通路49から燃焼排ガスを排出する燃焼排ガス排出管45とを有する。
【0033】
カソードガス通路48は、インナケース41およびアウタケース42の底面に沿って延在する下側通路481と、下側通路481に連通すると共にインナケース41およびアウタケース42の側面に沿って延在する側部通路482と、側部通路482に連通すると共にインナケース41およびアウタケース42の天井面に沿って延在する上側通路483と、上側通路483に連通すると共に2つの燃料電池スタック31の間を通るように延在するスタック側通路484とを有する。
【0034】
カソードガス通路48の下側通路481は、水平方向に延在するインナケース41の底壁部411と、当該底壁部411と間隔をおいて対向するように配置されるアウタケース42の底壁部421とにより形成される。下側通路481は、カソードガス導入管44に連通する。カソードガス導入管44は、両端が開放された円筒状に形成され、当該カソードガス導入管44の一方の開放端は、アウタケース42の底壁部421に形成される貫通孔に全周に亘って溶接によって接合される。カソードガス導入管44の他方の開放端には、カソードガス供給装置60のカソードガス供給管61が接続される(
図1参照)。カソードガス通路48の側部通路482は、上下方向に延在するインナケース41の側壁部412と、当該側壁部412と間隔をおいて対向するように配置されるアウタケース42の側壁部422とにより形成される。カソードガス通路48の上側通路483は、水平方向に延在するインナケース41の上壁部413と、当該上壁部413と間隔をおいて対向するように配置されるアウタケース42の上壁部423とにより形成される。インナケース41の上壁部413には、燃料電池スタック31の各単セルの配列方向に延在する長孔状の開口部413oが形成され、当該開口部413oには、両端が開放された扁平なダクト43の一端が接続される。ダクト43は、スタック側通路484を形成するよう2つの燃料電池スタック31の間において上下方向に延在し、ダクト43の他端には、当該ダクト43を通過したカソードガスを2つの燃料電池スタック31のカソード電極に向けてそれぞれ放出するための開口部43oが形成されている。
【0035】
また、燃焼排ガス通路49は、2つの燃料電池スタック31の周囲に配置された断熱材39と、インナケース41との間の空間に形成される。燃焼排ガス通路49は、インナケース41の天井面に沿って延在する上側通路491と、上側通路491に連通すると共にインナケース41の側面に沿って延在する側部通路492と、側部通路492に連通すると共にインナケース41の底面に沿って延在する下側通路493とを有する。上側通路491は、断熱材39の上面と、インナケース41の上壁部413とにより形成される。側部通路492は、断熱材39の側面と、インナケース41の側壁部412とにより形成される。下側通路493は、断熱材39の底面と、インナケース41の底壁部411とにより形成される。下側通路493は、燃焼排ガス排出管45に連通する。
【0036】
燃焼排ガス排出管45は、例えば鋼板をプレス加工することにより構成され、
図5(a)に示すように、両端が開放されると共に一方の開放端が燃焼排ガス通路49(下側通路493)に連通するようアウタケース42(底壁部421)に形成された貫通孔に接合される円筒部材451と、円筒部材451の他方の開放端部から径方向に延在するフランジ部材452とを有する。フランジ部材452は、本実施形態では、円筒部材451と別部材であり、当該円筒部材451にろう付け等によって接合される。フランジ部材452は、オーバル型の輪郭を有し、当該フランジ部材452の外縁は、強度を確保するために内側に折り曲げられている。フランジ部材452の表面は、その輪郭の内接円領域に形成される座面452sと、座面452sを挟んだ両側に形成される2つの接触面452tとを含む。2つの接触面452tは、接合相手の燃焼排ガス導入管82と接触する平坦な面であり、それぞれボルトBが挿入されるボルト孔452hが形成されている。座面452sは、2つの接触面452tよりも凹んだ環状の面により形成される。また、フランジ部材452は、円筒部材451の開放端面が座面452sよりも突出するように当該円筒部材451に接合される。
【0037】
燃焼排ガス排出管45に接合される熱交換器80の燃焼排ガス導入管82は、例えば鋼板をプレス加工することにより構成され、
図5(b)に示すように、両端が開放されると共に一方の開放端が熱交換器本体81の燃焼排ガス流路の一端に連通する円筒部材821と、円筒部材821の他方の開放端部から径方向に延在するフランジ部材822とを有する。フランジ部材822は、本実施形態では、円筒部材821と別部材であり、当該円筒部材821にろう付け等によって接合される。フランジ部材822は、上記燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452よりも一回り大きな輪郭を有し、当該フランジ部材822の外縁には、フランジ部材452と突き合わされたときに当該フランジ部材452に外嵌するように外側に折り曲げられたリブ部822rが形成されている。フランジ部材822におけるフランジ部材452の接触面452tおよび座面452sに対向する表面822sは、平坦な面により形成され、当該表面822sには、フランジ部材452と突き合わされたときに当該フランジ部材452の接触面452tに形成された2つのボルト孔452hと連通する2つのボルト孔822hが形成されている。
【0038】
燃焼排ガス排出管45と燃焼排ガス導入管82とは、
図6に示すように、フランジ部材452の座面452sにガスケット(シール部材)46を配置してフランジ部材452,822同士を突き合わせ、この状態でボルトBを2つのボルト孔452h,822hに挿入して両フランジ部材452,822を締結することによって接合される。これにより、フランジ部材452の接触面452tがフランジ部材822の表面822sに面接触(メタルタッチ)すると共にガスケット46が厚み方向に圧縮され、燃焼排ガス排出管45と燃焼排ガス導入管82との接合部分がシールされることになる。
【0039】
次に、発電モジュール30(モジュール本体)に熱交換器80を組み付ける組付手順、特に燃焼排ガス排出管45に燃焼排ガス導入管82を接合する手順について説明する。この組付手順は、例えば燃料電池システム20を生産するとき等、発電モジュール30を筐体21内に組み付ける前に発電モジュール30と熱交換器80とをユニット化するために、筐体21外で発電モジュール30に熱交換器80を組み付ける際に行なわれる場合(第1熱交換器組付手順)と、例えば燃料電池システム20をメンテナンス(ガスケットの交換等)するとき等、筐体21内に収容された熱交換器80を一旦、取り外した後、筐体21内で発電モジュール30に熱交換器80を組み付けるために行なわれる場合(第2熱交換器組付手順)とがある。
【0040】
図7は、第1熱交換器組付手順の一例を示す説明図である。上述したように、燃料電池システム20の各構成部品は、筐体21に収容されるが、発電モジュール30は、第1熱交換器組付手順によって熱交換器80が組み付けられてユニット化された状態で筐体21に収容される。熱交換器80の組み付けは、
図8に示すように、発電モジュール30が上下逆向きに設置された状態で行われる。
【0041】
第1熱交換器組付手順では、まず、作業者は、発電モジュール30(モジュールケース40)を作業台上に上下逆に設置する(ステップS100)。次に、ガスケット46を準備し(ステップS110)、準備したガスケット46を燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452の座面452sに配置する(ステップS120)。ここで、ガスケット46は、耐熱性と耐久性に優れた材料、例えばロックウール等により形成される環状のシール部材であり、
図9(a)に示すように、環状の本体461と、本体461の内周面から周方向に間隔をおいて内径方向に突出する複数の突起462とを有する。上述したように、燃焼排ガス排出管45の円筒部材451の開口端面は、フランジ部材452の座面452sよりも突出しており、ガスケット46が座面452sに配置されると、
図9(b)に示すように、複数の突起462の先端がそれぞれ円筒部材451の突出部分の外周面と当接し、ガスケット46が位置決めされる。そして、熱交換器80の燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822を、燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452に突き合わせ(ステップS130)、両フランジ部材452,822をボルトBによって接合することにより(ステップS140)、組み付けが完了する。こうして熱交換器80が組み付けられたモジュールケース40は、燃料電池スタック31や気化器32,改質器33等の構成部品が収容された発電モジュール30とされ、筐体21内に収容される。
【0042】
図10は、第2熱交換器組付手順の一例を示す説明図である。第2熱交換器組付手順は、発電モジュール30が筐体21内に収容された状態、すなわち、
図11に示すように、発電モジュール30が上下正向きに設置された状態で行われる。
【0043】
第2熱交換器組付手順では、まず、作業者は、上述したガスケット46とは異なる第2ガスケット146を準備する(ステップS200)。ここで、第2ガスケット146は、ガスケット46と同様に耐熱性と耐久性に優れた材料、例えばロックウール等により形成される環状のシール部材であり、
図12(a)に示すように、環状の本体1461と、本体1461の外周面から周方向に間隔をおいて外径方向に突出する複数の突起1462とを有する。次に、準備した第2ガスケット146を熱交換器80の燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822の表面822sに配置する(ステップS210)。上述したように、燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822の外縁は、外側に折り曲げられたリブ部822rが形成されており、第2ガスケット146がフランジ部材822の表面822sに配置されると、
図12(b)に示すように、複数の突起1462の先端がそれぞれリブ部822rの内面と当接し、第2ガスケット146が位置決めされる。そして、熱交換器80の燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822を、燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452に突き合わせ(ステップS220)、両フランジ部材452,822をボルトBによって接合することにより(ステップS230)、組み付けが完了する。
【0044】
以上説明した本実施形態のモジュールでは、燃焼排ガス排出管45と燃焼排ガス導入管82とは、フランジ部材452,822同士が突き合わされて締結されることにより接合される。燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452は、ガスケット46が配置される環状の座面452sを有し、燃焼排ガス排出管45の円筒部材451の開口端面は、座面452sよりも突出する。ガスケット46は、筐体21内に収容される前の発電モジュール30に熱交換器80を組み付ける際に燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452の座面452sに配置され、当該座面452sに配置された状態で円筒部材451の開口端部における突出部分の外周面に突起462の先端が当接することで位置決めされる。このように、燃焼排ガス排出管45における円筒部材451の外周面(フランジ部材452の座面452sよりも突出した突出部分の外周面)でガスケット46を位置決めするから、簡易な構成によりガスケット46を位置決めすることができ、燃焼排ガス排出管45と燃焼排ガス導入管82とを接合する際の当該ガスケット46の位置ずれを防止して接合部のシール性を発揮させることができる。
【0045】
また、本実施形態のモジュールでは、燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822は、燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452との突き合わせ面(表面822t)の外縁から起立するリブ部822rを有する。第2ガスケット146は、筐体21内に収容された後の発電モジュール30に熱交換器80を組み付ける際に燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822の表面822tに配置され、当該表面822tに配置された状態でフランジ部材822のリブ部822rの内面に突起1462の先端が当接することで位置決めされる。このように、燃焼排ガス導入管82におけるフランジ部材822の外縁に形成されるリブ部822rの内面で第2ガスケット146を位置決めするから、簡易な構成により第2ガスケット146を位置決めすることができ、燃焼排ガス排出管45と燃焼排ガス導入管82とを接合する際の当該ガスケット46の位置ずれを防止して接合部のシール性を発揮させることができる。
【0046】
上述した実施形態では、燃焼排ガス排出管45は、フランジ部材452に接触面452tよりも凹んだ座面452sを形成すると共に円筒部材451の開口端面が当該座面452sよりも突出するように形成され、燃焼排ガス導入管82は、フランジ部材822の外縁にリブ部822rを有するように形成されるものとした。しかし、燃焼排ガス導入管82は、フランジ部材822に環状の座面を形成すると共に円筒部材821の開口端面が当該座面よりも突出するように形成され、燃焼排ガス排出管45は、フランジ部材452の外縁にリブ部を有するように形成されるものとしてもよい。この場合、第1熱交換器組付手順において、燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452におけるリブ部の内面に突起1462の先端が当接するように第2ガスケット146を配置した後、燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452と燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822とを接合するものとすればよい。また、第2熱交換器組付手順において、燃焼排ガス導入管82の円筒部材821の開放端部における突出部分の外周面に突起462の先端が当接するようにガスケット46を配置して、燃焼排ガス排出管45のフランジ部材452と燃焼排ガス導入管82のフランジ部材822とを接合するものとすればよい。
【0047】
上述した実施形態では、燃焼排ガス排出管45の円筒部材451およびフランジ部材452は、別部材により構成されたが、同一部材により構成されてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、本発明を、燃料電池スタック31を含む発電モジュール30に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、高温流体を排出する排出ダクトを底面に有するモジュール本体と導入ダクトとがシール部材を介して連結されるモジュールであれば、如何なるモジュールに適用されてもよい。
【0049】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、発電モジュール30が「モジュール本体」に相当し、燃焼排ガス排出管45が「排出ダクト」に相当し、燃焼排ガス導入管82が「導入ダクト」に相当し、ガスケット46が「第1シール部材」に相当し、筐体21が「筐体」に相当し、円筒部材451が「円筒部」に相当し、フランジ部材452が「第1フランジ部」に相当し、フランジ部材822が「第2フランジ部」に相当し、座面452sが「座面」に相当する。また、ガスケット46の本体461が「第1本体部」に相当し、複数の突起462が「複数の第1突起部」に相当する。また、第2ガスケット146が「第2シール部材」に相当し、リブ部822rが「リブ部」に相当する。また、第2ガスケット146の本体1461が「第2本体部」に相当し、複数の突起1462が「複数の第2突起部」に相当する。また、燃料電池スタック31が「燃料電池」に相当し、燃焼部35が「燃焼部」に相当し、熱交換器80が「熱交換器」に相当する。
【0050】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、発電モジュールの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 原燃料供給源、20 燃料電池システム、21 筐体、30 発電モジュール、31 燃料電池スタック、32 気化器、33 改質器、34 マニホールド、35 燃焼部、36 点火ヒータ、37 燃焼触媒、40 燃料電池ケース、41,141 インナケース、42,42B,142 アウタケース、43 ダクト、44 カソードガス導入管、45 燃焼排ガス排出管、50 原燃料ガス供給装置、51 原燃料ガス供給管、52 原燃料ガス供給弁、53 原燃料ガスポンプ、54 脱硫器、55 改質水供給装置、56 改質水供給管、57 改質水タンク、58 改質水ポンプ、60 カソードガス供給装置、61 カソードガス供給管、62 ブロワ、70 排熱回収装置、71 貯湯タンク、73 循環配管、74 循環ポンプ、75 配管、76 水精製器、77 排気管、80 熱交換器、81 熱交換器本体、82 燃焼排ガス導入管、83 湯水導入管、84 湯水導出管、85 凝縮水導出管、86 排ガス導出管、146 第2ガスケット、411,421 底壁部、412,422 側壁部、413,423 上壁部、451 円筒部材、452 フランジ部材、452s 座面、452t 接触面、452h ボルト孔、461 本体、462 突起、481 下側通路、482 側部通路、483 上側通路、484 スタック側通路、491 上側通路、492 側部通路、493 下側通路、821 円筒部材、822 フランジ部材、822t 表面、822r リブ部、822h ボルト孔、1461 本体、1462 突起。